運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-04-26 第159回国会 参議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月二十六日(月曜日)    午後一時三分開会     ─────────────    委員異動  四月二十一日     辞任         補欠選任      尾辻 秀久君     山内 俊夫君      大塚 耕平君     佐藤 雄平君  四月二十二日     辞任         補欠選任      大江 康弘君     柳田  稔君  四月二十三日     辞任         補欠選任      佐藤 雄平君     高橋 千秋君      小林美恵子君     宮本 岳志君  四月二十六日     辞任         補欠選任      柳田  稔君     池口 修次君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 岩井 國臣君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 川橋 幸子君                 松井 孝治君                 畑野 君枝君     委 員                 大野つや子君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 後藤 博子君                 常田 享詳君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 藤井 基之君                 池口 修次君                 神本美恵子君                 齋藤  勁君                 高橋 千秋君                 羽田雄一郎君                 広野ただし君                 和田ひろ子君                 木庭健太郎君                 遠山 清彦君                 宮本 岳志君                 又市 征治君                 岩本 荘太君    国務大臣        法務大臣     野沢 太三君        厚生労働大臣   坂口  力君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)        (内閣特命担        当大臣(青少年        育成及び少子化        対策食品安全        ))       小野 清子君    副大臣        文部科学大臣  原田 義昭君        厚生労働大臣  谷畑  孝君    大臣政務官        財務大臣政務官  山下 英利君         ─────        会計検査院長   森下 伸昭君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        和田  征君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       貞岡 義幸君        人事官      谷  公士君        人事院事務総局        人材局長     藤野 達夫君        警察庁長官官房        長        吉村 博人君        警察庁生活安全        局長       伊藤 哲朗君        警察庁刑事局長  栗本 英雄君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        総務省自治行政        局長       畠中誠二郎君        法務省刑事局長  樋渡 利秋君        法務省矯正局長  横田 尤孝君        法務省入国管理        局長       増田 暢也君        公安調査庁長官  大泉 隆史君        外務大臣官房領        事移住部長    鹿取 克章君        財務省主計局次        長        佐々木豊成君        財務省理財局次        長        日野 康臣君        文部科学省初等        中等教育局長   近藤 信司君        厚生労働省医政        局長       岩尾總一郎君        厚生労働省労働        基準局長     松崎  朗君        厚生労働省労働        基準局労災補償        部長       高橋  満君        厚生労働省職業        安定局長     青木  功君        厚生労働省職業        安定局高齢・障        害者雇用対策部        長        太田 俊明君        厚生労働省雇用        均等・児童家庭        局長       伍藤 忠春君        厚生労働省社会        ・援護局障害保        健福祉部長    塩田 幸雄君        厚生労働省老健        局長       中村 秀一君        厚生労働省保険        局長       辻  哲夫君        厚生労働省年金        局長       吉武 民樹君        社会保険庁運営        部長       薄井 康紀君    説明員        会計検査院事務        総局事務長官        房総括審議官   高山 丈二君        会計検査院事務        総局次長     重松 博之君        会計検査院事務        総局第一局長   石野 秀世君        会計検査院事務        総局第二局長   増田 峯明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○平成十四年度一般会計歳入歳出決算平成十四  年度特別会計歳入歳出決算平成十四年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十四年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十四年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)  (法務省厚生労働省警察庁及び裁判所の部  )     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから決算委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、尾辻秀久君、大塚耕平君、大江康弘君及び小林美恵子君が委員辞任され、補欠として山内俊夫君、高橋千秋君、池口修次君及び宮本岳志君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事畑野君枝君を指名いたします。     ─────────────
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成十四年度決算外二件を議題といたします。  本日は、法務省厚生労働省警察庁及び裁判所決算について審査を行います。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 柏村武昭

    柏村武昭君 どうも皆さん、こんにちは。自由民主党の柏村武昭でございます。  早速もう質問に入りますが、本日の決算審査は法務、警察関係ということでもありますので、先日発生いたしましたイラク人質事件について触れないわけにはまいりません。  五人の人質方々が帰国して既に一週間以上たつわけでありますが、その後、この事件は、人質とその御家族方々に対するバッシングのあらしを招きまして、正に異例の展開となっておりますが、ここは再発防止のためにもやはり努めて冷静に考えるべきではないかと考えます。  まず、小野大臣に伺いますが、今回のイラク人質事件解決のために警察庁は具体的にどのような対応をされたのか、また、今までのところ捜査はどの程度まで進んでいるのか。支障のない範囲で結構でございます。お聞かせ願います。
  7. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 四月八日の邦人三名に対する人質事件発生を受けまして、私も政府の在イラク邦人人質事件対策本部の一員といたしまして外務省等と協力をし、全力を挙げて取り組んでまいりましたが、まずは無事に被害者邦人五人が、五名が解放されましたことに心から喜んでいるものでございます。  警察庁対策についてでございますけれども、警察庁におきましては、国際テロ緊急展開チーム、TRTと申しますけれども、その要員を最大時九名、その体制派遣をいたしまして、人質の解放に向けて、ヨルダンの首都アンマン中心情報収集等を行うなど、現地緊急対策本部と一体となって活動してまいりました。  また、この間、全国警察におきましては、国内におけるテロ未然防止を図るべく、情報収集警戒警備を徹底するとともに、関係道県警察におきましては、被害家族者との連絡窓口を設定をいたしまして、敏速、迅速かつ的確に相談に応ずることのできる体制を構築してきたと承知をいたしております。  さらに、邦人三人を人質にいたしました事件につきましては、国外において日本国民生命に危険が及び、身体の自由が害され、かつ日本国の重大な利益を害するおそれがある事案に該当すると認められることから、四月十五日に、警察庁長官が本事案に対処するための警察体制について、関連する警察警視庁及び北海道警察におきまして、所要体制の下、合同して調査を遂行するよう指示をしたところでございます。  一般に、外国発生いたしました犯人やあるいは主要な証拠が外国にある事件につきましては、現地捜査機関が主体となって捜査を行うものでございますけれども、本件につきましては、事案重大性にかんがみまして、我が国警察におきましても真相究明に向けて可能な限り努力していくよう警察庁を督励している所存でございます。
  8. 柏村武昭

    柏村武昭君 今回の人質事件は、北朝鮮による拉致事件とは全く状況が異なりまして、政府退避勧告があるにもかかわらず、それぞれの意思で危険な国に出掛けていって現地武装勢力に捕まったと。これ自体明らかに反国家的で、武装勢力に対する利敵行為とも評価できますが、さらに、聞くところによれば、人質の中には自衛隊イラク派遣に公然と反対していた人もいるらしいと。もし仮にそうだとしたら、同じ日本国民ではあってもそんな反政府━━━分子のために数十億円もの血税を用いることは強烈な違和感、不快感を持たざるを得ないと私は思います。  また、問題はお金だけではありません。人質事件解決のためには官邸以下、日本政府の人的、物的、双方の資源が集中的に投入されました。ただでさえ忙しい国会開会中に政府機能官邸機能が妨害、寸断されたわけでございます。言ってみれば公務執行妨害的なところもあるわけでございます。しかも、事態によっては国際政治にも致命的な影響を与えた可能性もありまして、無事解決して良かった良かったで済ませることはできません。  また、邦人保護政府の当然の義務といって、政府にばかりこの義務を負わせようとする。まあ、あるテレビキャスターなんかはそう言っておりましたけれども、それこそ私は甘ったれではないかと思うんですが、人質事件に関しては言いたいことはほかにもたくさんありますが、決算委員会の場でもありますので、あと一点だけ伺います。  在ペルーの日本大使館人質事件以後、在外邦人救出体制についてはいろいろ議論されまして、対策も講じられてきましたが、今回の人質事件の教訓を踏まえて、改めて在外邦人保護について抜本的な対策を練る必要があるんではないかと思います。憲法の精神に抵触しない程度での危険地域への渡航禁止措置━━活動家の一時出国制限など、いろいろあり得ると思いますが、そうした点については外務当局はどのような見解をお持ちなんでしょうか。
  9. 鹿取克章

    政府参考人鹿取克章君) お答えいたします。  外務省としても、邦人保護との観点から、御指摘のとおり、どのようにして今回のような事件再発を防止するかというのは極めて重要な問題であると考えております。今、渡航禁止措置、例えば法的な渡航禁止措置についてもいろいろ御議論が出ております。危険地域への渡航禁止措置については、渡航の自由との関係もあり、法的な面を含め様々な観点から慎重に検討していく必要があると考えております。  私どもとしては、現在、やはり再発を防止する上で最も重要なことは、国民一人一人に安全の問題についての意識を一層高めていただくことであると考えています。イラク治安情勢は予断を許さない状況にありまして、政府といたしましても、いかなる目的の渡航であろうと、テロ等の、テロ攻撃の危険を含むあらゆる不測の事態が排除されないと考えております。このような観点から、やはり渡航される方々におかれては、自らの安全については自ら責任を持つという安全意識の徹底を図っていただきたいと考えておりまして、政府としても、危険情報の周知や安全対策に係る助言、広報等、一層強化してまいりたいと考えております。  また、政府としてはこれまでも退避勧告危険情報を継続的に発出してまいりましたが、これからも情報収集分析に努め、適時適切に情報発信をしてまいりたいと、このように考えております。
  10. 柏村武昭

    柏村武昭君 それでは、本題の決算の話に移りたいと思いますが、まず初めはテロ対策について質問いたします。  今年の三月にスペインで起きました大規模列車爆破事件や今回のイラク人質事件を受けて、日本国内でのテロの脅威も一段と高まってきました。二〇〇一年の九・一一同時多発テロ事件発生以後、政府国内外テロに備えた本格的な対策を講じてきたわけですが、警察庁予算でも、昨年度からはテロ等緊急事態への対処体制強化予算主要項目になり、十六年度には前年比一・五倍のおよそ三百三十九億円にまで増えました。警察全体の予算がおよそ二千六百億円程度ですから、テロ対策にめり張りを付けた警察庁の意気込みが数字からも伝わってきます。  そこで、警察当局に伺いますが、平成十四年度以降の警戒警備強化などテロ対策の主な内容、そしてスペイン列車爆破テロ事件以後にテロ対策強化した点があれば御説明をお願いします。
  11. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) 警察におきましては、御質問にもございました米国同時多発テロ事件以降、入国管理局との連携による水際対策強化、また国内外における情報収集テロリスト発見、検挙、そして我が国重要施設米国関連施設など全体で約六百五十か所に対する恒常的な警戒警備実施などの施策を講じてきているところであります。  まず、お尋ね平成十四年度以降のテロ対策の主な内容でございますが、昨今のこういった厳しいテロ情勢を踏まえまして、NBCテロ銃器等を使用したテロへの対処能力強化を図るため、NBCテロ対応専門部隊装備資機材整備をいたしましたほか、平成十四年四月、銃器対策部隊にサブマシンガン約千四百丁を新たに配備したところであります。また、ハイジャック、重要施設占拠事案等重大テロ事案に対処するため、特殊部隊のSATにつきましても装備資機材等充実強化に努めてきたところであります。  さらに、警視庁におきましては、平成十四年四月に官邸警備総理官邸警備専門部隊であります総理大臣官邸警備隊を新設をいたしまして、官邸に対する警戒警備の万全を期しているところでございます。  次に、お尋ねスペイン列車爆破テロ事件以降、強化したテロ対策についてでございますが、警察といたしましては、先ほど申し上げました警戒強化の中で、新幹線地下鉄等公共交通機関テロ対策としまして、これまでも鉄道事業者などと緊密に連携をいたしまして警戒警備に努めてきたところであります。  御指摘スペイン事件発生を踏まえまして、鉄道事業者に対し自主警備の更なる強化を要請するとともに、警備犬を活用した駅構内の巡回の強化、積極的な職務質問列車警乗沿線警戒強化に加えまして、不審物発見鉄道利用者に呼び掛けることなどを内容とする通達を発出し、都道府県警察指示をしたところでございます。  また、本日午前中には、永田町の地下鉄駅構内におきましてNBCテロ発生したという想定で訓練を実施をし、国家公安委員長にも視察をいただいたところでございます。  いずれにいたしましても、警察におきましては、こうした国内外の諸情勢、依然として厳しいという認識をしておりまして、引き続き装備資機材充実強化に努めるとともに、所要警戒警備措置を講じまして、国内におけるテロ未然防止に万全を期してまいる所存であります。
  12. 柏村武昭

    柏村武昭君 現実的な話をしますが、テロリストテロ組織から三日後に新幹線を爆破するとか首都圏の水道に毒物を混入するといったそういう予告があった場合、政府は具体的にどう対応するんでしょうか。危機管理手順は果たしてあるんでしょうか。  三月のスペイン列車爆破テロ事件の直後に行われた総選挙では、野党勢力が勝利して政権が転覆する事態に陥りまして、これにはアルカイダの連中が大いに味をしめたともうわさをされております。日本でも、この夏、七月に参議院選挙がありますから、テロ危機はまんざら荒唐無稽でもないような感じもいたします。  ですから、公安警察当局には、予告テロに対する緊急対応手順国民への緊急広報体制などについて、今のうちからしっかりと研究、準備を進めて、首都防衛に備えていただきたいと思います。  さて、テロ対策基本というものは、正確で有効な情報を迅速に収集分析し、それらをいかに大胆かつ効果的に実施するかということに尽きるかと思います。  公安調査庁では、国際テロ対策予算として、十四年度当初予算では五百万円が計上されまして、十六年度にはこれが四千九百万円にまで増額されましたが、私は思うんですが、CIAとまではいかなくても、もう少し予算が欲しいなと思うんですね。  それから、予算の問題だけではなくて、調査権限の問題もあります。  今の公安調査官には、調査に当たって何の権限もありません。外国情報機関には令状なしに予防拘禁までできる例もあるそうですが、ある程度調査権限を与えなければ、価値のある情報を集めることはなかなか難しいはずです。入管職員にも多少の権限があるはずです、権限がありますから、公安調査官には少なくとも麻薬Gメン並み権限は与えられるべきであり、破防法改正が直ちに必要だと思います。  また、公安調査庁だけでテロ情報を集めているものでもない。やはり、警察防衛当局といった関係省庁との連携が何よりも重要であります。事、テロ対策に関していえば、縦割りの弊害によるささいな連携ミスが国の命取りに直結いたします。  そこで、公安調査庁からは、調査権限制限からくる情報収集上の不都合と今後の破防法改正について、また関係省庁間でのテロ情報のやり取りの実際について簡単に伺いたいと思います。
  13. 大泉隆史

    政府参考人大泉隆史君) お答え申し上げます。  公安調査庁では、先生指摘のように、従来から人を介した情報収集中心とする任意調査の手法によりまして各種の情報収集に努めておりますが、近年、国際的テロ行為が多発している状況を踏まえ、これらテロなどの有効な防止策の在り方につきまして、公安調査官調査をいかに強化するかということを含め、諸外国法制度などを参考にしつつ、法整備の要否の問題も視野に入れて鋭意検討を行っているところでございます。  委員指摘破壊活動防止法改正につきましては、同法に基づく規制が国際テロ団体に対して有効に機能するかという問題もございますので、新たな法整備の要否の問題も視野に入れて検討しているところでございます。  また、関係省庁間の情報の交換につきましては、公安調査庁においては、重要な情報等を入手した場合には、速やかに内閣情報官始め関係機関に適宜適切に提供するなどして情報の共有に努めておるところでございます。
  14. 柏村武昭

    柏村武昭君 公安調査庁皆さんも、やはり国民生命を守るために昼夜を問わず必死で危険を顧みず情報収集活動をしているわけであります。その皆さんが、ピストルも持ってもいない、それから逮捕権もないということでは、ちょっと私は問題ではないかと。それ相応の防備、権限が絶対に必要ではないかと。これからの課題として考えてもらいたいと思いますが。  さて、テロ情報収集に成功しても、それが専門家によって正確に分析されなければ効果的な対策作りに生かせません。  そこで、情報収集の次の段階、情報分析が重要となるわけです。その点、我が国には、アメリカのCIAや英国のMI6、イスラエルのモサドのような特殊な情報機関がありません。しかし、国際テロ組織のような見えない敵に対するには、もっと組織的に情報分析を行う本格的な体制を備えておくことが必要ではないかと思います。そして、情報分析専門家を多数養成すると同時に、将来的には、米国国土安全保障省のような、緊急危機管理のための統合的な組織の創設も必要ではないでしょうか。  ここで内閣官房内調に伺うんですが、我が国テロ情報分析体制は現在どのようになっているんでしょうか、端的に御説明ください。
  15. 貞岡義幸

    政府参考人貞岡義幸君) 御説明申し上げます。  政府情報収集分析体制につきましては、我が国内外におきまして、防衛、外交、治安等情報を担当する関係省庁内閣の下に緊密に連携を保ちつつ情報収集を行い、収集された情報のうち必要なものにつきましては内閣情報官の下に集約され、総合的な分析を行っているところであります。  このように分析された情報のうち重要なものにつきましては、直ちに官邸に報告され、その指示を受け、必要な措置が講じられているところであります。  今後とも、情報重要性にかんがみ、柏村先生の御指摘も踏まえ、一層、情報収集分析機能充実強化してまいりたいと考えております。
  16. 柏村武昭

    柏村武昭君 続いて、情報保護、つまり、外国スパイから国家重要機密、その情報をいかに守っていくかという視点から質問したいと思いますが、日本は、皆さん承知のように、米ソ冷戦の当時から世界ナンバーワンスパイ天国として有名でございます。本当にスパイが左うちわで活動できるという。今、世界からどのように言われているか定かではありませんが、とにかくスパイにとっては有り難い国でした。政府の批判も自由ですし、何とも気楽な国であります。  そこで、提案も兼ねてあえて質問しますが、二十一世紀にふさわしい規律として、新たにスパイ防止法などもそろそろ作るべきだと考えますが、小野大臣、御見解、いかがですか。
  17. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 警察におきましては、これまであらゆる法令を駆使いたしまして、いわゆるスパイ事件取締りに努めてきているところでございますが、その結果、戦後、およそ七十件を検挙しているものと承知をいたしております。  他方、スパイ防止法の制定の必要性につきましては、国民基本的権利にかかわる問題であり、各般の御意見があることから、国民の十分な理解が得られることが望ましく、広く国会等の場で議論されることが必要であると、そのように思われております。  そうした議論が行われる際には、その実効性を担保するためにどのような仕組みが必要なのか、第一線で取締りに当たる警察の立場から意見を申し上げていくことも必要であると、そのように考えております。
  18. 柏村武昭

    柏村武昭君 それでは次に、治安対策の話題に移りたいと思いますが、平成の時代に入りまして、治安の低下が叫ばれて久しいですね。  自民党では、去年の夏に治安対策強化委員会で緊急提言をまとめまして、十六年度予算に生かしておりますが、最近、特に気になるのは、来日外国人による犯罪が増えてきていることであります。これは皆さんよく御承知のとおりです。  現在、我が国に不法滞在する外国人の数はおよそ二十二万人強で、未確認分も含めると更に三万人程度増えるらしいんですが、こうした不法滞在者はいずれ犯罪に走る可能性が極めて高く、したがって、その数を減らすことが外国人犯罪を減らすための第一歩です。  そもそも、日本の入管政策は私は甘いと思います。アメリカでは、例えばハワイなんかで学生ビザで皿洗いなどアルバイトなんかやったら、即刻強制送還、強制退去であります。これが世界の常識だと私は思います。犯歴者の入国禁止や不法就労それ自体の刑罰化も今すぐに検討すべきではないでしょうか。  そこで法務大臣に伺いますが、我が国に不法に滞在している外国人の数や国籍等の実情、彼らが流入するのを防ぐための水際対策の現状について簡単に御説明をお願いします。
  19. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 平成十六年一月一日現在の不法残留者数は約二十二万人でありまして、韓国、中国、フィリピン、タイの順になっております。これは最高の数字では二十九万人まで行ったことがございますが、逐次減らしてはおりますが、今まだ、委員指摘のとおり、高水準になっております。また、このほか、密航等による不法入国者がおよそ三万人と推定されまして、我が国の不法滞在者数は約二十五万人と推測されております。  我が国社会の治安対策上、外国人犯罪の温床となっていると指摘されています不法滞在者を減少させることが喫緊の課題となっておりますが、不法就労等を目的とする外国人を水際で排除することは極めて重要であると認識しております。  法務省といたしましては、全国の空、海の港における偽変造文書鑑識体制を充実させまして、的確な上陸審査に努めておるところでございます。今後とも関係省庁との連携強化や偽変造文書対策強化に努めまして、厳格な水際対策実施してまいりたいと思います。
  20. 柏村武昭

    柏村武昭君 去年の福岡県で発生した中国人留学生らによる一家皆殺し事件、これは皆さんも本当によく御存じでありますが、余りにも残酷で、もう二度と思い出したくないほどですが、来日外国人犯罪ではとりわけ中国人によるものの比率が高く、中国人対策をもって外国人犯罪対策は終わると言っても過言ではないと思います。一体、彼ら中国人たちの目的は何なんでしょうか。犯罪目的で来日する中国人もかなり多いと予想されますが、ちなみに去年一年間の外国人犯罪はおよそ四万件で、検挙人員はおよそ二万人で、そのうち中国人の割合はおよそ九千人であります。これは全体のおよそ四五%ですから、中国人犯罪対策にうまく成功すれば外国人犯罪は一挙に半減ということにもなります。  法務省の入管では不審外国人メール通報制度を作ったそうですが、大変良い制度ですね。これを人権無視だの差別だのと言って批判する勢力がいますが、国民生命と財産をもっと大切にした方がよいと思います。  そこで法務当局に伺いますが、今大臣がおっしゃった水際対策も大事でありますが、やっぱり外国人犯罪を減らすために、外国人の入国を厳重に管理すること、そして今の不法滞在の人々をいかに減らすかということにもやっぱり大事なことではないかと思うんで、この二点に関する今の取り組み方、どのような取組をされているか教えてください。
  21. 増田暢也

    政府参考人増田暢也君) 外国人犯罪の温床となっていると指摘されております不法滞在者を確実に削減するためには、問題のある外国人を日本には来させない、また、来ても入国はさせない、また、今いる不法滞在者はこれ以上いさせないと、この三本の柱が必要であると認識しておりまして、法務省としては、昨年十二月の犯罪対策閣僚会議における決定を踏まえまして、不法滞在者を今後五年間で半減するための各種の施策を現在講じているところでございます。  また、昨年十月には、東京都などとともに首都東京における不法滞在外国対策強化に関する共同宣言を発表するなどいたしまして、強力に不法滞在者対策を推進していくこととしております。具体的には、関係機関との連携強化して、出入国審査リスト、いわゆるブラックリストの充実に努めながら、全国の国際定期便が就航している空海港に高性能の偽変造文書鑑識機を配備するなどにより、一方では厳格な上陸審査実施しておりますが、さらに国内においては、留学であるとかあるいは就学、日本人の配偶者等、正規の滞在を偽装するのによく用いられる在留資格、こういったもので入ってくる人を防止するために実態調査強化しております。  また、お尋ねの摘発については、全国的に計画的かつ継続的な摘発の強力な実施展開しつつあるところでございます。  その他、法整備であるとか、さらに、国際的な協力体制の構築、広報啓発活動の推進など、総合的な不法滞在者対策強化に努めているところでございます。
  22. 柏村武昭

    柏村武昭君 各省庁がこの不法滞在の外国人に関する、やっぱり各省庁全部まとめてみますと十二、三あるんじゃないかと思うんですが、これが縦割りでやっていると全然やっぱり意味がないと思うんですね。横に一並びにして、どこかの司令塔がきちんと指令を出すと。今二十二万が五年間で半減にしようという計画があるらしいんですが、私はもう一年で半減ぐらいにしてもらいたい、そういう取組方をしてもらいたいと思うわけでありますが。  続きましては、外国人犯罪の大部分を占める中国人犯罪、その対策についてはどのように取り組んでいらっしゃるんでしょうか、警察当局から端的に御説明をお願いします。
  23. 栗本英雄

    政府参考人(栗本英雄君) 委員指摘の、ますます悪化しております来日外国人犯罪対策ということで、まず、中国人の問題もそこに入っておると思いますので、その面では警察としての取締り体制整備を図るとともに、先ほど入管局長からもお話がございましたが、警察としても、入国管理局と合同摘発を実施するなど、国内関係機関と緊密に連携を図りながら取締り強化に努めていきたいと考えているところでございますし、また、委員指摘の中国との関係におきましては、何よりも中国治安当局との連携強化が極めて重要であると考えております。そのような観点に立ちまして、中国の治安当局とは、平成十年の国家公安委員長の訪中を始めとした閣僚レベルでの交流を進めるとともに、これを受けまして実務レベルでの協議を重ね、情報交換の緊密化、捜査協力の強化について合意しているところでございまして、今後とも、日中治安当局の協力関係をより一層緊密にしてまいりたいと考えているところでございます。  さらには、昨年の十一月に中国公安部から在京の中国大使館に派遣をされました警察連絡員との連携を密にするなど、中国捜査機関との捜査協力の一層の推進にも努めてまいりたいと考えているところでございます。
  24. 柏村武昭

    柏村武昭君 外国人による犯罪を誘発するそういう事情は、実は我が国の側にあるのかもしれません。  三年前に、法務委員会の視察で私は名古屋の拘置所、刑務所、この辺を回ったんですが、入管の収容施設にも行って驚いたのは、そこに入っている、収容されている外国人の諸君が実に元気が良くて明るくて楽しそうなんですね。連中には罪を償っているという印象を全く受けなかった。  これはどうしてかなと思ってずっと見たんですが、まあ日本の刑務所に入りゃ御飯は全部ただだし、夏は涼しく冬は暖かく、しかも、虫歯にでもなったらただで歯医者は治してもらえる。日本の収容所、刑務所は正に連中にとっては楽園ではないかと。  しかも、黒板に何か書いてあったんですね。それを見たら、この国のだれは牛の肉は食べないとかこの国のだれは豚の肉は食べない、結構黒板に書いてあるんですね。これは何なんですかと言ったら、国のやっぱりルールに従って彼らには肉をこういうふうに区別していますと。これはおかしいですよね。  これは、受刑者のそれは人権というのは、それは確かに普通の人たちの人権とは全く同じじゃないと僕は思ったんですが、それ相応の制限を受けることは当然で、これは最高裁でも認めております。だからこれを、法務省は非常にぜいたくというか、あなたの国は豚を食わないから、はい、豚を出しません、牛を食わないから牛を出しません、これをやっていらっしゃるわけで、じゃ、私がもし捕まってニンジンが嫌いだと言ったらニンジンは出さないんですかね。これはちょっと聞いてみたいですね、真剣に。宗教上の理由と言えばいいんですかね、もう本当の話。宗教上の理由と言えば通るんだったら宗教上の理由に言いますよ、私は。  つまり、外国人に対して過度に配慮したそういう処遇は即刻日本人並みに改めるべきではないかと思います。その点について、担当の矯正局長に伺いたいんですが、どうでしょう。
  25. 横田尤孝

    政府参考人(横田尤孝君) お答え申し上げます。  外国人受刑者に対する処遇は、原則として日本人に対する処遇と同じでございます。ただ、食事等、一定の場合におきましては、その宗教上の戒律、習慣等を配慮した処遇が行われることはございますけれども、外国人に過度に配慮した処遇は行っているものではないと認識しております。  一般外国人受刑者は言語、宗教等に起因しました受刑生活上の困難がありますので、一九八五年に我が国も参加いたしました犯罪防止及び犯罪者処遇に関する国際連合会議において採択されました外国人被拘禁者の処遇に関する勧告におきましても、外国人受刑者の宗教上の戒律及び習慣は尊重されなければならないとされているところでございまして、外国人受刑者の受刑生活上の困難を緩和し、円滑に収容生活を送らせるために宗教等に配慮した処遇を実施しているものでございます。  なお、外国人受刑者につきましては、宗教が生活の重要な部分となっている場合も多く、宗教上の戒律等に配慮しない処遇により生じることが予想される様々な問題を考慮いたしますと、施設の管理運営上の観点からも宗教等に一定の配慮をした処遇が必要と考えているところであります。御理解を賜りたいと存じます。  以上です。
  26. 柏村武昭

    柏村武昭君 まあそうでしょうが、国民の共感が得られるかどうかということなんでしょうね。  宗教上の慣習でキャビアしか食べちゃいけないと言ったらやっぱりキャビアしかやらないんですかね。そういうふうになっちゃいますわね。もう本当に、私の国はステーキしか食べちゃいけない、そういう習慣になっています、じゃステーキをずっと出すわけですか。そこら辺のどっかで線を引かなきゃいけない。悪いことをしたんだから、そのペナルティーは当然しかるべきじゃないですか。我慢して豚肉食べなさい、牛肉を食べなさいというのは当然じゃないかと思います。それが嫌なら悪いことをしなきゃいいんです。というふうに私は思いますが。  さて、治安の悪化といっても、それは単に犯罪の発生数の増加といった量的なことから、犯罪の凶悪化とか新規の犯罪の増加といった質的なことまでいろいろ言われます。しかし、漠然と治安の悪化と言ってみても始まりません。治安の悪化を言うんであれば、具体的にどこでどういう犯罪がどれぐらい増えているかしっかり把握するのが先決でありますが、そこで思うんですが、犯罪発生件数は増加する一方で、強盗や殺人などの凶悪事件の検挙、この検挙率は依然、これが意外と高水準にあるんですね。  平成十五年調べてみたら、殺人の検挙率は九四・一%、そういう立派な数字、実績があるんだったら、国民に対してこれはもっと積極的にアピールしていいんじゃないかと僕は思うんですが、そうすると御婦人方はもとより、子供やおじいちゃま、おばあちゃまも少しは安心なさるんじゃないかと思います。治安対策は暮らしの安全を守るだけではなくて、暮らしの安心も守るべきではないか。  そこで、この際ですから小野大臣に要望しますが、警察治安や生活安全分野の情報、特に凶悪犯罪の検挙率は依然高いということなどをもっと分かりやすく国民にアピールしてください、遠慮しないで。そして、犯罪被害から身を守るための防止対策などについても国民に親切に教えていただきたいと思います。  さあ、おしまいですが、社会的弱者に対する犯罪の防止策について伺います。  ここで社会的弱者というのは主に高齢者や児童のことを指すんですが、最近、こうした弱者の人たちが犯罪被害に遭うことが増えているようです。高齢化の影響で高齢者が増えたことも影響していると思うんですが、内では家族からの虐待に遭い、外ではやはり外国人などのかっ払いや強盗、ひいては殺人などの被害に遭っている。また、深刻な児童虐待のケースでは、まだ生後間もない乳児が傷付けられる例も多発しております。全く困ったものです。警察としても、こうした問題には受け身ではなくて、むしろ積極的に防犯、救護活動を行ってもらいたいとお願いする次第でございます。  そこで、警察当局に伺いますが、高齢者や児童に対する犯罪被害を防止するために、最近ではどのような取組をされているんでしょうか、簡単に御説明をお願いします。
  27. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) 今御指摘のように、近年、高齢者や子供たちが被害に遭います犯罪というものが増えております。  高齢者でいいますと、ひったくりでありますとか、あるいはおれおれ詐欺等の犯罪が増加しておりますし、子供の対象とした略取誘拐事件等の犯罪も多発しておるということで、高齢者や子供を取り巻く環境というものが大変厳しくなっているということは事実であろうかと思います。  このため、警察におきましては、関係機関、団体との連携の下に、高齢者や子供を犯罪から守るためのいろいろな対策を進めているところであります。  具体的に申しますと、まず高齢者についてでございますけれども、高齢者を犯罪から守るための取組としましては、行政機関あるいは防犯協会、ボランティア団体などと連携をしまして、高齢者を対象とした防犯教室といったものを開催しております。また、地域の犯罪の発生状況につきましてはミニ広報紙などによります広報啓発活動なども行っておりますし、さらには、独り暮らしのお年寄りを訪問しての防犯指導といったものが地域の警察官によって行われております。特にまた、最近急増しておりますおれおれ詐欺につきましては、高齢者の被害が大変多いということもございまして、関係機関、団体と連携しながら、高齢者世帯を中心とした被害防止の広報啓発活動や、被害を認知したときに金融機関に対しまして当該、振り込めと言ってきたような口座の凍結依頼を行うなど、被害防止に努めているところであります。  一方、子供に対しての被害防止でございますけれども、これは教育委員会あるいは学校そしてPTA、さらには地域の防犯関係団体あるいは住民などと連携をしまして、警察では、例えば通学路や公園などの警ら・警戒活動、さらにはこうした団体との合同パトロールなども実施しております。  さらに、子供を対象とする犯罪が発生したようなときには迅速に情報を提供するということが大事でございますので、こうした情報をファクスで提供したり、あるいは最近こうした犯罪が多いということをミニ広報紙などで迅速に提供しているということもありますし、学校におきましては、防犯教室あるいは防犯訓練などを実施して子供たちにそうした意識を植え付けるようにしているところであります。さらには、通学路というものがやはり子供たちが事件に遭うということもございますので、そうしたところに子ども緊急通報装置の整備であるとか、あるいは緊急地域雇用創出特別交付金事業を活用しまして警備会社などに委託して、学校周辺あるいは通学路のパトロールなども推進しているところであります。  また、児童虐待のお話もございましたけれども、こうした問題につきましては、児童相談所などの関係機関とも連携を取りながら、その防止に努めているところであります。  高齢者や子供を犯罪被害から守るということは、関係機関、自治体、地域社会とも共同して取り組むべき課題であると考えておりますので、警察としましても、こうした機関との一層の連携強化を図るように努めてまいりたいと考えているところでございます。
  28. 柏村武昭

    柏村武昭君 児童や高齢者の保護と福祉は厚生労働省の管轄でありますが、警察皆さんともうまく連携して、同じような悲劇が何度も起こらないようにしっかりやっていただきたいと思います。  おしまいに、国民皆さんから預かった大切な税金をいかに公平に配分し活用していくか、これが政治家に託された大事な役割の一つであります。予算の使い道のチェックはもちろん、筋の通った政策を実現するための建設的な提言も大切だと思っております。私からの指摘を当局はしっかり受け止めていただくよう強く要望しながら、質問を終わります。  ありがとうございました。
  29. 南野知惠子

    南野知惠子君 自由民主党の南野知惠子でございます。  中医協をめぐる贈賄事件についてでございますが、現在捜査中でありますが、政府の協議会が汚職の現場となり協議会委員が逮捕されることは極めて遺憾でございます。最も信、仁を大切にしなければならない役割の人々であります。中医協の専門委員に看護職の参入がやっと可能となりましたが、遅きに失したと思われております。  先日、大臣は、中医協の審議が形骸化されている実態をお認めになり、組織の在り方を見直すことを明言されておられます。人物も大切でございますが、運営を根本から見直す委員の構成と数のバランスは喫緊の課題と思います。今後、介護など、どのような課題におきましても、このような不正が発生しないことを願っております。多くの議員が質問されておりますので、大臣のお心は痛いほど理解しているつもりでございます。よろしくお願いしたいと思いますが。  次に、質問に入りたいと思っております。  保育の民営化についてでございますが、現在、政府は、待機児童ゼロ作戦など少子化対策推進の一環として、民間活力を導入した保育所の民営化がございます。近年、保育所の民営化は、運営の委託のみならず、建物も貸与、譲渡する民間活力の活用自体は結構ではありますが、いささか気になりますのは、地方自治体が保育所の民営化を財政再建の手段としてとらえて、民営化を急ぐ傾向が見られることでございます。保護者の間からは、運営主体が変わることによる保育の質の低下を懸念する声や、また、公営保育所を民間に譲渡されたが、施設の老朽化や問題箇所が修復もせず引き渡され、多額の改修費が掛かったという苦情も寄せられております。  民間に保育所の建物を貸与、譲渡する場合には、保育の質を確保する観点からもどのような事柄に配慮すべきであるのか、厚生労働省の認識、取組をお伺いいたします。
  30. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 公立保育所の問題でございますが、いわゆる公設民営化という形で民間にこの運営をゆだねるという、そういうケースが最近あちこちで行われているわけでございます。御指摘いただきましたように、保育の質というものを確保していかなければならないのは、もうこれ当然でございます。  平成十三年の児童福祉法の改正のときでございますが、保育所の公設民営化を促進する規定がそのときに置かれております。その施行に際しまして、自治体に対しましては、この貸与先、それから委託先等の選定に当たっては、保育所が児童福祉を担う重要な機能を有していることにかんがみ、手続の透明性、公平性に配慮すべき旨、通知をしているところでございますけれども、これだけでは少し足りないというふうに思っておりまして、公立保育所の民営化が進んでいる状況を踏まえまして、ただいま準備をいたしておりますが、本年の夏を目途にいたしまして、保育所の民営化によって質の高い保育サービスを提供している自治体の取組を例として幾つも集めまして、そして事例集として取りまとめた上で、民営化に際しましてはこういう取組をしてほしいといったことを自治体に周知徹底をしたいというふうに考えているところでございます。もちろん、いい例でございますけれども、その中でまたもし悪い例があるとすれば、こういうことは避けなければならないということもその中で述べなければいけないというふうに思っている次第でございます。
  31. 南野知惠子

    南野知惠子君 事例といたしましても、大変苦情をいただきましたのは難しい事例でございました。また近々、御相談に行きたいと思うことでございます。  さらに、次は、多様な保育サービスを提供しつつ保育の質の低下を招かないためには、保育所に対する適正な評価が必要であろうかと思います。厚生労働省は第三者評価基準を策定されまして、十四年度からの実施がなされていると思います。今後一層の拡大が望まれますが、しかし地方自治体によりましては、第三者評価にかかわる費用負担は軽視できないものがあります。  厚生労働省は、昨年度から第三者評価導入を図る道府県への一部補助を行っているということでございますが、全国規模での導入と保育の質向上に向けて今後どのような施策をお取りになられるのか、教えていただきたいと思います。
  32. 伍藤忠春

    政府参考人伍藤忠春君) 保育所の第三者評価についてのお尋ねでございますが、十五年度から、御指摘のありましたように、都道府県によるこの体制整備につきまして支援事業を行っておるところでございます。  平成十六年度におきましては、新たに都道府県が評価機関の育成、あるいは実際に評価を行う者を、都道府県においていろいろ研修等をやっていただくわけでありますが、それのリーダーになり得る人材を中央で養成をしていこうということで、これを全国社会福祉協議会に委託をして、新たにこういう事業を実施をして全体の底上げを図っていこうというような事業も始めることにしております。  このような取組を通じましてこの保育所の第三者評価の一層の進展に取り組んでまいりたいと思っております。
  33. 南野知惠子

    南野知惠子君 子供は二十一世紀の宝物です。どうぞすてきな環境をお作りいただきたいと思っております。  次に、外国人看護師の受入れについてお伺いいたします。  現在、FTA交渉におかれましては、労働力移動問題に関し、看護師の就労受入れの問題があります。看護師受入れ推進の大きな理由の一つに、今後、少子高齢化が進む状況においては、より看護師の重要性が増し、その需要の供給が追い付かないといった懸念があるのかどうか、まず今後の看護職員の需給見通しについてお伺いします。
  34. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 看護職員の需給状況についてのお尋ねでございます。  平成十二年に、平成十三年から十七年までの看護職員需給見通しを策定し、平成十七年には百三十万人前後でおおむね需要と供給が均衡すると見込んでおります。平成十四年末の看護職員の就業者数は約百二十三万人で供給見通しを上回る実績となっており、順調に推移しております。  平成十八年以降の需給見通しについては、新たに検討会を設け、十七年度中には需給見通し、新たな需給見通しの策定をしたいと考えております。
  35. 南野知惠子

    南野知惠子君 それでは、我が国が不足するからというような理由で外国の人材を受け入れるということはあり得ないというようなことも今確認させていただいたところでございます。  現在でも、我が国におきまして、看護学校などを修了した後、看護婦国家試験を得て看護師になった場合は、四年間に限り、研修という名目で就労することが可能になっております。現に、今年度の看護師国家試験におきましては、ベトナムの十二人が合格いたしております。このような場合は大いに歓迎でございますが、単に労働力として外国から安易に受け入れること、これは絶対に反対でございます。  看護師は、医療関係者や患者さんなどとコミュニケーションを図りつつ業務に従事いたしますが、安易な受入れは、相互の言葉や文化の違いにより、場合によってはコミュニケーションの欠如などを招き、ヒヤリ・ハットの事故などにもつながりかねません。患者さんだけでなく、その看護師自身にとっても不幸な事態となってしまいます。また、外国人看護師を安価な労働力として考えているとすれば、看護師全体の待遇の低下ということへの懸念も生じてまいります。  外国人看護師の受入れにどのような御所見で、今後どのように取り組んでいかれるおつもりなのか、大臣、お聞かせいただきたいと思います。
  36. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) FTA交渉が進んでまいりまして、その中で、いろいろの職種がございますけれども、その中で看護師さんの問題が確かに出ていること、事実でございます。  専門的、技術的分野の外国人労働者の受入れはより積極的に推進するというのが平成十一年の閣議決定でされているところでございまして、この趣旨にのっとっていきたいというふうに思っておりますが、先ほどもお話ございましたとおり、まずこの我が国の看護師資格の取得というものが前提になっております。  したがいまして、日本の看護師資格を取っていただく、それだけの優秀な能力と、そして日本の文化というものの理解をしておみえになるということが一つの前提だというふうに思いますが。そして、FTA相手国の看護師が我が国において、そういう人に対しましては就労しやすいような環境を作っていきたいというふうに考えております。  ただし、お話がございますように、外国人看護師のその活用が我が国におきます看護師の就労にどんな影響を与えるのかということもよく見ていかなければならないわけでございまして、その影響につきましても十分考慮をしてこれから進めていきたいと思っております。
  37. 南野知惠子

    南野知惠子君 大臣のお言葉で安心いたしました。包括的な観点からどうぞよろしく御検討をお願いしたいと思っております。  次に、准看護師制度の今後についてでございます。  准看護師制度は、昭和二十六年、当時まだ女性の高校進学率が高くない時代に、高校卒業を前提とした看護婦養成だけでは看護職員の供給が間に合わないという数の状況、また、安かろう良かろうの下に創設されたものと思います。准看護師と看護師では、同じ職種内に異なるライセンスがあり、それぞれの持つ資格と業務の間で戸惑いや誤解をする人もおります。かねてより准看護師制度を廃止し看護師制度への一本化を要望してきたところでありますが、看護職における男女間の名称は統一できましたが、教育制度は依然として複雑であり、矛盾があると思います。また、現在では医療の高度化、看護の専門性も要求されており、国民の安心、安全の看護のためにも、早期に看護師への統合は必須であると思います。  沖縄県におきましては、戦後、復帰前には存在しない准看の制度でございました。また、医師介輔は存在していましたが、今はおられないと、一人もおられないと思います。  一方、文部科学省の大学における看護学部、学科の数は、この十年間で約三倍にも増え、より高度な看護教育への素地が整いつつあるとも言えると思っております。  看護職者の養成に関しましては国から補助が出ておりますが、准看護師養成の修了生の多くがその後看護師になるための教育を受けている現状を見てみますと、初めから看護師へ一本化した方が、国が負担する費用、財源という面から考えてもよりロスが少なく、またその財源は、看護師の卒後教育、認定看護師、また専門看護師など、時代のニーズに合った教育費として有効に活用できるのではないでしょうか。  無駄な支出を抑えようと今全国で取り組んでいるときに、一校当たりに約一千万円もの助成を続けるのは理屈に合わないというふうに私は思います。看護職者の教育の絵図は複雑や矛盾を含んでおり、場当たりの補正、仮手当てをしたにすぎない形ではないでしょうか。統合実現に向けた抜本的な見直しが必要ではないかと思います。  厚生労働省では、准看護婦問題調査検討会報告において、平成八年に二十一世紀初頭の早い段階をめどに看護婦養成制度の統合に努めることを提言しております。既に報告から八年が経過いたしました。報告にある二十一世紀も迎えたわけでありますが、二十一世紀の初頭とは何年までを言うのでしょうか。一本化への措置、また今後の見通しはどのようになっているのでしょうか。心の痛みが分かり、約束を大切にされる厚生労働大臣、お伺いいたします。
  38. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 准看護師さんの問題というのは、御指摘のとおり、いろいろの実は御意見ございまして、現在その渦中にあるわけでございます。数の上ではだんだんと減ってまいりましたし、そして置き換わるところはいわゆる看護師さんの学校に換えていただくように、そういうふうにいたしております。全国にありますいわゆる医師会立の准看護学校等につきましても、最近とみに看護師学校への切替えというのが進んでおりまして、私の地元におきましても、今年でございますけれども、二か所、看護師学校へ変化したところでございまして、全国的にもかなり進んでいるというふうに思っております。  平成八年に取りまとめられましたこの准看護師の問題調査研究会は、先ほど御指摘をいただいたとおりでございまして、平成十四年四月から、御承知のように准看護師さんのカリキュラムを千五百時間から千八百九十時間に引き上げた。内容を徐々に看護師さんの方に近づけていこうという、そういう作戦でございますが、カリキュラムをそういうふうに変化をさせておりまして、またさらに本年の四月から業務経験十年以上の准看護師さんが就業を継続したままで看護師さんになることができるようにいわゆる看護師学校養成所二年課程通信制というのを始めさせていただきまして、そして現在看護師として働いておみえになる皆さん方にも通信教育で、もう一遍辞めてというのじゃなくて、通信教育で看護師さんになるための道を拡大をしたところでございます。  これからこうしたことを続けて、そしてこの看護師さんにすべて取って代わるような体制にどう持っていくかということを、過渡期でございますので、現在働いておみえになる皆さんもお見えでございますので、その皆さん方のことも考慮に入れながら達成をしていかなければいけないというふうに思っているところでございます。  准看護師さんの学校養成所数それからその定員数、ともに近年大幅に減少傾向にございます。今後とも看護師さんの質の向上を図りまして、看護師さんとしての大きな役割を果たしていただけるような体制に持っていきたいと思っているところでございます。
  39. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。是非、大臣の思いがスムースに展開されますようにと思っておりますが、看護教育は厚生省だけでなく、文部科学省にもございますので、そういう点もというふうに後にお尋ねしたいと思っております。  今、大臣がお話しいただきました十年以上の准看護師を対象にしている二年の通信教育というのは、本年度は山口、福岡、大分のたった三か所でございます。看護師になりたいと望む准看護師の方々の養成にはこの三か所では十分にこたえられていないというふうにも思っておりますが、イギリスにおきましても、これは一九八九年、ずっと前でございますが、准看護師の養成を廃止しております。移行教育においても国の責任で行ったということでございまして、我が国措置は積極的な国の関与が乏しいのじゃないかなと、そのように私には思えてなりません。今年度は六千百万円の予算措置でございますけれども、来年度は九校程度の開校が予定されているようであります。更なる国の積極的な財政支援措置が必要であると考えますが、どのような対応をお考えでしょうか、お伺いします。
  40. 岩尾總一郎

    政府参考人岩尾總一郎君) 先生指摘のように、本年度三校、それから平成十七年度の開校希望を持つ養成所が九校ございます。これらがすべて指定されれば、平成十七年度は全国で十二校、一学年定員でほぼ三千名に達するというふうに思っています。  この制度は、准看護師が働きながら就学できる環境を整備するということですので、私どもはこの看護師養成所二年制通信制の導入促進につきまして、通信制設置の準備に必要な会議経費及び職員の配置等にかかわる支援のための財政措置を行っておりまして、十六年度から運営費に関する補助も行っております。  今後とも、このような形で支援を積極的に進めてまいりたいと考えております。
  41. 南野知惠子

    南野知惠子君 なるべくスムースな移行ができますように、働きながらの方々でございますので、そこら辺の御配慮もいただきたいと、そのように思っております。  次に、今年四月より国立大学が国立大学法人化になりました。従来、国立大学職員は国家公務員といたしまして、給与などの待遇は給与表、人事院規則などにより定められてまいりましたが、今後は各大学の就業規則などにより定められることになると思われます。  一方で、国立大学病院などに勤務する公務員の看護師の待遇が全国的な一つの目安となってきたという経緯もこの中にはあったわけでございますが、各大学病院において質の高い医療が維持されるためには、看護師の適正な給与水準確保についてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思っております。
  42. 原田義昭

    ○副大臣(原田義昭君) 委員指摘のとおり、今年の四月から国立大学法人にいよいよなったわけであります。国立大学法人の職員の給与につきましては、法人がそれぞれの大学の自主性、自律性の下に決定するということになっております。  しかし、国立大学が法人化された後におきましても、国立大学病院が引き続き質の高い医療水準を維持していくということは、これはもう当然な使命でございます。また、ここで勤務する医師、看護師等の職務の重要性等もいささかも変わるものではないと、こう考えておるところであります。  このような観点から、文部科学省としては、平成十六年度、今年度における国立大学法人の運営費交付金の算定に当たっても法人化前における支給実績等十分に踏まえて積算をしておるところでございます。したがって、各国立大学法人においては、国立大学病院の果たすべき使命や看護師等の重要性等十分に踏まえつつ適正に対処していただくのではないか、こう考えておるところであります。  なお、法律上も独立行政法人通則法というのにございまして、これも当該独立行政法人の業務実績を考慮しかつ社会一般情勢に適合したものとなるように給与、退職手当等の支給基準はしっかり定めなきゃならない、こういうような法定もされておりますし、また、実際の就業規則の中にも、これらのことについてしっかり文部科学省に報告をする、届け出る、さらにはそのことを公表しなければならない、こういうことも書いておりまして、いささかも先生が心配なるようなことにならぬように、私どももこれから指導してまいりたい、こう思っておるところであります。
  43. 南野知惠子

    南野知惠子君 いささかも変わらないということは、これはいい方に解釈したいと思いますが、上げてくださっても構わないんです。それも含めて御検討いただければと思います。高度化しておりますし、ケアの在り方というのは大変充実してまいっております。また、副院長という立場も看護職は取りながらドクターたちからも評価されているというところも御勘案いただきたい、いささか変わっていただきたいのはいい方に変わっていただきたいというふうに思っているわけでございます。  次は、やはり文部省がお持ちである五年一貫教育、中学卒業の時点におきまして将来看護師を目指す人にとっては最短のコースであるというふうにこれ賛美されているような観点がございますが、修了生がその後より、その後、卒業した後ですね、より高度な看護教育を受けようとしましても、現在では大学の編入制度はペケでございます。できないんであります。大学への編入が認められなければまた大学を受験し直さなければならない、これは逆に遠回りになるのではありませんか。そして、学校を一つ二つ重ねることによって国の財源も要るわけでございます。ストレートで教育に行けば一つの国が出す税金で賄えると思いますが、二回も三回も税金を使わしていただくぜいたくな教育を文部省はここで展開しておられるのではないかなと、そのように思っているわけであります。  また、看護教員養成ということについても、このコースからは不足だというふうなお話も聞いておりますが、それは中身をお考えいただければ当然でないかなというふうに思っており、そのような矛盾を感じております。  進路指導を行っておられる中学校の先生方は、文部科学省のお勧めの下に、これは正しい理解だというふうに私はちょっと思いかねるんでありますが、どのような観点から指導し、それらの情報を生徒又は保護者に与えているのでしょうか。これは学校の先生のスキルにもよってくるのではないかなというふうに思いますが、子供たちの人生に夢を持たせてください。そう遠回りするようなことをわざわざお勧めになることはないというふうに思っておりますので、進路指導については責任を持っていただきたいと、そのように思います。  子供たちは二十一世紀の大切な宝物でございます。また、我々の税金も大切な宝物であります。現在、文部科学省におきましては、この大学編入学について検討中とのことでございますが、編入の必要性は高いのではないかな、でもこの編入を認めますと、学校教育のアンバランスが表に出てまいります。そこら辺を御覚悟の上、どのような方策をお取りになるのか。もし、卒業生が出る前に、その見通しはどのようになるのでしょうか。卒業する子供たちにも希望が持てる御返答をお願いいたします。
  44. 原田義昭

    ○副大臣(原田義昭君) 御指摘のように、平成十四年度より高等学校に専攻科二年を加えた五年間の一貫教育、これを導入したところであります。  ただ、先生お話ありましたように、この卒業生が当然には大学に編入学できるということには今はなっておりません。ほぼ、先生、この論点については御指摘もいただきましたけれども、現在の高等学校専攻科というのも、形の上では一応初等中等教育機関、こういうのに位置付けられておるというようなこともございまして、いろいろと技術的な、法律的な検討も実は必要な状況にございます。例えば、大学編入学を認めるためには、そのための教育水準を担保する必要があり、またそのために教育、配置等をいろいろ基準をどうするかと、こういうこともございますし、また、看護以外の他の専攻科にも波及といいますか、当然バランスを取るというようなこともあるわけでございます。  いずれにいたしましても、私どもも御指摘の問題点は十分認識しておりまして、できるだけ早く前向きに結論が出るように努力をしたいと、こう思っております。
  45. 南野知惠子

    南野知惠子君 いろいろな問題が複雑に、また矛盾が多くありますので、そう簡単には検討が進んでいかないというふうには思いますが、もう学校に入っている子供たちをどのように大切にするかというところもありますので、是非御一考いただきたいと思います。  次は、法務省にお伺いいたします。  近年、凶悪犯罪が増加し、その被害も深刻化しております。強姦罪や強制わいせつ罪等の性犯罪も重大悪質な集団レイプ事件が起こるなど、この種の事件が後を絶ちません。性犯罪の被害者は身体的、精神的に大きな被害を受けており、加害者の刑事責任を厳正に追及する必要がございます。  そこで、我々は、強姦罪の罰則を強化し、新たに集団的な強姦罪を創設するため、昨年九月、与党におきまして女性と刑法プロジェクトチームを設置し、各種犯罪の法定刑の比較等を行いながら検討を進め、強姦罪等に法定刑の見直しをということで、昨年十二月十日に法務大臣に要望させていただきました。  その内容は三つございまして、性犯罪に関しては強姦罪及び強姦致死傷罪の法定刑の引上げ、二人以上が現場において共同して強姦又は強姦致死傷罪を犯した場合に加重処罰する規定の新設、更に強制わいせつ罪の法定刑の引上げの三項目でございます。早急に立法に向けての措置を講じていただきたいと考えておりますが、進捗状況についてお教えいただきたいと思います。
  46. 野沢太三

    国務大臣(野沢太三君) 御指摘のとおり、与党プロジェクトチームから強姦罪等の罰則強化及び集団的強姦罪等の創設についての御要望を承ったところであります。御努力について敬意を表するものでございますが、これは今御指摘のように、強姦、強制わいせつ及び強姦致死傷等の法定刑が、現在の国民の皆様の規範意識と合致していないのではないか、あるいは、強姦のうち、特に集団的形態のものについて、親告罪の例外とされているにもかかわらず一般の強姦と同じ法定刑である点が相当ではないのではないかという点にあると考えられまして、この御意見国民の多くの皆様から寄せられているところでございます。  そこで、この御要望を踏まえまして、広範な国民の皆様の御意見を踏まえまして、今年の二月十日、法制審に対しまして、法制審議会に対しまして、強制わいせつ罪、強姦罪及び強姦致死傷罪の法定刑を見直すとともに、新たに集団的形態による強姦及び強姦致死傷の加重処罰類型を設けることなどを内容とする諮問を、他の凶悪重大犯罪に対処するための刑事法の整備に関する項目と併せて行ったところでございます。  今後、法制審議会の審議及び答申を踏まえて、速やかに必要な法整備を図ってまいりたいと存じます。
  47. 南野知惠子

    南野知惠子君 終わります。ありがとうございました。
  48. 中原爽

    ○中原爽君 自由民主党の中原でございます。  まず、会計検査院にお尋ねをしようと思います。  私ども委員が手にしております、今年、平成十四年度の決算の資料につきまして、一冊、薄いものでございますけれども、「会計検査でわかったこと」、これは二月に発刊されております。それから、A5判になりますが、「会計検査のあらまし 平成十四年度決算」、これが三月に出版されております。それと、この分厚い白い表紙のものでありますけれども、これが平成十四年度の「決算検査報告」でございまして、昨年十一月の二十八日に内閣へ送付されたものであろうと思います。非常に分厚いものでございます。  この三種類につきまして、会計検査が行われるわけでありますけれども、この根拠法として会計検査院法があります。その三十四条でございますけれども、条文そのままは長くなりますので省略して、三十四条を見てみますと、会計経理に関し法令に違反又は不当と認めた事項に対して意見の表示、適宜の処置を要求し、その後の是正改善の措置をさせることができると、こういう規定でございます。したがって、検査上の問題点に対して意見を表示する、それから処置要求の事項を提示する、それから処置済みの事項についてもそれぞれ取り上げると、こういうような内容が三十四条であります。  もう一方、三十六条という規定がございまして、こちらの方は、法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があると認めるときは意見の表示又は改善の処置を要求することができると、こういう規定でございまして、三十四条と三十六条、違っておるところは、三十四条は会計経理に関し法令に違反、六条の方は法令、制度又は行政に関し改善を必要とする事項があるときにはと、こういうことでございまして、どちらともダブって適用されるというような事態も起こり得るかというふうに思います。  したがって、一応、法令上、三十四条と三十六条が区別されているという理由、あるいはこの各々の適用の仕方について、簡単で結構でございますが、御説明をいただきたいと思います。
  49. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 今、中原委員からの御質問がございまして、その中で三十四条と三十六条の違いはどうかということでございます。  やはり条文に則して考えてみますと、三十四条は、検査の進行に伴い発見した違法又は不当な会計経理について、その是正又はその後の再発防止の処置を速やかに取らせる必要があると判断した場合に発動するものでございます。そして、会計検査院法三十六条による改善処置要求あるいは意見表示といいますのは、検査の結果、不合理、不都合な事態が生じており、その原因が法令や制度あるいは行政にあり、それらの改善が必要であると判断した場合に発動するものとなっております。  このように二つの条文の違いがあるわけでございますけれども、これらを適用していく場合に大きな違いといいますのは、三十四条は違法、不当な会計経理を前提としているのに対しまして、三十六条は違法、不当な会計経理があるとまでは必ずしも言えない場合においても、行政や制度、法令に不合理、不都合な事態があった場合に当局に対して改善の意見あるいは改善の処置を求めると、こういう違いがあるというふうに考えております。
  50. 中原爽

    ○中原爽君 分かりました。  三十四条、三十六条、特にこの会計経理に関し法令ということに明らかに違反した場合と、あるいは違反しているのではないかと疑わしいというようなところで、基本的に三十四と三十六条の適用の仕方が違っているという御説明であったかというふうに思います。  次に、これら三種類の報告書、いずれもでありますけれども、もちろん同じ内容で記載されております。この今回の十四年度の指摘された事項を含めた総件数、三百三十七件ございまして、その中で不当事項ということで指摘をされたものが二百七十二件ございます。そうしますと、この不当事項という指摘の仕方と先ほどの法令の三十四条に規定する不当という意味との違いはどういう違いでありましょうか、御説明をお願いいたします。
  51. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 不当事項といいますのは、会計検査院法の二十九条の三項に規定されている「検査の結果法律、政令若しくは予算に違反し又は不当と認めた事項」というものでございます。この不当事項は、個々の会計経理について、会計検査院が不当であると認めたという、言わば判定の結果を検査報告に掲記をしている、取り上げているというものでございます。  これに対しまして、処置要求、三十四条の処置要求につきましては、個々の会計経理といいますよりは、どちらかといえば、例えば同種の不適切な事態が多数生じているような場合に、その個々の会計経理の規模あるいは不当の程度などということよりも、その同種事態が全体としてどの程度の広がりを見せているのか、あるいはその不当性というようなのがどの程度のものなのかということに着目をして、そして是正改善あるいは再発防止措置を速やかに取っていただくという手段として設けられているものでございまして、その行為の態様であるとか取り上げる対象とかによって違う、取上げ方を変えているということでございます。
  52. 中原爽

    ○中原爽君 分かりました。  不当事項というのは個々の事例について、それから三十四条の適用については同種のものが幅広く出ていると、そういうような事態というふうに、簡単に言えばそういうことで理解をしてよろしいかと思います。ありがとうございました。  それでは、お手元に配付をいたしました資料がございます。過去五年分の決算報告書から拾ってまいりまして、医療費に係るこの今お話が出ました不当事項についての比較表というか、年度別のものを数字的に挙げてみました。下から三段目に「不当な国の負担額」というのがございまして、これが年度を追ってごらんいただきますと十八億円から十一億円の間を上下しておりまして、本来であれば、五年間掛かっているわけですから、何か改善が見られればこれが十億円を割るとか、そういう数字になるのがしかるべきだというふうに思うんですが、一向に改善されないといえば、そういうことになると思います。こういったことにつきまして、過去、平成六年度の決算審査の際にこの医療費に係る不当事項に対して政府に対する警告を行っております。  また、会計検査院のこのA5判のパンフレットの百十九ページでありますけれども、入院基本料あるいは入院基本料等の加算あるいは調剤報酬に対しまして不当事項の発生原因を述べております。  三つございまして、簡単に申し上げますと、第一は、医療機関等から不適切な診療報酬等の請求があったのに、これに対する実施主体あるいは支払機関審査が十分でなかったと。それから二番目に、地方社会保険局及び都道府県において医療機関の医療従事者が不足していることを把握するような資料があったにもかかわらず、その活用が行われていなかったと、十分でなかった。三番目が、地方社会保険事務局及び都道府県における医療機関等に対する指導が十分でなかったと、こういう三つの指摘でございます。  ところが、過去を調べてみますと、この三つの指摘事項は平成十二年から同じ文章なんです。十二年、十三年、十四年、全く同じ文章でございまして、文章も同じですが、先ほど申し上げたように、国が不当に負担すべき金額もさほど目立って改善されていないということになります。この発生原因を指摘されているわけでありますけれども、この三つの事項を改善することがこの改善施策であるわけでありまして、発生原因がイコール改善施策ということになるはずであります。  後ほどこの問題について、特に調剤関係のことでありますけれども、まずこの不当事項の再発防止にかかわる検査をおやりになったわけでありますので、この不当事項と法三十四条に処置済みの事項というのがございまして、この不当の指摘と処置済みの事項との関係を、まず検査院の方から御説明をいただきたいと思います。  私は、処置済みの事項ということがきちっと前もって指摘されたことが処置されておればそれはいいと思います。でも、まあ一応不当事項と三十四条の処置済みの事項との関係を簡単に御説明いただきたい。
  53. 増田峯明

    説明員増田峯明君) お答え申し上げます。  ただいま委員がおっしゃいましたように、本件調剤基本料にかかわります指摘事項は、医療費の不当事項と同じように不当性があるということではあるわけですけれども、今回私どもが指摘をさせていただきました調剤基本料の場合には、先ほど私どもの院長が申し上げましたように、不当事項における医療費の各診療報酬別、診療報酬等の別ごとの指摘とは違いまして、誤りの事態に傾向的な広がりがあるというふうに認められました。  そしてまた、その発生原因といたしまして、主として調剤基本料の区分に関する取扱いについての厚生労働省の周知と、それから指導が十分でなかったところにあるというふうに考えられましたことから、私どもとしては、速やかにこうした事態の改善あるいはその再発の防止を図ることが必要であると考えまして、先ほどお話がありました会計検査院法第三十四条の規定に基づく改善処置要求をすべく検討を進めておりましたところ、厚生労働省におきまして、各保険薬局に対し取扱いについての内容を周知徹底するなどの改善の処置が講じられましたので処置済み事項として検査報告に掲記をしたものでございます。  なお補足させていただきますと、本件調剤基本料にかかわります過大請求の各事案につきましては、医療費の不当事項の各指摘と同様にすべて返還の措置が取られておるところでございます。
  54. 中原爽

    ○中原爽君 ありがとうございました。  それで、今のお話は調剤関係でございましたけれども、診療報酬そのものについての問題がやはりございまして、この法三十四条で意見表示をし又は処置要求を行った事項について、診療報酬における基本診療料等の届出受理についてということが項目として記載されております。  これによりますと、基本診療料等に係る届出手続の通知、「取扱通知」でありますけれども、入院基本料の減額を定めた算定通知と医療機関が混同して診療報酬を請求し、また、地方社会保険事務局等では医師等の人数を確認できず、そのまま受理したことなどが先ほどの三つの発生原因になっていると、こういうことが記載されております。したがって、この入院基本料等に係る届出の可否ということについて解釈に混乱があったということでございます。  したがって、厚生労働省はこの四月、平成十六年の四月から改めてこの通知、取扱通知を出し直しをされまして、三月三十一日までの古いものはもう撤廃すると、新しい告示を提示するということをおやりになったと思います。  たまたま四月でございますので、この辺り、新しい見直しをおやりになったということについて概略、簡単で結構でございますから、例えば届出の書式を変えたとか、そういうことについて御説明をいただきたいと思います。
  55. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の入院基本料等の届出の取扱いと、それと併せまして、入院基本料が医師等の配置によりまして減額されるという基準の関係の解釈が現場で混乱を起こしましたということについて今御指摘あったわけでございますが、これにつきまして、確かにその関係が、告示、通知を見ますとあいまいなところがございました。これをこのたび、御指摘ございましたので、十六年度診療報酬改定に伴う変更といたしまして、この告示関係通知の整合性をすべて図りまして、告示も改定をいたしました。そして、通知も見直させていただきました。その結果、この両者の間にそごがないように、明確に実施現場で分かるようにさせていただきました。  とあわせまして、よく確認はできておるのかということでございますが、基本診療料等の届出の様式も一部改正いたしまして、届出時に、まず届出する方が自己確認をするというのが基本でございますので、医師、看護職員等の員数が一定の基準を下回っていない、言わば基準、届出の前提となる基準を満たしておるということを自己確認させるということを様式欄で確認していただきまして、あわせまして、届出時の医師、看護職員等の員数及び標準人員数との関係の確認につきまして、都道府県におきまして言わば医療監視等の、都道府県の医療監視情報等、これを積極的に活用するように更に指導することといたしております。  そのようなことから、この点、御指摘の点、本当によく気を付けて更に精査し、適正に実施するように努力をしてまいりたいと思います。
  56. 中原爽

    ○中原爽君 ただいま新しい告示について概略御説明がございましたけれども、やはり入院基本料が医師、歯科医師あるいは看護師等の人数によりまして減額率が掛かるという問題を誤解をしたことで届出をするということが問題であったわけであります。  したがって、今回は、例えば、医師、歯科医師の員数が八割以下であっても、看護師さんの人数が八割を超えていればこの入院基本料の減額率は掛けないとか、そういうようなことだというふうに思うんですが、新しいこの減額率の内容について、資料を後ほどまたいただきたいと思います。  また、届出でありますけれども、基本診療料の施設基準等に係る届出書というのが従来から様式が示されております。これについて、これ正副二通を提出するということでありますけれども、この表示、表記の仕方を分かりやすく説明をされたというふうに聞いておりますので、この新しい届け書の写しも、後ほどで結構ですからいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。  それでは、今回の会計検査院の検査によりまして、へき地というふうに申し上げておいて場所は申し上げませんが、へき地の国立療養所、すなわち病院でございますけれども、非常勤の医師を常勤の医師だということで給与を支給したり、あるいは全く勤務実績がない医師、いわゆる名義貸しと見られますこの行為に対して給与等を支給したということが不当事項として指摘をされたわけであります。  この虚偽の勤務実績によって給与等を支給しました療養所の所長、すなわち病院長等につきまして、管理者でございますので国家公務員法等に照らしてしかるべき懲戒処分が行われたということは、これは当然でございますけれども、問題は、この当該のへき地の病院でありますが、国立療養所で主にいわゆる難病を取り扱っている病院でございます。へき地でございますので、そのへき地周辺においてこの難病を取り扱うような病院はほかにはございません。ところが、こういったところについて、先ほど申し上げたように、常勤の医師と非常勤の医師という、この両者の適正なバランスを配置するという、これも標準が必要でありますけれども、やはりへき地であればそれに見合った医療担当者が集まらないという事情がございます。  しかし、医療機関ですから、医師、看護師さん方が基準よりはるかに下回っているという状態であってはいけないわけです。それでは医療機関の役にならないということでありますから、そこのところを今後やはり所轄の厚生労働省としてはどういうふうに考えていったらいいのかということをまずお聞きをしたいと思いますし、また、それによって、先ほど申し上げた診療報酬の看護配置の加算という問題が出てきてしまうということでありますし、看護師さん等の人数の確保あるいは医師の確保という、届出も遵守されないという状況が起こり得るということであります。  それに加えて、この当該病院は、管理者の懲戒処分以外に保険医療機関の指定を取り消されました。したがって、そこに入院をされておられた難病の患者さん方は保険診療ができないということになりますので、自費で入院費を支払うというような状況が起こるということでありまして、これについては厚生労働省の方は特例としてしかるべき処置をされましたけれども、このことについて、四月十日でございますが、某日刊の新聞が取り上げて、早くこの保険医療機関の指定取消しを解除してくれと、そういうような記事になっております。  それともう一つは、新しい患者さんが出てくるわけでありますから、その新しい患者さんを受け入れるときに、現状、保険医療機関になっていないということはいかがなものかという指摘を、この新聞、まあマスコミがやっているわけでありますけれども、これらについても既に厚生労働省対応の処置をされているはずだと思うんですが、そのことを、どういうふうに今なっているかということをお尋ねするのと、それと、先ほど申し上げたへき地の国立療養所等の医療機関における医師あるいは看護師の人員確保ということについて、本当にどうしたらいいのかということ、この二点をお尋ねします。
  57. 辻哲夫

    政府参考人(辻哲夫君) 確かに、一定の医療標準がある、一方におきましてへき地では医師の確保が難しいということで、大変各地で御苦労いただいているという認識を持っております。  ただ、その場合に、医療標準に不足しました場合においても直ちに診療報酬を減額するのではございませんで、例えば看護師等が八〇%以上その基準を満たしておれば、医師又は歯科医師等の員数が六〇%以下という場合に初めてその減額が適用されると。そして、その減額が適用される場合におきましても、通常減額率は、六〇%以下をまた刻みまして、一二%とか一五%の減額をいたしますが、このへき地等の場所につきましてはそれを三%しか減額しないと。こういうことで相当配慮をして、実態に合うように取り組まさせていただいております。  そんな中で、八雲病院の、御指摘の今の点でございますが、取消しを、その点、そういう中で満たしていなかったということで受けられたわけでございますが、その場合に、特に新規の患者さんの取扱い、これ、筋ジス等の大変、そこでなければできないという患者さん方でございますので、それにつきましては、十六年の、通知を出さしていただいておりまして、十六年の三月二十三日付けで現地からの照会に答える形で、そういう筋ジス、重症の一定の患者さんにつきましては受領委任払いということでございますけれども、結論から申しますと従来どおりの三割負担でいいと、保険の機関が指定されておるので、全額御本人にお支払いして御本人から医療機関に払わなければならないというようなことでなくて、そういうケースにつきましては三割で差し支えないという通知を出させていただいておりまして、現場で混乱がないように今後ともよく気を付けさせていただきたいと思います。
  58. 中原爽

    ○中原爽君 私も今御説明がございました新しい、新規入院希望者の取扱いについての文書は確認をいたしました。おっしゃるように、三月の二十三日付けで厚労省の保険局の医療課長からそのへき地の社会保険事務局長あてに新規入院患者の取扱いという文書を出されておりますので、この報道機関が言っております四月の十日時点では既にこの問題は解消されているということで確認をさしていただきます。  ありがとうございました。  最後に、もう一点でありますけれども、今回の検査報告書では、某国立大学病院の医薬品の購入の予算項目の別建てで、これは示達額という基準に従いましてこれ予算を立てるわけでありますけれども、この支払方が不備でございまして、次年度、年度を越して医薬品の支払をするというようなことが不当であるということが指摘されまして、このことは前回、後藤博子委員質疑をされたところでございます。しかし、これはまあ終わったことでございますが。  現在、先ほど南野先生からのお話もございましたが、国立大学が法人化いたしますし、それから独立行政法人の制度がありますので、これは通則上、予算立て等の入口の規制を緩めまして、各法人の自主性を尊重するということで、結局、事業の最終の成果でありますこの決算のところで仕組みをきちっと整理しようということになると思います。したがって、独立行政法人、国立学校法人はともかく、これ皆さん監事を置くことになっておりまして、この監事による外部監査も含めて、決算の数字的なもの、それから業務の問題、こういったことを審査される監事機能強化されるわけでありますけれども、こういった監事機能強化に伴いまして、今後、会計検査院の検査はどのような役割分担をされるのか、この点につきまして検査院のお話を伺いたいと思います。
  59. 高山丈二

    説明員(高山丈二君) お答え申し上げます。  まず、会計検査院は、内閣から独立した財政監督機関といたしまして、検査を受けるものに対しまして正確性、合規性、経済性、効率性あるいは有効性といった観点から検査を行うものとされております。そして、その検査の結果は、検査報告として、内閣を通じて国会に報告されるわけでございます。  一方、一般的には国立大学法人あるいは独立行政法人における監事の監査は、財務諸表等の監査も含めまして、業務全般について監査をいたしまして、その必要があると認めるときは法人の長あるいは主務大臣意見を提出することとされております。  また、委員指摘の会計監査人の監査でございますが、これは財務諸表等について決算の表示が適正に行われているかどうかということを監査を行い、その結果を法人の長に報告するものと承知いたしております。  このように、会計検査院の検査と独立行政法人あるいは国立大学法人における監事の監査や会計監査人の監査には、その立場や検査、監査の観点というものが違いがあるものと考えております。  ただ、会計検査院といたしましても、限られた人員で効率的、効果的な検査を行うため、検査に当たりましては、これらの監査の実施状況あるいは実情を十分に把握し、その結果を勘案した上で会計検査の重点を決定していたしたいと、いたしたいということも考えてまいりたいと考えております。
  60. 中原爽

    ○中原爽君 終わります。
  61. 広野ただし

    広野ただし君 民主党・新緑風会の広野ただしです。  決算委員会で、まず、今日は公安委員長がおいでですし、会計検査院長また人事官も来ておられますので、ちょっとまず警察不祥事のことについてお伺いをしたいと思います。  今年にも入りましても、北海道警あるいは福岡県警、静岡県警ということで不正流用問題あるいは二重帳簿問題ということが発覚をしてきております。そして、過去のことも取りましても、警視庁ですとかあるいは熊本県警あるいは香川県警、愛知県警というようなことで、私は、これは一つのどこか地方で行われているということではなくて、全国的にこういうことがやっぱりあるんではないのかと、こういうふうに思うわけです。  まず、そのことについて公安委員長見解を伺います。
  62. 小野清子

    国務大臣小野清子君) お答えを申し上げたいと思います。  北海道警察、静岡県警察及び福岡県警察におきまして不適正な予算執行が判明いたしましたことは誠に遺憾でございます。不適正事案や疑惑に対しましては、既に関係道府県警察におきまして公安委員会の指示を受けながら鋭意調査を進めているものと承知をいたしておりますが、調査の結果、不適正なものが判明いたしますれば厳正な対処をするものと認識をいたしているところでございます。  現時点では、各道府県におきまして途中経過を報告をいたしました段階であると承知をいたしておりますけれども、今後、国家公安委員会といたしましても、責任の所在を含めまして、関係道県警察連携いたしまして早期に事案を解明するよう警察庁を督励し、その結果を踏まえて厳正に対処してまいりたいと、そのように考えております。
  63. 広野ただし

    広野ただし君 会計検査院長、どのような検査をされましたか。
  64. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) ただいまの警察捜査費あるいは捜査報償費などにつきまして北海道警を始めとして様々な報道がなされ、いろんな証言があるということは十分承知しておりまして、会計検査院としても重大な関心を持っているところでございます。  今回、報道などされております事態につきましては、警察庁におかれては検討委員会を設け、それからそれぞれの関係の県警等においては調査チームが設置されて事案を解明しているというふうに承知をいたしております。さらに、一部においては中間報告等がなされたというふうにも承知しているところでございますけれども、会計検査院といたしましては、その状況などを十分注視をし、そしてその内容を把握して、その調査結果が明らかになったものについてはそれらを整理、検討して、必要があれば更に実地検査を行うというようなことも視野に入れて検査を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  65. 広野ただし

    広野ただし君 これはもう非常に昔からそういうことがある、最近のことではないということなんですね。  これは昭和五十九年に出ている本ですが、元警視監の松橋忠光さんが「わが罪はつねにわが前にあり」ということで、いろんな警察の内部のこと、自分がこういうことを書けば村八分になるだろう、また仲間を非常に批判することになる、だけれども自分はきちっと示さないと世の中に申し訳ないと。こういう意味で、「わが罪はつねにわが前にあり」ということで書いておられるんですね。  この「日本警察 腐蝕の構造」、これはちょっと、ジャーナリストなんですけれども、小林道雄さんという、これも長いことやっておられる人も警察の内部のことを書いておられるんです。このジャーナリストの話から聞きましても非常に変なことが行われている。例えば、署長三回家が建つという言葉があるというんですよ。署長を三回やると、異動するたびにせんべつをもらう、贈答をもらうという形で、そうしてその結果大変なことで、家が建っちゃうくらいに贈答世界だと、こういうことなんですね。  それを、なぜそういうふうになってくるのかということは後でまたお話しいたしますけれども、私はもっと会計検査院がしっかりとやらなきゃならないんだというふうに思うんです。作家の猪瀬直樹さんが、道路公団民営化のことをやっておられる人ですが、捜査費不正流用問題は日本警察全体の体質の問題、公安委員会はお飾りにすぎず、会計検査院もチェック機能を果たしてこなかったことが根深いものとしたと、こういうようなことを、これは作家がこう言っておるわけですね。  過去からいろんなことがあるのに、例えば会計検査院のことにつきましても、警察の中では会計検査院に対する予備想定問答集みたいのがあって、そこでいろいろと、検査で不祥事が出ないようにということをいろいろとやってきていると、こういうことなんですね。ですから私は、もっと会計検査院が特別調査でもしてしっかりとやってもらいたいと思うんですね。  これは何でこんなことを言っているのか。私も、いろいろと警察に我々の安全を守ってもらっていることも一杯あります。現場は一生懸命やっている。二十四万人の警察がしっかりやっているところもある。しかし、何か一部の、私はこれエリート官僚じゃないかと思うんですが、そういうところが人事権を持って、人事権を持って警察を、地方警察を支配をしようと、こういうようなことになってしまっているんじゃないのかと思うんですね。  全国四十七都道府県、県警本部長、わずか地元出身者は五名です、あとは全部警察庁から行っている、こういう事態になっています。また、部長職以上のそういうポストでも、キャリアと言われる人が二百六十のうち五十二を占めるということで、中枢の部分はキャリアが占めると、そしてそれが人事権を持ってやる。そうすると、少しでもそのキャリアの人に、人事権、覚えを良くしてもらいたい、だから貢ぎ物を出していくと。各課にいろいろと捜査費を裏金みたいにして、捜査費等、捜査費というのは国費で報償費というのは県の費用だと、こういうことなんですけれども、それだけでは足りなくて、どうしても、いろんな形で裏帳簿を作って、そして贈答品等を贈ってやっていくと、こういうようなことがもうまかり通っているというわけなんですね。  そして、ちょっと今日は人事院に来ていただいておりますが、国の警察そして地方警察、戦後、警察の民主化のために自治体警察というものを非常にしっかりしようということでやってきた。だけれども、結局、国家警察がずっと人事でもって支配をすると、こういうことになってきている。  そういう実態について、そしてまた警察というのは大変な階級社会ですよね。上、長官がおって、警視総監があって、警視監があって、警視長、そして警視正、そして警視、警部、警部補、巡査部長、巡査と、こういう階級がかっちり決まっている。そしてまた、巡査、巡査部長、警部補となるのに三、三、三原則とか何かあって、巡査三年まずやらなきゃいけない、そして巡査部長も三年以上やる、警部補になるのにまた三年、警部になるということはノンキャリアではもうなかなかできないと、こういう実態です。ところがキャリアは、そしてまたノンキャリアは一生掛かっても警部になれない、ところがキャリアはわずか四年で警視正になって、その後どんどんどんどん昇進をしていくと、こういう実態だというんですね。  そうすると、現場の、一番現場を大切にしなきゃならないのに、現場の人たちが腐ってしまうんですよ。そしてまた、少しでもまた覚えを良くしてもらいたいということで、どんどんどんどん貢いでいく、そのお金もないから何か裏金で、こういうようなことになってしまうと、そういうことを北海道のこの原田さんもおっしゃっているわけだし、そして弟子屈の次長さんもおっしゃっている。これはもう本当に根が深くって、ここはもうこのところでがっちりうみ出してしまって、昔、各省庁でも裏金問題というのはありました、三十年前ほど、鉄建公団を始めとして。だけれども、ここでみんなそのときにうみを出して、そういうことをやめようと、こういうことをやっているわけですね。  ですから、やっぱり国民皆さんから、また市民から信頼される警察を作るためには、ここで思い切ってもううみを出してしまってもう一回再スタートだと、こういう思いでやってもらわないと本当に私は警察国民の信頼を失ってしまうんじゃないかと、こう思うんですね。  公安委員長にもう一度お伺いしたいと思います。
  66. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 先生の御質問警察部長の人事に関するお尋ねであろうかと、そのように感じておりますけれども、それがまあ大きな柱であろうかと思いますけれども、都道府県警察の最高責任者であります本部長というものには、警察運営の中立性やあるいは人事の公平性を担保するために、部内外に地縁、血縁のつながりのない地元採用者以外の者を配置することが適当であると、そのように考え、行っているところでございます。  都道府県警察の採用者につきましては、出身都道府県の推薦に基づきまして、警察庁に中途採用という制度がございます。その制度によりまして、警察庁における勤務のみならず、出身以外の都道府県警察本部の部課長や本部長といたしましてその能力を全国レベルで発揮しているところでございまして、先ほど先生がおっしゃってくださいましたように、現在、警察部長に三名、これは滋賀、長崎、佐賀でございます。それから、方面本部長に二名、旭川、北見が登用されているところでもございます。  このように、御指摘は、決して一部の者が、警察庁からの者だけがその任をどうこうしているということではなく、それぞれの地元の採用、そして警察庁の採用の者がそれぞれの特徴を、十分に役割を発揮し、分担、発揮しながら警察業務の運営に当たっているわけでございますので、これからの人材の積極的な登用を図ってまいりたい、更なる登用を図ってまいりたいと、そのように考えているところでございます。
  67. 広野ただし

    広野ただし君 いや、やはりここで再スタートするという気持ちでやりませんと江戸時代の水戸黄門のような話になっちゃうんですよ。悪代官がおって、そして与力がおって、同心がおって、そしておかっぴき、みんなが狂ってしまって、本当にそこの地元の人、農民を守る、あるいは商人を守る、そういう話にはなくなってしまうんですね。ですから、やはりここは災いを転じて福となすといいますか、思い切ってここでうみを出してしまってしっかりと出直しをしなきゃならないと、こう思いますが、人事院の方、どのように思っておられますか。
  68. 谷公士

    政府参考人(谷公士君) 警察、御指摘警察の問題につきましては、警察業務におきます国家の事務、国家的な事務、それから地域的な事務ということが基本にあると思いますし、警察としての特別の制度もあると思いますので、私からはちょっと一般論になりますけれども、現在国家公務員全体について問題となっておりますキャリア、ノンキャリアの問題、このことについてお答えをさせていただきたいと思います。  現在のキャリアシステムの運用につきましては、採用段階における一回限りの試験で将来が決まってしまうということ、またこのことによってⅠ種職員に誤った特権意識を生じさせてしまうのではないかということ、また優秀なⅡ種、Ⅲ種職員等他の職員の意欲をそぐことになるのではないかといった弊害が指摘されているところと認識をしております。他方、高度化し多様化する行政課題に的確に対応し、国民の御要請にこたえ得る質の高い行政を展開いたしますためには、国民全体の奉仕者としての使命感を持ち、政策立案能力等にも優れた幹部職員を選抜し育成していくことが重要であると考えております。  人事院といたしましては、このような観点からキャリアシステムの見直しにつきましてⅠ種、Ⅱ種という試験の区別の在り方、幹部要員の選抜育成方法や処遇の在り方などについて幅広く検討していく必要があるものと考えております。また、当面の運用といたしましては、意欲と能力のある優秀なⅡ種、Ⅲ種等採用職員の幹部職員への登用を着実に推進していくことが必要と考え、そのような取組もいたしておるところでございます。
  69. 広野ただし

    広野ただし君 そしてまた、先ほどもいろいろとありましたけれども、検挙率、これがもう本当に下がってきているんです。二〇%を切るようになっている。そしてまた、先ほどは殺人の場合は九四%と、こうおっしゃっていましたけれども、九四%が高いというふうには言えません。殺人を犯したのは全部ひっくくってもらわなきゃいけないんですよ。そういうことなんです。しかも、暴力的九犯罪というのがありますけれども、これは強盗ですとか傷害とか、もうそういうものでも今、年間、平成七年から十三年の間に九万件だったのが二十七万件、三倍になりました。そして、検挙率は二三%ですよ。これは先ほど出ていました強姦だとか何かも全部入るんですよ。こういう実態になっている。これを何としてでも直さなきゃいけないんですよ。  そして、警察官、現場に出てもらって、この現場と内勤、外勤と内勤の割合だって、私は聞いてびっくりしましたけれども、私はもう現場が圧倒的に多いのかと思いましたら、そうじゃないと言うんですよ。六対四ぐらいで内部が多い場合だってある。それで、ようやく最近になって五、五ぐらいになってきたと。これは何かというと、今まで年寄りの刑事さんでもいました。その刑事がそれこそ、もううまく逮捕していくわけですよね。そういう刑事を、刑事コロンボのような話なんですよ。そういうのを泥警と言ってばかにするような、そういう風潮に陥っているんですね。これじゃ困るんですね。  現場で頑張っている人ほどちゃんとやってもらう、そして生き生きと、将来もちゃんと処遇できるような、そういう形にしてもらわないといけないと思うんです。まして、今度こうやって福岡県警ですとかあるいは北海道警察、あの当のOB、これはOBになりますけれども、もう村八分になることを覚悟して、まあある意味で自分は裏切り者になるかもしれない、だけれども国民の信頼を得るために今ここでやっておかなきゃいけないんだと、こういう思いで言っておられる人たちをとっちめるとか村八分にするとか、そういうことの絶対ないように、ここは公安委員長、是非約束してもらいたいと思うんです。総ざらえでここをやって、そして本当に国民のための警察というものに立ち返ってもらいたいと思うんです。もう一度お伺いしたいと思います。
  70. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 具体的な不適正事案や疑惑については既に先生からおっしゃっていただきましたように、関係道府県におきまして公安委員会の指示を受けて鋭意調査を進めているところでございますけれども、不適正なものが判明いたしますれば、それは厳正にやはり対処するものと、その辺はしっかりとらえておかなければならないと思っております。  国家公安委員会規則を制定をいたしまして、同規則に基づきまして平成十六年度の会計監査実施計画が策定されたところでございまして、すべての都道府県警察を対象にいたしまして、本計画に基づき、従来以上に実施頻度を高めたり、捜査員からの聞き取り調査の機会を増やして監査を実施をするとともに、各都道府県警察におきましても内部監査を計画的に実施するものと承知をいたしておりまして、やはり警察の改革を何をもってしていくかということの中においては、まずは内部監査を計画的にしっかり実施をしていくということが第一点であり、その下に国家公安委員会といたしましても厳正に監査をやはり実施させるように警察庁を督励していくということ、これに尽きるものだと考えております。
  71. 広野ただし

    広野ただし君 私は、例えば捜査の段階でやはり機密費的なものはやっぱり必要なことは必要だと思うんですよ。必要ならばちゃんと予算を組んで、そしてまた会計検査院ともよく相談をして、官房機密費だってどういう出し方をするかというのをもう一回洗い直したでしょう。それと同じようなことをやって、本当にきちんとしたことにしませんと、結局またお金が足りないからいろんな形で不正流用をしていくと、こういうことで抜本的には何にも改まらないんだと、こういうことだと思うんですね。  ですから、今、本当に災いを転じて福となす、そして国民皆さんに信頼できる警察を今こそ作る、こういうことを、私は国家公安委員長からそういう決意を聞きたい。そしてまた、会計検査院長も、警察とちょっと相談して、捜査費、また報償費は地方の方になりますけれども、どういうやり方でやっていけばいいのか基準を示さなきゃいけないと、こういうふうに思うんですね。再度御意見を伺います。
  72. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 現時点での調査結果ではありますけれども、関係道県警察におきまして判明いたしました不適正な予算執行の使途の中には、捜査費では執行できないもの、例えば慶弔費ですとか、それから事務機器等の購入経費、それから残業時の夜食代など、他の予算科目で予算措置できたのではないかと思われるようなものが認められているところでございます。  調査を遂げ、全容が明らかになりました段階で、先生が今おっしゃっていただきましたように、予算化すべきものはきちんと十分に検証しながら予算化をさせていただくなり、そして財政状況が厳しい中ではありますけれども、今後その予算化すべきものを予算化し、そしてまた対応すべきものを対応しながら警察庁を督励してまいりたいと、そのような決意を持っているところでございます。
  73. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 森下院長、いいですか、答弁。
  74. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 会計検査院といたしましては、これからも実施していきます警察捜査費の検査に当たって、その捜査費の予算執行の体制、それから内部統制の状況などについても十分検査をいたしまして、更に改善をするという必要が認められました場合には、そのような方向でいろんなことを措置を求めていったりしたいというふうに考えております。
  75. 広野ただし

    広野ただし君 会計検査院長には特別調査というのをきちっとやってもらいたいというふうに要望いたしておきます。  次に、日歯連事件、現在捜査中でありますけれども、このことについてお話をさせていただきたいと思います。  この日歯連、九九年から二〇〇二年まで四年間の間に二十八億円の献金といいますか、パーティー券なんかも含めてやっておる。献金は、国民政治協会、二十一億二千六百万とか、こういうことであります。この膨大なお金を政治献金をしたり、また裏金で、献金に、表に出さないで裏献金のようなことをする。なぜそういうようなことになるのか、まず厚生労働大臣に伺いたいと思います。
  76. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 御承知のように、この日歯連の問題と日本歯科医師政治連盟との問題は、これは表裏一体になっておりますけれども、別々のものであることはもう御承知のとおりでございまして、日本歯科医師会の方は我々の方できちっとやっていかなければいけないわけでございますが、政治連盟は我々の管轄外でございます。  しかし、そうはいいますものの、同じ団体が二つの別途の団体を作っているわけでございますから、私たちも、日歯連とそれから政治連盟の方が会長も一緒、そしてその場所も一緒、電話も一緒、あるいは貯金通帳も一緒というのではこれは区別が付かないわけでありまして、平成十三年で医師会の問題が起こりましたときに、これは医師会、歯科医師会、その他団体に対しましてそういうことのないようにということを、これは地方の場合には地方の都道府県がこれを、任命権者でございますので、地方にもお願い、都道府県にもお願いをし、中央にも私たちでお願いをしてきたわけでございますが、そこがしかし言ってまいりましたほど明確になっていなかったということも分かってまいりました。で、もう一度、ここは明確になるようにというので出し直しを今いたしているところでございます。ここははっきりと区別をしていかなければ、日本歯科医師会の方はいわゆる学術団体だというふうに言っておみえになるわけでありますから、学術団体としてのこれはお仕事をしていただく、そういう性格のものだというふうに思いますし、そこの明確な区別というものを私たちはまずこれはしていかなければいけない。  再度、現在、各都道府県に対しましても、そうした末端にまでそれがきちんと行き届いて、そしてそれが実行されるようにしていきたいというふうに今思っているところでございます。
  77. 広野ただし

    広野ただし君 今、坂口大臣がおっしゃいましたとおりでありますが、これは何年か前に、KSDですね、中小企業経営者福祉事業団ですか、あのKSDのとき、これも財団法人そして豊明会という政治団体をもう表裏一体のようにして持っておって、これは非常に、我が参議院の方から、誠に残念だったんですが、村上天皇そして小山孝雄さんということですね、いうようなことで大変な不祥事になったわけでありますけれども、私は、この社団法人日本歯科医師会と歯科医師連盟、日歯連と政治連盟と正に表裏一体なんですね。社団法人の方についてはこれは厚生労働省が指揮監督権があるわけですから、もう一回改めて調査をしてもらいたいと思うんですが、大臣、どうでしょうか。
  78. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) この日歯連とそれから政治連盟の方の関係につきましては、もちろん調査もいたしまして、そして明確になっていないところは分離を明確にしていただくようにしたい、そういうふうに今思って作業を進めているところでございます。
  79. 広野ただし

    広野ただし君 それは国会の方に報告いただけますか。
  80. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 結果が出ましたら御報告を申し上げたいと思います。
  81. 広野ただし

    広野ただし君 それと、中医協の問題で逮捕者が出ている、こういうことであります。まだ捜査中ですからいろいろと言えないこともあるんでしょうけれども、この掛かり付け初診料の導入の問題、今まで医師会、歯科医師会ではなかなかそれが大変な格差があったというところで、要件を緩和をして入れる、こういうことになったということであります。  自民党の中の医療基本問題調査会少子高齢社会歯科診療報酬等に関する小委員会というのが設けられて、そこに十五人の先生方がおられる。そのうち十三人に一億二千万円の献金がなされている、こういうことなんですね。そしてまた、委員長なり何人かの人たちは、いろんな厚生労働省に働き掛けをしたんではないかと、こういうことも言われております。そして、中医協の方のこれは逮捕が出ている方でもいろんな話があったようであります。そして、逮捕された臼田会長の方は何か大臣にも何回もお邪魔していろんな陳情をされたということが今日新聞にも載っておりますけれども、このことは事実でしょうか。
  82. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) これは、平成十三年はたしか一遍だというふうに記憶いたしております。これは何遍かというわけではありません。  今日も私読ませていただきましたが、いつもというのは、私が申し上げたのは、地方へ行きまして医師会の皆さん方にお会いをすると、そのときにいつもおっしゃるのは、医師と歯科医師との間の格差だということをおっしゃるということを私は申し上げたわけでありまして、歯科医師会長がお見えになったのは一遍と記憶いたしております。これは、歯科医師会だけではなくて、医師会の皆さんもお見えになりますし、薬剤師会の皆さんもお見えになりますし、いろいろの代表の方がそれはお見えになる。  ただ、一貫して私申し上げているのは、それは決まるのは中医協でありますから、それはすべては中医協にお任せいたしてありますというのが私の口癖でございまして、皆さん方にはそう申し上げてきたところでございます。
  83. 広野ただし

    広野ただし君 私も、坂口大臣はいつも非常に真摯に誠実に答弁もされますので、大変尊敬を申し上げておるんですが、まあ立場もありますので。  当然、業務のこととして、それは歯科医師会の方とも会われていろんな陳情を受けられるのは当たり前であります。しかしながら、その中から献金を受けられたと、ちょっと聞きにくいことなんでありますが、そういうことはないんでしょうね。いかがでしょうか。
  84. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 私が、十三年、十四年は多分ないと思います。十三年はないと思います。十四年でございましたか、年末にパーティーをやりましたときにパーティー券を購入をしていただいた。これは一応十人分というふうに限定をして、皆さんにそれ以上は御迷惑を掛けないというふうにいたしておりますので、その範囲内において買っていただいた、こういうことはございます。
  85. 広野ただし

    広野ただし君 大臣は非常に誠実な方でいらっしゃいますんであれですが、やはり大臣の職務というのは非常にそういう面では国民が注視している、注目をしていることであり、また非常な権限のあるところでありますので、やはり李下に冠を正さずといいますか、そういうようなことで是非よろしくお願いをしたいと思います。  それと、中医協のこの組織自身が、私は、官が余りにも介入をできるような仕組みになっている。答申どおりというのが今までのことのようでありますけれども、そういう中で、私は、その中立委員だとか何かというような、単なる支払側とかそういう関係のことを言うんではなくて、もっと民間の調査会社ですとかコンサルタントですとか、民間の幅広いパブリックコメントが入るような仕組みに変えませんと、これはなかなか、国が要するに決めてしまえば大変な利益を受ける人と損をする人といろいろと出てくるわけで、そこのところを根本的に見直さないと、単なる委員の構成を変えるとか何かそういうことではないんじゃないかと、こう思いますけれども、大臣いかがでしょうか。
  86. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 今回の問題が、委員をしていただいております個人の問題なのか、それともこれは組織の問題なのか考えなければならないというふうに思っております。たとえ、個人の問題であったといたしましても、こういう機会でございますから、やはりこの中医協そのものの在り方も見直さなければならないんだろうというふうに思っております。  私は、その中でまず最初にやらなければならないのは、現在のいわゆる診療報酬体系の点数が非常に複雑になっている。電話帳のようなこの診療報酬点数表がございまして、全部知っておる人はだれもいないという、そういう代物でございますから、もう少しこの診療報酬の基準と申しますか、尺度を明確にして、もう少し簡潔明瞭な内容のものにして、患者さんにも御理解のいただけるような内容にしなければいけないということが一つだと思っております。  それから、中医協という場は、支払側と診療側がそれぞれの意見があって、その意見を言っていただくことになっているわけでございますから、そこを民間の方に替えてというのはちょっと私はなかなか難しいというふうに思いますが、しかし、公益の皆さん方の人数をどうするかということはあり得ると私は思っております。現在、八名、八名、四名で、四名が公益委員皆さん方でございますが、仲介の労を取っていただく皆さん方にどういう方に入っていただき、その人数をどうするかといったようなことは私はあり得るというふうに思っております。  それからもう一つは、この診療報酬が一遍決まってしまいますと、そうすると、その事後評価というのは今なされていないわけでありまして、事後評価というのも制度をこの中に取り入れていく必要があるのではないかというふうに思っている次第でございまして、そうしたことを総合的にひとつ検討する一つの機会ではないかというふうに考えている次第でございます。
  87. 広野ただし

    広野ただし君 ちょっと時間もなくなりましたので、年金問題は同僚委員始め皆さんにまたお願いをすることにしまして、一つだけ、労災関係ですが、このことについて伺いたいと思います。  今まで、グリーンピアですとか、あるいはスパウザ小田原ですとか、そういう関係で、年金特会あるいは雇用保険の方での施設の問題はいろいろとあったんですが、労災の方で、これもまた現在、積立金が、これは遺族補償年金あるいは障害補償年金、傷病補償年金のためのものでありますが、七兆六千億円の積立てがあるということであります。それを使って、労災病院ですとか看護専門学校、そして労災認定者向け宿泊休養施設ですとか産業保健推進センターですとか、そういうものがたくさんやはり造られているんですね。  そこが採算が合っているのかどうなのか、それによって労災のお金を掛けていたんだけれども、何かそこでまた大変な損をするということになっては、これは掛けている人たちが、また信頼を失う、こういうことになるわけで、そこのまた箱物建設、あるいはそれの維持運営ということから、もうここはすっぱりと考え直してもらいたいと思いますが、大臣見解を伺いまして、終わります。
  88. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 労災の方で一番やはり大きいのは労災病院でございまして、三十七か所ございます。今回七か所を減らさせていただいて、三十か所に一応したいというふうに思っております。  これは、地元からは非常な御要望があったりするわけでございますが、例えばけい肺病院でございますとか、過去におきましてはそれなりに非常に大きな役割を果たした病院がございますが、時代の変遷とともに役割を終えたところもございますし、今御指摘のように、経営的にも非常に厳しいところがあるわけでございますので、そうしたところにつきましてはできる限り他の地方の自治体なり民間なりにそこをゆだねるということにいたしまして、まず七十か所にしたいというふうに思っております。  そのほかに、看護学校が少し併設されたのがございます。看護学校は今減らしつつございますし、これからももう少し減らせるところは減らしたいというふうに思っているところでございます。  それ以外のところは、リハビリテーションみたいなところもあるわけでございまして、こうしたところにつきましても、これはリハビリテーション学院ですね、育てる方でございますが、こうしたところにつきましての見直しも今考えております。十五年度末でこれも廃止することにいたしております。  それから、そのほかは休養施設と、労災保険会館というのが一か所ございまして、そのほかは休養施設でございます。これは既に十五年度末までに四か所廃止をいたしまして、平成十七年までにこれはすべて廃止をするということにいたしております。  ただ、こうした場合に、グリーンピアですとか、ああした場合にも十七年度末でということを決めてやったものですから、余り時間をがんじがらめにしますと買いたたかれるということもあるものでございますから、そうしたことも十分に配慮をしながら、しかし確実に決着を付けていくということでやらせていただきたいというふうに思っております。  労災病院の三十はそんなに、地方の問題もございますし、それこそ先ほどお話にも出ておりましたけれども、特殊な病院等もあったりいたしまして、急にこれをなくするというわけにはいかない点もあることも御理解をいただきたいと思います。
  89. 広野ただし

    広野ただし君 積立金が赤字垂れ流しでなくなっていかないように、早急に抜本的な対策を講じていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  90. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。  私は、質問に入ります前に、今日の最初の自民党の柏村委員の御質問の中で、人質になった方のことを反日分子という言葉を使われてたしかいたように聞いたんですけれども、自衛隊の派遣に反対をされているということで、反日分子あるいは反日活動家、ちょっとよく聞き取れないところもあったんですけれども、この表現は不穏当ではないかというふうに私は思ったんですが、ちょうどそのとき理事さんが席を外していらっしゃいましたので、打合せがあっていたようですが、是非とも後刻、この表現については理事会で精査をしていただきたいということをまず冒頭お願いをしておきたいと思います。
  91. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまの神本君の御発言につきましては、理事会において取扱いを協議したいと思います。
  92. 神本美恵子

    神本美恵子君 よろしくお願いします。
  93. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 続けてください。
  94. 神本美恵子

    神本美恵子君 それでは、質問に入りたいと思います。  先ほど広野委員の方からも触れていただきましたが、警察の不正経理疑惑についてであります。  私は、内閣委員会でも再三質問をしてまいりましたけれども、今般、北海道、それから静岡、福岡、さらに宮城、長崎や高知などでも国費である捜査費の経理にかかわって裏金疑惑が持ち上がっております。先ほど、広野委員の御質問に、国家公安委員長、ちょっとお答えになっていなかったような気がいたしますので、同じ質問になると思いますけれども、元北海道釧路方面本部長の原田氏は、山梨、熊本両県警に出向していたときに裏金の可能性のある金を受け取ったというふうにもおっしゃっております。ですから、今浮かび上がってきている、あるいは告発者が出ている道県警だけではなくて、ほかのところにも広がっていくのではないかというふうに思いますが、この際ですから、捜査費、旅費も含めて、全国的に、全都道府県警に徹底的な洗い直しといいますか調査国家公安委員長として指示をされてはいかがでしょうか。
  95. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 個別具体的に不適正事案や疑惑がある道県警察におきましては、それぞれの道県警察の公安委員会の指示を受けながら自ら調査を開始したところであり、既に途中経過の報告が公表がなされたところでございまして、現在調査が進められているまだ途中であるということも委員御存じのことと思います。その結果、不適正なものが判明すれば厳正に対処していくものと、そのように承知をいたしておりますけれども、原田氏は相変わらず我々の、いわゆる北海道警察の方にも直接的な質問にはお顔出しをされない状況が相変わらず続いているところでございます。  また、監査の充実強化を図るためには、国家公安委員会に監査結果を報告させるなどを定める会計の監査に関する国家公安委員会規則を制定いたしまして、同規則に基づいて十六年度の会計検査実施計画が策定されたところでございます。  今後、いわゆる警察庁におきましては、すべての都道府県警察を対象にいたしまして、本計画に基づき、従来以上に実施頻度を高めたり、捜査員からの聞き取り調査の機会を増やして監査を実施していきますとともに、各都道府県警察におきましても内部監査を計画的に実施しているものと承知をいたしております。  国家公安委員会といたしましても、厳正に監査を実施していくように、このことがいわゆるあらゆる部門でのこれまでの疑惑に対して明確化していくものと、そのように感じ、警察庁を督励しているところでもございます。
  96. 神本美恵子

    神本美恵子君 これからはすべてのところできちっとやっていくようにというふうに指示を出しているとおっしゃいましたけれども、私が申し上げているのはこれまでの分です。今、疑惑が起きている道県警では内部調査が進められていることは承知しています。中間報告も出されておりますが、そのほかのところですね、すべての道県警、すべての県警でこれまでの分を調査する必要があるのではないかということを私は申し上げました。  といいますのは、やっぱり現場一線で、今も日夜警察官として活動していらっしゃる方々が、市民や国民の目からこういう目で見られている、疑惑の目で見られているということがどれだけ肩身の狭い思いをさせているか。あるいは、その士気にもかかわると思うんですね、こんなに一生懸命やって、自分たちには、自分たちは何もやっていないのに疑惑の目が向けられ、日々新聞で報道されるというこういう事態は、私が現場警察官だったらとても耐えられないなと思うような気がいたしますので、徹底的に、やっぱり国家公安委員長としてこれはメッセージにもなると思います。  すべての道県警で、そういうことはなかったということが明らかになればそれはそれで一番喜ばしいことですけれども、疑惑は疑惑として、こういう問題があったということが真相が明らかにならないことには現場の士気にもかかわることだと思いますので、是非、これからはやりますではなくて、これまでの分の疑惑を払拭する、疑惑解明に全都道府県の警察に対して指示をなさるおつもりはありませんか。
  97. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 警察活動というのは国民の信頼と協力によって成り立っていくものでありまして、そうした点を考えますれば、予算執行が適正に行わなければならないということは、委員指摘のとおり言うまでもないことであると、私もそう承知をいたしております。  このために、警察庁におきましては、すべての都道府県警察を対象といたしまして、十六年度会計監査計画に基づきまして監査の充実強化を図りまして、計画的に過去の予算執行についても監査を実施していくものと、そのように承知をいたしているところでございます。
  98. 神本美恵子

    神本美恵子君 北海道での、北海道、福岡、それぞれ中間報告が出ましたけれども、どちらも、不適正な手続はあったけれども私的流用はなかったというふうに中間報告段階では新聞報道でもされておりました。  しかし、北海道で告発された原田さんも、それから福岡で告発された元警部の方も、この捜査費を裏金化して、そして天引きや警察庁への上納、それから人事異動の際のせんべつに使われていたというようなことを話されております。ここにメスを入れるためには、是非、この元警部の方、原田さんから直接、直接といいますかお話を聞く場が必要だと思うんですね。先ほど国家公安委員長は、原田さんには言っているけれども出てこられないというふうにおっしゃいましたけれども、福岡の元警部の方は記者会見で、そういった警察の内部調査では問題は解決できないんだ、第三者が関与しない県警の調査には今後も自分は協力しないというふうに明言をしていらっしゃいます。  そこで、内閣委員会でも取り上げましたけれども、外部の第三者を入れた調査委員会といったようなものを設置する必要があるのではないか、そして本当に徹底的にうみを出すことが必要ではないかと思いますけれども、これについて一点と、それから、元警部は同じ記者会見で、この捜査費について会計検査院から事情聴取の要請があれば応じるというふうにもおっしゃっているようです。ですから、この元担当者の方から会計検査院が直接事情を聴くというようなことができれば是非それをしていただきたいというふうに思いますが、二点目については会計検査院の方から御答弁をお願いします。
  99. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 捜査費等の執行状況調査におきましては、捜査協力者を始めといたしまして捜査に密接な関連を有する情報に接することになりますことから、第三者が調査に参加することには問題がございまして、また、警察組織捜査等の実務に精通している者が調査に当たらなければ実効ある調査ができないものと考えております。  いずれにいたしましても、現在、関係道県警察におきましては、それぞれ公安委員会の指示を受けながら鋭意調査が進められているところでございまして、調査に当たりましては、調査方法や途中経過につきましても逐次公安委員会に報告されて指示を受けるなど、公安委員会の管理の下で厳正に行われているものと私どもは承知をいたしているところでございます。
  100. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) 一般論で申し上げまして、会計検査院では従来から、国民情報提供があればその内容を吟味しながら会計検査の実施の際の参考ということで利用させてきていただいたところでございます。  今お話しの元警部補の方につきましても、本院に対して情報を提供されるということでございますならば、同様に内容を吟味しながら検査の際の参考にさせていただくということもあり得るのではないかと考えております。
  101. 神本美恵子

    神本美恵子君 宮城県警の捜査報償費にかかわる裏金疑惑に関連して、先週二十二日に新聞に報道されていたんですが、宮城県警が捜査報償費の支払先である協力者の氏名を含む支払文書の提出と、それから捜査員への聴取について条件付で認める方向で警察庁と協議に入ったというふうな記事が掲載されておりました。  その条件というのは、今正に国家公安委員長、第三者を入れるのは捜査上の秘密ということで入れられないとおっしゃいましたが、その捜査上の秘密保持、それから協力者の保護というこの二点を徹底するということが、この宮城県警が支払書を提出するという、公開するということについての条件にされていたと思いますので、そういう条件を付ければいいんではないかというふうにお話をお聞きしながら今思ったところです。  ところが、この記事によれば、その翌日の新聞で、驚いたことに県警が、全面公開したその捜査報償費の関連文書を、県知事との間でごたごたがあって、公開した三時間後に一転回収したという新聞記事がありました。回収後に宮城県警の県警本部長が緊急記者会見を開いて、知事の対応には大きな疑念を抱かざるを得ないと非難して、協力を中断する考えを示しています。  このごたごたの事実関係について、警察庁も協議をしていったん公開することにされたということのようですので、どのような報告を受けていらっしゃるのか、それからこのごたごたについての警察庁としての御所見をお伺いしたいと思います。それから、もう一点、警察庁にその協議するときに条件内容というのは警察庁から指示をされた条件なんでしょうか。
  102. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) お答えを申し上げます。  一連の経緯でございますが、平成十三年の一月、宮城県警察平成十一年度分の県費の捜査報償費の開示請求が宮城県知事あてになされました。二月、知事が部分開示決定を行ったところ、十三年の四月に当該処分に対する取消し訴訟が提起をされまして、十五年一月に第一審判決が出ましたが、現在は控訴審が係属中のものでございます。この十三年の四月から宮城県警察は県の情報公開条例の実施機関に入っておりますので、その時点より以前の話でありますから、直接当事者は知事だということになるわけであります。  そこで、控訴審の中で原告から、知事は訴訟では県警の意向に沿って請求の棄却を求めている一方で、法廷の外では県警の捜査報償費の使い方に疑問があると述べていると、そのことからして知事の真意はどちらなのかと認識をただす旨の申立てが原告からあったわけであります。四月十五日の口頭弁論においても、裁判長から釈明を促されたことも踏まえまして、被告である知事は求めに応じ近々釈明をする旨を答弁していると私どもは承知をしております。  そこで、本件訴訟の被告であります知事は、釈明に当たりまして心証形成のために捜査報償費支出に関する一切の資料の確認、それから捜査員に対する聞き取り調査が必要であるということで、四月十六日になりまして、知事からその旨の要請が警察部長あてにあったのであります。これに対しまして宮城県警察本部は、一つ、捜査上の秘密の保持への配意、二つ、捜査員からの聞き取りの事実及び資料内容の確認の事実を外に出さないこと、三つ、聞き取りが行われる場合は、捜査員の聞き取りについての捜査幹部の立会いと捜査員の指定の事前協議ということについて知事部局と申合せを行いまして、その後、四月二十二日に、今お尋ねのとおり、資料を知事に提示をしたわけであります。  ところが、資料の提示の過程で、この申合せに反して、知事が資料内容を確認したことを公表したり、同席した知事部局の職員が資料内容をメモに取るなどしたため、警察部長指示で資料の提示を中断をしたものでありまして、また、捜査員に対する聞き取りについても現時点では行われていないという状況でございます。  また、委員から重ねてお尋ねのありました警察庁と宮城県警が協議をしたと報道されている点についてでございますが、本件は、今申し上げましたように、宮城県知事を被告とする訴訟に関する事柄でありますため、警察庁としてコメントする立場には、御承知のとおり、ございません。また、宮城県警察から警察庁にいわゆる協議をされるような性格のものではないと考えております。  ただ、四月十六日に、宮城県警察から警察庁に対しまして、繰り返しになりますけれども、知事から警察部長あてに、四月二十三日までに平成十一年度分の捜査報償費支出に関する一切の資料の内容の確認及び当該文書に基づく捜査員への聞き取り調査実施をするので、どう対応するか回答されたいとの通知を受けたという旨の連絡はございました。  そこで、その後、宮城県警察から、本件に関する対応基本的考え方として、この訴訟の重要性あるいは知事自身が被告となっている事情にかんがみまして、捜査上の支障に十分配意した上で県警としては知事の要請を受ける方針であるということについて、これも宮城から当庁に連絡があったわけであります。  重ねて申しますけれども、警察庁では、そういうことで、四月十六日に宮城県警から連絡を受けましたが、本件は、行政訴訟の被告である知事から訴訟の場での釈明の前提として要請があったものであり、その要請にどのように対応するかの問題であることから、宮城県警察における固有の問題であると考えているところでございます。
  103. 神本美恵子

    神本美恵子君 私は、この新聞記事を読んだときに、警察庁がいい、まあ県警から、宮城県警から相談があって、そういう事情にかんがみて、いい指導といいますか、されたなというふうに思ったんですが、今それは全然関係ないというような御答弁で、ちょっとがっくりきました。  むしろ、こういう内部資料の全面開示と捜査員への聴取への協力あるいは協力者への聴取などというものを、捜査上の秘密保持あるいは協力者の保護というようなことを条件を付けてでもいいから、そういうことを是非全国の都道府県警に指導すべきではないかというふうに私は思うんですけれども、それについて、もう御答弁短くお願いをします。いかがですか。
  104. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 重ねてでございますが、この件は知事が被告になっていまして、法廷外では疑問がある、法廷の中では県警の意向に沿っていると、それはどういうことかという原告からのお尋ねに対して、知事としては自分で本当はどうなのかということを確かめたいがために、協力者の名前等が載った文書を見せていただきたい、あるいは捜査員にも会わせていただきたいということで県知事から県警に連絡があったということでありますから、県警の判断としては、この訴訟の重要性にかんがみまして、知事に最大限御協力をしようということで、今申し上げましたような条件の下、どうぞということで始まったわけでありますけれども、約束違背があったということでございますから、これは今後どう展開するか、まだ予断は許されないわけでありますけれども、その意味では、宮城県警における固有の問題であって、これをすべての、全国において同様に適用できるようなルールではないというふうに思っております。
  105. 神本美恵子

    神本美恵子君 私は、全容解明のためにはやはりそこを一歩踏み込まないとできないのではないかということを申し上げたいと思います。  時間が少ないですので、先に行きたいと思います。是非とも御答弁は短くお願いをします。  二〇〇二年度決算におけるこの捜査費について伺いたいと思います。  二〇〇二年度の決算ベースで捜査費、捜査報償費の総額と、国費分、県費分のそれぞれは、国費が五十一億三百八十四万円、県費が二十五億四千六百四十万円、総額、合計七十六億五千二十五万円となっております。  この捜査費の内訳、大まかで結構ですので、例えば捜査本部設置費、それから捜査用の協力者への謝礼費、それからそのほかの様々な、喫茶店とかタクシーに乗ったとかいう諸雑費ですね、大まかで結構ですので教えていただきたいと思います。
  106. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 恐縮でございますが、使途別の内訳の集計はしておりませんのでお示しすることは結論としてはできかねるものでございます。  捜査費の使途は、今お話がありましたように、レンタカーの借り上げとか、聞き込み、張り込み、追尾等のタクシー代でありますとか、夜間での捜査活動時の補食費等の諸経費、あるいは捜査に関する情報をいただいたということで情報提供謝礼をする、協力者にお金を払うということで、様々でございまして、それを各県警でそれぞれ執行しておりますので、その項目ごとにすべて集計もしておりませんし、なかなか不可能なことかと思います。
  107. 神本美恵子

    神本美恵子君 次の予算の積算をするときにはそういったものも必要ではないかと思ってお伺いしたんですが、集計をしてないということですね。  この捜査費の中の謝礼金、謝礼金というのは、どういう場合に幾らぐらいの額を払うというふうな一定の基準というものはあるんでしょうか。一回の金額の例えば上限というようなものがあるのかどうか、そして、この二〇〇二年度における協力者への謝礼金の支払件数というものが把握できていましたら教えていただきたいと思います。
  108. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 捜査用報償費につきまして、あるいは捜査費も同様でございますが、その支出基準を特に定めたものはございません。捜査協力者から得られる情報の価値あるいは協力の度合い等を総合的に判断をして、所属長が個々具体的に決定をすべきものでありまして、現実の話としては、例えば五千円とか一万円とか数万円と、上はひょっとしたら十万を超える金額になっているかもしれませんけれども、私どもは、直接は現時点で承知を、今手元に資料もございませんので承知をしておりません。恐縮でございます。  それから、平成十四年度の情報提供者に対し現金で謝礼を支払った延べの回数は、これは国費の捜査費のうちでございますが、約八万六千回でございます。
  109. 神本美恵子

    神本美恵子君 その謝礼金、何千円から多くは十万円を超える場合もあるのではないかとおっしゃいましたが、金額というのはどうやって決めるんですかね。幾らくれたら情報を上げるよというふうに相手から持ち掛けられるのか、こちらから幾ら払うから教えてくれというふうに持ち掛けるんでしょうか。どのような場合が多いんでしょう。
  110. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 捜査にしましても、あるいは警察活動一般で、一般的な情報収集を取る場合におきましても、捜査員なり警察官が一人で幾らと決めて幾ら渡すべきだということでは、そういうシステムにはなっておりませんで、実際は、流れとして日々の捜査活動なり警察活動がありますから、上司と相談をする形で今回は結果として非常に多くのものを普通よりお渡しするということもありましょうし、そこは事前事後に上司と相談をして組織的に検討をしているということでございます。
  111. 神本美恵子

    神本美恵子君 次に、決算ベースで見た一件当たりの平均支払額をお聞きしようと思ったんですが、これは謝礼費が幾らかという内訳が分からないということですので、これはお答えできないんではないかと思います。  次に、今日、お手元に資料を配らせていただきましたけれども、この捜査費、捜査報償費のここ数年の推移なんですけれども、委員皆さんにも見ていただければお分かりだと思いますが、平成十二年度の国費、県費合わせますと百二十一億、それが、その前はずっと大体百二十、百十億から百二十億前後を推移していると思うんですけれども、平成十三年度からがくっと落ちて八十七億余になっております。十四年度はもっと減って七十六億というふうに、減少傾向といいますか、ここでがくっと落ちているんですが、近年、刑法犯罪が非常に増えているというふうにも出ておりますので、本来ならここは増えてしかるべきではないかと思うんですが、この減少傾向にあることについての分析といいますか認識をお伺いしたいと思います。
  112. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 平成十三年度以降、委員お尋ねのとおりの推移でございますが、結論的には、警察官の署外での、警察署の外での活動がこの十三年度辺りを境にかなり活動自体が低落をしているということになろうかと思います。  刑法犯の認知件数の推移は事細かには申し上げませんが、大幅にまたこの十三、十四と激増をしておるわけでありまして、これら増加した犯罪の大半が、ひったくりですとか車上ねらいですとか、あるいは暴行、傷害等でありまして、いわゆる街頭犯罪と呼称しているものでございますが、これらの犯罪が次々に発生をするということで、言わば警察官がその犯罪処理に追われて、なかなかこちらが、主体的に余裕を持って被疑者の余罪解明あるいは内偵捜査に振り向けるだけのその余力がないというのが実態かと思います。  また、司法の精密化の傾向によりまして、実際問題として、署内で、署の中で作成をいたします捜査書類の作成の分量が非常に増えておりましたり、あるいは裏付け捜査をやらなければならない分量が増加をしているということがございます。  加えて、実は警察に対する国民の要望、期待が増大しているためか、例えば警察安全相談の取扱件数につきましても、平成十一年までは約三十万件前後、三十四万件前後でございましたものが、平成十三年には九十三万件と三倍近くに激増をしております。  これは知能犯罪の告訴、告発の受理件数も同様でありまして、十一年までは二千数百件でありましたのが、二千四百件ぐらいでありましたのが、平成十三年には約三千三百件と、これも大幅に増加していると。  それと、加えて、地域社会の連帯意識の希薄化によりまして、なかなかこちらでいろいろ情報収集に行きましても応じていただけないということもあるいはあるのかもしれませんが、確かに委員お尋ねのとおりの推移をたどっているところでございます。
  113. 神本美恵子

    神本美恵子君 私は、この今おっしゃったような理由を内閣委員会でも聞かせていただいたんですが、どうも納得できないというか、ちょうどこの平成十三年度から捜査費諸雑費制度というのが導入されて、しかも捜査経理の手引きも作られて、そこから各都道府県警に、捜査費の取扱い方がかなり細かく、厳しくなってきたということで、これは私の推測にすぎませんけれども、裏金にしたりということがやりにくくなったということではないかというふうに、推測ということを付け加えておきたいと思います。  時間が本当になくなってきました。  次に、このような不正経理をなぜ会計検査院が見抜けなかったのかという、私は何度も質問をさせていただきながら、どうしてもそのことが払拭できずにおります。  会計検査院の調査官の能力、資質の問題なのか、それとも、言葉は悪いですが、ずさんな検査が行われているのか、あるいは検査の手法やシステムに問題があるのかというふうなことをいろいろ考えてみるんですけれども、それとも、こういう不正を隠そうとする、ここでは警察ですけれども、警察の側が上回っているのかというようなことも感じてきております。  今日、本当は皆さん方に資料としてお配りさせていただきたかったんですが、私は衆議院の我が党の前田雄吉議員から資料をいただきました。これは、平成十一年会計検査院検査官個人別応問状況というものであります。全体は、この平成十一年分で三十七ページに及ぶ資料ですけれども、その中の数枚をいただいてきて、目を通させていただきました。  これは月刊現代にも取り上げられておりましたけれども、会計検査が実地検査に入る前に、過去その検査官といいますか、これには検査官というふうに書いてありますが、検査院の方にお聞きしますと正確には調査官というんだそうです。ですから、その間違いを見ただけでも、これは会計検査院が作った資料ではないなということを私も思いました。会計検査院以外で作られた資料であると。  それから、衆議院の方で前田議員が、この資料については、資料の中には捜査関係ということで、検査日が何年何月何日まで書かれております。それから、実施県がどこどこの県かということが書かれて、その横に検査員何がしというふうに名前が書かれております。これは検査院に委員会で、衆議院の方で確認をされたということで、議事録にも載っておりますので、間違いがない、全くの捏造された資料ではないということがそこで確認されております。    〔委員長退席、理事岩井國臣君着席〕  この中身ですけれども、私読んでみて、例えば、お手元に資料があれば時間節約できたんですけれども、配れなかったんで、例えば捜査のための拠点費、アジト費というんですかね、それが全部五万円ですか、全部それぞれ五万円ぴったりというのはというような質問がされたり、それから、年間、五万円とすれば十二か月で六十万円の収入があれば申告させてはどうですか、脱税に手をかしているのではないですか、あるいは、例えば生活安全部生活安全課長に対して聞いたという内容で、風俗関係は季節的なものがあるのですか、括弧して、忘年会、新年会、人事異動時期に増えているというようなことが書かれているんですね。  これって、本当に見ただけで、いかにもそこにこの調査官が不審なもの、不審といいますかそういうものを感じているということが、そういうふうに受け取れる質問がたくさん、もう事細かに、本当に検査院、ここまでしっかりといいますか、追及してやっていらっしゃるのだなということが分かるような質問項目が幾つもあるんですけれども、こういう検査を行った調査官は、回答者が、会計担当とか警察側の担当の方が回答に詰まった場合、良い心証が得られなかった場合ですね、どのようにその現場でこの会計経理は不当であるとかそういうふうな判断をされるのか、会計検査院にお伺いをします。
  114. 石野秀世

    説明員(石野秀世君) お答えします。  最初にちょっとお断りしたいんですが、先般衆議院でも同様の御質問がございまして、確認したのは、当該県警への実地検査の実績があるということは申し上げましたけれども、お示しの資料について確認したということではございませんので、その点は御了解いただきたいというふうに思います。  それから、今、実地検査の際の疑問点があったときにどうするのかというお尋ねでございますけれども、会計検査院調査官実地検査におきましては、会計書類あるいはその他の書類、様々の書類の提出を求め、また、関係者からの説明を受けるというふうなことで、不適切な会計処理がないのかどうかということのその心証を得られるまで検査するというのが基本でございます。  ただ、その限られた、検査、実地検査といいますのは限られた人員と時間の制約の下に行うものでございますので、すべてはその中で疑問点が解明されるということではございませんので、それならなかった場合には、その実地検査終了後もなお引き続き追加して資料の提出を求めたり説明を求めるということで、継続して検査を行うというのが一般でございます。
  115. 神本美恵子

    神本美恵子君 引き続き検査を続けていくというふうにおっしゃいましたが、この間、検査院の方に事前にお伺いしましたら、警察のこの不正経理が過去指摘されたことがありますかというふうにお聞きしましたら、戦後の混乱期を除いて今まで一度もないということなんですね。これだけの問題があちこちで起きてきているのに会計検査院は一度も見抜けなかったということは、こういう応問集というようなもので完全に事前準備がされて、会計検査院がこれだけ細かいことをいろいろ聞いていて、それでも見抜くことができないほど上回って準備がされているというふうに言わざるを得ないと思います。  例えば、時間がありませんが、この中に領収書を見て、ある調査官の人は、判こがよく似ていますね、判こが濃い薄いがありますが、同じものではないですかとか、ペンネームまで事前に決めて判こまで準備するとは、それから、こちらから見れば名前や判こが非常に似ている、別々の者か疑いを持つので確認をさせてもらいたいがというような、こういうことが一つの県で検査されたというこの応問状況が、氏名まで入っております、調査官の名前まで入っておりますので、次の県に、これ全国的に配られれば、この調査官が入るところでは、ああ、この調査官はこういうことを聞く、こういうところを準備しておけばいいというふうになると思うんですね。そうすると、これは会計検査院としては受検妨害といいますか、というふうにも受け取れるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。  これは会計検査院長、せっかくおいでいただいておりますので、是非もう最後になりますのでお願いします。
  116. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 今いろいろとお読み上げになりましたものにつきましては、それがどういうところで作成され、それからどういう目的で作成されたのかという経緯などについて、私ども全く見当も付かないものでございまして、それがどのような作用をしているのかということについてはお答えいたしかねる次第でございます。
  117. 神本美恵子

    神本美恵子君 今の段階では、残念ながら私もこれがこうだという証明するものを持ち合わせておりませんが、前田議員にお伺いしたら、これは確かに警察の方から直接いただいたというふうにおっしゃっていますので、そのうち明らかになると思います。明らかになった場合、これを使っていたということがはっきりした場合、会計検査院としてはどのような対応を取られるおつもりでしょうか。最後にそれをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  118. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) その点につきましては、そのときにお答えをさせていただきたいというふうに思います。
  119. 神本美恵子

    神本美恵子君 今からそれは考えておくべきではありませんか。もう一度御答弁をお願いします。大変なことだと思います、これは。
  120. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) それは考えておいて結構なんですけれども、そのときにはっきりとお答えしたいというふうに思います。
  121. 神本美恵子

    神本美恵子君 終わります。
  122. 松井孝治

    ○松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。  先日、財務省の省庁別審査のときにお伺いをいたしました問題について、引き続き今日は主管の厚生労働大臣お見えでございますので、厚生労働大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。  この委員会におきまして、委員長以下で視察に行かせていただきましたスパウザ小田原というものが、施設が小田原市に既に譲渡され、今現在民間のヒルトンが営業をしておられます。その譲渡について、既にこれは坂口厚生労働大臣にも全般的質疑において御質問させていただきました。さらに詳細について先日の省庁別審査においてお伺いをさせていただきました。  まず、これは財務省の政府参考人の方に確認なんでございますけれども、先日の四月五日の決算委員会において私確認をさせていただきまして、これ、国有財産についても公共用途についての半額減額という制度がある、しかしながら、一般的に宿泊施設、ホテルというようなものについては、その国有財産の売却に当たって公共用途ということで半額の対象にはならない、これは時価によって売却をしなければいけないということについては政府参考人から御答弁をいただきました。  念のため、そういう私の理解で正しいかどうか、その点だけ政府参考人の方から一言御答弁いただけますでしょうか。
  123. 日野康臣

    政府参考人(日野康臣君) お答え申し上げます。  国有財産の減額譲渡につきましては、前回お答えいたしましたとおり、国有財産特別措置法におきまして、国有財産を公共の利益の増進等に有効適切に寄与させるとの目的に即して規定をされてございます。具体的には、同法三条におきまして、地方公共団体等に譲渡される国有財産が病院、学校、公営住宅あるいはスポーツ施設等の施設の用に供されるときは、時価からその五割以内を減額した対価で譲渡することができることとされております。  先般もお尋ねにございましたホテルでございますけれども、国有財産制度に関する一般論として申し上げますと、国有財産を通常のホテル、いわゆる宿泊施設でございますが、これの用に供する場合には法律の規定がございませんので減額譲渡はできないということでございます。
  124. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。  先日、これ財務大臣に御質問をさせていただきまして、財務大臣は限界的な事例ですねというふうにおっしゃったわけでありますが、厚生労働省政府参考人からは、いや、これは滞在型健康リフレッシュ施設である。現在、ヒルトンが運営しているわけでありますが、内部、若干リノベートをされて運営されていますが、大きなところは変更はないわけであります。それは委員各位一緒にごらんになっておられますから、はっきり証人がたくさんいるわけでありますが、そのスパウザ小田原の譲渡価格につきましては、これは厚生労働省からいただいた資料ですが、土地、建物、これは本館及び附属施設、従業員宿舎を含めた評価額、これをトータルで五〇%減額をされて売却をされています。  私、厚生労働省からいただいた資料でこの根拠についてよくもう一度見直してみました。二つの鑑定、複数鑑定にまず付されています。一つが日本不動産研究所というところで、もう一つが全国不動産鑑定士ネットワークというところで、二つの鑑定をされています。  まず一つ、日本不動産研究所の鑑定書、これ厚生労働省からいただいたものですが、そこの中に試算価格というのが入っているんですが、これ、収益還元法でこの不動産の価格を算定されています。その中に、これ厚生労働省からいただいた資料ですが、はっきりとスパウザ小田原は大型リゾート施設であると書いてあります。そして、その大型リゾート施設としての収益還元法でこの金額を算定されています。  もう一つ、全国不動産鑑定士ネットワークの資料も拝見いたしました。ここで見ましても、前提条件として、「収益還元法による収益価格」という項目の中で「対象不動産のようなホテルを中心とするリゾート施設のキャッシュフロー分析にあたっては、」と明確に書いてありますし、「鑑定評価額の考え方」の中にも、「本件は、事業用不動産(リゾート施設)の評価であるため、」というふうにして、「ディスカウント・キャッシュ・フロー法によって鑑定評価額を求めた。」と書いてありますし、中にも「本件はホテルであり、」というふうに明確に、厚生労働省自身がこの評価をされる評価書の中に、この施設がホテルである、あるいは大型リゾート施設であるということが明確に、これ厚生労働省からいただいた文書に規定されています。  そこで、坂口大臣、これ、坂口大臣がここまで大臣として事前にチェックされていたとは私考えにくいわけでありますが、今、実際に我々、これ、ここの委員の多くが視察したわけであります。ヒルトン・インターナショナルという立派な高級ホテルです。そのホテルが、確かにそれは一部分体育館みたいなものはあるかもしれないけれども、その土地、建物全体をこれ五〇%減額で、これ公共用途だということで減額して売却をされているわけですね。  これは公共用途というのをどうとらえるか。何か厚生労働省の事務方にお伺いすれば、国有財産でいうところの公共用途と、この施設自身は旧雇用促進事業団の施設です。しかし、旧雇用促進事業団の施設ではありますが、基本的に国の特別会計から支出して取得された施設です。それを売却するわけですね。それについて、これ明らかに、この不動産鑑定士さん自身が、これはホテルだと、大規模リゾート施設だと、明確にこれ、いただいた資料で二社とも判定して、その前提条件で金額を積算されているわけですよ、評価額を。そのものを、これは公共目的でということで半額に減額するというのは、これちょっとやはり今大臣の目で見られて問題があったというふうにお考えになりませんか。
  125. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) このスパウザ小田原を始めとしまして、こうしたものをどういうふうに処理をしていくかということにつきまして、実は私も心を痛めてきたところでございます。造りますときには造れ造れの大合唱あったわけでございますけれども、しかし今は流れは変わったということで、こうした問題は早く処理をして、年金は年金、雇用保険は雇用保険というふうに、それぞれやはりその種の中心な、としてそれはその財源は使わなければならないと、こういうことでその処理を始めたところでございます。  このスパウザ小田原につきましては、これは微妙なところだといったら微妙なところだとおしかりを受けるかもしれないんですが、雇用・能力開発機構のこれ財産でございまして、いわゆる国有財産法がそのまま適用されるということではないというのが基本的なその考え方でございまして、現在のところ、この雇用・能力開発機構等が持っております財産そのものは、そうした国有財産法そのものの適用としてこれを処理をしていないということでございます。ここはまあ財務省もお見えでございますので、それはお聞きをいただきたいというふうに思いますが、厚生労働省の方はそういう一応処理の仕方の下に行っている。  で、できる限り、我々としましては、造りましたその趣旨、その当時ですね、造りました趣旨というものが今後とも生かされていくということが大事であるという考え方を持っております。したがいまして、これを造りましたときの趣旨が地方自治体、特に地方自治体がその趣旨を尊重していただいて、そして継続をしていただけるということであれば地方自治体にお願いをしていきたいというふうに思いまして、優先順位としてはそういうことで今日を迎えているわけでございます。
  126. 松井孝治

    ○松井孝治君 造り、造ったときの趣旨というものがもう時代に合わなくなったから、こういう施設は基本的にもう特殊法人あるいは独立行政法人で運用するのはやめようという閣議決定になったんですね。ですから、もうそういう意味では、今この施設がどういう用途に供されようとしているのかということで、それはできるだけ、いやそれは学校であるとか本当に公共的な施設の用に供されるというんなら、それは半額減額も私は趣旨は分からなくはないですよ。ただ、現実に今この用途というのはホテルなんですよ。  そして、しかもその評価額を決めた、これ、厚生労働省さんがきちんと提出された資料ですよ。その評価主体の不動産鑑定士自身が、これはホテルとして収益還元法で金額を決めておられるんですよ。しかし、それにもかかわらず、これを半額で、半額減額で公共用途だというふうに売っているというのは、これはもう売り急ぎで、これは売った当時はとにかく売ってしまいたいということで焦って売られたんでしょう。  しかし、どう考えても、この厚生労働省さんが財務省と協議をして決められたという勤労者福祉施設の譲渡等に関する基本方針、この中で最大五割控除した額までの範囲の額を譲渡価格とすることができると書いてありますよ。しかし、それは譲渡後の用途の公共性の度合いに応じてということなんですよ。  譲渡後のその施設の用途の公共性というものから見て、これせっかく財務政務官がお見えでございます。これ、厚生労働省自身が鑑定を頼まれたところがホテルとして、大規模リゾートとしてこれは収益還元法で金額を決めておられるんですよ。にもかかわらず、これ、公共性の度合い、用途の公共性の度合いで半額減額にふさわしい公共性があると考えられますか。  これ事前通告していませんけれども、政務官に立ち会っていただいて、財務省には事前通告してありますので、政務官、ちょっと、それはおかしいと思われませんか。  政務官、せっかくおいでですから。
  127. 山下英利

    大臣政務官(山下英利君) いや、松井先生の今の御質問なんですけれども、鑑定評価というものをどう見るかということだと思うんですね。今、先生がおっしゃったように、収益還元法で鑑定評価出して、それで、じゃ、これで譲渡価格といったところの判断だとは私は思います。  ただ、この場合に、やっぱり国有財産と一線を画すという意味合いというのもまた考えなければいけないし、公共目的ということもしっかりそこで担保できるという形であれば、それは個々の案件での判断だと僕は思っています。
  128. 松井孝治

    ○松井孝治君 正に個々の案件として、これは不適切ではないかと思っているんですよ。  もっと言いましょうか。この半額減額しているこの対象はこの本館及び附属施設、これは宿泊棟のみならず若干のスポーツ施設なんかもあります。ひょっとしたら、その中の一部、個別具体的に取り出したら公共性が若干あるところもあるかもしれない。  だけれども、それだけじゃないんですよ。従業員宿舎なんというのも半額にしているんですよ。今、これ、従業員宿舎を公共的にそこを造り替えてスポーツ施設として運営しているんですかと。違うんですよ。この従業員施設は従業員施設として運営しているんですよ。幾ら何でもこれちょっとひどいんじゃないですか。そのホテルの従業員の宿舎のどこが公共性があるんですか。それ従業員の宿舎でしょう。それ、公共性があるというのはどう考えてもこれ読めないですよ。十二億八千万、これが本館及び附属施設、従業員宿舎は約三億円ありますよ。この三億円部分まで公共性がある。これ常識的にはそんなこと考えられないですよ。これ大臣、どう説明されます。どこに公共性があります、従業員宿舎の。
  129. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 従業員のその宿舎の前に、小田原市と譲渡契約書というのを結んでおりまして、小田原市は、本物件の所期の建設目的、趣旨を尊重し、滞在型健康リフレッシュ施設を中心に地域振興や観光などを含めて、公用、公共を目的とした多様な事業展開を行うと、こういうことでこの契約書を結んでいるわけでございます。  今度は、小田原市とそれからヒルトン社との間でございますが、この協定書におきましては、施設の所期の目的達成を尊重し、健康リフレッシュを念頭に置いた事業展開を行うと、一つ。それからもう一つは、すべての施設をだれもが利用することが可能とし、有料会員制は取らないと。それから、健康相談、健康作りセミナーや温泉、温泉及びスポーツ施設を利用した総合健康プログラムを実施すると、こうしたことを定めてやっていると、こういうことでございます。
  130. 松井孝治

    ○松井孝治君 あのですね、だからさっきから申し上げているように、もう不動産鑑定士はそれはホテルとして評価しているんですよ。中身をみんな委員が見ているんですよ、これ。そして、なおかつ、その従業員の宿舎までどういう理屈で半額減額するのかということについて全然大臣、今お答えになってならないじゃないですか。  これはやっぱりね、これ私ね、こういう御答弁だとね質問続けられないですよ。ちょっと、理事、協議してくださいよ。
  131. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) その部分は、いわゆる土地及び建物を譲渡する場合の譲渡価格につきまして、福祉施設の土地及び建物を一括して譲渡する場合の譲渡価格は、譲渡後の用途の公共性の度合い及び当該用途への供用期間並びに当該福祉施設の従業員の再雇用の引受けの程度に応じ、時価からその最大五割を控除した額までの範囲を、範囲の額を譲渡価格とすることができると、こういうことになっていまして、このいわゆる従業員の再雇用の引受けというところからそこを入れていると、こういうことでございます。
  132. 松井孝治

    ○松井孝治君 全く納得がいかないです。それは全く納得がいかないです。  私、もう時間がありませんから、これは理事会で後刻是非、委員長、協議をいただきたいと思うんですが、こういう売却の在り方というのは全くおかしいと思いますよ。やはりそれはきちんと、これも保険料から供出された資産ですから、きちんとそれを保険の会計に回収しなければいけないんじゃないかと思います。  その施設については、利用額の、例えば金額の上限も設定されていません。ですから、例えばヒルトンが幾らでこれを、部屋を貸しても、そういう制限があるわけでもないんです。にもかかわらず、それは公共性、公共用途だからといって半額で売却されている。私は、これからいろんな施設が売却されますね。これは年金の方の会計でもいろんな施設が建設されて、別に坂口厚生労働大臣の責任だと言いませんよ、むしろそれを売却するという判断をされたというのは私は正しい御判断だと思います。しかし、同じような形で、今後この手の施設を半額売却で、半額で譲渡するというようなことを公共目的だ、公共用途だということをどんどん柔軟にとらえ過ぎて、言ってみれば投げ売りになるんじゃないか、これを私は強く懸念するものであります。  是非、この点については今後理事会においても取扱いについて御協議をいただきたい、そのことを委員長に申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  133. 岩井國臣

    理事(岩井國臣君) 坂口厚生労働大臣、発言ございますか。
  134. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) こちらの方も少し整理をいたしましてお答えを申し上げるようにいたします。
  135. 岩井國臣

    理事(岩井國臣君) それでは、ただいまの松井孝治君御指摘の件につきましては、理事会で協議することとしたいと思います。
  136. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は、先般、参議院の予算委員会におきまして小規模作業所の問題を取り上げさせていただきました。一つは、この小規模作業所、年々数は増えている一方、逆にその支援の補助という問題についてはどんどん減らされているという現状がある、こういう政府の姿勢、これから言わば共生の社会を作っていこうという中で、一番重要なそういう問題についてのことが後れているというか、後退していることはどういうことなんだという御質問をした経過がございます。  実は、こういった問題を受けて、二十二日でございましたが、全国の小規模作業所、また小規模通所授産の関係者の皆さんが七千人近くも日比谷公会堂及び日比谷の野外音楽堂に集まって、言わばこういった作業所の明日を開く全国集会を開かれたとお聞きしております。ある意味では、この問題に対する関係者の情熱というか、そういったものを強く学ばされたような気もいたしておりました。  この問題に関して、厚生省としてその後どのような検討を行い、どのような施策を展開を図るおつもりなのか、御答弁をいただきたいと思います。
  137. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 小規模作業所は、障害者の方々が地域で普通の暮らしをされる上で非常に重要な役割を果たしていると認識しているところでございます。  先生指摘されましたように、去る二十二日に全国の小規模作業所あるいは小規模通所授産施設の関係方々が七千人集まられて、小規模作業所の在り方について論議されました。この集会には与野党の先生方も出席していただきましたし、厚生労働省から私が参加いたしました。    〔理事岩井國臣君退席、委員長着席〕  小規模作業所の今後の施策につきましては、今年の二月から小規模作業所などの関係の八つの団体と厚生労働省が一緒になりまして懇談会を設けまして検討してきたところでありまして、この四月二十日にその報告がなされました。この報告の中では、小規模作業所については、地域に根差した活動を行う拠点としての機能を正面から受け止め、今後の施設体系全体の在り方の議論の中で小規模作業所の機能にふさわしい位置付けを適切に行っていくことや、あるいは小規模通所授産施設の移行をする上での資産要件の緩和の必要性などの提言がなされたところでございます。また、省内におきましても、厚生労働審議会をヘッドとする検討会を設けまして、小規模作業所を含めた障害者の就労支援の施設体系全般の見直し作業を行っているところでございます。  今後、この懇談会の報告なども踏まえまして、小規模作業所の在り方について更に検討を進めまして、積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  138. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 こういった小規模作業所が増えている背景、それはやはり障害者の皆さんの働く場とか活動の場が絶対的に不足しているという現状があるからこそこういった問題がというか作業所が増えているということにつながっているんだろうと思います。  この辺について、言わば障害者の働く場、活動の場ということに関して厚生省としてどのような御認識をお持ちでいらっしゃるのか。また、こうした施設の抜本的強化が望まれますが、今後対策をどうお考えなのかも伺っておきたいと思います。
  139. 塩田幸雄

    政府参考人(塩田幸雄君) 小規模作業所は全国で約現在六千か所を超える数になっておりますし、約九万人の方がその小規模作業所を利用しておられます。一方で、障害者の働く場として機能しております福祉工場あるいは授産施設でありますけれども、全国に約二千百か所、利用者約八万人となっておりまして、小規模作業所の利用者数が授産施設等の利用者数を上回っている状況になっております。このように、小規模作業所は不足している社会資源を補う形で設立され、障害者の方々が地域で自立した生活を送る上で非常に重要な役割を果たしていると考えております。  障害者の方々が持てる能力を最大限発揮し、社会において支えられる側から支える側に回っていただくということは、ノーマライゼーションの考え方としても非常に重要であります。障害者が地域の中で生活を送る上で就労というのは非常に重要な柱であると考えておりまして、厚生労働省としても今後特に力を入れていく分野であると考えております。  先ほども御答弁申し上げましたが、厚生省と労働省が一緒になったということで、雇用施策と福祉施策の有機的連携を図るということで省内横断的な検討会も設けております。今後、この検討会を中心に、小規模作業所も含めた障害者の働く場、活動の場の確保について積極的に対応してまいりたいと考えております。
  140. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう今日はこの辺にこの問題はしますが、確かに国そのものの財政が厳しい、いろんな施策する上でのいろんなカットもせざるを得ないような状況厚生労働省として抱えている。  ただ、そうは言うものの、今おっしゃったように、じゃ、そういう分野の中で何を重点的に、何をどうすればいいのかという問題については、やはり厚生労働省としてもっと声を上げていい、財務省に対しても闘っていっていい部分が私はあると思っておりますし、その辺も念頭に置きながら今後取組を見守っていきたいと、こう思っております。  さらに、今度はちょっと視点を変えまして、この障害者の自立支援の観点から、今おっしゃったように働くことの支援、これが重要だということは特におっしゃるとおりだと思うんですけれども、重度の方々にとってみると、今のこのIT技術の推進が在宅、言わば自宅で就労できるという新しい働き方をもたらしているという意味で、これは画期的なことだと私も思っております。  厚生労働省では、先般、これ障害者の在宅就業に関する研究会報告書を取りまとめたともお伺いしておりますが、その内容、どういうものなのか、また、これをどう政策に展開するつもりなのかもお伺いしたいと思います。
  141. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 今御指摘をいただきましたITを活用した在宅就業は、通勤が困難な重度障害者につきまして、能力に応じた就業機会を拡大し、自立の促進を図る上で大変重要な方策の一つとなり得るものと考えているところでございまして、私ども、障害者の在宅就業に関する研究会を設置いたしまして、先般その報告書を取りまとめたところでございます。  この報告書におきましては、通勤等に制約のある重度障害者の働き方の選択肢としまして在宅就業の支援策を講じる必要があるという基本的な考え方に立ちまして、在宅就業支援策の方向性について取りまとめをいただきました。  具体的には、まず、障害者の在宅就業への発注に対する奨励をどうするか、あるいは在宅就業を営む障害者の方、さらには発注元事業主の双方にとってセーフティーネットとしての機能を果たす支援団体の整備をどうするのか、さらには在宅での仕事のコーディネートを行う人材の育成、また能力開発機会の提供等につきまして大変重要な御提言をいただきました。  今後、厚生労働省といたしましては、この報告を踏まえまして、在宅就業に係る具体的な支援策につきまして法的整備も含めて早急に検討を行いまして、その充実強化を図ってまいりたいと考えております。
  142. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、雇用の問題で新たな課題というか、大事な問題になっているのが精神障害者の雇用の問題だと思っております。  障害者雇用については、障害者雇用の促進法に基づいて法定雇用率達成のための企業、事業者の協力という形ができ上がってきて、これはこれなりに成果は上げてきていると思うんです。ただ、この精神障害者雇用の問題については、これは精神障害者というのは雇用率の対象になっていない。したがって、この部分が非常にある意味では後れている部分もあるわけでございまして、この問題についても今検討をいろいろ行っていると聞いておりますが、例えば、雇用の形態として、精神障害者の場合はフルタイムの問題、なかなか難しいんじゃないか、じゃ短時間でどうこれをしていくのかとか、審議会で検討されているとも伺っておりますが、この雇用の、雇用率のカウントの問題でやはり精神障害者もきちんと位置付けるという問題が大事だと私は思いますが、今後これについてどう取り組むおつもりでいらっしゃるのかをお答えいただきたいと思います。
  143. 太田俊明

    政府参考人(太田俊明君) 精神障害者に対する雇用率制度の適用についてのお尋ねでございますけれども、政府の障害者基本計画におきましても雇用率制度を適用するために必要な検討、準備を着実に進めることとされておりまして、御指摘いただきましたように、障害者雇用対策におきましてこの問題は残された大きな課題の一つであると認識しているところでございます。  このため、現在、精神医療関係者、あるいは労使関係者、あるいは障害者の団体の方々専門家を構成員とします研究会におきまして検討を行っていただいております。具体的には、例えば、人権に配慮した対象者の把握・確認方法、さらには精神障害者の雇用支援策の充実、これは今お話ございました短時間に対する支援策も含めて検討を行っております。そういうものを踏まえて雇用率制度の適用の方法について検討を行っているところでございまして、五月中を目途に結論を得るべく現在努力しているところでございます。  私どもとしましては、この研究会の結論を踏まえて、関係者の御理解もいただいて、精神障害者の雇用率の適用あるいは雇用支援策につきまして法的整備も含めて具体的な検討を行いまして、その充実強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。
  144. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 障害者の問題、大臣、この前も予算委員会でこの小規模作業所の問題も議論させていただきましたし、やはり今、この二十一世紀の日本の社会の作り方ということでも御議論もさせていただきましたが、やはりその自立と共生という一つの理念に基づいて、そういうことをやろうとすると、一番大事なのは実は雇用の問題なんですね、障害者にとってみると。  その辺も踏まえて、いろんな意味で、この就労支援はもとより、いろんな、介護の問題もあるでしょう、生活支援もあるでしょう、住宅の確保もあるでしょう。そういった意味では、一つの厚生労働省の取組として、やはりこの障害者の総合的支援、どう考え、どう位置付けていくか。とにかく地域で当たり前に暮らせるということが障害者にとっては私は一番大事な問題だと思っておりますが、大臣から、今ちょっと議論させていただきましたこの精神障害者の問題、小規模作業所の問題、ちょっと議論させていただきましたが、総括的にくくっていただいて、御見解を伺っておきたいと思います。
  145. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 障害者の雇用の問題、とりわけ、初め御指摘になりましたこの小規模作業所というのは、これ、結局のところは、なかなか働く場所がないものですから、自然発生的にだんだんと増えてきたと言ってもいいと思うんですね。そして、それを後追いで国の方がそれに対して支援をするという形になってまいりました。  いずれにいたしましても、この根っこのところは、障害者の皆さん方に働いていただく場をどう提供していくかということについて、国ももちろんでございますし、地方自治体も含め、あるいはまた民間企業も含めまして真剣に考えなければならないときを迎えているというふうに思います。  ある運輸会社の元社長さんが新しく障害者が働く場所をお作りになって、それで、今までは一万とか二万とかというようなことでありましたけれども、お一人につき十万とか、いわゆる生活がある程度できるような額をちゃんと出してやっていけるということを証明されたわけでありまして、私はこの投げ掛けというのは非常に大きいというふうに思っております。  もう少し、やはり障害者の皆さん方に対して生活をそこに成り立たせるような扱いをみんなでどう考えていくかということを私はこの方は問われたというふうに実は思っておりまして、非常に高く評価をさせていただきたいし、我々の見習うべきところも多いというふうに思っております。  したがいまして、これは全体で考えなければならないことでございますが、国の方も、そうしたことが今後更に可能になるような総合的な対策というものを立てていかないといけません。御指摘のように、住宅の問題もございますし、それから交通機関の問題もございますし、それらを総合して、先ほどもお話の出ましたIT等も利用しながら、どうしてこの人たちに生活のでき得る仕事を提供できるかということを今、再構築をしなければならないときを迎えているというふうに思っております。  来年はいよいよ介護の問題をこれ手掛けなければならないときでございまして、併せてこの障害者の皆さん方の問題も、そこで同じに議論をするのか、それとも障害者の問題は別途それはやっていくのかというような大問題につきましても今後議論をしなければならない。議論をしなければならないというよりも、もう決めなきゃならない時期がもう間近に迫ってきているというふうに思う次第でございまして、早急にこの点は我々も議論を深めていきたいというふうに思っております。
  146. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は、厚生労働省になってもう随分たっているわけですけれども、そういう意味では、今こういった障害者雇用について一番やりやすい体制が実は省内ではでき上がっている。その能力が遺憾なく発揮されているかというと、やや足りない。もちろん地方自治体とかいろんなところの協力も要ります。各省庁間の連携も要ります。でも、本当は取り組みやすい体制が今でき上がっている以上、大臣もいろんな考えはお持ちでしょうし、それを受けて、是非、現場の側の皆さん方にいろんなアイデアも出していただきたいなというようなこともちょっと感じておりますので、これからの取組をお願いをしたいと思います。  次は、年金福祉施設等の見直し問題で、今日は総括的に一つだけ議論をさせていただいておきたいんですけれども、それは、私ども与党の方も、実は年金制度改革協議会において一つの方向性だけまとめさせて今いただいて、政府に対しても申入れをいたしました。  それは何かというと、これから年金積立金の管理運用を専門的に行う機関として年金積立金管理運用独立行政法人の設立を決定し、例えば年金福祉施設についても、今後保険料財源を使用しない方針を確立しております。そしてその中では、厚生年金病院については、平成十六年度中に各施設の経営状況を明確にし、十七年度中に整理合理化計画を策定する。二つ目、厚生年金病院以外の施設は十六年度中に整理合理化案を策定する。三つ目、十七年度に福祉施設の整理を行うための独立行政法人を設置し、五年をめどに整理合理化を進める、これが与党の合意でございます。  そこで、まず坂口大臣に、この与党が取りまとめた年金福祉施設整理合理化計画についての御見解を伺っておきたいと思います。
  147. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 今お話がございましたように、与党内におきましても、年金の福祉施設につきまして今後の考え方をお示しをいただいたところでございます。厚生労働省といたしましても、これらの与党合意も踏まえまして、年金の福祉施設につきましては例外なくこれを整理をすると。そして、国民の理解が得られるよう整理合理化を進めてまいりたいというのが総論でございます。  その中でも、御指摘がございましたように厚生年金病院等は、これは現在それぞれの地域でも多くの皆さん方に御利用いただいておりますし、そして、非常に病院によりましては地域から信頼をされているというようなものも存在をするわけで、こうした病院の問題をどうするかということは、ひとつ特別にここは配慮をして考えなければならないことだというふうに思っております。  それから、これも、今まで十七年までとかいろいろの期限を切ってやりまして、たたき売りになったではないかという御指摘も受けるわけでございますので、この辺のところは早く決着を付けなければなりませんが、しかし余りこの期限を切り過ぎて、かえって国民にマイナスになる点があってはならない。ここも配慮をしながら、しかしより早くこれを、結論を出していかなければならないと、こういうふうに思っている次第でございまして、これは早急に結論を得たいというふうに思っているところでございます。
  148. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この二百六十五施設でございますけれども、これ新聞報道その他いろいろありましたが、七十五施設が赤字、民間企業のように施設の減価償却費を加味して収支状況を見た場合は二百五十六施設が赤字。一方、平成十四年度の予算を見ましたら、福祉施設整備費として厚生保険特別会計ですね、これ二百六十二億円、国民年金特別会計においては四十億円、これが計上されている。  十四年度決算において福祉施設整備費として実際に使われた費用は、厚生年金、国民年金、それぞれ幾らなのか、これを御報告願いたいし、とにかくちょっと聞いておきたいのは、この福祉設備整備費という保険料財源を投入しながら赤字となる施設がある理由というのは何なのか、またそれに対して厚生労働省、どう対策を取られたのか、併せてお伺いしておきたいと思います。
  149. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) まず一点目の平成十四年度の決算ベースでの年金の福祉施設の整備関係費用でございますけれども、厚生保険特別会計の関係が約二百五十六億円、国民年金特別会計の関係が約三十六億円、かようになってございます。  それから、これだけの施設整備費を投入して建物は保険料で整備しているにもかかわらず、施設運営が赤字になっているというのはどういうことかということでございますけれども、この年金の福祉施設でございますが、国が年金保険料財源で設置をいたしまして、運営につきましては民間の法人に委託して独立採算でやっていただくと、いわゆる公設民営方式を取っているわけでございます。  施設の意義、これについて御議論があるというところではございますけれども、元々、福祉還元事業ということで、比較的低廉な料金で御利用いただくということで動いてきておりますし、それから、それぞれの施設の性格にもよりますけれども、地域の状況であるとかあるいは施設の種類によります収益性の違いと、こういったところから個々の施設の経営状況も異なっておりまして、御指摘のように、運営面だけでございますけれども、単年度あるいは累積での赤字というのを計上している施設があることは事実でございます。  運営面だけについて申し上げますと、個別に見ると赤字施設があるわけでございますが、十四年度の各受託団体での施設の運営ということで申し上げますと、全体の約四分の三が黒字と、四分の一が赤字と、かような形になってございます。  こういった施設につきましては、これまで収益の改善が見込まれない施設につきましてはこれを廃止をする、あるいは赤字が続いている施設につきましては効率的な施設運営をしていただくように委託先法人を指導していくと、こういうふうなことで取り組んでまいりまして、委託先の法人におきましても給与体系を見直すなどの経営改善をしてきていただいているところではございますが、現在、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、施設全般について、与党の指摘も含めまして、これから整理に向けて進んでいくと、かような状況にありますので、努力をしてまいりたいと考えております。
  150. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つの項目で、先ほど大臣もちょっとおっしゃいましたが、介護保険、いよいよ来年は改正の時期にも、見直しの時期にもなっております。そういった意味で、今このことをきちんと議論しておかなければならないときだろうと思います。  その中で、私はこの今、これは平成十二年度でございましたが、厚生労働省としてお始めになられました介護予防・地域支え合い事業というのを十二年度からスタートされたとお聞きしております。これについては、在宅の高齢者がある意味では要介護の状態にならないように、自立した生活が送るようにということで始められた制度ということだとは思いますが、この制度創設の意義、概要、簡潔に。
  151. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 介護予防・地域支え合い事業は、先生から御指摘ございましたとおり、介護保険制度のスタートと同時に創設されました。  趣旨は、介護保険サービス、介護保険のサービスは全国一律で提供されますけれども、地域の実情に応じた高齢者の生活ニーズ、様々な生活ニーズがありますので、地域支え合い事業ということでそういったニーズにこたえること。それからもう一点は、介護保険の利用に該当されない、例えば要支援や要介護に該当されない高齢者の方につきましても要支援や要介護状態にならないように介護予防などをやっていただくと、こういった観点から創設されたものでございます。  したがいまして、事業の中身は介護予防事業と地域支え合い事業の二つから成っておりますが、それぞれにつきまして多くのメニューが盛り込まれておりまして、国が二分の一、都道府県四分の一ということで、四分の三を市町村がこれらのメニューから実施される場合に補助するというような制度になっております。  十二年度に創設されましたが、その後、成年後見制度利用支援事業をメニューに入れるとか高齢者の筋力向上トレーニング事業をメニューに入れるとか、様々なニーズにこたえましてメニューの追加なども行われてきております。  平成十二年度に三百六十七億円の予算を計上し、十三年度、十四年度と五百億円という予算を計上してきております。執行率につきましては、平成十二年度は八四%でございましたけれども、平成十四年度は予算額五百億円に対して決算額四百九十五億円と九九%の執行率になっているということで、地域からの御要望も非常に高いというような制度になっていると認識いたしております。
  152. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 是非この制度、本当は、十五年度、十六年度ちょっと落ちているんで、是非本当はと思いながらも、ともかく予算を組んだ額に対してほとんど使われていると、交付されていると。  地域によっては、この事業を積極的に展開しながら、やっぱり高齢者から、体が楽になったとか、さらに、私も声を聞きましたけれども、リハビリや筋トレを定期的、積極的に行ってきたことで、地域側からすると結果的に医療費や介護費用が安く付いてきたと、こういう調査結果もあるわけでございまして、こういった地方の評価、また直接これをやっていらっしゃるお年寄りの皆さんのいろんな声、これらについて厚生労働省としてどんな認識、評価をされているのか。また、今後どのような取組を考えていらっしゃるのかをお伺いしたいと思います。
  153. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 個別の事例につきましては、ただいま先生からも御紹介がありましたように、例えば東京都の板橋区などでは、この介護予防事業に参加された方につきましては一人当たりの介護費用が二十五万円、その事業に参加されなかった方は七十四万円ほど掛かったというんで、ほぼ五十万円くらい介護費用の節約になったとか、幾つか報告が出てきておりますし、また、介護予防事業に参加された方につきましては、ずっと、自分たちがそこで得た活動というものを、事業が終わっても自発的に続けていきたいというような御希望も聞いておりますので、非常に効果が上がっているのではないかと思います。  介護保険制度はおかげさまで丸四年たったわけでございますが、問題点としては、やはり要支援や要介護の方が増えていると。こういう軽い方に対しまして介護予防なり適切なリハビリテーションを実施しますと、生活機能を維持することあるいは改善することが可能だということが明らかになっておりますが、実際問題としてはなかなかそういったサービスが行き届いていないというのが現在の問題点と考えておりますので、今後、やっぱり介護予防サービスを十分提供できるような介護保険制度に組み替えていく必要があるんではないかと。  来年、介護保険制度の見直し、先ほど大臣の方からもお話ございましたけれども、それを想定いたしておりますので、介護保険の本来の目的であります自立支援ということ、観点から、もう一度介護予防、リハビリテーションを向上させる観点からの見直しを考えてまいりたいと考えております。
  154. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今、私もおっしゃったとおりだと思うんですよ。例えば、今、要支援者とか要介護度の低い人たちに対して例えば家事支援とかですよ、いろんなサービスをされている。これは、制度内、つまり保険の範囲内でやられている。じゃ、これがどれだけの成果があるのかというと、なかなかこの辺は難しいところがあると。  逆に言えば、せっかくそんなことをやったとしても重度になる方が増えていってしまえば、これは保険にとっても重たいものが増えていくだけであって大変な状況になっていると。その意味では逆に、この介護保険の制度内に、つまり介護保険の中にですよ、この介護予防という視点を組み入れることで、ある意味では介護保険そのものの改善にもつながっていくし、ここが一番の、今回もし五年入って改正するというんであれば、一番の視点は介護予防をきちんと制度内に取り込むことができるかどうかと、これが一番のポイントだと私は思っているし、党としても是非これはやらなければいけない課題だと思っていますが、そういう方向で検討しようということですか。
  155. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 今先生から御指摘ございましたように、介護保険で軽い方に対するサービス、割合生活援助を中心とするサービスが多く、また福祉用具なども提供されているんですが、かえって善かれと思って提供しているサービスが余り機能の維持向上に役立っていないんではないか。あるいは逆に、要介護認定者の二年間の状態の変化を比較しますと、軽度の認定者ほど二年後には重度化している割合が高いというややショッキングな調査結果も出たりしておりますので、私ども介護予防の在り方が本当に大事だと思っております。  今、介護保険制度の見直しにつきまして、本日も五時から審議会が開催される予定でございますが、そこの議論の中で、介護予防サービスをどうやって介護保険の中で提供することができるか、あるいは従来のサービスを介護予防サービス的に切り替えていくことができるか、正に一つのポイントとして議論されているところでございますので、我々もそういう方向性でもって審議会の議論も踏まえながら検討させていただきたいと思っております。
  156. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私ども公明党も実はこの介護予防という問題、大臣もよくおっしゃる、幸せに年を取っていける幸せな高齢、老齢じゃなくて高齢ですね、そういう社会を作っていくという上を考えていっても、この介護を要する人よりも介護にならない人をどうするかということが大事だということで、介護予防の十か年戦略というのを提言を発表させていただいておりまして、この中で一番の柱は、もちろんこの介護予防サービスを保険の中に創設するということが一番の柱になっておりますが、そのほかにも幾つかの提言をさせていただいております。  特に、効果的な介護予防プログラムと、こんなものの開発、これらをサポートする人材の育成、こういった問題はその保険に、まず創設するよりその前に早期に取り組むべき課題だと、こういうふうに御指摘もさせていただいておりますが、この効果的な介護予防プログラムや人材の育成について厚生省としてどうお考えか、これだけまず個別に御見解を伺っておきたいと思います。
  157. 中村秀一

    政府参考人(中村秀一君) 今先生のお話がありました介護予防の関係につきましては、私どもも、先ほど来御答弁申し上げておりますように、重大な関心を持って取り組んでまいりました。このため、昨年七月、有識者から成ります高齢者リハビリテーション研究会というのを設置いたしまして、高齢者のリハビリテーション、まあ介護予防も広い意味でリハビリテーションに当たりますので、そのあるべき方向について議論をしていただきました。  その結果を申し上げますと、これまでいろいろ予防といいますと、がんや心臓病や脳卒中など三大死因を中心にやってまいりましたけれども、介護予防という観点からは全く別の対策が必要じゃないかと。脳卒中のように急性に生活機能が低下するものは従来からやられてきたわけですが、どうも介護保険の状況を見ますと、廃用症候群と言われているわけですが、運動不足とか病気や、そういうことの原因によって体使わなくなると、そういうことによってかえって徐々に生活機能が低下すると、こういったことが要介護の原因の大きな部分だということが明らかになっておりまして、これにふさわしいプログラム、先生のお言葉で申し上げますと介護予防プログラム、それからこれにふさわしい人材の育成、またこういうことについて、医療関係者も含め専門家も必ずしも介護予防なりリハビリテーションについて十分御認識いただいていない部分もあるので、そういったことについて取り組んでいかなければならないという報告書をいただきました。  そういうふうに、我々もこの分野、大変大事だというふうに考えております。
  158. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 最後に、大臣に、この介護予防の問題含め、さっき実は聞こうと思ったことを先にお答えいただいたんですけれども、正にこの介護予防の問題も含めて、介護保険の見直しの中でもう一つの論点は障害者とのかかわりの問題なんですよね。そういった視点も持ちながら、大臣として、この見直しへ向かって取り組みたいという御決意もありましたんで、改めて聞くのもどうかと思いながら、一応その介護予防の問題、そして介護保険の見直し、障害者福祉、統合論の問題もいろいろありますから、こういったことも含めて、大臣から来年へ向けての決意を伺って、質問を終わります。
  159. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 介護保険等のお話は局長からもありましたので、介護予防について一言だけ私の考え方を申し上げたいというふうに思いますが、これは医療の側におきます疾病予防も介護予防も同じなんですけれども、もうフリーで介護予防をやることをこの保険の中でやりましょうということになりますと、何もかもこれは予防だと言って予防の名の下にいろいろなことが行われるということがございますので、そこを一体どうするかと。本当に予防として認めるべきものは何で、そして節減を、それはそこまでは難しいというものは何かということを決めさせていただきながらこの介護予防というのは考えなきゃいけないと私は思っております。  そういうことを前提にして、そしていきますと、大体もう皆、高齢化してきて、そして生活習慣病みたいな形に皆なってきているわけでありますから、注意しなきゃならないこと、本人が注意しなきゃならないこと、そしてまた周辺が注意を与えなければならないことというのは大体限定されてくるわけですね。食べ過ぎちゃいけないと、それは私もいつも言われるわけですよ、主治医の先生に。食べ過ぎたら、坂口さん、あなたがいろいろな目に遭うだけではなくて、周囲に迷惑掛けますよと。だから、あなた、自分のことだと思ってはいけませんと、周囲のことも考えて食べるものは抑制しなければいけませんと、こう言われるわけで、私も、それはもうもっともだと私も思っているわけでありまして、よう分かっているんですけれども、なかなか実行が難しいというところに問題があるわけで、そうしたことをちゃんと教育をしていくということがより大事になってくるんじゃないかというふうに思っております。
  160. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 終わります。
  161. 畑野君枝

    畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。  同僚議員からも発言がありましたけれども、イラクでの人質事件での質問につきまして理事会での検討を求める発言がありまして、委員長からは検討されるということでございました。私からもそのことを求めて、質問に入ります。  労働問題について伺います。  今、企業の社会的責任ということが大変問われておりまして、国連グローバルコンパクトは、人権、労働、環境における九つの原則の実践を企業に求めております。ILOは、二月に報告書、「公正なグローバル化」を発表し、公正なルールの確立、労働条件と社会保障の最低基準を向上させる措置などを提案をしておりますし、既にEUはグリーンペーパーを発表しております。厚生労働省としても、労働における企業の社会的責任の在り方に関する研究会を開催し、検討を行っているというふうに伺っております。  私、今、年金の空洞化が激しく進んでおりまして、その要因の一つが大企業の中で働いている下請、派遣、請負などの労働者が厚生年金などにも加入させられていない実態があるということを指摘しておきたいと思うんです。私、本社にも、この間、事業所の閉鎖移転の問題で申出に伺いました、いすゞ自動車の川崎事業所の例でも、請負の労働者が厚生年金に入れてもらえていないという実態もあると。五年、六年働く労働者、青年労働者ですね、こういうのはなかなか正社員にはなれない、こういう状況もあるわけでございます。  そこで私伺いたいんですけれども、これは、厚生年金等は、これは当然入るということを確認させていただきたいと思います。
  162. 薄井康紀

    政府参考人(薄井康紀君) 社会保険の適用でございますけれども、まず事業所の適用ということで申し上げますと、法人の事業所で常時従業員を使用するもの、それから所定の事業を行います個人の事業所で常時五人以上の従業員を使用するもの、こういったところが強制適用事業所になるわけでございます。  そして、被保険者はこの適用事業所と常用的使用関係にある者ということでございまして、常用的な使用関係の判断につきましては、労働日数なり労働時間なり就労形態あるいは勤務内容等を総合的に勘案をいたしまして、個別具体的な事例に即して認定をするということでございますけれども、具体的には、一日なり一週間の所定労働時間、あるいは一月の所定労働日数が、当該事業所におきまして同種の業務に従事する通常の就労者の方の所定労働時間なり所定労働日数のおおむね四分の三以上にある、こういった就労者につきましては常用的使用関係にあるということで適用するということでございます。  そういう意味で、事業所レベルあるいは個々の被保険者レベルにおきましても、こういった考え方に立ちましてきちっと適用していくということで臨んでまいりたいと考えているところでございます。
  163. 畑野君枝

    畑野君枝君 例えば、公共事業の入札では、労働者を厚生年金に加入させていない企業は審査で入札から外されて、さらに、使用する下請企業まで審査の対象にするなどという状況生まれているわけですね。ですから、厚生労働省としても、大企業の社会的な責任は大きいわけですから、こうした大企業が契約している企業についてもきちっと加入させる指導を行っていくべきだというふうに思うんです。  そこで、製造業の派遣が三月から可能とされました。請負との関係でもいろいろと現場は大変な状況があると思うんですね。それで、きちっとした監視、調査を進めていただく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
  164. 青木功

    政府参考人(青木功君) 今、先生お話しになりましたように、請負という形で働く方々が、企業の、ほかの企業に入って労働されるというケースが多くなっておりまして、これがいわゆる労働者派遣事業と紛らわしいと。使用者としての責任、そういったことで様々な問題が生じている、これはお説のとおりでございまして。  私どもといたしましては、従来から、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準というのを定めまして、これをいわゆる元請というか派遣先の事業所の方、それから労働者を送り出す側、それぞれにパンフレットあるいは集団指導を行うというようなことで御指導申し上げているところでございますし、また今年度からは、今までこの労働者派遣事業を直接担当する職員、ハローワークでほかの仕事と一緒にやっていたということがございますが、本年度からは都道府県労働局に需給調整指導官という、この関係の仕事を一元的に担当する職員を配置するなどして、きっちりとやってきておる、こう思っております。
  165. 畑野君枝

    畑野君枝君 その点で、製造業の大企業につきましても、派遣、請負の問題がございましたけれども、条件を満たす労働者には派遣先に雇用させるなどの指導をきちっとするべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  166. 青木功

    政府参考人(青木功君) 先ほど先生もお話しになりましたように、労働者派遣事業についてはこの三月から新しい仕組みになっています。ですから、それぞれ使用者と労働者の関係、これがあやふやにならないようにきっちりしていくということが重要でありますので、更に頑張ってまいりたいと、こう思います。
  167. 畑野君枝

    畑野君枝君 いすゞ自動車の川崎事業所では、今、年内閉鎖ということで、藤沢市や栃木県に再配置なんですけれども、そこの社員そのものも、例えば若い夫婦であったら妻の仕事をどうするかということで大変苦労をされているということですから、一人一人の事情を最優先で理解、納得を得て進めるということでやっていただきたいというふうに思っているわけですが、こういう事情が民間ではあるということを申し上げておきたいと思います。  もう一つです。これは自治体の入札にかかわる問題です。  今年の三月下旬に、神奈川県の県民活動サポートセンターというところで受付と電話交換の仕事の入札で、それまで四千数百万円で落札し十三人の女性労働者を雇用していた企業、これは正規に雇用していたわけですが、それが二千数百万円という、正にダンピングですね、で応札した企業に破れまして、十三人の雇用が脅かされているという状況が生まれております。今回落札した企業は、時給千百円程度で、千百円前後で交通費さえ出ないパート労働者に置き換えてしまっております。入札で落札企業が替わった場合に、それまで働いていた労働者が労働条件の大幅な不利益なしで雇用が継続できるように自治体等でも援助するような仕組みを考えるべきだと思うんですが、この点まず総務省に伺います。
  168. 畠中誠二郎

    政府参考人畠中誠二郎君) 地方公共団体の入札についてのお尋ねでございますが、地方公共団体の契約は競争入札が原則でございますが、安かろう悪かろうじゃ駄目ですので、先生指摘のようなダンピングを防止するためには、既に最低制限価格制度、それから低入札価格制度というものが既に導入されておりますので、地方公共団体においてはそのダンピングの防止を図るためにこれらの制度を活用しているというふうに考えているところでございます。  今後とも、地方公共団体に対してこの制度の活用について要請してまいる所存でございます。
  169. 畑野君枝

    畑野君枝君 請負についてもきちっとやっていただきたいと思うんですね。低入札価格調査制度というのは、これは下限を設けても下回ってもいいと、調査をすると。しかし、それきちっと適用されていないということの問題もあるわけですから、そのことを指摘しておきたいと思うんですが。  あわせて、指定管理者制度になるとスポーツ施設や文化施設など公の施設でいろいろ労働条件で問題が出るんじゃないかという懸念がありますが、この点いかがですか。
  170. 畠中誠二郎

    政府参考人畠中誠二郎君) お答えいたします。  指定管理者制度につきましては昨年の国会で地方自治法が改正されまして、昨年の九月に導入されたところでございます。これにつきましては、契約ではございませんが、各地方公共団体が条例で定める指定の手続を踏まえて議会の議決を経た上で指定するということになっておりますので、最適な者が指定管理者になるよう手続を条例で規定していただきたいというふうに考えておるところでございます。  具体的に申し上げますと、指定に際しては複数の者の中から金額だけではなくて公の施設の管理を安定して行う人的能力や物的能力を有しているかどうか、また施設の効用を最大限に発揮することができるかどうか等を総合的に勘案して、最適な者が管理者として指定されるような方策が各地方公共団体に講じられるものというふうに期待しているところでございます。
  171. 畑野君枝

    畑野君枝君 私は最後に大臣に、坂口厚生労働大臣に伺いたいのですが、民間の場合もあるいは公的な問題も、やっぱり本当にきちんと厚生年金に入れるようなきちっとした給与の保障を含めて対策が必要になっていると思うんですね。  今回の県民サポートセンターの問題もパート労働者に置き換えられるということなんですが、本当に安い金額で落札されていくということになるわけです。ですから、きちっと厚生年金などを、要件を満たせばパート労働者でも当然それは適用するということをきちっと徹底していく必要がある。もちろんパートよりも正社員で雇用できるような継続を、きちっとこういう入札のときにも保障できるようにしていく必要があると思うんですが、その点について伺いたいのと、その上で、やはり自治体関連で働く労働者の賃金あるいは厚生年金等についても最低限のルール作りが必要だというふうに思っております。  私は大臣にも公契約法の制定の検討を求める自治体の意見書が上がっているというふうに思いますが、その点の、御承知されているか伺って、終わります。
  172. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 前半の方の、パートであれ正社員であれ、それはどういう形でありましても社会保障制度につきましてはその恩恵を浴するようにしていかなければいけないというふうに思っております。特に、パートにおきましても労働時間が三十時間を超えるような皆さん方につきましては、それはもう決まっているわけでございますから、もしもそれを、違法であれば、それはしっかり取締りをしていきたいというふうに思っております。  後半のお話でございますが、後半のお話は、これは、公的なことをおやりになる皆さんにはしっかりとした最低保障をしていけということなんだろうというふうに思いますけれども、それは公的な事業に携わる人だけするというのではなくて、たとえ民間であれ最低限の最低保障というのは守らなければいけないわけでございますし、労働基準法の枠内でそれはしっかりやっていただかなければならないというふうに思っておりますので、そこは我々もしっかり見ていきたいというふうに思います。
  173. 畑野君枝

    畑野君枝君 御存じでいらっしゃるということで御確認をさせていただきました。公契約条例や公契約法の制定を求める声がございますので、是非その点も検討をしていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。
  174. 宮本岳志

    宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  まず、大阪に本社を置くクラボウでの思想差別事件について厚労省に聞きます。  昨年六月十日に大阪労働局労働基準監督官あての告訴が行われた件でありますけれども、既にこれについては民事裁判で一定の判断が下されております。昨年五月十四日、大阪地裁は、この会社が共産党員であることを理由として違法な賃金差別を行ったという事実を認定いたしました。個別問題については答えにくいと思いますので、一般論としてお答えいただきたい。  労働基準法第三条に違反する行為がそこに明らかになれば、当然速やかにかつ厳正に対処していただけますね。
  175. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 御質問の労働基準法第三条に限らず、労働者の方からいろいろな申告等がございまして、そういったものを契機といたしまして、今御指摘のございましたような条文、それからそのほかにも労働安全衛生法等いろいろございますけれども、そういった法律に違反する事実が確認できた場合には、これを是正させるために必要な指導監督というものを行っております。
  176. 宮本岳志

    宮本岳志君 この判決文では、労働基準法第三条に照らしてクラボウの行為は違法であると断定をしております。裁判所がそう断定したのだから、認定したのだから、これほど明らかなことはないと思うんですね。しかし、現実には労基署の予算が不足していてなかなか進まないというような話も聞こえてくるわけです。  念のためにこれは確認しますが、予算不足が原因で違法行為が見逃されると、そんなことはまさかないと思うんですが、よろしいですね。
  177. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) これはもう予算が、決して予算、定員、これは決して十二分ではございませんけれども、こういう現場の監督機関におきましては、今申し上げましたように、労働基準法を始めとする関係法令の違反事案、こういったものにつきましては、申告等がございました場合にはきちんと的確に対応しているというふうに認識をしております。
  178. 宮本岳志

    宮本岳志君 さて次に、警察と武富士の癒着の問題についてお伺いします。  昨年五月、個人情報保護法を審議した特別委員会で、私は武富士から警察にばらまかれてきたビール券の付け届けリストを明らかにいたしました。調査の結果、七月に、ついに三人の警察官が処分をされました。  そこで、警察庁に聞きますけれども、この三人以外に武富士から付け届けや金品を受け取った者はいないと、よろしいですね。
  179. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) 委員おっしゃる付け届けリストというものでございますが、私どもの理解では、武富士に対する恐喝未遂事件等の捜査過程におきまして警視庁が押収をした消費者金融会社武富士が警察官に対してビール券等を供与したものを記載したリストを指すものと思っておりますけれども、この元社員は、このリストの信憑性につきましては必ずしも一〇〇%信用のあるものではないということを述べておるところであります。現に、リスト上、名前、ポストが明示をされた五千七百八十枚ということを受領したように書いてございますが、実際に調査を遂げましたところ、約十四人の警視庁職員、うち退職者が五人でございますが、これが合計で千枚弱のビール券を受け取っていたことが判明したものであります。
  180. 宮本岳志

    宮本岳志君 答えていないじゃないか。駄目だよ、あんなの。三名以外にいないのかと聞いたんじゃないか。
  181. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) ですから、十四人から三名を引いた者については、退職者五人と現職者六人について、ビール券を受け取っていたということで注意処分をしておるところでございます。
  182. 宮本岳志

    宮本岳志君 私は重大な事実を入手いたしました。  武富士の元総務部長だった藤川という人物が武富士を相手に起こした民事裁判が昨年結審をいたしました。最高裁は武富士に対し、この藤川氏への四億円の支払を命じております。この裁判の内容は驚くべきものでありまして、武富士はこの藤川という人物を使って暴力団対策を始め様々な違法な裏工作を行っておりました。その裏工作に携わった張本人が裁判所へ訴えて出て、自分はこれだけのことをやったが武富士から約束の報酬をもらっていない、払ってくれと、こういう裁判であります。  今日、資料に、一、二、この裁判で藤川氏が提出した陳述書をお付けいたしました。甲八号証と裁判上のナンバーが振ってあります。これを読むと、平成四年十二月、武井会長から預かった背広仕立券を福田氏が佐藤刑事部長に渡しましたと書いてあります。この福田氏というのは元の警視総監で武富士に顧問として天下った人物、そして、平成四年十二月、当時の警視庁佐藤刑事部長といえば佐藤英彦、正に現警察庁長官のことではありませんか。
  183. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) そのとおりであります。
  184. 宮本岳志

    宮本岳志君 こういうものを受け取った事実については調査いたしましたか。
  185. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) お示しの資料につきましては、その内容からして、武富士とこの藤川という人との間における民事訴訟の場において提出をされた陳述書と受け取れるわけでありますが、この陳述内容と同様のことが去年の秋に出版をされましたイースト・プレス社の「武富士対山口組」と題する書籍の中で記載をされております。その「武富士対山口組」という本の中では以下のように記載をされております。すなわち、仕立券、ビール券が相手方、警視庁、神奈川県警ですが、に渡されたかどうかは確認をしてないと藤川が法廷で証言をしたという記述であります。  ただ、念のため、昨年秋にこのような書物が出ましたので、出版をされました直後に警察庁の次長から長官と刑事局の審議官それぞれに事実関係を確認をいたしました。警察庁としてもそのような事実はないと判断をしているところであります。
  186. 宮本岳志

    宮本岳志君 そんな話は通らないと私は思いますよ。  それなら資料二を見ていただきたい。同じ藤川氏の陳述書ですが、これは別の裁判のものであります。週刊現代に掲載された藤川氏の発言を武富士が名誉毀損だといって訴えた、それに対する反論を述べております。これは更にリアルに、英国屋、額面五十万円の仕立券一枚と、こう出てまいります。  重要なのは、どちらも藤川氏の側が勝訴しているということなんですね。特にこちらの裁判では、名誉毀損だと訴えた武富士に、名誉毀損には当たらないと裁判所が判断をしております。藤川氏の発言はおおむね事実を述べたものだとされているわけであります。つまり、週刊誌上など、藤川氏の発言は公判以外の場でも行われているわけでありまして、ここまで明らかになった以上、当然事実関係を解明する義務があると、私はこう思います。  同時に、この資料一、資料二をもう一度しっかり見ていただくと、もう一つ、藤川氏の二つの陳述書に神奈川県警知念刑事部長というのが出てまいります。平成五年二月、神奈川県警の知念刑事部長にビール券を渡したと証言しております。神奈川県警の知念刑事部長といえば知念良博、現警察庁知念官房審議官、この方に間違いありませんね。
  187. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) ですから、それは先ほど申し上げましたように、次長から長官と審議官に事実関係の有無を確認をし、なかったというふうに警察庁としても判断をしているところであります。事実無根であります。
  188. 宮本岳志

    宮本岳志君 これは事実無根だとおっしゃるわけですか。
  189. 吉村博人

    政府参考人(吉村博人君) いずれにしましても、先ほど来申し上げておりますように、昨年秋に本が出まして、その本の中でいろいろなことが書かれておりましたので、長官と刑事局審議官に対しましてその事実関係を確認をいたしましたところ、そのようなことはないということでありまして、警察庁としてもそう判断をしております。
  190. 宮本岳志

    宮本岳志君 現に裁判資料でこうして私はお示しをしたわけであります。それで、本人に聞いてそんなことはなかったと言ったからないんだと、それでは通らないと。  ここは国家公安委員長に改めて聞きたい。警察庁長官や官房審議官自身が背広仕立券やビール券を受け取っていたという重大な疑惑であります。当然調査して国会に明らかにすべきだと思いますが、委員長、いかがですか。
  191. 小野清子

    国務大臣小野清子君) 警察官と武富士の関係について再度調査をということでございますか。
  192. 宮本岳志

    宮本岳志君 そうです。
  193. 小野清子

    国務大臣小野清子君) はい。  お尋ね事案につきましては、警視庁、それから関係府県警察におきまして捜査調査を尽くし、法と証拠に基づきまして、御案内のとおり、刑事事件として取り上げるものは取り上げ、処分すべきものは処分したとの報告を受けておるわけでございます。それによりまして、国家公安委員会といたしましては、このような経緯にかんがみまして再調査の必要はないものと承知をいたしているところでございます。
  194. 宮本岳志

    宮本岳志君 駄目ですよ、そんなのは。警察庁長官と審議官の名前がここに出ているわけですから改めて調査する必要がある。いかがですか。
  195. 小野清子

    国務大臣小野清子君) ただいま申し上げましたとおり、刑事事件として取り上げるものは取り上げ、そしてまた処分すべきものは処分したとの報告を受けているわけでございますので、国家公安委員会としては、このような経緯にかんがみまして再調査の必要はないものと承知をいたしているところでございます。
  196. 宮本岳志

    宮本岳志君 国家公安委員長が明らかにできない、再調査しないと言うのであれば、国会の場で真相を究明する必要があると思います。  私は、改めて武富士元総務部長の藤川忠政氏と、警察庁佐藤英彦長官、知念良博官房審議官参考人招致を求めたいと思いますが、委員長、お取り計らいを願います。
  197. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 理事会において取扱いは協議をいたします。
  198. 宮本岳志

    宮本岳志君 徹底究明を求めて、私の質問を終わります。
  199. 又市征治

    ○又市征治君 今日で小泉内閣がちょうど発足三年目を迎えるわけですが、この小泉内閣で進められてきた構造改革路線というのは一面では弱肉強食の競争社会をあおる面は否めないわけで、不良債権処理と称して銀行は手厚く救済をされる一方で、中小企業は容赦なく倒産をさせられてきている、こういうことを言わざるを得ません。労働者が法律上の倒産やあるいは事実上の倒産によってどういう実態に置かれているか。これに対して労働行政は何をすればいいか。その一例として、今日は労働保険特別会計からの交付金、出資金で成り立っている事業を取り上げたいと思います。  その本論に入る前に一つお伺いをしておきますが、この労災勘定一兆円を所管をする労働基準局に伺うわけですが、労働基準局が所管している独法あるいは公益法人のうち官庁出身者が役員をしている団体は幾つあって、またその役員数は幾らか、何人いるか、お伺いしたいと思います。
  200. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 御質問の労働基準局所管の独立法人は四つございます。また、公益法人は八十九ございまして、合計九十三ございますが、そのうちいわゆる官庁出身者が役員に就任している法人は、独立行政法人四、公益法人四十九の合計の五十三法人でございます。  また、官庁出身者でございます役員の人数でございますけれども、これは今申し上げました法人、所管法人九十三法人の全体の役員千七百二十七人中、百二十六人でございます。
  201. 又市征治

    ○又市征治君 これら五十九ですか、団体の事業費はざっと一兆三百億円ですから、大ざっぱに言えば天下り官僚の一人当たり八十二億円余りの事業を左右していることになるわけですね。巨大な利権のピラミッドであり、本当に勤労者のために役立っているか。かなりそういう意味では、この委員会で度々挙げられていますけれども、こうした検証を更に強める必要があるんだろうと、こう思います。  これらの団体のうちで二番目に大きいのが旧労働福祉事業団、衣替えした労働者健康福祉機構で、事業規模が三千五百五十一億円ですね。政府出資金の残額だけでも、今論議をしているこの平成十四年度の決算でいいますと七千六百六十五億円に上ります。理事長は歴代労働事務次官。もう一人の理事も労働省の高級官僚。この辺りはもう改革が必要なことはもう言をまちません。  そこで今日は、それはさておいて、この事業団の倒産企業の労働者に対する未払賃金の立替払事業について伺っていきたいと思います。  小泉改革によって残念ながら冒頭申し上げたように倒産や賃金未払が増える中で、立替払事業というのは大きな役割を果たしていると思います。今日は皆さんのお手元に資料をお配りをいたしましたけれども、毎年の未払賃金の立替払の額、また回収金、対政府交付金の比率はどういうふうに推移しているか、簡単にこれ説明してください。
  202. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) ただいま先生からお配りございました資料が多分正確だと思いますけれども、まずこの平成五年、大分前でございますけれども、これ比べますと、新規立替払が当時は四十八億円でございました。これが平成十年以降、この表にございますように非常に増えておりまして、平成十四年度におきましては約四百七十六億円というふうに増えております。  また、回収金額につきましては平成五年度、これは何も五年度の分を回収したわけではございませんけれども、五年度において回収した金額約四億円でございますけれども、平成十四年度では約七十八億円ということでございます。  これに伴いまして、このいわゆる政府からの交付金でございますけれども、これは平成五年度約四十四億円だったものが、平成十四年度におきましては三百九十九億円というふうに非常に増えているという状況でございます。
  203. 又市征治

    ○又市征治君 大変な増え方になっているわけですけれども、そういう意味ではやはりこの事業、この今の中で見ますと、事業団の全体歳出に占める立替払の割合も一三・四%に上がってきていますね。平成十四年度決算でいえば、新規立替払をしたのが四百七十六億円。これは四千七百三十四企業で、労働者七万二千八百人にこれ出しているわけですね。一人当たり六十五万円立替払している。もっとも、残念ながら一人一人の全額を立て替えたわけじゃありませんね。そして、これに対する原資は、過去の立替え企業から回収している分と、さらには不足分はすべて国庫から交付をしているという、こういうことになりますね。  次に、こうして倒産企業に立て替えた未払賃金の代位弁済の求償権というものを計上しているわけですが、これがそういう意味ではどのように推移をしてきているかということ。また他方で、その求償権の償却引当金も計上しているわけですが、どのくらいかというと、毎年一〇〇%、こういうふうになっていますね。どうして一〇〇%なのか、ここのところをもう少し説明してくれますか。
  204. 高橋満

    政府参考人高橋満君) ただいまの御指摘の未払賃金の立替払制度でございますが、これを実施、運営いたしております労働福祉事業団、この四月からは独立行政法人の労働者健康福祉機構ということに衣替えしておりますが、ここにおきまして立替払を行いました場合、これによりまして代位取得、賃金債権につきまして代位取得をいたします。この代位取得いたしました賃金債権に対しましては、事業主に求償いたしておるわけでございます。  この求償残高でございますが、委員御配付の資料にもございますとおり、平成五年度末におきましては約百十六億円でございましたが、これが平成十四年度におきましては約八百四十五億円というふうな数字になってございます。  一方、もう一つお尋ねのこの求償権にかかわります償却引き当てに関しての件でございます。  この未払賃金の立替払の対象となりますのがいわゆる企業の倒産ということになるわけでございます。この倒産の事由でございますが、一つはいわゆる事実上の倒産と。こういうケースにつきましては、事業主におきまして残余財産がないということで、ほとんどその求償権を行使しましてもなかなか回収が見込めないというのが実態でございます。  それから、いま一つは、破産あるいは民事再生、会社更生といったような法律上の倒産に伴う立替払でございます。このケースの場合に、その大部分を占めますのは破産でございまして、したがいまして、この場合、破産手続によりまして求償権の行使をすることによって回収をするということになるわけでございます。  ただ、この回収でございますが、当該破産企業の残余財産の状況に大きく左右されるところであるわけでございます。この場合、代位取得いたしました賃金債権は、優先的破産債権に該当はいたしますものの、それより優先順位の高い債権等が弁済された後に配当が行われるということになるわけでございまして、そういう意味で、回収の見込みを立てることが事実上困難であるわけでございます。  このように、この代位弁済求償権でございますが、実態としては大変回収が難しいという性格のものであると。こういうことから、これを実施しております労働福祉事業団の会計処理上の問題としては、財務諸表におきまして、御指摘のとおり、求償権償却引当金というのは、未払賃金代位弁済求償権額、これと同額を計上をして処理をいたしておるものでございます。
  205. 又市征治

    ○又市征治君 立替払金の回収は、過去五年間、その資料の真ん中のところに書きましたけれども、実績では過去五年間平均で一八%回収されているわけですね。  で、毎年、回収額のほかに、今もちょっと出ましたけれども、債権整理額、つまり取りっぱぐれで放棄した額を計上していますね、これの推移。また、整理した理由とその根拠となる内規など、あるんならばそれをもう少し説明をしてください。
  206. 高橋満

    政府参考人高橋満君) 整理の問題でございますが、これは、まず推移につきましては、債権整理額は平成五年度におきましては約九億円程度、御配付の資料のとおりでございます。これに対しまして、その後、平成十年度以降、立替払額も非常に大きくなってきておるということもございまして整理額は大変大きくなってきておりまして、平成十四年度末で約百三十八億円という額を整理をいたしてございます。  それで、この整理でございますが、どういう場合に整理をするかということにつきましては、この実施主体の労働福祉事業団におきまして定めております業務方法書というものがございまして、その六十三条の七、これは旧事業団……
  207. 又市征治

    ○又市征治君 簡単に。
  208. 高橋満

    政府参考人高橋満君) はい。  事業団の業務方法書でございますが、ここで、一つは、消滅時効が完成して、かつ行方不明の事業主が仮にそれを時効が完成したら援用をするであろうと見込まれるような場合、それから法人でございます事業主の清算が結了いたしました場合、それから三点目に、会社更生法に基づきます、基づいて策定されます更生計画の中で、事業主が賃金債権についてその責任を免れたこと等々の事由が生じたときに、一部又は全部みなし消滅として整理を行っているものでございます。
  209. 又市征治

    ○又市征治君 次に、大臣にお伺いをいたしてまいりますが、中には企業再建がまだまだ困難で、操業はしているけれども期限どおりに返済できないという企業も出てきていますよね。これに対するいわゆる猶予措置などはどのようにしているのかということについてお伺いしたいわけですが、倒産をして、当然これは労働者にもしわ寄せが非常にたまっています。事業団への返済優先を理由に、労働者には何年もの間賃金の二割カット、三割カット、あるいはひどいのになると五割カットする、一時金はもう全くゼロだ、こんなことはもうごろごろあちこちであるというのはお聞きのとおりですけれども、その労働者の生活の窮状というのはもう大変なものがあると思うんです。  こういう格好で労働者をそこまで追い込んでおきながら、一方でこれを、じゃ辞めていかれたらどうなるか、企業再建も何もできない、こういう、経営者にとってみても大変なことだろうと思いますが、少ない賃金で何とか働いてくれよと、こういうことになっているわけですが、そこで、事業団としても、金は貸し付けたけれども、立替えはやったけれども、立替金も、倒産して、本当に倒産してしまったんじゃもう立替払金も回収できない、結局、政府の交付金は増え続けるだけだ、国庫の損失はますます増えていくと、こういうことになるわけですね。  そこで、例えば、更生中の企業が労働者に賃金、ボーナスのカット分などについて一定の改善をします、これじゃみんな労働者辞めていってしまうということでも困るから、改善をするということを条件にその原資に相当する返済額をもう少し返済の繰延べをする、そういう猶予をするという措置などについてはどのように工夫をされているのか。  労働者の生活をやはり改善をし、力を付けることで下から企業も再建をしていく、そして返済実績も中長期的には上げていくと、こういうことが大事なんだろうと思うんですね。これがそういう意味では積極的、能動的な労働者福祉の面でもあるんだろうと、こう思うわけですが、大臣、そこのところはどういうふうにお考えですか。
  210. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 未払賃金の立替払制度というのは、これは事業主に代わって立替えを行うわけでありますし、当面の救済措置になることは間違いないわけでございます。しかし、今お話しのように、再建中の企業で、そしてその債権者が、それを今度は返還することができないといったようなケースもそれは確かにあり得るというふうに思うんです。  しかし、この制度は、だからといって債務者であります事業主に求償を求めないというわけにはいかない、これはやっぱり求めなければならないというふうに思っておりますが、更生計画なんかを立てるわけですね、倒産しました企業の再生のためには、その再生計画を作成する段階において管理人などとの関係者と協議をして、そして救済に対する履行期限の延長について検討すると、その段階のところでどうするかということをきちっとやらなければいけないということだろうというふうに思います。
  211. 又市征治

    ○又市征治君 正に今大臣おっしゃったとおりなんで、まだまだ、本当に苦労して何年も掛けて確かに計画は立てたけれどもそのとおり残念ながらいかないと、そして細々ながらやっぱり金は返していく、だけど労働者に非常に多くのしわ寄せをしている。だから、そういうところにあって少しやっぱり柔軟に、言ってみれば、労働者への一時金も全くゼロだなんというのはもう本当に子供、大学へ行っているのをやめさせてこにゃいかぬ、ローンが払えない、こういう労働者がいると、じゃ、そこで辞めていって、その労働者が辞めていったらその会社はつぶれていく、こういう状況などがやっぱりたくさん私の方へいろいろと話ありますよ。  だから、そういうところをもう少し工夫をして、やっぱり厚生労働省の立場で言うならば、この未払賃金の立替払をより多く回収を確保する観点からしても、当該の倒産企業の更生あるいは再生の計画認可に必要な限りにおいてむしろ弁済額の一部免除、あるいはそういう意味ではもう少し延長をやっていく、こういうことについて、大臣、もう少し明快な御見解、そこらのところももう少し工夫せにゃいかぬということに、お考えになりませんか。
  212. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 私から御説明させていただきますと、これは正に、先生質問の件は倒産とか破産ではなくて会社更生なり会社再生という段階だと思います。  そうした場合に、正にこの一部を、機構が支払いました未払賃金の立替払でございますけれども、これも元も子もなくなってしまうわけにはいきませんので、その更生計画とかそういうものを作る段階でどれだけその管財人等と、関係者と協議をいたしまして、どういうふうな更生計画、再生計画、そういうものを作るかという中で弁済計画というものについても判断していくということになろうかと思います。  また、更生中でございますれば、その更生計画の変更ということもあり得ますので、そうしたものにつきましては、その状況、そういったものを、また変更とか、そうした計画の変更、そうした大きな、大きな中で検討する余地というものはあろうかというふうに思います。
  213. 又市征治

    ○又市征治君 今も申し上げてまいりましたように、やはり本当にせっかく立て替えたんですから、元も子もなくなるような話にならないように、そこのところはかなり柔軟に考えていきませんと、実態が、一遍計画を立てたから、それでもうそのとおり何だろうと納めてもらわにゃいかぬと、その下でおいて労働者がどんな状態になっていようと構わぬという格好にはならないように本当に工夫してもらわにゃいかぬと、こう思うんですね。  今日はあと時間がありませんから、一部大手のスーパーの問題でいろいろと騒がれた問題がありますが、私は今日はそこは言いませんけれども、やはり柔軟に、そこの労働者も救いながらその企業をやはりどうやってもう少し中長期の目で見て再建をさせていくか。そのことによって、それこそ所得税も払わせる、そんな格好でちゃんと回収金も、立て替えた金も回収できる。ここらのところはやっぱり柔軟な猶予措置みたいなことについて更に研究をしてもらいたいと思います。その点はどうですか。
  214. 松崎朗

    政府参考人(松崎朗君) 先ほども申し上げましたように、この更生計画中でございますれば、その更生計画の中に入っております弁済計画、そうしたものが全部入っているわけでございますので、そうしたものの中で、本当に会社がそこから更生あるいは再生していくということを確保していくために、全体の流れの中でいろいろ関係管財人等と協議をしていくということになろうかと思っております。
  215. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  216. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  相変わらずの最後の質問でございますが、よろしくお願いいたします。霞が関もどうやら終業のチャイムが鳴ったころだと思いますけれども、お付き合いの方はひとつよろしくお願いいたしたいと思っております。  今国会は年金国会とか新聞報道で盛んに言われております。この先いろいろと議論があると思うんですけれども、その年金に関して少し教えていただきたいというところから質問をさしていただきたいと。  この年金というのは、いろいろ御説明をお聞きしましたし、いろいろ勉強といいますか、大した勉強はしておりませんけれども、大変難しい。したがって、こんな私の二十分ほどの時間ではなかなか核心までつけないかと思いますけれども、避けて通れない検討事項でございますので、触りと言ってはおかしいんですけれども、その点についてちょっと、本当に間違っているところがあったら御訂正をいただきたい。私、いわゆる一般国民の立場で疑問に思うところを率直に申し上げますので、その辺をお知らせ願えたらと思うわけでございます。  私自身の身に照らしますと、いわゆる国家公務員の長期共済ですか、地方公務員の長期共済、これで三十年弱を過ごしまして、おかげさまで一応その対象になっている身でございます。額からいえば大したものではないんですけれども、この額が多いか少ないかは別に私、別に疑問といいますか反論を持っているわけではないんですけれども、最近やはり何といいますかね、保険料が引上げになって、いわゆる受給、給付額が引下げになるというような、こういう状況に非常に何か不安を感じているといいますか、私はもう給付、保険料の方は関係ないわけですけれども、給付額が引下げになるということは大いに関係があると。  そんなことを念頭に置きますと、自分の経験と照らしまして、役人といいますか、なったころは、何か公務員は恩給が当たるんだと、こんないいところがあったのかと私は思ったぐらいですが、実は恩給ではなくて年金の積立てだったということで、いや、これならまあそれ相当の年金が入ってくるんであろうということで勤めさせていただいたわけですが、一応、したがって自分で給与の何ぼかを積み立てて、それがある年齢になったら、退職してある年齢になったら返ってくると、こんな理解でおったわけなんですが、どうも、したがいまして、それをもらうのは当然の権利だといいますか、払ったものに対してもらうんですから当然の権利だというふうにおったんですが、それが今ちょっと触れましたようにだんだん減ってくるというのは、何となく釈然としない気分があるのは正直なところでございまして、どうもそれが何か、積立てであれば積み立てたものが返ってくるというのは当然のことだと思うんですが、それがある時期から賦課方式に変わったというところに何かからくりと言ってはおかしいですけれども、一つの物の考え方の転換点があるんじゃないかというような気がしているわけですけれども。  一つ、まず積立方式というのがどういうもので、それがどうして、いつごろどういう理由で賦課方式に変わったのか、その辺を局長の方からちょっと御説明願います。
  217. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 私の方から御説明を申し上げたいと思います。  まず、日本の公的年金で申し上げますと、共済年金は昔の恩給の体系がございますけれども、民間の方の年金について申しますと、厚生年金は昭和十七年に制度を発足いたしております。この当時はいわゆるブルーカラーと言われる方を対象として発足をいたしまして、昭和十九年に女性にも適用いたしますし、ホワイトカラーの方にも適用をいたしております。  それで、厚生年金の当初の考え方は、先生がおっしゃいますとおり、いわゆる積立方式の考えを取っております。当時、十七年で申し上げますと、当時必要な保険料率、積立方式で必要な保険料率が六・四%でございまして、当時は男子でございますが、男子の方に六・四%払っていただいております。これは十九年に改正を行いまして、この時点では一一%、必要な保険料率に対しまして男子一一%、それから女子も一一%という形で積立方式の保険料を出していただくという形で発足をいたしております。  国民年金につきましても、昭和三十六年にこれは自営業の方を中心に発足をいたしまして、三十六年当時の考えを申し上げますと、積立方式の年金給付に見合う保険料を払っていただくという形でございまして、この当時、三十五歳以上の方に月額百五十円、三十四歳以下の方に月額百円という形で保険料を払っていただくという形でございます。ただ、三十六年当時想定しておりました給付は、いわゆる物価スライドがございませんので、四十年加入していただいて月額三千五百円という給付設計でございます。  ちょうど、三十六年の当時二十歳だった方が平成十三年に六十歳になっておられまして、これから多分二年後ぐらいに満額の年金をお受けいただくという形でございますが、今のこの保険料をずっと払っていただいた方の年金の給付水準で申し上げますと基礎年金六万六千円という水準でございまして、つまり四十年前に想定をいたしまして、当時としましては三千五百円の月額の年金というのは相当なものだということでございますけれども、四十年間の間に物価の変動があり賃金の変動があり、それから多分物価、賃金以上に日本の経済が発展をいたしましたので、そういうふうなものに対応して公的年金の意味をどう考えていくかというところがその積立方式から変遷してきたところだろうというふうに思っております。
  218. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 今の御説明ですと、積立方式じゃ物価の変動あるいは賃金の変動に付いていけないということなわけですか。ということは、そういうことに付いていくよりも、国としてはもっと高いレベルを保障しよう。ということは、逆に言うとその分は国庫財政から出されたということなんですか、賦課方式というのは。
  219. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) それで、その後のことを申し上げますと、厚生年金につきましては、第二次世界大戦が終了いたしまして、戦後、昭和二十年代は非常に厳しい経済状況の中で日本の経済をどうやって復興していくかという状態でございますが、当時、先ほど申しました厚生年金の保険料率、昭和二十二年の九月まで九・四%でございましたけれども、これを三・〇%に言わば凍結をいたしております。と申しますのは、その経済状況の中で九・四%の保険料を負担していただくのは無理だろうということで三・〇%にいったん下げておりまして、その時点で積立方式に必要な保険料を払っていただくことはできないということを考えながら段階的に本来の保険料水準に上げていこうという形での財政運営の変換を行っております。  それから、国民年金につきましても、三十六年の時点では、今申し上げました積立方式の考え方で発足をいたしておりますが、四十一年の改正の時点で本来必要な保険料、当時約四百円でございますけれども、これに対しまして、先ほど申しました三十五歳以上の方につきましては月額二百五十円、それから三十四歳の方には二百円という形で保険料を設定をいたしまして、この時点でやはり段階的な保険料という考えを取っております。  それから、国民年金で申しますと、先ほど申しました三十六年のときに月額三千五百円という給付水準につきましては、これは政策的な改定を行いまして、八千円という形で年金水準そのものは引上げを行っております。  それから、最大は、昭和四十八年に年金制度の改正を行っておりまして、このときにいわゆる物価スライドを導入をいたしております。  それから、物価スライドだけではございませんで、例えば、若いころに企業に入られまして、私がその昭和四十七年に厚生労働省に入省をいたしまして、当時、実は初任給四万円でございます。現在の公務員の初任給は大体二十万円でございますので、四万円でその保険料を払っていただいた価値を四万円というふうにそのまま見ておきますと年金の給付は非常に下がりますので、四十八年の改正のときに、四万円の初任給はその時点での二十万円の初任給に相当するというふうに考えまして、それに対応した給付を出そうという形に変えてきたわけでございますので、これによりまして、基本的には積立方式から賦課方式を基本とする方式に変更してきておるという形でございます。
  220. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 今のお話は大分分からないんですけれども、要は、何ですか、いわゆる積立方式では受給額、給与額が払えないと、国が考える給与額はもっと高いんだと、だからこれにしなきゃいけない、それは分かるんですけれども、まあ考えようによって、それを結局どこの財源で持っていったかなんだろうと思うんですね。それは例えば、そういうふうに社会情勢が上がっていけば、これは国だって当然それだけ税金も上がればいろいろな面で上がるわけですから、国がその部分をもし出しておるんなら、私は分からないこともないんです。だから、それが実は聞きたいところのもう一つなんですけれどもね。  例えば、局長が入られたのはいつかそれは分かりませんけれども、私自身考えてもかなりの負担をもう出していると思うんですよ、今までに。だから、先ほど言いました、その今もらっている額が少ないか大きいかは分かりませんけれども、感覚的には少ないんじゃないかと。これはしかし、物価スライドも何もあるから、まあしようがないなと思うんですけれども。  結局そこで、いわゆる今まで、今は少子高齢化ですけれども、昔はどんどんどんどん人口が増えていったわけですよね、受給者がどんどん増え、受給者じゃない、保険者が、保険支払者がどんどん増えていったわけですよ。その金の、それと受給額との間には、あれですね、要するに保険額の方が大きかったんじゃないかと、それがいろいろ積立てとか何かに行ったんじゃないかと思うんですけれども、それが結局どこに行っちゃったかということが一つの疑問に私は思うんですけれども。  考えられるのは、今言った受給額が大きくなった、あるいは事務経費が、事務的経費によって消えていったとか、あるいは運用を間違えたと。これは、間違えたと言ったら失礼かもしらぬけれども、要するに、世の中の、あれですよね、物価スライドと合わせて大体利率はそんな程度で付いていくでしょうから、そのまともな運用をできればそれだけの金は得られたかもしれないという予想もできるわけですよね。あるいは、まだ積立てが残っておられるかもしらぬ。  その辺は、私の言っていることが間違いだったら御指摘いただきたいんですけれども、その辺はいかがなんですか。
  221. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 最大のことは、先ほど申し上げました、四十八年の改正によりまして、それまでの基本は、積立てを基本としながら、しかし積立てに対応する保険料の水準には至っておりませんで、段階的に保険料水準を上げることによりまして、トータルの積立てに考え得るバランスをやっていこうと。  ただ、そうは申し上げましても、先ほど申し上げました、国民年金が発足をいたしましたときに想定をいたしました三千五百円という給付から、五年後の改定の時点で八千円という給付に改定をいたしております。それは、やっぱり経済が発展をいたしておりますし、当時賃金も上昇をしましたので、それに対応する年金給付ということで考えてきたわけでございますが、四十八年の改正によりまして、賃金あるいは物価に対応する給付という形にしたということが最大であろうというふうに思います。  私ども、余り、いわゆる世代間の給付負担倍率ということがいろいろ御議論になりまして、私どもはむしろ世代間の給付負担倍率だけでは、なかなかそこだけで御議論をしていただくのはいかがかという立場を取っております。日本の経済の発展、あるいは社会の発展をトータルで歴史的に見ながら考えなきゃならないということでございますが、今の例えば厚生年金の給付で申し上げますと、例えば八十歳の方が世代間の負担倍率で申し上げますと非常に高い倍率でございますので、世の中の方は非常に高い給付を受けておられるというふうに誤解されている方が多いわけでございますが、八十歳の方で厚生年金の平均年金月額は二十万六千円でございます。七十歳の方は二十一万八千円。それから、六十五歳の方は二十万五千円という形で、したがいまして、ほとんど年金の給付水準は違いはございません。  なぜ、年齢が上の方の給付負担倍率が高くなるかというふうに申し上げれば、保険料を先生がおっしゃる例えば運用をした価値も含めまして累積をいたしましたときのトータルの保険料額は、やっぱり先輩の方の方が少ない。それはなぜかといいますと、先ほど申しました戦後三%から保険料を設定をいたしまして、徐々に徐々に日本の経済の発展する中で保険料を引き上げさせていただいたという形のその世代と、それから、ある程度経済が発展した後に二十歳から保険料を納めていただいた世代とは明らかに保険料負担が違うというところです。  その問題が、本来で申し上げれば、人口構造が非常に安定をいたしますと、あるところで非常に安定した形になりますので、賦課方式は、人口構造が非常に安定をいたしますと、現役の生産力によって高齢者を支えていただくという、それを順繰りに支えていただくという形でございますので、賦課方式は人口構造が安定した場合には非常に安定した仕組みでございます。  ただ、日本の今の最大の問題は、少子高齢化という問題に直面をいたしておりますので、その中で賦課方式の良さを生かしながらどうやって年金財政を、あるいは年金制度を安定するかということが今最大の課題ではないかというふうに思っております。
  222. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私は、せんじ詰めれば、年金というのも共済制度じゃないかなという気がするんですけれども、老後を考えれば、普通はごく単純に考えれば貯蓄ですよね。それに対してこういう年金、これは、ひとつ国の社会保障制度ということでしっかり位置付けられて国民が安心するということにはなると思うんですけれども、余りそれが変な方向に行っちゃうと、やっぱり国民もそれなら貯金すりゃいいじゃないかということにもなりかねないんですが。  もう一つ、これ変な言い方で大変申し訳ないんですけれども、年金というのは一時的に金が入りますよね、国庫なりに。その一時的に金が入ったことによって、それを何か、そこに何かメリットがあるのかどうかですね。これ、変なことを言いますと、先ほど昭和十七年、厚生年金が始まったと言われましたね。あれは何か、こんなことを言っていいのか分からぬですけれども、戦費調達という面もあったんじゃないかという批判もあるわけですよ。今はまさか戦費調達ないんでしょうけれども、その辺の見方というのは、見方といいますか、そういうことに対してはどういうふうにお考えですか。
  223. 吉武民樹

    政府参考人(吉武民樹君) 今先生質問がございましたその積立方式で出発をいたしておりますので、当面は給付はほとんど出てまいりません。例えば、障害状態になられた方でありますとか、若くして亡くなられた方の遺族年金とか、こういうものは給付が出まして、ある程度の時間がたつに従って老齢年金が出るという形です。したがいまして、積立方式の初期には積立金がだんだん積み上がってくるという形でございます。  それで、これは、そういう積立金をどういうふうにして使うかということは、年金の制度はずっと御議論をいただいているところでございまして、例えば還元融資という考え方がございまして、積立金は、現在では少し変わってきておりますが、かつては資金運用部資金に完全に統合運用をいたしまして、資金運用部資金の方で政府の特別会計でありますとか、あるいは特殊法人でありますとか、そういう言わば政府部門のいわゆる融資的な資金として使われるという形でございます。  その当時、非常にやはり御議論になりましたのは、年金の積立金はやはり年金の被保険者あるいは受給者にできるだけ近い分野で使うべきではないかということでございまして、還元融資制度を取っておりましたときには、例えば福祉サービスの充実でありますとか、あるいは医療でありますとか、そういう分野に活用しようと、あるいは被保険者に還元をしようという形で積立金の運用のことが御議論をされてきたということです。  ただ、国会でも非常に御指摘をいただいておりますが、もう今日非常に年金財政が非常に厳しい状況になっておりますので、例えば私どもがこれまで特殊法人を通じて実施をいたしておりました被保険者の方のための住宅融資、こういう分野につきましてはもう民間で相当融資の実績が上がっておりますので、こういうものをむしろ整理をして、年金の積立金というのは基本的には年金の給付そのものに充てていくべきだというのが今日のお考えだろうというふうに考えております。
  224. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 最後に、ちょっと大臣、御専門のようですので、一つだけお聞きしたいんですけれども、今お話ありました賦課方式というのは、確かに人口のピラミッド型が安定していれば非常にいい、うまく機能すると思うんです。したがって、人口の機能がそういうふうな分布になるように、いろいろな政策面で少子高齢化対策とかをやっていかれるのも一つの方法だと思うんですけれども、現実問題として、要するに今、生涯出生率ですか、女性の、一・三ですか、確実にこれ減っていっちゃうのが現状ですよね。  こういう状況だと、やっぱり人口が減っていくから、将来は、自分はもう相当、今以上の額を負担しなきゃいかぬじゃないかと、賦課方式ですとね。そういう感覚になって、非常に何か嫌うといいますか、賛成しかねるようなあれがあると思うんですけれども、こういうような減っているときは、むしろ払ったものは返ってくるという、返してもらえるんだという理屈に立てば、こういうときはやはり積立方式というのをかなり前面に考えてやった方がいいんじゃないかというふうな感じがするんですけれども、大臣の御見解は。
  225. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) 一つのお考えであることはそのとおりでございますが、これから、真っ白なキャンバスに初めて絵をかくというときであれば、それはそれも可能でございましょう。しかし、賦課方式で今日までこうずっと積み上げてきているものですから、ここで急にまた積立方式に変えるということになりますと、それも一遍には変えていかない、徐々に変えていくということにするんならするんでしょうけれども、それは、この変更というのは、現役世代が自らの将来の年金の積立てをこれはしていくというのが一方にあって、そしてもう一方では、別途何らかの形でそのときの受給世代、現在なら現在に年金をもらう人の年金を重ねて負担しなきゃならないという、二重に負担しなきゃならないということが起こるものですから、それが九兆円とも十兆円とも前にも言われたことがございまして、そういたしますと、なかなかそれだけのものを余分に出すということが、急に変えるということになると非常に難しくなるということで、なかなかそれもままならずと。  それで、多少、少子高齢社会で難しい世代ではございますけれども、少子化をできるだけ何とか改善をしていくというような政策も取りながら、そして一方におきましては負担と給付の関係を、負担の方を若干上げさせてください、給付の方を若干下げさせてくださいと、こういうふうに今申し上げている。  ただ、岩本先生のように、もう既に払い終わってもらう年齢になられた方は、これは名目額というのは減らすわけじゃございませんから、それはそのまま今後も行きますので、御安心いただきたいと思います。
  226. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 もう来ましたので、一言だけ申し述べさせていただきたいんですけれども、現状を変えるのはなかなか難しいかもしれませんけれども、やはりどちらに付いていくのかによって、やっぱりそこを変えていくのは国の仕事だと思いますので、その点を御検討いただけたらと思います。  以上で終わります。
  227. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 他に御発言もないようでありますので、法務省厚生労働省警察庁及び裁判所決算についての審査はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時八分散会