○佐藤道夫君 私は実は、その新聞を眺めながら、誠にやっぱり総理経験者たちの言うとおりであると、そういう感想を深くしたわけであります。特に、肝心かなめの
外務省の姿が見えないではないかということですね。
これは
川口大臣も最初に、この
委員会で私が聞いたときに、一切、二人、山崎何がしと平沢何がしが
訪朝したことについて何の連絡も受けていなかったと。それから、福田官房長官も新聞記者会見などで、私は知らないと大分憤慨したような面持ちで語っていたような印象でありました。現にそのとおりで、福田さんが辞めたのもそれが原因ではないのかと。
これ、独裁国家ならいざ知らず、民主主義国家にあって、おれは総理
大臣だと、だれを使おうがおれの勝手だと、そんなことは許されない。やっぱり役所というのはきちっと法律に基づいて職務権限が定められている、その範囲内で、外交問題ならば
外務省にまず下ろしてそこで検討をさせると、それを総理
大臣が使うというのが当たり前のことで、どこの国も民主主義国家であればそういうことをやっている。
今回は、どうも相手が独裁国家だから、わしも独裁者になろうかと、こういう発想で、山崎議員と平沢議員を使って、そして新聞に報道されましたら、肝心かなめの総理
大臣が最初はわしは知らぬと言っておられて、そして山崎さんが帰国してきましたらば料亭に連れていって、ワッショイワッショイ大騒ぎをする。あれはもう当然密命を授けて、山崎氏がそれに従って
訪朝をして、そしてその結果を
小泉総理に報告をしていると。これ、独裁国家ですよ、こんなことは。
もう二十一世紀ですからね。まあ、明治、昭和の初めぐらいまでならば、時の権力者が勝手に役人やあるいは政治の実力者を使って何かをやるということも許される、それも必要であったのかもしれません。今はもうそんな時代じゃない。
北朝鮮は独裁国家だと、こうあなた方、私も言いますけれどもね。そんなことを言えるような資格、ないんじゃないかと。肝心かなめの
外務大臣すら、私、何も聞いておりませんでしたよと。こんな国が一体どこにあるんですか。本当、不思議と言うしかあり得ない。
それで、
訪朝結果が発表されまして、家族会の集まりがあっちこっちでありまして、テレビにもまた繰り返し、繰り返し出演しまして言っていること、それは、もう少し、やっぱり同じことなんです、粘り強く
交渉してもらいたかったと。十人の話は一体どうなったのかと。そういうことを言って、家族会が、もう少し我々の立場も考えてもらいたいと。
新聞報道などによれば、
小泉総理の
訪朝を支持するというのが六十何%、しかし、金まで使うことはないんじゃないかと、こういう世論もまた六十何%ありましてね、金を。で、家族会が言うには、金を使ってああいう国に行ってやったらだれだっていいんだと、何も総理
大臣が行く必要はないんだよということも言っていました。
これも私、そのとおりだなという感じがしておりまして、何と何と一千億今度金を使ったと、こう言われておるんですよ。十人取り戻すのに、あっ、五人ですか、取り戻すのに一千億、一人二百億ですよ。これからまた拉致問題が起きてくるんでしょう。残った十人をどうするか、それから何十人、いや、ひょっとしたら何百人拉致されているんじゃないかと、こういうこともありますから、北朝鮮は小出しに、小出しにしてくるんじゃないですか。
いずれにしろ、一人二百億
日本は払うと、払わせろと。そういう国を相手に
交渉をするときは、本当に粘り強く外交のベテランが乗り込んで、機会を見て乗り込んでいって、下から積み上げて、一歩前進、二歩前進。上から、ひょっと、おれは総理
大臣だと、おれの言うとおりしてくれやと。そんなことでまとまるような話ではないと思うんです。
次回にまたすぐ北京かどこかで
交渉をするというふうに言われていますけれどもね。ええ、分かりましたと、それで、そのときにまた残りの十人何とかしてくれと、分かったと。で、調べた結果、もう全部調べているんですよね。あんな国でこれから調べるなんというあほな、ばかなことはあり得ないわけで、調べている。その結果をどうするかといえば、また五人ぐらいちょっと顔見せてやれと、そして一人二百億と、なかなかいい商売だと、こういうふうな感じを持つのも当然なんですね。
そういう
意味で、私、
小泉さんの
訪朝をそんなに、一般
国民の六〇%がよくやったと言っているらしいですけれども、しょせん、家族会に言わせると、だれが行ったって同じじゃないか、何で、何のために総理が行ったんだと、そんな印象すら受けるわけでありまして、現に、会談時間があったのにかかわらず二時間か何かで切り上げて早々に引き揚げてきたと。これが現実問題で、やっぱりこういうことについては、最初、
外務省の担当官が本当に粘り強い
交渉をして積み上げて、一歩前進二歩前進していく。肝心かなめの
外務大臣も、私、何も聞いていませんよと、話はそこから始まっているんですよ。
どう思われますかな、今の件について。