○直嶋
正行君 ありがとうございました。認識はそんなに変わらないというふうに思うんですが。
日本がそもそも
知財立国に取り組み始めた経緯のそもそもの発端はやはり
アメリカの動きにあるというふうに思うんですが、特に八〇年代の前半ですか、
ヤング・
レポートというのが出されまして、
アメリカが基本的にその
ヤング・
レポートに沿った形での
知財戦略というのを強力に進めてきました。
実は、私も、ちょうどその
ヤング・
レポートが、
ヤング委員会というんですか、
競争力強化のための
委員会ができたころに、まだ国会議員になっていませんが、労働組合の役員をしていたわけですけれ
ども、あの当時、日米貿易問題で特に自動車は非常に大きな焦点になっていましたが、いつもジェトロの出先から
レポートが来るんですね。ジェトロ・
レポートというのがありまして、割合速報で、レーガン政権がヒューレット・パッカードの会長の
ヤングさんを
委員長にしてこういう
委員会を作ったとか、いろんな
アメリカの動きが報告がございまして、実は当時はそれを楽しみに拝見をさせていただいていたんですけれ
ども。
実は、この
ヤング・
レポートがまとまったのは大体八〇年代の半ばでございますから、
日本は二十年後れているというふうに言えると思うんです。
一つは、この後れがなぜこういうふうになってきたかという、なぜ後れたかという問題も
一つあります。
それからもう
一つは、これは
質問というよりも、これから
大臣が
政策をお進めになるときに
是非念頭に置いていただきたいと思うんですが、この
ヤング・
レポートの中では、いわゆる
競争力とは何ぞやということを割合明確に定義をしていまして、我々も、ともすれば
競争力というと、例えば
日本の商品が
世界を席巻するとか、台数でほかの国のものよりたくさん例えば数が出るとか、金額が上がるとか、こういうことを思いがちなんですが、実は
ヤング・
レポートで言っている定義というのは、そういう特に
一つは
世界的に、国際的なマーケットを焦点にして
競争力を高めると、それからもう
一つは、そういうことを通じて究極は国民生活の水準を
向上させると、ここに、これを
競争力だと、こういうふうに定義しているわけです。
私は、
一つは、最近
日本の
議論を見ていまして、やはりそういう物の
考え方というんですか、何のために、じゃ国際
競争力を強化していくかと。特にこのバブル崩壊以降、やはり少し例えば乱暴なリストラもございましたし、どうも、例えば中国へ進出していく話なんか聞いていますと、人件費が安いから行くと、こういうことが盛んに言われたわけですね。
ヤング・
レポートの中で明確に言っているのは、価格を下げていわゆる賃金レベルを低くして競争するという国もあるけれ
ども、我々はそうじゃないんだと、国民生活の水準を高めるためにこれをやるんだと、こういうことを明確にしているんですね。
私は、やはりもう、ちょっと
経済も幸い少し明るい兆しが出てきましたから、改めてそういう何のためにやるかというところの精神をやはりきちっと確立をして、であるがゆえに、やはり
技術で勝負するんであって人件費で勝負するんじゃないと、価格で勝負するんではなくてそういう
技術のレベルの高さで勝負するんだと、こういうことになってくると思うんですが、
是非そういうところをやはり
政策の
一つの根幹の物の
考え方としてひとつ柱にしていただいて、そして
政策を進めていただきたい、これは要望として申し上げたいと思うんですが。
それで、御
質問したいのは、そういう中で見ますと、
アメリカという国はこの
知財戦略をやるために相当強烈なことをやっているわけですね。例えば、中国なんかとも交渉して、何か聞くところによると査察をしていると。ちゃんと
アメリカの
権利が守られているかどうか査察をしていると。それから、USTRという
専門部署があって、ちゃんと
情報がそこへ上がるようになっていて、そして現場へ入って検証できるようになっていると、こういうふうな話も聞いています。
もちろん、法律的にも、例のスーパー三〇一条とか、スペシャル三〇一条なんというのは、これは
知財用の三〇一条らしいんですが、こういうものも駆使してかなり強力にやっているんですが、なかなか
日本はそういうふうにできないですよね。
アメリカのように、例えば中国に行って査察をするなんということは
現実にはなかなかできないと思うんですけれ
ども。
じゃ、
日本はどういう方法でこれからそういう、今
大臣がおっしゃったように、やはり国際的に
日本のそういう
知的財産というのを守っていかなければいけませんから、どういう方法でこれを進めようと。
アメリカのスーパー三〇一条に代わる何か方法論があるのかどうか、その辺はいかがなんでしょうか、ちょっとお聞きしたいと思うんですけれ
ども。