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2004-03-22 第159回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月二十二日(月曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  三月十五日     辞任         補欠選任      山内 俊夫君     段本 幸男君  三月十六日     辞任         補欠選任      段本 幸男君     山内 俊夫君      森 ゆうこ君     柳田  稔君      小林美恵子君     緒方 靖夫君  三月十七日     辞任         補欠選任      緒方 靖夫君     小林美恵子君  三月十八日     辞任         補欠選任      神本美恵子君     内藤 正光君      和田ひろ子君     峰崎 直樹君  三月十九日     辞任         補欠選任      内藤 正光君     神本美恵子君      峰崎 直樹君     和田ひろ子君      柳田  稔君     池口 修次君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 岩井 國臣君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 川橋 幸子君                 松井 孝治君                 小林美恵子君     委 員                 大野つや子君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 後藤 博子君                 常田 享詳君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 藤井 基之君                 池口 修次君                 神本美恵子君                 佐藤 雄平君                 齋藤  勁君                 羽田雄一郎君                 広野ただし君                 和田ひろ子君                 木庭健太郎君                 遠山 清彦君                 畑野 君枝君                 又市 征治君                 岩本 荘太君    事務局側        常任委員会専門        員        和田  征君    参考人        野村総合研究所        研究理事     富田 俊基君        国立学校財務セ        ンター研究部教        授        山本  清君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○平成十四年度一般会計歳入歳出決算平成十四  年度特別会計歳入歳出決算平成十四年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十四年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十四年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十六日、森ゆうこ君が委員辞任され、その補欠として柳田稔君が選任されました。  また、去る十九日、柳田稔君が委員辞任され、その補欠として池口修次君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事小林美恵子君を指名いたします。     ─────────────
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成十四年度決算外二件を議題といたします。  本日は、決算審査在り方について参考人から意見を聴取し、質疑を行うため、野村総合研究所研究理事富田俊基君及び国立学校財務センター研究部教授山本清君に御出席をいただいております。  この際、両参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日、御多忙の中、本委員会に御出席をいただきまして誠にありがとうございました。委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  両参考人から忌憚のない御意見を賜りまして、審査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  本日の議事の進め方でありますが、富田参考人山本参考人の順にお一人十五分程度ずつ御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっております。また、各委員質疑時間が限られておりますので、恐れ入りますが御答弁は簡潔にお願いいたしたいと存じます。  なお、参考人からの意見陳述、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。  それでは、まず富田参考人からお願いをいたします。富田参考人
  6. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 御指名をいただきました野村総合研究所富田俊基でございます。  決算審査在り方につきまして意見を申し述べさせていただきます。  お手元の資料も御参照ください。  まず、我が国財政現状についてですが、先生方には既に御存じのように、古今東西に類例を見ないほど悪化しております。政府短期証券、借入金を含めた国の債務残高GDP比は昨十五年末一三四%と、学徒出陣のあった昭和十八年度に並ぶ水準まで上昇しています。国内では依然としてデフレ期待が根強いことを反映して国債金利が極めて低い水準で推移していますので、まだまだ大丈夫だと思い込みがちです。しかし、国際金融市場では、日本国債信用力が低いという評価が定着しています。  例えば、ドル建て日本政府保証債金利は、同じ満期のアジア開発銀行債よりも〇・二%も高い。円建ての日本政府保証債金利は、ドイツ復興金融公庫、KFWと呼ばれておりますけれども、そこの債券よりも〇・一%高い水準で推移しています。また国際決済銀行、BISの季報によりますと、ソブリン・クレジット・デフォルト・スワップ市場での日本国債取引高、二〇〇〇年から二〇〇三年について見ますと、ブラジル、メキシコに次いで多かったことが報告されています。  こうした状況の中で、予算編成プロセス改革論議が行われています。例えば、いわゆる骨太の三では、財政構造改革に当たっては予算の質の改善透明性向上が必要と指摘しています。質の改善はうたわれても量の改善がなぜ入っていないのかは疑問です。この骨太三を受けて、十六年度予算で、年度をまたぐ予算執行弾力化予算項目の大くくり化を内容とするモデル事業が試験的に導入されました。こうした動き背景には、いわゆるニューパブリックマネジメントNPMと呼ばれる運動があるように思えます。  論者によってその具体的な内容は異なるようですが、一、多年度予算、二、事前統制から事後評価に重点を移す、三、発生主義という会計手法導入、これらを主な内容としています。  参考人も、議会制民主主義の枠内であれば民間企業経営手法独立行政法人特殊法人地方公共団体など行政現場導入し、行政効率化活性化を図ることに異論はありません。しかし、中央省庁への導入には、縦割り省庁縦割りの助長と官僚独裁とも言うべき大きな落とし穴があることに注意しなければなりません。  まず、年度をまたぐ多年度予算についてですが、これは我が国戦前軍事予算と同様の構造で、民主主義否定官僚独裁につながりかねません。昭和十二年に設置された臨時軍事特別会計戦争終結までの多年度予算で、しかも予算科目の区別は臨時軍事会計費の款が一本、陸軍海軍予備費の三項のみです。国会では予算は項のレベルで議会されるため、海軍陸軍はそれぞれ一括の大くくり予算で、しかも多年度予算ですので、国会による予算統制が掛からなくなったことを忘れてはなりません。  また、海外での多年度予算政府内部計画書といった位置付けで行われていますが、それには予算が既得権益化する、楽観的な経済見通しによって歳出が下方硬直化する、実質値中期計画を作った一九七〇年代のイギリスでは著しく財政が悪化したなどの問題を生みました。  次に、事後評価重視についてです。  これは、厳格な事前統制とともに推進すべきことは当然です。厳正な事後評価のためには、事前に明確な定量目標を立て、評価恣意性が入り込まないように評価方法もあらかじめ決めておく必要があります。  しかし、現状のように事後評価を主として各府省自己評価にゆだねることで十分でしょうか。また、仮に厳正な事後評価ができたとしても、その予算へのフィードバック国会決定にゆだねるべきです。  次に、発生主義予算についてです。  現金主義会計では、年金公共事業政府保証などのコストが正しく認識できないので、発生主義考え方で将来にわたる国民負担を計測し、政治決定参考とし、予算編成プロセスで活用することは極めて重要です。  しかし、発生主義予算そのものを編成するとなると、現金主義に比べて裁量の余地が大きい、巨額投資的支出も毎年減価償却費など予算としては少額しか計上されない、現金主義による予算統制発生主義予算の制度的な不整合が生じるなどの問題が起こります。このため、ニュージーランド、オーストラリアにおいても、適用範囲政策経費を除いた各省庁の使う直接経費に限定されています。  こうした最近の予算編成プロセス改革の中には、政府活動市場あるいは第三者評価させようとする考え方があるように見えます。その代表例市場での財投機関債の発行と第三者による独立行政法人評価です。  資料の二ページにお移りください。  財投機関債は、市場マーケットによる特殊法人改革という目的で発行されましたが、マーケットでは、この債券には暗黙の政府保証が付いているとみなされ、民間社債のようにリストラや退出を促すという機能は果たしていません。十五、六年度財政投融資計画で大幅な削減を可能にしたのは、財投機関債ではなく、各機関の担う政策主要事務事業見直しによるものであります。  独立行政法人は、行政機能企画立案執行とに分離し、執行業務については、運営費交付金一括交付という形で予算統制を緩和し、その長の責任で組織を最も効率的な方法で運営させるという考え方でできています。しかし、政治からも市場からも統制を受けず、所轄府省事後評価でコントロールするという言わば官僚特区となるならば、それはそもそも許されようはずはありません。  事前統制緩和の代償として厳しい事後評価が必要とされているのですが、厳格な事後評価のためには、明確な中期目標と定量的に示された中期目標年度目標が必要であります。特殊法人等改革推進本部参与会議総務省政策評価独立行政法人評価委員会独立行政法人中期計画明確化を各府省に強く要請していますが、各府省の対応はまだ十分とは言えません。  計画が定量的に示され、第三者による事後評価が可能となっても、独立行政法人業績業務執行効率化によるものか、環境変化によるものか、あるいは事前統制が緩いためなのか、これらを果たして明確に分離して評価できるのかという基本問題が残ります。  独立行政法人への運営費交付金国会の指示に従って予算執行をゆだねられた税金であり、それを売上げと仮想して経営努力を求めるという考え方にも限界があります。また、予算の使い残しを決算審査も経ずに官僚が勝手に使ってしまうことがあっては民主主義否定につながりかねません。税金投入し、国の機構としてののれんを使っている以上、国会による事前統制と厳格な決算審査とのフィードバックが当然必要であります。  以上の陳述をまとめさせていただきます。  第一に、各府省NPMニューパブリックマネジメントを武器として縦割り官僚独裁に陥らないよう、国会による厳しい予算統制と厳しい決算審査が必要であります。  第二に、事前統制には厳しい予算制約が必要です。  この巨額財政赤字を見るまでもなく、予算の量の改善、すなわち歳出削減優先課題です。企業も家計も予算制約の中で最適化行動を取っているのですから、政府活動でも厳しい予算制約による量の削減が質の改善業務効率化につながるという考え方が必要です。  そのためには、大蔵大臣権限強化が必要です。大ぐくり予算、多年度予算事前統制から事後評価重視へというNPMの思想は、さきに述べましたように、国会役割政府内部での大蔵大臣権限とを縮小しようとする動きと言えます。大蔵大臣権限の弱い国ほど財政赤字国債残高が多い。これは、欧州通貨統合に際しまして各国の財政健全化を進めるために行われた比較制度分析の結果です。我が国にこれを当てはめますと、国会役割財務大臣の地位がこれまで以上に低下すれば、止めどもなく国債の累増が進んでしまいます。  そして、第三に、国会における事後評価厳格化が必要です。  各府省自己評価にはおのずと限界があります。また、自己評価第三者による事後評価への過度の期待も禁物です。政治市場も要らない哲人政治、アナーキズムか、あるいは崩壊したソビエトのような官僚独裁に陥らないとも限りません。これを防ぐためにも、決算会計検査早期提出に併せ、決算審査予算編成へのフィードバックを積極化すべきです。  なお、今後の課題として、予算書決算書の表示を政策体系に即した形にし、事業評価との連動が可能となるよう区分を見直していくべきであります。  御清聴ありがとうございました。
  7. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  次に、山本参考人お願いをいたします。山本参考人
  8. 山本清

    参考人山本清君) 国立学校財務センター山本でございます。  まず初めに、良識の府である参議院におきまして、とりわけその決算審査充実化を標榜されておられます参議院並びに決算委員会におきまして、参考人として意見を申し上げる機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。  以下、レジュメに従いまして意見を申し上げたいと思います。  まず最初に、国会におきます決算審査意義につきまして確認を申し上げたいと思います。  私は、レジュメに書いておりますとおり、三点ほどが決算審査のやはり意義なり目的であろうというふうに考えております。  第一点は、当然、国会でございますから、行政府に対しまして、アカウンタビリティー行政府は負っておるわけでございます。その立法府に対します行政アカウンタビリティーを解除し、そして更に確保するというのが一番大きな意義であろうというふうに思います。  第二点は、次の予算編成へのフィードバックを図る、そして、単なるフィードバックだけではなくて、やはり途中におきます改善を通じましてやはりその価値を付加していくということが二番目として重要であろうというふうに思います。  三点目は、決算審査を通じまして、予算会計制度改革なり見直しというのも含めました監視ということが基本的な視点であろうというふうに思います。  こういった意義を前提にいたしまして、決算を通じました政府全体の統制メカニズムにつきましてまとめた図が図一でございますので、この図に従いまして大筋申し上げたいと思います。  この図の一番下の点線の枠で囲ってありますのは、大きく政府全体にかかわりますガバナンス制度と言っていいかと思います。これには、議会は、まあ立法府と言い換えていいかと思いますが、議会、裁判所並びに行政府から独立しておりますから会計検査院というのも含めておりますが、こういった行政活動全般に対します外部統制機関というのは当然一番左にいるわけでございます。そして、行政府は自ら当然内部統制機関なりに内部統制を図るということで、国会でお決めになった財政法なり会計法の枠組みの中で、それに従って、政省令に従って予算執行予算執行を行うという意味におきまして、内部統制組織なり機関というのも存在しておるわけでございます。  さらには、当然こういった外部統制内部統制以外に、いわゆる国民の目と申しますか、国民全体の文化と申しますか、そういった、今はやりの言葉で申しますればソーシャルキャピタルと言われておりますが、社会的関係資本なり社会的共通資本と言われているような国民政治並びに社会、地域あるいはマーケットに対する意識なり規範の遵守の基本的なそういった心情の共有化というものが当然あるわけでございますし、あるいはマスコミ等もこの一番右側のところに位置付けていいのではないかと思います。  こういった三つの大きな統制メカニズム行政活動に対して統制活動を加え、そしてそういった三つのチャンネルを通じて、いわゆるアカウンタビリティーの確保、向上、そして国民の相互間の利害調整並びに経営改善を図る。とりわけそのマーケットメカニズムと一番違う点は、アカウンタビリティーという点と利害調整であろうかと思います。アカウンタビリティーがとりわけパブリックセクターにおいて重要であるというのは、税金等は御案内のとおりやはりその公権力の背景として、あるいは国民納税義務として徴収するわけでございまして、これは自由なマーケットにおける交換取引として取引がなされるわけではないということであります。  さらには、国民はやはり世代間の利害対立がありますし、それは公的年金をめぐる最近の動きにも表れております。あるいは、都市部地方部におきまして、特に最近ですと高速道路問題等においては、いわゆる都市部地方部利害対立があるわけでございます。こういった利害調整は、やはり国権の最高機関であります議会において、その国民代表である立法府の方でこれはやはり御議論をして調整し、やはり議決をするということで利害調整が図られておるということでございます。  一方、その経営改善というのは、これは外部統制を通じた経営改善というのもチャネルもあるわけでございますし、あるいは国民文化という点でいきますと、最近いろいろな地方で行っておりますように、行政住民との共同参加といった、公共事業方式もございますが、そういった住民参加によって予算削減を図ろう、あるいは効率化を図ろうという動きも当然チャネルとしてあるわけでございます。  こういった三つ機能が確保されることによって政府全体の業績向上し、そして政府業績を、国民がそれを見ることによって政府に対する信任なり信頼が形成される。この政府に対する信頼が低下いたしますと、当然、国民政治に対する参加でありますとか、あるいはいろいろな利害調整の場におけるその関与なり等がやはり問題を受けるわけでございます。これが、政府に対する信頼がプラスに働きますと、この全体のチャネルがうまい具合に機能いたしまして、それが更にアカウンタビリティー向上なり利害調整を活発にし、経営改善を図り、行政の全体のパフォーマンスを高めると、こういうふうなチャネルになるわけでございます。  したがいまして、ここで一番申し上げたい点は、2の(3)にございますとおり、そうは申しましても、今、富田参考人の方からお話がありましたとおり、やはり議会行政府関係を申し上げますと、やはり細かい予算執行の中身でありますとか、あるいは細かい政省令等につきましては、行政府の方がはるかに大きなスタッフも抱えておりますし、あるいは知識の点あるいは能力の点においても、当然その議会は優れておるわけでございますが、少数スタッフ調査局を抱えておられるだけであります。そういったことからいきますと、やはりその内部統制に対して外部統制が牽制を図る、あるいは的確な、サポートではなくてその監視をするという点からいきますと、行政府に対抗するようなやはり調査機関なりあるいは補助機関なりが必要であろうということであります。  会計検査院位置付けを憲法的にどうするかというのはいろいろ諸般のいろいろな、あるいはいろいろな御議論があるようでございますが、少なくとも機能面におきましては、議会調査局と同時に、内部統制に対する監視機能あるいは的確な外部統制を行うためにやはり会計検査院を活用するということが、内部統制に対する監視あるいは行政活動全般に対する統制において非常に重要であろうというふうに思っておるわけでございます。  次に、二ページ目の方に参らせていただきます。  先ほど富田参考人からもお話がございましたとおり、NPMのエッセンスにつきましては既に富田参考人も触れておられます。しかし、ここでは原理的な点を申し上げますと、ここに冒頭に書いてございますとおり、NPM原理というのは四つの原理から成り立っております。一つは成果志向であるということであります。二番目は顧客志向である、三番目は市場原理を活用することである、四番目は分権化ということで、なるべくその現場サイド裁量権を与えようということであります。  先ほどからの議論がありますとおり、成果志向にするということは、当然、投入管理でありますとか途中のプロセス管理については裁量性を与えるということでございますから、これは一面におきますと行政権に対しての裁量が増えるということで、議会統制が形骸化するのではないかというのが先ほど富田参考人お話でございました。確かにその面はあるわけでございますが、NPMを実行することによって立法府が一方的に行政府に対する統制権限がただ失われるだけかということからいきますと、それは必ずしもそうではないということを今申し上げたいと思います。  それは、NPMにおける議会統制在り方というのは、従来と違って、実は成果に対しても議会審議においてオーソライズをするということでございます。すなわち、従前予算書なりは、当然これは貨幣の金額の数値が入っている、いわゆる款項目、今もお話しございましたとおり、そういった一定科目名金額について統制するというそのことで、金額といわゆる投入財源についての統制であったわけであります。それが、議会審議NPM化というのは、これはもうオーストラリア連邦政府において一番端的な例でございますが、実は成果、最終的な成果であるアウトカムベースにおいて、実はアウトカム自身国会議決をしているわけでございます。そして、金額と同時にバインディングするということであります。  したがって、いわゆる行政権一定裁量権を与える代わり成果統制する。その代わり裁量権を与えるということは当然、効率化のメリットがあるわけでございますから、従前予算よりは少ない金額で多くの成果を達成せよというバインディング事前に掛けておくということになります。当然、事前バインディングを掛けているだけであれば、これは当然、議会統制というのは成りませんですから、当然これは事後的にこれをチェックするということで評価役割が高まってまいります。  しかし、これは行政府の一方的な評価だけではとても、これはそれだけ裁量権を与えたということとバランスが取れないわけでございますから、これは次の予算審議あるいはその成果に関する厳格なチェックということを議会においてもやるということで、先ほど申し上げました会計検査院機能もそこに活用しようというのが世界的な動きであるわけでございます。  先ほど、大蔵大臣なり国会の力が強い国は財政再建に非常に有効であるということのお話がございました。それはそのとおりだと思いますが、それとほぼ同様なポジションで、三ページ目の表の一というのをごらんいただきたいと思います。  これは、OECDのいわゆる有力国と称されておる国と、いわゆる発展途上国と申しますか、そういう国も包括して、いわゆるNPM的な改革に積極的に取り組んでいる国とそうでない国がいろいろな、先ほど申し上げました政治に対する信頼あるいは汚職の問題あるいは政府全体のガバナンス、さらには今議論になっております財政再建であります歳出の変化率、これはマイナスになるということはそれだけ削減しておるわけであります。  これをごらんいただきますと、おおむねでございますが、やはりNPM改革に積極的な国は明らかに歳出の変化率がマイナスでございますから、これは財政削減に成功しておるということでございます。  したがって、問題は、NPM議会統制とどうやってうまく接点を見いだすかということにあるわけでございまして、そこら辺の御議論が是非国会の方でもやっていただかないと、行政府の一方的な執行になると、これは大きな問題が起こるというのは富田参考人の御意見のとおりでございます。  こういったことを前提にいたしまして、最後に、改革に向けた取組について申し上げたいと思います。ここでは三点申し上げたいと思います。  一点は、決算審査の視点でございます。  ここで一番重要な点は、いわゆるNPM適用に伴います決算審査における評価内容予算への反映ということでございます。  現在の状況におきましては、行政府内部におきます、総務省なり財務省におきます評価予算への反映というのは行われておりますが、実はこれは議会できちんとやることが一番重要であろうと思います。とりわけ、平成十六年度予算から盛り込まれておりますモデル事業なり政策群というのは、これは大くくりの予算編成をしております。あるいは裁量性を認めるということでございますから、これは決算審査で是非きちんとチェックをするということが決算審査意義を高め、さらには次の予算へのフィードバックにもつながるのではないかと思っております。これが第一点でございます。  第二点は、財政当局との関係でございます。  国会におかれましても調査局等でいろいろな分析をおやりになっているということは承知しておりますが、とりわけ最近ですと、公会計改革等が財務省あるいは内閣府の方で実施されておられますが、実は一番重要な点が欠けておると思います。  それは、いわゆる公会計改革の中でいろいろな決算書類なり財務諸表を企業会計方式と称する方式で作成しておりますが、それはすべて実績数値だけであります。決して予算との対比がないわけであります。そうすると、国会議会統制並びに決算審査という点からいきますと、これは予算と比べてどうであるか、あるいは計画数値と比べてどうであるかといった公会計の書類が出てまいりませんと、行政内部のフィードバックとしてはいいのかもしれませんが、議会統制からいうと、これは大きな問題をはらんでいるというのが第二点目でございます。  第三点は、会計検査院との関係でございます。  現在、会計検査院はいろいろな改革に取り組んでおられますが、諸外国の会計検査院等を拝見いたしますと、これは特にオーストラリア等が参考になるかと思いますが、オーストラリアにおきましては、合同の決算監査委員会におきまして、単なる決算だけではなくて、予算改革につきましても積極的な勧告をしております。そして、その勧告の基になっておりますのが会計検査院の調査レポートということでございまして、とりわけ、その独立行政法人の運営等につきましてはNPM的な改革がなされておりますから、それが本当に真の効果を発揮しているのか、あるいは無駄な、かえっていろいろな上乗せ規制になっていないのかどうかということを是非御審議願いたいと思います。  以上でございます。
  9. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  以上で参考人意見陳述は終わりました。  これより、まず各会派一巡で五分ずつ質疑を行い、その後、自由質疑を行いたいと存じます。  それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 藤井基之

    ○藤井基之君 おはようございます。自由民主党の藤井基之でございます。  今日は、天候も優れない中、お二人の参考人から貴重な御意見を拝聴させていただきまして、ありがとうございました。これからの決算審議に対して参考にさせていただきたいと存じますが、二、三御質問をさせていただきたいと存じます。  両先生の御主張、あるいは事前に配付された資料等で私なりに理解をさせていただいておりましたが、一つ、私ども参議院のレーゾンデートルの一つというのがこの決算審査ということで決算というのを重視しているわけですが、両先生にまずお伺いしたいんですが、両先生とも中の文献等ではお触れになっているんですが、いわゆる決算審査というものというものが、まず会計的な審査、そしてそれに加えてやっぱり業務審査といいましょうか、それは実績の目標とかいろいろおっしゃられたこともあるので、この会計問題とその事業という、その評価という両方をどのようにセットにして考えるべきかということが一つ。  それからもう一つは、そういった決算審査した内容を国の次期予算に、直近の予算に反映するシステムとして、現在、確かに決算審査する際には、予算執行された後に決算審査しないという時間のずれがどうしても発生します。これは致し方ないと思いますけれども、こういった決算審査内容というものを次の直近の予算に反映するシステム的なもの、仕組みとしてこういった形がいいんじゃないかという何かアドバイスのようなものがございましたら、両参考人にお伺いしたいと思います。  以上、二つの点でございますけれども、お二方にお伺いしたいと存じます。
  11. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、まず富田参考人から御意見を承りたいと思います。
  12. 富田俊基

    参考人富田俊基君) まず、会計検査業務審査というものを両方を含めてやるかどうかということなんですが、会計的な点は会計検査院というところもやっているわけでして、私はやはり、国民期待として参議院にあるのはもっと大きな観点より、大きな問題がひょっとしたらあるんじゃないかということから活発な審議がなされることが大事だと思うんです。したがって、大きな問題の所在というのは、もちろんその業務も含めたことが入っているという意味でございます。  したがって、そうした大きな問題の有無という観点からの議論というのは、当然その次の予算編成のプロセスに反映されていくべきものだというふうに思うんです。来年度予算編成より非常にこの決算の報告が早期化いたしますので、十五年度のその実績というものを踏まえ、多様な、そこを足場として多様な議論が次年度予算編成に向けて喚起できるのではないかというふうに存じます。
  13. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、山本参考人お願いいたします。
  14. 山本清

    参考人山本清君) 第一点でございますが、決算と申しますのは、当然、行政活動を事後的にそれを貨幣で表現したものでございます。したがいまして、当然これは活動がその背景にあるわけでございますから、決算審査は決してその貨幣的な尺度であります会計でありますとか決算数値だけにとどまるものではないというふうに考えております。現に、そういうことで会計検査院決算の検査もやっておるというふうに私は理解しております。これが第一点でございます。  第二点の御質問は、非常にこれは重要な問題であるかと思います。これはただ、急激にはこれはシステム的に持っていくのは難しゅうございますから、まずはモデル事業というのがございますね。これは三年とか五年の間が期間があるわけでございますから、まさしく決算審査におきまして事前に、しかも議会でも通っておるわけでございますから、それが現実に目標を達成しているかどうか、あるいはコストを削減しているかどうかということで、大きな問題がある場合においては、これは見直しを行うといったことをやはり是非システム化していただきたいと思います。
  15. 藤井基之

    ○藤井基之君 ありがとうございました。  時間が限られておりますので、更問いといいましょうか、議論するのは控えたいと思います。  一点、一つだけ教えてください。  これは、富田先生の方なんですが、実は資料の中に「大蔵大臣の地位と債務残高」という表がございますが、これは私、出典に当たっていないので誠に申し訳ないんですが、この大蔵大臣のその権限の大きさ等というのは一体、非常に簡単に言うとどんなことでこれは比較裁量されたのか、そこだけ教えてください。
  16. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 大蔵大臣の地位とここで書いておりますのは、ボン大学のフォン・ハーゲン先生が実証研究なさったものを引用させてもらったんですけれども、例えば閣議の中において大蔵大臣が他の支出大臣の要求に対してノーと言える拒否権を持つかどうかといったこと、それから予算編成の過程においてその交渉をマルチ、多人数を相手にやるか、バイでやるかとか、あとはさらに沿革的なものでして、イギリスの場合ですと第一大蔵大臣というのは首相なわけですね、大蔵大臣は閣僚の中ではそれに次ぐ地位を歴史的にも確立しているといった点。  それから、予算の編成プロセスが開放的か否か。これは我が国は非常に開放的でして、非常に他国と違うわけですけれども、開放的なゆえにいい面もあるんですけれども、このフォン・ハーゲン先生のその定義では、やはりそこにいろんな要求が噴出してたくさん出てくるということで、日本をそれに当てはめれば低くなる等々の項目から形成されておりまして、各国、議院内閣制を取っているヨーロッパの国々について計測した結果がお示しした内容だということでございます。
  17. 松井孝治

    ○松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。  今日は両参考人、本当に朝から貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。  富田参考人がおっしゃったニューパブリックマネジメントの問題点というのは、私が理解するところでは、官僚行政府内でのニューパブリックマネジメントの運動が起こっているわけですが、それに対してきちんと議会統制あるいは政治統制が働かない前提の下でニューパブリックマネジメントが陥りがちな問題点を特に御指摘をされているものと私は理解をさせていただきました。  そういう意味では、この参議院決算委員会を中心として議会が、あるいは内閣の中での政治統制、今おっしゃった大蔵大臣機能というのはそういうことだと思いますが、その政治統制をいかに働かせていくかがニューパブリックマネジメントを仮に今後進めていくに当たっては非常に重要な論点であろうかと思います。  そこで、両参考人に二点についてお伺いしたいと思います。  まず一つは、国会におきましては決算の取扱いにつきまして従来から長い論争がありまして、それは憲法に規定する決算位置付けですが、報告説というものと議案説というものがある。従来はどちらかというと報告説的な運用がなされていて、政府は衆議院、参議院それぞれに決算を報告している、そして各議院は必ずしもそれを同一議会内で処理せずに、それを審議未了の場合は次の国会に送るというような形で長く運営してきたという点があろうと思います。  この政治統制議会統制を強化しなければいけないというのが両参考人の共通の御意見でございましたが、この憲法の位置付けも含めまして、両参考人は法律家ではいらっしゃらないわけですから、必ずしも憲法論を伺いたいわけではありませんが、もう少しこの決算審査在り方を報告説ではなくて議案説的運用、要するに国会として憲法についてきちんと議論をし、議決をしなければ予算の審議に移れないような何らかの制度改正、あるいはその制度運用をきっちり見直していく必要があるのではないか。これは今、我々も決算在り方を今後議論する上で両参考人の御意見を伺いたいと思います。  二点目につきましては、これはやはり、先ほど山本参考人が、行政府議会側に情報の非対称性がある、要するに行政府の方が圧倒的に量の多い情報、あるいは内容的にも詳細な、なおかつ加工しない情報を持っているという非対称性があって、どうしても議会のコントロールが弱くなるというふうにおっしゃいました。両参考人とも、単なる決算の経理上のチェックではなくて、政策在り方を含めてチェックするのがこの議会機能であるというふうにもおっしゃいました。  その上で、この参議院、あるいはまあ国会と言い換えてもいいかもしれませんが、行政府に負けないだけのいろんな政策の分析評価能力を本当に今持っているとお考えなのかどうか。さらに、議会決算への統制を強めていく、あるいは政策評価することについての統制を強めていく必要があるとした場合に、現行会計検査院機能を移管するのか、あるいはそれとはまた異質な機能行政府にきちんと位置付けるべきではないか。特に今後、参議院改革の一環でも、参議院あるいは国会政策評価機能あるいは広い意味での決算機能というものを常設機関として位置付けるべきではないかと考えますが、この点についての両参考人の御意見を求めたいと思います。
  18. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、まず山本参考人からお願いをいたします。
  19. 山本清

    参考人山本清君) 決算に対する報告案、報告説あるいは議案説ということの前に、いわゆるNPMというのを前提にすれば、これは事前統制から事後統制ということで、事前統制というのはどういうことかといいますと、予算的に見ればどういった内容、どういった目的にどれだけの金額歳出していいのかということを充てるだけでありますから、これはある意味においては、それだけの金が投入されれば事前統制で済むという側面があるわけでございますね。  ところが、もし事後統制でこういった成果目標を達成することを所与として、これだけの予算を割り当てますということであれば、これは事前にそれだけの金が投入されたかと思っては、決して議会統制は終わらないわけですね。そして、それはいわゆる予算委員会においては決してそのことはチェックできないわけであります。そうしますと、どうしても決算委員会予算委員会のリンケージということを考えませんと、そういった成果主義の予算編成は回っていかないわけでございますから、いずれにいたしましても、憲法の両説ということは別にいたしまして、もし政府全体がそういった事後統制的なメカニズムを導入するということであれば、国会における決算委員会役割というのはおのずと変わってくるんだというのは第一点に対する私の答えであります。  第二点の検査院のポジションをどうするかと。これは非常に微妙な政治的な問題であろうかと思いますが、いずれにいたしましても、重要なことは、検査院をもっと国会は積極的に活用する必要があるだろうと。それは別に、検査院を政治的な中立性からもっと政治的な役割を果たせということではなくて、もう少し、ああいうミクロ的なアプローチじゃなくて、もう少しマクロ的なアプローチ、とりわけ、例えば内閣府の作成する予算の見積りでありますとか中期の財政見通し等についてのデータの信頼性のチェックをすると。これは決して、数字自身の客観性を担保するということですから、これはイギリスの会計検査院もやっておるわけでございますから、そういったアプローチでやはり実質的な意味の国会のサポート的な機能は充実していくべきだろうというふうに考えております。
  20. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 富田参考人お願いいたします。
  21. 富田俊基

    参考人富田俊基君) まず、決算と申しますものは国会で決めた予算の事後的な姿なわけでして、それを認める認めないといっても、先に決めたことまで含めて認める認めないという議論はできないわけでして、議論ができるとすれば、予算で決めた、つまり民主主義の過程で、民主主義決定した内容についてきちんと執行されているかどうかということがやはり決算として議論されるべきことでありまして、私は基本的には報告という形しか取り得ないんではないかと。つまり、一度決めてやったことをまたすべてひっくり返すということはちょっと現実としては非常に考えにくい。  ただし、先生、松井先生御指摘のように、決算審査というのは極めて重要であって、それをその次の、その審査の結果をやはり次の予算につなげていく、それは重要な問題だと思うんですね。その際に、やはり決算審査において国民が非常に重要だと思う内容についての指摘があれば、必ずや健全な民主主義であればそれが次年度予算編成につながり、修正されていくというプロセスを踏んでいくものだというふうに思います。  そして、二番目の会計検査院機能参議院機能との御指摘、お話なんですけれども、私は、組織が移れば物事が、改革が進むというものではなくて、やはり現状において検査院の報告というものをやはりいかにこの参議院審査において積極的にその活用をし、そしてそれを次年度予算につなげるようにするかと。  さらに、申し上げますと、この決算審査がやはり国民的に、この予算の問題に対して国民的な関心を更に更に強めていくという機能を果たすことは基本的な課題だというふうに存じます。
  22. 松井孝治

    ○松井孝治君 ありがとうございました。
  23. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 両参考人、今日は貴重な意見をありがとうございました。  特に、お聞きしていて、このニューパブリックマネジメントNPMのとらえ方について、問題点から指摘される富田参考人と、これを機会にどうこれを新たなものとしてとらえるかという山本参考人、立場の違いもあって非常に有意義に聞かせていただきました。  逆に、このNPMが進めば進むほど、ある意味では参議院が今決算重視してやっていることの意味合いがより大きくなるんではないかなと。その意味では、参議院がこの一年、二年、決算重視しながらやってきたことの意味というのがより大きくなるんではないかというようなことも感じながらお二人の意見を聞いておりました。  そこで、両参考人にお尋ねしたいことのまず一点目は、富田参考人にお伺いしたいのは、これからそういうふうにニューパブリックマネジメントが進んでいく中で、言わば予算執行結果の評価をより実効性あるものにするためには、今のこの予算書決算書含め、財政システム、やはり改善すべきものがあるのか、ここはこう変えていくべきだという御意見があれば、是非それを富田参考人からお伺いしておきたいと、このように思っております。  そして、山本参考人からは、山本参考人、論文の中で、評価制度とか企業会計的手法を積極的に導入しても必ずしも財政効率化にはつながらないというような御指摘をなさっていたような論文をお読みしたと思います。これちょっと、その主な原因は何なのか、その辺も含めて財政効率化という問題と決算という問題、どういうふうに考えていけばいいのかという点をそれぞれお伺いしたいと思います。
  24. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) まず、富田参考人お願いをいたします。
  25. 富田俊基

    参考人富田俊基君) まず、財政システムとして改善すべきものという御指摘だったわけですが、私はシステムを変えたからといって良くなるものではなしに、やはり基本的には、現在行っております政府主要事務事業をやはり一つずつ見直していくということが重要だろうというふうに思うんです。何かこう、箱を変えれば良くなるというふうには思いません。  もし日本に問題があるとすれば、先ほどヨーロッパの通貨統合に際しての重要な課題であった大蔵大臣権限ということと密接にかかわっておりまして、結局、各府省背景に巨大な、非常に強力な既得権益を持つ集団、利害関係集団があるのに対して、大蔵大臣というのは、どこの国でも将来世代の投票権を持っていない人しか背景にいないわけなんですね。で、どうしてもその既得権益を持つ各支出庁の権限の方が政治的に強くなってしまう。そういうことがあったんで、歴史的にそういう事象を、ずっとヨーロッパの議会制民主主義を確立する過程でそういう経験を踏まえて大蔵大臣の地位というのを高く、強く、強いものにしている。それによって予算制約が掛かって効率化が進むというふうに、それが私は民主主義の発展の歴史であったというふうに思うわけです。  そういう意味で、その改革すべきことは、より事前統制を、予算制約を厳しくするということが大事であって、どうもいろんな改革というのは、改革に名をかりて、それを緩くして、この巨額財政赤字を容認するための言い訳を何か片仮名で、NPMとかいう片仮名で求めようとしているというふうにすら見えるわけでして、私は、そういう意味で、厳しい事前統制と、国会による厳しい事前統制国会による厳しい決算審査というものが重要であって、システムの議論ではないように私は存じます。
  26. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、山本参考人お願いいたします。
  27. 山本清

    参考人山本清君) 今の富田参考人お話とも関連がいたしますので、まずその点申し上げたいと思いますが、NPMというのは決して緩める、いわゆる行政府に弾力性を与えるだけのものではないんですね。ところが、なぜ問題が起こってきているかと申しますと、これは富田先生のお言葉を言えば官僚特区と表現されておられますが、日本におきます行政府NPMのとらまえ方は、いわゆるその行政裁量を増やすことのみをもってNPMだと、こうお考えになっているから問題であるわけであります。  実はNPMというのは、行政なり行政活動裁量性を与える代わりに、その見返りに、成果の達成責任、成果に対するアカウンタビリティーを、これをきちんと担保すると。従前は、正しく予算に従って手続どおり使われていたかどうかというだけのアカウンタビリティーだったわけですね。ところが、これからは、その代わり成果については、あるいは結果についてはきちんと行政府は責任を取ってくださいよと、その代わり裁量を与え効率性を上げてくださいと、こういう約束なんですね。そういう二つのものがセットになっているんですが、実はその二つが全く片方の都合のいいだけの論理で片方ずつ主張されている、これが日本におけるNPMの最大の問題点であるわけであります。  それを前提にいたしまして、なぜその評価システムとか企業会計的手法が日本においてただ導入しても成功しないのかというのは、実は三点の理由があります。  第一点は、いわゆる、確かに行政裁量性を与えないけないわけなんですが、実は現行の財政法会計法あるいは地方財政法等は全くそれについては手を付けられておられないわけですね。すなわち、行政庁にとっては、新たに評価作業を行わないけない、あるいは企業会計方式の財務諸表を作らないけないということで、オーバーワークだけになっているわけです。すなわち、上乗せ規制になっていますから、都合のいいところだけが裁量権を与えられているということで、これでは機能しないというのが第一点であります。  第二点は、いわゆるインセンティブシステムとして機能していない。これは、端的な例は地方自治体にあるわけですね。地方自治体が財政再建で、あるいは財政効率化をやろうとしても、いわゆる借金をしても一部は依然として地方交付税で一定部分は担保されるということですから、これは財政効率化に対するインセンティブがわかないわけです。私の分析によりましても、むしろ、企業会計的手法であるとかあるいは評価システムにおいて熱心な自治体というのはむしろ財政的にいいところなんですね。全く逆なんです。ここはよく御理解いただきたい。  第三点は、予算へのフィードバックということが全くこれはまだ、特に国の場合でいきますと、総務省と財務省との関係で全くうまくいっていないわけですね。そうであれば、評価やってどうなるかも分からないのにこれは大変なことだろうというのが、この評価、資源配分への予算結果のフィードバックが全くシステム化なっていないし、どうやったらいいかということについての技術的な手法も確立していない。  この大きな三点が実は大きな問題であるわけです。  ですから、これは駄目だと言っているんじゃなくて、この三つをクリアすればどんと進みますよと、これに従った議会統制をよくお考えいただきたいというのが私からのお話です。
  28. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ありがとうございました。
  29. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。今日は御多忙の中、参考人としてお越しいただき、また貴重な御意見をお寄せいただきまして、本当にありがとうございます。  両参考人に二つの点でお聞きをいたします。  一つは、国会機能として、特に決算委員会役割がそうだと思うんですけれども、国の予算がどう使われているか、税金の無駄遣いや不正な支出はないか、特権的、政治的な意図からの出費はないかなどを審査をして国民に知らせることが重要だというふうに思うわけです。こうした国会機能政府は尊重して、次の予算編成に反映させることだと思いますけれども、これを強めるという点で両参考人の御意見を一点お伺いしたいというふうに思います。  二つ目は、一点目とかかわるのですけれども、三年前、国会審議を機に内閣官房報償費の使い方が大問題となりました。官房機密費の現金出納簿から、国会議員のせんべつ代やパーティー券など私的な出費が明らかになりました。また、今、大問題になっています北海道警察の報償費、裏金作り疑惑では、そのお金が警察幹部のポケットマネーになったりせんべつ代になるなど不正に使われていることが明るみになってきています。  こうした不正を徹底的に解明し、根絶方策を示して、次の予算編成では不正な支出は減額するなどの仕組みが必要だと思いますが、この点について両参考人の御意見をお伺いしたいというふうに思います。
  30. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、先に山本参考人からお願いをいたします。
  31. 山本清

    参考人山本清君) レジュメの二ページ並びに三ページ目をごらんいただきたいと思いますが、そういった不祥事なり不正事項というのがいわゆる、もういわゆる政治に対する信頼を失墜するようなものであるかどうかというのが、やはりこれが一番のポイントだろうと思います。そして、それが政治に対する信任を大きく揺るがすということであれば、まさしく、レジュメの三ページの一番、図の二に書いてございますとおり、不正監視への圧力ということをやはり決算委員会としても重点項目として盛り込むべきであると思います。  したがって、これは、やはりその不祥事なり不正事項のやはり内容、そして政治に対する信頼に対する影響度合いによって、やはり業績改善へのファクターを強めるか、あるいは不正監視への圧力を強めるか、これは決算委員会でお決めになることだというふうに考えております。
  32. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 富田参考人お願いします。
  33. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 私も、今、山本参考人が御指摘になった内容とほぼ同じでして、この不正、不祥事といったことについてのやはり世論全体の見方といったもの、そういったものがこの次の予算編成にかかわって影響を及ぼし得るものだというふうに存じます。
  34. 小林美恵子

    小林美恵子君 ありがとうございました。
  35. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  両参考人には、今日、本日は本当にありがとうございました。  時間の関係で、富田先生に二点お伺いをしたいと思います。  今日の御意見でも、あるいは事前にいただきました著作でも、先生は、複数年度化は戦前の軍事予算と同じ仕組み、民主主義否定だ、だから新憲法がこれを禁じたんだと、こういうふうに御指摘なさっております。大変貴重な観点だとお伺いをいたしました。  その上で富田先生は、実態として複数年度化に似ているのが明許繰越しだと指摘をされておりますね。その繰越明許が額でも率でも多いのがこの実は公共事業でありまして、例えば平成十四年度決算の道路特会では二七%にも上りますし、治水特会のうちの治水勘定、これについては三二%にも上る、こういう状況にあるわけですが、そこで、この改善方法、あるいはもう少し大上段に言うと、官僚独裁を防ぎ、憲法に沿って民主的な予算決算、そして議会国民監視在り方についてもう少し御指摘いただく点がありましたら、これをまず第一点としてお伺いをしたいと思います。  二つ目に、そのこととも絡みますが、富田先生は財政議会の特別会計小委員会でも委員長として御活躍をいただいたというふうにお伺いしておりますが、例えば原発絡みの電源開発特別会計も巨額の使い残しをため込んで会計検査院が前から厳しく指摘をしていますし、私もこの決算委員会で何度もこの問題を追及してまいりました。先生がこの小委員会のところでとどめを刺していただいて改革が始まっておるというふうに思いますけれども、この特別会計、全体的に見ますと、さきの塩川財務大臣が、一般会計は母屋でおかゆをすすっているけれども、特別会計はつまり離れですき焼きを食ってドンチャン騒ぎしていると、こう言って有名になりましたが、富田先生はこれをもじって、地下室でビフテキを食べているというふうに御指摘をなさったようですけれども、これは独立行政法人のことも含めておっしゃっているんだと思いますが、この原資を出すこの特別会計そのものについて、先生の改革論ございましたら簡潔にお述べいただきたいと思っています。  以上です。
  36. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 最初のその繰越しの問題でありますけれども、公共事業費は単年度で事業が終わるかどうかという問題もあって、非常に限定的に行われているというふうに理解しておりますが、先生御指摘のようなケースになっておりますので、これはやはり公共事業については、とりわけその事前評価としても費用便益分析を行うなどして、できるだけ効率的な箇所を選定して行うということが大事だろうというふうに存じます。基本的にこの繰越しが前提になった仕組みではないというふうに私は理解しておりますので、そういう範囲内での繰越しだというふうに、またそういう範囲内に繰越しをとどめねばならないというふうに存じます。  それから、特別会計の問題ですけれども、特別会計の仕組みそのものに問題があるかどうかというよりも、これまでやはりその事前統制も一般会計に国民の耳目が集まり、国会でも集中的に議論がなされるということでしたので、ちょっとコントロールが利きにくかった面があったかと思います。しかし、特別会計そのものを変えれば良くなるかということでもないように私は思います。やはり、議会におけますその事前統制と、それから先生御指摘のような決算審査における問題点の指摘ということを行っていくことが特別会計の問題においても極めて重要だというふうに存じます。  やはり問題点の発見の手段としては、巨額の不用額とそして繰越額といったものから、それが果たしてそういう仕組みがいいのかどうかといったところから議論を始めるというのは極めて重要な点であり、先生御指摘のその電源開発促進の特別会計といったところを集中的にやはり議論させていただいたという次第でございます。
  37. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  今日は大変有意義お話をいろいろありがとうございました。今までいろんな難しいといいますか、議論が交差されておりますので、あるいはもう既に質問あるいは御回答になっているかもしれませんけれども、私自身ではまだ理解、私自身なりの理解ができないところがございますので、ちょっとお尋ねしたいと思うんですが。  決算重視というのは、これは今御存じのとおり大変参議院の中で進んでおりまして、それは私なりに分析しますと、一つは次々年度ですかね、決算、次々年度予算に反映されるという、そういうスケジュールに向かってのルール化といいますか、それが一つあると思うんですが、これは今年の予算委員会の冒頭で決算委員会やった。確かに、平成十六年予算には反映しているという、言えないこともないんですけれども、本来あるべきであれば、やはり編成前にそうあるべきでないかなという思いがいたしますし、そういうことはそういうルール化についても、皆さん関心持って進めておられる。これは一つの大きなことであると同時に、閣僚が全員出席してテレビで放映するなどの国民的な関心を非常に高めている、今ですね、そういうことがあろうと思うんですが。私はもう一つ、やはり何といいますか、決算に対する責任を明らかにするといいますか、これ、今までのお話でもあるいはあると思うんですけれども、先生方事後評価厳格化というようなことで言われておりましたが、これにつきましても、御存じのとおり憲法ができた直後ですかね、金森大臣、あるいは昭和四十年代に佐藤総理は、決算が否決されたらこれはもう内閣総辞職ものだというような発言をされていますよね、議事録なんかに残っているわけですが。  それが、実際に決算が否決されたときになりましたら、海部大臣のころですかね、そのころからもう予算に反映するんだというようなふうに変わってきたように私は見受けているんですが、先日、たしか広野議員が小泉総理に御質問されたときも、小泉総理も予算に反映するんだというような回答をされたと思うんですが、私、そういう内閣総辞職というようなことまでは考えてはいないんですけれども、何らかの格好で責任を、まあ追及すると言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、責任を明らかにしてしかるべき措置を取るということがやはり決算重視するということの一つの大きな力になるんじゃないかと。  予算に反映するというと、こんなこと言っちゃあれですけれども、反映しているんだと言えばしているでしょうし、余りはっきりしないような面もあるような気がいたしまして、そういう意味で、結局、今、事後評価といいますか会計検査院やっておられますけれども、これはやはり会計法あるいは現行法規の範囲の中ですよね。それと、刑法上の問題があればこれはやっぱりそちらが動いていく。  それ以外にもう一つ、これ何て表現したらいいか分かりませんが、やっぱり社会的妥当性といいますか国民的妥当性といいますか、そういうものをやっぱりこの立法の府ですね、立法の府という位置付けを踏まえて何かやる必要があるんじゃないかと。それによって、毎回毎回責任追及するなんということは必要ないかもしれませんけれども、場合によっては予算についても、その予算が適正だったかどうかというところまでこう踏み込んでいくような決算が必要ではないかと。あるいは、予算に反映するというだけではどうも済まないようなものもかなりあるわけですよね。  先般、我々が視察したスパウザ小田原ですか、いわゆる四百五十億のものが十六億の評価でいくというような、じゃそれはだれがやったのか、あれは恐らくその辺の責任の所在、これは罰するとかどうかじゃなくて、そういうものがどうなるかということが、どうしなきゃいけないかということがはっきりしないと、やっぱり国民そのものが納得しないんだと思うんですね。  そういうところまで踏み込んだ責任の追及といいますか、そういうことが私は決算がもう一つこの先やるべきことじゃないかと常々思っているんですが、これ、参考人先生方の御意見、もしお聞かせ願えたら有り難いと思います。
  38. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、山本参考人お願いいたします。
  39. 山本清

    参考人山本清君) レジュメに書いてありますとおり、第一の義務というのは行政アカウンタビリティーの解除なり確保であろうということは当然であると思いますが、なぜ、じゃ決算審査なり決算委員会が余りうまくいかないのかという点は、事前統制な枠組みの方式がやはり変わる必要があると思います。  これは端的に地方議会において現在、今生じておることでございまして、実は、冒頭申し上げましたとおり、現行予算というのは金額と科目だけの統制であるわけですね。ところが、それをもし評価システムなりあるいは予算成果主義にやれば、これは、成果はこういうものを目指しています、あるいはアウトプットとしてこういう量と質なりこれぐらいの金額を掛けますということを明示し、そしてそれが議会にかかってくるわけですね。そうすると、議会予算審議あるいは決算審議も、そういった定量化なったアウトカムなりアウトプットなりコストが正しかったかどうかと、こういう議論地方議会は徐々に変わってきているわけですね。  そうすると、単なる責任論というのはこれは非常に抽象的なものになりますから、先ほど議論がありましたような不祥事とか不正事項であるとか、あるいは明らかに問題があるということについては責任の追及できるんですが、大きく財政全般について事後的な統制を図るという点においては、これは事前統制の枠組みをやはり変えていくのが一番決算委員会活動もより活発になるのではないかというふうに考えております。
  40. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 富田参考人お願いいたします。
  41. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 私は、今、山本参考人が指摘なさったのとはこれまでの議論聞いてきてよく違いは分かったんですけれども、私は、決算審査をこれまで以上に重視するということは極めて重要ですけれども、それでもって事前統制を緩くするというのは、これ以上緩くしたら大変だということなんですね。だから、ともに強化することが重要だということを申し上げたいわけです。  それから、先生御指摘の予算が適正だったかどうかを含めて決算審査すべきだということなんですが、私は、極めて狭義にとらえれば、予算国会で決まってそれがきちんと執行されたかどうかというのが決算審査ですが、先ほども御指摘させていただきましたけれども、それだけではなしに、やはりより広く社会的な、社会の変動と申しますか社会の価値観の変化といったものも踏まえて、厳しく、先ほど御指摘になられた具体例といったものも踏まえて、やはりこの決算審査の場において強く訴えていくということが必ずやその次の予算編成に大きな影響を与えるというふうに思います。  したがいまして、これ、先ほども御指摘のあった許諾を決すべきかどうかという問題について、私は先に民主主義で決めたものを後でそれは違うと言ったところで建設的な感じを受けません。したがって、ここでやはり前向きに次年度予算編成に反映させるということは、やっぱりそれだけ国民が関心の強い領域について真摯な議論、積極的な議論がなされることが重要だというふうに存じます。
  42. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 ありがとうございました。
  43. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 以上で各会派の質疑が一巡をいたしました。  これより正午まで自由質疑を行いたいと存じます。  質疑のある方は挙手をお願いいたします。  ちょっとそのままで、ちょっと挙げておいてください。ちょっと待っていてくださいね。はい、どうぞ下ろしてください。それでは、御発言をされた方以外の先生方ばかりですね。それでは、遠山委員からどうぞ御発言ください。
  44. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山でございます。  私、二点にわたってお伺いをしたいと思いますけれども、一点目は富田参考人にお伺いしますが、先ほどもちょっと出ましたけれども、特別会計の問題でございます。  富田参考人が今まで書かれた中で、かなり特別会計の問題について辛らつにお書きになっているものがございましたけれども、一部引用しますと、一般会計よりも国民全体の視点からのガバナンスが緩く、国民の全体便益よりも部分便益が優先され、各省庁の既得権益の温床と化しているのではないかというような御指摘がございます。  最近、国会におきましてもこの特別会計の問題が大きくクローズアップされているわけでありますが、富田参考人は今日の陳述でも、これを解決する一つの方向性として、やはり財務大臣大蔵大臣権限強化をして、それぞれの省庁からなるべく個別の予算を取り上げて大蔵大臣の下に集約することがいいのではないかというお考えだというふうに思いますけれども、他方で、日本においては道路であるとかあるいは年金、それから雇用対策、それぞれの分野においてやはりある程度特定の目的に使わなければいけない予算、必要じゃないかというお考えをお持ちの方も多数おられるというふうに思っております。その辺の整合性も含めて御意見をいただきたいと思います。  それから、山本参考人にはアカウンタビリティーの問題についてなんですけれども、よく決算委員会等で不正というか不適正な予算の使われ方があったんではないかというときに、この責任の所在の明確化ということが論点になることがございます。  私、個人的には、これはアカウンタビリティーの問題を追及したときに、幾つかのやはり要素に分けられると思うんですね。一つがシステムとして構造的欠陥があって、その結果不適正な処理が行われたと。また、もう一つは、予算執行の責任者の資質の問題があったという場合があるというふうに思っております。  ただ、このシステムとしての問題あるいは予算執行責任者の問題等を仮に追及したとしても、その後に、一口に予算の反映と言っても、特に構造的欠陥の場合は抜本改革が必要になりますので、この短い期間の中で次年度予算でそれを実現するってなかなか難しいというふうに思います。  それからもう一つは、責任者の資質の問題にしても、日本の官僚機構の場合はかなり頻繁に責任者が替わりますので、それを個別に追及することにそもそも意味があるのかという議論もございますので、是非御所見をお伺いしたいと思います。
  45. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、まず、富田参考人からお願いいたします。
  46. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 特別会計の問題ということですが、恐らくそれが、各特別会計とも、できたときは非常に少ない財源で、を何とか確保して何か事業をやろうということだったと思うんですけれども、大きな時代の変化とともに、歳出入のアンバランスがやっぱり生じてきていると思うんですね。それがやはり問題の背景にある。  そういう意味で、やはり定期的なその見直しということが立法府においてもなされる必要があろうと思うんです。それがないんでと言ったら先生方にしかられますけれども、審議会でやらしていただいたということなんですね。  私が大蔵大臣権限を強くしろと言っているのは、形式的に権限を強くすることが大事じゃなしに、やはり全体、国民全体の視点に立って、納税者の視点に立って財政運営を考える、それを責任持つ人は政府の中では大蔵大臣なわけですね。その歳出入両面の責任を持つ大臣がやはり強い権限を持っていませんと、赤字が拡大するということを申し上げたわけです。  それとともに、この部分便益を主張するというのは、これは民主主義にとって当然必要不可欠なことなんです。ただ、それが全体便益とのバランスでもって行われるべきであって、そのバランスを図るために、歴史的に見ても、歳出入全体を責任を持って統括する大蔵大臣の地位というのが高くなっているというのは、民主主義のその歴史の示すところだというふうに申し上げたわけです。  歴史歴史と申し上げると抽象的ですんで、一言申し上げますと、実に一七八〇年のことなんですけれども、イギリスでエドモンド・バークが、各省や各部局があたかも独立した帝国のように振る舞っており、大蔵大臣が国庫全体を統括できないことが巨額財政赤字官僚腐敗の原因であるというふうに指摘しまして、先ほど先生おっしゃいましたように、特別会計よりも全体を一般会計で見れるようにというのが、この実に一七八〇年のイギリスで起こったことです。  そういう意味で、我が国、後ればせの民主主義だったかもしれませんが、それで議会統制と、全体を統制していくということが大事なわけです。  個別便益の噴出も大事ですが、が活発に出てくることも大事ですが、それが全体便益の間でいかにバランスが取れるかと。つまり財政赤字を抑制する中で、もっと言えば、極端に申し上げますと、均衡財政の中でそれぞれ個別便益が噴出していくというのが民主主義の一つの在り方であろうかというふうに存じます。
  47. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、山本参考人お願いいたします。
  48. 山本清

    参考人山本清君) まず、アカウンタビリティーという概念自身の問題というのはかなり議論があるところでございまして、日本においては説明責任というふうに訳されておりますが、もう少しアカウンタビリティーの根本的な概念からさかのぼりますと、やはりこれは結果についての責任でございますから、懲罰が伴うという意味合いで非常に重い責任であるわけであります。  例えば、元々例えば出に対して会計記録等を付けさして、それについて執事がアカウンタビリティーを負うということは、その記載内容にもし誤りが、重大な誤りがあった場合については、ちょっと言葉はきついんですが首になるというような大きなきつい責任を伴ったものが本来のアカウンタビリティーということでございまして、決して事後的にその原因なり結果について説明を終えれば、それでアカウンタビリティーを確保したということには決してならないという点をまず最初に申し上げさせていただきたいと思います。  そういったことを前提にいたしまして、さらにはアカウンタビリティーという概念自身が一種の三層構造を成しておりまして、第一は当然、大臣等に係ります政治的なアカウンタビリティーという概念が一番トップに参っております。そして二番目には法的なアカウンタビリティーというのが次に来まして、そして三番には主として官僚機構が担います官的なアカウンタビリティーという概念があろうかと思います。  そして、そのシステムとしての欠陥と資質の問題、この二つの問題があるのではないかという御指摘でございますが、これは確かにそのとおりでございますが、まず、こういった問題を諸外国等はどうやってさあ切り抜けてアカウンタビリティー向上を果たしているのかという点につきまして、少しまず申し上げさせていただきたいと思います。  実は、日本においては官僚機構がまずどこまでの責任を負っているかということ自身が非常にあいまいなわけでございまして、諸外国においてはまず大臣と次官の関係はまず明確にしようじゃないかというところからスタートしております。すなわち、次官としての業務、そして次官として達成すべき範囲なり責任はどの程度であるかということを、やはり一種の契約的な概念を導入しておりますし、あるいは次官以降、局長あるいは課長に至るまで、一種のサービスのアグリーメント的な発想というのが成っております。そしてさらには、先ほど来議論になっておりますような財務大臣と各省大臣等が、これはまた財務に関する以外のサービスについての質とか量につきましても一種のアグリーメント的な内容バインディングをするということが当然前提になっております。  したがいまして、先ほど来からやや誤解もあるわけでございますが、決してNPM弾力化するんではなくて、こういったマクロ的なあるいは大きなレベルの意味のアグリーメントできちんと政治的にも縛りを掛けるということは当然大前提にしておるということは御理解を賜りたいと思います。  したがって、実は日本においては大臣と次官の関係というのが、時々物騒な人事権の話がございますが、そういったことが時々問題になるだけでございまして、具体的に大臣と次官の関係だけで一種の契約的な内容を盛り込んだような発想というのは実は出てきてないわけですね。そういう状況においては、資質の問題であろうとかシステムの欠陥という問題自身が非常にあいまいで、責任追及が非常に困難になってまいります。そこが第一点でございます。  そして、資質の問題で特に議論になりますのは、非常に担当者が二、三年で替わるのではないかということの御質問がございました。これはまさしくそのとおりでありまして、実は、人事考課なり人事評価予算、あるいは組織評価ということを考える場合の一番大きな問題であります。これは、独立行政法人の長の業績評価についても同じことでございまして、実は、最終的な、アウトカムと称しておりますような最終的な行政成果目的、例えば寝たきり老人をどれぐらい減らすであるとか、何%減らすであるとか、あるいは国民のがんによる死亡率をどれぐらい減らすであるとか、そういった最終的な大きなアウトカムベースにおいての責任追及というのはこれは非常に難しゅうございます。  したがいまして、組織業績あるいは個人業績、そして予算とのリンケージということを考える場合におきましては、これはアウトプットの質とか量でやはりバインディングを掛けていく、あるいは責任を追及していくというシステムを同時に導入いたしませんと、これは特に公務員における人事の業績主義というのはうまく機能しないというのが資質の問題で言えるかと思います。  そして、システムの欠陥を直すには時間が掛かるのではないかと、これは御指摘のとおりでございます。ただ、そのシステムの欠陥を補正するのが法的なレベルなのか、あるいは管理的なレベルの問題であるかによってこれはやはり時間のタイムラグというのは変わってくるわけであります。しかし、国権の最高機関でございますから、そのシステムとしての欠陥が非常に重大な問題がある場合については、これはやはり迅速に是非おやりいただきたいと思うわけでございます。  以上でございます。
  49. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 民主党の和田ひろ子でございます。  先ほど松井議員の質問の中で、報告で、決算の報告だけでいいんではないかというふうに富田先生がおっしゃったような気がしますが、実はいろんな今までの不祥事とか、そういうものは報告だけに終わってしまったための不祥事ではなかったかというふうに思います。次の予算に反映するためにはやはり国会がきちんと議論をすべきだというふうに思いますので、そのことをお尋ねしたいと思います。  また、もう一つは、多年度予算、単年度予算なんですが、私は地方の議員をしていました。地方で一番、地方といっても福島県です。大変雪の深いところでございます。予算が本当に回ってくるのは雪の深い今ごろになって、今道路が大変掘り起こされています。まず雪を片して、それで何かしなくてはいけないというような、そういう下で、この単年度予算というのが一番問題じゃないかなというふうに、いつでもいつでももっと予算を平準化してほしいとかそういう、みんな地方の要望だというふうに思います。先生は何か我が国の戦前の軍国予算と同様のなんというふうに、聞いて私まずびっくりしたんですが、そんなことではなしに、もっと地方の事情を考えた多年度予算というのがあってもいいんじゃないかなというふうにずっと思っていましたので、そのことをお尋ねしたいと思います。  そして、単年度予算だと、例えば、何か変な言い方なんですが、予算が余ったからこれを何かに使わなくちゃいけないとか、この予算をゼロにしないと次の予算のときにまた減らされてしまうなんという、そんな変なことも横行しているようなことが事実なんですよね。そういうことを思えば、もっと多年度予算をきちんとやっていけば、こんな帳じり合わせて使っちゃうなんということが起こらないんじゃないかなというふうに思いますので、その二点についてお尋ねをいたします。
  50. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 富田参考人お願いいたします。
  51. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 和田先生の御指摘ですね、第一に、報告だけでいいということではなしに、積極的な議論をすべきだということだと思います。私も、積極的に議論をし、この決算審査における予算の問題ということをやはり広く国民に明らかにしていくということは、この決算審査の極めて重要な、重要なというか一番大事な課題課題というかテーマであるというふうに存じます。そういう意味じゃ、私は決して報告だけでいいといった意味ではなくて、その許諾について、議決するかといえば、それはもう済んだことを、一回決めたものを、国会で一回決めたものをひっくり返すということについて、もうお金も使ってしまったということについて、それには私は問題があると言ったわけでして、決して形式的に報告だけでいいということではなしに、この場でやっぱり様々な問題点について積極的に議論をすべきだということを申し述べたわけです。  二番目の御指摘ですが、この問題こそ決算審査の場で議論すべき問題だと思うんです。つまり、先生御指摘の問題と申しますのは、お金が余ったから何かに使っている、それはとんでもないことでして、それが正に私が指摘しております官僚独裁なんですね。  この問題というのは、決して単年度予算だから発生している問題でないというふうに私は思います。先ほども御指摘ありましたように、公共事業については、非常に、繰越しを議決、最初に予算として議決しているわけでして、ある意味では弾力化されているんです。その比率も非常に、私が思う以上に多い比率でして、これで議会制民主主義、大丈夫かというぐらい。つまり、他の国々に比べても繰越明許というのは非常に大きな比率を占めているわけでして、そういうことを考えると、決してこれ、先生の御指摘の問題というのは、単年度予算主義の、単年度予算原則の問題ではなしに、きっとこの場で決算審査として議論すべき問題だと思うんです。  つまり、各支出、府省が、お金が余ったから何か使って不用額を減らそうとか、そういうことをやっているとしたら、これはやはりとんでもない問題でして、正に先生のおっしゃった問題は、単年度予算の問題としてではなしに、予算がきちんと使われているかどうかの問題としてこの場で議論すべき問題だと思います。
  52. 広野ただし

    広野ただし君 委員長、ありがとうございます。  民主党・緑風会の広野ただしです。  富田山本参考人にお伺いしますが、先ほど同僚の松井議員からもありましたが、会計検査院在り方の問題です。  どうしても今独立性ということを言われていますが、完全に政府から独立しているわけでもない、任命権者がどうしても首相ということになって、国会の同意人事があるにしてもそういうことになっておる。そういうことから考えますと、アメリカあるいはイギリス、フランス、ドイツ等のことを考えますと、私はやはり国会に附置をするということがいいんではなかろうかと、こう思っています。国会の指揮の下にしっかりとした会計検査をやっていくということが非常に厳正な決算なりができるということでいいんではなかろうかと思いますが、その見解が一つです。  もう一つは、先ほど特別会計の問題もございましたし、また発生主義の問題もありました。結局、民間の会計原則に照らして国は余りにもいろいろと独自の形になっておりますが、いろんな形で今予備的に試算が行われていますが、貸借対照等を含めて財務諸表を連結でしっかりと提出をしていただくと。そういう形から年金問題あるいは金融関係のことはよりしっかりと決算審査が、決算審査ができるんではないかと、こう思っておりますけれども、その二点についてお伺いしたいと思います。
  53. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) では、まず山本参考人からお願いいたします。
  54. 山本清

    参考人山本清君) 会計検査院在り方につきましては非常に難しい問題があると思います。  第一点は、憲法並びに会計検査院法の改正を伴うということを所与にすれば、国会に附置するというのは当然あり得ると私も思っております。問題は、どういった会計検査院のポジションが一番国会の審議にも有益であり、あるいは国民に対しても有益だろうかという視点だろうというふうに思います。  諸外国は、確かに会計検査院長は特に議会の下院の吏員ということで、下院の一職員ということで、そして会計検査院長がいわゆる各スタッフを任命するということで、一種の、言葉は悪く言えば一人法人のような格好が基本的な会計検査院位置付けであるわけでございます。そういった場合において、やはり会計検査院というのは中立的な組織じゃなきゃいけないわけでございますから、国会に附置した場合におきましても、これは検査内容決定あるいは会計検査院が雇用するスタッフの任命等につきましてはすべて会計検査院長にあるというのが、GAOの会計検査院におきましてもあるいは諸外国のイギリスの会計検査院におきましてもそういったルールが定まっております。  したがって、こういった自主決定権あるいは検査内容、検査範囲、そして国会からの調査要求があった場合においても、それを最終的にやるかどうかについての最終的な決定権限会計検査院長にあるというような法的な担保が取られるとすれば、これは事実上、現在の内閣からも独立している会計検査院とは大きな違いは確かにないだろうと思います。そういったことが、果たして日本における政治風土なり、あるいは政治システム、あるいは行政システムの中で可能かどうかという点をもう少し吟味してみる必要があるかと思います。  いずれにいたしましても、一番重要なことは、決算委員会の各委員先生方もう御案内のとおり、もう少し会計検査院を、決算審査なりあるいは予算を含めた財政制度の監督にもう少し大きな役割を果たし得るのではないか、あるいは、果たし得るとすればどういう方策があるかについて真剣にお考えいただいているんではないかというふうに思いますが、やはりそのフルに機能を発揮するという意味合いと政治的な独立性というこの二つのやはり調和というのをやはりもう少し検討する必要があるだろうというふうに考えております。これが第一点でございます。  第二点の連結財務諸表を含めた政府部門における発生主義会計の導入でありますが、実はこれは財務省がされておられますが、これはあくまでも現行の決算処理規則に対する一つの参考資料としてお作りになっているというわけですから、これはまさしく財政法会計法なり、予決令において制度化された財務諸表ではないんですね。そうすると、これはなかなか、その位置付けはだれがオーソライズするのか、だれが監査するのかという問題が当然出てまいっております。すなわち、現行の連結財務諸表というのはあくまでも参考として作成されたのにすぎないわけでございますから、これを決算統制の制度の中に入れ込むには、やはり大きな意味の公会計改革ということを、やはり国会の中で御審議いただかないと決算審査とのリンケージもうまくいかないのではないかというふうに考えております。
  55. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 富田参考人お願いします。
  56. 富田俊基

    参考人富田俊基君) まず一点目の会計検査院国会との関係ですが、私は法律的なことを詳しく存じているわけではないんですが、基本的には、現在の、あるいは今年度より始まるこの早期提出というものをやっぱりいかに活用するかというところから始めませんと、形だけ変えたら何とかなるというのは私には理解できないわけです。したがいまして、この決算早期提出及び会計検査院報告の早期提出というものをいかに積極的に決算審査に活用するかというところが重要だというふうに、まずは重要だというふうに存じます。  そして、二点目の民間会計準拠の会計を作るという問題ですが、私は、決算報告として、あるいは財務報告として各府省決算を連結して作るということは、事後的に、例えば、これはまあ飛ばしがあると言ったらちょっと表現が穏当かどうかは別にいたしまして、民間の不良債権問題ではそういうことが起こったわけでして、そういうことを検証するための極めて有効な手段として期待できるのではないかというふうにも存じます。  しかし、大事な点は、これだけ巨額財政赤字がある中ですので、むしろ国民の、あるいは納税者の、そして若い人たちの気持ちとすれば、そんなたくさん財政赤字がある中で、いろいろ形式を整えている余裕があるのかということも国民感情としてあるということを是非とも先生方には御理解いただきたく存じます。
  57. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 民主党・新緑風会の佐藤です。  今、広野先生と全く同じ質問、会計検査院在り方についてお伺いをしようと思っていたんですけれども、あえて一言申し上げさせていただきますと、国会予算を作るわけです。予算執行のその審議を当然する責任がある。その最前線として会計院があるわけです。  今日までの決算委員会の審議を見ておりますと、どうしても会計検査院の皆さん方の答弁というか、何となく弱腰なところがあるんです。私は、よくよく見てみますと、やっぱりこれは一つのバックボーンというか、そういうふうなものでも何か欠如しているような気がしてならないんです。  そういうふうな意味から、国会予算を作って執行した後のその責任はやっぱり作った者の責任もあるという意味合いから、やっぱり会計院というのは私はより国会に近い、場合によっては調査局と一緒のような立場の中でその任をすればいいのかなと、そんな思いもしますけれども、さらにまた富田山本参考人、いわゆる国会との兼ね合いの見地からどのような御見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  58. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 富田参考人お願いいたします。
  59. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 会計検査院がどういう位置付けにあろうと、やはりそれが国民にとってきちんと予算編成フィードバックされるかどうかということが最大の重要関心事であろうと思うんです。それが、先生御指摘のように近くにあったらより有効になるのか、あるいは、現状において、これまでの会計検査院は合規性のチェックということだけではなしに、効率性、経済性まで含めた決算審査を、決算検査を行おうという形にも変わってきているわけですので、それをやはり活用するところを具体的に国民のために活用をしていただきたく、国民としては望むところでございます。
  60. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 山本参考人お願いいたします。
  61. 山本清

    参考人山本清君) 私、個人的には会計検査院機能がより向上することについては全く委員の御意見と同じであるわけでございますが、決算委員会も含めましたこういった事後的統制機能を持つ機関が、より政治の場あるいは国民経済全般の場においてより影響力を持つためにはどういうような方法があるのだろうかということは、諸外国いろいろ工夫されておられるわけでございます。これにはやはり、そのポジションとして自らの身分をより強固なものにしようというような方法が一つあります。そして、もう一つは、それなりの自分の権威を向上させようと、この二つのアプローチがあるかと思います。  最初の、一種の権力をより持とうということからいきますと、例えばアメリカの会計検査院長は十五年の任期でございますから、これはアメリカ大統領自身は二期以上できませんから、アメリカ大統領の任期をはるかに超えているということで、非常にある意味においては強力なリーダーシップと党派性によらないような任期設定が元々されておると。そういうことにおいて、非常に長期間見通した戦略的なポジションを取り得るし、あるいは政治からの影響力も排除できるという工夫が、たとえその任命の途中において党派性が入ったところで、そういうことが可能になっております。  したがって、議会の附属にするということで一種の権力的な機能を果たすということは当然なるわけですが、片一方においては、先ほど御審議ありましたようなフランスの会計検査院というのは、これは決して議会の附属機関ではないわけでございまして、これは一種の司法官としての、ENAの一種の、インナーサークル的には非常に優秀なENAの卒業生が入っておるということで一種の権威的な、権力としてはそんな大した権力がフランスのコー・デ・コントという会計検査院はないわけでございますが、権威として非常にインナーサークル的にあるということにおいて影響力を保持しておる。そして同時に、司法官の身分を有しておるということで、一種のステータス的なシンボルがあるということであります。  残念ながら、日本の会計検査院においては、今御審議のように、権力的なバックボーンとして、御指摘のように、ある意味においては、一種の孤児的なポジションにあるという点においては権力的なポジションも低いだろうと。さらには、権威としても、別に裁判官、司法官の身分も有しておるわけではない、あるいは身分保障されているのは会計検査院長を含む三人の検査官だけであって、しかも何ら弁護士でありますとか公認会計士の有資格者でもないということであります。こういったことを解除するために、イギリスの会計検査院においては、入ってから五年以内に勅許会計士の資格を取るように制度を変えまして、そして、それをパスしなかった職員は辞めていただくということの制度を導入することによって従前会計検査院の権威的な役割というのは更に高めたということが同時に言えるわけであります。  したがって、国会との関係、より緊密にするということは当然重要であるわけでございますが、それと同時に、会計検査院の職員のスタッフ的なスキルと同時にそのポジションを、潜在的なポジションを高めるための制度改正が伴わないと、非常に強力な権限を持ったとしても、やはり国民の信任なりあるいは能力が付いていかないという問題を同時に考える必要が私はあるのではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  62. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 ありがとうございました。
  63. 川橋幸子

    川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子と申します。  本日は、両参考人の先生、貴重な興味深いお話伺いまして、ありがとうございます。  私、私事で恐縮ですが、長い間決算委員会に所属しております。まあ、両先生とも御存じかと思いますが、これまでは法律を通す、予算を通す、これこそが国会の華という感じで、決算委員会は余り、華がないとは申しませんけれども、そう人気のある委員会ではなかったのでございます。これは率直なところで、余り疑問のないところかと思います。  しかし、今日のお話を伺いますと、ニューパブリックマネジメントというものが導入されればされるほど事後評価あるいは議会統制というものをしっかりしないとますます形骸化してしまうというお話を伺いまして、これは決算委員会全員、自分のことの反省も含めて心を引き締めなければいけない状態なんだなということを改めて認識したところでございます。  ただ、現在のところ、私ども決算審査の後れを取り戻してできるだけ早期審査を実現したいというところまでの努力で精一杯でございました。といいますか、現実はそうだったと思います。今初めて、これから予算にどうやってフィードバックしていくか、NPMというこういう手法が、マネジメント手法が導入されるこのときこそこれをしっかりしなきゃいけないということは思うわけでございます。  そこで、もう率直にお伺いしたいと思いますが、参議院の場合はこの決算重視を特色とするとして、参議院決算審査というものに対してどのようにお二人の参考人の方々はお思いになられますでしょうか。それは国会自身が考えること、おまえたち自身がよく努力せよというのはもちろん分かりますし、私ども考えなければいけないとは思っておりますけれども、客観的に有識者の目でごらんになられて、例えば富田先生には、事後評価をしっかりしようと思えば事前評価がしっかりしなければならない、事前評価の情報もしっかり参議院の方に、決算委員会の方に与えられなければならないと。こういうことだとしますと、私ども今までそういう情報というのは非常に欠如していたような気がいたします。もちろん自助努力しなければいけませんけれども、そういうものがシステム的に委員会にもちゃんと提出され、公開され、アカウンタビリティーが発揮されるような、そういう委員会運営といいましょうか国会運営についてどのように考えていけばいいのかということをひとつお伺いしたいと思います。  次は、山本先生にお伺いしたいのは、先生は会計検査院においでになられたという経歴を拝見いたしますと、多分会計検査院なりあるいはこの決算委員会状況なり現実、現場の話はよく御理解いただいて、お分かりいただいていることかと思います。  今日、今まで決算審査在り方会計検査在り方となりますと、GAOとかNAOとかそういう問題が大きく議論されました。今日は、これは私だけが初めて聞いたことなのかも分かりませんけれども、オーストラリアの例、むしろ法律上の、憲法上の地位云々以前に、国会運営の中でオーストラリアでは両院でもってウオッチする、監査する役割というものが示されているわけでございますけれども、両院にまたぐかまたがらないかは別といたしまして、事後審査について国会運営上の話としてどのようなことを改善点が現実問題として考えられるのか。  私は、私本人は、今までは参議院の重要性というようなことから割合、参議院改革議会という上の方のレベルでこの問題が議論されたと思うんですけれども、今度はこの現場参議院決算委員会の中で小委員会なりなんなりを設けるようにして、どのように決算審査を進めるかの運用上の問題を明らかにしていかなければいけない、こういう段階に来ていると思うのでございますけれども、そういう点につきまして御示唆いただければ有り難いと思います。  以上です。
  64. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 富田参考人からお願いいたします。
  65. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 川橋先生御指摘のように、現状のようにいわゆるNPM導入されるほど、決算として立法府審査すべき項目というのは、その重要性というのは増してくるというふうに現状で思います。  既に独立行政法人については制度が出発しているんですけれども、事前統制としての予算運営費交付金という形で一括されていまして、それが、じゃ、きちんとその独立行政法人業務目的、目標に即して使われたかどうかということについて、やはり従来以上に厳しく決算審査が必要だというふうに思います。  決算審査も経ないで、使い残したお金を、先ほどもお話ございましたけれども、使い残したお金をできるだけ使おうとか、そういうことにならないよう、決算審査というのが極めて重要になってきているというふうに存じます。  そういうことで、特殊法人から独立行政法人という変化の中で、やはり決算審査在り方も、事前に様々な資料を求め、それを決算審査という観点より議論していくということが、やはり国民的に極めて重要で注目を浴びることになっていくものだというふうに存じます。
  66. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 続いて、山本参考人お願いをいたします。
  67. 山本清

    参考人山本清君) まず、国会におきます決算審査在り方でございますが、やはりお話聞いておりますと、予算委員会の保有されているような情報が決算委員会には来ていないということでありますと、平成十六年度から導入される予定のモデル事業等の多分審査もうまくいかないのではないかというふうに思います。  したがって、まず試行的には、是非参議院の方から、予算委員会と年一回か二回でもいいと思いますが、予算編成に掛かる時期に合同の審議方式等を導入されてはいかがかというのが第一点でございます。  それと第二点では、会計検査院国会との関係で度々御議論なり御指摘をいただいておりますが、私申し上げているのは、すべて、確かに十年程度会計検査院に勤めておりましたが、私はそれを辞めたというのは、むしろ会計検査院はもっと大きなことができるのではないかということで入ったんですが、なかなか自分の夢が実現しづらい状況になったということで、外からもう少し応援部隊になろうということで出たというような経緯がございまして、この場におられる決算委員の諸先生方と思いは多分同じであろうというふうに考えております。  それを前提にいたしまして、当然オーストラリア等のことを踏まえてどういうことが可能であるかと申しますと、実はオーストラリアの両院の合同の決算監査委員会においてどういうことを最近やったかといいますと、オーストラリアにおきましても発生主義予算あるいはアウトプット・アウトカム体系の予算導入いたしました。  そして、その予算、新たな予算制度の改革が本当に内閣が掲げるどおりにうまくいっているのかどうか、あるいは行政府の負担がどの程度であったのかどうか、さらには議会に上がってくる情報が議会統制としてふさわしいかどうか。すなわち、富田先生がおっしゃったように、大ぐくりでありますと細かい情報が上がってこないと。少なくとも議決は大項目でもいいんだけれども、決算段階においてその金がどういうふうに使われたかということを項以下の科目で議会に提出するべきではないかというようなことがレビューされました。そして、その合同の決算監査委員会のレビュー結果を踏まえまして実は議会で修正法案が成って、実はオーストラリア予算体系が若干改正されたという経緯がございます。  したがいまして、これは是非とも、決算委員会で大きな予算会計制度改革がこれから行われようとしているわけでございますから、是非ともその事後的な検証をやっていただきたいと。その場に会計検査院を活用するということは有効だろうと思いますが、しかし最終的にこの予算制度をどういうふうに改めていくかというのは、これは国会の場でございますから、是非決算委員会として、そういった制度のレビューにつきましても力点を置いて御審議賜りたいと思う次第でございます。  以上でございます。
  68. 南野知惠子

    南野知惠子君 よろしゅうございますか。ありがとうございます。  自由民主党の南野でございますが、もうほかの先生方から多くの御質問があり、またその御答弁があったので省略さしていただきたい部分もございますが。  本日は、両参考人、ありがとうございました。山本先生にお尋ねしたいことの中に、決算委員会としては、政府在り方としては、予算委員会は衆議院が、そして決算委員会参議院がと、決算の重要性というものを打ち上げていこうというのが我々の超党派の考えであろうかなと思っております。  さらに、NPM導入ということにつきまして、今るる学ばしていただいたわけでございますが、山本先生お伺いしたいことは、三番目といいますか、二ページ目にございます「政治への信頼回復」というところの下の三行目、四行目辺りがちょっと私にとってはインパクトがございました。それに関連して何かコメントをいただけるならば分かりやすい形でいただけないのかなというふうに思っております。  NPM手法というものが、もう一つお尋ねしたいことは、単年度予算と複数年度予算というような関連で我々の予算というものが施行されていこうとしていっているわけでございますが、それぞれに対する決算ということについて、このNPM手法というものは変化があるのでしょうか。同じ手法でとらえられていけるものなのかということをお尋ねしたいと思います。  また、富田参考人に対しましては、同じく先生のレポートの二ページ目でございますけれども、大蔵大臣権限の弱い国ほど財政赤字国債残高が多いというような御指摘の中で、その後の四、五行がございます。その行間の中から読めるわけではございますけれども、お示しいただきましたこの図表の中で、これでは、じゃ日本はどこら辺にいるのということを、いろいろな評価の仕方が違うと思いますが、お示しいただけるといいなと思っております。  以上でございます。
  69. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 両参考人お願い申し上げます。時間も迫っておりますので、約二分ずつの御答弁お願いしたいと思います。  まずは山本参考人
  70. 山本清

    参考人山本清君) 第一点の御指摘でございますが、これは今世間を騒がせております捜査費等の問題も、やはり本来必要であれば、それが予算化されていないということもあろうかと思いますし、あるいは公共事業をめぐる年度間の問題というのは、まさしく冬の、先ほど御質問がありましたとおり、冬季において年度内に施工を完了しようということが、路面の吹き付け、緑化工等においては不可能なんですね。ですから、これは一種の脱法行為かもしれませんが、事実上翌年度回しに事業はなさっておるということもうわさには聞いております。こういったことは制度自身を変えないと、公共事業の明許繰越し等、あるいは事故繰越し等だけでは対応できない問題であるというふうに思います。  第二点の問題でございますが、これは実は単年度主義を全く変えるということではなくて、諸外国等もやっておりますのは、例えば一割とか二割の限度があるわけですね。自由に繰り越すというわけではございません。そして、繰り越したとか前借りの場合には、当然これは金利的な要素を入れまして一種の抑制効果を図っておるわけでございまして、決してむやみやたらと自由にフレキシビリティーを与えて多年度予算の方をやっていこうということではないということだけ申し上げたいと思います。  そういう意味においては、基本的な決算審査在り方は多年度主義になっても大きく変わることはないというふうに考えております。
  71. 富田俊基

    参考人富田俊基君) 九〇年代以降を振り返ってみますと、日本だけが他の主要国と逆の方向に財政赤字国債残高が推移してきたということでございます。  それで、その背景には、私は、もちろん様々な要因ありますけれども、民主主義の観点ということから考えると、国会役割と、それから歳出歳入両面を責任を持つ大蔵大臣権限というのが弱かったというふうに思うわけでして、あえて点数を付けますと、かつていろいろ、フォン・ハーゲン先生に従って計算してみたんですけれども、大体四点以下しか付かない。こういうことはこれまでもあったかと、これまでも戦後一貫してあったわけですけれども、私は、吉田茂が「回想十年」という本の中において指摘されていることが正にそのとおりだと思うんですけれども、ちょっと紹介させていただきます。  予算編成の都度、各省からの強制、強要、威嚇を厳重に阻止する機関がなくては国家財政は破綻する。この機関は、民主政治において最も重要な機関である。為政者たるものは、かかる機関が厳としてその権威を保持するようにしむけるべきであると指摘されておりました。  以上でございます。
  72. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  予定の時間が参りましたので、これをもちまして参考人に対する質疑を終了いたします。  両参考人に一言御礼のごあいさつを申し上げます。  本日は、長時間にわたり大変貴重な御意見をお述べをいただきまして、誠にありがとうございました。委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    正午散会