○有村治子君 今日は各
省庁からの貴重なコメント、ありがとうございます。自民党の有村治子です。
今日は
文部科学省にお伺いしたいと思います。
政府参考人としての審議官のコメントがありましたら、是非副
大臣の後にコメントしていただきたいと存じます。
政治家としての
原田副
大臣にお伺いします。
原田義昭先生といえば、自民党の難病対策議員連盟でも
事務局長として、いつも難病の
子供たちのために、
障害を持った人々のために本当に第一線で尽力されていらっしゃる姿を私も一緒に
活動させていただいて有り難いな、勇気付けられるなと、先輩の
行動にいつも敬意を持っています。
その副
大臣だからこそお伺いさせていただく質問を二つ申し上げたく存じます。
私たちが聴覚
障害の方々とコミュニケーションを取る場合、その接点が少ない私でさえ、一生懸命何とか身ぶり手ぶりをして、ジェスチャーを交えて、筆談を交えて、あとは信頼
関係に任せて筆談で一生懸命やるという限られた経験でさえ、手話の大事さというのを痛感しております。
しかし、今、
文部科学省が主導で聾
学校で行われているものは、聞き、話すということに主眼を置いた聴覚口話法というのがメーンで
教育がなされている。これは、先ほど後藤先生も反対をされましたけれ
ども、根本の思想としては、聾の方々も健常者に近づいた方がよかろうという思いで限られた聴覚を何とか生かして口で話すという、こういう思いがあって、七十年間聴覚口話法が主になされてきたと。
しかし、私がおはようと申し上げても、聴覚
障害の難度が非常に厳しい方は、「お、う」ぐらいしか聞こえない。それがスタンダードだと思っているので、一生懸命口でまねしようとしても、「お、う」というふうになってしまうという方々もいらっしゃる。
この現実を
考えると余計手話が大事だなということを思うのですが、ショッキングな実情を私もつい最近認識しました。
聾
学校の中で授業中手話を使ってくれる先生が一人もいない。聾
学校の授業で手話を全く使わないという
学校が、
平成九年には、
調査された聾
学校小学部の七十校の半数以上にもなっていた。聾
学校小学部の中で半数以上の
学校で手話を一切使っていない。例えば、幼稚部などに至っては、七割以上の聾
学校幼稚部で、
学校の先生が手話を一切使ってくれないという
学校が七割以上に上ってしまったと。
文部科学省の名誉のために、一応、この
状況は
改善されてきているということを私も伝えたいと思います。
ただ、何でこんなに
改善されないのかなということを
考えたら、私が壁にもぶち当たったのは、実は手話ができる先生自体が聾
学校で非常に限られているという現実を私も知りました。
文部科学省の方々に問い合わせをしてみたところ、聾
学校の先生になる教員養成課程では手話を学ぶというのが必修ではないという現実を目にしました。つまり、私が聾
学校の先生になりたいと思ったときに、手話を全く学ばなくても
学校の先生になれてしまうというのが現在行われている教員養成課程です。
これでは、聾
学校の教室の中で
子供たちが、授業が分からないよ、A君がB君をいじめているよということを手話で幾ら言ったとしても、健常者である先生には全く伝わっていない。そういう意味では、本当に現場で頑張っていらっしゃる先生方、
保護者の方々、聴覚
障害の
子供たちにも敬意を持った上ですが、これじゃ
学級崩壊が起こるのも残念ながら当然だろうというようなシステム上の不備を感じます。
原田文部
大臣はこのことについて、つまり手話が全くできなくても聾
学校の教室に立ててしまう、
子供たちが何をやっているのか全く読めないでも教員になり得る、なっている実際にという現状についてどうお感じになられますか、まず一点お伺いしたいと思います。
二点目。私たちの母語は日本語でございます。しかし耳が聞こえない人々は、日ごろのコミュニケーションの手段の基礎となる母語として一体何を使うのかということを
考えたら、やはり聾の、聴覚
障害の
子供たちがしっかりとコミュニケーションする、そしてその子が人間らしく、その子らしく生きていくための
基本としては、自由に安心して表現できる母語としてやはり手話をマスターして、その上で読み書きを通して私たち健常者が使う日本語を確実にマスターするという、聾者のためのバイリンガル
教育というのがここ二十年海外の聴覚
障害を持った
教育で目に見える成果を出してきているようでございます。
しかし、また壁にぶつかるんですが、この日本では七十年間、聴覚
障害者をなるたけ健常者に近づけた方がいいだろうということで、聞き、話す、「お、は、よ」という聞き、話すということに焦点を置いた聴覚口話法がずっと主流で来たために、この手話をまず彼らの母語としてしっかりと付けてもらった上で彼らが筆談で読み書きができるようにしてあげよう、しようというようなこのバイリンガル
教育というのが、どうも
文部科学省としても積極ではないというような壁に私もぶつかっております。
だからこそ、手話を第一言語として、その手話を主なコミュニケーションの手段として、まず母語として自由に表現できる、私たちで言う日本語、それを身に付けさせてあげた上で、それから健常者としっかりとコミュニケーションできるための日本語を身に付けさせてあげようというこのバイリンガル
教育について、
文部科学省は今のところ、
効果性がない、あるいは実績がない、
効果性が不明であるということで乗り気ではないという印象を私は感じるのですが、先ほど
原田先生がおっしゃっていただいた独立行政法人国立
特殊教育総合
研究所で、是非このバイリンガル
教育というものが
効果性があるのかどうか、実際に海外でどのようなところがいい、あるいはこの辺が制約点であるというふうになされているのか、少なくとも
研究は着手していただきたい。そのための
特殊教育総合
研究所が国立でなされていると思いますので、この二点について政治家としてのコメントをしていただけると本当に有り難く存じます。