運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-05-25 第159回国会 参議院 経済産業委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十日     辞任         補欠選任      小林  温君     仲道 俊哉君      紙  智子君     西山登紀子君  五月二十一日     辞任         補欠選任      仲道 俊哉君     小林  温君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 秀善君     理 事                 魚住 汎英君                 加納 時男君                 松田 岩夫君                 広野ただし君                 藤原 正司君     委 員                 小林  温君                 関谷 勝嗣君                 保坂 三蔵君                 勝木 健司君                 直嶋 正行君                 平田 健二君                 浜四津敏子君                 松 あきら君                 緒方 靖夫君                 西山登紀子君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    参考人        新日本製鐵株式        会社参与知的        財産部長        社団法人日本経        済団体連合会産        業技術委員会知        的財産部会委員  阿部 一正君        日本労働組合総        連合会総合政策        局長       木村 裕士君        弁理士      大西 正悟君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○特許審査迅速化等のための特許法等の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十日、紙智子君が委員辞任され、その補欠として西山登紀子君が選任されました。     ─────────────
  3. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 特許審査迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として新日本製鐵株式会社参与知的財産部長社団法人日本経済団体連合会産業技術委員会知的財産部会委員阿部一正君、日本労働組合総連合会総合政策局長木村裕士君及び弁理士大西正悟君の御出席をいただいております。  この際、参考人方々に、委員会を代表し、一言ごあいさつを申し上げます。  皆様には、御多忙のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。本日は、皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の本案審査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、会議の進め方につきまして申し上げます。  まず、お一人二十分程度で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席したままで結構でございます。  それでは、参考人皆様から御意見を拝聴いたします。  まず、阿部参考人お願いを申し上げます。阿部参考人
  4. 阿部一正

    参考人阿部一正君) 私は、新日本製鐵株式会社知的財産部長をしております阿部でございます。同時に、社団法人日本経済団体連合会産業技術委員会知的財産部会委員をしております。また、今回の特許法改正に向けて検討をしてまいりました産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会委員を務めました。  今回、特許審査迅速化等のための特許法等の一部を改正する法律案に関して意見を述べる機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。私は、今回ここで、職務発明特許法三十五条の改正に絞って、法案に賛成する立場から意見を述べさせていただきます。  お手元にレジュメが配られていると思いますので、それに大体沿ってお話ししたいと思います。  まず、初めに強調しておきたいことは、今、産業界において知的財産競争力の重要な要素となっているということでございます。その理由は、政府提案理由の中でも述べられていますが、一つは、一九八〇年代に始まる米国の特許重視政策が世界の潮流になっているということでございます。もう一つは、WTOの発足でございます。  自由貿易に参加する発展途上国が続々とWTOに参加するようになりましたけれども、このWTOに参加するためにはTRIPs協定を遵守するということが義務付けられております。それは、参加国において知的財産制度を整える、知的財産を守る、保護するということを約束しなければならないということでございまして、ここに参加した各国はそれぞれ知的財産制度を整えているということでございます。  したがって、これらの国と競争する場合に、知的財産を確保する、これをその競争の武器とするということが必須になっていると、こういう流れの中で知的財産が非常に重要だと。すなわち、広くて強い知的財産、とりわけ特許を早く創造して確保するということが産業界にとって大変重要な点になっております。  あわせて、政府におかれましても、科学技術創造立国、あるいは知的財産立国を表明し、さらに、昨年七月、知的財産創造、保護及び活用に関する推進計画を作成して、応援していただいているところでございます。  このような時期に、企業の中で従業員の行った発明従業員から企業に適正に承継されたかどうかとか、あるいはその承継の際に支払われるべき対価相当の額であったかどうかと、こういうようなことをめぐってお互いに訴訟し合う、争い合うということは企業競争力を失わせることになります。スピードが競争力の重要なポイントとなっているのが現代でございます。  なぜこのような争いが生ずるのか。それは現行制度二つの側面で問題があるからだと考えます。すなわち、一つは、実務運営上この制度には無理があるということでございます。二つ目は、その産業実態あるいは産業国際競争力の観点から見て、この制度経営立場から大変問題があるということでございます。  この点を少し説明させていただきます。  まず、相当対価決め方に関する法律要件があいまいで、予測可能性がないことが問題であるということでございます。特許法第三十五条は、会社の受けるべき利益会社貢献した程度を考慮して相当対価を決めることと規定しています。しかし、会社の受けるべき利益、まずこれについて見てみますと、会社発明によって利益を得るということは、ライセンスによってこの特許を人に使わせることによってライセンスフィーを受け取るということのほかに、自分でその発明を実施して利益を得るということがありますが、この場合、実施も、物の特許のようにこれで商品を作って販売して売るということでもうけるとか、あるいは製造プロセスを改良して、そこでコスト削減を図って利益を獲得するという場合がありますが、いずれもその利益が確定するのは十年、二十年の先でございます。さらに、利益が確定する前にこれを算定しようとしますと将来の利益を想定するということになりますが、この想定の仕方は非常に難しいものがございます。  さらに、もう一つ要件であります会社貢献した程度については、これについては非常に難しい問題がたくさんはらんでございます。まず、どのような項目、どのような事項についてどの程度評価すべきかよく分かりません。また、それぞれの企業はいろいろな歴史的背景あるいは置かれた状況によっていろいろその状況が異なります。態様が異なります。しかも、発明プロセスというのは各発明によって千差万別でございます。その発明に至るまでの会社貢献はいろいろな面で見られますが、発明に至るまでの貢献、それから発明に至ってから事業化するまでになした会社貢献、これはいろいろな多岐な面に及んでおりますが、いずれにしろ、これまでの諸判決裁判所での判断を見ますと、事業化のための会社貢献というものが余り評価されていないというふうに思われます。また、この会社のなす貢献というのは十年、二十年にわたるものでございますから、どのような貢献をしたかというその証拠は散逸しているというのが実情でございます。したがって、職務発明対価についての予測可能性が非常に少ないというのが問題だと思います。  もう一つの問題は、企業経営上の問題でございます。  まず、発明者発明者以外の従業員間の不公平性の問題でございます。  発明利益に結び付けるには、発明を広くて強い特許に仕立てるという特許マン努力貢献が必要でございます。さらに、ライセンスフィーを獲得するためにはライセンス交渉をしなければなりませんが、これはベテランの担当者が汗水垂らしてやる仕事でございます。それから、これを製品に仕立てるとか、あるいはそのプロセスを合理化するとかいう場合は、その事業化を企画する者、現場のエンジニア、販売担当者等、いろいろな人の貢献利益が生ずるわけでございます。にもかかわらず、なぜ発明者だけが給料以外の報酬をもらえるのか、この辺が釈然といたしません。  次に、研究開発は多数の失敗の積み重ねの中からわずかな成功例が生まれるわけでございます。百程度研究をやって一つがうまくいけばこれはもう上できでございます。したがって、そこに費やされる企業貢献というのは大変なものでございますけれども職務発明訴訟実態を見ますと、成功例のみが取り上げられて、成功した場合の会社貢献度は考慮されていないということでございます。これでは経済合理性が成り立ちません。  次に、対価が余りに高額になりますと発明者間の不協和音を引き起こすということでございます。通常の会社における研究というのは大体チームでなされます。何人かのチームの中で、その対価が余り大きいと、自分貢献度を争って配分についていろいろ問題が生ずるということでございます。そういうおそれがあるということでございます。  四番目といたしましては、日本と異なる制度を持つ外国企業と例えば共同研究をするという場合に、その発明対価の費用をどちらが負担するのかということについていろいろ争いが生じる可能性がございます。こういう争いが生じると、日本研究するということに嫌気が差して研究拠点外国に行くと日本研究が空洞化するという事態も考えられます。  以上の問題点を踏まえて、私は改正法へ非常に期待を寄せているわけでございます。改正法案では会社従業員が協議してルールを作る、したがって、それぞれの会社にふさわしい制度設計ができるということでございます。非常に歓迎しております。  これは注文でございますけれども会社従業員との間で、従業員が複数の場合は団体交渉あるいは労働協約みたいなもので作るということになると思いますけれども、そのほかに個別の発明者会社側契約するという道もあると思います。こういう個別の契約がもしできて、しかもその契約が何らの圧力も加えられないで対等の立場でなされたという場合には、その契約内容はもうそれで合理的だというふうに判断していただきたい。つまり、それ以上は裁判所の介入ということはないというふうに運用していただきたいというふうに思います。  それから、既になされた発明について、改正法精神にのっとって企業が対処できる方策を講じていただきたいということでございます。今回、この改正案がもし通ったといたしましても、これは遡及はしないというふうに聞いております。したがいまして、この法律が適用になる発明は、今後これからなされる発明に適用されるということになります。既になされた発明については、これから審査請求をするとか、あるいはオフィスアクションするとかということを通して特許になります。特許になって登録されて、それが利益を生んで特許が消滅するというまでには二十年の時間がございます。その間、従前の規定がそのまま適用されるということになりますと、今回の改正趣旨がなかなか生かされてこないということになろうかと思います。それをなるべく、例えば協定の中にそのルールを決めておけばそれでもよろしいというような解釈がなされてほしいというふうに期待しております。  以上、私の意見を終わらさせていただきます。
  5. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ありがとうございました。  それでは、次に木村参考人お願いいたします。
  6. 木村裕士

    参考人木村裕士君) 日本労働組合総連合会連合総合政策局長を務めております木村裕士と申します。  本日は、特許法改正におけます職務発明に関して労働組合立場から意見を申し上げさせていただきたいと思います。  連合といたしましては、産業構造審議会知的財産政策部会特許制度小委員会委員を出しまして、労働組合としての意見を述べてまいりました。本改正案職務発明制度の部分につきましては、私ども意見が反映されているものと考えております。  法案審議に入るというタイミングに前後いたしまして、青色発光ダイオードや味の素の訴訟判決が出まして世の中の注目を集めましたが、訴訟の中身あるいは裁判の結果の是非はともかくといたしまして、職務発明に関する訴訟が頻発すること自体、私どもは、働く側にとっても大変不幸なことであると考えております。  私どもは、発明によって企業貢献した労働者努力が正当に評価をされ報われるべきということ、その報われ方が研究への強いインセンティブになるということが大切であると考えておりまして、それを前提といたしまして、本人はもとより、最も大事ですけれども企業で働くその他大勢人たちにとっても納得性が担保されること、それがひいては企業の持続的な発展技術立国知財立国としての発展につながっていくということが達成されるかどうかも踏まえまして、本改正案がこれらに資するものと判断をいたしまして、特許法三十五条が改正案内容改正をされることに基本的に賛成をいたしているところでございます。  研究職に就いている人たち研究に対するインセンティブとして何を思っているかと申しますと、特許庁アンケート調査でも、まず最初企業業績への貢献を挙げておりますし、次に研究者としての評価、三番目に報酬だとしております。連合に加盟をしております電機産業組織も過去に調査をしておりますが、多くの技術者は多額の金を得るために仕事をしているということを否定しているわけでございます。こうした我が国研究者マインドというのは、これからも大切にしていかなければならないというふうに思います。  これまでは長期安定雇用をベースにしまして、企業内で真っ更な人間を一人前に技術者とかあるいは発明者にまで育成をして、その間、愛社精神が培われ、仲間とともに研究に没頭して、企業にあるいは自分チーム貢献できるということ自体モチベーションになり得る時代、あるいは社内名声を得る、そういうものがモチベーションになる時代でございまして、ついこの間まではこれまでの制度でも何ら問題はなかったわけでございます。ところが、企業のリストラも相当に進んだということもあるかもしれませんが、これまでの日本的な経営自信をなくし、あるいは否定をされ、かなり乱暴な言い方をすれば、欧米型の企業経営を目指すようになってきたことも背景一つとして考えられるのではないかと、これはロンドン大学のロナルド・ドーア教授指摘をしているところでございます。  日本型の経営における権利、貢献意識というのは、ある意味、準共同体参加意識でございまして、今申し上げましたような、社内名声を高めるあるいは純粋に自分仕事を達成することによって会社業績あるいはチーム業績貢献する、自分研究自体を成功させること自体モチベーションになる。一方、欧米型は、有限的な契約関係意識で他人的な取引関係であって、これは取れるだけ取ろうということになりがちだということでございます。これは表面的なものしか見てございませんが、島津製作所の田中さんと日亜の中村さんとの比較でも対照的に現れているのではないかというふうに思います。  こうした傾向に加えて、高度な技術者知的労働者専門職研究者の横断的な労働市場を作っていこうというようなことにもしなっていきますと、ますます帰属意識も薄まってきて、モチベーションがお金にシフトしていくということになりはしないか、どんどん訴訟が増えていくのではないかという懸念がございます。  しかし、我が国においては、研究自体にかかわることがモチベーションだと言う人がまだまだ大勢を占めているものと思います。ただ、そうはいっても、企業職務発明によって膨大な利益を上げて、一方で企業のその発明者業績に対する評価発明者自身が考えている評価と見返りに乖離があったときに、その乖離が大き過ぎると訴訟に走る人も出てきてしまうのではないかと思います。少なくとも、出願時、登録時に各一万円、都合二万円で、はい、御苦労さんということでは、これはQC活動報奨金レベルの話になってしまいまして、相当対価ということにはならないのではないか、研究開発モチベーションを上げるということに果たしてなるのかどうかということでございます。その発明企業に莫大な利益をもたらすことになった場合に、企業発明者に対してどのように報いるかということについては、本人納得性をどう確保するかということがとても重要になってくると思います。  もちろん、日本の場合には、金で報いるだけでなくて、次の仕事あるいは処遇で報いる、あるいは研究環境整備するということで報いるという形の報い方もあると思います。これは職務発明報償制度だけではなくて、技術職というのは一般的に言って人事処遇の面で冷遇されていると言われております。職務発明をめぐる訴訟の頻発の原因は、この人事処遇制度の貧困にあるのではないかとも言えると思います。優秀な技術者がやりがいを持って働ける環境を作っていくことが、中長期的にこの職務発明をめぐる紛争を抑える上で職務発明規定と同等に重要だと考えております。  いずれにしましても、職務発明に関する訴訟が頻発しております昨今、やはり今の制度では労使双方にとって問題があると言わざるを得ないと思いますし、加えて、訴訟に踏み切るというようなことはよほどの覚悟か自信がなければできないわけでございまして、自分が勤めている企業を訴えるということは普通はなかなかできない。そういう意味では、訴訟件数以外に、不満を静かに抱えた人が潜在的にも相当数いるのではないかと思います。そういう人たちの多くは、自分たち研究が正当に評価をされることを望んでいるわけでありまして、普通は裁判ざたなどにはしたくない、これが普通の日本人の感覚だと思います。  審議会報告書におきましては、こうした不満相当対価決め方経営者側が一方的に決めていることに起因しているとしておりますが、研究職場に働く労働者にとって、やはり納得性のある評価がされるという環境条件整備が好ましいという認識をしております。  したがいまして、改正案が、相当対価決定の際には従業員等関与が必要としていること、そして、その関与状況が不合理であってはならないとしていることは、現行制度と比べて納得性のある対価決定ができると考えております。  元々、日本報償規程を設けている企業は多いと思います。それが経営者側の一方的な取決めによるよりも、従業者等、つまり労働組合も入りますけれども労使十分協議をして納得性のあるものにすれば研究者方々モチベーションも上がりますし、経営者方々が心配をされておられます予測可能性の低さというものも解消されるものと考えております。結果として、訴訟も大幅に減少するということが期待できるのではないかと思います。  それから、研究成果に対する報償レベルが諸外国に比べ日本は高いという御指摘もございますが、知的財産をますます創出していく、研究開発力技術力の高い日本が更に発展をしていくためにこうした条件整備が一層進められるべきと思いますし、研究者海外流出防止にもつながるものと考えております。  それから、こうした個別企業の自主的な取決めではなくて、きちんとガイドラインを設けるべきではないかという御意見もあることは承知をしておりますが、職務発明というのは、先ほど阿部参考人からもございましたように、非常に多様な分野にわたるものでございまして、発明単体がそのまま財になる、例えば薬品などのようなものもございますし、機器の部材あるいは部品の画期的な改良という形もあるでしょうし、あるいは金融分野ででも金融工学を駆使した画期的なモデルの発明もあり得るわけでございまして、業界によって相当多様性があると考えております。しゃくし定規にガイドラインを決められたら、それに適合しない事例の扱いに一々困ることになるのではないかと思います。  特に、職務発明というのは現場実態としては基本的にはチームで行われておりますし、それを陰で支える関係部署あるいは一般管理部門の人もおります。そういう人たちがいるからこそ研究者発明者研究開発に邁進できるわけでございます。特許庁アンケートの中でも、一人で研究開発を行っている人は九・三%しかいないという結果が出ております。企業ごと発明の形態も異なる上に、こうしたチームワークの中で個人の貢献ガイドラインで果たして決められるかどうかということでございます。  したがいまして、最初に申し上げました評価納得性が低いという問題意識を踏まえれば、従業者として関与できる自主的な取決めの方が望ましいものであると考えております。  最後に、この相当対価の定め方について述べたいと思います。  連合といたしましては、労働組合のある企業過半数労働組合のある企業におきましては、労使協議を行いまして、労使双方研究職場意見十分聴取をしまして、労使合意の下で労働協約締結をし、報償規程を設けるなり就業規則の中に定めるなりして、決定過程合理性を担保することが一般的であろうと思います。労働組合関与すれば、当然研究職場だけでなく、ほかの業務に就いている人たち意見参考とするなどバランスの取れた検討が加えられるのではないかと思います。  しかし、労働組合のない企業もございますし、組織率からすれば労働組合がない企業の方が多いわけでありまして、株式公開しているような、マーケットから監視をされているような企業ならいいのですけれども、未上場の中小企業零細企業、あるいはベンチャー企業みたいなところにおいては、施行に当たってはこの改正案趣旨が徹底されるよう周知、指導等十分留意をする必要があろうかと思います。  労働組合もないということになりますと、労働協約締結をできませんので、使用者側が決められる就業規則などで定めるしかないわけであります。しかし、その場合にあっても、従業員研究労働者関与はなければならないわけではございます。したがいまして、この法案が成立したとして、その実効性を担保するのに重要なことは、過半数従業員代表制を実質的に確立をさせること、そして労使協議と同等の手続をして、そこでの納得性を確保した上で就業規則に盛り込むなり報償規程を設置をするということをしなくてはならないと思います。労務部人事部やあるいは総務の人間が勝手に就業規則の中に書き込むということになってはならない。きちんと研究職場人間意見も聴き、従業員代表納得ずく合意をするということが必須だと思います。行政にはしっかりとした対応を求めていきたいと思います。  以上、連合職務発明に関して特許法改正をどうとらえているかを御説明をさせていただきました。  以上でございます。
  7. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) どうもありがとうございました。  次に、大西参考人お願いをいたします。大西参考人
  8. 大西正悟

    参考人大西正悟君) 今、御紹介いただきました弁理士大西正悟と申します。  まず、参考人として意見を述べる機会を与えていただいたことにお礼をいたしたいと思います。  私は、大学を卒業した後約十年間余り企業に勤務した経験を持っております。その間、機械メーカーでして、変速機の設計業務に従事して、数件ですけれども発明提案を行って、発明者としていわゆる従業者立場に立った経験がございます。この企業勤務の後、弁理士業界に転職いたしまして現在に至っておりまして、職務発明を含む種々の発明、それに対する特許出願等の代理業務を行っております。また昨年来、産業構造審議会特許制度小委員会のメンバーとして今回の特許法改正の審議に参加させていただいております。このような経歴を踏まえまして、今回の法改正における三十五条の改正について参考人の一人として意見を述べさせていただきたいと思います。  お手元に四枚つづりの資料を配付させていただいておりますけれども、これに沿って説明させていただきます。  まず、特許法は、第一条において、発明の保護、利用を図ることにより、発明を奨励し、産業の発達に寄与するという法目的を有しております。当然ながら三十五条についてもこの法目的の下で規定されておりまして、三十五条第一項において、職務発明については使用者に法定の通常実施権を与える、認める。さらに、第二項において、あらかじめ職務発明に係る権利を承継することを認めるという、いわゆる使用者側に一定の権利を与えるということを認めまして、発明奨励意識を高めているんではないかと考えております。一方、第三項におきまして、職務発明を承継させた場合、使用者に承継させた場合に従業者に対しては相当対価を受ける権利、対価請求権を認めまして、従業者発明奨励意識を高める、こういう規定ぶりになっております。なお、第四項においては相当対価に関する考慮事項を規定しておりまして、現行規定では、発明により使用者が受ける利益及び発明がされるについての使用者の貢献度、この二点を考慮して対価を算定するという規定になっております。  こういう現行特許法第三十五条、職務発明制度問題点を幾つか考えてみたいと思います。  まず、現行第三十五条の規定は、強行規定であるという解釈が最高裁判決でなされております。このため、例えば職務発明に関する特許製品が実際に市場に出てヒットして非常に使用者側がもうかったような場合、この場合に、既に払われた実際の対価、それが実際の企業利益を考慮して少ないというような判断がなされますと、後で事後的に不足分を請求するという訴訟が可能なような規定ぶりになっております。このため、使用者側にとって対価予測可能性、承継した時点で対価を決めるということに対する予測可能性が低いという問題があります。また一方、従業者にとっては、自分発明が非常にヒットして使用者側がもうかっているのに、それに対する、対価に対する評価が低いといいますか、十分な評価がなされていないということで対価に対する納得感の不足があるということが指摘されております。これは、いずれも第四項の対価決定に際しての考慮すべき事項が若干あいまいな規定になっているというところに問題があるのではないかと考えられます。  二枚目に移りたいと思います。  現行三十五条はこういった問題がありますので、三十五条は廃止してもいいんじゃないか、そうすればこういう問題がなくなるんではないかという指摘もされております。そこで、幾つか、廃止、全廃する論と部分廃止論について考察してみたいと思います。  まず、すべて、三十五条すべてを廃止する場合、この場合、先ほど説明しましたけれども、第一項の法定通常実施権及び予約承継を認めるという使用者側にとって一定の与えられる権利、これもなくなります。法文上なくなります。ということは、新たに職務発明すべてについて譲渡契約等を使用者側従業者と結ぶ必要がある。結ばないと発明は原始的には発明者である従業者に帰属するという考えですので、何も契約がないと職務発明発明者である従業者発明が帰属するということになります。つまり、三十五条がなくなるとすべて契約至上主義的な考えが必要になると思います。  しかしながら、現在の日本で米国におけるような契約がすべてであるという考え方が成り立つかどうか、やっぱり若干疑問と思っております。特に、中小企業におきましてそういう細かな規程、契約規程が十分に担保できるか、そこはかなり問題があるのではないかと思います。特に、契約による対価を定める場合の立場の強弱がありますので、例えば従業者不満契約となって、発明創作意欲がそがれて法目的に合致しなくなるという問題も考えられますので、全廃論に関しましては少なくとも現時点では賛成できないと考えております。  次に、部分廃止論、第一項、第二項はそのまま残しまして三項、四項を廃止するという考え方もあります。  一項、二項は、使用者に一定の権利、通常実施権及び予約承継の権利を認めるものです。一方、三項及び四項は、職務発明の承継に対して対価請求権を認めるという、従業者にとっての一定の権利を認めるものです。この状況の下で第三項及び四項のみを廃止しますと、従業者に一方的に不利になる改正と考えられます。このため従業者発明奨励意欲をそぐような規定となるおそれがありますので、やはり部分廃止論についても賛成し難いと考えます。  続きまして、次のページ、今般の法改正について意見を述べさせていただきます。  現行第一項—三項と同一内容規定を新しく改正されました新第一項から三項に規定しております。これは、使用者に通常実施権を付与する、さらには職務発明については予約承継を認める、さらに従業者には権利承継に対する相当対価を、対価請求権を認めるという規定で、使用者、従業者両者の発明奨励意識を担保する現在の法の趣旨をそのまま踏襲しております。  現行の第四項、対価請求権の考慮事項なんですけれども、それを新しい第四項、第五項として改正規定されるようになっております。  新しい、新第四項におきましては、契約、勤務規則による対価を定める場合には、これが不合理であってはならないという規定になっております。この規定から見ますと、まず、対価は当事者同士の取決めが原則であると考えられます。これによって使用者による一方的な対価取決めに対する抑止効果が図られまして、使用者及び従業者双方が納得できるような取決めになると考えております。この結果、双方の納得のいく取決めで対価が決まりますので、使用者にとって対価予測性が低いという問題が解消できると考えます。さらに、従業者側にとっても自分が納得して決まった対価ですので納得感の得られる対価設定という効果が得られ、現在のような職務発明に関する対価訴訟、そういうケースも少なくなるんではないかと考えております。  続きまして、新第五項、これは、対価の定めがない場合、若しくは対価の定めが不合理であるというふうに判断された場合の対価の算定についての規定です。これによって、対価の定めがまるっきりないような場合、これでも対価を受ける権利を有するということを規定しているのではないかと考えます。  さらに、新第五項におきましては、対価決定の考慮すべき事項を従前の現行法第四項に比べまして詳しく規定しております。特に、現行法では、発明がされるについての使用者の貢献度を考慮ということですけれども、今回は発明に関連した使用者の負担及び貢献度ということになりまして、以前は発明されるまでの貢献度とも読み取れたんですけれども、今後は、新第五項におきましては、発明がされるまでの貢献度のみならず、発明承継後の使用者が特許権利化を図る努力、それから特許製品を実施化する努力、さらには販売、営業等の努力、その辺の貢献度も十分評価された対価が期待できて、実情に即した使用者、従業者ともに双方納得できる額の判断がなされるんではないかと期待できると考えております。  次のページに移らせていただきます。  改正法に対する幾つか私なりの見解を書かせていただきました。  まず、特許制度小委員会におきましては、対価決定が不合理でなければその対価を尊重し、不合理性判断は手続面を重視という提言がなされております。今回の法改正はこれに沿ったものであると考えております。特に合理性判断においては手続面を重視ということで、対価決定に至る協議状況対価決定基準の開示状況、それから従業者等からの意見聴取状況等をかんがみて不合理かどうかを判断するという規定になっております。  ただし、この手続面規定だけ、表現から分かりますように、やはりまだまだ判断基準はあいまいじゃないかと考えております。これに関しては特許制度小委員会において特許庁のコメントも出されておりますけれども参考となる手続例をまとめた事例集により基準明確化を図るということでございます。このため、こういう基準事例集をできる限り早期に作成して公表が求められていると考えます。  二番目といたしまして、新第五項における対価の設定についての規定ですけれども現行と同じ、使用者の受ける利益を考慮する、これは同じなのですけれども、その次に、発明に関連した使用者の負担及び貢献度を考慮する、それから従業者処遇その他の事情を考慮するというふうに、現行法よりかなり詳しく規定されております。これによって、先ほど来説明しましたけれども、使用者及び従業者双方の種々の事情を考慮した、実情に即した双方に納得のしやすい対価判断ができると期待しております。  最後に、若干私見になるのですけれども現行第四項の規定があいまいであるという指摘がいろいろなされております。  今回の新五項は現行第四項を受ける形で改正されておりますけれども、その改正内容現行四項の内容に加えて新しい事項を追加したという解釈ではなくて、現行第四項の若干あいまい性の残る規定をより詳しく明確に規定したというふうに解釈できるのではないかと思います。これによって、改正第三十五条は遡及適用はないということですけれども現行三十五条の下での職務発明対価請求が、対価訴訟があった場合の算定に際しまして、新第五項の趣旨精神が反映されまして、使用者及び従業者双方の納得できる判断現行職務発明についても期待できるようになるのではないかと期待しております。  以上です。  弁理士会といたしましてもこの今回の三十五条の改正法には賛成するということを付け加えまして、私の意見とさせていただきます。  ありがとうございました。
  9. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見の陳述は終了いたしました。  これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 魚住汎英

    ○魚住汎英君 三名の参考人の方、誠に御苦労さんでございます。自由民主党の魚住汎英でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  最近、知財立国日本ということを目指してそれぞれのお立場で御努力をいただいておりますことに対して、この場をかりまして心から敬意を表したいと思います。  今それぞれのお立場での意見の陳述があったわけでありますが、まず最初阿部参考人にお伺いをいたしたいことは、青色発光ダイオード判決がございまして職務発明関連の訴訟が増大しておりまして、とにかく裁判所の巨額の支払命令が出るといった実例が出てきたわけでありますが、日本経済にとって果たして好ましいことであるのかどうか、これは参考人お三方にそれぞれお伺いをいたしたいと思います。
  11. 阿部一正

    参考人阿部一正君) お答えいたします。  二百億、あるいは二十億とかいう訴訟もございますけれども、この数百億とかあるいは数十億とかというのは我々サラリーマンというか企業にとっては莫大な金額でございまして、もうそれだけで一生食っていけるというか、もうそれで人生の目的は終わったと言う人もいるぐらいの財産だと思いますが、これはやっぱりインセンティブとしては行き過ぎであるというふうに思います。  それから、それだけのお金を会社としては払うなんということは元々考えておりません。会社発明・考案規程というものを見ていただければ分かると思いますけれども、最近では結構高額なものがございますけれども、それでもまあせいぜい一億とかそういうレベルでございます。一つ発明に対して会社が百億、二百億、そういう金額をもし支払わなければならないとしたら、その次の発明のための投資には非常にちゅうちょせざるを得ないということになります。  それと、最近の発明というのはチームでなされますから、一人の人にそれだけ行くということに対して、ほかのチームのメンバーは非常に、なかなか複雑な思いでいるのではないかというふうに思います。結局、チームのそういう言わばチームワークを乱すということにもなりかねないということだろうというふうに思います。  いずれにしろ、現在の制度は、裁判所に行かないと分からないというところが問題でございまして、企業で自律的にそれなりの合理的なルールを作って、それでインセンティブプランを実行していくと、こういうシステムにしていただかないと会社としては次への投資を安全にはできない。したがって、企業発展に阻害が生じる、競争力がそがれると、こういうことになって好ましくはないというふうに思います。  以上でございます。
  12. 木村裕士

    参考人木村裕士君) 青色発光ダイオード訴訟につきましては、相当対価を二万円で済ます企業企業だというふうに思いますが、二百億円という判決を出す裁判所もどうかというふうに思います。  このような巨額な支払命令が出ることは、今、阿部参考人からもございましたが、企業側の予測可能性という観点からは企業活動に重大な支障をもたらしてしまうのではないかという懸念がございます。  労働組合としましては、訴訟が頻発しているということ自体問題と考えておりまして、その原因が、企業の行う評価に対する研究者の納得感が低い、すなわち、働きがいが感じられないということだと思っております。したがいまして、企業側、労働側にとってもこうした事態は、日本経済にとってももちろん好ましいものではないというふうに思います。  だからこそ、今求められるのは、現在あるこの労働者側の評価に対する納得感の低さを解消しまして、できるだけ訴訟が起きにくいような環境整備を早急に行っていくことが必要ではないかというふうに考えております。  以上です。
  13. 大西正悟

    参考人大西正悟君) 職務発明の問題は、同一企業内における使用者と従業者の間の取決めの問題であると考えられます。同一企業内ですので、使用者、従業者ともに、ねらいといいますか目的、ベクトルが向いている方向は一緒ではないかと考えます。このため、お互いのルール若しくは取決めに基づいて話合いで解決するのが最も望ましい方向ではないかと思います。  できれば訴訟で争うような事態が生じるようなことを避けるのが望ましく、今回の法改正では対価の定めを使用者、従業者双方の取決めにより設定するということになっておりますので、有効に働くのではないかと考えます。  さらに言いますと、訴訟で使うようなエネルギー、コストを、できれば新たな発明創造、活用、その辺に利用、投資できるような方が望ましいと考えております。  以上です。
  14. 魚住汎英

    ○魚住汎英君 そこで、高額判決が相次いで出たことを受けて、特許法第三十五条を廃止すべきではないかという指摘が一部にあるわけでありますが、廃止論についてどう考えていらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思います。  時間が限られておりますので、なるべくひとつ簡単にお願いします。
  15. 阿部一正

    参考人阿部一正君) 廃止論につきましては、今の日本の現状ではまだ無理であるというふうに感じております。アメリカの社会とは違いまして、やはり日本人たちというか、我々従業員も含めて、まだ契約社会ということに対して自立できるだけの能力と経験が不足しているのではないかというふうに思います。  確かに、企業が千差万別でそれぞれ特徴があるように、各発明者においてもそれぞれ特徴とその能力の差がございますので、それぞれ能力に応じた人たちがその能力に応じたことを反映する契約一つ一つやりながらやるということは、頭の中では合理的だというふうに思いますけれども、それが区別できるようなきちっとした契約締結できるだけの能力があるかと申しますと、まだ早いのではないか。今回改正されるような方法で少し経験を積んでからそういう方法もまた考えてみるべきであるというふうに思います。  以上でございます。
  16. 木村裕士

    参考人木村裕士君) 連合としましては基本的には本改正案に賛成をしておりますので、すなわち三十五条は必要だということでございます。  その理由につきましては、先ほど大西参考人が御説明をしておりました。三十五条廃止論というのも、すべて、三十五条すべてを撤廃すべきという考え方、あるいは三項、四項を削除すべしという考え方があるというふうに思いますが、この両方、どちらも発明者相当対価請求権の剥奪になってしまうことが強く懸念をされております。  それから、阿部参考人からも今ございましたように、日本の社会はまだ契約社会ではないということで、個人が企業を相手にして対等で契約するということ自体に無理があるんではないかというふうに考えております。  それから、契約締結されなければ自動的に企業に権利承継されることはないわけですから、安定した権利承継という点でも、これは企業側にリスクが出るんではないかということでございます。  以上です。
  17. 大西正悟

    参考人大西正悟君) 先ほど説明しましたように、三十五条全廃論、部分廃止論、いずれとも問題があると考え、廃止論には少なくとも現時点では賛成いたしません。
  18. 魚住汎英

    ○魚住汎英君 職務発明規定改正によって企業研究者の間の訴訟は減らないんじゃないかという懸念があるわけでありますが、例えば対価決定等については企業内の話合いに任せ、裁判所関与しないようにすべきであるという極端な意見があるように聞いておりますけれども、この点について経済界ではどう考えておられるのか、阿部参考人にお伺いをいたしたいと思います。
  19. 阿部一正

    参考人阿部一正君) まあ、何というんですか、最後まで会社従業員との間で話し合って決めろということは、先ほど御質問の中にありました、全部契約に任せたらどうかということに非常に近いと思います。したがいまして、その会社との間で対等に議論をして対等に約束をするという力があるんであれば、それはそれでいいのかもしれませんが、やはりちょっと今の日本の社会ではまだそういうことは無理なんだろうというふうに思います。  それで、なぜ訴訟が頻発をするかと申しますと、やはりその予測可能性がない中で、最高裁がその不足分を支払えと言うことができるんだ、つまり強行規定であると。したがって、最終的には裁判所が決めるんだと。会社の中で発明考案・規程の中でどんなことを決めても、得られた利益貢献した程度を勘案して計算した金額がそれと違った場合にはその差額が請求できるんだと、こういう解釈が確立いたしましたので、会社の規程とは別に、いろいろ考えて、これはいけそうだというその思惑がいろいろ発生するとそういう訴訟が起こるんだろうというふうに思います。  しかし、今回の改正案のように、従業員、集団としての従業員会社との間でその額についてきちっとしたルールを取り決めると。それが、ルールがきちっとしていれば、それが最終判断として裁判所に行っても認められると。こういうことが確立すれば、先が見えますので、これは訴訟をもうしてもしようがないと、あるいは会社判断ももっともだというような納得感が得られて、訴訟は減るというふうに確信いたしております。
  20. 魚住汎英

    ○魚住汎英君 実際に、職務発明を生み出す企業内の研究者と、それを知的財産として活用する企業との協力がなければ、知的財産立国は実現ができないと思うんです。  そこで、企業研究者が協力し合えるような環境整備、すなわち両者のバランスに配慮した職務発明制度の構築が我が国産業競争力強化を実現する上で大変重要であると思うわけであります。私としては、今般の改正案は、企業研究者が協力し合えるような環境整備することを目指すものであると理解しておりますが、仮に裁判になったとしても、企業研究者の十分な意見の交換に基づき契約が結ばれた場合には、この契約内容が司法の判断においても尊重されるものと考えておるわけでありまして、今、阿部参考人からお話があったようなことで私は十分であろうと思うわけであります。  そこで、短い時間でありますからあと二、三分しかありませんで、次に木村参考人にお伺いしたいと思うんですが、企業研究者の間において十分議論を行うことを促すものであるが、この際、研究者の代表として労働組合経営者側と話し合ってルールを定めていくことが一つの大きな選択肢となると考えるわけでありますけれども、その意味において労働組合に期待される役割は極めて大きなものと考えておりますが、労働組合としてこのような重要な役割を十分果たしていくことができるかどうか、お考えをお伺いをいたしたいと思います。
  21. 木村裕士

    参考人木村裕士君) 当然果たすことができると申し上げさせていただきますが、言葉で言うほど簡単ではないということも十分承知をしてございます。  労働組合というのは、そもそも一人一人であれば弱い立場労働者が結集をした集合体でございまして、労働者とその家族の幸せ、生活向上のために活動をしている団体でございます。その一環として、この労働条件の交渉なり、賃金、一時金の交渉なども行っております。そういう意味では、この特許報酬も経済的労働条件の一つでございますので、これまでの活動の延長線上の取組で考えられるというふうに思います。  しかし、この特許特許という存在はその他の経済的な労働条件と少々異なっておりまして、発明者に原始帰属した権利でございますし、法律で保護されている権利でございますから、特異性がございます。ほとんどの労働組合、この職務発明にかかわる社内規程の作成にはこれまでは関与をしてこなかったのではないかということでございまして、特許法のことは余り理解をしていないのではないかと思いますので、まずその理解が必要になってくると思います。  そうした観点からしますと、連合としましても、個々の労働組合が正しく理解できるように取り組んでまいりたいと思いますが、特許庁がこれから作成するであろう事例集の存在は極めて重要であるというふうに考えております。是非、労働組合の役員でも、あるいは仕事をしながら時間外に活動している非専従役員のような人でも簡単に理解ができるような事例集を作成をしていただきたいというふうに思います。労働組合もしっかりと、委員がおっしゃる重要な役割を果たしていきたいというふうに考えております。  以上です。
  22. 魚住汎英

    ○魚住汎英君 もう一問だけ。  この職務発明関連の紛争について、裁判所に行く道を閉ざしてしまうということは適当ではないと思いますが、他方、裁判所に行く場合でも、いきなり裁判所に持ち込むのではなくて、その前にだれかに調停をしてもらうという選択肢があっていいんではないかと、こう思うんです。  裁判になると公開原則がございますから、企業としても、戦略的に重要な発明であってもその内容を公開をせざるを得なくなってしまう、こういうおそれがあります。また、訴訟では企業側も研究者側も多大な時間と、またお金を掛けなければなりませんし、お互いにとっても大きな負担となるわけでありますが、その意味では、裁判に行く前に第三者に調停をしてもらうという選択肢を用意することについて検討すべきではないかと考えるわけでございます。この点について、知財の専門家であります大西参考人の見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  23. 大西正悟

    参考人大西正悟君) 職務発明の問題は、先ほども言ったんですけれども、同一企業内における使用者と従業者の話合いの問題だと考えております。お互いのルールに基づいて話合いで解決できればこれにこしたことはないわけでありまして、その場合の話合いの解決に際する第三者の意見を聴くということが可能かと思います。  その場合、我々弁理士は、従業者である発明者から出ました発明企業が、使用者が承継します、その承継された発明に関して出願依頼を受けまして手続代理をするという立場になっております。すなわち、一つ企業における使用者、従業者、双方の代理のような立場にあると考えております。  このため、そういった意味で、弁理士が、個々の弁理士が話合いに対して相談を受けるということは可能だろうと思います。また、日本弁理士会は日弁連と共同で日本知的財産仲裁センターを運営しております。この仲裁センターを活用していただくのも一つの手段かと考えます。  以上です。
  24. 藤原正司

    ○藤原正司君 民主党・新緑風会の藤原でございます。  参考人の皆さんには、大変お忙しい中、御足労いただきまして、ありがとうございます。  まず、私の方からは、本改正案につきましては、三十五条の三項で相当対価について、四項の中で契約、勤務規則等で定めることができるということといたしまして、この場合、対価決定するための基準策定のプロセス、すなわち協議の状況、基準の開示、従業員等からの意見の聴取等が不合理でないことが極めて重要な要件となっておりますが、ところが、それぞれの企業の置かれた状況が大変異なっている中で不合理でないものとは一体何かと、その判断が極めて難しいというふうに考えるわけでございます。  これまでの議論あるいは衆議院における議論などを通じまして、この不合理でないものということについて特許庁が通達のような形で事例集を策定するということが明らかになっているわけでございますが、本改正趣旨が生かされるためにも、この事例集は極めて重要な意味を持っているというふうに思っております。これはお三方の参考人の方も言われているとおりでございます。  そこで、事例集策定に当たって留意すべき点などにつきまして、お考えがございましたら、それぞれの参考人の方からお伺いをしたいと思います。
  25. 阿部一正

    参考人阿部一正君) この法律規定が確かに非常に抽象的にできておりますので、具体的な運用の際にはどういうふうにしたらいいかということは我々担当者も迷うところでございます。したがいまして、その考える際のよすがを与えていただくということは非常に有り難いというふうに思っております。  ただ、これが行き過ぎますと、どちらかの方向にリードするということになりかねないというふうに思います。先ほど来申し上げておりますように、企業はそれぞれ非常に特徴を持った存在でございますし、また発明者もそれぞれ違った個性を持ってございます。そういうものを正しく評価する、適正に評価するということが重要でございます。  したがいまして、何か法律的な一つのきちっとしたものを作るということではなくて、何か参考となるような事例をたくさん挙げるということで、いろんなケースに、自分のケースはこうだ、あなたのケースはこうだろうということで、いろんなバラエティーに富んだ例をたくさん出していただくということが我々にとっていいのではないかというふうに思います。  こういうことをしては駄目だというネガティブな事例だけではなくて、こういうふうにするとよろしいという例も併せて提示していただけると、実務上大変参考になるのではないかというふうに思います。  以上です。
  26. 木村裕士

    参考人木村裕士君) 手続が不合理と判断されないようにするための大変な重要なツールとして位置付けられるものであるというふうに考えております。この内容につきましては、産業別あるいは事業種別によって細かく対応する。あるいは、組合があるところ、ないところございます。そして、研究者のみを非組合員にしているケースもございまして、様々なケースが考えられますので、なるべく多様なケースに対応できるような事例集を作っていただきたいというふうに思います。  それから、こういった内容の充実はもちろんのことでございますが、専門家しか理解できないような分かりづらいものを作るんではなくて、やはり、先ほども申し上げましたように、普通の一般の組合役員でも十分理解できるような使いやすい事例を作成をしていただきたいと思います。  以上です。
  27. 大西正悟

    参考人大西正悟君) 事例集の作成に関しましては、いろんな、先ほどから二人の参考人の方がおっしゃっていますように、いろんなケースが、多種多様なケースが考えられます。それに対応するべく、できる限り様々な立場の人の意見を聴きながら、できる限り公平な機関で審議して策定していただきたいと思っております。この場合、例えば各企業に現在、勤務規則、それから契約のひな形等、いろいろ分野ごとの企業で持っておられると思うんですけれども、できるならば公表していただいて、そういうものを参考にしながら策定するということも一つの手段ではないかと思っております。  以上です。
  28. 藤原正司

    ○藤原正司君 次に、この法律改正以前に、施行以前になされました発明事案の取扱いについて、これ阿部参考人大西参考人指摘をされているわけでありますけれども、附則にもありますように、改正後の職務発明規定につきましては改正法の施行後に継承された発明からしか適用されないと。現実にはその効果が、発明効果が見られるのは十年、二十年先と、こういう中で、一日も早くこの職務発明規定を生かしていく、この改正趣旨を生かしていくためにも、当事者の合意があれば新法の枠組みを適用できるような方策を検討すべきではないか、このような意見もまた参考人から出されているわけですけれども、これに更に付加してこういうふうにすべきではないかということもございましたら、それぞれの参考人からお考えをお聞きしたいと思います。
  29. 阿部一正

    参考人阿部一正君) 大変難しいお話でございます。  私は、現行法が、利益の額、その発明がされるについて使用者が貢献した程度、これを考慮して決めろというふうに言っておりますが、この現行法の解釈の中でも、実は今回の改正のような方法を取るということは可能であったのではないかというふうに実は思っております。したがいまして、最高裁のオリンパスの判例については非常にがっかりしたというか、私ども現行法でいけるというふうに思っていた道をちょっとふさがれてしまったという非常に残念な思いをしておるわけでございます。  そういう観点から見ますと、今回の改正の方向のようなルール合意をされて、それを実行していく、新しい発明からもうそれを実行していくということも、実はその法律精神には全く反しないのではないかというふうに思います。  実際問題として、恐らく施行する企業は新しい発明からそのルールを当てはめてやっていくと思います。ただ、それに不満な方は訴訟をするということでございましょう。したがいまして、そういう訴訟に至ったケースについて、裁判所の方で、なお従前の例によるという現行法の解釈を少し改正法の方に寄せて解釈するという司法の判断、これをしていただけると非常に有り難いというふうに思っております。  以上でございます。
  30. 木村裕士

    参考人木村裕士君) 連合としましても、この本改正案が可決、成立をした場合には、速やかにこの改正法での運用が行われた方が研究者の納得感という点からすると望ましいものというふうに思います。  ただ、遡及というのは法律上はできないものではないかと聞いてございます。研究者の権利の確保という点では、この改正法施行以前の発明に対しては現行法の観点で権利が確保されるべきという原則は守られるべきとも考えられます。この点については、労働協約の中で労働組合が一括して企業と取り決めるということができるのかどうかよく分かりませんが、改めてこの新しいルールに基づいて契約をし直すとか、何らかの形で法改正の効果が早期に実現するようなことができないかと考えるところでございます。  既に確立された労働者の権利にかかわる問題でございますので、労働組合としてこうすべしというように断定をすることはなかなかできないということは御理解をいただけるかというふうに思います。  以上です。
  31. 大西正悟

    参考人大西正悟君) まず、改正後の第三十五条を遡及適用するということは、既に発生した対価請求権の内容を変更することになる、憲法上の制約等から困難であるという認識を持っております。このため、改正前の職務発明については現行法の下で裁判所判断するのが原則であると考えます。  ただし、私の私見、最後のところで私見として書かせていただきましたけれども改正第五項、どういう、対価に際していろんなことを考慮しなさいという規定ですけれども、これは現行第四項の同様な規定を更に詳しく規定したものと考えられて、新しい第五項の精神現行法の下でも遡及適用といいますか、その趣旨を生かして対価判断がなされてしかるべきではないかと考えております。このため、改正法の第五項は現行法に対しても解釈の上で遡及といいますか、影響するのではないかと、これによって使用者、従業者双方ともに納得のできる対価判断若しくは判決が出されることが期待できるのではないかと考えております。  以上です。
  32. 藤原正司

    ○藤原正司君 次に、大西参考人にお尋ねをしたいわけでございますが、今回の改正後の条文の解釈につきまして、発明対価を取り決める際の手続が不合理であった場合には研究者企業を訴えることができると、この手続の不合理性に関する証明責任といいますか、立証責任は企業研究者のいずれの側にあると解釈をされるか、またその妥当性についてどのようにお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
  33. 大西正悟

    参考人大西正悟君) 民事訴訟の原則からしますと、証明することによって利益を得る者である従業者、すなわち研究者側に証明責任があると解釈できると思うんです。職務発明に対する契約等に関しては、使用者と従業者双方での取決めですので、その当事者の一方である従業者、この一方の方に挙証責任を負わせるということ自体、そんなに不都合ではないと考えております。  ただ、その挙証責任、証明責任といいますか、その内容によりましては従業者側にとってはかなり難しいケースも出るんではないかと思います。この場合には、現行裁判所の運用もありますけれども、もう一方の当事者である使用者側に反証責任を負わせる等の運用をできればやっていただきまして、お互い公平性を担保できるようなものが望ましいと思っております。
  34. 藤原正司

    ○藤原正司君 そこで、木村参考人にお尋ねしたいわけでありますが、参考人は、これはあくまでも企業内の問題としてルールをきちっと民主的な手続の中で決めていって従業者納得性を得ていく、あるいはそのプロセスを通じて企業風土を作っていくと、結果としてそれが訴訟リスクを減らしていく、訴訟を減らしていくということが望ましいんだという考え方に立っておられるわけですが、そういう場合にあったとしても、結果として訴訟の道が閉ざされているわけではないと。  その場合に、今度は訴訟当事者の保護という視点が逆に必要になってくるわけであると思うんですが、この証明責任が研究者側にあるということになりますと、このことが研究者に対する大変重い負担となって、事実上、裁判をちゅうちょしてしまうと、こういうことの懸念があるわけですが、この点について木村参考人としてはどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
  35. 木村裕士

    参考人木村裕士君) 訴訟の際にこの立証責任を負うのは労働者側か企業側かということでいえば、これは、今、三十五条四項は、その関与状況が不合理であってはならないという表現になっておりますけれども、これは合理的でなければならないとした方が、これはもちろん労働者にとっては、企業側に立証責任があるということになるのであれば、その面に限れば望ましいものだというふうに思います。  ここは大変議論のあるところだと思いますけれども、合理的でなければならないということになりますと、取り得る手続の在り方やその運用が狭い範囲となりかねないと、多様性のある職務発明にとりまして幅を狭めてしまうというのは、今回の法改正趣旨にある、納得感を高めて訴訟を減らすということにつながるのかどうかといったところがちょっと疑問にございます。それから、手続の合理性が、今回、合理的に行われたかどうかということが一つの大きな争点として大変重要になってくるということでございまして、その点では、立証作業につきましても困難を窮めるということにはならないんではないかというふうに思います。  今でも労働者側にこの立証責任が課されておりますけれども、実際の裁判では企業側に証拠提出を求めるケースも多いということで、不合理であってはならないという改正案でも差し支えないというふうに判断をいたしました。  以上でございます。
  36. 藤原正司

    ○藤原正司君 最後に阿部参考人にお尋ねしたいわけですけれども、今回の改正趣旨企業側にとりましてもいかに訴訟リスクを軽減していくかということであって、そのキーポイントは、契約あるいは就業規則等の作成に当たっていかに従業者の意思を反映しながら作成をしていくか、納得性を高めていくかというところにポイントがあるというふうに判断をしているわけでございます。  この考え方に基づいて企業としてはこれから企業内のルール整備というものを図っていかれるということになるわけでありますが、こういう改正趣旨について、企業のトップを始めとする経営陣に今回の改正趣旨というのは十分徹底、浸透されなければならないと、このように考えるわけでありますけれども、こういうことが可能なのかどうか、お聞きしたいと思います。
  37. 阿部一正

    参考人阿部一正君) 十分可能であるというふうに考えております。  まず、一連のこういう訴訟が起きたという事実を、皆さん、非常に重くとらえております。その中で、なぜこういう訴訟が起きるんだろうかと、起きないためにはどうしたらいいんだろうかという議論を結構、上のクラス、社長も含めてですけれども、しているところでございます。他社さんでも、皆さん、そうしているというふうに思います。  そういう議論の中でやはり一番、何というか、もっともだと思われる意見は、やはり、出てきた発明を適正に評価すると。で、それをどういうふうに評価するかと。この評価の仕方を合理的にするということが、恐らくインセンティブを保ちながら企業が余計なコストを費やさないで発明をたくさん事業化していくということにつながるんであろうというふうに思います。  さらに、最近、政府の方でもいろいろ知財立国等々標榜していただきまして、いろいろな、経産省の方からもいろんなガイドライン等々が出ておりまして、そういう言わば教育あるいは警告等を与えられる機会がたくさんございました。したがいまして、こういう中でこういう法制が整われた、そういう制度整備されたということになれば、皆さん、それに対して積極的に敬意を払って注力するということは間違いないというふうに思います。
  38. 藤原正司

    ○藤原正司君 終わります。
  39. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 本日は、参考人皆様、御多忙の中、貴重な御意見をいただきまして、大変ありがとうございます。公明党の浜四津敏子でございます。  まず初めに、大西参考人にお伺いさせていただきます。  今般の改正を受けまして、今後、各企業では社内規程の整備を進めていかなくてはならないのではないかと思っております。阿部参考人のように知財の専門家が社内にいらっしゃる大企業であれば心配はないわけでございますけれども、そうした人材がいない全国の中小企業において社内規程の整備を進めていくということは決して容易なことではないと思われます。  この点、中小企業の知財戦略を支援されている弁理士として、中小企業が適切にこの問題に対応していくにはどうすればよいとお考えか、国に対する要望も含めまして御意見を伺いたいと思います。
  40. 大西正悟

    参考人大西正悟君) 日本弁理士会は知的財産支援センターという組織を有しております。この組織、この支援センターという組織を通じまして、さらには、特許庁、各地の経済産業局、地方公共団体等と協力しながら積極的な中小企業の支援を行ってきております。  この支援に関しまして、今までは、職務発明に対する社内規程の整備、こういった支援はまだ含まれていなかったと認識しております。ただし、法改正の後にはこの点も非常に重要になりますので、是非とも弁理士会としてもこういう組織を通じまして協力していく必要があると認識しております。このために、こういった中小企業支援に関しまして特許庁等の強力なバックアップ、予算措置を含めましてバックアップをお願いしたいと思っております。
  41. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 続いて大西参考人にお伺いいたします。  大西先生の御意見によれば、今回の改正現行法三十五条四項の使用者等の受ける利益及び使用者等の貢献度をより詳しく規定したものという御指摘がありましたけれども、次の点について確認させていただきたいと思います。  現行法の三十五条四項では、対価の額について、その発明がされるについて使用者等が貢献した程度を考慮して定めるとありますが、改正法三十五条五項では、その発明に関連した使用者等が行う負担、貢献及び従業者従業員等処遇その他の事情を考慮して定めると、より具体的に規定されております。  これがどういう意味を持つとお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  42. 大西正悟

    参考人大西正悟君) この点は現行法の問題点として最初に説明しましたが、対価の額の予測可能性が低いということに関連するんではないかと考えております。特に、現行法では、発明がされるについての使用者の貢献度ということで、発明がされるまでとも読める規定です。しかしながら、発明がされた後、これを使用者に承継しまして、使用者は特許出願を行って権利化を図るというまず努力が必要です。その後、先ほども説明したのですけれども、これと並行しまして、発明の実施化、製品化の努力、更には販売、営業等の努力、種々の努力が必要です。こういった貢献現行法の三十五条では余り読み取れないといいますか、読み取りにくい規定ぶりとなっています。  今回の改定の第五項によりますと、このような使用者の種々の事情、更には従業者処遇等を考慮するという規定になっております。これは現行三十五条四項のあいまいさといいますか、そこを更に明確にして、使用者、従業者ともに納得のできる対価決定がなされることが期待できると、そういうふうに考えております。
  43. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 済みません。今の質問の中で、改正法三十五条五項の規定の「従業者」というところを従業員と言いましたので、済みません、ちょっと訂正願いたいと思います。  次に、お三方、各参考人にお伺いさせていただきます。  青色発光ダイオードの二百億円の判決が出た後に、一部の大企業経営者から、このような判決が続くようだと日本において研究開発を行うことができなくなるという声が上がったと伺っております。他方、優秀な研究者が十分な発明意欲を持って研究に取り組む環境整備できなければ、いわゆる頭脳流出が発生してしまい、我が国でいい発明が生まれなくなることも事実でございます。  今回の職務発明についての改正案が頭脳流出の防止に役立つものであるかどうか、各参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
  44. 阿部一正

    参考人阿部一正君) 私は、頭脳流出を未然に防止できるというふうに思います。その理由は、従来の規定と違って、改正法が非常に透明性が高まったということでございます。  従来、会社では発明・考案規程等を用意しておりましたけれども、これは必ずしもその従業員の意思を反映するというか、そういう手続は取っていなくて、会社側が言うなれば一方的に定めたという業務規程という形になってございました。そういうことだから全然無視したということではなくて、会社会社として、そういうふうにした方が従業員のため、あるいはインセンティブのためになるであろうということをおもんぱかって規程は作っておりましたが、しかし実態として手続中に従業員を入れて協議するというプロセスは踏んでいなかったというふうに思います。  したがいまして、今回の新しく作るべきルールに関してはそのような手続を取るということになっておりますので、研究者労働組合に入っている研究者もそうでない研究者も、自分らの意思が反映されたルールになるというふうに思います。したがいまして、自分がなした発明に対して自分がどの程度報われるかということがかなり読みやすくなるのではないかというふうに思います。  恐らく、今後、新しく会社に入ってくる人たちは、会社の入社に当たってそういうルールがどうなっているかということについて興味を持ち、関心を持って調査してくるだろうというふうに思います。したがいまして、そういう自信のある方は、それだけの処遇をしてくれるんだ、見返りがあるんだ、自分は報われるんだというふうにそこの時点で判断して、積極的に会社に入ってきて研究活動に奉仕するであろうということでございまして、じゃ、やめたという話にはなりにくいのではないかというふうに思います。
  45. 木村裕士

    参考人木村裕士君) 研究者が海外へ流出してしまうその原因としまして、特許相当対価が支払われないということも考えられるわけですけれども、それだけではなくて、先ほども申し上げましたように、研究者というのは自分研究評価をしてもらいたいというものがモチベーションになっているということでございまして、今、技術者処遇面において非常に事務職よりも低いんではないかという指摘もございますんで、処遇面、それから研究設備などの設備面だとか、あるいは知的好奇心が満たされるような環境だとか、そういう、一概に申せませんけれども、広い意味での研究環境を整えていくということが極めて大事だというふうに思います。  報酬に関する納得感が高まるというふうに、私ども、本改正案によって改革をされる部分というのは非常に大きなインパクトが出てくるというふうに思いますので、少なからず頭脳流出に役立つものというふうに判断をしております。
  46. 大西正悟

    参考人大西正悟君) 今回、青色発光ダイオードでの二百億円判決、これは非常に大きな金額で、こういった判決が連続して続くようであれば、企業として海外流出、若しくは海外の企業日本に進出するということがためらわれるというような事態になるのではないかとは思います。  もう一つ、頭脳流出という点ですけれども対価の額の金額の多寡といいますか、多い少ないと頭脳流出とが直接関係する、直接関係するところもあるんでしょうけれども、そこの要素は低いんではないかと思っています。先ほど木村参考人おっしゃられましたけれども研究者にとっては、自分研究を正当に評価してくれる、自分研究をやれる環境があり、それを評価してくれるという、そこの点が一番モチベーションとしては大きいのではないかと思っております。
  47. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 次に、木村参考人にお伺いいたします。  職務発明についての改正を受けて、今後、社内規程を定めるに当たりましては、労働組合経営者側が話し合ってルールを定めていくことが一つの有力な選択肢になると思われます。その場合、研究者の代表が組合の執行部にいない場合、あるいは組合の中で研究者が占める割合が小さい場合など、必ずしも労働組合研究者立場を代表していない場合も想定されます。  そういった場合でも研究者の意欲を引き出せるようなルール作りが可能なのかどうかをお伺いいたします。
  48. 木村裕士

    参考人木村裕士君) 労働組合というのは民主的な組織でございますから、いろんな考え方の労働者がいる中で、なるべく幅広い意見を聴いて何が最適かということを判断をするという形で労働者の代表としての役割を担っておるわけでございます。そういう意味では、一般的な労働条件などについての労働組合の行う手続というのは、該当する労働者なり職場のみを念頭に置いて対応するんじゃなくて、そのほかの労働者とのバランス、そのほかの職場とのバランスも考慮して労働組合としての判断を行うということが通常でございます。  しかし、この相当対価規定について同様にバランスを図ってしまうと、あるいは研究者組合員の比率が非常に少ないという、あるいは執行部にいないという場合に、そうした人の意見が埋没してしまう可能性もあるということでございます。そうしますと、本改正案趣旨に沿って考えますと、このような手続は結果して不合理であると判断されかねないわけでございまして、特許そのものの特異性を企業のみならず労働者側にも正しく理解させた上で、司法に不合理と判断されないように手続ができるように事例集の策定につきましては細心の注意を払っていただきたいというふうに思いますし、労働組合も、企業内組合で一つしかないというところ、あるいは第一組合、第二組合があるところ、いろいろございます。これらも企業側に丁寧にすべて協議をしていくということが前提だと思いますし、研究者の代表が組合の執行部にいない場合でも、研究者に対して直接ヒアリングをきちっと行って、その意見を踏まえた上で民主的な手続をもって協約が結ばれるということで、この部分については十分に可能であるというふうに思います。
  49. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 阿部参考人にお伺いいたします。  企業は、同業他社における研究者処遇の在り方、条件についてお互いに把握できているんでしょうか。また、企業はお互いに競い合ってより良い研究環境整備しようとしておられるんでしょうか。ともすると、業界内における横並びから言わばカルテル的に報償額を低く抑えようという動きが出てくるのではないかという懸念もあるわけですけれども、この点についてどうお考えか、お伺いしたいと思います。
  50. 阿部一正

    参考人阿部一正君) 処遇について情報交換をしているかどうかという話でございますが、一切していないというわけではございません。特にバブル崩壊の前の時代には、言わば情報交換会等を開く中でそういうことも議題になるということはございました。しかし、もう現在はそういう情報交換も非常に少なくなっておりますし、むしろお互いにコンペティターという関係が非常に強くなってございまして、お互いに助け合うというよりも、お互いに相手を出し抜くというか負かさなければいけないということの方が日常茶飯事起きてございます。  研究者をどう処遇するかということは、結局はいい発明会社にどう引き戻すか、あるいは会社創造するかということに直結いたしますので、処遇の仕方自体が言わば経営のノウハウでございます。そういうものはもう一切、何というか、人に公表するということはございませんので、そういう懸念はないというふうに私は思っております。
  51. 浜四津敏子

    浜四津敏子君 ありがとうございました。  終わります。
  52. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  まず最初に、大西参考人にお伺いいたします。  調査室の作っていただいた資料を見ておりましたら、日本弁理士会の職務発明制度に関する見解というものがありまして、そこに、日本職務発明対価は、現行特許法第三十五条の存在により世界のトップレベルになりつつある。やがて世界の研究者が世界の企業を目指す流れができるであろうと、非常に高く評価しているわけですね。そして同時に、日本がアメリカと同様な研究者処遇制度に転換すれば、その流れはしぼんでいく、そういうふうに書かれているわけですけれども、こういう積極的な評価を今後も予測できる、しばらくの期間維持されていくのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  53. 大西正悟

    参考人大西正悟君) 弁理士会としましては、今回の法改正、賛成するという趣旨からもその考え方を踏襲できると思っております。  アメリカの制度は、基本的には職務発明は使用者に属するというような解釈がなされると伺っております。その場合に、従業者が、現行日本での制度の下で評価されている従業者がアメリカのような契約社会になった場合に、それだけの評価を受けて発明インセンティブを享受するといいますか、それだけの発明意識が高まるかどうか、やはり疑問だと思っておりまして、是非ともこの三十五条の制度は維持していただきたいと思っております。
  54. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 阿部参考人にお尋ねいたしますけれども、今紹介いたしましたような弁理士会のそういう見解がありますが、今は大変グローバルな時代で、これからますます強まっていくと。そうしますと、例えばほかの制度を採用している国々との共同開発とか、いろんな形があり得ると思うわけですね。  その点で、そういうことについて、現在のところ諸般の事情によって、日本の現状によって三十五条という考え方、先ほど述べられておられましたけれども、今後どういう方向で考えていかれるのか。その点について、つまり三十五条の積極的な評価、非常に高いわけですけれども、今紹介したものでは。そういう評価なのかどうかについてお尋ねしたいと思います。
  55. 阿部一正

    参考人阿部一正君) 今度新しく改正される制度をある程度実行して、それで評価をするというのが正しい方法ではないかと思います。したがいまして、今の時点でどうあるべきかということについて確たる意見は差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、やはりアメリカというか、我々から見ると、やっぱり契約概念というか契約が生活の中に浸透しているという社会では、やっぱり個別的に発明者企業がそれぞれその特徴をとらえた契約を結んで、特徴のある契約を作ってそれぞれ満足するというふうに言えば、両方とも満足できるという社会になるのではないかというふうには思いますけれども日本発明者会社と対等の立場でそういう議論ができるようになるというのは、もう少し経験が必要なのではないかというふうに思います。
  56. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 木村参考人にお伺いいたします。  先ほどからちょっと話が出ておりましたけれども、オリンパス訴訟の経過ですね。これは使用者の貢献が九五%とされる、特別な発明でない、普通の社内エンジニアの提訴によるものだったわけですね。  私、思うんですけれども、結局この問題というのは、使用者とそれから従業員とのそういう関係、とりわけ技術研究者の使用者の問題になると思うんですけれども社内の中で、やはり考えてみますと、労使ということでいいますと、力関係でいえば非常に大きな開きがある。そしてまた、同時に、昨今の状況でいえば、先ほどおっしゃられていましたけれども研究設備の問題や、あるいは事務職と比べても低い扱いに技術労働者はそこにさらされるというそういう側面があるとおっしゃられていましたけれども、そういう下で会社と協議して、技術労働者が、何といいますか、きちっとした形で納得いくような協議が果たして可能なのかどうか、それについて実際どうなのか、その点、お伺いしたいと思います。
  57. 木村裕士

    参考人木村裕士君) 使用者と従業員の関係でございますが、決して昔の殿様と家来というような関係ではございません。対等に協議をしていくために団結をしているわけでございます。それを使うか使わないかはそこの組合員の判断によるというふうに思いますし、処遇が低いというものも、これはきちんと労使で協議をして解決をしていかなければその企業が駄目になってしまうということですし、プロセスをきちんと取らないと、今度は、結局は訴訟に持ち込まれるということになりますので、その点については十分労使で協議ができる環境にこの改正案はなるというふうに考えております。
  58. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 では、阿部参考人にお伺いいたします。  経済産業省の特許委員会の議論で見たような気がするんですけれども特許庁の事務局は、企業はこうした発明・考案過程について公表した方がいいと、そういう議論があったと思います。これに対する産業界の御意見というのは、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、やはりこうしたものは本来企業秘密にすべきものであって余り公表すべきものではないと、いろいろ競争等々の関係もあって。そういうことなんですけれども、この点で、この点を少し踏み込んで、こういうことを公表していくという形で、あるいは公表に少しでも踏み切っていく、まあ一挙にできないと思いますけれども。そういう形でこういう分野での啓蒙的な流れを作っていくという、それはやはり産業界の非常に大きな責任でもあると思いますけれども、その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  59. 阿部一正

    参考人阿部一正君) 今度の改正法の中でも、当該基準の開示の状況ということが合理性判断一つとされております。これは第三者に向かってではなくて、企業従業員との間の開示の問題であるというふうに思っております。しかし、企業が優秀な人材をやはり獲得するためには、自分らの企業ではこういうインセンティブプランを持っていて、こういういい処遇をしているんだということを対外的に情報発信することによっていい人材がその企業に集まるというふうに思います。  したがいまして、企業秘密だから開示しないというのは一方でございますけれども、そういういい人材を獲得するためには、企業としてはそういうことを積極的に開示するということも一つ経営手段であるというふうに思います。  したがいまして、それはそれぞれの企業がどういう方向で力を入れていくかということによって開示がされたりされなかったりするということだろうというふうに思います。
  60. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大西参考人にお伺いいたします。  こういう発明対価についての慣行ですね、世界で一体どういうふうに行われているのかということについて広い視野でちょっとお伺いしたいんですけれども、私の理解しているところでは、この職務発明制度というのはドイツと日本ということがよく言われます。元々、ドイツで、特にヒトラーの時代に科学技術を、発明を奨励するために、そこで形成されたというのをどっかで読んだことがあるんですけれども、そういう形で進められてドイツと日本でこういうのがあると。それは優れた側面があって、今日こういう発展を作ってきたと思うんですね。  ほかの国々では一体どうなっているのか。そして、私、思いますのは、先ほどもちょっと言ったことですけれども、これグローバル化の時代になっていろんな各国との協力が生まれてくると思いますけれども、そのときに制度の違う企業との協力というのはどういう形で進んでいくのか、その点について、ちょっと法、離れますけれども、少し勉強のためにお伺いしておきたいと思います。
  61. 大西正悟

    参考人大西正悟君) 若干、外国制度なので私も確信を持っては言えないんですけれども、まず米国のシステムは職務発明に対する法文上の規定はないと伺っています。基本的に契約で行うと。ただし、日本特許法三十五条一項に規定する通常実施権、これはどうもショップライトという形で慣行上認められるというふうになっておるようです。だから、契約がなくても、少なくとも自動的に通常実施権を使用者が有するというシステム、さらには一般的に職務発明契約等できっちりしていなくても使用者が属する、有するんだという慣行のような解釈がなされていると伺っています。  それから、ドイツですけれども、ドイツは日本と非常に似ておりまして、職務発明制度をきっちりと規定しております。  先日、ちょっとドイツの代理人に伺ったんですけれども職務発明に対する対価というのは企業ライセンスフィーを払うと、それと同じような考えでもってやっているんだと。その対価を与えるに際しまして、各分野ごとに細かなガイドライン規定しているという話です。ただ、ガイドラインが余りにも細か過ぎて逆にそれが弊害といいますか、管理コストが高い、ガイドラインに沿って管理する方がかえってコストが高くなっているという側面もあるようです。  それ以外に、イギリスとフランスですけれども、基本的に職務発明発明者ではなくて企業に属するという解釈がなされると伺っております。  それで、海外企業との協力関係というところですけれども、これは特許制度小委員会でも、日本の三十五条を外国出願に適用するかということでいろいろ議論しています。それに関してもまだ結論が出ていない状態で、どうすればいいか、私もちょっとお答えしかねる状況です。
  62. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは、最後に阿部参考人にお伺いしたいと思います。  日本経団連は知的財産推進計画を今年の三月に出されたということを伺いましたけれども、その中で、この制度について不断の検討を進めて、見直しを積極的に進めていくという、そういうことが言われております。それで、今回の法改正というのはその第一歩というか、それに合致しているということで先ほどお話がありました。もう少し長いスパンで見たときに、この制度について、ちょうど今、大西参考人が述べられたことにも関連するわけですけれども、やはり世界が広がっていく、その中でどういう、こういう制度について、更に今の出されている法案を超えて見直していく、そういう将来あるべき姿を描かれているのか、それをお伺いして、質問を終わります。
  63. 阿部一正

    参考人阿部一正君) 経団連として将来こうあるべきであるということは今のところ示しておらないというふうに思います。  先ほど大西参考人からお話があったように、アメリカのように契約に任せるというやり方、それからイギリスやフランスのように職務発明については初めから法人、会社に帰属するというやり方、それからドイツ、日本のように自然人に帰属してからそれを会社が承継するという手続を取るというやり方がございまして、どれがいいのか、それぞれ一長一短があるというふうに説明されております。  それぞれその個性を発揮して、その個性をうまく利用することによっていい経営資源を引き出して事業化する、そういうことによって競争力を高めていくということが産業界としては一番重要なんだろうというふうに思います。そういう個性をどうやったら一番合理的にあるいは効率的に引き出せるかというところが、これからポイントとなってくるというふうに思います。  理屈だけを申しますと、それぞれ個性がある会社が個性のある研究者を雇うという、それで、その雇う際のインセンティブとして、こういういろんなプランを設けるということをそれぞれ自由にやらせた方がいいのではないかというふうに抽象的には思いますけれども、それぞれ、何というか、人間には限界がございますし、それぞれ生まれてきた経緯というか歴史がございますので、一遍にそういうところまで飛んでいけるかどうか非常に怪しいというか、いろいろ検討しなければならないということだろうというふうに考えております。
  64. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ありがとうございました。  終わります。
  65. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して御礼を申し上げます。(拍手)  本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午前十一時四十七分散会