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2004-04-13 第159回国会 参議院 経済産業委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月十三日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月八日     辞任         補欠選任         小林  温君     金田 勝年君      福島啓史郎君     森下 博之君      平田 健二君     浅尾慶一郎君      藁科 滿治君     内藤 正光君  四月九日     辞任         補欠選任      金田 勝年君     小林  温君      森下 博之君     福島啓史郎君      山下 善彦君     野沢 太三君      浅尾慶一郎君     平田 健二君      内藤 正光君     藁科 滿治君  四月十二日     辞任         補欠選任      野沢 太三君     有馬 朗人君  四月十三日     辞任         補欠選任      泉  信也君     伊達 忠一君      直嶋 正行君     岩本  司君      西山登紀子君     紙  智子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         谷川 秀善君     理 事                 魚住 汎英君                 加納 時男君                 松田 岩夫君                 広野ただし君                 藤原 正司君     委 員                 有馬 朗人君                 小林  温君                 関谷 勝嗣君                 伊達 忠一君                 福島啓史郎君                 保坂 三蔵君                 岩本  司君                 勝木 健司君                 平田 健二君                 藁科 滿治君                 浜四津敏子君                 松 あきら君                 緒方 靖夫君                 紙  智子君    国務大臣        経済産業大臣   中川 昭一君    副大臣        内閣府副大臣   伊藤 達也君        厚生労働大臣  森  英介君        農林水産大臣  市川 一朗君        経済産業大臣  坂本 剛二君        国土交通大臣  林  幹雄君    大臣政務官        外務大臣政務官  荒井 正吾君        経済産業大臣政        務官       江田 康幸君        経済産業大臣政        務官       菅  義偉君    事務局側        常任委員会専門        員        世木 義之君    政府参考人        財務大臣官房審        議官       加藤 治彦君        文部科学大臣官        房審議官     金森 越哉君        経済産業大臣官        房地域経済産業        審議官      平井 敏文君        経済産業大臣官        房審議官     桑田  始君        経済産業大臣官        房審議官     宮本 武史君        経済産業省経済        産業政策局長   杉山 秀二君        経済産業省製造        産業局長     北村 俊昭君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      寺坂 信昭君        資源エネルギー        庁原子力安全・        保安院長     佐々木宜彦君        中小企業庁長官  望月 晴文君    参考人        国民生活金融公        庫総裁      薄井 信明君        中小企業金融公        庫総裁      水口 弘一君        日本銀行企画室        審議役      山口 廣秀君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業  基盤整備機構法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する  法律の一部を改正する法律案内閣提出、衆議  院送付)     ─────────────
  2. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。  委員異動について御報告をいたします。  昨日までに、山下善彦君が委員辞任され、その補欠として有馬朗人君が選任されました。     ─────────────
  3. 谷川秀善

  4. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  5. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案及び中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会国民生活金融公庫総裁薄井信明君、中小企業金融公庫総裁水口弘一君及び日本銀行企画室審議役山口廣秀君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────
  7. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案及び中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 小林温

    小林温君 おはようございます。自民党の小林温でございます。  イラクでの人質事件の行方が不透明な中でございますが、今日はトップバッターとして中小企業関連二法について質問をさせていただきたいと思います。  私、この委員会でも何度かお話をさせていただきましたが、二十代の後半に私、坂本大臣の御地元福島で家業の文房具屋と本屋をやっておりました。銀行取引で貸し渋りと今いわゆる呼ばれているような状況も三か月に一遍ぐらい経験をして、毎月月末になると資金繰りに頭を悩めたわけでございます。その後、ITベンチャー経営者として、後ほど今日議題になりますベンチャーキャピタルからの投資もいただいた経験もあるわけでございまして、今日はこの二法を一遍に審議をしていただけるということで、私も大変有り難いと思っているところでございます。  まず、中小企業ベンチャーファンド改正案についてでございますが、いずれにいたしましても、新しい日本経済の核となるようなベンチャー企業育成というものは、日本にとって急務だということは言うまでもないと思います。  アメリカトップ二十の企業を見ると、一九八〇年以降に誕生した企業がそのうちの半分ぐらいを占めているわけで、一方、日本上位企業を見ると、大企業から分かれた会社が入ってはいるものの、ベンチャーと呼べるような企業がそういう存在には今なっていないというところは、いかにこの状況が今、日本にとって大きな課題であるかということを示しているというふうに思うわけでございます。  先ほど申し上げましたように、私はかつてITベンチャー経営者として、あるベンチャーキャピタル、複数のベンチャーキャピタルから数億円の投資をいただいた経験がございます。当時、これは五年ぐらい前でございますが、と今を比べますと、環境整備はかなり進んだろうというふうに思うわけでございます。今日、改正案を議論させていただくファンド法を始め各種制度整備、それからマーケット自体も大きくなっておりますし、投資家の皆さんのリスクに対する許容度もこれは大きくなっているんだろうと思います。また、エンジェル税制も含めて税制面における対応も進んでおります。  私が五年前と今を比べて考えますと、例えば未公開株に対するキャピタルゲイン課税が今の税率だったら私ももう少しお金を手元に残すことができたのかなと、こんなふうにも実は思うわけでございますが、いずれにせよ、こういう進捗が進んでいるということは非常に有り難いことだというふうに思うわけでございます。  一方、まだ日本ファンド投資額というのは二千億から三千億程度と、こういうふうに言われているわけでございまして、アメリカやイギリスと比べるとその規模というものはまだまだ小さいと言わざるを得ないわけでございます。このファンド投資額が外国と比べて低調な原因について、中川大臣衆議院経済産業委員会で、直接金融マーケットが昔から欧米に比べて発達しなかったという御答弁をされているわけでございますが、今後そのファンド投資額が拡大するかどうかは更なる市場環境整備に掛かっているわけでありまして、成長力のある中小ベンチャー企業の創出、育成に当たっては、資金面においてリスクマネー供給主体であるベンチャーキャピタルを通じた資金供給円滑化が重要な課題であると思われるわけでございます。  そこで、この法案についてでございますが、この法案目的というのは、簡単に申し上げますと、やはり産業における金融機能充実だということだろうと思います。一つには手法多様化すると、これは中小公庫法、それから有限責任組合法、この二つ法律である程度拡充をもくろんでいるわけでございますし、もう一つは担い手の多様化、後ほど事業会社信託会社役割についても質問させていただきたいと思いますが、中小公庫法改正がその部分に当たるんだろうと思います。  ところが、その衆議院での議事録も拝見をさせていただきますと、一つ中小という言葉がこの法案の中から削除をされると、自己資本充実という部分が削除されるということで、これはどうもゼロサムではないかと。つまり、中小企業への政策誘導がそれ以外の大企業も含めて広がっていって、結果、中小企業対策がおろそかになるんじゃないかと。こういう議論が何度も衆議院委員会の中でもされているわけでございますが、そういう意味において、もう一度これを、この法案改正案中小企業ベンチャー企業に対してどういった意味を持つのか、その趣旨目的について明確にお答えをいただければというふうに思います。
  9. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おはようございます。  今、小林委員からの御指摘でございます。自らいわゆる、失礼な言い方かもしれませんけれども、中小零細企業のおうちで育ち、そしてベンチャー企業を経営された実体験に基づいたお話でございますから、正にこの法案に対する関心度、また実感度もはるかに高いものがあるんだろうというふうに思いながら冒頭のお話を聞かせていただきました。  政府系金融機関役割というのは、あくまでも民間の、借り手も貸手も含めて民間お金の流れを支援をしていくと。制度としても、またプレーヤーとしても支援をしていく、あくまでもバイプレーヤーといいましょうか、いわゆるセーフティーネット的なところも含めて、主役はあくまでも民間であるという大前提に徹すべきだというふうに私は考えております。  他方、日本経済というのは、やっぱり中小企業がある意味では屋台骨を背負っているわけでございますし、またベンチャー育成をしていかなければならないというわけでございますので、そういうときに、今委員指摘のように、確かに法律名称中小企業という名前が消えて投資事業有限責任組合法というふうになってしまったから、名称だけ見ると、何か中小企業が消えちゃってということで、確かにまあ中堅あるいは一部大企業についてもこの制度が適用になるわけでございますけれども、我々は先ほど申し上げた前提をいささかも変更するものではなく、むしろ強化する観点から、より多様な中小企業への資金供給手法の在り方ということ、単なる出資ではなくて、融資であるとか債権の買取りとか、多様な融資をやっていく。  そのときに、今御指摘のように、日本はそもそも明治の初めに、たしか貯蓄奨励ということで、細民の倹約せしむるところの貯蓄を奨励しというのが明治の初めの太政官公布にたしかあったような気がしますが、とにかく金融機関お金を集めて企業融資をするという間接金融主体であったと。ということは、直接金融マーケットが、特に戦後ここ数十年の間に欧米に比べて立ち後れていたと。それでは駄目だろうと、手法多様化しなければいけないと。  多様化するに当たっては、特にプロ、一部のプロ以外の人にとってみれば、何となくやってみたいとか、何となくやらなければいけない、でもよく分からない、ノウハウもない、経験もないという人たちに対して、やはりそこに政府が一枚絡んでといいましょうか、関与することによって、一つ大きな投資マーケットといいましょうか、投資世界を作っていこうということで、中小企業金融公庫が、中小企業金融公庫が絡んでいって、このベンチャー育成事業参加をするということで、プレーヤー参加を呼び掛ける一つの呼び水にしていきたいということでございます。  いずれにいたしましても、中小企業メーンであることはいささかも変わりなく、手法多様化、あるいはまたプレーヤーのより多い参加によって健全なマーケットの拡大というものを目指す、あくまでも我々の主眼は民の補完という立場から、中小企業中心にして中堅・大企業にもやっていきたいというのが法の趣旨でございます。
  10. 小林温

    小林温君 今、大臣から、中小企業メーンであると、そして政府役割は民の補完だというお答えをいただいたわけでございますが、これは正にゼロサム世界ではなくて、中小への資金供給が細ったから大企業に行くと、あるいは大企業お金が行かないから中小に行くという話でなくて、全体のパイを広げていく中で、それぞれ対象をしっかりと区分けをして政策誘導をしていただくということだと思います。  そこで、今回のファンド法改正の中でもう一つ目的は、その投資手法拡充投資対象拡充であるわけでございますが、その企業規模の大小を問わずに経営革新事業再生に取り組む企業は今大変多いわけでございます。そういった民間企業から短期のつなぎの融資債権買取りなど、ファンド制度自体拡充を求める声があるというのも各種ヒアリング等によっても明らかなわけでございますが、こういう経営革新事業再生事業再編に取り組むその企業向け資金供給について、今回の法改正趣旨あるいは位置付けというものはどういうふうになっているかと。これについても、もう一度明確にお考えを聞かせていただきたいというふうに思います。
  11. 坂本剛二

    ○副大臣坂本剛二君) 産業再生それから企業再生、これは我が国の経済の活力を付けるためには最も大事な項目であって、今先生おっしゃるとおりでございます。  しかし、お話のありましたように、銀行依存、あるいはその融資の内訳は不動産担保依存ということで、企業リスクマネーが流れる構造が硬直化してきているという、これを何とかリスクマネー供給多様化仕組み整備していかなきゃならぬというのが今回のファンド改正でございまして、これはリスクマネー供給する新たな仕組みを作るために、今回の法改正は、中堅企業や大企業投資先とする企業再生ファンドを含めファンド設立を容易にできる制度環境整備するものであるということでございます。これによって事業再生産業再生について必要なリスクマネー供給を厚くし、産業金融の面から支援することになるものと考えておるわけでございます。
  12. 小林温

    小林温君 今回のファンド法改正是非契機に、更にこうした手法拡充に努めていただきたいと、またお願いを申し上げるところでございます。  そして、今後の景気回復のやはり大きな課題というのは、地方とそれから中小企業における景気回復、これは実感も含めてですが、をいかに実現していくかだということだろうというふうに思うわけでございますが、地域中小企業再生ファンドというものも、これは経済産業省中心になって取り組んで、そして組成をしていただいているわけでございます。  再生を図ろうとする中小企業にとっては、その中期的あるいは長期的な財政支援それから継続的な経営支援というものが必要なわけでございまして、こうした地域中小企業再生ファンドというものは、大変そういう意味において意味のある取組だというふうに思うわけでございますが、中小企業総合事業団による地域中小企業再生ファンドへの出資はまだ余り進んでいないというふうにも聞いております。  あの大分県などでは幾分モデル的な事業が進んでいるという話もあるわけでございますが、今後、この地域中小企業再生ファンド組成の促進についてどういうふうにお取り組みをいただくのか、また今回の法改正と併せてどのような相乗効果が期待できるのか、政府の方の方針についてお伺いをしたいと思います。
  13. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) お答え申し上げます。  今先生指摘ございましたように、地域中小企業再生を図るというのは非常に大きな政策課題になっているというふうに存じております。これに対応するために、いろいろ各地域銀行でありますとか、あるいは地方自治体でありますとか、あるいは地元経済界というものが声を掛けまして地域中小企業等再生を行うためのファンド設立するというような動きが見られております。  例えば、北海道とか長野とか大阪とか、こういった地域地域中小企業等再生支援するファンド設立をされておりますし、またお触れになられました中小企業総合事業団スキーム、これを活用いたしまして、大分県とか静岡県、あるいは近日中には茨城県でも設立の見通しがあるというふうに承知をいたしておりますが、そのような動きがございます。  今回の法改正地域中小企業再生ファンドとの関係を申し上げますと、中小企業再生ファンドの場合には、多くの場合、ファンドがいわゆる株式取得だけではなくて、銀行などから債権を買いまして主要な債権者として中小企業再生を主導するというようなケースが多々見られます。  今回の法改正におきましては、ファンド債権取得機能を追加するというような法改正をいたしております。こういった観点中小企業再生ファンド設立が容易になるだろうというふうに考えております。  また、先生お触れになられました中小企業総合事業団出資、この制度も活用いたしまして、今申し上げましたような法改正によります地域中小企業再生ファンドの活動の活発化というものを、相お互いが、相、相乗効果を持って地域中小企業再生が加速されるということを期待をしているということでございます。
  14. 小林温

    小林温君 今回の法改正債権取得が可能になると。この部分地域中小企業再生ファンドの中でも是非総合的な取組支援策として活用していただけるように、その連携策あるいはスキーム作りに今後とも御努力お願いをしたいというふうに思います。  次に、公庫法について質問させていただきたいと思いますが、先ほど来申し上げているように、地方経済再生、それから特にやる気のある、将来性のある中小企業支援という意味で今回の中小企業金融公庫法改正案というのは意味があると思うわけですが、買取り型で十六年度は千五百億円、それから保証型では九百億円の事業規模想定をされているということでございます。  この買取り型、保証型、二つスキームにおいて中小公庫が果たす役割が違うというのは法案の中身を見ても実は明らかなわけでございますが、それに対応してその引受手となる民間金融機関においても求められる機能でありますとか役割も、そのそれぞれのスキームで違うということが想定をされるわけでございます。この点について少し明確に、そのスキームの違いについて御説明をいただけますでしょうか。
  15. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 委員の今の御質問にありますように、保証型、買取り型の二つあるわけでありますけれども、保証型の仕組みというのは、証券化事務自体は自ら行うことができる金融機関、いわゆる大手の都市銀行を実は意図しておりまして、しかし、こうした金融機関におきましても今まではリスクの管理だとかあるいは証券化市場の未成熟等の要因から証券化は円滑に進んでいない、そういう中で中小公庫がその一部を保証すると、これがいわゆるこの保証型でありまして、買取り型は、地域業種等によって非常に隔たりがあって単独では証券化が困難な地方金融機関、信用金庫、そういうものを念頭に置いておるところであります。  そういう中で、中小公庫はこれらの地域金融機関貸付債権を取りまとめて証券化をすると。そういう意味では一定規模以上のものを中小公庫が取りまとめると、そういうことでありますので、いずれにしろ、この二つ手法におきましても、それぞれの金融機関に幅広く参加をしてもらえるように、そしてそれぞれの発展につながるように努力をしていきたいと思っています。
  16. 小林温

    小林温君 今、政務官お答えをいただきましたように、特に買取り型においては中小企業金融公庫役割機能が更に大きく求められるということだろうというふうに思います。  今回、中小公庫国民金融公庫商工中金中小企業関係政府系金融機関がある中で中小公庫証券化支援業務に当たるわけですが、お聞きすると、国民金融公庫は管轄が、所管が違うと。商工中金は既に証券化業務にかかわっているということだということでございますが、この法律は七月一日の施行が予定をされていると思います。スムーズに業務を行うために、体制の整備でありますとか必要な人材の確保について中小企業金融公庫においてはどういうお取り組みをされているのか、この点についてお答えをいただければと思います。
  17. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お答えいたします。  証券化支援業務は、中小公庫にとっては既存の貸付業務などと異なりまして、民間金融機関あるいは格付会社投資家などと調整しながら個別の証券化案件を構築、実施するという新たなノウハウが必要となる業務であろうかと思っております。  このため、証券化支援業務を開始する本年七月には、証券化支援業務専門に行う部署、証券化支援部といったようなものを置くことといたしておりますし、また円滑に業務が開始できますように、既に中小公庫内に準備チームを設けまして、民間金融機関証券化プログラムや、あるいは中小公庫支援業務などにつきまして、具体的な証券化準備念頭に置いて民間金融機関との間で実務的な情報交換を既に行っているところでございます。また、民間金融機関において証券化経験を積んだ人材などを中途採用するなどといったようなことを尽くしまして、実施体制の強化に努めているところでございます。
  18. 小林温

    小林温君 この証券化業務というのは、例えば民間においても他の金融機関と差別化を図るという上で大変重要な業務であると同時に、そのノウハウ、人材も必要な部分でございます。この点の整備については是非万全を期していただくと同時に、ニーズがあるのでこういう法改正が行われるということでございますので、七月に間に合うようにお取り組みをいただきたいというふうに思います。  いずれにしても、これも当委員会でもいつも議論になることでございますが、日銀がベースマネーを供給しても、あるいは融資制度を含めて中小企業向けの政策的な手当てを中小企業庁、金融庁がしても、なかなか中小企業向けの融資というのは増えないのが現状だろうと思います。そういう意味において、当然、今回のスキームにおいては中小公庫リスクテークをするわけでありますが、特に、地域金融機関の窓口において、担当者レベルでそういった認識をしっかりとお持ちをいただいてそういう対応を、融資業務をしていただかなければいけないわけでございます。  それから、今お答えをいただいたように、中小公庫での準備、内部での準備が必要だということと同時に、買取り型の対象となる地域中小金融機関との間で是非七月に向けてコミュニケーションを密にしていただきたいと。そして、金融機関融資担当者の、窓口の担当者のレベルにまで、このスキームの持つ意味リスクがどこに存在するのかと、そして、それぞれの役割はどこにあるのかということについての理解を深めていただきたいと、これをお願いを申し上げるところでございます。  今回の改正案の中身に、もう一つ証券化支援業務における新たな金融の担い手として、従来の金融機関以外に、信託会社でありますとか一定の事業会社がその参入を期待されているわけでございます。私は、こうした中小企業金融のチャネルの拡大の一環としての金融機関以外の担い手の多様化を通じて中小企業資金調達というものは拡充していくんだろうというふうに思うわけでございますが、この効果についてどういう御認識をお持ちかということについて、経産省の御見解を伺えればというふうに思います。
  19. 坂本剛二

    ○副大臣坂本剛二君) 中小企業金融円滑化のためには、先生おっしゃいましたように、一定の事業会社、いわゆるファイナンス会社による資金供給を促し、中小企業金融の担い手の多様化を図ることが必要であります。市場から資金を調達しながら、独自に培った審査能力やリスク管理手法等を活用して中小企業のニーズにこたえ、適切かつ積極的に事業資金供給を行っている者がありますが、今般の中小公庫法改正においては、こうしたファイナンス会社証券化支援業務対象とすることとしておるわけであります。  経済産業省といたしましては、こうした取組によって幅広い担い手による資金供給多様化を促し、中小企業金融円滑化を進めてまいる所存でございます。
  20. 小林温

    小林温君 今日、二つ法律改正案について質問させていただいておるわけでございます。全般として、各種経済指標を見る限りでは、景気回復はある程度底を固めてきているんだろうというふうに思いますし、循環型だという声もなかなか最近は聞こえなくなったわけでございます。しかし、やっぱり依然として大企業、都市部、製造業中心の回復だということは、これは事実でございまして、是非政策的な手当ても含めて、繰り返しになりますが、中小企業、そして地方、製造業以外のサービス業も含めたこういった産業景気回復に是非これからもお取組をいただきたいというふうに思います。  少し別の角度から簡単に質問をさせていただきたい。エンジェル税制拡充ということでございます。  先ほど申し上げましたように、ベンチャー環境整備というのは進んでいる、その中で、エンジェル税制改正も昨年、一昨年と行われて、お金の流れも太くなってきているのは事実でございますが、私、一昨年の十一月の本委員会で、是非ベンチャー企業に対するエンジェル税制投資時点での税額控除を実現をしてくれと、こういうお話を、お願いを申し上げました。  経済産業省としては、これは年末の税制改正時にも強くお働き掛けをいただいているんだろうというふうに思うわけですが、直接金融を一層促進していく、しかも弾みを付けていくという意味では、是非この投資時点での税額控除、これ少し、ステップとしてはかなり先の部分に行くという部分があるかもしれませんが、例えばイギリスのように、キャピタルロスが発生したときに控除をするんじゃなくて、もう投資時点でそういうものについて手当てをいただきたいということについてお願いをしたいと思いますが、簡単にお答えをいただければというふうに思います。
  21. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) いわゆるこのベンチャー企業育成、発展のためには個人の金融資産をいかにそれに振り向けるかと、極めて大事なことであって、平成九年度にこのエンジェル税制の確立をしたわけでありますけれども、九年から実は十五年の六年間で、投資家は二百七十八名しかいなかった。しかし、委員の大変な御努力をいただいて、十五年度に株式控除制度、これを設けたら一年間で七百四十八人にもなったというんですね。ですから、六年間分を、一年でやってそれ以上のものをできるようになった。  そして、本年度のこの制度拡充によって、今年は六千名を超える投資家、そして投資額も六十九億円という、今年予測をされるわけでありますけれども、さらに今委員が言われました投資時点での税額控除、これも日本経済の活性化を考えた上で極めて大事なことであるというふうに思っていますので、私ども省としては全力で取り組んでいきたい、申し上げたいと思います。
  22. 小林温

    小林温君 終わります。ありがとうございました。
  23. 魚住汎英

    ○魚住汎英君 自由民主党、魚住汎英です。十五分の時間いただきましたので、大臣と及び中小企業庁の長官等にお尋ねをいたしたいと思います。  今般の中小企業金融公庫法改正に当たって、私は改正と言うべきであるか改悪と言うべきであるかと、こういうことについて、もう問題提起を長年やってきたんですけれども、まず第一番目にお尋ねをいたしたいことは、このことが中小企業の振興につながっていくという確信を持ってされたことであるかどうか。  と申しますのは、私も長い間その中小企業経営者の一人として現在も取り組んでおるわけでありますけれども、今、小林委員からもお話があったように、もう本当に、中小零細業者というのはもう国から見捨てられたんだと、こういう思いがありますことをどうぞひとつ現在の認識として、これはいいとか悪いとかということじゃなくて持っていただきたいなと。特に大臣にこれはお願いをいたしておきたいと思います。  と申しますのは、例えば今、量販店というのがございます。これはもう、国の施策の中でこの大店法を廃止したことが一番大きな私は国民に対する冒涜であったと、私はそう思っております。これはもう確信を持って今でも思っております。それで、それに代わるものとして立地三法という法律を作って、それで騒音の問題でありますとかごみの問題でありますとか、そういうような問題でちゃんとしますから、今まで以上に地域との関連性というのはできますよと、こういう説明でその当時その法律ができたと、このように記憶をしております。  しかし、その結果として、十年の月日がたってその結果としてどうなったかと。地域を荒らしたその原因者である量販店が今日ではもう撤退してしまって、そして地域に従来からあった二代、三代として続いてきた地域の大だなと言われるところ、またいわゆる地域の名家として育ってきたところ、そういうようなところがほとんどなくなってしまった。それに代わって今何があるかというと、コンビニを始めとするいわゆるフランチャイジーがたくさんできている。そういう連中というのは、地域社会との関連性はないわけであって、物を介しての関連性でしかない。こういうことの中に全体的な地域の地盤沈下というのが来されている、これが現実であります。  ここで議論する、今日の議題の中で議論することじゃありませんが、後日に私はやりたいと思っておりますが、例えば、量販店の仕入価格と在来の中小の商店がやっておった仕入価格との中に同じ品物でも大変な差異がある。このことは何であるかと。こうやっていきますと、これはもう独禁法上のいわゆるダンピングの問題になるだろうと思うんですが、これが彼我の力の差であり、なおかつ自由主義経済だと言えば、この一言で済んでしまうかもしれませんけれども、現実の社会の中では力がないものは廃れていけと、やめてそういうものはどんどん倒産していけと、こういう形の姿が歴然と法律制度の中に現れてきておると、こういうものをどうぞひとつ御認識をいただきたいと思います。  賢明なる大臣でありますから、地域に帰られると、特に北海道地区等においては、また始め、全国においては、そういう田舎においては、本当に今、将来の希望すらもないような状況の中にあることをどうぞ御認識をいただきたいと思うんです。  そういう中において、今、小林議員も触れたんですが、いわゆる在来の中小企業者、零細事業者というものが金融でも求めて、銀行、従来どおりの銀行の窓口に行って、銀行から何を言われるかということを考えていただきますと、必ず、我々個人としては分かるんですけれども、いわゆる銀行なり金融庁なり、また財務省の指導なりの中においてそれができないんですよと、こういうような話が出てくる。  そういうことの中で、いわゆる政府としてはこういう信用補完制度としての中小企業金融保険法という法律を基にしたいわゆる信用保証協会というものを設置してある。ところが、今日のその信用保証協会の運営状況だって、見ていただきますと分かりますように、大変危機的な状況にあることは御承知のとおりなんです。  じゃ、なぜこういう形になったのかと。こういうことをずっといろんな角度から類推をしてみると、基本的には、国が中小企業施策については冷淡だと。いろいろ考えて看板は出すけれども、実際、それがどういう形で国民に受け入れられているかと、こういうことについての精査されたものがない。あるいは県任せ、あるいは市町村任せと。  こういう形の中で、特に私は、中小企業の中でもとりわけ商工会の役員として長年在籍をしておりますが、その中で一番思うことは、例えば中小企業のためのいわゆる商工会法、これは次の委員会で出るわけであります。今回の国会にも提案されておるわけでありますが、その商工会法に基づいた商工会の組織自体のその機能から見ても極めて投げやりであって、昭和三十五年当時できた法律でありますから、その法律のできた当時の社会の背景と今日の社会の実態というのは非常に大きな差があるんですね。大きな差がある。しかしながら、法は依然として中小企業施策の中の一つの総合経済団体として商工会を設置します。商工会を設置する最大のいわゆる事業というのは何だというと、経営改善普及事業です。ところが、もうそういう時代じゃないんだと。経営改善普及事業よりもむしろ地域振興のためのいわゆる地域活性化事業の方がたくさんの実態としての活動をしておるんだと、こういう実態の中にあるわけですね。  法律法律としてあるけれども、実態の方がそういう具合になっておるんであるならば、少なくともその裏打ちで結構ですから、また、後ればせでも結構でありますから、そういう実態を確認した上で物事をやっていただかなきゃならぬと、こう思うわけでありますが、今度のこの中小企業金融公庫へ保険業務を持たせるということにおいても、最初は御承知のとおり、この金融公庫から始まり、事業団になり、そして金融公庫、今度は中小企業金融公庫になるわけであります。この推移を見ても、果たして中小企業のために一生懸命なると思ってやっているのかどうであるのかと。こういうことから考えていくと、私はもう誠にもって今、これは与党でありながらこのようなことを申し上げるのはどうかと思いますが、自民党というのは本当分かっておるのか、政府・与党は分かっておるのかと、私はいつも部会ででもそういうことを申し上げるわけでありますけれども、経済実態が分かってない。  だから、何でも自由競争の中にあればいいということであるならば、それなりのまた対処の仕方もあるだろうけれども、片一方ではどうかというと、地域の活性化であり、なおかつ地域の再創生のためにどういう具合にするのかと、こういうような話を政策として挙げておる。もうありとあらゆる縦割りのいわゆる看板だけは出てくるんですけれども、実態としては全然その実態認識というものはないものだから、こういうようなことの中で非常に住民は困惑をしておると、これが実態なんです。  先般、緒方委員からもこの場でお話があったんですけれども、実はフランチャイジーが出店をしておって、それでそのフランチャイジーにそこの地域経済団体に加入をしなさいと、こういうような話をするとどういう話になるかというと、本社からそういうことの経費は節減せよと言われておりますから我々としてはそういうことにはいわゆる参加できません、商工会議所にも入れません、商店街の振興組合にも入れません、また商工会にも入りませんと、こういうことです。  じゃ、我々としてはどういう対処をしなきゃならぬかといいますと、じゃ、あなたたちは地域からごみの問題にしたって電気の問題にしたって水道の問題にしたって交通の問題にしたって、すべて行政サービス受けておるじゃないかと、こういう論点で加入を促進しなさいと。そうしなければ、せっかく国がみんなのためにということで作った法律の実施ができない、実施が、こういう形になるじゃないですかという話も実はしたわけであります。  また、そういうような意味からしまして、私は、今回の中小企業公庫にこの信用保険業務を持たせるということが果たしていい方向へ行くのか悪いのかと、まずそのところの所感をひとつ大臣にお伺いし、なおかつ、まあ十五分しかありませんから、いろいろと申し上げたいことはまたたくさん時間取ってそのときに議論したいと思いますが、基本的に大臣の今の気持ちをお聞かせをいただき、なおかつ後でまた個別のことについては長官からお話を聞かせていただきたいと、こう思っております。
  24. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 魚住委員はもう商工関係中小企業も大変精通されておりますし、時間もございませんのではしょって結論だけ申し上げますと、我々としては、中小企業支援をしていく、その場合に、あと一押しが必要なところ、あるいはまた再生が必要なところ、あるいはまたベンチャー育成、いろいろあるんだろうと思いますけれども、それぞれの対応に応じてきめ細かに、そして事業者そのものに御理解をいただきながらやっていきたいということでございます。  そういう中で、貸す方が中心であった公庫に今度信用事業を統合する。前回たしか委員は、信用事業の所管がころころ変わっているというような御発言をされたと思いますが、確かにいろんな経緯があるわけでございます。一つは行革という流れもございますけれども、きちっとした形で中小企業全般を見ていくと。他方、きちっとしたファイアウオールもしながら融資機能と信用事業一つ事業団の中で運営をしていくということはひとつ大いにメリットがあるというふうに考えておりますし、委員指摘のような、過去の長い御経験やいろいろなことを御存じの上での御質問でございますから、そういうことがないように一層注意をしながら、統合を含めて事業を更に中小企業のためにお役に立てるように、また民間補完としてもやっていきたいというふうに考えております。
  25. 魚住汎英

    ○魚住汎英君 賢明なる中川大臣でありますから、どうぞひとつ大臣の指揮の下に、本当に国民が、我々のことまで考えてやっているんだ、ちゃんとやっぱり政府はやっているんだよと、こういうことが受け取れるように頑張っていただきたいと思います。  そこの中で、長官、いつも言っていることですがお尋ねしますが、いいですか、今、信用保険法を実施する信用保証協会というのは県の所管ですよね、県の所管ですよね。国で信用保険のいわゆるリスクヘッジをしますよね。保証協会に与えられた役目、これは県の知事の裁可の下に人事権を始めとするものがありますよね。そこで欠落している部分があるんですよ。それは何かというと市町村との関係ですよ。  大体、中小企業政策というのはほとんどが国と県でやりますから、市町村関係ないですよと。例えば商工会法なんというのはその典型的なものでありますけれども。もうそういう時代じゃないんです。市町村独自で、じゃ、中小企業振興施策をやっておるのは何かあるかと、こういうことになりますと、大都市においてはそれはある。しかし、中小都市以下においてはそれはないんですよ。だから、やはりその住民は、国民は、市町村民であろうが、小さな市町村民であろうがすべて国民ですから、ひとしくそういうような施策の恩恵に受けられるような形での誘導を是非ともしなきゃならぬときが来ておると思うんですが、いかがでしょうか。現状の認識と将来に向けての考え方というものをお知らせいただきたいと思います。
  26. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お答えいたします。  先生おっしゃいますように、今の信用保証協会、県が中心になって作っている信用保証協会は、県の設立設立者としての県が国の認可を受けて設立したということになっております。ただ、信用保証法では国が管理監督をするということになっておりますが、その一部を政令において県に委任していると、こういう構図になっているわけでございます。  その中で、先生おっしゃいました市町村でございますが、これは多くの信用保証協会の中で、例えば県が市町村に出捐を要請をしたりして、同様に出捐者の一部になっておられる市町村というのも結構あるわけでございます。その中で、県は、その市町村との関係においても、これは自主的に運営されているわけでございますので区々でございますけれども、例えば信用保証協会の理事にそういうところの市町村の首長さんになっていただいているとか、あるいはそういったことを背景にして、市町村が信用保証協会を活用して独自の中小企業金融対策としての市町村の制度融資を設けて信用保証協会とともにやっているというような例も散見されるわけでございます。いずれにしても、市町村は信用保証協会の運営に一定の関与をしながらその活用を図っていくという動きもあることも事実でございます。  私どもといたしましては、今後とも、信用保証協会は市町村を含めた関係各方面の声を聞きながら適切な業務運営を図るということがこれは非常に重要なことだと思っておりますので、私どもの省といたしましても、こういった観点から信用保証協会を督励してまいりたいというふうに考えております。
  27. 魚住汎英

    ○魚住汎英君 終わります。
  28. 有馬朗人

    有馬朗人君 自民党の有馬朗人でございます。どうぞよろしく。  日本経済はバブル崩壊後の長い低迷からやっと脱却しつつあります。明るい兆しも見え始めておりますが、輸出や設備投資に牽引された大企業に比べまして、中小企業は依然として厳しいようであります。  我が国の先端産業の競争力を支え、地域経済活力を担っているのは紛れもなく中小企業であります。中小企業に対する配慮なくしては真の経済の活性化はあり得ないと考えております。今後、経済全体の明るい兆しを中小企業に浸透させていくことが重要でございまして、そのためには、中小企業への資金供給円滑化、技術開発支援、人材の育成・確保、支援などあらゆる手だてを講じていく必要があると思います。  そこで、中小企業対策に関する大臣の御決意をお聞かせいただければ幸いであります。
  29. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) お答え申し上げます。  今、有馬先生おっしゃったとおりでございまして、日本を支えているのは中小企業でありますし、また、今、日本で頑張っている輸出、あるいはまた家電、IT、自動車といったところも元々は中小企業、まあ一人のか数人のところから始まって世界に冠たる企業になっているところもありますし、先ほどの小林委員のように、アメリカなんかはもうベンチャーが、アメリカ企業、大企業の上位を占めている。  やっぱり、これからの将来に対するという意味での中小企業育成、あるいはベンチャー育成、それから今頑張っている、昔から頑張っている、地方と密接に関連を持ちながら頑張っている企業であと一押しが必要であると、資金面、技術面、販売面、人材面、そういうところをみんなで応援していきましょう、あるいはまた再生に必要ないろんなメニューもやっていきましょうということでございまして、そういう意味で多種多様な手法が必要でありまして、そういう中での今回の二法案審議でございます。  先生指摘のとおり、中小企業日本経済を全国隅々まで支え、中小企業の活力が本当に活性化してきたという声を聞いてこそ真の日本経済の回復、再生があるというふうに考えておりますので、御指導をよろしくお願いいたします。
  30. 有馬朗人

    有馬朗人君 ありがとうございました。  少し違った観点で御質問申し上げます。  中小企業を含め生産の現場では、専門高校、すなわち昔の職業高校出身の技術者、技能者が極めて活躍していると思います。残念ながら職業離れということが言われる時代、この時代に特に職業教育をしっかりやるべきだと思いますが、どのような対策を講じているかお聞かせください。
  31. 金森越哉

    政府参考人(金森越哉君) お答え申し上げます。  高等学校における専門教育は、農業、工業、商業など職業に関する教育を行う専門高校を中心に行われておりまして、中小企業における中堅技術者など、我が国の産業経済の発展を担う人材を育成する上で大きな役割を果たしております。  このうち工業高校におきましては、実験、実習を重視した物づくりなどの実践的な教育を通じて工業技術者として必要な勤労観や職業観をはぐくみ、高度の知識や技術、技能を有する将来のスペシャリストを育てるために、地域産業界等と連携を図りつつ専門的な教育を行っているところでございます。  平成十五年度から実施しております新しい高等学校学習指導要領では、例えば専門教科、工業では、どのような物をいかに作るかという能力を重視し、環境に配慮しつつ資源を大切に使うことも含め、創意工夫を生かした実践的な技術者を育成することを明確にいたしました。また、工業技術のエレクトロニクス化や製造技術のシステム化に対応した科目の改善などを図ったところでございます。さらに、高等学校の専門教育の一層の活性化を図るため、平成十五年度からは先端的な技術、技能等を取り入れた教育などを重点的に行う目指せスペシャリスト事業を実施しているところでございます。  今後とも、専門高校における職業教育の重要性にかんがみ、その充実改善に努めてまいりたいと存じます。
  32. 有馬朗人

    有馬朗人君 職業高校、すなわち現在の専門高校の人気が非常に落ちてきておりますので、何とか更に生徒諸君が、学生諸君が職業高校に行くことを喜んで行けるようにしていただきたいと思っています。  ところで、話が変わりますが、私は原子力科学技術の振興に大きな関心を持っております。その観点から、核燃料サイクル政策の推進についても大変興味を持っている次第であります。その受皿であります青森県に関連して幾つかお伺いいたしたいと思っています。  原子燃料サイクル事業を行っております日本原燃株式会社は、青森県に本社を置く企業として県内から新規学卒等を始め多くの雇用が図られていると聞いており、雇用の厳しい現状の中にあって日本原燃株式会社に対する雇用への期待に関心が集まっていると聞いております。また、景気低迷が続く中、青森県内の中小企業においては、これまでも日本原燃株式会社が実施している原子燃料サイクル施設の建設に伴い資材の供給等を通じて多くの受注実績を積んでおり、地域経済に一定の景気浮揚の効果を発揮してきております。  しかしながら、日本原燃株式会社の六ケ所再処理施設におきましては、使用済燃料受入れ貯蔵施設でプール水漏えいなどがあり、総点検の結果、二百九十一か所にも及ぶ施工上の問題のある溶接が見付かったほか、建設中の再処理施設本体でも化学すなわち化学試験中に硝酸漏れが起こるなどずさんな施工が行われていることも判明し、この一連の不祥事によって施設の操業開始が大幅に遅れ、結局、操業に向けた事業の発展が二年もの間ストップしている状態と聞いております。  そこで、青森県六ケ所村の六ケ所再処理施設にかかわる状況についてお伺いいたします。  まず、事業者としては、施設は健全なものに復旧されたところであり、品質保証体制については充実、改善していると聞いておりますが、国はどのように評価しておられるのか。また、この後どのように事業者をチェックし、施設の健全性を確保していくのか、確認していくのか、お伺いいたします。
  33. 佐々木宜彦

    政府参考人佐々木宜彦君) 日本原燃株式会社の再処理施設、使用済燃料受入れ貯蔵施設において発生いたしましたプール水の漏えいは、建設時の不適切な溶接施工に起因しておりまして、そのほかにも多数の不適切施工が明らかになりました。  このため、原子力安全・保安院といたしまして、昨年の六月、同社に対しまして再処理施設の健全性確認と品質保証体制に関する点検を行うよう指示をいたしまして、本年三月、同社から当院にその点検結果の報告書が提出されました。これと並行いたしまして、昨年六月に総合資源エネルギー調査会の下に幅広い有識者から成ります六ケ所再処理施設総点検に関する検討会を設け、同社の品質保証体制などにつきまして公開の下で熱心な検討をいただいたところでございます。  原子力安全・保安院といたしましては、同社からの点検結果報告書について検討し、一つは、施設の健全性については現時点では問題なく、また同社の品質保証体制の改善策に関しては、より実効的な品質保証活動が期待できるものと評価をいたしました。  今後は、保安院といたしましてもフォローアップを行っていくことも含め、三月三十日に同検討会の了承をいただいたところでございます。当院といたしまして、今後、同社の品質保証体制に関する改善策が適切に実施されていることを、検討会の審議もいただきながら、保安検査などを通じまして確認していくこととしております。  なお、当院の評価結果は原子力安全委員会に報告し、また地元の青森県知事及び県議会、六ケ所村村長及び村議会などにも御報告をしたところでございます。
  34. 有馬朗人

    有馬朗人君 国といたしましては、地方住民の不安、不信の解消のため、事業者をしっかり指導監督していただきたいと思います。特に、手抜き工事だとかずさんな施工などが絶対行われないようにしていただきたいと思いますが、大臣の御決意はいかがでございましょうか。
  35. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 日本が核燃料を中心にしたエネルギー政策を一つの基幹として位置付けておる中で、この核燃サイクルというのは非常にそれのある意味では大動脈のような位置付けだろうと思います。そういう中で、今、有馬先生指摘のような事故があったということは、日ごろから青森県の地元の皆さん方に大変御理解をいただきながら進めている中での大変な御心配、御迷惑また信頼関係を揺るがすようなことになったというふうに考えております。  私も先月、青森に行ってまいりまして、知事さんや六ケ所村の村長さん始め御地元の皆さんにお会いをして、おわびかたがた、きちっとした、当時はまだその安全性についての最終的な報告書の承認という形になっておりませんでしたから、それをきちっとやった上で御判断をお願いしたいということで、一連の今、保安院長から申し上げたようなことが今終わったところでございます。  今後、御地元の御理解をいただきながら何とか円滑に進めていくために、二度とこういうような事故あるいはまたその後の不手際があってはならないという我々も新たな決意を持ちまして、地元とよく連絡を取りながら、信頼関係の構築の上に立ったエネルギー行政を進めていきたいというふうに考えております。
  36. 有馬朗人

    有馬朗人君 大変ありがとうございました。  今の御答弁からも、私といたしましても施設の健全性及び品質保証体制の改善などについて国の姿勢は理解できるところでございますが、日本原燃が事業を進めていく上での前提である核燃料サイクル事業の国策上の位置付けについてお伺いいたしたいと思います。  私が実は心配していることでありますが、プルトニウムに関しましては、海外に再処理委託をした分といたしまして約三十トンのプルトニウムがあり、また、六ケ所再処理施設が稼働すると年間約五トンのプルトニウムが生産されると思います。プルトニウムの貯蔵量が余り目立ってまいりますことは、核不拡散条約の観点からも望ましくないと思います。  このようなプルトニウムをMOX燃料としてきちっと発電所で燃やしていくことが問題でございまして、この点、大丈夫なのかということをお聞きしながら、国は核燃料サイクルの推進を原子力政策の基本としておりますが、今後とも核燃料サイクルを堅持するのかどうか、大臣にお伺いいたしたいと思います。
  37. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 安全性と関係者の皆さんの御理解、信頼を前提にして、プルトニウムをこの核燃料サイクルの中に位置付けていくということは非常に大事なことだというふうに思っております。平和利用という観点からも、また日本のエネルギー政策という観点からも非常に重要なことだと思っております。  先日、関西電力でいわゆるプルサーマルをスタートをするということが発表されましたし、他のいわゆる発電会社、電力会社でも計画しているというふうに聞いております。安全性と地元関係者の御理解の上に立って、このプルトニウムを利用したプルサーマル発電所が稼働をしていくということは、大いに我々のエネルギー政策にとっても大事なことだろうというふうに理解をしております。
  38. 有馬朗人

    有馬朗人君 ありがとうございました。是非、その点を実施するよう御努力を賜りたいと思います。  青森県内の中小企業にとりまして、再処理施設の一日も早い健全な操業が望まれると思っております。日本原燃株式会社が信頼される地元企業となるために、経済産業省としてもしっかり御指導、御監督なさりますようお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  39. 藤原正司

    ○藤原正司君 民主党の藤原でございます。  まず、今回の法律改正をめぐります中小企業の環境と現状認識についてまずお尋ねしたいわけでありますが、中小企業資金調達環境の現状、あるいは中小企業をめぐる経済状況、さらに、バブル経済崩壊以降、特に中小企業対策ということで様々な手を打ってきたと。例えば、中小企業信用保険法の改正でありますとか、売掛債権担保融資保証制度の創設でありますとか、中小公庫とそして商工中金によります創業・新事業向けの融資制度の創設でありますとか、あるいは国民公庫の創業・ベンチャー支援制度の強化でありますとか、様々な手を打ってこられたわけでありますが、これらの政策に対する評価も併せてまずお聞きしたいと思います。
  40. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) お答え申し上げます。  中小企業金融経済環境につきましては、製造業、非製造業ともに持ち直しの動きは見られるわけでございますけれども、中小企業の大部分を占める非製造業は、民間消費に大きな影響を受けるために回復に後れが見られるといった状況であるというふうに、まだまだ厳しい状況にあるというふうに認識をいたしているわけでございます。  このような中で、先生質問いただきました中小企業に対する政策の効果でございますけれども、日本経済において重要な地位を占める中小企業に対しまして、私どもとしては、中小企業金融円滑化のための支援、あるいは中小企業再生に関する支援、あるいは創業・新事業展開に関する支援、この三つを三本柱にして実施をしているところでございます。  具体的な実績で申し上げれば、中小企業金融対策では、金融セーフティーネット対策としての一例を挙げますと、資金繰り円滑化借換保証制度の実績は四十万件、五兆九千億円に達しております。  また、中小企業再生支援策で申し上げれば、中小企業再生支援協議会の相談を取り扱いました企業の件数が三千件を超えており、これまで既に六十九件の再生計画を完了をしているところでございます。  また、創業・新事業展開のための支援策といたしましては、新規開業時に無担保無保証融資を行う新創業融資制度先生おっしゃいました新創業融資制度を実施いたしておりますけれども、その実績は約一万件、三百億円に達しております。  このように、既に多くの実績は上がっております。これらの制度中小企業者のニーズにこたえたものであるというふうに考えております。中小企業支援する政策として大きな役割を果たしていると認識しておりますが、今後とも必要に応じ、見直しを行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
  41. 藤原正司

    ○藤原正司君 そこで、我が国の金融慣行といいますか、そういう点を含めてお尋ねしたいわけですけれども、現状は八割以上の中小企業経営者など個人保証の提供を余儀なくされているのが実態でございます。これは他の先進国と比べましても、特に土地を中心とした有担保主義あるいは無限責任を伴う本人や第三者保証制度、特にこの包括根保証制度など、正に我が国のある意味ではあしき慣行ではないかというふうに思うわけですが、今回の法改正がこういう過度な不動産担保あるいは人的保証からの脱却に向けて十分な施策となり得るのかどうかということが一つ。  また、これらのあしき慣行とも言えるものから脱却していく場合に、このことが、今の慣行そのものをベースに置いた場合は、逆に信用収縮にもなりかねないと。ですから、こういうものに配慮しつつ、この金融慣行の改善に向けて、これは他省庁とも連携を取りながらやっていく必要があるわけですけれども、経済産業省に期待される部分も大変大きいというふうに思うわけですが、大臣は議員になられる前は産業金融専門家でもあったわけでして、是非大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  42. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 今、藤原委員指摘のように、特に中小企業の場合には担保を取り、そして保証を取り、そしてまた包括根保証という無期限、無限度のものを取っておると。特にこういう非常に資産デフレ、あるいはまあ、お金のフローの非常に厳しくなってきている時代には、頑張ろう、頑張れると思っている中小企業でも、平時ならば頑張れるのにこういう状況だと非常に厳しいということになるわけでございます。  そういうことで、先ほどの小林委員とのやり取りは、新たな中小企業中心とした金融手法の拡大という目的がこの法律にございますけれども、もう一方の大きな柱は、厳しいといいましょうか、本来だったら普通にやっていけるのにこういういろんな諸情勢だからというところにもう一押しができるような手法として、いわゆるベンチャーによる単なる出資ではなくて、融資債権の買取りをやっていく、その他のことを本日御審議をいただいているわけでございます。  そういう意味で、単にマーケットに過度に行ってリスクとリターンとだけで物事がいくかというと、特に地場の中小企業のような場合には、やっぱり過去からの長いいろいろなお付き合い等もございますから、いきなりゼロから百というものでもないとは思いますので、多分先生の御指摘も、いろんな手法があって、その中でひとつより身軽に、機動的に中小企業にとって真にお役に立てるようないろいろな手法一つとして無担保無保証、無本人保証、あるいは包括根保証の問題等々についても、我々は他省庁とよく協議をしながら、柔軟に、この中小企業が一層頑張っていけるようにこの法案等々を含めて御利用をいただき、そして頑張っていただきたいというのが私どもの根本的な趣旨でございます。
  43. 藤原正司

    ○藤原正司君 今回の法改正も、まあ中小企業金融多様化といいますか、その一環であるというふうに思っているわけでございまして、昨年十二月に産業金融機能強化関係閣僚会合と、こういう中でもそういう多様化という問題が出されているわけでして、とりわけ不動産担保に偏ったものに対して動産を担保にするという道も更に広げていくべきではないかと、こういう考え方も出ているわけでして、これらの点についてお考えをお聞きしたいと思います。
  44. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 委員おっしゃられましたように、この不動産担保主義からの脱却というのは中小企業金融円滑化のためには極めて大事なことであるというふうに思っておりまして、今日までも経済産業省としては様々な仕組みを行ってまいりました。例えば、売掛債権担保融資制度だとか、あるいは今度の法律も、証券化支援業務、そういうことでありますけれども、今委員が言及をされました昨年十二月に取りまとめた経済活性化のための産業金融機能強化策、ここでおきましては、在庫などを担保できないかと、そういうことも、これを活用することのできる環境整備を作るために法制審議会において審議されておるわけでありますけれども、本省としても積極的にこうしたものに努めて、不動産の担保化の脱却のために全力で取り組んでいきたいと、こう思っているところであります。
  45. 藤原正司

    ○藤原正司君 そこで、今お話にも出ました売掛債権担保融資保証制度の問題についてでございます。  これは、平成十三年の十二月にスタートしたわけでありますけれども、ソフトウエアの開発でありますとか、あるいは建設業など、売掛金の回収に非常に長期間を要すると、こういう事業にとっては大変ニーズが高いわけでございます。ところが、このニーズが高いわけですけれども、ここに出てくる問題が実は譲渡禁止特約という問題でございまして、せっかくの担保価値がこのことによって相当低下をしていると。もちろん、この譲渡禁止特約というのは、暴力団など好ましくないところにこの債権が譲渡されることの問題を防ぐためにこれはあるという意味で、それはそれなりの理解をするわけであります。  しかしながら、今、この譲渡特約については、例えば国が発注するような仕事についても、あるいはまた県に対してもそういう指導、できるだけ外すようにという指導がなされているという中で、こういう、先ほどのような暴力団というような不逞のやからに債権が行くというようなことは防止しながらも、できるだけこの特約を外す方向に、民間あるいは市町村とか、広げていかなければ、せっかくのこの売掛債権担保融資制度がもうひとつ機能しないんではないかというふうに思うわけですけれども、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  46. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 先生指摘のように、売り掛け債権の担保融資保証制度の利用拡大を図るというためには、一つは、今おっしゃいました債権譲渡禁止特約、これを何とかしなければいけない。それからもう一つは、風評被害に対する懸念というのもございます。これも何とかしなきゃいけない。それから、それにも増しまして、売り掛け債権を担保とする商慣行というものが十分に定着していかなければいけないと、こういう三つの取組が必要だというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、債権譲渡禁止特約の解除につきましては、まず国自身が率先してそれを実施をいたしました。それから、市町村や民間企業に対しても解除を繰り返し要請をいたしているところでございます。具体的に申し上げますと、私も経団連に昨年末に参りまして、関係する皆様方にお集まりいただきましてこの要請をいたしましたし、日本商工会議所に対しましても同様の要請をいたしまして、これは傘下の商工会議所に徹底していただけるようにお願いをしております。  また、事業者団体、これは親企業団体となり得るような事業者団体三十団体を職員が手分けをいたしまして訪問をいたしまして、直接本制度の利用促進や特約の解除を要請しているところでございます。  また、テレビ、新聞、雑誌などによる広報、説明会の開催などを通じまして、中小企業金融機関の普及啓発に取り組み、売り掛け債権の担保として活用することへの風評の払拭というものを図っているところでございます。  制度の使い勝手につきましては、中小企業者や金融機関などの要望を踏まえまして、先日、売り掛け債権の掛け目、担保としての評価額の掛け目を引き上げるなど、利用者のメリット向上あるいは手続の簡素化などを累次行っているところでございます。  本制度の利用実績は現在一万二千件、四千八百億円となってございますけれども、潜在的にはまだまだ担保能力がある制度だと思っているところでございますので、引き続き制度の浸透と風評の払拭のための取組を積極的に行いまして、その利用促進に努めてまいりたいということでございます。
  47. 藤原正司

    ○藤原正司君 是非努力をしていただきたいというふうに思います。  そこで、法律の内容についてお尋ねをしていきたいというふうに思っております。  今回、貸付債権証券化ということがされるわけでありますけれども、この新しいスキームに基づく証券というのは市場にとって本当に魅力ある商品となり得るのかどうかということが一つでございます。  また、このいわゆるCLOと言われるものは既に一部の政府系金融機関、これはまあ商工中金でございますが、あるいは民間金融機関、あるいは東京都、大阪府などの自治体においても既に一定の基準を設けながら、これに基づく無担保、第三者保証なしの融資が行われているわけでありますけれども、今回、政府が用意されるスキームと、既にスタートしている関係との間の例えばすみ分けの問題など、これは一体どういうことになっていくのか、お聞かせ願いたいと思います。
  48. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 最初に、市場にとっての、投資家にとっての評価の問題でございますが、証券化手法では、金融機関などは、投資家の信認を得るためにまず自らがリスクの高い劣後部分を引き受け、比較的リスクの低い部分投資家に販売をするというのが通例でございます。投資家に販売される証券化商品は、優良な格付を得た、相当程度安全度の高いものとなります。したがいまして、投資家にとって運用手法多様化につながる、十分魅力ある商品として評価されるということを期待をいたしているところでございます。  証券化商品の販売に当たりましては、関係する民間金融機関などと中小公庫が協力して、できるだけ広範な機関投資家などを対象説明会や投資判断に対する情報提供を行いまして、多くの投資家参加していただけるように努力していきたいというふうに考えているところでございます。  また、御指摘の一部の民間金融機関地方自治体主導による中小企業向け貸付債権証券化取組が既に行われておりますが、これらは現状ではおおむね都市部を中心とするものやあるいは大手金融機関によるものが大半で、全国的に広がりのあるものとは言いにくい現状にございます。  今回、中小公庫証券化支援を行うことによりまして、地域金融機関が広く参加できるような形で全国的な証券化のすそ野を拡大することによって、より幅広い中小企業の皆様に御利用いただけるような制度になることを期待しているわけでございます。  なお、商工中金につきましても、政府系金融機関の活用による資金供給多様化観点から、貸出債権証券化取組を積極的に進めていることは事実でございます。今後は、両機関の証券化機能を活用し、揺籃期にある証券化手法の普及を図り、民間金融機関などによる中小企業向けの無担保融資の拡大を促進していきたいということと考えてございます。
  49. 藤原正司

    ○藤原正司君 まあそういうことでありますけれども、実際にこれ、金融機関がどんどん参加してくれるのかどうかということが大変心配なわけであります。先ほども触れましたこの産業金融機能強化関係閣僚会合、この中ではやっぱり多様化という面で積極的な考え方も打ち出されていると。  ところが、一方で、この中小企業庁の中のこれ事業環境部長の私的勉強会、この中のレポートには、例えば、証券化による中小企業金融手法は先例となり得る諸外国の例が非常に少ないとか、あるいは、中小企業向けの貸付債権証券化は難しくて、アメリカでも証券化されているのは大企業に限定されていますとか、あるいは、大手銀行以外の地域金融機関については証券化ノウハウが蓄積されておらないと、現実的にその組成ができるのかどうかと、あるいは、海外でも、地域金融機関はリレーションシップバンキングの観点から取引先の貸付債権をオフバランス化することに関して消極的であるとか、様々な考え方が出されておるわけでして、こういう中にあって、なお、こういう民間金融機関の積極的な参加というのを見込めるのかどうかということでございます。  それからもう一つは、先ほども長官も言われたように、揺籃期であると、今これからスタートしていくんだと、こういうことであります。したがって、これがすぐに市場の中で大勢を占めていくということにはならないだろうと。むしろ、この問題は、このことによる資金リスクのヘッジということだけではなくて、むしろリスクがヘッジされたことによって金融機関中小企業により多く無担保あるいは無保証融資を拡大できるんだということにねらいがあるわけでして、むしろ、国といいますか、国としてはそういうものを支えながら、中小企業金融円滑化という方向に持っていくということも、副次的とはいいながら、大変大きな意味を持つんではないかというふうに思うわけでございますが、こういうことが現在、ともすれば中小企業金融が目詰まりを起こしているということに対して十分効果を果たしていくということが期待できるのかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。
  50. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 本省としましては、この中小公庫法改正の検討に当たって、何回となく民間金融機関と意見交換をしてまいりました。そして、本年の一月から二月にかけて行った地域中小企業金融ヒアリング調査などでも、地域金融機関中心証券化支援業務に対して幅広い関心が寄せられていると、そういうふうに思っておりますので、この法案成立後は、必ず金融機関が積極的に参加をしてくれると、こういうふうに期待をいたしております。  そして、金融機関によって証券化支援業務、このことが実施されることによって無担保の融資が拡大をすると、このように考えておりますので、是非御理解をいただきたいと思います。
  51. 藤原正司

    ○藤原正司君 ちょっと関連してお尋ねしたいんですけれども、先ほど大臣も、現在の特に地域金融機関の問題について、本来、国はこれを支えるといいますか、民業を補完する立場にあるんだということをおっしゃっておられるわけであります。ところが、現実問題、バブルの経済崩壊以降、金融機関の体質改善強化という名目の中で、実質は、金融機関は極めてリスクの低い貸出し手を限定するとか、あるいは国債引受専門機関のような形になってきて、リスク度の高い融資というものについてはなかなか手を出してきていないと。それを補完する意味政府系金融機関がどんどん支えていっていると。その意味では、その立場が実質上逆転してしまっている。  これは、現実問題、目の前に困った中小企業がいるわけですから、それを救うことをまず優先すると。だから、官だ民だと言っている暇はないので、やれるところがやると、これは当然のことだというふうに思っているわけでありますけれども、だからといって、このままでいいわけではない。  これは先ほども、リレーションシップバンキング、私、ちょっと専門用語はよく分からぬので、まあホームドクター制度かなと、医者のホームドクターのようなものという、そういうものに本来やっぱり帰っていかなければならないと、こういう考え方だというふうに思いますが、今回のそういう債権証券化していくという活動がこういう流れの方向性にあるのかどうか、この点についてちょっと、質問は予定していなかったですけれども。
  52. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 先生指摘のとおり、民間金融機関金融機能というのが低下をしているという中で、私どもは、その政府系金融機関のまた役割についても、平成十四年末に経済財政諮問会議の答申の中でも指摘されております、新しい役割を考えていく必要があるんじゃないかということの中に、市場型間接金融の分野をもう少し発掘したらどうかということが書いてあるわけでございます。  言ってみますれば、この今回の証券化支援業務は、民間金融機関が無担保融資中小企業に対して行う、そういうものを横から支援をしていくという業務でございます。正に、民間金融機関金融機能の回復を政府系金融機関市場型間接金融という手法を使って促していくという意味では、今提唱されております政府系金融機関の改革の方向にも十分沿ったものとなるのではないかということを期待しておるわけでございます。
  53. 藤原正司

    ○藤原正司君 次に、証券化スキームの実効性を高めるためのインフラ整備、先ほど小林先生質問の中にも、人材の問題など万全を期していくと、こういうことが言っておられるわけでありますけれども、この上で、さらに、CRDですね、中小企業信用リスク情報データベース、こういうものの収集の現状、及び今後の蓄積に向けた取組についてお尋ねをしたいと思います。
  54. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 証券化支援業務におきましては、先生指摘のように、信用リスクの評価のために信用リスクデータベース、CRDのような信頼できるデータベースに基づく客観的評価というものが不可欠のものとなります。CRDには現在百二十二の金融機関などが参加をし、百八十六万件の中小企業者の財務データを蓄積をいたしております。  今後も、蓄積データの拡充と、それからリスク評価システムの精度の向上、提供サービスの拡充などを通じまして会員数の拡大を目指してまいるところでございます。
  55. 藤原正司

    ○藤原正司君 いずれにしましても、人材を含めて準備が、環境整備がきちっとできないままこのスキームがスタートいたしますと、結局一番懸念されるのは、この実効性が失われて、最終的に中小公庫に不良債権が滞留してしまうと、こういうことになりかねないということでありますので、是非、人材を含めて準備に万全を期していただきたいというふうに思うわけでございます。  次に、日銀の方にお尋ねをしたいわけでありますけれども、昨年の夏から日本銀行は資産担保証券の買取りというものが実施をされているわけでございます。現段階でどのような今実績にあるのかということ、また、今回の中小公庫法改正によりますこのスキームに基づいて発行されますこの証券を日銀としてはオペレーションの対象にされるのかどうか、この点についてお聞きをしたいと思います。
  56. 山口廣秀

    参考人山口廣秀君) お答えいたします。  まず、現時点までの買入れの実績でありますが、私ども、昨年七月に資産担保証券の買入れを開始しまして、これまでに累計で五千億円強、買入れを実施したところであります。  それから二つ目の御質問であります、今後中小公庫証券化支援業務に伴って発行されるでありましょう資産担保証券についての私どもの構えといいますか、それについてでありますが、先生既に御承知のとおり、今、我が国におきましては金融機関の信用仲介機能が必ずしも万全とは言えないという状況でございます。そうした状況でありますので、資産担保証市場の発展というのは、日本経済の持続的成長と、それから私どもにとりましては金融緩和効果の浸透と、こういった両面におきまして効果のあるものというふうに認識しております。そういう中で、今回、中小企業金融公庫法改正されるということになりますれば、同公庫の業務として新たに証券化支援業務が追加されると、それに伴って資産担保証券も発行されるということになるわけでございます。  目下のところ、その細目につきましては、今後市場関係者の意見等を踏まえながら決定されるというように伺っておりますが、私どもがその証券を実際に買い入れるかどうかにつきましては、資産担保証券の買入れ先から具体的に申請があった段階で、私どもの目から見て市場の健全な発展とか、あるいは日本銀行の財務の健全性といったような観点に照らして判断してまいることになろうかというふうに思っております。  ただ、先ほど申し上げましたように、資産担保証市場の発展ということにつきましては相当に意義の深いものというふうに認識しておりまして、日本銀行といたしましては可能な限り前向きに対応してまいりたいと、このように考えております。
  57. 藤原正司

    ○藤原正司君 最後の貸手と言われる日銀さんがこういう債権の買取りをされるというのは、これは世界でも異例かもしれませんけれども、我が国の債権証券化したこの市場がこれから元気を付けていくという意味においても、これは恐らくパブリックコメントの中でも、日銀さんにやっぱり支援お願いしたい、参加お願いしたいという声も強かったようでございまして、是非前向きに検討していただければというふうに思うわけでございます。  次に、あるべき金融政策といいますか公的関与の問題、先ほども少し民業補完の問題について申し上げたわけでありますけれども、一昨年十二月の経済財政諮問会議におきまして、政策金融改革として今後の政策金融の在り方について指摘がされたわけでして、この中では、今後の政策金融産業金融に係る中小公庫など政府系金融機関及び経済産業省が果たすべき役割について、今後の証券化市場整備育成に向けた取組についてもお聞きをしたいわけでございます。  私は、先ほど申し上げましたように、民業を官が圧迫をするということは必ずしもいいわけではないというふうに思います。特に、我が国の政策金融規模というのは決して健全な状態というよりかなり過大なものがあるということで、このまま見過ごせないことも事実でございます。  しかし、これを、だからといって、政府系金融が後ろへ引いてしまって、結果として中小企業金融が滞るようなことがあってはならない。だから、問題は、この政府系金融というのは、民間というものが正常な姿に立ち上がっていくまでどう支えていくかと、こういう立場で、なお、責任といいますか、経済産業省あるいは中小企業庁の役割というものは大変大きいというふうに思うわけですけれども、このような点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  58. 坂本剛二

    ○副大臣坂本剛二君) 先生おっしゃいましたように、不良債権処理が十六年度末までありまして、この間までにセーフティーネットの対応を万全に期していくことという御指摘がありました。それから、民業補完等を徹底する観点から、民間では十分対応できない融資を行うことや市場型間接金融という新たな手法に対応していくという、そういう御指示、御指摘があったわけでございます。  経済産業省としましては、これを受けまして、セーフティーネット融資に積極的に取り組むとともに、政策金融手法の革新を図るため、中小公庫について今般、証券化支援業務を追加することとしております。また、担保によらない融資の拡大や再生支援など、民間では十分に対応が取られていない融資充実を行っているところでございます。  政策金融改革の趣旨を踏まえまして、民間金融機関の活力を引き出しつつ、中小企業金融円滑化にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
  59. 藤原正司

    ○藤原正司君 済みません、日銀の山口審議役さん、もう結構でございますので。  次に、中小企業総合事業団の信用保険部門の中小公庫への移管についてお尋ねをしたいと思います。  悪化の一途をたどっております中小企業総合事業団の信用保険部門の財政状況につきまして、中小公庫への移管後どのようにこの改善を図っていくのかということでございます。また、貸付業務、信用保険業務証券化支援業務などの個々の業務運営に当たってのファイアウオールをどのように確保、構築していくかという点についてお考えをお聞きしたいと思います。  特に、この信用保険部門の財政につきましては、会計検査院の方からも、財政資金投入にとどまらず保険料見直しや回収態勢強化が必要であるという報告もあるわけでして、これらを含めてお考えをお聞きしたいと思います。
  60. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 経済産業省といたしまして、近年、長引く不況と金融機関の貸し渋りの下で厳しい情勢が続いておりました中小企業資金調達の円滑化を図るために、信用補完制度というものを積極的に活用してきたところでございます。  この結果、政策的には大変大きな成果を果たしたものの、収支面では信用保険収支は非常に厳しい状況となっているのは御指摘のとおりでございまして、平成十四年度で六千四十八億円の赤字を計上したところでございます。平成十五年度は、特別保証による保証件数が減少するなどによりまして保険収支の赤字は四千三百億円程度になるというふうに見込まれ、本年度以降もある程度減少するということを想定をいたしております。  私どもといたしましては、信用保険制度の運営基盤を強化するために、平成十四年までに一兆八千億円の財政資金を投入をし、平成十五年度補正予算と平成十六年度予算案で合わせて九百七十二億円の信用保険準備基金への出資金を手当てをいたしました。また、信用保証協会が設立をいたしました債権回収会社、サービサーの活用を含めまして、中小企業者の実情に即した適切な回収の促進を、推進を図っているほか、昨年の四月より保険料率を〇・三%引上げなどを行ってまいったところでございます。引き続き、信用保険制度の運営基盤の改善に取り組んでまいる所存でございます。  また、統合後の貸付業務と保険業務の運用に当たりましては、それぞれの運営状況をきちんと把握をし、適切に運営をしていくという観点から、法律上、勘定を区分して経理することを規定をいたしまして、両業務間での資金融通を行えないことといたしております。  加えて、保険事業及び融資事業の情報システムは統合後も引き続き別系統とする、それから、各システムごとに責任者を置き、人材配置、フロアも別とするなど、経営管理上必要のない情報の混同が生じないよう適切に対応することといたしているところでございます。
  61. 藤原正司

    ○藤原正司君 適切な情報遮断をやっていただきたいというふうに思います。  次に、繊維振興基金の廃止についてお尋ねをしたいと思います。  繊維振興基金等の廃止に際しまして、今後とも、伝統ある我が国の繊維産業の位置付けというのは極めて重要というふうに考えますが、このようにまず認識してよいのかどうかと。また、昨年以来、五年間の集中的な構造改革、今はその過程にあるわけですけれども、我が国繊維産業の国際競争力強化、高付加価値化というものをどのように図っていこうとされていくのかということでございます。  加えて、中小繊維製造事業者自立支援事業、これにつきまして、その取組の緊急性、重要性にもかんがみまして、自立支援事業としてふさわしい事業であれば、その予算措置等についてより柔軟な対応が求められるというふうに考えますが、この点についてもお考えをお聞きしたいと思います。
  62. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 繊維産業は、もう歴史的にいいましても非常に、日本のいわゆる物づくりの中で非常に重要な位置を占めているわけでございます。また、現在においてもその重要性は変わっていないと思っておりますし、また、非常にすそ野が広い、川上から川下まで広いわけでありますし、また、地域の基幹産業でもあるわけでございます。  そういう意味で、この繊維産業はこれからも、今、藤原委員指摘のように、より高付加価値を高めて、伝統技術をベースにしながら更に付加価値を高めていくことによって、生き残りという観点はおろか、更に飛躍をして輸出も視野に入れながらやっていきたいと、そのための自立支援事業であるというふうに位置付けをしております。  したがいまして、十五年度から五年というめどでございますので、昨年は、三十億ですか、の予算ということで、大体百五十億を五で割れば三十億だろうというような感じでございますけれども、私は決して三十億にこだわらない。むしろ緊急性というかスピード、こういうものは速くスピードを持ってやることが大事でございますので、三十億が一応の今年の限度であると、今年度の限度であるという意識は全く持たずに、必要なものは柔軟に思い切ったスピード感を持ってやっていくことが日本の繊維産業の特に川中部門の自立、そして飛躍につながっていくと思っておりますので、積極的に対応していきたいというふうに考えております。
  63. 藤原正司

    ○藤原正司君 次に、中小ベンチャーファンド法、結局これ中小が取れるわけですけれども、この法改正についてお尋ねをしたいというふうに思います。  まず、本法改正以降、これまでの中小ベンチャー企業への投資促進効果をどのように評価をされているかということについてお尋ねしたいと思います。本法制定以降ですね、ごめんなさい。
  64. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) お答え申し上げます。  この法律は、平成十年に制定をされておりまして、現在に至るまで約六年間でございますが、同法に基づいて約三百六十の中小ベンチャーファンド設立をされております。この三百六十ほどの中小ベンチャーファンドは既に約三千五百億円ほどの資金を集めておりまして、そのうち千五百億円の投資を行っているという状況にございます。出資先の企業数でございますが、大体一ファンド当たりおおむね三十程度ということでございますので、トータルで大体一万社ぐらいのベンチャー企業というものが支援を受けているということであるかと存じております。  このように、一定の役割をこの法律ベンチャー企業への投資という観点から果たしているというふうに評価はいたしておるわけでございますが、ただ、残念ながら欧米などに比べてみますと、我が国におけますファンド投資実績あるいは規模というものは乏しいといいますか、お粗末な状況にあるわけでございまして、今回この審議お願いしております法改正というものをきっかけにいたしまして、こういったファンドによる投資がより拡大するということを期待をしているところでございます。
  65. 藤原正司

    ○藤原正司君 欧米と比較してなかなかこの直接金融といいますか、このファンドによる投資実績がなかなか伸びていかないと、これについては一体どういうところにその原因があるのかということ、そして今回法改正をしたことによってこれがどの程度伸びるというふうに予測をされるのか、要はそのファンドへの投資というものを吸い込む力というものになり得るのかどうか、この点についてお考えをお聞きしたいと思います。
  66. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) お答え申し上げます。  先生指摘ございましたように、我が国の場合、ファンド投資というものは欧米に比べて相当見劣りをするわけでございます。いろいろその要因があると存じますが、一つは、やはりファンド法制というものが未整備であるということではないかと思います。今回御提案を申し上げております法改正ということによりまして、ファンド法制の整備というものについての対応が図れるということになるんではないかというふうに思っております。  そのほかにも、例えば事業再生を担う人材が不足をしていると。ファンドお金とともに人材を派遣するわけでございますが、そういった場合に派遣をする人材が不足をしているという問題、あるいは我が国の投資家におきましてはリスクマネー供給に慎重でございまして、言わば投資家のすそ野が狭いといったような問題もあるかと存じます。  こういった人材の問題あるいは投資家層の視野の狭さといった問題は一朝一夕に解決をする問題ではないと思いますけれども、今回の法改正一つの契機にいたしまして、ファンドの活動が活性化する、それによって実績が上がっていく、こういった中で改善をしていくものというふうに期待をいたしております。  先生から、具体的にこれをやれば投資額がどの程度増えるのかというような御質問でございました。実際にどの程度、具体的な数字で見通すのはなかなか難しいと存じますが、我が国の場合、千四百兆もある、千四百兆もの金融資産があるわけでございまして、こういったものの一部が企業に対するリスクマネーとしてファンドに流れ込むということになれば、日本ファンドもかなり発展をするんじゃないかというふうに考えております。中期的に見れば、欧米並みの水準、すなわち現在の数倍から十倍程度までファンドによる投資が拡大をするというふうに見てもあながち過剰ではないんだろうというふうに考えているところでございます。
  67. 藤原正司

    ○藤原正司君 そこで、先ほど小林先生お話と若干ダブるわけですけれども、これまでのファンド実績というものを、ベンチャーへの投資が大体八割から九割、しかもこの八割ないし九割のうち、東京への一極集中、これは東京へ約半分出てきているわけでして、この一極集中をどう地方に分散をさせていくかというのは大変重要な課題になっているというふうに思うわけであります。  平成十五年の地域再生本部の提言におきましても、従来の国の施策は画一的なため、地域の実情やニーズにこたえていない。各地域は中央官庁からの一律の制度の下で画一的な計画を立案する結果、地域の実態やニーズにマッチしていない非効率な対策になっていると。こういう指摘もされているわけでして、もう一度、こういう指摘も踏まえて、地域経済再生との関係でこの地域ファンド支援する考え方ということについてお考えをお聞きしたいと思います。
  68. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 今回のこの法改正によりまして、ファンド設立そのものはこれ非常に容易にかつ迅速にできるようになるわけでありますので、地域再生中小企業再生にそれぞれの地域が自主性を持って行うことができるようになる、こう思っております。  今日まで経済産業省としては、中小企業再生支援協議会、これをすべての都道府県に設置をし、総合的に地域の総力を挙げて中小企業再生のために取り組んできておりますし、さらに中小企業総合事業団によって中小企業再生に取り組む地域中小企業再生ファンド、これを組成をする中核となって取り組んできております。  こうしたことを総合的に駆使しながら、これから地域再生中小企業再生に全力で取り組んでいきたいと、こう思っています。
  69. 藤原正司

    ○藤原正司君 では最後に、私は、この中小企業対策というのは、若干、小出し、後出しの感は免れないにしても、このバブル経済崩壊以降それなりの対策を講じてきたというふうに思うわけでございます。  ただ、問題は、これがきちっと現場の中で生きていくのか、活用されていくのかというところになると、これ若干疑問を呈さざるを得ないと。かつて私、まだ現場におりましたときに、雇用確保に関する様々な給付金制度、これは省庁を超えて一杯あるわけです。調べてみると四十ぐらいあったわけですね。ところが、それがそれぞれの本当に困った人たちにとってちゃんと頭に入っているか、あるいはワンストップサービスできちっと提示されているかというと、ほとんど知らないというのが状況でして、それぞれのせっかくの制度が生きていないというのが私、当時の実感でございました。  この中小企業対策に関しても様々な手だてが講じられているわけでありますけれども、下手をすると、中小企業支援センター、中小企業ベンチャー総合支援センター、商工会議所、商工会などをたらい回しになって、結局適切な、どの手法が一番いいのか分からぬままにということが往々にしてあると。これらについて、相談窓口の横の連携、いわゆるワンストップサービスというものをきちっとやっていくことが極めて重要だと、その制度を生かしていくためにも本当に大事なことだと思うんですが、この点についてお伺いしたいと思います。
  70. 坂本剛二

    ○副大臣坂本剛二君) 先生指摘のとおり、いろいろテレビを使ったりメルマガ使ったり、いろんな宣伝はやっているわけでございますが、なかなかそれが肝心かなめの中小企業の皆様方のところに届かない。それはやっぱり内容が分かりにくいといった御批判が多分にありまして、このため更なる工夫をしていきたいと今考えております。  具体的には、パンフレットについて全面的に作り直しまして、より簡素で分かりやすいものといたすわけでございます。さらに、提供ルートにつきましても、民間金融機関や経営指導員、中小企業診断士など中小企業の身近な、本当に身近にいる、そういう支援機関の方々を積極的にこれから活用してまいりたい。  また、相談窓口については、全国三百三十一か所の中小企業支援センター等において窓口相談等を実施しております。これは随分あるんですが、中小企業ベンチャー総合支援センターとしては、中小企業総合事業団が全国八か所に相談窓口を設けています。それから、都道府県中小企業支援センターは五十七か所にございます。これは都道府県と政令指定都市です。それから、地域中小企業支援センターとして広域市町村圏ごとに全国で二百六十六か所の窓口を設けております。  しかしながら、どこに相談すればいいんだと、なお、さらになお、またそういう問題があるわけで、どこに相談すれば適切な支援が受けられるのかと、こうもございまして、先生おっしゃいましたように、昨年十二月に、全国どこから掛けても最寄りのセンターにつながる「がんばる中小企業「なんでも相談ホットライン」」、電話番号は〇五七〇—〇〇九一一一を開設いたしまして、ワンストップサービス機能の強化を図ったところでございます。  私どもとしましては、中小企業の御要望を伺いながら、今後ともより丁寧なワンストップサービス機能の提供等に努めてまいりたいと考えております。
  71. 藤原正司

    ○藤原正司君 その入口がはっきりしておったら、後は少々時間掛かってもゴールははっきりするわけで、その意味では、そのワンストップサービスの充実という点について是非御努力をいただきたいというふうに思います。  以上で終わります。
  72. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  73. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、直嶋正行君及び西山登紀子君が委員辞任され、その補欠として岩本司君及び紙智子君が選任されました。     ─────────────
  74. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 休憩前に引き続き、中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案及び中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  75. 広野ただし

    広野ただし君 民主党・新緑風会の広野ただしです。  現在、日本人三人が拉致され大変な事態にあるわけでありますけれども、やはり経済産業委員会におきましても冒頭、これは日本とイラクの関係、エネルギー政策あるいは石油政策に非常に関係しますから、冒頭ここでもさしていただきたいと思っております。  私は何も現在の状況について詳しくということではなくって、やはり三人の命が懸かっておる、これは北朝鮮の拉致の問題でもそうなんですが、国家のなすべきことはやはり国家国民の安全をまずきちっと守ること、これが最大の役割ではないのかと、こう思うわけであります。ですから、事態がどうなっているとか、そういうことについてお話をするわけではありません。やはり、どういう覚悟で対処をしようとしておるのか、この点についてお聞きをしたいと思っております。  元々、自衛隊派遣に当たって、こういう事態も起こるんではないのか、民間人が拉致をされる、人質になる、そういうことがあるんではないか、またほかの、イラクではなくっても海外諸国においても邦人が何らかの被害を受けることがあるんではないか、また国内において、日本においてテロが起こるおそれがあるんではないか。しかし、そういうものも含めながら国際社会において日本がどういう役割を果たすのか、あるいは日米安保の上においてどうするのかと、いろんなことを考えて、総合的に考えて自衛隊を、陸上自衛隊を派遣されたんだろうと、こう思っておるわけです。  そういう中で、この三人の命というものをどう現状において考えておられるのか、これは経済産業大臣国務大臣として、また将来のある重要大臣としてどういう見解でおられるか、まずお伺いしたいと思います。
  76. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 私も木曜日の夜にこのニュースを知りまして、経済産業省としてもイラク復興支援に何ができるかということで、現在、準備の作業を進めていたところでございます。  そういう中で、いわゆる民間NGOとしてイラクの人々、子供たちやいろんな方々に対する支援のために行かれた我が国の国民が、現在一体どこにいて、どういう人に、どうなっているのかよく分からないというのが私の率直な今の認識でございますが、一刻も早く無事に解放されて安全に日本に戻ってくる。まあ御本人が日本に戻ってくるのかどうか分かりませんけれども、御希望かどうか分かりませんが、とにかく安全に自由な身になっていただきたいということで、今、政府を挙げてやっているところでございます。  拉致問題とこの問題とはちょっと私は性格が違うと思いますけれども、いずれにしても、我が国の国民がこういう状態になっていることを、今、現地に今外務副大臣が行き、現地本部を作り、また官邸に対策本部を作ってできる限りのことをしているわけでございます。  ちなみに、三人のうちのお二人は私の地元、北海道ということで、私にとりましても他人事ではないと言うとちょっと正確じゃないかもしれませんけれども、より、このお三人まとめて早く安全に自由な身になってもらいたいと思っております。  また、自衛隊も戦争をしに行ったのではなくて復興支援のために、しかし安全な地ではないので、危険に対するプロであるという立場で給水等々の復興支援をやっているわけでございますので、とにかく我々としては、当初は何か放送から三日以内にどうだこうだということが言っておりましたけれども、今の段階ではいわゆる膠着状態のような、私はニュースしか知りませんけれども、そういう認識でございますが、一刻も早く、御家族が、早く返してもらいたいというあの悲痛な叫びというものにおこたえするのが国の責任だと思いますので、私も国務大臣の一人として、今日も、今朝閣議がございましたけれども、三人の一刻も早い無事救出ということに最善の努力を尽くす決意でございます。  ただ、申し上げたように、相手が一体だれで、どこにいて、どういう状態で、何を目的にしているのかということも、正直言ってここ数日間の情報を見ているとよく分からないというのが率直な気持ちでございますけれども、私自身の願いというか目的は三人の一刻も早い無事救出であるということでございます。
  77. 広野ただし

    広野ただし君 やはり日本人の人命を最優先に、そして万全を期すということでお願いをしたいと思います。  そしてまた、こういうことも起こるんではないのかと、残念なことですけれども、それも起こるんではないかということもよく見通した上で私は自衛隊を派遣されたんだろうと思うんですね。そういう場合の危機管理体制ですね。どうも見ていますと、いろんな情報が錯綜し、情報に振り回されているような、そういう感を受けるわけですね。  ですから、危機管理体制というものがしっかりとどうも、いろんなシナリオがやっぱりあるわけで、こういう民間人が拉致された場合、あるいは自衛隊員が何らかの被害に遭った場合、あるいはほかの国において日本人が何らかの被害を受けた場合、また国内はどうだと、こういういろんなシナリオを考えて危機管理体制というのは取らなければならないんではないかと、こう思うわけでありますが、大臣と外務省にお伺いしたいと思います。
  78. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 本当に我が国にとっても初めての経験でありますし、同時に、今、広野委員指摘のように、決して平和なところに軽い気持ちで行くような状況ではないわけでありますから、危機管理体制は万全を期すというのは当然のことだと思います。  ただ、予測し得ない危機管理という、危機というものもある中での最善の危機管理が要求されていたわけでございまして、だからこそ自衛隊に、復興支援活動に行って活動をしているわけでございまして、御指摘のように、何もあの地域だけではなく、日本において、あるいはまた別の地域において我が国国民がそういうことに遭遇するとも限らないという意味で、本当に御指摘のように、危機管理は考え得る最大限のことをしなければならないということを改めて認識をしたわけであります。  日本政府としても、あそこは非常に危険な地域なんだから行かないようにということは何十回となく言ったという、これも一つの危機管理の方策の一つだというふうに理解をしておりますし、またボランティアのお一人の方、これ報道によりますと、ここは危ないんだから一緒に行動する人を募集しますと。でも危ない、十分危ないんですよと、だから自己責任ということをよく認識しながら一緒に行動する人は行動しましょうよというような働き掛けをしていたという話も聞いておりまして、そういう中で三人の方もそういうことを認識をし、そしてまた十分注意をしていたであろうにもかかわらずこういうことになったということは、三人の方の一刻も早い無事救出を実現をすると同時に、やっぱり危機というのは想像もしないときに想像もしない状況で発生するのが危機だと、それに対して我々はどういうふうに今後していったらいいのかということを、改めて危機管理に対する、生半可なものではないんだという認識を今強くしているところであります。
  79. 荒井正吾

    大臣政務官(荒井正吾君) 外務省でございますが、現在正に人質に取られておられますので、その救出に外務省としても全力を挙げて取り組んでおります。詳細は申し上げられないこともあるわけでございますが、八方手を尽くしてというふうにやっております。  危機管理につきまして、やはり発生後の危機管理と発生前の危機管理と、随分違うように思います。発生後におきましては、先ほど広野先生おっしゃいましたように、いろんな情報が錯綜いたしまして、その中には余り耳を傾けちゃいけない情報もあったわけでございます。冷静に分析をして適切な対処というふうに心掛けておりますし、心掛けていきたいと思っております。また、今後の予防という観点からも、発生前の注意ということ、退避勧告あるいは累次にわたる情報、危機情報を発出させていただいておるわけでございます。  今回の事件の、ほかの国にも被害が出ておるという特色もございます。民間人を中心にして出ております。報道中心でございますが、十七か国、六十名以上の、報道の、拘束された情報があって、今まで軍隊派遣していない中国とかロシアとか西ドイツとかという民間人も拘束され、要は実態が不明だというような実情でございます。その中で、懸命に分析を続けて三名の救出あるいは今後の予防に全力を挙げていきたいというふうに考えておるところでございます。
  80. 広野ただし

    広野ただし君 それと、たしか外務大臣だったかと思いますが、あるいは政府高官かもしれませんが、アラートというか警告を出しておったんだから自己責任でと、こういうお話がありますけれども、私はそんな突き放すような話じゃないんだと思うんですね。行った本人たちも、ある意味では赤十字の場合がそうですよ、非常に厳しい戦闘状態のところにも行って、本当に傷兵ですとかいろんな人たちを救う、そういう高い志で行く人だっているわけですね。ですから、どういう志持って行かれたか私は分かりませんけれども、少なくとも民間人として何らかの役割を果たしたいということで行かれたときに、そういう突き放すよりも、もう少しやはりきちっと守るということの方が国家としてなすべきことだろうと思うんですね。ですから、そういうことは、私は、だから責任は全部本人たちですよというのはどうかなと、こう思うわけです。  それともう一つ、三家族が総理に会いたいということで、この三日間いろんなことがありますから疲労こんぱいだ、そしてそれに対して総理は会わないと、こういうことであります。私は、これは総理としてやるべきことじゃないんじゃないかと。ですから、それで各党に回ってきて、何とか総理に会うように手だてを取ってくれないかということなんですね。大臣に是非、重要閣僚として、これはやっぱり何ができるかは別にして温かい気持ちで応対をする、そして万全の策を講ずるということを言う、なぜ言えないのかと私は思うんですが、いかがでしょうか、大臣
  81. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 総理大臣の総合的な御判断だと思います。
  82. 広野ただし

    広野ただし君 大臣に要請をしたいのは、閣僚のお一人として、やはりそういう思いがあるんだから、思いの人たちがおられるんだからということで、是非会ってやってくれというような協力をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  83. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 経済産業委員会におきまして広野委員からこういう御意見あるいはまた御要望があったということは、官邸の対策本部の方にお伝えいたします。
  84. 広野ただし

    広野ただし君 私は、これは経済産業委員会ですからこれ以上、まだイラクの状態をどう思っているかとか、これはまた別の外務委員会とかいろいろとございますからこの程度にさせていただきますが、何しろ日本人の命にかかわることですから、国家としてなすべきことをきちんとやってもらいたいということを要請をさせていただきたいと思います。  荒井政務官、どうぞ御退席いただいて結構です。  ところで、本題に入らせていただきたいと思います。  今度のこの中小企業関係二法のことでありますけれども、まずこの二題に、二法に入ります前に、私は、やはり金融というのは産業の血液であり企業の血液だと。その中小企業金融がぐっと縮小してきているんですね。これがもう誠に、経済産業省としては万全を期すと、こういうことをおっしゃっておいでですけれども、非常に下がってきておるということです。  これは全体的に見ましても、確かにいろんなデータがありますから簡単には言えませんけれども、まず全国の貸出し金融残高ですけれども、これが平成十二年の三月、七百五十兆円ぐらいありました。それが去年の、十五年の十二月、六百七十兆であります。七十兆円減っているんですね。一割は、一割以上ぐっと減っているんです。そして、その中において中小企業金融はもっと減っているんですね。これは、平成十二年のときは多分三百四十兆ぐらいあったと思うんです。それが昨年の十二月には二百六十兆に減っている。だから七十兆、あるいはそれ以上減っているんです、貸出し残が。そうしますと、言わばこれは二十数%削減されているんですね。言わば中小企業、特に地方中小企業、もう悲鳴を上げているという。  我々が、やっぱり実感としてあるものが、こういうデータだけ見ても非常によく分かるんですけれども、まずこの全般の状況について、大臣金融大臣にお伺いしたいと思います。
  85. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 日本がいわゆる不況を通り越してデフレという状況の中で、中小企業だけではなくて、全体の例えば全国銀行貸出し残高も減っているわけでございますが、その中でも特に委員指摘中小企業、これは私のところ、北海道でございますから、私の地元も非常に中小企業、そもそも大企業ございませんから、非常に厳しいという状況実感をしておるわけでございます。  貸出し残高がなぜ減ったんだということでありますけれども、一つには、事業をなかなか前向きに展開できるだけの体力がない、だから貸出しだということになるわけでありますが、そのときには、今御審議いただいている法律にも関係してまいりますけれども、今までの融資のルールではなかなかやっぱり銀行としても貸出ししにくいと。下手に貸出しをすると、株式会社ですから株主代表訴訟とか、場合によっちゃまた自己資本比率あるいは不良債権の問題が出てくるということになってきてということで、貸手側も非常に自分のところをもう何とか少しでも良くするためにということで、大企業というよりもやっぱりしわ寄せは中小企業に行っていたのかなという感じがするわけでございまして、数字的に見た先生の、広野委員の御指摘というのは、私も同じような実感を持っているわけであります。  ただ、そういう中で、パイは全体として少なくなっておりますけれども、午前中から、民間、官業の政府系金融機関民間補完をするという業務、そこが正に政府系金融機関のいざというときの役割だと思っておりまして、政府系金融機関の貸出しも減ってはおりますけれども、シェア的に見ると増えてきているというのは、厳しい状況の中ではあるけれども、その中でやっぱり政府系金融機関としての補完というか、民間ではできない部分について我々の所管する金融機関が、減ってはいるけれども、その中で補完的な役割を果たしているのかなという印象も持っておりますが、いずれにしても、中小企業をめぐる金融情勢は厳しいという認識は私も率直に持っているところでございます。
  86. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) お答えをさせていただきたいと思います。  先生指摘のように、日銀の統計による中小企業向け貸出し残高の推移を見ても、この五年間はやっぱり減少傾向にあるというふうに私どもも認識をいたしております。  その理由につきましては、貸出し先である中小企業資金需要の低迷でありますとか、あるいは構造改革の進展に伴って企業そのものも過剰債務というものを軽減していくために様々な努力が行われているわけであります。また、金融機関側も不良債権をオフバランス化していく、そしてバランスシートを回復をしていく、そういう努力がなされておりまして、様々な要因があるんではないかなというふうに思っております。  そうした中で、貸出し残高をGDPと比べてみますと、バブルのときには大体一〇〇%強まで上がっていました。しかし、バブルの前は七〇%から八〇%ぐらいで安定的に推移をしていたわけであります。そして、現在は八五%のところまで来たわけでありますが、ここに至るまでは様々な調整の努力がなされていたというふうに思いますけれども、一方で、やはり中小企業は、こうした厳しい状況にあっても様々な企業再生努力事業再構築のための努力、第二の創業と言われるそうしたものに挑戦をしていく努力、ニュービジネスや成長分野に挑戦をしていこう、そういう様々な努力がなされていて、そこに資金需要があるわけでありますから、そこにこたえていかなければいけないというふうに思っております。  私どもも、中小企業に対する今の状況というのは大変厳しい金融状況にあるというふうに認識をしておりまして、こうした状況を打開するために金融機関に対しても、そして私自身の金融行政においても、中小企業に対する金融円滑化のためにこれからも引き続き積極的に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
  87. 広野ただし

    広野ただし君 私は、今のような資金需要の問題とかいろいろとありますけれども、結局、グローバルスタンダード、金融機関自己資本比率だとか、そういう問題があって、そのために不良債権というものを無理やり、ある意味で引きはがすということをやったんだろうと思うんですね。それは、大企業よりも中小企業に対して厳しくなされたんだろうと。それは、中小企業の財務体質は大企業と同じ見方をしたらば、私は、とてもじゃないけれども日本地域中小企業は全部ぶっつぶれるんだろうと思うんですね。  ですから、考え方をやはり違って、しにせはもう百年もずうっと付き合ってきているんですよ。地域経済を支え、地域の文化を支えてきていると。そういうものまで何か、ある意味では借金をしていることは、根雪の部分は、これが巨大になれば別ですよ、根雪ぐらいあっていいんですよ。それはある意味で大変な信用です。だからこそ、地方中小企業は生きているんですよ。それをグローバルスタンダードで、これも債務超過だ、こうなって引きはがしますと、それはみんなばたばた行っちゃいます。だからこそ、全国貸出し、銀行の減り方よりもこちらの中小企業の貸出しの減り方が急激になっているんですね。この点、金融庁はどう思われますか。
  88. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今、広野先生から大変重要な御指摘をいただいたというふうに思っております。私どももそうした認識に基づいて、その中小企業の実態に即した検査の確保等々をやっていかなければいけないというふうに思っております。そうした観点から、金融検査マニュアルについても別冊というものを設けて、中小企業融資編として十四年六月に策定をし、そして十六年二月には、更にきめ細かな検査を確保するために改訂を行ったところでございます。  また、今先生指摘されました根雪の部分について、ここもいろいろ工夫することによって新たな中小企業金融を切り開いていくことができないか、このことも今まで国会でもいろいろな形で御指摘をいただいてまいりました。今回の検査マニュアルの改訂においてもその部分に着目をして、この根雪の部分について、経営改革の一環としてこれを、DDSを活用する場合には、そのことを資産査定上資本として認めていこう、そういうことも検査マニュアルの中で明らかにしたところでございます。  私どもといたしましては、先生指摘のように、中小企業の実態に十分即した形でこれからもしっかりとした金融行政というものを展開をしていきたいというふうに思っております。
  89. 広野ただし

    広野ただし君 特に担保至上主義といいますか、あるいは個人保証、あるいは連帯保証、そして根保証といいますか包括根保証の問題、そういうものが、これはもう中小企業に物すごく大きな負担になって、生きていけるものも生きていけないということになっているわけですね。  ですから、これ是非大臣金融庁と、中小企業金融金融庁の考え方と若干違ってやっていきませんと、中小企業を育てなきゃ日本経済は絶対活性化しないわけですよ。これはもう釈迦に説法で申し訳ありませんけれども、それをきちんとやっていただきませんと、本当に、かつての活力ある日本経済のように中小企業がどんどん育って中堅・大企業になっていく、そういうジャパンドリームといいますかジャパニーズドリームというか、そういうものの経済が復活してこない、こう思うわけですね。  ですから、是非このところは、経済産業省と金融庁は中小企業金融については、金融庁は中小企業金融についてはちょっと違うんだという考え方でやっていただきたいと思いますが、大臣の見解を伺います。
  90. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 同じ政府ですから最終的な目的は同じわけでございますけれども、やっぱり担当、経済産業省・中小企業庁と金融庁とは、その役割が全く同じだったら二つある必要はないわけですから、そういう意味で、役割分担といいましょうか、若干見る視点を違えながら同じ目標に向かっていこうということだと思います。  しかし、金融の、我々から見れば、金融の健全性というものももちろん念頭に入れなければいけないし、金融庁の方は金融庁の方で、やっぱり中小企業というのは大事だと、特別の配慮が必要だという今、伊藤副大臣からの答弁がありまして、例の検査マニュアルの別冊というものも作っていただいたわけでございますので、その辺はよく連絡を取りながら、全く同じではいけませんし、けんかしてもしようがありませんから、よくチームワークを取ってやっていきたいと思っております。
  91. 伊藤達也

    ○副大臣(伊藤達也君) 今、中川大臣からお話がございましたように、私どもは、ある意味では信用秩序の維持あるいは預金者の保護というものを十分念頭に置いて金融行政を展開していかなければいけないわけでありますが、一方で、日本経済の大宗を占める中小企業、この活性化に向けて、金融行政としてもしっかりとした認識の下に、経済産業省・中小企業庁としっかり連携をして取り組んでいかなければいけないというふうに思っているところでございます。  広野先生指摘されましたように、過剰に担保や保証に依存しない、本当の意味での金融機関が目利きの能力を上げて、審査機能審査能力というものを上げて、ニーズにこたえられるようなそういう金融機関としての経営改革というものを行っていかなければいけないわけでありまして、そうした問題意識の中で金融再生プログラムというものを公表し、また地域中小金融機関に対しても、リレーションシップバンキングの機能強化、アクションプログラムという形で様々な取組を今、金融機関はしているところでございます。  主要行の中の四大メガバンクすべてが、スピード審査、そして担保なし、第三者保証なし、新たな商品というものを投入をしてその拡大に努めていく、あるいは中小地域金融機関においても、リレーションシップバンキングの機能強化計画に当たっては、約八割の金融機関が、過度に担保や保証に依存しない、そういう取組を積極的にやっていくんだ、そういう計画も提出されているところでございますので、私どももこうした取組を更に推し進めていけるように、しっかりとした対応を進めていきたいというふうに思っております。
  92. 広野ただし

    広野ただし君 今日は、中小公庫の総裁、また国民生活金融公庫の総裁にも来ていただいておりますので、その方に話題を移らしていただきたいと思います。  伊藤副大臣、どうぞ失礼して……。  先ほど中川大臣から、中小政府金融機関お話が出ましたけれども、これだけ中小金融が細ってきたときに、政府金融機関、私は大体横ばい的なことはやっていたとは思います。今日は見えていませんけれども、商工中金十兆円、貸出し残ですね、中小公庫七兆六千億円、そして国民生活金融公庫十兆円前後ということで、それなりのものは出ていますが、全然、それをカバーする、中小金融がぐっと減ってきたものをカバーするには全く足りない、こういうことでなかったかと思っております。  そしてもう一つ、一般の中小企業者は、商工中金へ行く、中小公庫に行く、国民生活金融公庫に行く、どっちでもいいのかというようなことで、こちらで駄目ならこっちでと、こういう形もありますし、余り差が感じられないんですね。  ですから、それぞれの役割分担というのはもう一つ分かりませんしね、そういう意味中小公庫総裁、国民生活金融公庫総裁に伺いたいと思います。
  93. 水口弘一

    参考人水口弘一君) 中小公庫総裁の水口でございます。お答えをいたします。  一つは、先ほどからのお話もありますように、平成十四年度で見ますと、民間金融機関政府系金融機関との中小企業への融資割合は、大体大まかに言って九対一というような状況でございますが、役割分担につきましては、それぞれの固有の法律を持っておりますので、中小企業金融公庫の場合は中小企業、特に民間金融機関ができないものをやると、割合に中堅のものが多いと。したがって、一件当たりの融資残高も大体八千万円ということになっておりますが、国民生活金融公庫の場合はもっと小さいところということで、私どもは大体融資先、今、五万件でございますが、国民生活金融公庫ははるかに大きいと聞いております。  それから、商工中金の場合はやはり組合組織ということになりますので、組合及びその加盟の企業ということで、これは中小公庫とはかなりダブるところはあるかもしれませんが、これは将来の問題としてどうするかということはございますけれども、現状においてはそれぞれ割合協調してすみ分けができているというふうに考えております。  それから、中小公庫役割というようなお話だろうと思いますけれども、取りあえず御質問に対しては、ここでよろしゅうございますか。
  94. 広野ただし

    広野ただし君 いや、どうぞ、役割も。
  95. 水口弘一

    参考人水口弘一君) あとは、私も民間から初めて参りまして、政策金融機関ではあるけれども、私は、基本はやはり金融サービス業であると、これが基本であると、こう考えております。  ただし、政策金融機関でございますから、あくまで民業補完でなければいけないと。ただし、その場合の民業補完という場合も、平成十四年十二月に出ました経済財政諮問会議の「政策金融改革について」もありますように、当面は、先ほどのお話のように民間金融機関の貸し渋り、貸しはがしが非常に強かったという意味で、私は、民業補完という立場は、もっと、就任して以来、積極的な民業補完をすべしと、こういう考えを持ってやってきております。したがいまして、就任以来、顧客第一、それからクイックレスポンス、それから経営者との信頼関係の構築という、この三つを柱として全店に指示して中小企業支援に取り組んできております。  その結果でございますが、民間金融機関中小企業向け融資は大きく減少しておりますけれども、積極的な民業補完という立場から、中小公庫の直接貸付けは、十四年度は一兆六千二百三十二億円から十五年度は一兆六千六百四十五億円でございますから、前年比二・五%増、貸付残高は七兆一千六百五十一億円から七兆二千八百八億円ということで、前年比一・六%増と、見方によったらまだ不満はございますけれども、そういう状況になっていると。  それから、担保につきましても、従来の不動産のほかに、機械設備、あるいは入居保証金、敷金でございますね、それから、ソフトウエア等の知的財産権等も担保として評価しておりまして、それに加えまして、セーフティーネット貸付け等におきましては融資額の五〇%までは無担保、ただしこれは八千万円を限度としております、上限としていますが、認める担保不足特例制度を導入して積極的に取り組んできております。  さらに、非常に重要なことは、現在御審議いただいております証券化支援業務の追加によりまして、民間金融機関による無担保資金供給促進を支援していくということで、中小企業金融公庫としましたら、融資、担保、証券化というような問題で大体品ぞろえが相当大きくなってくるというふうに考えております。  また、事業再生に取り組む企業に対しましては、中小企業再生支援協議会等と連携いたしまして、中小企業再生支援貸付けによって中小企業再生支援をしてまいりたいと思っております。  今後とも、中小企業経営者の方々からの中小公庫への期待にこたえるために、積極的に民業補完という立場で政府系金融機関としての役割を果たしてまいりたいと思っております。  以上でございます。
  96. 薄井信明

    参考人薄井信明君) 国民生活金融公庫の貸出し残高、御指摘のとおりでございます。  この点に関連しまして、一、二補足させていただきますと、どうしても小規模企業を取り巻く経済環境の悪化が、貸してほしいという気持ちと同時に借入れを抑制しなければならないという力も働いているのかなと、お気の毒な企業状況を反映している面もあろうかと思います。また、一方で、ごく一部ですけれども、借入れに頼らない経営ということをおっしゃる方も出てきているように見受けられます。  いずれにいたしましても、私ども、私どもの役割を果たすべく十五年度も努力してまいりまして、フローの面では十四年度に対して一・五%の増加となりました。残高は残念ながら減ったわけですが、この減った要因の一つの中には、平成九年、十年ごろのかなり大きな融資、これの返却の時期が今来ておりまして返却が増えてきていると。したがって、フローでは増えているんですけれども、ネットにいたしますと落ちてしまっていると、ストックでは落ちているという状況が見受けられるように考えております。  なお、もう一点補足させていただきますと、そういったマクロの数字とは別に、いわゆるセーフティーネット関連の資金ニーズは極めて高いものがございまして、例えば今申し上げました経済再生資金を含むセーフティーネット貸付けは、十五年度におきまして前年度の二倍の件数に上っております。また、第三者保証人を不要とする融資とかあるいは新創業融資、こういったものの伸びも極めて大きく、そういった方々へのお役には立てているものと考えております。  それから、もう一つ質問ございました国民生活金融公庫の役割ということでございました。この点につきましては先ほど水口総裁からお話がありましたとおりでございまして、私どもは、法律の一条なり十八条に従いまして、民間金融機関からの融資を受けることが困難な小規模企業に対して融資をするということを本務としております。そのことが数字の上にも表れておりまして、私どもの融資先の八六%が従業者数九人以下でございます。四人以下の事業者が私どもの融資先の六五%を占めております。ほとんどが小規模企業者であるということでございまして、これは中小公庫さんあるいは商工中金さんとは様相を異にしているところであろうと思います。  あわせて、そのお客さん一人当たりの貸付残高、これは平均でございますので幅はありますけれども、平均は六百二十万円でございます。極めて小口である、この点も特徴かと思います。結果的には、全国に百十九万のお客様がいらっしゃる、極めて多くのお客様に小口の融資をしてさしあげているということが、私どもの法律に求められている国民生活金融公庫の役割ではないだろうかと思って、今後ともこの点に力を入れていきたいと思っております。
  97. 広野ただし

    広野ただし君 どうしても、政府金融機関ということの一つの、また法律で定められるということがあるものですから、本当に中小企業資金ニーズに合って、できるだけ無担保でいろんなことを、人材とかいろんなものを評価をして、あるいはのれんというものも評価してと、こういう話になかなかならないんですね。やっぱり、担保至上主義にどうしてもなってしまうというところに、私はやっぱり政府金融機関の、何というか、一つの限界というものを感ずるんですね。  水口総裁は、できるだけ積極的な民業補完というようなお話をおっしゃいましたけれども、もっとそれをやってもらわないと、地方中小企業は本当に悲鳴を上げたし、この数年間ばたばた倒れた企業にしてみれば、正に恨み節と怨嗟の声が満ち満ちているというわけですから、そういう面ではいろんなメニューとか、先ほどもありました、いろんなメニューはあるけれども本当に魂が入っているのかと。お客さんに合わせてちゃんとやる、そしてそれを育てて共存共栄の道でもうける、こういうことにはなかなかなっていないんじゃないかとやっぱり思うんですね。  やっぱり、中小企業を育てて銀行が育つ、そういう気持ちがありませんと、いやどうも、これは政府ばっかりじゃないんですけれども、銀行さんというのは床の間を背にして座ってどおんとおる、貸してもらうのにみんな頭下げる、こういうような話で、どっちかというと、どっちがお客さんなんだということなんですね。借りる方がお客さんなんですよ。ですから、元々一般の人が言いますのは、閉店時間、閉店時間が大体三時に終わっちまう、中小企業からいうと、六時、七時に駆け込みたいんだと、こういうことなんですね。ですから、普通の御商売であれば、そういうものに合わせてちゃんと店が開いている、こういうふうに変えるものなんでありますけれども、どうも中小政府金融機関はそこまではなかなかやらない。  言わば前垂れ商法というものはかえってよくないことのような、そういう思いがどうも見受けられるんではないか、こういうふうに思うのでありますが、それぞれの総裁にもう一度伺いたいと思います。
  98. 水口弘一

    参考人水口弘一君) 先生指摘の点は、私、今、就任以来、大体各都道府県に一店ずつございますので回っておりますけれども、まだ半分まで行っておりませんが、先ほど申し上げましたように、やっぱり金融サービス機関でございますから、お客様第一と。第一という意味は、何もお客様の言うとおりにするということではなくて、コンサルティングとかいうことも含めまして、ある事業はもう縮小する、その代わりこちらの事業を増やしていく。そちらに新しい、新企業ということで融資をするというようなことを含めてのことでございますけれども、そういう点からいきますと、今この一年間で、これは私のちょっと、自ら言うのは非常におかしいわけでございますけれども、相当意識大革命は中小公庫におきましてもできてきたと。  やっぱりお客様第一であるということで、特にお客さんとのコンサルティングなんかも、一番長いのは電話でも三十分、いろいろ御相談にあずかる。あるいは、店頭へ来た場合は最大二時間、御相談にあずかっていろいろやっている。これは民間金融機関でしたら、これはコスト意識もありますし、あるいは来期の業績どうなるかということがあるからなかなかできにくいんですが、これは政府系ということでそれだけの余力を持って御相談できるということで徐々に変わりつつある、こう考えておりますけれども、御指摘の点、まだよくこれからかみしめまして、そういう方向にやっていくということで努力をしてまいりたいと思っております。
  99. 薄井信明

    参考人薄井信明君) まず、お客様への相談体制のことでございますが、御指摘のとおり、一般の金融機関並みの閉店時間ではいけないということで、私ども、少々ながらも窓口を開けておりますが、それに加えて、昨年から融資相談の窓口を電話で承るという形で東京、大阪で開いております。これは夕方まで、あるいは六時半ごろまで受け付けるということで、そこで受け止めてそして支店に連絡する。私どもの金融機関、公庫は決済をいたしません。したがって、融資ということですから、急に明日までにということは余りないわけでございまして、そうなりますと、夕方、時間が空いて電話してくる、これが受けられるようにしようということで、試行ではありますけれども、その辺の努力を始めているところです。  あわせて、私ども、経営方針というものを昨年から定めておりますが、本年、私どもはお客様を援助するということが一番大事だということで、サポーター宣言をしようということで、この四月からお客様第一ということを前面に掲げて業務を運営しております。  なお、先ほど百十九万のお客様と申し上げましたが、百四十九万の間違いでしたので、訂正させていただきます。
  100. 広野ただし

    広野ただし君 それでは、例の中小企業金融安定化特別保証のことでありますが、これは平成十年に発足をして、本当にたくさんの中小企業が救われた、こう思っております。ピークには二十九兆円の保証を行ったわけなんですが、しかし、この中で私どうも解せないのは、それが二年後には十兆円ぐらい返させられて十八兆ぐらいになっちゃいました。そして、それが平成十三年には十五兆、そして十四年には十一兆、去年の三月には七兆円、そして今年の二月には保証残高は四兆円に減っております。これはもう急激に返させたんですね。  そして、確かに昨年は、昨年の二月からこれは借換え保証をやりましたから、このうち、特別借換え保証で一兆円ぐらいがそちらに回りましたから、四兆円というのが多分五兆円か六兆円にはなっているんだろうと思いますけれども、余りにも急速にこれは保証をぐうんと下げたんじゃないのかと、なぜこんなことになったんだというふうに思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  101. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 今、委員がおっしゃいましたように、本年二月時点ではこれまで約二十二・九兆円が返されている。ただ、そもそもこれは五年間で返却をすると、そういうことでスタートしたわけでありまして、特にこの特別保証の債務返済について約定どおり返済が困難になった中小企業に対して、私どもは平成十二年末に条件変更ガイドライン、これに基づいて既往債務の条件変更に取り組んでいる。これについて本年二月までに二十二万件に達しておりますし、先ほど委員がおっしゃいましたけれども、この借換え保証制度、これについても大きな効果が出ているというふうに思っておりますので、急に返させたと、そういうことでもこれはないのではないかなというふうに私どもは理解をいたしております。
  102. 広野ただし

    広野ただし君 いや、どうも数字を見ると、やっぱりそういうふうにしか思えないんです。今年の二月の保証債務残高は四兆円にぐっと減っている、そして借換えの方は確かにまた大変な資金需要があって六兆円あります。ですから、言わばその関係で十兆円ぐらいはあるんでしょうけれども、あのピークの二十九兆円というのがそこまでぐうっと絞られたというふうにしかやっぱり見えないんですね。  ですから、やはり中小企業は物すごく苦しく、ばたばたと倒れていった。私は本当に恨み節とか怨嗟の声が聞こえるような気がするんですね。何でこういうことを、せっかくのいい制度を発足をさせながら、要するに魂を入れないままにぐうっと、もうしゃくし定規に引っぱがしていったというふうにしか見えないんですが、大臣どうでしょうか。
  103. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) たしか、このときは私は政府の外におりましたけれども、これは緊急非常の対策だったんだろうというふうに記憶をしております。大手金融機関あるいは大手証券会社始め、ばたばたといって急速な貸し渋り、例のBIS規制というか自己資本比率の問題もあったんで、いわゆる非常事態ということで二十兆、三十兆という緊急の保証制度ができて、私は、これはこれで有効に、総じて有効な機能を果たした、だから広野委員の御質問につながっていくんだろうと思うわけでございます。  その緊急事態に比べて、つまり継続的なものではないという一つの前提があって、そして一時に比べれば大分金融情勢も良くなってきたけれども、先ほど私も同感ですと申し上げたように、中小企業中心にして依然として厳しいということでございますので、借換え保証というような新たな制度、それからまた中小企業に対する様々な資金供給手段としての、一言で言えば無担保無保証というものを前提としていろんな資金供給手段も提供することによって中小企業全体が一刻も早く力強く前進できるようにと、こういうことだというふうに理解をしております。
  104. 広野ただし

    広野ただし君 確かに、いつまででもモルヒネを打ち続けるというのは、これはまたある弊害が出てまいりますからなんですが、いつ引くかというのは、やはり地方経済あるいはそういう中小企業のよく実態を見極めていただきませんと、なお倒産の水準、ピークよりは少しは減りましたけれども、なお本当に大事なしにせがばたばたまだ倒れるというところが一杯あるわけですから、是非そこのところは前向きな温かいひとつ対応をしてもらいたいなと、こう思っております。  それと、先ほどもありましたが、保険収支が物すごく、会計検査院からも言われております。累計一兆八千億の欠損が出て、それを埋めてきたということでありますが、毎年やっぱり五千億円ぐらいずつの代位弁済とかありますから、欠損が出てくる。それに対して準備金がもう底をついてきているというふうにやっぱり感ずるんですね。  ですから、やはりここのところはしっかりとした財務体質でやってもらいたいし、ところがこの融資基金、融資基金があるんだからそれは大丈夫だと、こういうようなふうに受け止められるような説明もちょっとあるんですけれども、それこそ先ほどファイアウオールを設けて保険会計とこちらの金融公庫の融資の方とは別なんだと、こうおっしゃっているんですが、まさか融資でもうけたお金をこちらの保険収支の方に充当をするという意味で合併させたんじゃないんでしょうね。これは確認をさせてもらいたいと思います。
  105. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) どなたですか。
  106. 広野ただし

    広野ただし君 大臣か、あるいは副大臣か。
  107. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) この合併に伴って事業団の保有資産、二千五百億円は信用保険部門にこれは継承、承継する、に移すことになっておりますけれども、そういう意味合いにおいて合併をしたということではなくて、安定をさせるために合併をさせたと、こう思っています。
  108. 広野ただし

    広野ただし君 保険収支の手当てというのは別途きちっとやるということですね。
  109. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 今申し上げましたけれども、この二千五百億円を信用保険部門に承継すると。それと、今、融資基金約七千億円ありますね。これも現在あることは間違いのうありますので、取り崩しをする、それは別にしまして、十分であると、こう考えています。
  110. 広野ただし

    広野ただし君 融通無碍に、どうせ同じような公庫の中なんだからということで融通無碍になるということではないというふうに受け止めたいと思います。  それと、今回、証券化業務、これは非常に前向きないいことだと、こう思っておりますが、一つ問題にしたいのは、やはり私は、政府関係金融機関というかの取組の遅さというんですか、これは東京都はもういち早く平成十二年にやっぱりやっているんですね。石原さんが肝いりでやっているということです。大阪府もそれに続いて平成十四年からやっているんです。  それで、例えばBNPパリバ証券ですとかあるいはリーマン・ブラザーズだとか海外のものも入れて、そしてまた日本の有力都市銀行も入れてということで、それだけで例えば東京では三千億円ぐらいの規模をもう既にやっている。大阪府ではやっぱり一千兆円を超すようなものをもう既にやっているんですね。(発言する者あり)一千億をですね。ということなのに、今、やるのはいいですよ、やっとというところが私はもう本当に遅いんじゃないかと。それまでにたくさんの企業が苦しんできているんですから、どうしてこう遅れたのか、御説明いただけませんか。
  111. 坂本剛二

    ○副大臣坂本剛二君) ただいま先生おっしゃいますように、平成十二年三月から東京が始まりました。大阪、福岡と続けてやってきたわけでございますが、なかなかうまくいっていないようでございます。金融機関リスク管理能力とか事務負担能力、あるいは証券市場の未成熟などからまだまだ証券化というのは緒に就いたばかりだと、このように考えております。  ましてや地方では、貸出し先数が十分に集められないということ、あるいは地域金融機関がこういったことに慣れていないんですね。証券化事務を行うことが非常に難しいなどの理由から証券化取組は大変困難であるという状況にあるわけでございます。このために、今般、中小公庫が全国的な視点から民間金融機関証券化支援業務を行うことにしたわけでございます。  なお、中小公庫を含む政府系金融機関については、平成十四年十二月にかけての経済財政諮問会議においていろいろ業務の在り方について議論が行われました。今般の証券化支援業務の追加は、その結論において、市場型間接金融といった新たな手法に対応していくこととされたことを受けてのことでございます。
  112. 広野ただし

    広野ただし君 やはり東京都、大阪府と、中小企業をたくさん抱える自治体がもうやっぱり見ておれないということで随分早くから取り組んでいるんです。  私は、経済産業省というのはほかの省庁と違ってそういう経済の実態に合わせて物すごい先行的に取り組んできた省だと、こう思っているんですね。だけれども、こういうところで、もう五、六年、五、六年と言っちゃ悪いか、四、五年はやっぱり遅れてしまう、こういうところに本当にやはり政府の、政府というところの遅さというんですか、やはり民間であればもっといろんな意味で積極的に資金ニーズというものをとらまえてやっていくんですね。  だから、無担保融資というのをどうやってやっていくか、債権市場化をどうするか、証券化をどうするかということを積極的に考えるわけですが、だから中小企業金融公庫あるいは国民公庫を思い切って民営化をすると。もちろんリスクは伴いますから、リスクに対しての政府の補助金なりなんかは入れればいいんですよ。だけれども、もっと積極的にいろんな金融商品というかニーズに合わせた、そういうことを、創意工夫が生きるようなそういう組織にしていきませんと、法律ですべてが、業務計画だと、全部縛られていたんじゃ、これはもう創意工夫が生きるわけがないんです。  そういうことについて両公庫の総裁に伺いたいと思います。
  113. 水口弘一

    参考人水口弘一君) 非常に厳しいお言葉をいただきましたけれども、事実としまして、まだ公表段階ではございませんけれども、中小公庫も東京都あるいは神奈川県、横浜なんかと一緒になりまして、金融機関も加えて新しいCLOをやろうというような動きが出ておりますので、これが一度できれば非常に、また法律も成立させていただければ物事は急速にキャッチアップして進展していけると、このような自信を持っております。  それから、今お尋ねの民営化の問題ですけれども、例えば中小企業者のニーズということを考えた場合、私がお会いしている限りで言えば、やっぱり中小企業経営者のニーズの一番強いのはやっぱり長期の借入れができるということ。それから、特別ないろいろの特利があって金利の問題でかなり安いものができると、これは事業によりますけれども。それからもう一つは、過去の例からいって資金の安定性という問題だろうと思います。過去においては、金融引締め期においては、民間金融機関の貸出しは急激に全部引き揚げられちゃった、急激に変わったというようなことがございますので、この三点というのがございますが、そういう点では、現在は民間金融は日銀のサポートもありまして非常に豊かになってきておりますけれども、あるいは景気も良くなってきているということで、そういう御意見もあろうかと思いますが、私はこの三点を考えた場合、民間ではなかなかできにくいんではないかという考え方を持っております。  それにつけましても、今お話がございましたように、不良債権集中処理期間、これは平成十六年度まででございますから、もうあとわずかということでございますが、これは政策金融についての経済財政諮問会議の平成十四年十二月十三日の決定でございますけれども、十六年度まで、今年度まではセーフティーネット面での対応について万全を期すと、そのために政策金融機関を活用しようと、こういうことになっておりまして、その後、十七年度から十九年度までの三年間で民間金融機関機能回復・強化の状況を見つつ組織の在り方を検討するということになっておりますので、機能回復・強化を強く私も期待をしておりますけれども、それによって二十年度以降は新体制に移管するということでございますが、その間にこの状況を見ながら、私も政府に対しては現実をよく見ながら意見は申し上げていきたいと思っております。  それで、中小公庫としましたら、中小企業者のニーズに対応するというためにも新たな金融支援への取組が非常に重要でございますので、是非その先導的な役割を果たしていきたいと考えておりまして、先ほど来お願いしております無担保資金供給円滑化を図るための証券化業務というのは非常に大きな位置付けとして考えております。  私も民間から中小公庫の総裁となってもう早くも、昨年の一月でございますから、一年強経過しているわけでございますけれども、今後とも事業運営の効率性の向上ということには努めてまいりたいと思います。あくまでも民業補完でございますけれども、民間には負けないように、きっちりクイックレスポンスでやっていきたいと、こう考えております。  また、政策金融のあるべき姿に移行するための準備期間におきましても、中小企業者の声をよく聞きながら、リスクに見合った金利の設定についても、これについても近々、今日決定いたしますけれども、経営者保証をなくしまして、その分、〇・三%金利を上乗せするというような動きが今日成立いたしますけれども、これにつきましても更に前向きに検討はしていきたいと思いますし、また、証券化等、政策金融手法の革新にも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  最後に一言私見を申し上げれば、先ほども申し上げましたけれども、政策金融改革についてで、留保事項として、この改革と併せて市場型間接金融や直接金融の拡大など、資本市場民間金融機能の高度化を進めるということになっておりますが、私はいまだしだという感じがしておりますし、長年資本市場で育ってきた者から見ていますと、この辺はまだいまだしだという感じがいたしますし、それからもう一つは、やっぱりグローバリゼーションの世の中でございますので、欧米の政策金融の例なんかを見ましても、これは融資保証証券化と三種類に分かれておりまして、国によってそれぞれのウエートは違いますけれども、相当よく発達しているというような問題。あるいはアジアからも、最近私が会いました、バンコク、タイにSMEバンクという、これは正に中小企業金融公社でございますが、そこからも日本の例をよく勉強したいというようなことがございますので、そういう中で、やはり政策金融の在り方ということにつきまして、私どもも身をもって実践しながら、政府民間一体となって関係者が非常に努力していくということが必要ではないかと考えております。  以上でございます。
  114. 薄井信明

    参考人薄井信明君) 日本経済が全国津々浦々に展開されている数多くの小規模事業者によって成り立っているという実感を私は持っているわけですが、そういった数多くの小規模事業者への金融というものが必ずしも民間金融機関では困難であるという状況においては、政府系金融機関、特に中小企業関係金融機関の存在の意義はあると私は思っております。  ただ、私どもはその存在の意義とは別に、民間の活力だとかあるいは民間の経営手法、具体的に言えば融資手法だとか資金調達の手法、こういったものは十分学んでいかなければならないと思っております。  私どもも、ここ一、二年、例えば、リスクに見合った金利を適用する制度を創設しました。今まで政府系金融ですと一本の金利でしたが、上乗せ金利を乗せるというような制度も設け始めました。それから、ALM分析というのがございますが、こういったものの手法に沿った金利リスクの軽減ということにも取り組んでおります。それから、国民負担に頼らないという意味では、私どもは平成十五年、昨年度からいわゆる収支差補給金をゼロにいたしております。十六年度においても予算要求をしなかったということで、収支差補給金をいただかない中で、国民の負担に頼らない経営をしていきたいと思っております。
  115. 広野ただし

    広野ただし君 続きまして、外食食品産業のことについて伺いたいと思います。  これは、特に地域に密着したものでありまして、これから、日本人は誠にあくせくあくせく働いておるわけですが、そういう中で、やはりスローライフといいますか、真に豊かな生活が実感できるということからいいますと、家族で食事に行ったり旅行に行ったりというようなことで、外食産業とか、あるいは、ファミレスじゃないかもしれませんが、ファミレスもそうでしょう、そしてまた和食をいただくとかレストランでディナーを食べるとか、いろんな意味で外食産業役割というのは非常に大きなものがあろうと思います。  そしてまた、外食産業規模が非常に大きくて、二十五、六兆円になっている。また、弁当ですとかお総菜とか、最近はデパ地下というので、そういうところで出ているのをこれ中食と、外食に対して家庭内で食べる内食との間の中食という言葉を使うらしいですが、それだって五兆円ぐらいの規模になっている。何だか三十兆円ぐらいの規模で、そこに働く人たちが四百三十万人だというんですね。ですから、自動車産業に匹敵するようなすさまじい規模になっているということです。そこに例えばお店が八十万店もあるということですから、大変な規模になっております。  ところが、外食食品産業というようなことで、農水省さんの方での所管ということなんでありますが、どうも農水省さんの場合は川上、農林水産業、いい食材をということでやっておられるところには力は入るんだけれども、どうも川下に来るところの、この一大雇用のあるここのところが十分に産業政策としてつかまえておられるのかどうか、まずこの点について農林水産省の方からお伺いします。
  116. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) 外食食品産業でございますが、今先生から御指摘がありましたとおり、金額の点はともかくとして、二十五、六兆というお話がございましたが、二十七兆円という計算もございますが、大体消費者が食料の関係で支払っている金額が約八十兆円でございますから、その中に占める割合という点からいいましても非常に重要だと思っております。  それで、農林水産省といたしましては、基本的には食料の安定供給という観点から食品産業につきまして大きな関心を持っているわけでございますが、先生指摘のように、それ自身が国民経済の重要な一翼を担っているわけでございますし、企業活動でもございますので、私どもといたしましては、市場原理の尊重とか公正な競争の確保という基本的なところについてはきちっと配慮していかなきゃならないというふうに考えておりますが、その中で、御指摘もございましたが、現在、食品産業として国内の農水産物の約四割がこちらで加工されたり外食に回っているわけでございまして、六割が直接消費に回っているというようなところでございますので、やはり我々としては、食と農をつなげるという観点に重要な関心を持ってこの外食産業を含める食品産業に取り組んでいることは事実でございますが、やはり産業一貫といたしましてきちっとした経営形態になるように支援策等を総合的に講じているということも御理解いただきたいと思う次第でございます。
  117. 広野ただし

    広野ただし君 特にそういう外食産業あるいは日本伝来のおそば屋さんとかうどん屋さんとかお菓子屋さんとか、やっぱり一杯あるわけで、そういうところの衛生管理ということでは厚生労働省の方が衛生面からのチェックと。そこで統計的に取ると、これ何か百何十万店あるというんですが、これどうなんでしょうか、厚生労働省さん。
  118. 森英介

    ○副大臣(森英介君) では、私の方から御答弁申し上げます。  先ほど委員の御質問の中にありました八十万店というのは、恐らく総務省の事業所・企業統計調査に基づく数字だというふうに思います。  私どもは、外食食品産業のうち飲食店営業を所管しておりますけれども、その対象となる飲食店というのは、平成十四年度におきまして百五十三万八千店というふうに把握をしております。この数字は、食品衛生法に基づきましてその許可を得ている施設というかお店の数でございまして、例えば、旅館ですとか飲み屋さんですとか、それから屋台、ビアガーデン、大衆酒場と、そういったものを一切含めた数字でございます。ということでございます。
  119. 広野ただし

    広野ただし君 まずそのお店の数から、ちょっと私は農水省さんと厚生労働省とのマッチングというか、そこもよく連絡をいただいて、いずれも地方経済を支える大事なところなんですね。しかも、そこは新規参入もどんどん来ると。もちろん、店を畳むこともあるということなんですが。やはり、食文化を担い、また私たちに大変な豊かさとか潤いを与えて、衛生面ではどうかと思いますが、屋台でもみんなやっぱりぶらっと入りたいというときだってあるわけで、いろんな意味日本一つの文化を作っているんだと思うんですね。  ですから、これは、BSEの問題ですとか鳥インフルエンザの問題で、緊急なときにはまた経済産業省とも関係するわけですが、少なくとも、農水省、また厚生労働省、また経済産業省というのは、定期的に、四半期ごとにでも、あるいは半年に一回でも、よく、この外食食品産業のところのことについてよく話合いをしてもらって、何しろ四百何十万人の人たちが働いているわけですね。特に女性の雇用が多いんです。六割はもうそこで女性が働いているということですから、是非しっかりとした連携を持ってやっていただきたいと、こう思っております。各省ばらばらなものではないようにやっていただきたいと思います。  そしてまた、国民公庫もここのところはしっかりと、百何十万件のお客さんがおられるというわけですが、ここのところでの外食食品産業あるいはそういう飲食店等の融資先というのは物すごく多いと思いますんで、先ほどちょっと申し上げましたように、若干根雪的なところがあると思うんです、借入金についてですね。だけれども、長いしにせなんかについては、これはやはりそれぞれの地域の食文化なりを支えている大事なところだろうと思いますんで、少し長い付き合いという意味でやっていただきたいと、こう思います。  それでは、森さん、また市川さん、どうぞ、お時間でございますので。  続きまして、ベンチャーファンドのことでお伺いします。  そしてまた、両公庫の総裁の関係の方々もどうぞ、これで結構でございます。  ベンチャーファンドのことでありますけれども、午前中もお話ありましたが、このベンチャーの問題については時々うわっと燃えて、エネルギー危機の後も、ベンチャーブームといいますか、ベンチャーを育てなきゃ駄目なんだというようなことで、ひところ大きく掲げられました。そしてまた、バブルのころからやっぱりそういうことも言われました。ところが、どこかでまたしぼんでしまって、なかなかいい実績が出てこないんですね、ベンチャーについて。先ほどもありましたが、三百五十ほどの組合ができて、案件も二、三千億円ですか、いうようなことをお聞きしましたですが、私はその規模ではもう日本経済を活性化させるというにはもう一けたも二けたも足りないんだろうと思うんですね。もっともっと盛んなものにしなきゃならないと、こう思うわけですが、そういう中で、今までもそういうベンチャーというか中小中堅企業を育てるのに投資育成会社というのがありました。これは東京にも名古屋にも大阪にもあるわけなんですが、そういうところももっと活用したらいいんじゃないかと、こう思いますけれども、大臣あるいは副大臣、いかがでしょうか。
  120. 坂本剛二

    ○副大臣坂本剛二君) 中小企業投資育成株式会社は、中小企業自己資本充実を図る観点から、昭和三十八年に東京、大阪、名古屋に設立されて以来、中小企業向け投資を着実に実施してきたところであります。その投資実績につきましては、三社合計の投資額は毎年四十億程度から七十億円程度でございます。件数は、年百三十件程度から百九十件程度と、こうなっておるところでございます。  平成十年の中小ベンチャーファンド法の成立を受けて、中小企業投資育成株式会社が無限責任組合員となって他からの出資を集め、これまでに六つの有限責任組合を設立し、六つの組合の出資総額は五十五億円に達しております。今般のベンチャーファンド法改正により、中小企業投資育成会社が今後更にベンチャー企業への積極的な出資を行っていくことを期待いたしております。  当省といたしましては、こうした取組により、今後ともベンチャー企業に、投資の活性化に努めてまいる所存でございます。
  121. 広野ただし

    広野ただし君 いずれもちょっと規模が、日本経済全般からいいますと、それで満足してもらったらとんでもない話だろうと思うんですね。ですから、日本経済を支える、また活性化させるのは中小企業だと、こういうことであれば、前にも申し上げたんですが、本当に開業率ががんがん上がってくるような政策にしないと駄目なんじゃないかと。だから、アメリカはもう一四、五%の開業率があって廃業が一二。要するに増分だけでも二、三%増えるということですね。それに対して、日本は逆で、昔は何か四、五%開業率があって廃業率が三%ぐらいで、二%ぐらいは増えていたんです。ところが、今は廃業する方が多くて開業する方が少ない、こういうことなんですね。  例えば、簡単に言いますと、五%ももし増分があるとしたらば、六百万社のうち三十万社生まれるわけですね。三十万社生まれれば、三十万社が例えば五人ずつ雇えば百五十万人の雇用が生まれるわけで、思い切ったそういう政策を取るときは私は一つ一つの話じゃないんだと思うんですね。まず税制から変えて掛からないと、とてもじゃないけれども、そういうどおんと、今頑張っても数千社、そういうものがどおんと二けたほど上がるような話になかなかならないんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  122. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おっしゃるとおりで、開業数が廃業数よりも多いというのが健全というか成長している経済だろうと思いますが、御指摘のような状況が続いているのは、いわゆる産業経済面からいっても、それから先生指摘のように、雇用面からいっても非常に大きな問題、正に日本がデフレ、つまり縮んでいると言われてもあながち間違いでないと私は思っているわけでございますけれども。  したがいまして、いかに頑張っているところには更に応援をし、あるいは再生のためのいろんな制度を作って廃業をしないようにする。万が一廃業したときには、またすぐにそこでいったんいわゆる御破算にして、またすぐ次の展開ができるというようなことも考えておりますし、それから新規に事業を立ち上げようということで、御承知のように最低資本金制度の特例措置、極端に言うと一円からでも企業が起こせますよとか、あるいはまた、新規に企業を起こそうとする人材、経験者はもとよりでございますけれども、例えば学生さんとか、あるいは家庭で主婦として過ごしていたけれども、例えばですけれども、子育てが一段落して自分はこんな仕事やってみたいなということで事業を起こすとか、そういうマインドが実現できるように様々な施策を講じていっておりますし、更に行っていかなければならないと思います。  いずれにしても、先生の御指摘のとおりでございまして、開業数の方が事業者数が多くなり、そしてその事業がそれぞれ拡大していくというために、できるだけの方策といいましょうか、政府としてやれること、あるいはまた政府系金融機関を始めとする金融面、あるいはまた人材面、いろんな面があるんでしょうけれども、関係各方面と協力をして、そういう方向に早く力強く前進できるように全力を尽くしていくことが大事だろうというふうに考えております。
  123. 広野ただし

    広野ただし君 やはり開業率を上げるためには税制から根本的に変えなきゃいけないと思っておりますが、もう一つ、今日午前中、有馬委員からもありましたが、やっぱり人材の話だと思います。  あるアメリカの教授が日本の大学へ来て話をして、ところで皆さん、この学校を卒業したらどうするんですかという話をして、就職をする人というふうに聞いたら、百人いたうち九十八人は就職をしますと、二人はおれはちょっとやりたいんだと、私はですか、ということで、そういう感じだったというんですよ。後でその教授に、じゃ、ところでアメリカだったらどうなんですかというふうな話を聞きましたら、これは全く逆だというんですね。アメリカだと九割は自分で何かやりたいと、就職というのは一割ぐらいだというくらいに、何かをやりたいというものが、自分の発露というか、そういうものがもう育ってきていると。だから、正に教育のところから変えてこないと、本当にそういう面では、すべてが教育なんでしょうけれども、日本経済も本当に活性化してこない。そういう中小企業でまずスタートして、自分のことを実現していって、自分の夢を実現をする、それが大きな企業になってくる、花開くと、こういうふうにはなかなかなってこないのかなと、こう思っておりますが、是非その両面で政策を実現をいただきたいと、こう思っております。  それと、ちょっと時間のことも関係してまいりましたので、繊維産業のことについて、今朝もありましたが、お話をいただきたいと思います。  産業の盛衰、興亡というのはどの産業にもあるんだろうと思います。石炭産業がまずそういうことだったと思いますが、繊維産業はやはり日本経済を非常にリードしてきて、しかも今でも、製造業だけでも六十八万人の人がいる、またアパレルの方では、小売等も含めますと百七、八十万人もの雇用がある、こういう一大産業であります。しかし、かつての勢いはなくなってきた。そういう中で、田中角栄さん以来、アメリカとの繊維戦争というのもありました。それ以来たくさんの構造改革路線を取ってきて、今度は最後だ、最後の五年間だと、こういうことでありますけれども、繊維産業の将来の姿、夢、あるいは日本でどういう姿になっていくんだと。そこに働く人たちがたくさんいるんですから、そこを明快にひとつお答えいただきたいと思います。大臣、あるいは。
  124. 江田康幸

    大臣政務官(江田康幸君) 我が国のこの繊維産業につきましては、雇用者数は六十八万人、製造業全体の約一割弱を占めておりまして、今もって一大産業であると考えております。  昨年七月に取りまとめられましたこの繊維ビジョンにも指摘されておりますとおり、主要先進国の中で日本ほど衣類の輸出が少ない国はないわけでございます。その原因は、我が国の繊維産業の生産と流通に著しく効率的でない悪い部分、構造があることが挙げられます。これは裏を返せば、このような構造を改革していけば、国際競争力を持った産業に飛躍する可能性が十分にあるということだと考えておる次第でございます。  このために、川中の中小製造事業者が自ら企画、生産、販売に取り組む、その取組への支援を行う中小繊維製造事業者自立事業など、またこの輸出振興、技術開発の推進など、前向きな構造改革施策を積極的に推進しまして、我が政府としましては、繊維産業を今後とも国際競争力のある産業に発展、成長させていきたいと、そのように考えております。
  125. 広野ただし

    広野ただし君 これは地方でも産地というのがありまして、北陸ですと石川、福井、富山、あるいは岡山ですとか、あるいは委員長のところの泉南の、大阪の南部、各地で、またアパレルということになると岐阜も大変なものでありまして、そういう面では各地の地場産業とも非常に関係をしているわけで、これは是非、今おっしゃった海外にどんどん出ていくんじゃなくて、海外ももちろん、海外でやれるようにしなきゃいけないでしょうし、先ほど大臣言われた輸出でもちゃんと食えるような、そしてまた我々の方でも、本当にイギリスの最高級の紳士服じゃありませんし、また松議員が着ておられるようなすばらしいああいうものとまた、そういうものはどんどん国内で、ニーズに合ったものをすぐそばでやってもらわないとなかなかいいものができないんではないかと思いますので、そういうものをきちんと守っていく、そういうことの産業政策を展開をいただきたいと、こう思います。  それでは、最後の方の質問にさせていただきたいと思いますが、地域公団ですけれども、地域公団は今度二つに分けて、国交省の方の都市再生機構ですかと中小企業基盤機構と、この両方に分けるということでありますが、都市関係の土地等に関しては国交省の方の都市再生機構、そしてまた工業再配置等のものの方は中小企業基盤機構と、こういうことのようでありますが、従来、簿価でどれくらいのものが残っておるのか、それが不良債権なんじゃないかということも言われているんですが、まず国交省の方で、どれくらいの簿価のものがどれくらいあるのか、お答えいただけますでしょうか。
  126. 林幹雄

    ○副大臣(林幹雄君) 資産については、今先生がおっしゃったようにいわゆる簿価ということになりますけれども、販売用の不動産の簿価は、平成十四年度末の行政コスト計算書では、仕掛かり中の不動産も含めまして約二千八百億円となっております。そしてまた、その面積は約七百ヘクタールでございます。地域公団では、完成した土地につきましては極力早期に処分を行うこととしておりますが、購入者の取得コストを下げるために定期借地での利用についても促進しているところでございます。  また、先生指摘の、特に産業系用地の販売価格につきましては時価に重点を置いて決めることにしておりまして、地価下落の状況下においても需要に応じた販売が可能となっておるところでございます。今後とも、地域公団の資産の有効活用が、有効利用が極力図られまして、地域経済の活性化に資するよう地域公団を指導してまいりたいと存じます。
  127. 広野ただし

    広野ただし君 私は、今までなかなか売れなくて持っていたもの、それを今度市場価格で評価をするということになりますと、言わばその部分債権放棄をしている、国は債権放棄をしているんだと、こういうふうに思います。ですから、ある意味では、その間ずっと塩漬けにして持ってきた責任というのは、私は事業団の理事長には非常にあるんじゃないかと、こう思っております。  例えば、工業再配置の案件なんかで、もっと安く売れれば直ちにそこに投資をして、海外に出ていかなくてもよかったというのは一杯あるんですよ。ところが、坪単価、それに造成費用、金利等乗せて物すごい高いお金で、もうバブルがはじけてもなおその値段でないと売らない。だから、投資をすべきものがなかなか投資されなかったということであります。  ですから、この責任は徹底的に追及していかなきゃいけないと、こう思っておりますが、逆の意味で、今度は地域経済を活性化させるためには早くいい値段で売ってもらいたいんですよ。そうすればそこに投資が行われ、地域経済が活性化するんです。ですから、別の意味で、これは地域経済に対する大変な援助なんだという意味合いがまた別に込められるんだと思うんですね。  ですから、いつまででも塩漬けにしてやっているんではなくて、都市の再生のために、あるいは工業の再配置のために、地域経済の活性化のために、都市の活性化のために大いにそれを活用してもらいたいと、こう思っておりますが、大臣と林副大臣にお伺いしたいと思います。
  128. 江田康幸

    大臣政務官(江田康幸君) まず、経済産業省の方からお答えさせていただきます。  今、国交省の分としまして、この工業団地の資産をおっしゃられましたが、経産省管轄分としまして、地域振興整備公団から中小企業基盤整備機構に承継が見込まれる資産では二千二百億円となっております。また、その面積は千五百ヘクタールでございます。経済産業省としましては、これらの団地資産につきまして、自治体関係者の理解と協力を得ながら、独立行政法人の中小企業基盤整備機構の設立から十年をめどに完売をすることを目標としておるところでございます。委員指摘の点も十分に考えてまいりたいと思っております。  具体的には、この当該団地の資産が地域事業者にとって円滑に有効利用されて地域経済の活性化につながるように、一つは各地域のニーズ、例えばこれはリース分譲とかいうようなこともございましょうし、また割賦販売で販売していくとか、また小区画に区割りして販売をするとか、そういうような地域のニーズを十分に踏まえたり、またこの承継される資産の状況もこれ十分に踏まえまして、総合的な分譲促進を図ってまいる所存でございます。
  129. 林幹雄

    ○副大臣(林幹雄君) 広野先生指摘のように、土地の有効利用を図って地域の活性化につなげたいと思っておりまして、先ほどもちょっと御答弁いたしましたけれども、やはり極力早期に処分をするということとしておりまして、その中で購入者の取得コストを下げるために、定期借地での利用についても促進をしているところでございますし、先ほど先生からも指摘がございましたように、産業用用地に関しましては時価で、それに応じてすぐ対応できるように図っていきたいというふうに思っておりまして、地域経済の活性化を図りたいというふうに考えております。
  130. 広野ただし

    広野ただし君 最後の、時間になりましたので、ただもう一つ中小企業基盤整備機構ですか、で工業再配置の土地を引き継ぐわけですね。売るのは中小企業ばっかりじゃないんです。もっと広く売っていいわけですよね。  ところが、中小企業基盤整備機構で受けますから、普通の中堅企業とかがもうそこへ行っても駄目なのかなというふうに思われかねませんから、その点は幅広くやれるんだということをちゃんとPRしてもらいませんと、またずっと塩漬けになっているということになりますから、これは要望としてさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  131. 松あきら

    ○松あきら君 公明党の松あきらでございます。  私は一昨年の秋から当委員会に所属をさせていただいておりますけれども、与野党ともに専門先生がいらっしゃる中で、私は必死で勉強しながら、大体毎回ずっと一人で質問をさせていただいているところでございます。しかし、朝からずっと質疑を伺っておりますと、あ、これも出ちゃったとか、あ、これも出てしまった、違う角度から質問しなきゃとか、これはやめようかとか、寝ている暇なんかないわけでございまして、時にはこちら側からやっていただきたいななんて、ちょっと言い訳でございますけれども、そういうわけで多少質問が重なるところもあるかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  現行の中小ベンチャーファンド法は、投資対象が原則中小企業に限定されております。ですから、多くのファンドは、わざわざ手間暇を掛けまして、タックスヘーブンとして有名なケイマンなどの法律に基づいてファンド設立することを余儀なくされているというふうに言われております。  改正ファンド法によってこうした問題が解決されること、これが期待されるわけでございますけれども、こうしたファンドは国内のみならず海外にも投資機会を提供するものであります。そうしたときに、二重課税という問題が生じないのでしょうか。また、この点はさきに国会で承認をされました日米租税条約ではどのように対応されるのでしょうか。  今後、我が国としては、経済活性化の観点から積極的に対日投資の拡大を進める必要があるというふうに思うわけでございますけれども、そのためにも各国との二重課税などの問題が生じないように、これはやはり環境をきちんと整備しておくことが重要であるというふうに思うわけでございます。  これは国税庁にお伺いをいたします。
  132. 加藤治彦

    政府参考人加藤治彦君) お答えいたします。  今、先生から御指摘ありました二重課税の問題でございます。  国際間の課税におきましては、居住者が住んでいる本国と、それから所得を上げる源泉地国と両方で課税権が発生しますので、どうしてもその調整が必要でございます。一般的な調整方法といたしましては、外国税額控除という制度がございまして、源泉地国で課税された分を本国の方で差し引くというのが一般的な方法でございます。しかし、これでは実際に課税の調整が行われるのが後になるということで時期がずれる、それから手続も必要ということで、現在それを克服するために租税条約という制度を活用しております。租税条約によって源泉地国の課税を軽減又は免除して本国で課税を一元化していく、それによって企業の二重課税を排除して、しかも手続が必要がなくなるようになるべくしていくということでございます。  今お話ございました日米新租税条約、今回大きな改定をいたしまして、その源泉地国課税の免除及び軽減の度合いを大きくいたしました。特に、親子間配当のような直接投資につきましては基本的に免税にするとかしております。また、ポートフォリオにつきましても税率の軽減を行うということで、もちろん源泉地国における課税の確保という面も一部やはり必要な部分は残しながら、なるべくその相互の投資交流が円滑にできるように、こういった租税条約というものを拡充していく。その第一弾として租税条約は評価されているものと思っております。
  133. 松あきら

    ○松あきら君 やはり海外にも投資機会、拡大をしていただきたいということで、この日米の租税条約のように各国ともしていただけるというふうにお伺いいたしました。よろしくお願いを申し上げます。  これまでの中小ベンチャーファンド投資対象は、一般にはなじみの薄い中小未公開企業に限られていたわけでございます。今回の改正ファンド法によりまして、公開大企業の株式に投資するファンド設立することも可能になったわけでございます。これまで以上に一般の投資家がこのファンド投資に勧誘されやすくなると言われております。  このために、改正ファンド法におきましては、一般投資家が巻き込まれやすいケースにおいては投資家の数や資格を制限し、原則プロ投資家のみが参加できるように手当てするというふうに伺っておりますけれども、具体的には政令に任されているようですけれども、どのような手当てを講じようとなさっておられるのか、お伺いをいたします。
  134. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、これから公開企業の株式に投資をするファンド設立することも可能になるということになりますと、今まで以上に一般の投資家の方がファンド投資に勧誘されやすくなるということでございます。したがいまして、投資家保護に万全を期するという観点が大変重要になるわけでございまして、今国会に提出されております証券取引法の改正案におきまして、ファンド投資をする一般投資家の保護ルールというものを導入をするということにいたしております。  ただ、この改正法が今年の十二月ごろというふうに施行が予定されておると伺っておりまして、それまでの間はこのファンド法におきまして、一般投資家が巻き込まれやすいケースにおいては投資家の資格を制限しまして、御指摘ありましたように、原則言わばプロ投資家だけ参加できるような手当てを講じておるわけでございます。  具体的には、一つには、証券取引法上、機関投資家として位置付けられております証券会社あるいは銀行、保険会社と、こういった適格な、適格金融機関、適格機関投資家、それから資本金一億円以上の企業というような、一般の個人投資家ではなくて、言わば金融専門的な知識を持っていらっしゃる投資家に制限をするというようなことを予定をしておるわけでございます。
  135. 松あきら

    ○松あきら君 保護ルールということもおっしゃっていただきましたけれども、とにかく一般の投資家の方に迷惑が掛からないように、よろしく手当てをお願いいたします。  改正ファンド法では、ファンド出資のみならず融資なども行えるようにするとともに、ファンド投資対象中小ベンチャー企業などに限定することではなくて、幅広く中堅企業や公開大企業にも出資ができるようにするものでございます。これによってどの程度投資が拡大すると予想されておられるのでしょうか。また、午前中も出ましたけれども、我が国に千四百兆の個人金融資産がある、こういうことですけれども、どの程度その千四百兆ですね、この資産、活用されると見込んでおられるのでしょうか。さらに、我が国のファンド投資額は御存じのようにアメリカの三十分の一、イギリスの三分の一と、こう言われておりますけれども、このような状況が今回の改正ファンド法の施行によりましてどのように変わると想定されておられるのか、大臣にお伺いをさせていただきます。
  136. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 委員おっしゃるように、我が国のこのファンド投資額というのは欧米と比較をして極めて小さいわけでありまして、逆に言えば、ただその分だけ成長の余地がある、こう実は思っております。今言われましたように、アメリカの三十分の一、イギリスの三分の一でありますから。  しかしながら、今回のこの改正によって、中長期的に見れば欧米並みになるだろうと、こういうことを実は期待をいたしておるわけであります。特に、この千四百兆円の豊富な金融資産を十分に企業へのリスクマネーとして活用できる、これはそういうものに大きな効果をもたらすと、こう考えております。
  137. 松あきら

    ○松あきら君 私も欧米並みになるように期待をするところでございます。  個人の金融資産が活用される方法が増えるということは良いことであるというふうに思いますけれども、国民の資金を扱うファンドマネジャーは無資格でいいのかなと思うんですね。  三月十九日の衆議院経済産業委員会におきまして、杉山経済産業局長は、法改正により今まで以上に多種多様なファンドが出てくることも考えられるが、場合によってはファンドの運用者に投資先を一任するケースも出てこないとも限らないので、ファンドの実態、投資顧問業法との関係をどう整理するか考えていきたい、こういうふうに答弁をされておられます。  しかし、被害が出てからでは何事も遅いと。やはり事前にその対策について検討しておく必要があるというふうに思いますけれども、御所見をお願い申し上げます。
  138. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) お答え申し上げます。  今、先生おっしゃいましたように、これからいろいろなタイプのファンドが出てくるということが予想されます。その中で、例えば本来の組合ということから少し外れるかもしれませんが、投資家から一任を受けて運用するというケースも出てくるということも考えられます。そのような場合には、ファンドマネジャーというのが投資顧問業法の規制に服すということもあり得るかと存じます。  したがいまして、私どもは、ファンドの実態がこれからどう推移するか、特に投資先ファンドの中でどういった議論をしながら決めていくのかと、こういった実態をよくフォローをしたいと思っております。その上で、金融庁ともよく連絡を取りながら、投資顧問業法をどういうふうに活用するのがファンドの健全な発展につながる上で重要なのかというような観点を持ちながら、先生のおっしゃるように、手後れにならないようにそこはよく考えていきたいと、こう思っております。
  139. 松あきら

    ○松あきら君 是非、被害が出ないようによろしくお願いを申し上げます。  それでは、次に行きたいと思います。  中小企業庁の中小企業景況調査によりますと、平成十五年十月から十二月期の全産業の業況判断、これDIでございますけれども、マイナス二六・九となりまして、前期に比べて三・三ポイント、マイナス幅が縮小という改善傾向が見られるわけでございます。しかし、中小企業規模別に見ますと、二十人以下、卸売業は五人以下ですけれども、この小規模企業がその多くを占めておりまして、中規模企業に比べて小規模企業の方は景況感は悪くなっているんですね、先ほど来出ておりますけれども。また、地域別では東海、九州、沖縄地方の景況感は回復している一方で、大臣の御地元の北海道、あるいは東北、四国、北陸、近畿地方では改善の動きが緩やかであるなど、その地域ごとのばらつきが目立つわけでございます。  中小金融公庫は全国に五十九店舗、そのほか都市銀行地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合など五百八十の民間金融機関を代理店としているわけでございます。中小公庫は全国の支店網を通じまして、金融面から地域再生や活性化に取り組んでいる。これも先ほど来、総裁もいろいろお答えになってくださっておりますけれども、地域間格差、中規模企業と小規模企業との格差が拡大する中で、地域再生に取り組む中小公庫の対応も支店ごとに異なるのではないかというふうに思います。  この点について、地域の実情に配慮してどのように対応されているのか、中小企業金融公庫総裁にお伺いをいたします。
  140. 水口弘一

    参考人水口弘一君) お答えいたします。  先生おっしゃるとおり、私は持論として、地方分権改革も若干関係はしておりますけれども、地域再生ということは地域中小企業活性化なくしてはあり得ないと、こういう固い信念を持っておりまして、そのために、全国出張するたびに中小公庫のお取引先の経営者の方々、同時に、地元地方公共団体、県知事さんであるとか市長さん等にお目に掛かって、一緒に手を携えてやりましょうということで、それぞれ各県においても頑張れファンドとかいろいろなものができておりますけれども、それと同時に、中小公庫としましたら、早くから本部内に再生支援本部というのを作りまして、これは副総裁を本部長としておりますが、六十一の全営業部店に再生支援のための担当の役席を配置いたしまして、地域金融機関中小企業再生支援協議会と連携をいたしまして、企業再建貸付けや事業再生支援貸付け等の特別貸付けによる貸付け支援を行っております。  特に、先生おっしゃいますとおり、地域間格差というと同時に、今度は企業間格差が非常に拡大しておりますので、できるだけそれを埋めるための努力をしたいということで、中小企業再生支援協議会の個別支援チームにも参加し、個々の中小企業再生計画の策定支援につきましても積極的に取り組んでおります。例を挙げますと、再生支援協議会で再生計画が完了したものは、先ほどもございましたが、六十九件ございますが、その中で公庫が関与したものは三十六件ございます。  それから、地域金融機関との提携その他の問題でございますが、これは金融庁の方もリレーションシップバンキングということを強く言われておりますが、私どもも、全国の金融機関五百九十八のうち三百三十一、五五%と連携の実績を上げております。また、特に第一地銀、第二地銀、地銀に対しましては、百十二行のうち百九行、九七%になりますけれども、これと連携をしておりますし、また、信用金庫につきましても、三百五のうち百九十一でございますから六三%との連携をしているということでございます。また、業務提携をして覚書を交換しているというところが百九十二行というようなことで、これは更に積極的に広げていきたいと、このように考えております。  それで、一つ具体例として、遠くの方とそれから近くの方と二つ挙げてみたいと思いますが、一つは、これは岩手県の宮古市でございます。ここに新しくキャトル宮古という会社再生いたしまして、これは公庫と地域金融機関、それから自治体が一体となって大型ショッピングセンターの再生取り組みまして地元商店街を活性化したということでございまして、もちろんこれは商店街の中にあるんではなくて、商店街の離れたところにあるんですが、ここがやっぱり商店街に対するお客様を誘導する起点になるということで、これは元々がマイカルというショッピングセンターがございましたが、その破綻を受けまして、平成十四年の八月に閉店となりました地元唯一の大型ショッピングセンターでございました。これは宮古サティといっておりましたが、その店舗再生目的にいたしまして、地元商店街等二十六社が共同出資して設立したわけでございます。これは地元の商店街も資本出資したと、こういうことでございまして、公庫と地元金融機関四行、これは岩手銀行、北日本銀行、東北銀行、宮古信金でありますが、それに宮古市、商工会議所、それから地元の商店街と密接な連携を取りながら協調融資を実施いたしまして、平成十五年十二月にオープンいたしまして以降は、付近の歩行者数は以前のマイカルがつぶれたときに比べますと五倍になったという実績を上げております。  もう一つは、首都圏の中の千葉でございます。これは千葉支店の扱いでございますけれども、これは再生協議会と協議して、千葉県の大手食品スーパーでございまして、主力である食品スーパー事業の改善余地が大きいというので、協議会としましたら、地元地方銀行中小企業金融公庫、それからこれには商工組合中央金庫も加わりまして再生を実現するという方針で、六月に、支援業務責任者、中小企業診断士、経営コンサルタント、それから中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、地元地方銀行、税理士による個別支援チームを立ち上げまして、再生計画案を、支援を行いました。この結果、直接な効果としましたら、この会社の雇用確保が図られるとともに、間接的な効果としましたら、地元の納入業者と、約百社ございますけれども、この悪影響が回避されたと、こういうような事例がございます。  これに対して、私は個人的には再生協議会に持ち込まれたものも成功してうまくいったというものは公表した方がかえってその会社にとっていいのではないかという考えを持っておりますが、現状では中にはやっぱり公表したくないというところもあるようでございまして、再生協議会としたらまだ公表しないということになっておりますので、一応会社名は公表しないと、こういうような実績がございます。  以上でございます。
  141. 松あきら

    ○松あきら君 いろいろ具体的にお話をいただきまして、ありがとうございます。やはり中小企業金融公庫は、その法の目的民間金融機関供給することが困難な長期的な資金、これを中小企業供給をするという民業補完の使命というのがある。そういうことで、その使命を果たすために全国ある地銀、第二地銀、信金、信組、密接に連携を図りまして、中小企業に安定的に資金供給を行うことが大切である、こういうふうに私も思っておりますし、今もお答えをいただいたのだというふうに思います。  正に金融庁が策定しましたリレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムの中でも、そのベンチャー企業向け業務についての情報供給あるいは協調投融資地域中小企業対象とした地域再生ファンド組成などにつきまして、中小公庫地域金融機関との連携強化を図る、こういうことが指摘をされているところでございます。  私の地元の神奈川県のある信用金庫でも、今年三月に中小公庫の横浜支店と業務提携・協力に関する覚書、これを提携をしまして、連携を強化することによってその取引先への中小企業の多様な資金ニーズに的確に対応できるようになった、これは喜んで報告があったところでございます。  今後このような取組、ますます重要になってくるというふうに思いますけれども、地域金融機関との連携強化について、改めて、大臣、御所見をお願いいたします。
  142. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これだけ金融手法多様化し、また地域中小企業に対する資金供給なりいろんな形のやり方が多様化してくると、ますます制度制度としてその地域に合った形の、あえて言えばオーダーメード的な協力支援の方法、ビジネスも含めてですけれども、あるんだろうと思います。国から地方ができることは地方へ、官から民へという小泉総理の方針にも合致というか、それが目的なわけでありますけれども、そういう意味で、やっぱり私は特に地方に行けば行くほど民が主体になっていかざるを得ないんだろうというふうに思っております。  つまり、データ的なことは、それはコンピューターの時代ですからどうでも取れるんでしょうけれども、そういうきめ細かいいろいろな金融ビジネスあるいは金融支援といったときには、単なる数字上のデータだけではない、例えば人的な面でありますとか地域特有のことになりますと、やっぱり地域人たちとの連携なくしては、幾らいい制度ができましたよといってもこれは難しいわけでございます。  先ほど国民公庫の薄井総裁が、民間から学ぶところは大いに学んでいくんだと、私は、この姿勢がある意味では当たり前であると同時に、大変評価すべき御発言であったというふうに思っておるわけでございます。  それにつけましても、何といってもいわゆる全国的な金融機関、あるいはまた世界を相手にしている金融機関、あるいは政府系金融機関だけでは、というよりも、むしろそこが主役である地域金融機関とどうやって連携を取っていくかということは、むしろ地域にとってのニーズというよりも、この中小公庫であろうが国民公庫であろうが、地域のために頑張るんだと言っていることを実行に移すためにも、むしろ地方金融機関の協力を得なければできないんだと、協力をお願いしますという姿勢で臨んでいっていただかないと、真の意味地域に対しての使命というもの、目的というものが果たせないわけでございますから、そういう意味で、むしろ地域金融機関のお手伝いをするというぐらいの気持ちでオーダーメードの一つのビジネスというものを是非成功させてもらいたいというふうに思っておりますので、御指摘地域機関との協力というよりも、地域機関の、金融機関の協力なくしては目的は達成できないのではないかというふうに考えているところでございます。
  143. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。  やはり地域金融機関の協力なくしては、もうこれは進んでいかないと。正に地域に合ったオーダーメード的支援というふうに伺いまして、心強い御答弁をいただいたというふうに思っております。  今般、中小企業総合事業団が行っている信用保険業務中小金融公庫に移管されることとなっております。この信用保険部門は、当初、昭和三十三年に設立をされました中小企業信用保険公庫で業務が行われておりました。その後、平成十一年に信用保険公庫が中小企業事業団等に統合されまして、新たに今度設立をされました中小企業総合事業団に引き継がれ、さらに本年七月、中小公庫に移管されるという経緯をたどってきております。  その間の信用保証協会におけます保証承諾額の推移を見てみますと、近年その額が減少傾向にありまして、平成十四年度には約十四兆円となっております。それに伴い債務残高も十四年度には約三十三兆二千億円と減少してきております。  一方、代位弁済額は特別保証が実施された平成十年度には約七千億円であったのが、十四年度には約一兆三千億円へと増加をしているところでございます。この結果、中小企業総合事業団の信用保険部門の保険金支払額は平成十年度の約四千七百億円から、十四年度に約九千四百億円へと急増している、この一方で、回収金額は十年度の約千五百億円から十四年度に約二千百億円と、これ微増にとどまっているわけでございます。十四年度には保険収支が約六千億円と大幅な赤字となっております。  新たに信用保険業務を行う中小公庫といたしましては、回収実績を上げていくことも私は重要な課題ではないかというふうに思っている次第でございますけれども、その回収率の向上に向けてどのような対策を講じていくのか。また、昨年四月から一般保証保証料率が平均〇・三%引き上げられておりますけれども、保険料率引上げによる保険収支改善への効果、表れているんでしょうか。今後、更なる保険料率引上げの可能性、あるんでしょうか。また、信用保険財政の健全化に向けて今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。ちょっとこれ多岐にわたりますけれども、よろしくお願い申し上げます。
  144. 坂本剛二

    ○副大臣坂本剛二君) 厳しい中小企業資金調達円滑化のために信用補完制度として積極的に活用してきたのは御承知のとおりでございます。先生おっしゃいましたように、平成十四年度では約六千億円の赤字を計上しております。  信用保険制度の運営基盤を強化するために、平成十四年度までに一兆八千億円の財政手当てを入れております。それから平成十五年度補正予算と今年度、十六年度の予算で合わせて九百七十二億円に上る財政資金の投入もいたしております。  保証協会の設立した債権回収会社がございますが、これの活用を行いまして適切な回収の推進を行っておるところでございます。これも先生お話しになったように、昨年の四月から保険料率の〇・三%引上げ等々に取り組んできたところでございます。  また、今月からこの債権回収会社の首都圏営業所を立ち上げたところでございます。これによりまして、各信用保証協会の業務区域から首都圏に転出してきた債務者についても、求償権の回収に積極的に取り組んでまいります。まあ、逃がさないという感じで。  なお、経済産業省としましては、回収努力に際しては、代位弁済に至った中小企業者の状況、これを十分に把握し、現実的な回収を着実に進めていくように指導してまいる所存でございます。
  145. 松あきら

    ○松あきら君 今、更なる保険料率引上げの可能性、これはいかがでございましょう、御答弁なかったと思うんですけれども。
  146. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) まず、保険料の料率を引き上げたことによって、中小企業総合事業団信用保険部門が試算したところによれば、平成十五年度に約百七十億円の保険収支の改善につながった、こう報告を受けておりますけれども、あくまでこの数字につきましては一定の幅を持った見方でありますので、そういう形で御理解をいただきたいというふうに思っています。  今後の見通しでありますけれども、十五年度の保険収支赤字は四千三百億円程度でありますけれども、来年度以降は減少になってくると、そういうふうに思っておりますので、そういうことを考えたときに、大変厳しい状況ではありますけれども、これからも信用保険制度の運営基盤の改善に努力をして取り組んでいきたいというふうに思っています。
  147. 松あきら

    ○松あきら君 回収会社を通じて適切にやっているということで、御努力をいただいているということで、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  中小企業再生支援に当たりましては、昨年から、各都道府県の商工会議所などが中心となりまして中小企業再生支援協議会、これが設置をされまして、既に本年三月時点で約三千社の相談を取り扱い、このうち六十九社の再生計画の策定が完了しているとのことであります。その会社の名前は公表してほしくないというところもあるそうでございまして、これ伺いませんけれども、六十九社が完了していると。また、この完了案件再生計画を見ますと、中小公庫などの政府系金融機関企業再建に対して特別融資を行うなど、金融面での支援措置が行われている、これが非常に功を奏しているようでございます。  しかし、地域中小企業再生支援協議会の中には、多種多様な中小企業再生に取り組むことのできる人材やノウハウも少ないのではないかというふうに思っております。  これも、この間から私も質問をさせていただいておりますけれども、そこで、中小公庫といたしましても、中小企業再生支援協議会などと緊密な連携を取り合いながら、事業再生に取り組む中小企業を積極的に支援していくことが重要であるというふうに思いますけれども、これも重ねてでございますけれども、御所見をお伺いいたしたいと思います。
  148. 坂本剛二

    ○副大臣坂本剛二君) 全国の都道府県に中小企業再生協議会を作って、きめ細かく中小企業再生支援しております。その際、再生支援協議会と政府系金融機関とが連携強化を図るということは、これは先生指摘のとおり誠に重要でございます。  このような観点から、中小公庫は全国の支援協議会の構成員となっておりまして、再生計画策定等に積極的に関与をいたしておるところでございます。また、再生計画策定を完了した案件六十九社のうち二十二社に対して中小公庫が新規融資を行うなど支援を行ってきております。  今後とも、協議会を軸として、政策金融など様々な施策を結集して中小企業再生支援に全力を挙げてまいる所存でございます。
  149. 松あきら

    ○松あきら君 先ほど水口総裁がコンサルティングということも言ってくださったので、非常にこれはうれしいなというふうに思っております。そういうことが功を奏している、プラスになっている面があるというふうに思います。  次に、繊維関係についてお尋ねをさせていただきます。  先ほど来、質問も広野先生からも出ましたけれども、我が国の繊維産業は近年その競争力を低下させておりますけれども、その原因としましては、中国などから安い輸入品が増加している、これも挙げられております。しかし、繊維業界においては小売と製造が分断されている、このために、在庫管理など生産管理あるいは開発・企画を一体的に行うことが困難な状況にあることもその一つの要因ではないかと、そういうふうに言われております。  ところで、平成十六年度予算の中では、ジャパンブランド育成支援事業に対する助成措置が新規で認められておりますけれども、言うまでもなく、日本の繊維産業の有する技術力、デザイン力は私はこれは世界有数というふうに誇ってもいいのではないかなというふうに思っている次第でございます。私の地元でも、横浜スカーフという、これも有名な横浜スカーフがあるんですけれども、これはもう明治以来培われました技術と洗練されたデザイン、そして優れた品質によって世界のスカーフへと成長するに至ったと言われております。  日本の繊維産業におきましても、生産や流通のロスを削減しつつ、技術、デザインなどを活用したコストパフォーマンスの良い商品を開発、生産、販売することができれば、国際競争力を持った産業になるものと考えております。  実は、私もちょっと勉強しまして、先ほども江田政務官からも御答弁ありましたけれども、今までは大量に作っていたと。機織り機でどんどん作ってどんどん出して、七割、七〇%が返品になっていたと。ですから、それを承知でどんどん作って、賃加工でお金ももらえるので、返品七〇%になっちゃうんで三倍の値段を掛けていたと、これが以前のやり方だったそうなんですね。でも、それではもうとても立ち行かないということに気付かれたらしくて、これを改めようということで、正に糸から製品、あるいはデザインを含めて生産あるいはその販売まで、こうした一貫的にする、多様化とか個性化とかいうことを考えて少量生産でこれをやったと。ところが、そうすると返品もなくて、何と三分の一の値段で、しかも利益が出るというふうに、こういうことも伺っているんですね。  ですから、やっぱりこういうことをしていくことが大事じゃないかなと。やはり流通過程における在庫の量を減らして生産と流通の効率化を図る、正にサプライ・チェーン・マネジメントの必要性が指摘されております。私もそう思いますけれども、経済産業省は今後どのように取り組んでいかれるおつもりか、お伺いをいたしたいと思います。
  150. 江田康幸

    大臣政務官(江田康幸君) 昨年取りまとめられました繊維ビジョンにおきましても、我が国の繊維産業が、これが十分な国際競争力を持たない、その原因は、今、松先生が御指摘のとおり、過大な生産・在庫に象徴される国内の生産と流通がよろしくない、著しく非効率であるということが考えられておりまして、こういうところを構造改革していけば国際競争力を持った産業に一躍発展する可能性は十分にあると、そのように考えております。  この非効率を改善するためには、今おっしゃられました、委員が、松先生がおっしゃられましたが、返品が多いこと、また口約束が多いと、そういうことがございますので、書面による契約取引を進めたり、返品制などの国内の取引慣行を改めるということが非常に重要でございます。  このために、昨年五月以降に、織物メーカー、商社、アパレル企業等の三十社の経営トップから成る合同会議が開催されまして、この下で、書面による契約取引の具体的な在り方などについて検討がなされたところでございます。また、中小繊維製造事業者の自立事業における取組に見られますように、生産や流通の効率化を図りながら最終ユーザーに近いところで販売するという取組が繊維産業全体でより一層推進されることが期待されます。  なお、中小企業総合事業団が実施しましたアンケート調査で、取引先からの返品を押し付けられることはないと回答した企業が、一昨年一月の二四%から昨年十二月には六四%に増加しておりますので、取引改善の機運は高まってきているものと思っております。
  151. 松あきら

    ○松あきら君 そうですか。二四%から六四%に改善をされてきている、うれしいことであるというふうに思います。  昨年七月、産業構造審議会において取りまとめられました繊維ビジョンでは、今後五年間を繊維産業の構造改革を本格的かつ集中的に行う期間と位置付けておりまして、この中では、自ら商品の企画、開発、生産、販売を行い、活路を切り開く意欲と能力を持つ中小繊維製造業者に対して、平成十六年度以降も年間三十億円規模の助成事業として、中小繊維製造事業者自立事業を実施すること、また、このために繊維関係基金を原資とし、これを総動員して活用すべきである旨が示されております。  先ほど、大臣の御答弁の中でこの三十億円にこだわらないとおっしゃって、思い切って、思い切ったスピード、積極的に行いたいというすばらしい御答弁もされておられましたけれども、今回のこの中小企業基盤整備機構法改正案におきます繊維振興基金の廃止、この繊維ビジョンを踏まえた措置であろうというふうに思います。現在厳しい状況に置かれている繊維産業の国際競争力を高める観点から、繊維関係基金を取り崩してまで繊維産業の構造改革を集中的に支援しようとしているわけであります。  しかしながら、中には、この基金の解散というのはせっかくの繊維産業の芽をつぶすんじゃないかと危惧する人も中にはいらっしゃるわけですね、いるわけですね。ですから、集中的支援の前提として、まず中小繊維産業製造事業者にも十分に政府の繊維産業振興対策が理解されますように、その周知徹底を図ることが不可欠であるというふうに私は思っておりますけれども、これに対してはいかがでございましょうか。
  152. 江田康幸

    大臣政務官(江田康幸君) 今回の措置は、今後五年間を繊維産業の最後の構造改革期間と位置付けて、集中的な支援を行おうとするものでございます。  すなわち、これまでは中小企業総合事業団に繊維関係基金を造成して、この運用益により小規模支援を行ってまいりましたけれども、今回は同基金を廃止するとともに、別途これに相当する額を、これは百数十億円になるものでございますが、中小企業基盤整備機構に積み立てて、これを原資として支援を行いたいと考えているものでございます。  支援の具体的な内容としましては、中小企業の皆さん自ら商品の企画、開発、生産、そして販売に至るまで、この活路を切り開く意欲と能力を持つ中小の繊維製造事業者に対する助成等を行う、そういうものでございます。この中小繊維製造事業者の自立支援事業につきましては、日本繊維産業連盟などを通じまして関係団体等に対し周知に努めているところでございます。また、全国で延べ三十一回、そして約四千名に対して当省や中小企業事業団の職員から事業説明をさせていただきました。このほか、一般紙や繊維関係新聞等にも説明を行って、実際に数多く報道をされておるところでございます。  今後とも、本事業につきましては、更に、先生指摘のとおり、周知徹底が非常に重要かと存じますので、これに努めていきたいと、そのように考えております。
  153. 松あきら

    ○松あきら君 是非、周知徹底をよろしくお願い申し上げます。  次に、連帯保証人についてお伺いしたいと思います。  例えば、その事業に携わっていないのでその事業のことが分からないけれども、知人や友人やあるいは親戚等に連帯保証人になってくれと頼まれると。でも、その後に倒産でもしましたら、その借財がどっと押し寄せてきて、やはりこれはもう本当に個人の生活も一変してしまうということが、これ残念ながら多々あるわけでございます。  やはり、この金融機関融資担当に企業を見る目が育っていないのではないかなというふうにも思うわけでございます。先ほどからの、目利き、目利きというのは何回も午前中から出ております。私自身も、融資する以上はリスクが伴うと、しかし無担保無保証、こういうこともありますので、やっぱりしっかりと目利きをしていかなきゃいけないと。ですから、やはり、この政府系金融機関における目利きの対策というのはどうなっているのか、伺いたいと思います。
  154. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) これから中小企業に対して無担保無保証融資をする際について、今委員の言われましたように、目利きのできる融資担当職員をいかに育てていくかということがこれ極めて大事なことであるというふうに思っています。  今日までもそうした職員に対しては研修や中小企業大学校への派遣などを行ってきまして、さらに、中小企業診断士や税理士などの資格取得を促進する、こういうことも働き掛けをし、この目利きができるようにその向上に努めておるわけでありますけれども、本年度からは中小企業大学校において最新の産業実態等に関する研修も行っておるわけであります。こうしたことを行いながら、目利きのできる融資担当職員が数多くこの日本全国にできるように、私どもも鋭意努力していきたいと思っています。
  155. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございます。是非よろしくお願いを申し上げます。  今日は、私はこのモリゾーとキッコロの愛・地球博のピンを刺してまいりまして、政務官のときにはもう毎回、毎日洋服を替えるたびにこれも付けていたんですけれども、ちょっとしばらくお休みしておりましたんですけれども、この愛知万博の前売り券が非常に好調だという新聞記事を読みまして、私もすっかり意を強くしてうれしく思っている次第でございます。  つい先日も、日曜日にも愛知へ行ってまいりましたら、皆さんがこれを付けておりまして、党派にかかわりなく、ああ皆さん燃えているんだなというふうにうれしく思っております。  二〇〇五年日本国際博覧会、愛・地球博、いよいよ来年でございます。大成功に向けて頑張っていただきたいと思います。  最後に、大臣に万博の目玉を宣伝していただいて、質問を終わらせていただきます。
  156. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 松委員には所管、経済産業省所管でございます愛知、愛・地球博、政務官として大変御尽力をいただきまして、その後を我々今引き継いでやっているところでございます。  来年の三月から愛・地球博、人類の英知ということでございまして、私なりに実際に行ったのは去年の十一月でございますから、まだ土木工事中ではございますけれども、まずそのときから非常にびっくりしたのは、木を一本も切らないという。そして入口、私が長久手会場に行ったときに入口から全体が見下ろせるという景観にまずびっくりいたしました。  それから、何というんですか、ショベルカーとかトラックとか、いろいろ工事をやっているんですけれども、周りが静かであるにもかかわらず、いわゆる工事現場という声が、音がしないで、むしろ鳥のさえずりが、あれは午後行ったんだろうと思いますけれども、鳥のさえずりは聞こえるけれども工事音がほとんど聞こえないという、何か、ある意味じゃ異様な感じですね、広大なところを今建設中の工事現場であるにもかかわらず、鳥のさえずりしか聞こえないという。  多分、造るところ、それから終わってからまたできるだけ元に戻していくわけですけれども、造るところ、それから、終わった後、壊すというか元に戻すところ、これも一つある意味では見どころというか、ポイントなんだろうというふうに思いました。  それから、肝心の三月から始まる地球博でありますけれども、現在百二十五の国と国際機関ということで、非常に大きな数の参加が見込まれているわけでございまして、先端技術と日本の伝統と環境と、この三つが一つのセールスポイントではないかというふうに思っているわけでございます。  環境というのは、さっき言ったように、そこの豊かな自然を壊さない。それから、ごみは一切エネルギーにして循環をしてしまう。生ごみから燃料電池を作る、あるいは太陽エネルギーをできるだけ利用をするということでございますし、そういうふうにして、それから、いわゆる食器類も、いわゆる生分解性プラスチックという自然に戻る、ジャガイモから作っていくような自然物、有機物から作っていくような食器類で、いわゆる化石燃料系のものはできるだけ作らないと、使わないと。そして、それをまた自然に、燃料なり土に戻すことができるということであります。  伝統ということになりますと、日本人のいい伝統でありますおもてなしの心というものを最大限発揮をされるというふうに聞いておりますけれども、例えば日本館、政府館、長久手の政府館におきましては、これはもうあと一年というときにマスコミで随分報道していただきましたけれども、私自身見ていないんで非常に楽しみなんですが、日本の文化というのは、例えば風鈴の音で涼しさを感じるとか、打ち水でもってその涼しさを感じるとか、そういうのが日本の文化の一つの伝統の良さだと思いますけれども、極端に言うと政府館その全体を打ち水にしちゃおうということで、水を流して、常に水を流して、そして水が蒸発しますから、蒸発するときは気化熱、熱を奪っていくということで、その流れる水でもってその蒸発によって熱を奪う、つまり温度を下げるという効果を政府館は省エネという観点からもやっているわけでございますし、またその外側には竹の、何というんですか、かごみたいにしてですね、政府館全体を覆って、太陽光を遮断をするということによってまた省エネにも役立てていこうというようなことが、伝統という観点あるいは環境という観点からはそういうところでございます。  先端技術に関しましては、これまた日本のお得意の分野でございますリニアモーターカーとか燃料電池バスによる入場、お客さんの移動に利用をする。あるいはまた、ロボットを至るところで利用して、いらっしゃいませロボット、正式名何というんだっけな、接客ロボット。それから、子供に対してロボットが語り掛けて子供といろいろ対話を繰り返すとかですね、あるいは警備のロボットとかお掃除ロボットとか、もうロボットが至るところで活躍をすると。  先端技術から伝統技術を見事にミックスして、そして目玉の一つは、シベリアに何万年、何千年、分かりませんけれども、眠っているマンモス一頭丸ごと、今、掘り出して、半年間展示をすると。七〇年の大阪万博のときはアポロ十一号の月の石でございましたけれども、今度は何万年前のマンモス丸ごと一頭というのが目玉の一つでございますが、あとはいろいろ秘密、というよりも私もまだよく知らない部分が一杯あるものでございますので、是非、松委員委員長始めですね、本委員会委員の皆様方にはひとつ御視察ということで御来場いただければ大変有り難いということでございます。
  157. 松あきら

    ○松あきら君 ありがとうございました。
  158. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 まず、中小企業投資組合法改正案について質問いたします。  現行法では中小企業者等になっている投資対象、これを改正案事業者に変えるというものです。この事業者には中小企業ベンチャー企業中堅企業以外の大企業を規定しているわけですけれども、なぜ大企業を加えたのか、端的にお伺いいたします。簡潔で結構です。
  159. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) 簡潔にお答え申し上げます。  いろいろなニーズを考慮いたしますと、ベンチャー企業への出資のみならず、中小ベンチャー企業へのつなぎ融資、あるいは債権の買取り、あるいは経営再建中や事業再生中の中堅企業あるいは大企業、こういったものに対する出資などの要望が高まっておりまして、今回の法改正はこういったニーズにこたえるために、ファンド機能拡充のみならず、具体的には融資を行えるようにするわけですが、そういったもののみならず、ファンド投資対象中小ベンチャー企業だけに限定することなく、中堅企業、あるいは場合によっては大企業にもこれを拡大するというようにしたわけでございます。  こういった観点から、名称につきましても様々関係のところとよく御相談をいたしまして、こういった法改正の内容を踏まえまして、「中小企業等」といった文言を削除するということにしたものでございます。
  160. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ニーズの話が出ましたけれども、どの方面から来るニーズかという問題ですがね。場合によっては大企業というお話がありましたけれども、局長が主宰されている早期事業再生研究会というのがありますね。ちょうど調査会のこの資料にも出ていましたけれども、そこの早期事業再生研究会報告書、平成十五年二月、この七十八項目を見ますと、経済界からの新たなニーズが高くということですね、日本経済団体連合会は云々という形で、こう書かれているように、やはりそうした経団連などの要求があった、このことは間違いありませんよね。
  161. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) 私どもは、経済界のニーズを幅広く把握をしたいという観点から調査をいろいろしておりまして、経団連ももちろんでございます。あるいは、日本商工会議所等もやっておるわけでございます。
  162. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そうすると、私は、今回のこうした改正案がどういうところから持ち出されてきたのかということが大変気になるわけですけれども、一つは、事業再生ファンドに見られるように、銀行の不良債権、すなわち債務者企業の金銭債権を買い取るとか、あるいは債務の株式化を行って企業価値を高めていく、あるいは再上場とか企業売却を行うとかそういう方向、このことが一つあるなということを伺いました。  これは、端的に言うと、小泉内閣の骨太方針に沿って不良債権処理の加速策の一環としてこの法律を活用する、そういう位置付けになるのかなと思うんですね。これは立場を超えて、客観的な話として大臣にお伺いいたします。
  163. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) 私ども、事業再生あるいは事業の経営再建、経営革新ということは、我が国が今直面をしている大きな政策課題だと考えておりまして、そういったものに対応するという観点は大変重要だと、そう思っております。
  164. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 当然そうだと思います。そういう方針に沿って、そのために出された法案だということがよく分かります。  私は、率直に言って、この法律のそもそもの立法趣旨、出発点、これからやはり改正案によってだんだん逸脱していくんじゃないかなという、そういう危惧を持っております。  そもそも皆さん方は、九八年の国会審議のときの趣旨説明では、これからは中小企業ベンチャー企業の時代だ、そして、そのためには中小企業自己資本充実を促進して、また投資組合の資金供給の対策を未公開中小企業株などに限ると強調していたわけです。この立法の目的趣旨、これは既に十分達成したということなんですか、今回こういう改正案出たのは。
  165. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) 今回の法改正案を提出している趣旨でございますが、私ども、何も中小企業について、あるいはベンチャー中小企業についてそれを視野の外に置くというようなことは全く考えておりません。本改正におきまして、中小企業の実需あるいは要請に対応いたしまして、創業段階のベンチャー企業に対して、あるいは経営再建中の中小企業に対して、ある場合には出資、ある場合には融資、ある場合には債権買取りといった、様々な実態に応じて多様な格好できめ細かくファンド資金供給できるというようなことをもちろん大きなねらいとして本法案提出している次第でございます。
  166. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 別の角度からちょっとお聞きしますけれども、法律の成立から七年経過しました。当初想定できなかった地域再生ファンドの出現、これは町おこしのためとか、地元の信金や地場産業会社が協力して出資するとか、そういうものですね。あるいは、今回提案理由にある投資組合に対するつなぎ融資、そういうものが出されてきました。これは私自身も注目すべき重要な動きだと思っております。  こんな動きは、大臣、どういうふうに評価されますか。
  167. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) とにかく中小企業に対する多種多様な支援、あるいはまた頑張ってもらいたいということで、中小企業といっても元気な中小企業もあれば、頑張っているけれどもあと一押しという中小企業もあれば、いわゆる再生が必要な中小企業もあれば、残念ながら破綻と、あるいはまたベンチャーという、多種多様な業態そして経営状況という中にきめ細かくやるために、単なる投資組合というのは、まあ有限責任でやれることも決まっていたと。それを産業活力再生法ですかに基づいて、一部のものについてはできていたわけでありますけれども、今回はその有限責任で投資事業だけではなく融資債権買取りもしましょうということですから、何も五年前が絶対であって、それから九十度方向転換したとかそういうことじゃなくて、時代とともにやれることをよりしなやかに対応していっているというのがこの法律趣旨であります。
  168. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私が思っているのは、九八年の立法のときに掲げてきた目標、それが政府の立場からいったって、それはまだ道半ば、それをどうしてこう更に達成するための方向を取らないのかということを述べたかったわけですね。しかも、地域再生ファンドあるいはつなぎ融資、これは私の立場からいってもいいことなんですよ、いろいろあると言われたけれども。確かに玉石混交で、私たちの立場からも評価できることもある、それから、困る、あるいはまずいということもある。しかし、そういう中で、やはりなぜこういう状況になったのかということが、一つ私の聞きたいことなんですね。  そこで、少し具体的に聞きますけれども、現在の中小ベンチャーファンド設立数、ベンチャー企業出資額の実績を述べてください。
  169. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) この中小ベンチャー法に基づきますファンドの御質問かと存じますが、現在までに同法に基づいて約三百六十の中小ベンチャーファンド設立をされております。既に、この三百六十の中小ベンチャーファンドが約三千五百億円の資金を集めておりまして、投資が約千五百億円という状況でございます。出資先の企業が大体一ファンド当たり三十程度でございますので、一万社程度ベンチャー企業支援を受けているというような状況だと存じております。
  170. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今言われたように、三百六十組合、これは民法上の任意組合からのくら替えというのが実態だと思います。一方で、先ほど言いました地域再生ファンドに見られるような芽が出てきた中で、大企業を加えて投資先の間口を広げる。そうすると、収益よりも社会的意義と地域経済を重視する地域再生ファンドと、そもそもハイリターンを目的とする収益重視のファンドの二本立てになっていくということになるんですね。先ほど、玉石混交と言いましたけれども、そういう中で、この二つファンドの性格、私は相入れないものだと思うんですね。また、中小企業投資から大企業事業再生投資がシフトしていく可能性も否定できないと思います。  こんなふうに考えていくと、当時の通産省が一生懸命説明していた立法趣旨、これを結局自ら失っていくことになる、そうなっていくことになるんじゃないかと、そう思うわけですね。それが大臣にお尋ねしたい根本問題なんですね。
  171. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) まずは、この法律の名前から中小企業が取れたから中小企業切捨てかということは、全くそうではないということは朝から何回も申し上げているとおりでございます。  それから、ハイリスクでもって何かこう、何というか、相場の世界にというか、ばくちの、ギャンブルの世界にひとつ参加をするような法律のように取られがちでありますけれども、決してそうではないんでありまして、表玄関からの言い方としては多種多様な資金の調達手段を確保するということでありますが、じゃ投資家の立場から見てどういうメリットがあるかというと、もちろんハイリスク・ハイリターンということを思っている人もいるかも、いるんだろうと思います。  しかし、全部が全部そうではないんで、自分がそれに出資したり、あるいはまたそれをずうっと、その出資によってその中小企業が、あるいはベンチャー企業が、もう第二の世界的な日本発のブランド企業になっていくという、インキュベート、育てていくという長い目で見た投資ということもあるわけでありますから、大企業だけとかハイリスクだけみたいないつものような御質問の言葉は当たらないと思います。
  172. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そういう形の上で言っているのではなくて、やはり私たちは、まあいつものようにと言われましたけれども、そもそも政府が述べてきた、あるいは主張してきたそういう立法の趣旨から遠ざかっていくというその懸念を述べたわけで。  更に質問続けたいと思うんですけれども、経済産業省は去年の三月にベンチャーキャピタル投資状況調査についてを発表いたしました。日米欧のベンチャーキャピタルの比較投資動向で、日本投資残高はアメリカの三十分の一、欧州の十四分の一の規模となって、経済力から見劣りすると、そういう指摘がありますけれども、その理由は何でしょうか。
  173. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) 我が国のファンド規模が低水準にとどまっている理由についてのお尋ねでございます。  いろいろな理由があるかと存じますが、一つは、やはり中小ベンチャーファンドに関します法制度というものが十分整備されていないんじゃないかという点が挙げられると思います。私どもといたしましては、今回の御提案によりまして、ファンド法制についてより使い勝手のいい、あるいは一般的な制度というものができるんではないかと思っております。それ以外に、例えば人材の問題というものもあるかと存じます。ファンド資金とともに派遣をする企業再生、それを担う人材が我が国に不足しているという問題もあると思います。あるいは、我が国の投資家リスクマネー供給に慎重でございまして、投資家の言わばすそ野が狭いといったような点も挙げられると思います。  今回、この法改正一つの契機として、こういった問題がブレークスルーされると、もちろん一朝一夕で解決できる問題ではないと思いますけれども、今回の法改正一つの契機としてファンドの活動が活性化すると、実績が積み上がるということを我々は期待しているところでございます。
  174. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この投資状況調査は新規・追加投融資の総額で千八百十三億円、件数は二千七百八十八件となり、昨年調査と比べると大幅に減少した。内訳を見ると、未公開株式への投資が大幅に減少していると書かれておりますけれども、未公開株式への投資が減少した理由は何でしょうか。
  175. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、二〇〇一年の九月期に比べまして二〇〇二年の九月の数字が今おっしゃったような減り方になっております。その原因でございますが、これもいろいろあるかと存じます。その時々の株式の市況状況あるいは経済環境、これによってベンチャー企業に対しますベンチャーキャピタルからの投資額、変動すると思いますが、お尋ねの場合の投資額が減少した理由は、一つは、いわゆる平成のITバブルが崩壊をしたという点、それから長引く不況でベンチャー企業がなかなか創業されにくい環境であったということ、あるいは株式市況がかつての水準に比べて低い水準にあったというようなことが原因ではないかというふうに考えております。
  176. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この調査にある新規・追加投資先企業設立年数ごとの構成比を報告してください。
  177. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) お答え申し上げます。  設立投資が、金額で申しますが、構成比で一・五%、設立後から五年未満が五二%、それから五年以上十年未満が一五%程度等でなっていると思います。
  178. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この法律、九八年に成立したわけですけれども、当時、当委員会でも、記録を見ますと大変懸念されたアーリーステージにおけるベンチャー企業への資金供給、これが今五二%と言われましたけれども、そういう構成比を持つまでになっているわけですね。私は、これは大変な数字だと思います。当委員会では、九八年当時、この懸念が一番大きかったと思うんですね。ところが、これだけの数字になっているわけですね。会社を立ち上げるときの設立投資が一・五%、これは極端に少ない。また、最近は未公開株投資が大幅に減少している、そういう実態があるわけです。ですから、結局、九八年以来ずっと皆さんが説明してきたことに照らしても、中小ベンチャー企業を応援するために中小企業のこういう実態をもっと手当てする方策、これはまだまだあると思うんですね、アーリーステージでやはりもう本当にもっと低い数字ではないかということが盛んに懸念されたのが五二%あるわけですから。  ですから、そういった点で、もっともっと筋を通す、あるいはこういう方向を応援する、そういう方策というのは考えられないんでしょうか。
  179. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) 私どもは、アーリーステージといいますか、その企業の成長段階に応じて適切な資金供給を言わば段階的に行うと、その中心的な役割を果たすのがいわゆるベンチャーファンドだというふうに考えておるわけでございまして、そういった意味で、設立後から設立五年ぐらいの間にかなりのウエートが掛かっているというのは、そういう意味で、言わばベンチャーファンド一つ機能がちゃんと発揮されているというような思いを持っております。  むしろ、そういった面よりも、創業直後といいますか、創業時における資金調達というもの、それも重要だと思っております。今一・五%というような数字を申し上げましたけれども、そこのところの問題というのもあるわけでございまして、そういった点につきましては、例えば、国民金融公庫でやっていただいています無担保無保証、本人保証もない新創業融資制度、これを活用していただくとか、あるいは最低資本金規制の特例制度を創設いたしまして、手ごろなお金でタイムリーに会社設立ができるような制度の特例を作ると、こういったようなことを講じながら創業時点での資金調達についての支援を行っているということでございます。
  180. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 結局、地域経済中小企業支援の政策、この問題と、先ほど言ったように、大銀行の不良債権処理を目的とした収益重視の官製ファンド、これは相入れないと、これが一番大きな問題だということを痛感いたします。大臣が先ほど言われたように、中小企業等の名を落とすということは問題かもしれない。しかし、それよりも中身が問題だということを私は申し上げておきたいと思うんですね。  次に、現行のベンチャーファンド法の下で年金基金からの投資残高は幾らになっているか、また今度の法改正によって年金基金からどのぐらいの投資が来ることを想定しているのかをお尋ねいたします。
  181. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) お答え申し上げます。  年金基金からファンドへの投資の実績でございますが、現在のところ、年金からファンドに対します投資はほとんど行われていないというような実態でございまして、大体、年金の割合というのは一%未満というふうに考えております。  今後、ファンドへの投資が、こういった法改正一つの契機としてファンドの活動が活性化をする、実績が上がっていくということになりますれば年金などの投資先一つの選択肢というふうに認識をされるんではないかというふうに期待をいたしておりまして、そういった意味で、年金からファンドへの投資も増えるということも期待をいたしております。  具体的にどの程度増えるかというのは、年金のいろいろなポートフォリオといいますか、投資判断の要素をどう見るかということでなかなか難しい問題でありますけれども、今申しましたように、いろいろな環境の整備によって年金からファンドへの投資も増えるということを期待をしているということでございます。
  182. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 現状では一%未満ということで、私は、今局長の答弁とは逆に、やはり年金の、国民の年金財産をやはりこういう方向に使っていいのかということは問題を提起しておきたいと思います。  次に、女性ベンチャー起業家について質問したいと思うんですね。  本委員会でも、それからまた共生社会に関する調査会でも、いわゆる女性のベンチャー起業家の課題を把握し、地位向上のために尽くしてきたわけです。欧米でも女性の社会進出は日本より進んでいることはよく知られていますけれども、日本の女性の社会進出もやはり大変目覚ましいと思いますし、それをもっともっと促進していく方向、必要だと思うんですね。女性の会社社長は、一九八〇年から二〇〇〇年にかけて四万人から十五万人に大体三倍化しています。自営業者を含めた、現在の女性自営業者は二百四十六万人いると言われております。  ベンチャー起業家が、ベンチャー企業の中で女性が果たす役割、女性の起業家が社会で果たす役割、こういう役割について大臣はどう評価されているかをお聞きしておきたいと思います。
  183. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) これはもう経済活動において女性がその、経営者としてもまた事業家としても、持っている能力を遺憾なく発揮されるということは、御本人のみならず、日本経済全体にとっても大変いいことだと思っております。
  184. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 その女性起業家が遺憾なく役割を発揮するためにということなんですけれども、私もよく、女性の起業家からよく話をお伺いする機会があります。例えば、社会参加や自己実現のためにNPOなどの市民活動型など様々なきっかけで起業する人が多いわけですけれども、そして、起業のときに資金調達、これが一番困難だということを伺います。  中小企業公庫と国民生活金融公庫が女性と高齢者の起業の際に優遇金利を適用する、こういうことが行われております。これはいいことです。また、一円起業というのもありますけれども、実際は親類から、私の調査でも大体平均して千五百万ぐらいまとまったお金を調達する、そういう人もいます。  女性は、例えば住宅ローンでさえ銀行から借りることは大変困難な実態にある。さらに、起業の際に銀行から、株の払込口座を設定し、銀行の払込証明書をもらう一連の手続、これ私全部調べましたが、大変な手続なんですね。ですから、貸し渋りということを言われますけれども、私は、書類決裁をこんな形で渋るというのは正に手続渋りだと、そんなふうに思うわけですね。  大臣はこの分野に大変明るいので、こんな実態のことは御存じですよね。
  185. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 女性に限らず、先ほどもどなたかの委員お答え申し上げましたが、新規企業を起こす予備軍の皆さんは、女性あるいは今、学生さん、あるいはまた第二の事業を起こそうと思っている方々、その他一杯いらっしゃると思います。それぞれ企業を起こすときにはみんな、今委員指摘のようなことも含めて手間が非常に大変だということは私自身も時々聞いております。
  186. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 みんな大変なんですけれども、女性が特に大変だということを申し上げているわけですね。  それで、女性起業家はただでさえ男性社会と伍していかなきゃならない大変さがあるわけですけれども、販売開拓、経営相談、育児、介護、様々な問題があるわけですね。そこで、経済産業省として、女性起業家が資金調達の面でも、それからまた経営の面でもいろいろ苦労している面が大変多いわけですけれども、そうした声や要望、どんなものを持っているかということについては何かお聞きになっているんでしょうか。
  187. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 何か今のお話聞いていると、女性が男性の社会と伍してと。まるで男対女の闘いみたいに世の中を見ておりますけれども、私は決してそうではなくて、やっぱり今、委員からも御指摘があったように、子育てとかそういうもの、これも、最近は男性も育児休暇を取ってという友人も私の周りにもおりますし、私の友人といっても若い方ですけれども、そういう状況でありますから、女性の方が、女性がそういうふうにやっていくということに対して我々としても、女性経営者のいろいろな悩みあるいは夢というものについては、私自身も個人的にも、役所としても、私自身聞いております。  ただ、女性だからどうだこうだということではなくて、女性も頑張ってもらいたい、学生さんも頑張ってもらいたい、あるいはまたお年寄りの方も頑張ってもらいたいということでございますから、御質問趣旨は特に女性に焦点を当てての御質問だということは重々承知で、知っているつもりでございますけれども、女性対男性だみたいな形での御質問には、その前提として、私は、女性も御苦労をされているし、社会参加、起業を、起こしていただきたいという意味の起業ですけれども、そういうふうに期待をしているところであります。
  188. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それはそのとおりなんですよね。この社会は女性と男性でできておりますけれども、対立させる、そういうことはあってはならないと思います。しかし、女性が非常に大きな苦労をしょっているということ、そして私がさっき述べた伍してというのは、私の言葉ではなくて、そういう起業家の方々がよく言われる言葉で、そういう気持ちで頑張ってきているという、そのことは大臣よく察していただきたいと思いますし、それは言うまでもなく相当御理解いただいていると思うんですね。  その点で、私は、ひとつ、経済産業省として女性起業家の実態、それについてやはりどういう問題があって、どういう苦労があって、そしてどういう要望があって、そしてそれを脱出するためにどういうことが必要なのかということについて、やはりその辺の実態を調査していただきたい、そのことをお願いしたいと思うんです。
  189. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) お答え申し上げます。  私ども、例えばいろいろなベンチャーのフォーラムでありますとかあるいはベンチャーにかかわる政府系金融機関の調査というものをいたしております。そういう調査の一環として、従来も女性の起業家、あるいは起業家の卵といいますか志している方々のいろいろな動向、あるいはニーズというものも踏まえておりますから、引き続きそういった調査、ニーズ把握というのはやっていきたいと思っております。
  190. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) 昨日も数人の女性経営者事業者の方々と二時間ばかり懇談をいたしまして、いろいろと教えていただきました。
  191. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 引き続き、是非まとまった形で、どういうふうにしたら全体像がつかめるかというのは大変難しい問題だと思いますけれども、シンポジウムでもそうだし、大臣が直接話された、大変有益な方法だと思いますけれども、省としてやはり全体像をつかんで、そしてその中でどういう問題があり、どういう奨励策が必要かということについて、是非そういった点についての把握をお願いしたいと思います。
  192. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) おっしゃるとおりだと思います。
  193. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 次に、金融機関審査制度の在り方についてなんですけれども、ベンチャー企業を立ち上げる場合、資金調達の金融審査、これは従来の実績主義や担保主義では対応に限界があると思うんですね。特にベンチャー企業は非財務的要素が強いので、審査のやりがいがあるところと言われている。そして、ベンチャー企業金融融資の在り方について、これをどうして、どこにアクセントを置いて審査していくのかということが非常に大事な問題になると思うんですけれども、私は非財務的要素をうんと重視することが大事だと思うんですが、その点についてお伺いいたします。
  194. 杉山秀二

    政府参考人杉山秀二君) お答え申し上げます。  いろいろ、ベンチャー企業融資の判断というものはいろいろあると思います。当然のことながらリスクをどう判断するかということが主流になるわけでありますが、当然のことながら資金の問題、資金の返済の問題ということもあるでしょうし、それに関連しましたそのベンチャーの将来の発展性、発展潜在力といいますか、あるいは持っている技術力、こういった点も当然のことながらその審査対象になるというふうに考えております。
  195. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そういう方向が非常に大事だと思います。  信用保険制度に関連して聞きますけれども、しかし、一般的には中小企業民間銀行から運転資金を借りる場合、言うまでもなく、自宅や工場などの有担保、そして連帯保証人をしっかり取った上で融資する、これが通常ですね。この方法は金融界では長い伝統を持っておりまして、最近はキャッシュフローを重視する貸出しもあるものの、根底には土地担保主義があると思います。もしも事業に失敗した場合、それがどうなっていくかということについてはもう言うまでもありません。そこで、私は、そういう中で、結局、もう土地も財産も取り上げられてという、そういうケースをたくさん見てまいりました。  政府系金融機関が無担保無保証融資の枠を広げているということは承知しておりますけれども、中小零細業の個人保証の在り方、つまり個人保証が土地担保主義になっているその在り方について、今、経済産業省としてはどんな検討がされているのか、あるいは他省庁との間でどんな検討、行われていれば、どんな協議が行われているのかを聞きたいと思います。
  196. 坂本剛二

    ○副大臣坂本剛二君) 確かに、先生がおっしゃったように、倒産に巻き込まれて全財産を失ってしまうという、本当にこれ深刻な問題でございます。  経済産業省としては、経営者本人の保証を免除する制度を創設するなど、保証人に依存しない融資制度拡充に現在努めておるところでございます。  さらに、いわゆる包括根保証制度について、法務省、金融庁等の関係省庁で必要な見直しを検討するなど、関連する制度の見直しを進めてまいっております。  破産した場合に手元に残る自由財産の拡大については、今国会に法務省から破産法の改正法案提出されたところでありまして、これが成立すれば、自由財産の金銭の額を現行の二十一万円から九十九万円に拡大されることになります。
  197. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 経済産業省単独でできる話でないと思いますけれども、そのイニシアチブを取って、大臣始め他省庁とのそういう協議を進めていただいて、土地担保主義でずっと行くというのはやはり時代に逆行していると思います。したがって、是非そういう方向を進めていただきたいということを述べておきたいと思います。  次に、中小基盤整備機構改正法にある信用保険制度について質問をしたいと思います。  中小企業庁の中小企業金融の新たな手法に関する研究会の取りまとめにおいて、部分保証制度は将来的な検討課題になっている。しかし既に新しくできた保証制度は、例えば特定社債、売り掛け債権、DIPについては九割の部分保証を始めている、金融機関中小企業貸付け、貸出しが減少している中、元々資金と担保能力が脆弱で借入れに依存するしかない中小零細企業は、部分保証の導入が一般保証へ拡大していくことを心配している、そういうふうにありますけれども、この点についてどうなっているのかをお伺いいたします。
  198. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 委員御承知のとおり、欧米諸国では既に部分保証が取り入れられている。日本は全額保証をしていますけれども、現在、様々なニーズにこたえる中で、やはりこの部分保証制度というのは私は極めて大事なことであるというふうに思っています。  ただ、元々この信用補完制度というのは、中小企業資金円滑化を図ることを旨に行ったものでありますし、それの持続化というものも、これ大事なことでありますから、そうしたことをやはり原点にしながら様々なことを試行錯誤していく、これは大事なことであるというふうに思っています。
  199. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今言われたことは、多くの中小業者の願いとは反対の話なんですよね。大体、中小企業向けの貸出し残高が低減しております。その中で多くの中小業者は一般保証への部分保証の導入はあってはならない、そういう声を上げていると思うんですね。ですから、私は、それは、今ただでさえも大変な中にあるそういう人々の願いに逆行する方向だ、そのことを指摘しておきたいと思うんです。  信用リスクに応じた保証料率の導入も資金と担保能力が脆弱な中小零細業者にとってはかなりの負担になることは明らかだと思いますけれども、その点について、つまり保証料率の導入についての大臣の見解、お伺いいたします。
  200. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 委員は、私どもの言うことを全く逆に取られたのかなと実は思っております。  私どもは、この無担保無保証制度中小企業に対しても、この円滑な貸出しを行うことができるように、その持続的なものできるように、こうした仕組みを考えておるわけでありますので、そのことは是非御理解をいただきたいというふうに思っています。  このリスクに見合った保証料率の導入は、平成十五年の四月に担保の有無や中小企業者の信用リスクの差異、こういうものを一部反映をさせて新たな料率体系を導入したところでありますけれども、おおむね中小企業の皆さんから理解をいただいていると、こういうふうに思っています。
  201. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私が聞いている話は全く逆だということを述べておきたいと思うんです。  で、先ほどの質問について答えてください。保証料率、保証料率。  じゃ、もう一度述べます。保証料率の導入についてどういうお考えかという質問です。
  202. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 先ほど大臣政務官がおっしゃいましたリスクに見合った保証料率の導入ということにつきましては、十五年の四月より担保の有無や中小企業者の信用リスクの差異を一部反映させた新たな料金体系を導入したところでございます。その点につきまして先ほど政務官がおっしゃいました、中小企業者の方々からも利用者間の公平を図るものとしておおむね本制度については御理解を得ているというふうに考えているという答弁でございます。
  203. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 信用リスクに応じた保証料率の導入、それからまた部分保証の拡大、これはもう本当に客観的に聞いていただけたら明確だと思いますけれども、中小零細企業が我々を見捨てるのか、そういう声を上げるような大変憤っている問題だということですね。もし大臣を含めて経済産業省がそういう理解であるんだったら、実態とまるっきり違う、そのことを述べておきたいと思います。  次に、中小公庫法なんですけれども、中小企業を支える上で役割を果たしております中小企業金融公庫法改正、これは産業金融機能強化関係閣僚等による会合で取りまとめられました「経済活性化のための産業金融機能強化策」での「多様な資金の流れの整備 産業金融の担い手・手法多様化」を受けたもの、そう聞いております。そのために、公庫法改正し、証券化支援業務に加え、中小企業資金調達における新しい金融手法支援することによって民間金融主体で広がりつつある金融産業金融の担い手、手法多様化に向けた取組を加速するもの、そういうふうに思うわけですね。  そこで、中小公庫政府系金融機関として存続させていくのか、それとも、まあ別の言い方をするならば、民営化しないと断言できるのか、その点についてどういうお考えかをお伺いいたします。
  204. 菅義偉

    大臣政務官菅義偉君) 平成十四年末の経済財政諮問会議の結論において、政策金融機関は不良債権集中処理期間である平成十六年末まではセーフティーネット面での対応を万全を期すこと、さらに、この民業補完等を徹底する観点から、民間では十分な対応が期待できない融資を行うことや市場型間接金融といった新たな手法に対応していくことが、これが求められたわけであります。当省としましては、こうしたことを踏まえて、民間金融機能の正常化への道筋を踏まえながら中小公庫を含めた政府系金融機関役割、在り方を検討していきたいと思います。
  205. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そういう答弁が大変多くの中小零細業者を不安に陥れている、あるいは不安と疑念を呼んでいるという、そういう問題があると指摘しておきたいと思います。  法案提出説明で、証券化支援業務民間金融機関等が抱える中小企業向け融資リスク投資家に移転することを支援する、そのことにより民間金融機関等は自らリスクを抱えず中小企業向けの無担保融資を拡大していくことが可能になる、そんなことが述べられております。つまり、民間金融機関等、自身の中小企業向け貸付リスクを公庫が新たに肩代わりする仕組みを作るものだということです。これは、民間金融機関業務補完役割を担い、徹することが事実上公庫の存続の条件になっているのではないか、そう思うわけですけれども、その点について見解をお伺いいたします。
  206. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 先生今御説明、お述べになりました中小公庫の新しい仕組みでございますけれども、これは民間金融機関リスクをすべて肩代わりするものではございませんで、民間金融機関も貸手としての責任ある関係を、その後も、証券化が成立した後も継続していくということが大事なわけでございまして、リスクを一定程度軽減するというものでございます。  そういう意味で、最初の仕組みの出だしのところでございます、民間金融機関中小企業者に無担保融資をするということをより可能にするということを横から中小公庫支援をすると、そういう仕組みでございます。
  207. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 銀行中小企業向け融資の貸し渋り、貸しはがし、これは大変な状況にあるわけですけれども、中小企業向け融資は小泉内閣の三年間で五十九兆円も減少しております。政府系金融機関の貸出し残高が増えているのか、保証の残高はどうなっているのか、お伺いいたします。
  208. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 中小企業向けの政府系金融機関の貸出し残高は、二〇〇一年度末で二十七兆六千億、二〇〇二年度末で二十六兆八千億、二〇〇三年末では二十六兆八千億でおおむね横ばいとなっております。  しかしながら、先生今おっしゃいましたように、民間サイドにおいて貸出し残高が全体として減少しているわけでございますので、政府系金融機関融資のシェアは上がっているというふうになっております。
  209. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 何%ですか。
  210. 望月晴文

    政府参考人望月晴文君) 融資のシェアは、二〇〇一年末では九・三%、二〇〇二年末では九・八%、二〇〇三年末では一〇・三%という数字になってございます。また、保証協会の保証債務残高は、二〇〇一年度末では三十七兆円、二〇〇二年度末では三十三兆二千億円、二〇〇三年末では三十一兆五千億円ですね、というふうに漸減しておりますが、毎年の保証協会の保証承諾額も二〇〇一年では十三兆二千億、二〇〇二年度では十四兆円、二〇〇三年度は十五兆七千億円と漸増しております。
  211. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今言われたように、政府系中小金融機関の貸付シェアは、それは九%、一〇%と、そういうオーダーで、民業圧迫などという批判は全く当たらないわけですね。  ですから、そういう中で今非常に大事なこと、それは不良債権処理加速策の下で民間金融機関中小企業への貸し渋りが横行しているそういうときに、やはり本来政府系金融機関が果たす役割、これを、その貸出しをもっと進めていく、そういう努力こそ私は必要だと思うんです。ですから、そういう方向こそ、それを促進するという方向を進めるということを要求しておきたいと思います。  実際、大臣が、衆議院議事録を読みますと、今回のことについて、あえて言うならば間接金融から一つ直接金融へ踏み込んだ形だということを衆議院で答弁されているのを読みました。正に間接金融から直接金融に足を踏み出すと、一層のリスクを取っていくというそういう表明じゃないかということを私、その答弁を読みながら感じたわけですね。  その役割中小公庫に担わせると、そういうことでいいのかということを率直に思うわけですけれども、大臣が言われている考え方、つまり間接から直接金融に踏み込むという、それはやはり一つのルビコン川を渡るような、そういうことにならないかということをお尋ねしたいと思います。
  212. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) どうも先ほどからお話を伺っていてよく分からないんですけれども、中小公庫役割は今後も依然として必要である、今までの中小企業再生ファンドなんかも評価ができる部分もある、もっと中小企業のためにどんどん貸出しをしなければならない、そして、今度中小公庫に新たなリスクを背負わせるのはけしからぬと、こういう流れでずっと質問されてきたように理解をしておりますが、まず、証券化というのはリスクの分散であって、その分散というのは中小公庫が、今長官が答弁したように、全部とは言いませんけれども、例えば大半を買い取ったとしても、それは実は中小公庫リスクを引き受けるのではなくて、それを今度はマーケットリスクを分散をしていくわけであります。  つまり、証券という、新たな貸付債権という、金銭消費貸借から証券という一つのものに変えて、マーケットでもっていろいろな格付、あるいはまたマーケットの評価を受けて、彼らがリスクを判断しメリットを判断して参加をしていくわけでありますから、多様な資金調達手段として、正に私が衆議院で申し上げたように、これは銀行と借り手とだけの関係ではなくて、そのリスクもメリットもマーケットに、プロ中心としたいろんな人たち参加をして、リスクを取ると同時にメリットも、できれば彼らはメリットを取りたいから参加するわけですけれども、リスクを覚悟の上で参加をするということによって資金調達の規模もあるいはまたやり方も多様化をするということでありまして、直接的な御質問お答えをするとするならば、中小企業公庫が民間が取れないリスクを全部引き受けるんだということではないということでございます。
  213. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、中小企業の発展のためにこの間果たしてきた公庫の役割、それをやはり健全に発展させる、このことが大事だということを述べているのであって、その証券化という方向は、やはり言ってしまえば、先ほど目利きという話がありました。これから専門家を養成しなきゃいけない、しかし専門家というならば民間の方がはるかにたくさん持っているわけですね。そういうことまでしてなぜそういう方向に乗り出していくのか、その問題を提起しているんであって、したがって私は、そういう方向というのは中小企業者の利益にも願いにも反するものだということを述べておきたいと思うんです。  そしてまた、中小公庫の貸付事業の面でも、あるいは財政の面でも、あるいは人的な面でも、やはりいろんな圧迫要素を作り出すことになる、そして最終的には、やはりそういう負担というものあるいは問題が中小公庫に戻ってくる、そういう形でやはり中小公庫の今後の発展にとっては非常に大きな問題があるという、そのことを指摘して、時間になりましたので質問を終わります。
  214. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。     ─────────────
  215. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) この際、委員異動について御報告をいたします。  本日、泉信也君が委員辞任され、その補欠として伊達忠一君が選任されました。     ─────────────
  216. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  217. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になっております二法案について反対の討論を行います。  まず、中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案についてです。  反対理由の第一は、本法案が、中小企業金融公庫がこれまで果たしてきた中小企業向け長期、固定、低利の融資支援役割を縮小させるものだからです。金融自由化、不良債権処理の加速化の下で、大銀行の貸し渋り、貸しはがしで中小企業向け貸出しが厳しくなっているときに、中小公庫役割を後退させることは認められません。質問指摘したように、中小公庫に一層のリスク負担を迫り、民間金融機関貸付債権等の保証証券化の機関に変質させることは明白であります。  第二に、証券化支援業務の導入は、中小企業公庫が毎年補給金を投入を受けている状況の下で民間金融機関リスクまで負担すれば、一般貸付けの金利上昇などをもたらし、中小企業者に対する貸付けに不利益を与えかねないことを指摘しておきます。  第三に、旧繊維法から引き継いだ繊維振興基金等の廃止により、繊維産地に対する国の支援を放棄することになるからです。これでは、繊維関係下請業者、零細業者への支援が見捨てられ、地域産業を疲弊されるものと言わざるを得ません。  次に、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部改正案についてです。  反対理由の第一は、本来の中小ベンチャー企業育成目的、建前を投げ捨てて、不良債権の早期処理のために、買収ファンドを利用する法律へ変質させるものとなるからです。  我が党は、創業、ベンチャー企業や新規企業の振興を極めて重視しております。現行法の下で、地域ファンド設立なども注目すべきものであります。しかし、現行法の到達点は、中小ベンチャー企業にとって多くの課題を残しています。政府が本来の立法趣旨に立ち返るべきことを指摘しておきます。  第二に、本法案は、買収と事業再生ファンドがハイリスク・ハイリターンを追求し、二重課税を回避するための法整備だからです。その上、こうしたリスクの大きな投資ファンドを年金基金の受皿とすることも容認できません。本法案は先に投資ありきの法案であり、賛成できません。  以上申し述べて、反対の討論を終わります。
  218. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  219. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  この際、藤原正司君から発言を求められておりますので、これを許します。藤原正司君。
  220. 藤原正司

    ○藤原正司君 私は、ただいま可決されました中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読します。     中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 証券化支援制度の運用に当たっては、中小企業者に対する無担保・第三者保証人不要の融資機会が拡大されるよう、支援対象とする債権等について適切な基準を定めるとともに、貸出債権証券化市場の円滑な拡大に資するため、中小企業者に関する適確な情報提供体制の確立等、市場環境整備に努めること。  二 中小企業金融公庫証券化支援業務の実施に当たっては、適切なリスク評価体制の整備等により、財務の健全性確保に努めること。また、中小企業信用保険財政の悪化が深刻化している現状にかんがみ、制度の円滑かつ持続的発展を図るため、財政基盤の抜本的強化のための対策を早急に講ずること。    さらに、中小企業金融公庫業務について、職員の雇用の確保に配慮しつつ、組織及び事務・事業の一層の効率化を進め、経営合理化のための適切な対応に努めること。  三 中小企業金融円滑化を図るに当たっては、中小企業の実態に配慮し、セーフティネット制度の積極的な活用・充実など環境の整備に努めること。  四 繊維産業対策については、今後五年間が繊維関係基金を活用した最後の改革期間であることに十分留意の上、産業構造の抜本的かつ集中的改革を積極的に推進すること。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  221. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいま藤原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  222. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 多数と認めます。よって、藤原君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中川経済産業大臣
  223. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。  ありがとうございました。
  224. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 次に、中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手をお願いします。    〔賛成者挙手〕
  225. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  この際、藤原正司君から発言を求められておりますので、これを許します。藤原正司君。
  226. 藤原正司

    ○藤原正司君 私は、ただいま可決されました中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読します。     中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 有限責任組合制度の運用に当たっては、一般投資家の保護の観点から誤信を招くような勧誘に対する適切な措置を講ずるなど万全を期すこと。また、適切なリスク判断に基づく投資家出資が行われるよう、制度内容の周知徹底を図るとともに、適切な情報開示基準の策定に努めること。  二 中小ベンチャー企業育成地域経済の活性化、事業再生の推進といった喫緊の課題を達成するため、有限責任組合を活用して積極的な対策を講ずるとともに、有限責任組合を通じた投資の拡大を図るため、年金基金等の機関投資家からの出資が容易となるよう環境整備に努めること。  三 中小企業再生支援に当たっては、中小企業総合事業団出資を行う地域中小企業再生ファンド等の組成の促進に一層取り組むこと。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  227. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) ただいま藤原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  228. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 多数と認めます。よって、藤原君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、許します。中川経済産業大臣
  229. 中川昭一

    国務大臣中川昭一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。  ありがとうございました。
  230. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  231. 谷川秀善

    委員長谷川秀善君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十三分散会