運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-05-20 第159回国会 参議院 外交防衛委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十日(木曜日)    午前十時四十分開会     ─────────────    委員異動  五月十八日     辞任         補欠選任      岩本  司君     樋口 俊一君  五月十九日     辞任         補欠選任      河本 英典君     狩野  安君      樋口 俊一君     岩本  司君      草川 昭三君     荒木 清寛君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本 一太君     理 事                 舛添 要一君                 齋藤  勁君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 阿部 正俊君                 荒井 正吾君                 狩野  安君                 中島 啓雄君                 岩本  司君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 若林 秀樹君                 吉岡 吉典君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        嘉数 知賢君        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        外務大臣政務官  荒井 正吾君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       日下 正周君        警察庁交通局長  人見 信男君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        防衛庁人事教育        局長       小林 誠一君        防衛施設庁建設        部長       河野 孝義君        総務省自治税務        局長       板倉 敏和君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     石川  薫君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部ジュネー        ブ条約本部長   荒木喜代志君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省中東アフ        リカ局長     堂道 秀明君        外務省条約局長  林  景一君        国土交通省自動        車交通局技術安        全部長      中山 寛治君     ─────────────   本日の会議に付した案件投資自由化促進及び保護に関する日本国と  ベトナム社会主義共和国との間の協定締結に  ついて承認を求めるの件(内閣提出衆議院送  付) ○東南アジアにおける友好協力条約締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○欧州復興開発銀行を設立する協定改正受諾  について承認を求めるの件(内閣提出衆議院  送付) ○政府参考人出席要求に関する件 ○外交防衛等に関する調査  (小泉総理北朝鮮訪問に関する件)  (我が国国連分担率に関する件)  (イラクにおける外務省職員殺害事件に関する  件)  (自衛官の自殺問題に関する件)  (北朝鮮情勢に関する件)  (在日米軍の軍人、軍属等私有車両登録問  題に関する件)     ─────────────
  2. 山本一太

    委員長山本一太君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十九日、草川昭三君及び河本英典君が委員辞任され、その補欠として荒木清寛君及び狩野安君が選任されました。     ─────────────
  3. 山本一太

    委員長山本一太君) 投資自由化促進及び保護に関する日本国ベトナム社会主義共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、東南アジアにおける友好協力条約締結について承認を求めるの件及び欧州復興開発銀行を設立する協定改正受諾について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  政府から順次趣旨説明を聴取いたします。川口外務大臣
  4. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ただいま議題となりました投資自由化促進及び保護に関する日本国ベトナム社会主義共和国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  政府は、平成十四年三月以来ベトナム社会主義共和国との間でこの協定協議を行いました。その結果、平成十五年十一月十四日に東京において、先方フック計画投資大臣との間でこの協定に署名を行った次第であります。  この協定は、投資許可段階における内国民待遇及び最恵国待遇原則供与、並びに技術移転要求を始めとする特定措置履行要求原則禁止を規定するとともに、収用等措置の取られた場合の補償措置支払等の自由な移転投資紛争解決のための手続等について定めております。  この協定締結は、我が国ベトナムとの間の投資の増大及び経済関係の更なる緊密化に大いに資するものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。  次に、東南アジアにおける友好協力条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約は、昭和五十一年二月にインドネシアのバリ島デンパサールで開催された第一回ASEAN首脳会議において採択されたものであります。  この条約は、東南アジアにおける平和、友好及び協力促進を目的とし、経済社会等の各分野における一般的な協力原則につき規定するものであります。  我が国がこの条約締結することは、我が国が今後東南アジア諸国と一層緊密かつ建設的な友好協力関係を構築していく意志及び姿勢を象徴的に示す上で有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、欧州復興開発銀行を設立する協定改正受諾について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この改正は、平成十六年一月にロンドンにおいて採択されたものであります。  この改正は、モンゴル欧州復興開発銀行受益国とすることについて定めるものであります。  我が国がこの改正受諾することは、従来の受益国である中欧及び東欧の諸国と同様、民主化市場経済への移行を進めるモンゴルに対する国際協力を一層推進する見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この改正受諾について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  5. 山本一太

    委員長山本一太君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  三件に対する質疑は後日に譲ることといたします。     ─────────────
  6. 山本一太

  7. 山本一太

    委員長山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  8. 山本一太

    委員長山本一太君) 外交防衛等に関する調査議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 齋藤勁

    齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤でございます。  冒頭、案件に入る前に、昨日も両大臣を別な特別委員会でも質疑をさせていただきましたが、そのことに入る前に石破防衛庁長官にお尋ねさせていただきます。  この通常国会は様々な重要案件山積して、今も私ども衆参それぞれ議論をしているわけですけれども、とりわけ、御案内のように、年金抜本的制度改革ということで、このことが今参議院でも厚生労働委員会を中心に議論をされております。石破防衛庁長官自身国民年金の未加入未納等につきまして、この委員会でも大臣としての、政治家としての姿勢について、経緯について私も一問一答程度でしょうか、質疑させて、お尋ねさせていただいたことが過去にあったと思います。私の記憶では、多分、福田官房長官がお辞めになる前のことであったのかなというふうに思います。  そして、私ども、これは政党、会派、それぞれの政治家の個人の判断にある部分もありますが、私は大いに感銘するところであり、我が院に所属しております同僚議員常任委員長特別委員長、それぞれの判断姿勢を正すと、政治家としての姿勢を正すという意味で公職を辞しました。  今回の様々な年金制度をめぐる問題で、とりわけ国民にとって政治家政党、そして年金制度、関心が高まりましたけれども政治家に対する極めて厳しい視線が今日なおも注がれていることは間違いないというふうに私は思いまして、このことに対して政治家政党が、どのような私たちは態度を取るべきか、姿勢を取るべきかということが非常に今本当に真剣に問われているんではないかと思いまして、その後の経緯、そして今日、自身石破防衛庁長官として、政治家として国民にきちんと姿勢を正す意味防衛庁長官を辞職する、総理から頑張れと言われても自らが姿勢を正す意味で、そういった点についてお考えはないのかどうか、答弁を求めたいと思います。
  10. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 経緯につきましては、私、麻生大臣中川大臣とともに衆議院厚生労働委員会であったかと思いますが、御説明をいたしました。これはもう繰り返して申し上げることもございませんが、私自身、毎月払っているということ確信もしておりましたが、念のためと思いまして、社会保険庁にお願いをして電子計算機のデータを出していただきましたところ、あのようなことが発覚発覚というか分かりましたので、すべて御説明議員になる前も含めて御説明をしたつもりでございます。  総理から頑張れと言われてもおまえは辞すということについてどのように考えるか、そうあるべきではないかという御趣旨かと思います。  これは、未納、失礼、未加入ですね、未納の場合には債権が発生をするわけですが、これ資格を喪失したという扱いになっておりましたので、これが未納というのとは違うのだろうと思っておりますけれども、そのことについてうっかりとかなんとか言っても、それは結果責任でございますから、政治家は、そのことについて幾重にもこれは反省をし、おわびをするというのは当初から申し上げておるところでございます。  他方、政治家責任として、これは閣僚総理から任命をされておるということは、そのほか当委員会でいろいろ御議論をいただいておりますような安全保障が抱えております多くの問題、有事法案、今衆議院委員会可決をいただきました。これから衆議院の本会議で御可決をいただければ、参議院において御審議を賜ることになります。あるいは、防衛力整備の問題についても、これも新しい大綱を目指して議論をしていかなければなりません。そういう責任も併せて負っていると思っております。  閣僚の、政府閣僚として国民に対して果たすべき責任とは何なのかというのは、それは職に恋々とするとか、あるいは責任回避をしてほおかむりをするとか、そういうことではなくて、何が国民に対して果たすべき責任なのかということだと思っております。そういう意味で、年金制度信頼確立に向けて、それは反省も踏まえて、自分政府一員として努力をするということ、そして同時に、自分が与えられております職責を任にあります限り最大限にやるということも、これも責任の果たし方だと私は思っております。  いろいろな課題山積をする中で、ではそれをほうり投げてということが、それが責任の取り方だと私は思っておりません。しかし、そのことが年金問題に対する、うっかりとかなんとか言っても自分が未加入であった期間があるということに対して深く反省をし、そして政府一員として努力をしていくということ、これは両方申し上げなければいけないことだと思っております。
  11. 齋藤勁

    齋藤勁君 ただいまの、防衛庁長官防衛庁長官としての考え方であり、一つ見識だというふうに私は思います、それはそれとして。  私は、冒頭申しましたのは、今の世論、国民の一人一人の声というのは、今おっしゃったようなお考え方で果たして国民は受け止めてくれるだろうかということについて私は申し上げております。  野党が、民主党が、それぞれやったことはやったことで、それぞれの判断でということはおっしゃるかも分かりませんが、しかしながら、私どもは、政党政治家国会への信頼失墜は、本当に与野党の壁を超えてしていかない限り、政治家がいろいろ地域で、様々なところで言っても、それは全く信用してくれない、受け止められないという、それほどの今大変危機的状況があるということを私は申し上げさせていただきまして、そのことをきっちり受け止める今の与党小泉内閣でなければ、様々な政策をしても、心に響く、響く政治はないということを申し上げさせていただくつもりでございます。  次に、同僚大臣でもございます、先ほど福田官房長官のお名前を出させてもらいましたが、後任の細田官房長官が先般就任されました。後ほどまた、日本テレビ北朝鮮訪問同行取材につきましてはお尋ねさせていただきますが、今日、お二人あるいは副大臣もいらっしゃいますが、とりわけ今防衛庁長官とのやり取りがありましたので、その引き続きの防衛庁長官にお尋ねいたしますが。  私は、今、小泉内閣は本当に、今申しました政治的な、やはり国民との政治政党距離感の問題、そしてもう一つ危機管理能力という点からいうと、細田官房長官を本当に任命するときにこういったことについて調査をされなかったのかどうかということを、本当に目を疑いたくなったのが、所得隠し企業から給与運転手に計三千百万円、九六年から〇三年まで、昨年まで報告書に記載せずというのがございました。これは御自身記者会見をしております。それを私も概要を聞いております。  そのことについての真偽はどうこうということは、尋ねるつもりはありません。しかし、御自身は認めております、官房長官自身は、誤りであったということについては。で、報告書訂正をしますということについて、あります。そのことで済まされるんだろうかということなんです、問題は。ここも総理が、しっかり頑張ってくれ、反省して頑張ってくれということに終わっています。  元々、任命するときに、任命する前に、官房長官でしたですね、もう既に。ですから、もう官房長官からだったんでしょうけれども、私は、そういった点について与党内閣として極めて緊張感がないんではないかというふうに思います。こちらに総理大臣がいる、御自身がいらっしゃればそういう言葉を私は指摘をせざるを得ぬですが、同僚国会議員として、同僚国会議員として、国務大臣として、この細田官房長官、去年まで企業給与を肩代わりする。私は目を疑いました。これは、もう二十年か三十年前にこんなことがあったんじゃないかというふうに思います。  率直な、私は、政治家としての、大臣としてのコメントをこの機会に発露していただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
  12. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 国務大臣としてではなくて、政治家としてというお話でございます。  これ、この委員会の場でお答えすることが必ずしも適当かどうか知りませんが、先生の御指示でございますので申し上げるといたしますれば、それは、官房長官がおっしゃっておられますように、これは報告書訂正をしたと、深く反省をしているとのことでございます。  官房長官自身、私も長いお付き合いでございますけれども、本当に清廉な方であり、そしてまた判断も的確な方であり、というふうに思って長い間お付き合いをさせていただいております。  ただ、同時に、先生がおっしゃいますように、そうであったとしても、国民が受ける印象はどうなんだ、政治は結果責任なのではないかということでありますから、これは総理の御指示にありますように、きちんと仕事答えを出すということだと思っております。そういう趣旨官房長官も御発言になったというふうに認識をいたしております。  政府全体といたしまして、まさしく先生おっしゃいますように、緊張感に欠けるのではないかというような思いを国民の方が抱かれるということがないように、そういう意味では、危機管理を担当いたします防衛庁長官として、人のことはともかくとして、自分の身はきちんと律していかねばならないと思っておるところでございます。
  13. 齋藤勁

    齋藤勁君 私ども、こうやってお互いやり取りしますと、自分自身のことも鏡を見ながらというようなことだと思うんですよ、率直に言えば。  しかし、率直に言えば、与党ですよ、官邸、全体的なコントロールタワーです。だから、私は、幾つか、危機管理対応、任命するに当たりましての事前調査も含めて、それから、総理大臣として、さっき言った年金加入未納の問題についての責任の取り方、仕事を一生懸命しますという仕事の取り方、これは一つ見識の在り方だろうと思いますが、国民の信を失ったときの恐ろしさというのを認識をされていない、年金問題で言えば。今度、細田官房長官の問題についてもしかり、頑張れということしか言わない。  本人も知らなかったと言う。知らないで済むのかどうか、知らないようなそういう事務所対応だったのか。そういう人が官房長官でいるという問題点なんですよ。政治資金収支報告書訂正すればいいということで済まされる、済ましていこうとする今の小泉政権の今の状況だ、小泉内閣だということについて、その一員の方々であるということなんです、皆さん方は。  まあ興奮して言っているわけじゃないんですよ。様々な案件がある中でいろいろ真剣な衆参やり取りしているときに、国民の信がどんどんどんどん離れていますよと、大変なときですよということを言うんで、ここは与野党超えて私どもは、年金問題で言えばそれぞれが判断でやってきているわけで、野党がやったから与党やれなんという、そんな水掛け論を言うつもりはありませんよ。国会総体として真剣に考えて、むしろ姿勢を正すのは、政権党たる、与党たるもの、そういった立場の方たちじゃないですかと。責任の取り方の、殊に、ことについて。そうでなければ、大人から子供まで、政治家に対して信頼しませんよ。  それから、本外交防衛委員会で言えば、土曜日に総理が二度目の訪朝をされるということで、このことについて入らさせていただきます。  今日は、そのこともございますし官邸の問題もありますので、官房長官、そして官房長官をこの委員会に私は出席してほしいということで要請をいたしましたけれども官房長官は主としてこの委員会所管ではないということ、あるいは官房長官自身も日程でこちらには出席できないということを事前に伺いました。  両大臣、あるいは、主として内閣官房の方なんでしょうけれども、私は、関連といいましょうか、日本テレビ同行取材排除した問題について一、二、どうしてもこれは、また官房長官会見をしていますけれども、お尋ねさせていただきます。  改めて事実経過についてるるお尋ねいたしますけれども総理官邸日本テレビ同行記者団から排除していることが報道されました。その後、訂正をしている会見が昨日もございましたが、この報道によりますと、日本テレビは、日本テレビは、北朝鮮への人道支援内容として二十五万トンの米支援最終調整と十六日に報道したことが同行記者団から排除された直接の原因だということを言われております。  日本テレビ内閣記者会にした説明によりますと、飯島総理秘書官から放送当日の十六日、訪朝を妨害するために報道したのか、取り消さなければ同行を認めないと同社に抗議の電話があり、総理官邸からは外務省にも同社を排除するような指示があった。日本テレビによると、飯島秘書官は、ニュースの情報源を明かせば同行を許可するとニュースソースの開示を要求、さらに、代わりに雑誌社同行させると伝えた。  このことについて、いろいろ外で官邸から会見をしていますが、委員会として改めて経過についてお尋ねさせていただく。こうした一連の報道は事実ですか、事実だったのかどうか、お尋ねいたします。
  14. 日下正周

    政府参考人日下正周君) お答え申し上げます。  先生指摘の去る五月十六日の日本テレビの番組におきまして、北朝鮮に対する支援政府が検討しているという内容報道がございました。これは、二十二日の総理訪朝の際に日朝間協議される諸問題について、日本政府の方針や協議方向性があたかも既に固まったかのような、具体的な数字まで挙げての報道でございました。  北朝鮮との厳しい協議が予想される中で、このような報道がなされることによって、日朝間の様々な懸案について我が国北朝鮮協議を行うに当たって重大な支障や悪影響を与えることにもなりかねないという観点から、当該報道機関との間でいろいろな厳しいやり取りがあったということを聞いております。  なお、日本テレビ総理同行につきましては、調整の結果、昨日、従来どおりの形で行っていただくということになってございます。  以上でございます。
  15. 齋藤勁

    齋藤勁君 今答弁いただきましたけれども、私、そういう答弁のニュアンスで役所の方からされるだろうなということもあるから、官房長官と副長官を是非、官邸責任者として委員会にお呼びしたんですけれども、物理的に不可能だったという。  私は、小泉内閣というのは非常に怖いなというふうに思うんですよ。今の言っている中でも、大変ですよ、この日朝交渉というのは、大変な、平壌宣言をされて以来一年数か月、今日に至っていますから。それから、拉致拉致家族の問題、核問題、大変な課題山積をしておりますけれども報道内容政府にとって都合が悪いあるいは気に食わない、こういうときにメディアを排除する、取材機会を奪うということについて、本当に民主主義国家の私は政府のすることなんだろうかというふうに思いますよ。  改めて、憲法が保障します言論の自由とか報道の自由、このことを持ち出すつもりはありませんが、ここは外務大臣防衛庁長官、お二人が、今回の飯島秘書官がいろいろ報道機関やり取りされたことについて、現場にいたわけでもございませんし、質問を受けたって答えようがないという、うなずかれているけれども、いずれにしても、これもまた一員なんですよ、小泉内閣一員。  それから、外務大臣として、所管の今の日朝交渉が大変な今状況の中で、そういった危惧は、多分一政治家とか何かがほっと漏らすというのはあっても、内閣のかなめたる官邸のまた秘書官がそういったことについて、気に食わないからということを、私は、恫喝的にするような、同行を拒否するようなことについて言うということについては大変問題であるというふうに思います。そういう認識に立つのかどうか、お二人からそれぞれ伺いたいと思います。
  16. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この話の事実関係自体は、私は全く承知をしておりませんので、そういったことについてコメントをする立場にはないと思っております。  それで、一般論として報道の自由ということで言えば、私は二つのことを感じておりまして、一つ報道の自由というのはこれを確保すべきであるということです。  それからもう一つ、私が自分の身の回りのことについて、身の回りといいますか仕事としていることについて感じていることで言いますと、報道機関の方においても、やはりきちんと取材をしていただいてきちんと報道をしていただきたい。いろいろな意味で御関心を国民の皆様が持っていただけるということは非常に有り難いことであると思いますけれども、往々にして、それが特に外交交渉といったような場では、相手方に対してこちら側のポジションを悪くするような結果につながっていきかねないという危惧も持つこともございます。  以上です。
  17. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これも、今回の細田官房長官あるいは日本テレビ飯島秘書官の件につきましては、私、事実関係詳細に存じているわけではございません。コメントする立場にはないと思っております。政府一員としても、情報を正確に把握しておりません以上、コメントすることは政府一員としても差し控えるべきかと思います。  他方、私の所管について申し上げれば、今回の自衛隊のイラク派遣につきまして、私ども、お願いという形をいたしました。それは、一つは、隊員の安全確保にかかわる場合、そしてもう一つは、外国とのいろいろな関係において申し上げられないような場合、そういう場合については報道について差し控えていただくことをお願いするという形でございます。  それはあくまでお願いということであって、報道、言論の自由でございますから、報道機関が何をなさろうとも、それは民主主義国家においてあるべきことだと思っております。しかし、それが安全にかかわったり、あるいは他国との関係を損ねるものであるような場合には、これはもう私ども、お願いとして、そういうことの報道を控えていただくことはできませんでしょうかということでありまして、これを言論統制という形ではないのだと思っております。  そのことによって、国益最優先とは申しません、しかし、人命あるいは行動の安全ということが損なわれるということは私どもとしては極力避けたいことでございます。それは、報道機関としてそれをどのように御判断になるか、どのような基準で報道されるか、それは一に掛かって報道機関として何をどうお考えになるかということであり、それは三権分立という形の中に入っておりませんので、報道機関としてどのようにお考えになるかということ、それが憲法における言論の自由、報道の自由との関係でどう考えるか、極めて難しい問題だという認識は持っております。
  18. 齋藤勁

    齋藤勁君 事実経過について、なかなかしっかりとした内容について把握をされていないというのが発言からもありますが、事の深刻性をやっぱりきちんと受け止められていないと思いますよ、事の深刻性について。  それはやっぱり、起きたときになぜ起きたんだろうかということについて、なぜそのようなことがあったんだろうかということについて疑問を持ちながら、私は、大臣としてきちんとした真相を求めていって、報道各社は全部コメントを出していますよ、コメントを出していないのもありますが。この報道に全部、一覧、ある紙に各社全部、回答されないところもありますが、意に沿わないからといって取材同行を拒否するなんということはけしからぬという、大方の社がそうじゃないですか。言論には言論じゃないんですか。  正に内閣のスポークスマン、本当は官房長官がそういった報道についてコメントしなきゃならないのに、何で飯島秘書官がやるんです。そういうシステムになっているの、日下さん。
  19. 日下正周

    政府参考人日下正周君) お答え申し上げます。  総理同行については、基本的には、官房長官指示を受けて内閣広報官の下で調整を行うという形になっておりまして、その際に総理秘書官等の意見を聞くという場合もございます。
  20. 齋藤勁

    齋藤勁君 だから、報道官なんでしょう。飯島さんは報道官。
  21. 日下正周

    政府参考人日下正周君) いいえ、総理秘書官でございます。
  22. 齋藤勁

    齋藤勁君 秘書官でしょう。  何でこういうことになったということについての説明ないんですよ、何でこういうことになったのかということの。飯島秘書官がこういうようなことを発言、行動したということについての説明がないんですよ、官邸の在り方についても。そういうことについての総括がないじゃないですか、短時間の中でも、起きたということについて、そういうことをされていないということでしょう。官房長官官房長官と、総理も場合には含めて。そのことをお聞きしているんですよ。
  23. 日下正周

    政府参考人日下正周君) お答え申し上げます。  確かに詳細のやり取りは承知してございませんが、報道内容が国益に反するという観点から、関係者との間でいろいろ厳しいやり取りがあったということでございまして、その中でやや過剰なやり取りがあったということは聞いてございます。
  24. 齋藤勁

    齋藤勁君 いえ、過剰なやり取りでなく過剰以上なんですよ、これは。これは明確に、飯島秘書官自身がいろいろ報道機関やり取りあっても、結果的には同行を、取材を、ゴーサイン出す。これ特別機ですから当たり前の話なんで、最初からこの飛行機じゃなきゃ行けない話を、まず提案しているわけですよね。これは非常にひどい話だなというふうに思います。  それで、今私言っているのは在り方、問題です、在り方の、官邸の。せっかく日下さん見えているんですから。  その後、その後、ああ、飯島秘書官がああしてスポークスマン的な役割を果たして、これは大変問題だったなとかいうことについて、そういった官邸の中で話をされていないんですか。やり過ぎだとか、そんなことじゃなくて。
  25. 日下正周

    政府参考人日下正周君) 今回の件については、いろいろな経過があったことは確かでございます。ただ、最終的には、日本テレビ総理同行については従来どおりの形で行っていただくということになっておりまして、いろいろ反省すべき点も多いということは承知しておりますが、最終的にはそういう形で収まっているということでございます。
  26. 齋藤勁

    齋藤勁君 ここがいわゆる役所の人との委員会やり取りの限界になってくるんですよ。だから、委員会で幾ら議論していても、何にもすとんと落ちてこない、国民にも見えてこない、届かないというやり取りになっていくんですよ。  先ほど、だから、官房長官、副長官、いらっしゃらなくても、お二人の大臣に聞きましたけれども、なかなか真実について、まだ十分中身についてよく分からないからという答弁ですと、もうそれも、それ以上出ないようですと消化不良のままですよ。  官邸全体について、内閣として、同じ同僚の内閣として、危機意識を持つならば、スポークスマンたる人がスポークスマンの役割を果たさないで、役割がない、本当はそういう人がしなくてもいいことを総理秘書官がコメントして、より大きな混乱を生じさせているということについての、そういう危機感の、危機的認識がないということなんですよ。大変恐ろしいくらいですよ、本当に。  そういう、何か日下さん、それしか、官邸の中でその程度の認識なんですか。内閣官房の中で。スポークスマンたる人がやらなかったわけですから、そういう、だからそれは飯島さん、駄目だったんだよと、何でおれに言わなかったんだよというようなやり取りもなかったの、それは。恐ろしくなりますよ、その後の対応についても。
  27. 日下正周

    政府参考人日下正周君) 先生指摘のように、今回の件については、元々その報道内容が国益に反するという観点から、いろいろ厳しいやり取りがあった中で、やや過剰なやり取りがあったということでございまして、その件については若干反省すべき点もあるということを官房長官も申し上げております。
  28. 齋藤勁

    齋藤勁君 何かやっていたら惨めになってくる気持ちも少しありまして、今日はちょっと残りの時間、私もう本当、一、二分になりました。同僚議員に残りの時間をバトンタッチをしていきますが、一言だけ、幾つか予定をしてきた質問はすべてまた別な機会にさせていただきたいと思います。  基本的には、日朝交渉が、外務大臣、是非成功に向けて、是非サポートをしていただきたいということがまずございます。  それから、今回の、この今の官邸の問題につきましては是非真剣に受け止めていただいて、健全な民主主義、私は、批判が政府に対して、時の権力に対して様々な批判があるということは、ある意味じゃ健全な社会だと思うんですよ。そのことを、本来の役割を果たすべき、言論は言論でやりましょうというのが、同行を不許可、取材を、脅かしながらそういったことについて封じていくという役割というのは本当に私は信じられない。本当に不当な私は介入だというふうに思いましたよ。  そして、もう総理大臣から何か飯島秘書官に注意というと、本当に注意をしたのか、おい飯島君よ、しっかりしろよと言ったのかどうかは分かりません。やっぱり私は、そんな程度で済まされる問題じゃないというふうに思いまして、普通ならば、普通のまともな内閣ならば、私は、私、神奈川県、小泉総理大臣とも、私も、まあ全然距離も届かない、同じ選出の衆参それぞれの国会議員ですが、飯島秘書官自身とはなかなかお話しした機会はございませんが、今回のことを思いますと、私は、総理大臣として、飯島秘書官、秘書官として失格であるということを総理大臣自身が私は通告すべきものであるということを申し上げさせていただきまして、ちょうど私自身の時間が来ましたので、終わりたいというふうに思います。
  29. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 民主党の新緑風会の若林でございます。昨日、イラク特でありましたけれども、引き続き質問をさせていただきたいと思います。  まず、国連の分担率、分担金に関して質問させていただきたいと思います。やや唐突感のある質問かもしれませんけれども、現状の課題認識と改革の方向性について伺いたいと思います。  これは、私がPKOについてどれくらい分担しているのかということで調べたところ、私も勘違いしていまして、結局は国連の分担率と一緒だということでありまして、相当な金額を払っているんですね、これPKOだけでも。国連の通常予算の以上に払っていたときもあったということで、国連加盟以来、国連加盟時が二%ぐらいですかね、それが今は二〇%弱ということで、十倍に膨れ上がった。  これはやっぱり我が国の国際的な地位の向上、そして発言力、一定の発言力を確保する意味でこれまでずっと伸びてきたというふうには思いますが、この前提となるいわゆる経済力、GNIと呼ばれているところに関して、それにいろんな調整が入るんですけれども、本当にこれでいいのかなという感じを、少なくともこれは国連改革と一体で考えるものだとは思いますけれども。  一方、アメリカを見ますと、二五%の上限ルールがあって、私が気が付いてみたら二二%に下がっていると。経済規模でいったらもう二倍なんですよね、アメリカは。でも、一方では分担金はもうほぼ日本と変わらないところに来ているという意味においては、この分担率というのは、ほかにいろいろ影響してくるという意味では、いろいろ課題を解決する意味では非常に根本的な問題ではないかなと思いますので、現時点での外務省考え方について、川口大臣にお伺いしたいと思います。
  30. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 全般的な、基本的な考え方について私からお話をして、細かい話は後で部長にと思いますけれども。  分担率の問題というのは、我が国が分担をしているのと見合った国連の中における発言をする場を持っているかということが一つの側面だと思います。それからもう一つは、委員がおっしゃっていらっしゃるような、いろいろな国がある中で、どの国がどれだけ負担すべきか、二つの側面があるというふうに私は思っております。  その二つとも我が国としては改革をする必要があるというふうに考えていまして、私は、この前、二月でしたか、アナン事務総長が日本に来たときも、それから一昨日、今度の国連総会の議長になるガボンのピン外務大臣がお見えになられたときも、それぞれ、課税なくして、失礼しました、代表なくして課税なしと、ノー・レプリゼンテーション・ウィズアウト・タクセーション、じゃなかった、逆ですよね、ノー・タクセーション・ウィズアウト・レプリゼンテーションという話をいたしました。これは変えなければいけないというふうに思っております。  変え方について、これはなかなか難しいところがありまして、委員がおっしゃっていらっしゃる、例えば特例、今の決め方、一つの国が経済力を背景に、お金を出すことによって必要以上に発言権を持たないということが一つは大事な側面だと思います。それが、アメリカに対して今上限が掛かっているということであり、それからもう一つは、貧しい国がどれぐらい払わなければいけないかと。ゼロサムゲームでございますので、どこかを日本が減らそうと思えばどこかを増やす、どこのところへ増やすかという考え方が非常に難しいと思いますが、いろいろなことを我が国として今検討しつつございますけれども、非常に重要であり、なおかつうまい解決に行くには難しい問題だというふうに認識をしております。
  31. 石川薫

    政府参考人石川薫君) ただいま川口大臣からお答え申し上げました方針に従いまして、私どもといたしましては、ゼロサムゲームの中ではございますけれども、次の分担率算定方式の見直しが二〇〇六年に予定されておるということを念頭に置きまして、この国連分担率が加盟国の経済実勢に即すこと、それから同時に国連における地位及び責任をも反映すること、こうしたバランスということを考えた交渉態度で臨みたいと、このように考えている次第でございます。
  32. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  二〇〇六年にまた改革されるということですが、日本というのはどっちかというと経済成長に伴ってやっぱり分担金を多く出していくことがある意味じゃ名誉だったと思うんですよね。そのときは、やっぱり、人的貢献あるいは政策的な貢献が少ないからやっぱりお金を出していくという、今はやっぱり人的貢献、政策的にもうこれだけやっているわけですから、本当の我が国の国際貢献の在り方の中できちっとバランスよくやっぱり考えていく必要が私はあるんではないかなというふうに思っております。  一方、常任理事国であるロシアは一%、中国は二%の分担率でありますから、今おっしゃった責任と地位ということも含めまして、これから我が国が常任理事国入りということももちろんあるでしょうから、そういう総合的な中でこれをきちっとやっぱり言うべきことは言っていくことがやっぱり必要ではないかなというふうに思っております。  その上で、ちょっと昨日のUNDOFの方に戻るんですが、国連PKOということに対して、国連にPKOの分担率を、分担金を、お金を払っていると。これも相当な額ですよね。一方、通常、PKOというのは、私の理解では、そこから、PKO分担金を出しているから、そこから日本の自衛隊に必要な経費が全部払われるんだろうというふうに思っているわけですが、その辺についてのその関係についてちょっと説明していただけますでしょうか。
  33. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) 先生の御質問にお答えいたします。  国連平和維持活動への要員を派遣した国に対しまして、国連の方からは、その活動への参加によって生じた経費の一部分について国連が定めます同一のルールに従って償還されると、こういうことになっております。いわゆる償還金と呼ばれるものでございます。  この償還金につきましては、要員の経費やあるいは部隊装備品にかかわります経費等がございますが、御指摘のゴラン高原に展開しておりますいわゆるUNDOFの部隊につきましては、この部隊装備品に係る経費等を含めまして、そのすべて償還金が現在受領されたというわけじゃございませんので、全部を比較するということについて、ちょっと、比較可能という状態にちょっと至っておりません。  ただ、その中で、要員経費につきまして、償還の対象としております手当など我が国と予算の経費区分がちょっと違いますけれども、あえてそこを符合するものを探しまして、一定の前提を置いてあえて両者を比較いたしますと、これは平成十三年度でございますが、所要額が約一億八千万と、いわゆる部隊を出すことに対して必要とした所要額というのが手当等で一億八千万であるのに対しまして、国連からの償還金が約五千万であったと、こういう状況でございます。
  34. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございます。  一億八千万というのは基本的には人件費は全部入っていませんので、実際に自衛隊を、あれだけの部隊を動かすというのは数億のお金が掛かっていて、もう戻ってくるのは実際五千万ということでは、やっぱり十分の一ぐらいしか現実的には国連からはお金が回ってこないということですので、PKOに分担金を出し、一方、出せば出したで相当な費用が現実的には掛かっているという現実はやっぱり見ておかなきゃいけないんではないかなというふうに思います。  ちょっと調べたら、例えば基本給は千ドルぐらい毎月出る。これも、途上国も日本みたいな人件費の高いところもこれ一緒ですし、どんな仕事をしようともそれは千ドルということですから、そういう実態も含めまして、この費用の在り方もいろいろ問題は多いと思いますが、これを上げれば逆にまた分担金が増えてくるということではありますので非常に難しいかと思いますが、PKOを出すだけでもやっぱり相当お金が掛かるという現実は見ておく必要があるんではないかなという感じがします。  いずれにしましても、昨日東チモールのPKOが終了したということでの指示が出されたようでありますが、もうUNDOFだけでありますので、そういう意味じゃ、このPKOとして残る、日本として現時点で残るのは、このUNDOFのPKOの在り方についても、今後ある部分、国際社会の要請に対してどうこたえていくかという観点から含めて整理する必要もあるんではないかなというふうに思うところであります。  それから、シリアの、もう一つだけちょっとODAについて伺いたいと思います。  シリアという国は、一見、中東にあると産油国のようなイメージがありますが、決してそうではなくて、田舎へ行けば非常に貧しい状況でありまして、我々が見たのはアレッポという北部にあるすごい、そのすぐ近くの田舎の町へ行きまして農村開発のプロジェクトを見ました。  UNDPとシリア政府、そしてそれに日本の予算が付いて、小規模融資で新しい所得、インカムジェネレーションをやるプロジェクトを幾つかやって、非常に我々も感動しました。ダマスカスの近くでは、水資源情報センターというんですかね、水資源をきちっとやっぱり管理するデータベースをできるようにしようというJICAのプロジェクトとか、身体の不自由な学校に対して無償資金協力等、青年海外協力隊でセットでやっているとか、非常にいいプロジェクトを見させていただきました。  ちょっと気になったのは、無償は少しずっと続いているんですが、有償資金協力が数年前から途絶えちゃっておりまして、あの国の状況を考えますと、有償資金協力のニーズもあるんではないかなというふうに思いますが、その辺についての考え方についてお伺いしたいと思います。
  35. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  シリアは、中東和平の当事者でありまして、またイラクの隣国ということで、我が国としては中東地域の平和と安定を実現する上で重要な国と認識しております。  我が国としましては、中東和平のプロセスを含めて、地域の平和と安定に向けたシリアの積極的な関与を促すために国内経済改革路線を後押しするということで、シリアの主要な産業であります、先生もおっしゃいました農業とか水資源開発、電力、市場経済化などの分野を中心に、国民生活の向上に資する援助を実施してきているということであります。  お尋ねの円借款でございますけれども、最近では九五年に火力発電所案件を実施しておりまして、案件の成熟度、それから経済社会開発上の効果、それからシリアの地域の平和と安定への取組、これなどを総合的に勘案して、ODA大綱の趣旨を踏まえた今後の対応を検討するという考えでおります。
  36. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 いや、答えになっていないんだけれども。要は、再開を検討されるのかどうかということに対して端的にちょっと答えてください。
  37. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) シリア政府からは円借款供与のいろいろの要請が来ております。これに対しまして、先ほど申しましたように、案件の成熟度、それからシリアが地域の平和と安定にどのように寄与していくのか、こういう点も踏まえながら検討するということであります。  委員御承知だと思いますけれども、米国においては対シリア問責法というのがあるわけでございまして、シリアに対する懸念もあると。そういう中で、我が国としてどういうふうにするのかということを今申し上げたような基準に従って検討していくと、していきたいと、こういうことであります。
  38. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 独特の、官僚独特の回答かと思いますが、よく分からないんですけれども。いずれにせよ、我が国としてやっぱり主体的に考えてODA大綱を作ったわけですから、それにのっとってやっぱり決めていただくということが必要ではないかなと思っております。  防衛庁長官にお伺いしたいと思うんですが、我が国の国際貢献の在り方の中に、今も自衛隊をイラクに派遣をしているということであります。六月末には主権が移譲されて、安保理決議の下に新たなステージに入るんではないかなと思います。当面は多国籍軍による治安維持等が中心になると思いますが、いずれPKOという形で、そういう五原則にのっとって、そういう要請を受けたときに今の自衛隊派遣をPKOに切り替えていくということは、条件が合えばそういう方向になるんだろうというのが私は自然なステップではないかなと思いますが、それについてのお考えをお伺いしたいと思います。
  39. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これが、仮にPKOに移行する、つまり国連の活動としてのPKOに移行するということになった場合に、まさしく若林先生おっしゃるような、じゃ、五原則との関係はどうなるんだということになるわけであります。それは、紛争当事者間の停戦の合意であり、我が国の参加に対する紛争当事者の同意であり、中立的な立場の厳守でありとか、そういう五原則があるわけですね。  じゃ、紛争当事者の停戦合意というのは、一体だれとだれが停戦合意をするんだいと、こういうことになるわけであって、いわゆるそのサダム・フセインの政権はもうないわけですから、それと、じゃ、だれが、また、そのサダム・フセイン政権側はもういないわけで、ここの当事者は一体だれなのですかという話になってくるのだろうと思いますね。その辺りは明石懇でもそういう御議論がございました。要は、そのPKO五原則というものの趣旨というものをきちんと踏まえながら、でも、国連PKOに移行したとき日本は参加できませんというような話が本当にあっていいのかという話になるのだろうと思います。  そこは、しゃくし定規に議論をするのではなくて、明石懇の御提言もこれあり、どう考えるべきなのかということを、もちろん政府としても考えますが、立法府でも本当にこれどうあるべきなんだというお話をしていただいて、日本が国際責務の履行、あるいは日本としてそういうような地域の方々に喜んでもらえるために何をすべきなのかということは、これは国会でも御議論をいただき、政府でも議論をする。そのときになってどうしましょうどうしましょうという話は、これは余りうまくないと思っています。
  40. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういう意味では、いわゆる国際協力法のその五原則的な問題も様々な課題を抱えているんではないかなという感じはしていますんで、現実な国際社会の動きとこの法的な部分に対してどこにそごがあるのか、やっぱり日々、日ごろから議論しておくこともやっぱり必要ではないか。やはり国連中心主義、その中での国際貢献というのは、当然、我が国は立場としてそれを模索するというのは必要なことですし、ある部分はやっぱり先行してやることも、議論しておくことも必要ではないかなというふうに思っているところでありますので、以上でそれに関しての質問は終わりたいというふうに思います。  残り少なくなりましたけれども、昨日の、外交官殺害事件の質問し切れていない部分が一杯ありますんで、今日も無理だと思いますが、させていただきたいと。  ちょっと資料を配っていただきたいと思います。    〔資料配付〕
  41. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 昨日も使った資料ですが、一回だけで使わないのはもうもったいないんで、またちょっと使わさせていただきたいと思いますが。よくできた資料でありまして、一か所だけちょっと間違いがありました。  一か所だけの間違いというのは、大使館がこんなに立派じゃないという。残念ながら、本当に民家に毛の生えた、路地裏にある大使館で、あの環境の中で外交官の方が一生懸命やられているということを思うと本当に胸が痛むというんですか、こういう立派な、ここまで大きくなくても、きちっとした大使館をいずれ造っていただく時期も来るんではないかなというふうに思いますが。  一点だけ、いずれにせよ、これは昨日申し上げましたように、時系列的に見てつじつまは全く合いません。とりわけバラド、一時間弱の行程距離でありながら二時間以上も掛かっているということでありまして、一つだけ確認もう一回したいんですが、奥大使が十一時過ぎに写真を撮ったとされておりますが、具体的に何分でしょうか、これは。堂道さん、局長で。
  42. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 奥大使のデジタルカメラに残された写真では、二十九日の午後十一時過ぎと、バグダッド郊外の写真が複数残されております。具体的には、十一時十一分に、走行中遠方より撮影された、バグダッド西部のマンスール地区というところにあるわけですが、サダムタワーの写真が残されておりますし、また、十一時二十二分に、同じく走行中遠方より撮影されたバグダッド郊外の風景が残されております。
  43. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 堂道局長、そうすると、それはかなりもう市街、中心地からちょっと抜けたところですよね、それは。そういう理解でいいのか、ちょっとお答え願います。
  44. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) バグダッドのマンスール地区というのはまだ市内に近い方でございますけれども、先ほど申しましたとおり、十一時二十二分に、走行中に撮影したというバグダッドの風景は、バグダッドの郊外の写真だということです。
  45. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 十時に出てマンスール地区に十一時十一分というのは、もう根本的にこれ合わないですから、これは。どう見たって、それは。だから、昨日言ったように、私はこれ、一時間の、ずれているんです。冬時間に戻していない。これはよくあり得るというか、普通、逆になかなかそんなところまですぐには調整しないという意味で私はこれ違っていると思いますんで、訂正されるんでしたら早めに訂正していただいて、もし外務省がこれを分かっていて使っているとしたら、それはそれで恣意的でございますんで、私は、これは十一時が十時であるとするならすべてつじつまが逆に合いますし、十二時八分に最終連絡をして、その少し後に亡くなったんではないかということでありますんで、これまた、私の方から求めるのはおかしいかもしれませんけれども、きちっともう一回おかしいところはおかしいということで整理しておいていただきたいと思います。  以上、結構であります。  それで、警備局長も来ていらっしゃるんでちょっとお伺いしたいと思うんですが、警備当局としても外務省から適切な情報を得るということが必要ではないかなというふうに思います。当然、そういう要請はされているというふうに思いますけれども、例えば、現地病院発行の死亡診断書、これ両外交官、イラク人運転手の司法解剖結果、現地で回収、保管されている弾丸、薬きょうに関する情報等は、いつ受けられたか。いつ要請して、いつ受領したか、教えていただきたいと思います。
  46. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) 警察といたしましても、この事件認知後、外務省と緊密に連携を取りましていろんな、要請もさせていただき、いろんな情報、資料等も入手をさせていただいているところでございます。  個々の書類等について、その提出を受けた月日、内容の詳細については、基本的には、これ現在捜査中でございますのでお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、御指摘のものについて申し上げられる範囲で御説明をさせていただきたいと思います。  まず、この運転手の死亡証明書、死亡診断書というものではなくて死亡証明書ですが、これ、御遺族から外務省に提出をされたものについて、これは入手をしております。それから、司法解剖は、これは行われていないものというふうに承知をしております。それから、現地で回収されています弾丸、薬きょうについてのお尋ねでございますが、これは、その被害車両の中で発見された弾丸の一部と考えられる金属片につきまして、昨年十二月の二十七日に外務省から提出を受けております。薬きょうについては、現在まで入手をしておりません。  以上でございます。
  47. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございました。  死亡証明書は、現地発行の死亡証明書は受領されているんですね、ということで今おっしゃられたんで、これも、そういう事実がこのレポートには全く載っておりません。そして、司法解剖結果、司法解剖はされていないということですが、そして、回収、保管されている弾丸というのは、現地で弾丸の一部が見付かって、それは警察当局が持っているということになります。  まず、死亡証明書をなぜレポートに載せていないんでしょうか。
  48. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) この報告書でございますけれども、六ページに「ジョルジース運転手については、翌三十日遺体を引き取りに来た同職員の家族が拒否したことから司法解剖は行われなかったが、家族の者がティクリート総合病院の医師に要請し、同医師が発行した死亡証明書によれば死因は銃創によるものとされている。」という記述をしております。
  49. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 これはジョルジース運転手ですよね。今言ったのは外交官の死亡証明書がというふうにおっしゃっていましたんで、当然これは今のこの事実とは違うでしょうということを言ったんです。
  50. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) 私が申し上げました死亡証明書というのはジョルジース運転手のものについてでございます。お尋ねがそういうお尋ねかというふうに理解をいたしまして、そのように答弁をいたしました。
  51. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そうじゃないですよ、だからそれは両外交官も含めてということですから。  その次に、じゃ現地で回収された弾丸というのはどういう状況の中で発見されて、どういうルートで警察は受領されたのか、ちょっとそれをお伺いしたいと思います。
  52. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) これは、被害車両が大使館に戻った後、バグダッドの大使館の方が被害車両の中で発見をしたということで、私どもの方に提供、外務省を通じて提供いただいたものでございます。  それから、先ほどの死亡診断書でございますが、これは要するに、それが作成されて、死亡証明書が作成されておりましたのはこのジョルジース運転手についてのみでございましたので、それを入手をしているということでございます。
  53. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 一杯聞きたいこともあるんですが、でも、そういう証拠品となるものを外務省員が勝手に車の中から取ってそれを警察に渡すというのは、証拠品の扱いとしてこれ問題じゃないですか、それは。
  54. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) 手続として見てどうかという点は確かにあろうかと思いますけれども一つは、その当時の事情として、車そのものがいつ日本に戻ってくるかということが分からないという状況の中で、できるだけ犯行の状況、使用された武器等について明らかにしたいという状況があったということでございます。  そういう中でございまして、また、発見してこちらの方に外務省を通じて提供していただいたその間の手続といいますか経路につきましても、これも報告書等で明らかにすることによって十分手続としては、これは何といいますか、今後の捜査の過程でその使用に堪え得るものというふうに考えております。
  55. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういう質問に入る予定もなかったんですが、そういうことは私は個人的にちょっと、法的にどうなのかということもありますので、それはまた改めてというふうに思いますが。  その上で、司法解剖はされていないということなんですけれども、お手元の資料の四枚目が、これは朝日新聞、朝日新聞に載った、記者が許可を受けて撮影した、この運転手から発見された弾丸だということでありまして、これだけはっきり大きな弾丸というのは今回の警察庁の発表にも余りなかったんではないかなというふうに思います。  この事実について外務省はどうとらえて、この弾丸については実際に入手し、その情報についてどうとらえられたのか、お伺いしたいと思います。
  56. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  この事実については承知しておりません。
  57. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 少なくともちゃんとした新聞記者が署名入りで警察当局に聞いてこうやって書いているわけですから、これは貴重な情報ですから、それは承知していないとか、そんなレベルじゃないですよ、それは。そういう情報があったらきちっとそれは確かめないといけないのに、こういうことさえもやっていないわけですよね、現実的には。  当然それは、警察庁はじゃ入手していないという一番のこれ証拠でありますので、実態はこういうことなのかなという感じはしますので、川口大臣、もう私も時間はないんですが、昨日、自分もこれは疑問だと思っている内容が含まれているということだったというふうに思いますが、今日その辺について、何がじゃ川口大臣がこの報告書で疑問を持っているのかお伺いをしたかったんですが、ちょっとそこの時間はありませんので割愛させていただきますが、調査はこれでおしまいなのですか。もし調査がおしまいだとしたら、私は改めて第三者機関がきちっとして調査をする委員会でも作る必要があると思いますんで、それについて最後お伺いして、私の質問を終わります。
  58. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 我々として、今全部分かっているわけではないわけですから、引き続き分かること、これについては把握をしていきたいというふうに思っていますし、それから昨日申し上げた、別な委員会で申し上げたと思いますけれども、そういって、形で新しく分かったことがあれば、それは捜査に影響がないということであれば、その時点でお出しをしようというふうに考えております。
  59. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 第三者委員会、作ってください。
  60. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 第三者委員会については、これはこの前申し上げましたように、第三者委員会がやったといってより多くのことが分かるということではなくて、これは基本的なデータ、材料にかかわることですから、それを政府が大使館等々を使ってやっていくということが一番事実解明に資するというふうに考えています。
  61. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 取りあえず、以上で終わります。
  62. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。  今日は、かつて取り上げたことがあります自衛官の自殺問題について改めてお伺いいたします。    〔委員長退席、理事舛添要一君着席〕  この問題は、私だけでなく同僚議員からもこの委員会でも取り上げられ、また衆議院でも何回か取り上げられてきた問題です。  私がこの問題に関心を持ちましたのは、大きく言って二つの点です。一つは、自衛官の自殺がかなりの数に上り、しかも増えそうだということが問題になっていたこと、もう一つの問題は、自殺した自衛官の事後の扱いの問題の中にこれは改めなければならない問題があるのではないかということがあることを感じたからであります。  今日はその二点について長官にお伺いしますけれども、この問題、この委員会で私が取り上げることはもうないと思います。ですから、もう二度と聞く必要もないほど明快な御答弁を最初にお願いしておきます。  第一の問題ですけれども、一体自衛官の中になぜ自殺者が出るかということですけれども、私は、自衛官日本国民の一人ですから、日本国内で自殺者が出ると同じようにいろいろな苦悩を持っておって、その結果自殺を選ぶという人がこれはもう避け難く出たんだなという一面があると思います。同時に私は、この問題で自殺した人の家族あるいは週刊誌その他を通じて、いじめの問題が自衛官の自殺の重要な原因の一つにあるということを知りました。いじめによる自殺ということになると、これは自衛隊の内部にある問題が理由での自殺ということになるわけでして、ほかの理由の自殺もこれは抑えなくちゃいけないけれども、とりわけ自衛隊の中にあるいじめということによる自殺ということは、これはもう絶対にあっちゃならないものだと思いました。  私どもの自衛隊についての憲法認識というのは御存じのとおりですけれども、しかし、それはだれであろうと、志してある道を選択した、そこで挫折して自殺の道を選ぶというようなことはあってはならないようにしなければなりませんけれども、とりわけ、志して入ったそこの中に思わぬいじめなどというものがあって自殺の道を選ぶというようなことだとすると、これは本当に大きい問題だと思いました。  長官はこの委員会でも、今までの調査報告の中にいじめという問題は取り上げられていないけれども、いじめというものがないとは思いませんと、こういうふうにおっしゃっておりますし、また、本当にまじめに一生懸命にやっている者ほどいじめに遭っちゃうというような話を聞いたことがありますというようなこともおっしゃいました。私は大変率直な答弁だと思って聞きました。  いじめというのは、それが自殺に至ろうと至るまいと、これはあってはならないものだということも含めまして、この間、私どもが提起した後、一層積極的に自殺問題について取り組んでいただいたこの間の検討、あるいはいろいろな措置を踏まえて現状はどうなっているか、どういう見通しかをも含めて、この自殺対策の問題についてまずお伺いしたいと思います。
  63. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生から何度も御指摘をいただきました。  私どもとして、とにかくこれを減らせと。もう数が減らせばそれでいいという話じゃなくて、もう限りなくゼロに近づける。一人でも自殺があってはならない。そして、自衛隊の自殺者というものは一般社会に比べれば少ないのだで済む話ではないのであって、自衛隊の自殺者はもう目に見えて少ないというところまで持っていけないものかということで、ずっとやってまいりました。    〔理事舛添要一君退席、委員長着席〕  平成十五年度、つまりこの間終わりました平成十五年度は七十四名であって、十四年度の七十八名に比べて四名減ったということであります。今年の自殺者について申し上げれば、五月十九日時点で申し上げると、昨年の同時期と比べれば三名減っているということですから、少なくとも増加傾向には歯止めが掛かるかもしれないという、だからいいと言うつもりはありませんが、とにかくもう、少しでも減らせということで、これはある意味、人事教育局を中心に全力を挙げてやっておるところでございます。これはもう全力を挙げてという言葉を使っても別に私は過言ではないと思っています。  もう近年の特徴というのは、もうこれも先生からも御指摘をいただいたことでございますが、借財による自殺が増えてしまったと。病苦でありますとか家庭でありますとか職務でありますとか、そういうのはあるんでしょうが、もちろん数は把握をしておりますが、借財が増えたのはこれはなぜなのだろうと。  私も昔、銀行員をしておったことがありまして、個人貸付けというのも担当したことがありますが、国家公務員というのはやたらめったら信用が高うございまして、貸してくれるということがございます。これは、また、自衛隊の部隊というのはそんなに町中、繁華街にあるわけではございませんで、どちらかというと離れたところにある。そうすると、ほかに楽しみない、気分転換できるところもない。そうすると、例えば、何というふうには申しませんが、いわゆる射幸性のあるといいますか、かけ事のようなものにどうしても行ってしまうということがある。その辺をどうするんだという問題がございます。  いじめについてでございますが、私は、いじめはあるのかと聞いて、うちにはありますなぞということはなかなか申告としては上がってまいりません。それはもう組織としてそういうものだと思っております。それは私どもに限ったことではございません。  もっと悪いことには、いじめられている方は、いじめられた、いじめられたという意識は強いのですが、いじめている方にとってみれば、そんなにこいつをいじめているんだという意識がない。だけれども、いじめられている方にしてみると、物すごくいじめられたということになってしまう。そこに物すごいギャップがあって、おまえたち、いじめているだろうと言っても、いやいや、もうそんなことはありませんと言う。本当に何の罪悪感もなくそういうような返事が返ってくる。  とするならば、どうするかというと、これも今、人教局で検討しておるところでございますが、部外者カウンセラーというのをやっています。部内者ですとどうしても、あの上官に相談すると、また自分のいろいろなことに差し支えがあるのではないかと。ですから、部外者カウンセラーにどうやって相談できるようにするか。しかし、先生おっしゃいましたように、じゃ、聞いた部外者カウンセラーがそうか、そうかと聞いただけでは解決しないので、これがじゃ、どうもおたくの部隊ではこういうことがあるみたいだよということを言う場合に、これが個人のプライバシーの保護との間で問題にならないのか。例えば、A二曹が、B三曹がいじめられているみたいだよということを、相談を受けた部外者カウンセラーが部隊に対してフィードバックするということがどうやってプライバシー保護という点で担保されるかという問題もございます。しかし、やはり部外者に相談をするということが一つあるだろう。  もう一つは、部隊別に見ますと、そういうのが、いじめとか自殺とかいうのが減っているところを見ますと、やはり地区病院との連携がうまくいっている。地区病院があって、そこに精神科のきちんとしたお医者さんがいらっしゃって、地区病院と部隊との間がうまく回っていて、なおかつ個人の、何というんでしょう、告げ口とか、何というんでしょう、そういうことにならないようにするシステムというものを作るというのが大事なのだというふうに考えております。  現状、本当に全力を挙げて取り組んでおりますが、なおいろんな学者の先生方あるいは現場の皆さん方の意見を聞きながら、とにかく目に見えて減ったという数字を示さなければ、これは責任を果たしたことにならないと痛感をしておるところでございます。
  64. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今の問題、時間もありますからそれ以上あれこれいたしませんけれども、とりわけいじめの問題は、これは絶対になくしていただくように努力を一層強めていただきたいと思います。  第二の問題は、自殺した、不幸にして自殺者が出た場合、それにどう対応するかという問題です。  私は、これはこの十年間を取っても六百三十一人も自殺者が出ているという資料をいただきましたから、やっぱり特殊な個人だけでなく、やはり残念ながらかなりの数にかかわる問題だと思います。自殺者が出た場合に、当然、自衛隊として、あるいは防衛庁としてその自殺の原因等の調査を行われることがこれは当たり前のことだと思いますが、その調査内容というのは本当に公正な客観的なものでなくちゃならないという問題と、同時にその調査結果をどのように処理するかという問題は非常に慎重であって、本人のプライバシーは守られなければならない。自衛隊あるいは防衛庁が死人にむち打つようなことをやっては絶対にならないということを、もう一つ、いろいろな機会に防衛庁の人にも私は伝えもしましたし、ここでも申し上げたと思います。  私がなぜそういうことを言うかといいますと、たまたま自殺した人に、長時間家族から、遺族からいろいろ話を聞きました。それは、一家が、自衛隊を目指して、それで本当に自衛隊希望という夢を持って入ったその人が若くして自殺した、ところが、その自殺の調査結果がマスコミに公表されてもう大変なそれはショックを受けられたということです。私、聞きました。怒り、悔しさ、無念さ、もう本当にこれ大変なことが起こったんだなと思いました。私は、防衛庁長官がこの話、直接聞いていただく機会があれば自殺者対策もっと積極的になるんじゃないかと思う、そういう話でございました。  私は、自殺者が出た場合にどう対応するかという点で、調査結果がまず正確でなくちゃならない。私のお話聞いた人の場合、調査結果が十分公正な正確なものだと言えるか言えないかという問題が一つありました。しかし、私がここで問題に特にしたいのが、プライバシーを守る点についての慎重さということについてはどのようにお考えかということをまず長官、お伺いしたいと思います。
  65. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは以前も先生とお話をさせていただいた事案でもございますが、やはりプライバシーというのは最大限守られなければいけない。御遺族にしてみれば、自分の息子は本当に使命感を持って、一生懸命夢を持って自衛隊に入ったはずだ、ところが自殺しちゃった。それで出てきた報告書は、まず、いじめた側はそんな意識がなかったということが書いてあり、いじめられた側にすれば、能力とかそういうものについて欠けるところがあったのではないのというようなことが、仮にですね、今回の事案とは限らずですが、仮にそういうような報告書があって、それが公になった場合には、御遺族にしてみればそれはおっしゃるとおり大変なショックを受けると思います。  ですから、調査報告書は常に公開をするものではございません。やはりもし仮に公開の請求があり、公開をいたします場合には、やはりその御遺族の御意向というものを確認をした上で、あるいは内容について確認をした上で公表しなければならないものだと思っています。そういう場合にプライバシーの保護というものは十分図られなければいけないし、それ先生、今死者にむち打つというお言葉をお使いになりましたが、亡くなった方に対してもそうですし、御遺族に対してもそうだと思うのです。そのことに対して細心の配慮をしなければいけないというふうに思っております。  それは徹底をいたしますが、あわせまして、この調査の客観性をどうやって担保するかということにつきましても、私、今の調査は相当に客観性のあるものだというふうに自負をいたしておりますが、更に客観性を高めるためにはどのようなことができるだろうか。  やはり、どうしても我々の組織の性格上、例えば船というようなものは一つの閉鎖社会であるわけでございます。そこにおいて、どうやってきちんとした客観的な調査というものがより得られるかということについて、今でも相当に細心の配意をしておるつもりでございますが、さらに私どもとして、調査の客観性の担保と、そしてまた調査結果の、仮に御遺族の御了承があった場合に、公開をいたしますときには、内容、そしてまたプライバシーの面において更なる配慮をしていかなければならないと思っておるところでございます。
  66. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 この問題の最後に、今のに付け加えてですが、この十年間だけでも六百三十一人、自衛隊創設以来ということになればもっともっとたくさんの自殺者が残念ながらあったわけですね。そうするとその中には、私がお会いした人だけじゃなくて、本当に心の傷を受けた遺族があり得るんじゃないかと思いました。  そういうことが分かって、これは自衛隊、防衛庁の側としても何らか考えなくちゃいかぬなというように気付かれるケースがあった場合には、今からでもその傷をいやす何らかのことを考えていただきたいものだなというように私は思います。そのことは、やはり自衛隊の若者を預かって、やはり本当に願いを実現させ得なかった側の責任の一部でもあるんじゃないかと思います。  結論的に、簡単で結構ですから、長官、お願いします。
  67. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生のおっしゃるとおりだと思います。本当に高い志や大きな夢を持って入ってきた子たちがそういうふうにして、途中にして命を絶つということについて、そういうのがあってはいけないと本当に私は思っております。  まじめに一生懸命やった者ほど何だか疎外感を受けてしまうような、それはやっぱり組織としてはいいことだと思っていません。これからでも、そういうような心に傷を受けた人に対して、これは御遺族に対して私どもも、隊員が死んじゃったらおしまいということではなくて、御遺族に対してもずっと、防衛庁、自衛隊全体としてケアをしていくというシステムは持っておりますが、そういう方々に対して更に何かできることがあるのかどうか。  つまり、子供は亡くなっちゃったけれども、その志というものが否定をされず、そして、先生と私と立場は違いますけれども、自衛隊に対する思いというものを御遺族も持っていただける。嫌いになっちゃうんじゃなくて、そのことを、子供の亡くなったことにもかかわらず自衛隊に対する思いが継続していくというような形がどうすれば取れるかということを私の立場としては考えていかなければいけないと思っております。
  68. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 次に、首相の訪朝問題について、時間がうんと短くなりましたけれども、時間の範囲内でお伺いさせていただきます。  首相の訪朝について私どもの立場というのは、日朝首脳会談を通して、拉致問題を始め日朝平壌宣言で確認された方向の前進を期待したいという談話を発表しているところでございます。その立場からですが、交渉前に具体的なあれこれをお伺いすることは適切でないと思いますので、今の朝鮮半島をめぐる日朝の協議にしろ、六か国協議にしろ、大局的にどうなっていると判断したらいいのかということをまずお伺いしたいと思います。  というのは、新聞報道等を通じましても、必ずしもその大局的な判断ができるような形になっていないと私は思います。個別の問題がうまくいっていない、うまくいっていない、これももめているというふうな報道が続くと絶望感も生まれてくるというように思います。  そういう点で、私は、特に六か国協議を通じて、また二か国協議を通じて、朝鮮半島の問題は大局的に見ればいろいろな問題はあるにしろ、解決する方向にあると判断なさっているかどうかという問題が第一点と、それから第二点は、第一回目の六か国協議と第二回目の六か国協議との間には一定の前進があったのかどうなのか。私は、例えば六か国協議の作業部会が作られたこと一つ見ても、やっぱり一定の前進はあったんだなと思っておりますけれども、そういう二回の間に一定の前進があったかなかったかを含めて、大局的にどう見たらいいかということを説明していただきたいと思います。
  69. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 政府としても総理訪朝を是非成功させたいと思っています。総理が持っていらっしゃる高い志といいますか、北東アジア、この地域に平和と安定をもたらす、日朝間拉致の問題を解決し、あるいは核・ミサイルといった安全保障の問題を、日朝平壌宣言にのっとってそれらの問題を解決をしていって北東アジアの平和と安定につなげていくんだという総理の御意思、これが前に進むということを我々は信じて疑わないわけですけれども、そういった形でより速く物事が進んでいくということに資するということが大事なことだと思っております。  それで、大局につながらないではないかということですけれども、確かに、思ったほど、我々が期待をするほど速いスピードで動いていないということはあるかと思いますけれども、私は着実に、先ほど申し上げた北東アジアの平和、安定に結び付くような形で物事が動いていると思っております。六者会談で、これが中心的には核の問題を議論をしているわけですけれども、それらの、それもきちんとその中での議論で、例えば朝鮮半島の非核化、これについてはみんなの合意があるわけでございますし、また、その作業部会を作り、今回の会合でも、更にもう一度作業部会をやって六月末に次の六者会談をやりましょうということで合意があるわけでございますから、そういった形で前に進んできているということだと思います。  それで、最終的に、我々としてもやはりそれが、そういった問題が解決をし、朝鮮半島の経済的な発展、社会的な安定、そういうことが実現をし、中国という大きな大陸の今存在をする様々な問題の解決、あるいは近隣の諸国の問題が改善を見て、全体としてこの地域が平和で安定に推移していくような、そういう形になるところへつながっていく、そういうことは、大局的な見方ということではそういう方向に向かって動いているというふうに思っています。
  70. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私もそういうふうに思っておりましたけれども、しかし、私は当事者じゃありませんから、当事者からの説明をお伺いしたところです。  北朝鮮との交渉については、私は、一九九九年、ペリー報告が出されたときアメリカにも調査国会から行って、そのときにいろいろ聞きました。北朝鮮との交渉というのは中断もあり困難もあるだろうと、一番大事なことは辛抱強さだというのが当時の説明でした。早く決着付いて北東アジアの平和が、期待したいものですけれども、しかしそう簡単でない一面も念頭に置くようにというのが当時のペリー報告でした。ですから、私は平壌宣言の直後にもそのことをここで言った記憶がございます。  今、今の大臣のお話によりましても、やはり六か国協議も一定の前進があるということですが、もう一つお伺いしておきたいのは、二国、日朝の二国協議もかなり繰り返されてきましたので、朝鮮側の態度というのはどういうふうな印象、どういう感想、交渉態度です、北朝鮮の評価ではなくて、交渉態度を通じて、北朝鮮は頑固で話にならないというのか、やはり交渉ができるようになってきているのか、これは今後の見通しを知る上でも重要なことだと思いますので、どなたかお答えをお願いします。
  71. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お答えをいたします。  北朝鮮側の交渉態度の変化の点でございますけれども、本質的な変化というか、呼ぶべきか、あるいは戦術的なものと呼ぶべきなのかは分かりません。一概にはどういうことなのかというのはなかなか評価するのは難しいところがございますけれども、ただ、多少雰囲気の変化は感ぜられるようになってきたなというふうに承知しております。  例えば、二月の中旬にピョンヤンに田中外務審議官、薮中アジア大洋州局長が赴いて、そこで政府間の高官協議というのをやったわけでございますけれども、そのときにはお互いに原則的な立場を厳しく応酬し合うという、そういう協議であったわけでございます。  他方、その後、これ五月の連休、四日、五日でございますけれども、今度は北京で同じ顔ぶれ、こちら側は田中外務審議官、薮中局長が北京へ出向いていって、そこでもう一度日朝政府協議をやりましたときには、これは原則論ももちろんそれは触れられたわけでございますけれども、むしろそれよりは日朝間のいろいろな懸案、問題解決に向けてより掘り下げた率直な話合いをすることができたというふうに印象を持って帰ってきたわけでございます。  したがって、これは北朝鮮側が……
  72. 山本一太

    委員長山本一太君) 質問時間が終了していますので、なるべく手短にお願いします。
  73. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) はい。  大体そんなところでございまして、少し変化があったというふうには感じております。
  74. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 終わります。
  75. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。  まず最初に、国土交通省にお伺いいたします。  道路運送車両法第四条は、自動車登録を受けなければ運行してはならないと定めています。また、自動車登録に当たっては、自動車保管場所法第四条で、保管場所の確保を証明した車庫証明を警察署に提出し、かつ自動車には警察署が発行した保管場所標章を表示しなければならないと規定しています。  だとしますと、車庫証明なしで自動車登録を許可したとすれば、それは登録の受付業務を行う自動車交通局あるいは同局に委嘱された当該行政機関の責任者が不正をしているということになりませんか。  また、同僚議員の照屋衆議院議員の本件に係る質問主意書に対する答弁書で政府は、長崎県佐世保だけはYナンバー車が車庫証明を取得していることを明らかにしています。佐世保でできて他の地域でできないというのは一体どうしてですか。御説明ください。
  76. 中山寛治

    政府参考人中山寛治君) お答えいたします。  先生指摘在日米軍、軍属とその家族が使用している私有車両、いわゆるYナンバー車につきましても、車庫法施行令で定める地域におきまして登録を受けようとする者は、車庫法第四条第一項の規定によりまして車庫証明書を提出しなければならないというふうにされております。そして、同条第二項の規定によりまして、当該行政庁は、車庫証明書の提出がないときは登録をしないものというふうになっております。したがいまして、いわゆるYナンバー車が車庫法施行令で定められた地域においても車庫証明書の提出がないにもかかわらず登録がなされていますが、このような取扱いは不適切であるというふうに考えております。
  77. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 お答えしていない部分がありますが、長崎でできてよそのところでできないという理由は何ですか。
  78. 中山寛治

    政府参考人中山寛治君) 佐世保市の取扱いがどうしてそういう違いが生じたという理由は明らかでございませんが、沖縄県の現在の取扱いにつきましては不適切であるというふうに認識をしております。
  79. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 それでは、警察庁にお伺いいたします。  保管場所標章を表示していない車の保有者及び運転者が交通事故を起こして検挙された場合、車庫証明なしの自動車登録という事実が判明したらどういう処罰を受けるんですか、あるいは受けないのですか。
  80. 人見信男

    政府参考人人見信男君) お答え申し上げます。  アメリカ合衆国軍隊の構成員あるいは軍属あるいはその家族の私的な用に供される自動車につきましても、自動車の保管場所の確保等に関する法律が適用されまして、その自動車に係る警察署長の保管場所証明を取得し、警察署長から交付を受けた保管場所標章を自動車に表示しなければなりません。事故を起こした場合等、いろいろお尋ねがございますが、まず、保管場所標章を表示していない場合、これは罰則規定はございません。  警察署長は自動車に保管場所標章が表示されていないことを端緒としまして、道路上の場所以外の場所に保管場所が確保されていないおそれがあると、こう認めたときは、当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会に通知すると、こういう規定になっておりまして、またこの公安委員会、自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会は、道路上の場所以外の場所に自動車の保管場所が確保されていると認められないとき、こういったときは当該自動車の保有者に対しまして、当該自動車の保管場所が確保されたことについて公安委員会の確認を受けるまでの間当該自動車を運行の用に供してはならないと、こういったことを命ずることができます。  なお、事故等の責任の在り方については、個々のケースに応じて適正に対処したいと考えております。
  81. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 日ごろ、警察はこの米軍基地内でこの種の取締りというのをどういうふうにやっておられるんですか。
  82. 人見信男

    政府参考人人見信男君) 詳細は存じ上げておりませんが、存じてはおりませんが、法的に違法なものがあれば、それは適切に対処していると思います。
  83. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ちょっとよく、おっしゃることがよく意味が分かりませんけれども、警察がこういう状態だと、もう国内で違法、沖縄は占領地でもないし、アメリカの領土でもないですよ。日本国内ですよ。そういう主権国家の中で今のようなことになると、ちょっと厄介だと思いますが、まあ次に進みます。  本件に係る政府答弁書では、車庫証明なしで自動車登録された米兵の車両による事故で被害が生じた場合、そのような違法行為を許している政府側にも民法第七百十九条の共同不法行為の責任があるのではないかという質問に対して、政府は、個々の不法行為と損害の因果関係等の要因から個々の事案ごとに判断されるという見解を示されました。だとしますと、ケースによっては政府の共同責任が問われる場合もあると理解してよろしゅうございますか。国土交通省。
  84. 中山寛治

    政府参考人中山寛治君) 共同不法行為につきましては、質問主意書に対する答弁で申したとおりでございまして、民法第七百十九条の共同不法行為の責任の成否につきましては、個々の不法行為と損害との因果関係その他の要因から個々の事案ごとに判断されるものというふうに考えております。
  85. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ですから、事案ごとに判断されるということは、そのケースによっては、例えば共同責任が問われるような事案もあり得るというふうに理解してよろしゅうございますか。
  86. 中山寛治

    政府参考人中山寛治君) 今答弁申し上げたとおりでございます。
  87. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 どういうことですか、今答弁
  88. 中山寛治

    政府参考人中山寛治君) 個々の事案ごとに判断されて政府責任が問われることもあり得るということでございます。
  89. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今おっしゃったのは、政府責任も問われることがあり得るということですね。
  90. 中山寛治

    政府参考人中山寛治君) 個々の事案で判断された結果、そういうことはあり得るというふうに思います。
  91. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 はい、分かりました。  外務大臣にお伺いいたします。  先日、十八日の外交防衛委員会でこの問題を取り上げた際、外務省としては協議は鋭意行っているが、協議内容については先方との関係もあり、答弁は差し控えさせていただきたいとのことでございました。  しかしながら、この種の違法行為についての話合いの内容を明らかにできないというのは理解に苦しむわけですが、なぜですか。違法行為の内容について、話合いの内容について明らかにできないという、それはどういう法的な根拠に基づいてそういうふうになっているんですか。
  92. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) この件につきましては、この前も御答弁申し上げましたように、現在いろいろな場で日米の間で協議を行っているということでございます。  これは、違法行為云々ということ以前の問題として、まず地位協定の運用の問題であると。これは十条三項におきまして、日本国民に適用される条件と同一の条件で取得するナンバープレートを付けていなければならないということがこの軍人軍属、それから家族の私有車両の登録について要件とされておりますので、この十条三項の適用と、具体的適用という観点から日米で協議を行っているということでございまして、地位協定の運用についての協議ということで、日米政府間の協議でございますので、米側との信頼関係ということもございまして、協議中のことについては従来からその内容の詳細については御答弁を申し上げていないということでございます。
  93. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 しかし、今さっきの国土交通省の、あるいは警察のお話によりますと、明らかに違法行為だということが分かっていながら、そのことについて協議をしておられるということが、これまで違法行為をずっと認めてこられたということになりませんか、結果として。  せんだっても申し上げましたが、これはもう数年前からの問題になっているわけですよ。そういう明らかに政府内部でもこれは違法行為だとされている問題について外務省がきちっと対応しないということになりますと、だからこそ地位協定を改定してほしいという全県的な動き、あるいは全国的な動きになっているのではないんですか。
  94. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) 先ほども申し上げましたように、これは協議を続行しているわけでございまして、協議を言わば断念したことによって先方の主張を認めるというようなことではないわけでございますから、米側の行っていることは適切ではないという我々の立場を米側に理解してもらうということで主張し続けているということでございます。  これは従来から、先ほど大田委員がおっしゃいましたように、日本の国内でも取扱いが必ずしも一致していなかったということもございますので、従来のやり方を変えるということがという側面があるものですから、これは米側にもきちっと理解をしてもらって行わないとその円滑な執行ができないという観点から、米側と協議を行ってその理解を求めているということでございます。
  95. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 じゃ、もう端的に伺いますが、アメリカ側はこれが違法行為だということは御存じですか。
  96. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) これは繰り返しになって恐縮でございますけれども、米側がどのような主張をしているかということにつきましては、現在協議中でございますので、答弁は差し控えさせていただきます。
  97. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 こういうことをしますと、基地、安保条約は何のためにあるのかと。国内、国民の平和と安全を守るというようなことを言いながら、そのために安保条約を結んでいると言いながら、一体沖縄はどう、沖縄の人たちは何だとお考えですか。  安保条約、安保条約国民の平和と安全を守ると言いながら、明らかに違法行為だということを分かっていながら、それに対してきちっとアメリカに発言できないということは、もう到底理解できないんですがね。どうしてそういうことになるんですか。
  98. 山本一太

    委員長山本一太君) ほぼ時間が来ていますから、簡潔に御答弁お願いします。
  99. 海老原紳

    政府参考人海老原紳君) これは別に沖縄だけの問題ではございませんで、地位協定の運用が適切ではないという立場から米側に強く主張をして、その是正を求めているということでございます。
  100. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  101. 山本一太

    委員長山本一太君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会