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2004-05-19 第159回国会 参議院 決算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十九日(水曜日)    午後零時三十分開会     ─────────────    委員異動  五月十八日     辞任         補欠選任      加治屋義人君     森元 恒雄君      後藤 博子君     野沢 太三君      月原 茂皓君     愛知 治郎君      山内 俊夫君     小林  温君      若林 秀樹君     佐藤 雄平君      千葉 国男君     木庭健太郎君      大沢 辰美君     小林美恵子君      畑野 君枝君     岩佐 恵美君  五月十九日     辞任         補欠選任      野沢 太三君     後藤 博子君      森元 恒雄君     加治屋義人君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 岩井 國臣君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 羽田雄一郎君                 松井 孝治君                 小林美恵子君     委 員                 愛知 治郎君                 大野つや子君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 小林  温君                 後藤 博子君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 藤井 基之君                 神本美恵子君                 川橋 幸子君                 佐藤 雄平君                 齋藤  勁君                 平野 貞夫君                 広野ただし君                 木庭健太郎君                 遠山 清彦君                 岩佐 恵美君                 又市 征治君                 岩本 荘太君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君        財務大臣     谷垣 禎一君        文部科学大臣   河村 建夫君        厚生労働大臣   坂口  力君        農林水産大臣   亀井 善之君        経済産業大臣   中川 昭一君        国務大臣        (内閣官房長官)        (内閣特命担        当大臣男女共        同参画))    細田 博之君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策食品安全        ))       小野 清子君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣(金融、        経済財政政策)        )        竹中 平蔵君    副大臣        外務副大臣    阿部 正俊君        財務大臣    石井 啓一君        国土交通大臣  林  幹雄君        国土交通大臣  佐藤 泰三君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君         ─────        会計検査院長   森下 伸昭君         ─────    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      竹島 一彦君    事務局側        常任委員会専門        員        和田  征君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      河  幹夫君        内閣男女共同        参画局長     名取はにわ君        警察庁長官官房        長        吉村 博人君        防衛庁防衛参事        官        大井  篤君        総務省行政管理        局長       松田 隆利君        総務省自治行政        局公務員部長   須田 和博君        総務省自治行政        局選挙部長    高部 正男君        法務大臣官房審        議官       四宮 信隆君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        財務省主計局次        長        佐々木豊成君        国税庁次長    村上 喜堂君        文部科学省高等        教育局長     遠藤純一郎君        文部科学省研究        振興局長     石川  明君        厚生労働大臣官        房審議官     北井久美子君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君        農林水産省生産        局長       白須 敏朗君        農林水産技術会        議事務局長    石原 一郎君        国土交通大臣官        房審議官     松原 文雄君        国土交通大臣官        房技術審議官   門松  武君        海上保安庁次長  金子賢太郎君    説明員        会計検査院事務        総局次長     重松 博之君        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君        会計検査院事務        総局第四局長   友寄 隆信君        会計検査院事務        総局第五局長   円谷 智彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○平成十四年度一般会計歳入歳出決算平成十四  年度特別会計歳入歳出決算平成十四年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十四年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十四年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、千葉国男君、若林秀樹君、大沢辰美君、畑野君枝君、月原茂皓君及び山内俊夫君が委員辞任され、その補欠として木庭健太郎君、佐藤雄平君、小林美恵子君、岩佐恵美君、愛知治郎君及び小林温君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事小林美恵子君を指名いたします。     ─────────────
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成十四年度決算外二件を議題といたします。  本日は、締めくくり総括的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子でございます。  今国会決算委員会は、昨年の決算早期審査という課題から、今度は審査内容の充実を目指しまして、予算への反映ができるようにという、そういう試みの年であったかと思います。様々新しい取組が当委員会にも工夫されて、今、警告決議とか要請決議などの取りまとめの最終段階に入っているところでございます。  私事でございますけれども、実は間もなく二期十二年でございますが、そのうち九年間ここに在籍させていただきまして、以前は閉会中の審査が多くてそれほど人気が高いとは言えなかった委員会でございますが、大変、今回はそういう意味で、決算重視参議院のこの審議の場に立ち会うことができまして、感謝しているところでございます。  さて、それでは早速質問に入らせていただきたいと思います。  いろいろ勉強させていただきましたし、審議を通じて考えさせていただき、決算委員会役割とは、参議院役割とは、一個人の議員の役割とはなどを考えましたけれども、やっぱり最後にたどり着くところは、財政再建課題というのが非常に大きな課題なんではないかと思うのでございます。  それで、もう間もなく骨太方針の第四弾が作られるということでございますけれども、今年の予算委員会の当初の審議思い出しますと、やはりプライマリーバランスが二〇一〇年代初頭に回復するというこの可能性はちょっと甘過ぎるのではないか、等々の議論がありました。結果、この目標が掲げられているわけでございます。  ちょっと僣越な言い方をさせていただきますと、これはやはり国民に対する約束事なのではないかと思うんですね。国家財政を再建させるある種の、具体的ではないかもしれません、抽象的かも分かりませんけれども、目標値だと思います。これが達成できないときに、大したことではないという、こういう扱いの目標とは少し違うのではないかと私は思っております。  そこで、改めて、財務大臣竹中大臣とお二人そろっていらっしゃるところで伺わせていただきたいと思います。  当初、財務大臣といいますか、財務省の方かと思いますが、歳出削減や増税がないと不可能な数字ではないのだろうかという、そんな報道がございました。  それから、内閣府の竹中大臣の方からは、高い成長率が期待されるんだから大丈夫だというような、私、経済には素人でございますので正確な表現はできませんけれども、おおむねそのようなお話があったのではないかと思います。  骨太第四弾を控えまして、改めて、この目標達成が可能なのでしょうか。もし修正をするなら、私は誠実にある段階ある段階でもって修正していかれた方がよろしいのではないかと、こういうふうに思うわけでございますけれども、両大臣に伺わせていただきます。
  7. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、川橋委員おっしゃいましたように、財政持続可能性を作っていく、もう一回取り戻していくということは、二十一世紀の日本のありように関して最も大事な問題の一つではないかと私自身も思っております。  それで、今御指摘になりましたように、二〇一〇年代初頭にプライマリーバランスを、国、地方基礎的財政収支黒字化を目指す、これを中長期的な財政運営目標にしているわけでございます。この背景には、もう申すまでもございませんが、今年度末で四百八十三兆円程度公債残高、国の公債残高があるということは先進国中でも最悪であると、こういう認識があるわけであります。  それで、委員の御質問は、それが達成可能かどうかということでございますけれども、もちろん、まだかなり時間がございますし、経済の動きというのは非常に、これは生き物でございますから、相当なこれは努力がなければ達成できない目標であるというふうに私は思っております。  それで、どういう手段でやっていくかということは、昨年の骨太にもある程度書き込んでいただいておりますし、これから作る骨太二〇〇四にも書き込むわけでございますけれども、私自身は、今年ありましたような、一般会計歳出及び一般歳出を実質的に前年度の水準以下に今年は抑制したわけでありますが、こういう努力を引き続き継続しなければならないだろうと思っております。それと同時に、民需主導経済、持続的な経済成長というのも併せてなければいけない。  そうして、いろいろな、これからの財政需要というものはどこまであるのかとか、いろんな検討。例えば、社会保障に関しましても、あるいは国と地方関係にありましても、いろんな制度もいじらなければならないと思いますし、また税の方面におきましても、これから当然国と地方の税源をどう配分していくかという問題、あるいは基礎年金国庫負担をこれから二分の一に持っていこうということがあるわけでございますけれども、そういった全体の税制改正の中で更に財政再建のために何が必要かということも併せて議論をしていかなければ、私はなかなか達成が難しいのではないかと、こう考えております。
  8. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) ただいま谷垣大臣の御答弁にもありましたように、やはり財政健全化、そのためにプライマリーバランス回復を目指すということは、これはやはり必要なことであるということ、しかしそのためには相当の努力を必要とする、正に私たち、そのような思い政策に取り組んでおります。しからば、その困難な目標達成していくためのシナリオはどのようなものであるのか、そのシナリオを実現するためにどのような政策努力が必要なのか、そういったことを整合的に示していくのが我々の務めであるというふうに思っております。  そうした観点からいいますと、現時点でプライマリーバランスの赤字というのがGDP比でマイナスの五・四%ございます。十年程度でそれをゼロにするということになりますと、毎年GDP比で〇・五%ポイントずつぐらいこれを改善していかなければいけない。それを是非達成したいというふうに思うわけです。  そのための要件として、まず、やはり経済が活性化していかなければいけません。名目成長率が順調に回復して、それに基づいて一定の税収が上がるような条件を作っていかなければいけない、経済を活性化するための構造改革がどうしても必要になります。その努力をしたい。同時に、これはあくまで歳出歳入の話でありますから、歳出に関しては、当面、この歳出政府の規模を今より大きくしないという緩やかな歳出キャップをはめることによって対応したい。先ほど〇・五%ポイント毎年改善したいというふうに申し上げましたが、二〇〇四年度に関しては〇・八%ポイントぐらいの回復が可能であるというふうに試算をされております。  しかしながら、改めて、そうした歳出キャップをはめて歳出削減努力に努めるとともに、二〇〇七年以降については、更なる歳出抑制に努めるのか、歳出国民負担のバランスを何か別の方法で取るのか、そうしたことについては別途結論を出さなければいけない。そうした結論は、これから議論を踏まえて二〇〇六年度までに結論を出したいというふうに思っているところでございます。
  9. 川橋幸子

    川橋幸子君 竹中大臣は、この後、衆議院の方の委員会においでになられるということを伺っておりますので、二問続けて両大臣に伺いまして、どうぞ、先の方に御答弁いただいた方が次の移動がお楽かと思います。本当は一問ずつ、両大臣でも微妙なお言葉のニュアンスの差ですね、伺うのを実は期待していたところでございますけれども、ここは移動がお楽なように、そのように二問続けてやらせていただきます。  さて、そのプライマリーバランス回復にとって欠かせないのは、中期的な税収予測がどうであるかと。一番基礎的な数字かと思いますが、予算委員会段階では財務省内閣府とで、それぞれ目的が違った試算だとはいえ、数字が異なっていたわけでございます。この点については、国民への説明責任という観点から、すぐに一本化できるか分からないけれども内部で議論というようなことを財務大臣がおっしゃってくださいましたし、竹中大臣の方も協力して議論を重ねていきたいという答弁をいただいていましたが、その第四弾の、今度の骨太方針の前に、この辺りの一本化の話はもう合意ができているのかどうか、これを両大臣から伺いたいのが一つと、もう一つは、債務残高の対GDP比を安定させること、これが重要なわけでございます。この点も併せて、二問続けて伺いたいと思います。  衆議院予算委員会段階、そして参議院予算委員会に参りましても、民主党としましては、金利名目成長率関係が、要するに、金利が上回ってしまえば過去の累積した借金への利払いが累増するんだからプライマリーバランスは改善しないのではないかという、こういう論戦をやっていたわけでございます。その論戦は別にいたしまして、私のような素人が分かりやすい言い方をしますと、要するに、債務残高の対GNP比というのは、借金がどこまでできるかと、こういう指標だと思います。  ということで、今後の見通しでこれはどこまで増えるのかといいますか、あるいはまた、どこまで増えていっても日本財政経済は耐えられるのだろうかと。今回、年金改正問題がありまして、先ほど負担の話も出てまいりましたけれども、今後の消費税問題というものも併せて考えなければいけないと思います。率直なところ、こうした対GNP比、どこまで上がっていって、どこまでなら耐えられるんだろうかというようなことを分かりやすく御説明いただきたいと思います。
  10. 竹中平蔵

    国務大臣竹中平蔵君) 川橋委員から二問の御質問でございますが、最初の、内閣府の試算財務省試算をどのようにしていくかということに関しましては、これはもうここでも御議論をいただきましたけれども、違う前提で使い分けていただきたいという思いがございます。しかし、同時に、なかなか混乱して難しいのではないかという御指摘もいただいております。それをどのように、一本化できるかどうかはともかくとして、分かりやすくお示しするかということにつきましては、継続的に財務省谷垣大臣とも御相談をしておりますが、これはちょっと骨太方針のマターではございませんで、実は一月に「改革と展望」を出しておりますけれども、そこでのお話になろうかと思っております。いましばらく時間がございますので、しっかりと御趣旨を踏まえて、我々としても議論をさせていただきたいと思います。  二問目の、要するに国の借金がどこまで行くのかと、それはGDP比でどこまで耐えられるのかという議論。これなかなか難しい議論でございますが、一点、この国会でも御議論いただいた中で、金利の支払が増えていくからプライマリーバランス回復が難しいのではないかという御指摘をいただいているんですが、これは実はちょっと定義上違いまして、金利を支払う前のものがプライマリーバランスでありますので、これはちょっと別問題である。  質問の御趣旨はどこまで上昇するんだろうかということでありますが、我々の基本的な考えは、プライマリーバランス回復させていけば、その限りにおいて借金GDP比は高くなっていくことはないと、どこかで頭を打つ。ただし、それには条件がありまして、名目金利よりも名目成長率が高い、そういう条件が同時にできなければいけない。したがって、名目金利名目成長率関係についても、今国会ではいろいろ御議論を賜りました。私は、そういう状況を作ることは可能だと思っておりますし、したがいまして、この借金GDP比は、プライマリーバランス回復と同時か、ないしはその少し前ぐらいに頭打ちをして、これ以上は高くならないという状況を作ることは可能であると思っております。  それが絶対値としてどのぐらいのレベルかというのは、これはなかなか難しい問題でございます。しかし、マーケットに対しては、重要な点は、やはりこれはどこまでも上昇していくものではないんだと、頭打ちになって下げていくことができるんだという状況プライマリーバランス回復を通して示していくということが何よりも重要な情報の発信になるというふうに思っているところでございます。
  11. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 竹中大臣におかれましては、どうぞ御退席いただいて結構でございます。
  12. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、竹中大臣が御答弁になりましたことと私、違うことをお答えする用意は全くございませんで、我々の方の試算というのは、いろいろ細かい前提がございまして、そういうのを省いて、ちょっとやや誤解も、誤解を招くかもしれませんが、あえて大胆に言えば、我々の方は今のままで推移するとこんなふうになってしまいますよと、しまいますよというと何かあらかじめ価値観が入っているんですが、このまま、今の前提をこのままでしていきますとこういう姿になりますというのをお示しするのが主たる目標で昔からやってまいりました。  それで、内閣府、竹中大臣のところでおやりになっていることは、骨太等で示されているいろいろな政策努力、これも、それで一義的に決まるわけではありません、いろんな前提を置いて試算をされるとこういうふうになりますと。だから、今後の政策努力を相当加味しておられるものでございますので、元々目的が違うことは事実でございますから、竹中大臣がおっしゃったように、両方それぞれの目的で使っていただければいいのかという気持ちがございますけれども。  ただ、この国会でも常にこの二つの考え方の違いはどうだというような御議論がございまして、目的の違いや何かをやはりまずよく我々も分かりやすく説明するというようなことも必要かと思いますが、どういうふうにしたらそういう多様な側面をうまくお示しできるかという辺りは、十分竹中大臣と御相談しながら、今後も問題点を整理していきたいというふうに思っているわけでございます。  それから、債務残高GDP比で占める割合、どこまで行けるんだというのは、私自身もどこまで行けるのかということについてお答えする能力は残念ながらございません。  ただ、プライマリーバランス回復すれば、そしてそのときの利子率経済成長率関係でございますが、利子率経済成長より高くなければGDP比に占める公債比率というものはもうそれ以上伸ばさないようにすることができるわけでございますから、そのプライマリーバランス回復するというのは、そういうことも目標にしているわけでございます。  それで、それを何とかやりたいと、こういうことでございますが、他方、なかなか利子率というものは我々の予測、いろんな要素で決まってまいりますから、必ずしも我々の予測どおりいくわけではないという不安感もあることは事実でございまして、そういうプライマリーバランス回復という長期的な問題だけではなく、私の方からいたしますと、利子率が上がってまいりますと国債費が増えてまいりますから、プライマリーバランス目標に目指した予算編成もなかなか手足が縛られて難しくなって困難になってくるという問題がプライマリーバランス回復するというよりも前に心配な点でございまして、その辺のことも十分慎重に見ながら先へ進まなきゃいけないと常に考えております。
  13. 川橋幸子

    川橋幸子君 これからの政策努力が大きいという、そういう財務省からのメッセージ、あるいは竹中大臣からもそのメッセージが、それぞれ経済対策ないしは社会保障の在り方を含めてあるんだろうと思いますけれども、どうもプライマリーバランスという、何か国民にとって分かりにくい数値の目標なんですよね。どちらかといいますと債務残高の方が分かりやすい、これは素人だから言うことかも分かりませんけれども。  いずれにしましても、両大臣とも大きな政策努力が必要なんだということをおっしゃっていただきまして、そういう点につきましては私は率直に国民への協力を求めるメッセージを発していかれることが必要ではないかと思いまして、その御努力をお願いしたいと存じます。  あと一つ、先日、総務大臣の方から、省庁別審査のときに、私は地方財政の問題、国と地方と併せてのプライマリーバランスの問題であって、地方財政状況を見ると、地方からの悲鳴が聞こえているような、そういう状態でございます。総務大臣も、ゆゆしき状態であると、地方財政もそういう状態であるということをおっしゃられた上で、まあ、プライマリーバランス等の大きなマクロの話は財務大臣なり竹中さんなりに聞いてくださいよというお話があったわけでございます。  重ねて、今の両大臣お話をお聞きになられて、地方財政、ともすれば地方財政に痛みが偏るのではないかという庶民感情があるわけでございますけれども、その辺りにつきまして、大臣の方は地方財政の再建の道筋についてどのようにお考えになられて、地方は耐えていけると見ておられるんだろうと思いますが、その御答弁をちょうだいしたいと思います。
  14. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 川橋先生もよく御存じのとおりなんですが、今、地方財政の借入金総額約二百三兆円といって、何となく、七百兆の話がよく出ますが、地方分につきましては約二百三兆円という、二百四兆円ぐらいになったと思いますが、二百四兆円といううちで、よく言われます交付税特別会計のいわゆる借入金残高だけでも既に五十兆を超えておりますという状況平成十六年度末に予想されているところというのは、これはもう非常事態と申し上げてよろしいかと思いますが、極めて大きな額になっております。  そういった意味で、結果として、平成八年から勘定いたしまして八年連続になろうかと思いますが、地方交付税は約一〇%、一割不足という状況が続いておりますので、大幅な財源不足が続いておるというのは、もう地方が悲鳴を上げる一番大きな理由になっておると思いますが。  やっぱりこの借入金残高から、借入金依存体質、借入金への依存体質から脱却するためには、これはいろんなことが考えられるんだと思いますけれども、地方だけ良くなりゃいいというものでもありませんし、地方も良くならぬと国も良くならぬという、両方を一緒に考えなきゃいかぬところで、ここは谷垣、麻生仲良く一緒に頑張らにゃいかぬということに、なかなかそういうことにならないんですけれども、仲良くやっていかなきゃいかぬということはもうはっきりしておりまして、片っ方だけ良くなるというわけにはいかないところだと思っております。  それで、今、名目成長の話やら名目金利の話が出ておりましたけれども、おかげさまで何となく実質成長の話よくされるのはここのところの風潮ですけれども、世間は名目で動いておりますので、名目成長率が、過日発表になりましたものでいきますと、昨年度は〇・七%のプラスということになりました。そういった意味では、間違いなく名目成長率が上回る、前年度比を上回るという状況は間違いなく一つのいい傾向でありまして、ただ、その内容をよく見ますと、これは物価が上がると、簡単に言えば、同じ物を売って、同じ一万個を売りましても、値段が上がれば売上高上がることになりますので、そういった意味では名目というところも注意して見なくちゃいかぬことはもう川橋先生よく御存じのとおりでありますので。  ただ、そういうもの上がってみますと、地方税も収入がプラスに、債務超過になっておりました分が、地方の企業も、上がりますと、利益が出ますとその分地方税の収入が増えてくるというのは、景気が変わりますと地方税収入も上がるというのは非常に私どもとしては、景気上昇と財政のバランスというのは非常に大きな意味もするところでもありますし、また私どもとしては地方の行革というか、いろいろなスリム化をやって、おかげさまで法律も変えさせていただいて、いろいろアウトソーシング始め、地方が何となく固定概念的に持っておりましたものを随分アウトソーシングさせていただいたり、また行政手続はオンラインで全部できるように昨年の二月、法律も通させていただいてきましたので、その分でも人を減らせるような体質が少しずつでき上がりつつあるところ等々いろいろあろうかとは思いますけれども、やっぱり今地方が持っております三割自治とかいろんな表現がありますように、地方税と国税との比率というのも大きな問題になろうかと思いますので。  いずれにいたしましても、非常に大問題でありますので、これさえ直せばどうなるというような簡単なものではない仕組みだと思っておりますので、地方財政基盤を抜本的に強くしていくためには、今申し上げた、幾つか申し上げましたけれども、そういったものがいずれも相まって効果を上げてくるんであって、これは地方の方も、いろいろ合併をお願いして財政基盤を強化してくださいとかいろんなことを申し上げておりますので、そういったものを含めて、これはもう一つ一つ挙げて幾らでも出てくるところぐらい一杯問題あろうと思いますが、きちんとしたやっぱり財政基盤の確立のために更に努力をしてまいりたいと存じます。
  15. 川橋幸子

    川橋幸子君 このところの景気指数がいい方向に向かっている、これはもう本当に気持ちを明るくすることだとは思いますけれども、まだデフレ克服の課題は終わっていないと思いますし、もしかしたら瞬間風速かもしれませんし、両大臣とも仲良くしていただいて結構でございますので、しっかりと国と地方と押し付け合いではない財政再建をお願いさせていただいて、次の質問に入らせていただきます。  さて、その次は、河村大臣もまた衆議院委員会の方がおありだと伺っておりますので、順番を変えまして質問させていただきます。  今のようなマクロの大きな話ではなくて、多少細かいと言われる話かも分かりませんけれども、私は決算委員会一つ役割というのは、忘れられている部分、見過ごされている部分について公平の観点からしっかりと手当てすると、こういう役割もあるかと思います。そういうことで質問させていただきたいと思います。  通告いたしましたときは、ODAとか条約批准等の問題と関連してということで伺わせていただきましたけれども、まずODAの関係からいいますと、ODA大綱の中に書いてあります開発教育といいますのが子供たちにグローバルな未来観を育てるというようなことで書かれておりまして、私がせんだって馳政務官がお見えのときにお願いいたしましたのは、むしろなぜ援助が必要なのかという開発教育そのものは、今の日本全体、むしろ大人たちが知らなければいけないことではないかというようなことを申し上げさせていただきました。  それで、確認の意味でございますけれども、そうした大人たちへの開発教育、日本が国際社会の中でどのように平和にプライドを持ちながら生きていくかという、そういう教育といいますのは、文部省の成人向けの生涯学習というのが大変ぴったりとするメニューでございますし、また今NPOと自治体とが協同しながらそういうことをやり始めていることを考えますと、そうした面について、もう現にやっているとおっしゃるのかもしれませんが、いま一度、今回、昨年のODA大綱に沿ってシニア層に対してもそういうメニューを推進していただきたいということに対するお答えちょうだいしたいと思います。
  16. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) さきに馳大臣政務官の方からも御答弁申し上げたとおりでございますが、開発教育、特にODA関係あるいはNGOとの連携等々もあるわけでございますが、昨今確かに日本財政厳しい、国際貢献をしなきゃいけない、しかし、ODAに使うお金があったらもっと国内にというような声もあって、本当に私それだけでいいのかなという懸念もあったわけでございます。そういう点をもっと大人の社会といいますか、そういう方々が理解を十分していただくということも本当に必要なことでございます。また、日本のそうした国際貢献を期待している国が大変たくさんあるということ、そのことを踏まえて開発教育、開発問題への関心を高めていこうということでございます。  これは国際協力につながっていくことでございますので、そういう点で政府開発援助大綱による閣議決定では「学校教育などの場を通じて」と、こうあるわけでございます。しかし、現実にシニア世代含む成人に対する開発教育についても各地域でやっておるわけでございます。特に、公民館もそうでございますし、また大学の公開講座等でも取り上げておりまして、そうしたところで国際交流あるいは国際理解に関する学習機会の提供が行われているわけでございます。特に生涯教育ということも一つの大きな課題でございますし、高齢化社会の中で高齢者の方々が積極的にそういうことに参加していただけるようにという機会をどんどん作っていきまして、今後とも、関係機関や団体、NPO等々との連携もいただきながら、生涯の各時期を通じた学習機会の、学習活動、開発教育、そういうものの振興を図られますように力を入れてまいりたいと、このように考えております。
  17. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございます。  それでは、もう一問河村大臣にございますけれども、これ他省とも関係ありますので少し私の方から説明をさしていただいた上で、河村大臣、坂口大臣、それと麻生大臣、もう一度御答弁ちょうだいいたしたいと思います。  これも小さな話と思われるかもしれませんけれども、社会の中に公平感を維持するという意味では大きな問題だと私が思っていることでございます。何かといいますと、地方公務員制度における非常勤職員の処遇問題でございます。  大学の方から申し上げますと、大学の独立行政法人化ですとか、あるいはロースクールを導入されるとか、それから根本には大学全体の経営難があるとかということで、大学は今大きな変革期かと思います。そういう中で大学側は、人件費を抑えて、他方で多様な講座を作って大学に魅力を持たせるというようなことをいたしますと、勢い非常勤講師の方が増えるわけでございます。何か延べ数ですと、省の方の推計値では六万を超えるのでしょうか、非常に大きな数になってきておりまして、講座の三、四割は非常勤講師の方々が担当している、これが日本の大学の現状になっているわけでございます。  このところ、一方では雇用問題といたしまして働き方の多様化という問題、これはもちろん推進していく話なんでございますけれども、その一方で、光と影の部分がある、その影の部分です。何回か坂口大臣にもしつこい質問をさしていただきましたが、細切れ掛け持ちパートという言葉、御記憶でいらっしゃいますでしょうか。フルタイムの仕事が本当に細切れになっていく、そういう状態がある。足し上げればフルタイムと同等の仕事をしているにもかかわらず、形態は非常に細切れになるわけですから、処遇なり社会保険の適用、年金の適用なりで不利な立場に置かれるという、こういう問題があるわけでございます。  このところ、国立大学が独立行政法人化されたことで非常に民間の働き方と公務の働き方、これ垣根低くしていこうという話がありますから当然なんでございますけれども、昨日まで国家公務員だった人が次からは民間労働者になるというふうなことがありまして、河村大臣にもお願いいたしまして、国立大学にあてて、法人化後は非常勤講師はパートタイム労働法の適用になるんだよということをしっかりと通知していただきましたことと、それから、これはほかからも要望があったんだと思いますが、私学助成の問題では非常勤講師の補助単価が五割引き上げられたと、きっと今の状態に的確に対応してくださったのだと思います。そういう意味では関係者の方々は大変文部省に感謝していることだけをお伝えさせていただきまして、私も御礼申し上げたいと思います。  しかし、この問題は大学非常勤講師問題にはとどまらないわけでございます。自治体財政が逼迫いたしますと、人件費の抑制あるいは多様な住民ニーズに対応するということから非常勤職員が増えております。これは、民間でも全体として今正社員が減って非正規社員が増えている、パート、派遣、フリーター等々増えている。千五百万ぐらいの就業者数があるとすると、その三、失礼しました、ちょっと数、ど忘れしました。とにかく三割ぐらいにまで非正規社員が増えてきていて、年金等の持続性にも関係してきていると、こういうわけですね。  今国会で任期付きの短時間職員、任期付きの短時間職員、この法律が申請されまして、言わば短時間正社員と民間で言っていたその制度がいち早く地方公務員の部分でできたわけです。そこで、何か今まではもやもやして分からなかったところに、非常勤職員の中でその法律の適用になる人たちとそうでない人たちの差、これは一体何だろうかという、そういう問題意識になってきております。特に、教員ですとか、それから坂口大臣のところでは看護師さんですとか保育士さんですとか、そういう国家資格があるところで、何か法律によって認知された人とそうじゃない人たちの間に、働き方の実態はそう変わらないのに、全部が全部同じとは言いませんけれども、変わらない部分があるはずでございます。  そういう問題について、均衡条件、バランスを取るという、そういう条項が民間のパートタイム労働法にはあるけれども、それから国家公務員については権衡、権力の権と書きます、ということでバランスを保つということが書いてあるけれども、地方公務員には欠けているんじゃないかと、こういう問題が非常に目に付くようになってきたのでございます。  そこで、済みません、河村大臣から先に伺いたいと思います。  先ほども申し上げましたように、全部が全部対象になるとは思いませんけれども、国家資格を持つような方々が、非常勤職員であってもそれほど仕事の中身は、身分はそうであっても仕事の中身は常勤職員と同じ可能性はかなりあるのではないかと思います。そうした面で、何らか処遇面についての法律的な担保というのは考える必要があるんじゃないかということ、担当されている所管の職種で結構でございますのでお答えいただきたいと思います。
  18. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 御指摘の点でございます。  確かに、パート労働法の適用を国立大学法人によりまして受けるようになりましたので、早速本年三月十五日付けで各国立大学に対しまして、この点にのっとって、常勤の職員の給与との権衡を考慮して予算の範囲内で給与を支給する法律、これまでの給与の取扱いを十分踏まえた適切な対応をするようにという通達を出したところでございます。  したがいまして、国立大学に対して運営交付金でこれは対応するようになっておりますが、これにつきましても、この点を配慮いたしまして、非常勤職員の手当も含めた人件費相当額、これを実質的に同額以上の予算額も確保いたしておるところでございます。  そういう点で、各国立大学におきましては、この点きちっと対応はされると、こう考えておるわけでございますが、そのほか、そうした資格を持ちながらということ、例えば公立学校の司書辺りは同じ資格を持っておりながら常勤と非常勤に分かれておりまして、こういう点で、学校の図書館の事務職員が常勤でいる部分とそうでない部分がございます。  小中高だけで、常勤でいる職員が四千五百六十三人、これ昨年の統計でございますが、これに匹敵するぐらいの非常勤職員がいるという状況が分かっておりまして、この点についてもこうした適用をきちっとしなきゃいかぬということで、私どもも実態調査、若干でございますが、いたしますと、例えば新潟市のケースですと、週三時間勤務で非常勤は十二万六千二百円プラス定額、それ勤務年数に応じて千三百円上積みということで、これで実際見ますと、高卒の常勤職員で三十歳相当、経験年数十二年辺りの単価にしておるということでございますので、ある程度の配慮はされておるんではないかと思います。  これは、一般の職員、常勤の職員とは、諸手当等々ございますから、本給等々で見ていくわけでございますので、その点の配慮はされておりますが、今後とも、同じ仕事をしていながら不公平ではないかという感じというのがあります。各市町村等々、公共団体におきましても、条例に基づいてきちっとこれは対応していると思いますが、十分そうした配慮をしながら、我々も更にほかの資格についても把握をしながら配慮してまいりたいと、このように思っています。
  19. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 河村大臣、御退席いただいて結構でございます。
  20. 川橋幸子

    川橋幸子君 それでは、続けまして、同じ趣旨質問でございますけれども、坂口大臣の方に、やはり文科省と同じように、厚生労働省の方も同じような資格職種をたくさん所管しておられるわけでございます。しかも、民間労働者を対象とするパート労働法の所管大臣でもいらっしゃるわけでございますけれども、こういう問題、どのように考えられますでしょうか。
  21. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) パート労働全体につきましては、指針を新しく改正いたしましたり様々なことをやっておるわけでございまして、もちろん法律の改正もございました。全体で、先ほども少し委員触れられましたけれども、全体のパートの中で四〇%ぐらいが、雇用の中で四〇%ぐらい、これは女性の皆さん方でございますし、女性とパートという問題、非常に重要になってまいりました。  このパートの皆さん方の均衡処遇ということが一番大事になっておりまして、この指針の改正も均衡処遇というところを一番中心にしているわけでございまして、均衡処遇の中で特に触れておりますのは、職務が通常の労働者と同じであって、人材活用の仕組みや運用も通常の労働者と実質的に異ならないパートタイム労働者、こういう労働者につきましては、同一の処遇決定方式等によって均衡の確保を図るように努めなければならないということを決めました。  また今度は、職務は通常の労働者と同じであるが、人材活用の仕組みですとか運用が通常の労働者と異なるパートタイム労働者につきましては、これは意欲、能力、経験、成果、こうしたものに応じた処遇に係る措置等を講じることによって均衡を図るようにしなければならない。少し立て分けてやっておりますが、そうしたことを念頭に置きながら、私たちのかかわります分野におきましてもこうしたことが徹底されるようにしていきたいというふうに思っております。
  22. 川橋幸子

    川橋幸子君 そこで、総務大臣質問したいのですが、前回、総務省審査のときにこんなに詳しくは触れませんでしたけれども、要望させていただきまして、大変明敏な大臣でいらっしゃるのでもうぴんと来ておられるのではないかと思います。  河村大臣の話では、もう運用面ではかなり配慮しているんだということでございますし、坂口大臣の方では、今、民間の話、同じような働き方をしている場合は同じ賃金決定でというこの原則の考え方が言われたわけでございます。やはり公務員というのは民間準拠であるとすれば、そういうパート労働法なりの考え方を逆に公務の方が率先して私は取り入れるべきじゃないかと思っているところでございます。  ということで、その均衡条項、その制度上のですよ、担保が地方公務員については欠けている、欠如していることについて何か御検討いただけないかということをお答えいただきたいと思います。
  23. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) お詳しいところなんで、よく御存じのとおりだと思いますが、いわゆる国家公務員の方でいきますと、常勤の職員の給与との均衡を考慮しということがこのいわゆる公務員法に書いてありますし、地方公務員法の第二十四条につきましても、いわゆる職員の給与につきましては国と同じようにやらにゃいかぬと、また、民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮しということ、この中にアルバイトもパートも含まれておるという具合に理解しておりますが、民間のパートにつきましては、今、雇用管理の改善という見地から、いわゆる短時間労働者の福祉を増進させることを目的としたいわゆるパート労働法ということになるんだと思いますが、されておりますし、国の非常勤職員の給与につきましても、今申し上げた法律で、一般職の給与法によって均衡を考慮するとされておるところであります。  地方公務員の給与につきましては、もう御存じのように、地方公務員法上、その職務と責任に応じまして、国や民間における給与等を考慮して決定されるということになっております。基本的にはなっておりますので、したがって、今、私どもにおきましては、この種の地方公務員の方の非常勤職員の報酬を考えるに当たっては、今申し上げた二つの法律に合わせてやることになっておりますので、改めて新たに一つ法律をそのために別に作る必要があるかと言われると、今、その種のことがどうしても必要な状況になっておるかなということに関しましては、ちょっとまだそこまで確信が持っているところではありませんし、また、その種の問題が他方、いろんなところでなされていないという事例が多く出てくればその段階でちょっと考えないかぬかもしれませんが、一応今のところ、民間のパートタイム法、パート法に合わせないかぬし、一般職の法律に合わせねばいかぬと規定がきちんとされておりますんで、そこのところに合わせてされておると理解をいたしておりますんで、今慌ててここの段階で特別にこれを配慮しようという段階に今現在あるかと言われれば、今の段階ではございません。
  24. 川橋幸子

    川橋幸子君 総務大臣、その御認識、ちょっと私違っていると思います。  先ほど改正されました任期付きの法律に伴いまして地方自治法も改正されたわけでございますけれども。つまり、任期付きの短時間勤務職員は給料及び旅費を支給しなければならないと書いてあるわけですね。それから、任期付きの短時間職員じゃない非常勤職員は報酬を支給しなければならない。ですから、妙なトラブルが起きています。非常勤職員に対して手当を払ったところは、これは法律違反ではないかという話があるんです。  詳しくはもう事務方からお聞きいただきたいと思いますが、これは明らかに差別、差別といいますか、法律上のミニマムの保障の規定は違っております。この決算委員会では資料も今度掲載していただけることになりましたので、三月三十一日の決算委員会の会議録六号でございますけれども、そこに掲載させていただきました。明らかに法律上の文言が違うということを、後でよく事務方からお聞きいただければ大臣もお分かりいただけるかと思いますので、今日は更にそれじゃ要望をさせていただくということでとどめますけれども、そういう問題、法律上の文言が明らかに違う問題については御検討いただきたいと思います。いかがでしょうか。
  25. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、任期付きの話が出ましたんで、旅費の話やら何やら地方公務員だとそうなるかなと思いますんで、よろしければ、公務員部長来ておりますので公務員部長の方から答弁させていただいてもよろしゅうございますし、具体的な例があれば、私ども、検討させていただきます。
  26. 川橋幸子

    川橋幸子君 具体的な例があればというその御答弁、大変に関係者喜ぶと思います。  急にということにはまいらないと思いますけれども、実態をごらんいただきまして、いわゆるパート問題のようなものは、民間じゃない、むしろ地方自治体の中に非常に大きく膨れ上がっている。数も非常に多うございます。御認識いただけると有り難いということで、今日はもう時間がございませんのでこれにとどめさせていただきますが、また引き続き同僚議員がこの問題は質問していくかと思います。よろしくお願いしたいと思います。  それでは、この非常勤職員の問題に入りましたことから、その関連の質問を先にさせていただきまして、後で決算委員会マターになっております警察の問題ですとか会計検査院の問題ですとか、通告いたしました順番とは別に後にさせていただきます。お許しいただきたいと思います。  さて、先日、外務省の省庁別審査のときに緒方貞子JICA理事長にもお出ましいただきまして、人間の安全保障ですとか貧困・飢餓撲滅のための国連のミレニアム開発目標などについて伺ったところでございます。  それで、私は最後に緒方理事長に、今ODA批判が非常に大きいけれども日本のODAというのは本当に無駄なものが多いんだろうかというふうに非常に素朴な質問をしましたところ、理事長から、日本のODAの大半が無駄であるとか不祥事があるということではありませんと、もっとODA全体を見ていただいて、日本がどれだけ大きな役割を果たし、途上国の人々からも感謝されている、こういう点に焦点を当てていただきたいと。悪いところは直していくから、どうぞ国会からもおっしゃっていただきたいけれども、問題は、透明性を確保して、なお国民参加のいいODAが増額していく、推進していくということが国際社会の中での日本の顔を見せるいい道になるという趣旨お話があったわけでございます。  その後、ODA五十周年を迎えまして、対外経済協力関係閣僚会議、これは官房長官が主宰なさるのでしょうか、そこの総理発言で、いかにODAが日本の評価を世界で高めているか、より多くの国民協力と理解を賜りたいというそういう御発言もありまして、政府の方の取組も、ODA批判にくじけると言うとちょっと言葉が悪いでしょうか、もっとこれは外交カードとして大きなものなんだ、これは参考人の意見聴取のときからも出た言葉でございますけれども、ODAを大事にしていくということが必要ではないかと思うわけでございます。  それで、外務副大臣お見えでいらっしゃいますでしょうか。この前の話の蒸し返しになるかも分かりませんけれども、御紹介を兼ねて御答弁というのはちょっと失礼かも分かりませんが、簡潔な御発言をちょうだいしたいと思います。  人間の安全保障とか国連ミレニアム開発目標と我が国ODAの大綱の関係、昨年夏、改定されましたけれども、どうもいまいちすとんと落ちない。国益重視、それから紛争継続中でのODAというところばかりがメディアでは大きく登場したわけでございます。そうではないと、ODAの方針についてのお話を御答弁いただきたいと思います。  それからもう一点、非常に具体的な話でございますけれども、ODAというのはNGOがなければ活用されない。ODAとNGOを足しますとオダンゴという言葉になるなんという話を冗談交じりに紹介させていただいて、非常に分かりやすい言葉で、業界用語では使われているわけでございますが、外務省からいただいた資料は、NGO支援状況、国際比較をしておりまして、日本の場合は対ODAの中のNGO支援費の割合がわずか〇・八%、諸外国の場合は、アメリカは断トツに多いわけですが三四%とか、オランダは四〇%とか、低いところでもイギリスの五%。いかにも、〇・八%というのは本当に人間の安全保障のためのODAを推進するためにこれでいいんだろうかということを疑わせる数字なわけでございます。  先日の質疑も踏まえまして、お答えちょうだいしたいと思います。
  27. 阿部正俊

    ○副大臣(阿部正俊君) 簡潔にお答え申し上げたいと思います。  先生の御指摘になりました人間の安全保障というふうな新しい視点といいましょうか、特に緒方貞子JICA理事長が強調しております考え方というのは非常に大事なことでありますし、それが一つ。それから、国連ミレニアム開発目標というのは、やっぱり口で言うのは易しいんですが、具体的な数値を見ますと極めて意欲的な数値でございます。  例えば、一ドル以下での生活する人の数を半減する、これは六億人が対象でございまして、それを一ドル以上に持っていくということで大変な壮大なことでございます。と同時に、例えば男女平等というふうな意味での初等教育の就学率というのを、これも今よりも、今八十数%でございますが、これを一〇〇%に持っていくのは容易なことじゃございません。というようなことで、非常に目標として、先生の言われたとおり非常に大事な視点でございますので、それらを実現するために努力していくということがODAの基本的な目標だと思っております。  その中で、ODAについて無駄であるとかいうこともありますが、私どもは決してそう思っていません。人間の安全保障ということを中心にしていくという考えでございますが、一面、私は、ちょっと国民の中にも誤解があるかもしれませんが、国益というふうなことは、私は国の益とそれから人間の安全保障、矛盾すると思っていません。むしろ、国の評価といいましょうか、ということでの国益というふうにお考えいただけたらなと思いますし、特に開発途上国、特にアフリカなんかについては、関係国から大変な評価を得ておりまして、先生のおっしゃるとおり、日本の外交の言わば、戦力での外交というのは日本はやりませんので、むしろそういう意味での日本の外交らしい外交としてODAと位置付けていくべきものであり、そういう役目を担っているものだ、こんなふうに思っています。  ただ、無駄を省くということについてはそのとおりでございまして、それは第三者評価とかいうことを大いに奨励しておりますけれども、同時にやはり緒方貞子理事長がおっしゃるとおり、人間の安全保障ということで、言わば現地主義化といいましょうか、と言っておりますけれども、そういうものが結果としてやはり無駄を省くということにつながっていくんではないかと、こんなふうに思っておりますので、そうしたふうな視点を持っていきたいと思っております。  あともう一つは、NGOの関連でございますが、それはもう正直言って御指摘のとおりでございます。大変、日本のODAはNGO関係が極めて少のうございます。NGOについては、減額の予算の中でNGO関係は若干増えておりますけれども、世界的な傾向からしますとまだまだでございます。  ただ、是非お考えいただきたいものは、NGOそのものの力といいましょうか、これは日本の場合は歴史も浅いし、特にアメリカとか欧米に比べますと、それ自体が大きな力を持って向こうはやっておりますで、そういうことからも来ているものであり、私どもとしては是非これから増額していきたいと、こんなふうに思っておりますので、御理解をちょうだいしたいと思っております。  ありがとうございました。
  28. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございました。  大変欲張ってたくさんの質問を準備して、済みません、割愛させていただくところが多いかと思います。おわびして、質問を続けさせていただきます。  さて、そのNGO、NPOという税制上の優遇措置を得る認定NPOというような、そういうNGOないしNPOという言い方がありますけれども、両者は中身は同じでございます。NPO税制の在り方につきまして、やはり財務大臣から一言お答えいただきたいと思います。  今、阿部副大臣がおっしゃったのは、日本はNGO支援をしようにもNGOが余りないじゃないか、足腰の強い、一緒にODANGOになって提携できるNGOは少ない、それも悩みなんだというお話、確かに私はそうだと思います。  そうした場合、私は助成というのは、もちろんサポートの方の助成ですね、ウイメンじゃなくてサポートする方の助成ですけれども、助成以前に足腰を強くするというのは、やっぱり寄附税制の問題であろうかと思います。さんざん政務官からも答弁、この決算委員会ではちょうだいしたのですけれども、私もしつこく申し上げておりました。  一万六千中の二十三法人しか認定されていない、いかにも貧弱ではないでしょうか。まだ始まったばかりで、これからの推移を見たいという御答弁もちょうだいしましたので、これからの推移を見て、もう一年たってそれがまだ、二十三が幾つに伸びるのか、非常に数が少ない場合は、やはり寄附税制を根本的に考え直す必要があると思います。  税収が減るというそういう不安もおありかも分かりませんけれども、むしろこれは日本を元気にするいい活性剤だと思っておりますけれども、その点、財務大臣の方から御答弁をちょうだいしたいと思います。
  29. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 委員先ほどから御議論のように、開発の現場で一生懸命やっておられるNPOの方々の生き生きした姿を拝見しますと、近代社会の初めに憲法の大きな項目の一つでございました結社の自由というのを今の時代に持ってくるとこういうことを言うのかなと私は思ったりしているわけでございます。  そこで、NPO税制ですけれども、私どもからいたしますと、この平成十五年度改正というのがやはり大きな意味があったと思っておりまして、これはまだ歴史も浅いし、それから財政基盤も脆弱だということを考えまして、いわゆるパブリックサポートテスト要件、収入にどれだけ寄附金の割合が占められるかというような要件を緩和して、かなり大幅に認定要件を緩やかにしたところでございますので、今はまだ二十四しか出ていないのは事実でございますけれども、申請件数も増加しておりますので、まずはこの制度の一層の活用といいますか、定着に努めて、我々もその実態をよく見ていきたいと思っておりますが、まずはこの十五年度改正を十分に活用していただくというところから始めたいと思っております。
  30. 川橋幸子

    川橋幸子君 官房長官にも様々質問を用意いたしましたけれども、もう時間も少なくなってまいりましたので、一問だけ伺わせていただきます。  私は、官邸外交とか外務省外交とか、外交が二元化しているというような言い方にはくみしない人間です。今回の中央省庁再編に伴いまして官邸機能が強化された場合には、やはりそうした元締の外交に対する基本姿勢、総理一人の総理外交だけではないものが必要かと思っております。  そこで、例えば人間の安全保障といいましても、国連ミレニアム開発目標といたしましても、そこにはジェンダーの視点、男女共同参画の視点が非常に大切だと言われているところでございます。特に、国連の目標を見ますと分かりますように、一日一ドル以下の絶対貧困の六億という数がございますけれども、それのかなりの部分は女性になるわけですね。それから、そういう貧困から、教育が受けられなくて自分をディベロップする機会が閉ざされてしまうとか、あるいは妊娠、出産等で死亡するとか、そういう命の安全保障というのは非常に女性の場合は問題になってくるわけでございます。  そこで、男女共同参画大臣の視点から、こうしたODAにつきましてもしっかりと見極めていただいて積極的に推進するようにしていただきたいというのが私の要望でございますけれども、そうしたODAの在り方についての官房長官のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  31. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 男女共同参画社会基本法において、基本理念等の一つといたしまして国際的協調を規定しておりまして、また男女共同参画の視点に立った政府開発援助を行うことが重要であるとの観点から、昨年八月の政府開発援助大綱改定の際には、その基本方針の中に男女共同参画の視点の重要性を新たに盛り込んだわけでございます。  また、四月二十三日に開催されました第十四回男女共同参画会議においては、公平性、有効性及び効率性の確保という観点から、ODAにおける男女共同参画の視点の重要性を整理して今後取るべき対応策等をまとめた、男女共同参画の視点に立ったODAの推進についてという意見を決定したところでございます。  具体的に、これまでの最近のODAを見ましても、インドにおいて植林開発、植林における女性の重労働を軽減するための有償資金協力が出ておりますし、理数科教育においても、女性のハンディキャップを補いながら女子の理数科教師の増加、女子に対する理数科教育の更なる強化ということで、ケニアに対して教育強化計画がプロジェクト方式の技術協力でも含まれておりますし、そのほか、お時間の関係がありますから細かく申しませんが、ネパールに対して、あるいはジョルダンに対して、男女の共同参画を念頭に置いた施策を講じておりますので、徐々にそちらの方向に向かって増えておりますので、今後ともそのような方向で充実させていきたいと思っております。
  32. 川橋幸子

    川橋幸子君 やはり内閣府、そして外務省、そしてJICAといった実施機関、本当に私は、人間の安全保障というのは日本の外交として看板だと思っているところでございますので、今後ともの積極的な取組をお願い申し上げて、初質問をさせていただきましたけれども、よろしくお願いいたします。  さて、本当に空振りの質問が多くておわびしなければいけませんが、最後のところはやはり、今年の決算委員会で非常に大きな問題になりましたのは警察の問題でございました。捜査費などの不正支出の問題が多かったわけでございます。  そこで、小野国家公安委員長にお伺いしたいと思います。  最近、いろいろなことが同僚議員からも質問されておりますので、ここではもう繰り返しません。最近、新しいことといたしまして、北海道の警察が、道警が裏金作りが慣行的、組織的に行われていたと結論付けるそういう調査結果を道議会の総務委員会に報告したと、このように報じられております。  この報告の中で、ちょこっと引用させていただきますと、例えば捜査費等の監査の目を逃れるために架空のスナックを記載した観光マップ、店の求人広告、従業員の名前を偽造したなど大変手の込んだ工作をしていたと、こういうことが報じられております。これが事実ならば、本当にひどい、余りにもひどい組織ぐるみの犯罪ではないかと思います。  改めて、今回一連の、北海道だけではございません、一連のこうした捜査費の不正使用についての公安委員長の御見解を伺いたいと思います。
  33. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) お尋ねの件につきましては、北海道警察が五月十一日の道議会総務委員会におきまして、旭川中央警察署及び弟子屈警察署の二事案につきまして調査結果を報告をしたと承知をいたしております。  平成五年の五月及び平成九年九月におけます旭川中央警察署の捜査用報償費、また平成十年度から十二年度における弟子屈警察署の捜査用報償費及び捜査費につきまして不適正な予算執行が見られましたことは誠に遺憾でございます。  国家公安委員会といたしましては、旭川中央警察署に──失礼いたしました。平成七年五月及び平成九年九月における旭川中央警察署の捜査用報償費並びに平成十年度から十二年度における弟子屈警察署の捜査用報償費及び捜査費について不適正な予算執行が見られましたことは誠に遺憾でございます。  国家公安委員会といたしましては、旭川中央警察署及び弟子屈警察署の二事案につきましては、警察庁に対しましては、北海道警察と連携をいたしまして、調査結果に基づき返還すべき額を早期に確定をいたしまして返還するなど、責任の所在を明確にするように指示をいたしております。  さらに、北海道警察は、同日の道議会の総務委員会におきまして、北見方面本部警備課におきまして領収書の、先生先ほどおっしゃいました差し替え等の事実があった件についても報告をいたしておりまして、本件については早期の全容解明のために更に調査を進めるように督励しているところでございます。  なお、北海道警察におきましては、全所属の過去六か年度の予算執行につきましても、北海道公安委員会の監察の指示に基づきまして、先月から既に逐次計画的に特別調査を実施しているものと承知をいたしておりますし、また警察庁におきましては、今月末からすべての都道府県警察を対象にいたしまして計画的に会計監査を実施するものと承知をいたしておりまして、国民の信頼回復のために国家公安委員会といたしましても一層警察を指導、督励してまいりたいと、そのように思っております。
  34. 川橋幸子

    川橋幸子君 こうした警察不祥事がなぜ繰り返されるのかというのが、やっぱり国会議員といいますか私どもも含めての政治の責任ではないかと思います。  かつて神奈川県警等の不祥事が発覚いたしましたときに、警察刷新会議が開かれて警察改革というものが打ち出されたわけでございます。その中でも、自浄能力を高めるとか、国家公安委員会の監査能力を高めるとか、非常に強い指摘がなされたにもかかわらず、なぜまたぶり返すのかというのが私の疑問でございます。やはり、もう一度刷新会議を開くぐらいの今回は不祥事だったのではないでしょうか。  前回の警察刷新会議の報告に基づく警察改革に対する今の大臣の目でごらんになった事後評価ですか、踏まえて、もう一回刷新する大きな決意をお持ちいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  35. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 平成十一年から平成十二年にかけての神奈川県警察やあるいは新潟県の警察における一連の不祥事の発生を受けまして、平成十二年、先生今おっしゃってくださいましたように、三月に警察刷新会議というものが発足をいたしまして、同年七月に警察刷新に関する緊急提言というものを取りまとめていただいたところでございますが、これを受けまして、国家公安委員会及び警察庁は、警察改革要綱を定めまして、警察行政の透明性の確保とそれから自浄機能の強化、さらには国民のための警察の確立等のために警察革新、改革の取組を進めているところでございます。  しかし、このような中で、最近におきましてもなお不祥事が絶えないということは極めて遺憾でございまして、警察におきましては、業務監察を強化をすることとともに、不祥事が発生した場合には事案の早期かつ徹底的な解明を行いまして、緊急提言で指摘されております趣旨に従いまして適切に処置をしているものと承知をいたしております。  しかし、このたび、北海道警察におきまして不適正な予算執行が判明したところでありますけれども、警察庁におきましては、予算執行検討委員会を設置をいたしまして、いわゆる関係道県警察と連携をいたしまして、事案の早期解明に、予算執行の一層の適正化を推進しているところでございます。  国家公安委員会といたしましては、引き続きまして警察庁を指導、督励をいたしまして、国民の信頼を回復するために、警察改革要綱に盛り込まれました施策に今後とも積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  36. 川橋幸子

    川橋幸子君 適切に対処をしてくださるということは、それはもちろんそのようにお願いしたいと思いますが、もう内部の対処だけではなくて、もう一回外部の目を入れてしっかりと警察の体質改善を図る必要があるのではないかと、これぐらい大きな問題ではないかということを私は大臣にお願いしたかったのでございます。  もう残すところ少のうございますので、それは要望させていただきまして、最後は、会計検査院の方にお伺いしたいと思います。  決算委員会は、絶えず絶えず会計検査院の機能強化を提言し、会計検査院の応援団のつもりでございました。もちろん人員も増えたと思いますし、それから、今回、会計検査院が指摘されました四百億という金額、無駄な税金の使い方、意欲を持って取り組まれた結果だとそれは評価するのでございますけれども、やっぱり北海道警察の不正経理などの問題がなぜ見抜けなかったんだろうかということが一つ。それとちょっと関連、関連していないかもしれませんけれども、今、国民年金の未納問題というものが大きくなっておりますが、厚生年金等々に対する検査院の検査は行っていたとは思いますけれども、国民年金については、これは本当にちょっとブラックボックスだったのではないかと思うのでございます。  これは国会議員自身が反省しなければならないことでございますけれども、今後の検査院のお取組の決意も含めまして、こうした問題についてやっぱり会計検査院としても責任がおありなのではないかと思いますので、院長の見解を伺いたいと思います。
  37. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) ただいま、参議院決算委員会を始め、会計検査に対する強い御期待をいただきました。我々は、従来から、そのような国会からのいろんな御議論、それらを踏まえて検査に取り組んできたところでございます。  まず、警察の捜査費の検査につきましては、これも、従来から、警察の捜査費というのは、一般の経費と違いましてなかなか検査の進め方が困難な面がございます。それにかかわりませず、いろんな検査方法、検査のやり方を工夫を重ねてまいりまして、鋭意検査に取り組んできて、確かに検査報告に掲記したという事態はなかったわけでございますけれども、限られた人員の中で精一杯の努力をした検査をしてきたものというふうに思っております。  特に、また最近、いろんな、北海道警察を始めといたしまして、捜査費に関して様々な報道等がなされております。これらに対して、会計検査院としてはやはり十分重大な関心を持って現在臨んでいるところでございます。その一部、一部警察においても中間報告がなされたということでございます。そういった情報の内容を十分検討した上で、必要があれば今後更に実地に検査をするということも視野に入れまして検査に臨んでいきたいというふうに考えております。  それからもう一つの、国民年金の保険料の問題でございますけれども、会計検査院といたしましても、従来から、国民年金の保険料の収納率、検認率が余り高くないということは強い関心を持っておりまして、国民年金の保険料についての検査結果を申し上げますと、国民年金の未納保険料の収納の促進について処置を要求したというのが平成四年にございます。それから、平成十二年には、国民年金の第三号被保険者に係る種別の変更の届けについて、これは改善をしてもらわないといけないという意見を表示したりしておりまして、国民年金についても従来から関心を持っているところでございますけれども、今般のいろんな課題国民年金制度にはあるということから、更に鋭い問題意識を持って検査に取り組んでいきたいというふうに考えておりますので、どうかよろしくまた御指導をいただければと思います。
  38. 川橋幸子

    川橋幸子君 ありがとうございました。  ほかにも用意した質問、本当におわびしながら、また今後の御努力、検査院の御努力も含めましてお願い申し上げまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  39. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 私は、昨年十一月に当院の財政金融委員長になりまして、もう七月で国会議員辞めますので、もう質問する機会はないと思っていましたら、年金の未加入、三年七か月という自分が予想にしない問題が発生しまして、先般、辞表を出して辞めました。財政金融委員会という参議院での財政健全化に尽力しなきゃいかぬ立場として、当然の責任だと思って辞めました。  本来ならこの問題を財務大臣にびっちりとやりたいところなんですが、いずれ財政金融委員会でやるということを申し上げて、本日は谷垣大臣の責任追及はここではやりません。また改めてさせていただきます。  さて、私は、この年金の問題は今やもう年金疑惑という問題に変わったと思っております。確かに、未加入、未払という問題だけを取り出してやることは、これはやっぱり年金制度の根本をやっぱり議論できないという問題はありますが、例えば年金制度の濫用、悪用、こういったことに対する責任追及というのは、これはきちっとやらなきゃ適切な制度ができないわけなんですよ。そういう意味では、やはり未加入、未払の問題も、世論的にもうそんなのはどうでもいいというように無視できるものじゃないと、こういう意見を持っております。  そこで、小泉首相は、昨日、厚生労働委員会で、私は開き直りの発言と見ていますし、それから飯島秘書官の説明との食い違いなど、ますます私は疑惑は深まったと思っております。  これは後ほどまた、本人に言うべきですけれども、番頭さんである官房長官通じて本人に伝えてもらいたいということで後ほど触れますが、まずは、細田官房長官自身の秘書といいますか事務所の方といいますか、の給与肩代わりの問題、これが今朝から報道されておりますが、選挙と政治資金法制では国会議員でナンバーワンの方ですよ、細田先生は。その方がこういう問題を起こされるというのは全く心外なんですが、まず事実関係について説明していただきたいと思います。
  40. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 今朝ほど来報道されておりますことを若干詳しく申し上げたいと思います。  私は、議員に当選して以来は、私の運転手ですね、運転手さんは、私の父が国会議員でずっと勤務しておったころ以来の運転手さんでございましたが、突然のことでございますが、運転手控室で心筋梗塞のために約八年前に急死されるわけでございます。その日のうちに亡くなりました。  そこで、私も非常に困りまして、秘書に依頼をして、八方手を尽くしてその運転手さんの後任を探してくれという話をしまして、いろいろ当たってみたところ、適当な方がおられる、本人さんも希望しておられるということで、いい人が見付かったと、そういうことでございましたので、月給としては、我が事務所では三十万円強、失礼、二十万円強でございます、二十万円強、ボーナスにおいては国家公務員並みの月数で、これでどうかということで、それ以来ずっと昨年まで運転手さんとして働いていただいておったわけでございます。  ところが、最近になりまして、その方が、元々あった、そこの会社の運転手さんとして勤務しておられた方でございますが、その勤務も、いろんな社会保険その他の観点から継続して勤務していたということが分かりまして、その給料がやはり年間で三百万強あったようでございます。  したがって、我が方でも払っており向こうでも払っていたと。これはどうしたことかということで、この春以来、私も秘書に問いただしながら調査いたしましたところ、どうもそれは事実であったということで、厳密に政治資金規正法の解釈でいうとどうかというと、これはやはり政治資金として届けなければならない。総務省とも相談をいたしまして、至急にそれを届け出たということが事実でございます。
  41. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 そうしますと、最初は知らなかったと、それで、最近その企業から給与が出ていたということを知ったと、こういう話なんですが、これはほかの人に通用しても私には通用しませんよ。  私は、衆議院事務局時代、正副議長の秘書を六年やっています。だれを運転手さんに、運転手さんというのはやっぱり議員の生命を預かるポイントですから、どういう待遇をしてどういう扱いをするということからいえば、もう最初から知らなきゃこういう仕組みはできないんですよ。  ところで、官房長官、あなたはこのことでどう責任を感じられていますか。
  42. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 私自身もこのことで反省をしております。今日の記者会見でもそういうことを申しておりますが、政治資金の報告書を修正するとともに、今後このようなことは決して起こさないつもりでございます。
  43. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 責任というのはそれだけではないんですよ。私も官房長官のお父さん、お母さんよく知っていまして、余り追及することは本当に困るんですけれどもね。  率直に言いまして、この問題は給与肩代わりということなんですが、その背景には、こんなことはもう十年前にやめようといって与野党いろんな申合せをして、また法律もそういう趣旨の精神を組み込んで作ったものでしょう。しかも、この給与肩代わりの問題というのは年金の肩代わりなんですよ。  ちょっと聞きますが、この方は、厚生年金、恐らく企業で払っていたと思いますが、その辺はどうなんですか。
  44. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 今このようなことが分かって思いますのは、恐らくそういったこともあって、もっとずっと前から雇用しているようでございますが、継続したんじゃないかと思っております。
  45. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 これ、二十年前の話じゃないのよ。それが大事なんですよ。厚生年金というのは、その人が支給されるときに、厚生年金の履歴ですね、これによっちゃもらわれなくなるんですよ。それから、おかしくなった、悪いことをしていたその履歴が判明すれば、これ大変な罪になるんですよ、事業者なんかが。これは決して時効とかなんとかというような問題じゃないんです。  そこで、私は、これは福田官房長官の決断というのは立派だったんですが、すぱっと、あなたはこの際、政治責任を取って官房長官の職を辞すべきじゃないかという意見なんですが、いかがでございますか。
  46. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 大変なおしかりをいただいて本当に恐縮でございますが、総理にも私、御相談をしてもおりまして、とにかく修正をして、ちゃんと今後しっかり仕事をするようにということを言われております。
  47. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 まあ、ちょっと話題変えますけれども、実は小泉総理自身にもこれに似たことあるんですよ。昨日判明しておりますが、小泉総理自身が、福田元首相の秘書になったころ、横浜の三福不動産から給与肩代わりという形で社員になっておるんですよね。これは小泉さん側も多少説明しておるんですが、まさしく給与肩代わり、同じケースなんですよ。小泉首相の場合の問題点は、ほとんど、私のスタッフが調べたところ、先代のこの三福不動産の社長さんと連絡役に時々出入りしていたと。で、給与はもらっていたと、厚生年金も入っていたと。その間に大体四年七、八か月厚生年金に入っているわけですが、その間に、後半二年ぐらい衆議院議員に当選しているわけです。ですから、衆議院議員としての厚生年金をもらっておると。こういうことがあるわけなんですが、まさしくこうなりますと、官邸の小泉総理と細田官房長官というのは、いわゆる政治、政権、腐敗まみれではないかと、こういうことが言えると思う。こういうことが次々と分かってきたわけなんですが。  そこで、ちょっと事務当局にお伺いしますが、まず社会保険庁、官房長官も説明されたとおり、給与の肩代わり、そして年金、厚生年金はどうも企業の方で払っていた、そういう関係があったということなんですが、この問題というのは、厚生年金法上、勤務実態の問題とかいろいろ、将来の支給にかかわることで、どういう法的な整理というか、問題があるか、ちょっと社会保険庁の見解、聞かせてくれませんか。
  48. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 個々のケースについては、これは個々の状況、プライバシーということがございますので、一般論として申し上げさせていただきたいと思います。  雇用者として厚生年金の被保険者となるか否かにつきましては、これは適用事業所と常用的な使用関係にある就労者かどうかということをこれは基準として判断されるわけでございます。常用的使用関係につきましては、就労者の労働日数、労働時間、就業形態、勤務内容等を総合的に勘案して、個別具体的事例に即して認定をするというのが基本的な考え方でございます。  労働日数なり労働時間が少ない場合でも、この方が正社員という位置付けになっておりまして実質的に労務が提供されておられれば、これは厚生年金の被保険者となる可能性があるわけでございまして、いずれにしても個別の事例を離れまして結論だけをお答えすることはなかなか難しいわけでございます。
  49. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 そうしますと、その企業に勤務実績がない期間のことについては、これは法的問題が発生すると、こういうふうに理解します。  それから、総務省にお聞きしますが、これは一般論でいいですよ、別に、個別に考えられるとおかしくなりますから。国会議員が給与肩代わりで企業に雇用されたと称して厚生年金なんかも加入していたと、こういった場合、政治資金規正法上どうなりますか。  それから、国会議員でなくて、国会議員の事務所の方が同様な場合、どのような政治資金規正法上問題が発生するかということを説明してください。
  50. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) お答えを申し上げます。  政治資金規正法第二十一条の一項におきまして、委員御案内かと思いますが、会社、労働組合、その他の団体は政党及び政治資金団体以外の者に対しては政治活動に関する寄附をしてはならないという規定がされているところでございます。この規定の解釈に当たりましては、政治活動に関するものであるかどうか、これは当事者の意思でありますとか使途とかいろんなものを総合的に判断して評価されるということになろうかと思います。  それから、寄附ということになっておりますので、寄附については政治資金規正法に定義がございまして、金銭、物品その他財産上の利益の供与又は交付で、債務の履行としてなされるもの以外のものをいうと、こういう形になっておりますので、それぞれ個別の事案につきまして今のような観点から検討といいますか判断が必要になってくる問題だろうというふうに思っているところでございます。
  51. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 そうしますと、官房長官お答えになった、届出の訂正をすれば問題は済むということになりますか。要するに、その部分は寄附をもらったんだというふうに。しかも、これ結構、あれ平成八年からと言われていますね。長い期間ですよね、十年近い期間ですね。そんな一片の届出、訂正でこの問題は処理できる問題ですか。
  52. 高部正男

    政府参考人(高部正男君) これはまた一般論でお答えさせていただきますが、政治資金規正法に罰則の規定がございますが、今お挙げになりました収支報告の記載義務違反でありますとか、あるいは寄附の私的制限等々の規定があった場合に、それは行為時の行為がどう法的に評価されるかということで一般的には考えられると思いますので、その後収支報告を訂正するとかといったことで過去にあった事態そのものが変わるわけではないものというふうに考えているところでございます。
  53. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 分かりました。  国税庁の方にお願いしますが、同様な状況の中で、一般論として税法上どのような問題が起こるか。
  54. 村上喜堂

    政府参考人(村上喜堂君) お答えいたします。  個人が法人から雇用契約に基づいて受け取る金品につきましては、原則として給与所得に該当するかと思います。  今、社会保険庁から御答弁がありましたけれども、税法の場合は勤務の形態は必ずしもその縛りはございません。出勤日数が何日だとか、もちろん非常勤職員でも何ら構わないわけであります。在宅勤務でも全然構いませんで、あくまで役務提供の対価が雇用契約に基づく役務提供の対価であれば給与所得に該当するのだと思います。
  55. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 時間の関係で詳細な議論は控えますが、いずれにせよ、様々な法律に抵触し、また法律上の責任が問われる。しかも、当事者の事務員、運転手さんである方が一番ある意味では被害を受けるわけですね。その方の人権の問題にもかかわると思います。私は非常にこれは厳しい反省、私はやっぱり職を辞すべきではないかという意見をここで申し上げておきます。  そこで、小泉首相の年金問題なんですが、もう一回繰り返しになりますが、昨日までの情報を整理しますと、小泉首相が一九七〇年四月から一九七四年の十一月まで横浜の三福不動産に給与肩代わりをしてもらっていたことが判明しております。これは福田元首相の秘書、そしてその後は衆議院議員と。当然これは厚生年金に入っておるといいますから、厚生年金の肩代わりもしてもらっていると。勤務実態はない、ほとんどないわけですが。  社会保険庁にお尋ねしますが、その一九七〇年代の厚生年金の基準といいますか条件は現在と違っているのか、あるいは同じか、それを伺いたいんですが。
  56. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) お答えを申し上げます。  先ほど申し上げましたように、常用的な関係があるかどうかということにつきましての基準というのは極めて定性的な表現になっているところでございますが、パート労働者を主としてお示しをしたものでございますが、それまでは各地方である程度取扱いがまちまちであったものを、昭和五十五年には、こういうふうな方はパート労働者として適用するというふうな基準を示しているというのが昭和五十五年にはございます。それまでは必ずしもそういったものがパート労働者についてもございませんでした。
  57. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 そうすると、一九七〇年代、小泉さんが厚生年金に加入していたころの問題は、法的に云々ということはちょっと難しいといいますか、まあ問題があるということでしょうが、しかし二年間国会議員をやっていたということは、これはもう逃げれない問題だと思うんですが。  実は、未加入の問題もこれ非常に大きいんですけれども、私は小泉首相の場合、厚生年金のこの四年七、八か月の問題、特に二年間の国会議員で厚生年金に加入していたという問題が本当は一番大きい問題だと思います。私は決して法律の専門家じゃございませんが、十年間法務委員会に所属しておりまして、このことをいろいろ考えて、仮に小泉さん、六十五になって年金もらえるかどうか分かりませんが、非常に微妙な問題があると思いますが、公的年金をもらえるかどうか分かりませんが、仮にもらうとなった場合、この場合の違法な厚生年金加入の問題が仮に、これ問題に当然なると思います。  私の推測では、ひょっとしたらこういういわゆる虚偽の申請に基づく厚生年金の手続、そういったものをそのままにしておいて、小泉首相、当時は六十五で首相かどうか分かりませんが、厚生年金もらったら、私は、小泉さんそれ自身じゃないんですが、そういう申請した事業主というのは刑法の詐欺罪に当たるんじゃないかという気がするんですよ。  そこで、今朝、法務省に、刑事局に問い合わせしましたところ、法務省は何と言ったかといいますと、刑法の詐欺罪の「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」、これは二百四十六条第一項ですが、これの解説としてこういうことを確認したんですが、「詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させる。すなわち、その犯意で、欺罔行為(人を錯誤に陥れるような行為、人をだまして真実と合致しない観念を生ぜしめる行為であって、その行為は黙示、不作為でもよい。)を行ない、これにより相手方を錯誤に陥らせ、その錯誤に基づいて財産上の処分行為を行なわせ、これを取得することにより成立する。」ということで、理論的にいえば、この場合、厚生年金の給付をされたら、その申請をした事業主は詐欺罪に理論的にはなる可能性があると。そうすると、小泉さんはその詐欺罪を発生せしめた原因を作った人になるわけですね。  ですから、年金制度のやっぱり悪用、濫用、これを現在の国会議員が、あるいは国会関係者が絶対やってはならぬという覚悟というか反省、それが私は年金改革一つの大きなポイントじゃないかと思うんです。  これは、細田官房長官は小泉総理じゃないですから、あなたの見解を聞いてもこれはせんがありませんから、決算委員会で、総理に、詐欺罪を構成させる原因を作るような行為だよと、あの厚生年金の四年七、八か月の受取は、それはよく伝えてくださいよ、官房長官。特に答弁は求めませんが。それが第一点。  それから、はっと気が付いたのは、やっぱり細田官房長官の事務所の方の給与肩代わり問題が私は即年金問題だということ、この部分の追及が今までの国会審議で少なかったという反省をしておるんですが、ほかの党は大体未加入、未払を公開しました。一定の基準はありますが公開しましたが、なぜ自由民主党は、自由と民主だから個々人に任せるということで、党としての公的責任を取らないかという、これを考えた場合、かなり本人も含めて、そしてその政治家の事務所にこの問題がたくさん山積しているから、それが原因じゃないかと私は思うんですよ。  そこら辺について、まずは閣僚の、まさか閣僚の中に厚生年金払っている人がおるとは思いませんよ、思いませんが、閣僚及び閣僚の事務所にそういう実態があるかないかということを私は国民の前に公表すべきじゃないかという意見を持っていますが、内閣としてそれをやるべきじゃないかという意見を持っていますが、官房長官の御意見をお伺いしたい。
  58. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 閣僚その他公職を得た場合は、そこの時点で、言わば私企業とか団体とか、そういうところの役職、あるいは給与を支払われるというような地位、これは離れるようにという基準がございますね。これは与党であれ、野党といいますか、歴史的にすべての人に適用されていると思いますので、その点は御心配ないと思いますけれども。  それで、もう一つ、さっきの点を申しますと、よく小泉総理には伝えますけれども、これは厚生年金に現に一時期、国会議員に当選したけれども、例えば同族会社の顧問として引き続きそういったことをやっておったとか、そういう人たちは決して少なくないような気もいたしますので、そういったことのバランスも必要かなと思いますので、その点も併せて申し上げたいと思います。
  59. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 これ、是非やっぱり与野党という党派を超えて、政治家の基本姿勢として、国民の前に、年金制度の悪用、濫用というのはやってたらやってたと、だからそれは反省して、今後やらないということも含めて、それを明確にしてからのやっぱり国会審議じゃないかと思いますし、もっともあの年金法では私は不服でございますが、そういうことが明確になるまで私はやっぱり成立させるべきじゃないという意見を持っています。  そこで、実は連休前後から、この情報、年金問題の情報開示について様々な問題が出されております。総理もすぱっと自分のことを言えばいいのに言わない。言えば言うほど僕らは疑念を持っておるんですが、例えば、昨日、飯島秘書官が内閣記者会所属の報道各社に限定して閲覧させたという社会保険業務センター発行の被保険者記録照会回答票なるものも、これ信憑性はまた疑わしいという声があります。私もそんな感じしています。しかも、情報として、どうも小泉さんの年金加入状況についてコンピューターの改ざんが行われたとか、あるいはデータに手を加えられたという話がマスコミの人たちの中で流され、我々のところにもそういう話、情報が一杯来るわけなんです。しかし、そんなことは私はないと思いますが、それは社会保険庁を信用していますが、しかしそのぐらい不信感があるわけなんです。  したがって、私は、少なくとも小泉総理の分については、真実のデータ、社会保険庁の生のデータを特定の新聞社に限って見せるんじゃなくて、マスコミに限って見せるんじゃなくて、国会そのものに提出すべきだ、そして政治と行政の権威を保つべきだという意見でございますが、これは、官房長官、答えられませんわね。これもひとつ総理に伝えておいてくれませんか。  自分ばかり演説して申し訳ありませんが、なぜ私がこういうことをしつこく言うかといいますと、実は変なうわさもあるんですよ。それは、ひょっとしたら小泉さんが、おととし事件になった業際都市研究所の問題ですね、あそこにかかわっていたんじゃ、あそこの年金の何かの関係があったんじゃないかといううわさが流れているんです。そんなことはないと思いますが、しかし、あそこは、はっきり言いまして尾崎という逮捕された人物は元鹿野さんの秘書で、いわゆる清和会系の人脈の方で、いろいろやり手なんですよ。  実は私、十年ぐらい前から赤坂にある山王指圧センターという指圧をやるところのサウナに一月二、三回、彼らと会ったんですよ。私は手ぬぐいでほおかむりしていますから顔は分かりませんから、三、四人が談合をやったり、だれの面倒を見ている、だれの秘書が、大物秘書がどうのこうの、結構、与野党の政治家の名前を入れてやって、こんな連中が秘書を辞めてこういう会社作って、どういうことになると思ったらああいう事件になったんですが、何とか、そういう話はない、こういう説明をびしっとやるべきじゃないかと思います。人によったら、ひょっとしたら九〇年代に小泉さんは厚生年金に、企業年金に入っていたじゃないかということ、そういうことを調べている大新聞の社会部もおるわけなんですよ。  是非、そういうものに対して明確に、政治の権威を保つために、官邸としてはそういうことをやっていない、総理としてはやっていない、総理周辺はやっていないということを証明する形で、私は、今後、国会の方に答弁なりあるいは資料をもって示していただきたいと、こういう意見でございます。  やるとかやれぬということは官房長官言えぬと思いますが、私のこの思い、気持ちに対して総理に伝えていただくと同時に、官房長官としてどのような御所見を持っているか。
  60. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 今日はその御質問があるということで、記者団にもちょっと見ていただいたこの資料を持ってきております。基礎年金番号もきちっと打ってあって、社会保険業務センターの相談室からの回答ということで、ちょうど、まず国民年金については、国会議員について義務化されて以来、小泉総理が満六十歳を迎えられた年ですね、一昨年の一月八日の六十歳、したがって十二月までだと思いますが、それがちょうど百八十九か月でございますが、完全に支払っているというこの百八十九か月、これは私自身にとりまして、それでぴったりと出ておるわけでございますので、この打ち出し方その他もきちっとしたものであると私は思っておりますし、先ほどおっしゃいました厚生年金につきましても五十五か月間支払が行われている、期間合計で五十五か月であるというようなことも確認しております。  ただ、おっしゃいますように、プライバシーの問題ですから、そこまで確認している、疑わしければちらっと記者団にも見てくださいというようなところまでは対応しておりますが、これを一人一人が全部、委員会や何かに公の資料として出すというような扱いが適正かどうかということはまた別途の判断だと思いますが、私が今預かってきておる範囲内ではそういうことでございますので、御安心いただきたいと思います。
  61. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 お話を承っておきます。  そうすると、一九八六年からですか、国民年金に入っておると。それで、六十歳になるまで払ったということを前提質問いたしますが、質問というよりこれもお願いなんですが、菅代表を含め閣僚の方たちも、いわゆる入閣したりいろいろなことで手続上のミスとかうっかりミスみたいな形で間が抜けていますですね。  小泉さんの場合には総理大臣含めて四回入閣しているわけなんですが、実は横須賀市に行って国民健康保険の加入・脱退届とかいうペーパーを取ってきますと、これ、要するに公務員になるわけですから自動的に短期の共済に入るわけなんですが、手続の紙が、この年金の加入・脱退届と健康保険の加入・脱退届と、これ三枚紙のセットになって上から書くようになっているわけですね。そこで、これを書いたやつを、本来ならば年金は脱会せぬわけですから外して、それは破って出さないかぬのを、どうもそのまま出していると。市役所の方も、はい、そうですかというので、両方にその手続始めて、脱会というケースがあるようなんですね。  となると、まあつまらぬことかも分かりませんが、小泉さんも四回やっていますからね、パーフェクトにそれをパスしたかどうかということはこれは一つ問題に残るわけなんですよ。  ここら辺も、開示するんだったら明確に、そういうミスもないんならない、あるならあるということをひとつ御回答していただけると思いますよ。
  62. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) おっしゃいますように、手続自体が非常に複雑で分かりにくいわけです。私自身も、政務次官になりましたときに、健康保険は国民健康保険からこの公務員の共済の方に行くんですね、健康保険に行くわけでございまして、それで、そのときに、実は私は、個人的にいえば、わざわざ聞いたんです。私は十九年国家公務員をやっているから、あと一年で二十年になって、年金が違うじゃないかと。だから、是非、政務次官になった際にまた国家公務員の年金に入りたいと。そうして、よくよく詰めてもらうと、いや、あなたは特別職だから駄目ですと言うんですね。  でもまあ、菅さんのいろんなケースとか、いろんな方、ほかにもおられますけれども、閣僚でも、聞いてみますと、いや、政務次官になった、大臣になった、いや、それじゃ手続してくださいと言って、何ら内部でも関心がないし、それで、地方に行くと、そのおっしゃった何枚紙が一緒になっておって、確かに国民健康保険からは脱退する手続をするんですが、同時に、よくよく書き込まないと、国民年金だけは続けますよというところに丸を付けないと、一緒に脱退したことになる。そういう方がたくさんおられるわけですね、現に。  これは手続上おかしいということで、自民党の役員会からそういう話が出て、これは民主党も公明党さんも各党さんも、同じ問題ありますねということで、そもそも手続を変えようじゃないか、国会議員たるもの、もうおよそ歳費から天引きをして常に払わせるようにすれば決して間違えることはないんだから、そういう手続をしようじゃないかとか、今、各党で協議をいただいている。  そして、そういう過失があったケースがあって、その手続も、おっしゃったような複雑で、地方の方も御存じない、役所の方も御存じないというケースで、それで結果は、払われなかった方々おられますから、これは改善しなきゃいけない、これはおっしゃるとおりでございます。
  63. 平野貞夫

    ○平野貞夫君 小泉首相の年金疑惑を追及するつもりが何かフォローしたような結果になったんですが、厚生年金の問題はやっぱり責任がある、これはやっぱりこれからの大きな問題だということと、それから坂口大臣、少し問答したかったんですが、これは私の意見だけ申し上げますが、あなたは私たちと一緒に立派な社会保障制度を作ろうという立派な意見を持っている。持っていた方ですよ。しかし、年金法案、関連法案は良くないですよ。私は特に、去年の暮れ、公明の主張である、基礎年金二分の一にかさ上げする財源を、所得税の定率減税の廃止を財源にするということと、それからイラク自衛隊派遣を政治的に取引したと。だから、私は、年金法はイラク派兵問題であるという問題提起をこれしておきまして、時間が来ましたから質問を終わります。  以上で終わります。
  64. 松山政司

    ○松山政司君 自由民主党の松山政司でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  多少順序を変えて恐縮ですけれども、まず冒頭に、国内におけるテロ対策という観点から質問をさせていただきたいと思います。  本日の新聞で大変驚く報道がございました。昨年の十二月、ドイツ、ミュンヘンで逮捕された国際テロ組織アルカーイダのメンバーが二〇〇二年の七月から二〇〇三年九月の間に四回も偽造パスポートで日本に入国をしたと、新潟市内に九か月間も潜伏していたとのことであります。  テロは未然防止に努めることが何よりも重要でございますし、特に入国を阻止するというこの水際対策が大変重要であるというふうに考えます。国民の皆さんも大変驚くと同時に、不安になっておられるということと思います。  そこで、現在分かっている範囲で結構ですので、状況を御説明いただきたいと思います。
  65. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 御指摘のような報道がありましたことについては私も承知をいたしておりますけれども、個々の報道の真偽に関しましてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事岩井國臣君着席〕  テロリストについての未然防止というのが何よりも重要でございまして、国内に入れない、拠点を作らせない、テロを起こさせないというふうな観点から、警察におきましては、米国同時多発テロ事件以降、入国管理局との連携によりまして水際対策にこれ努めてきているところでもございますし、国内における情報収集とテロリストの発見、検挙、こういうものを目指しまして、我が国の重要施設、それから米国関連施設等、約、総計六百五十か所に恒常的な警戒警備の実施等の施策を講じているところでございます。  水際対策については、特に、先般、国際空港あるいは国際港湾における水際対策、それから危機管理体制の強化のための、内閣官房に水際危機管理チームというものが設置をされますとともに、各空港、港湾に関係機関の連絡調整等を、空港・港湾危機管理官等が設置されたところでありまして、警察といたしましても関連機関との連携の強化に努めているところでもございます。  警察におきましては、引き続きまして国内におけるテロの未然防止に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。
  66. 松山政司

    ○松山政司君 是非、国民は大変不安になっている状況でもございますので、徹底した取組をお願いしたいというふうに思います。  加えて、この水際対策でございますけれども、入国管理システムにも、今の状況でいいのかどうかと。今日の新聞にも、警察当局の幹部という発言でございましたけれども、非常に今の精密なパスポートでは完璧に防ぐのは難しいという旨の発言がございました。  そこで、法務省、そして外務省にも、今後のこの水際対策についての対策をお聞きしたいというふうに思います。
  67. 四宮信隆

    政府参考人(四宮信隆君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、テロ防止のために水際対策は極めて重要だと考えておりまして、入国管理局としても、これまで成田空港を始め主要空港等に偽変造文書鑑識システムを配備したほか、審査ブースにも小型監視機器を配置するなどいたしまして、また、偽変造を見破るための職員の訓練にも力を入れてまいりまして、偽変造文書の発見、テロリストの水際防止に努めてまいりました。  今後とも、関係機関と緊密な連携を取りながら、テロの未然防止に万全を期するよう一層努力してまいりたいと考えております。
  68. 阿部正俊

    ○副大臣(阿部正俊君) テロ対策ということになりますと、正に世界的なつながりの中で動いていることでもありますので、そうしたふうな様々な私どもなりに得られる情報というものを適時適切に掌握し、ただいまお話ありました警備当局等との連絡会議等々もしょっちゅうございますので、そうしたものに反映していきたいと思っています。  ただ、議員も多分お感じだと思いますけれども、空港あるいは公共的な役所、その他建物、公共的な建物等について相当やはり今までとは違った警備態勢が取られておる現状だと思います。国会の議員会館すら正にああいうチェックがあるわけでございますので、そうしたものを多少国民に不便を買いましても強化していくということを少しやらなきゃいかぬということだと思いますし、ただいま、アルカイダの幹部がいた、いないということの話については公安委員長から話がございましたとおりでございますけれども、そうしたふうなことも、もしそんな報道が事実であるならば、改めまして国内対策としてのこれからの在り方というものにつきましても、私ども、国際的ないろんな情報も得た上で提供しながら、いろんな方策も更に吟味していく必要があるのではないかと、こんなふうに考えております。  以上でございます。
  69. 松山政司

    ○松山政司君 続けて、このテロ対策についてお伺いしたいと思います。  我が国の治安維持の第一義的責任を有する警察における重大テロ事件の未然防止への取組の現状、特に原子力の関連施設、これにおけるテロ対策並びに生物化学テロへの対策について、小野国家公安委員会委員長にお伺いをいたします。
  70. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 水際対策、情報収集、警戒警備、こうしたことを警察におきましてはテロの未然防止のための重要施策として設置をいたしておりますけれども、お尋ねの原子力発電の、原子力関連施設に対するテロ対策につきましては、海上保安庁等関係機関と緊密な連絡を図りつつ、例えばサブマシンガンあるいはライフル、耐弾仕様の装甲警備車等を配置をいたしました銃器対策部隊を常駐させまして、二十四時間体制でもって警戒警備を実施しているところでございます。  また、生物化学テロ対策、NBCの方ですけれども、危険物質、こうしたものの管理強化というものをしっかりやっていかなきゃならないということ、この種のテロの未然防止の対策に関する徹底を図りますとともに、生物化学テロへの対処能力の強化を図るために、主要な八都道府県の警察におきましてNBCテロ対応の専門部隊を設置をいたしているほか、その他の府県警察機動隊にはNBCテロ対策班を設置するなど、生物化学テロ対策の万全を期しているところでもございます。  国内外のテロ情勢というのは依然として厳しいものがあると認識をいたしておりますので、引き続きまして情報収集の強化あるいは警戒警備の徹底など諸対策を推進をいたしまして、テロの未然防止に万全を期するよう警察当局を督励してまいりたいと思っております。
  71. 松山政司

    ○松山政司君 次に、厳しい予算事情の中に、平成十六年度予算で三千百五十人もの警察官の増員が認められたと。政府が治安対策に大いに力を入れているあかしとして高く評価したいというふうに思います。  この警察官の効率的、効果的な配置に努めて、多発している刑法犯等の減少に結び付けていただくとともに、万が一、国内テロが起こることのないようにテロ対策部門にも積極的に増員をしていただきたいと思いますが、委員長の御所見をお伺いしたいと思います。
  72. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 先生、今お話しくださいましたように、大変深刻化をいたしております治安情勢の中に的確に対処するためには、平成十六年度には三千百五十名の警察官増員を行ったところでございますけれども、この中には街頭犯罪、それから来日外国人の犯罪対策とともに、大規模なテロ対策のための要員も含まれているところでございます。  厳しい財政状況の中で認められましたこれらの要員を効果的に活用いたしまして、犯罪の検挙あるいは発生の抑止、テロの未然防止に積極的に取り組むよう警察庁を督励してまいりますとともに、平成十七年度以降も世界一安全な国日本の復活を図るために引き続き必要な増員に向けて努力をしてまいる所存でございます。
  73. 松山政司

    ○松山政司君 日々の案件に対応しながらで大変御苦労はあると思いますけれども、是非ともこのテロ対策、全力で取り組んでいただきたいというふうに思います。  続きまして、テロ対策特別措置法に基づく協力支援活動、これに必要な経費についてお伺いをしたいというふうに思います。  国際的なテロリズムとの闘いを自らの問題と認識をして、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための取組に積極的かつ主体的に寄与するとの立場に立って、憲法の範囲内でできる限りの支援、協力を行うことが重要であるとして、このテロ対策特措法に基づいて、艦船による艦船用燃料等の補給及び輸送、航空機による人員及び物品の輸送、協力支援活動を十三年十一月から実施をしていただいております。  十四年度における協力支援活動に必要な経費百六十六億円余が一般会計予備費から使用されておりますが、この経費を十四年度当初予算に計上せずに予備費を使用した理由、並びに十四年度決算額におけるテロ対策特別措置法に基づく協力支援活動に要した費用の総額及びこの艦船用燃料費など経費の内訳を中島政務官にお伺いしたいと思います。
  74. 中島啓雄

    ○長官政務官(中島啓雄君) お答え申し上げます。  テロ対策特措法に基づきまして、十四年度において協力支援活動に係る予算措置として百六十六億円、先生おっしゃったとおりでございますが、これは平成十四年五月十七日に基本計画変更、それから実施要項変更の総理承認ということを受けて、十四年の五月二十一日に閣議決定されました予備費が百四十八億円でございます。それから、続いて十四年十一月十九日の基本計画変更の閣議決定と実施要項変更の総理承認を受けて、十一月二十二日に予備費十九億円の閣議決定がなされております。合計百六十六億円と、こういうことでございます。  これがなぜ当初予算に計上されていなかったかという理由でございますが、予算編成時においては十四年度の協力援助活動の内容が未定でございましたので、当初予算には計上されずに予備費で対応したということでございます。  平成十四年度決算額における協力支援活動等に要した経費の総額は百三十八億円でございまして、米軍艦船等に対して補給する艦船用燃料費については六十八億円、それから自衛隊艦船の活動用燃料費等については約三十二億円、それから職員諸手当については約九億円などとなっております。
  75. 松山政司

    ○松山政司君 続けて防衛庁にお伺いいたします。  このテロ対策協力支援活動についての政策評価という観点からお伺いしたいと思いますが、十四年度のテロ対策特措法の制定及び同法に基づく自衛隊の活動について政策評価をしっかりと行ったというふうに聞いておりますが、その評価の内容を御説明をお願いしたいと思います。
  76. 大井篤

    政府参考人(大井篤君) お答えいたします。  平成十三年九月十一日に米国同時多発テロが発生したわけでございますが、我が国といたしましては、国際的なテロリズムとの闘いを自らの問題と認識しまして、国際的なテロリズムの防止及び根絶のための取組に積極的かつ主体的に寄与するとの立場に立ちまして、憲法の範囲内でできる限りの支援、協力を行うとの観点から、同年十月二十九日にいわゆるテロ対策特措法を成立させたわけでございます。  同法に基づきまして、海上自衛隊でございますが、同年十二月以降、インド洋上における米艦艇等への給油及び被災民救援活動を実施いたしました。また、航空自衛隊につきましては、同年十一月以降、協力支援活動としての米軍の物資等の輸送をそれぞれ実施してきたところでございます。  こうしたテロ特措法に基づきますこのような協力支援活動につきまして、防衛庁は、行政機関が行う政策の評価に関する法律に基づきまして、平成十五年三月に政策評価を行いました。その内容でございますが、海上自衛隊、航空自衛隊、それぞれ大変多くの活動をしているわけでございますが、こういった活動につきましては、国際テロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に積極的に寄与したと評価をしております。  また、こうした活動につきましては、平成十四年十二月に日米安全保障協議委員会、2プラス2でございますが、これを始めとします様々なレベルの会合等におきまして謝意や評価の表明がなされる等、国際社会からも高い評価と称賛を得たところでありまして、米国を始めとする支援対象国との信頼関係を増進させることができたと評価をしておるところでございます。  また、今後のことでございますけれども、我が国の他のテロ防止根絶のための取組とも併せ、テロ対策特別措置法に基づく自衛隊の活動を着実に実施することにより、我が国を含む国際社会の平和及び安全のために努力していくことが望ましいというふうに評価をしているところでございます。  以上でございます。
  77. 松山政司

    ○松山政司君 このテロ対策特措法に基づく協力支援活動は既に数百億円が支出をされております。この活動の評価をするに当たりまして、国際テロリズムの防止及び根絶のための国際社会の取組に寄与し、高い評価と称賛を得たということは私も高く評価をしたいというふうに思いますが、この国益への貢献度というものが分かるような、そういう指標がないだろうかというふうに思うわけでございます。それが非常に国民から見ても何かと分かりやすい、この事業が平和と安全の確保にしっかりつながっているというふうに御理解をいただけるんではないかと思いますが、大変難しい問題ではあると思いますけれども、先般、当委員会においても、アメリカのGAOのことでありますとか、イギリスのNAOのことでありますとか、お話がございましたけれども、何らかの指標というものが示せないかどうか提案したいと思いますけれども、御所見をお伺いしたいというふうに思います。
  78. 中島啓雄

    ○長官政務官(中島啓雄君) 政策評価というのは、御承知のとおり、行政機関がその所管行政を対象にして自らの政策の効果を評価する、その結果を政策の企画立案に反映させることによって効率的で質の高い行政を実現するということでございまして、先生おっしゃいますように、定性的な評価というよりは、何らかの指標といいますか、定量的な評価手法ができればやるにこしたことはないと。そうして、客観的に国民にデータを明らかにしていくということが必要であるということは先生おっしゃるとおりでございますが、御承知のとおり、国際業務に対する、国際協力業務に対する客観的評価の指標というと非常に難しい課題でございまして、目下研究中でございます。  そんなことで、当面、十四年度の評価については、定性的なことを述べて、各国の反応とか自衛隊の活動実績等を述べたところでございます。  参考といいますか、九・一一テロの損害額の評価というのが、これもいろいろな数字があるんですが、ニューヨーク連銀のエコノミストの評価によれば三百六十億ドル、約四兆円とか、もっと高い話では、ニューヨーク市経済全般に及ぼした影響は約十二兆円に及ぶとか、そういった指標もございますので、まあ数百億円の国際貢献というのは十分に御評価いただけるものだろうと思っておりますけれども、そういった評価の内容なども今後調査いたしまして、極力客観的に指標的なものをできれば作っていきたいと思っております。今後の課題とさせていただきたいと思います。
  79. 松山政司

    ○松山政司君 ありがとうございました。  次に、国土交通省にお伺いをしたいと思います。  十四年度の予備費から五十八億円が使用された九州南西海域不審船事案における、この不審船船体の引揚げについてお伺いをいたします。  鹿児島県の奄美大島沖から引き揚げられました不審船、引揚げ後の捜査によって北朝鮮の工作船と特定をされましたが、この工作船並びにこれに搭載されていた武器や上陸用小型船などが東京のお台場、船の科学館で一般公開をされておりました。大変国民の関心も高く、平日でも一時間待ちというほど見学者がおられたということで、展示期間も、当初は昨年五月から九月の予定でありましたのが、本年二月まで延長されたというふうに聞いております。  この工作船の展示は国民の方々に大変広く我が国の海上警備の重要性を知っていただくために有用であったと考えるわけですが、工作船を展示したその意義、またその効果を国土交通省にお伺いしたいと思います。
  80. 金子賢太郎

    政府参考人金子賢太郎君) 北朝鮮の工作船でございますが、昨年の五月三十一日から本年の二月十五日までの約八か月間でございますけれども、東京のお台場の船の科学館の敷地内におきまして展示、公開されました。当初は九月末までの四か月間の予定であったところ、予想を超える反響がありましたので公開期間は延長したわけでございますけれども、その間、合計で百六十三万人の方々が見学に訪れました。  今回の公開、展示によりまして、多くの国民に、我が国周辺海域を取り巻く現実を従来にない形、すなわちはっきりと目に見える形で理解していただくとともに、海上警備の重要性についても、先生御指摘のとおり、御認識を深めていただいたことというふうに私どもも評価しておりまして、大変有意義であったと考えております。
  81. 松山政司

    ○松山政司君 続きまして、九州南西海域におけるこの工作船事件に対する海上保安庁を始め関係機関の徹底的な捜査によって、この工作船の構造あるいは装備、武装の程度に関してその実態が解明をされて、詳細なデータを得ることができました。このことは、今後、同じような事件の発生の抑制でありますとか対処能力の向上に大変寄与するものと考えておりますが、これを踏まえて政府関係機関の連携体制の強化並びに必要となる運用体制や装備の更なる充実強化が求められるところであります。  この九州南西海域における工作船事件の全容解明の意義と今後の取組をいま一度お聞きしたいというふうに思います。
  82. 佐藤泰三

    ○副大臣佐藤泰三君) 平成十三年の十二月の二十二日の後、工作船の船体を引き揚げ、調査した結果でございますが、工作船は四基の強力なエンジン、プロペラを有しました非常な高速船であります。さらに、武器としまして地対空ミサイル、対戦車ロケットランチャー等を搭載するなど、極めて重装備であることが判明いたしました。  海上保安庁におきましては、これらの明らかになった事実を踏まえ、これから申し上げるような対応体制の充実強化を図っていくこととしており、そのような意味でも事件の全容解明の意義は大変大きなものがあったと考えております。  なお、具体的な不審船・工作船対策につきましては、政府の基本方針としまして、警察機関であります海上保安庁がまず第一に対処することとされており、これまでの不審船・工作船事案を踏まえ、法制面におきましては、平成十三年十一月に不審船を停船させるための射撃につきまして、一定の要件に該当する場合にはその違法性が阻却されるように海上保安庁法の改正を実施いたしました。  次に、第二としまして、装備面におきましては、海上保安官の安全を確保しつつ、より一層的確な不審船対策を取られております。巡視船艇の防弾化、より遠距離から確実に不審船に対応できる武器の装備、荒天下でも迅速に展開できる高速大型巡視船の整備等を図っておるところでございます。運用面につきましては、防衛庁との間でその共同対処マニュアルを作成し、早い段階から情報共有や自衛隊との共同対処を的確に行えるよう万全の提携の強化を努めているところでございます。  今後とも、内閣官房、また防衛庁等関係機関との連携を一層強化して不審船・工作船対策に的確に対応できるように考えている所存でございます。  以上でございます。
  83. 松山政司

    ○松山政司君 続けて、この不審船船体の引揚げ経費についてお伺いいたします。  予備費からこの不審船船体の引揚げに必要な経費のうち五十八億円が海上保安庁の捜査費に使用させていますけれども、この十四年度決算書を見ると、予見し難い予算の不足が生じたとして予備費を使用した捜査費で四億円余が不用額となっております。相次ぐ台風の襲来等厳しい自然条件の中で水深九十メートルを超える海底からの船体の引揚げ等々、大変困難があったというふうに聞いておりますけれども、それでも不用額が生じたということは経費の見積りが過大であったとも思えるわけでありますけれども、その理由をお伺いします。  また、海上保安庁の装備費に二千五百万円が予備費から使用されております。この予備費の使用決定後に国会に提出された平成十四年度補正予算では、装備費が八千九百万円逆に減額をされております。そもそも予備費を使用しなくても当初予算の範囲内で十分対応できたというふうにも思えるわけですが、この予備費を使用することになった理由も併せて、以上二点を国土交通省にお伺いし、また、この予備費を使用した経費項目について不用額が生じたり予算の減額修正が行われたということについて、谷垣財務大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。
  84. 金子賢太郎

    政府参考人金子賢太郎君) 九州南西海域に沈没をいたしました工作船につきましては、有人潜水調査などによりまして船体の引揚げが技術的に可能であることを確認した上で、平成十四年でございますが、六月二十一日の不審船船体の引揚げに関する関係閣僚会議におきまして船体の引揚げが決定され、さらに、同日行われました閣議において工作船の引揚げに必要な経費について予備費の使用が決定されました。  御質問は、この船体の引揚げ経費について不用額が生じたその理由いかんということでございますが、予備費要求時に想定したものよりも実際にはつり上げ能力とそれから堪航性に優れた大型クレーン船の調達が可能になった、そういうことから、当初想定のクレーン船の改造とそれから原状復帰に要する経費、期間と比較してトータルの借り上げ経費の低下が図られたことなど、適正な予算の執行に努めたことによるものでございます。  それから、装備費につきましても御質問がございましたが、これは不審船の引揚げに際しまして必要となりました水中監視装置の整備でございましたが、この経費、約二千五百万円でございますが、これ、当初予算には措置されていなかったために予備費において対処することとしたものでございます。  なお、海上保安庁といたしましても、これは毎年のことなんでございますけれども、年度を通じまして歳出予算の適切かつ効率的な執行に努めておりまして、平成十四年度におきましては、一年間まとめました結果として装備費という項目につきましても約九千万円の節約を図ることができましたことから、平成十四年度補正予算において減額計上したものでございます。
  85. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 予備費は予見し難い予算の不足に充てるために憲法によって認められているわけでありますけれども、そのやはり使用に当たっては、当然のことながら、そういう経費を使う必要性があるかどうかとか適正な金額かとか、厳正にやらなきゃいけませんし、閣議決定等の手続も必要だということになるわけでございます。  委員のお尋ねは、こういう減額修正であるとか不用額が出るのはそこの査定が甘かったんではないかという御趣旨思いますが、今も海上保安庁の方からお話がありましたように、やはり予備費請求の時点と実際の支払う時点の時間的な差によって事情が変わってくる場合とか、あるいは予算執行状況でこういうことが出てくるのも全くなしとすることもできない事情があろうかと思います。  いずれにせよ、そこはきちっと厳格に査定をし執行していただくということは、これはこれからも努めなければならないことだと思っております。
  86. 松山政司

    ○松山政司君 ありがとうございました。  それでは、引き続き、財務大臣に我が国の財政状況、そしてプライマリーバランスという観点から数点お伺いさせていただきたいと思います。  まず、公債残高についてでございますけれども、我が国の公債残高は、十四年度末で四百二十一兆円、十六年度末の見込みで四百八十三兆円、国と地方を合わせると長期債務が七百十九兆円に達しようとしております。これは十年前の平成六年度末の三百六十八兆円のほぼ倍という大変な状況にあるというふうに思うわけでありますが、まず谷垣財務大臣公債残高の水準に対する御認識をお伺いしたいと思います。
  87. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 今、松山委員がおっしゃいましたように、今我が国が抱えている公債残高、これは国だけ取りましても、平成十六年度末で四百八十三兆と、世界の先進国の中でも最も厳しい水準になっていると考えております。このままこれを放置しておきますと、結局借金借金の利払い、こういうようなことで、経済社会の発展の大きな足かせになるということは、これはもう大変ゆゆしきことでございますし、二十一世紀に持続可能なシステムを作る、こういう観点から考えますと、やはり財政規律をどうしていくかということが一番大きな問題ではないかというふうに思っているわけでございます。  そこで、何を目標としているかということになりますと、結局借金を重ねて予算を作っていくことは次の世代に負担を先送りしているということを意味するわけでありますから、やはり今の入ってくるもので今の政策を行う、これがプライマリーバランス基礎的財政収支ということでありますから、せめてそこまでやっぱり持っていかなきゃならない、それを二〇一〇年代初頭に実現をしようというのを財政運営一つ目的としているところでございます。  そのために、いろいろ、骨太を作ったり、いろいろしているわけでございますけれども、今後ともこういう目標の下に頑張っていかなきゃいかぬな、こう認識しているところでございます。
  88. 松山政司

    ○松山政司君 今、御認識の中にもございましたけれども、近年の発行額等々見てみますと、十三年度は三十兆円、十四年度決算で三十四兆九千六百八十億、十五年度補正予算後で三十六兆、十六年度当初予算で三十六兆五千九百と増加をしております。  この増加し続ける近年の公債発行額に対するその認識と原因をお伺いをいたしますと同時に、引き続いてもう一点、公債発行額の増額を年々招いた財政運営平成十四年度の財政運営と十四年度決算に対する御所見でございますが、不良債権処理の促進でありますとかセーフティーネットの構築でありますとか、経済対策の必要性からやむを得ない措置であったという内容も十分承知をいたしておりますけれども、景気回復が緒に就いたという中で、谷垣財務大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。
  89. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) どうしてこういう借金漬けになったかという原因でありますけれども、私はワニ型とか言っておりますが、こういう財政の、歳出とそれから歳入、この枠が、昔はだんだん、バブルの頂点のころはぴたっと大体近づいてきたわけでありますが、それから歳入はどんどん落ちていく、歳出が増えていくということで、ワニの口が広がるようなグラフになっているわけであります。  それで、まず上の方に歳出が伸びていったのはどういうことかということになりますと、景気対策といいますか、バブルがはじけて以降、累次の景気対策を打ってきたということが一つ背景にございます。それと裏腹の関係でございますが、要するに景気対策を打つためにということも含めて減税も累次の減税を行ってきたということがまた税収が落ち込む一つの原因でもございました。  その背景に、さらに、そういう経済対策というだけではなくて、少子高齢化が進んでくる中で、社会保障等の負担といいますか、支出が経済あるいは財政の力の伸びよりもはるかに大きな方向で伸びていくというような基本的な事情があったというふうに私は認識して、歳出税収のギャップが開き、財政が硬直化してきたということではないかと思います。  これに対して、当然のことながら、歳出を抑制していく、歳出構造を変えていくということがやはり必要であると思いますし、歳入の方も、あるべき税制はどうかというようなこと、これは先ほどのほかの委員の御答弁にも申し上げましたけれども、今後、国と地方関係、あるいは社会保障の、特に年金の、基礎年金負担をどうしていくかというようなことと相まって、そのような制度の問題にも踏み込んでいかなければいけないのではないかと思っているわけでございます。  それで、特に平成十四年度の財政状況についてどう見ておるかということでございますけれども、この平成十四年度は、特殊法人などへの財政支出を一兆円を超えて削減を行うというような、改革断行予算と言っておりましたけれども、それをやりますとともに、不良債権処理の加速化というのを相当、なかなかあの時点は不良債権等に対する議論もあって、実に議論の厳しいときであったと思いますが、不良債権処理の加速化を図ったり、あるいは構造改革路線を推し進める一方、秋口から大変金融経済情勢、不確実性といいますか、不安が高まってきた時期でもございまして、雇用とかあるいは中小企業のセーフティーネットをやっぱりしっかりしなきゃいかぬと、こういう議論になって、補正予算も組んで、当時の不安な経済情勢にそれなりに対応してきたのではないかと思っております。  こういう結果、平成十四年度の実質経済成長率は一・一%と。当初の見通し〇・〇%ということでありましたけれども、それを上回って、銀行の不良債権残高も大幅に減少するというような前進が見られた年ではなかったかと思っております。  こういう経済財政運営の結果として、平成十四年度決算につきましては、国債発行額は三十兆円を上回ることになったわけでありますが、税収や税外収入の減少を上回る歳出の不用が生じて、二年ぶりに剰余金が生ずるというようなことになった年、大きく見ますと平成十四年度はそういう年であったと振り返っております。
  90. 松山政司

    ○松山政司君 大変財政厳しい状況の中に、大変かじ取り役として激務だと思いますけれども、しっかり頑張っていただきますようにお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  91. 愛知治郎

    愛知治郎君 自由民主党愛知治郎でございます。  私自身、この決算委員会質問をさせていただくのは初めてなんですが、先輩方の御努力により、参議院ではこの決算を重要視していくということで、しっかりとした議論を積み重ね、その上で予算に反映していくと、前向きな議論をしていきたいというふうに考えております。  また、特に今回、この決算委員会の中でもしっかりとODA、このODAに関して検証をしていこうということでもありますので、私自身は今日はODAについての質問をさせていただきたいと存じます。  その中で、ODA全般というのはもちろんあるんですが、個別の議論ですね、より具体的な議論をしていきたいと思います。といいますのは、私自身もまだまだ勉強不足でございまして、よく分からないところもあるので、そういったところを質問をしていきたいというふうに思います。  そして、個別の議論なんですが、私自身、先日、日越友好議連におきましてベトナムに行って、いろいろそのODAの事業内容等、あと国の状況等を視察をしてまいりました、また勉強させてもらいましたという経緯もございまして、このベトナムについて中心にお伺いをしたいと存じます。  まず、このベトナム、私自身、以前、大体五年ぐらい前ですかね、一度行って、ああ、活力ある国だな、面白いなと思って、そのときにもいろんな話を聞いたんですが、改めて今回、今年に入って行ってきまして、いろんな事情を聞いてきました。  それで、ちょっと確認なんですけれども、この対ベトナム、このODAの執行額、執行額と執行率について、大体五年ぐらい前と現在とどのような状況になっているのか、数値なども踏まえた上でお伺いしたいと存じます。
  92. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  御質問の執行率、執行額の問題でございますが、私ども通常、この問題については、円借款について、これまでにコミットしてきたもの、それからその当該年度にそのうちどれだけ実行したかということで使っておりますので、円借款の執行額及びその執行率ということで御答弁させていただきたいと思います。  ベトナムにつきましては、二〇〇三年度の数字が最新のものでございますが、貸付実行額は五百三十一億円でございます。それから、執行率で申しますと一一・五%でございます。  五年前にさかのぼりますと、一九九八年度ということになるのでございますが、貸付実行額が二百九十九億円、執行率が九・四%ということでございます。  ただ、この執行率でございますが、年によってかなり変動がございまして、例えば、四年前の一九九九年度を取りますと貸付実行額が九百四十八億円と急増しておりまして、ここでは大型の火力発電所の建設、増設が二件、それから水力発電所が一件ございまして、その結果として執行率は二〇・三%というふうに大きく跳ね上がっておるという実情でございます。
  93. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  他国全体も聞きたかったんですが、その前にこの執行率というところなんですけれども、一一・五%、九・四%、二〇・三%。全体の枠からして、単純に考えると、これぐらいしか執行されていないのか、ちょっと少ないんじゃないかというイメージがあるんですが、この点について、ちゃんとした認識を私自身もお伺いしたいので、執行率というのがどのようなものか、お伺いしたいと思います。
  94. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  執行率の計算の仕方でございますが、当該年度当初において理論的に貸付実行が可能とされる金額のうち、当該年度中に実際にどの程度貸付けを行ったかということを示す指標でございます。  より端的に申し上げますと、当該当初貸付実行可能額と申しますのは、既にコミットしたものから貸付実行したものを差っ引いた、言わばこれから貸付けをしてプロジェクトを具体的に進めていくことのできる額、それを分母にいたしまして、分子がその当該年度に実際に貸付けをした額と、こういうことでございます。  大型のプロジェクトになりますと、約束、コミットメントも何年かにまたがることもございますし、それから工事そのものが何年かにまたがることもございますので、この執行率というのはその国の、その機関の案件の進捗状況、進捗管理という観点から一つの目安になるということは事実でございますが、今申し上げましたような定義からいたしますと、例えば、既存の案件が順調に進んでおりましても、ある年に大型のコミットメントが加わりますとそこで直ちに執行率が下がるということも起こりますし、逆に過去の供与案件が特定の年度に急速に大規模なものが実行されますと一気に執行率が上がるということもございまして、その辺の、この各年の執行率の数字だけをもって当該国の援助の吸収力ということを測るというには少し注意が必要であるかというふうに思っております。
  95. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  ちょっと複雑で分かりにくかったんですが、比較してちょっと検証したいと思ったんですが、全体ですね、ベトナムだけではなくてODA全体から見た場合のその数値というのを概要で結構ですので、お伺いしたいと思います。
  96. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  ODA全体で申し上げますと、二〇〇三年度の貸付実行額は六千二百九十六億円でございます。執行率は一四・八%ということでございます。五年前にさかのぼりますと、一九九八年度を取ってみますと、貸付実行額が九千三十一億円、それから執行率で見ますと一三・七%ということになっております。
  97. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  この数字からすると、全体から見てベトナムが特段低いという話ではないように思われるんですが、私自身が最初に行ったとき随分低いなという印象があって、多分、素人よく分かっていないという部分もあるんですけれども、無駄遣いが行われているんじゃないかという印象が第一なんですけれども、その点の誤解を招かないように、もう一度ちょっとその点を詳しく、詳しくというか、分かりやすく御答弁いただきたいと思うんですが。
  98. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  先ほどの数値から見ますと、世界全体で一四%前後ということで推移してきておるのに対して、ベトナムが五年前ですと九・四%、それから二〇〇三年度ですと一一・五%ということで、そんなに、これを乖離があると考えるか、ないと考えるかでございますが、実はベトナムは年によって具体的な工事の実行が随分波がございまして、さっき申し上げましたように、一九九九年度で見ますと大型案件がどっと出ましたものですから、執行率が二〇・三%まで上がったと。  ちょっと逐年的に申し上げますと、その翌年の二〇〇〇年度もかなり伸びまして一七・一%でございますが、その後、言わば何といいますか、待機案件がそこで相当出たものですから、その翌年度二〇〇一年度、二年度は逆に貸付実行額が急減いたしまして、それで、新たにいろんな新規のコミットメントはするものですから、結果として執行率が九・八%、七・二%と落ちてきたわけでございます。そこで、また二〇〇三年度は貸付実行額がまた盛り返してきて比率が上がったということでございますので、毎年毎年新規に約束をしていくものの増え方と、それから、それが今度は実際の工事ということでプロジェクトとしてお金を使っていくという流れがどういうテンポで動いていくかということとの兼ね合いで決まってくるわけでございまして、そういう意味では年によって相当差があるということでございますが。  ただ、一般論として申し上げますと、できるだけ執行率を高めた方がいいんではないかということがございますし、それから二〇〇一年度、二〇〇二年度は今申し上げましたように、ベトナムの場合には一けたの執行率でございましたので、私どもとしては、ベトナム政府に対しては極力執行率を上げるように、過去にコミットしたものについてはできるだけ早急にプロジェクトの推進に掛かるようにということは逐次政策協議の場で申し上げてきておるわけでございます。
  99. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございました。  なかなかこのODA、しっかりと理解するのは難しいとは思うんですが、次の質問に移りたいと思います、もう少し理解を深めたいと思いますので。  まず、ODAに関しての円借款とか無償資金協力、技術協力とか、いろんな形があると思うんですが、無償資金協力や技術協力、これはおいておきましてというか、これ以外の円借款ですね。大部分のこのODAに関して言えば有償であると。完全な無償で、ただサービスをしている、ばらまき批判なんというのもありましたけれども、そうではなくて、有償でしっかりとしたその償還をしてもらう、いずれ償還をしてもらうということで貸付けをしている、これが基本的な形だと思うんですけれども、このベトナムのODA円借款における償還状況というのを、また、これからどのような償還計画、どのように返してもらっていくのかというその計画の状況等をベトナムに関してまずお伺いをしたいと思います。
  100. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  御質問のベトナムでございますが、円借款の債務に関する返済は毎年着実に行ってきておりまして、特に問題があるというような事情にはございません。  具体的には、ちょっと歴年的に申し上げますと、五年前の九八年に一億円、九九年に五億円、二〇〇〇年に八億円、二〇〇一年に八億円、そして二〇〇二年には十九億円、二〇〇三年が四十二億円ということでございまして、計画どおり返還してきておるということでございます。  そういう中で、新たに円借款の議論をし、コミットメントをする場合には、その都度、私どもとしては慎重にその債務負担能力を検討させていただいておりまして、現時点で特に返済に問題を来すことが特に予見されるというようなことはないというふうに考えております。
  101. 愛知治郎

    愛知治郎君 この点、大事なところなんですけれども、やはりこれ有償である以上、また償還というのが最初から前提とされている以上、しっかりと返してもらわなくちゃいけない。これは向こうの状況、もちろん経済発展をしてもらって、その分貸した金は返してもらうということは大事だと思いますので、しっかりと取り組んでいってもらいたいというふうに存じます。    〔理事岩井國臣君退席、委員長着席〕  また、このベトナムのみならず、例えばしっかりと、もう既に返してくれている、その償還状況がとてもいい国などの例も含めて、全体のこのODA償還状況というのをお伺いしたいと思います。
  102. 阿部正俊

    ○副大臣(阿部正俊君) 私から全体のことをちょっとお答え申し上げます。  例がありましたら後で局長から話させますが、御指摘のとおり、やはり円借款というのは援助という枠ではありますけれども、やはり貸付けでございますので、やっぱり貸したものは返してもらうということだと思います。同時に、やはり我が国の、昔は正にそうしたこれは経済、世界の中での経済的な支援を得た国でございますので、そういう中で私どもは育ってまいりましたので、今の状況を考えますと、日本は完済しておりますので、そういう意味じゃ極めて優等生だったのかなと思う反面、それくらいの気持ちだからこそ今日の日本があるんではないかと、こんなふうにも思います。  したがって、円借款につきましては、返すんだよということを要求するのは必ずしもその国に冷たいことではなくて、むしろ自立を促していくということで初めて借款を受けるということにつながっていくんではないかと、こんなふうに思いますので、その点を重視していきたいと思っております。  具体的に言いますと、なかなかその辺、必ずしも両立しない面があるんですけれども、うっかりしますとやはり安易な借款に頼ってしまう傾向もないではないというものは、やはり私ども融資する方にとっては考えておかなきゃいかぬ点じゃないんじゃないかな、考えておかなければいけない点だろうというふうに思っております。  ただ、実際の借款に当たりましては、最初に供与するときにはその国の経済財政状況を厳重にチェックをいたしますし、実際にはJBICを通じて融資というのは多いんでございますけれども、政府間でもそれに伴って国際約束として一定の契約を、契約といいましょうか、約束をいたします。同時に、それが事業主体が政府でない場合には、政府の債務保証といいましょうかということにつきましても確認をしてもらうということを前提にしてございます。その後の事業の進行状況につきましても、先ほど局長から話がありましたように、それぞれの時点でチェックしてまいりますし、二国間で必要な協議を随時行っていくということでございます。  ただ、ほとんどのケースの場合、問題なく返済される場合が多いわけでございますけれども、ただし、急激な為替変動があったとか、ある種の金融危機のような状態があったとかいうことになりますと、どうしてもやはり返済不可能になりまして、根っこから壊れてしまう傾向が、心配もあるケースも出てまいりますので、そのときには、二国間だけではございませんで、むしろ多国間協議のような形で、いわゆるパリ・クラブというのもその一つでございますけれども、そういうことでの、やっぱり再建へ向けてのその一つの返済の在り方というのをどうするのかというふうなことでの一部債権放棄のようなことも協議しなきゃならぬケースも出てくることもあるのかなと思いますけれども、全体的には、先生がおっしゃったとおり、やはりそういったことのないようにしていきたいと。  我が国がその模範とは言いませんけれども、そうしたものを返済していくという意気込みがあってこその国づくりなんじゃないかということもまたそれぞれの国々にもお話ししながら実行していきたいと、こんなふうに思っております。  以上でございます。
  103. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 若干の今、副大臣の御答弁数字的な補足をさせていただきますと、平成十五年の九月末現在で、国際協力銀行の海外経済協力勘定でございますが、円借款の債権の残高が約十・四兆円ございます。そのうちの、今お話しのありましたリスケジュールの対象になっております元本の残高が約一・二兆円でございます。それから、債務救済無償制度を廃止いたしまして債務免除ということに至りました債権が八千億円強というのが現在の額でございます。
  104. 愛知治郎

    愛知治郎君 全体の額というのもそうなんですけれども、例えば、例えばですね、よく指摘をされる中国などにおいて、けしからぬという話もあるんですが、この国はちゃんと返すつもりがあるのか、返しているのか、そういった具体例もちょっとお伺いをしたいと思ったんですが。
  105. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  今手元に具体的な中国の数字ちょっと持っておりませんが、中国につきましては、外貨保有高は日本に次いで世界第二位でございまして、既に期限が来たものについてはきっちりと返還をしておるという実情でございます。  特に二〇〇三年度について見ますと、新規にコミットメントをいたしましたものが九百六十七億円でございますが、同じ期間に過去の円借款の返還分が千五十四億円ということでございまして、新規にコミットした額よりは中国から戻ってくる返還額の方が多くなっておるというのが実情でございます。この傾向は来年度以降も続くであろうというふうに思っております。
  106. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  この点やはり誤解があることは多いので、しっかりと、日本の国にとってのメリットが得られるんであればどんどんやったらいいと思いますし、経済発展をすることによって恩恵を受けている日本経済ということもございますので、この点しっかりとその正確な情報というか理解を求めていくように外務省としても広報活動に努めていただきたいというふうに思います。  次にですけれども、このODAの事業の実施に際して、いろんな事業を行っていると思うんですが、その発注段階において、いろんなものを作っていく、ただ、余りにもいい加減なものを作るためにお金貸してもしようがないんで、しっかりとしたいいものを、その国にとって本当に協力経済発展の一助になるようなものを作っていかなくちゃいけない。  私自身環境の問題に非常に関心を持っておるものですからこの点についても伺いたかったんですけれども、発注段階において、物を作る段階において環境基準、これを、どのようなものを、全く任意に何でも使っていいのか、それとも、これだけの枠をはめて、こういうこと、環境基準満たしたものを作りなさいということでしっかりとその要件を定めているのかどうかも含めてお答えいただきたいと存じます。
  107. 古田肇

    政府参考人(古田肇君) 御答弁申し上げます。  円借款につきましては、御質問の環境問題、これはJBICの環境社会配慮確保のための国際協力ガイドラインというものにのっとって進めておるわけでございますが、まず、プロジェクトを環境に与える影響等に応じまして分類いたしておりまして、そして、その中で影響の大きいものにつきましては環境影響評価報告書等を公開するといったような手当てを講ずるほか、具体的な融資等の意思決定の際に環境社会配慮の状況を十分に念頭に置くということにしておるわけでございます。  しからば、その環境社会配慮が適切に行われておるかどうかという基準になるわけでございますが、このガイドラインの考え方は三つのことを念頭に置いておりまして、まず第一に、相手国や関係地方政府等が定めた環境関係の法令や基準等をちゃんと守っているかどうかということをチェックをする、確認をする。二番目に、その国やその地方の環境に関する政策あるいは計画に沿ったものであるかどうかということも確認するということでございます。  ただ、他方で、当該対象国の環境の対策のあるいは法令基準等がレベルが低い場合がございますので、そういったことだけでは不十分だろうということで、さりとてこちらから特別な環境基準を押し付けるというわけにもまいりませんので、このガイドラインの考え方といたしましては、以上の確認に加えて、国際機関あるいは先進国等の基準あるいはグッドプラクティスといったようなものに照らして大きな乖離があるかどうかというものを参照することで、乖離が非常に大きい場合には、相手国政府あるいは地方政府も含めまして、あるいは借入人あるいはプロジェクトの実施主体者と十分対話を行って、背景、理由等をきちっと詰めていくと、こういうことにいたしておりますし、また、環境のレビューといったこともこのガイドラインではうたっておりまして、このプロジェクト遂行の中でのガバナンスといいますか、どのように環境配慮をマネージしているかということについてしっかりレビューしていくと、こういう考え方でやっておるわけでございます。  なお、技術協力をやっておりますJICAにおきましてもほぼ同様の内容の基準でやっておるというのが現状でございます。
  108. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございます。  ちょっと資料を配っていただきたいのですが、よろしくお願いを申し上げます。    〔資料配付〕
  109. 愛知治郎

    愛知治郎君 なぜこのようなことを言ったかといいますと、この資料を見ていただきたいんですが、これは私自身が個人的にベトナムの大使館の、これ二見さんという方なんですけれども、若い方で、一生懸命協力をしてくれた方なんですが、時間がなくて写真撮れなかったんでちょっと写真を撮って送ってくれと言って、メールで送ってくれた写真なんですけれども、ハノイの近くのファーライ発電所というところで日本のODA、円借款で造っているところなんですが、これ一ページ目のその看板です。二枚目、三枚目見ていただくと、三枚目が特によく分かると思うんですが、現地で実際のものを見てみるともっとはっきりしているんですけれども、左側、左側のちょっと煙が一杯出ているのが某国、中国の北側の国なんですけれども、その国が造った発電所ですね。右側が日本の企業の造った発電所。発電量とか効率もそうですし、環境に対して、これ技術的なものを含めて、圧倒的に日本のものが優れているというのが私の実感だったんですけれども、やはりせっかく協力をしていって、いいものを提供するべきだろうと。その国にとってもいいですし、さっき基準と言われまして、ベトナムなんかは環境の関心はまずないんですね、ほとんど。国民の皆さんは分からない。かつての日本がそうであったように。  だけれども、長い目で見るとやはりそっちの方がいいだろうということは必ず出てきますので、強制はできないということだったんですが、こういうことをしっかりと戦略的にもまた長期的にも考えた上でこのODA、有効に活用していくべきだというふうに思います。  で、この写真、わざわざ取り寄せてというか、送ってもらったんですが、向こうで現地の方が、二見さんという方がすぐに撮って、これはメールで送ってもらったんですが、あっという間にできました。その日にメールで、済みません、質問で使いたいのでお願いしますということで、向こうも協力的にすぐ動いてくれて、ボタン一つでこうやって送ってこられる。  このODAの成果、それから現状といろんな各国の事情等を検証する際、やはり圧倒的に情報が少ないんですね。現地に行って、見るというのはやっぱり一番確実な話ですし、分かりやすいんですが、こちらにいてもこういう情報をどんどん取りたい。もちろん外交関係だったらいろんな情報を全部出せないものもあるかもしれないですけれども、こういうものは幾らでも出していいと思うんですね。いろんなツールを使って我々に、また国民の皆さんにこれを知らしめると、情報が届くようにするというのは絶対必要なことだと思います。  それから、もう端的に言って、いろんな各国に大使館、領事館いろんな施設ありますけれども、コンピューターのないところはないですよね。いろんな情報を聞いたところで、数字とか、何となくこう言葉だけで言われてもよく分からない。どんなものをやっているのかとか、問題があるときはその映像を送ってもらうというのが一番早いんですね、見えやすいですし。こういうデータを蓄積するというのは十分に可能ですし、それほど手間の掛かることではないと思うんです。  外務省、特にそうですけれども、広報に関してはとても甘いと私自身思います。さっきのあの認識に関しても、正確な情報はなかなか伝わらないし、誤解がすぐ生じる。こういった努力を、取組をしていかなくてはいけないと思うんですが、この点について御所見を伺いたいと思います。
  110. 阿部正俊

    ○副大臣(阿部正俊君) 愛知先生からお取り上げいただきまして、恐縮でございます。  一般論的に言いますと、どうも決算委員会というのはおしかりを受けるのが普通でございまして、お褒めいただいたようなことは珍しいんじゃないかなというふうに思いますんですけれども、ただ、ベトナムの発電所の建設について、こうしたふうな明確な形で先生の目に届いたということは、外務省としても非常に希有な例ではなかったかなと。一般論ではまだまだやはり広報につきまして不十分な点があります。  ただ、まあ例えばODAの白書というのがございますが、あれはちゃんと全部フロッピーに入っていまして、いつでも出るようになっておりますけれども、そうしたふうな媒体の活用なども含めて、適時適切に、特に映像による何というか啓蒙といいましょうかPRといいましょうか、というものは大変重要だなというふうなことで、先生のお褒めというのは何も、言わばお褒めいただいたということで喜んでいるんじゃなくて、人を喜ばして一層働かせるというふうな励ましだと思って受け止めさしていただきたいと、こんなふうに思います。ありがとうございました。
  111. 愛知治郎

    愛知治郎君 今お褒めという話があったんですが、別によいしょしているわけじゃなくて、いいものはいい、駄目なものは駄目、しっかりとそれは是々非々でやっていきたいというふうに思っているだけの話でございますので、いいことはどんどん前向きに取り組んでいってほしいというふうに思います。  最後にですけれども、私自身がベトナムに行ったこれは感想なんですが、発展途上国ですけれども、これからどんどん伸びていこうと。これ財務大臣に、驚かないでくださいね、事前通告していない質問、見解をちょっとお伺いしたいと思ったんですが、非常に活力にあふれている国だと思いました。確かに、日本と比べると、貧しいですし、物なんかもないですし、まだまだ生活のレベルは低いし、だけれども皆さん、その国民の一人一人の目が全然違うんですね。何かというと、夢も希望もあって前向きに進んで、これからどんどん発展してやろうという、そういう活力にあふれている。確かに数字からいえば日本の方がはるかに恵まれて、今いい国だと思いますけれども、感情的に国として本当に日本の方がいいのかな、実際あのベトナムが、これからやってやるぞという国の方が幸せなんじゃないかというふうに思えるんですね。  やはり、どんどんこの国もまた目標を持って前向きに進んでいかなくちゃいけないと思うんですが、財務状況に関しても同じだと思うんですね。というのは、もちろんしっかりとした健全な財政、築き上げていかなくちゃいけないんですが、殻に閉じこもって全部縮小していっただけ、押さえ付けただけでは決して先に進めないですし、会社なんかもそうですけれども、借金を返すためには前向きにどんどんどんどん新しいことをやっていかないと、殻に閉じこもっていてもこれはもう最終的に破綻するのを待つだけ、座して死を待つという、そういう形しかないので、前向きなことをどんどんしていかなくてはいけないというふうに考えております。  今、私自身、大変残念なんですが、昨今後ろ向きな話ばかり、もちろん問題点指摘するのは大事なんですが、指摘をしてあれもこれもけしからぬと言っているだけで国が先に進めるんだったら、とっくに良くなっていると思いますし、先に進むための前向きな議論というのはどんどんしていかなくてはいけないと思います。その点、今、いろんな問題ありますけれども、これからの姿勢というか、私自身も二十一世紀になってから国会議員になりましたけれども、先に進むために必要な改革をしようと、そういう思いでここに来ているのもあります。  だから、問題点、しっかりと整理しながら先に進むというその考えですね、財政状況も踏まえて、国を作っていくということを踏まえて、大臣の所見をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  112. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 突然御指名がありましたので、どう答えようかなと迷いながら伺っていたんですが、今、愛知委員のおっしゃった後ろ向きのことばっかりやっていても意味がないぞというのは、私は正にそのとおりだろうと思います。財政がこれだけ赤字があって立て直さなきゃならないというと、とかく発想が抑えよう抑えようと。それは抑えなきゃならないところは抑えなきゃなりませんけれども、やっぱりそういうことを通じて本当に二十一世紀の持続可能な歳出構造を作っていくんだという意識でなければ、削るだけじゃけちだと言われるだけで終わるわけですから、財務大臣やっていても何のやる気も起きないと、こういうことになりはしないかなと思います。やっぱり、私は新しいものを作るという気持ちが必要だろうと思います。  それで、今、ベトナムの非常に目的意識にあふれた国づくりのことをおっしゃったと思います。私自身もあの辺りに伺いますと、非常にやっぱり意欲に満ちて国づくりをしておられることで感銘を受けることがございます。ODAに関してもいろんな議論がございますけれども、やっぱり必要なものは必要だというふうに私は思っておりますので、将来の日本の、何というんでしょうか、進歩につながるようなことを財政の面でも少しでもできればと、こう思っているわけでございます。
  113. 愛知治郎

    愛知治郎君 ありがとうございました。
  114. 小林温

    小林温君 小林温でございます。  私、今、自民党の副幹事長というのをさせていただいておりまして、青木幹事長の隣にいるわけでございますが、決算決算と、参議院決算だと、こういつもおっしゃられるわけでございます。鴻池先生にも委員長をお務めいただいて、予算決算サイクルの迅速化ということに参議院が取り組んでおると。特に、税金の使い道にやはり国民の関心が集まっているという現状において、参議院の独自性の発揮という意味でもこれは非常に意義のある取組だろうというふうに思うわけでございます。  今日は、財務大臣とも何度か議論させていただいておりますが、e—Japan戦略の中で電子政府の構築計画に係る予算決算サイクルの在り方について質問をさせていただきたいというふうに思います。  実は、五月十七日、月曜日の朝日新聞に、国税庁の国税総合管理システム、いわゆるKSKシステムと呼ばれる、これは全国五百の税務署を結ぶコンピューターのシステムでございますが、この発注システムを、あるいは契約のシステムを見直すという記事が載っております。現行のシステムは随意契約中心で、これはその記事をそのまま引用しますと、開発費に当初の見込みの七倍から十倍の三千億円ぐらい掛かっていると。今の我々e—Japan特命委員会というところでも刷新可能性調査というのを今三十六システム、中央省庁の大きなシステムについてお願いをしているわけですが、そういうシステムの更新需要があって、そういう調査を行った結果、システムの効率性、経済性の向上あるいは調達の透明性の確保等を目標にシステムの見直しを行うことになったと、こういう記事でございます。  ここに、例えば十倍とか三千百七十四億円、あるいはこれ、システムの維持や手直し、運用費も含めて四千五百億円という数字が実は躍っているわけでございますが、この数字の中身について具体的に国税庁の方から御説明をいただければと思います。
  115. 村上喜堂

    政府参考人(村上喜堂君) お答えいたします。  新聞報道でいろいろ数字が出ておりますが、必ずしもどういう根拠でその数字が報道されておられるのかよく分からないんですが、読んでみますと、八九年度から完成までの開発費として三千百七十四億円投じられたというくだりがございます。この開発の定義がちょっと不明でありますが、そのKSKシステムというのは、平成元年から全国拡大が、一応これは順次拡大してまいりましたので、平成十三年まで掛けて開発しつつ運用してきたわけでありますが、その総額、当初予算ベースで累計額が三千百七十五億であります。したがって、恐らくそのすべての事業費とちょっと混同されているんではないかと思います。  ということで、したがいまして、三千百七十五億のうち大宗はそのホストコンピューターの借用であるとか、これは全国のすべての税務署に職員の机上に端末機を配置しておりますから、そういった借料がかなり大きなウエートを占めております。  開発費は、当初からその開発費が幾らというのは必ずしもありません。毎年毎年予算要求して査定をいただいているものでありますから、したがいまして当初から何倍になったという数字はございません。  なお、四千五百億という数字でございますが、これはさらに、現在までの、十六年度予算までの当初予算を累計しますと四千六百八十七億という数字になりますので、恐らくその数字を指しているんではないかと思われます。
  116. 小林温

    小林温君 実は、このKSKのシステムについては、先ほど申し上げた、自民党内のe—Japan戦略特命委員会というところでも何度か取り上げさせていただいて、問題にもなっていたわけでございます。このシステムの受発注については、銀座にあるある文具屋さんが元請になって、大手のベンダー六社がこの下請に入っているというものでございます。  今回のその見直しに当たっては、繰り返しになりますが、システムの効率性あるいは経済性の向上と併せて調達の透明性の確保のためということが言及されているわけですが、これは裏を返すと、今のこのシステムは実はそういったものが担保されていないという読み方もできるわけですが、ただ、これ、同僚の松井議員が決算委員会の中でも取り上げた、例えばデータ通信役務契約という大きなシステムの契約方法もあるわけですが、予算制度が単年度であるとか、あるいは使い残すと予算削られる、シーリングがある、あるいは、どうも公共事業的な積算方法など、こういう大型の情報システムの発注、契約に当たっても、どうも柔軟性が予算措置の中で認められていないという中で、ある意味で言うと、要求官庁側と査定当局側が知恵を絞った結果がそのデータ役務通信契約であったり、今回のような、少しどういうことなのと言われざるを得ないような契約の形態なんだろうというふうに思うわけです。  しかし、やはり財政再建、これが国家の大目標でもございますし、あるいは税収が伸び悩む中で、効率的な予算編成、執行ということが国民の関心事になっているという状況を考えますと、やっぱりこういう受発注の契約自体というものがもはや説明の付かないような事態に直面しているんだろうということは明白なわけでございます。  この記事の中では、その国税庁の会計課長さんが、世間に説明が付く開発体制が必要と考え、一括発注方式を見直したと、こういうコメントも実は載っているわけでございますが、このことについて、財務省は、この八九年以降の毎年度のKSKシステムの予算の査定において、今まで、この在り方を前提としてその機能追加、開発費の増加というものについても合理性を認めてきたというふうに私は解釈するわけですが、そういう認識でよろしいでしょうか。
  117. 佐々木豊成

    政府参考人佐々木豊成君) お答え申し上げます。  KSKシステムに係る予算につきましては、平成元年度よりシステム開発を開始いたしまして、平成十三年度に全国拡大を完了して現在に至っております。  査定当局といたしましては、このKSKシステムの導入につきまして、年々増加する申告件数への対応、あるいは限られた定員事情下で対応していかなきゃいけないという事情、それから国税事務の効率化、合理化のためにはこういうシステムは必要不可欠なものであると考えて査定をしてまいりました。  このような事情をまた踏まえまして、KSKシステムの機能追加等に係る予算につきましては、その要求を受けまして、必要性、導入効果等を検討の上、予算措置を行ってきたところでございます。
  118. 小林温

    小林温君 そういうお答えだろうというふうに思います。  この記事のKSKシステムについても、だれに責任があるのかということを問うよりも、やはり今この決算委員会でも取り組んでいる予算決算サイクルというものをいかに適正に行っていくかという中で、その発注官庁、言い換えれば要求官庁、それから査定当局である財務省、今日はおいでいただいておりますが会計検査院、それから国会予算決算のそれぞれの委員会の機能、こういうサイクルの中で、だれがこういう見直しのイニシアチブを取ってきたのか、あるいはこれから取っていくのかという課題なんじゃないかと、こういうふうに私は実は理解をさせていただいているわけでございます。  そこで、今財務省にお伺いをしたのと同じ質問でございますが、国税庁のこのKSKシステムについて、会計検査院としてはどのような検査をされてきたのか、八九年以降、お伺いをしたいと思います。
  119. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 今お話しの国税庁の国税総合管理システムにつきましては、その予算額が多額に上っているということもございますので、従来から、例えば機器の仕様や構成は適切か、あるいは予定価格の積算は適正かなどに着眼して検査実施してきたところでございます。  ただ、これまでこのKSKシステムを個別に取り上げて指摘事項として検査報告で掲記したことはございませんけれども、今後ともそのKSKシステムにつきましては十分な関心を持って検査をしてまいりたいというふうに考えております。
  120. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 森下院長、御答弁ありますか。
  121. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) これまでの検査の経過につきましては、ただいま一局長の方から答弁を申し上げたわけでございます。  私どもは、こういうIT予算が大変近年急激に増えてきているということから、いろんなノウハウ、検査のノウハウなどを工夫しながら検査をやっていきたいというふうに考えているところでございます。
  122. 小林温

    小林温君 国税庁のシステムを含めて、党として今三十六件の刷新可能性調査というのをお願いして、十二件、十五年度末までに調査を終了していただいているわけでございます。  それぞれ中身を拝見をさせていただくと、それぞれの省庁はこれは真摯に対応をいただいていると。そして、その結果を、これも我々がお願いをしてCIO補佐官というものを各役所に置いていただくことになりました。これは、専門家の目から見てそれぞれのシステムが妥当性を持ったものか、コスト的に、機能的にということをそれぞれアドバイスする担当の方を外部から各役所に張り付けていただいて、その補佐官会議というものを行っていただいて、その中で議論していただいている。この議事録等も読ませていただくと、非常に役所の枠を超えて、お互いに、ある意味でいうと、これはよくない、もっと突っ込めるんじゃないかと、こういう実は踏み込んだ議論もしていただいているわけでございます。これは国税庁のシステムについても同じでございますが。  ですから、今日の私の質問の核心は、財務省が、あるいは今会計検査院も、これまでの予算審査では合理性を認めてきた旧来の受発注のシステム、特に大きな情報システム、コンピューターシステム、これが今回の刷新可能性調査の結果の中にも如実に現れているように、どうも時代に合わなくなってきたんじゃないかという例が見られるようになってきているわけでございます。これは、政府全体としてシステムの開発手法あるいは契約方法等について見直しを図る、ある意味でいうと、財務省としては予算編成への取組方についても、あるいは会計検査院としては会計検査の在り方についても、そういう大きな転期を迎えている、こういうことだろうというふうに思うわけですが、そのことについて、背景あるいは事情というものがどういう形で存在しているかということについて財務省の見解をお伺いしたいと思います。
  123. 佐々木豊成

    政府参考人佐々木豊成君) 最近の大きな転換についてのお尋ねでございますが、従来、政府の情報システムの開発、運用に係る予算に関しましては、その必要性やコスト等を吟味して予算査定を行ってきたところでございますけれども、近年の技術革新の急速な進展というものを背景に、特にレガシーシステムと呼ばれる大規模な旧式システムにつきましては、追加開発や運用に要する毎年度のコストが割高な水準にとどまっているのではないかという指摘が多く聞かれるようになっているものと承知いたしております。  こうした状況の下におきまして、昨年七月に取りまとめられました電子政府構築計画におきまして、自民党e—Japan重点計画特命委員会及び同戦略強化チームにおける議論を契機として、より簡素で効率的な情報システムの実現に向けて各府省でレガシーシステムの見直しに向けた行動計画が策定されているところでございまして、先ほどお話がありました、また刷新可能性調査が各府省で順次行われているというところでございます。  また、電子政府構築計画におきまして、情報システムの活用による行政運営の簡素化、効率化、合理化に向けて、業務の最適化やシステムの統合化等を内容とする最適化計画を各府省で平成十七年度末までに順次策定するということとされております。こうした取組を通じまして、政府全体として効率的な情報システムの構築に向けた動きが進展しつつあるものというふうに認識いたしております。
  124. 小林温

    小林温君 お取り組みをいただいているというのはいろんな機会を通じて質問もさせていただいたり議論もさせていただいて理解するところでございますが、もうちょっとスピード感があってもいいのかなという気がするわけでございます。  そこで、財務省としては、今の大きな転換期を迎えているという御認識を持たれている中で、今どのような体制で、例えば主計局の人員ですとか、どういう専門的な査定の体制をしいていらっしゃる、あるいは外部知見を活用されているという、そういう今の現在の体制についてお伺いをできればというふうに思います。
  125. 佐々木豊成

    政府参考人佐々木豊成君) 情報システムに係る予算の査定の体制の御質問でございますが、現在、情報システム関係予算につきましては、毎年度の予算編成過程におきまして担当府省ごとに査定を行うということとともに、総務省行政管理局等の意見などを踏まえまして、府省間における重複投資の排除、それから過大なシステム開発・運用経費の是正、縮減などの観点から横断的なチェック、各府省横断的なチェックも行っているところでございます。  財務省といたしましては、各府省において行われております刷新可能性調査の結果や、今後の業務効率化に向けた検討等を踏まえた最適化計画の内容を踏まえ、効率的なシステムの構築、運用に向けて今後どのような手法を取るべきかについて引き続き各省庁との間で十分に議論を行い、限られた財政資金の中で予算の効率化に努めてまいりたいと考えております。
  126. 小林温

    小林温君 同じ質問なんですが、会計検査院ではこの新しい状況に直面して、情報システム関係予算の会計検査についてどういう体制で臨まれていらっしゃるのでしょうか。
  127. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 会計検査院といたしましても、このIT社会の形成が国家戦略として位置付けられており、引き続き多額の予算執行が見込まれるということを踏まえて、今後、例えば検査能力の一層の向上のためにはやはりいろんな研さんを積まなければなりませんし、それから技術の進歩や各省庁における対応状況を的確に把握することに努めて、さらにそういう専門家要員の採用といいますか、そんなことも念頭に置いて適切な検査を進めていくように努めていきたいというふうに考えております。
  128. 小林温

    小林温君 財務省からも会計検査院からもお答えいただきましたけれども、これもかつての議事録にありましたが、八十兆とか、例えば財務省でいうと一般会計で、特別会計も含め二百兆というその予算を扱う中で、主計局の担当官というのは三百人とか三百五十人しかいないわけですね。しかも、特にこのITの分野においては、専門性あるいは新しい科学的な手法がすごいスピードで開発されているわけでございまして、そういったものをどう活用していくのかということだと。  当然、財政再建という大命題の旗振り役である財務省でございますので、いろんな問題は当然あるのは私は認識をしておりますが、主計局も検査院も、もちろん要求官庁も、この部分についての人員の増員であるとか体制の整備、あるいは、まあそれが無理ならアウトソースとかコンサルティング等の外部知見の活用というものをもっと積極的に要求をしていただいて進めていただくというのが、私は大変今重要な課題だというふうに思います。  今、我々e—Japanの特命委員会では、刷新可能性調査によって新しくシステム開発する場合には、三〇%とか五〇%ぐらいのコスト削減を達成してくださいという、こういうROI、リターン・オン・インベストメントの、こういうメジャーメントを入れてくれということも実は言っているわけですが、そこまではいかなくても、このIT予算、今中央省庁だけでも年間数千億あるわけですが、一〇%削減が可能なら、仮にこの財務省の主計局、会計検査院あるいは担当省庁で数百人単位で増員をしても、それはお釣りが来るわけでございます。そして、民間ではこういうことが当然日常的に行われ、業務革新の中で競争力を付けているということが行われているわけでございますので、これは財務大臣にも後ほどまたお願いしたいと思いますが、財政再建を実現するためにこそ、こういった部分に重点投資をしていただくということをお願いをしたいというふうに思うわけでございます。  そこで、少し中身の議論をさせていただきたいんですが、国税庁のシステムですが、今回、システムの効率性、経済性の向上のためにはオープンシステム化を図ると、それから調達の透明性の確保あるいはそのシステム開発の管理のためにプロジェクトマネジメントという手法を導入をしていくというふうに刷新可能性調査の中で書かれているわけですが、このプロジェクトマネジメントというのは、元々アメリカの国防総省が大規模な予算やプロジェクトの管理をするために費用と時間を徹底的に管理しようと、こういうふうに開発された手法で、科学的な手法でございまして、このプロジェクトマネジメントを日本予算編成システムの中に、これは今まで実は公共事業等には一部入っていたわけでございますが、このITシステムの分野においてもこれを導入していくというのは大変私は、遅きに失した感もあるわけでございますが、大きなステップだというふうに認識をしております。  この点、少し具体的に国税庁の方から中身について教えていただければと思います。
  129. 村上喜堂

    政府参考人(村上喜堂君) お答えいたします。  国税庁のKSKシステムにつきましては、平成十三年以降、順次可能なものから随契を見直しまして一般競争入札化を図ってきたところでありますが、ただいま財務省の方から答弁ございましたように、今政府全体としての取組としてレガシーシステムの見直しに取り組んでおります。KSKシステムにつきましても、先般、外部専門家によります刷新可能性調査を実施させていただきました。その提言を受けまして改革可能性を検討いたしまして、オープンシステム化の推進、これは若干順次になるかと思いますが、そういうオープンシステム化の推進であるとかプロジェクトマネジメントの導入、そういう提言をいただいたところであります。  したがいまして、その調査結果を受けまして、国税庁といたしましては、その発注方法の見直しとしてのプロジェクトマネジメント業者を導入するなど、改善に取り組んでいきたいと考えております。
  130. 小林温

    小林温君 これは多分、今回の刷新可能性調査の中でもプロジェクトマネジメントという発想を取り入れていくというのがこのKSKのシステムでございますので、正にこれがモデルになるような形で是非成功させていただきたいというふうに思います。  こういう手法を導入するということは、繰り返しになりますが、情報システムの開発に関して、システムのライフサイクル全体、つまり企画から発注から、そして調達、運用、そして廃棄に至るまで、一つのシステムができてからもう最後、次のシステムに移行するまでの間に全体にわたっていかにその進捗状況の管理を行えるかと、これはコスト面でも機能面でものわけでございますが、こういう取組だろうというふうに認識をしているわけでございますが、それに合わせて当然、投資対効果も考えた上で複数年度にわたるライフサイクル全体の予算措置というものが必要になってくるわけでございます。  財務省には、今年度予算においても、ニュー・パブリック・マネジメントの考え方を入れていただいて、モデル事業を利用して、五件だと思いますが、複数年度予算予算措置の柔軟化にお取り組みをいただいているわけでございます。  しかし、やっぱりこれは、財務省の事務方の方とも議論させていただきますと、やっぱりスタートラインはどうしても財政単年度主義なんですね。憲法の八十六条に書いてある、あるいは財政法の十二条に単年度主義というものが明記をされているわけで、そこからがスタートになってしまう。どうしても特例として複数年度予算を含めた予算の執行の柔軟化というものが取り扱われてしまうわけでございます。  しかし、その一方、単年度の予算主義というものが会計執行の現場では障害になっていることもこれはいろいろ報告をされているわけでございますし、このKSK始め情報システムの予算措置についてもそういう例が散見をされるわけですが、これはある意味でいうと、私は、昭和二十年代、三十年代に規定をされた財政法の想定していなかった現代的な課題なんじゃないかと、こういうふうに思うわけでございます。典型例としては、この情報システムもそうでございますが、非箱物についてどういう予算措置が可能なのかということでありましょうし、つまり単年度でいろんな障害が報告されている。それからもう一つ挙げますと、例えば、民間とか海外と日本の官庁が行う各種の事業というのはいわゆる会計の制度が違うためにいろいろやりづらいということも実は言われているわけでございます。  ですから、先ほどモデル事業の話もさせていただきました。財務省からもその前向きな取組もいただいておりますが、繰越明許であるとか国庫債務負担行為、こういう制度を使って複数年度化を実現してモデル事業も進んでいるわけでございますが、先ほど来申し上げているように、情報システム、特に大きいものについては実質単年度のものというのは実は一部でございまして、ほとんどはライフサイクルコストで見て複数年度で予算措置をして、それに対して評価をしていくと、こういう方が実は妥当性があるんじゃないかというふうに私は思うわけでございます。  先ほどは現代化という話をしましたが、経済社会のソフト化に対応するために、私は、モデル事業という言い方をせずに、少なくともレガシーを始めとする情報システムの開発の予算措置については、これは原則がもう複数年度の予算だというぐらいの取組で、財務省とそして要求官庁の間でこれからいかに効率的な予算措置があるべきかという議論を進めていただきたいと思います。  財政再建というのはかつては不人気だったわけでございますが、今は国民がそこに期待しているところでもございますし、しかもこれはいわゆる、例えば電子政府の進捗というのは、進展というのは国民に対する行政サービスとかあるいは顧客満足度、住民満足度の向上というものにもつながるわけでございますので、ここは財政再建という観点のみならず、国民に対するサービスを財務省が更に向上させていくという観点からも、是非こういう取組については、更にもう三歩、四歩進んだお取組を是非お願いしたいということを財務大臣に最後にお願い申し上げて、少し御意見をお伺いしたいと思います。
  131. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 小林委員が、e—Japanの特命委員会の中でこの問題、大変熱心に取り組まれまして、予算委員会でしたかね、パネルもお作りになって質問をしていただいたこと、我々の記憶にもまだ新たなところでございますけれども、大変その予算の刷新、特にこのレガシーシステムあるいはIT等の大規模なシステムをやるときにはもうちょっと今の単年度主義という頭から抜け出せという御指摘は、私はもっともなところだろうというふうに思います。  ただ、さっきおっしゃいましたように、憲法上はやっぱり単年度主義が原則、財政法はそういう原則でできておりますし、毎年毎年、国会の御審議をいただいて作っていくという原則を、これはそう簡単に投げ捨ててしまうわけにはやはり私どもとしてはいかないわけでありますけれども、今おっしゃったように、結局、こういう単年度主義が取られましたのも、かつて軍事予算等を先のものまでどんどん作ってしまって、後、こう負担になってのし掛かってきたと、そういうような反省もあったと。結局、財政の健全性をどう保つかという、一方で、国会審議における民主制という、民主的な財政という要請もありますけれども、同時に、財政の健全を、健全性を保つにはどうすればいいかという問題意識もあったんだろうと思います。  したがいまして、現代的に言えば、このレガシーシステムのようなもの、あるいは大規模なITシステムをやるときには、繰越明許費であるとかあるいは国庫債務負担行為等もうまく活用して、もちろん、そのためには、このいわゆるニュー・パブリック・マネジメントで強調されるような明確なやっぱりアウトカム目標を作って、そして事後の検査を、事後の評価をきちっとやっていくということ抜きではこれはできないと思いますけれども、私どももこれは大いに、実験的と言ってはなんですが、うまく使っていきたいと考えておりますので、今後とも各省庁、このような問題で予算要求がありますときには、よくまた御相談をして制度を活用できるような心構えで臨みたいと思っております。
  132. 小林温

    小林温君 ありがとうございました。
  133. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  しつこく、しつこく特別会計についてお伺いをしてまいります。  一年前、当委員会で私、検査院などに、十三年度決算ベースで産業投資会計についてただしました。  実は、検査院は、その前の十三年度検査報告で特別会計について全面的に分析をし、発表をされたわけですね。その中身は、今日の財政審議会特会小委員会報告であるとか、そしてまた、財務省改革案へとつながるような特別会計の様々な問題点を明らかにされておったと、こう思います。その言わば最大の指摘一つでもある産投特会の出資金の毀損について検査院はどのように指摘をされてきたのか、その要点をもう一度お話しください。
  134. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 今お話しの十三年度決算検査報告におきまして、産業投資特別会計について、その現状がどうなっているかということを個別の決算ということで掲記したところでございます。  その中で、産業投資勘定が出資している投資先の各勘定別の財務状況につきまして、通常BS、民間BSに基づいて純資産資本比率、産投出資金の欠損金相当額等を算出し、比較検討を行ったということでございます。  この中の通常BSといいますのは、毎年度、特殊法人等の設置法等の規定により作成しているものでございまして、その作成に当たっての会計処理というのは、昭和六十二年に制定された特殊法人等会計処理基準によることとされております。また、民間BSといいますのは、企業会計原則等に従って作成することとなりました行政コスト計算書の添付書類の一つでございまして、これも作成指針により作成された民間企業仮定貸借対照表のことでございます。これは国民の将来の負担や内在的な損失等を含めて当該特殊法人等の業務運営に係る国民負担を明確にするというために作成されたものと承知しております。  この民間BSに基づきます十三年度末の産投出資金の欠損金相当額につきましては、その合計で六千百九十五億円、そのうち最も金額の大きいものは基盤技術研究促進センターでの二千六百八十四億円となっているという旨を記述したところでございます。
  135. 又市征治

    ○又市征治君 この次の二〇〇二年度において、そういう検査院報告は政府に反映をされ、あるいは産投勘定は改善されたかどうか。  そこで、今回、私は、前年度の検査院報告と同じ様式で一覧表を作ってみました。これは、お配り、行っていますか。  産投勘定の出資先が三十五もありますから字が大変小さくならざるを得なくて見にくいんでお許しいただきたいと思いますが、欠損額の大きな順に並べてみました。  一番は今出ました基盤技術研究促進センターで、欠損額は民間BSベースで二千七百四億円。この団体は、二〇〇三年三月、法律で解散をさせてしまったわけですね。欠損額の大半はそれで消えてしまったんですけれども、一部を継承したのが、この表でいいますと十九番、経済産業省の新エネルギー・産業技術総合開発機構と十五番の総務省の通信・放送機構、ここに一部継承されている。しかし、この二つの機構も、ごらんになったとおり既に欠損を出しているわけです。例えば通信・放送機構は三つの勘定を合わせて百九十三億円、欄外に書いておりますけれども、であります。  私は、このことは昨年から、禁治産者が自分より大きな赤字を出しているつぶれた団体を吸収するなんてあり得ぬのじゃないのかと、こう指摘をしてきたんですけれども、そこで検査院にもう一つ伺いたいんですが、あのときの検査報告から一年たったごらんの表で、産投特会の出資金ばらまき体質というのは改革されたと言えるのかどうか、あるいは現在までを含めて検査院がいろいろと重ねて警告を発してきた案件が現時点でどの程度改善をされたというふうに検査院としては評価をされているのか、その点をお伺いします。
  136. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 先ほど申し上げましたように、十三年度の状況ということについてはかなり中身に入りまして分析を行ったところでございますが、十四年度について十三年度同様の分析を行ったということまではいたしておりません。  したがいまして、仮に、この中にあります、資本金に対する純資産額の比率であります純資産資本比率というものについて見ますと、若干、端数処理の方法によって若干の変動はあり得ようかと思いますが、十四年度の比率が十三年度を下回っているというものが全三十五勘定中二十四勘定ということでございまして、出資先の多くで今言いました純資産資本比率が低下している状況というものは見受けられております。
  137. 又市征治

    ○又市征治君 そこで、大臣にお伺いをするわけですが、今の検査院の指摘も含めて、遅々としてやはりこの改善がどうも進んでいない、こんな感じを受けてしようがないんですね。検査院の特集の後、財政審の特別会計小委員会報告もあったわけですけれども、その後どうも財務省に、手に戻ってからむしろ改革の規模やペースが落ちたんではないのかという感を私はぬぐえないんですよ。  そこで、お伺いをしていくわけですが、一つは、先日、私への大臣答弁で、投資の三分の一は回収しているからいいんだと、こういうふうにおっしゃった。端的に言うとそういうことなんですね。  じゃ、BSで見た出資金の状況はどうか。この表の下の方を見ていただきたいんですが、BSが赤字になっていないのは三十五の勘定のうち下の方の七つだけなんですね。七つだけ。うち四つは銀行や金庫ですから、これはお金を貸して返ってくるのが正常な経営ですから当然のことなんですね。これが投資という言葉の文字どおりの姿かもしれません、銀行なんかに貸すというのは。あとの大多数、一番から二十八番までがむしろみんな欠損です。結局、産投勘定は大多数の赤字団体を主たる相手にして回収されない投資を毎年重ねているという、こういう構図になっているんじゃありませんか。この点、どういうふうにお考えですか。
  138. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 委員が大変精密な資料を作っていただきまして、確かにこの資料の中にもございますように、三十五機関勘定の中の六機関、これは国庫納付配当が行われている。四四%というふうにこの前も申し上げましたけれども、それはそうなんですが、あと二十九機関は、機関勘定についてはそうなっていないと。  誠に私は残念なことだと思っておりますが、これも出資回収不能ということではないと思うんです。将来のリターンを期待し得ることだろうと思っておりまして、ただ御指摘のように、産投機関のこの大半が収益を上げていないということが事実でございますから、各機関各省庁に対しまして、前回も御答弁を申し上げましたけれども、出資の実行であるとか決算であるとか、いろんな機会をとらえまして、モニタリングも行っておりますし、政策目的に沿った運営が行われるように要請しているという言葉の意味は、要するにこれは元々リターンが期待できないようなものにはこの資金は使えない、だけれども一般の民間に行わせるにはちょっとリスクが多くてきついなという、言わばかなり難しいところをねらっている制度であることも、委員がここのところを心配しておられるということは私もよく分かります。  ただ、要するに政策目的に沿った運営をするようにというのは、やっぱりリターンというものを出すような運営をしてくれということは今までもこれは機会をとらえて要請をしてまいりました。  それから、追加出資につきましても、収益性といった観点から、これまで以上に厳格な精査を行うようにしておりまして、十六年度予算につきましては、研究開発法人につきましても出資総額を縮減するというようなこと、あるいは外部有識者で事業評価体制というものを強化してもらうというようなことを工夫いたしまして、収益性の向上を何とか図りたいと考えているわけでございます。    〔委員長退席、理事岩井國臣君着席〕
  139. 又市征治

    ○又市征治君 もう一つ大臣に伺いますけれども、今も出ましたが、政策目的なら赤字でもやむを得ないという、こういう言葉の意味についてですけれども。  大臣のこの発言は、一般会計について言っているなら私はよく分かります。いずれにしても、福祉だとかあるいは道路だとか河川だとか、こんなのは直接リターンのない支出をこれは国民全体の税負担で行うのが一般会計なわけですから、そういう意味では分かります。ただ、ただし、それだけに国民の厳しい監視の目にさらされているというのがまた一般会計でもあると、こういうことだと思いますね。本当に正しい政策目的があり、赤字というか、リターンのないのを覚悟なら、元手になっている財源も含めて一般会計に戻して行えばいいんじゃないのかと、これは私はその点一貫して申し上げてまいりました。  そこで、またこの産投から出資の法人三十五勘定の中にも一般会計から重複して補助金などの支出を受けているところもたくさんあるんじゃないですか、これ。あるいは、別の特別会計からも重複して出ている。例えば、新エネルギー機構へは、この表のほかに経済産業省が電源特会から補助金で四百七十二億円、これは今年度予算ですけれども、四百七十二億円今年度予算で出しているわけですよ。  まず、こうした、もうあっちへ行ったりこっちへ行ったり、また一般会計からも入れたりと、こういうことについてはもっと整理合理化を私はすべきじゃないのか。ここら辺のところを、せんだっても大臣も、やっぱりもっと厳しく特別会計全体をやっぱり見直して、切り込んでいくところは切り込んでいく、整理合理化をやっぱりしなきゃいかぬところはしていく、こういう答弁なさっているわけですが、今申し上げたこういう点で、産投からもう出資している三十五勘定の中でこういう重複など、こんなことやら、あるいは一般会計から出してきているとか、こんなのはもうちょっとやっぱり整理合理化すべきじゃありませんか。その点、どういうお考えですか。
  140. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) お答えをいたします。  先ほど大臣答弁いたしましたように、産投会計で出資いたします場合は、民間だけで十分にリスクが取れない場合、ただリターンは期待できると、こういうことでございますけれども、他方、補助金で関与をいたします場合は、当該事業の収益性のいかんにかかわらず、反対給付を求めることなく資金を交付するということで、両者の性格は基本的に異なっているということかと存じまして、どちらか一方に整理するというのはなかなか難しいかなというふうに考えます。  ただ、この産投出資の機関で補助金を受けていると。これは当該機関の収益性を補完しつつ政策誘導を行うという趣旨かと存じますので、産投出資と補助金と両方受けているということについて、合理性はあるというふうに考えております。
  141. 又市征治

    ○又市征治君 言っている意味、もうちょっとしっかりいただきたいと思うんですが、前回、五月の十日ですけれども、大臣は、特別会計も含めて徹底した歳出合理化をしないと財政の持続性が達成できない、十六年度もやったけれども更に引き続いてこれはやっていく、こういう答弁や、あるいは各特会の性格をよく見ながら徹底的な切り込みを行っていきたいと、こんな答弁なさっているわけですね。  こうした今までなかなかこの決算でも特別会計というのは余りやられてこなかったということは、これは前の大臣も言いまして、ここらのところは、だから、もっともっと財政厳しい状況の中でやっていくべきだということで私はこれ取り上げているわけですけれども、今申し上げたように、是非、ここらのところは整理合理化やるべきものはもう徹底的に見直して切り込んでもらいたい、このことをまずしっかりお願いをしておきたいと、こう思います。  そこで、次に移りますが、財政の原則はやはり何といっても単一会計であり、透明性の観点からも一般会計に集中するのが望ましいと。これは昨年四月の財政審特別会計小委員会でも出されている発言ですね。産業投資と銘打った特別会計で、政策目的と称して特定の財源をやっぱり費用対効果の評価もしないでどんどん注ぎ込む、聖域化の隠れみのになってしまっているという、こういう指摘がやっぱりあるわけです、専門家の中からも。私も、その点申し上げてまいりました。だから、塩川さんおっしゃったように、いわゆる離れですき焼き状態だと、こう言われていることの意味なんだと思いますね。  政策目的という名で、特別会計による歳出を固定化あるいは既得権益化する、またそれを安易にするための特定の国家財政の囲い込みを、まずは隗より始めよで、私は、財務省所管の産投特別会計から率先してここらを見直しをやるべきじゃないか、こう申し上げているわけですが、この点について、大臣、いかがですか。
  142. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 又市委員がこの問題に大変熱心に取り組まれているのは、私は心から敬意を表したいと思っておりますが、先ほど、私が政策目的だったら赤になっても仕方がないと言っているというのはちょっと誤解をされておりますので。  私は、確かにこの制度は、委員が御心配になっているように、収益を上げろ、ただリスクはあるんだぞ、一般じゃやれないぞという、かなり難しいところをねらっている、なかなかその意味では難しい制度だということは私、認めておりまして、それだけに、委員のおっしゃるように、やっぱり費用対効果とか、おっしゃるような、何というんでしょうか、投下した資本が十分その効果を上げているかとかいうようなところはやっぱりきちっと見ていかないと、政策目的だから、難しいところをねらっているんだから、うまくいかなくてもいいんだなんという発想になったら、この制度は私はいかぬと。その点では、委員と全く共通の認識に立っているつもりでございます。  ただ、もう、まず隗より始めろで、これやめろという御指摘でございますけれども、これは繰り返し申し上げておりますが、やはりある事業の目的によっては独立で、一つの特別会計にした方がいい場合というのは、これは私はあると思うんです。特に、出資の性格であるとか、それから財源の特定性であるとか、それから出資の管理といった点を踏まえますと、これは一般会計と区別して経理する合理性が私はあるんじゃないかと思います。  それで、社会資本整備勘定に関しましては、無利子貸付事業のこれは原資であるNTTの株式売却収入、これは結局、国民共有の貴重な財産であるわけですが、最終的には国民共有の負債である国債の償還に充当する、国債整理基金特別会計に繰り戻す必要があるわけでございまして、こういった意味で、この会計は一般の公共事業予算などとは原資の性格がやっぱり異なるところが、私は、明確にありますので、区分経理する必然性があるのじゃないかというふうに思っております。  ただ、繰り返しになりますが、難しいところをねらっておりますだけに、委員の御心配の視点というのを私たちも十分一緒になって厳しく見ていかなきゃならぬだろうと思います。
  143. 又市征治

    ○又市征治君 時間がなくなってまいりましたが、電源開発特会についてちょっと申し上げます。  言うまでもなく、さんざん指摘されてきているんですが、巨額の不用額で、二〇〇一年度で二千六百億円、二〇〇二年度決算で一千三百五十七億円、検査院、財政審、行革推進本部などが口をそろえてこれは指摘をされてきました。  なぜこれほどの不用額が生じるのか。原発の乱造計画について反省をせずに、地域住民に金をばらまけば建設が進むだろうという、こんな発想でこの特会にあり余るほどの地域住民対策費を付けたからと、こんなことだと思います。今、原発は大きな転換点に来ているんだろうと思いますが、ところが、役所はこれを反省しないで、逆に法改正でこの過去の不用額を資金というふうに名付けて、裏へしまい込んでしまっているわけですね。  検査院に伺いますけれども、このような対応は検査院の指摘事項に正しくこたえるものと言えるかどうか、端的にお答えください。
  144. 円谷智彦

    説明員(円谷智彦君) 先生今お話しのように、平成十三年度の検査報告におきまして、電源開発促進対策特別会計の電源立地勘定において大変剰余金が多額に上っているということで、その発生要因を分析し、その剰余金の減少策などについて検討するよう検査報告に掲記したわけでございますが、その後、今お話しのように同特別会計におきまして周辺地域整備資金が設置されたということは本院も承知しておりまして、まだこれは設置されたばっかりでございますので、今後、この資金につきましても、その設置目的に沿って適正かつ適切に運営されているか、こういった点に着目しながら、引き続き検査をしてまいりたいというふうに考えております。
  145. 又市征治

    ○又市征治君 時間が来てしまいましたが、最後に要望だけ申し上げておきます。  こうした、これ大臣にですが、こうした資金といった裏ポケットの乱造については、これも先日しました初回の議事録にありますけれども、ある委員が、基金、資金と特別会計の関係はどうなのかと、特別会計の裏側の資金においてより大きな規模の金が動いていると、こういう批判をされているんですね。  各種の基金、資金は今どうなっているのか、これを合わせた国家財政及び各事業の実態をやっぱりむしろ公表をしてもらいたいと、こう思っています。また、特別会計の反省からも、今後、基金、資金と称する裏金を乱造しないように、この点についてもやはりしっかりとした指導性を発揮いただきたい。この点を申し上げて、答弁いただく時間なくなってしまいましたが、もし一言あればお願いしたいと思います。
  146. 石井啓一

    ○副大臣(石井啓一君) 資金、積立金につきましては、各特別会計の目的や性格で様々なものがございます。例えば各種の保険事業につきましては、年度ごとに生じます保険の保険料収入額と給付額、このミスマッチを年度を越えて調整するということがございますし、また、一定の事業を行うに当たりまして、その事業の円滑な遂行のために資金を設置しているものもございます。  ただ、財政審の昨年の提言におきましても、積立金等の保有高が一定の合理的な限度を超えている特別会計について、国全体の財政資金の効率化の観点も踏まえ、見直しを図る必要があると、こういうふうに指摘をいただいておりますので、そのような考えに沿った見直しを進めていきたいというふうに考えております。
  147. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  148. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  私は今大問題になっております閣僚の国民年金未納問題について質問をいたします。  その前に、今、国民年金保険料の未納、未加入は一千万人というふうに言われていますけれども、国民の皆さんにとっては、今の不況の中で必死でお暮らしの中で、だけど払いたくても払えない、そういう方々が本当に多数いらっしゃると思います。そういう方々に日本共産党は責任を問うものではございません。しかし、国会議員、閣僚というのは、これはやっぱり重大な責任があると思います。特に一九八六年、強制加入以降は責任は重大だというふうに思います。そういう上に立ちまして質問を行っていきたいと思います。  まず、小泉内閣の年金未納は、七閣僚に及ぶ未納が発覚をして、福田官房長官の辞任という問題にまで発展をしました。閣僚では四割という正に異常な事態だと思うわけです。私は、法案を提案する立場にある閣僚が年金未納という問題を抱えているということ自体が国民の政治不信を増大させているというふうに思います。その立場から、今日は未納の閣僚の方すべてに率直にお聞きしたかったのですが、時間の制約もございますので、谷垣大臣とそして中川大臣にお聞きをしたいというふうに思います。  まず第一なんですけれども、やっぱり国民年金法案を国会審議に提案してきた閣僚、内閣の一員としてその特別の責任をどういうふうにお考えになっているのか、このことをやっぱりお聞きしたいと思います。  この政府の案といいますのは、年金保険料の引上げ、逆に給付は引き下げる、国民に痛みを強いる法案だと私たちは思います。そうした法案を出しておいて、自らの年金未納についてマスコミが取り上げなければ明らかにしなかった。ここはやっぱり胸が痛まなかったのだろうかと本当に思うんです。進んで公表するのが道理ではなかったかというふうに思うんです。  改めて、内閣の一員としての特別の責任についてどう考えているのかということを一点お聞きしたいと思います。  質問を続けてお話ししたいんですけれども、二点目は、未納問題についての説明として、勘違いとか単なるミスとか、そういう説明がございました。私は大変軽い表現ではないかというふうに思います。国民年金については、保険料は、そういう今の支払が現在のお年寄りを支えている、それが日本の年金システムであるということだと思うんです。国会議員がやっぱり未納を放置しているということは、国会議員が高齢者を支えていないということになるのではないかと思うわけです。  国民に対して払うべき義務を法律で定めるのが国会議員の職責であって、とりわけ閣僚の皆さんは、法案決定、提出という重大な職責を担っています。それだけに未納の責任というのは問われるのも当然だと思うんです。  福田官房長官は辞任をされました。そこで、役職辞任をどういうふうに考えているのか。  私は、まず今の二点について、中川大臣にまずお伺いをしたいと思います。
  149. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 私の国民年金の未加入の問題につきまして、まず国民の皆様方に、国民の責務といたしまして、今、小林委員からも御指摘がありましたように、今の負担で今受給されている方々を支えているというこのシステムを前提にしているわけでございますから、私が二十年余にわたりまして未加入、したがって未納ということがあったということは大変申し訳なく感じているところでございます。  したがいまして、マスコミが取り上げるまでという、あるいは発覚というお言葉を使われましたけれども、確かにマスコミの問い合わせを受けまして私自身が確認をしたところ、そういう事実が判明をしたわけでございますので、私の意思で申し訳ございませんというふうに、公式の場、記者会見あるいは国会の場で御答弁を申し上げたところでございますので、その辺はひとつ正確に御理解をいただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、国民、まして国民から選ばれた国会議員、そして内閣の一員としてその責任というものの大きさは強く感じているところでございます。  二点目は何でしたっけ。
  150. 小林美恵子

    小林美恵子君 官房長官は辞任しましたけれども、大臣はどうでしょうかということを。
  151. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 辞任云々の問題につきましては、私はこの事実を把握した後、任命権者でございます小泉内閣総理大臣にこの事実について申し上げ、そして今後について御指示を仰いだところ、まあミスはミスとしてしっかり受け止めて、自分の与えられた責務をこれからより一層責任感を持って全うするようにという指示を受けましたので、重い言葉として今責務を全うすべく努力をしているところでございます。
  152. 小林美恵子

    小林美恵子君 今、大臣は自分の意思で確かめたというふうにおっしゃっておられましたけれども、私は別の視点でお聞きしたいと思います。  八六年四月からの国会議員の強制加入義務化となった点から、大臣は十八年間も未納になっていました。ミスだ、忘れていたというだけでは、やっぱり閣僚のメンバーとしては通らないのではないかというふうに思うんです。八六年の四月からの国会議員の義務化は、社会保険庁からその旨の通知が発送をされているはずです。  今日は、改めましてその社会保険庁からの書類をお手元に配付をしました。社会保険庁に問い合わせをしますと、国会議員の皆さんに対しては議員会館にしっかりと送らせていただいたというふうにお話をされていました。  通知も受け取っている。そういう、御自身が受け取ったかどうかは定かじゃございませんけれども、しかし議員会館の部屋に届いているというような状態があるわけで、それでうっかりしていたというのはいかがなものかなというふうに私は思うんですけれども、改めてその点を確認したいというふうに思います。
  153. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 私は五十八年の十二月に国会議員になって、なったときから国民年金加入について全く無知であったという表現を使わせていただいておりまして、この問題に関して、加入に関して全く知らないまま過ごしてきたわけでございます。そして、御質問のように六十一年に制度が変わりまして、国会議員も加入の義務化というふうになった。そのとき、私は議員でございましたから、法案の賛否に出席をしていたのかもしれません。もしかしたら、何らかの事情で欠席していたかもしれませんけれども、いずれにしても反対ではなく賛成の意思であったんだろうというふうに思います。  そして、今、委員指摘のような文書が議員会館に配付をされたということでございますけれども、そのときも私自身は、もちろん認識をしておりましたならば加入手続を直ちに取ったと思いますけれども、結果として、私自身これについて全く知らないまま過ごして今日に至ったというのが事実でございます。
  154. 小林美恵子

    小林美恵子君 先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、いわゆる強制加入の法案の審議にもかかわったというふうにおっしゃっているにもかかわらず、自らのことが分からないというのは、私はやっぱり国民は納得できないなというふうに強く思うわけでございます。  その上で、福田官房長官は責任を取って辞任をされましたけれども、改めて中川大臣はどういうふうに考えているのか、先ほども聞きましたけれども、もう一度お聞きしたいと思います。
  155. 中川昭一

    国務大臣(中川昭一君) 答えは一緒でございますが、国会議員として、閣僚としての大きな責任を感じ、任命権者でございます小泉純一郎内閣総理大臣に御報告を申し上げ、今後についての御指示を仰いだところ、ミスとしてきちっと反省をし、そして引き続き大事な職務をしっかりと遂行するようにと、それをもって挽回せよという指示をいただいたところでございます。
  156. 小林美恵子

    小林美恵子君 私はそういう大臣のお立場が今の国民の政治不信を増大させているというふうに思うんです。その責任をやっぱり重く受け止めていただきたいということを強く申し上げたいと思います。  次に、谷垣大臣にお伺いをしたいと思います。  谷垣大臣も未納期間が一年五か月とお聞きをしております。当然、強制加入、義務化以降のことでございますけれども、その点、谷垣大臣も、中川大臣と同様の質問になりますけれども、閣僚としての責任をどう感じておられるのか、そして役職辞任についてどう考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  157. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 私自身にも保険料を払っていない時期がございました。今、一年五か月とおっしゃいましたが、それは昭和六十一年以降のことでございます。それ以前にも若干のそういう時期がございました。特に、その昭和六十一年以降は、私は既に国会議員になっておりましたし、強制加入でもございますので、その期間、未納の時期があったということは正に不明の至りであるというふうに思っておりまして、誠に申し訳ないことだと思っております。  ただ、その責任についてどう思うかというお問い掛けでございますけれども、今、中川大臣のお答えと同じように、私も、以後こういう過ちを繰り返さないようにもちろん十分意を用いなければならないと思っておりますが、職務に邁進していくことが私のなすべきことであると、こういうふうに考えております。
  158. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、財務大臣のお立場というのは、もちろん法案に署名して国会に提出する権限をお持ちだと。同時に、財務大臣としては、事予算の作成、国費の支出を所管する極めて大きな権限がある、責任を持っているお立場だというふうに思います。せんだっての決算委員会でも、保険の特別会計も含めた特別会計の審議もございました。そういうことも責任を負うお立場にある方でございますから、そういう保険財政のいわゆる収入源になる保険料を自らが未納であったということは本当に重大だというふうに思うんです。  それを、その責任を引き続き全うするというのは、私はやっぱり国民が納得するかなというふうに思うんですけれども、改めてその責任について、今もおっしゃいましたけれども、もう一度お聞きしたいというふうに思います。
  159. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) いろんな責任の取り方のお考えがあろうかと思いますが、私自身先ほど申し上げましたことと同じことを申し上げさせていただきます。そして、同時に、中川大臣もおっしゃいましたけれども、小泉総理からも引き続き職務に邁進せよと、こういう御指示もいただいておりますので、全力を挙げて仕事に当たりたいと思っております。
  160. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、やっぱり予算の作成や国のいわゆる予算、国費を支出する、そういう大臣がやっぱりそういうお立場では国民は納得できないということを強く申し上げておきたいというふうに思います。  この問題で細田官房長官にもお伺いをしたいと思います。  新聞の世論調査によりますと、朝日新聞は、いわゆる政府の年金法案については七〇%が今国会で成立させるべきではないと回答しています。毎日新聞では六二%が見送りだと報道されています。その報道記事の中にも、未納、未加入議員がいた、議員自らの責任を果たしていなかったことの反発の強さをうかがわせたとあります。未納問題から来る国民の政治不信の増大がここに現れているというふうに思います。  そこで、私は官房長官に求めたいというふうに思います。先日、我が党は自民党の所属議員の年金の納入状況を総裁である総理に求めました。私は、それは我が党としては不動の立場なんですけれども、内閣の大番頭として官房長官に求めたいと思います。国民の不信が増大しているわけですから、改めて大臣、副大臣、政務官の年金の納入状況をやっぱり公表すべきだと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。
  161. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 最近の世論調査におきまして、この年金問題、特に未納問題で大きな御批判をいただいております。これは非常に残念なことであると同時に、私どもとしてはこのような不信をできる限り払拭していかなきゃならないと思っております。また、実際にいろいろ起こりましたことを拝見いたしますと、与党、野党限らず、様々な形でそういった問題が出ておるわけでございまして、もちろん制度的にも変える必要があるところも検討を与野党間でされるというふうにも聞いておるわけでございます。  そして、今御指摘の副大臣や政務官等の年金の納付状況につきましても、自由民主党としての方針が今決まっておりまして、それぞれの判断で公表してほしいと。ですから、自由民主党の中であって副大臣をしたり政務官をしている人で、既に自らこういう期間において未納状況があったということを発表された方も多いわけでございますが、私どもといたしましては個々人の判断で対処していただきたいと、こういう立場でございます。
  162. 小林美恵子

    小林美恵子君 個々人の責任に任せる、それではやっぱり進まないというふうに思います。国民に対しては際限のない国民のその年金の保険料の引上げを、給付の削減、こういう最悪の年金の法案を提案しながら、国民が政治不信を増大している一つの大きな要因になっているその皆さんの年金の未納について、議員の年金の未納について公表はしない、これでは全く納得ができないというふうに思います。  そのことを私は強く申し上げて、次の質問に移りたいと思いますが、中川大臣と官房長官は御退席いただいて結構でございます。  次に、BSEの対策に係る補助事業問題についてお聞きをしたいと思います。  大手食肉販売会社ハンナングループの牛肉偽装事件で、ハンナン元会長、全国同和食肉事業協同組合専務理事、大阪府同和食肉事業協同組合連合会会長の浅田満容疑者らが詐欺容疑で逮捕され、改めて政府のBSE対策事業の問題が浮き彫りになりました。なぜ業者が補助金を詐取できるような仕組みだったのか、改めて私は問われると思います。  そこで、牛肉買上げ事業での補助金申請に当たって、屠畜証明と在庫証明が併用されていたのを在庫証明だけにしたのはなぜなのか。やっぱりここが問題だと思います。この点、農水大臣の御見解をお聞きします。
  163. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) お答えいたします。  牛肉の在庫保管事業の検討当初、申請内容を確認するためには、添付を求める書面として、在庫証明による数量等の確認のほか、国産であることを証明するため屠畜証明書を求めていたのは事実であります。しかしながら、事業の実施前の説明会の際に、事業実施主体となる牛肉の生産、加工、流通の各団体の意見を聴取いたしましたところ、食肉流通の実態上、枝肉から成形処理された部分肉の段階になると屠畜証明書はほとんど添付されていないというのが実態であることが分かったわけであります。  あの当時、この牛肉の隔離の問題を大変国会でもいろいろ御意見をちょうだいした、混乱はしておったところでもございました。当時はBSE検査を受けていない国産牛肉を短期間にできるだけ早く確実に市場から隔離するという目的達成する必要があったわけでありまして、流通実態を踏まえて証拠書類として在庫証明を求め、そこに記載された和牛等の製品名によりまして国産であることを確認すると、こういうことであったわけであります。
  164. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、やっぱり屠畜証明そのものがあったわけですから、これをやっぱり在庫証明に切り替えていくということがこの問題の大きなポイントだったというふうに思います。やっぱり在庫証明だけでは輸入肉を混在させる、こういうことのできる抜け道を作ったというふうに指摘せざるを得ないというふうに思うんです。  次に、焼却事業の問題でお聞きしたいと思います。  政府が焼却処分を決定したのは二〇〇一年十二月二十七日でした。その翌日に環境省が各都道府県知事に一般廃棄物として焼却する通達を出しました。大手食肉販売会社ハンナンのある大阪では、大阪府から市町村への通達は二〇〇二年一月十五日でした。しかし、その通達が届く前の一月十一日から柏羽藤クリーンセンターで試験焼きが既に始まっていました。  ここでお聞きしたいんですけれども、通達が届く前に全国でも試験焼きが行われていたのですか、この点をお聞きしたいと思います。
  165. 白須敏朗

    政府参考人(白須敏朗君) お答え申し上げます。  ただいま委員お話でございます。ただいまおっしゃったように、試験焼きというのはその通達の前にも行われておりました。ただ、申し上げておきたいのは、この保管・処分事業の発足当時でございますが、事業実施期間といたしましては、やはり十三年度内ということでほとんど時間もなかった。それから、消費者の不安も大変に頂点に達しておりまして、これを払拭いたしますために早急に焼却すべきであるというふうなことで、与野党挙げての強い大変要請があったというふうなことでございまして、早急に焼却施設を確保の上、焼却する必要があったという、まず事情があるわけでございます。    〔理事岩井國臣君退席、委員長着席〕  そこで、ただいま委員からお話ございましたが、そういった形で早期に焼却をいたします上からは、やはり廃棄物の法制上、市町村が処理責任を負うことになります一般廃棄物という形での位置付け、これを明確にする必要がございまして、環境省の方に協力要請を行っていたという事情もあるわけでございます。  そこで、今、委員からもお話ございましたが、環境省から各都道府県に対しまして、平成十三年の十二月二十八日付けの文書によりまして、一般廃棄物であってその市町村に適宜焼却処理を進めるよう指導していただいたというところでございますが、私どもといたしましては、この事業の実施主体でございます六団体に対しまして、その環境省からの通知文書の発出をされます前の十三年の十二月二十六日に、市場隔離牛肉の焼却に当たっては、この一般廃棄物として取り扱われることになるということで、当時もう既に環境省との協議が調っておりましたので、そういう事情を申し上げ、年明け以降速やかな焼却が可能となるような焼却施設の確保、そういった準備を進めていただきたいと、そういうことを事業主体を通じて指導をしていたところでございます。  そういうことで、ただいま委員からお話あったように、府からのセンターに対する通知の日付は一月十五日だということかもしれませんが、いずれにしても、このセンターに対するその趣旨、通達の趣旨の徹底というのは、環境省の通達の趣旨はセンターも含めまして関係者にその焼却が行われました一月十一日までには十分周知されていたというふうに私どもは考えておりまして、特に問題はあったというふうには考えていない次第でございます。
  166. 小林美恵子

    小林美恵子君 これは、全国でその試験焼きが通達が届く前に行われていたのですか、これだけ簡潔にお答えください。
  167. 白須敏朗

    政府参考人(白須敏朗君) 川崎におきまして、といいますのは、これは大変難しい、要すれば大量の冷凍のものを焼くわけでございますので、なかなか一般の焼却施設におきまして焼くということは難しゅうございました。したがいまして、この通達の出る前に試験焼きということで、神奈川の焼却施設におきまして試験焼きをいたしているという実績はございます。
  168. 小林美恵子

    小林美恵子君 つまり、神奈川と大阪でやったということですかね。  じゃ、私は焼却問題で別の視点でも質問したいと思います。  このクリーンセンターでは、大阪府内の隔離牛肉の五三%、一千六百四十三トンを焼却で占めています。しかも、浅田満容疑者が会長の、いわゆる府同食の隔離牛肉は一千百二十九トンすべてがクリーンセンターで焼却をされていました。このクリーンセンターは、一日の焼却能力は四百五十トンです。堺市は二か所で七百六十トン、大阪市は四か所で二千七百トンの焼却能力があります。しかし、このクリーンセンターで大半を焼却する、余りにも私は不自然だというふうに思いますけれども、この点は農水省は掌握できなかったのでしょうか。いかがですか。
  169. 白須敏朗

    政府参考人(白須敏朗君) お話しのとおり、大阪府肉連なり府同食に係ります隔離牛肉、全体で千七百十八トンあるわけでございますが、ただいまお話しのとおり、千三百十八トンが柏羽藤センターにおいて焼却されておるということでございます。ただ、当時の状況につきましては、先ほども申し上げましたが、もうとにかく早急に焼くことが消費者の不安を払拭するんだというふうなことで、与野党挙げての大変強い御要請もあったということ。そこで、私どもとしては、検品を受けまして適正と判断されたものにつきましては、焼却施設の確保ができたところから順次焼却を進めていくというふうな方針であったわけでございます。  他方、一般論といたしまして、そういったBSEの未検査の隔離牛肉につきましては、これを焼却するということにつきまして、大変に、地域の住民でございますとか関係者、抵抗感がございまして、大変に危険なものだと、危ないというふうなことで大変抵抗感がございまして、その焼却施設のある地域周辺におきましては、そういう焼くということにつきまして地域の住民の方々あるいは関係者の皆様方の理解を得るということがなかなか難しかったというまず状況があるわけでございます。  それから、もう一点としましては、冷凍牛肉を、要すれば大変大量に焼きます。しかも、それが、一般のごみを焼く傍ら焼くわけでございますので、大変そこが、焼却施設としては、その焼き方についてなかなか難しい、そういう形で試行錯誤を実はしておったわけでございます。特に、冷凍でございますので高温が必要だということで、炉が傷むというふうなこともございまして、なかなかそこが焼却施設としてはそれぞれ難しいという事情を抱えておりました。  そういう中で、同センターが比較的早く焼却を始めることができたということで、調整、そういった意味での調整、住民との関係あるいはまたそういう焼却の手法といったようなことで、そのセンターがそういう形での焼却を始めたということでございましたので、それについて私どもとして不自然だというふうなことは考えなかったというふうに理解をいたしている次第でございます。
  170. 小林美恵子

    小林美恵子君 つまり、今のお話でいきますと、農水省はこのことは御存じだったということですよね。試験焼きのときにも農水省は立ち会っていたということは、この間の国会答弁でもあったというふうに思います。  その上で、私は別の問題でもう一つ、別の問題といいますか、かかわる問題でお聞きをしたいというふうに思います。  五月二日の産経新聞にこういう見出しがありました。「浅田容疑者と農水省幹部 買い取り申請量決める 事業公表前に会合」というような記事がございます。少し読み上げますと、農水省が国産牛肉買取り事業を公表する前の平成十三年十月中旬、府肉連副会長浅田満容疑者と農水省の担当幹部が東京都内のすき焼き店で会い、浅田満容疑者関連の団体が買取り申請をする量などを決めていたことが一日、分かったというふうにあります。さらに、大阪、愛知、兵庫とは、全同食に加盟する三団体のことで、浅田容疑者はそれぞれの申請量をまとめて三千トンと発言をしたというようなことが書かれていますが、このことについては、農水省、事実でしょうか。いかがですか。
  171. 白須敏朗

    政府参考人(白須敏朗君) 本事業の検討に当たりましては、営業倉庫を中心といたしまして聞き取り調査を行ったわけでございます。  そこで、平成十三年十月十六日現在で集計をいたしました数量から国産牛肉の在庫数量を一万三千トンというふうに推計をいたしまして、予算作成に当たりましてもこの数値を基にしたのは事実でございますが、実際の在庫状況によりましてその数量を超えるということもあり得たということでございます。したがいまして、これが買上げ数量の上限となるべき性格のものということではございません。  また、当時、緊急にできるだけ多くの事業対象牛肉を市場から隔離するというふうに指導をいたしておったこともございまして、したがいまして、ただいま委員からお話ございました一万三千トンという数量、これを所与のものといたしまして、これを事業実施主体ごとに、例えば買上げ数量の上限というふうなことで割り当てる、あるいはまたこれに類するといったようなことを、ただいま委員が御指摘になったようなそういう報道の中で行ったという事実はないというふうに考えております。
  172. 小林美恵子

    小林美恵子君 この東京、すき焼き店で会いということは、事実でないということなのですか。
  173. 白須敏朗

    政府参考人(白須敏朗君) 平成十三年の十月の中下旬に、この事業の実施にかかわる方々が当時の担当部長室に来られまして、そこで牛肉保管事業につきまして説明をいたしまして、種々御質問されたというふうに聞いております。その日に、更に関係の……
  174. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 答弁、簡潔にしてください。
  175. 白須敏朗

    政府参考人(白須敏朗君) はい。皆様方が更に打合せを行い、さらに、その事業の実施の内容について説明をもっと聞きたいということで、その料理店におきまして、その担当部長が呼ばれまして更に事業の説明を求められたというふうに承知をいたしております。
  176. 小林美恵子

    小林美恵子君 つまり、この新聞報道にありますように、浅田満容疑者と農水省の幹部担当者の方がすき焼き店で会ったということは、結局今の答弁でお認めになったということですよね。つまり、先ほどからの答弁でいきますと、このハンナングループの浅田氏と農水省というのは深くかかわっているということを私は強く指摘せざるを得ないというふうに思います。  その点で、次に、今後どうするかということでお聞きをしたいと思います。  五月八日の読売新聞でございましたけれども、農水省は、全国同和食肉事業協同組合連合会、大阪府同和食肉事業協同組合連合会の牛肉偽装事件で不適正に交付された補助金を返還させる方針を決めたと報道しました。これは事実なのかどうか。そして、これが事実ならば、この事件が補助金適正化法違反が確定すれば返還をさせるという方針なのかということを大臣にお聞きしたいと思います。
  177. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 補助対象外の牛肉について補助金が交付されていたとの事実が確認ができれば、その部分の補助金の回収を行うことは、補助金の予算の適正執行、こういう観点からこれは必要なわけでありまして、できる限り早急に事実確認を行いたいと。  ただ、現在、いろいろの書類等とか関係書類が押収されておるわけでありまして、捜査当局にあるわけでありますので、今後の刑事手続の推移を見守りながら、農水省といたしましては、農畜産業振興機構とともに、できる限りの事実確認を努めまして、この補助対象外の牛肉が含まれているとの事実認定がなされれば、機構に対しましてその事業実施主体に該当部分の相当の補助金の返還請求を行うと、こういう考えであります。
  178. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、こういう補助金事業といいますか、とにかく国民の大切な税金をつぎ込んでいるわけでございますから、そういう事業で農水省も、今の、これまでの答弁でいきますとやっぱり深くかかわっているということは本当に重大な問題だと思います。それで、農水省がかかわりながらハンナングループの浅田満容疑者は国民の税金を詐取していたと、本当に重大な問題だと思うんですね。  そこを改めて責任は重大だということを指摘をしながら、先ほど大臣がおっしゃいました補助金を返還させるということは責任を持っておやりになっていただきたいということを最後に強く申し上げまして、私の質問を終わります。
  179. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 まず、新たな行政改革手法と言われておりますニュー・パブリック・マネジメントというのがございます。私は、この参議院決算重視の姿勢を全面的に打ち出していることそのものも、ある意味ではこのニュー・パブリック・マネジメントの流れの一つではないかと思っております。  そこで、まず今日は、このニュー・パブリック・マネジメントの一つの手法だと言われて、今、特殊法人が独立行政法人化ということになっているわけでございますが、現在は百五法人が独立行政法人化、今決算審査の対象である十四年度決算は約半数の五十九法人が独法化しておりました。ややもすれば特殊法人の延命策とか批判浴びますけれども、もしきちんと独立行政法人運営費交付金等によって弾力性ある財政運営を確保して、さらに効率的かつ効果的なサービスの提供が具現できれば、ひいては国の財政へも寄与するというのはこれ当然のことだと思うんですけれども、まず総括的な論議として財務大臣に、十四年度決算において五十九法人が独法化したことにより国の財政健全化についてどれほどの寄与があったのか、どう認識しているか、お答えいただきたい。
  180. 谷垣禎一

    国務大臣谷垣禎一君) 結論を申し上げますと、私自身の認識は、直接この独法化が国の財政に寄与するということをねらいとして行われたものでは必ずしもなかったと。したがって、それに合わせた指標というものは特に取っておりません。  ただ、今、委員指摘されましたように、このねらいは、できるだけ弾力的に経費を使うようにして、何年かごとにチェックもきちっとしていこうと。そういう効率ある運営の中で結果として財政に寄与する部分が出てくるのではないかと。私自身はそれを大変期待しておりますけれども、現在での、それについて具体的にどれだけ財政的な効果があったのかというような指標は特に持っておりません。
  181. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 是非、進んでいって何年かたっていくわけですから、そういう時々に合わせて、そういった面の効果も何らかの形でチェックするなり見ていただきたい面はあると思っているんです。  次に、会計検査院に伺いますけれども、独立行政法人というのは大半国からの出資です。もちろん運営費交付金として国の金が入っている。当然会計検査の対象になるべきものだと。しかしながら、この十四年度決算報告を見ても、当該の独立行政法人の財務諸表を見ても分かるとおり、すべてが必要的検査対象とはなっていない。したがって、必要的検査対象でない以上、選択的検査対象ということになるんだろうと思いますが、そうなると、出資の有無があるとはいえ、同じ独立行政法人で会計検査に濃淡が出てくるんじゃないかというようなことも心配だし、さらに、選択的だと言われて、場合によっては検査が行われない年度もあるんじゃないかというような懸念もちょっと感じますし、確認の意味で会計検査院に聞くわけでございますが、必要であろうと選択であろうと会計検査の在り方に違いはないのかという点が一点、また、選択的検査対象であっても、運営費交付金が出ている以上、毎年指定を行って検査していくと考えていいのかどうか、確認しておきたいと思います。
  182. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 独立行政法人に対する検査権限でございますけれども、この独立行政法人の資本金に対する政府の出資額が二分の一以上でありますと、会計検査院法二十二条によりまして会計検査院の必要的検査対象となります。これに該当しない場合におきましても、当該法人が政府の出資が一部なされているとか、あるいは運営費交付金を始めとする財政援助がなされておりましたりいたしますと、これは会計検査院法二十三条によって会計検査院が必要と認めたときには検査をすることができる、いわゆる選択的検査対象となるわけでございます。  平成十六年四月末現在で百五の独立行政法人がございます。そのうち九十七法人は必要的検査対象でございます。選択的検査対象はしたがって八法人でございますけれども、これらにつきましても、検査の必要を勘案して適時適切な時期に指定を行い、必要的検査対象と同じような位置付けで検査をやっていきたいと、こういうふうに考えております。
  183. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今お聞きしましたのは、しっかり行っているかどうかというのを聞いたのは、十四年度というのは独法化が始まってまだ三年程度だった。ところが、検査報告においては二年連続指摘がなされている。十四年度決算報告書を見ても、これはうちの党の山下が質問をしましたけれども、独立行政法人農業技術研究機構、不正経理の問題が指摘をされた。また、独法と同様の趣旨で設立された国立大学法人においても、これは過去、科研費の不正経理の問題が生じております。  独法にしてみても、国立大学法人に対しても、言わばこれは事前統制、先ほど財務大臣も答えていらっしゃいましたけれども、事前統制を緩める代わりに事後評価、実績評価を厳格に行うということが求められているわけですよね。いわゆる結果責任を問うという形になっているんだろうと思うんです。  もちろん、今言ったような不正経理みたいな問題は評価以前の問題だとは思いますけれども、これに更に厳正な処分や対応がこういう不正経理については主務官庁として求められていると考えていますが、どのような所見をお持ちなのか。  全体として、総務大臣にまず全体像をお聞きして、文部科学大臣農林水産大臣、それぞれ御答弁願います。
  184. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のありましたとおり、独立行政法人につきましては、先ほど財務大臣お話にもあっておりましたように、従来の事前チェックというか、主務官庁、主務大臣によります事前チェックの話から事後に主が移っていったというところなんだと思っておりますが、これによりまして独立行政法人会計基準というものが新たに設置をされておりますんで、これに基づいて、監事は複数置かにゃいかぬとか、その法人外からの監事も採用しなくちゃいかぬということになりまして、今現在認可しているのは九十五法人だと思いますが、その九十五法人中六十一法人につきましては既に公認会計士が、いわゆる民間では大企業並みの公認会計士に監査が義務付けられております。  したがいまして、各法人におきましては、担当いたします主務大臣としては、これは会計処理がきちんと行われて、公認会計士も入っておりますんで、そういったところは、会計検査院の指摘につきましては、これはもう関係省庁におきましてはきちんと対応していただくというのが大事なところだと思いますんで、主務大臣はこの会計検査院の報告に基づいてきちんとその話を指導していただくというのが大変大事な、事後チェックとしての一番大事なところだと存じます。
  185. 河村建夫

    国務大臣(河村建夫君) 国民の貴重な税金によって賄われております科研費、科学研究費補助金、これは研究者の不適正な使用が後を絶たない。大学という教育現場でこういうことがある。極めて遺憾なことだと考えております。  文部科学省といたしましては、従来より科学研究費補助金の適正な使用についての周知徹底や不正な使用を行った研究者に一定期間科研費を交付しない措置を講ずるなど、様々な取組もやってまいってきたところでありますが、特に平成十六年度からは、補助金を不正に使用した研究者は、本人だけでなくて、同じ研究事業に携わる共同研究者についても一年間科学研究費補助金を交付しないこととする措置も導入いたしました。また、研究機関による補助金の管理の徹底をすること。第三としては、研究機関における定期的な研修会、説明会の開催及び積極的な内部監査を実施する。また、四番目といたしましては、文部科学省による補助金の使用等に関するルールの徹底などの方策の推進に努めておるところでございます。  文部科学省といたしましても、今後とも補助金の適正な使用を確保するために更に取組を強めてまいりたいと、このように考えております。
  186. 亀井善之

    国務大臣(亀井善之君) 会計経理が不適切だとの指摘を受けたことは大変遺憾に思っております。  この関係会計担当職員並びに管理監督職員に対しましては国家公務員法等に基づく適正な処分を行う、そして再発防止を講じたところでありまして、今後、独法に対しまして、所管するすべてのものに対しましては、このようなことの起きないように指導監督を徹底したところであります。  なお、この独立行政法人評価委員会におきまして、機構の関係、これにつきましても評価をいたしまして、再発防止策を含めまして経営管理体制を厳正に評価すると、こういうことにしておるわけでありまして、今後ともこのようなことの起きないように引き続き指導してまいりたいと、このように考えております。
  187. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、麻生大臣からもお話あったんですけれども、要するに、内部監査をやらなくちゃいけないようになっているんですよ。ただ、さっきの農業技術研究機構の不正経理にしても、それと科研費の問題にしても、こんなの、会計検査院とかの指摘する前に、内部監査しているんだったら、これは当然その対象になって分かっているはずのような問題が検査院に指摘されるまで分からないという。これどうなっているのかなというのを、ある意味じゃ、じゃ組織ぐるみ、挙げて何かやっているんじゃないかみたいな話になるわけですよ。  だから、ある意味じゃ、その内部体制、監査体制、もうこれ若干お答えいただいているんですけれども、これの充実というか、きちんとすることが一番大事だと思うんですが、それぞれ、総務大臣文部科学大臣、御答弁あれば伺っておきます。
  188. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 細目、行政管理局長もおりますので言わしていただきますけれども、今、御指摘、誠にごもっともなところだと思っておりますが、これはやっぱり監査という事後チェックがしっかりしているということが今回のこの事前から事後に移った最大のポイントでもありますので、事前はなくなったが事後はゆるゆるだったじゃ全く目的としては違うと思いますので、少なくともこの独立行政法人制度におきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、とにかく外部の者を置かにゃいかぬとか、大会社、民間の大会社並みの監査法人というものを義務付けているとか、また内部統制の有効性について会計監査人がチェックをする、内部のなあなあは駄目よと会計監査人がチェックを行うこととか、それから国の出資を受けております法人である場合は会計検査院の検査が今御指摘のとおり行われておりますので、この厳重な事後チェックというのは情報公開法により透明性も確保されておりますので、こうした、なれていないというとなれていないのかもしれませんし、何となくなあなあでやろうとして通っちゃうと思っていたところもあったとは思いますけれども。  こういったきちんとした対応が続いていくことによって、独立監査法人の評価委員会の評価というものもきちんとされたものになっていくというと、やっぱり一回そういうのが入ると、おたくは怪しい法人ねという、イメージとしては後々尾を引くことになりますので、きちんと対応していってもらうということが大事なことなんであって、やっぱり中に勤めている人の意識もありましょうが、人間そうそうきちんとしている人ばっかりいるわけじゃないと思いますので、外からの目というものは大事なところだと思っておりますので、御指摘のありましたように、こういった中の、そういった内部のチェックというものはきちんと、これは意識の問題としてきちんとやっていくように私どももできる限り指導してまいりたいと存じます。
  189. 遠藤純一郎

    政府参考人遠藤純一郎君) 国立大学法人についてでございますけれども、独立行政法人と同様に、法律上、役員として監事が置かれまして、業務全般についての監査を行うということが一つございますし、もう一つは、会計監査人が財務諸表の監査を行うということになっておるわけでございます。  このほかの適正な経理確保のための取組といたしましては、例えば担当者を分離をすると。例えば、支払業務担当者と契約業務担当者を分ける、あるいは現金保管者と現金払出し者を分ける、通帳保管者と通帳印鑑保管者の分離をするといったような仕組みを取らせていただいてもございますし、あるいは業務のマニュアル等をきちんと整備をし、さらには職員向けの研修会の開催をするといったようなことなども行っておる次第でございます。
  190. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 会計検査院の方は、今、いろいろ御説明あったこの内部監査、これとどのように連携を図っていくか、御説明をいただいておきたいと思います。
  191. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 内部監査はこの独立行政法人等において予算を適正に執行していくための内部統制手段の一つとして行われているものでございます。  内閣から独立した財政監督機関が行う会計検査とは立場や性格が異なってはおりますけれども、適正、効率的な予算執行を期するという面では共通している面がございます。そして、会計検査院の限られた陣容で検査対象のすべての会計経理を悉皆的に検査できるわけではないことを考慮いたしますと、会計経理の適正化のためには、会計検査院による外部チェックとともに、独立行政法人等の内部監査ができるだけ充実して行われることが重要であるというふうに考えておりまして、その意味で両者は相互補完的な関係にあり、車の両輪とも言えるものではないかというふうに考えております。  このような考えに立ちまして、会計検査院では、内部監査との連携を図ることは大変重要なことであって、独立行政法人を始めとする検査対象機関における内部監査体制がどうなっているか、その活動状況がどうであるかについて毎年書面による報告を求めたりしてその状況の把握に努めて、その結果を検査計画あるいは検査の実施に役立てているところでございます。  また、さらに、検査対象機関の内部監査機能の充実、向上を支援するために、内部監査の担当職員を対象とした研修会を会計検査院が主催して行っておりますし、それから各種の研修会、それぞれの団体等におきます研修会等に本院の職員を講師として派遣したりすることも行っておりますし、それから出資法人等の監事、監査役等に対しまして決算検査報告の説明会を開いてその内容を説明いたしますとか、公会計監査フォーラムという形で、内部監査の職員その他公会計監査に関与する機関の関係者、大勢の方にお集まりをいただいて意見あるいは情報の交換を行うということも会計検査院が音頭を取ってやっているところでございます。  今後とも内部監査との一層緊密な連携を図るよう努力してまいりたいと、こういうことでございます。
  192. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 要するに、独立行政法人と国立大学法人、もちろん予算に計上されるわけですから、運営費等が、国会事前統制という意味ではしている。ところが、さっきから話しているみたいに、事後評価、業績評価が大事だと言いながら、その事後評価を行う際の最も重要な書類である財務諸表や業務実績報告書などが国会には提出されていないんであります。そうすると、国会で事後評価を行う上で、これ、いささか我々問題じゃないかと。  これはもう委員会の中で何回か出てきたんですけれども、総務大臣にこの問題の最後に聞いておきたいのは、これらの書類を、つまり事後評価やるためには財務諸表等は必要でありますから、これを国会ないし当決算委員会へ提出することの必要性についてどんなふうに考えているか、伺っておきたいと思います。
  193. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 木庭先生御指摘のとおり、財務諸表、業務実績報告書等々を始め、これは業務並びに財務運営に関しますものに関しましては、広範な事項につきましてこれは独立行政法人等情報公開法という法律に基づきまして、これはインターネットですべて公開ということに現状なっております。したがって、インターネット等々にアクセスをしていただくと全部、国会というか、国民全部これ知れるということになっておる制度でありますんで、一応仕組みとしては国民すべてで監視、もちろん国会議員含めまして監視できるような仕組みに、一応きちんとしたものになっております。  今これはスタートしたばかりでありますんで、これで何かいろいろまた別に問題が出てくるんであればそれはまた考えなきゃいかぬかもしれませんけれども、現状は一応全部公開ということになっておりますんで、その段階で今のところ対応できているとは思っておりますが、さらにこの問題がまた新たな問題等々、いろいろ悪用したり、いろいろする問題も出てこようかと思いますけれども、そういった問題を含めて、改ざんが外からされたとか、いろいろなセキュリティーの問題を含めまして考えるべきことはいろいろあろうかと思いますけれども、一応今のところそういった形で事後チェックが公開されているという実態であります。
  194. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総務大臣、農水大臣文部科学大臣、終わりましたんで、どうぞ。
  195. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どうぞ御退席ください。
  196. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 公共事業の問題についてあと十分間でお聞きしたいと思います。  公共事業の問題って何かというと、単価の問題をまずお聞きしたいんでございます。これは、元々から、建材価格とか工事の単価含めて、民間に比べて公共事業は高いという批判がしょっちゅうあるんですけれども、これは平成十三年十一月の内閣府調査、これによると、平成四年以降、公共建設工事の単価の低下は緩やかであったのに対し、民間建築工事の単価は平成七年度までに大幅低下した。その後も緩やかながら低下を続け、十二年度には公共建築工事の単価は一平方メートル当たり九万円前後、つまり民間建築工事を上回っているということが報告されているわけです。  これ何で、民間の工事はデフレの影響を受けて下がったにもかかわらず、公共工事というのの単価は高止まったということになるのか。なぜこのような事態が生じるのか。また、どうすれば改善することができるのか。国土省の見解を伺いたい。
  197. 門松武

    政府参考人(門松武君) ただいま先生御指摘平成十三年十一月の内閣府より刊行されました地域経済レポート二〇〇一では、今おっしゃったとおりの指摘がなされております。そのため、少し内容を分析しましたところ、公共の建築工事と民間の建築工事ではその用途あるいは構造の種別の比率が異なっておりまして、それを一律に比較はできない、そのまま比較することは適当でないということが分かりました。  それでは、同じ用途と同じ構造の種別だったらその価格が同じかというのを検討いたしました結果、官民それぞれの建設コストを比較した結果でございますが、おおむね同じであることが分かりました。また、公共建築工事におきましては、小規模な施設においても、耐震性、それから防災性の高度化、あるいはバリアフリー化、環境負荷の低減対策等々がありまして、政策的な要因で少し高くなっているとかございます。その分、民間よりも高くなっているということは事実でございます。  以上でございます。
  198. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうは言うけれども、例えば公共工事の事業費で、これはそういう問題も含めて、着工すると着工後どんどん膨脹して膨らむわけでしょう、普通の事業というのは。  今、一番こういう常識を破ったと言われているのが中部空港建設事業、これ当初計画費に比べて一六%圧縮して成功した。なぜ成功したかといったら、そこの社長はトヨタの出身だと。言わば、民間の知恵を入れたことによってコスト削減に成功したと、こういう評価を受けているわけだ、現実には。こういったことをどう感じるのかという問題とともに、こういった、いつも公共工事というのは、始めて、次のになるとまた膨らんだ膨らんだという現状。ところが、中部では反対のことが起きたと。これを経験として何か生かすことを考えられますか。
  199. 門松武

    政府参考人(門松武君) 御指摘の中部空港建設事業におきまして、コスト縮減のために様々な努力がなされておると聞いております。  公共事業のコスト縮減は重要な課題でありまして、省といたしましても民間の優れた技術提案を活用して、品質を確保しつつコストの縮減を図るため、価格だけじゃなくて、企業からの提案について性能評価を行う総合評価方式など、様々な入札方式を導入を進めてきたところでございます。また、コスト縮減の観点から、積算に使用いたします資材調査、資材価格の調査に関しましても、大口の取引価格の把握のために試行的にそういったデータを取り上げて積算に組み込んでいきたいと、そういう努力もしているところでございます。  今後とも、中部空港建設事業における取組も参考にいたしまして、公共工事のコスト縮減に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上でございます。
  200. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 公共工事、正に今おっしゃったように、やはり単価の問題というのは常に見直しながら縮減できるものは縮減していく、これが一番、国の財政の問題でも大事な点でございまして、ただ、よく言われるもう一つの理由、何で公共工事の単価が高く付くかというと、競争原理が働きにくいことが原因であるというようなことがよく言われますし、確かにその一面はあるんだろうと思います。その最たるものが入札の談合の問題であって、依然として、何か新聞をめくれば何日かに一回は入札談合みたいな話が絶えない。  例えば、これは昨年八月に全国の市民オンブズマン連絡会議が、平成十四年度に発注された九千八百九件、この公共工事の分析結果を公表しましたが、それによると、入札予定価格に対する契約金額の割合である落札率の全国平均は九五・二五%、高い率になっております。一方、日本弁護士連合会によりますと、自由競争が行われている場合の平均落札率は七〇%の程度ということでございます。  七〇パーと九五・二五、数字が離れている。それは何かといえば、やはりそういう談合が行われているんではないかと推定されるんではないかという声もありますが、公正取引委員長、わざわざお見えでございます、というか呼びましたが、この点についてどう考えるか、お聞きしたいと思います。
  201. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 御指摘のように、統計的には九五%を超えるような落札率の場合は何かあるんではないかというふうに受け取られるのが普通だと思います。ただ、公正取引委員会といたしましては、そういう統計だけで調査ができるわけじゃございませんで、きちんと基本法に基づいて談合したかどうかということを立証しなきゃならないという責務を負っているわけでございまして、今の御質問ではその程度をお答え申し上げればいいのかもしれませんが、現実は、公正取引委員会で取り扱っている違反事件の大多数は残念ながら入札談合ということでございまして、過去十年、平成六年度から平成十五年度を見まして法的な措置、警告とか注意じゃなくて法的な措置、それで課徴金を掛けるというようなケースになるわけですが、これは二百七十八件ございましたけれども、そのうち入札談合は百八十二件ということで、六五%ぐらいを占めていると、こういう実態にございます。
  202. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 談合防止のために、私どもも、また各党も協力いただいて、平成十二年にできた法律が公共工事の入札及び契約適正化の促進に関する法律、さらに十四年度には入札談合関与行為の排除及び防止に関する法律、一生懸命作っているんですけれども、政府としても取り組んでいただいた。しかし、なかなかこれうまくいかない。  現状を見ると、一般競争入札の積極的な拡大をやっているところも、自治体を見るとなかなかまだ少数、宮城とか一部なんですよね。また、公正取引委員会、事情聴取をこの前された新潟の課長ですか、自殺されるような事件も起きてみたり、残念ながらまだまだ、今もお話あったとおり、改善されてはいないと。  我々もこうやっていろんなことをやりながらも頭を痛める問題なんですけれども、御意見として聞いておきたいのは、入札談合を根絶するためには何が一番の問題であり、どういった対策を取ればこの入札改革が進むのか、公正取引委員長国土交通大臣の御意見を伺って、質問を終わります。
  203. 林幹雄

    ○副大臣(林幹雄君) 談合につきましては、国土交通省におきまして、不正行為防止のために積極的に取り組んできたところでございます。  平成十三年四月には、先生御指摘のとおり、入札契約適正化法が施行されまして、それからは毎年度その実施状況をフォローアップしておりまして、財務省、総務省とも連携して実施の徹底を図っているところでございます。  この法律の実効性を図る観点から、平成十五年四月に新たな方策といたしまして、まず第一点、地方公共団体における入札契約適正化法の徹底を図るということから、入札監視委員会など第三者機関の設置をしているところでございます。二番目は、技術力評価の重視でございます。そして三番目は、知ってのとおり、違約金を払うよう、契約にそれをうたっておく制度だとか指名停止措置の強化などをしているところでございまして、国土交通省といたしましても、この徹底をこれから図っていきたいというふうに考えているところでございます。
  204. 竹島一彦

    政府特別補佐人(竹島一彦君) 入札談合といいますものは、これは公正でかつ自由であるべき受注競争というものを、その前提である入札システム自体を否定するものでございますから、そういう意味で大変悪質なものでございまして、これはもうどこの国でもいわゆるコアカルテルの一つであるということで、もう当然に違法である、情状酌量の余地がないというものとされているわけでございます。  しかしながら、日本においては、残念ながら、独占禁止法というのがございますけれども、なかなかそれをきちんと守っていただけないと申し上げざるを得ない状態にあるわけです。  それを直すためにやっぱり一番大事なのは、いわゆる世の中で言われているコンプライアンスということを本当にやることがその企業のためにもその業界のためにもなるんだという意識を持っていただく必要がある。やっても何とかなるんだ、やり得があるならばやっていいじゃないか、大したペナルティーもないんだという状態では、残念ながらそれがなくならないと。  したがって、私どもは、どうしてもこういう問題をきちんと解決するためには、また企業の意識をきちんと持っていただくためにも、独占禁止法の強化、改正というのはどうしても必要だというふうに思って、今いろいろと提案もさせていただき、議論もさせていただいているところでございます。
  205. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ありがとうございました。  終わります。
  206. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 他に御発言もないようでありますので、本日の審査はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時三十六分散会