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2004-05-11 第159回国会 参議院 環境委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      愛知 治郎君     伊達 忠一君      岩佐 恵美君     西山登紀子君  四月二十三日     辞任         補欠選任      伊達 忠一君     愛知 治郎君      西山登紀子君     岩佐 恵美君  四月二十六日     辞任         補欠選任      渡辺 孝男君     荒木 清寛君  四月二十七日     辞任         補欠選任      小林  元君     佐藤 泰介君      荒木 清寛君     渡辺 孝男君  四月二十八日     辞任         補欠選任      佐藤 泰介君     小林  元君  五月十日     辞任         補欠選任      福山 哲郎君     岡崎トミ子君  五月十一日     辞任         補欠選任      山下 栄一君     山口那津男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         長谷川 清君     理 事                 愛知 治郎君                 小泉 顕雄君                 清水嘉与子君                 海野  徹君             ツルネン マルテイ君     委 員                 大島 慶久君                 山東 昭子君                 田中 直紀君                 真鍋 賢二君                 岡崎トミ子君                 小林  元君                 加藤 修一君                 山口那津男君                 渡辺 孝男君                 岩佐 恵美君                 田  英夫君                 高橋紀世子君    国務大臣        環境大臣     小池百合子君    副大臣        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        環境大臣政務官  砂田 圭佑君    事務局側        常任委員会専門        員        大場 敏彦君    政府参考人        防衛庁防衛参事        官        大井  篤君        経済産業省製造        産業局長     北村 俊昭君        国土交通省総合        政策局長     澤井 英一君        海上保安庁次長  金子賢太郎君        環境省地球環境        局長       小島 敏郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律の  一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付  )     ─────────────
  2. 長谷川清

    委員長長谷川清君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、福山哲郎君が委員辞任され、その補欠として岡崎トミ子さんが選任されました。     ─────────────
  3. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事愛知治郎君を指名いたします。     ─────────────
  5. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案審査のために、本日の委員会に、理事会協議のとおり、防衛庁防衛参事官大井篤君外四名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 おはようございます。自民党の小泉でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  ここ最近の新聞をちらちらと見ておりまして、日本沿岸海水面の水位が過去百年で最高を記録をしたというようなニュースとか、あるいはこの四月が東京都心平均気温がこれまでになく異常に高温で推移をしたというような報道がありました。  地球環境問題というのは我が国だけではなしに全地球的な大きな課題でありまして、それぞれの国々がそれぞれの立場でいろいろこの問題の取組をしていただいておりますし、我が国環境問題につきましては本当に国際的なリーダーシップを発揮しながら真剣な取組をしていただいていると思っているわけでありますけれども、しかし、現実の自然の状況というのは、なかなかそういう政策が実効あるものにならずに、どちらかというと不安な状況にあるということであります。  本当に環境問題というのは、これは人ごとではなしに、それぞれが我が事ととらえて、少しでもこの地球環境を良くするための生活というものを前向きに考えなければいけない状況にあるなと。そういう意味で、環境教育というものの役割が本当に重要になってきているなということを私は大変痛感するわけであります。これからもそういう環境教育のありようについても精力的なお取組を是非ともいただきたいということを冒頭に申し上げておきたいと思います。  海洋を取りましても、前回委員会で私、少し触れたことがあるわけでありますけれども、バラスト水の問題という新しい海洋生態系への脅威の問題もありましていろいろ心配されるところでもありますが、その海洋というかかわりで今から海防法の一部改正について質問をさせていただきたいというふうに思います。  日本には水に流すという言葉がありまして、流れる水に、あるいは海に流してしまえばあたかも事がきれいに収まるかのような言葉があるわけでありますけれども、基本的には廃棄物海洋投棄をするということは決して望ましいことではありませんし、どちらかといえば避けるべき、あってはならないとまでは言えないわけでありますけれども、避けるべきことであるというふうに思います。しかし、残念ながらそういう選択をせざるを得ないという面があるのも事実であります。  そこで、この廃棄物海洋投棄をするということについての環境省の基本的な考え方、あるいは海外からは、我が国海洋投棄大国であるというような表現もされて、いささか不名誉な評価をいただいておるわけでありますけれども、こういったものをいかに払拭をしていくのか、さらには海洋投棄を、現在進めている廃棄物についてこれをいかに減量させていくのか、その辺のところにつきまして環境省の基本的な御見解をお伺いをしたいと思います。
  9. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) ただいま小泉委員から環境教育重要性についても話がございましたし、また船舶バラスト水関係についても御指摘がありました。これは非常に重要な問題でありますので、環境省としても注視しながら最大限取り組んでいきたいと思ってございます。  そして、御質問の内容でございますけれども、生態系から我々人類が得ている毎年のそれを貨幣価値に直すと一千六百兆とか五千兆というぐらいの恩恵があるわけでありますけれども、恐らく海からも相当の恩恵を我々日本は特にいただいているんでないかなと、そう思います。  そういった意味では、そういう経済的な面から見てもそうでありますから、さらに環境の様々な点を考慮してまいりますと、掛け替えのない海洋環境だというふうに考えていかなければならない。そういった意味では、海洋保全について最大限積極的に取り組んでいかなければいけないというふうに考えているところでございます。  そのためには、廃棄物海洋投棄処分についても、その削減を当然のことでありますけれども努める必要がありますし、これまでも陸上処理原則として考えていると。例外的に海洋投入処分する廃棄物についてもその処分量削減に官民挙げて取り組んできているところでございますが、しかしながら、委員指摘にもございましたように、これはIMO、国際海事機関の報告でありますけれども、我が国海洋投入処分量は依然として多いという指摘がされております。これは真摯に受け止めていかなければいけないと思います。  そういった意味では、九六年の議定書上は海洋投入処分が認められている廃棄物であっても我が国としては陸上処分、それに転換するなど海洋投入処分量の一層の削減に努めているところでありますし、やむを得ず海洋投入処分せざるを得ない廃棄物についても改正法の適切な運用に努めながら海洋環境保全に万全を期してまいりたいと、このように考えております。  物によっては、今後、様々な取組の中としては、目標数値も定めながら、事業者とも真っ正面から取り組んで、そういった面について削減の効果が更に一層進むように最大限の努力をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。
  10. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 ありがとうございました。  陸上処分を進めるということも方法でありますけれども、やはり基本的には廃棄物をいかに減らしていくかということが一番大切かと思いますので、その辺のお取組を強力にお進めをいただきたいと思います。  また、加藤大臣には、環境教育重要性あるいはまたバラスト水の問題の緊急性重要性につきましても、本当に私と認識を同じゅうしていただきまして大変心強いわけでありますけれども、今後ともひとつよろしくお願いをしておきたいと思います。  また、話はそれますが、前回これも紹介をしたことですけれども、小杉隆先生が、環境教育というのは心の教育である、あるいは道徳教育である、そういった側面を持っているというようなこともおっしゃっているわけですけれども、私は非常に感銘の深い言葉だなというふうに思っています。この辺のことにつきましてもこれからも一層こだわりながらいろいろ議論をしていきたいと思いますので、よろしく御指導をいただきたいというふうに思います。  次に、この廃棄物海洋投棄の、つきまして、海域のどの地点に投棄をするかということでA、B、C、Fという四種の海域が決められているわけでありますけれども、こういう海域選定をされた理由、さらにはその海域の位置といったものについてお教えをいただきたいと思います。
  11. 小島敏郎

    政府参考人小島敏郎君) 現在の廃棄物海洋投入処分可能海域、A、B、CあるいはFというような海域を定めているところでございます。これは主に三つに分類できますので、その三つについて御説明をさせていただきます。  第一に、赤泥建設汚泥でございますが、これらにつきましては速やかに沈んでいく、海底に堆積をするという廃棄物でございますので、この廃棄物が散乱をしない、なおかつ底引き漁業影響を与えないと、こういうことで、黒潮等の海流の外側でありまして水深千五百メートル以上の海域指定しております。具体的に今捨てられている場所というのは、主に房総沖あるいは四国沖というところでございます。  第二に、し尿や家畜ふん尿でございますが、これは拡散性が高く速やかに海洋に還元される廃棄物でございますが、これが沿岸に戻ってくるということはこれは困るわけでございますので、沿岸に戻ってこないように、領海の基線から五十海里、約九十キロメートルでございますが、これを超える外側で捨てていただくということで海域指定しております。  三つ目のジャンルでございますが、有害物質を含まない水底土砂、これは元々海の中にあったものを移し替えると、こういうことでございますので、すべての海域海洋投入処分を認めると、こういう三分類でございます。  これまではそのような海域で定められた方法に従って捨てればよかったわけでございますが、今回の改正におきましては、海域指定は従来と同じ方法でと考えておりますけれども、個別に審査環境への影響ということを、影響評価いたしまして環境大臣許可を与えると、こういう制度でございますので、指定海域内でございましても海洋環境に著しい影響を与えるおそれがある、こういう場合には海洋投入処分は認められないと、こういう仕組みにしようと、こういうものでございます。
  12. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 どうもありがとうございました。  いずれにしても、投棄したものが、物によれば拡散をすることが非常に困るものもあるわけであります。また、一方では拡散を速やかにさせた方がいいようなものもあるというようなことでありますが、いずれにしても海域選定ということについては、その及ぼす影響から考えて十分慎重であってほしいなというふうに思います。  今度の改正によりまして、環境大臣による許可制度というものが導入をされていくわけでありますが、実際にこれを実施をしていくために、これは衆議院での大臣の御答弁の中にあったわけでありますけれども、これから二年ほどの期間を必要とするというような御答弁がありました。いささか時間が掛かり過ぎるのでないかなと、もっと速やかにできないものかなというような気持ちも持つわけですけれども、このおよそ二か年程度期間を、準備期間を要するということにつきまして、その辺の事情を御説明をいただきたいと思います。
  13. 小島敏郎

    政府参考人小島敏郎君) 本法案でございますけれども、環境大臣許可というものでございますけれども、まず事業者はその捨てる海域につきましての環境に及ぼす影響評価ということをしなければならないわけでございますが、どういうふうに環境影響評価を行うかというまずガイドラインを決めなければなりません。政府におきまして、まずそのガイドラインを定めるという作業がございます。それから、実際に事業者がそのガイドラインに従って許可を申請するに当たって、アセスメントをしてその書類を提出をしなければならないということでございますので、その事業者側におきます準備と、こういうものも更に必要となっております。  実際の経済活動に支障を及ぼさないようにスムーズにこれを移行させていくということを配慮いたしますと、事業者側対応というものも含めまして少なくとも二年ぐらいは掛かるかなということでございます。
  14. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 できるだけ早く実効あるものになることを祈っております。  続きまして、諸外国についての働き掛けの話題に移りたいと思いますが、二〇〇三年の十月の時点でこのロンドン条約締約国が八十か国と一地域と、九六議定書の、つきましては十九か国が批准をしているということであります。  これも新聞によりますと、長崎県の対馬ですけれども、ここは中国の方から流れてくる漂流ごみで本当に御苦労しておられるという話が報じられておりました。これは海洋投棄ということではないわけですけれども、日本海をめぐる廃棄物あるいはごみの問題というのは、私は非常に心配でありまして、といいますのは、太平洋に比べて閉鎖、比較的閉鎖された海域でもありますので、そういうところにどんどんどんどんごみがたまる、あるいは廃棄物が投入されると、非常に心配の度合いが増すわけであります。  そこで、特に中国でありますとか、あるいは韓国でありますとかあるいはロシア、そういったところについてのこの議定書に対する対応等について、日本がどのような働き掛けをされていかれるのか、できれば大臣の御所見をお伺いをしたいと思います。
  15. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今、御指摘ございましたように、ロンドン条約の九六年議定書、現在まで十九か国が批准をいたしておりまして、またこの議定書の発効には二十六か国の参加ということが要件となっております。我が国を始めましてロシア中国韓国、この環日本海諸国でございますが、まだ批准をしておらないというこれが現状でございます。  我が国でございますけれども、これまでもロシア中国韓国連携をいたしてまいりまして、日本海それから黄色い海の黄海、この海洋環境を保全しようということで、これはUNEPの関連になりますけれども、北西太平洋地域海行動計画、いわゆるNOWPAPを進めてきたところでございまして、また日本における事務所などを作るというような対応もさせていただいております。  いずれにしましても、我が国とすればこの九六年議定書が締結できるように国内の準備を進める、今日御審議いただいているのもそういう、そちらへ向けての第一歩でございます。第一歩じゃないかな、第三歩ぐらいかな、ということでございますけれども、この議定書、まずロシアそして中国韓国といった多くの国々参加してその意味がより大きくなるわけでございますので、また実効性がそれによって確保できるということでございますので、NOWPAPなどの場をもっと活用いたしまして、積極的にこれらの国々との連携なども深めてまいりたいと、このように考えております。
  16. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 ありがとうございました。  小池大臣のこの国際的な舞台におけるそのリーダーシップというものを存分に発揮をしていただきまして、決して日本海ごみ捨て場のような海にならないように心から念じまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  17. 小林元

    小林元君 民主党・新緑風会の小林元でございます。  日本は四海、海に囲まれておりまして、海洋日本、こういうふうに言われておりますし、私もそのように感じてきました。しかし、今、小泉委員からもございましたように、海を利用するというか悪用している部分もあります。水産資源なども乱獲がたたって資源が枯渇をするというような状況がございますし、そしてまたこの海洋投棄についても世界で有数の残念ながら投棄大国と。これは中央環境審議会でもそのように認めているわけでございますが、そんな状況がありまして、正に、水に流すと言われましたけれども、そのような状況が続いてきたということでございます。  ちょうど、この前の条約というのは一九七二年だそうですけれども、そのときに採択をされた。振り返って、実は私、公害関係の仕事をしておりまして、ちょうどそのころ担当しておりました。一九七一年の七月でしょうか、環境庁が発足をした年でございます。そして、いわゆる公害関係が大問題になったのは昭和四十五年なんですよね。例の、来週、来週というか、今週提案をされる予定の大気汚染防止法光化学スモッグが杉並の、石神井ですか、で問題になりまして、それはちょうど昭和四十五年の七月十何日だったですか、そんなことがございました。  ですから、高度成長の中で公害問題というのが大変だということで、そこから対策がスタートをしたと言っても過言ではないわけでございますし、ちょうどそのころ、このロンドン条約批准批准といいますか、採択の年は国連環境会議、ストックホルムで行われまして、世界的に環境問題は重要だというようなことが確認をされたんではないかなと。そういうことで、大変記念すべき時期にこのロンドン条約というものが問題になったと。  よくよく考えてみれば、海というのは我々生物の命が誕生したというふうにも言われておりますし、我々の母なる海と言ってもいいのかもしれません。ですから、海が汚染をされるということは、人類にとって、あるいは生物にとって、地球にとって大変これは重要な問題だ、危機的なことになってしまうんではないか。  ちょうどその一九七〇年代に問題になりましたのは、PCBとか水銀とかという汚染問題がございまして、現在でもこの水銀魚類中の、マグロに水銀が多いとか、PCBが蓄積されているというようなことで厚生省が発表して、ちょっと過剰反応をしたかもしれませんが、妊婦が連続して食すると問題があるというようなことまでのデータが出たわけでございます。それは現在も続いているということでございまして、その当時、その問題がクローズアップされました。  時間がありませんからあれですけれども、水銀問題というのはなぜそんなに。今回、大臣が連休前にアメリカへ行きまして、持続可能な開発会議基調講演をされました。その中で、水俣の経験を踏まえてしっかり我が国はやっているという表明をされました。私も全くそうだというふうに思っております。これは今回の法案と直接の関係はありませんけれども、工場から海に放出をしたということでありますから、船舶から投棄をしたという問題ではございません。が、そのようにやっぱり大変なことになる。  ところが、中央環境審議会の「はじめに」というところを読んでみますと、我が国海洋汚染状況は余り、大して変わっていませんよ、汚染状況といいますか、というような割合安易な評価をしております。しかし、一方で、先ほど言いましたように、魚類汚染というのはあるわけでございますから、やっぱりそれは目に見えないいろんな問題があるかもしれない。あるという、現在のところはごく微細な問題かもしれませんけれども、やっぱりそれは前兆としてしっかり認識をした上で今後の行政というものを進める必要があるんじゃないか、そういうふうに思っております。  そこで、大変前置きが長くなって恐縮ですが、今回、九六年の議定書というものの準備に入るということで本法案が提案されたわけでございますが、この九六年議定書について、我が国にとりましてといいますか、環境大臣としてどのような意義といいますか、どういうふうに受け止めているのかと思います。よろしくお願いします。
  18. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今、委員我が国環境に対しての歴史をおまとめいただいたような部分がございましたが、その中でも御指摘ございましたけれども、ロンドン条約はおっしゃるとおり一九七二年に採択されたものでございます。しかしながら、このロンドン条約では廃棄物管理仕組みで十分ではないといったような認識が国際的にも高まったということから、廃棄物海洋投棄規制を強化しようという目的でこの九六年に採択されたのが、文字どおり九六年議定書という、そういう位置付けになっているわけでございます。  この議定書のポイントは、陸上で発生いたします廃棄物海洋投棄若しくは洋上焼却、これを原則禁止するということ、海洋投棄が逆に認められるものについては限定列挙するという方式を取っているわけでございます。海洋投棄をする場合には、その環境影響程度などに基づいて許可を発給するということを義務付けるなど、海洋投棄に関する規制がここになされているというわけでございます。  我が国は、海洋環境の一層の保護をしなければならないという観点から、ロンドン条約規制強化については積極的に対処する必要があるということから、国際的にも九六年議定書に関する交渉に参加をしてきたという経緯がございます。また、廃棄物陸上処分原則、つまり海洋投棄若しくは洋上焼却ができない、若しくは厳しくなるということでございますので、陸上処分に移るわけでございますけれども、その原則などについては我が国は国際的にも表明をしておりますし、また、より一層の廃棄物海洋投棄減量化に努めていくというのが私どものスタンスでございます。
  19. 小林元

    小林元君 ありがとうございました。  次に、このロンドン条約、前の場合ですね、日本は七二年の十一月に決まった、採択しましたが、国際的な発効というのは一九七五年八月。日本はこのときは非常に早く、失礼しました、日本は七三年に署名しましたが、批准書の寄託といいますかは一九八〇年十月になったんですね。国内発効はその一月後の十一月に国内発効したと、こういうことがございます。  今回の問題もいろいろありますが、そのときも大変時間が掛かったんですね。本来であれば、その当時、やはり日本環境問題、公害問題で大変な状況にあったので、もっと前向きに取り組めなかったのかなというふうにも思うんですけれども、その辺の経緯というものをちょっとお聞かせを、小島局長からお聞かせをいただければと思いますが。
  20. 小島敏郎

    政府参考人小島敏郎君) ロンドン条約の署名から発効までに時間が掛かったということでございますけれども、今回の九六議定書も、九六年の採択から、今その締結のための準備法案の御審議をいただいているということで、時間が掛かっておるわけでございます。  しかし、このこと、九六年の議定書採択以降も条約締約国会議では作業をずっと続けておりまして、実際に環境影響評価を行ったりする場合のガイドラインというのを決めなければいけない。これは、各国のある意味では共通の基本となるべき項目でありますとか方法でありますとかいうのを決めておきませんと、船は世界を航行するわけですから、いろんな国で違ってしまうと、こういうことにもなりかねないということで、一九九七年には一般廃棄物ガイドラインを作っておりますし、二〇〇〇年には品目別のガイドライン、さらに最近では二〇〇三年にしゅんせつ物のガイドラインを作っているというようなことで、我が国におきまして、まだ投棄をしておりますけれども、この投棄に当たっての許可を与える際の、あるいは事業者が準拠すべきルールとなるガイドラインというものをこの間作ってきたということでございます。  これがおおむねまとまりましたものですから、私どもといたしましても、その準備が整ってきたということで今般法案の御審議をいただける段階になったというわけでございまして、九六年の採択からこの間サボっていたわけではなくて、国際的なガイドラインを作るという作業が行われていたということでございます。  もう一つ、九六議定書の発効ということでございますけれども、これはロンドン条約締約国十五か国を含む二十六か国以上の批准ということでございますが、二〇〇四年一月現在では、ロンドン条約締約国十六か国を含む十九か国が批准をしているという状態であります。条約事務局の方からは今年あるいは来年中にも発効するのではないかという見通しが示されておりまして、我が国としてもできるだけ早くその準備を進めたいということでございます。
  21. 小林元

    小林元君 私の質問を先の方まで答えていただいたようでございますが、実は私、お聞きしたのは、前回条約でどうしてそんなに時間掛かったんですかというところから聞きたかったんですが、いきなり九六年のお話をされました。  まあそれはそれとしまして、結構でございますけれども、これは、九六年の議定書が、今もお話がありましたが、議定書の発効が、現在十九か国ですか、これが既存の国を含む、十五か国を含む二十六か国以上と、こういうことで発効するわけでございますが、近づいてきたと、だからこの法案を出すという、こういう非常に、ちょっと消極的と、私はですね、そう受け止めざるを得ないんですけれども、いろいろそれには準備があるんだと。いや、環境省が努力をしているのは分かります。時間があればお聞きしますけれども、建設汚泥の問題にしても赤泥の問題にしても不発弾の問題にしても、必ずしも順調な協議が進んでいるというふうには思っておりませんけれども、まああるいは技術的な解決手法を開発中であるということもあるかもしれません。  まあそれにしましても、やはり大臣がおっしゃいましたように、環境と経済の統合と、また一方で、大臣がおっしゃったばかりじゃなくて、日本環境立国なんだということで世界一の排出ガス規制をやっていると胸を張って、これはそういう車が売れるからいいんですけれども、まあいずれにしましても環境立国というものを言いながら、ほかの国の様子を見ながら進んでいるような気が、進むというか対応をしているような気がしてならないんですよね。それはそれで大変だと、早期実現というのは大変だとは思いますけれども、そうでないというお答えを大臣から是非いただきたいと思いますが。
  22. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今回の議定書についてでございますけれども、環境影響評価の結果を踏まえて許可制度を導入しなくちゃいけないということもございますし、またその項目、それから実施方法を定めること、それから事業者の方でもそれに対応しての様々な準備が要ると、許可申請のための準備が要るということで、法改正後少なくとも二年程度は必要というのが事務的な見方でございます。  ただ、今、先生がおっしゃいましたように、いろいろと、環境立国と標榜するにはやはりスピード感を持って、さらには世界を引っ張るような、それぐらいの意思と、それから国内的な体制とを整えていって初めて可能になってくると思っております。  今、お励ましの言葉と受け止めさせていただいて、そういうふうに努めてまいりたいと考えています。
  23. 小林元

    小林元君 中央環境審議会の答申にも、今大臣は大変前向きな御答弁をいただきました、姿勢を評価しておりますけれども、そもそも中央環境審議会の答申自体が、国際発効に遅れることなく締結することを目指しと、こう書いてあるんですよね。だから、何か我が国が率先してやりましょうというような意気込みに比べますと、どうも流れが消極的、いろいろ問題があることは承知をしております。が、どうも終始一貫そのようなことが続いているんではないか。まあ先ほど、小泉委員からもそういうお話がありました。私もこれは率先して頑張っていただきたい、こういう気持ちであることを表明したいと思います。  それから、海洋投棄大国というふうに、この中央環境審議会の中でもそういうふうに言っておりまして、大変不名誉だというふうに率直に思っております。これについて、やはりこのロンドン条約というものが、これからは海洋投棄を、以前はブラックリストでこれは駄目よと、こう言ったんですが、今回は原則禁止するんだと。しかも、それも、たとえ例外的に捨てたにしても評価をし、そして削減の努力を引き続きやるんだと、こういうふうになっているわけですよね。ですから、そういう中で事を決めたということは、これはやっぱり海洋投棄の現状、多いから非難が大きかったとか少ないから良かったとかということはないと思いますけれども、国際的な評価といいますか理解というものはどういう状況だったのかお教えをいただきたいと思います。
  24. 小島敏郎

    政府参考人小島敏郎君) 今、先生御指摘のとおり、我が国ロンドン条約に基づく報告を行った締約国の中では、海洋投入処分をしている廃棄物の種類、量ともに非常に多い国でございます。報告をしていない国の状況はちょっと分かりませんが、報告の中で見ておりますと、水底土砂投棄の量は各国に比べますとそんなに多くはないわけですが、下水の汚泥は韓国に次いでおりますし、産業廃棄物投棄は最も多いと、こういう状況でございます。  こういう状況でございますので、締約国会議におきましても、廃棄物海洋投入処分に関する我が国の今後の取組ということについては世界的にも大きな関心が寄せられております。  例えば、赤泥でございますけれども、フランス、ギリシャも赤泥を捨てているわけでございますが、これはパイプラインから直接捨てているのでこの条約の対象にならないということはございますので、報告だけを見ると、赤泥船舶から海洋投入している国は我が国だけであるということで、この陸上処分への移行について国際的にも我が国の一層の努力が求められていると、こういう状況でございます。  これに対応いたしまして、昨年四月に開催をされましたロンドン条約締約国科学者会合というものがございましたが、ここの場で、海洋投入処分の中止も視野に入れながら投入処分量を段階的に削減をしていく等によりまして、この赤泥の問題も解決に向けて努力をするということを表明をしているところでございます。
  25. 小林元

    小林元君 ありがとうございました。  赤泥の問題、また時間がないと思いますけれども、どうぞ頑張っていただきたいと思います。  今回、この法案につきまして環境省から提出をされたわけでございますが、今回国会には、珍しいことにこの改正法案と並んで、もう既に参議院で可決成立をしておりますが、海洋汚染防止改正案、二つ出されております。そして、今回、海洋汚染等災害防止改正案ということで、「等」という字が入りまして、まあ珍しいことなんですね、同じ法案が同じ国会に別々に出されると。これは、確かに物は違いますよと。片方は海洋投棄で片方は船舶から排出される排煙というんでしょうか、それについての規制を強化しようということですから、条約も違うし種類も違う。  しかし、大きな目で見れば、環境汚染といいますか、そういうものを防止しようということでは同じなんですね、環境保全。ですから、審議をどうするかとか、委員会、どこの委員会にかけるとか、合同で審議しようとか、手法はいろいろあると思うんですが、縦割り行政そのものでこの法案が出された。非常にこれは国民の方から見れば、何で二回もやるんですかと、おかしなことだというふうに思うと思うんですよね。やはりこれはしっかり一本化して、どちらが責任ということは担当がそれはそれぞれはっきりしていますから、あるいはもう既に通った法案については、例えばこういう法律ではなくて、海洋汚染の、法律ばかりじゃなくて、こちらにも廃掃法の改正というのが付いてくるわけでしょうけれども、向こうは向こうで、国交省の方は国交省の方で船舶法とかいろんな改正法案が付いてくるんだろうと思うんですね。ですが、一本化して出してほしかったなというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。
  26. 小島敏郎

    政府参考人小島敏郎君) 今国会に国土交通委員会に付託をされたMARPOL条約の附属書のⅥに対応する海洋汚染防止法の改正案が付託をされて成立をしておりますが、基本的には条約対応法と、あるいはその条約準備法というような法制的な整理を内閣法制局共々させていただきまして、この条約の中身あるいはその条約批准、あるいはその効果が起こるタイミング、こういうのも違ってまいりますので、海洋汚染防止法の改正ということではございますけれども、その趣旨が条約対応法に対応するための改正ということで、二つの改正案ということで整理をして国会の御審議をいただくということになったものでございます。  ちょっと同じ法律改正案で変かなという印象を持たれるかと思いますけれども、これ自体は条約対応あるいは条約準備ということでの一つの整理と御理解をいただきたいと思います。
  27. 小林元

    小林元君 それは国会あるいは役人といいますか、の論理としては分からないことはないんですけれども、国民の方から見るとほとんど理解ができないというのが現実ではないでしょうかね。  ですから、やはりこういうことにつきまして、これは内閣として出しているわけでございますので、小池大臣にも今後頑張っていただきたいなと。こういうことのないように、分かりやすい法案を出していただきたい、こういうふうに要望したいと思います。  それから次ですが、九六年今回の議定書につきましては、予防的な取組の考え方、そして当然、海洋投棄について規制を強化するということになります。  議定書の中で、三条の四では、この議定書のいかなる規定も、締約国汚染防止、軽減及び実行可能な場合には除去に関して国際法に従ってより厳格な措置を単独で又は共同して取ることを妨げるものと解してはならないというふうに書いてあります。また、第四条の二では、この議定書のいかなる規定も、締約国が附属書Ⅰに規定する廃棄物その他の物の投棄を自国について禁止することを妨げるものと解してはならない、こういうふうに書いてある。  つまり、その国独自で、もう日本としてはやりませんよと、国際的にはできるんだけれども、日本は絶対やりませんということを、あるいは共同してそういうことをやる。例えば日本海というものの汚染が進んで、日本韓国ロシアで共同して日本海の現状を保つために厳しい規制をするという、これも条約なんでしょうか、意思統一をして規制を強化するというようなことはできるわけですね。しかし、これについてはこの法案の中にはどうも取り組んでいないんじゃないか。こういう姿勢というんですか、あるいは今後削減をするというようなことについて、皆さんの答弁の中でも今後努力をするというようなことを言っておられますけれども、これについてもやっぱり削減するんだという思想はあるわけですよね、この条約そのものは。そういうものが法案の中に入っていない。  これは、ですから、外で法案を見て、法案の運用の中で問題があれば強化をしていくと、こういうことになるんだと思うんですけれども、この辺の対応といいますか、についてどのように考えたらいいのか、お伺いしたいと思います。
  28. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 御指摘の点は非常に重要なことだと思ってございます。  我が国といたしましては、廃棄物の処理は陸上において行うことが原則であるということで、海洋を処分場所として安易に認めるべきではないと。そういう意味では陸上処理原則ということに立っているわけでありまして、そこで、たとえ議定書上は海洋投棄が認められ得るような廃棄物であっても、海洋投入処分量の抑制に努め、可能なものは海洋投入処分を禁止していく、そういうふうにとらえております。  議定書の趣旨を踏まえて厳しい措置を取ることにしておりまして、海洋投入処分できる廃棄物については、本法律とは別に廃棄物処理法がございますけれども、その中で、施行令がございます。その中で、具体的には基本方針にのっとってその中で決めていくことを考えているわけでございます。
  29. 小林元

    小林元君 時間が過ぎておりますので終わりますけれども、この海洋汚染防止法、海洋汚染防止ということは非常に大事だと冒頭にも申し上げました。環境大臣からも前向きな答弁をいただきましたし、造詣の深い加藤大臣からも今お話をいただきました。その答弁に信頼をして、これから海洋汚染防止のためにも一層御尽力されることをお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  30. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男です。  私は、海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。  昨年十二月に中央環境審議会から環境大臣に対しなされた「今後の廃棄物海洋投入処分等の在り方について」の答申の終わりの文章の中に、「海は、人類のみならず、この地球上に生息するすべての生命を育んだ、かけがえのない存在である。それ故、その海の利用には、海に対する畏敬の念、繊細な生態系に対する細心の配慮、世界共同体の一員としての自覚と責任ある振る舞いが求められる。」という一節がありました。誠に同感であり、本法改正案もその趣旨に沿ったものと考えております。  以下、確認の意味も含めまして質問をさせていただきます。  最初に、ロンドン条約九六年議定書に関連して質問をさせていただきますが、先ほど、発効要件とか各国の批准状況については、小林委員の方からも質問がございましたので省略をさせていただきます。それで、質問としましては、本改正案が成立した場合に、その後の我が国の同議定書締結の見通しについて環境省にお伺いをいたしたいと思います。
  31. 小島敏郎

    政府参考人小島敏郎君) 先ほどお話をいたしましたが、本法、この法案が成立をさせていただきました後でございますけれども、許可制度を運用するために環境影響評価の項目等を定めなければなりません。その作業と、それから、事業者における準備というものを考えまして、法改正後、少なくともこれに二年程度準備期間が必要だと思っております。  このような準備が整い次第、議定書の締結についての手続についても速やかに進めさせていただきたいと考えております。
  32. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今、二年程度でしたか、本法成立後も時間、準備期間が必要だというお話がありました。  それに関連するわけですけれども、本年二月に、参議院の予算委員会の派遣で鹿児島の方に訪れる機会があったんですが、近年のしょうちゅうブームで、鹿児島県でもしょうちゅう製造が盛んになっておりました。それに伴ってしょうちゅうかすの量も大変多くなっておりまして、これまでは、しょうちゅうかすは五割程度海洋投棄をされておりましたけれども、しょうちゅう製造業界では、共同でそのしょうちゅうかすを肥料化あるいは飼料化することによって、海洋投棄量を平成十四年度には前年に比しまして半減する努力をしておりました。さらに、ロンドン条約九六年議定書の締結に対応すべく、本年に海洋投棄をゼロにする目標で努力をされていると聞きまして、景気が厳しい中で民間企業の取組に頭が下がる思いがしました。環境省としても、関連省庁と連携してこのような民間企業の努力を支援をしていただければ幸いであります。  次に、海洋投入処分許可制度について質問をさせていただきます。  環境に与える影響評価など、本法案海洋投入処分許可制度は中小企業、中小の事業者にとって厳しい内容となっていると考えておりますけれども、そういう処分量が少ない場合にはそれに応じた配慮というものも必要なのではないかと考えておりますが、この点に関して砂田環境大臣政務官にお伺いをしたいと思います。
  33. 砂田圭佑

    大臣政務官(砂田圭佑君) お答えをいたします。  九六年の議定書におきましては、小規模の投棄について許可を要しないとする取扱いはできないということに相なっております。しかしながら、規制を受ける者の負担を効率的なものとする配慮は必要と考えているところでございます。  このため、少量の処分については、環境に与える影響が小さいと推定されることを考慮し、そこに応じた適切な環境影響評価の在り方を示すなど、許可制の運用について工夫を検討することが必要ではないかというふうに考えているところであります。  以上であります。
  34. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、海洋投入処分許可を行うに当たりまして国民の意見を聞くことになるのかどうか、また、それを、どのように国民の意見を反映するようなことになるのか、その点に関しまして、加藤環境大臣にお伺いをしたいと思います。
  35. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 海洋投入処分許可に当たりましては、環境影響評価等に基づきまして十分な審査を行う予定であります。  海は、先ほど委員から紹介がありましたように、掛け替えのないものであると、また同時に国民のだれもが利用できる公共財でありますし、それを利用した海洋投入処分許可するに当たりましては、やはり広く国民の意見を徴収することが重要である、そういうふうに考えてございます。  そういった意味では、許可の申請があった場合には書類、申請書類を縦覧をいたします。そういった意味では、広く国民からの意見を聞く旨規定してございます。  なお、許可の可否についての判断は、提出された意見も踏まえまして、いただいた意見を勘案しつつ、やはり環境海洋環境の保全に万全を期すると、そういう考え方で取り組んでまいりたいと、このように考えてございます。
  36. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、廃棄物海洋不法投棄の現状とその防止に関して質問させていただきます。  最初に、我が国廃棄物海洋不法投棄の現状について、不法投棄物の内容を含めて海上保安庁にお伺いをしたいと思います。
  37. 金子賢太郎

    政府参考人金子賢太郎君) お答え申し上げます。  私ども海上保安庁では、監視、取締りを従来より強化してきているところでございますけれども、残念ながら廃棄物海洋不法投棄は後を絶ちませず、近年では建設廃材あるいは硫酸ピッチなどの不法投棄が組織的、広域的に行われるなど、その内容と手口が悪質化、巧妙化してきておりまして、平成十五年一年間で見てみますと、約百四十件の不法投棄事犯を送致したところでございます。  その内訳ですが、船舶からの排出事犯でございます海洋汚染及び海上災害防止に関する法律違反が約二割、それからそれ以外の事犯でございます廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び港則法違反が約八割となってございます。
  38. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 海洋投入処分許可制度実効性を担保するために、海上保安庁としては今後どのような対応をされるのか、お伺いをしたいと思います。
  39. 金子賢太郎

    政府参考人金子賢太郎君) お答え申し上げます。  廃棄物海洋への不法投棄につきましては、いったんこれが許されるということになりますと、当該廃棄物を事後的に発見、回収することが事実上困難でございまして、陸上投棄の場合に比べましてより厳格に実効性のある担保措置を講ずることによって、海洋投入処分の適法性を確保していく必要があるというふうに私どもは認識をしております。  このため、実際に船舶から廃棄物を排出しようとする者に対しまして、環境大臣許可を受けた廃棄物許可条件どおりにきちんと船舶に積み込まれ、輸送され、排出海域で排出されるか否かにつきまして、その都度確認を行うとともに、必要に応じて当該船舶に対して指導や立入検査を実施することとしております。  さらに、最初からもうイリーガルにいこうというようなやからでございますが、許可、確認を受けずに不法投棄をしようとするようなこういった者につきましての摘発のために、情報の収集・分析能力の向上、あるいは関係機関との連携強化、それから、私どもが持っております巡視船、それから航空機の虞犯海域への重点的な投入などを図ることによって、監視、取締りのより一層の強化に努めることとしております。  私ども海上保安庁としましては、これらの施策の組合せによりまして、廃棄物海洋への不法投棄防止など、許可制度実効性を確保していくと、そういった所存でございます。
  40. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 大事な役目でございますので、しっかりやっていただきたいと思います。  次に、次の質問に入らせていただきますけれども、ロンドン条約九六年議定書が発効することになりますと、廃火薬類の海洋投入処分は禁止されることになるわけでありますが、それに関しまして、自衛隊の活動により生じた不良・不用弾の海洋投棄問題について質問をさせていただきます。  自衛隊の活動により生じた不良・不用弾の処理の現状並びに陸上海洋処理の費用負担の状況について防衛庁にお伺いをいたします。
  41. 大井篤

    政府参考人大井篤君) お答えいたします。  平成十四年度について数値がございますが、その処分実績でございますが、いわゆる不用弾、不良弾の処分実績でございますけれども、総処分量が約九百八十トンございました。そのうち海洋投入処分量は六百十六トン、それから陸上処分量につきましては約三百六十四トンということでございます。陸上処分量のうち、自衛隊内での処理量でございますが、約二百十三トン、それから民間委託量が約百五十一トンということになっております。  自衛隊から生じますこういった不用弾、不良弾につきまして、私ども平成九年度から陸上処分というものを試行的に実施しておりまして、技術面、コスト面、様々な課題について現在検討をしてきておるところでございます。また、こういった検討を踏まえまして、我が国はいわゆるロンドン条約ロンドン条約の九六年議定書を締結するまでに海洋投入処分を停止する考えでございます。それから、費用の問題でございますが、私どもとして、自衛隊から生ずる不用弾、不良弾の処分に掛かる経費につきましては、自衛隊の費用として負担するということで、所要の予算措置を講じていく考えでございます。
  42. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 陸上での処理よりもやはり海洋処理の方が費用は掛からないということでございますけれども、ロンドン条約九六年議定書が発効することになりますとそれが禁止されるわけでありますから、その分費用負担は多くなるわけですけれども、これもいろいろ工面をしながらしっかり取り組んでいただきたいと思います。  最後の質問になりますけれども、海洋日本の国際的な海洋環境保全取組についてお伺いをしたいと思います。  最初のときに述べましたように、大切な海を守るためには世界共同体の一員としての自覚と責任ある振る舞いが求められております。海洋環境保全に関する海洋日本の国際的な取組について、小池環境大臣にお伺いをしたいと思います。
  43. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今も御指摘ございましたけれども、我が国海洋国でございます。これまでも海の恵みとともに生きてきたという日本でございますので、海洋環境の保全ということについても国際的な貢献が求められているところだと考えております。  そんなことも含めて、環境基本計画におきましては、海洋環境保全が重点であるということで位置付けもさせていただいているところでございます。また、国際的には条約ということで、こちらの今日の九六年議定書に絡んでのロンドン条約、そして少し似て、余りにも似ていて分かりにくいというお話ございましたけれども、MARPOL条約というような国際的な条約に対しての国内の法の整備、そして海洋環境保全という全体的な話、幾つかございます。  いずれにいたしましても、日本海、黄海などの海洋環境を保全するということから、ロシア中国韓国という近隣の国々連携いたしまして、海洋環境モニタリングプロジェクト、NOWPAPを推進もいたしてまいりました。ということで、国際的な条約に対しての取組、そしてそれを更に国際的な連携を進めていくということで、これまでも貢献を進めてきたというところでございます。  いずれにいたしましても、この九六年議定書、締結できますように国内の準備を整えまして、引き続いて海洋環境保全の分野で国際的な枠組みに積極的に参加できるように足下もしっかり固めてまいりたいと考えております。
  44. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 やはり日本は島国であるということは、もう海洋国であるということでありまして、海岸等歩いてみると本当にいろんなごみ類ですね、あって本当に残念だなという思いもございます。そういう意味で、しっかり海洋環境を守るために全力で取り組んでいただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  45. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 日本廃棄物海洋投棄量は世界でも多い国の一つとなっています。とりわけ産廃は最も多い国となっています。し尿や下水汚泥の海洋投棄は本法の施行までにやめることになっておりますけれども、問題は産廃であります。産廃の投棄、これをなくしていくことは国際的な責務だし、また政府の責任は重大だと思います。私、この法律を審議するに当たって改めて勉強させていただきました。そして、非常に産廃の投棄についてなくしていくことが重要だし、そのことを真剣に考えていかなければいけないということを改めて感じました。そういう観点から、今日、質問をさせていただきたいと思います。  まず、産廃は海洋投棄量の二七・五%を現在のところ占めています。その六三%を赤泥が占めています。ですから、まず第一に赤泥対策が非常に重要であります。二〇〇三年度の赤泥海洋投棄量は約百七十万トン、青森、岩手県境の不法投棄の倍にも相当する膨大な量が毎年海に捨てられているということになります。非常に重大です。赤泥とは一体何なのか、なぜ発生するのか、また排出者はだれなのか、その点について御説明ください。
  46. 北村俊昭

    政府参考人(北村俊昭君) お答え申し上げます。  赤泥の発生のプロセスでございますけれども、赤泥は、ボーキサイトを粉砕いたしまして苛性ソーダ溶液を加え、加熱をしてアルミニウムの成分を抽出する、その残渣でございます。すなわち、製品たる水酸化アルミニウム、またアルミナ、この製造過程で排出されるものであります。  また、排出者についてのお尋ねございましたけれども、排出者は三社でございまして、日本軽金属株式会社、住友化学工業株式会社、昭和電工株式会社の三社でございます。
  47. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 赤泥の発生量と処理方法、それからリサイクル量、それはそれぞれどうなっているでしょうか。
  48. 北村俊昭

    政府参考人(北村俊昭君) お答え申し上げます。  発生量は年間、二〇〇三年度で約百七十万トンでございます。この処理方法でございますけれども、赤泥につきましては、これはアルカリ性でございますので、塩酸又は硫酸によって中和をいたします。中和をいたしました後、これは専用船を用いておりますけれども、専用船で指定された海域、すなわち四国の沖合又は房総の沖合の水深三千メーター、水深三千メーター以上の深海域において、パイプによって加圧をして海底に沈降するように処分をいたしております。  なお、リサイクルについてのお尋ねございましたけれども、リサイクルにつきましては、セメントの原料として二〇〇三年度で約三千五百トンが利用されております。
  49. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 海洋投棄をしている赤泥が大変多いわけですけれども、リサイクル利用というのは今説明があったように三千五百トン。そうすると、その発生量の〇・二%にしかすぎません。九九・八%は海洋投棄をされているということになります。しかも、二〇〇一年以降、投棄量が減っていないのです。  削減努力を一体今までしてきたのかどうか。また、今後どういう計画を立てているのか。その点について御説明いただきたいと思います。
  50. 北村俊昭

    政府参考人(北村俊昭君) 削減努力についてのお尋ねでございます。  この赤泥につきましては、昨年四月のロンドン条約締約国科学者会合におきまして、我が国といたしまして海洋投入処分の中止も視野に入れて投入処分量を段階的に削減していくと、こういったことを既に表明をいたしております。これを受けまして、赤泥海洋処分量、これを削減するために、先ほど申し上げました三社でございますけれども、三社各社はまずセメントの原材料としてのリサイクルの利用、ただいま御指摘ございましたが、まだ量は限られておりますけれども、これのリサイクル利用の拡大、あるいはアルミナの含有量が多いボーキサイトへ切り替えると。そうしますと相対的に処分量が減りますので、こういったことによりまして海洋投入量の削減に既に取り組んでおるところでございます。  これらによりまして、今後の目標でございますけれども、こういった取組によりまして、この三社としては、二〇〇五年度に各社とも二〇〇〇年度実績の一〇%を削減する、そういった取組をいたしております。私ども経済産業省といたしましても、この問題については、三社、またユーザー等々関係者と様々な観点から削減の可能性について検討を行っているところでございます。
  51. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 リサイクルについての御説明を伺ったんですけれども、路盤材やセメントに混ぜるという研究をもう既に三十年も前から行っているということなんですね。それで、ほとんど進んでいない実態なわけです。結局、なぜ進まないかというと、コスト面で引き合わない、だから進まないということだと思います。これ以上進む、私はどう見ても見通しはないというのが現状だと思います。  そこで、赤泥海洋投棄している三社の投棄量、これはそれぞれ幾らになるのでしょうか。
  52. 北村俊昭

    政府参考人(北村俊昭君) 私どもの調査によりますと、二〇〇三年度の各社の海洋処分量でございますけれども、日本軽金属株式会社が約六十九万トン、住友化学工業株式会社が約五十一万トン、昭和電工株式会社が約四十九万トンでございます。三社合計で約百七十万トンでございます。
  53. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 そこで、その三社がそれぞれ発表している環境報告書というものを見させてもらいました。そこでは、廃棄物の最終処分量は、住友化学が一万八千トン、日本軽金属が三千六百九十八トン、昭和電工は四千二百四十六トンと記載されています。資源の利用と環境への負荷のフローチャートには三社合計で二万六千トンと記載されていて、結局、地上埋立て分しかこれは記載をされていないということなんですね。  百七十万トンもの赤泥海洋投棄をしていながら、全く、報告書を見た限りでは、赤泥投棄はしていないというにしか見えないわけです。私は、その海洋投棄量を国民の前にきちんと明らかにしない、そういう企業にこの海洋投棄をなくすということを、あるいはそれに向けて削減をするということが進むはずがない、そう思うんですね。  フランスやギリシャは、それぞれ二〇一五年、二〇二〇年と赤泥海洋投棄中止という期限を区切って対策を取るということになっているわけですね。ところが、その日本の三社の削減目標というのは、先ほど説明ありました、二〇〇五年に対二〇〇〇年比一〇%減だと。ところが、それ以降については、昭和電工が二〇一五年に二〇%削減しますということを掲げているだけで、住友化学と日本軽金属は目標数値もありません。このままでは、私は、世界で日本だけが毎年百数十万トンに上る大量の赤泥海洋投棄し続けることになると思います。  そこで、政府として、まず期限を明確にして赤泥海洋投棄をやめる基本方針、これを立てるべきだと思います。そして、それに沿って排出事業者に具体的な目標、計画を立てさせて、そして削減、中止に持っていくべきだと思いますが、いかがですか。
  54. 小島敏郎

    政府参考人小島敏郎君) 現在、政府対応でございますけれども、昨年の四月に開催をされましたロンドン条約締約国科学者会議表明をいたしました赤泥海洋投入処分の中止も視野に入れながら投入処分量を段階的に削減していくこと、これによりましてこの問題は解決をするということが基本的な方針でございます。  その方向に従いまして一歩一歩対策を進めておる状況でございまして、この方針に基づきまして引き続き関係省庁と協力をし、各事業者取組を更に促進をしていただくように努力をしてまいりたいと思っております。
  55. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 私、何度伺ってみても、一歩一歩やる、削減を視野に入れて、中止を視野に入れて削減をしていくと言われるんですけれども、見えてこないんですよね。本当にやる気があるんだろうか、やれるんだろうかと。やっぱり、企業任せあるいは他省庁任せではなくて環境省がしっかりやっていかなきゃいけないと、そう思うんですね。  それで問題は、廃棄物についてはリデュースが基本ですね。発生抑制、ここにこそ取り組むべきだと思います。どうしても海洋投棄をなくせないということであるならば、そういうものを生産し続けること自体、これを見直しをするということが迫られると思います。  一体、アルミナ、水酸化アルミニウムの用途は何なんでしょう。また、輸出量はどれだけあるのでしょうか。
  56. 北村俊昭

    政府参考人(北村俊昭君) アルミナの用途等についてのお尋ねでございます。  大変幅広い用途に用いられておりますけれども、アルミナは窯業、耐火物、セラミックス、研磨材、こういったものに用いられております。特にセラミックスの関連では、日本の電子部品の非常に高級な電子部品に欠かせない材料として用いられているというふうに承知をいたしております。  また、水酸化アルミニウムでございますけれども、例えば、上下水道の水処理剤あるいは樹脂等の難燃材、火災が起きた場合の難燃材等の原料として幅広く国民生活の中で用いられているものでございます。  以上申し上げましたように、アルミナあるいは水酸化アルミニウムともに、産業あるいは日用品、住宅関係、さらには医薬品の原料ということで幅広く用いられているものでございまして、なかなか代替品はないというのが現状でございます。  輸出についてのお尋ねございましたけれども、アルミナの輸出量は二〇〇三年で約十六万トン、水酸化アルミニウムの輸出量は同じく約十四万トンであります。
  57. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 説明伺っていて、大量の廃棄物を海に捨てる一方でアルミナ生産量の四割も輸出しているんですね。水酸化アルミの輸出も生産量の四分の一を占めているわけですね。この話をやり取りしたときに赤泥も一緒に輸出しますかねという話がありましたけれども、そういう冗談が出るくらいとにかく輸出を、製品は輸出するけれども赤泥日本に残るわけですね。こういういびつな事態がある。  それから、国内の用途についても、例えば水処理だとか人造大理石だとか歯磨きの研磨剤、これは大量の海洋投棄を要するアルミナやあるいは水酸化アルミニウムを原材料としてどうしても使わなければいけないものなのかどうか、本当に代替品がないのかどうか、やっぱり真剣に検討していく必要があるというふうに思うんですね。  そもそも海は廃棄物の処分場ではありません。ロンドン条約議定書改正の重要な点というのは予防原則海洋投棄原則禁止です。これはもう海洋や海の生態系が科学的に未知の部分が多い、投棄した廃棄物による影響が把握し切れない、そういうところから予防原則を取り入れて、海洋環境保全のため各国に予防的取組を求めたものです。陸上処理できないから海洋投棄というのはロンドン条約改正の趣旨に全く反するわけです。海洋投棄を前提にアルミナを作り続けること自体が循環型社会の推進に私は反する、そう思います。  ですから、海洋投棄は一日も早く中止をする、それに向けてしっかりと、どう削減するのか、どう対策を取るのか、それこそ製造者の責任をきっちりさせて、そして対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  58. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 環境と経済の統合というのが私の大きな課題であるということは再三申し上げているわけで、正に今の御指摘は、どうやってこの調和をさせていくのかという、その応用例ではないかなと思って伺っておりました。  廃棄物の発生を抑えること、リデュースすること、それから再生利用を進めるということは大変、海洋投入処分量削減するということでは重要なことだと考えております。  また、赤泥ですけれども、昨年の四月に開催されましたロンドン条約締約国科学者会合で、我が国としても海洋投入処分の中止も視野に入れて投入処分量を段階的に削減していくということを表明して国際的なもうコミットメントとなっているわけでございますので、こうした経緯を踏まえて、今もそれぞれの事業者の方々におかれまして、発生量の削減、それから有効利用の促進といった両面からこの海洋投入量の削減の努力は続けておられるということでございます。  国際的なコミットメントもございますし、また更に処分量削減の努力は必要であると認識をいたしておりますので、関係省庁とも協力して、各事業者取組、更に削減をして、促進をしてまいりたいと考えております。今日のこの御議論していただくこともまた一つのモメンタムとなって、また様々な考え方も出てこようというふうに期待をしているところでございます。
  59. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 次に、建設汚泥について伺います。  建設汚泥の発生量は二〇〇〇年に八百二十五万トン、海洋投棄量は百八万トン。これも一日も早く海洋投棄をゼロにすべきものです。  この発注者別内訳はどうなっているでしょうか。どう減らそうとしているでしょうか。
  60. 澤井英一

    政府参考人(澤井英一君) まず、汚泥の発注者別の発生量でございます。特に海洋投入につきましてでございますけれども、これは一部推計が入りますが、大きくは国、公団、地方公共団体、それから民間と分けますと、百八万トンのうち、国、公団が十二万トン、それから地方公共団体が五十九万トン、民間が三十七万トンとなっております。  この削減につきましてでございますけれども、海洋投棄削減のためにも建設汚泥全体の最終処分量削減していくことが重要だと考えております。このために、私どもでは民間の工事も含めていろんなツールを使いまして指導あるいは取組を進めておりますが、特に脱水などの減量化を含めて建設汚泥の再資源化、あるいは縮減の率がどうなっているかという数字を見ますと、平成七年度には一四%でございました。これが平成十二年度には四一%に上がってきております。さらに、最新の調査であります平成十四年度では六九%というふうに大幅に高まってきておりまして、こういった取組の成果が着実に現れているんではないかと思います。この裏返し、この結果といたしまして、汚泥の最終処分の量も、平成七年度には八百万トンだったものが十二年度には四百八十万トン、さらに平成十四年度には二百七十万トンまで減ってきております。  具体的にこの再資源化の内容でございますけれども、一つには、汚泥を脱水して堤防とか道路の盛土材に使うというようなやり方、あるいは汚泥を焼きまして粒状化しまして路盤材にするというようなこと、そういう幾つかの具体的なリサイクルが進められております。  さらに、私どもでは、こうした流れを全体として引っ張っていくために、特に国土交通省の直轄工事におきまして、現在既にコンクリート塊とかアスファルトコンクリート塊などについてはリサイクル、原則だという方針を打ち出して取り組んでおりますが、現在、これに、建設汚泥についても原則化、リサイクルを原則化するという位置付けにすべく検討を進めているところでございます。
  61. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 今の答弁で、国がその海洋投棄のうちの十二万トンを占めているということですね。だとすると、国は十二万トンをどうやって、どう減らしていくのかということをきちっと計画を立てるべきだと思います。例えば、神奈川県では、かなり地方自治体も多いんですけれども、県として廃棄物処理計画で二〇一五年に産業廃棄物海洋投入をゼロとするということを目標として、神奈川県の建設汚泥再生利用等研究会を昨年発足をさせているんですね。ですから、国としてもこういう、ゼロにするためにはどうしていくのかということをちゃんと取り組むべきだと。  それから、問題は民間の三十七万トンなんですね。これについてはなかなか国交省でも分からない、だれがどういうふうに出したか分からない、あるいは環境省についても分からない、こういうキャッチボールになっているわけですね。  産廃の排出者というのは、処理業者に処理を委託する場合には最終処分の場所とか方法を記載した文書で契約しなければならない、そう法令で決められているわけですね。ですから、発注者として最終、ちゃんと自分の出したものがどこへ行くのかということがつかめるようなそういう体制を整えて、国としてゼロに、とにかく海洋投棄量はゼロにしていくんだと、そういう構えで取り組んでいただきたいと思うんですが、その点いかがですか。
  62. 澤井英一

    政府参考人(澤井英一君) 私どもでブロック別に、国、国の地方支分部局でございますけれども、それから都道府県、政令指定市、あるいは建設業の団体、こういった方々が一緒になりまして協議会を作っておりまして、そこが特に発注者サイドと建設業界でいかにそういう投棄を、最終処分を減らしていくかという議論をする主な場所になっております。神奈川県の取組につきましても、そういった中で大いに参考にされるべきものだと思いますし、私ども自身、行動計画を全体として作っておりまして、その中で建設汚泥については、現在六九%と申し上げましたが、数年後にはこれを七五まで引き上げたいという目標も立てておりまして、先ほど言いました原則化などの施策も含めて進めていきたいと思っております。  実態の把握につきましても、仰せのとおり、必ずしも十分につかみ切れていないところがございますが、先ほど言いました協議会の場などを通じて、建設業団体もお入りいただいておりますので、いろんな工夫をしながら把握に努めてまいりたいと思います。
  63. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 次に、海岸ごみの問題について触れたいと思います。  九九年、二〇〇〇年に国土・環境委員会で取り上げました。そのとき、環境庁、建設省、運輸省、水産庁、海上保安庁、それぞれいかがですかという対応を求めたんです。この間、各省庁の担当者にいらしていただいていろいろお話を伺ったんですが、それぞれの省庁はしっかりその後取り組んでおられるところもありますし、何とはなしに余り進んでいないというところもあったようですけれども、いずれにしても各省庁はやっているんですけれども、当時の川口大臣、扇大臣は、各省庁でしっかり連携して取り組んでいかなければならないとそれぞれ御答弁があったんですが、その後、政府取組はどうだったんでしょうか。
  64. 小島敏郎

    政府参考人小島敏郎君) 海洋ごみでございますけれども、各省庁の連携ということで、環境省が事務局となりまして、平成十二年に関係省庁の情報の共有ということを目的といたしまして、漂着・漂流ごみに関する関係省庁連絡会というものを発足をさせております。これまで五回の連絡会を開催をして、各省庁の取組について情報の交換を行っております。  先生御指摘のとおり、各省庁におきまして、漂着ごみの調査でありますとか、ごみの除去でありますとか、そういう活動をしているところでございますけれども、国際的にもこの問題は対処をしなければならないということで、北西太平洋地域海行動計画NOWPAPなどの場においてもこの問題を取り上げているところでございます。
  65. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 その年一回の会合で何が決まったのですかと言ったら、文書も何もないということで、要するに担当者の情報交換にすぎないわけですね。それじゃ物が進まないと思います。やっぱり情報を交換した上で、今後じゃどういうふうに対応していくのかということを決めなければどうにもならないわけですね。  そこで、大臣お願いしたいんですが、海岸ごみについては早くからJEANのようなNGOが、JEANがNGOとして非常によく取り組んでおられます。それから、全国を調査して豊富なデータを蓄積しておられる学者の方々もおられます。また、熱心に取り組んでおられる自治体もあります。政府としてこうした各方面の専門的に取り組んでおられる方々に参加を求めて、深刻な海岸ごみの総合的な対策と計画を立てるということを環境省が中心になって行うべきだと思いますが、その点いかがでしょう。
  66. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 御質問の中にありましたJEAN、クリーンアップ全国事務局と伺っておりますけれども、こういったNGOの方々や地方自治体と様々な連携を取った活動も既にしているところでございます。例えば、環境省といたしましても、環境事業団に、今ちょっと名称変わりましたけれども、これによる日本プラスチック工業連盟への支援を通じた、プラスチック、レジンペレットが工場などから漏出防止するその対策を進めていくであるとか、それから、環日本海環境協力センターと協力して漂着ごみの実態調査を行ったりということでございまして、また、関係省庁の方でもそれぞれの御関連のNGOなどとの協力に向けましてフォーラムの開催なども行っておられるということでございます。  御指摘のように、NGO、そして地方自治体などとの連絡を密にいたしまして、この海洋ごみ、漂流・漂着ごみの問題には対応してまいりたいと考えております。
  67. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 これは国交省が出しているパンフレットです。例えば深刻な海岸のごみ問題、漂着ごみの様子だとかあるいは生物への影響だとか、写真入りで非常に分かりやすく出しておられます。私は、今レジンペレットの対策についてされていると言いますけれども、今プラスチックごみは非常に何か千分の一ミリぐらいの小さなものがヨコエビなどのプランクトンに吸収されてしまっていると。それが食物連鎖でずっとどう変化していくのか分からない。国際的に大問題になってきつつあるわけですね。  そういういろんな問題があるので、環境省としてもっとしっかりとこういう実態の調査あるいは研究、そして各省庁のやはりそういうそれぞれの現場での取組、これをもっと文書をちゃんと残るような会議にして、きちっとまとめていただいて、それを具体化する、方針化するということをしっかりとやっていっていただきたいというふうに思います。  ちょうど私の時間が来てしまいましたので、その要望をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。どうも、よろしくお願いします。     ─────────────
  68. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 委員異動について御報告をいたします。  本日、山下栄一君が委員辞任され、その補欠として山口那津男君が選任されました。     ─────────────
  69. 田英夫

    ○田英夫君 海は日本にとっては本当に海洋国家として大切なものでありますが、今回のこの法律案改正を勉強してみて改めて思うのは、どうも最近の状況でいうと、絶好の廃棄物処理場でもあるという感覚になってしまうのではないかということなんですね。  私は、実は南極へ行ったことがありますが、第一次の南極観測隊で、「宗谷」に乗って海を二か月航海してようやく到達するわけですが、その南極の海を見て、これはもうこれだと、こういう状況を保たなくちゃいけないんだなということを改めて思いました。日本の周辺の海と全く違う、このきれいな海ですね。それを保つためにはもっともっと世界じゅうが協力してやっていかなくちゃいけないんでしょうが、この調査室で作ってくださった資料を拝見すると、このロンドン条約締約国が八十か国、これは二〇〇三年の資料ですね。世界の国の数からしたら、もちろん陸上しかない、海がない国はたくさんありますから、それを引いて考えても少ないんじゃないかなと。九六年の議定書締約国は十九か国ですね。今回の法律改正はそれに伴うものですけれども、いかにも少ないんじゃないかなと。もっと国連を舞台にして大きな条約が結ばれるというような、国連海洋条約が基本ではあるんでしょうけれども、そういう感じを持っております。  そういう意味で、もう同僚委員がいろいろ御質問されたのでダブるところはやめますけれども、一つ今南極の話をしましたけれども、今回の法律改正の中でも南極の問題出てきますね。除外例として第十条の中に、南極地域環境の保護に関する法律、これは平成九年にできた法律ですか、それを除外して、これどういう意味があるのか、お答えいただけますか。
  70. 小島敏郎

    政府参考人小島敏郎君) 現行の法律では、南極地域で発生したふん尿の処理に伴って生じた汚泥、これにつきまして、もちろん南極の海域には捨てちゃいけない、どこの国も捨てちゃいけないわけですが、その地域を除いて、いろんな国の領海基線から五十海里、約九十キロ以遠の海域であれば海洋投入処分することができるようになっております。これが今の現行法でございます。  ところが、我が国として南極に調査隊なども送っておりますけれども、実際にはその汚泥は日本国内に持ち帰って処理をしているというのが現状でございます。したがいまして、今次改正を機に、この実態を踏まえて、その現行法で南極で発生した汚泥を海洋投入処分できるという条文を削除して、それは日本へ持ち帰っての陸上での処分をすると、こういうふうに改正をしたわけでございます。
  71. 田英夫

    ○田英夫君 それは本当に良かったと思っています。実際、以前の「宗谷」の時代も、そして現在の船のときも、帰りに基地で出た廃屋になった建物とかそんなものを含めて皆持ち帰っていると、これは割合知られていないと思いますけれども、そういう世界のモデルとも言えることじゃないかと思います。  それから、この手続の中で、当然環境省許可を得なければならないということと並んで、次に海上保安庁長官の確認を得るということがありますが、確認というのは一体、実際にはどういうことをやっておられるんですか。
  72. 金子賢太郎

    政府参考人金子賢太郎君) お答え申し上げます。  確認という制度は実は現行制度にもございますけれども、この現行制度はこれも条約対応したものでございまして、現在の法律の表現をそのままちょっと使わせていただきますと、現行制度は、その廃棄物がその排出につきまして「海洋環境の保全の見地から特に注意を払う必要があるもの」、これは例えば一定の大型廃棄物などを指しておるんでございますけれども、これにつきまして海上保安庁長官が確認をするという制度になってございます。  これに対しまして今回の、同じ条約ではございますが、九六年議定書対応いたしまして、海洋投入処分が許されるすべての廃棄物につきまして、新たに環境大臣許可制度が創設されることになるわけでございますが、海上保安庁長官の確認、お尋ねのございました海上保安庁長官の確認につきましても環境大臣のこれは許可を受けた廃棄物をすべて対象とすることといたします。環境大臣許可と両々相まちまして、許可制度実効性を担保することとしたものでございます。  具体的には、実際に船舶から廃棄すべき海域廃棄物を排出しようとする者に対しまして、環境大臣許可の内容に従って実際に船舶廃棄物が積み込まれ輸送され排出されると、そういう行為が適法であるか否かにつきまして、その都度確認を行うことによって不法投棄防止の実を上げるということにしておるものでございます。
  73. 田英夫

    ○田英夫君 終わります。
  74. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 他に御発言もないようでございますので、質疑は終局をしたものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  海洋汚染等及び海上災害防止に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  75. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十八分散会