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2004-03-24 第159回国会 参議院 環境委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月二十四日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         長谷川 清君     理 事                 愛知 治郎君                 小泉 顕雄君                 清水嘉与子君                 海野  徹君             ツルネン マルテイ君     委 員                 大島 慶久君                 山東 昭子君                 田中 直紀君                 日出 英輔君                 真鍋 賢二君                 小林  元君                 福山 哲郎君                 加藤 修一君                 山下 栄一君                 渡辺 孝男君                 岩佐 恵美君                 田  英夫君                 高橋紀世子君    国務大臣        環境大臣     小池百合子君    副大臣        農林水産大臣  市川 一朗君        環境大臣    加藤 修一君    大臣政務官        環境大臣政務官  砂田 圭佑君    事務局側        常任委員会専門        員        大場 敏彦君    政府参考人        林野庁森林整備        部長       梶谷 辰哉君        林野庁国有林野        部長       辻  健治君        資源エネルギー        庁電力ガス事        業部長      寺坂 信昭君        環境大臣官房廃        棄物・リサイク        ル対策部長    南川 秀樹君        環境省総合環境        政策局長     松本 省藏君        環境省総合環境        政策局環境保健        部長       滝澤秀次郎君        環境省地球環境        局長       小島 敏郎君        環境省環境管理        局長       西尾 哲茂君        環境省自然環境        局長       小野寺 浩君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成十六年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十六年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十六年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (総務省所管公害等調整委員会)及び環境省  所管)     ─────────────
  2. 長谷川清

    委員長長谷川清君) ただいまから環境委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、林野庁森林整備部長梶谷辰哉君外八名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 去る二十二日、予算委員会から、本日一日間、平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総務省所管のうち公害等調整委員会及び環境省所管について審査委嘱がありましたので、本件を議題といたします。  本件説明につきましては既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 おはようございます。  今日は委嘱審査ということで、改めて環境省予算状況を見せていただきました。環境省一般会計が、予算が二千八百三十七億円、特会が百二十五億円ということで、恐らく省庁の中で一番小さな規模の予算であろうかというふうに思っております。  私、ちょうど二十世紀の最後の年の予算作りに参加させていただいたんですけれども、そのときに何とか一千億にしたいというのが希望でございました。残念ながら一千億になりませんでした。たしか九百八十数億だと思います。それから見るとすごい増えたという感じがするのですけれども、しかしこれをよく見ますと、その半分は廃棄物リサイクル対策ということでございます。じゃ、リサイクルはどのくらいかというと大したことなくて、九五%は廃棄物処理施設整備費だということでございます。そうなりますと、ちょっと環境省予算だけ見ますと、これは本当ごみ処理省みたいな感じになってしまうわけでして、大変何か残念な気がしてなりません。ごみ処理の問題、これはもうかなり前から整備計画を持ってやってきていると思います。相当な整備が続けてこられたと思いますけれども、この状況が、この整備状況がこれからどうなるのか、これからも続くんだろうかということをひとつ御質問申し上げたいわけです。来年度の予算でどのような整備が行われるのか、また今後の施設整備方針をお伺いしたいと思います。
  6. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) お答え申し上げます。  ここ数年でございます、ダイオキシン問題が極めて高い社会関心を集めたこともございまして、焼却施設の更新あるいは改造というところに全力を挙げてまいりました。  また、来年度以降でございますけれども、この施設整備事業につきましては、人口が比較的まばらな地域水質保全のための浄化槽整備、あるいはPCB処理とございます。というものも重点的に考えております。また、廃棄物という意味でも、かつて埋立てを、生埋めなどを行いました処理施設の、もう一度掘り返してごみを小さく処理してまたそこをごみ捨て場処理場処分場として使うと、そういった埋立処分場再生事業、あるいは廃焼却炉解体事業、そういったことで、環境保全全般をにらんで循環型社会の基盤を支えていく、そういった施設整備が必要だということで、そういったことで構成をしておりまして、全体で千百二十三億円という施設整備費でございます。  今後の方針でございますけれども、全国の多くの地域におきまして、一定水準以上のリサイクルあるいは廃棄物適正処理が確保されますように、循環型社会形成ということを念頭に置きながら進めてまいりたいと考えております。
  7. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 この最終処分場が非常にタイトである、したがってその今のごみの、掘り起こしてまた焼かなきゃいけないんだということで、これは大変な事業が長く続くなという感じでございますけれども、今、部長の御説明のように、焼却炉というとダイオキシンの問題がどうしても引っ掛かるわけでございますけれども、この平成十四年度末に全国ダイオキシン類排出総量平成九年度に比較して九割削減するという目標があったはずでございますけれども、この目標一体達成見通しが立っているのでしょうか、お伺いします。
  8. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今、冒頭に清水委員の方から環境省予算のことについても一言触れられました。大臣に御就任の際にどれぐらいの予算を、そしてまたどれぐらいの人員でこの環境行政が行われているかというのは一番基本的な資料といいましょうか、情報として押さえなければならないということで、私も最初環境省予算、どれぐらいかと、また霞が関の中でどれぐらいの位置を占めているのかと。一番予算が少なくて、二番目に少ない予算がその他の項目でありまして、環境省予算の二倍がその他に当たっていると。そしてまた、その中でごみの問題が一番割合が高いということで、しかしながら今循環型社会形成という目指す中で、その予算をこれからもっともっと効率的に、また国民にとっても安心で安全な社会形成のためにやっていかなければ、環境行政を進めていかなければという思いを強くしたところでございます。  今御指摘ダイオキシン類対策ですけれども、平成十一年当時の、このときは真鍋大臣でいらっしゃいましたけれども、大変なリーダーシップを振るっていただきまして、関係閣僚会議ダイオキシン対策推進基本指針が策定されたところでございますし、また、議員皆様方によって議員立法ダイオキシン類対策特別措置法が制定されたことは既に御承知のとおりだと思います。それからずっと政府が力を挙げて全力で取り組んでまいりまして、排出量削減は着実に進められてきたというところでございます。  それで、削減目標に関しての達成評価の確定なんですけれども、この秋に取りまとめます平成十五年の排出インベントリ、これによって行うことになるんですが、昨年の十二月に公表した予測結果があります。これによりますと、平成九年に対して約九一%の削減が見込まれているということで、約九割削減ということを正にその目標が十分に達成できる見通しと、こういう状況になっております。
  9. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 九割削減というのは本当に高い目標だと思っていましたけれども、かなりな皆さんの努力でそれが達成されそうだということ、大変うれしく思っております。  ただ、そのごみ焼却施設ダイオキシン対策を急速に進めたことから、かなり建て替えをした焼却炉があるわけですね。もう廃炉になってしまったところ、それが大体もう六百施設ぐらいが廃炉になってしまっていると。それがちっとも解体されないで非常に今大きな問題になっているということでございまして、この十六年度の予算でその廃炉解体に何らかの配慮を加えたというふうに伺っているわけですけれども、具体的にどのようにこの解体を進めていかれるか、またそれにどんな予算を付けているのか、お伺いしたいと思います。
  10. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) お答え申し上げます。  従来は、ダイオキシンの規制に伴いまして廃炉になりました施設の中で、どの程度ダイオキシンに汚染されておるかという測定費用について国庫補助を行うことを中心とした対応がされておりましたが、これでは廃炉解体が進まないということで、全国市町村長から強い要請を受けておったところでございます。  十六年度からでございますけれども、これまでの措置に加えまして、排出されたごみ焼却炉の跡地の全部又は一部を利用してストックヤード、あるいはごみ施設リサイクル施設などを整備することを前提に、将来において整備することを前提にいたしまして、排出されたごみ焼却施設が円滑に解体できるような補助金を設けたところでございます。また、これにつきましては地方財政措置も講ずるということで、何とかこれによりまして廃炉解体を進めたいと考えております。
  11. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 焼却の前にやはりリサイクルがしっかりできなければいけないわけでして、循環型社会形成推進基本法の下にいろいろなリサイクル法ができているわけでございます。今度また自動車リサイクル法施行されるということでございますけれども、まず各種リサイクル法に基づきますリサイクル率状況、その成果、その辺をどういうふうに見ていらっしゃるか、お教えいただきたいと思います。
  12. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) リサイクル法でございます。いろいろ委員指摘がございますように、容器包装リサイクルから家電食品建設、そして来年から全面施行いたします自動車まで五本のリサイクル法があるわけでございます。主にこれに基づきまして現在リサイクルが進められております。  一番早く施行されました容器包装リサイクルでございます。これは平成九年の四月から施行されておりまして、リサイクル量は着実に増加はいたしております。例えばガラス瓶、スチール缶アルミ缶、こういったものについては平成十四年度におきまして八割以上が回収される、リサイクルされるということになっております。  また、家電リサイクルでございます。これは冷蔵庫、エアコン、テレビ、それから洗濯機といったものを対象に、四品目を対象にしましてリサイクルを行うことになっております。施行平成十三年四月からでございますのでまださほど日はたっておりませんが、実際にリサイクルに回された台数が平成十三年度は八百五十万台であったわけでございますが、十四年度には千十五万台ということで、多いか少ないか判断難しゅうございますが、着実に増加をいたしております。  それから、食べ物の関係食品リサイクル法でございます。これは食品産業を相手にいたしております。食品産業といいますのは食品を作っている工場あるいは食品を扱っているスーパーマーケットなど、また実際の食堂、大きな食堂でございますが、外食産業でございます。これにつきまして、平均しましてリサイクル率が四二%ということでございます。まだこれも十三年五月からでございますので、今後是非増やしていきたいと考えております。  それから、建設リサイクル法でございます。これは平成十四年の五月からの施行でございます。比較は難しゅうございますが、全体としまして受けております印象としまして、いわゆるミンチ式の、家をつぶしてしまうという解体が減ったということでありまして、そういう意味リサイクルも行われておりますし、またそのミンチ式解体に伴う不法投棄の減少にも役立っているというふうに理解をしております。自動車はこれからでございます。  いずれにしましても、この五本の法律中心にしっかり運用しましてリサイクルを進めていきたいと考えております。
  13. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 このリサイクル、どのくらいやっているのかと思ってデータを調べたいと思ったんですけれども、なかなかデータが遅いんですよね。遅いというか古いんですね。やっと今十三年度のが見え出したということであって、もうちょっと早くできないのかなというふうに思っております。  それから、各種リサイクル法につきましては、附則見直し規定が付いているはずでございます。それぞれのリサイクル法についてまだ実態がよく分からないうちなんですけれども、見直しのスケジュール、どんなふうになっているでしょうか。
  14. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 各々、法律附則におきまして見直しの時期が明記をされております。順次申しますと、容器包装リサイクル法につきましては平成十七年十二月まで、家電リサイクル法につきましては十八年四月まで、食品リサイクル法につきましては十八年の五月まで、建設リサイクル法につきましては十九年五月までということでございますので、それを経過しました段階におきまして法律施行状況について検討を加えるということで考えております。  いずれも非常に身近な商品が多いということでございまして、大変関心を持つ方が多うございます。これは企業も多うございますし、市民の方、NGOの方が非常に多うございます。私ども、その着実な施行を図るのはもちろんでございますけれども、施行状況の点検につきましても、できるだけ幅広く多くの方の意見を聞きながらしっかりと進めていきたいと考えております。
  15. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 確かに今お話を伺いますと、リサイクルがそれぞれの法案に従ってかなり進んできているという報告を伺いました。確かに進んではいるのですけれども、この循環型社会形成推進基本法のもっと基本には、そもそも廃棄物削減する、もう廃棄物を少なくするんだというのがあるはずなんですけれども、どうも感じとして廃棄物が少なくなっていないんじゃないかという感じがしてなりません。廃棄物削減に対して政府も業界もちょっと取組が後れているんじゃないかという感じがしてならないんですけれども、最初見直しの時期の来ます容器包装リサイクル法、これは一番そういう意味では廃棄物も多いわけでございまして、今の状況ですね。  今、ガラスだとかスチール缶だとかアルミ缶リサイクルが進んでいるんだというふうに伺いましたけれども、リサイクルが進めば進むほどまたその原材料を使っているというのもあるわけでして、ペットボトルなんかにしても多くなっていますし、ガラスも結構、リターナブルになっていないとか、いろんなことで使う量が物すごく増えているんじゃないか。実生活をしていても、本当容器包装少しぐらいは包装が簡単になったでしょうかね。でも、まだまだすごく多いと思いますね。これをもっと削減しなきゃいけないと思うんですけれども。  まず、その容器包装リサイクル法、どんなところを改正、見直しを進められようとしていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  16. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 御指摘のように、容器包装リサイクル法消費者分別排出を、そして市町村分別収集、そして事業者が再商品化ということで、ありとあらゆる方々に関連をしてくるということで大変身近なリサイクル法だと思います。それぞれが参加意識を持って、そしてこのリサイクルを進めていただくということで、平成の七年の十二月に施行されてちょうど十年が間もなくたとうとしているということでは各種リサイクル法の中で最も早くこの見直しの時期がやってくるというわけでございます。  幾つか時代の流れなどの変化もありましょう。一部、規定施行状況について検討を加えて、そして必要な措置を講じなければならないというこの見直し規定平成十七年度に評価検討を行うことにいたしておりますが、これまでのどのような施行状況にあるのかというようなことであるとか、関係者がかなり広いものでございますので、できるだけ多くの関係者からの御要望なども含めて検討をしてまいりたい。目標は、やはり循環型社会形成本当意味で力強く推進されること、こういう方向をしっかり目指してまいりたいと考えております。
  17. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 一人平均して一般廃棄物千グラムというのが全然減っていかない、一キロ一日出すというのは大変だと思うんですけれども、意外とそうかなというふうに思うんですね。これはやっぱりもう少し減らしていかなきゃいけない。おっしゃるように国民一人一人の問題かと思いますけれども、そこはやっぱりちょっと仕掛けてあげないとなかなか減っていかないんだろうというふうに思うんですね。ごみをただで市町村処理してもらうというのをいつまでも続けているわけにいかないんじゃないかというふうに思いますね。有料化の問題もあるかもしれませんし、あるいはデポジットの問題本当に真剣に考えるとか、あるいはもう本当にいろんな袋を持って買物に行く、そこで買ったら料金が掛かるというような、そういう具体的なことをやっぱりやっていかなきゃいけないんだろうと思うんですけれども、小池大臣、特にいろんな意味アピール度が高いと思いますので、是非是非、そういう国民に向けての働き掛けを是非していただきたいというふうに思うわけでございます。  次に、この資源を、これは要らなければごみになるわけですけれども、これやっぱり循環資源にもっとしていくということが大事なことだというふうに思うんですけれども、まずこれ国内処理するということが原則だと思いますが、実際、今、国外にもかなり出回っていると思います。この循環資源がどのくらい国外に出されているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  18. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 今、手元にございますのが十二年度のデータでちょっと古うございますけれども、我が国から、例えば鉄くずプラスチックくず、そういったもので、循環資源として輸出しておりますのは一年に約七百万トンでございます。また、輸入につきましては、金属くずあるいは繊維などを中心にしまして、年間約三百万トンが我が国輸入をされておるということでございます。
  19. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 これ、輸出するときには環境大臣の許可が必要なわけですよね。だから、正規のものであればきちんとできていると思いますけれども、これもう少し積極的に考えてもいいんじゃないかという気がするわけです。  私、在任中に、マニラに大変なコンテナが行っちゃって、だれも引取り手がなくて、中に循環ごみでないものが一杯詰まっていたというような問題がありましたけれども、やっぱりああいったバーゼル条約に引っ掛かるようなものは絶対に止めるようなこともしなきゃいけないと思いますけれども、本当循環資源として使えるものをもう少し、何というんでしょうか、アジア地域資源を活用するというようなことも少し考えられるんじゃないかというふうに思うんですね。  ただ、そのときにやはりいろいろ注意しなきゃならない点があると思うんですけれども、そういうことについてはいかがでしょうか。
  20. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 御指摘のとおり、清水委員大臣で私ども御指導いただいたときに、ちょうどフィリピンに対しまして不正の輸出があったということで、結局のところ、バーゼル条約などに基づきまして全面的に国が引き取って、日本国内処理をしたというようなことがございます。  こういった事件が起きますと、御指摘のような近隣諸国を含めた循環型社会形成は非常に難しくなるわけでございます。何とかそういった輸出入に伴う環境問題が生じないようにしたいと考えておりまして、私どもとしましては、アジア各国におきます不法輸出入防止国際ネットワーク構築事業というものを今進めております。こういった取組を通じまして、何とか問題を起こすことなく、近隣諸国を交えた循環型社会ができていくように努力したいというふうに考えております。
  21. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 いろいろ課題があろうかと思いますけれども、是非前向きに検討していただきたいというふうに思っております。  次に、話題を変えまして、ラムサール条約湿地の問題を伺いたいと思います。  ラムサール条約登録湿地を増やす議員の会というのがございまして、こう拝見しますと、ほとんどのメンバーの方々が参加してくだすっています。大臣も副大臣も参加してくだすっているわけでございますけれども、第七回ラムサール条約締約国会議で、そのラムサール条約湿地倍増ということを決議したというふうに伺っておりますけれども、これに基づきまして日本が今どのような取組をしているのか、かなり、もうそろそろ決めなきゃならない時期かと思うんですけれども、どんなふうに対応していらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  22. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 第七回の締約国会議の結論は、第九回、六年後の締約国会議までに約千か所の世界じゅうの登録湿地倍増して二千か所にするというのが決議の一番大きな内容でありました。  この決議を受けまして、我が国でも、平成十四年六月末に、我が国、現在十一か所の登録湿地がありますが、それを、第九回の締約国会議、二〇〇五年、平成でいうと十七年ですが、十一か所を二十二か所にするということを条約事務局に報告したところであります。その後、平成十四年、宮島沼藤前干潟国設鳥獣保護区とし、同じ年の十一月にラムサール登録湿地として登録いたしました。また、今後の我が国における条約湿地の選定に向けて、基礎的情報とするために専門家と長い議論と調査を重ねまして、平成十三年に全国湿地に関するリストというものを整理するなど、倍増湿地保全に向けて努力を重ねてきたところでございます。
  23. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 日本にはまだまだたくさんの大切な湿地、そしてラムサール条約に登録しても当然だというところがたくさんあるんだろうと思いますけれども、これが絞り込みの作業がもう進んでいるわけですよね。来年には第九回の締約国会議があると、それまでには決めなきゃいけないわけでしょうか。いつごろまでに決められそうですか。何が問題でなかなか決められないんでしょうか。
  24. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) ただいま御指摘のあった件についてでありますけれども、現在、保全上重要な湿地について選定した、いわゆる日本重要湿地五百の中から、第一点は、ラムサール条約湿地登録基準を満たす湿地候補地として当然選んでいると。それから二番目としては、環境保全、そのための湿地が、措置が取られております、しかも早期に登録できる可能性が高いもの、それを選定しているところでございまして、また、三点目には、登録に向けて当然ながら地元に対するいろんな点について合意形成を図っていかなければいけないと、こういったことを通しまして、現在このうちから登録基準を満たす候補地を選定するために、いわゆる湿地専門家から個別に意見を伺っているところでございまして、さらにその結果を取りまとめた後に専門家による検討会を開催するなどいたしまして、候補地を最終的に選定をしていきたいと、このような状況の中に進んでいるところでございます。
  25. 清水嘉与子

    ○清水嘉与子君 国会におきましても、大変ラムサール条約登録湿地を増やすということに関心を持っている方がたくさんおられまして、ただいま百十八名の議員方々が参加してくだすっているわけでございます。熱い視線を持って、またいろいろ支援もしていきたいというふうに思っておりますけれども、大臣、最後に、平成十七年までに少なくとも日本は二十二か所を増やす、にするんだという、少なくとも二十二か所にするんだというふうに言っていると思いますけれども、これの実現に向けた大臣の御決意を伺って、私の最後の質問にしたいと思います。
  26. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 議連の会長としてまずは絶大な御支援をお願いをしたいということを、私も会員の一人として、また大臣としてしっかり取り組んでまいりたいと思います。  二十二か所ということが目標でございますけれども、まずは日本の最重要湿地五百の中から登録基準を満たす湿地であり、かつ環境保全のための措置が取られていて、早期に登録できる可能性が高い湿地候補地として早い時期に選定をしたいと考えております。  私、大臣となって初めての視察というか、足を運びましたのが釧路湿原でございました。あのすばらしい湿原の雄大さ、そして正に環境の観点から非常に恵まれた地であることを自分自身で体感してまいりました。こういった地域日本はすばらしい自然に恵まれているわけですから、目標の二十二、現在で十三か所でございますが、これからしっかり議連の皆様方とともに、そういった地域を、湿原の地を絞りまして、そして早い時期にまず選び出すという作業、そしてその後の作業も続けてまいりたいと考えております。
  27. 小林元

    ○小林元君 民主党・新緑風会の小林元でございます。  まず、大臣にお伺いします。  小池大臣は九月二十二日御就任、半年が経過したわけでございます。この間、特別国会、十二日程度でございましたけれども、開会されました。しかし、残念ながら大臣所信は聴けませんで、先ほどの十一日に当委員会で初めて聴いたというような状況でございまして、これは大臣の御意思ではなくて小泉内閣の方針というのかどうか分かりませんが、特別国会では委員会も開かれなかった、大臣所信も聴けなかった、質疑も行われなかったと、大変残念でございました。国会軽視ということになるんではないか。やはり、こういう国会が開会というようなことでございますので、その間に大臣はCOP9、ミラノにも行かれております。大変な活躍をされているわけでございますから、是非そういうような状況、あるいは就任の所信というものをできればお聴かせをいただきたかったなと、こういうふうに思うんですが、お考えがございましたらお願いします。
  28. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 昨年の九月に環境大臣を突然拝命をいたしました。臨時国会、そして衆議院総選挙ということで、去る、昨三月の十一日に所信の表明に至ったという経緯については今おっしゃったとおりだと思います。  逆に申し上げれば、この六か月間にCOP9に出席をさせていただきました。そして、そのほかの様々な海外、そして国内を自らの足で回るということで、環境行政に対しての認識、そして理解を深めさせていただいたということでございますけれども、環境委員会において私なりの考えを述べるという機会に恵まれなかったのは先ほど御指摘のとおりでございます。  所信表明はそのものずばりでございまして、その中から私の環境行政に対しての姿勢、そして何をテーマにしていくのか、こういったことをしっかりお伝えさせていただきました。この半年間に幾つか栄養物を自ら取り込んだつもりでございますので、これからの環境委員会などにおきます環境についての御審議を更に深めるための半年間に役立たせたいと、このように感じているところでございます。
  29. 小林元

    ○小林元君 先ほど清水委員からもお話がありました。環境省、私は大変大きな仕事をしておるというふうに評価しておりますし、これから地球温暖化の問題を取り上げたいと思いますけれども、正にこれは予算が少ない、人員も少ないという中ではありますが、この地球を守っていくんだと、人類を守っていくんだという大変大事な、大きな、正に我々の命を懸けた闘いを先頭になっておやりになっているというふうに私は思います。そういうことで、今日は、今日はといいますか、この委員会には歴代の大臣経験者も、真鍋委員、山東委員清水委員、たくさんおられますけれども、頑張っていただきたいなというふうに思っております。  そこで、大変失礼かもしれませんが、この地球温暖化対策、気候変動に関する科学的知見、IPCCの第三次評価報告書でございましょうか、そういう中でいろいろと述べられております。これについては、気候変動といいますか、自然要因の気候変動ということを言う人は最近は少なくなっておりますけれども、人為的な要因によるものではないかということでありまして、この二百五十年間に二八〇ppmだったやつが三六八ppmということで大変増加をしておりますし、気温もどうやら自然要因ではなくてこの温暖化ガスが原因で〇・六度上がっていると。そして、確かに最近、集中豪雨とか洪水とか干ばつとか山林火災とか、もういろんなことが起こっているような気がいたします。これは専門の学者がいろいろと分析をして、これは温暖化ガスによるものではないか、今この削減というものを頑張らなければ大変なことになるということで、この京都議定書の、ということで皆さんが合意をしたということになっておりますけれども、小池大臣のこの温暖化の現象についての基本的な認識、それからこれから取り組む決意といいますか、それに対するどうしていくのか、所信でも既に承知はしておりますが、改めてお伺いしたいと思います。
  30. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 地球温暖化問題というのは正に地球規模で考えていかなければならない、そしてまた非常に長い人類の歴史、若しくは地球の歴史と言った方がいいのかもしれませんが、そういった中で科学的にとらえる部分と、それからあと地球に生かされる人間として考える部分と、それぞれ客観的に、かつ主体的に取り組んでいく必要があるというふうに考えております。  今、先生も御指摘ありましたように、IPCCの方でのいろいろな知見が重ねられているところでございまして、地球の平均気温が、二十世紀中には約〇・六度の上昇であったのが、今世紀中には一・四から五・八度上昇するという予測がございます。また、同じくIPCCは、最近五十年間に観測された地球温暖化のほとんどが人間活動に起因するものだと。正にそのとおりではないかというふうに思っておりまして、地球温暖化に関する科学的な知見は確実に向上をしている、で、あとはどうするかということでございます。  また、これまでも地球温暖化に対しての対策も全体として幾つもの対策に取り組んでまいりました。こういったことを一つ一つ実行して重ねていくということ、これが今一番必要なのではないか。正に、地球規模での温暖化対策を強力にそして早急に推進をしてまいりたいと、このように感じているところでございます。
  31. 小林元

    ○小林元君 どうぞ、今後とも御尽力をいただきたいというふうに思っております。  前回の委員会で小泉委員からの質疑がございまして、この京都議定書の批准の問題でございますけれども、残念ながらロシアあるいはアメリカが参加しないことには発効しない、五五%を超えないというような状況でございまして、これは何としてでも京都でこういうことを決めたわけでございますから、日本としても頑張ってもらわなくちゃいけないというふうに思いますし、これは日本ばかりではなくて、世界じゅうで何とか合意を取り付けて地球温暖化を防止するということになればいいなというふうに思っております。  三年前に小泉内閣が発足した早々に、私は本会議で、参議院の本会議で代表質問に立たせていただきました。そのときもちょうどアメリカが、二〇〇一年の三月でしたかに、残念ながらブッシュ大統領が離脱を表明という残念な事態が起きた直後でございますから、当然私もこの問題に関心を持って、どうするのかと、何とか説得をしてほしいということを小泉総理並びに当時の川口環境大臣に申し上げました。私が、アメリカの説得に失敗したんじゃないかというようなことを申し上げましたが、いや、一回だけで失敗とはというようなこともありました。まあそれはとにかく、気持ちはそういうことでございまして、ただ、ブッシュ政権は大変かたくなのようでありますけれども、そうはいいましても、アメリカの国内で、この間も小泉委員への答弁の中に大臣からもありました、いろんな民間企業の動きというものがアメリカの国内にもあるというようなことでございますし、政府政府、企業は企業、あるいは国民国民ということで、そしてまた上院の中でも、今までは絶対駄目だと上院が否定していた、圧倒的に反対者がほとんどいなかったというようなことで離脱をしたわけでございますけれども、それもこの間、大分方向が見えたというか、否決はされましたが明るい兆しが見えたような気がします。  ロシアにおきましても、ロシアの政府の首脳といいますか、いろんな発言をしているようでございますが、どうもなかなか難しいという話ばかりが聞こえてくるんですけれども、そういういろんな明るい動きも含めてお話をいただければというふうに思っております。
  32. 小島敏郎

    政府参考人(小島敏郎君) アメリカ、ロシアの最近の動きについて御説明をまずさせていただきたいと思いますけれども、アメリカは京都議定書への不参加の方針、依然として変更をしておりませんが、委員指摘のように、様々な動きがアメリカの中でございます。  まず、政府レベルでございますけれども、各企業が自ら温室効果ガスの排出量を自主的に報告をする制度というのがございますが、これに基づきまして、二〇〇一年の段階では二百八の主体が政府に温室効果ガスの排出量を報告しております。さらに、情報の正確性を増すために、昨年の十一月に自主的プログラムが改正をされて、現在、算定ガイドラインの改定作業が進められているところであります。  州レベルでも動きがありまして、ニューハンプシャー州とマサチューセッツ州では排出量取引制度が導入されておりますし、ニューヨーク州など東部の十州で共同した排出量取引の検討を行うことが昨年合意されております。この合意に関しまして、二〇〇五年の四月までに制度導入をする、その合意をしようというタイムリミットが設けられております。  民間レベルでも、シカゴにおいて実質的な排出量取引が昨年から実施されておりまして、これには四十四の団体が参加しております。  また、議会レベルでございますけれども、先ほど御指摘のマッケイン・リーバーマン法案、これも排出量取引、キャップ・アンド・トレード方式の排出量取引でございますが、上院で昨年十月に否決はされましたものの、五十五対四十三という僅差になっております。  このように、アメリカでは、京都議定書でも書かれております排出量取引ということに関する州レベルあるいは民間レベルの、あるいは議会レベルでの動きが着々と進んでいると、こういう動向に注目をしていきたいと思います。  また、ロシアでございますけれども、先日の大統領選でプーチン大統領が圧勝して、プーチン政権の基盤が一層強化をされております。それと相前後して、フラトコフ新内閣の下で行政組織が大幅に再編統合されておりますけれども、まだこの行政組織の再編統合はその過程にございまして、多岐にわたる気候変動問題について、どの省庁がどの役割を持つかということがまだ明らかではありません。引き続き、その推移を見てまいりたいと思っております。  京都議定書に関するロシアの対応については、プーチン大統領自身が、かねてより、京都議定書を批准するか否かをロシアの国益を踏まえて決定するということでございますので、新しい体制におきます批准に伴う経済的利益などに関する検討がどのように進んでいくかということにも注目をしてまいりたいと思っております。
  33. 小林元

    ○小林元君 今、局長から御答弁がありました。  このような状況を踏まえて、ミラノでも、大臣、いろんな国と接触をしながら、もちろんアメリカ、ロシアとも接触したと思いますけれども、説得を重ねているというふうに受け止めておりますが、やはりこれは、例えばEUとロシアが排出量取引の云々というような動きは今ありませんでしたけれども、いろんな関係も持ちながらやっているというふうにも聞いておりますが、いずれにしてもEU諸国、アメリカとの関係が余り良くありませんけれども、それはそれとして、日本とEUと連携をしながら、何とか両国を説得するという方向を見いだしたい、あるいはそのために努力をしていただきたい、こういうふうに思いますので、御決意のほどをお願いします。
  34. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) アメリカ、ロシア、それぞれ政府の代表団、代表に対して、昨年のCOP9において、私自身、直接働き掛けをさせていただきました。また、別の機会というならば、これまで日米議員交流など、ずっと続けてきましたので、アメリカの議員に直接、長く付き合いのあるそういった方々にも京都、京都と言って、私は非常にいつもその話題は出させていただくようにいたしております。  もちろん、環境省としても、今年の二月にはワシントンで気候変動政策に関する日米共同ワークショップを開いておりますし、これには日米の企業とか州、そして地方自治体なども参加しておられます。  それから、ロシアの方では、モスクワですけれども、今年の三月十六、十七日に温室効果ガスの排出・吸収量に関するワークショップも環境省が開いております。  御指摘のヨーロッパですけれども、やはりミラノCOP9の場、その前にASEMという、イタリアのレッチェというところでも会議がございまして、そちらの方で欧州委員会、あとCOP9で英国、ドイツなどとも会談をさせていただきました。  顔を合わせていると、やはりそこで何度か顔を合わせてまいりますと、いろいろコミュニケーションも取りやすいというようなことを今重ねているところでございますけれども、いずれにしましても欧州委員会、英国、ドイツ、こういった国々については、アメリカそしてロシアへの批准の促進という点でこれからもしっかり情報交換を行ってまいりたい、働き掛けを行ってまいりたい、このように考えております。
  35. 小林元

    ○小林元君 どうぞ、今後とも頑張っていただきたいと思います。  いよいよ、地球温暖化対策要綱についてでございますけれども、評価の見直しが始まります。六月までには中間報告を取りまとめる、こういうスケジュールになっているようでございます。  したがって、例えば中央環境審議会地球温暖部会ですか、産構審の環境部会あるいは総合エネルギー合同会議というような場でエネルギー需給の見通しというようなものが検討されますし、あるいは交通政策審議会でも環境部会が開かれて、いろんな議論がされるというふうに思っております。  そういう中で、排出量が大きいから悪いというような意味で取り上げるつもりはありませんが、この大綱の中で原子力の推進というものがうたわれております。しかし、なかなか、安全問題も絡んで、一昨年ですか、炉心のひび割れというか、そんな問題があったりということで、大変、昨年の夏は電力危機が来るんじゃないかというようなことがありましたが、幸い冷夏でそういうこともありませんでした。  いずれにしましても、この大綱に書いてありますのは、十基から十三基、三割ぐらい増やしたいと。ここにも書いてありますが、百三十五万キロの発電所一基でエネルギー起源排出量の〇・七%分に当たるというふうに書いております。〇・七というのは大したことないのかなと思ったんですが、十億五千万トンという数字からするとこれは大変な量でございまして、七百三十万トン、CO2でですね。そうすると、これが十基だと七千三百万トンの削減ができるというふうになるわけでございますが、これらについて、ですから原子力は大変駄目だと、いろんな、高橋先生も御指摘がありました。  いろいろ考え方はあると思いますが、安全というものを前提にした上で安全は安全の問題として議論しなければなりませんけれども、その辺を前提にした上で、この推進の現状というんでしょうか、あるいはここで見直しというふうなことにするのか。その辺の目標達成の見通しといいますか、その辺について経産省の方からお願いしたいと思います。
  36. 寺坂信昭

    政府参考人(寺坂信昭君) お答え申し上げます。  二〇〇二年三月に取りまとめられました地球温暖化対策推進大綱で、二〇一〇年度までの間に原子力発電によります発電電力量を二〇〇〇年度と比較いたしまして約三割増加させる目標を掲げておりまして、これは原子力の稼働率によりますけれども、十基から十三基の原子炉の増設に対応しておりますこと、委員指摘のとおりでございます。  一方、各電力会社から経済産業省の方に届けられております二〇〇三年度の供給計画におきましては、二〇一〇年度までに運転開始が見込まれる原子炉、これは一昨年、二〇〇二年の一月に運転を開始いたしました東北電力の女川原子力発電所三号機、これを含めまして八基となっております。それから、なお、原子炉の増設に加えまして、原子炉で発生いたします熱を一定としつつ電気の出力を増加させます運転形態がございまして、これ定格熱出力一定運転と申しておりますけれども、そういったものの導入等によりまして、原子力の利用率が上昇することも期待されてございます。  現在、各電力会社におきまして、今後の電力需要の見通し、あるいは各電源立地地域での状況を踏まえました電源の建設につきまして検討中というふうに承知してございまして、間もなく私ども経済産業省の方に届けられます二〇〇四年度の供給計画にこれが反映されるというふうに想定をしてございます。  いずれにいたしましても、今後とも原子力発電所の新増設につきましては安全の確保が大前提でございまして、この安全の確保を大前提といたしまして、地元の御理解を得つつ新増設が円滑に進められるよう努力してまいる所存でございます。また、現在、二〇三〇年ごろをにらみつつ、二〇一〇年度の長期エネルギー需給見通し見直し作業も関係審議会で始まっているところでございまして、そういった中でも予断を持たずにこの原子力についても検討をしてまいる、そのような考えでございます。
  37. 小林元

    ○小林元君 次に、燃料転換というんでしょうか、電力に限っての話にさせていただきたいと思いますが、追加対策の中で千六百万トンの削減をすると。内容については、老朽石炭火力をLNGに転換するんだと、こういうふうになっておりますが、これらについてはそれほど大きな目標ではなさそうに受け止めておりますが、いずれにしましても推進の現状あるいは目標達成の見通しというものについてどのように考えているのか、お答えをいただきたいと思います。
  38. 寺坂信昭

    政府参考人(寺坂信昭君) お答え申し上げます。  地球温暖化対策推進大綱におきまして、燃料転換等によりまして二酸化炭素換算にいたしまして約千八百万トンの排出量削減を見込んでおりますこと、委員指摘のとおりでございます。この中には、御指摘のとおりでございまして、電力におけます燃料転換も含まれてございまして、経済産業省といたしまして、その老朽してきております石炭火力発電所、これを高効率なLNG、天然ガスのコンバインドサイクルという発電形態がございますけれども、そういったものに置き換えていく、リプレースするために必要な費用につきまして十分の一を補助すると、そういう予算を十四年度から計上をしてきているところでございます。  電力そのものの燃料転換につきまして千八百万トンの中で明示的な目標があるわけではございませんけれども、こういった予算などの施策を通じまして、引き続き燃料転換等につきましても着実に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  39. 小林元

    ○小林元君 ちょっと、通告はしてないんですが、実は先ほどちょっと原子力の稼働率の話が出ましたけれども、要するに電源設備がありますが、その稼働率がそれぞれの種類によっていろいろ違いますね。例えば、石炭火力というのが平成十四年度でいきますと七四%働いていますと。それから、石油火力は一四%、LNGは五一%、原子力は十四年度はいろんなことがあったんで七三ですが、普通は八四%、八〇%を超えると。  これは、この稼働率というのは電力会社の方でいろいろ、これを動かす、あれを動かす、コストとかいろんなことがある、あるいは燃料の需給状況とかあるんでしょうが、こういうものは何によってこういうふうに変わっていくのか、こういう結果が出ているのか、大変恐縮でございますが、お分かりでしたら御説明をお願いしたいと思います。
  40. 寺坂信昭

    政府参考人(寺坂信昭君) お答え申し上げます。  それぞれの電源におきまして稼働率に差があるというのは御指摘のとおりでございまして、例えば原子力発電に関して申し上げますと、ベースロード電源と申してございますけれども、安全の確保とか、そういう観点からまいりますと、余り大きく稼働率を変更させるというのが好ましいことではないといったようなものがございます。それから、もちろん燃料価格、石炭等、あるいは石油、LNG、こういったものの燃料価格がその時点においてどうなっているのかとか、そういった要素もございます。  したがいまして、もろもろの要素を技術的な面あるいはそのときの経済的な状況、そういったものを総合的に判断いたしまして、各電力会社におきまして最も好ましいと思われる電力設備を稼働させるというふうに御理解賜ればと存じます。
  41. 小林元

    ○小林元君 ですから、先ほど、私も十分理解しているかどうか分かりませんが、原子力については現在の、何といいますか、定格出力というのか出力能力というんですか、設備能力についても二%ぐらい上昇、出力アップできるんだというようなことを聞いておりますが、そういうこともこの削減対策と言うのかどうか分かりませんが、削減には利いてくるのかなというふうに思っております。  いずれにしましても、なかなか大変な削減量でありますから、御尽力をいただきたいなというふうに思っております。  そしてまた、先ほど八基プラス一というようなことがありましたが、お答えをいただいたわけですが、大変これもまた必ずしも一〇〇%どうかという保証があるかどうか分かりませんけれども、なかなか厳しい状況にあるということだけは事実だろうと思いますので、御尽力をいただきたいなというふうに思っております。  それから次に、吸収源の対策ということで、今まで排出の方でございましたけれども、森林経営による吸収量というものが大綱では三・九%、しかし現行ペースでは二・九%しか確保できないんだということが明示されております。したがって、この現行ペースをアップをするということになるわけでございますが、現下の財政状況、大変厳しゅうございます。なかなか大変だろうと思います。その辺の対策の現状というんでしょうか、目標見通しについてお願いしたいと思います。
  42. 梶谷辰哉

    政府参考人梶谷辰哉君) 委員指摘のとおり、森林の吸収量の上限につきましては三・九%が関係国の間で認められているという状況になっておりますけれども、地球温暖化対策推進大綱にも明記されておりますけれども、現状程度の水準で森林整備等が推移した場合は、確保できる吸収量は三・九%を大幅に下回るおそれがあるということになっております。  このため、農林水産省といたしましては、平成十四年十二月に策定いたしました地球温暖化防止森林吸収源十か年対策に基づきまして、健全な森林の整備、保安林等の適切な管理・保全、木材及び木質バイオマス利用の推進等につきまして、関係府省とも連携を図りつつ進めていくこととしているところであります。  その推進に当たりましては、京都議定書の約束期間終了までの十年間を三つのステップに区分いたしまして、ステップごとにその進捗状況について評価、見直しを行うステップ・バイ・ステップの考え方に基づきまして、総合的に推進していく考えであるところであります。  なお、この森林吸収源十か年対策の着実な推進を図るためには、一般財源はもとより、新たな税財源の確保についても取り組んでいくことが必要だというふうに考えておりまして、林野庁といたしましても、昨年来議論されております温暖化対策税が導入された場合には、その税収が森林整備等に活用されるよう積極的に対応していく考えであります。
  43. 小林元

    ○小林元君 今の御答弁にもありましたが、温暖化対策税、まあ一般財源といいますか、間伐だ、植林だ、下刈りだ、いろんなことをやらなくちゃいけない。これについては予算が付いてもなかなかこれの進捗というんでしょうか、事業実現が難しいというような条件もあるわけでございますね。やっぱり山の仕事、大変な仕事でございますので、ですから予算が付いたからできるという保証もないんですけれども、まずはしかし、そうはいっても予算の確保というものは大変なことだと。例えば、十年間に一兆二千億ぐらい必要なんだというふうに書いてあるのを見たんですが、どのぐらいを見込んでいるんでしょうか。
  44. 梶谷辰哉

    政府参考人梶谷辰哉君) 十か年対策の推進におきまして、現状の水準でいきますとこの三・九%の確保は難しいということで、追加的な財源が必要であろうというふうに考えているところでありますが、一定の試算というのはあるんですが、確定的にその数字を出すというのは、今後のコスト縮減の問題でありますとか、十年先のことも見ていかなきゃなりません。そういう、あるいは政策をどういうふうに組み合わせていくかという問題もありまして、なかなか確定的に数字を出すということは難しいというふうに考えているところでありますが、オーダーとしては議員が先ほど申しておられた点にあるのかなと思いますが、今後、そういうことにつきまして精査をしてまいりたいというふうに思っております。
  45. 小林元

    ○小林元君 確定的な額を決めるつもりもありませんけれども、とにかく大変な財政状況の中で事業を推進しなければいけないということではないかというふうに思っております。大綱にも、目標達成は容易ではないが、国を始め国民を含む、企業も、いろいろ書いてありますが、すべてが一体になって約束を達成に挑戦をすると、チャレンジをすると、こういうふうに書いてございます。  今、たまたま、たまたまといいますか、例示的に三つの問題を取り上げさせていただきました。やはり、それぞれ問題を抱え、大変なこと、努力が必要なんではないかと。まして、これ以外にも生活部門で、例えば経団連の方が言っているようですが、産業部門、産業部門と言うけれども、生活部門だって大変伸びているんじゃないかと、二五%も伸びているというようなこともありますが、そうはいっても、やっぱり産業部門は全体の八割の排出量になっておりますし、やっぱりなすり合うことではなくて、お互いにこれ頑張らなくちゃいけないというふうに思います。  そういうことで、これからの評価、見直しに当たっての今問題点の幾つかを指摘したと思っておりますが、そのような問題点、どのように対応されていかれるのか、大臣にお伺いしたいと思います。
  46. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今年、二〇〇四年が地球温暖化対策推進大綱の第一ステップの最終年であるということで、大綱の一つ一つの対策、そしてその施策、さらにそれらの前提となる様々な経済フレームについて、定量的な評価、見直しを行うこととされております。  今御指摘ありましたように、家庭部門、産業部門、運輸、業務、様々あるわけでございますけれども、各分野の個別対策、そして個別の施策ごとに、まず透明性が高くて、そして定量的に評価することが一つの課題であると考えております。  今、中央環境審議会の地球環境部会の方で大変精力的に大綱の評価、見直しの審議が行われております。三月に入りましてからも二度開かれているところでございますし、この後も、四月以降も様々な審議を重ねてまいるところとなっております。そこで、そこでの評価の結果を踏まえまして、必要が生じた場合には実効性の高い更なる追加的な対策、施策の導入を図っていくということで、今、税ありきではなくて、目標は京都議定書の六%削減の約束をどうやって確実にするかということでございますので、あるときは客観的に、またあるときは極めて主体的に取り組んでまいりたいと考えております。
  47. 小林元

    ○小林元君 地球温暖化は大変、先ほど来申し上げておりますように、大変な大きな問題でございますし、我々人類の命運が掛かっていると言っても過言でありませんので、どうぞ御尽力をいただければというふうに思います。  直接地球温暖化の話ではないんですが、林業の話も申し上げましたので、農業について小池大臣に御所見を伺いたいなというふうに思います。  我が国の農業は、御承知のように大変厳しい状況にありますし、WTOあるいはFTAとかいろんな問題もあって国の内外から問題にされているわけでございます。大変経営規模も小さい、国際競争力もない、そういう中で頑張っておりますけれども、残念ながら、農業基本計画を作成いたしましたが、食料自給率は下がりぎみ、下降傾向と、なかなか浮上できないということでございます。そうはいいましても、やっぱり食料の安全保障というんでしょうか、ということも、他の先進国を見れば、ドイツもイギリスも一生懸命努力をして自給率アップに努めたわけでございまして、これは国民挙げての問題だろうというふうにも思っております。  緑資源ということもあるでしょうし、あるいは国土保全機能等々、いわゆる多面的機能と、環境機能はもちろんだと思いますけれども、そのような農業というものを何とか育てていきたいというふうに思っているんでございますが、小池大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  48. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 農業は、もちろん食料としての側面と、それから環境保全という側面と、二つあろうかと思います。環境という側面では、水田とかため池とか、農業に欠かせないそういった条件というか、農業基盤ですね、これが何よりも不可欠でございますし、また、農業によって自然界の循環、生物の多様性、いろいろと深い関係を有しているところでございます。  私、毎年いろんなカレンダーちょうだいするんですけれども、よく空中写真でずうっと各地域のすばらしい日本の自然を写したのを毎年、いつもそういうテーマでカレンダー作るところがありまして、いつもそこのを掛けさせていただいているということは、全体的にいやしにもつながるということを考えます。  いずれにいたしましても、農業というのは、健全な農業生産活動が行われた場合には、国土の保全、それから水源としての重要性、自然環境保全、それからすばらしい景色など、本当環境の面からでは多面的な機能を有しているということから非常に重要な役割を担っているというふうに考えております。その意味でも、またこれからのバイオマスなどの問題もありますし、農水省の方ともいろんな意味で連携をしながら、この農業ということには引き続き注視をしてまいりたいと考えております。
  49. 小林元

    ○小林元君 是非、農業に対しても積極的にお取り組みをいただきたいというふうに思います。  次に、廃棄物リサイクル問題に行きたいと思います。  先ほど清水委員からもお話がありました。大変な問題で、先日も岐阜県で大規模な廃棄物の投棄という問題で、警察の手入れというんでしょうか、が入ったというような話がございました。第二の青森、岩手というようなことにならないようにやっていかなければいけないと思います。  今回、廃棄物、廃掃法の改正案が提出をされておりますけれども、まだこちらには回ってきておりませんが、聞くところによりますと、国の、昨年は、昨年も今年も国のその報告徴収、立入検査と、今回は緊急な場合に県に対して必要な指示をするというようなことで、国の権限を強化するというような改正が提出されているわけでございます。  深刻な状態ですから、事態ですから、それはそれとして理解できるんでありますが、一方で地方分権、地方分権推進法が通ってもう四年、五年になりますか。ことしは三位一体の改革という、どうも羊頭狗肉的な看板じゃないかと私は理解しておりますけれども、いずれにしましても、そうはいっても地方分権の流れにこれは逆らえない、そういう意味で三位一体と、こう言ったんだと思うんですが、あるわけでございまして、この事務は大変広域的な事務で、廃棄物処理というのは行われるわけでございますから、国は要らないのかどうかは分かりませんけれども、そういう地方分権の流れとこの国のこの二年間の改正の考え方ですね、どういうふうに地方分権、国の権限強化というものをお考えになっているのか、御説明いただければと思いますが。
  50. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) まず、総合的に、地方分権の流れというのはこれはもう大きな時代の趨勢、正に流れではないかというふうに思っております。  ただ、この産廃の分野でございますけれども、今回も私、岐阜での豊島をしのぐかもしれないという大きさの問題が明るみに出たときは、ようやく青森、岩手の産廃問題にめどが付いたかと思っていたところのそのやさきでございましたので、本当に驚きと同時に、一体どうなっているんだと驚愕せざるを得なかったわけでございます。そうやって、全国でこの産廃問題は様々な問題も抱えている、産廃というか不法投棄の、特に不法投棄の問題ですけれども、抱えているところでございます。  地方分権改革推進会議、これ平成十四年の十月三十日の段階ですけれども、広域的な不法投棄対策など、広域行政の調整などの観点からむしろ国の責任の強化、明確化を図るべきという形で整理をされておりまして、それを受けて、昨年の廃棄物処理法の改正で広域的な見地からの調整などで国の責務の強化が図られたところでございます。よって、私は、地方分権をだあっと行う部分とむしろ国の役割を強化するべきところと、めり張りを付ける時期なんじゃないかなと思っているわけでございます。  昨日から衆議院の方で御審議をいただいておりますけれども、今回、廃棄物処理法の改正ということで、国の指示の創設はこういった国の責務の強化の具体的な措置としての導入でありまして、産廃の不適正な処理で都道府県知事のみによる速やかな対処が困難であるような緊急の必要がある場合に限って必要な指示を行うということにしているのが法案の中身でございます。地方分権推進の趣旨に反しないで必要最小限の関与であるということと、廃棄物行政での地方分権の議論にも整合したものと、今回の私どもの法案、そういうものであるというふうに考えているところでございます。  また一方で、じゃ、それぞれの地域でどうするのかということですけれども、地方環境対策調査官事務所の強化ということで地方組織の強化も進めているところでございます。
  51. 小林元

    ○小林元君 今までこれ、厚生労働省という、厚生省ですか、いわゆる廃掃法の行政の歴史の中で、なかなかやっぱり国は出ないと、そして地方がやるというような方向でずっと来たんですが、やっぱり私は環境省のこの積極的な姿勢というものを理解してはいるつもりであります。ただ、やはり地方分権ということも大事でございますから、その辺について十分に配慮といいますか、考えながら現実に対応していただきたい。  例えば、この廃棄物不法投棄の問題は、特に行政とそれから警察ですか、の連携が最近大変良くなってまいりました。これも、いろんな事件、事件というか、問題が起きてこういうふうになってきたわけでございますが、そういう連係プレーの中で、県警と県、そこへ今度は国が入る。大変、三角関係とは言いませんが、ややこしい関係になるわけでございますね。その辺についても、ですからきちんとルールを作ってといいますか、現場が混乱しないで、まず問題解決が大事ですから、そのような方向を十分考えながらやっていっていただきたいというふうに思います。  それから、今、大臣から地方環境対策調査官事務所の話が出ました。これについて、簡単で結構でございますから、どういう体制になるのか、どういう仕事をやるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  52. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 今、小林委員の御指摘のありました事務所に関しましては、平成十三年の十月には四十五名を配置して以来、順次定員の増加を心掛けてまいりまして、現在八十九名になってございます。  昨年の十二月一日に改正廃棄物処理法の施行、これを受けまして、そのうち所長九名を含めまして約四割の三十八名を廃棄物リサイクル対策の担当に充てておりまして、これらの職員は基本的には不法投棄などの不適正処理等の情報収集、あるいは緊急時の廃棄物処理施設等への立入調査、そういった業務に従事しているわけでございます。  こういった体制の強化は、先ほど大臣の方から話がございましたように、廃棄物行政におきます国の役割の強化、あるいはその明確化を提言いたしました地方分権改革推進会議の考え方に十分沿うところでございますし、環境省といたしましても、いわゆる広域的なそういった面での見地からの調整、そういった国の責務を果たす必要が十分あり得るわけでありますので、こういった事務所を中心にしながら、更なるこの事務所に関する人員、組織の拡充、こういったものを積極的に図って十分環境問題に対して対処してまいりたいと、このように考えているところでございます。
  53. 小林元

    ○小林元君 一事務所十二名程度ですよね。それで、九事務所ですから五県平均というようなことになる。これは平均ですから、少ないところ多いところあるでしょうけれども、やはりなかなかこれだけの廃棄物が世の中を走り回っているわけでございますから、これはなかなか大変でございますし、情報収集も大変じゃないかなと。県も市町村も一生懸命頑張って情報収集をして、こういうことが、不法投棄等が起きないように頑張っているんですけれども、それでもなかなか抜け道を駆け抜けるというような事態になっております。  いずれにしましても、連携を十分密にしながら不法投棄の撲滅というものをお願いをしたいと。  ちょっと時間がなくなってきましたので、いろいろ通告をしておりますが、一つだけ、廃棄物についてお伺いしたいと思います。  今も話が出ました、いわゆる産業廃棄物の広域的な処理がされているという現状でありますけれども、最近、廃棄物税とかいろんなことが言われておりますし、そしてその広域的処理なるものに疑問を呈するといいますか、もう県内で処理してもらいたいなと。  一般廃棄物はおおむねそういうようなスタイルになっているわけでございますが、産業廃棄物については本当全国を駆け巡るというような状況になってなかなか掌握できないと。これは、やっぱり法律上のそういう不法投棄をいかにして防ぐのかというシステムをより完全なものに構築していくと、これしかないと思うんですけれども、そういう中で、そこまでそれがなかなかできないとなると、やっぱりどうしても広域処理というものをやめてもらうというような方向に地方団体も行くのではないかと。  この辺についてどのように考えているのか、お答えいただきたいと思います。
  54. 加藤修一

    ○副大臣加藤修一君) 産業廃棄物については、大都市圏で大量に発生した産業廃棄物が地方圏に流出する過程において、いわゆる不適正な処理や大規模な不法投棄事案、これはせんだっての岐阜の関係も、恐らく岐阜県だけで発生した廃棄物だけじゃなくて、他県からも相当来ている可能性が十分考えられると思うんですね。  そういった事案が生じてきていることを考えてみますと、委員が御指摘されたように、やはり各都道府県においてできる限り処理の受皿を確保することが極めて私は重要ではないかと、そういうふうに認識してございます。  ただ、その一方で、産業廃棄物処理についてはやはり排出事業者がその責任によりまして適正に処理する手段、あるいは場所を選択すると、あるいは確保して行うものであるわけでありまして、今後も都道府県の区域を超えて処理をされることが続くということは十分考えられると。  環境省といたしましては、やはり適正に処理される限りにおいてはこのような広域処理自体が問題とは言えないと、そういうふうに考えてございまして、広域的な見地から都道府県の取組の調整、これは当然行っていかなければいけないと。さらに、非常に大事なことでありますけれども、不適正な処理事案の未然防止やその解決に引き続き最大限努力をしてまいりたいと、このように考えている次第でございます。
  55. 小林元

    ○小林元君 最後になりましたが、せんだっての委員会で、茨城県出身の渡辺議員から神栖の砒素の問題を質問していただきまして本当にありがとうございました。地元のことを今後とも忘れないようによろしくお願いしたい。私も茨城県出身でございますので。  昨年の委員会でも二度ほど取り上げさせていただきました。もういろんなことにつきまして、先日の質疑で十分理解をしております。ただ、お子さんの症状、なかなか回復、なかなかといいますか、回復傾向にはあるが、まだ残っていると。それから、大人につきましては、大体いわゆる症状について余り表に出なくなったというようなことでございます。  いわゆる有機砒素中毒というんでしょうか、無機の中毒の例はいろいろあるんでしょうが、有機砒素というのは初めてなのかなというふうにも思いますし、健康診査で髪の毛とかつめとか、いわゆる体内の含有量というんでしょうか、吸収量というんでしょうか、そういうものが調査されたんじゃないかと思いますが、そういうものがだんだんに排出されていけば、後遺症の問題は分かりませんけれども、中毒症状といいますか、が良くなってくるのかなというふうにも思いますが、その辺の、何といいますか、減少傾向にあるのかないのかみたいなことについても御報告をいただきたいと思います。  それから、時間がございませんので、最後に環境大臣にお願いしたいんですけれども、このジフェニルアルシン酸ですか、有機砒素化合物というのは、特定は、今調査をしてどういうものなのか、どういう状態にあるのか特定できませんし、それが軍のものなのかどうかも、確かに姿が見えないんですから特定はできないのかもしれません。  それで今、そうはいいましても、環境省が積極的に措置を講じ、その他で対応していただいていることには感謝をしておりますが、やはりこれは最終的には旧軍の責任というんでしょうか、旧軍のことだから自衛隊は知らないと、こう言っておるようでございますが、いずれにしても、なすり合いは醜い話でありますので、国の責任、ここがまあはっきりしていないわけでございますが、事実上は環境省が全責任を持っておやりになっていると私は理解しておりますが、その辺のいわゆる責任の在り方についての、大臣、考えがございましたら、お願いしたいと思います。
  56. 滝澤秀次郎

    政府参考人滝澤秀次郎君) 一点目の砒素の含有量の改善状況についてでございますが、神栖町におきます緊急措置事業におきましては、申請受付時に毛髪でありますとかつめから、つめ等の生体試料からジフェニルアルシン酸の測定を行っております。その後は、医療が必要な方につきましては診療の一環として適宜測定をしておりますが、現在解析中ということで伺っております。また、その他の方につきましては、緊急措置事業の一環といたしまして、一年に一回とされております健康診査の中で適宜測定することとしておりますが、現在、各対象者それぞれの第一回目の健康診査がそれぞれ実施されている最中でございまして、申請時点からのジフェニルアルシン酸含有量の変化についてはまだ確認されていない状況でございます。  今後、できるだけ早くジフェニルアルシン酸の含有量の変化について解析していきたいと、このように考えております。
  57. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 小池環境大臣、時間が来ておりますから、簡単明瞭に。
  58. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今、部長から、結果、そして経過報告をさせていただいておりますように、原因究明のためのボーリング調査などの調査は進めております。これを更に早急に汚染源を特定すべく調査も更に進めてまいりたいと考えております。  様々な観点からの議論を踏まえた検討は必要であるというふうに考えておりますので、しっかり取り組ませていただきます。
  59. 小林元

    ○小林元君 終わります。
  60. 山下栄一

    ○山下栄一君 最初に、岐阜の不法投棄問題、ちょっと取り上げさせていただきたいと思います。  ただいまも小林委員からもお話ございました、衆議院でもこの問題取り上げられたようですけれども。私、この件は、今もう環境行政の根本が問われている、その根幹が揺らいでいるという問題だと思います。  先ほど大臣も驚愕したとおっしゃっておりました。青森、岩手の問題、これは私もかかわらせていただきましたけれども、同時並行というか、同じ時期に同じようなことが実はあって、それが環境省に届いていないという。これはもう深刻なことだなというふうに思っております。  我が国最大級の事案となる可能性と、このように環境省からの書面にございました。堂々たる法律違反がまかり通って、行政部局はなめられている、そしてあざ笑われていると、こういう状況であるというふうに思います。  これ、警察が三月十日に強制捜査入ったと。ということは法律違反があるからだと思うんですけれども、この事案はどういう法律のどういう中身に違反しているのか、また可能性があるのかということの認識をまずお聞きしたいと思います。
  61. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 先ほども述べさせていただきましたように、今回のこの岐阜での問題は、その規模の大きさ、それからこれまでのいろいろな経過を知るにつけて、極めて残念な問題が発生したと大変残念に思っている次第でございます。  今、岐阜市などと緊密に連絡を取りまして情報収集に努めているところなんですが、取り急ぎ、これからの、問題がこれ以上進まないためにも、今後の対応として、市に助言をしっかり行っていくということ。それから、これらの大規模な不法投棄が発生しないようにどうするかということで、地方環境対策調査官事務所を活用して独自の情報収集の充実を図っていこうと、それもいろんな方法があろうかと思っておりますので、これも検討をしております。  それから、今も法律改正にも取り組んでいるところでございますけれども、いずれにいたしましても、まだ、何というのでしょうか、ホワイトエレファントというか、実態が全部がまだ解明されておりませんので、まずはその実態の解明、これまでの経緯のチェック、これを重ねる段階ではないかと思っております。
  62. 山下栄一

    ○山下栄一君 廃リ部長にお聞きしますが、同じような質問になると思いますけれども、警察が捜査に入った、廃掃法違反だと思うということ。また、森林法の関係もあると思いますけれども。どこに、この法律違反があると思うんですけれども、可能性で結構ですけれども、これはもう既に環境省が現地に職員派遣されているわけですから、そういうことは敏感に反応しないと駄目だと思うんですけれども。もう廃掃法で結構ですけれども、何に違反している可能性があるんですか。
  63. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 基本的には、廃棄物処理法に基づきます不法投棄というものが行われたというふうに考えております。その違反の、違反があるんじゃないかということで警察が内偵を進めておって、今月の半ばになりましてからその具体的な捜査を始めたということで承知をいたしております。  山下委員指摘のとおり、私ども極めて、警察から先週半ばに話を初めて聞いたわけでございます。極めて深刻にとらえておりまして、大臣の指示を受けまして、早速現地に先週金曜日に職員を派遣しましたし、また今週金曜日にはその周辺の県あるいは政令市、そういった担当を集めまして、広域的な善商というごみ処理業者との取引実態などの把握を急ぎたいというふうに考えております。
  64. 山下栄一

    ○山下栄一君 農水省来られていますね。これ、森林法の違反の可能性があるという認識だと思いますけれども、ちょっと簡単に説明してください。
  65. 梶谷辰哉

    政府参考人梶谷辰哉君) 今回の産業廃棄物の投棄につきましては、保安林を含む森林において県知事の許可を得ずに行われたものでありまして、森林法の違反に当たるのではないかと考えております。
  66. 山下栄一

    ○山下栄一君 三十四条違反ですね。保安林ですからね、ここは。  これ、既に九〇年に、九〇年に一度、もう原状復旧命令ですか、を出されたと。出された後、五年掛かりで原状復旧を業者がやったと。その後三年間は不法投棄しておらなかったと、九九年まで。九九年以降、農水省、林野庁が調査しないまま今日に至って、去年気が付いたということだと思うんですけれども、そういう話を聞きましたけれども。この森林法に基づいて、これ二回目ですからね。この罰則、罰金だそうですけれども、この森林法に基づいて業者を告発する、警察に、ということはできないんでしょうか。
  67. 梶谷辰哉

    政府参考人梶谷辰哉君) 委員指摘のとおり、今回の事案につきましては、平成二年にも同じ方がこういうことを起こしまして、森林法に基づきまして復旧命令を行ったという事実があります。県の方では、平成十一年度までその後、現地の巡視等を行って新たな投棄がなかったということを確認していたわけですが、今回こういうことが起こったということであります。  森林法に基づきます対応についてでありますが、岐阜県の方で今現在検討をしているところだと思いますが、林野庁といたしましては、岐阜県に対しまして、法令に基づき厳正に対処するように指導を行っていきたいというふうに思っております。
  68. 山下栄一

    ○山下栄一君 厳正に対応するためには、二回目なんやから、罰金五十万円以下であろうと刑事告発を僕はやるべきやと思うんですよ。単にもう一回、また不法投棄されたものを取り除きなさいという、同じ二回目の命令を出す、そんなばかなことはする必要はないと。それもやっても構いませんけれどもね。  この廃掃法の十六条、不法投棄、みだりに廃棄物投棄してはならないというのに違反しておるというだけではなくて、この借地の、これは元々中間処理業者の許可を持ち、そして運搬の許可を持っている業者だと。その施設がある隣の地域で、借りているところに、地形がもう全く変形するような、谷が全部埋め尽くされて、市長がおっしゃっているには団地の造成するのかというふうな、そういう光景であると。市自身、市長自身も陳謝しているようなこの今回の案件なわけですから。  私はもう一遍確認しますけれども、不法投棄、十六条と、この埋立て処分、産業廃棄物と言われている、法律上そうなっているものを処分、埋立て処分の許可をも取っておらない無許可のところにけた外れの量のものを不法投棄しているわけですから、これは埋立て処分の許可をも取らないかぬという十四条にも違反していると。  これは新聞報道ですけれども、管理票、せっかく九七年に作った、追跡調査できるマニフェスト、産廃の排出業者、運搬業者、処分業者、その管理票自身が、この業者、善商ですか、受け取って運搬して捨てているわけですから、これはもう産業廃棄物の十二条のこの管理票にかかわるものも全く無視されていると。チェックすらそれされていない、されておらないというのは、これ新聞報道ですけれども、そういうことを言われているわけです。廃掃法って一体何なんだということが、一杯こういろいろ書き込んでも機能しないじゃないかということになっているわけですよね。  こういうことに対して、私は、業者も悪いけれども岐阜市がひどいと、これはと。市長自身があきれているわけですから、それもおかしな話なんやけれども。知りませんでしたし、これ見てびっくりしましたと、悪臭は漂うし、もう土地が変形している。それも保安林のところに、環境の観点からも、自然環境の観点からも大変なところを伐採して、そして埋めているわけですから、これはもう日本環境行政があざ笑われていると私は思うわけですけれども。  この市の対応に対する断固たる指導を私は環境省やるべきだというふうに思います。何をやっていたんだと。何度も立入検査をし、改善命令を出し、勧告まで出し、そのたびにフォローもしないで指導だけして、いたずらに、平成元年以来今日まで何していたんだということだと思うんですね。  市の指導はするのはいいけれども、指導の仕方を毅然とやらないと、私は、国民から見たら、環境省もっと頑張ってほしいと、環境省は市長を告発したらどうだと、行政訴訟に訴えたらどうだというふうな話ではないかと。廃掃法の所管環境省ですから、直接担当しているのは、それは法定受託事務か知りませんけれども、そういうことが全然機能していないわけですから。  私は、市の責任が物すごく大きいし、市の指導をきちっとして、指導できないんだったら、それは環境省の責任が大きくなるし、今回の情報も、情報収集のために職員を増やし地方調査官事務所まで作っているのに、警察から聞いたってどういうことだと、これはと。それも三月十日に警察が入っているのに、聞いたのはその、警察からの連絡はいつ聞いたんですか、何日に。
  69. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 三月十八日でございます。
  70. 山下栄一

    ○山下栄一君 これ、三月十一日に地元の中日新聞ではもう報道されているわけですよね。それはほかの全国紙は、全国紙いうかほかはそれは三月十九日の新聞だったかも分かりません。その前日に環境省に警察から、警察とじゃ地元、県警と市ないし県、岐阜、その連携も、岐阜市から何で環境省に連絡来ないんだと。  警察がもう三月十日に入っていることは岐阜市知っているはずですからね。強制捜査に入っている。それが、市から連絡もない。警察からの情報も三月十日に強制捜査入っているのに、十八日に、今お話あったように、お聞きされたと。こういうこと、何なんだということだと思うんですね。全く機能していないとしか言いようがないと私は思うんです。  これ、だから警察、多分逮捕すると、逮捕してませんよね、これ。四月に逮捕することになると書いてありますけれども、新聞には。逮捕される前に、担当部局である環境省なり岐阜市は告発すべきやと思うんですよ、法律違反に基づいて。  警察の逮捕するのをじっと待っているんですかと。環境省とか岐阜市の担当の、何もしないんですかという、このことについてどうでしょうか。
  71. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 目下、警察では、警察庁あるいは岐阜県が連絡を取りまして、その捜査を相当強力に進めていただいております。したがって、私どもとしては、その犯人の、あるいは犯人たり得る者の追及につきましては、警察でやっていただけると考えております。  それ以上に、私どもとしまして当座急ぐべきは幾つかございます。一つは、地元の当然、岐阜市を強く指導してでございますけれども、不法投棄の現状をしっかり把握する必要がございます。  今のところは、一般的には二百メーター掛ける百三十メーター掛ける二十メーターと、そういう直方体、直方体にすればそういうものが捨てられているということでございますが、その中身、それから量の確定、周辺への影響調査、きちんと岐阜市にやっていただく必要ございます。  また、行政も含めたその責任の追及、さらに業の許可の取消し、資産の差押えなど、幾つかやるべきことございます。それを行政として廃棄物行政の観点からきちんとやっていきたいというふうに考えております。
  72. 山下栄一

    ○山下栄一君 私は警察に告発したらどうかという意見ですが、私も豊島も行かしていただきましたし、青森、岩手も現場を見てまいりました。今回、こういう事件があると。  今、私たち知りませんけれども、例えば国立公園内とか、また人が余り住んでないようなところに同じぐらいの量の不法投棄されているかも分からへん、日本列島。たまたま知らないだけかも分かりません。  これもう物すごいけた外れの量の、もうこれ三回目なわけですね。こういうことを、今、廃リ部長がおっしゃったようなことはそれはもうそのとおりなんですけれども、そういうことを繰り返しているという、どこがこれ問題なのかということですね。  なぜ教訓を生かされないんだと。青森、岩手のときには、岐阜県の代表も多分、あれ全国から集まっているごみですからね、青森、岩手は。岐阜県の担当の清掃部長ですか、も環境省に呼ばれて、そこで実情も聞いて、どこから運ばれたものか調べるようにという指示があって調べているはずなんです。その同じころですからね、これ。  何をどういう気持ちでこの方、岐阜って、岐阜市か、これは。ちょっとあれかも分からぬけれども、岐阜県の方は臨んでおったのかということだと思うんですよ。だから、何も感じないんですかと。  これは、ちょっと私はもう、何といいますかね、環境省の威信を懸けてこの問題に臨まにゃいかぬと。臨むに当たって何をしたらいい、どこがおかしいんだと。岐阜市自身をきちっと指導できないんだったら、これは環境省の責任になってくるわけですから、指導の姿勢が問題だと思いますし、的確なきちっとした指導を検討して、市長さんに直接言うと。それは、なるほどと、全国環境部長、知事が、よくぞ環境省そこまで考えて市長に言ったなというふうな的確なやつ。これを、私は、今回やらないと、この岐阜市の対応というのは、どんどんダンプカーで何十台とか、県道のすぐ近くですから運ばれている、うずたかくどんどん、地形も変更するわけですから、そういう状況で立入検査し、勧告し、結局何の効果もない。効果がないどころか、いい加減な行政指導がこういう業者を助長させたと。もう完全になめられていると言うしか言いようはないと私は思うんです。  ただ、これは、今申し上げましたように、岐阜市への指導をどうするかということは非常に大事な環境省としてのポイントだというふうに私は思います。これを、このごみを、だれが責任取るんですかと。結局、しりぬぐいを税金でするんですかと。豊島も青森、岩手も税金が投入されてしりぬぐいをすることになっているわけですよね。今回も何百億というお金をまたやるんですかと、行政訴訟されたらどうするんですかと、私たちの税金で、こんな使ってほしくないと国民が言い、住民が言ったらどうするんですかということだと私は思います。今回もまた法律改正すると、こういうことをずっと繰り返しているわけですから、愚痴みたいになってしまいましたけれども。私は、これ、モラル、結局、税金でしりぬぐいしていたら、これ、モラルなんて、これは指導しようがないわけで、これ、企業も行政もそうやと思いますし。  まず、ちょっと具体的に、もう時間、もうこれだけで終わってしまいそうですけれども、プロ意識ですね。行政を、環境行政を担当される岐阜市にしろ岐阜県にしろ、環境省もそうかも分かりません。私自身もその一人かも分かりませんけれども、環境行政を担う者として、業者から、これは残土ですと、産業廃棄物ほどでございませんと言われてすごすごと帰ってくる岐阜市の職員。一時保管ですと言われて、何が一時保管ですかと、この量、いうて、何も言えないいうて新聞に載ってって書いてあるわけですけれども、こんなことしていたら、何のために税金で仕事しているんだということになっていくと思うんですね。  環境行政のプロとしてのきちっとした対応、それは人数少ないといろいろあるかも分かりませんけれども、プロのやっぱり意識を持ってやるということを徹底しないと、魂の据わった対応をしないと、これはもうリサイクル法幾ら作ったかて、循環型基本法いうたかて、全部それはもう根本から崩れていく話だと。この問題は、私は、環境省予算が、先ほど清水元大臣がおっしゃったように、予算が、廃棄物がほとんどだというふうなんだったら余計やと思うんですよ。ごみ行政がきちっとできないよ、業者からあざ笑われて、業者の責任もきちんと問えないで、結局、国民の税金でしりぬぐいするなんというようなことは絶対許してはならないという、そういう姿勢で臨むというまずプロ意識をきちっと持てるような、そういう職員をきちっと配置し育てる。当然のごとく、警察との連携もやればいいわけで、きちっと、組織の見直しもする、全力を挙げて、腹を据えて対応するということ。だから、プロ意識を持ってこの業に当たる、そういうのでなかったらもう職に就けないというふうなことだと思います。  だから、職員の意識の問題だと思いますし、それからもう一点、後から大臣にお聞きしますけれども、その話と、この排出者責任ですけれども、善商という運搬業者に委託したお金は多分相場よりも低いお金で委託していると思うんです、排出業者は。それが近畿地方から東海地方から、先ほど副大臣もおっしゃったように、あちこちから集まっている。青森、岩手もそうですわ。全国から、九州からも、あんな青森、岩手まで運ばれているわけですから、排出者が、それは一つ一つ公開できないかも分かりません、具体的業者名は。しかし、この委託した業者を、これ、単なる道義的責任レベルかも分かりませんけれども、何らかの形で情報公開すると。特に、青森、岩手の問題なのは、あれは、公的機関もあそこに、公的機関のごみが青森、岩手の山間地に行っているわけですから、これは情報公開されていると思いますけれども、公的機関いうことは県のごみとか国のごみとか県立病院のごみとか、そういうことだと思いますけれども、そういう排出者が委託して、運ばれているということですね。  だから、ごみを委託した方も責任感じないと、これ、どうしようもないと思うんです。だから、それは何らかの形で国民に知らせると。知らせ方、ちょっと工夫せにゃあきませんけれどもね、固有名詞を言えないかも分からないけれども。そういうことをしないと、これ、青森、岩手いうたかて、これ、二万業者ですかね、一万、二万の物すごい数の業者が、全国ごみがあそこに集結したという。そんなことを許していたら、今回もそうやと思うんですよ、岐阜県内のごみだけじゃないわけですからね。排出者の委託した責任をどうするんだという問題、これは単に善商だけの、善商に責任押し付けられないと思いますわ、私は。排出者の情報公開、これは法律的に問えないと思いますので、せめて情報公開を工夫して、どういう形で国民に知らせるかということ、これも工夫せにゃいかぬ問題だと思うんですけれども、そのプロ意識の問題とこの情報公開の問題、ちょっとお聞きしたいと思います。
  73. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 今、正に事の本質をえぐるようなお話をよく聞かせていただきました。正に、ごみ問題というのは法律等を、また指導をきつくすれば、また逃げ道を作ると。今度は、それを許さないような形にするのが正に法の支配の国家になり得るんじゃないかなというふうに、今回の一連の動きを見て痛感をしたところでございます。  まず、今回、先生も御指摘ありましたけれども、岐阜市が何度も、この十数年にわたって何度か立入検査をして、そして何ら改善が見られないどころか、これほど大きな不法投棄があるという、そこに至るまでの様々な、何というんでしょうか、現場の雰囲気というのもよく調査もしなければならないと思っております。  ですから、そういったこれまでの経過、経緯、それに当たってきた人たちの実際の本音の言葉、こういったこともよく聞いた上で、国としてどうすべきか、また、環境省としてどう当たっていくのか、これらを真剣に検討してまいりたいと、このように考えております。
  74. 南川秀樹

    政府参考人南川秀樹君) 御指摘のとおり、排出者の責任が大変重いと思います。私ども、今週金曜日に名古屋で周辺の自治体を集めて会議を行いますのも、善商に対してごみの中間処理を依頼をしておったというその排出者がどの程度いるのかと、またどういう契約がなされていたのかということも含めて詳細に把握しようと、そういう目的で開くものでございます。当然ながら、不適正な契約などによって頼んでおったということが分かれば、その業者の氏名は公表することが前提だと思いますし、当然ながら必要な費用負担についても求めていくことになると思います。厳しくやりたいと思っております。
  75. 山下栄一

    ○山下栄一君 大臣、また環境省の皆さんに質問しているようで、私、自分に質問しているみたいな感じもするわけですけれども、本当に深刻に自分自身も受け止めておりまして、これはだけど、今回は、先ほど申し上げましたように、大臣も言っていただきましたけれども、岐阜市への的確な指導が問われている案件だというふうに思いますので、廃リ部長もおっしゃっていただきましたけれども、是非毅然とした御指導をお願いしたいと思いますし、私は、警察が対応するまでに何をするかということが、いろいろなことが出てくると思いますので、警察の捜査によって、そういうことをやっぱりよく連携取りながら、実態、何が問題点でどういうことが行われておったのかということも含めて、私は告発した方がいいんじゃないかなとも思いますけれども、対応、厳しい対応をお願い申し上げたいというふうに思います。  残りちょっと質問させていただきたかったんですけれども、また機会あると思いますので、別の機会にさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  76. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  77. 長谷川清

    委員長長谷川清君) ただいまから環境委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総務省所管のうち公害等調整委員会及び環境省所管を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  78. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 まず最初に、ブナ林の重要性について伺います。  ブナ林が現在まとまった形で残っているのは、世界の中で日本列島、ヨーロッパ、アメリカ東部の三か所のみだといいます。これらは、今から約三千万年前に北極周辺に分布していたブナが、その後の氷河期に南下した生き残りだということです。中でも日本のブナ林は、アメリカやヨーロッパと違って、氷河期を生き抜いた植物がかなり残っていて多様性に富んでいます。そして、自然史的に見ると際立って貴重なものだと言われています。  そこで伺いたいんですが、環境省、林野庁、それぞれ、日本のブナ林の重要性についてどう認識をしておられるのか、その点について伺います。
  79. 小野寺浩

    政府参考人小野寺浩君) 我が国で人手のほとんど加わっていない、我々の言葉で自然林と言いますが、環境省の調査によれば、この自然林の面積は全国で六百六十万ヘクタール、国土の約一八%となっております。これらの自然林の多くは脊梁山脈等の山地に分布しておりまして、それ自体が保全対象であり、また国土の生物多様性を成立させるための中核としての役割を果たしております。さらに、水源の涵養、土砂流出の防備、二酸化炭素の吸収など、人間の生存にとって欠くことのできない多くの機能を有していると考えております。  ブナ林につきましては、我が国の自然林を代表する樹種の一つであり、全国で百四十三万ヘクタール、国土の四%となっております。東日本、中でも大規模なものは東北地方、中部地方の日本海側を中心に分布していると考えています。  ブナ林は、自然林としてそれ自体が貴重な存在であるほか、水源涵養等の多様な公益的機能、加えてツキノワグマなどの大型哺乳類、クマゲラなどの野鳥、昆虫、土壌生物まで、希少種を含む多種多様な野生生物の生息の母体となっており、生物多様性保全上極めて重要な位置を占めると認識しております。
  80. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) 林野庁へもという御質問でございましたのでお答えしたいと思いますが、基本的には今、環境省局長さんの方からお答えしたことと同じでございますけれども、私どもといたしましても、ブナ林は北日本を代表する森林の一つとして、大変今までも日本人自体が様々な形でブナ林の恩恵も享受してきたと思っておるところでございます。それで、景観にも優れておりますし、生物多様性に富んだブナ林でございますので、極めて貴重な森林であると認識しております。
  81. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今日は、奥只見での林野庁による違法伐採について質問いたします。この只見地域のブナ林と渓谷沿いの渓畔林は、世界的に見て高い価値があると言われております。そこでの出来事です。  二〇〇二年六月、会津森林管理署南会津支署管内の国有保安林で、樹齢二百年を超えるブナ原生木が次々と伐採されているのを日本野鳥の会南会津支部が発見しました。野鳥の会の皆さんや研究者が学術調査をしていたときのことだということです。  保安林内は規制が厳しいはずなのにチェーンソーの音がするので、変だなと思って、その違法伐採を発見したわけです。その後、林野庁として違法伐採を行っていたことを認めたわけですけれども、その内容について簡単に御説明してください。
  82. 辻健治

    政府参考人(辻健治君) 今、先生の御指摘の会津森林管理署南会津支署の違法伐採についてでございますけれども、平成十四年の六月、日本野鳥の会南会津支部により、関東森林管理局南会津支署に対しまして、保安林内の伐採箇所について伐採の経緯、手続に関する照会がございました。これを受けまして同支署が調査したところ、福島県との協議が未実施で間伐をしていたということが判明したところでございます。  このため、関東森林管理局で同支署管内への未協議伐採箇所に関する調査を実施したところ、平成九年度から平成十三年までの五年間において立木二万四千三百十五本、この中にはブナ等の広葉樹が百七十六本含まれておるわけでございますけれども、伐採されていた事実が判明したところでございます。  同支署では福島県に事実関係説明し、県はこれを受け現地調査を実施したところでございます。林野庁といたしましては、本事案を重く受け止め、関係した者を処分し、他局において同様の事案がないか調査したところでございます。  なお、平成十五年十一月十七日に日本野鳥の会南会津支部は、貴重なブナ林の保護のためとの理由で南会津支署長を森林法違反の疑いで刑事告発をし、捜査当局による調査が現在続いている状況でございます。今回の事案は、国民の森林を管理している者としてあってはならないことであり、誠に遺憾であると考えているところでございます。
  83. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 今説明がありましたように、昨年十一月、野鳥の会支部が森林法違反で告発をして、県警が現場検証を行ったということです。本来、国有林における違法を取り締まるべき立場の森林管理署が、自ら違法伐採していたという衝撃的な出来事です。  私も、昨年十二月、雪の中を現場に行きました。そして、樹齢百年以上のブナの木が何本も切り倒されている、そういう現場を見て、本当に胸が痛みました。なぜこのような違法伐採が起こったのでしょうか。
  84. 辻健治

    政府参考人(辻健治君) 今回の事案につきましては大きく三点の原因があるのではないかというふうに思ってございまして、一点目は、担当した職員が業務内容について十分な理解がないままに、誤った認識に基づいて事務処理を行っていたと。今回、間伐でございますので、間伐は森林の機能の維持向上に役立つと。したがって、そういう協議は要らないんじゃないかといった、そういう認識に基づいて事務処理を行っていたということでございます。  それから二点目は、組織内部での相互牽制及びチェック機能が十分に機能していなかったと。  それから三点目は、保安林の伐採協議等は県知事の権限でございますけれども、都道府県等行政機関との連携が不十分であったというところが主な原因だと認識しているところでございます。  このため、昨年十二月の長官通達により、各森林管理局に対しまして、職員研修の充実、チェック体制の確立、関係行政機関との定期的な連絡調整会議の開催等の徹底を図るように指示したところでございます。
  85. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 本当にお粗末な事案なんですね。伐採が発見された当初、その支署は違法性がないと回答していたんですね。その後、その野鳥の会の情報開示請求などによって、一年以上もたってから、昨年十月になってようやく違法伐採を認めたわけですね。もしNGOの追及がなければ、違法状態の下、人知れず、かなり奥深いところですから、ブナがどんどん切り倒されていってしまう、そういうところだったと思います。  その上、今年一月にも、いわきの国有林内十三か所で千六百八十六本がやはり違法伐採されていた、そういう事実が判明しました。これはなぜ、これは発覚が遅れたんですか。
  86. 辻健治

    政府参考人(辻健治君) 磐城森林管理署の問題でございますけれども、発覚が遅れたことにつきましては、保安林の未協議伐採の再発防止の一環といたしまして、森林管理局だけではなくて林野庁で昨年十二月に各都道府県に対しまして調査を実施したところでございます。この都道府県の調査と森林管理局での調査、この報告を突合したところ、磐城森林管理署原町事務所の立木販売箇所におきまして、平成十年、十一年に発生した搬出支障木、一千六百八十六本でございますけれども、この中にはモミだとかコナラが入っているわけでございますけれども、森林法に基づく福島県との協議が行われていなかったというところが判明したところでございます。  事案の判明に時間を要したのは、関東森林管理局では平成十四年七月に事案の報告を受けまして、県による現地確認と原町事務所が始末書の提出を行ったということで、関東森林管理局では本件については手続が完了したものと、こういう誤認をいたしたところでございます。したがいまして、同年七月の林野庁における未協議伐採に関する調査に際しましては該当なしと、こういう報告を受けたというところでございます。
  87. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 この事実についても、NGOに追及をされる、そして警察に告発をされる。私どもも現地に行くに当たりまして、本当にほかにないんですかということで何度か照会をさせていただきました。そういう中で、違法の事実が次々と判明をしてきているわけですね。私は、これでは支署も林野庁も違法伐採を何とか隠そう隠そうとしていたのではないかと、そう疑われても仕方がないような状況だったなというふうに思います。林野庁の違法伐採について書類保存期間が五年間しかないということで、その部分しか分かっていないんですね。でも、現地の皆さんは、それ以前にも長期間にわたって違法伐採されていたのではないかと、そういう疑問を持っておられます。  私は、この事件が起こってからの現地のいろんな対応とか、あるいは林野庁とやり取りをさせていただく中で次々とこういう事実が判明してきたというようなことから見て、やはり林野庁のきちんとした、体質を改めるといいますかね、こういうことはもう、現場では何ともないというふうに思っているのかもしれませんけれども、今そういう時代じゃないんですよね。そういう体質を本当に徹底的に改めて、いわゆる自然環境教育だとかそういう、これをしちゃ駄目だとかということだけではなくて、やっぱり森林を守っていく上での意義みたいなものですね、誇りですよね、現場の方は持っておられるんですよね。そういうことをきちんと徹底するような、そういう研修を行うべきだというふうに思いますけれども、先ほど通達を出されたという、ささっとお答えになられましたけれども、もう少しきちんと現場で働いておられる皆さんにメッセージを送るような形で、是非、部長からお話をいただきたいと思います。
  88. 辻健治

    政府参考人(辻健治君) 今、先生の御指摘のように、国有林は環境保全だとかあるいは森林環境教育だとか、こういったことに取り組むべきだというお話でございますけれども、平成十六年四月一日から国有林野の管理経営基本計画というものを策定したわけでございますけれども、これは農林水産大臣が定める計画でございますけれども、その中では、これから国有林野事業としては、森林環境教育だとかボランティアとの連携だとか、こういった公益的機能の重視の管理経営を充実強化をしていこうということになってございます。  それで、先生の御指摘の話でございますけれども、林野庁におきましては、このような事案が再度発生しないよう、事案発生直後の平成十四年九月に開催された森林管理局長会議におきまして、保安林における伐採協議等の事務処理の徹底について指導いたしてございます。あわせて、森林管理局及び森林管理署の担当者を対象とする研修、会議により、関係法令、通達等の関係職員への周知徹底を図ったところでございます。  また、平成十五年の十月には、国有林野部長名で保安林関係について適正な事務処理が徹底するよう指導いたしますとともに、全森林管理署におきます保安林担当者に対しまして保安林協議の実務者研修を緊急に実施したところでございます。  さらに、十二月の長官通達により、全森林管理局及び森林管理署等を対象に、すべての業務につきまして適切な事務処理の徹底や相互チェック体制の確立を図るよう指示したところでございます。  今後、再発防止のために万全を期してまいりたいと思います。
  89. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 只見町は森林が町の総面積の九四%を占めます。しかも、その町の六六%が国有林です。これまで町を挙げてブナ林を守る運動を進めてきたということです。それは、只見町が一九六五年八月の集中豪雨で四集落が壊滅的な被害を受けた、そしてその原因がブナ林の過度の伐採だということが分かって、一九八〇年には町議会に特別委員会を設置して、ブナ林の保存運動に取り組んできたということです。  しかし、その後も、一九八九年まで毎年一万二千立米から一万四千立米ものブナやトチなど広葉樹が伐採されてきました。そこで、一九八九年に町議会が国有林伐採の大幅削減に関する決議を採択をして、二回にわたって前橋営林局へ陳情をしたそうです。その当時、町と営林署が合同現地調査を行ったそうですけれども、その際、町長が大洪水があった地区の状況を見て、災害の発生が何よりも心配だと、できることならブナは一本も切ってほしくないと述べられたそう、訴えられたそうですけれども、副大臣、災害防止のための広葉樹などの果たす役割、これは非常に重要だと思うんですね。  林野庁は、何というんですかね、地主というよりも大家さんなんですかね、どっちに当たるのかな、という立場ですので、そこら辺の御認識を伺いたいと思います。
  90. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) ただいま御指摘ございましたように、災害の防止あるいは水源の涵養など、森林の多面的機能を持続的に発揮させていくということは非常に重要でございまして、その中で、今、先生が御指摘の広葉樹林、ブナ林等の果たす役割は、先ほど申し上げましたように、極めて重要なものであるというふうに思っております。私どもは、そういう認識の下に、今後、今までの方針もございますが、ある程度その認識を改めるような形でしっかり守っていく方向で今取り組んでいるところでございます。
  91. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 もう一つ、一九九八年に国有林野事業改革二法、これが制定をされて、木材生産から公益的機能重視に転換をしました。法の精神からすれば、環境保全を最優先にした林野行政に改めるべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
  92. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) 今御指摘ありましたように、国有林につきまして、特にいわゆる公益的機能の維持増進というものに重点を置いた転換を図ろうとしておるわけでございますが、その結果といたしまして、平成十年時点では公益的機能の維持増進を目的とした森林は約五〇%でございましたが、平成十五年にはそれが八五%になっております。
  93. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 次に、林野行政における希少野生動物の保護について伺います。  林野庁は五年ごとに森林計画を策定をしていますね。そして、その基になる森林簿を作成をしているわけですけれども、平成十一年十一月の通達で、国内希少野生動物、動植物の、動植物種の生息、存在確認や痕跡確認、その可能性について観察記録を付すよう指示をしております。  南会津森林管理局の森林簿には希少野生動物について正確に記載されているのでしょうか。
  94. 辻健治

    政府参考人(辻健治君) 先生のお話のとおり、国有林で森林計画を立てるときに森林調査簿というのを作っているわけでございます。野生生物の観測記録につきましては、観察記録につきましては、平成十一年の十一月の森林調査簿の作成に関する通達の改正によりまして、森林調査簿原簿に記載するということにいたしたところでございます。  通達施行当初は、観察記録の情報公開請求への対応方針が明確でなかったということもございまして、猛禽類の営巣地が特定されると、こういったことから、南会津支署では、観察等の記録は有していたわけでございますけれども、森林調査簿原簿には記載せず、別途、観察等の記録を管理していたというところでございます。  その後、営巣地に関する情報の取扱いに配慮、いわゆる、仮に情報公開があっても非公開ということにしようということで、こういった配慮を行った上で記載するよう指導を行ってございまして、南会津支署における、平成十八年度に樹立、策定をいたします地域管理計画の策定に合わせまして森林調査簿原簿に記載を行う予定でございます。
  95. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 これがその改正された後の原簿の作り方だと思うんですけれども。(資料提示)発見された場所については黒塗りをしているわけですから、最初からこうしていれば何ら問題はなかったと思います。調査はそういうふうにどこもされているというふうに思うんですね。ですから、結局、最終的に見ると森林簿にはきちんと記載されていなかったということになるわけですね。  例えば、林野庁が二〇〇〇年度に行った、今お示しをした国内希少野生動植物保存のための、これはクマタカですが、生存状況調査データには、二〇〇〇年九月から十二月にかけて個体数一、例えば成鳥、親になった鳥ですね、それから標高は千三百から千四百メーター、九時四十分から九時四十六分、上空を旋回中の個体を発見などのデータが記されているわけですね。このいただいた資料は十一日分、情報数が二十八回分記録されているわけです。ところが、原簿には、森林簿にはこれだけの情報が全く記載されていなかったわけですね。  また、NGOの目撃情報では、九六年から二〇〇一年の間に日本イヌワシ研究会が十三つがいのイヌワシを奥只見地域で確認しました。また、布沢地区で野鳥の会南会津支部がクマタカとオオタカ各一羽の生息を確認しています。叶津地区でもイヌワシ二羽を確認しています。こうした情報も森林簿に反映されていません。  森林計画というのは、私は、正確な調査を基に作られる、立てられるべきものだと思います。ですから、調査に不正確さがあってはならないものですね。さらに、行政だけの調査では限りがあると思います。NGOの協力が欠かせません。是非、積極的にNGOと連携しながら正確な調査を行うということをしっかりやっていただきたいと思います。  同時に、イヌワシなどについてなんですけれども、二〇〇二年六月と九月の二度の調査を基に出された福島県の、これは只見町の教育委員会が二〇〇三年に発行した報告書の中に載っているんですけれども、福島県只見地域の森林植生並びに生物多様性に関する学術調査という報告書ですが、それによりますと、レッドリストに載っている十二種のワシタカ類が発見されていると、イヌワシが只見町周辺で約四十つがいと推定されていると、北上に次ぐ大きな集団であるということが書かれております。イヌワシのテリトリーというのは約二万ヘクタールに及ぶそうであります。ですから、そういうイヌワシがちゃんと、猛禽類というのは食物連鎖の頂点ですから、それが多いということは、そこは非常に豊かなところだというところだと思います。生物多様性に富んでいるというところだと思います。  是非、調査をきちんとやって、そしてそういうテリトリーをきちんと守っていくということでしっかり取り組んでいただきたいのですが、いかがですか。
  96. 辻健治

    政府参考人(辻健治君) 森林調査原簿に記載する事項といたしましては、どういうふうな種の動植物が生息しているのかと、それと生息あるいは存在の確認だとか、生息、存在の痕跡の確認だとか、こういったデータ、それから、先生御指摘のように、内部だけではなくて外部の有識者、こういったところの情報、こういったものを記録することになってございますので、適切にやってまいりたいと思います。
  97. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 しっかりやっていただくということでお願いしたいと思います。  昨年の十一月に、関東森林管理局の田米開隆男計画部長は、東北自然保護の集い福島大会で、南会津を含む会津地方全域のブナ天然林を今後一切伐採せず、自然維持林として保護していくことを明らかにしたと報道されていますと。只見町長は、この発言に対して、林野庁は今後一切ブナを切らない方針と受け止めているので是非そうした立場でやってほしい、こういう要望をしておられました。  私は、こうした自治体の声に真摯に耳を傾けるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  98. 市川一朗

    ○副大臣(市川一朗君) 今御指摘ありました南会津地域のブナ林は、地域住民の方々からの要請にこたえまして、従来からナメコ原木用等として利用されてきた経緯があるわけでございますが、今、岩佐委員指摘のように、近年、こういった貴重な原生的ブナ林は保存を図るべきだという要請が強まってきておりまして、今のような話に展開していっていると承知しております。  それで、国有林野につきましては、こうした要請も踏まえまして、この地域のブナ林のうち、原生的なものにつきましては伐採を基本的にしないと、単に伐採を行わないだけではなくて、自然環境保全にかかわる機能を重点的に発揮させるべき森林といたしまして、森と人との共生林の中に自然維持タイプという形で位置付けることと方針を決めたところでございます。  現在、原生的なブナ林のどれを自然維持タイプとするかということにつきまして、今の先生のお話ですと、ほとんど全面的に指定すべきじゃないかという御意見だと思いますが、その辺も含めまして区域的な検討をしているところでございます。
  99. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 環境大臣、南会津のブナ林は、計三万四千ヘクタールが原生的状態のまま残されております。規模では、世界遺産に登録された白神山地に劣らないということです。その上、一九九九年の「山と渓谷」のランキングでは、規模、原始性、静けさ、巨木と、どの点でも超一流として、白神を抜いてAランクに評価をされています。  昨年、私も現地調査で古代ブナの一種を見付けました。遺伝子多様性解析の対象としても貴重な森だと思います。この森を広範囲に保存することが求められています。世界自然遺産候補地検討委員でもある小泉武栄先生は、残り少ない原生林の伐採は即座にやめてほしいと私は思うと書かれています。大臣は、今、世界でも例外的に残されている我が国のブナ天然林の保存と生物多様性の保全のために、林野庁と協力をして、それで是非その方向でお取り組みをいただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  100. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 会津の地も含めまして、森林というのは正に自然環境の重要な構成要素でもあり、また国土の保全、水源の確保、生物多様性の保全、更には吸収源ということで地球温暖化の防止に資するということなどで非常に大切にすべきものと考えております。林野庁とは、環境省環境保全の観点から共同で所管されているということは平成十三年の省庁再編の際の森林の保全ということで確認をしているところでありまして、これからも森林行政との調整、連携に努めてまいりたいと考えております。  貴重な、またいやしの場でもあります。さらには、我が国、山国でございますので、総合的にこの森林の保全ということには努めてまいりたいと考えております。
  101. 岩佐恵美

    ○岩佐恵美君 終わります。
  102. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。  先日の委員会で、戦争が環境に与えた被害などの実態を調査するためのチーム作りの提案をいたしました。このとき小池大臣より前向きな御意見を伺ったように私は理解しています。どんなに小規模でも構わないので、このチームを実際に編成するために予算を取っていただきたい。できれば来年度予算に確保していただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  103. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) せんだってのこの委員会の場で御答弁させていただいた件だと思いますが、一般論でございますけれども、戦争というのは環境に対して多大な影響を与えるということについてはそのとおりだと思います。しかしながら、その調査ということになりますと、具体的にどんな兵器を使って、またどんな場所でどういうふうに使用されたかというのを、その情報を得るというのはなかなか難しいものであるということでお答えをしたのではないかと思うんですけれども、よって、この調査をすることにつきましては極めて困難が伴うと、そういう認識でおります。
  104. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 大変困難だとは思うんですけれども、地雷がどのくらい残っているか、それからまた放射能によって被害を受けた人だとか、少しずつでももしこれから調べていただければ大変有り難いと思います。  それから、次に質問します。  環境省は、もし二〇一〇年の日本に一九九〇年と同じだけの森林しかなかった場合、つまり日本の森林が増加も減少もしなかった場合、京都議定書で約束した六%の削減目標のうちどれくらいの森林を森林吸収量によって達成すると計算するのか、ちょっとお考えいただきたいと思います。
  105. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 森林の吸収量の問題だと思います。また、それはお尋ねの意味では、京都議定書上どれぐらいかということだと理解をするわけでございますが、日本国内の森林の面積は、基準年、一九九〇年でございますが、第一約束期間、二〇〇八年から一二年の間、ほとんど変化がないものと見られておりまして、おおむね二千五百万ヘクタールでの推移と、このように見込まれております。  京都議定書における吸収源ですけれども、非常に私も何度かその計算方法というのを確認をしているわけでございますけれども、なかなか複雑になっております。しかし、既にルールが決められておりまして、そのルールの一つは、国内の森林そのものが存在するということ、ただあるということだけじゃなくて、人為的に森林の管理が行われることというのも要件となっておりまして、それを要件として吸収量を計上することができております。これによって、人為的な森林管理を実施する面積で定められるということであるならば、二〇一〇年の時点で約一千七百五十万ヘクタールという数字が出ているわけでございます。これで、先ほど来、林野庁からのお話もございましたけれども、林野庁を始めとする関係省庁と連携した形でこの森林管理を進めるということによって、地球温暖化対策推進大綱で目標とされております森林の吸収量三・九%を確保するという方針で臨んでいるところでございます。
  106. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 本当にこの京都議定書の森林のあれのことについてはなかなか難しいなと思います。  日本は六%の削減目標のうち、そのおよそ三分の一に当たる二・一%を原子力発電所の増設によって達成していると聞いております。もし、その原発増設計画が予定どおりに進んだとしても、すべての原発が年間に排出する放射性廃棄物の総量はどれくらいでしょうか。また、地震などの天災や人的なミスによってこれらの廃棄物から放射能が漏れた場合、最悪でどれくらいの規模の被害が予想されるのでしょうか。御説明いただければ有り難いと思います。
  107. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 原子力発電につきまして環境省の立場で申し上げるならば、発電過程で二酸化炭素を排出しないということから、地球温暖化対策としては重要な電源だととらえております。そこで、二酸化炭素排出量削減対策の柱として、当然のこと、安全性の確保が大前提でございますけれども、原子力発電の推進を掲げているところでございます。  今お尋ねの件でございますけれども、どれぐらいの年間に放射性廃棄物が出るのか、その総量はどうかとか、それから廃棄物からの放射能が漏れた場合、例えば被害、どれぐらいの被害になるのかといったことにつきましては残念ながら環境省所管ということではございませんで、恐縮でございますけれども、現在そのデータを持ち合わせていないところでございます。
  108. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 分かりました。  私、もう一つ、この間もこれはちょっと申し上げたかもしれませんけれども、環境に悪いことをする、例えば不法投棄だとかということにしますと、もちろん法律違反ですから罰せられるんですけれども、それだけでは私、どうしても環境を良くしようという意欲が人々の中にわき上がってこないと思うんですね。環境に良いことをすると恩恵を得られるシステムへの転換を図るべきだと私は思っているんですが、それはどういうふうにしたらいいかちょっと分からないんですけれども、環境省が率先して環境に良いことの基準を決めるような審査会のようなものを選んで作って、そして作って、環境に良いことをしたときにその方たちに表彰したり何か恩恵を出したり、そういうようなことがいいと思うんですけれども、そういう審査会のようなものを作ることを提案したいのですが、大臣はどう思われますでしょうか。
  109. 小池百合子

    国務大臣小池百合子君) 環境問題は私たちの生活と密接な関係がございます。国民消費者といった立場、それから事業者の立場、地方自治体の立場、非常にいずれを取りましても環境問題との距離感は極めて近いと。つまり、環境を良くしていくということについては、それにかかわる人、そして組織、極めて総合的なものだろうと思っております。  そのためにも、自主的にまた積極的に環境問題にお取り組みをいただくということは、すなわち国として全体の環境対策ということがより前向きに、そしてより力強く前進するものだというふうに考えておりますので、今お話がございました、環境にいいことをやっている人やまた団体について、環境省としてもっと後押しをしたらどうかということについては、それはそのとおりだと思っております。  これまでも環境省は、基本的にそういう考え方で表彰なども既に行っているところでございますが、また法律的にも今回御審議をいただく予定になっておりますが、環境報告書の普及促進を通じて、まず事業者の方ですが、事業者環境配慮の取組社会や市場から高く評価されると。そのために後押しができるようなそういう条件整備を図ろうということで、環境配慮促進法、これもある意味ではちゃんと環境に対しての配慮をしている企業が市場そして消費者などからしっかりと報いられる、そういうインフラを作ろうということが一つございます。  それから、このように積極的な環境配慮の取組を進めている事業者に対しては環境省として表彰するということで、環境レポート大賞、それからグリーン購入大賞というこの取組を毎年行っております。  さらには、NGOなどの民間団体も環境の対策を進めるには大変大きな力となるわけでございますので、環境省で、環境省が表彰したり、それから環境事業団に設置した地球環境基金による活動費で助成を行うなどというような形でしっかりと、NGOなどの民間団体、企業も含まれますけれども、環境保全活動をしっかりと支援をするという取組を既に行っているところでございますが、私といたしまして、例えば環境大臣の表彰をより積極的に行うなどということで、やっぱりしっかり取り組んでくださっている方々は別に表彰してもらいたくてやっているわけではないと思いますけれども、それでも表彰などをすることによって、そういった積極的な取組をしていただいている方々が更に元気が出るという、そういう好循環のツールの一つとさせていただきたいと考えております。
  110. 高橋紀世子

    高橋紀世子君 その話聞いてすごくうれしく思いました。やはり、何か環境に悪いことをするとペナルティーを加えるというのが、なくすのは無理だと思うんですけれども、とにかくみんなでいいことをしようと。いいことをすると、やっぱりそれ、やっぱり環境の問題というのは経済的に損失する場合が多いので、いいことをするといつも何か恩恵が得られたり評価されたりするのがどんどんどんどん発展すれば、明るい意味環境がよくなるようにと思います。  今日は答えていただいてありがとうございました。
  111. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 以上をもちまして、平成十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総務省所管のうち公害等調整委員会及び環境省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 長谷川清

    委員長長谷川清君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十四分散会