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2004-04-08 第159回国会 参議院 環境委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年四月八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  四月六日     辞任         補欠選任      大塚 耕平君     木俣 佳丈君      小林  元君     佐藤 泰介君  四月七日     辞任         補欠選任      小川 勝也君     福山 哲郎君      佐藤 泰介君     小林  元君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         長谷川 清君     理 事                 愛知 治郎君                 小泉 顕雄君                 清水嘉与子君             ツルネン マルテイ君     委 員                 大島 慶久君                 山東 昭子君                 田中 直紀君                 真鍋 賢二君                 小林  元君                 福山 哲郎君                 加藤 修一君                 渡辺 孝男君                 岩佐 恵美君                 田  英夫君                 高橋紀世子君        発議者      福山 哲郎君    委員以外の議員        発議者      小川 勝也君        発議者      谷  博之君    国務大臣        環境大臣     小池百合子君    副大臣        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        環境大臣政務官  砂田 圭佑君    事務局側        常任委員会専門        員        大場 敏彦君    政府参考人        文部科学大臣官        房審議官     徳永  保君        環境省自然環境        局長       小野寺 浩君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○特定外来生物による生態系等に係る被害防止  に関する法律案内閣提出) ○外来生物種規制法案小川勝也君外三名発議)     ─────────────
  2. 長谷川清

    委員長長谷川清君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  特定外来生物による生態系等に係る被害防止に関する法律案及び外来生物種規制法案の両案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学大臣官房審議官徳永保君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  特定外来生物による生態系等に係る被害防止に関する法律案及び外来生物種規制法案の両案の審査のために、来る十三日午前九時に参考人出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。  なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 特定外来生物による生態系等に係る被害防止に関する法律案及び外来生物種規制法案の両案を一括して議題といたします。  両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 おはようございます。自民党の小泉でございます。  外来生物がいろいろ国内に入ってきまして、我が国固有生態系攪乱をし、あるいは生物の遺伝子あるいは系統性といったことの保持についていろいろ心配が出てきた今日、こういう法案が提案をされてきたということは非常に意義のあることだというふうに思います。  最初に、この法案の一条、二条、目的あるいは定義等にかかわりまして質問をさせていただきたいと思いますけれども、この法案では、生態系あるいは人の生命、身体農林水産業への外来生物による被害といったものを防いでいくということになるわけですけれども、実際にそういう面で具体的な被害というものが現在どのように生じているのか、お教えをいただきたい。それから、それぞれの問題が非常に緊急性の高い問題であるのかどうか、その辺についても併せてお聞かせをいただきたいと思います。
  9. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) お答え申し上げます。  冒頭に、御質問の中にも御指摘ございましたけれども、これだけ国際化が進み、交通の利便性が高まるという中で、人そして物、物資の移動活発化をいたしておりまして、その結果、海外から導入される外来生物が増しているという状況がございます。  その中で、沖縄そして奄美大島に持ち込まれましたジャワマングースが独自の希少種でありますヤンバルクイナやアマミノクロウサギなどを捕らえて食べてしまう、そしてその絶滅のおそれを増大させているというケース。それから、北アメリカからペットとして持ち込まれましたカミツキガメが大きく成長して、その名のとおり攻撃的になって人にかみ付くおそれを生じさせているというケース。それから、同じくペットとして持ち込まれましたアライグマが、この飼い方が結構難しいということから、途中で外にもうほうり投げてしまって、全国各地でその結果として農作物に対する深刻な被害を発生させているケースなどが典型例でございますが、その結果として、生態系、人の命、身体、はたまた農林水産業に対して様々な被害を引き起こす事例が問題となってきているところでございます。  こういった外来生物によります問題は、生物多様性条約締約国会議、そして中央環境審議会などの答申でも指摘をされておりまして、また、時代の趨勢からいいましても、緊急性が高い問題であると認識をしているところでございます。
  10. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 特に、希少種に対してその圧力として働くというようなことは本当に深刻な問題でありますので、早急な取組が必要かなというふうに思います。  今、大臣多様性という言葉をお使いに今なっているわけでありますけれども、最近、この生物多様性ということがあれこれ言われるようになりました。この多様性を確保していかなければいけないというそのことの意義というものはどういうところにあるとお考えなのか、その生物多様性というものはどうして維持をしていかなければならないのかということについての御認識をお伺いをしたいと思います。  なおあわせて、その多様性維持をしていくということになれば、在来の日本のその固有種といったものについてもやはりきめ細かな保護策といったものが必要でありますし、とりわけその希少な動植物については十分なこの対応が必要になるというふうに思うわけですけれども、多様性維持ということとかかわって、在来種に対する基本的なお考え方をお聞きをしたいと思います。
  11. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 生態系保全ということには、我々、ふだん話をしているわけでありますけれども、その中でも、とりわけ多様性に関してはやはりきちっと保全をしていかなければいけない。  多様な生物環境保全されることが望ましいわけでありますけれども、そもそもこれ、一九九二年のいわゆるあのリオ・サミットでも、喫緊な国際的ないわゆる環境問題として地球温暖化対策関係防止とともに取り上げたものでございまして、生物多様性条約がその一九九二年に採択されているわけでありまして、それに伴いまして各種の取締りが進められてきている経緯がございます。  多様な生物とそれを中心としていわゆる構成されている生態系は、一つには人間の存在にとって欠くことのできないいわゆる環境基盤を形成しておりますし、さらに二点目としては人間生活にとって有用な価値を持つことになりますし、さらに三点目といたしましては、長い進化の歴史の結果生み出されたものとしてそれ自体非常に尊重すべき価値を持っていると、このように考えているわけでございます。  このような多様な生物保全を図るために、生物多様性国家戦略我が国は策定しておりまして、鳥獣保護法あるいは種の保存法等に基づきまして、捕獲やあるいは取引規制生息環境保全のための保護区の設定等、様々な施策を講じているところでございます。  さらに、先ほど御指摘のありました希少種保護増殖については、種の保存法に基づきまして絶滅のおそれがあるものとして国内希少野生動植物指定された動植物種中心にいたしまして、生息状況の監視、生息環境整備人工増殖等による保護増殖事業を進めているところでございます。  更に申し添えますと、外来生物による影響といいますのは、御指摘のありましたように、在来種希少種にとって大きな圧迫要因になっておりまして、これまでの保護対策を進めることに加えまして、外来生物による影響防止を図ることによりまして在来種希少種保全を一層力強く図ってまいりたいと、このように考えておりますので、委員の御協力もまたよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  12. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 どうもありがとうございました。  私のわずかなこの生物学知識によりますと、この生態系というその概念は、非常に自然を単純化をして、生産者分解者消費者というような分解をして考え考え方であると。そういう考え方生物多様性というその考えは、私は内容的に非常に大きな違いがあるというふうに考えているわけですけれども、いずれにしましても、生態系ということじゃなしに、生物的自然の豊かさとか、あるいは生物的自然の多様性といったものをきちっと守っていくんだというような視点が必要かと思うんですが。  ただ、現在の生物教育といいましょうか、あるいは自然教育といいましょうか、そういう中では果たして豊かな自然観というものを、あるいは豊かな生物観というものを育成をしていくような教育がなされているのだろうかと考えてみますと、私自身も教育現場にいた経験があるわけでありますけれども、非常に寒い思いがしないでもありません。しかし、これはここの委員会でのメーンのテーマではありませんので、これ以上申し上げませんけれども、そういうような国民教育というものが必要じゃないかなというふうに思っております。  次に、この法案で言います特定外来生物被害防止基本方針というものについて内容をお聞かせをいただきたいと思うわけでありますが、あれこれと、基本的な事項でありますとか基本的な構想とか、あるいは重要事項といったものを明示するというようなことが書かれておるわけでありますけれども、もう少しその辺のところを具体的にお聞かせをいただきたいのと、併せて、特定外来生物だというふうに認定をしていくときのその手続といったものについても御見解をお伺いをしたいと思います。
  13. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) お答えいたします。  特定外来生物は、外来生物であって在来生物とその性質が異なることにより生態系等に係る被害を及ぼし、又は及ぼすおそれのあるものを政令で指定することにしております。  具体的な指定手続としては、本法案に基づく基本方針において特定外来生物選定基本的考え方を定め、影響の実態、諸外国の知見を踏まえた上で、専門家意見を聴いて個別に指定を検討することとしております。この基本方針では、特定外来生物による被害防止に関する基本構想特定外来生物選定、適切な飼養等の方法、防除内容等に関する基本的な事項を定めることとしております。  内容については、例えば特定外来生物選定に関しては、生物学的な観点から生態系に係る被害の程度をどのように考えるかや、選定に当たり留意すべき事項等について定めることとしております。
  14. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 ありがとうございました。  それでは、次の話題に移りたいと思います。  この法案では、特定外来生物という認定を受けたときに、輸入は一応原則禁止許可制にするということであります。また、国内取扱いについても言及がされているわけでありますけれども、譲渡し、あるいは譲受け、引渡し、引取りといったことを禁止をするということになっていますが、要するに輸入の問題と国内での取扱いの問題につきまして、これは万全なのかどうか、これについての見解をお伺いをしたいと思います。
  15. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 外来生物の問題に適切に対処するためには、問題を引き起こす外来生物がむやみに我が国に持ち込まれないことが重要と考えております。  この法案では、生態系等に係る被害を及ぼすおそれのある外来生物特定外来生物指定し、学術研究目的等許可を受けた場合以外は輸入禁止するということを原則としております。さらに、生態系等に係る被害を及ぼすおそれがある、疑いのある生物外来生物を未判定外来生物指定し、おそれがあるかの判定を了するまでの間、最長六か月間輸入を制限するということにしております。これらの施策を通じ、生態系等に係る影響が不明なものを含め、幅広くかつ迅速な輸入規制の対象とすることが可能になると考えております。  また、学術研究等目的で持ち込まれた外来生物特定外来生物につきましては、安易に野外に出されないよう適切な流通規制等取扱い規制がなされることが重要であると考えております。法案では、その飼育、栽培等行為について許可制、また国内流通についても許可を受けることが前提であり、適正管理を確保できるものと考えております。これらの規制については、例えば悪質な業者が特定外来生物を密輸した場合などに最高で一億円の罰金を科すなど、十分な抑止力が担保されているものと考えております。
  16. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 ありがとうございました。  まあ罰則の強化等一定抑止効果を高めるということは理解ができます。しかし、例えば、この間も新聞で見たんですが、野鳥野鳥というのか、いや野鳥ですね、のやみ市場というのがありまして、非常に多くの野鳥が売買をされているという話を聞きました。あるいは、クワガタムシとかそういう甲虫類についてもいろいろなルートで取引もされているようであります。  ですから、現実の問題として、今、そういう輸入規制にしても、国内流通にしても、法の網をくぐって行われている違法行為というのは非常に多いように思うわけであります。だから、特に私はその点を心配をするわけですけれども、この点については万全な体制というものを取っていただくことがとにかく必要だというふうに思いますので、私の意見を述べさせていただいておきます。  この法律がいよいよ今度施行されていくということになりますと、例えば特定外来生物被害防止取締官というような名前も法案の中に出ているわけでありますけれども、こういう人材育成ということがこれから必要になってくると思いますし、また組織的な動きというものも必要になってくると思います。こういうお仕事が精力的に取り組まれれば取り組まれるほど、またお金も掛かるわけでありますけれども、十分なだから予算が保障されなければいけないという問題があろうかと思います。  そこで、法施行に伴って人材をどういうふうに育成していくのか、あるいは予算をどういうふうに確保していかれるのかということについての見解をお伺いをしたいと思います。  あわせて、これは一方では極めて学術的な問題があります。動植物分類学でありますとか、あるいは生態学であるとかいった知見が十分に生かされなければいけないわけでありますけれども、そういった生物学の、非常にどちらかというと基礎的な研究者養成ということについての政府の御見解も併せてお伺いをしたいと思います。
  17. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) まず、外来生物対策制度運用の準備といたしまして、十六年度予算外来生物のデータベース、そして影響評価マニュアルなどの整備のために、前年八千万円だったところを一億三千万円、すなわち前年比で五千万円増額をさせていただいております。  また、人員の方でございますが、本省の方に専門官が三人、それから自然保護事務所に二人増員をさせていただいております。  今後の更に円滑な運用ということでございますと、十七年度の要求につきましては、更に所要の増額増員を十分検討してまいりたく考えておりますし、また委員皆様方の御支援のほど、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
  18. 徳永保

    政府参考人徳永保君) 専門的人材あるいは研究者養成といったことにつきましてお答えを申し上げます。  御指摘のとおり、分類学でございますとか生態学でございます、生態系に関する知見を有する人材育成、大変重要な課題であると私ども認識をしております。これらの教育につきましては、御承知のとおり、これまで理学部でございますとか農学部水産学部などを中心とする生物系学部、学科でやってきたわけでございますけれども、特に近年では従来の分類学というものにとどまらず、様々な生物生態でございますとか体系、これらの環境保全在り方についても教育をしているところでございます。  一例を挙げますと、北海道大学農学部では環境昆虫学などの科目を設けて、生態学でございますとか分類学基礎的知識の上に、野生動物密度測定でございます、あるいは識別個体数センサスなど専門的な調査手法知識、技術といったものも教育をしているわけでございます。また、御承知のように、国立大学にはこれまで演習林とか水産実験所が設けられておりますけれども、こういったものにつきましても生物圏フィールドと、そういう機能を重視をいたしましてフィールド教育研究センターという形で統合して、環境生物学でございますとか生態学等情報拠点として活用すると、こういう取組が行われてきております。  先生承知のように、大学においてどのような教育を行い、どのような研究を行うかというのは、もとより大学の自主的な判断の下に行われるわけでございますけれども、社会要請に的確にこたえていくことも大学の重要な使命でございます。このような観点から、外来種による環境保全など、社会要請に的確にこたえる教育研究に積極的に取り組む大学に対しまして文部科学省としても支援をしていくということに考えております。
  19. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 ありがとうございました。  まず、環境省の方ですけれども、今度、これから具体的に例えば防除というような作業に取り掛かっていかなければいけないという局面が来ると、なかなか本当に人材というものが不十分であるだろうというふうにも思いますので、この点の手当ても十分にお考えをいただいて、いざ防除ということになればそれが順当に進んでいくように御尽力をいただきたいと思います。  なお、今の文部科学省お話でありますけれども、今、医学部とか農学部とか水産学部とかいったことを挙げられたわけでありますが、いずれもこれは応用分野の領域でありまして、私は、先ほど言いましたように、分類学とか生態学とかと今言いましたけれども、そういういわゆる基礎科学ですね、やはりここのところをもっともっと充実をさせて、分類学者養成をしなきゃいかぬだろうし、生態学者養成をしなければいけないというふうに思います。  この間もちらっとお話をしたことがありますけれども、鳥インフルエンザの問題があったときに、京都であったわけでありますが、京都大学の町と言われるような中で、鳥取大学獣医学部先生をわざわざおいでをいただいて調査をしていただかなければいけないという現実を見たときに、私は非常に残念な思いがしたわけであります。  もう少し基礎科学というものを充実をする手だてがあってもいいのではないかというふうに思います。これはこれ以上今言いましてもここでの話題にはなりませんからとどめますけれども、私は、そのことにつきまして、文部行政というのか大学在り方ということについては非常に今悲しい思いを持っておるということだけ付け加えておきたいと思います。  それでは、次のテーマに移りたいと思いますけれども、第十八条で、地方公共団体のかかわりということが規定をされているわけでありますけれども、せんだっての本会議での大臣の答弁の中で、地方公共団体が行う防除には一定要件という言葉がありましたけれども、その辺の詳細をお聞かせをいただきたいというのと、例えば、琵琶湖で例えばオオクチバスならオオクチバス防除しましょうとか、あるいは琵琶湖ほど大きくなくても、ある地域のある一つの池とか湖から当該魚種防除していこうというような話が出てきますと、これは非常に地域性の強い問題であるわけであります。  したがって、地方がいかに主体的に取り組んでいくかということもこの防除については大切なことになるわけでありますけれども、その地方主体性というものをもっともっと発揮させるような考え方があってもいいのではないかというふうに思うわけですが、それについての御見解をお伺いをしたいと思います。
  20. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 本法案では、国が関係都道府県意見を聴いて防除内容を公示することとしております。地域の実情を反映させて国と地方公共団体が連携して防除を行う仕組みを作るということが基本であります。  都道府県が行う防除については、主務大臣公示内容に適合するものとしての確認を受けることを要件として、本法の飼養許可鳥獣保護法捕獲許可の特例、土地の立入り権限、原因者負担措置を適用するなど、防除を促進するための措置を講じることとしております。  一方、こうした手続を経ずに地方公共団体が独自に防除を実施することについては、琵琶湖の例であっても全くそうでありますが、本法案によって何ら規制を付加、加えるというつもりはありませんで、むしろ歓迎したいというふうに思っております。地方主体性はそういう体系の中で十分尊重されると考えております。
  21. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 繰り返しになりますけれども、要するに個別の事象というのは地方の問題ということになってくるわけでありますから、十分な連携を、また地方独自性というものも十分に発揮できるような指導といいましょうか、対処をお願いをしておきたいと思います。  この間、テレビを見ておりまして初めて私は知ったんですけれども、バラスト水という問題、非常に巨大な水の固まりが世界じゅうを動き回って、その水の中にいるプランクトンでありますとかあるいは節足動物とか軟体動物の幼生とかあるいは稚魚といったものが世界じゅうにまき散らされるというようなことで、東京湾の海底では本当に米国のエビとかカニとかがうようよいるというようなことを言っておりまして、これは大変な攪乱が起こっているんだなというふうに思いました。  これは、これから非常に重要な環境問題のテーマにもなってくるのではないかというふうにも思うわけでありますけれども、このバラスト水対策について現在の環境省の御見解というものをお聞かせをいただきたいと思います。
  22. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 小泉委員指摘のこの問題は極めて重要な問題だと思いますね。これからの海洋汚染問題の非常に大きな分野に発展していく可能性がありますので、私も非常に懸念しているところでございます。  このバラスト水に含まれています生物等の国際的な移動によるこういった海洋生態系の破壊、汚染という問題については、将来的にはやはり海洋環境にかかわるアセスメントをということも考えていかなければいけないような、そのぐらい大きな問題だと思っておりまして、現在、この問題に対処するために、IMO、国際海事機関でありますけれども、ここにおきまして国際的な対策の枠組みについて検討が進められているところでございます。これは、本年の二月でございますけれども、バラスト水条約が採択されまして、この条約の中では、国際航行を行う船舶に対してバラスト水の処理等を義務付けているところでございます。  それで、我が国といたしましてもこの条約の締結について今後検討を進めていくことが必要であると考えておりますが、ただし、現時点におきましてはバラスト水による生物種の移動実態、海域における生態系状況等の把握が十分ではないと。ある調査によりますと、日本は貿易、相当量やっているわけでありますから、船舶の移動によるこのバラスト水については約三億トン、ほかの海域で排水していると、そういう話もあるわけですけれども、こういった面についての数値的な情報もまだまだ少ないわけでございますので、こういった実態の調査が、至急やらなければいけないと、このように考えてございまして、環境省といたしましても、関係省庁とも連携いたしまして、この問題に関する基礎情報の収集それから分析、それを今年度から早急に取組を開始していかなければいけないということで予算措置もさせていただいたところでございます。よろしくお願いいたします。
  23. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 副大臣指摘のとおり、本当にこれから大変重要な問題になってくるだろうと思いますので十分なお取り組みをお願いをしておきたいと思います。  これは、バラスト水というのは要するに、さっき言いましたように、よその海域のプランクトンといいましょうか微小なものがあっちに運ばれ、こっちに運ばれして生態系攪乱ということになっていくわけですけれども、それは大量の水の中には多様な生き物がおるわけであります。先ほど来言っていますように、日本の分類学というもの、さほど研究者がいるわけではありませんから、とりわけ海洋の植物性プランクトンでありますとか動物性プランクトンであるとかということにつきましては、なかなかこれは分類学なんというものはもう追い付いていないでしょうから、恐らく名前もないような種類が非常にたくさんあって、どこの何物かも分からぬような状況ではないかと思うわけであります。  それは、そういう微小なプランクトンだけではなしに、この間もちょっとお話環境省の方としておったんですが、例えば国内産の昆虫ですか、これは恐らく十万ぐらいいるだろうというふうに言われているんだそうですけれども、今のところ種名が確定しておるのは三万か三万五千ぐらいでありまして、実は分からない方がはるかに多いと。脊椎動物とか鳥類については十分な種の確認といいましょうかができているんだと思いますけれども、それ以外の生き物につきましては極めて不十分な状況であると、何種類いるのかも確定できていないような状況にあるわけであります。  民主党さんの方から、この特定外来生物というものを考える上で、一つの前提として国内生物種台帳というものを作って、それに照らし合わせながらその判断をされていくということになるわけでありますが、今言いましたように、日本におきましては残念ながら種がきちっと確定しているというのはむしろ少ない方であって、まだ確定していない種がもうわんさかいるという、こういう状況なわけであります。  民主党さんの方の案も、それは話としてはもっともらしいというふうに思うわけでありますけれども、果たしてこれが現実性があるのかどうかということになると、私は非常に大きな疑問があるというふうに思うわけであります。  この辺のことにかかわって、政府案の対応は十分なのかどうか、その辺の御見解をお伺いをしたいと思います。
  24. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 本法案では、生態系等に係る被害を及ぼすおそれがある外来生物とその疑いのある外来生物を、それぞれ特定外来生物、未判定外来生物指定し、これらの外来生物輸入原則禁止とするという扱いにしております。  すなわち、特定外来生物については、国内に存する生物状況が整理されることを待つことなく、被害のおそれがある外来生物について順次指定することとしております。また、未判定外来生物については、悪影響のあるものと性質が似ており、悪影響の疑いのある外来生物一定のグループについて指定することとしております。  したがいまして、本法案では、生態系等に係る悪影響の疑いのある外来生物について幅広くかつ迅速に輸入規制が可能であり、外来種対策が緊急の課題となっている我が国の現状を踏まえると、適した仕組みであると考えております。
  25. 小泉顕雄

    小泉顕雄君 大いに自信を持ってお進めをいただきたいというふうに思います。  最後の質問でありますけれども、この法案が出てくる背景で、例えば日本昆虫学会でありますとか、甲虫学会とか、あるいは日本生態学会とか、日本自然保護協会とかから、国民に対する啓蒙啓発、普及ということが大切だということで、それぞれの要望の中にも必ずこの項目が入っているわけであります。私も、正にそのとおりだというふうに思います。  これについての御見解をお伺いをしたいわけでありますけれども、最後の発言になりますのでちょっと付け加えたいと思いますけれども、先ほど来私は、いかに国民の自然観を豊かにしていくのか、国民の生物観というものを豊かにしていくのかということが大切だという話をしてまいりました。これからもこのことを一生懸命訴え続けていくつもりでありますけれども、例えば子供たちの自然観を豊かにしましょう、子供たちの生物観を豊かにしましょうというときには、必ず豊かな自然観を持った、豊かな生物観を持った学校の先生とか大人がいなければいけないわけであります。果たして今の日本の教員の養成というものがそういうような要請にこたえているだろうかどうか、私は非常にその点について疑問を持っております。  かつて、すべての都道府県に教員養成学部というものがきちっとあって、そこには、どちらかというと、先ほどお話もしましたけれども、基礎科学先生方がたくさんおいでになってそれぞれの役割を果たしておられたし、責任を持って教員を養成をしておられたのではないかというふうに思うわけですけれども、そういった伝統というものが非常に薄れてきているのではないだろうか。結果として、優秀じゃないとは言いませんけれども、非常にゆがんだ自然観、あるいはゆがんだ社会観あるいは人間観を持った教員が増えてきているのではないかというふうに私は大変心配をしているわけであります。  教員養成についてお答えをいただく必要はありませんけれども、やはりいかに日本人の自然観というものを豊かにして、生物的自然というものが多様であることが当然であって、そういう特定外来生物と称されるようなものが平気で持ち込まれるということに対してやっぱりきちっと違和感を覚える、そういう国民を育てていくということが私は国の大変大切な任務だと思うし、昨年成立しました環境教育法、ああいったものにも私はもっともっと血を流して、法律が大きな仕事をできるような取組環境大臣にもお願いをしておきたいというふうに思います。  今の点につきまして、よろしくお願いいたします。
  26. 砂田圭佑

    大臣政務官(砂田圭佑君) 先生指摘のとおりだというふうに私も同感するものでありますけれども、今の、国民にいかに理解を求めるかという点につきましては、外来生物対策におきましては、輸入あるいは飼育、あるいは防除など、外来生物に関するすべての方々の理解を大いに深めていただくことが必要ではないか。そのためには、外来生物対策に係る国民の理解の増進について基本方針に盛り込むほか、ホームページやパンフレットなど、あらゆる手段を通じて普及啓発を進める所存であります。また、昨年成立いたしましたいわゆる環境教育促進法に係る取組等においては文部科学省と連携をし、効果的な施策を進めることとしております。  外来生物対策については、学校や博物館など教育機関との連携の下に、学習機会の提供、人材育成等、関連する施策充実を図っていかなければならないと思っているところでございます。  先生指摘のとおり、教育と普及啓発が極めて重要なこれからの対策ではないかというふうに考えている次第でございます。
  27. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 民主党・新緑風会のツルネンマルテイでございます。  私は、今日はこの委員会に提出されている二つの法案について質問させていただきます。それは、もちろん政府が提出している特定外来生物による生態系等に係る被害防止に関する法律案と、私たち民主党が提出している外来生物種規制法案に対して質問させていただきます。  私に与えられた時間が八十分です。長く感じるかもしれませんけれども、私たちから見ますと、この問題、この法律案だけではなくて、この問題はいかに重要な問題であるかということ、そのために私たちは、本会議でもこれをお願いして質問もしました。あるいは私たちは、来週はまた十三日には四人の参考人からの意見も聴いて、さらにその後、それを参考にして質問する、採決になるということですから、あるいは今日もいろんな環境NGOから多くの代表者が傍聴にも来ているということでもこの法律の重要性がうかがえるということであります。  あるいは私たち、ほかの党もそうだと思いますけれども、いろんなそういう環境NGOからもいろんな要望書あるいは希望とか質問を受けました。私の質問を通告した後も、昨日もぎりぎりでもう三十一個の質問、こういうことも是非聞いてほしいということもありました。もちろん、それはもう通告していますから、ここではそのまま参考にできないんですけれども、とにかくこれは私たちから考えれば重要な問題であるということですね。  先日は本会議において、当該政府案に対して私の方から環境大臣にはかなり厳しく批判しましたが、それは決して大げさな批判ではなかったと私は思っています。あるいは大臣の答弁の中でいろんな反論もありましたが、それにも納得できないところもかなり多くありました。しかし、それを繰り返すというよりも、今度はもうちょっと観点を変えて、そしてこの法案の問題について指摘して、そして質問したいと思います。よろしくお願いいたします。  既に今分かるように、質問にありましたように、この法律は非常に限定されているということ、つまり外国から持ち込まれる動植物に対しての法律でありますけれども、今までも日本では人の健康の保護や産業の振興等を目的とした法律規制がこの外来生物に対してもかなりあるんですね。しかし、この生物多様性保全を対象にする法律が残念ながら今まで日本にはなかったんですから、そういう必要性からこの法律案もでき上がったと思います。そういう面では、日本は非常にほかの国に対して後れているということは言えるかと思います。  そして、この今回の政府案あるいは民主党案では、この外来生物の対策の一環として私たちもこれを認めています。少し評価するところもあります。しかし、これは一部にすぎないということは言えるかと思います。特にこの中では、その特定外来生物にこれから選定される、その侵略的外来生物被害防止することでは民主党案もそして政府案もこれは評価できます、その防止に関してですね。この趣旨も民主党案でもあるいは政府案でも、そういう意味では同じです。  私はここで、その具体的なものに入る前には二つの言葉の定義からスタートしたいと思います。この法案を検討されている段階では、いろんな参考資料を読みますと、外来種という言葉、そして外来生物という言葉が出てきたんですね。そして、参考資料によりますと、この外来種というのは国外又は国内の他地域から人為によって意図的あるいは非意図的には特定の生態系に新たに導入される生物のことを言いますね。  つまり国内でも、本来その地域に現存しているいわゆる在来種生態系に、国内の別なところから新たに別な生物が持ち込まれたときも問題が起きるということですね。特に日本では離れ島というか、島嶼のようなものは多いですから、そういう場合は、特に外から入った、今までそこになかった生物がやはり被害を及ぼすことも私たちはよく知っているということ。しかし、この今回の法案ではそういうところは含まれていない、あくまでも外来生物というのは外国から輸入されるものに限られているということですね。その範囲が私たちから見れば狭過ぎるということですね。それ以外の外来生物の、外来種の全体の法律にはなっていないということはもちろん政府の方でも認められていると思います。  ここで私は、一番目の質問として是非お聞きしたいのは、民主党の方では、将来的にはそういう国内に存在する生物規制在り方についてもその法律の中の附則の第二条では触れているんですけれども、政府の方ではそういうのはどの程度検討されているか。つまり、ここでは、環境大臣には、まずお聞きしたいこと。そして、環境大臣の答弁の後は民主党の発議者に対しても、谷議員には同じ質問、答弁をお願いしますけれども、つまり、この外来種全体を管理するための基本法律基本法のようなものをこれから予定しているかということ。もっと全体として、もしそういう基本法の考えがあるとすれば、例えばそれには今までの動物愛護法とか鳥獣保護法なども含めたもっと基本法、それは名前はいろいろあり得るんですけれども、例えば野生生物基本法の必要性、あるいはそういう予定があるかどうか、まず環境大臣から答弁をお願いします。
  28. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 御指摘がございましたように、私どものこの法案でございますが、海外から持ち込まれる外来生物全体について、これまでの知見、そして学識経験者の御意見を踏まえて、生態系などに係ります被害防止する、防止を図るということを目的といたしております。  今御指摘国内由来の外来生物の問題でございますが、これは当然、重要性は認識をいたしておりますものの、この問題については自然公園や鳥獣保護区などのこれまでの既にあります保護地域制度の規制を強化するであるとか、それから運用充実させるなどという対応で可能と考えております。よってこの法案と、それから今申し上げました幾つかのこれまでの法律を活用することで、御指摘国内由来のものも含めまして外来生物の問題に総合的に対応することはできると、このように考えております。  その御指摘の、御質問基本法については、よって現在総合的に対応することが可能と考えているということでお答えとさせていただきます。
  29. 谷博之

    委員以外の議員(谷博之君) 冒頭でございますが、こうした答弁の機会を与えていただきまして、委員長始め委員皆様方に心から厚くお礼申し上げたいと思います。  ツルネン議員の御指摘をいただきました民主党案の附則第二条の問題についてでございますが、この条文については、御案内のとおりでございます。  そもそも、この第二条の、附則の趣旨は、国内在来種移動とかあるいは動物を取り扱う業者の規制在り方、こういうことについての速やかな検討をして、そしてそれに対する必要な措置を講ずるというのがこの条文の趣旨でございまして、議員御指摘のとおり、必ずしも十分、この法律で今申し上げたような外国から入ってくるそういう外来の種に対する在来生態系が守られるということではないと思います。  したがって、私たちはこの法律以外にどのような法整備ができるかということだと思いますけれども、それには今御指摘があったような外来種管理基本法、こういうふうな法律を新たに作るということも一つ考え方でありますし、あるいはまた、今も御指摘もありましたけれども、野生生物保護基本法のようなより高い次元の法律整備するということも考えられます。  そして、今、環境大臣からも御答弁ありましたけれども、国立公園法やあるいはそれ以外の自然環境保全法、こういった法の改正やあるいは強化によって、そのいわゆる法の谷間を埋めていくということも考えられますし、また地域の貴重な生態系外来種から保護するための法整備ということで、例えば動物取扱業者を現在の届出制から許可制にするというふうなことによって動物愛護管理法、こういうふうなものも改正強化をする、こういうふうな考え方もできようかというふうに思っております。  いずれにしましても、こうした重要な課題について、今後、国会の場でさらに十分早急に議論をして、そして整備していくということが肝要かというふうに考えております。  以上でございます。
  30. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 答弁ありがとうございます。  やはり、この政府案の中でも五年後には見直すということにもなっていますけれども、それも待たないで、やはりいずれにしても今回は、その生物多様性保全というのは一つ目的でありますから、今いろんなほかの法律も言われましたけれども、その中にははっきりそれが含まれているのは少ないですから、私たちの方から、やっぱり将来的にはこういうもっと幅広い基本法も必要じゃないかと思っています。  で、二番目の質問加藤環境大臣にしたいと思いますけれども、政府案では大きく考えればこの二つの柱がありますね。一つは、この特定外来生物指定するグループとそして未判定外来生物のものですね。それの制限、それに入れる生物の制限について、私たちはいろんな情報を、耳に入りますと、今度作られる基本方針の中には、この未判定外来生物指定するのは特定外来生物の周りの部分のみ、それに近いものだけをこれから選定するという情報もありますけれども、そうすると、いろんな環境省とか政府の方では、その両方に選定される生物の範囲を余り広く広げたくないという動きがあるということは、これは、その制限が掛かってくるかということに対して、こういう私たちの耳に入っている情報は本当かどうか、ちょっとお願いします。
  31. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) ただいまの御質問にお答えいたしますけれども、未判定外来生物、これは、特定外来生物生態的特性が比較的似ている生物の中から、生態系等被害を及ぼす疑いのある生物一定のグループごとに選定することを想定しているわけなんですね。それで、したがいまして、生態系等に対する影響の疑いのあるものも幅広く、幅広くかつ迅速に規制の対象とすることが可能であると考えてございます。  なお、未判定外来生物として具体的にどのような生物指定するかについては、御指摘のありました基本方針において選定考え方を定めまして、諸外国の知見も踏まえまして今後検討をしていくということになることでございます。
  32. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 その今言われたような幅広くというのは、これからはどういうふうになるかということは、もちろんその様子を見ないと分かりませんけれども、やはり私たちは、余りにも狭くなったら、やっぱりその網に掛からない輸入される動物、生物が多くなるおそれもありますね。  続けて、三番目の質問加藤環境大臣に。これに関連しますけれども、恐らくこの基本方針の策定はもう進められているし、この法律が成立する前ではそれはでき上がるんじゃないかなと思っていますし、そう期待しています。その策定に対して、環境省以外の省庁がそれに、例えばどういうものがかかわっているか、あるいは中央省庁だけではなくてほかの組織もこの基本方針の策定に参加する、もしそれは差し支えがなかったら、どういうグループが加わっているか、お願いします。
  33. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) この法案に基づくいわゆる基本方針の策定の関係で、透明性にかかわる件でございますけれども、主務大臣であります環境大臣及び農林水産大臣中央環境審議会意見を聴いて案を作成すると、これについては、当然のことでありますけれども、閣議の決定を求めまして政府全体として意思決定する、このように考えてございます。  また、基本方針の案の策定段階においては、パブリックコメントを行いまして広く国民に意見を求めて、それを踏まえまして作成を行っていくということになっておりますので、そういった意味では、透明性についても、あるいは様々な審議会等含めまして、十分対応を考えているということで御理解をいただきたいと思います。
  34. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 それに対してちょっともう一つ確認したいことは、私は、個人としては、この政府あるいは地方自治体で行われているいわゆるパブリックコメントというのは余り高く評価してないんですよ。というのは、大体もうほとんど決まった後は、そこで変えることは、これは一つの情報ですね、こういうのが今でき上がりますということがあります。それももちろん必要ですけれども、NGOとの関係はどうなっているか、このほかの、政府関係以外には、NGOも基本方針の策定に参加することできるんですか。  これはちょっと通告しなかったんですけれども、もし。
  35. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 副大臣からお答えしたとおりでありまして、手続的には、両大臣中央環境審議会、それから政府の閣議決定と、こういう流れであります。で、今、仕組みとしてはパブリックコメントなどを通じてということでありますが、今までも事務的にはそうでありましたし、これからもそうであるつもりですけれども、積極的にNGOと議論をして、おっしゃっていることを反映する形は担保したいと思っております。
  36. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 是非そういうふうにお願いしたいと思います。  次の質問は、今、さっきは同僚の小泉議員の方からも話題になりましたけれども、この都道府県の、特に侵略的外来生物防除計画にかかわる、具体的には都道府県にはどのような権限というか参加の可能性が与えられているか。これは私は本会議のときも質問しましたから、そのときの答弁には、もしそういう計画を都道府県の方で考えているとすれば歓迎するとかというのはありましたけれども、これは今は是非この質問に、ちょっと説明しますけれども、小池環境大臣とそして民主党の発議者の方からもこの同じことに説明を、答弁をお願いしたいと思いますけれども。  例えば民主党の法案の中では、都道府県は主体になって、極端に言えば、政府案の方では国が主体になる。もちろん互いに国とのかかわりもあると思いますけれども、その中でなぜ私はこれを強調して聞きたいかということは、例えばこの特定外来生物に選ばれたものは県によっては違うこともあるかもしれませんね。  例えば、ここでは一つ今問題になっているオオクチバスが、国として特定に指定して、そしてその防除に取り組むんですけれども、場合によっては、これは県によっては大変難しいということもあって、しかし、そのオオクチバスの経済利用がほとんど行われてない県ならこの防除取組も可能である。つまり、そこまでも特定を県ごとにも可能かどうかということ、というものを含めて、この質問では、大変ですよ。  さらに、これはちょっと幾つか同じ質問の中に入っていますけれども、民主党の方では、これは県がその駆除事業に取り組んでいるときは膨大な費用が掛かりますね。それを民主党の案では何らかの形の補助を国の方から必要と考えておりますけれども。  こういう、この質問には三つのことですね、県の権限と、そして県ごとに特定できるかということと、もし県が独自にかかわっているときのその費用をどういうふうに補助するか。  ここまで細かく通告しなかったんですけれども、もしできたら、この三つの点について、県のかかわり、都道府県のかかわりについて、まず環境大臣の方からお願いしたいんです。
  37. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) まず、この法律の仕組みでありますけれども、国が関係都道府県意見を聴いて防除内容を公示をすると、それから、地域の実情、今御指摘ございましたように、いろいろと地域によって違うというそういった実情を反映をさせて国と都道府県が連携をして防除を行う、これが基本的な仕組みでございます。  その防除計画ですけれども、地方公共団体が作成することについては法律上何らの制限を課しているものではございません。地方公共団体の自発的な防除取組は、むしろ大いに歓迎したいところでございます。この地方公共団体が実施するその防除が国による公示の内容に適合しているならば、主務大臣といたしまして防除実施計画を確認をして、そして特例措置の対象とすることでその促進を図るというシステムでございます。  生態系などへの悪影響のおそれが例えば一つ地域で出たというふうになりますと、それが確認されて特定外来生物指定されることとなるわけですけれども、やはり一部の地域、それぞれ地域の実情が違うということもありますけれども、国全体として生態系を安定させるというためには、県単位にこだわることよりはむしろ広域的に指定する方が現実的、合理的ではないかと考えております。  それから最後の、三番目の御質問だったと思いますけれども、予算ですね、お金の話ですけれども、都道府県が実施する防除への補助については、そういう御要望もあるということを踏まえて、今後予算上の可能性、これを検討してまいるという姿勢でございます。
  38. 谷博之

    委員以外の議員(谷博之君) 都道府県防除計画についてでありますが、これは国の指針に基づいて地方分権の理念、そして地方の特性に応じ、そして都道府県がそうした状況を踏まえて計画を立てると、こういうことになります。その際、例えば鳥獣保護法上の特定鳥獣保護管理計画のように、まず調査、実態調査、モニタリング、そして再評価、こういうふうな取組あるいは作業をしていくというふうになると思います。そして、具体的には、一つの例でありますが、大阪府で取り組んでいる保健所とそれから鳥獣保護センター、こういうふうな既存の機関の横の連携というものをしっかり図っていって、いわゆる動物行政の一元化、こういうふうなことについて内容を明記した、そういうふうな法律にしていきたいというふうに考えております。  それからまた、国の補助についてでございますが、これについてはこの私どもの法案を作成する段階で都道府県からも具体的な強い要望もございました。その結果として、この法律の第二十三条に補助規定を明記させていただいております。  その中で、このほかにも国の役割ということで、例えば防除が必要にもかかわらず都道府県が計画を立てなかったり実施をしていなかったりと、こういうふうな状況が生じた場合には、環境大臣の判断で都道府県に対し計画の策定や実施を求めていくことができるような、そういう条文も第十六条に明記をさせていただいているところでございます。  以上です。
  39. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 この国と地方自治体の役割分担というのは、もちろんこの環境の問題だけではなくてもあらゆる問題で今そういう時代になっている。政府の方でも、小泉総理大臣地方にできることを地方に任す、民間にできることを民間に任すとかという方針もありますし、地方分権の時代ですから、これはやはり私たちは、国の方では方針は、法律は国が作っていったとしても、やはりできる範囲ではそれは地方自治体が、特にこういう大きな問題では都道府県が主体になってということはこれから恐らく政府の方でもその方向で進められると思います。  それとちょっと関連ありますけれども、ちょっとここでは母国フィンランドの一つ取組について少し紹介させていただきます。  これは、直接この外来生物の問題ではないんですね。しかし、今私たち問題を言っているこの生物多様性保全観点から、あるいは地方自治体が、フィンランドでは県がないんですけれども、市ですけれども、市が取り組むことでどのくらいこう見事に成功するかという一つの例としては、それをちょっと紹介したい。残念ながらその資料が、私はそこの紹介される本が、一冊持っていますけれども、これも英語の資料ですから皆さんにそれは配付する、ちょっと簡単にここでその取組を紹介して、その後こういう取組に対して、コメントだけでもいいですから、後で環境大臣のコメントを求めたいと思っています。  これは、フィンランドでは、一つの魚、英語ですけれども、ローチという魚、ユーラシア産のコイ科の淡水魚ですけれども。で、これはさっき言ったように、これはフィンランドでは昔からいろんなところに、在来種ですけれども。これは、ある湖では、その湖は琵琶湖よりちょっと小さい、周囲の長さが百八十キロ、琵琶湖は二百三十五キロですね、ちょっと小さ目の。非常にそこで問題になったのは、二十年くらい前からは汚染された、その水が汚染されて、その結果下水道とか農業とかいろんなところから、この魚はそういう汚染されたところでも強いんですね。結局汚染されると、この魚が生きることできるんだけれども、ほかの、捕食もありますし、ほかの魚がだんだん減っている、つまり生態系のバランスが崩れてしまう。  そういう大きな問題が起きたということを、これを解決するためには、その湖の湖畔にある一つのラハティという市が、何とかこれを、問題を解決しようという取組を始めましたね。全く市が主体になっていて、後でそれの委員会にはNGOとかヘルシンキ大学専門家とか、あるいはその周りに住んでいる農家の人たちとか、森林の、かかわっている森林の人たちは計画を作って、それで五年間の計画ではこれ見事に、魚もいろんな駆除の運動では漁師たちもそこに加わって、何というかストックを五分の一に減らすことできて、もちろんそれだけではないんだから、汚れているんだから微生物を使ってその微生物の、バイオダイバーシティーという言葉があるんですけれども、微生物の調整によって、バランスによって、科学的ではなくてそういう自然な方法で浄化にも成功したということで、これはフィンランドではもう十年くらい前に終わった計画ですけれども、ヨーロッパの方では多くの市から視察に入ってくるんですね。  それで、国がほとんどかかわっていなかったんですね。だから、非常に安くできて、その代わりもうほとんどのそのかかわっている住民たちは参加した。だから、私はここは一つは、そういう生物多様性保全にやはり市が主体になってそこに住民たち参加して、そしてこう自然の力を生かして、微生物の力を生かしてそこで浄化もできる。  こういう取組は、琵琶湖もいろんな取組があるかと思いますけれども、もちろんこれより詳しい資料がないんだからコメントは難しいかもしれませんけれども、もし何か、できたら一言これに対してお願いします。
  40. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 参考とさせていただきます。
  41. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 是非、これは参考になるかと思います。  次に、私は、これも民主党の発議者に先に聞いてその後環境大臣意見を、答弁を求めたいと思いますけれども、今度は逆にしますね。もちろん今は、この法律が施行された場合は、今までのいろんな侵略的外来生物防除計画は当然もっと積極的にできるはずですね。そうじゃないとこの法律には意味がないんですね。  具体的には、ここで、例えばさっきから話題にしましたオオクチバスの管理がこの法律によってどのように強化されるのかということ、つまりこの新の法案、新の法律になる場合は、現行の駆除事業にどのようにこの法律は具体的に貢献できるかということ、それでこの法律価値も量ることできます。  まず、これは民主党の方の発議者の方から答弁お願いします。
  42. 谷博之

    委員以外の議員(谷博之君) 現在、環境省が取り組んでいるオオクチバスの駆除というのは、皇居のお堀のみというふうに我々は認識をいたしておりまして、この法案の実は立案段階における環境省とのいろんなヒアリングもさしていただきましたけれども、環境省オオクチバスについては生態系への影響について十分科学知見があると言っております。したがって、民主党案でも、オオクチバスは少なくとも特定外来生物種に指定されるものと思われますし、その結果、管理指針が定められ、防除計画も定められることになり、皇居のお堀だけではなくて、全国の河川、湖沼で効果的、効率的な防除が行われるものと予想されております、想定されておりますと。  なお、現在、漁業調整規則に基づき、都道府県ごとに移植禁止、キャッチ・アンド・リリースの禁止などの施策が取られて、水産庁でも予算補助事業としてオオクチバスの駆除、生態拡大、生息拡大防止取組も行われております。したがって、オオクチバス特定外来生物種に指定されれば、第十五条に基づき、十分な事前調査を行った上で、特定鳥獣保護管理計画並みのしっかりとした、地域での合意形成の下に、都道府県防除計画を策定し実施することが生まれると期待をいたしております。
  43. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) オオクチバスにつきましては、中央環境審議会の答申で、これまでいる、いわゆる在来の魚たちを食べてしまうことによって生態系全体、そして水産業への影響指摘をされてきたところでございます。さらに、被害や、また利用に関する情報を収集した上で、政令指定に際して具体的に検討をする考えでございます。  このオオクチバス特定外来生物指定された場合ですが、今、民主党の方からもありましたけれども、輸入、飼育、運搬などは原則禁止をする、それから遺棄は禁止するということから、原則、新たな持込み、そして拡散が規制されまして防除が実施されると、このような運びとなってまいります。
  44. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 もう一つの例には、私はそれと関連、同じような目的では、奄美大島のマングース駆除事業のことを取り上げたいと思います。  私たちの手元にも入る情報によりますと、それは非常に今向こうでは問題になっている、県の方の予算もいろんな理由では減らされている。  それに対する質問の前には、まず現状の状態というか、それに対してちょっと簡単に、どういう状況に今なっているか、参考人の、参考人じゃなくて政府参考人の方からお願いします。
  45. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 概要について御説明申し上げます。  マングースの食性調査の結果、アマミノクロウサギ、ケナガネズミ、アマミトゲネズミ、アカヒゲ、キノボリトカゲなどを捕らえて食べることが分かっております。奄美大島の希少野生生物に、このことから、大きな影響を与えると認識しております。  環境省は、平成十二年度からマングース対策事業を実施し、これまでに合計約一万二千頭のマングースを捕獲いたしました。その結果、マングース生息数は、平成十四年度末には千五百から二千五百頭にまで減少しておると推定しております。まだ生態系からの完全排除ができたというふうには思っておりません。  奄美大島の森林面積の全体は六万九千四百二十ヘクタール、そのうち民有林は五万一千二百三十七ヘクタール、七三・八%と非常に高くなっております。最大の所有者の森林の広さは約八千ヘクタール、全体の一割強、が奄美大島の概況でございます。
  46. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 つまり、今も言われましたように、幾らかマングースの数が減っていますけれども、私たちもヒアリングを行ったときは、一つの大きな問題は、民有林の方に今逃げているということは耳に入っていますから、そうすると、なかなか駆除事業が難しくなっている。それで、それは一つの、皆さんが名前を言わなくてもすぐ分かっていると思うんですけれども、大きな企業が持っているのは大半ですね。そこの企業が、自分たち、立入りを認めない。つまり、駆除のためにもその有林にはなかなか入れない。そうすると、やっぱりそれはマングースにとっては一つの天国になっているということですね。  この法律では、一つの、これからは、第十三条の一には、駆除の目的では土地への立入りも可能になる、今まではそうじゃなかったとしていても。こういう観点から考えれば、これは、今度、そういうところにも駆除の目的で入ることは可能でありますか。この辺についてもちょっとお願いします。
  47. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 本法案により、主務大臣地方公共団体、NGOなど多様な主体の参加が促され、かつ、主務大臣の公示に適合する防除鳥獣保護法規制の特例が設けられたところであります。  さらに、御質問の民間の土地においてマングースの捕獲が必要なときは、その土地の占有者などに意見を聞く機会を持った上で立ち入ることが可能になります。こうした措置により、奄美大島のマングースの駆除が一層進むものと考えております。  この立入りについては、奄美大島だけではなくて、すべての同じ事業に適用されるものでございます。
  48. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 そうであるんなら、これはこの法律一つの評価できるところでありますね。それを是非やはりこれからも厳しく追求する必要があると思いますね。やはり駆除がどうしても必要になると思います。  今度は、次の質問は、これだけは民主党の発議者だけに絞ってお聞きしたいと思いますけれども、民主党の法案の中では新規外来生物の水際規制について項目がありますけれども、それは第五条でありますけれども、つまり、今までは国内生物種の台帳に記録されていない全く新しい生物種の輸入の場合は、どのようにそれを管理できるか。私はこのときは、一番頭に入っているのは、御存じのように、いろんな野生の動物がペットとしてたくさん日本に入っている、恐らく新しい、今までも入っていないのは、これをいかに私たちは管理の下に置く、完全に禁止できなくても管理の下に置くことができるか、こういうことも関連して、この新規外来生物の水際の規制について答弁をお願いします。
  49. 谷博之

    委員以外の議員(谷博之君) まずは、国内に存在する在来種外来種を網羅した国内生物種台帳を本法案施行時までに整備をいたします。そして、その作成段階で、生物多様性に支障を及ぼすことが既に確認がされている外来種は、特定外来生物種や特別特定外来生物種として指定されることになります。なお、海外での知見により既に有害であることが明らかな生物についても、台帳に載っていなくても、特別特定外来生物種として指定し、日本への持込みを認めないものといたします。  そして、この国内生物台帳と特別特定外来生物種リスト及び特定外来生物種リストに載っていない生物輸入する場合には、新規外来生物種としてリスク評価を行い、問題のなかった種だけ輸入許可することとしております。そして、この際、輸入者には海外での知見や生息地の情報など、環境省令で定めるものを記載した書類も添付することを義務付けております。なお、法の施行後も環境大臣が新たな生物種の国内での存在を確認するごとに、随時台帳に追加をしていくことを予定しております。台帳に掲載されなければ、新規外来生物種として厳しいリスク評価が行われることで、国内生物種台帳の整備も進むものと想定いたしております。  いずれにいたしましても、日本生態学会の要望書にもありますように、予防原則に基づき科学的に影響が極めて軽微であると判断されない限り、導入は原則として禁止といったこの要望に対応した仕組みになっているというふうに考えております。  以上です。
  50. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 この点は、政府案と民主党案の一つのかなり大きな違いというのは、この台帳を、国内生物種の台帳を作ることによって、そしてそこで水際の管理をもっと徹底的にするということは、民主党が作った案の中に入っています。  次には、非常に私たちから見れば大きな問題で、この政府案の欠点でもあるというべき問題は、これは小野寺自然環境局長に質問したいと思いますけれども、政府案の第十二条では、鳥獣保護法適用を除外するという、外来生物種の防除捕獲とか駆除のときはそれを適用しないということになっています。私は、本会議の答弁でも、私たちは是非こういう条件を削除すべきと思っています。  しかし、それは無理だったら、それに代わってこの在来種、今ある在来種捕獲はそれと一緒にされないために、どういう制度を政府の方で考えているか、ちょっとこの背景をもうちょっと説明してから答弁をお願いしますけれども、今言われたように、やっぱり在来種が犠牲になるということはたくさんあります。そして、この在来種保護法の中では、捕獲規制することによって在来種の野生鳥獣の保護が、図ることは、その法の一つの大きな目的でありますね。  それで、例えば二〇〇二年は鳥獣保護法の改正も行われました。そのときは、その中に初めて、目的には生物多様性保護も入っているはずですね。その中では、生態系にかかわる被害防止目的とした捕獲が認められることになっているんですね。  そうすると、鳥獣保護法の適用除外は、この捕獲規制の条件をすべて放すことになるということですね。在来の野生鳥獣の保護には大きな支障が生じるおそれがある。特に、いろんな団体がこれを指摘しているんですね。例えば、その中では、わなで捕獲しようとするときは基本的には、本質的には、わなは無差別捕獲の道具になっているんですね。特定外来生物をわなで捕まえようとするときは、やはりそこには重要な在来種もわなに掛かっていて殺されてしまう。こういうことは避けることは非常に難しい。  つまり、今のような背景では、このことをどういうふうに新しい法律の中でカバーしようとするか、ちょっとその説明お願いしたいと思います。
  51. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) そもそも、あるべき生物多様性生態系保全するために緊急的に外来種を駆除する、防除するということがこの法律目的であります。そのために、鳥獣保護法に、規制についても特例を設けたところでありますが、御心配の向き、運用について御心配の向きがあるということを私も十分承知しております。  具体的には、鳥獣を捕獲する際の条件については、まず、この外来種法の基本方針の中の防除に関する基本的な事項で定めます。また、これを踏まえて、主務省令ではっきり位置付けるということになります。誤った在来生物捕獲については、そのようなことがない方法で防除する旨や、仮に誤って捕獲した場合の対応について、これらの規定で定める必要があると考えております。  具体的に言いますと、幾つか言いますと、捕獲従事者が許可証又は従事者証を携帯すること、禁止猟具等の猟法の制限については鳥獣保護法と同様にすること、鳥獣保護区等では混獲防止のための見回りを励行すること、在来鳥獣が混獲された場合には速やかに放獣すること、これは例でありますが、等について記載することを考えております。さらに、地方公共団体やNGOに対して防除を実施するための確認、認定を行うと法律で書いてありますが、その際には、誤った捕獲を避ける能力があるかどうかについても判断し、その上で、そのようなことがないよう注意する旨の指導を行うことを考えております。
  52. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 今言われたようなことは、実際にはうまくいくかどうか別としては、やはりこういうのも今度心配している国民が非常に多い、多くいると思いますね、少なくともこういう環境保全にかかわっているNGOとか。だから、それをやっぱり広く公表するというか、その教育も、もうあらゆる意味ではこれは心配ないということを、心配は残りますけれども、それはやっぱり知らせないと余計心配になっていると思います。  次に、やはりこれも政府参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、飼育された外来野生動物がよく逃げ出して、あるいは遺棄された場合の、これはあちこちで、もちろん私たちは耳にしますけれども、そのときの飼い主の責任についてどういうふうなことになっているかということですね。その外来種の個体が野外に逸出してしまった場合の防除の実施については、やはり国だけではなくて管理者に対する、それを利用している管理者に対する原因者負担原則がありますから、これは非常にそれを実施することは重要であると思いますけれども、この法律では、幾らかそれについて、第十六条では触れていると思いますけれども、実際にはそれは、飼い主の責任についてどういう状況になっていますか。お願いします。
  53. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) この法律の第五条第五項の規定で、特定外来生物を飼うことについては許可が必要であります。許可を受けた者はその許可を明らかにする必要があるということになっております。飼い主である許可者に対しては十六条、おっしゃいましたように十六条の規定により防除に要した費用を負担させることが可能であるというふうになっておりますが、御質問の、意図的な遺棄がもしあった場合には第九条を適用して罰則を科すこととしております。
  54. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 例えば、私が住んでいる神奈川県では、アライグマの問題も非常に、もちろんそれはもうほかのところにも広がっていますけれども、それも結局、それを逃がした人の、恐らく今は何にも人の責任が問われていないと思いますけれども、以前にもこういうのはたくさんあったと思いますね。だから、この法律については、今度はそういうのはやっぱり厳しく追及することも非常に大きくなっています。  アライグマもその中の一つの例ですけれども、私は、どうしてもこの法律案では、外来野生の動物をペットとして飼うことは、これからもこのままで規制があったとしていっても、強化があったとしていっても、もうおびただしい数がもう毎週のようにペットショップに入ってきますから、これを一切禁止してもいい、禁止してほしいといういろんな意見も国民の中にあります。  これについて、ちょっと一つの世論調査を紹介してから小池環境大臣のこれに対する考え方伺いたいと思っています。  参考資料の中では、平成十五年の内閣府世論調査において、外国産の野生動物ペットとして飼うことについてこういう結果が出ているんですよ。個人の責任で自由に飼ってよいと答えた人の割合は一三・七%。そして、規制により問題がないものに限定されれば飼ってもよいというのは二九・四%。そして、最も多いのは、ペットとして飼うべきではないというのは四九・七%までなっているんですね。だから、こういう意見が、半分ぐらいの国民がもうこれはやっぱり問題で、絶対もうペットとしても飼うべきではないという、こういうアンケートに対して環境大臣の答弁をお願いしたい、コメントをお願いしたいと思います。
  55. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 法律の審議でございますので、法案にのっとっての御答弁になるかと思いますけれども、外国産の野生動物だということだけで飼っちゃいかぬというものではございませんけれども、緊急の課題であって、また、生態系に甚大な被害を及ぼすというような外来生物輸入、そしてまた飼うことをこの法案では規制するものであります。また、外国産の野生動物ペットとして飼うということについては、これはマニアとかコレクターとか、いろんな方がいらっしゃるんですけれども、これは動物愛護という観点からはいかがなものかという考え方も私自身も持っております。  そこで、動物の愛護管理というんでしょうか、この在り方については検討会を設置いたしまして、検討の方を既に開始をしております。今御指摘の点なども盛り込みまして、この中で検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  56. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 恐らく、これからも日本では、余りにもさっき言ったように数多く入ってきますから、遺棄とか逃げ出したとかということでは、やっぱり日本の生態系のバランスにもここから大きな問題がいつ起きるか、非常にもう問題が起きるか。だから、これもやっぱり私たちはどうやってこれをもっともっと厳しく管理すること、一切禁止することも一つの方法かもしれませんけれども、もちろんそれで生活を立てている人もいますから、経済的なマイナスの面もあるかもしれません。  次には、これは加藤環境大臣質問したいと思いますけれども、新たに外国から輸入したい人はそれを申請するんですね。そのリスクに対する評価というのは、評価は国が行うことになっていますね。しかし、例えばこれはそういうペットショップのオーナーとか、経済的な活動のためには申請して新しい生物輸入しようとする人は、今の法律で私たちが見る限りは、その人はリスク評価とかに対する負担がないんですね。申請しますけれども、お金が要らないということですね。  しかし、これは、考えてみれば、一部の経済活動のために国がそれを肩代わりするというのはおかしいのではないか、何らかの形で申請者に対しても、費用を負担するという措置は全く考えていないんでしょうか、お願いします。
  57. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 本法律案の中には届出手続、御指摘のようにございますが、輸入しようとする者に対しては未判定外来生物生態特性、それに関する情報等を提供させる、こういう考え方に立っているわけで、情報等を提供させる、これは幅広く言えば費用にかかわる話になってくるわけでございます。  それから、そうはあっても、やはり未判定外来生物生態系等にかかわる被害を及ぼすおそれがあるか否か、それについてはやはり専門性、公平性の観点から主務大臣が最終的に判断する必要があると考えてございますので、そういう御理解でよろしくお願いをいたしたいと思います。
  58. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 実際には、その申請の段階ではお金は掛かるとしていても、基本としては国の予算で、私たちの税金でやっているというリスク評価になるということになるんじゃないかなと思うんですけれどもね。  次には、これは政務官の方にお願いしたいと思いますけれども、国民が、動物扱い業者への、今国民に対する教育ももちろん非常にいいんですけれども、も含めて、そして動物扱い業者にはメディアや教育を通じての普及啓発の必要性が当然非常に多くあるんですね。これも私は本会議の中でもちょっと触れましたけれども、実際には、飼い主がどんなに、これは例えば外来のペットを飼っている人はどんなにこれはリスクがあるかとか等、いろんな面での啓発と教育を行う。  具体的には、国がそれをどういうふうに考えているかということ、あるいはペットに対して、これは私は詳しくは分かりませんけれども、動物を扱う業者には許可制のことも導入していってもいいんじゃないかというふうにも、そういう意見もありますけれども、とにかくこの教育について具体的なことはどういうふうになっているか。
  59. 砂田圭佑

    大臣政務官(砂田圭佑君) お答えいたします。  外来生物の対策が必要であることにつきましては、国民や動物取扱業者に対しての普及啓発あるいは周知徹底することが大変重要だと考えている次第でございます。  環境省としましては、動物取扱業者を始めとする関係業者に対しましてパンフレットの配布、説明会の開催などの積極的な働き掛けを行ってまいりたいと考えているところでございます。また、国民に対しても広く政府広報番組、インターネット、ポスターの掲示、各種雑誌への働き掛けなど、様々な媒体を通じて普及啓発を図っていくことを考えているところでございます。さらに、学校や博物館などの教育機関との連携の下、学習機会の提供あるいは人材育成等、関連する施策充実も図ってまいりたいと考えているところでございます。
  60. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 それに関連して、こういう今言われたようなことはその基本方針の中にもっと具体的に現れるというんですか、あるいはどういう形でそれを実際には実施するんですか。
  61. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 基本方針について、御指摘教育、普及啓発については書き込みたいと思っておりますし、具体的な施策については今、政務官から申し上げたようなことを考えておりますが、まだ施行までは時間がありますので、いろんな工夫をしてみたいと思います。
  62. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 次のは非常に大きな問題でありますが、小池環境大臣伺いたいと思いますが、この未判定外来生物判定するためには、政府案ではいろんな専門家意見を聴いたりとかということにはなっていますけれども、あるいはその後は防除事業の評価、私はフィンランドの例も話しましたけれども、その評価とか、駆除したことの結果とか、それを評価するのはそういう、何というかな、あいまいな、ただ意見を聴くということではこれはうまくいかないと私たちは見ています。やはり、そこにはちゃんとした科学委員会、あるいはその評価、駆除した結果を評価するための評価委員会、そういうのは必要だと思いますけれども、その考え方に対して環境大臣の答弁をお願いします。
  63. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 評価ということもさることながら、まず特定外来生物指定をする際に、主務大臣は、生物の性質に関して専門の学識経験者の皆さんに意見を伺うということを前提としております。それから、未判定外来生物判定の際も、この特定外来生物に当たるのか否かということも判定するということで、学識経験者の皆様方にはいろんな段階で意見を伺うことにいずれにしてもなるわけでございます。  何を聴くかということでいうならば、生物の分類、生態系にどのような影響を及ぼすのか、今どのような現状にあるのか、それから農学、農業の方ですね、幅広い専門の分野の方々に御参加が必要になってくるわけでございまして、外来生物に応じた専門家による会合形式でいろんな段階において御検討いただくということでございますので、評価委員会を設置するかということ、恒常的なこともさることながら、その問題の内容によってそのメンバーも変わってくるでしょうし、そういったことは十分踏まえた、このような学識経験者のグループの皆様方との対話ということで十分対応できると、このように考えております。
  64. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 これも私は心配していることであるし、多くのNGOの方からも、やっぱりそういう科学委員会が常になかったらどんどん新しい問題が上がってくるんだから、そういうのを必要性を私たちは強く考えています。  私は、用意した、通告した質問はここでもう終わりますけれども、ちょっと今は二人には突然かもしれませんけれども、考え方についてというか比較について、環境大臣と民主党の発議者谷議員には、せっかく今二つの法案が、民主党の法案と一緒にここで審議されて、恐らく通告は、午後の方にはもう通告がないようですから、民主党の案に対してここではもう質問は最後になるんですから。  まず環境大臣の方から、今ここでもあるいは恐らく目を通してくださったと思うんですけれども、民主党案に対する評価というか比較というか、この政府案に対して、ちょっとそれを一言でもいいからお願いしたいと思います。
  65. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 長期にわたって御検討された結果だというふうに考えておりますが、基本的な入口のところで、台帳を作る作らないといったところで相違点が一番大きなものがあろうかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、私どもの政府案は、中央環境審議会などの議論を通じまして、合理的かつ機能的なものであると、このように確信をいたしております。
  66. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 その前に、私たちの方から比較してみると、民主党案がもう去年も一回提出しましたから、そのときは成功しなかったんですけれども、ある程度はやはりそれも参考になったんじゃないかなと思いますから、当然同じ問題ですから。しかし、根本的な違いもあると思います。その根本的な違いについて、今度は谷議員の方から、突然ですけれどもお願いします。
  67. 谷博之

    委員以外の議員(谷博之君) 今、大事な質問をいただきまして、ありがとうございます。  小池大臣からも御答弁がありましたが、政府案と私ども民主党が提出をさせていただきましたこの参法の違いというのは幾つかあると思いますが、特に大きなものを二、三申し上げたいと思いますが、まず一つは、今お話ありましたように、国内生物種台帳を作成をするということであります。  これは、先ほども自民党の小泉委員からも御質問ございましたが、たくさんまだ未判定なそういう種もあるわけですが、現実国内在来のいわゆる生物生物種台帳をまず整備をする。そして、施行前にその台帳を整備するということでありまして、その際、いわゆるそういう形で台帳として整備したもの、さらにまたいわゆる外来種として外国から入ってくるそういうふうないろんな生物に対して、私たちは、特別特定外来生物種というのと特定外来生物種という二つの種に分けて、そして、特別特定外来生物種については原則輸入禁止、そして、特定外来生物種については国内での飼養管理を前提にして輸入許可するという、こういう仕組みになっております。  その点についての政府案は、特定外来生物種というふうな形で取り扱っておりまして、それ以外のものについては未判定で、なおかつ半年間のいわゆるリスク評価によってその白黒を付けるということでございまして、我々は、そういう意味で、基本的に外国から入ってくる生物について、そういう二段階で対応をしていきたいというふうに考えております。  それからもう一点は、都道府県の役割の話が先ほど質問もございましたけれども、私たちは、国が直轄でそうした既に入っているその特定外来生物種の駆除、管理等について、現実にそれはやはり地方自治体、都道府県等の皆さん方のやっぱり力をかりないと、このいわゆる管理、駆除というのは到底やっぱり難しいというふうに考えておりまして、そういう点ではNGOの皆さん方の力とか、そういう人たちの力をかりて対応していくということがやっぱり必要であろうというふうに考えております。  そういう幾つかの点について違いということで申し上げましたけれども、いずれにしましても、先ほど台帳が不完全ではないかというふうな話もございましたけれども、この国内生物種台帳については、台帳に載っていない生物は新規外来生物種としてリスク評価をこれから行っていくということであり、なおかつ、それは政府の案のように半年間というこの期限を切って結論を出すということではなくて、我々はそういう意味では時間を掛けてリスク評価をして、そして有害な外来生物種が国内で蔓延しないように水際で規制をするという形にしていきたいと思っておりますので、何らそういう点では心配はないというふうに考えております。  以上でございます。
  68. ツルネンマルテイ

    ○ツルネンマルテイ君 最後に、私の方から一言加えますと、私たち民主党、ほかの政党もそうだと思うんですけれども、こういう議員立法案の、作るのは本当に大変なことですね。この法案に対して、特に谷議員がもう一年間掛けて、もちろん私も傍らで少し手伝わせていただきました。あるいは私の方でも、前にもここで紹介しました生ごみの、家庭から出る生ごみのリサイクル法案とか。でも、もちろん私たちは今のところ野党にある立場ですから、なかなか私たちは一生懸命こういうのを作っていても、それはなかなか実際には法律までならない。しかし、その勉強が、そうすると私たちは、それを作っている間には政府が作っている案を比較すること。  そうして、さっきは谷さんも最初に冒頭で話しましたように、この環境委員会ではそういう党利党略だけではなくて、党派を超えてこういう問題に、そして皆さんも、与党の方もこれをここで審議することを認めてくれたということは、私もお礼というか、でも、うれしいことですから、是非、午後にはもう通告が民主党の法案に対してないようですけれども、その自分の質問の中で一言コメントもあれば有り難いと思っています。  無理に終わりまで、質問、三分四分残っていますけれども、ここでもう休憩にしましょう。  終わります。
  69. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十三分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  70. 長谷川清

    委員長長谷川清君) ただいまから環境委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、特定外来生物による生態系等に係る被害防止に関する法律案及び外来生物種規制法案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  71. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  私は、特定外来生物等による生態系等に係る被害防止に関する法律案並びに外来生物種規制法案について質問をさせていただきます。  両法案は、そもそも法案目的が異なっておりまして、同列に議論することができない面があることをまず指摘したいと思います。  特定外来生物による生態系等に係る被害防止に関する法律案は、法制定の目的として、一つ生物多様性の確保、二つ目に人の生命及び身体保護、三番目に農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて国民生活の安定、向上に資することを挙げております。それに対して外来生物種規制法案は、法制定の目的を、国内における生物多様性の確保を図り、もって良好な環境保全に寄与することを挙げております。  したがって、私は特定外来生物による生態系等に係る被害防止に関する法律案は、外来生物種規制法案に比して生物多様性の確保のみならず人の生命、身体保護、あるいは農林水産業の健全な発展に寄与するという国民の多様な要望に応じることを目的としており、現実の生活者の視点に立った法案としてより優れていると評価をしたいと思います。  次に、両法案について、条文に基づいて何点か確認の意味を含めて質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、特定外来生物等による生態系等に係る被害防止に関する法律案について質問をさせていただきたいと思います。  最初に、加藤大臣にお伺いをさせていただきます。  同法案第二条第一項の特定外来生物とは、海外から我が国に導入される外来生物であることが一つの条件となっておりますが、この導入の時期については何らかの規定がなされるのか否か、まずお伺いをしたいと思います。
  72. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 外来生物の範囲、どういうふうに範囲を決めるかということでございますけれども、これは極めて重要なところだと思います。中央環境審議会の答申におきましては、原則として明治維新以降に導入された生物種が外来種としてとらえるものであると、そういう考え方を示されているわけでございます。  また、この点につきましては基本方針指定外来生物選定基本的な考え方、これを定める際に明確に位置付けを考えていかなければいけない、このように考えておるところでございます。
  73. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、外来生物種規制法案について発議者質問をさせていただきたいと思います。  同法案の第二条第二項の特定外来生物種並びに特別特定外来生物種には、本来国内に存在しない生物の種という一つの条件が付されておりますけれども、その意味についてお伺いをしたいと思います。
  74. 小川勝也

    委員以外の議員(小川勝也君) お尋ねの民主党案第二条第二項における本来国内に存在しない生物の種とは、内閣提出案の第二条における外来生物とほぼ同じものと考えております。おおむね、明治時代以降に海外から我が国に導入されたと推定されるものと考えております。
  75. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 条文そのものを読むと、本来国内に存在しない生物の種というのは非常に言葉として、非常に難しいというか、意味が分かりにくいなという思いがあったので、お尋ねをしました。  次に、以下の質問特定外来生物等による生態系等に係る被害防止に関する法律案について、一連の質問をさせていただきたいと思います。  最初に、小池環境大臣にお伺いをしたいんですが、特定外来生物認定される可能性があるものとしては、現在どのようなものが想定されているのか、お伺いをしたいと思います。
  76. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 国内に生存し、また定着している外来生物ですが、ざっくり申し上げて二千種と数えられております。また、問題が指摘される外来生物とすれば、中央環境審議会の答申の中から幾つか拾わせていただきますと、先ほど申し上げたんですが、在来種を捕らえて食べることなどによって生態系影響を与えておりますジャワマングース、それから人の生命や身体への影響を及ぼす、あごでばっとかみ切ってしまうという文字どおりのものでございますけれども、カミツキガメ、それから農林水産業への影響考えられますアライグマなどが挙げられているわけでございます。  どういう種類を対象にしていくのかというのは、基本方針において選定基本的考え方を定めました上で、影響の実態や、それから各国、他の諸国における様々な知見を踏まえて、専門家意見を聴いて個別に検討をいたしてまいりますが、その際は優先的に、優先度の高いものから順に指定をすると、このように想定をいたしております。
  77. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、加藤大臣にお伺いをしたいと思います。  同法案に、特定外来生物捕獲等については鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の規定は適用しない旨の第十二条があるわけですけれども、これを設けた理由についてお伺いをしたいと思います。
  78. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 午前中の審議の中でもお話がありましたけれども、この特定外来生物による生態系等への被害防止、これは緊急を要する問題であります。そういう非常に大きな課題であるというふうに考えておりまして、防除の実施は極めて重要な措置考えなければいけない。ただ、特定外来生物防除を行うに当たりまして、個別の行為について逐一鳥獣保護法許可を取っていては円滑な防除の実施に支障が生じるおそれがあると、そういうことも考えていかなければいけないと。そのため、本法律案におきましては、御指摘のように第十二条の規定を置きまして、ほかの鳥獣の保護に配慮する方法で行われるなど、一定要件を満たす防除については包括的に鳥獣保護法の規定の適用を除外するということでございます。  もちろん、誤った在来生物捕獲については、そのようなことがないような方法で防除することや、あるいは仮に誤って捕獲した場合の対応についても定める必要があるというふうに考えてございます。
  79. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 先ほども質問にも出たわけですけれども、やはり在来種の混獲に対して在来種保護というものをやはり十分配慮していただきたいと。それから、やはり駆除する場合に、駆除の方法についても、生物的に、愛護といいますか、生物に対する愛護の配慮を十分にしていただきたいと、そのように思います。  次に、小野寺自然環境局長にお伺いをします。  同法案の第二条第三項の生物の性質に関し専門の学識経験を有する者とあるわけですけれども、これは第二項の、生態系専門家と、それから人の生命や身体関係する専門家、並びに農林水産業にかかわる関係者といったような、そういう大きく三つの専門家グループを選定することになるのか、それとも全体をまとめて一つの大きな専門学識経験者グループを作って意見を聴取することになるのか、あるいは案件ごとに個々に選定することになるのか、お伺いをしたいと思います。
  80. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 学識経験者の会合というか、委員会考え方としては、外来生物生態に関する知見生態系、人の生命、身体又は農林水産業への影響に関する知見を有している学識経験者を想定しております。具体的には生物学生態学、農学等に関する学識経験者を考えておるところであります。  また、外来生物の特性は哺乳類や爬虫類など分類群ごとに異なるため、分類群ごとに学識経験者の意見を聴くことが必要であると考えております。
  81. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、防除がやはり重要な部分を占めるわけですけれども、その防除中心となる主体についてどのように環境省の方は考えておられるのか、小池大臣にお伺いをしたいと思います。
  82. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 特定外来生物防除の主体でございますが、まず国が中心となりまして、地元の地方公共団体、民間団体との連携協力をもって推進していく仕組みとさせていただいております。  また、地方公共団体やNPOなどの民間団体でございますけれども、主任大臣の、確認又は認定を受けて防除を促進するための特例措置を活用できる、他人の土地に入るなどといったことでございますが、それができることとなっております。  一方で、こうした手続を経ずに地方公共団体などが独自に防除を実施することについては、別にこの法案によって規制を加えるというようなものではございません。むしろ、地方公共団体などが進めておられます防除は引き続き積極的に取り組んでもらいたいと、このように考えております。
  83. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 次に、実際上、県境を越えてそういう問題のある外来生物防除する必要があるケースも多いと思うんですけれども、あるいは少ないのかもしれませんけれども、その状況環境省に、これまでの経験を踏まえて、県境を越えて防除が必要になるケースがどのくらいあるのか、あるいは比較的少ないのか多いのか、その点をお伺いしたいと思います。
  84. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 防除の対象区域でありますけれども、心配されているよりも複数の都府県にまたがるケースが当然考えられるわけでありまして、一方で都府県で特定外来生物を完全に排除したとしても、いわゆる陸続きのケース、隣県、隣の県で防除が行われていない場合には隣県から外来生物が侵入してくることが十分考えられるわけでありますから、結果として防除の効果が上がらないと、そういうことは予想され得るわけなんですね。  そういった意味では、ただいま大臣からも答弁がありましたように、若干それにかかわる話でありますけれども、県境を越えて防除が必要になる場合には、国と関係する地方公共団体が密接な連携を図りながら防除を進めていくことが必要であると。このために、基本方針の中でも防除に関する基本的な考え方が、それを旨に記載することにしているわけでございます。  また、従来の防除の経験、環境省はあるわけでありますけれども、イノシシの関係とかアライグマの関係とか、在来種の中にあってもこういった防除関係は当然あったわけでありますので、そういった面についても隣県を含めて、協定ということじゃないんですけれども、申合せをして一斉にやるとか、そういう形でなるべく防除が具体的に、効果的に進むようにやってきている経緯がございます。  以上でございます。
  85. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 これから法律が制定されることになれば実際に防除ということになるわけですが、先ほどもちょっと途中でお伺いしたんでしたけれども、県境を越えてそういう対策を講じなければいけないような頻度は多いのか少ないのか、その点をもう一度確認をさせていただきたいと思います。
  86. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 実際に県境を越えて防除が必要となるケースがどのぐらいあるかについては、特定外来生物が何が指定されるかによって異なってくると思いますが、今現在で県境を越えて分布している外来生物、中型の哺乳類が中心だと思いますが、事例はかなり多いと考えております。このため、県境を越えて防除が必要になるケースも発生するというのが我々の認識であります。
  87. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 イノシシとか猿とか農作物に被害を起こすことがあるわけですが、前にもいろいろと地元のそういう被害に苦しんでおられる方のお話を聞くと、やはり県境を越えてしまう場合には、県でいろんな対策を、計画を練っておるわけで、越えてしまうとやはり手が入らないと、連携がうまくいかないということがあるということを聞いておりましたので、やはり様々な状況に応じて柔軟にいろんな多様な関係者が協力をして防除に当たるということが必要ではないかと、そのように私は考えます。  次に、外来種により問題点が指摘されておりますアライグマについて質問をさせていただきたいと思います。  北海道でアライグマの分布、いろいろ調査をされているようなんですが、この点、どのようになっているのか、お伺いをしたいと思います。自然環境局長にお願いします。
  88. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 北海道のアライグマの分布につきましては、北海道庁の情報によれば、以下のとおりであります。  野生化は、昭和五十四年に恵庭市内において飼育されていた十頭程度のアライグマが逃亡し、都市近郊に定着したのが始まりと言われております。その後、道央部を中心にこうした現象が続き、野生化したアライグマが生息域を拡大していったと考えられております。  生息情報は、平成四年度には十四市町村であったが、平成十五年十月には百八市町村に拡大し、地域的には道央部から道北や道東にも拡大している状況というのが把握しているところでございます。
  89. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 今のお話ですと、この十一年間に約八倍ぐらい確認されている市町村が増えているということでありまして、やはり大変な広がり具合かなというふうに考えるわけです。  次いで、北海道でのアライグマによる農業被害、あるいは政府案の法案にもありましたけれども、それによる人への被害とか、あるいは生態系への被害が起こっていればどの程度なのか、それをお伺いをしたいと思います。
  90. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) これも道庁から得た情報でありますが、農業被害についてはトウモロコシ、スイカなどへの食害が挙げられ、平成五年度に被害が報告され、十年度以降は被害額三千万円程度、これ年間ですが、推移しております。  狂犬病やアライグマ回虫など、感染症や寄生虫を媒介する可能性指摘されておりますが、北海道内で捕獲された個体からは今のところ検出されておりません。  生態系への影響としては、野幌森林公園でアオサギのコロニーが消滅した原因としてアライグマが疑われているほか、在来生物であるタヌキの駆逐が懸念されているところであります。
  91. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 多くの被害が出ているということでありますけれども、そういうことで北海道あるいは市町村で捕獲をしておるということだと思います。  北海道でのアライグマの捕獲状況と、その経費がどれくらい掛かっているのか、それをだれがどのように負担をしているのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  92. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) アライグマの捕獲状況とその経費負担者については、北海道の報告によれば次のとおりであります。  アライグマの捕獲は、市町村が有害鳥獣捕獲として平成八年から実施、十一年度からは道庁の学術研究捕獲等により捕獲事業を開始しております。平成十四年度までに三千八百頭を捕獲、平成十五年度は十一月までに約千百頭を捕獲しております。平成十五年度の北海道庁の予算額は約二千四百万円、この捕獲経費は一般会計により対応しております。
  93. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 これは北海道庁が二千四百万円で、あと、そのほかの市町村とかそういうものもまた負担、経費を使い負担をしているということになるわけでしょうか。
  94. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 市町村が負担しておるかどうかについては把握しておりませんが、恐らく北海道の単独事業ではないかと思われます。
  95. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 二千四百万円、大変な負担が掛かっている、それを一般会計から出しているということであって、しかもなかなか頭数としては十分な効果が得られているかどうか、まだまだアライグマの確認頭数が増えているということでありますので、十分な効果が得られてはいないのではないかなというそういう心配もあるわけですが、こういう経費負担というものを今後どういうふうにしていくのかが大事なことだと思うんですね。政府案の方では、原因者が分かっている場合には原因者負担を設けているということは大事なことではないかなと、私は評価をしたいと思います。  今後、北海道におけるアライグマに関しての課題、これをどのようにして生態系やあるいは農作物の被害を減らしていくのか、そういう現状の課題についてお伺いをしたいと思います。
  96. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 今までこの事業に従事していた北海道庁が考えているところを整理いたしますと、アライグマを排除するためには、現在の捕獲状況では次のような課題が挙げられております。  捕獲を進めているが、アライグマの分布域は年々拡大しており効果的な捕獲方法が確立していない、捕獲穴の設置等に係る人件費や捕獲個体の処分費など多額の費用を要する、鳥獣保護法捕獲手続に時間を要するなどが今認識されているところであります。
  97. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 そういう課題があるということですけれども、加藤大臣にお伺いしたいんですが、今回の法律政府案の方が通るということになればどういうふうな改善が期待されるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  98. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 先ほど大臣の方から答弁がありましたように、可能性がある特定外来生物としてはアライグマが挙げられているということだったんですけれども、まず、新たに国外からアライグマを輸入する場合については飼育等の許可が必要である、その飼育等の許可が必要になるため、適正な管理が担保されるもの以外の輸入を止めることができるということが一つです。また、現在アライグマを飼っている者についても新たな許可が必要になるということです。  そういった意味で、この手続において適正管理を求めるわけでありますけれども、遺棄については厳しい罰則でその禁止を担保をすることもできる。さらに、防除については、多様な主体による防除が促進され、かつ鳥獣保護法の規定によります、規定に配慮する方法で行われるなど一定要件を満たす防除については、主務大臣の確認、認定を受けることによりまして、従来、個々の行為で必要であった鳥獣保護法に基づく捕獲許可手続が不要となると。そういった意味では円滑な防除の実施に資するというふうに考えることができるわけでございます。  この問題につきましては非常に緊急性を要するわけでございますので、そういう適用除外ということも当然必要でありますし、そういった意味では非常に効果的な法システムとして機能していくということが考えられると思いますので、効果的であると考えております。
  99. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 アライグマは、先ほどのお話にもありましたとおり、ペットとして飼養されていたものが、そういうものが遺棄あるいは逃亡してこういうふうに広がってしまったというように言われているわけでありますけれども、それとは別の原因で、例えばハブとネズミ類の天敵としてインドから沖縄に導入されたジャワマングースの場合は意図的導入ということでありますけれども、失敗例として問題視をされているわけであります。このようなジャワマングースの例において意図的外来導入の失敗の原因の分析と、それを踏まえた今後の対策について小池大臣にお伺いをしたいと思います。  それからまた、政府案の法制定によってどのような効果が期待できるのか、これも併せてお伺いをしたいと思います。
  100. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 仲の悪い例えとしてハブとマングースの仲だとかなんかいうことが使われますけれども、正にマングースを引っ張ってきたときはハブを退治してもらうという、そういう目的によって導入されたものですが、あに図らんや、ハブを食べるどころかアマミノクロウサギなどの希少種を捕食してしまったというようなことで、正におっしゃるように意図的な外来生物の導入の失敗事例の一つかと思います。また、このような例は、残念ながら多数報告されているところでございます。  こういう、じゃ、この失敗はどういうことがそこから学ぶべきかでございますけれども、やはりこの場合は、外来生物を持ってくることによってこういう効果があるという利点のみが注目されてしまって、実際、じゃそれが生態系全体にどのような被害を及ぼすのかどうかという、そういった被害のおそれが十分に予測若しくは評価ができていなかったということがここで学ぶべき失敗の本質ではないかなと思います。  この法案によりまして、生態系などに被害を及ぼすおそれを判定をするということと、おそれのある生物特定外来生物指定をして、その飼育などを規制をするということを定めておりまして、正に今までの失敗を教訓といたしまして、この法案に基づいて的確に特定外来生物指定を行うことによって生態系などへの被害防止を図ってまいりたい、このように考えております。
  101. 渡辺孝男

    ○渡辺孝男君 私も、本当に生態系はやはり大事にしていかなければいけない、そのように思うわけであります。目先の利点だけに目を奪われて、それを、生態系影響等をよく判断をしていかないで失敗をしてしまった、そういう例があるわけですね。これからはそういうことがないように慎重に対応していかなければいけない、そのように思うわけです。  話題は少し変わるんですけれども、私の方の、今住んでいる山形県でも、やはり希少種、特に絶滅が危惧されるような生物、そういうものを調べておるわけです。レッドデータブックですけれども、山形版のレッドデータブックを作っておりまして、昨年動物編というのができまして、本年、維管束植物編というのが刊行されました。動物編の方では、山形県においては絶滅種が七種、それから絶滅の危惧一類というのが四十六種、絶滅危惧の二類の方が三十八種、それから準絶滅危惧種というのが百十九種、そして情報不足でよく分からないというのが五十一種ありまして、そのほかに絶滅のおそれのある地域個体種というのが十二種あります。そのほかに要注目種というのが十二種、全部合わせて二百八十五種が掲載をされております。  絶滅危惧種の一Aの分類にありますイバラトミヨ特殊群というのが山形におりまして、それを保護したい、絶滅から救っていきたいということで、東根市とか天童市に生息しているわけですが、その地域のグループの方が一生懸命取り組んでおられまして、私の方にも声が掛かりまして、実際その現場を見させていただいたわけであります。ああいう清流といいますか、冷たいきれいな水がわき出ているようなところでないとイバラトミヨも生息できないということで、現場の方でいろんな調査をしながら、力を合わせて保護に取り組んでいるわけなんですね。  昨年に、そういう地域のボランティアのグループと、あと大学先生とか、そういう学者、文化人、そしてまた地方の行政を担当されている方々が協力をしまして、東根の例でありますけれども、小見川というところに生息しているわけなんですが、小見川イバラトミヨ検討会と、別の名前で言いますと小見川塾というものを作りまして、それで調査研究をし、また保護の方を頑張っていこうという、そういう取組もなされておるわけであります。こういういろんな多様な方々が協力をして、そういうイバラトミヨ特殊型と、イバラトミヨの中でも特に貴重だと言われている、そういうイバラトミヨ特殊型を守ろうとしているわけなんですね。  その際に、今までの調査データでは、生存に対する脅威となっているものとしては、さっきお話ししましたけれども、わき水の減少と。生息に一番大事なわき水がもう減少してきていると。それから、生活排水による水質汚濁というのがやはり大きな脅威となっていると。そのほかに、地場産業としてニジマスの養殖業が行われているんですが、その同じ水系で、そういうものの影響心配だというようなお話もあります。そのほかに、今回の外来種の問題としましては、ブラックバスが流域への定着が懸念されるということになっておりまして、こういう世界的にも貴重な個体群が絶滅しないようにするためにも、やはり外来種対策というのは大事なんだなということを改めて実感をしたわけです。  そういう意味で、今回の法案政府案のですね、成立を私としては大変期待をしておると同時に、環境省としても、そういう貴重な種がもういろんな地域にもあると思うんですね、絶滅が危惧される。そういう絶滅の危惧される種を守ろうとしている地域の方々、あるいは行政もあると思うんですが、そういうものに対して支援を強化をしていただきたいと、そのように要望をさせていただいて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  102. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 私は、まず外来種の実態把握、そして水際チェックについてお伺いをしたいと思います。  外来生物の人為的な持込みは、自然が長い年月を掛けて作り上げてきた生態系のバランスを崩し、生物多様性にとって最大の脅威と言われます。特に、日本のように独特の生態系に恵まれた島国では大変大きな影響を受けます。  そこで、当たり前のことですけれども、まず、どのような外来生物がどのくらい日本に持ち込まれ、在来生物生態系にどのような影響を与えているかなどの実態を把握する、このことが外来生物対策の出発点だと思います。日本自然保護協会の資料によりますと、家畜や競走馬などを除いて、年間五億件以上という膨大な数の生きた動物が輸入されているということです。  環境省として、外来生物輸入実態をきちんとつかんでいるんでしょうか。
  103. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 海外からの生物輸入については、貿易統計、農林水産省植物検疫統計で大まかに把握しているところでございます。  例えば、動物については、二〇〇三年の貿易統計で生きた動物の輸入量約六億二千万頭が把握されております。その内訳を見ると、哺乳類については、霊長目三千六百頭、食肉目二万九千頭など分類が細分化されておりますが、無脊椎動物については、その他の動物約五億四千万匹と一くくりに扱われている状況でございます。
  104. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 つまり、全体の総数は分かるけれども、個別につかんでいるということではないわけですね。食品、輸入食品についていうと、トン数でもつかんでいるし、それから件数でもつかんでいるわけですね。一体どういう食品が日本に入ってきているかというのは、よくつかまれている。  私は、食の安全、随分取り組んだものですからよく知っているんですけれども、外来種というのは非常に問題があるわけですから、それらについてまず実態を調べるというのは当たり前のことだと思うんですね。今、五億件ということですけれども、このうちの九九・七%がその他に分類をされているわけですね。どんな種か分からない。これじゃ、私は対策の取りようがないというふうに思います。  IUCNのガイドラインでは、多くの外来生物生物多様性への影響は予測不可能と指摘をしていますけれども、どんな外来生物でも、今までいなかったそういう生物が入ってくるわけですから、必ず生態系影響があるわけですね。指定から外されてしまったそういう外来生物についても、将来にわたって生態系に悪影響を与えないという保証はないと思います。ところが、今度の法律では、特定外来生物や未判定外来生物以外は全く野放し、そして輸入実態さえ把握されないということですから、これは私はやっぱり問題だと思います。  ですから、法案ですべてカバーするということとは別に、やっぱり指定された種だけではなくて、すべての外来生物について、どういう種がどのくらいの数、国内に入ってきているのかというぐらい、最低のやはり把握をちゃんとしていくべきだと、科学的にちゃんとやっていくべきだと思いますが、その点いかがですか。
  105. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 御指摘の点について、必要性については十分感じているところでございます。  今後、外来生物対策を進めていく上で、基礎的情報の整備が必要であることは十分考えております。生物全般に係る輸入実態を把握するための効果的手法について、関係省庁とも相談し、検討をしてまいりたいと思います。
  106. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 それで、水際でのチェック体制の問題ですけれども、年間百万から二百万匹も輸入されていると推定されているクワガタムシやカブトムシの場合ですけれども、トラフィックジャパンの市場調査では、原産国で輸出を禁止しているものが二十三個体も売られていたということです。また、植物防疫法では輸入が認められていなかったカブトムシやクワガタムシ、ハナムグリ、これらが十種類が販売をされていたということです。  こうした状態が放置をされると、国内生態系に大きな被害を及ぼす、これは当然でありますけれども、原産国の希少種絶滅に手をかすということになってしまいます。ですから、許可制度とか届出制度を新設しても、こういう状態が一方で放置をされていれば、これはもうざるに水を注ぐようなものであります。ですから、水際のチェック体制をどう整備をしていくのか、その点について、環境省のやり方について、今後のやり方について説明をしていただきたいと思います。
  107. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) クワガタムシ、ランなど、それぞれの地域で育ったものでございますけれども、地球上には地域の気候などの条件に応じてこのように様々な生態系、そして生物生息環境が広がって、多種多様な生物が存在をし、また、生物多様性がそれによって確保されているところでございます。  各国にあります、また各国の中でも各地域固有生物がいるわけですが、それらを無秩序に捕獲をしたり、また生態系を破壊するような行為基本的に好ましくないものでございまして、よって、この法案におきましては、生態系などに被害を及ぼします外来生物輸入国内流通を制限することとなっておりまして、こうした措置を通じて、今御指摘ございましたような野生生物の無秩序な輸入を抑制することにつながると、このように考えております。
  108. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 植物防疫法の対象は、農業などに利用される植物に害を及ぼす病害虫等について輸入禁止しているところでありますが、一方、本法案は、農林水産業だけでなく生態系、人の生命、身体被害を及ぼし、又は及ぼすおそれがあれば特定外来生物として指定し、輸入を制限することが可能である仕組みとなっております。
  109. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今、大臣から答弁がありましたけれども、日本は全世界の珍しい種を買いあさって、そして国内で高く売っている、これが非常に大きな問題になっています。例えば、日本野鳥の会が行った外国産鳥類の販売調査によりますと、アフリカワシミミズクが百五十万円で売られる、クルマカサオウムが百二十万円、セアカノスリが八十万円という高値で販売をされていると。三十万円以上のものが各種のインコなど十七種類もあったということです。トラフィックジャパンの調査でも、希少なクワガタムシが最高四十万円で販売をされていたということです。  これまでも、日本は象牙とかべっこうなど、貴重な野生生物の最大の消費国と見られていて、そして、このお行儀の悪い代表例という、余り、余りというか大変有り難くないそういう評価があるわけですけれども、こういう珍しいものを大量に捕ってきて国内で高く売るという、こういうことについて、やはりこんなことを続けていったら、日本は地球全体の生物多様性を脅かす国として批判を強く浴びるということは明らかだと思うんですね。  ですから、この法律法律としても、とにかく私はこういうことは道義的に許されないと思います。大臣のお考え伺いたいと思います。
  110. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 希少であるからこそ、またその価格がつり上がるというような、そういう悪循環になってしまっているのかもしれません。その意味では、無秩序な捕獲であるとか、それから、何というんでしょうか、正に希少な生物動植物を、日本が手をかすというようなことは、私は道義的にも賛成できない立場でございます。それだけに、この法案がそういった外来生物輸入国内流通を制限することとして、今の御懸念のような点に大きなブレーキが掛かるものというふうに考えております。
  111. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 既にその外来生物が安易に持ち込まれたことによる生態系への侵入が大きな問題となっています。クワガタムシ、カブトムシの場合、一九九六年の規制緩和からわずか三年で、日本各地で外国産のものが次々と採取をされているということです。トラフィックジャパンが博物館に対して行ったアンケート調査でも、外国産のカブトムシ、クワガタムシが少なくとも三十個体、屋外で発見されたということです。  セイヨウオオマルハナバチの場合は、トマトなど温室栽培植物の受粉昆虫として一九九一年から本格的な輸入が始まって、現在では年間数万コロニーが輸入されているということです。その結果、九六年に北海道日高地方の民家の床下で自然の巣が発見されたのを始め、二〇〇三年までに二十五の都道府県で四千三百匹が野外で捕獲されたということです。  北海道では確実に繁殖をしているということですが、環境省認識はいかがですか。
  112. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) セイヨウオオマルハナバチは、委員指摘のように、トマトなどの温室栽培植物の受粉用に一九九一年から輸入が開始され、一九九六年には、御指摘のとおり北海道日高地方において野外の巣が最初に確認されたと聞いております。  このマルハナバチについては、専門家から、在来のマルハナバチと競合をしたり、野生植物の繁殖を妨げるなどの懸念が指摘されていると考えております。
  113. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 セイヨウオオマルハナバチについては、今後、競争力の弱い在来のマルハナバチ類への被害や、マルハナバチに受粉を依存しているサクラソウなど日本固有種への被害、花の下に穴を開けてみつを吸ってしまう、いわゆる盗みつによる受粉障害、それから在来種との交雑の危険、こういうことが現実味を帯びてきているということで大変心配をされているわけです。  外来クワガタムシについても、在来種との交雑、これも指摘をされて、テレビでもかなり大きく報道されております。  それぞれに関して私は早急な対策が必要だと、早急に対策を取るべきだと思いますが、その点いかがですか。
  114. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) どのような外来生物特定外来生物指定するかについては、もう委員承知のとおり本法律案におけます基本方針において選定考え方を定め、その上で専門家意見を聴いて個別に検討すると、こういうふうになっているわけでありますけれども、今御指摘のマルハナバチについては、そういった観点から、本基本方針の策定後、被害に関する情報を更に収集し、特定外来生物に該当するか否かを検討していくこととしたいと。また、この検討とは別に、これら外来生物が野生化することによって生態系に及ぼす影響や適切な管理の重要性について広く関係者の理解を求めていきたいということでございます。  委員が御懸念のことについては、私ども同じく懸念を持っておりますので、最大限どういう形にできるかということについても十分検討をしてまいりたいと、このように考えております。
  115. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 セイヨウオオマルハナバチについては、当初から野生化する、そういう危険性が指摘をされていたものです。それが現実に野生化してしまっているということですから、今後も、幾ら外に出ないようにするといっても、外部に漏れないという保証はないというふうに思います。  ですから、規制あるいは駆除、これも大事なんですけれども、私は外来生物を利用しないで済む、そういうような対策を早急に講ずべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  116. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 代替的な考え方、方策を考えるのもまたこれ一つ在り方だと思います。それで、在来種を使うと。温室栽培植物の受粉に活用すること、これもまだ増えているわけじゃないですけれども、広がりつつあるという私自身の認識でございます。そういった方法を用いながら、生態系影響を与えないようなほかの代替的な方法についても検討を加えていくことが必要ではないかと、このように考えております。
  117. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 外来生物というのは、一たび国内に定着しますとその被害は大変で、駆除もままならないということですから、その点はしっかりやっていく必要があると思っています。  先ほどから出されている奄美大島のマングースの問題について伺いたいと思います。    〔委員長退席、理事ツルネンマルテイ君着席〕  奄美大島では、七九年ごろに導入されたマングースが急激に増えて、八〇年代中ごろには山岳地域にまで侵入するようになったということです。先ほどハブとマングースの話が出ていましたけれども、専門の雑誌を読んでいると、マングースは昼行性のため夜行性のハブと出会うことは少なく、ハブ駆除には役に立たなかったと。だから、科学的じゃないんですよね、導入するときにも。昼間活動するものと夜活動するものと、本当に出会うことがないようなところにマングースを入れたということなわけですね。そして、それに伴って、先ほどありましたように、奄美大島と徳之島にしかいないアマミノクロウサギ、この生息域が狭められて、最近では名瀬市以北ではほとんど見られなくなっているということです。  で、アカヒゲやアマミヤマシギ、ルリカケス、カラスバトなども同様の傾向にあるということです。希少種としてのアマミノクロウサギ以外に、ケナガネズミとか、アマミトゲネズミとか、アカヒゲとか、バーバートカゲ、キノボリトカゲ、ワタセジネズミなど、これは先ほど答弁がありましたけれども、これらがやっぱりかなり被害を受けているということです。それで、環境省として外来生物による被害防除のモデル事業として二〇〇〇年度から奄美大島のマングースの駆除を行っていて、現在千五百から二千五百頭になっている、減らしているということは先ほど答弁にありましたけれども、そういうことになっています。  このマングースの駆除についてですけれども、現地の実態、いろいろ伺うと、集落の周辺は自治体の有害駆除対策で行う、山岳部は環境省外来生物対策として行ってきたわけですね。いずれもマングースを捕獲した数に応じて奨励金を支払うというやり方で、個体数を四分の一程度まで減らすという一定の効果は上げたと思います。それは効果が上がっていると思うんですけれども、しかし、当初の四千頭捕れていたものが現在では半分くらいに減ってきている、つまり確率が落ちているわけですね。有害駆除というのは農業被害が減ればもうやめてしまうわけですね。それから、環境省が担当してきた山岳部も、捕獲できる数が減ってきて割に合わないということで、わなを掛ける人が大幅に減ってきているということです。  マングース駆除を一生懸命しておられるボランティアの方の話を伺ったんですが、わなは貸与される、しかし、その車やガソリン代は自分持ち。その方、女性だったんですけれども、重いわなを背中に四つ背負う、そして両手に二つずつ持つというんですね。それで山を、もう今山の中に入っているわけですから、山の中を歩かなければいけない。ハブが生息する山の中ですから、本当に怖い思いをして入っていってわなを仕掛ける。しかもその希少種の混獲を防ぐために毎日見回りをしなければならない。名瀬市から出掛けていって五、六時間掛かるということです。最近は一週間一匹も掛からないということもあるそうです。これでは私はやる人がいなくなるのも当然だ、そう思いました。  こういう人任せのやり方では、山岳地帯など難しいところは駆除が進みませんね。そのため、生息数は減っても生息範囲は拡大しているんだと思うんです。マングースは元々たった三十頭、島に入ったんですよ、移入されたわけですね。それが放されて一万頭にまで増えちゃったわけですね。それほど繁殖率が高いんですね。四分の一に減らしたといっても、ほっとけばまた増えてしまいます。  外来生物被害防除というのは、個体数を九割減らした後、あと残りの一割を根絶し切る、そういう詰めの対策が一番大変だといいます。奄美のマングースについても、今日の時点できちんと私は環境省のモデル事業の総括を行う必要があるというふうに思っています。そして、どこでどれだけ成果が上がったのか、現在のマングースの生息状況は推測ではなくてどうなっているのか、そしてアマミノクロウサギなど在来種生態系がどう変わったのか、そういう科学的な調査と分析を行う。これまでの取組の効果や問題点を明らかにして、まず根絶を目的としたそういう計画をしっかり立てるべきだと思いますが、その点、いかがですか。
  118. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) おっしゃるとおりでありまして、減少したことは確かでありますけれども、その分だけ生息密度がまばらになっておりまして、捕獲事業がより困難になっていることも事実であります。    〔理事ツルネンマルテイ君退席、委員長着席〕  これまで実施しながらいろいろ検討した技術的なこと、科学的なことがありますので、その結果を整理、今始めているところであります。より効率的な捕獲の方法、これはわなの大きさなり手法もあります。分布域の縮小と分断化をして、部分的に徹底的にたたきながらいくというようなやり方などを検討、整理をして、島から完全排除に向けて計画的に防除を進めてまいりたいと思っております。
  119. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 根絶をするためには目標を設定する、計画を立案する、そのほかに捕獲のための新たな駆除技術の工夫だとか計画的、専門的に取り組む体制の整備、人員の確保、そして効果の判定や、それから広報、こういうことなど多くのことが必要になってきます。そのための行政や研究者、NGO、捕獲従事者などの連携も必要です。重要です。  ニュージーランドのカピティ島では、袋ギツネの根絶に五人の専属チームを編成して、そのほかに大勢のボランティアが参加をしたということです。さらに、モニタリングは根絶チームとは別のスタッフが行っているということです。防除方法も袋ギツネの行動特性に応じたわなの掛け方を工夫をしているということでした。面積は、奄美大島はこのカピティ島の三十五倍もあります。ところが、常勤の作業員というか作業者ですね、この方はわずか三人しかおられないんですね。これは余りにも少な過ぎると思います。  防除技術も、外来生物在来生物の生息実態や生態を綿密に調査研究をする最も効果的でしかも在来生物被害を及ぼさない、そういう方法を工夫していかなければならないんだけれども、そういう体制も今のところない。奄美のマングース対策の環境省予算というのは、三年度千三百四十万円なんですね。ほとんど報奨金でなくなっちゃっているんです。モニタリング調査や駆除技術の開発、体制作りの予算、これらにはほとんど回らない。これじゃこれからの見通しが私は全く立たない、そう思います。  奄美のマングース対策というのは日本における外来生物防除のモデルケースなんですね。奄美と沖縄なんです。そこをしっかり防除していけば、本当にこういう被害はなくなっていくわけですから、そして世界でも政府レベルでのマングース根絶というのは初めての試みだということです。国際的にも注目されています。本気で奄美大島のマングースを根絶をするために必要な予算、体制、大幅に拡充して、NGOの皆さんの力もかりて取り組むべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  120. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 完全防除ということ、完全駆除ということをもちろん目標にはしたいと思いますが、残念ながらこれまで国際的にマングースを導入した島において排除に成功した事例はないと聞いております。それだけに、先駆的に取り組んだらどうかという委員の御指摘だというふうに思いますけれども、これまで四年間にわたって捕獲事業も進めてまいりました。捕れば捕るほどまばらになって、対象物が少なくなって、確率はその分下がるという、この辺のジレンマもございましょうけれども、いずれにいたしましても、マングースの根絶に向けた防除事業については、総合的な取組充実をさせていこうと考えております。
  121. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 局長、このマングースの駆除については、三十頭が一万頭まで増えたんですね。そして、今千五百から二千五百ぐらいのところにあるけれども、今申し上げたような、もうずうっと言いましたように、大変大きな課題があるわけですね。ただ、外国ではそういう問題を乗り越えていこうということで、面積は小さいけれども、一つのやり方としてのその指針というのはあるわけですね。私は、日本でそういうことができないはずがない。環境省が知恵を出し、そして自然保護団体の皆さんの知恵もかりて、とにかくこのアマミノクロウサギほか、奄美というのは特殊な豊かな環境が残された島ですね。  私もちょうど、アマミノクロウサギに非常に執着をしているのは、昔、国土・環境委員会のころに奄振法がこの委員会にかかったんですね、奄美の振興法ですね。それで、この法律は何なのかということで、勉強のために奄美大島まで行ったんです。それで、現地でこの問題を知って、ちょうど一九九九年、五年前ですよね、ちょうど今から。それで、これはもうえらいことだというふうに思って、何とか予算を付けて環境省にやってほしいということをこの委員会で申し上げました。  そして、環境省は、ずっとその前から県でも取り組んできたし、環境省がそういう援助をして、モデル事業としてやったというのは本当にすごいよかったなと思っているんですけれども、それはそれとしても、中途半端に終わらせたら三十頭が一万頭になるんですよ。だから、今中途半端で終わらしたら、えらいことになると。  この法律ができる機会ですから、やっぱりもうびしっとやるということで、どうですか、局長。
  122. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 私事ですが、私も鹿児島県にいた経験があって、奄美のことはよく知っているつもりであります。マングースの駆除についても、専門家の人といろんな議論をしながら今の事業をやって、ここまでに至ったという認識を持っております。  先ほどお答え申しましたように、今後、やや技術的に高度なことが要求されると思いますが、根絶に向けて努力をしてまいりたいと思います。
  123. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 先ほどツルネン委員質問された点でちょっとダブるかもしれませんけれども、これまでの駆除というのは予算、体制が極めて貧弱であるということに加えて、特定の土地所有者の協力が得られない、これが重大な障害となっております。これは奄美だけではなくて、恐らく全国的にそういう例があると思います。  外来種の、そういうその入れない地域を残すということは、これはもう外来種の供給源に成り代わっちゃうわけですね。結局、そうすると、駆除を一生懸命片方でやっても、結局、駆除のための税金が無駄遣いということになってしまうわけです。私は、そういう意味では重大だなというふうに思っています。  法案は、他人の土地でも防除に必要があれば国や自治体の職員が立ち入って捕獲できる、こういうふうになっていて、先ほどもその土地所有者の意見を聞いてちゃんとやれるんだというふうに答弁がありましたけれども、もう一度確認をしておきたいと思います。  土地所有者が協力しないということで防除できないということは絶対に起こらないでしょうね。
  124. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 外来生物防除の必要性というのは、土地所有にかかわらず必要なものは必要であるということであります。  今度の法律においては、防除が必要な場合には土地占有者などの同意がなくても他人の土地に立ち入り、特定外来生物捕獲等の支障となる木などの伐採ができることと法律の案としてはなっております。  ただし、同意のない立入りは強力な公権力の行使でありますから、必要な防除は積極的に進めるということは確認しつつ、防除の実施前には可能な限り関係者間の合意を図りたいと思っております。
  125. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今日の最後になりますけれども、防除の際の在来生物保護の問題です。  法案では、防除に関するその大臣の公示に適合した防除をするということが確認されれば、鳥獣保護法の適用が除外されるとなっています。鳥獣保護法では狩猟に伴う安全の確保や無秩序な捕獲防止するとともに、様々な規制が設けられていますね。例えば、鳥獣の保護に支障を及ぼすかすみ網や大型のとらばさみなどは禁止をされています。毒薬などの危険猟法は大臣許可を得なければできないとなっています。猟銃の使用についても、場所や時間について厳しい制限があります。わなについても標識を義務付ける、設置個数も制限されています。狩猟の免許を取得して都道府県に狩猟登録をしなければ、銃やわななどは使えない。  こういう厳しい規制があるわけですけれども、こうしたその鳥獣保護法の適用を除外するということになりますと、防除の名目で錯誤捕獲とか混獲とか違法捕獲だとか密猟、これが入り混じって在来生物保護に重大な支障を来すのではないか、今非常に心配をされています。  そこで、防除の方法、従事者が守るべき事項などについて、地元の皆さんや特に学者、専門家、NGOの方々ともよく話し合って、生態系在来生物を害さないようにやるべきだと思いますけれども、局長、いかがですか。
  126. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 混獲その他の外来生物捕獲に関する問題は、午前中も指摘を受けて答弁したところでありますが、配慮事項についてまず基本方針に記述する、それから防除計画を立て、公示する際にその条件等について明文化する。そのほか、おっしゃったように、防除計画を作って、防除をする際に広く専門家その他の意見を聴くということは心掛けてまいりたいと思います。
  127. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 その他って、NGOの皆さんからも聴いてくださいね。
  128. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) これまでも聞いてまいりましたし、今後とも努力したいと思います。
  129. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  130. 田英夫

    ○田英夫君 私が小学生のころですから、もう七十年ぐらい前、昭和一けたの時代ですが、小学校の多分理科の時間だったと思うんですが、先生がヒメジョオンという雑草ですね、三、四十センチの高さになって白い花が咲くんですが、今でも恐らく日本じゅうにあるんだろうと思います。これが今から思い出すと、正に外来生物によって日本の生態系が乱されたということの始まりというか、もっとあったのかもしれませんが、当時はこれが猛威を振るったということを先生が話してくれたのを思い出します。今、ようやくこの外来生物の問題が法律になっていくということになったわけですけれども。  朝から皆さんの御意見を聞いて、質問を聞いていて思うんですが、これはもう政府・与党とか野党とかいうことももちろん、NGOの皆さん、一般の国民の皆さんのこの総意で、総力でやらなければいけない問題になってきているなと思います。  一方で、特に象徴的なのはペットの問題で、先ほどからペット中心とした輸入の話が出ておりますが、私のいただいた資料でも物すごい数の動物がペットのために輸入されているという時代ですから、今回のこの法律を作って実際にやり出してみても、なかなかこの防除が進むというところに持っていくのは大変だろうと思いますね。  まあ全く私は釣りはやりませんけれども、ブラックバスの問題なんかだと、恐らく釣りの愛好家の皆さん、会を作ったりしておられるようですから、しかもあれはかなり大きくて気持ちがいいらしいですから、これを防除するぞということになると相当な抵抗も予想されると。そういうものを乗り切っていける体制と雰囲気を作っていくということが何よりも大事じゃないかなと思います。  同時にまた、この日本という国は亜熱帯から亜寒帯まで、南北というか東西というか、非常に長い、しかも島が多い。こういう状況の中で、地域的に非常に限られた地域外来種による被害というのが起こってくると。今、マングースのお話がありまして、これはかなり人為的ですけれども、そういうときにどういう体制を取ったらいいのかという中で、私は、もっと都道府県単位に、自治体単位に対応できる、特に防除の問題は環境省は旗を振る係で、むしろ実際に防除する現場は自治体になるんじゃないかということですね。そうすると、それがやりやすいような法律にしていかなければならない、それにはどうしたらいいかという、そこのところがちょっとこの法案を見る限り、もう一つ不安がありますが、局長、いかがですか。
  131. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 哺乳類なんかが一番例としていいと思いますが、県境を越えて蔓延するおそれがある、あるいはマングースでいいますと、今は沖縄と奄美だけですが、蔓延する可能性は恐らく、東北、北海道を除けば全部、日本全体にあると思うんですね。そういうことからすると、まず国が特定の生物のリストを作って、これは全国的に抑制すべきであるということをはっきりさせるというのがまず必要であると思います。  加えて、おっしゃるとおり、防除などの現実地域に即して言えば、自治体なり地域の主体でやることが望ましいというのもおっしゃるとおりだと思います。  今度の法律は、まず、国が主体的に中核としてやる場合でも、都道府県意見は調整をして連携をするということがまず第一ですし、都道府県がやりたい、あるいは市町村がやりたいと思ったときは、確認なり認定を受けて、鳥獣保護法なり、立入検査権も持つことが可能になるように、むしろ応援する仕組みを考えたつもりであります。  また、今既に特定の種について都道府県、市町村単位でかなり外来種の駆除を自主的に行っている、たくさんありますが、それについては、もちろん否定するものでも何でもなくて、むしろ歓迎しつつ、もっとやってもらいたいというふうに思っております。
  132. 田英夫

    ○田英夫君 そういう意味で、もう一つ大きな問題は、公開性といいましょうか、どこでその外来生物による被害が起こっているのか、どういう種類の被害が起こっているのかということをまずつかむことが、いち早くつかむということが非常に重要なわけで、今既に知られているものはともかくとして、そういう事態が起こってきたときにすぐに対応できる、そういう情報を公開すると同時に情報を収集するという、そういう感覚が非常に大事だろうと思うんですが、今分かっているところで、外来種で日本に既に定着している、そういう種は何と何があるのか、動物はどういうものなのか、植物はどういうものなのかというようなことをつかんで、まずつかんでないといけないし、新しいものが入ってきたらすぐにそのまた情報をつかんで、それが大丈夫なのかどうかということを判定しなければならないという、それは法律へ入っているわけですけれども、そういうことになってくると思うんですね。  今、政府というか環境省は、そういうのをどのくらいつかんでいるという自信があるんですか。
  133. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 環境省と申しますか、中央環境審議会でこの法案を検討しますときに答申を前提としていただきました。そのときの整理では、明治以降に日本に外国から入って定着しているものだけで約二千種と、こういうことになっております。
  134. 田英夫

    ○田英夫君 この二千種というものを、先ほど、午前中に民主党案の提案者から御説明がありましたけれども、台帳を作れということが民主党案には入っているんですね。これは私は本当に一つ基本的な知恵だと、知恵といいますか、必要なことだと思いますけれども、その二千種から始まって、それを台帳の基にして、一目瞭然こういうものがありますと、その中で非常に危険なものと有害でないものというような区分けをした表ができると、これは一般の皆さんにとっても、あるいはNGOの皆さんにとっても貴重な資料になると思いますが、そういうことをやろうという気はありませんか。
  135. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 外来種で定着しているもの二千種のリストは既にあるとお考えいただいていいと思います。  民主党案の中に入っている生物台帳の私の理解は、国内に生存する種、恐らく数十万は最低でもあると思いますが、分類されて確定したものは九万種であります、動植物を合わせて。その数十万種の台帳を作って、外国に恐らく分かっているだけでも二百万種程度ある種が入ってくるときに、その台帳にないものはいったん止めてそこでチェックをすると、こういう仕組みだと思うんです。  その場合に、私が考える問題点は、まず、日本に存在する動植物生物台帳を作る段階で極めて長時間が掛かるというのが分類関係生物学者の一致した意見なんですね。そうしますと、そこで最低でも数年単位で掛かるという前提に立つと、今外来種問題が全地域的に頻発していて、大変緊急を要する問題だというときに対応できるかどうかということが大きな問題だというふうに思っております。  ただ、国内生物台帳を作って、そういう形で生態系を把握して、生物多様性保全に進んでいくというのは当然の考えだと思いますから、この外来種法の法案の議論とは別に、その台帳を作ったり生物の現状を把握するということは同時並行でやるべきであると思っております。
  136. 田英夫

    ○田英夫君 是非そういう基本をやっていただきたいというふうに思います。  それから、今回のこの法案を実際に進めていく段階で、やっぱり冒頭に申し上げたように、あらゆるNGOあるいは科学者、そういう皆さんの知恵を出していただく体制を取るべきで、今言われた台帳的なものもそうですけれども、その中からどういうものが危険だろうか、どういうことが起こるだろうかということを専門知識を持った方々によってウオッチしていただくというかな、そういう機構を、科学的に分析する機構を、研究する機構を持っていた方がいいんじゃないかと、科学委員会とでもいうようなものを作る、置いていた方がいいんじゃないかと思いますが、それはどうでしょうか。
  137. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) まず、環境庁以来の三十年の中で、自然環境の現状を把握するために自然環境保全基礎調査、緑の国勢調査というふうに言っておりますが、その調査の中では恐らく数千人単位の専門家、学者、それから特に動物調査野鳥調査については野鳥の会を始めボランティアの非常に大きな協力の中で日本の自然環境の現状を把握してきたという事実がございます。今後ともその考え方維持すべきだというふうに思っております。  また、この外来種に関して科学評価委員会を設けてはどうかと、常設のということでありますが、それは考え方においてはもちろんそれはいい考え方だというふうに思っておりますが、まず外来種に関して専門家委員会等を作る場合に担保されるべきは、専門的にちゃんとした科学的判断ができる体制であるということと、公開が担保され、透明性が担保されるということが必要だと思います。午前中の答弁でも申し上げましたが、専門家を何十人か集めれば判定ができるというものでは実はなくて、分類群ごとに極めて特殊の専門家の集団と議論と知見というものを集約する必要があります。  そういう意味では、我々が提案しておりますように、専門家の会合を作って、そのブランチで更に細かい専門家群というものと議論する体制というのが最も現実的だと思っております。
  138. 田英夫

    ○田英夫君 本当に是非、総力を挙げてということができるように、特に専門家の皆さんの知識意見を取り入れることができるような体制を是非取っていただきたいと思います。  それから、先ほども申し上げたように、もちろん全国にまたがって被害が起こるということが一番怖いわけですけれども、現実には、ある特定の地域に非常に問題が起こるという、マングースなんかは人為的とはいえ非常にその特徴的なものだと思いますが、そういうところを、北海道なんかにも多いかと思いますけれども、重要な地域、この外来生物被害から守るということの一連の中で特にここは重要な地域と、それ都道府県単位でやるかどうかということは問題がありますけれども、そういう地域指定するというような考えはありませんか。
  139. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) この法案は、特定外来生物生態系被害を及ぼすことについて必要な規制を行うものでありますが、委員がおっしゃったように、特定地域現実には入って影響を起こす、問題現象を起こすということになると思います。  重要管理地域考え方ですが、生態系として特に貴重な地域についてどう対応するかということで申し上げますと、我々の今の考え方は、自然公園、鳥獣保護区など、我々が既に持って運用しております制度、地域というものを生かして、それを更に規制を強化するなり充実するなりということで対応してまいりたいというふうに考えております。
  140. 田英夫

    ○田英夫君 もう一つは、細かなことですけれども、未判定外来生物の問題で、これは危ないぞというその判定の期間を六か月にしてあるわけですけれども、これは早くという意味で一つの期間を作られたんでしょうか。これはもっと先まで、判定が六か月で出なかったけれどもこの問題は引き続きということになるのかどうか、この六か月という期限を設けられたのはどういう意味がありますか。
  141. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 判定のために届出をする者から既に基本的な情報は得るということが前提でありますが、それを専門家が外国文献あるいは国内文献などを分析して海外の専門家意見交換するなどの作業期間、それからパブリックコメント、WTOの通報手続などの時間を物理的に合わせますと、同時並行で行う部分も含めて半年程度で判断できるというふうに考えております。
  142. 田英夫

    ○田英夫君 冒頭に七十年前の話をしましたけれども、ある意味ではうれしいことですけれども、今回この法案が提出をされ、民主党の皆さんはまたいち早くそれに対する対案を出されるという状況もあって、国民の皆さんの中に、やはりこの外来生物の問題についての関心というのは非常に高いということを私も感じました。  是非、そういう意味も込めて、この問題、重ねて申し上げますが、皆さんの知恵を結集できるような、そういうふうに、場合によっては、これを余り固定して考えずに、修正しながらいいものを作っていただくということでやっていただきたいということをお願いして、終わります。
  143. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。  私は、特定外来生物による生態系等に係る被害防止に係る法律案について、思ったことを質問させていただきます。  環境に良いことをすると恩恵を得られるシステムというのを私は考えているんですが、本来の生態系外来生物被害から守ろうとする趣旨はもちろん理解します。環境の悪化を防ぐために規則を加えることも特に必要かもしれません。ただ、一方で、本来の生態系を更に強化し健全なものにするための努力もすべきではないかと思うんです。つまり、生態系に良いことをすると恩恵を得られるシステムを外来生物というカテゴリーにおいても導入すべきだと考えるんです。いつも罰則だけでは何か暗くなると思うので、良いことをすると恩恵を得られるということを考えてみたらどうかと思うんですけれども、どうお思いになりますでしょうか。
  144. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) いつも委員は、前向きに取り組んでいる方にはむしろもっと励ましをという御趣旨で今日も御質問をいただいていると思います。  例えば、みどりの日には自然環境功労者環境大臣表彰をさせていただいておりまして、これは生態系を含めて自然環境保全に功績があった方への表彰制度でございます。例えば、在来の植物で緑化を行う自然再生に功績があった方なども表彰の対象になり得るかと思います。  今後とも、こうした表彰などを通じまして、自然環境保全に向けた積極的な活動を促してまいりたいと考えております。
  145. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 ありがとうございました。  やはり罰則だとどうも隠れてこそこそやったりするので、何かいいことをしたら恩恵を得るというのが明るいように私は思うんです。  それから、これは同じような質問なんですけれども、外来生物の中でそれが日本の生態系とうまくなじみ、むしろその生態系が更に活性するような生物があると考えるんです。規制を加えるというのとは逆の意味で、環境を更に良くするために特定外来生物指定して、その種の積極的な輸入を視野に入れるべきではないかと思うんです。  例えば、海外の樹木を輸入して植林しようとする方を優遇する措置を取るというのはどうでしょうか。それは地球温暖化を防ぐためにも実質的だと思うんです。CO2の削減を率先して行う必要がある日本が取る政策としてふさわしいのではないでしょうか。やはり、いいものを輸入するという考え方はいかがでございましょうか。
  146. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) この法案では、生態系や人の命、そしてまた身体、また農林水産業影響を及ぼすおそれのある特定外来生物についての規制を行おうというものでございますが、かといって、被害を及ぼすおそれのない外来生物までも、何というんでしょうか、過剰に規制する必要はないと考えております。  ただ、御指摘のありますように、善かれと思って入れたものが結果的に生態系を乱すことになった例などもございますわけで、外来生物を積極的に入れることをどんどんやりましょうというような立場にも一方ではないということを御理解いただきたいと思います。
  147. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 そうだと思います。ただ、いいものを入れるという視野も是非持っていただく、持ったらいいと思います。  それから、中央環境審議会の審議プロセスや、環境大臣の特定外来種選定基準や選定の理由などの情報を、これははっきり公開すべきだと思うんですね。もちろん、大臣を信頼していますけれども、どんなプロセスを経て決定されるかは国民にとって大きな関心があると思うんです。やはり、オープンな審議プロセスを経るというのが国民の知る権利の視点から考えても必要だと思うんですけれども、どうお思いになりますでしょうか。
  148. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) これは、午前中もこの辺について議論のあったところでございますけれども、特定外来生物指定に当たりましては、まず中央環境審議会、この意見を聴いて、基本方針において選定考え方を定めると、このように考えているところでございます。  また、具体的な指定に当たっては、この法律案法律になった後に、この法律に基づきまして専門家意見を聴くこととしております。また、その際には公開を当然していくわけでありますけれども、パブリックコメントを求めることを行ってまいりますし、先ほど、午前中に話がありましたように、専門的知識あるいは経験があるNPO等の意見も聴いていくことについて、そういった面での透明性の確保を図って、積極的な対応をしていきたいと、このように考えております。
  149. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 是非、透明性を尊重していただきたいと思います。  環境大臣は、この法律により、特定外来生物を決定するという大きな権限を持っていらっしゃることになります。それゆえに、様々な利権の誘惑が出てくる可能性があると思うんです、つまり、どうしても仕事上にあれを輸入したいとか。その誘惑に負けることなく、しっかりと選定基準を設け、私利私欲に流されない選択を常にしていただきたい、もちろんそうなさるとは思うんですけれども、それで、もう一度決意を伺いたいと思います。
  150. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) この法案の施行に当たっては、まず基本的に透明性であるとか科学性の確保、これが重要でございます。また、種の指定に際しては、この基本方針に基づいて、特定外来生物、未判定外来生物指定の基準となる選定考え方はこの基本方針に明らかにし、そしてこの基本方針に基づくことになりますし、また、学識経験者の御意見を伺うということでございまして、御懸念のようなことは起きないよう、着実に種の指定は進めてまいりたいと考えております。
  151. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 分かりました。環境行政は大変なことだと思いますけれども、みんなで努力していきたいと思います。  今日は終わります。
  152. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回は来る十三日午前九時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十五分散会