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2004-03-15 第159回国会 参議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月十五日(月曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  三月八日     辞任         補欠選任      中川 義雄君     月原 茂皓君      円 より子君     柳田  稔君      木庭健太郎君     高野 博師君  三月九日     辞任         補欠選任      高野 博師君     木庭健太郎君      遠山 清彦君     森本 晃司君  三月十日     辞任         補欠選任      森本 晃司君     遠山 清彦君      又市 征治君     福島 瑞穂君  三月十一日     辞任         補欠選任      和田ひろ子君     樋口 俊一君      福島 瑞穂君     又市 征治君  三月十二日     辞任         補欠選任      後藤 博子君     中川 義雄君      樋口 俊一君     和田ひろ子君  三月十五日     辞任         補欠選任      中川 義雄君     後藤 博子君      柳田  稔君     森 ゆうこ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 岩井 國臣君                 三浦 一水君                 川橋 幸子君                 松井 孝治君                 小林美恵子君     委 員                 大野つや子君                 加治屋義人君                 柏村 武昭君                 後藤 博子君                 常田 享詳君                 中原  爽君                 南野知惠子君                 藤井 基之君                 山内 俊夫君                 神本美恵子君                 佐藤 雄平君                 齋藤  勁君                 羽田雄一郎君                 広野ただし君                 森 ゆうこ君                 和田ひろ子君                 木庭健太郎君                 遠山 清彦君                 畑野 君枝君                 又市 征治君                 岩本 荘太君    事務局側        常任委員会専門        員        和田  征君    参考人        国際開発ジャー        ナル主幹     荒木 光彌君        法政大学人間環        境学部教授    下村 恭民君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○平成十四年度一般会計歳入歳出決算平成十四  年度特別会計歳入歳出決算平成十四年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十四年度政府  関係機関決算書内閣提出) ○平成十四年度国有財産増減及び現在額総計算書  (内閣提出) ○平成十四年度国有財産無償貸付状況計算書(  内閣提出) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、中川義雄君及び円より子君が委員辞任され、補欠として月原茂皓君及び森ゆうこ君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成十四年度決算外二件を議題といたします。  本日は、政府開発援助について参考人から御意見を聴取し、質疑を行うため、国際開発ジャーナル主幹荒木光彌君及び法政大学人間環境学部教授下村恭民君に御出席をいただいております。  この際、両参考人先生に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙の中、本委員会に御出席をいただきまして誠にありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  両参考人から忌憚のない御意見を賜りまして、審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  本日の議事の進め方でありますが、荒木参考人下村参考人の順にお一人十五分程度ずつ御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることになっております。また、各委員質疑時間が限られておりますので、御答弁は恐れ入りますが簡潔にお願いを申し上げたいと思います。  なお、参考人からの意見陳述、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。  それでは、まず荒木参考人からお願いをいたします。荒木参考人
  4. 荒木光彌

    参考人荒木光彌君) 御紹介いただきました荒木でございます。  私、この世界に入りまして三十数年、このODA世界現場で取材をして感じたことを今日申し上げたいと思っております。  それでは、レジュメに従いましてちょっとお話をしたいと思いますが、このいただきましたレジュメでは、課題では、経済性効率性有効性観点から見たODAについて考え方を述べてもらいたいということでございましたんですが、私は二点申し上げたいと思います。第一点は、ODAの総合的ないわゆる実施ということの意味において、やはりODAには総合司令塔がないというようなことの問題点、第二点は、ODA実施に際して、その効率を上げるために連携が必要なんですけれども、連携がないというこの辺の問題点中心お話を申し上げたいと思っております。  既に御承知と思いますけれども、このレジュメ、ちょっとミスプリでございますが、今年はODAが開始されて五十年になります。一九五四年のいわゆる技術協力中心としたコロンボ・プランに加盟して以来、日本は営々と五十年の歳月を費やしてODA実施してきたわけですが、ここ二、三年のODA改革路線というのが外務省改革論と併せて問題になりまして、ODA路線というものは今や国民参加を目指していこうと。それで、そのための頂上、その会議責任としてODA総合戦略会議外務大臣中心に持たれているわけです。それから、ODA透明性計画性を確保するということで、国別援助計画策定ということが今なされつつあります。さらには、実施機関JICA独立行政法人化などを通して今も継承されていると。  こうしてODAは少しずつ進化しているわけですけれども、私は、やはりいろんな批判があって、ODAのその進化の糧になっているんじゃないかと思っておりますけれども、進化するODAという認識の下で、なお改革を必要とする基本的な問題点を、私自身がODA現場にいましたので、現場に立って発言申し上げたいと思っています。  題して、ODA行政に見る問題点。  その第一は、国を見ても地域を見ないODAと。それから、ODAには政府としての司令塔がないという問題。  で、日本ODAは、久しい間、二国間援助中心にしてきましたけれども、そのせいか、地域を見るというか、国を見ても地域を見ないと、こういうような地域を見て援助構想を立てるということに非常に弱い。例えば、ASEANという地域全体をカバーする地域協力的な援助構想を立てる能力とか、総合的な機能がない。特に、ASEAN経済統合の足かせになっているインドシナ半島、インドシナ諸国地域と見て経済発展させる地域協力ODAベースで仕立てることが今や急務になっているにもかかわらず、長期的なビジョンに立った政府総合開発戦略本部、いわゆる司令塔が存在していないと、こういう問題を指摘したいと思います。  ちょっと補足いたしますと、司令塔の問題に関しましては、これまで、第一に、これは二〇〇一年の十月の経団連提言ですけれども、ODA戦略会議、これは総理大臣議長の下での司令塔問題を提案しているわけです。  第二は、そのODA、第二次ODA改革懇談会というのが開かれましたけれども、その報告書で、ODA調整官庁、いわゆる外務省ですね、外務省司令塔機能の強化を訴えております。  第三に、外務省を変える会の中から出てきました一つ提案は、外務省経済協力局の外局として援助庁を作ったらどうかと、こういう案が出てまいりました。  第四は、政策構想フォーラムというのがございますけれども、その政策構想フォーラムの中で、ODA戦略委員会を設けて総理のリーダーシップの下で国際開発援助庁設立意義やその目的機能を含めた総合的なODA戦略策定のための枠組み作りを開始したらどうかと、こういう提案をしているわけでございます。  次に、第二の問題は、ODA予算役所との関係について申し上げたいと思います。  これは一般に言われていますが、ここにもちょっと書いていますように、ODA予算というのはいわゆる霞が関ルールで各省庁に分散されていると、こういう批判が今までなされてきているわけです。現在も、ODA予算というのは十三省庁にまたがって計上されております。例えば、技術協力の場合は、技術協力を一元的に実施するこのJICAの、国際協力機構技術協力予算は全体の六〇%以下です。つまり、四〇%以上が少なくとも各省庁技術協力という名で分散されていると、こういうことを示しているわけでございます。そのほか、国際機関への支出、拠出の予算は完全に各省に分散されております。したがって、国際機関にその資金を提供する我が国外交というか国益的な観点から、また世界銀行など金融機関資金を提供する我が国国益的な観点外交的な観点からの問題、つまり方針というのは余り我々の目に触れられていない。非常にイージーというか容易、イージーに運営されてきたというのが一つ流れでございます。  私、以下は、予算役所との関する問題点をいろいろと説明を申し上げたいと思います。  第一の指摘は、ODA開発途上国支援をすることはもちろん言うまでもないんですけれども、御存じのように、日本経済発展安全保障観点からも重要な政策手段であります。その任に当たるべき外務省が、各省ODA予算、その政策、その実態を全体としてどこまで掌握しているか、定かでないという問題は非常に深刻ではないかと思います。予算の面では、外務省が十三省庁の、金額的にはまあ半分、予算の、一般会計予算の半分は所管しているんですけれども、いろんな役割について十三省分の一という、こういう存在ではオールジャパンとしての日本外交を、日本ODA外交をどこまで展開しているかということは非常に疑わしいと、こういうふうに言わざるを得ないと思います。  周知のように、ODA白書とも言うべき我が国政府開発援助という報告書には、このいわゆる表の部分、つまり外務省関係部分だけが表に出てきますけれども、各省関係予算執行状態とか役割とか、そういうことについては触れられていません。したがって、十三省庁にはその専門分野において開発途上国といろんな関係があるとしても、JICA技術協力のように情報公開をしたり、あるいは他者に評価してもらうことをしないと、今に国民ODA予算がいわゆる霞が関ルールで各省庁に既得権化されているのではないかと見られるおそれがあるというふうに考える次第でございます。  経団連のさきのこの提言でもはっきり述べているのは、省益集合体としてのODAから国民参加型の集合体としてのODAへ持っていかなきゃならないと、こういう提言を既に経団連もしているわけです。そういうことをひとつ念頭に置いていただきたいと思います。  第二の指摘は、これは非常に重要なんですけれども、いわゆる技術協力にしても資金協力にしても、いわゆる各課各課で、役所各課で担当しますから、各課目的になっちゃっています。つまり、技術協力資金協力も、基本的には開発途上国をよくするために何をすればいいかという手段にすぎないわけですが、手段がいつの間にか目的化されちゃって、その予算を執行することに権限が張り付いていると、こういうようなことでございますので、こういうところもやっぱり改めていく必要があるのではないかと私は思う次第でございます。  ちょっと時間の関係一つ飛ばしますけれども、第二の指摘というのはODA積算に関する問題なんですけれども、非常にプロジェクトごとに積み上げていって、それで柔軟性を失うような予算積算の仕方をやっているわけですね。それじゃなくて、今は援助の方向というのは大きくプログラム化していくと。貧困削減計画という大きなプログラムの中で何がどうするかということを個々のプロジェクトが決まっているにもかかわらず、一つ一つプロジェクト硬直化、それを決めてしまうと、それが終わるまで、つまり各予算が余り効率がないにしても、各プロジェクト予算がそれを無理を承知で実行するという考えで、そういうことで進んでいるわけです。それが非常に無駄が多いということでございます。  それから、三番目でございますけれども、第三の問題は、私は時間の関係でちょっと捨象しますけれども、やはり今一番重要なのは、現場からの意見ですけれども、やっぱり円借款無償資金協力技術協力があります。円借款JBIC国際協力銀行実施団体です、実施機関です。技術協力JICA、つまり国際協力機構実施機関です。それから、無償資金協力も実は外務省の委託でJICAがやっております。  そういう円借款無償資金協力技術協力が実は今ばらばら縦軸で、縦割り型で各省別権限の中で行われていて、本来は一つ目的に向かって資金技術とノウハウというか、知識一体になってやらなきゃならないというところが一体になっていないと。ここで非常に援助効率性経済性を損なっているということで、現在、現場意見を申し上げますと、この枠組み作りを早く進めてもらいたいし、もしそうでなければ、いっそのこと資金協力技術協力JBICあるいはJICAの大合同、つまり統合を進めてもらいたいという意見もございます。それが第三点でございます。  第四点は、民間との連携で、ODANGO大学、自治体などの連携は非常に今進行中ですけれども、まだこれは、特にNGOとの関係などについてはまだまだ連携する余地がたくさんあるにもかかわらず、まだ遅々として今のところ進んでおりません。  それよりも進んでいないのが、企業との関係というか民間企業の問題です。民間企業というのは、単にODAプロジェクト入札に参加する問題ではなくて、むしろ、何というんですか、ODAというのは独りじゃ何もできない。つまり民間とかNGOも含め、民間企業も含め、あるいは大学も含め、いろんな人たちを一緒に連携して初めてODA触媒効果を果たして全体に波及していく。それを自分たちのタコつぼのようにODAの中だけで何かをしようとするから効果が上がらない。これでは開発途上国経済発展というのは望まれないというような批判が今出てきておりまして、今最大の課題はこのODA連携問題ということでございます。これによってODA予算効率的、効果的に、かつ国民に見える形で実行されるということが見れるんじゃないかというふうに感じております。  以上、時間が大体来ましたので、私はこの辺で終わらせていただきます。
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  次に下村参考人お願いをいたします。下村参考人
  6. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 下村でございます。  ODA有効性改善ということでお話をさせていただきます。  ODAには、レジュメにも書きましたけれども、いろいろな問題がございます。今日はこのいろいろな問題についてどんな問題があってどうしたらいいだろうかということについて私の意見を申し上げますが、その前に、公平に見まして、ODAにも日本公的部門活動の中では優れた部分、あるいは進んだ部分があるということを一言補足させていただきます。  ある事業をやるときに、事前にどうやったらうまくいくだろうか、あるいはどういう問題が予想されるだろうかということをチェックする評価、あるいは終わった後で実際やってみてどうだっただろうかということを考え評価、そういう事前評価、事後の評価は非常に重要ですが、日本公的部門ではこの点が非常に後れております。  しかし、その中にあって、ODAにつきましては、二十年以上前からこれらの点について非常に、今、日本の中では先進的な仕事をしてきたということを申し上げまして、しかもなお現在いろいろな大きな広範な問題があると、それについてどう考えたらいいかということをお話ししたいと思います。  時間の関係で全体を二つに分けまして、まず最初に、途上国人々に向けた鮮明なメッセージを発信する必要があるということを申し上げたいと思います。援助をしているわけですけれども、今、荒木参考人お話にもありましたが、なぜやっているのか、どういう考えでやっているのか、必ずしもはっきりしない部分があります。これにつきまして、いろんな発信すべきメッセージはあると思いますが、ここでは特に四点に絞ってお話をしたいと思います。  一つは、日本独自の援助理念があるということ。貧困緩和が重要だということについては国際的に共有された考え方ですけれども、それに加えて日本には、途上国自助努力で努力していけばいつの日か援助をもらうことがなくなって卒業できる、それを支援していこうという理念があります。この二つ貧困緩和と卒業への支援を使い分けて組み合わせていくということが重要だと思います。  それから二つ目ですが、真のオーナーシップの尊重ということですけれども、冷戦が終わってから国際社会では非常に先進国あるいは国際機関の声が圧倒的になりまして、途上国の声あるいは意見が圧殺されることが増えております。その中で、日本途上国の声に耳を傾けて、途上国人々知恵に学ぶ、こういう姿勢を鮮明にして独自性を主張するべきではないかと思います。  三番目ですが、平和国家の資産ということですけれども、テロとか紛争とか、今非常に問題になっておりますが、その背景には兵器の拡散がございます。途上国向け兵器輸出の三分の二は西欧の主要ドナーが輸出しているもので、この点で日本は非常に優位な立場にあるわけですから、この優位を最大限に生かして途上国国際援助社会において途上国への兵器輸出のコントロールを率先して提唱していくことが望ましいというふうに考えております。  それから最後に、国益ですけれども、国益はもちろん重要なわけですが、特に重要なのは、手近で短期的な国益ではなくて、長期的な視点に立った国際社会での信頼の構築ではないかと思います。日本の昔からの知恵として、秘すれば花という心がありますけれども、決して国益をむき出しにしないという知恵も重要ではないかと思います。  次に、二番目の問題に移らせていただきます。  ODAにはいろいろな問題点があるというふうに申し上げますが、そのうちのかなり部分は、日本公的部門に長い歴史を持って、いろんな背景を持って複雑に絡み合って存在している制度的な制約条件だというふうに思います。これはODAだけではなくて日本公的部門活動すべてに言えることですけれども、そういう精神論だけでなくて、具体的にどういう制度的な制約条件があるのか、これを洗い出してきめ細かく改善していくということが重要ではないかと思います。  いろいろな問題がありますけれども、ここで五つに絞ってお話をしたいと思います。  まず第一番目ですが、同じような仕事が多くの組織によってばらばら実施されているということです。  既に荒木さんからお話ありましたけれども、技術協力は非常に多くの省、多くの機関がかかわっております。これの統合、一元化は急務だと思います。また、これも指摘がありましたけれども、資金協力技術協力有機的関連もなかなか組織が違うということでうまくいかないと。私は、資金協力技術協力関連につきましては、ただ有機的な連関を目指すということにとどまらず、実施体制の再検討も視野に入れて、原点から考えていくということが重要ではないかと思います。  それから、次に移りますが、アップストリーム業務と俗に言っておりますが、国に対して、あるいはテーマに対してどういう援助をやっていったらいいかという知識知恵部分計画作り、いろいろやっておりますが、これが各省、各機関に非常に小規模な予算が配分されておりまして、しかも短時間にやらざるを得ないと。これが予算統合され、ある程度統合され、もう少し時間が与えられれば、アップストリーム業務の、つまりこの知恵部分についての業務の水準も大幅に改善できるのではないかと思います。  二番目ですが、ばらばら実施されている一方で、同じような仕事が重複して実施されているという問題が古くから目立っております。  例えば立法府と行政府、例えば中央官庁援助実施機関、例えば東京現地、この三つ挙げましてもそれぞれ、それぞれに役割分担をはっきりもう一回再確認して、権限移譲できるところは移譲するということが重要だと思います。特に、中央官庁から援助実施機関東京から現地権限責任を大幅に移すと、現場に移すということが重要だと思います。他方、ただ委託する、委任するだけでは丸投げになってしまいますから、チェック・アンド・バランスの体制をきっちり構築するということが重要であろうと思います。  三番目ですが、人材不足だということをよく聞きます。  確かに、特に途上国現場に行きますと、ほかのドナー国際機関とかほかの先進国に比べて日本援助要員は非常に不足しております。ただ、これは必ずしも人材不足しているということではなくて、かなり部分定員不足しているという要因によるところが大きいと思います。実際には、相当な能力を持ち、相当な経験を持った人たちが遊休化して仕事になかなか就けないという状況がございます。これは定員不足ということなんですが、これは行政改革流れの中で定員をやたらに増やすというわけにもまいりませんから、例えば一つ知恵として、期限付の職員、今たくさんいろいろなポストを転々としておりますが、こういう人材をプールして、仮に期限付であっても連続してODAのために活躍してもらい貢献してもらえるという体制を整備できれば、人材面のハンディキャップも相当補えるのではないかと思います。  それから四番目ですが、この予算年度主義ですが、先ほどアップストリーム業務で時間が短いという話をいたしました。これも一つの例ですけれども、現在、ODAの中で有償資金協力円借款につきましてはこういう制約がございませんが、多くの場合、無償資金協力あるいは技術協力につきましては、これは若干の例外もございますが、多くの場合単年度仕事を処理するということが原則になっております。また、先ほど申し上げた知恵部分アップストリーム業務についてもそういうことが言えます。  現在の予算の仕組みでいいますと、仕事が、予算が確定して仕事に掛かれるのは秋口になってからですから、一年といっても十二か月でなくて、半年弱で仕事を片付けなければいけないと。いろいろな拙速による問題も出てまいります。それから、それに伴って、制度上入札をもう一回やり直すとか毎年やり直すとか、そういうロスも出てまいります。この点の見直しは急務だと思っております。この予算年度主義については少しずつ改善が進められているというふうに思いますが、更に抜本的な改善が必要かと思います。  それから、最後になりますが、NGOの国際協力の強化ということですけれども、ODAは基本的に途上国公的部門途上国政府あるいは行政機構とパートナーになって仕事をするという仕組みです。ですから、二人三脚で途上国政府と一緒に仕事をするわけですが、途上国政府は当然のことながらまだ能力が十分でないところがあります。特に、途上国の地方の草の根に近い部分の行政機構というのは非常に弱体です。したがって、途上国公的部門と二人三脚で仕事をするODAにはハンディキャップがあるわけですが、そこを全く違った立場からNGO活動が貢献し補強するということは今までにも既に相当効果が上がっております。  ただ、残念ながら、国際的に見て日本NGOは、途上国NGOと比べても国際NGOと比べてもまだいろんな点で不十分な体制になっていると。ここの部分の国際競争力を強化するということが結果的にODA効果改善有効性の確保につながるのではないかというふうに思います。  取りあえず、時間の関係もありますので主な点だけ申し上げまして、またいろいろ御指摘、御質問いただきたいと思います。  ありがとうございました。
  7. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  以上で参考人意見の陳述は終わりました。  これより、まず各会派一巡で五分ずつ質疑を行い、その後、正午までを目途に自由質疑を行いたいと存じます。  それでは、質疑のある方は順次御発言ください。
  8. 柏村武昭

    ○柏村武昭君 おはようございます。自由民主党の柏村武昭でございます。  今日は参考人の先生方、朝早くから御苦労さまでございます。質問五分でございますので、よろしくお願いしたいと思います。  少し前の話でございますが、去年の四月にジュネーブの国連人権委員会日本人拉致事件を含む北朝鮮の人権状況非難決議というものが二十八か国の賛成で採択されました。そのときに、北朝鮮に果たして配慮したのかどうか分かりませんが、中国やロシアなど十か国が反対しまして、十四か国が棄権して、韓国は欠席しました。  問題は、その反対に回った十か国でありまして、その十か国に対しては、ロシアを除いて日本から毎年多額のODAを供与している国々であったわけです。そこで、一体何のための援助であったのかということで一騒動になりました。ODAの意義を疑問視する声も数多く聞かれたわけでありますが、私もその自民党の安全保障議員連盟の一員といたしまして、同志と一緒にそうした非常識な国々に対するODAを即刻停止すべきではないかということも含めて、それぞれの大使に何らかの抗議をするべきではないかと、当時、川口外務大臣、外遊中でしたので、当時の矢野副大臣に要請をいたしました。  そもそも、ODAについて、我が国、以前から反対論と賛成論がぶつかり合いまして、この点、ODA外交上の一つの有力なカードだと考えて今後も積極的に活用していくべきなのか、あるいは不景気が続いて失業者もたくさん出ておりますので、外国よりも自国民のためにそろそろお金を使ってもいいのではないか、いろんな考え方があって我々も悩んでいる状況であります。  そこで、参考人の先生方にお伺いしたいんですが、我が国は今後、ODAに対してどう意義付けて、そしてどのように実施していくべきなのか、これは時間がありませんので、できるだけ短く、建前よりは本音、個人的な考えで十分結構でございますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います、どうぞ。  まずは荒木参考人からどうぞ。
  9. 荒木光彌

    参考人荒木光彌君) 大変難しい問題でございますが、これはまあ何しろ政治の問題も絡んでおりまして、ODAそのものは、どちらかというと今まではそういう政治抜きというか、例えば今のこの状況でいいますと、平和な状態の中で行うのがODAだという原則の中で、かつ、そのODAも、外交手段と言いながら、実際は外交手段であったかどうか、先ほど申しましたように分からない面も多々ありまして、国連外交においても、例えば敵国条約の撤廃とかということにどのぐらい手を尽くしているかと分からない。  したがって、私は、ちょっと話はあれしましたけれども、やはり基本的には、ODA大綱に新しく書いていますように、やはり世界の平和と発展、それはひいては日本の平和と発展に資するという観点の原則を立てながら、実際は、ODA大綱にも述べていますように、軸足はかなりアジア重視というところに来ていますので、これは、今、議員、先生がおっしゃったように、やはり自国民というか我が国の戦略的な要因がかなり入ってくる、批判も相当受けましたんですが、そういう時代がまあ来ている、来つつあるということでございますので、そこの線はかなりこれからも延ばしていくべきだと私は思っておりまして、ですから、つまり自分、日本のためにやらなくてです、一生懸命やった結果は相手の国になるんですよ。で、今まではどちらかというと人のためにやると言いながら、実際は、それでいて、こそこそと自国のためにやっているというのが、もっと相手にとっては非常に大きなショックを受けているという感じを受けますね。
  10. 柏村武昭

    ○柏村武昭君 下村参考人お願いします。
  11. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 私も、基本的に最後に、荒木さんが言われた中の最後の点に同意でございます。  ODA外交上の非常に重要なカードだと思います。で、この使い方については、いろいろなまあ可能性があると思いますけれども、できるだけ個別の政治的な問題と援助の供与は結び付けるべきではないと、この点は非常に慎重に考えるべきだと思います。  それはなぜかというと、こちら側の外交上の都合というものが時間の経過とともにかなり変化をいたします。変化をしたときに、こちらの都合で援助が増えたり減ったりするという、要するに一貫性のない、整合性のない形の、現象が起きてしまうことがあります、結果として。  例えば、一九九八年にパキスタンとインドが核実験をいたしました。これに、このときに日本側は、日本政府援助かなりの程度止めたわけですけれども、アフガンでテロとの闘いが始まったということで、パキスタンあるいはインドとも復活をし、かなり重要な援助対象国になっております。  これは、相手側から見れば、つまりテロとの闘いが起きたために援助をもらえるようになった、起きなければ止められていたということですが、その辺について、相手側から見て、なるほど一貫していると、あるいは、いや、なるほど信頼できる方針だというふうに見えるかどうか。やはり個別のそのときそのときの政治的な事件と援助を結び付けていくとどうしても一貫性、整合性に問題が起きるということがございますので、やはり長期的な信頼の構築ということにできるだけ焦点を絞った運用をするべきであると思います。
  12. 柏村武昭

    ○柏村武昭君 終わります。
  13. 和田ひろ子

    和田ひろ子君 お二人の先生、今日はありがとうございます。  民主党の新緑風会、和田ひろ子でございます。  私たちは、去年の六月にベトナムとカンボジアに、NGOODAの真のパートナーにしたいということで視察に行ってまいりました。お二人の先生の言われるようなことを本当に現地に行っていろんな方からお聞きをしてきました。  例えば、私たちがODA政策への提言の中に、この中で、NGOを通じたODA予算は近年増加しているとはいえ、ODAの中でNGOに対する予算が大変少なくて、先生も、先生方もお書きになっていると思いますが、NGOに対しては一・何%。アメリカでは四〇%も出しているそうでございます。そして、日本NGOはその歴史がまだまだ浅くて、人材の蓄積なんかには大変脆弱であるけれども、政府は新しいNGOの担い手としてもっともっと開発プロジェクト又は人材の育成なんかをすべきである、そして、NGOの無償資金などにおける単年度予算、今先生おっしゃっていただきましたが、単年度予算主義は硬直的な援助にならざるを得ず、もっと柔軟な対応が必要であるとか、NGOの側からすれば、十三省庁へもわたる予算であるのでどこに申請をしていいか戸惑ってしまうというような御意見もたくさんお聞きをしてきました。  荒木先生は、総合開発戦略本部を作ればいい、ODA政府としての司令塔がない、またおっしゃいました。下村先生は、本当に手近で短期的な国益よりも、長期的な視点に立った、それがひいては貧困の緩和になっていつか、いつの日か途上国がその援助から卒業できればいいと、とってもいい御意見をいただきました。  それにつきまして、日本ODAに私は評価、今までODAで出したお金に対しての評価をする機関がなかったんじゃないか、それが今までの不透明なとっても濁った使い方をされてしまったとすれば、第三者機関がそういうものをしていかなければいけないんじゃないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。  そしてもう一つ、あとNGOの人を、先生お二人とも言っていらっしゃいますが、育成する、もっともっと育成していかなければいけないというふうにおっしゃっていただきましたが、育ったNGOの人が、例えば日本に帰ってきて社会的認知が得られないのでとっても浮いてしまう、何か受皿になれるようなところを作っていかなければいけないというふうに思いますが、その二点についてお伺いします。
  14. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、まず下村参考人から御答弁お願いします。
  15. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 今御指摘いただいた中で、二点に絞ってお答えしたいと思います。  まず、評価ですけれども、評価についてはおっしゃるように第三者がやるということが基本だと思いますので、第三者機関が作られればそれは非常に有効だと思います。現在そういうものはないわけですが、それでも第三者の有識者による評価というのを増やすという方向は進んでおりますので、それを更に拡充するということが重要だと思います。  それから、NGOへの支援あるいはNGOの育成、これは全く賛成でございますが、同時に、それをやっていく上で二つほど留意すべき点があるかなと思います。  一つは、何かNGOへの支援の比率が高ければ高いほど進んでいるというような印象がありますけれども、必ずしもそうではないというふうに思います。やはり、政府から来る資金の比重が財政面で高くなりますとどうしても自主性が失われがちになります。これは日本だけでなくて国際的に指摘されているところです。それから、NGOへの支援がどんどん増えてきますと、やはりどうしてこのNGOにお金を出しているのか、なぜこれだけの金額を出しているのかということをもうちょっとしっかりチェックしなければいけない。今はまだNGOでない部分についてはちゃんと入札をし契約をする、そこのところでチェックできる形になっておりますが、NGOについては、今のところその説明責任を果たすための仕組みがまだ弱体だというふうに考えております。この点の改善急務だと思います。
  16. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 荒木参考人、御発言ございますか。
  17. 荒木光彌

    参考人荒木光彌君) 最初のこの評価の点でございますけれども、先ほど私も申しましたように、国連や世界銀行、要するに国際機関にたくさんのお金を出して、長年出してきているんですけれども、それについても、我々の国民には一体日本の国とどういう因果関係があるのかについて明快にされていない、これも評価をされていないということです。それは相手国が、相手の機関評価をしないという前提でも、我が国としてやっぱりそれを評価をすべきだと思います。  それから、その流れの中でいいますと、正におっしゃるように、客観的に科学的に評価をするというふうにおいては第三者評価機関というのがあって僕はしかるべきだ。私は日本評価学会の理事もやっておりますけれども、こういう話はしばしば出てきてまいりますが、自分でやっぱりやっているというか外部に委託するといっても、かなりそこのところは少しガードの甘い委託の仕方がありますから、やっぱり第三者が厳しく評価するという体制が必要かと思います。  それから、第二点のNGOに関しましては、先生おっしゃるように、アメリカの場合は対外援助法というのがありまして、その法律の中で、ちゃんと法律の中でNGOの開発援助におけるそのポーションというか比率が決まっていまして、何%ということでございまして、その流れの中で、今度はNGO支援する政府の、NGOをチェックしながら、またいいNGOは応援していくというようなチェック体制のいろんな附属団体も機関もありまして、やっております。  それから、もう一つの点は、これは非常に重要なんですけれども、アメリカの場合はNGOに対してODA予算が大変出ておりますけれども、従来、アメリカは一九七〇年の初めにもう政策転換をやりまして、従来のプロジェクト型の援助から人道というかベーシック・ヒューマン・ニーズという方向へ転換をしまして、民主主義、人権というものを広めていこうということをやり始めたわけですね。これは国家間の、要するに政府が何か言いますと、人権、民主化、先ほど先生から話がありましたように、やっぱり国家間のもめ事になると。そこで、NGOが結局国境を越えて向こうの人たちと手をつなぎながら人権、民主化の問題についてやっていくという方がより国家間のもめ事にならないという、アメリカの一種の戦略というか、そういう形でNGOというのをひとつ重視しているということでお金が相当流れるという、それはもう政策的なポジションが明快なんです。  日本の場合は、NGOをどうするのかということについてはODAの中でまだ、いまだ、連携という形で話出ていますけれども、その政策的なポジションというのが非常に不透明な形でよく分からない。そういうところで、今の御指摘のような育てるのかどうするのかという問題もためらっているという感じを受けます。
  18. 遠山清彦

    遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  今日は、荒木下村参考人、本当に貴重な御意見ありがとうございます。私の方からは、荒木参考人下村参考人にそれぞれ一問ずつお聞きをしたいと思います。  まず、荒木参考人の方には、日本ODAの特徴としては要請主義と、それから自助努力と、自助努力支援という二つのキーワードがあると思いますけれども、これに関して、要請主義というのは日本援助をしようとする国の方から援助を要請してもらうと、それで要請に基づいて日本政策判断をして、そしてODA実施するということなんですが、一部でこの途上国の中には、どういうプロジェクト援助してほしいか要請すること自体がなかなか難しい。これは能力的な面もございますでしょうし、政治的な面もあると思いますけれども、そういうときに、いわゆる日本側の例えば開発コンサルタントがですね、こういうプロジェクトをおたくの国でやったらいいんじゃないですかと、日本ODAでというふうに。いわゆる、まあ俗っぽい言い方をすると入れ知恵をして、そして、その入れ知恵に基づいて日本国に対して援助してくださいと要請をすると。これは、現地日本大使館も関与しているかもしれませんけれどもね、このプロセスに。そして、その要請に基づいてODAが下りると。ODAが下りると、当然入れ知恵をしたのが日本企業あるいはコンサルタントの場合、また、そのプロジェクトの受注関係で、結局はそのコンサルタントにつながるところが受注をすると。  いわゆるODAを舞台にした、日本の国内で一時ありました公共事業の出来レースのような、あるいは談合のようなことが行われているのではないかという意味で、この要請主義というのが本当にいいのかという意見が一部であると思いますが、これについて是非とも御見解をいただきたい。  また、これに関連して、結局、本当にODAが必要な時期に、あるいは必要な国にODAを出すというよりも、外務省縦割り行政の、地域課の縦割り行政の中で、この国に毎年数億円の、あるいはウン十億円のODAは行かなきゃいけないんだという下に、要請がなければ要請をこちらで作り出すということを実態としてやっていれば、これ全然ODAじゃないんですね。予算消化のためのODAなんです。こういうことが荒木さんから見て、外から見て、ないのかどうか、この点についてお聞きをしたいと思います。  それから一点、下村参考人には、簡潔に申し上げますが、下村参考人レジュメ二枚目、正にこの決算委員会としてはびっくりするようなことが載っているわけです。つまり、「同じような仕事が多くの組織によってばらばら実施されている」、あるいは「同じような仕事が重複して実施されている」。これは、日本の今、国内の行政改革ではこういうところを正に改革していこうとやっているわけですね。これ、下村先生のレジュメにもろに、同じ仕事を違う組織ばらばらにやっている、重複して実施されているって明確に書かれているということは、これはもう決算委員会として見逃すことができない点でございまして、この点について下村参考人からもうちょっと詳しめに、どうしたらこれなくすことができるのか、お聞きしたいと思います。
  19. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、まず荒木参考人からお願いをいたします。
  20. 荒木光彌

    参考人荒木光彌君) それでは、そのODAの要請主義と自助努力のキーワードについてお答えします。  確かに、今ODA大綱、今現在改定しましたODA大綱では要請という言葉はなくなったんですね。それで、需要という言葉に変わっているんですけれども、いわゆるこれは要請主義、主義的な要請を真に受けてやるということについては深く反省していこうということになりまして、それで、今まで、先ほどいろいろとコンサルタントの問題が出ましたけれども、今まではプロジェクト開発途上国援助する対象とするプロジェクトは、まあ商社もそうですし、コンサルタントもそうでしょうけれども、つまりプロジェクト、通称プロジェクト、まあ発掘、形成ということでやってきたと。これはある意味、つい最近までは見えざる制度化というか一種の暗黙の了承でやってきたということで、ちょっとこれでやってきたんですね。それが行政経費からいっても安く付くというのが政府当局の発想だったと思います。  しかし、それでは先ほど言ったいろんな問題が起こってくる。もちろん、一部にはいわゆる腐敗の構造を相手に作ってしまうんじゃないかとかいろんなことがありましたので、現在、そういうこと、ODA、私も関係しましたんですけれども、第二次ODA改革懇談会提言しましたODA総合戦略会議の中に国別援助計画というのをしっかりと立てていこうということで、国別援助計画の中で明示された分野あるいはプロジェクト、というか特に分野あるいはプログラム、それに集約して、つまり日本側からどちらかというと提案をしながら相手と政策対話をやって決めていこうと、こういうような方向へ大転換をしつつあります。  したがって、その間で国民の目というか一般の人に透明性を高めて、どういう形でこのプロジェクトあるいはプログラムが決定されていくのかという決定のプロセスの透明化を図っていきたいと、こういうふうにやっている最中のように見ています。実際、私もその委員会に参加していますのでよく存じておるんですけれども、これは昔と大分、本当に違いました、違うようになりました。  それから第二の問題ですけれども、予算の張り付けという話だと思います。つまり、国別に予算を張り付けていて、相手、受取国は、毎年一定の予算が来ますから、何もしなくても日本から、つまり日本外交的な視点というのは全然忘れちゃって、先ほど柏村先生がおっしゃったような、いわゆるいろんな人権や民主化の問題についても日本提案についてついつい、ついつい忘れてしまうというわけじゃないですけれども、無視しちゃって、これとあれとは別ということで通っちゃうと。  これは毎年、知らない間にというわけじゃないけれども、一定の予算が自動的に付くものですからね、そういうようななれ合いの、外交のなれ合いが出てくると。それは今、厳粛にチェックをしなきゃならないということで、必ずしも国別の計画というのは、従来どおりの計画でないと計画どおりに予算を付けないと、こういう方向で行こうじゃないかという議論はされている最中ですし、私はそうあるべきだと思います。
  21. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、下村参考人お願いをいたします。
  22. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 同じような仕事が多くの組織によってばらばら実施されているということですが、これは予算をごらんいただいても、各省技術協力予算が、細かくというとあれですけれども配分されていて、その金額はほとんど増減がないということがあると思いますね。その各省の下にある機関がいろいろな形で技術協力をやっている。ただ、そうだからといって成果が上がっていないということではなくて、非常にいい仕事も行われています。もちろん、問題のある仕事もありますけれども。  問題は、予算が、先ほどアップストリームのところで申し上げましたけれども、非常に小規模分散になって、人も小規模分散で張り付けられていますから基本的に無駄があると。それを集め、統合できたらずっと有効な使い方ができるであろうというふうに思うわけですね。  もう一つ、同じような仕事が重複して実施されているということなんですが、これは、例えばある事業をやるときに、あるいはある国に援助を出すときにいろんな方が説明を求めるということが、これは昔からあるわけでしょうけれども、援助実施機関側からいうと説明する相手がどんどんどんどん増えているということだろうと思います。例えば国会の方々に御説明をする、あるいは各省に御説明をする、NGOの方々にも御説明をするというふうになってきて、それだけで相当な時間と労力を取られているということも実態だと思います。ですから、チェック・アンド・バランスは、後のチェックはきっちりやるけれども、権限は移譲してとにかくやらせてみるということも必要ではないかというふうに思いますが。  それから、最後に一つ、要請なんですが、要請主義という受け身の姿勢は問題があると思いますけれども、要請という手続自体はないと、途上国のいろんな実力者がばらばらにパイプを持って援助を求めてくるということにもなりましょうから、そういう手続自体は、統合した手続というのは重要だと思いますけれども。
  23. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  今日は、御多忙の中、参考人としてお越しいただいて本当にありがとうございます。  日本ODA予算というのは、一九八九年は約一兆三千七百億円、国民一人当たりにしますと一万一千二百円という金額だったと思うんですね。それで、二〇〇二年度の場合も九千億円余りと、最近は減少に転じていますけれども、さりとて世界第二位の援助額だと思うわけです。そのやっぱり元は国民の皆さんの大切な税金ですから、ですから途上国に対して本当に有用な活用であるのかどうかということがODAの問題では問われなければならないと思うわけなんですね。  その基本精神も、日本国憲法の前文にありますけれども、「全世界国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と、ここにあると思うわけです。  そこで、荒木参考人にお伺いしたいと思うんですね。  日本ODA世界の貧しい国々の経済社会開発に貢献して、その人々の生活水準の向上に本当に寄与するものになっているのかどうか、この点なんです。  私、ちょっと心配事があるんですけれども、開発事業の受注を日本企業が受け取ることで税金の還流の場になっているのではないかという問題でありますとか、最貧国や貧困層の皆さんに対して圧迫しているのではないかと。もう一つは、巨大ダムなどの建設などに見られて、環境破壊が広がっているのではないかと、こういうことを心配している点があるんですけれども、そういう問題について是非御意見をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  24. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、荒木参考人お願いをいたします。
  25. 荒木光彌

    参考人荒木光彌君) おっしゃるとおりで、前半の憲法前文についてはもう一つ国際社会において我が国は名誉ある地位を占めたいということがありまして、それで国際社会に対する貢献ということで一つはやってきたんですけれども、今のODA有効性というか、本当に貧しい人々のためになっているかということにつきまして申し上げますと、実際は今、貧困削減計画ということで世界銀行を中心として世界的な流れになっているんですけれども、日本の、これは全世界的なレベルじゃないんですけれども、日本は戦後間もない、戦前においていろいろ迷惑を掛けた国々を中心として、東南アジアですね、に対する援助から始めてまいりましたけれども、現実にそれだけじゃないというか、それはなかなか検証できないので困っているんですけれども、実際の姿としてはその国の経済を発展させ、その国自身の自助努力というか、自分の力で自分の国民を困難からというか貧困から救済していくというのが自助努力ということと併せて重要だと、こういう流れで我々はずっと戦後やってきたラインはあるんです、一つは。  それについては、間違いなく現在のASEAN諸国を見ると、そのことがある程度立証できるんじゃないかと。逆に言うとアフリカ等、ヨーロッパが本来、地域的に分担じゃないですけれども、責任を主に持つべきアフリカ等についてはああいう状態になっているというのは一体これはいかがなものかということを議論の論点に一つはしたいと思いますが。  さて、問題は最貧の人たちに対する問題で、東南アジアでもたくさんそれは問題があります。実は午後、私が総合司会するパネルディスカッションの中では、この新しいODAインフラの流れを追ってというシンポジウムがあるんですけれども、この場合の日本のインフラの援助というのの視点というのは、主に今までは経済成長をすればいいと、そういう経済成長のためのインフラ整備が重点課題だったんですけれども、その経済成長の先に何が見えるか。つまり、国民が見えるのか、貧しい人たちが見えているのか、あるいは環境はどうなっているんだと、こういうような視点を入れた、新しいインフラをやるにしても、そういうガイドラインというか、そういうものが必要でないかという議論をしている最中でございまして、おっしゃるように、確かにその開発途上国の場合も経済成長、オリエンテッドというか、それを中心に目指してきた時代は経済を成長させりゃ何とかなるということだったんですが、これは非常に、話は非常に長くなりますけれども、うまくいかなかった面がありまして、その辺をもう一遍我が国としてもまずアジアを中心にもう少し見定めていくというか、その方向を改革しようというような方向にあります、あると思います。  実際上、緒方貞子さんも今JICAの理事長をやっておりますけれども、例えばアフガニスタンの道路につきましても、二年、三年ぐらい前から早く道路を造ってくれということを言っていてもなかなか欧米諸国は造ってくれない、最終的には日本がアフガンに道路を造ることになったということを申しておりましたけれども、やはりそういう道路、港湾等々その国の発展にとって非常に重要なものはやらなきゃならない、そういうことはそう思っているんですが、今まではどちらかというとその経済のパイの配分について非常に偏ったパイの配分があったということだったんですが、これは冷戦構造下の下で強い政府を作るというその自由世界の大きな流れの中で開発独裁的なものがどんどんできたわけですが、これから人権民主化の流れの中で、例えばインドネシアの、つい先年度も地方を回ってまいりましたけれども、かなり分権化が行われていまして、各州で独自の開発構想を持って、その州ごとに自分の州民の自立に向けていろいろなことをやり始めています。それから、海外のNGOの方もどんどん入ってやっております。  そういう流れの中で、一つは貧困のところには手が向かいつつありますが、結論から申しまして、今までは、冷戦中のいわゆる経済協力には多々そういう問題があって、本当に貧困のところまで手が行かなかったということは認めざるを得ないというふうに思っております。
  26. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市でございます。  お二方から、途上国の実情やあるいは要請を踏まえて、かつ日本社会の、国際社会での日本の信頼の構築や、あるいはまた日本の納税者に説得力のあるODAのルール作りといいますか、まあ決算委員会指摘事項にしてもいいくらいの中身を御教示いただいたことについては感謝を申し上げたいと思います。  そこで、時間の関係もございますので、私は下村先生に二点についてお伺いをしたいと思います。  先ほど来の質問とダブらない形で行いますが、一つは、先生の、ジュビリー運動のことについてお書きになっておりますが、さっと目を通させていただきましたが、この債務帳消しの運動が、お書きのとおり、ローマ法王などの既存の権威であるとか、あるいは先進国NGO、あるいはイギリス労働党左派などの支持を得て広がってきたと。それで一度は成功を収めたけれども、この後どうなるのかという問題を投げ掛けられておられるわけですけれども、その後もこの債務帳消しの運動というのは続いているわけですね。この二〇〇〇年以降、これに対する国際的な貸手の側、貸手の側のこの評価、あるいは対応というのはどのような動きになってきておるのか、ひとつ御教示いただきたい。  それから二つ目に、日本のこのODAは、無償援助よりも有償援助、つまり円借款の比率が圧倒的に高いという、こういう特徴を持っているわけですが、これはなぜこうした有償が中心といいますか、この比率が高いこういう構造になってきたというふうに下村さんはお考えになっておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  27. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 下村参考人お願いいたします。
  28. 下村恭民

    参考人下村恭民君) ありがとうございました。  まず、債務帳消しの点でございますが、ジュビリー二〇〇〇の活動が一応の成果を収めた後につきましては、いろいろな検討が進められておりますけれども、大きな柱ができたとか大きな流れが見えてくるということではないと思います。  基本的に何が障害になっているかというと、重債務の最貧国に資金を出すということになると、それは、これからはグラント、無償でございますね、贈与でなければいけないわけですけれども、実際そういう国を相手に支援をしている主要なドナー、例えば世界銀行、あるいは援助機関ではございませんが、IMF、あるいは地域の、アフリカですとアフリカ開発銀行というような開発金融機関は基本的にグラントの仕組みを持っていないと。日本と同じ、日本と同じというか、日本円借款と同じような有償資金協力でございます。  これをできるだけグラントの比重を高めていくということが検討されておりますけれども、そうするためには、今度そういう機関の、国際機関資金を、要するに予算を確保する必要があるわけですが、それがなかなかうまくいかない。今の状態でいきなり融資中心からグラント中心、グラントに一気に移してしまうと、国際機関からのそういう非常に貧しい国に対する資金の流入が、パイプが細くなってしまうだろうと。これは日本についても言えると思いますけれども。ですから、そういう予算措置から、財源確保から始めないとうまくいかないということだろうと思います。  ですから、債務削減を叫んで達成することはまあそれはできるわけですけれども、その後どうやってこれらの貧しい国々を持続可能な形にするのかということは、まだなかなかその財源の問題があってうまくいっていないということだと思います。  有償中心の問題でございますが、私は二つの理由があると思いますけれども、建前と本音ということだと思いますが、建前としましては、やはり全部ただでお金あるいは物を上げてしまうよりも、少しでもそれに対してお金を払って自分で活用するということが有効だという考えがあると思います。これについては、NGO途上国のスラムとか農村でやっている活動でも、ただで上げるというのは少なくて、やはりほんのちょっとでも負担してもらうということが中心だろうと思いますので、そういう考え理念一つあると思います。  ただ、恐らく、日本がこれだけ有償中心円借款中心になりましたのは、その理念もさることながら、実態は予算制約予算制約の下でどんどんODAを伸ばしたと、七〇年代からですね。そうすると、一般会計の予算では十分に伸ばせなくて財政投融資を活用せざるを得ないということで、そういう資金的な制約でこういう構造になっているんだと思います。  ですから、今御質問があった二点とも、結局、最終的には財源の問題に帰着するということではないかと思いますけれども。
  29. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございますが、今日は本当にいろいろお話、ありがとうございました。  お聞きすればするほど、何かODAというのは幅広くてつかみどころのないような感じがして、何をお聞きしていいか分からないんですが、私なりに考えますと、援助といいますか、ODA援助というものが人それぞれみんな認識が違うんじゃないかと。これは相手国も、政府一般国民とは違うと思うんですね。  例えば、無償援助なんか米をやったとしても、日本から米をやっても、政府はただでもらっても、国民はただじゃないですよね。ある程度有償で売って、その金がまた政府に返ってくるというような格好ですし、日本の国でも、やはり哲学を述べるものと、それから、一般国民はどちらかというと差し上げる、相手に施しを、恩恵を施すというか、そういうような考え方が強いと思うんですけれども、実際に携わっている人は必ずしもそうではないというふうな認識があって、その辺がどうそれぞれの立場を満足させるか。これは一つ透明性ということがあるんだろうと思うんですが、そこで私なりに、レベルは低いんですけれども、やっぱりもろもろの問題、ODAに対する問題、それから疑問あるいは疑惑あると思うんですけれども、その根源的なものは、やっぱり決算的な視点からのアクションといいますか、予算の執行管理といいますか、その辺がちょっと欠落しているんじゃないかなというような感じがしてならないんです。  それで、かねてからいろいろ決算委員会の場等で質問させてもらっているんですけれども、そういうものを、そういうものをもしやるとすれば、要するに、ちょっと思い切ったやり方かもしれませんけれども、私は、ひとつ日本の会計検査院並みの検査というものをそのODAについても持ち込めないか、こう言うと、やっていますと言うんですね。ただ、やっているのは確かにやっているんですけれども、会計検査院は相手国の日本機関外務省、在外公館とかJICAしかやっていないわけですね。日本でやっている、日本国内並みの検査というのは、実際に現地に行って、本当に指示したとおりに建物ができているか、それと、ちゃんとコンクリートの厚さまでいいか、そういうところまでやっているんですね。それで、そういうところに割合何か不純なものが入っている感じがあると思うんですね。又は、そういうことを検査することによって、執行、予算執行そのもの、ODAの執行そのものが、そのものをしっかりやろうという気持ちが芽生えてくるんじゃないかなというような気がするんです。  それで、かねてからこれ質問するんですけれども、なかなかいいお答え得られないんですけれども、そういう日本国内並みの検査といいますかね、もう一つ踏み込んだ検査が必要かどうか、それから、そういうことが可能かどうかですね。これは、簡単に言えば、主権を侵害するとか、国際的信義の問題からそういうことまで踏み込むべきではないというような意見も聞きますけれども、こういう点の決算的なアクションといいますかね、こういうエバリュエーションをやるということがひいては、逆にうまい、いろんな面に波及してうまい予算執行になるんじゃないかなというような感じがするんです。  それともう一つは、そう言いますのは、これは相手に与えるといいますけれども、ODA予算の随分多くの部分日本企業に入ってきているんですね。例えば、無償援助の物的資材というのはこれはほとんど日本企業からの購入じゃないですか。それから、先日、円借款おっしゃいましたけれども、二年前の平成十四年度だったですかね、円借款であれですね、大体総額三千億ぐらいのうち八百億円が日本企業に入ってきているんですね。ということは、日本予算と、先ほど遠山議員も同じようなことを言われましたけれども、要するに日本予算と同じような要素もあるんで、その辺、日本国民の納得をさせるためにもそういう検査が必要じゃないかなと私は思うんですけれども、御見解をお聞かせください。
  30. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 両参考人ですか。それでは、荒木参考人からお願いをいたします。
  31. 荒木光彌

    参考人荒木光彌君) その会計検査院並みのというお話がありましたんですけれども、先ほど申しました評価の問題でございまして、今、先生おっしゃった問題の我々が議論しているその論点の一つは、今までの、特にJICAの場合もそうですし、JBICの場合もそうですが、インプット型ということで、何かとにかく仕立てると、プロジェクトを仕立てる、作るということに重点を置いて、先ほど申しました、予算が増えたのにつれてとにかくプロジェクトをどんどんどんどん、粗製乱造という、言葉は悪いけれども、どんどん作ることが、もうとにかく追われたと。今はだんだん予算が減ってきましたから、これから本当にやることは、アウトカムというか、その後、そのプロジェクトがその社会にどういう影響を及ぼしたかということの評価をどんどん深めていこうという流れにあります。ですから、一つは、評価体制を、先ほど提案がありましたように、第三者機関でも結構ですけれども、何かちゃんとやるという方向が一つあります。  それから、会計検査院の問題につきましては、実はアメリカの場合は、かつてフィリピンもそうですけれども、インドネシアの場合でも軍事関係の費用がどうもよく分からないというときに、我々は基本的には内政不干渉という建前を取っているんですが、アメリカはどんどん乗り込んでいって全部開いちゃったんですね。その結果、日本に情報をいただいて、ちょっとおまえのところのここがおかしいよというふうなエピソードが入ったというぐらいなんです。  ですから、これは国力の関係ですかね、やっぱり、何の関係かは知りませんが、とにかくアメリカは入ってやる、時々抜き打ち的にやる、日本はそれができないということでございますが、一つの原則は、日本援助というのが内政不干渉というのを今まで建前としてやってきたので、その前提で入れないということではないかというふうに考えております。  私の見解はそんなところです。
  32. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、下村参考人お願いいたします。
  33. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 会計検査の現地での検査ですが、これにつきましてはいろいろ問題があるだろうと思います、実施する上で制度的な制約があると思います。  今、荒木さんも言われましたけれども、今、委員がおっしゃったような目的を達成するということであれば、今すぐにでもできることは第三者の評価を拡充するということだと思いますね。  それで、我々どうしても、先ほど申し上げた制度的要因ということですが、やはり相手も独立国だということですけれども、それに加えまして、私、レジュメで書きましたように、近年特にひどくなっているんですが、援助を出す側が途上国に対して非常に強圧的な立場で臨むことが多くなっている。やはり、途上国側から見て、要するに、援助をしているんだから、先ほどもお話のあったようなアメリカのような形で強引に干渉するということが途上国側から見てどういうふうに見えるかということも考えながらやっていくということになると、ドナー側の有識者が第三者の立場で客観的に調べるという仕組みを拡充するということが最も穏当な、また有効な方法ではないかなと思いますけれども。
  34. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  以上で各会派の質疑が一巡をいたしました。これより正午まで自由質疑を行いたいと思います。  質疑のある方は挙手をお願いします。ちょっとそのまま手を挙げてください、質問をしようという意思のある方。  まず、それじゃ、最初の各会派代表の方は後回し、既にされた方は。どうぞ、順番に今から申し上げます。木庭委員、それから広野委員、齋藤委員、あと、それじゃ、順次、どうぞ手を挙げてください。  それじゃ、十二時に終わりたいと思いますので、自民党の方は少々遠慮しながら手を挙げておりますから、順次、効率よく御発言をいただき、先生方もひとつ効率よくお答えをいただきたいと思います。  それじゃ、まず木庭委員から。
  35. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎と申します。一杯希望者がいるようなので簡潔に御質問だけさせていただきたいと思います。  お話をお聞きして、一つは、ODA基本法のことについてどう考えるかという話をお二人からお伺いしておきたいと思うんです。  いろんな問題点を聞いていくと、ODA大綱を確かに見直しましたが、それでいいのかという問題はあると思います。特に、参議院は国際問題調査会でこの基本法の問題についてはもう特に論議をした院でございますので、お二人からこのODA基本法、必要性の問題について御意見だけ伺っておきたいと思います。
  36. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、下村参考人からお願いします。
  37. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 基本法ですが、そういうものがある国とない国とがございまして、日本と同じシステムでやっている国もございます。  それで、二つのグループのODAを比べてみて、どちらがいいとか悪いとか、有意な差は見られないように思いますので、どちらのやり方でもやれるということを、まずそういう事実関係を申し上げた上で、基本法に相当するものは独自の役割を持つと思いますけれども、ただ、細かいところに非常に、実施の細かいところを制約しないような工夫をするということが重要だというふうに思います。
  38. 木庭健太郎

  39. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 済みません。荒木参考人
  40. 荒木光彌

    参考人荒木光彌君) 基本的に私は総合戦略、司令塔的な役割という話を先ほど申しましたときに主張しましたように、どう考えてもこれは、いずれこの基本法というのは作らざるを得ないんじゃないかというふうに考えております。  今現在第一位のアメリカは対外援助法というのをもう既に一九六四年の初めに作っております。それで、これはまたこれでいろいろと問題がありまして、重複する問題とかいろいろあるんですけれども、一応その中でちゃんとした、一つは、やっぱり基本法を作ることによってこの国会の場で議論をする、それがやはり国民的な関心になって、ちゃんとした正当な、つまり情報が国会から発信されるという、これも非常に重要な僕は役割一つだと思っていますし、それから援助基本法の中で、例えば今予算も、要するに国内が不景気になったら減らしちゃおう、景気が良くなったら増やしちゃおう。非常に不徹底というか、一本線が通っていない。これにやはりちゃんとした歯止めというか、ODA基本法の中である程度の見通しを、具体的な数字でなくても、伸び率とかあるいは減額率の最低、その限度をやっぱり決めていくということも必要じゃないかと思っております。
  41. 広野ただし

    広野ただし君 民主党の広野ただしです。  両先生にお伺いしたいんですが、戦略性の問題、これはもう非常に重要なことで、そのときにやはり私は政治の関与、政治家個人ではなくって国会の関与というのは非常に大切だと思っております。  それで、外交防衛委員会ですとかそういうところではまた基本的な戦略というものはやると思いますが、私たちの決算委員会、あるいは行政監視の立場からやはりちょっと質問をさせていただきたいと思っておるんですが、これだけ日本が七百兆円もの借金をしているときに、海外にできるだけ選別をして有効な、適切な援助でなければ国民の皆さんはやっぱり納得しないんじゃないかと、こういうふうに私は思っていまして、そういう意味では、核開発をやっている、あるいはABC大量破壊兵器を開発をしている国、あるいは海外に軍事援助をしている国、そういうところに果たして人道援助以外のお金を出すのは果たしてどうなんだろうかというやはり国民感情があるんではなかろうかと思っております。  例えば中国、これはもうテークオフしちゃって、しかし海外にも軍事援助はする、軍事拡大はする、核兵器は持っている、こういうような話でもありますし、そして先ほど岩本荘太先生がおっしゃいましたように、チェックをする、発展途上国の会計検査院等とも連携をしてチェックをして不正のないような何かそういう仕組みを、有効な仕組みが作れないだろうか。やはり、第三者機関とはいうものの、なかなかある意味で深く入っていけないですよね。ですから、やはり連携を強化してやっていけないだろうか。  ただ、発展途上国はやはり会計検査院というのは弱体だと思うんです。民主主義国、先進民主主義国こそそういう会計検査的な立場というのはしっかりしていると思いますけれども、どうしても発展途上国はそういうところが弱いというふうには思っておりますが、何かそういうところに手だてがあればというふうに思っております。
  42. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) お二方への御質問ですか。
  43. 広野ただし

    広野ただし君 はい。簡潔にひとつ。
  44. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 下村参考人からお願いいたします。
  45. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 二点申し上げます。  国会の関与、さっき言われましたように、政治家個人あるいは政党でなくて国会が関与するという仕組みを拡充するということは、おっしゃるとおりだと思います。  そうしますと、目が届くようになるとおかしなことが一杯出てくるというふうに普通思われているんですが、そういうこともありましょうが、効果が上がっているということも同じように確認されるということを強調しておきたいと思います。何か、すべていい加減ですべて効果が出ていないというように何かイメージがありますが、大半のものはそれなりの効果が出ていて、残念な結果に終わっているものもあるというのが実態だと思いますので、是非現地を調べていただいて、効果が上がっているというところも掘り上げていただくということが重要だと思います。  それから、効果が上がっていない場合に、それを選別していくというのが今一つの国際的な流れになっておりますが、ここで注意しなければいけないのは、非常に貧しい、低開発の状態にある国ほど効果が、援助効果は上がりにくいということなんですね。ですから、税金を投入してうまくいくというところに軸足が掛かり過ぎると、割合能力のある国が中心になってしまって、本当に援助が必要な国が排除されてしまうということになる、そういうことにならないように留意しながら進めていくということが重要だと思います。
  46. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 荒木参考人お願いします。
  47. 荒木光彌

    参考人荒木光彌君) 国会の関与というか、国会がそういう援助基本法も含めまして、ちゃんとした視線をこのODAにちゃんと当てていくと。今まで当てていたかというと、必ずしも当てていなかったと言ってもいいんじゃないかと言われるほど、関心が非常に強くなかったんですね。やはり、そういう点のことでいわゆる行政の独走を許したということがありますから、やっぱり国会はちゃんとこのODAというのをチェックする必要があるということはもう言うまでもないと思います。  先ほど戦略性の問題を言いましたけれども、人道援助、軍事援助、軍事援助等のやっている、軍事予算を増やしているところの国等については援助をいろいろ考えてストップしていくべきだとかいろんな議論があります。片や、このODAの中には先ほど申しましたようにそういう大義が二つありまして、一つは要するにそういう人権民主化、そういう世界の平和というところにも関係しますけれども、もう一方では非常に厄介な問題なのは、日本のやはり国益というか、長期的な国益ですけれども、そういう視点という論点もありまして、これがどうバランスをするかというのがなかなか難しいんです。  そういう意味においても、先ほど申しましたように、やっぱり戦略会議というか司令塔があって、ちゃんと日本国としてどう考えていくのかという視点を深めてもらいたいというふうに考えております。
  48. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁です。  今の広野さんの質問にも実は大分ダブるんですが、率直に申しまして、この決算委員会で新年度にもそれぞれの国へお邪魔して調査をしていこうという目的で今動いているんですが、内政干渉があってはならないという基本的な立場、私も同様だというふうに思いますが、今日はなかなか短い時間でお答えできないんじゃないかと思うので、もし今後、今お二人方が御指摘いただきましたけれども、国会が現場に行く、途上国に行く、こういう視点、そしてこういうような対応を国会議員として、立法府として行うべきではないかということを是非御指摘いただければ有り難いと思います。これは後日でも結構です。  それから、お二人に共通しますのは、特に下村さんのレジュメでも、同じような仕事が多くの組織によってばらばら実施されていると。それから、省庁別化、そして先ほどの総合開発戦略本部が存在をすると。これは絶えずいろいろ繰り返されていることですよね。なぜなんだろうと、なぜできなかったんだろうということについてやはりひとつ触れていただければ有り難いなというふうに思います。なぜできなかったんだろうかと。予算面の統合が行われればこの領域での日本ODA業務の水準を大幅に改善できる等も下村先生からも御指摘いただいていますが、そこら辺について解明いただければ有り難いというふうに思います。  以上です。
  49. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、下村参考人からお願いいたします。
  50. 下村恭民

    参考人下村恭民君) まず、二つ目予算統合についてですけれども、私は予算が従来どおり各省機関に、これは技術協力、特に顕著ですけれども、配分されているというのは、結局、行政の論理でそうなっているということだと思うので、正にそこを抜本的に統合、変革するというのは政治の仕事ではないかなというふうに思います。ただ、その前に、やはり実態の把握というのが相当、情報収集が必要だと思いますけれども。  それから、現地に国会の先生方が行かれるということは大変重要だと思うので、その際、是非お願いしたいと思いますのは、うまくいっている場合でもうまくいっていない場合でもいろんな問題点というのがあるわけですから、なぜその問題点が発生したのかという点について、無能とか怠慢とか、それもあるんだろうと思いますが、そういうふうなところだけで考えていただかないで、私は制度的制約条件と申しましたけれども、どういう、日本側あるいは途上国側、あるいはもっと広く国際援助社会でどういう制度的な制約条件があってこういう問題が起きているかということを洗い出して改善につなげていただけると非常に有り難いと思います。
  51. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 荒木参考人お願いをいたします。
  52. 荒木光彌

    参考人荒木光彌君) 私は、なぜできなかったかということは、もう本当に古くて新しい問題で、本当に二十年ぐらいこういう話をしてきているわけですね。  思うに、やっぱり、例えばODAに関する閣僚会議等も随分、閣僚協議会とかやっていますけれども、もういろんな政権、自民党政府の中で過去あったりなかったり消えたり出たり、その都度の政権の趣味というか、その関心度によってそれを開いたり開かなかったり廃止したり、いろんなことをやってきたんですね。これは一体何なんだということは、つまりODAというのがやっぱり国策としてちゃんとした、腰を据えて議論をされていないというのが第一点。  したがって、それが多分に、日本というのは何かそういう一つ制約がないとできないのか知りませんけれども、やはり援助基本法のようなものをですね、ぴしっとやはりその役割というか、政府役割、国会の役割も含めて明記するというところがやっぱり欠けていたのかなと。長い間の長期政権下においてなあなあでやってきたというところがこういうものを実現できなかった問題だと僕は思いますね。
  53. 川橋幸子

    川橋幸子君 お二人の先生、大変ありがとうございます。民主党・新緑風会の川橋幸子と申します。  時間が短いので、聞きたいことはたくさんありますが、荒木先生、下村先生、それぞれ一点ずつ伺いたいと思います。  まず、荒木先生の方には、無駄なODAとか、これだけ我が国財政が大変なときになぜ他国にまで支援しなければいけないのかといった、ごくごく一般日本国民日本の市民に対するODA役割、意義というものが、これは私は外務省仕事ではないかと思いますけれども、やるべきではなかったかと思います。  一番ベーシックになるのは、私、戦後、給食を食べて育った世代でございますけれども、原爆とか大きな被害に遭いつつも逆に支援も受けたわけですね、ララ物資なんというのも覚えていますし。何というんでしょうか、やっぱりお礼の気持ち、先ほど謝罪の気持ちでアジア諸国にというお話もございましたけれども、謝罪という後ろ向きな話ではなくて、やっぱりODAの哲学の中、国際社会、そんなに麗しいものではないことは私も分かりますけれども、ベーシックなところで、人道支援というものは、やっぱりお礼の気持ち、あるいは経済大国になったその国の、北の国の南の国に対する一つの義務というような、そういうところをどこかでしっかり言わない限り、無駄だとか、例えばこんなに困っているときとかって非常に後ろ向きな悪循環の話が出るということが一つ。その点どのように考えていらっしゃるか伺いたいと思います。  それから、下村先生、参考人の方には、NGO、これなくして国際協力は有効には動かないと思うわけでございますけれども、今、とにかく日本NGOはまだそこまで育っていないということはだれの目にも明らかでございます。NGO支援をどうすればいいかということでございます。  先ほど自主性を損なわないようにしなければいけないということもおっしゃっているわけでございますけれども、アメリカのような場合には援助の中の何%、プロポーションを決めてNGOの枠組みを取るというようなことがあるのかどうか。  それから、NGOの中がまたずっと硬直的に公共事業のような談合のような問題を抱えないようにするためにはどこでチェックしていけばいいのか。NGO支援は必要だとして、それを今からやるとして、どのようにやっていくのがまず第一歩として必要かということを下村参考人からお伺いしたいと思います。
  54. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) まず、荒木参考人からお願いいたします。
  55. 荒木光彌

    参考人荒木光彌君) 正に、その大事な哲学の部分でございますけれども、昔から、先ほど憲法前文の話が出ましたけれども、戦後間もなく日本国際社会にとにかく復帰して、国際的な信頼を得て、日本の繁栄と安定を得たいということで非常に懇願してやってきたのはむしろ戦後の政治家であり、戦後の日本人でなかったかと僕は思いまして、だんだんだんだん日本が逆に豊かになってきて、それでその中でなぜ援助しなきゃならないかということの声が大きくなったと非常に不思議に思っております。  なぜかというと、我々、その当時は世界銀行から借金をして高速道路、つまり東名高速をやりながら、やりながらやはりその東南アジアの国々の発展のために寄与するということで、応援していこうということでやってきたというのが大きな流れとしてあるわけですね。その流れというのがいつの間にかすっかり忘れ去られちゃって、一体なぜ援助するのかということが一つ議論になっているというのは、多分にその援助の思想というのが実は欧米の輸入額みたいな、これ援助という言葉は輸入のランゲージだと言われているわけですね。  で、その哲学に関し、中身もどちらかというと欧米流の考え方に我々浸り切ってきているんですけれども、しかし、いずれ日本日本としてやっぱりやるべきことというのは、私は憲法前文に書いていますように国際社会において名誉ある地位をやっぱり得るという、この日本の誇りというか国徳というか、国の徳というものをやはり売り物にしなければ世界の信頼はかち得られないと。それを子供たちに今からいろいろと教えていこうということで、実は開発教育というのが非常に盛んになっておりまして、実はODA予算の中でも開発教育大いにやれと、本来ならば文科省が、文部科学省がこういうことに着眼して日本の教育に力を入れるべきなんです。それをやっていないというところに問題があるというふうに考えております。
  56. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 下村参考人お願いいたします。
  57. 下村恭民

    参考人下村恭民君) NGOとの連携の在り方、あるいはNGO育成の取組ということですが、非常に難しい問題だと思いますけれども、私、さっきレジュメにもNGOの、日本NGOの国際競争力の不足ということを申し上げましたが、そのとおりなんですけれども、しかし局所局所では非常にいい仕事をしているNGOがいることも事実で、いわゆる大手の国際NGOと違って日本NGOは、スモール・イズ・ビューティフルだけでないかもしれませんけれども、バングラデシュの村とかネパールの村とかあるいはアフガンの村で非常にいい仕事をしているということは事実だと思います。しかし大きな、大きくなっていくためにはやはり今のままではなかなか大きな仕事をするためには難しいところがあると。  そこで、やはりどうしてもそこは財源の問題になってしまうんですけれども、特に政府からやたらにお金が流れ込むというのは、いいこともありますけれども注意すべき点があるのでできるだけ寄附が増える必要がある。そこで、レジュメでも優遇税制とか申し上げましたが、こういう現実が実はございます。  日本企業、特に大手の企業が実はかなりNGOに献金をしておりますが、その対象は日本NGOよりもほとんどの場合国際NGO、登録という意味では日本NGOなのかもしれませんけれども、本部が欧米にある巨大NGOなんですね。それで、その巨大NGO日本法人に行っていろいろ話を聞くと、名立たる大企業、グローバル企業がずらりと名前を並べております。そういう現実があると。これは、当然なのかもしれませんけれども、その辺のちょっと流れが変わらないかなと。一部だけでも流れが変わると相当変わるんじゃないかなというふうに、要するに資金的な、財務的な体質の改善という点で状況が変わるんじゃないかなというふうに思っております。
  58. 三浦一水

    ○三浦一水君 荒木下村参考人にお尋ねしたいと思いますが、先ほど、なぜODAに関する総合開発戦略本部が今日まで持て得なかったかという議論の続きなんですが、これから持つとするならば、どういうイメージのもの、あるいは一歩進んでどういうものを理想とするか、すべての制限を、ないところで御意見を聞かせていただきたいと思います、両参考人に。
  59. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 荒木参考人からお願いします。
  60. 荒木光彌

    参考人荒木光彌君) 基本的には、なぜ総合戦略会議、つまり司令塔が必要かというと、先ほど申しましたように、外務省中心とした調整役をやっていくんだということには一応なっているんですけれども、役所権限とすれば、外務大臣もほかの大臣も、これイコールなんですね、権限が。ですから、横並びでございますから、言ってみれば、十分の一とか十一分の一の存在にしかすぎないということで、なかなか調整し切れないわけですね、外務大臣だけでは。そして、もうどうしても日本の全体の総合的な長期的なビジョンを立ててやっていくとすれば、各省の壁を超えてやらなきゃならない。  そうすると、やはり総理大臣なり直下のそういう総合戦略会議に、でき得るならば与野党一緒になってそういうものを作っていくというのが一番理想だと思いますけれども、一応今までの議論の中で私も聞いてきたし、私もそれは賛成ですけれども、やはり総合戦略会議というものはどちらかというと権限の強い総理大臣直下でやっていくというのが一つの姿としていいんじゃないかというような議論もあります。つまり、実行力からいいましてですね。
  61. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 私は、ODAというものの仕事の、あるいは活動の特徴を考えた場合に、特定の単一の官庁が例えば援助庁援助省というような形でそれを総括するということは基本的に無理なんだろうと思います。それはなぜかというと、途上国との、まず途上国との接点、これは大使館にならざるを得ないですが、その大使館のそういう機能を新しくできる援助省あるいは内閣府が有効な形で持てるだろうかと、これは非常に疑問です。それからもう一つ国際機関、特に世界銀行とか各地域の、各大陸の開発援助機関への、あるいはIMFへのかかわりというのは財務省に非常に長い年月を掛けて構築されたノウハウと人脈とがあるわけで、これを統合するということができるだろうかと。  私は、無理に何かきれいな名前の統合官庁を作って機能しないということになるよりは、むしろ実施部門を統合して、それで中央官庁よりもむしろ権限が本来あるべき姿というのは実施機関に移されるべきですから、そこに対して内閣府が、あるいは首相が直結して影響力を行使するということが有効な方法ではないかなというふうに考えますけれども。
  62. 藤井基之

    ○藤井基之君 自由民主党の藤井基之でございます。  私、実は二十年前にインドネシアの日本国大使館におりまして、実は援助、この援助問題、正に担当しておりまして、両先生の御指摘、正にそのとおりだと逐一うなずくような指摘ばっかりでございました。  ただ、ということは、考えたら、じゃ二十年前私が担当していたころも思っていた内容と今両先生が御指摘されている内容とそんなに変わっていないということは、この二十年間は一体援助というのはどういうふうに改善されたのかということについて非常に何か愕然とした思いが今しておりまして、これから何とかこの政治の場から、私どもの委員会ODAの問題についてより改善を図りたいというふうに思っています。  一つだけ、もう時間もあれ、委員長からも、長くやると御指摘、いろいろと言われると思いますが、両先生に一つだけお伺いします。  今日御指摘された中で出てこなかった問題。私、二十年前行って、現地で実は評判が良かった日本援助というのは何ですかと言ったら、間違いなく青年協力隊の彼らの活動なんですよ。非常に狭いエリアですから大きな声にならないんですけれども、彼らの入っている、環境が恵まれていると思えないところで二年間とか三年間やってくれた活動というのは、そのエリアでは非常に高く評価してくれた。  私は、日本援助一つの形として、もっと、今JICAの一セクションになっていると思うんですけれども、海外援助、海外協力隊のような活動をもっと大きくすること、全体のODAの中のウエートをそちらに少しシフトしていくような政策というものを取り入れたらどうかというふうに私、思っているんですが、両先生のお考えをお伺いしたいと思います。
  63. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) それでは、まず下村参考人から御意見を承ります。
  64. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 協力隊の点ですが、協力隊の価値あるいは役割の大きさあるいは現地での信頼感の構築の実績というのはおっしゃるとおりだと思います。  ただ、同時に、協力隊については、これはJICAの、国際協力機構の専門家にも共通するところですが、戻ってきた後の職場あるいはキャリアの問題があるわけですね。  それで、私のレジュメに、二ページ目の二—三のところに書きましたけれども、結局、開発・援助人材の遊休資源化ということが今でも相当目立ってきておりますけれども、これを、青年協力隊の場合はまだ若いわけですから、拡充した場合にはこの点が更に顕在化するということだろうと思います。ですから、それに対する相当な備えがないと、やはり非常に不安定な形で、フラストレーションがたまる形で貢献していただくということになってしまうという点が問題ではないかと思いますけれども。
  65. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 荒木参考人お願いします。
  66. 荒木光彌

    参考人荒木光彌君) 正におっしゃるように、青年海外協力隊についてはそれなりの評価があるわけですが、どちらかというと、協力隊は、現地で触発されて日本に帰ってきて、視野が広くなって国際的な感覚で仕事ができると。どちらかというと、日本国に対して大変大きく貢献するというか、寄与する仕事一つだと思うのでございますけれども、今、先ほど人材の話が出ましたが、キャリアパスとしてのJOCVというのをつい二、三日前講演したばっかりなんですけれども、やはりこの彼らの経験というのが、実はもちろん地方自治体の、地方へ行ってそれを生かされて地域の発展に寄与するということはもう言うまでもないんですけれども、非常に優れた人たちはもったいないので、これは、中には大使館に採用されて大使館員になっている人もいますけれども、そういうODAの専門家として何か育てていくという手が一つがあるんじゃないかということと、それから、JOCVと先ほどお話がありましたこのNGOとの連携ということで、やはりNGOの育成というものは協力隊の育成とやっぱり同じ目線で見ていくべきじゃないかという考え方一つあるわけですね。  最近では、大学で国際開発学部というか、国際開発学科というのがたくさんできまして、学生が実はこの世界で過剰ぎみなんです。今は最大の関心は、この学生たちにどういう職場を今度作っていくかというのが大きな問題でございまして、それで、なるべくJICA仕事を開放して、アウトソーシングして民間に任せて、その民間組織の中で学生を吸収して、あるいはNGOを吸収して、それで民間ベースでやっていくというのは、そういう子供たち、そういう青年たちを吸収する一つ組織としても非常に重要だと思っておりますので、おっしゃるように、協力隊のもっと枠の拡大ということは重要だと思います。  だから、大学における例えば専門家の学生がそこで卒論、卒業論文を書いて博士号取れるとか、そこまでやはり協力隊というものはもっと教育の場にもやっぱり出して、改革すべきだというふうに考えております。
  67. 後藤博子

    後藤博子君 今日は本当にお二人の参考人の先生方、ありがとうございます。  もうたくさん出ましたから一点に絞りたいと思いますけれども、実は私は昨年、ブラジルのヒベロイン・プレス市だったと思います、名前がちょっと確定ではないんですが、確実じゃないんですけれども、たまたま戦後移住五十周年の記念ということで行かせていただきまして、引渡式に出させていただきました。  そこはもう小さな町のリハビリ、障害の方々だったりあるいはちょっと病気の方々を集めた施設だったんですが、そこで引渡式に参加したときの感想になりますけれども、非常にブラジル人はもうおおらかで、おおジャポネーズ、よく来てくれた、ありがとうという、もうすごい大げさな表現をされます。それは大げさというか国民性なんで、うそじゃないと思います。  使われていた機械といいますか道具が、ちゃんと日本の旗がぱあんと入っているわけですよ。しかし、たしか一件につき一千万以下の援助が、一件につき制限があると思いますけれども、八百か九百万ぐらい掛けての援助をいただいたということなんですね。しかし、これってそんなに、幾つかあったんですが、こんなにお金掛かっているのかなという施設の貧しさとか道具の貧しさとかというのがありまして、これはやっぱり、先ほどチェックという言葉も出しておりましたけれども、これは本当に生かされたODA資金の使い方なのかということをやっぱりどこかでチェックしないといけないなという思いがいたしました。  そして、第三者が評価するという、その第三者評価のシステムといいますか、その在り方が、だれが、いつ、どこで、どうチェックしたらいいのかという、一つ一つ、例えば今言った等の施設の中に入って会計検査するのか何なのか分かりませんけれども、そのチェックするシステム、あるいは第三者の評価のシステムをどうあるのがいいのかということをちょっとお考えをお尋ねしたいと思いますが。  だから、理想的な形での第三者評価の在り方といいますかね、私が表現がちょっと、よく分からないかと思いますが、いわゆる心配したわけですよ、えっ、これ本当に使われているのか、正しくって思ったものですから、それをどう、どこでチェックし、評価し、それを次につなげていくのかと。それで、また次に自分はまた要請するのだというふうに、そこの女性の方が非常に次のODA資金をもらうための意欲を示しておられましたけれども、一か所に何回も行くのかとかですね、そういうことも含めて第三者評価の在り方、あるいはチェックの在り方を教えていただければ有り難いんですが。両参考人に一言。もしお考えあれば。
  68. 下村恭民

    参考人下村恭民君) 第三者評価の在り方についてですが、二点申し上げます。  おっしゃったように、本当に実際が、実態が現地で分かるのかということになると、これは検査院であっても第三者評価であっても、あるいは援助機関であってもあるいはNGOであっても恐らく限界があるんだと思いますね。ただ、現地に行って評価をして先方の人たちと話し合うということによって、現地関係者もどうやったらうまくいくのかということを考えるきっかけにするという役割もあると思いますので、これは重要だと思います。  ただ、私は、現在第三者評価をちゃんとやれるだけの能力を持った人材がどれだけ日本にいるのかということも大変問題だと思いますので、限界があると思います。それは、もちろんアウトソーシングして、外国とか国際機関連携していくということも必要だと思いますけれども、それだけでは日本の地位は育ちませんから、できるだけそちらの方の人材も開発する必要があると思います。
  69. 後藤博子

    後藤博子君 ありがとうございます。
  70. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 荒木参考人お願いします。
  71. 荒木光彌

    参考人荒木光彌君) 実は、評価というのが、この事前評価というのがとても大切なんです。で、日本のこれまでの援助を今現在評価をしつつあるんですけれども、評価システムとしてチェックポイントが、援助の計画なりプロジェクトを設定するときにチェックポイントが入っていないんですね。ですから、評価のチェックポイントが入っていなくて今評価しつつあるわけですけれども、それが本当の科学的な評価であるかというのは若干問題があるわけです。  ですから、これからますます、第三者評価もそうですけれども、チェック前の事業を始めるときに事業計画の中に評価のチェックシステムというかチェックポイントをたくさん入れ込んで、今おっしゃったようないろんな価格の面やいろんな問題をどうチェックするかということも事前評価の中に入れ込んでやっていかないと、それが実行の段階に行って更に効果が出たかどうかというのが見えないという。そこのところを一貫性を持ってやっていくべきではないかというのが日本評価学会でも議論されております。
  72. 後藤博子

    後藤博子君 ありがとうございました。
  73. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ありがとうございました。  予定の時間が……(発言する者あり)もう参考人のスケジュールがありますから、これで打ち切ります。  予定の時間が参りましたので、これをもちまして参考人に対する質疑を終了いたします。  お二人の参考人先生に御礼のごあいさつを申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして大変貴重な御意見をお述べいただきましたこと、誠に有り難く、心から御礼を申し上げます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  本日の審査はこの程度にとどめたいと存じます。     ─────────────
  74. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  平成十四年度決算外二件の審査のため、来る二十二日午前十時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会