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2004-05-25 第159回国会 参議院 外交防衛委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十日     辞任         補欠選任      狩野  安君     河本 英典君      岩本  司君     川橋 幸子君      榛葉賀津也君     浅尾慶一郎君  五月二十一日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     榛葉賀津也君      川橋 幸子君     岩本  司君  五月二十四日     辞任         補欠選任      高野 博師君     渡辺 孝男君  五月二十五日     辞任         補欠選任      荒木 清寛君     山口那津男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本 一太君     理 事                 舛添 要一君                 齋藤  勁君                 小泉 親司君     委 員                 阿部 正俊君                 荒井 正吾君                 河本 英典君                 桜井  新君                 中島 啓雄君                 矢野 哲朗君                 岩本  司君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 田村 秀昭君                 若林 秀樹君                 山口那津男君                 渡辺 孝男君                 吉岡 吉典君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        外務大臣政務官  荒井 正吾君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        防衛施設庁建設        部長       河野 孝義君        総務省自治税務        局長       板倉 敏和君        外務大臣官房審        議官       門司健次郎君        外務省アジア大        洋州局長     薮中三十二君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省経済局長 佐々江賢一郎君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        財務大臣官房審        議官       篠原 尚之君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○投資自由化促進及び保護に関する日本国と  ベトナム社会主義共和国との間の協定締結に  ついて承認を求めるの件(内閣提出衆議院送  付) ○東南アジアにおける友好協力条約締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○欧州復興開発銀行を設立する協定改正受諾  について承認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付)     ─────────────
  2. 山本一太

    委員長山本一太君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十日、狩野安君が委員辞任され、その補欠として河本英典君が選任されました。  また、昨二十四日、高野博師君が委員辞任され、その補欠として渡辺孝男君が選任されました。     ─────────────
  3. 山本一太

    委員長山本一太君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  現在、本委員会に付託されている条約の審査のため、本日の委員会防衛施設庁建設部長河野孝義君、総務省自治税務局長板倉敏和君、外務大臣官房審議官門司健次郎君、外務省アジア大洋局長薮中三十二君、外務省北米局長海老原紳君、外務省経済局長佐江賢一郎君、外務省経済協力局長古田肇君及び財務大臣官房審議官篠原尚之君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山本一太

    委員長山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山本一太

    委員長山本一太君) 投資自由化促進及び保護に関する日本国ベトナム社会主義共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、東南アジアにおける友好協力条約締結について承認を求めるの件及び欧州復興開発銀行を設立する協定改正受諾について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  三件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 岩本司

    岩本司君 おはようございます。民主党・新緑風会の岩本でございます。  国民の皆様に分かりやすい質問をさせていただきますので、分かりやすい御答弁、よろしくお願いいたします。  まず、小泉総理訪朝でございますけれども、国内外からいろんな御意見が今出ておりますけれども、もう何時間掛かるか分からないものですから、この訪朝に関して申し上げると、今回参議院に送られてきておりますこの三つの法律案について質問に入らせていただきます。  まず、日本ベトナム投資協定についてお伺いしますけれども、またこの協定承認案件提出が遅れているんです。  前回の質問でも、すべて、なぜ遅れたかという質問をさせていただいたんですけれども、これは外務省内部の問題なのか、相手国がいろいろ、この協定を結ぶに当たっていろいろ、例えばベトナム側地場企業を育成するためにいろいろ相手国内法整備をするために遅れているですとか、いろいろ輸入制限を導入しなきゃいけない状況があったり、そういう問題で遅れているのか。また、地場先ほどもちょっと触れましたけれども、地場産業を育成するためにベトナム国内の製品ですとかそういうものを何十%使わなきゃいけないとか、二〇%とか三〇%とか、そういう調整をして遅れているのか、この件についてちょっとお伺いしたいと思います。
  7. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、遅れているというふうにおっしゃられたわけですけれども、私どもは、特にこれが何か遅れて、何かに比べて遅れたとか、時間が遅れているというふうには認識をしていませんで、二〇〇二年の四月に日越首脳会談がありまして、そこで早期締結をしましょうということをベトナム側が言ったということでありまして、それを受けて、交渉自体については、二〇〇二年、まず第一回は三月にあったわけですが、その後、九月に第二回目があって、十一月に第三回目があって、二〇〇三年の三月に第四回があった。そして、署名が、二〇〇三年の四月に首脳会談で基本的な合意に達して、その年の十一月に署名を行ったと。  したがって、昨年の十一月に署名を行ったということでして、国会にこれを提出するのが遅れたとか、あるいはこの交渉自体が非常に時間が掛かったとか、そういうことではないというふうに考えております。
  8. 岩本司

    岩本司君 大臣はおっしゃっておりますけれども、本協定は、二〇〇二年四月の首脳会談において二〇〇二年度中の締結に向けて努力するということで合意されているわけですから、当初の予定から一年以上遅れているのはこれ事実でございますので、承認案件国会に提出することになった背景についてもう少し詳しく御説明いただきたいと思います。
  9. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 細かい事実、参考人から御説明をしますけれども、そういった二〇〇二年度中に締結をしましょうと言ったということは事実ではないということであります。  あと、必要に応じ参考人から補足をいたします。
  10. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 補足してお答えさせていただきます。  今御指摘のとおり、二〇〇二年の四月の日越首脳会談におきまして日・ベトナム投資協定早期締結を実現したいとの発言ベトナム側からありました。これは、早期締結を実現したいという発言でございまして、具体的に二〇〇二年中に締結するということでの合意ではございません。  そしてまた、大事なことは、いい投資協定を作る、内容を非常にいいものを作るということで、今大臣答弁のありましたように、非常に真剣な交渉協議日越間で行いまして、結果として、大変いい、内容の濃い投資協定ができたというふうに考えております。
  11. 岩本司

    岩本司君 内容がいい協定ということでございますけれども、それでは本協定締結意義についてお伺いしますが、対ベトナム投資は、一九九六年の八十五億ドルをピークに、二〇〇二年には十六億ドルと、五分の一以下へと減少しておりますし、また我が国からの投資も、一九九五年には十一億ドルあったものが九九年以降は十分の一以下の一億ドル前後で推移すると。もう低迷しておりますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
  12. 阿部正俊

    ○副大臣阿部正俊君) 各年度投資増減については後で政府参考人から説明させますが、本協定の、先ほど薮中局長が言ったように、いいものということの意味の最大のポイントは、やはり一般的に投資協定というのは最恵国待遇というところにとどまるのが多いのでございますけれども、このベトナムとの協定はいわゆる内国民待遇ということですね。最恵国待遇という、外国からの投資の中での一番いい条件に合わせてくれということですけれども、内国民待遇というのは、むしろベトナムの中の人たちが業を、投資をするときと同じ条件で認めましょうということですので、投資協定一般の中でも非常に先進的といいましょうか、意欲的な協定になっているということを御理解いただきたいなというふうに思います。  それからもう一つは、やはりいろんな外国からの投資について、過去の日本でもあったことでございますけれども、例えば法人役員構成について一定割合を必ずそれぞれの国々自国役員を入れろとか、あるいは資本構成についても五〇%以下でなきゃいかぬとか、いろんなケースがあるんですけれども、そういうものはもう原則禁止になっていますので、正にフリーな形での市場経済原則にのっとった協定になっているということを是非御理解いただきたいと思います。  あとは、各年度投資増減等につきましては政府参考人の方からお答えさせたいと思います。
  13. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 投資の推移でございますけれども、委員御承知のとおり、一九九七年、九八年のアジア経済危機ということで、全体にそのときに落ち込みがあったことはございますが、その後、二〇〇〇年から二〇〇三年にかけまして、今回、今出ておりますのは、非常に規模としては一件一件はそう額は大きくなくとも件数が非常に伸びてきております。二〇〇〇年〇・八億ドルでございました日本からベトナム投資額、このときは二十六件でございましたけれども、二〇〇三年に一億ドル前後で推移してございますけれども、五十八件の投資があったと。そしてまた、日本の中で日本企業の有望な今後の展開先ということでございますと、一位が中国、二位がタイ、三位がアメリカそして四位はベトナムということになっておりまして、日本の中でもいろいろ様々の企業ベトナムへの進出を希望している。  そうした中で、政府取組といたしましても、日本ベトナム日越共同イニシアティブということで、二〇〇三年の四月から小泉総理カイ首相の間でのイニシアチブもございますけれども、全体として投資促進するための環境の醸成に鋭意努力してきているというのが状況でございます。
  14. 岩本司

    岩本司君 もう一度、薮中大洋局長にお伺いしますけれども、その今の御答弁では前向きな何か盛り上がるようなお話でございますけれども、二〇〇二年の九月に自国メーカーの育成を名目に二輪車部品輸入制限を導入して、現地進出日系企業の一部は操業の一時停止を余儀なくされたことがあったわけです。そして、政府ベトナム政府に厳重に抗議したものの、投資協定が未締結であったため法的責任を追及することができなかったと、こういう事実があるわけですけれども、当時大洋局長であったかどうかというのは僕、分かりませんけれども、厳重に抗議したその後、ベトナム政府側はどういうふうに言ってきたんですか。
  15. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 今委員指摘の件というのは、二輪車の問題で数量枠の話についてのことであろうと思います。  これにつきましては、我が国といたしまして、正にベトナム政府日本からの投資を期待するのであれば、やはり安定した投資環境が必要であると、そして自国いろいろ貿易政策投資政策はあろうけれども、やはり日本からの安定した投資を期待するのであれば、当然当初の想定した申合せ、そうした中での二輪車輸入についてもきちんとした対応がなされるべきであるということの話合いというのは、随時当時持たれたと。このときは大使も含めて先方と話合いをして、それでその中で全体として関係者も少しは納得がいくような解決を図ろうという努力を重ねてきたというふうに承知しております。
  16. 岩本司

    岩本司君 いや、ですから、私がお伺いしたいのは、厳重に日本政府として抗議したわけですよね、ベトナム政府に。そして、そのベトナム政府側は何と言ってきていたんですかということをお伺いしております。
  17. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) これは、ベトナム政府二輪車部品輸入割当ての話について大幅に削減したということでの操業停止ということで追い込まれる企業もあったと。そこで、先ほど申し上げましたとおり、そうした突然の大幅削減というのはやはり極めて問題であると、安定した貿易投資活動を行うに問題であるということで、その後、政府間で話合いをした結果、むしろ追加的な輸入許可が認められたということで問題が収束したということでございますけれども、しかしそれは個別の案件でございますが、我々として非常に大事だと思いますのは、正にそうした安定した投資環境をきっちりする必要があると、そういう意味でもこの投資保護協定が非常に重要であるということで、きちんとした内容投資保護協定を作るべく努力してきているというのが今までの経緯でございます。
  18. 岩本司

    岩本司君 ありがとうございます。  ベトナム政府側もその抗議に対して理解をされたということで、前向きに両国間で両国にいいよう、いい方向で二国間の関係がいい方向に進んでいるという認識でよろしいですか。
  19. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 正に委員指摘のとおりでございます。
  20. 岩本司

    岩本司君 ベトナムとの投資環境改善に向けた取組でございますけれども、このベトナム投資環境改善を図るために意見交換を行います官民合同ワーキンググループ、この設置について合意して、もう既に四回開催されているわけでありますけれども。  以前、参議院の派遣でODA等を含めて、私ももう自民党の方々一緒インドですとかあとスリランカに視察に行かしていただいたときがあるんですけれども、そのときに現地企業代表者責任者方々ミーティングをする機会がありまして、これはインドの例ですけれども、現地経営者方々インドに、地下鉄日本ODAで、ほとんど日本のお金で地下鉄工事をやっているんですけれども、これだけ日本が援助をしているのに欧米諸国と比べて日本企業に対する税制処置税金が要は日本企業の方がほかの国よりも高いという声が現地企業家の方からお訴えという形であったんですね。我々、帰国した後に、インド政府方々が、たしかホテルニューオータニだったと思いますけれども、日本政府国会議員がメーンですけれども、に対して、日本企業がどんどんインドから撤退していると、これどうにかしてくれというようなお話もあったんです。  私が申し上げたいのは、これはワーキンググループ設置していますけれども、本当に現場企業方々意見が生かされているのかと思うんですけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
  21. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 今、正に委員指摘のとおり、こうした作業というのは企業民間セクターの生の声を反映する必要があるということは、正にそのとおりでございまして、ワーキンググループの際も正に企業方々に入っていただいてやっておりますし、さらには、ごく最近では日越共同イニシアティブというのが昨年の十二月に報告書が出ましたけれども、そのときも民間団体参加を得て共同議長にも民間団体方々が入っていただいていると。そうしたことで、ワーキンググループもまた日越共同イニシアティブも正に民間方々の生の意見、そして具体的な問題をそこで少しでも改善するような大きな方向性をどうやって出すのがいいのかということでの作業をやってきております。
  22. 岩本司

    岩本司君 作業をやっているとおっしゃいますけれども、先ほどインドの例もそうですけれども、現地企業家方々政府に対して、ほかの国と公平に平等に扱ってもらいたいと交渉してもらいたいというふうなことをおっしゃっていたんですね、もう少し我々の意見を聞いてもらいたいと。大使館もありますし、現地には、JICAやジェトロもあるわけですけれども、何と言うんですかね、本当に生かされているのかと疑問を持つわけですけれども、そういうふうにも意見聞いているとおっしゃるんですが、具体的にベトナム現地企業家方々外務省はどのような、ワーキンググループ設置以外でどういうように日ごろ意見要望を吸い上げているのか、お伺いしたいと思います。
  23. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 正に委員指摘のとおり、大使館そしてジェトロあるいはその他の機関、そして民間団体一緒になってやったのがこの日越共同イニシアティブでございますけれども、具体的に例えば申し上げますと、いろいろと企業から出てくるその問題点あるいはその要望事項というのがございます。それが具体的にベトナム政府の中でどうやって改善されるのかというようなことについての話合い、そしてまた、ODAのこともございましたけれども、全体として、日本政府取組とそれからベトナム政府取組、それが日本企業にも、あるいはベトナム現地産業にも効果的に反映されるようにということで非常に濃密な話合いを行ってきてできたのがこの例えば日越共同イニシアティブ報告書でございまして、これにはそうした民間方々参加があって、今委員指摘のとおり、外資系企業向け法人税優遇措置明確化であるとか、個人所得税の問題であるとか、あるいは外国投資促進拡大に当たってのいろいろの措置を取る、そうしたことについては、正に現場で実際に仕事をされる方が本当に必要とされること、その声を直接取り上げてということで、今大使館、正に共同作業をやっているというのが、そういう取組というのが非常に活発化してきております。
  24. 門司健次郎

    政府参考人門司健次郎君) この投資協定の仕組みについて、補足説明をさせていただきます。  二十条で、この協定目的達成のための合同委員会というものが作られ、毎年一回又はどちらかの要請で開かれることになりますけれども、その中で、「両締約国の同意が得られる場合には、民間部門との共同会合を開催することができる。」という規定もございます。こういうところも利用して民間の声も吸い上げていくことが可能だと思っております。  以上です。
  25. 岩本司

    岩本司君 毎年一回、年に一回だけのミーティングでこれ済むのかと思うんですけれども、先ほど私、インドの例を挙げたのは、現地企業税金を平等にしてもらいたいと訴える場所もなかったわけですね。しかし、結果的に撤退しなきゃいけなくなって、しかし、インド政府は後から、撤退した後に、何で、撤退しないように言ってくれと言うわけですよ。政府が、撤退する前に企業意見をしっかりと大使館通じて聞いて、それをインドだけじゃなくていろんな国々、それぞれの国々にちゃんと交渉しておけば、後から、撤退した後に相手国からお願いされなくても済むわけですよね、両国にいい関係で。  私は、先ほど薮中大洋局長会合を開いているとおっしゃっていますけれども、具体的に大体、例えば年に一回とかじゃこれ会合になりませんし、月に最低一回とか二回ぐらいはやっぱり現地企業皆さん意見を僕は聞くべきだと思うんですけれども、現実的に大体月に何回ぐらいそういう会議開いているんですか。
  26. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 日常のことで申し上げますと、もちろん随時問題があるときに、大使館の中には民間企業とのコンタクトポイントというのを作ってございまして、そして定期的にはもちろん、日本大使館現地民間企業との集まりというのは、大体どこの大使館でも月に一回とか、そういう形ではございますけれども、むしろ今の先生の、委員の御指摘は、問題があったとき、あるいはこういう問題点があるということについてはこれはもう随時話合いをするということでやってきております。  そしてまた、正に今委員指摘のとおり、いろいろと制度的にきちんとした体制を作るべきであるということで、日越共同イニシアティブのときにはこれは非常にインテンシブな、非常に集中して取組がなされて、そのときに民間セクター方々との、これはもう本当にこのイニシアティブを作るときには頻繁な会合が行われたということでございます。そしてまた、あえて申し上げれば、この協定投資保護協定というのは、そうした中できちんとしたシステムとして、制度として安定的に、内国民待遇であるとか、今御指摘のとおり、内国民待遇あるいは最恵国待遇原則供与、これを制度として担保しようというのがこの協定意義でございまして、そうした体制整備を受け、そしてまた、実際に大使館民間企業との日常からのコンタクトを通じて問題を少しでもいい方向に持っていくという努力を引き続き重ねていきたいというふうに思っております。
  27. 岩本司

    岩本司君 今後とも、現地企業皆さん意見をどんどんやっぱり聞いてください。よろしくお願いいたします。  次に、日・ベトナム投資協定の第一条、この(3)は「区域」という用語について定義しているんです。この定義によれば、「区域」とは、それぞれの締約国について、当該締約国領域並びに国際法に従い当該締約国主権的権利又は管轄権を行使する排他的経済水域及び大陸棚をいうとされているんですね。  これ、今まで我が国締結してきました二国間協定においては「領域」という用語が使用されていたんです。それが、「領域」からこの「区域」というふうになったんですね。これ、「領域」から「区域」ということは、これは先ほども申し上げましたけれども、「区域」と定義したのは、南シナ海に広がりますベトナム排他的経済水域及び大陸棚における天然資源開発等を将来的に見込んでのことなのかどうか、御説明をお願いいたします。
  28. 門司健次郎

    政府参考人門司健次郎君) 御説明いたします。  先生指摘のとおりでございます。協定協議を行うに当たりまして、我が国経済界より、ベトナム大陸棚において将来、油田あるいは鉱物資源採掘等プロジェクト外国企業が参入することが認められ、我が国企業投資を行う可能性もあるということが指摘されました。そして、このようなプロジェクトを行う我が国投資家がこの協定による保護の対象となるようにするため、この協定地理的適用範囲排他的経済水域及び大陸棚を含めてほしいと強い声が聞かれた次第でございます。  政府はこのような我が国経済界の強い声も踏まえまして、協議の過程でベトナム側に対しまして、この協定地理的適用範囲排他的経済水域及び大陸棚を含めるように主張いたしました。ベトナム側がこれを受け入れましたため、本協定では「領域」に加え、排他的経済水域及び大陸棚も「区域」ということで、この協定地理的適用範囲に含まれることになった次第でございます。
  29. 岩本司

    岩本司君 ちょっと次に行きます。  ベトナムのWTO加盟の見通しでございますけれども、現在、ベトナムはWTOに未加盟でありますけれども、二〇〇四年度版の不公正貿易白書でも触れられていますように、ベトナム現地進出外国自動車メーカーの反対もあって実施を見合わせるとはいえ、自動車部品関税を大幅に引き上げようとしているわけですね。  これWTO加盟前ですから、これは、何というんですか、WTO協定との整合性は問われないわけでありますけれども、これ、関税などの貿易障害を撤廃して自由貿易を促進するというこのWTOの理念に逆行するわけです、これ。加盟前だから逆行してもいいという意見もあるかも分かりませんけれども、これ強く抗議するべきであると思いますけれども、いかがでございますか。
  30. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) お答え申し上げます。  先生御承知のとおり、今、ベトナムとの間ではWTOの加盟交渉というのを行っておりまして、これは二国間でも行われているわけでございますが、その過程で我が方から、この引上げというのは、今現在引上げはされておりませんけれども、引上げがされるようなことはこの交渉の、自由化に向けての交渉にそぐわないと、これは認められないものだということを強く申し入れているということでございます。
  31. 岩本司

    岩本司君 強く抗議されているということですね。  これ、WTO加盟の見通しも併せてちょっと御答弁をお願いします。
  32. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) 現在、交渉が行われる途上にありますけれども、ベトナム側はできるだけ早く加盟実現をしたいということでございまして、我が方としてもできる限りその意向に沿うような形で、ジュネーブでの行われております多国間の作業部会、それから二国間の交渉に、できる限りこれが前に進めるように積極的に取り組んでいるわけでございます。  他方、この加盟交渉を、仮にかなり進むとして、それを実現するための国内制度整備という点においてベトナム側においてはかなり努力をしてもらわなければいけない、こういう事情ございまして、今日明日にすぐ加盟が実現するような状況ではないと。しかしながら、できるだけ早く交渉促進したいというふうに考えております。
  33. 岩本司

    岩本司君 次に、知的財産権保護についてお伺いしますけれども、日本メーカーの二輪車のコピー、偽ブランド品といいますか、偽ブランド二輪車がもう市場に多数流通しているわけでございますけれども、この知的財産権保護のためにどのような取組をされているのか、お伺いしたいと思います。
  34. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 今委員指摘のとおり、知的財産権保護というのは大変大事な問題でございまして、特にベトナムにおいて日本製品に対する、あるいは日本ブランドに対する非常に強い人気がございます。そこで、知的財産権保護ということで、我々としては、日本経済界からの非常に強い要望もございまして、このベトナムでの現状は知的財産権の保護は不十分であるということで、この知的財産権保護のための規定をこの投資保護協定に設けるべしということで話をしてまいりました。  この結果、今回、本協定におきまして知的財産権の保護に関する協議について規定を設けるということで、第十八条三項でございますけれども、規定が設けられたわけでございます。そしてまた、日常の活動におきましても、いろいろと日本企業の知的財産権保護のために、大使館としても問題あるごとにベトナム政府側と対応をしてきているというのが現状でございます。
  35. 岩本司

    岩本司君 じゃ、その日本メーカーの二輪車のコピーですけれども、そういうのは大体何年後ぐらいにはもうそういう偽ブランド品を生産するのがなくなるというふうなお考えでございますか。
  36. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 開発途上国における特にブランド品についての取扱い、知的財産権保護というのは常に難しい問題がございますけれども、我々はこれをきちんと保護されるようにということで、この協定ができました。そうした中で、鋭意努力をしていきたいと、できるだけ早くそうしたものがなくなるようにということでの努力を重ねてまいりたいというふうに思いますけれども、今、具体的に何年後ということについての具体的なめどを申し上げるわけにはいきませんけれども、この協定がきちんと実施され、そしてまた、ベトナム側において全体として知的財産権保護の重要性の認識を深めてもらう必要がございます。そういうための努力日本政府としても大いにやっていく必要があるというふうに考えております。
  37. 岩本司

    岩本司君 次に、東南アジア友好協力条約についてお伺いいたします。  昨年の十月、これ国会で、本条約に加入しなかった理由を問われた小泉総理は、本条約に入らなくても十分可能だというふうにおっしゃっているんですね。また、川口外務大臣も、検討中としながらも、これ、加入に対して慎重な姿勢を示していらっしゃったわけですけれども、それから二か月後の昨年の十二月に、たった二か月間の間に態度を変化させているわけですけれども、この理由についてお伺いしたいと思います。
  38. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 別に態度を変更させたということではなくて、検討中であったわけです、正に検討中。そして、検討を終えた結論として加盟をするということに決定をしたということでして、特にやらないと言っていたのをやるということであったといえば態度の変更でしょうけれども、そういうことでは全くないということです。
  39. 岩本司

    岩本司君 総理自身が条約に、本条約に入らなくても十分もう可能だとおっしゃっていたんですけれども、二か月の間に入ろうというふうに決まったという、そういう答弁ですから。分かりました、二か月で決めたということですね。  あと、本条約と日米安保条約との関係についてお伺いしますけれども、日米安保条約と本条約との両立は困難との意見があったことが巷間言われているわけですけれども、ちまたのうわさなわけですが、我が国が本条約に加入することでこれ、問題は生じないのか、お伺いします。大臣、お願いします。
  40. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 問題は生じないというのがお答えなんですけれども、この条約、これは国連憲章を始めとする国際法、これに基づく国際的な義務というのがありますが、それと両立をするような行動を制限するものではないということであります。  それで、日米安保条約、これに基づくいろいろな義務あるいは権利義務、そういったことは、これは国連憲章に基づく国際的な義務と両立をするということで日本は日米安保条約を結んでいるわけですから、当然にこのTACとの関係では問題を生じないということです。
  41. 岩本司

    岩本司君 分かりました。  次に、南沙諸島と尖閣諸島の領有権問題と本条約との関係についてお伺いしますけれども、この南沙諸島のベトナム名ですけれども、チュオンサロン島、ここにベトナムが飛行場建設をもう開始されているんですよね。これ、中国ですとかフィリピンとか六か国がこの領有権を主張しているんですけれども、この本条約とはこれ、本条約の規定が適用されることになるんですか、この領有権問題に関しても。
  42. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  中国及び一部の東南アジア諸国が領有権を主張しているのが南沙諸島でございまして、そしてこの条約との関係でどうなるのか。当然、日本自身はその問題についての当事国ではございませんけれども、一般論としてしたがって申し上げますが、中国は同条約締約国であると、したがってASEAN諸国との関係において当然のことながらこの問題も関係し、例えば様々の紛争ということについていえばこの条約に規定する義務を負うものというふうに考えます。  そして、具体的に領有権問題について、これは我々としては平和的な解決をもちろん期待しておりますし、この条約との関係でいえば、当事国が同意する場合には紛争があったときに理事会に付託される。しかし、これは当事国の同意が必要であるということでございますけれども、基本的に様々の問題での紛争ということになれば、この条約もその関係国の間では適用されるということでございます。
  43. 岩本司

    岩本司君 最後に、我が国が本条約に加入して締約国になった場合に尖閣諸島問題は本条約との関係でどのようになるのか。これ、できれば大臣、お答えいただいて質問を、私の質問を終わります。
  44. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 尖閣諸島ですけれども、まずこれが歴史的にもそれから国際法上も我が国固有の領土であるということは、これは疑いがない。それで、現に我が国が有効に支配をしているということは今まで申し上げたということです。ということで、そもそも尖閣諸島との関係我が国は、領有権の問題というのは存在をしていないということになるわけです。解決をすべき領有権の問題はそもそも存在をしていないということであります。  というのが前提ですけれども、その上であえて申し上げれば、TAC、この適用対象地域ですけれども、これは東南アジア地域に限定をされておりまして、尖閣諸島というのはこの地域には該当をしないということで、この条約の規定が我が国に適用されることはないということであります。というのがお答えであるということです。
  45. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 続いて、私から外務大臣防衛庁長官にお尋ねしたいと思います。  最近の外交問題を取り上げますけれども、防衛庁長官としても閣僚の一員として当然重大な関心を抱いている問題と思われますので、高い政治家の立場から御所見を承ればと、こう思います。  そこで、最初に拉致問題です。  これはもう嫌になるくらい、マスコミその他が、また国民も、拉致、拉致と。寝ては拉致、覚めては拉致と言うだけで、一体どういうことなのかと。昨日あるいはおとといなどは、プロ野球を見ようと思ってテレビをチャンネルをひねっても、皆、拉致、拉致と、こう言っておって、肝心かなめの野球はどこもやっていないと、こういう状況になっているようでありまして、ある意味ではちょっと問題だなという気もするわけであります。  そこで、今朝新聞を斜めに読んでおりましたら、大変面白い記事が出ておったわけで、歴代総理大臣が集まって拉致問題について意見の交換を行ったという記事でありまして、当然読まれていると思います。  我々、特に自民党関係者にとっては、中曽根何がしとか宮澤何がしとか、もう本当に大々々先輩たちがあれこれとこう言っているわけでありまして、その最終的な意見として大変面白いなと、こう思ったのは、小泉総理、もう少し粘った交渉をすべきではなかったのかと。二時間か三時間であっという間もなく引き揚げてきたと。一体これは何なのかと。そういう疑問が一つと。  もう一つは、外交の所管省である外務省をもっと使うべきではないかと。この問題は外務省の役割と、こう言ってもいいわけで、私が言っているんじゃなくて、これは政界の大先輩、自民党の大先輩である元総理大臣経験者たちが言っていることであります。  そこで、お二方、大臣といたしまして、川口さんはもう自民党員ではないからよく分からない、まあそれでも大先輩たちがこういうことを言っている。この今回の拉致問題についてどういう御所見でしょうか。この彼らの意見について、考えるところがあればお聞かせ願いたいと思います。
  46. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私は、総理は今回の訪朝については大変に強い信念を持って行かれたというふうに思います。  その信念というのは、日朝の様々な問題があるわけで、したがってその結果として、現在正常でない関係がある、あるいは友好的でない関係がある、それを正常な関係にしていく、友好的な関係にしていくことの転機に訪朝をしたいという強い信念をお持ちでいらっしゃったと思います。その信念に基づいて、拉致の問題についても核の問題についても、金正日総書記を説得をなさったということの意義が非常に大きいというふうに思います。  で、最初のそのおっしゃった、二点おっしゃったうちの最初の点、十分に説得をしなかったのではないか、それは全くそんなことではない。核の問題についても拉致の問題にしても、説得をし、その結果として、もし時間をいただけるなら申し上げますけれども、一定の前進があったということであると思います。  それから、二番目の外務省との連携、これは当然官邸と外務省というのは外交においては一体として行っている。今度の訪朝についても、二月の例えば日朝の政府間の会談等々を踏まえて行われたということであります。
  47. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 中曽根先生あるいは宮澤先生を始めとする歴代総理からいろいろな御意見が出ておることは承知をいたしております。それぞれ高い見地から本当に国を思ってのいろいろな御意見の表明であったというふうに承知をいたしております。  一方において、今朝の報道でもそうでございますが、例えば、国連事務総長が今回の総理の訪朝を非常に評価をされた、あるいは韓国、ロシアの外相会談において非常に評価をされた。日本と北朝鮮との間で日朝平壌宣言をきちんと確認をするということが、これから先、核の問題は日本だけの問題ではない、全世界的な問題で、それを、六か国協議というものが並行して行われておる、そこにおいて総理が日朝平壌宣言をきちんと守るということを再確認をしたということは六か国協議に非常にいい影響を与えるという、そういう国際的な評価もあるわけであります。  それは、私は外交の責任者でありませんから軽々しいことは申し上げられませんが、やはりこういう評価というものは世界がどのように見ているかということも考えていかなければいけない。そして、拉致問題にしても、横田さんを始めとする、安否不明と我々が思っている、死んだと言われたけれどもそれはおかしいじゃないかと、不明な、安否不明者ではないかということについてきちんと調査をしますと、あれはどうなったというカードをこれから先我々としては持つわけでありますから、私はそういう意味で今回の総理の訪朝は前進であったというふうに思っておる次第でございます。
  48. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 私は実は、その新聞を眺めながら、誠にやっぱり総理経験者たちの言うとおりであると、そういう感想を深くしたわけであります。特に、肝心かなめの外務省の姿が見えないではないかということですね。  これは川口大臣も最初に、この委員会で私が聞いたときに、一切、二人、山崎何がしと平沢何がしが訪朝したことについて何の連絡も受けていなかったと。それから、福田官房長官も新聞記者会見などで、私は知らないと大分憤慨したような面持ちで語っていたような印象でありました。現にそのとおりで、福田さんが辞めたのもそれが原因ではないのかと。  これ、独裁国家ならいざ知らず、民主主義国家にあって、おれは総理大臣だと、だれを使おうがおれの勝手だと、そんなことは許されない。やっぱり役所というのはきちっと法律に基づいて職務権限が定められている、その範囲内で、外交問題ならば外務省にまず下ろしてそこで検討をさせると、それを総理大臣が使うというのが当たり前のことで、どこの国も民主主義国家であればそういうことをやっている。  今回は、どうも相手が独裁国家だから、わしも独裁者になろうかと、こういう発想で、山崎議員と平沢議員を使って、そして新聞に報道されましたら、肝心かなめの総理大臣が最初はわしは知らぬと言っておられて、そして山崎さんが帰国してきましたらば料亭に連れていって、ワッショイワッショイ大騒ぎをする。あれはもう当然密命を授けて、山崎氏がそれに従って訪朝をして、そしてその結果を小泉総理に報告をしていると。これ、独裁国家ですよ、こんなことは。  もう二十一世紀ですからね。まあ、明治、昭和の初めぐらいまでならば、時の権力者が勝手に役人やあるいは政治の実力者を使って何かをやるということも許される、それも必要であったのかもしれません。今はもうそんな時代じゃない。  北朝鮮は独裁国家だと、こうあなた方、私も言いますけれどもね。そんなことを言えるような資格、ないんじゃないかと。肝心かなめの外務大臣すら、私、何も聞いておりませんでしたよと。こんな国が一体どこにあるんですか。本当、不思議と言うしかあり得ない。  それで、訪朝結果が発表されまして、家族会の集まりがあっちこっちでありまして、テレビにもまた繰り返し、繰り返し出演しまして言っていること、それは、もう少し、やっぱり同じことなんです、粘り強く交渉してもらいたかったと。十人の話は一体どうなったのかと。そういうことを言って、家族会が、もう少し我々の立場も考えてもらいたいと。  新聞報道などによれば、小泉総理訪朝を支持するというのが六十何%、しかし、金まで使うことはないんじゃないかと、こういう世論もまた六十何%ありましてね、金を。で、家族会が言うには、金を使ってああいう国に行ってやったらだれだっていいんだと、何も総理大臣が行く必要はないんだよということも言っていました。  これも私、そのとおりだなという感じがしておりまして、何と何と一千億今度金を使ったと、こう言われておるんですよ。十人取り戻すのに、あっ、五人ですか、取り戻すのに一千億、一人二百億ですよ。これからまた拉致問題が起きてくるんでしょう。残った十人をどうするか、それから何十人、いや、ひょっとしたら何百人拉致されているんじゃないかと、こういうこともありますから、北朝鮮は小出しに、小出しにしてくるんじゃないですか。  いずれにしろ、一人二百億日本は払うと、払わせろと。そういう国を相手に交渉をするときは、本当に粘り強く外交のベテランが乗り込んで、機会を見て乗り込んでいって、下から積み上げて、一歩前進、二歩前進。上から、ひょっと、おれは総理大臣だと、おれの言うとおりしてくれやと。そんなことでまとまるような話ではないと思うんです。  次回にまたすぐ北京かどこかで交渉をするというふうに言われていますけれどもね。ええ、分かりましたと、それで、そのときにまた残りの十人何とかしてくれと、分かったと。で、調べた結果、もう全部調べているんですよね。あんな国でこれから調べるなんというあほな、ばかなことはあり得ないわけで、調べている。その結果をどうするかといえば、また五人ぐらいちょっと顔見せてやれと、そして一人二百億と、なかなかいい商売だと、こういうふうな感じを持つのも当然なんですね。  そういう意味で、私、小泉さんの訪朝をそんなに、一般国民の六〇%がよくやったと言っているらしいですけれども、しょせん、家族会に言わせると、だれが行ったって同じじゃないか、何で、何のために総理が行ったんだと、そんな印象すら受けるわけでありまして、現に、会談時間があったのにかかわらず二時間か何かで切り上げて早々に引き揚げてきたと。これが現実問題で、やっぱりこういうことについては、最初、外務省の担当官が本当に粘り強い交渉をして積み上げて、一歩前進二歩前進していく。肝心かなめの外務大臣も、私、何も聞いていませんよと、話はそこから始まっているんですよ。  どう思われますかな、今の件について。
  49. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今委員がおっしゃったことに対して、ここが事実と違いますということを申し上げるとたくさん時間をいただかなければいけなくなってしまうと思いますけれども、最後の部分のお答えについては冒頭の御質問で既にお答えをしたとおりであります。  これは、外務省と官邸と一体となっていろいろな積み上げがあるわけでして、外務省として、例えば二月の中旬にピョンヤンで会談が日朝間であった。それから、二月の下旬には六者会合があった、その場合、そこでもその議論をされた。それから、五月の連休のときにやはり日朝間で協議があった。そういった北朝鮮との一連のやり取りを踏まえた、そこを、それを踏まえて総理が最終的に決断をなさって行われた会談であるということであります。  知らなかったというのは、そのプロセスについてではなくて、山崎、平沢両氏の、両先生の北朝鮮との接触、それについて総理も依頼したわけではないということをおっしゃっているわけで、福田長官も私もそれを事前に聞いたということではないということを申し上げた。それを知らなかったと言っているだけでありまして、今回の準備に外務省がかかわっていないということでは全くない。これは冒頭でお答えをしたとおりです。  それから、今回の訪朝について国内でいろいろな議論があるということはそのとおりでありますが、先ほど委員がおっしゃられたように、新聞によって差はありますけれども、六割ぐらいの国民がこれを支持しているということは、ある一つの考え方を物語っている、それが支持されているということを物語っているというふうに私どもは考えております。  それで、その中で、拉致の家族の方々のうち五人は帰ってきたけれども、残りは、曽我さんについては再会を違うところでやりましょうということ、それから十人の拉致について、十人の安否不明者、これについては再調査ということになったということについて、家族の方々が非常に御期待をしていらっしゃったと、その気持ちは痛いほどよく分かりますので、大変にがっかりをしていらっしゃるだろうというふうに思っています。  外務省としては、これについては一定の、先ほど申し上げたような点で、例えば第三国における再会とか再調査とか、そういうことで一定の前進があったということを思っております。  総理が粘り強く交渉すべきであったかどうか。総理は粘り強く交渉なさったからこそ再調査、もう終わったと言っている安否不明者についての話が再調査をするということになったわけであります。それから、曽我さんについても、総理がジェンキンズさんと粘り強く話をなさって、そして金正日とも話をして、第三国における再会ということになったわけであります。  そういった総理の粘り強い働きがあったということが正にこれを、今日この結果をもたらしたということで、我々としては一定の前進があると思っていますし、今後のステップとしては、外務省として、あるいは政府全体として引き続き詰めるところは詰めていく、進めるところは進めていくということでやっていきたいと考えております。
  50. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 大変重大なことをおっしゃっている。あなた、この委員会でうそをついたんです、そうすると。  私が聞いたときに、外務省とすれば少なくとも私は何の連絡も受けていないと言っていたでしょう。大変おかしいですよ。ちゃんとここに議事録がありますよ。それから福田官房長官も、わしは知らぬとはっきり国民の前にテレビか何かで言っておりましたよ。ああいうことを正にうそつきと、こう言うわけですよ。  外務省自体は、何か下の方はもう大分前から官邸から連絡を受けて折衝をしていたと。そういうことをなぜしかしこういう国民の前で言えないんですか。何も当たり前のことでしょう。そんなことを秘密にしておくことでもない。今、外務省は官邸と連絡を取って首相の訪朝あるいはまた外務大臣訪朝などについて打合せをしておると、それなら我々としても頑張ってくれと、こういうことになるわけで、一切連絡がないということはあなた方が、変な言葉、差別用語ですけれども、つんぼ桟敷に置かれているということを自ら認めていたわけでしょう、あのときは。それが今になると、もう二月から連絡があったと。それじゃ、連絡を受けて、内容は別といたしまして、今交渉中でございますとおっしゃればいいわけでしょう。よくあなた、そんな平気でうそをつけますね、つけましたね。──まだ黙っていてください。  それで、家族会も同じことを言っておるわけです。
  51. 川口順子

  52. 山本一太

    委員長山本一太君) 今は質問者です。
  53. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 ちょっと手を下ろしておいてください。  家族会も実は同じことを言って、総理大臣が行く以上は本当に粘り強くやってもらいたかった、金を使い出したら切りがないんじゃないか、本当に十人も戻ってくるんだろうかと、こういう疑問に対して、国民の前で家族たちが言っていることですから、どういう印象をお持ちでしょうか。お二方、簡単にお願いしますよ。
  54. 川口順子

    国務大臣川口順子君) お答えをする前に、私はこの委員会でうそをついたという記憶は全くありませんし、何で、何についてうそをついたとおっしゃっていらっしゃるのか、そこを明快にしていただきたいと思います。  私が申し上げたのは、山崎さん、山崎先生と平沢先生、それについて、事前に訪中をするということについて外務省としては承知をしていなかったということを申し上げただけであって、それは正真正銘そのとおりである。そして、今回の総理の訪朝につながっていくこと、これについては、それは外務省としてずっと準備を重ねてきた。幾つか例示を挙げて二月以降の会談について申しましたけれども、そういうことを言っているということで、委員のもちろんその前職からして、言葉については非常に気を付けて使っていただいているというふうに承知をいたしておりますけれども、若干事実関係についての誤解があるのではないかと私は思っております。  それから、今のお答え、質問についてのお答えでありますけれども、それについては、先ほど申しましたように、家族の方、非常にがっかりしていらっしゃる、そのお気持ちは本当に痛いほどよく分かります。ただ、我々としては、先ほど、繰り返しませんが、一定の前進があった、拉致の問題についてあったというふうに考えておりまして、今、十人の安否不明者について再調査、これをどのようにやっていくか、そして再会、第三国における曽我さんの御家族の再会、これについても鋭意準備を進めているところでございます。
  55. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 また繰り返しのようになりますけれども、山崎前議員、平沢議員の中国に行った際、一切の連絡を受けていないということを、それを普通の人が聞けば、ああ外務省はもう全然この問題から疎外されていたんだなと思わざるを得ないでしょう。答え方ならば、きちっともう国民に対して答えているわけですから、はっきりしたことで、誤解を与えないような答え方があるでしょう。下交渉をして、外務省意見も取り入れて近々だれかが特使として行くことになる、多分外務省から選ばれるでありましょうとか、物の言い方は何とでもなるわけなんで、そういうふうなことも政治家として大変重要な私、心遣いだと思います。  木で鼻をくくったように、何の連絡も受けておりませんと言えば、もう二月ほど前から外務省自身も連絡があっていろいろ折衝していたということを理解できないでしょう。  まあ、この問題はこの程度にしておきますけれども、本当にこれからも考慮してほしいと、こういう感じがいたします。  そこで、今度は話をちょっと変えまして、これも二、三日前の新聞に大きく取り上げられていたことなんですけれども、アメリカ空軍がイラク西部で結婚式場を誤爆したという話が出ておりました。四十数名の犠牲者が出たと。中近東では結婚式の際に空に向けて空砲を撃つ習慣があると、その新聞もたしか書いておりました。それを見て、テロだゲリラだと、こういうことで結婚式場を空軍が爆弾を落として攻撃して、四十数名、テレビでも画面が出ておりましたけれども、小さな子供たちが本当に倒れている、泣いている、女性もたくさんいたようで、これ、こんなことを一体許しておいていいのかと。これ、初めてのことならばいざ知らず、実は二〇〇〇年の七月にアフガニスタンで同じように結婚式場を空爆をして、そして地元住民が厳重に抗議をして、アメリカ軍が調査した結果、これは当方のミスであったと謝罪をしたということがやっぱり報道されておりました。その経験が全然生かされてない。こういうことについては、これは世界の人だれだって、こんなことが許されていいのかと、もっと空襲するからには慎重に慎重に、前にもこういう例があるんだから、今度の例は大丈夫かと。一体、その辺にいるテロやゲリラと結婚式場に集まってお酒を飲んでワッショイ、ワッショイやっている人と混同したなんということがあり得ない話なんです。  こういうことについては、外務大臣防衛庁長官、アメリカ軍にやっぱり、日米同盟、大変重要な同盟ですから、何をやってもこっちは知らんぷりして、ああ、よくやりましたなあなんて言っているような時代じゃもうないんですから、はっきりと事実関係説明をしてくださいと、それに基づいて議論をしたいと思いますと、当然そういうことをやっていると思うので、どんな意見の交換があったのか、教えていただければ有り難いと思います。
  56. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃっている件、十九日にシリアの国境近くで米軍によって作戦が行われたということについてだと思いますけれども、それについて日本で報道が行われている、昨日も私、見ましたけれども、ということは承知をしています。  それで、他方で、アメリカはキミット准将が二十日と二十二日に記者会見をやっている。そこで述べていることは、基本的に今回の攻撃は重要なインテリジェンス情報に基づいて準備をされた作戦を実施をしたものであると、攻撃後の現場からは多くの外国人の旅券、現金、衛星電話装置、機関銃といった各種の武器が発見をされていて、結婚式の最中といったものではなくて、これは交戦規定にのっとって攻撃をしたんだということを述べているわけでございます。いろいろなそういう、幾らの現金があったとか、そういうことを二十日と二十二日の記者会見で事細かに述べているということであります。  これについての事実関係の詳細ということは、我が国としてそれ以上の情報を持つには至っておりませんけれども、こういったことについて両方の見方が非常に違う案件であるというふうに思っております。  キミット准将の記者会見においては、スライドを見せながら、回収をされた物品をスライドで提示をしながら行われたというふうに承知をしています。
  57. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 今、外務大臣からお答えがあったとおりでございますけれども、要は、その民主主義とは何なんだという議論が先ほどから委員からございます。この捕虜の虐待問題もそうですし、今度の結婚式場の問題もそうですが、そのことについてどうなのかということを、議会において、あるいは記者会見においてきちんと証拠を示し議論がされる、私は、それはそれで健全な民主主義がワークをしているのだと思っています。  今回の、キミット准将も言っておることでございますが、あの映像は一体いつ撮られたものであるのか、イラクですから多分お酒を飲まないんだと思いますが、その子供たちも一緒になって何となく結婚式風の映像が流されていますが、それは一体いつの映像であり、そしてまた米軍がインテリジェンスに基づき、そして大事な点は、交戦規則に基づいて攻撃を行ったということ、そういう場合に、これは本当にどういうものであるのかということは、やはりアメリカにおいてきちんとした調査がなされ、真実が明らかにされるということだと思っております。  私どもといたしまして、日本政府として、まだそのことが確認できる立場にもいない、情報も持っていない、得る立場にもいない、そういうような我々がアメリカに対して何らかの申入れを行うということ自身、私としては適当なことだと考えておりません。
  58. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 この問題、捕虜虐待の問題もそうですけれども、アメリカは当事国なわけですね。アメリカが虐待をしたと、空爆、誤爆をしたと、こう言われている。当事国の弁解、そのとおり信用していいのかどうか、大変な問題があるわけですよ。そうかといって、頭から一切信用しませんというわけでもない。やっぱり議論を交わして、我々が持っている疑問を彼らにもぶつけて、彼らから答弁を聞き出して、そして大体の真相はこうだろうかと、もうこういうことは二度と起こさないようにしてほしいと、こういうことを申入れをするのが本当の私、日米同盟だと思う。  アングロサクソン民族というのはそういう議論が大好きなわけですよ。決して、かつての日本の軍隊のように大本営発表なんて、ああいういい加減なことをやる国ではかつてはなかったんです。このごろ少しずつおかしくなっていますけれどもね。  捕虜の虐待についても、最初は一切そんなものはないと、こう言っていたのにかかわらず、ブッシュ大統領まで、大変申し訳なかったと、こういうふうな謝罪をするような状況にもなりつつあるわけなんで、そういう議論をして、その中から本当の日米友好のきずなを築き上げていくと。  アメリカの言うなりになると、そうすると、そういうのはばかにされるわけです。アメリカ人は、あれは犬みたいなものだからと、こっちの、こうやれと言ったら、ははあ、もみ手をしながらやってくる、もう大したものじゃないんだと。しかし、体面上は、いやあ、日本皆さんなんて調子いいことを言いますけれども、腹の中じゃばかにしているわけなんですよね。  中国人はその点比較的はっきり物を言う方ですから、中国政府自体はね。今アメリカが敬意を払っているのは日本よりもむしろ中国政府だろうと、こんな印象すら持てるわけでありまして、アメリカが記者発表してこういうことを言ったからこんなことはないんですよ、そういうことを言う前に、やっぱり外務省のしかるべき者を、この法律に詳しい、そういう人を派遣して、そしてアメリカの担当者と議論をして、その中から、いや、やっぱり我々が誤解をしていました、アメリカはきちっとしておりましたという結論だっていいわけですから、議論をしていくことが私、大事だと。議論をしないでもみ手をしているのはもう本当に犬以下の扱いを受ける、それがアングロサクソンなんですよ。  まあまあ、歴史の話になっても仕方がないと思いますけれども、これからもまたこういう問題が続けて起こるということも考えられますので、どうかひとつ、外務省の内部でも十二分に議論をし、こんなものは外交の秘密だから国民なんかに話す必要はないと、もうそんな時代じゃないことも確かですから。いずれにしろ、川口外務大臣は政党人じゃなくて、ある意味では民間から外務大臣に登用されて、今、外務省の鮮明化のために頑張っているということなので、こういう私の意見もまあ頭の片隅に残しておいて、これから何かの機会があれば利用、活用することも考えていただきたいと思います。  若干時間がありますけれども、以上をもって終了いたします。     ─────────────
  59. 山本一太

    委員長山本一太君) 委員異動について御報告いたします。  本日、荒木清寛君が委員辞任され、その補欠として山口那津男君が選任されました。     ─────────────
  60. 小泉親司

    小泉親司君 私は、東南アジア友好協力条約日本ベトナム投資保護協定、それから欧州復興開発銀行設立条約、この三条約については私どもは賛成でございます。  そこで、まず日朝首脳会談について幾つか質問をさせていただきたいと思います。  我が党は、御承知のとおり、今回の首脳会談では、二〇〇二年の九月の日朝平壌宣言を日朝関係の基礎とすることを再確認した。そして、拉致問題や核・ミサイルの問題、人道援助の問題での一定の前進の合意が見られたこと、国交正常化交渉への前進の方向が確認されたこと、その点から私どもは歓迎するという立場を表明をいたしております。  その立場から外務大臣に幾つか質問をしたい。特にこの問題については、今日と明日の衆参の委員会、本会議で基本的な問題はただすことになっておりますので、私は二つの問題について質問させていただきたいと思います。  一つは拉致問題。私どもは、日朝に横たわる拉致問題、核・ミサイルの問題を包括的に解決することをこれまで強く主張してまいりました。これらの課題は今回の合意で具体的にどのような前進があったのか。また、拉致問題では、地村さんの御一家、蓮池さんの御一家、この方々が御帰国されたことについては私たちも大変喜びたいと思います。しかし、曽我さんの御一家の問題はこれからよく御家族でも十分な話合いをして解決策を見いだす必要があるというふうに思います。その点で、外務省としてどのような対策をお考えなのか、まず外務大臣と、参加されました薮中局長質問をいたします。
  61. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  今委員指摘のとおり、今回の総理訪朝、日朝首脳会談におきましては、総理の方から日朝平壌宣言、これに基づいて日朝関係を進めていく、これが正にこの地域の平和と安定にも資する目的、資するものだということで訪朝され、そして日朝首脳会談に臨んだわけでございます。その中で、問題の包括的解決、特に拉致問題につきましては、今回の訪朝によって、今委員指摘のとおり、拉致被害者家族ということで、地村さん、蓮池さんの御家族五名の方の帰国は実現いたしました。他方におきまして、曽我ひとみさんの御家族につきましては、今回、帰国ということにはなりませんでした。それは本人の御意向がございました。そこで、第三国での再会を調整しようということになってございまして、現在のところ、どこで、どういう形で再会されるのが一番御家族にとっていいのかということでの調整を急いでいるところでございます。    〔委員長退席、理事舛添要一君着席〕  そしてまた、拉致問題でもう一つ大きな問題が安否不明の方々の真相究明でございます。この点についても、拉致被害者御家族の非常に身になって、総理の方から強くこの問題の指摘を行いました。そして、徹底した真相究明の必要性を指摘し、先方の誠意ある対応を求めたわけでございます。結果的に、この総理の強い働き掛けの結果として、金正日委員長の方からこの問題を改めて白紙に戻して、今まで調査をしてきたと言ってきていたわけでございますけれども、それが不十分であるということの指摘の上で我々がやったわけでございますけれども、先方はこの問題を改めて白紙に戻して、そして早期に本格的かつ徹底した調査を行うということになったわけでございまして、今後、この調査が正にきちんと行われるということを我々は非常に厳しく見守る必要がございますし、また必要に応じ日本側もその協議参加していく、その調査に参加していくということで対応を図りたいと思います。そうした中で、拉致問題の包括的な解決、全面的な解決に向けて引き続き努力していくということでございます。
  62. 小泉親司

    小泉親司君 安否不明者の問題では、残された問題では一体どういうやり取りがあったのか。特に、テレビでは山崎副長官がいろいろとお話しになっていますけれども、総理の会見の中では具体的な経過が話されていない。特に、いわゆる安否不明者の問題では、先方からはいわゆる決着済み論が話されたとか、いろんな問題がやはり出されているわけですね。その点については一体どういう経緯がその会談の中であったのか、それから再調査ということが合意されておりますけれども、一体どういうふうな具体的な方法でこのことをお考えになっているのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  63. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) 従来から、委員御承知のとおり、この問題については、二〇〇二年の九月からの段階で、先方としてはこの拉致問題は決着済みであるということを公式論としては取ってきたことはかねてからございます。    〔理事舛添要一君退席、委員長着席〕  そうした中で、今回も、もう既に調査を行っている、そして調査結果が出ていたということの指摘はございまして、それは先方からございましたけれども、総理の方からは、それでは全く納得がいかない、日本側として納得できる内容では全くない、正に安否不明の方々、家族の方々も含めて、一人一人の人がまだ生存しているというふうに確信している、そうした中で徹底した真相究明の必要性というのを総理の方から非常に強く指摘されたというのがございました。  非常にその中でのやり取りというのは活発で、かつ厳しいものがございましたけれども、そうした結果として、今申し上げましたように、金正日委員長の方からは、日本側のその指摘を受けて、今まで既に調査を行ってきたと言ってきたけれども、更に今回、白紙に戻して本格的な調査をするということでございました。  そこで、具体的にどうやっていくのかという今の御指摘でございますけれども、正に先方が早期に、直ちにこの調査に着手すると言っておりますので、それを見守りながら、そしてまた先方との間でも、必要に応じ日本側もその調査に参加することができるということでの申合せをしておりますので、我が方としての体制を固めて、いろいろと、既にいろんな情報というのは日本側にもございます。それも先方に提示しながら、また、既に日本側からも調査項目ということで出した項目、百五十項目もございます。そうしたことの改めて検証も行いながら、先方に徹底した調査を求めていく、そしてその結果を一日も早く日本側に伝えてもらって、それで我々側として納得し得るものかどうかと、やはり納得できるまできちんとした調査を行う必要があるというふうに考えております。
  64. 小泉親司

    小泉親司君 やはり、曽我さんの御家族の問題、それから安否不明者の残された問題、こういう問題については、やはり日本側が納得いく方向で、方法できちんと対策を今後取られるという点については、外務大臣、この点について最後に、この点についての最後にお答え願います。
  65. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど薮中局長が申しましたように、総理と金正日総書記との間で今回改めてこれをやりましょうということになったこと、再調査及び曽我さんの御一家の再会については、これは日本として皆さんの納得のいくような形できちんとやっていく必要があると考えております。
  66. 小泉親司

    小泉親司君 もう一つ、核問題、この問題については、私どもも、いわゆる核を放棄するということがやはり北朝鮮の側の安全にとっても大変大事なんだということをやはりしっかりと納得させて交渉に臨むということが大事だということをこれまでも繰り返し言ってまいりました。  そこで、一体、具体的には六者協議を通じてこれが前進的に解決されることということが私たちは一番望ましい方法だというふうに思いますが、その意味で、これからの六者協議でこの日朝首脳会談合意に沿ってどういうことをこれから政府が主張されていくのか。  それから、総理の会見の中でも、核問題の何か、大分長く総理が、この点については非常に長く会見の中でお話しになっておりますが、最後に、しかしながらまだ核を廃棄することによって果たして自らの国の安全が確保されるかという点について確信が持てないようでありますというふうなことまで述べられておりますが、こういうことについて、特にどういうその点でのやり取りがあったのか、この点についても。
  67. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  この核問題、小泉総理の方から、核問題というのは日本の安全保障にとっても大変重大な脅威である、そして北朝鮮による核開発というのは絶対に容認できないのだということをまずはっきりと申しました。  そして、そうした上で、やはり全面的な完全な核廃棄というのが不可欠であって、そしてまた北朝鮮にとっても、この核廃棄を行うことが北朝鮮の利益でもあるということを随分るる説明されました。  そうした中で、金正日委員長の方からは、自分たちとしても朝鮮半島の非核化、非核化が最終目標であると、そして六者協議には前向きに参加していきたいんだということの話がございましたけれども、その中で、今のお話にございましたように、やはり自分たちの安全といいますかアメリカとの関係で、アメリカの政策、これが自分たちの安全を脅かしているんだという指摘が先方からございました。それに対しては総理の方から、いや、自分はブッシュ大統領とも何度も話をしていると、そしてアメリカも北朝鮮をこれで侵略するという考えはないということをはっきりと言っているし、平和的解決、平和的解決がアメリカの望むところであると。  そういうことでいえば、正に六者協議でそれをやっていくしかないではないかというやり取りでございますけれども、その中でるる説明したあるいは説得した際に、先方から、なかなかしかしアメリカの政策について、あるいはアメリカとの話合いが十分にできないんだというようなことの指摘もあったと。そういうことを踏まえて先ほどの記者会見のような総理の御発言もあったんだというふうに考えております。  いずれにしましても、来月にも六者協議が開かれます。そして、北朝鮮もこの六者協議には積極的に参加していくということ、これを金正日委員長自ら言っておりますので、そうした中で我々としては何としても実態を進めるように努力をしていきたいというふうに考えております。
  68. 小泉親司

    小泉親司君 我が党は、日朝関係の問題を、諸問題をやはり平和的な交渉によって道理ある形で解決するということが大変重要だというふうに思います。その意味でも今度の会談で強調されたような対立から協調の関係にいかに発展させるかと、この点での日本政府が一層の努力を払うことを強く要求をして、次の問題に移らせていただきたいと思います。  次に、東南アジアの非核地帯条約、通称バンコク条約について幾つか質問をさせていただきたいと思います。  今度の、当委員会で今議論になっております東南アジア友好協力条約、私この条約東南アジア非核地帯条約というのはこれは密接な関係があるというふうに思うんですが、この点について私どもが質問しましたら、外務省の見解は、いや条約は別個だというふうな話、条約は別個だというのは当たり前の話なんですが、いう関係の御発言がありましたけれども、この点について外務大臣、私はこの二つの条約というのは大変深く結び付いたものだというふうに理解しておりますが、その点はいかがでございますか。
  69. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  正に二つの条約、各々個別の条約でございますけれども、地域の平和と安定、これに資するためのものと、そういう意味での目的としては共通する部分もあることは事実でございます。  もちろん、各々具体的に申し上げますと、この東南アジア非核兵器地帯条約というのは、一九九五年のASEAN首脳会議で採択されたものでございますけれども、正に締約国による核兵器の開発等々の禁止、そしてまた締約国領域内における他国による開発、核兵器の開発等々の禁止ということで、その条約についてはASEANの十か国のみが締約国となっているということでございまして、正に核兵器に着眼した、着目した、そして平和と安定の強化に向けた取組としての条約でございます。  そして、今委員指摘のとおり、TAC、東南アジア友好協力条約というのは、これは締約国間で一般的に平和、友好、そして協力を促進していこうという、もう少し全般的な友好協力を目指した条約でございますし、またこの条約については、ASEAN諸国以外に今回開放されて、条約のメンバーも先ほど条約とは異なると。そういう意味ではもちろん各々個別の条約ではございますが、一部目指すところとしては共通の部分もあることは委員指摘のとおりでございます。
  70. 小泉親司

    小泉親司君 いわゆる、私は、朝鮮半島の非核化と同時に、これは東南アジアの非核化も非常に重要な課題なんですね。  ここに私、外務省調査月報二〇〇一年のナンバー3、東南アジア非核地帯条約の背景と意義という、山地さんという日米地位協定室の課長補佐の方ですか、この方がお書きになった、後ろに「学術論文として認められた研究成果である。」と書いてあるから非常に学術的な論文で、私非常にこれを読んでなるほどなというふうに思いましたが、この中でもバンコク条約の作成に至る経過の話が、いろいろ話になっていますが、元々先行したのは御承知のように七一年の東南アジア平和・自由・中立地帯、この構想が、宣言が発表されて、非核地帯構想が先に先行したと。しかし、これがなかなか進まないので、そこで出されてきたのがこの東南アジア友好協力条約という形になってきたんだと。  しかし、やはりこの二つの、私は非核地帯条約と今度、今回批准が予定されております東南アジア友好協力条約というのは、私は二つの柱というか両輪というかそういう関係に私はあるんじゃないかというふうに思うんですよ。その点で、この東南アジア友好協力条約だけ批准して、非核条約地帯に日本が積極的な参加をしないと、ここはどういうふうな理由があるのか、私ちょっと非常に疑問なんですが、この点はいかがでございますか。
  71. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。  今の御指摘のとおり、正にTAC、今回御審議いただいていますのは、域外にも開放するということを東南アジアの中で決めて、そして域外国としての日本も今回この条約の趣旨に沿って参加するということを決めたわけでございます。  他方、この今御指摘の非核条約でございますけれども、東南アジア非核兵器地帯条約というのは、基本的にはASEAN十か国とそしてそれに対しての核兵器国が議定書に加わるということを想定して作られた条約であるということでございます。
  72. 小泉親司

    小泉親司君 いや、私がお聞きしているのは、結局、私は先ほど局長お話しになりましたような、私も非核地帯条約と今度の東南アジア友好条約というのは車の両輪と表現したけれども、二つが同時に進められてきたものだと。一方は批准されて、もう一方は批准がなかなか進まないと、こういう問題を外務省としてはどうお考えなのか。  私はもっと非核地帯、当然のこととして非核地帯条約問題というのは東南アジアの非核化にとっても重要だと。先ほどの日朝首脳会談お話じゃありませんが、当然核問題というのはその域内の安全保障にとっては極めて不可欠な問題で決定的と、今の超大国が核を保有している状況の下では決定的な問題だとも私は思いますが、だからそこの違いは何なのかということを、どういうふうに評価されておるのかという点をお尋ねしているわけです。
  73. 薮中三十二

    政府参考人(薮中三十二君) この核兵器、東南アジア非核兵器地帯条約というのは、正にメンバーシップとして条約の当事国としてはASEAN十か国、そしてそれに対して議定書で署名に向けた努力を行っておりますけれども、議定書で加わることが期待されているのが核兵器国ということでございます。今までのところ、どの核兵器国もまだ議定書には署名しておりませんけれども。  そういう意味日本自身がこの条約の当事国となるということは想定されていないということでございますけれども、他方において、日本としては、今委員指摘のとおり、こうしたASEAN諸国の東南アジア地域における平和と安定の強化に向けての努力ということで、我々としては積極的に受け止めておりますし、条約当事国と核兵器国との協議の動向も注視しているところでございます。
  74. 小泉親司

    小泉親司君 この非核地帯条約について、米国は大変抑止を損なうと、いわゆる抑止論の見地から反対の態度を表明をしてきておりますけれども、その点について、外務大臣、私は、この非核地帯条約先ほど言いましたように核保有国も入るというものであれば、当然こうしたアメリカの態度をきちんと批判をすると同時に、特に同盟国である日本はこういうアメリカの態度は問題だという点を私は表明すべきだと、その上で、日本政府自体がこの非核地帯条約の実現というものに対して政治的にも積極的な、外交上も積極的な働き掛けを私、すべきだというふうに思いますが、外務大臣いかがでございますか。
  75. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは、米国のみならず、ほかの核保有国、もう今、薮中局長からお話をしましたように、これは、これについて尊重を内容とする議定書があるわけですけれども、それに署名をしていない、どの核保有国も署名をしていないということであると承知をいたしております。したがって、米国だけの問題ではないということでありますけれども、いずれにしても、米国がこのような立場を取っているということについて我が国としてコメントをする、そういう立場にはないというふうに思います。  ただ、先ほど局長からも言いましたけれども、この条約というのはASEAN諸国の東南アジア地域において平和と安定を強化をしようと、そういう努力の表れであるというふうには受け止めておりまして、核兵器保有国、これを含むすべての関係国によって議定書の署名が行われる、そういったそこに向けた努力ですね、それを歓迎をして、この当事国、条約当事国と核兵器国の今後の動向、これについて引き続き注視をしていきたいというふうに考えております。
  76. 小泉親司

    小泉親司君 注視するのは、私、当然だというふうに思うんですが、問題は、日本政府として、これをやはり歓迎するという立場は表明するということなんですか、それともちょっと、米国と同じように、いや抑止を損なうからちょっと問題かなというお考えなんですか。その点だけ最後にお尋ねいたします。
  77. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは、我が国がメンバーになるということが想定をされていないということであります。  一般的に、我が国として核を持たない、非核の、非核兵器地帯構想についての考え方というのは持っておりますけれども、この地域についての考え方、これは想定を、我が国が入ることが想定をされていないということで関係国の動きを注視をしたいというふうに考えています。
  78. 小泉親司

    小泉親司君 いや、私がお聞きしているのは、注視をするのは分かったと、別に注視というのはストップするわけじゃないけれどもね。私がお聞きしているのは、別に外交上、政治上、それは条約に加盟するしないとかかわらず、日本政府として、アジア外交を積極的に進める立場からすれば、当然それに対しての外交上、政治上のコメントがあってしかるべきだと。私は、注視、つまり注目していますよと言うだけじゃなくて、ちゃんと日本政府としてこういう条約は積極的に進めるべしということをやはり表明すべきなんじゃないかということをお尋ねをしているんです。
  79. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、日本は唯一の被爆国であるということですから、核兵器国のない平和な世界、核兵器のないですね、平和な世界、これを一日も早く実現をさせたいということで、そのためには現実的な措置を着実に積み重ねていくということが重要であるというふうに考えております。  そして、この条約先ほどおっしゃった東南アジアの非核兵器地帯条約、これについてはすべての核兵器国を含む関係国によるこの議定書署名、これに向けた努力を歓迎をしていると、そういうことであります。
  80. 小泉親司

    小泉親司君 あと三分ぐらいあるので、一問だけ私、お尋ねしたいのは、イラクの問題、多国籍軍の問題でございます。  どうも今日の決議案を見ますと、今日、新聞の各紙に出ましたのを見ますと、アメリカの今回の国連決議案は一五一一の決議をそのままにしてそのまま多国籍軍を移行させると、一年後に見直すというような見解だというふうに私、理解をいたしましたが、問題は、多国籍軍ということになると、つまり現行体制が維持されるということになると、六月三十日以降、自衛隊の、特に日本の自衛隊の立場はどうなるんだろうかと。その点では、もしこのような決議がそのまま通るというような形になりますと日本の自衛隊は多国籍軍に入る、このことは可能なんですか。法的に可能なんですか、可能じゃないんですか、その点だけ最後にお尋ねしたい。
  81. 山本一太

    委員長山本一太君) ほぼ時間ですので、簡潔にお願いします。
  82. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、その安保理の決議ですけれども、これは提示をされたわけですが、今後、関係国によって、安保理のそのメンバー国によって議論をされていくということで、今、その提示をされた案とされるものに書かれていること、それをベースに議論をするということは必ずしも適切ではないというふうに考えています。
  83. 山本一太

    委員長山本一太君) 時間です。
  84. 小泉親司

    小泉親司君 いや、まだ三十六分になっていない。
  85. 山本一太

    委員長山本一太君) いや、三十六分です。三十六分になっています。じゃ、手短に。
  86. 小泉親司

    小泉親司君 私がお聞きしたのは、だから、日本として多国籍軍に参加できるのか、できないのかと、この点はいかがでございますか。
  87. 川口順子

    国務大臣川口順子君) いわゆる多国籍軍、これへの関与の在り方、これについては、その当該多国籍軍の任務ですとか目的ですとかそういった、あるいは編成ですとか、具体的な事実、これに基づいて判断をすると、そういうことであるかと思います。
  88. 小泉親司

    小泉親司君 終わります。
  89. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党・護憲連合の大田でございます。  社民党は、今回、拉致被害者二家族のお子さん方五人が帰国されたことを大変喜ばしくうれしく思っておりまして、これまで外務大臣を始め関係者皆さんが御苦労なさったことに対して心から感謝申し上げたいと思います。本当に御苦労さまでした。  さて、質問に入りますが、経済産業省にまずお伺いします。  日本ベトナム投資協定締結に関連して、ベトナムへの投資環境についてでございますが、ベトナム政府が一昨年の九月、二輪車部品輸入を突然、年間百五十万台分とする規制を発表して一部の日系メーカーが操業停止に追い込まれたと報じられました。また、ベトナムの日系企業関係者からは、ベトナムは上層部の意向がきちんと末端まで行き渡っていないのが投資を進める上での最大の問題だというような声も出ております。  今回の協定締結によって、このような投資のネックとなってきたベトナム産業政策や規制などがどのように改善されていくとお考えでしょうか。協定のメリットについて簡潔に御説明ください。
  90. 山本一太

    委員長山本一太君) 御答弁は。
  91. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 経済産業省。今日、見えていませんか。
  92. 山本一太

    委員長山本一太君) 経済産業省は要求に入れておりませんので。
  93. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうですか。じゃ、失礼しました。  次に移ります。  東南アジア友好協力条約の第一条の目的で、条約国の国民の間の永久の平和、永遠の友好及び協力の促進をうたい、第二条ではそのための基本原則として、紛争の平和的手段による解決や武力による威嚇又は武力の行使の放棄等を掲げています。また、第十三条では、国際紛争が起きた場合の平和的な交渉による紛争処理が明記されています。これは正に日本国憲法の目指す方針と一致しているということで大変うれしく思いますが、そこで、外務大臣にお伺いします。  このような平和外交というものが今回のイラク戦争のときに取れなかった、つまり、外務省がこういうすばらしい方針を決めておられるわけですが、イラク戦争のときにこのような平和外交の手法というのが取れなかった一番大きな理由について簡潔に御説明いただけますか。
  94. 川口順子

    国務大臣川口順子君) それは、イラクが国連決議に従わなかったことに尽きると思います。
  95. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 財務省、おいでですか。  五月二十四日付けの日経新聞によりますと、先日、五月十五日、韓国の済州島でASEANプラス3の財務相会議で東アジア単一通貨構想が討議されたと報じられていますが、その構想の中身と意義、またその実現の見通しについて簡潔に御説明いただけますか。
  96. 篠原尚之

    政府参考人篠原尚之君) お答え申し上げます。  ただいま先生からお話ございました通貨面での協力、あるいは東アジアの地域としての金融協力につきましては、私どもは非常に重要な課題だと思っております。主としてASEAN十か国と日中韓のASEANプラス3の財務大臣会合という場でそうした問題について議論を進めているところでございます。  御指摘ございました単一通貨構想自体についてはこの財務大臣会合の直接の議論の俎上にはのっていないわけでございますけれども、そうした通貨面における協調の在り方等については、ASEANプラス3の下の作業部会でございますとか、いろいろな場において議論がなされているところでございます。引き続き、こうした通貨協調の在り方につきましては、中長期的な課題として東アジアの政策担当者等との間で議論を重ねてまいりたいと思っております。
  97. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 欧州開発銀行設立協定の今回の改正でモンゴルも支援対象国となるわけですが、我が国とモンゴルとの経済関係を見ると、貿易額は一九九七年の約一億五千万ドルをピークに下がり始めて、二〇〇二年には約三千八百万ドルになっています。──失礼しました。これも経済産業省ですが、来ていないようですので省きます。失礼しました。  先日、二十日の本委員会で在沖縄米軍人軍属が使用している私有車両、いわゆるYナンバーの車庫証明なしの自動車登録問題についてお伺いしました際に、外務省海老原北米局長は、日本の国内でも取扱いが必ずしも一致していなかったということもあり、従来のやり方を変えるという側面があるので、米側に理解をしてもらわないとその円滑な執行ができないとお答えになりました。  ということは、この違法行為を日本側はこれまで容認してきたが、これからは容認できないので車庫証明を取るよう要請しているが、その理解を得るに至っていないということですか。いま一度御答弁をお願いいたします。
  98. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 本件につきましては、前回も御答弁申し上げましたように、平成十年の六月に、御質問にありましたような私有車両の登録に際しましていわゆる車庫証明が提出されていない事例があるということが判明いたしまして、その後、政府といたしまして米軍関係者の私有車両の登録に関する関係法令の適切な適用が早急に確保されることが必要であるという観点から米側と協議を行っているところでございます。  先ほど申し上げましたように、本件につきましては、国内法令の適切な適用を確保するという観点から、現在の状況は適切ではないということも含めまして米側には日本側の主張を行っているということでございます。  他方、先日私が申し上げましたとおり、従来、長崎県内に使用の本拠を有する自動車にかかわるものを除きましてはこれまでの取扱いを変えるということになるという側面がございますので、米側の理解を得て円滑な国内法の執行を確保したいという観点から、米側内部で周知措置が取られることが不可欠という面もございますので、米側と鋭意協議を行っているということでございます。
  99. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省努力なさっておられるということでほっとしているわけですが、このまま違法行為を許していきますと、自動車登録行政や自動車運行の違法行為の取締りに当たる所管の行政の長が法的責任を問われかねません。つまり、外務省の対応のいかんによって他の省庁が責任を取らされることになるわけです。したがいまして、是非ともその早急な解決を外務省にお願いしたいわけですが、この点についての外務大臣のお考えをお聞かせください。
  100. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この事態というのは不適切であるというふうに考えております。  したがいまして、今、海老原局長から申しましたように、協議をしているこの件を早急に解決する必要性、これは両方とも持っていますので、引き続き鋭意協議を行っていきたいというふうに考えています。
  101. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 総務省はいらっしゃいますか。総務省にお伺いしますけれども、現在、在日米軍の軍人軍属及び家族の自動車にかかわる課税の現状はどうなっておりますでしょうか。
  102. 板倉敏和

    政府参考人板倉敏和君) 米軍人等の所有いたします車両に対する自動車税の課税についてでございますけれども、日米安全保障条約第六条に基づきます地位協定第十三条第三項及び第十四条第六項の規定によりまして、財産課税はできない、ただし道路損傷分については負担をいただくということでございまして、日米合同委員会で特例税率が合意をされているというのが状況でございます。これに基づきまして、沖縄県におきましては条例を制定をしまして課税をされているというのが現状でございます。  この特例税率でございますけれども、自動車の区分ごとに決められておりまして、例えば、二リットルを超え二・五リットル以下の自家用乗用車では、標準税率が年額四万五千円になっておりますけれども、これが年額一万九千円に、また、一・五リットルを超え二リットル以下の自家用乗用車では、標準税率が年額三万九千五百円でございますけれども、この特例によりまして七千五百円になっていると、こういう状況でございます。
  103. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 去る四月三十日付けの地元の新聞によりますと、沖縄県の場合、二〇〇三年度の米兵関係車両二万六千百十三台の自動車税収額は二億六千八百万円で、これを一般県民並みに課税すれば十億五千五百万円になります。つまり、米兵を特例扱いすることによって沖縄県はその差額の七億八千百万円を損している勘定になりますが、沖縄県はこの間、政府に対して日米地位協定の抜本的見直しを要請しておりますが、その中でこの問題も取り上げているわけです。つまり、地位協定の改定をお願いしていることは、単に治外法権的な条件が多過ぎるということも一つですけれども、こうした今地方の財政が非常に厳しい折に、こういう特例、特例ということでやっていきますと地方の税収が非常に減るわけですが、そういう点について外務省は、例えばこの減る分は外務省が手当てしてあげるとか、そのようなことはお考えになりませんでしょうか。
  104. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 本件につきましては、そもそも米軍を日米安保条約、地位協定に基づいて我が国に駐留を許していると、しかもその駐留がほとんどの軍人について短期の一時的な駐留であるということに基づきまして、これらの有体あるいは無体の動産の保有、使用等についての租税をどういうふうに処置するかという観点の問題でございまして、それが先ほど答弁にもございましたように、地位協定の十三条三項におきまして、日本国における租税は基本的には免除されると。ただ、同時に、私有車両による道路の使用について納付すべき租税の免除は与えないという形で規定されているわけでございまして、それに基づきまして、先ほどの御答弁のように、財産税としての性格を有する部分と、それから道路損傷負担金としての性格を有する部分があるという観点から現在のような特例税率が規定されているわけでございます。  このような規定につきましては、例えばNATOの地位協定におきましても類似のものが存在をしております。したがいまして、駐留を認めている外国軍隊に対する扱いということにつきましては、国際的慣行にかんがみましても均衡を失しているというものとは考えておりませんで、特にこの点についての変更を考えているということはございません。
  105. 山本一太

    委員長山本一太君) ほぼおしまいになっておりますので、簡潔にお願いいたします。
  106. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 はい。今、北米局長がおっしゃることでは、実は地位協定をどうしても抜本的に解決する必要が出てまいります。  我が国は、アメリカに対して、米軍に対しては土地も随分提供しているし、空域とかそれから海域なんかもその管理に任しておりますが、思いやり予算もたっぷり出しているわけなんですから、せめてこういう自動車税くらいはその地方、基地を抱えて非常に苦しんでいる県に対してもう少しきちっと配慮していただくようお願いして、質問を終わります。
  107. 山本一太

    委員長山本一太君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、投資自由化促進及び保護に関する日本国ベトナム社会主義共和国との間の協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  108. 山本一太

    委員長山本一太君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、東南アジアにおける友好協力条約締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  109. 山本一太

    委員長山本一太君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、欧州復興開発銀行を設立する協定改正受諾について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  110. 山本一太

    委員長山本一太君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 山本一太

    委員長山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会