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2004-05-11 第159回国会 参議院 外交防衛委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      小泉 顕雄君     阿部 正俊君      渡辺 孝男君     荒木 清寛君  四月二十八日     辞任         補欠選任      有村 治子君     桜井  新君      西銘順志郎君     月原 茂皓君      野上浩太郎君     矢野 哲朗君  五月十一日     辞任         補欠選任      月原 茂皓君     小林  温君      荒木 清寛君     松 あきら君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         山本 一太君     理 事                 舛添 要一君                 齋藤  勁君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 阿部 正俊君                 荒井 正吾君                 河本 英典君                 小林  温君                 桜井  新君                 中島 啓雄君                 矢野 哲朗君                 岩本  司君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 田村 秀昭君                 若林 秀樹君                 松 あきら君                 吉岡 吉典君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    副大臣        防衛庁長官   浜田 靖一君        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        外務大臣政務官  荒井 正吾君    事務局側        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        総務省自治税務        局長       板倉 敏和君        外務大臣官房審        議官       門司健次郎君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部長     石川  薫君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省中東アフ        リカ局長     堂道 秀明君        外務省経済局長 佐々江賢一郎君        外務省経済協力        局長       古田  肇君        国土交通省総合        政策局次長    藤井 章治君        国土交通省自動        車交通局技術安        全部長      中山 寛治君        国土交通省海事        局次長      馬場 耕一君        環境省環境管理        局長       西尾 哲茂君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○地中海漁業一般委員会に関する協定改正の受  諾について承認を求めるの件(内閣提出) ○千九百九十二年の油による汚染損害補償のた  めの国際基金設立に関する国際条約の二千三  年の議定書締結について承認を求めるの件(  内閣提出) ○千九百七十三年の船舶による汚染防止のため  の国際条約に関する千九百七十八年の議定書に  よって修正された同条約改正する千九百九十  七年の議定書締結について承認を求めるの件  (内閣提出)     ─────────────
  2. 山本一太

    委員長山本一太君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る四月二十七日、小泉顕雄君及び渡辺孝男君が委員辞任され、その補欠として阿部正俊君及び荒木清寛君が選任されました。  また、去る二十八日、西銘順志郎君、野上浩太郎君及び有村治子君が委員辞任され、その補欠として月原茂皓君、矢野哲朗君及び桜井新君がそれぞれ選任されました。     ─────────────
  3. 山本一太

  4. 山本一太

    委員長山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 山本一太

    委員長山本一太君) 地中海漁業一般委員会に関する協定改正の受諾について承認を求めるの件、千九百九十二年の油による汚染損害補償のための国際基金設立に関する国際条約の二千三年の議定書締結について承認を求めるの件及び千九百七十三年の船舶による汚染防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書によって修正された同条約改正する千九百九十七年の議定書締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。  三件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 岩本司

    岩本司君 おはようございます。民主党・新緑風会の岩本司でございます。国民皆様方に分かりやすい質問をさせていただきますので、分かりやすい御答弁、よろしくお願いいたします。  これ、通告されている順番がちょっと変わりますので、二番目に通告させていただいた質問をさせていただきます、そこから。  まず、地中海漁業一般委員会協定改正、また船舶汚染防止国際条約の一九九七年議定書、この議定書もそうなんですが、国会提出に六年以上時間を要することになったのはなぜか、この経緯をお示しいただきたいというふうに思います。
  7. 門司健次郎

    政府参考人門司健次郎君) お答えいたします。  地中海漁業一般協定委員会でございますけれども、九五年からマグロ類資源管理に着手いたしました。日本はこのマグロ資源管理を重視しておりますから、九七年六月にこの地中海漁業一般委員会協定締結しております。この協定締結当時、委員会において自主的予算導入のための議論がございましたけれども、その改正を待つのではなくて、早期に締結を決意した次第でございます。  その後、改正が行われましたけれども、この改正につきましては、まず委員会活動状況を見極める必要があったということ、それから、採択後二年間の間、実は締約国というものが受諾しておりませんでした。それから、実際に導入される自主的予算についての具体的な議論がなかなか進まなかったと、こういう事情でこれまでこの改正を受諾してきませんでした。  しかし、この間、だんだん自主的予算の中身が具体化してきたこと、またさらに、昨年になって改正発効に必要な締約国の数が近づいたということ、そういうことも踏まえまして、我が国としても、新たな自主的予算の下での一般委員会活動貢献し、マグロ類の適切な管理に関与する必要があると判断して、今回、改正を受諾するということを決定した次第でございます。この地中海漁業一般委員会改正につきましては、締約発効要件が満たされまして、本年の四月二十九日に発効したということが指摘されます。  それから、船舶汚染防止条約の九七年議定書の方でございますけれども、実はこの議定書作成過程において、エンジンの構造や窒素酸化物排出に関する知見あるいは技術的な情報を提供するとともに、窒素酸化物排出規制値あるいはその確認方法を提案して、国際海事機関における議論我が国としてはリードしてきたところです。  この議定書に基づく規制の具体的な方法あるいは基準の細則につきましては、議定書採択の後に、IMO、国際海事機関において検討が進められました。そして、我が国としても、こうした規制の技術的詳細について議定書国内的実施を確保する観点から十分検討する必要があったという経緯がございます。また、国内関連業界のこの受入れ体制についても検討を行う必要がございました。  九七年の議定書ですが、九七年以降昨年までの間に、順次、国際海事機関において技術的詳細を定める関連決議文書採択されました。我が国としてはこれらについても技術的検討を行い、これと並行して、国内関連業界を始め関係各方面とも国内実施体制整備等を進めてまいったところでございます。  今般、この議定書国内実施を確保できるという見通しとなったことから、この締結につきこの国会承認お願いしている次第でございます。
  8. 岩本司

    岩本司君 そういう理由で六年掛かったということでございますね。  今回の改正の基となっております地中海漁業一般委員会協定ですけれども、これ、一九四九年に作成されておりますけれども、我が国がこの協定締結したのは協定作成から四十年以上も経過した一九九七年六月になってからですけれども、この四十年、なぜ四十年掛かったんですか。
  9. 門司健次郎

    政府参考人門司健次郎君) 我が国地中海においてマグロの操業を行っております。この協定の、九七年、締結した九七年より前から、地中海を含む大西洋マグロ類対象としたものとしては大西洋まぐろ類保存国際委員会というものがございます。通常ICCATと呼ばれておりますが、これに加入して地中海マグロ資源管理に積極的に参加してまいりました。  この地中海漁業一般協定ですけれども、従来はマグロ類対象としてはおりませんでした。したがって、この地中海の方には日本オブザーバーとして入って、しかし地中海におけるマグロの方は別の大西洋まぐろという委員会の方で管理をしてきたところでございます。しかし、この地中海漁業一般委員会が九五年に地中海におけるマグロ資源管理についても自らの活動を強化するということを決定いたしまして、ICCATと呼ばれる大西洋まぐろ委員会と共同して、協力して、ICCATと同様の資源管理措置採択し、マグロ類資源管理に参画し始めたという経緯がございます。  したがいまして、九五年以降、この地中海漁業一般委員会地中海においてもマグロ類資源管理に積極的に参加し始めたという状況にかんがみまして、日本としても、ICCATのみだけではなく地中海漁業一般委員会にも加盟することが適当と考えて、九七年に、正に作成上四十年以上経過しておりますけれども、九七年にこの協定締結したという経緯がございます。
  10. 岩本司

    岩本司君 これ、四十年さかのぼってということなんですけれども、さかのぼって日本政府側に何か要求されたこととかございますですか。
  11. 門司健次郎

    政府参考人門司健次郎君) 日本としては、この協定参加した時点から正に活動参加するということでございます。その前はオブザーバーとしての参加でございました。  実は、この協定はこれまでも自主的な予算を持っておりませんでしたので、財源というものはFAO、国連の食糧農業機関の枠内で行っておる、あるいは各国の任意拠出に基づいておるということで、日本としては、その時点では例えば財政的にも貢献というものはございませんでした。今回、自主的な財源が設定されますれば、この下で分担金を支払うという形で参加していくことになります。
  12. 岩本司

    岩本司君 分担金の具体的な金額、今、僕は通告していませんけれども、御答弁できますか。
  13. 門司健次郎

    政府参考人門司健次郎君) 全体で七十五万ドルということになっておりますが、いろんな分担率算定法ございますが、それを適用しますと、日本分担率は約一〇%になります。したがいまして、七万五千ドル、日本円にしまして八百数十万円という規模でございます。
  14. 岩本司

    岩本司君 ありがとうございます。  外務省は今年の八月の機構改革条約局国際法局に改組するとされていますけれども、具体的に、いろんな大変なことがあるとは思うんですけれども、条約局国際法局に変えることでどのように変わっていくんですか。どう良くなるのか。御答弁お願いします。
  15. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国際社会動きを見ていただきますと、これは、政治でも経済でも社会面でも今グローバル化が進んで、またそういったことを可能にする技術進歩もあって相互依存が進むという状況になっていて、やはり国際的な新しい枠組みを国際社会で作っていこうという動きが非常にあると思います。環境分野にしてもそうですし、それから例えばテロ対策という分野でもそうですし、そういった分野で新しい国際社会ルールを作っていくときに、それぞれの国はできるだけ自分の国に有利なように自分の国の制度に引き付けて制度を作りたいというふうに考えていくわけで、したがって国際社会ルール作りということは非常に重要な分野、もちろんそれに積極的に貢献することが国際貢献であるということでありますけれども、内容をどういうふうにするかということが重要だと思っています。そういう意味で、我が国がそれに貢献をする、すなわちいろいろな異なった分野での専門家、これを育てていくということが我が国にとっては重要だというふうに考えております。  今までの条約局、そういう意味専門家を育てるということが一つの大きな目的であって、今までの条約局は二国間の条約かマルチの条約かという分け方を考えていたわけですけれども、機構改革後は、それぞれの分野専門分野政治面ですとか経済ですとか、そういった分野に分けてできるだけ専門家を育てていき、その専門家国際社会におけるルール作りの場で活躍をしてもらおうと、そういうことの発想をしているわけです。  それから、併せて、今例えばFTA交渉なんかでもやっていますけれども、民間の専門家方々にも外務省の職員になっていただいて、実際に交渉の現場で持っている知見を、識見を生かしていただくということも考えておりまして、それも現にFTA交渉等の場でもお願いをいたしているわけです。そういった形で専門家をつくっていく、それぞれの分野に強い専門家を育てていくということが一つの大きな目的であるということでございます。
  16. 岩本司

    岩本司君 国民皆さんに分かりやすく具体的に、例えば条約局国際法局にした場合に、例えばオフィスもちょっと移動するとか、例えば人数も増えるとか、それに伴って人件費も増えるわけですから、その辺はちょっとできれば確認させていただきたいんですが。  済みません、これ通告していないんですけれども、分かる範囲で結構でございます。
  17. 門司健次郎

    政府参考人門司健次郎君) 八月以降の新しい体制でございますけれども、現在のところは恐らくオフィスは今のところで、実は今FTAなんかも従来の体制から新しい体制にちょっと前取りするような形で移行しておりますので、それは今の体制がかなり続いていくと思います。それから、人員につきましては、新しい国際法局になることもございますけれども、FTA交渉もいろんな国と進んでおりますので、できればもっと強化していきたいということは考えております。
  18. 岩本司

    岩本司君 ありがとうございます。  次に、地中海漁業一般委員会活動の概要、また我が国の参画についてお伺いしたいんですけれども、これ一般委員会通常会合におきまして、クロマグロ漁獲量の制限また禁漁期などの保存管理勧告などを採択していると承知しておりますけれども、このような地中海漁業一般委員会活動の中で我が国はどのように参画しているのか、またこの委員会クロマグロ保存管理について大西洋まぐろ類保存管理委員会と協力していると承知していますけれども、これも併せて状況を明らかにしていただきたいというふうに思います。
  19. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) お答えいたします。  まず、我が国のこの一般委員会活動でございますけれども、我が国は従来、海洋生物資源と申すものは科学的根拠に基づいて適切に管理すべきだと、こういう考え方に立脚しましてこの一般委員会における保存管理にも積極的に参加をしてきているわけでございます。このような積極的な参加を行うことによって我が国漁業の発展、それから水産物の安定的な供給の確保に資するというふうに考えております。  御指摘のこの大西洋まぐろ類保存委員会ICCATでございますが、これにつきましては、地中海を含みまして大西洋でのマグロ類保存管理を図っているわけでございますけれども、例えばこの大西洋まぐろ類保存委員会地中海クロマグロについて勧告をしております保存管理措置がございます。これは例えば小型クロマグロ漁獲削減目的とする行動計画を含むものでございますけれども、こういう措置につきましてはこの一般委員会においても採用してきておりまして、こういうような活動我が国も積極的に参加をしておるということでございます。  他方、このICCATとの関係では、構成国が違うということが非常に重要でございます。この一般委員会構成国の二十四か国のうち十四か国がICCATに加盟していないということでございますので、我が国としては、この地中海沿岸国参加しておりますこの委員会を引き続きICCAT措置と矛盾しないように確保していく必要があるということが重要と考えておりまして、その意味でもこのICCATとこの一般委員会双方我が国が積極的に活動していくことによって我が国の利益を確保していくという考えでやっておるところでございます。
  20. 岩本司

    岩本司君 我が国はこの本協定締結国との間で水産分野技術協力や援助なども行っているというふうに承知しておりますけれども、先ほどの御答弁の中で、まだマグロが大きくなる前に捕まえるのを、何と言うんですか、制限していくというようなことをおっしゃっていますし、日本もそれに協力していくと。  現在、日本商社が、何といいますか、介在しております蓄養ですね、もう既に日本商社が先にマグロが大きくなる前に捕まえて、そのクロマグロを捕らえて、やせたというか小さい、それに生けすでイカやイワシを与えて太らせて大きくして日本輸入していくと。こういう日本向けに空輸するといいますか、そういう問題に関して日本も協力していくという、そういう認識でよろしいですか。
  21. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) 先生のおっしゃられたとおりでございます。  近年にこの地中海クロマグロ蓄養事業が盛んに行われているということで、小型の魚の過剰な漁獲、それから蓄養場に搬入される量が不明確であると、こういったようなことで懸念が表明されることは事実でありまして、こういう状況の下で、これは昨年でございますけれども、これは日本が主導したわけでございますが、特に蓄養事業に関しまして正規登録制度を導入することを提案してこれが採択されたということでございます。  この制度の下では、あらかじめ正規に登録されていない蓄養場からのクロマグロ輸入を認めないということで、正規に登録された蓄養場でしっかりと管理をすると、こういう制度でございまして、こういう制度日本も大いに主導して積極的にこの管理貢献をしているということでございまして、この点につきましては、この趣旨水産庁を通じて我が国関係業界にも指導を徹底をしておるということでございます。
  22. 岩本司

    岩本司君 この方向で進んでいきますと、これ日本商社や、もちろん日本国民皆さんも、将来的には結構困っていく方向になるんではないかという、そういう心配もあるんですけれども、ちょっとその辺のところをもう少し、商社の御意見ももちろん聞かれているでしょうから、併せてちょっと御説明いただければと思います。もう少し詳しく。
  23. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) 日本商社も含めまして、欧州から蓄養場からこのクロマグロ輸入が盛んになっているということでございます。この点につきまして、一方で、我が国クロマグロ、特に刺身の需要が非常に日本では高いということでありまして、このニーズにこたえるという要請にこたえなきゃいけないわけでございますが、他方で、これが余りに小型マグロから大きなマグロに成長させるということになりますと小型マグロの乱獲につながりかねないということで、そのところの管理をきっちりすると。その管理ができないようなところからの輸入は禁止するということで、言わばニーズ管理必要性消費者ニーズ管理必要性とのバランスを取りながらやっていくというのがこの趣旨でございまして、そういう意味ではこの商社の方にもこれをこの規則に従って適時適切に対応してもらいたいということをお願いをしているというふうに承知をしております。
  24. 岩本司

    岩本司君 ですから、国から商社お願いするのもそれはもう当然のことですけれども、商社の、商社中心じゃないんですけれども、そういう企業方々の御意見もお伺いしてやはり交渉していかなきゃいけないと思うんですけれども、お願いして、はい分かりましたとおっしゃっているわけですか、日本企業は。
  25. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) これはむしろ水産庁関係当局の方にむしろお答えいただくのが適当だと私は思いますけれども、少なくとも私が理解しているところでは、こういう規則になっておると、それについてお話をして理解を得ているというふうに聞いております。
  26. 岩本司

    岩本司君 それと、先ほど、刺身をよく日本は食べるとおっしゃっていましたけれども、全世界で百五十万トンのマグロ類漁獲されまして、そのうちの六十五万トンを日本で消費しているんですね。その四十五万トンが刺身と。缶詰マグロの大体十倍から三十倍の高額で取引をされているわけですけれども、確かに日本国民マグロが好きだからと、それだけで金額が十倍、二十倍、三十倍と跳ね上がっているとは思いませんけれども、缶詰マグロの場合は一回工場で小さく切って缶詰にする、その過程経費が掛かるんですよ、よく考えてみると。そうすると、日本の常識は世界の非常識、その逆もよく言われますけれども、缶詰マグロの方が何か一般的にはお金が掛かりそうで、缶詰マグロの方が本当は高い値段で、何というんですか、売られてもしようがないんじゃないかなとは思うんですけれども、それが逆になっているんですね、缶詰マグロよりも高いと。  確かに、マグロを取った後にその船の中で冷凍したりそういう経費は掛かると思いますけれども、この十倍から三十倍の高額と、これ日本だけですからね。ほかの魚の種類で、この魚は、例えばほかの、国の名前は言えませんけれども、この国は何十倍の、一般値段よりも三十倍の値段で取引されるというようなことが一般的にそれ通っているのかどうか、その辺も、ちょっとこれ大臣お答えいただいてよろしいですか、分かる範囲で結構ですから。補足はあの方でいいですけれどもね。
  27. 川口順子

    国務大臣川口順子君) その分野については私は全くど素人でございまして、主婦の感覚で申し上げますと、缶詰を作るのにも確かにコストは掛かるんでしょうけれども、お刺身で食べるマグロの鮮度の維持、冷凍倉庫の費用、そういったことがありますから、どちらが低く本来あるべきかというのはきちんとやっぱり数字を見てみないと分からないのではないかという感じがいたしております。  それから、日本においてほかの国よりも高いかどうか、私はちょっと比べたことが直接的にはございませんけれども、一般的に日本の食料品の物価は、例えば私が前に住んだ米国等と比べて高いということは多かったように思いますけれども、物の値段というのは私は非常に正直なものだと思っておりまして、品質それからすなわち鮮度等々にかなり物の値段というのは正直に反映をされている。そのマーケットが完全に動いているわけなんで、そう変な値段が付いて物が売られるということはないんじゃないかなと漠然と思っております。
  28. 岩本司

    岩本司君 いや、私がなぜ大臣に御質問をさせていただくかといいますと、元民間企業の役員をされていましたし、もし私がその会社の部下で、上司だったら、当然こういう議論になるんですよ。ですから、その缶詰マグロの十倍から三十倍の取引されているんだったら、それおかしいじゃないかと、過程、生産過程も含めてですね、コストはそっちの方が掛かるんじゃないかと、それ僕、単純に、素朴に質問をさせていただいているんですけれども。分かりました。  また、このマグロだけではなくて、そこの日本のタコはモロッコからほとんど輸入しているんですけれども、このモロッコの漁民の方々がもう今失業中ですよね、副大臣うなずいていらっしゃいますけれども。これ通告していませんけれども、このマグロだけじゃなくて、モロッコのようにほかの国で日本が迷惑を掛けているというか、タコのほとんどを日本輸入していて、タコがいなくなってモロッコの漁民の方々が今困っているわけですね。そういう例がほかにもあるのか、これ大臣お答えできますでしょうかね。深刻な問題になっている国。
  29. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 事実関係については存じません。存じませんが、私は、日本のその漁業あるいは環境一般についても同じ考え方ですけれども、やっぱり持続的な、持続可能な利用ということは基本にあると思っています。そのように行われているというふうに考えていまして、モロッコの例のように資源が守られないような形で捕獲されているということが事実であれば、もし事実であれば、我が国としてはそれなりの手を打っているんではないかなと。そうでなければ全員が困ってしまう、我が国も困るわけですから、おのずとそういうことをやっているのではないかと推測をいたしますが、事実関係は存じません。
  30. 岩本司

    岩本司君 どなたかお答えできる方いらっしゃいますか、外務省で。
  31. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) 申し訳ございません。今の委員のこの事実の詳細については手元に資料がございません。また機会を見て勉強してお答えをしたいと思います。  なお、モロッコにつきましては、零細の漁村の振興のために経済協力を行っているということで、約二・一九億円の協力を実施しているということは、別途御参考までにお答えしたいと思います。
  32. 岩本司

    岩本司君 要は、モロッコで今これ深刻な問題になっているわけですから、その問題に対して政府として補償金を出したという確認でよろしいですか。
  33. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) これは補償金ではなくて、零細漁村振興のための協力という性格のものでございます。
  34. 岩本司

    岩本司君 はい、ありがとうございます。  次に、もう時間がなくなってきたんで次に進みますけれども、油汚染の損害補償国際基金設立条約二〇〇三年議定書についてお伺いしますけれども、その中で、追加基金の設立経緯についてお伺いします。  これは、油汚染事故、油濁汚染事故で補償基金が発動された具体的なケースにはどのような事例があるのか。例えば、一九九七年の島根県から秋田県にかけて日本海沖で油濁被害が発生しましたナホトカ号事故、これ補償はどのように行われたのか、お示しいただきたいと思います。
  35. 石川薫

    政府参考人石川薫君) お答え申し上げます。  今、御指摘いただきました一九九七年一月に日本海で発生しましたロシア籍のタンカー、ナホトカ号の事故でございますけれども、被害総額約二百六十一億円のうち基金から百五十一億円の補償が行われております。
  36. 岩本司

    岩本司君 また、一九九九年のフランス西部のブルターニュ沖で、これも莫大な油濁被害をもたらしましたエリカ号事故が発生したんですけれども、補償のこの限度額が三百二十五億円と、これ一・五倍に引き上げられている改正が行われております。これ昨年の改正にもかかわらず、今回は追加基金で、新たな追加基金を設立しまして、その補償の限度額を一千二百億円と、これ二百十六億円から三百二十五億円に一・五倍に引き上げておいて、また、それ昨年ですよね、それでもう新たに追加基金を設立して一千二百億円にこれ大幅に引き上げると。これ、この経緯をもう少し分かりやすく御説明いただきたいと思います。
  37. 石川薫

    政府参考人石川薫君) 今、委員の御質問についてお答えを申し上げます前に、先ほど一言申し忘れましたので、大変失礼でございますけれども。ナホトカ号につきまして基金から百五十一億円の補償と申しましたが、このほかに船舶所有者側から百十億円の賠償がなされておるということを補足させていただきます。大変失礼をいたしました。  さて、御質問いただきましたエリカ号事故を受けた増額、さらに今回の千二百億円の大幅な引上げの経緯でございますけれども、委員御指摘のとおり、ナホトカ号事故やエリカ号事故等、近年の油汚染事故というのは大変大規模化そして深刻化しておるという一般的背景がございます。他方におきまして、九二年基金自体の補償限度額を大幅に引き上げることにつきましては、例えば油の受取量が少ない途上国のような締約国にございましては、自国領域内で大規模な油汚染事故が発生する可能性が相対的に低いにもかかわらず、自国の拠出者による基金への拠出負担が急増するとの懸念もあり得たと、こういうことが交渉過程でございました。  こういうことにかんがみまして、すべての締約国関係する九二年基金の補償限度額につきましては、その基金条約内に定めております手続による引上げの範囲内、そういったものにとどめて、一・五倍というところで抑えました。他方におきまして、油汚染損害の被害者に対するより手厚い補償を希望する国が参加し得る追加基金、こういったものを創設するためにこの議定書作成作業が併せて開始されたものでございます。  なお、千二百億円という数、数字でございますけれども、この議定書作成作業中も、二〇〇二年十一月にスペイン沖におきまして未曾有の被害をもたらしましたプレスティージ号事故が発生いたしまして、補償の充実についての検討が加速されて追加基金の補償限度額が約千二百億円とするこの議定書になったと、かような経緯がございます。
  38. 岩本司

    岩本司君 これ、アメリカ合衆国は独自の油濁法を制定しているんですね。一九八九年のアラスカ沖で起きましたエクソン・バルディーズ号事故の被害額にこれ、その当時の賠償補償制度を不十分としてもう独自で制定しているんです。独自でアメリカが制定した金額というのが大体十億ドルですから、十億ドルですから、何かアメリカ合衆国が中心になってこの追加基金の設立というのができていたようにも思えるんですけれども、その辺はいかがですか。
  39. 石川薫

    政府参考人石川薫君) 御指摘のとおり、アメリカはこのアラスカでの事故を踏まえまして、油による汚染損害についての責任及び賠償等についての連邦法、これを略してOPA九〇年法と言っておりますけれども、これを九〇年に制定いたしまして、これは輸入の油それから国内産の油への課税によって賄われる油濁責任信託基金を設立して、その信託基金による一事故当たりの補償の制限額を十億ドル、これは約千百億円でございましょうが、とする独自の制度を有しております。  その意味では、今回の議定書によってアメリカの補償制度の限度額に追い付いたという、言葉の適否、お許しいただきたいと存じますけれども、追い付いたという面があるのかなと、かように認識しております。
  40. 岩本司

    岩本司君 アメリカに追い付いた、そういう御答弁ですけれども、EUは納得しているわけですか。
  41. 石川薫

    政府参考人石川薫君) はい、EUもEU指令を出しまして、今回の議定書を各EUメンバー国が早期に加入するようにということを申しております。
  42. 岩本司

    岩本司君 納得しているかどうかでよろしくお願いします。そういう議論、EU側から、何というんですか、その批判的な御意見が出ていないのかどうか。
  43. 石川薫

    政府参考人石川薫君) 現時点ではEU、納得しているというのが私の理解でございます。
  44. 岩本司

    岩本司君 ありがとうございます。  これ、日本の拠出割合増の見込みですけれども、これは追加基金が補償するための財源ですが、石油輸入業者がその石油輸入量に比例して支払うことになるんですけれども、これ我が国の石油輸入業者に大きな負担が強いられることに確かになるんですね。これまで負担割合が半々でありました船主と石油輸入業者の間に不公平感が生じることにならないのか。これは船主側の言い分もあるでしょうし、石油輸入業者の言い分もあるでしょうし、その辺の、役所にいろいろ問い合わせといいますか声が上がってくると思うんですけれども、その辺のところの御説明お願いいたします。
  45. 馬場耕一

    政府参考人馬場耕一君) 国土交通省でございますが、私の方からお答えを申し上げます。  タンカーによります油濁損害事故につきましては、まず船主が船舶のトン数に応じて一定の責任限度額までは無過失責任に近い厳格責任の下で被害者に対する損害賠償責任を負うことになっており、それを超える損害額につきましては石油受取人による拠出金を財源とする国際油濁基金により補償が行われる仕組みとなっております。したがいまして、油濁損害の賠償補償に係ります船主と石油受取人の間の負担割合が事故ごとに常に半々ということはございません。  今回の追加基金は、御指摘のとおりすべて石油受取人によります拠出金を財源としていることから、船主と石油受取人との間に不公平感をめぐる議論が国際油濁基金の場において行われたところでございます。  その議論の中では、昨年、船主責任限度額の引上げを行ったところであり、更なる船主の責任限度額の引上げに反対する国も多い一方で、ナホトカ号やエリカ号事件を経験した我が国や欧州諸国は、二〇〇二年の十一月に発生いたしましたプレスティージ号事故のような巨大な油濁事故によります被害者に対する補償の充実が速やかに行われることが重要であると、またそういうスキームの構築が必要であると考えまして、その結果、石油受取人のみが負担する形での議定書の策定がまとまったところでございます。なお、我が国の石油業界なども、我が国の被害者に対する補償リスクを他の外国の拠出者と分担できる国際的な追加基金への参加については十分なメリットがあると考え、理解を示しているところでございます。  他方船舶所有者と石油受取人の負担の在り方につきましては、国際油濁基金として引き続き検討を行うことが決定されております。具体的には、ワーキンググループを設けまして検討することとなっており、現在、国際油濁基金の事務局におきまして、過去の油濁損害事故に係ります船舶所有者と石油受取人の負担の実態の調査が今行われているところでございます。  以上でございます。
  46. 岩本司

    岩本司君 ありがとうございました。  私の方からは終わります。
  47. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 引き続いて私から、防衛庁長官川口外務大臣にお尋ねしたいと思います。  今、率直に言いまして永田町はもう大変な大騒ぎでありまして、未納三兄弟だけの問題かと思ったら、そうじゃなくて、官房長官それから我が党の菅代表もそういう問題に巻き込まれて、一体どういうことになるのかと国民は興味津々と眺め、永田町方向を向いてにやにや笑いながら眺めている状況で、さるマスコミの関係者によると、未納三兄弟、そんなものじゃないんですよと、未納五十兄弟と。うそか本当か分かりません、五人に一人はとなるとこれは百兄弟にもなる、なりかねないことなんでね、いささか問題だなと。しかし、それはまあ別にこの委員会とは関係ございませんのでね、一つの。  そのほかに、国際的には、アメリカ軍のイラク捕虜の虐待問題、それが大変な今世界的な問題にもなっておって、捕虜を裸にして首に縄を巻いて、そしてアメリカ軍の兵士が引き回すと、それからむちでたたいてみたり、もうやりたい放題のことをやっていると。ブッシュ大統領は誠に申し訳ないと、しかし、これ軍がやったことではないと言い逃れをしておりましたけれども、ラムズフェルド長官は、いや軍の問題だということをはっきり言っておりまして、もう少し事実関係を明らかにして、この問題もいずれ当委員会において私の考えも述べさせていただきたいと。  一言だけ申し上げますけれども、アメリカ軍というのは世界一規律がはっきりしている軍隊であったことは間違いないわけです。太平洋戦争のときに、我が日本軍が中国大陸で捕虜の虐殺、それから一般人の処刑、こういうことを平気でやっていた、この問題を取り上げたのがアメリカ、戦争後の話ではありますけれども、そして厳しい対応をしたと。あれを見ておって、私まだ子供でしたけれども、さすがアメリカは違うと、そういう感慨を持って見ておりましたが、どうもいささか世界の支配に慣れ切っちゃって、イラク人だとか日本人もそういう目で見られているかどうか、こんなものはもう人間じゃないという思いが彼らの間に浸透しつつあるのかどうなのか、もう少し国連その他できちっと議論をして、そして再発防止のために各国がアメリカに協力をして、やるべきことをやってほしいと、こういう考えを持っておりますが、それはまたいずれの機会といたします。  私は、この問題、こういう問題を離れて日中関係を取り上げてみたいと思います。  考えてみれば、中国問題というのは我が国にとって一番大変な問題なんですよね。イラクの問題、遠い遠い向こうの話ですけれども、中国というのは目と鼻の先におって、何かというと、やっぱり中国政府あるいは中国人が日本に対していろいろなことを申し入れてくると。それに対してどうこたえていくか。日中外交、大変重要な問題だというふうに考えているわけです。  そこで、日本と中国の間でいろんな問題が引き起こされておりますけれども、この前、実は先月の三日、四日、土曜、日曜ですか、そこにおられる外務大臣が中国訪問をしてこういう問題、いろんな問題について話し合ってきたということなので、その訪中の感想も、またどういう意見をお互いに述べ合って、どういう方向になったのか。とてもこれは解決は不可能だということであきらめちゃったのか、いや、もう何回もこれから会議をしてきちっとお互い理解し合うと、そういうことで手を打ったのか、本当にその外交の中身を話してもらえればと、こう思うわけであります。  外務省の官僚に聞きますと、それは外交上の秘密ですと楽しそうな顔をして答えるんですよね。あなた方に話すような問題ではないと、外交上の秘密ですよと。これは、十九世紀、二十世紀の初めごろならば、外交の秘密というのは一般市民が口を出すようなことではなかったわけですけれども、もはや二十一世紀、そんなことではないわけで、外交権の主体はだれか、言うまでもなく国民ですからね。国民の前にきちっとこういう問題を、こういう問題について今中国の関係者と議論をしておって我が方はこういう意見を述べておる、それに対して中国側の回答はこういうことだと、これでよろしゅうございますかと。それを聞いて国民は、いや、まだ不十分だと、もっとこういうことも突っ込んで議論してこいと、これが本当の民主主義国の議論、外交だと思うんでありまして、外交の、外交の秘密なんという言葉はもう使わないようにしてください。何でもかんでも話せと言っているわけじゃなくて、常識のある主権者である国民に対してどんなことを回答すべきかということを常に考えて行動もしていただきたいということです。よろしくお願いします。  そこで、中国の外交問題、今当面問題になっている三つ四つのことを取り上げて、この前中国に行かれた外務大臣のお考えも聞いておきたいと思います。  まず、尖閣列島問題なんですね、尖閣列島。あれは明治以来我が国固有の領土ということを、日本人はそう考えて処理してきましたし、もう明治のころに沖縄にも、沖縄県にもあそこは編入されておる。それから、日本の漁業基地として利用されていたわけでもあり、工場を建設する、それから居住施設も造る、そこで漁民が行ってあそこで活躍をしておる沖縄県の一部だったわけですよね。  ところが、三十年ほど前に、五十三年でしたかな、何か国連の調査団が石油の資源、石油資源を発見したということが報道をされるや途端に、中国と台湾が、これは我々の領土だと、こういうことを言い出しましてね、つい最近も中国人が何人かあそこに上陸をして我が国の司法官憲に逮捕されましたけれども、どういうわけかこれはすぐ釈放して、かほどさように中国との紛争は起こしたくないという政府の考えもよく分かりますけれども、国民から見ますと、一体何なんだと、日本の外交というのは中国のためにやっているのかと、こんな皮肉を言う人もおりまして、そして、そういうこともありまして四月の三日、四日の外務大臣の訪中と、こういうことにもなったんだろうかなと、こう思っております、おるわけですけれども。  その際に、当然尖閣列島の問題が取り上げられて、お互いいろんな議論を、それぞれの国の考えを述べる、これは当たり前のことですから別にどうだこうだというわけじゃなくて、我が国の主張、それに対する中国側の回答がどういうことだったのか。差し支えない限り話してもらえれば、それから両国の話合いに解決の道があるのか。これは未来永劫解決なんかないと、顔を合わせりゃすぐわあわあわあわあ議論をするだけだと、こういうことなのか、その辺のところを外務大臣、いかがでしょうかね。外交の秘密なんということを言わないで、きちっと述べて回答をしていただければと思います。
  48. 川口順子

    国務大臣川口順子君) まず、私の中国訪問でございますけれども、これが四月の三日、四日であったわけですが、だれとお会いをして全体としてどういう話をしたかということについては、これはきちんと外務省のホームページにも掲載をさせていただいております。秘密であるというふうには申し上げていないわけでございます。  これは、おっしゃったように、この訪問のその直前に尖閣列島、尖閣諸島に中国側の人たちが上陸をするという事件があったということですけれども、そういった日中間の問題があるときにこそ、ずっと今までハイレベルの率直な意見交換と交流ということが大事だということを言ってきているわけですけれども、正にそういうときこそハイレベルでの率直な意見交換というのが重要であると私は思いまして、現地で、温家宝総理を始め、李肇星外務大臣、それから唐家セン前外務大臣等々、率直な話をしてまいりました。それで、いろいろな話をしました中で尖閣諸島というのはその一つの話でございました。  それで、これは委員がよく御案内でいらっしゃいますように、尖閣諸島というのは我が国固有の領土である、これはもうおっしゃったとおりであります。歴史上も国際法上も疑いがないということでして、我が国は現に有効に支配もしているわけでございます。したがって、我が国としては、これは我が国の領土問題であるということは考えていない、領土問題ではないわけで、問題であります。  これについては、温家宝総理にも、それから李肇星外務大臣にも唐家セン前外務大臣にも、これについての我が国の立場、今申し上げたような我が国の立場ということはきちんと述べております。それに対しまして、先方からは、中国の立場、これは尖閣諸島とは呼ばないわけでございまして、魚釣島というのは我が国の呼称でございますが、中国側の呼称を使って、それが中国の領土であるということをそれぞれの方がおっしゃったということでございます。
  49. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 大変不思議なことなんですけれどもね、それだけの大問題について外務大臣がわざわざ訪中したと、さぞマスコミも大々的に報道して、日本皆さんと、読者諸君、こういう問題を今中国とやっておるんですよということを報道するかと思ったら、ほとんどマスコミの報道はなされていなかったんですよね。なぜだろうかと。イラク問題やら年金問題やら、わあわあ騒ぎ立てるような問題があった、そのためだろうかと思うんですけれども、それにしても扱いがほとんどなかった。  国民は、あれ、そんなことあったんですかと。外務大臣が訪中した、あ、そういえば新聞でちょっと見出しをどこかで見た記憶があるなと、それぐらいです。それから、ホームページを読みなさいといってもね、それほど暇のある人も余りいないものですから、外務省のホームページにこういうことが書いてあったなんということを言う人はたった一人も私耳にしておりません、よほどのものは別かもしれませんけれども。あれ何なんでしょうか。やっぱり政府として外務大臣がわざわざ多年の中国との問題を解決するために訪中したといえば、政府の発表をきちっとして、そして国民の関心をかき立てる、それも外務大臣の仕事の一つではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか、そういうことについては。
  50. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 中国は日本にとって最も重要な二国間関係を持つ国の一つであるということは日本はずっと言ってきているわけでして、中国にとってもそれは同様であります。  私が訪中をしましたのは、尖閣諸島の問題だけで行ったということではございませんが、話をしたその全般、これは非常に多くの問題を話をいたしましたけれども、それをフォローするということで東京からも新聞記者には大勢が行ってくださいましたし、現地の記者の取材もございました。記者会見、記者ブリーフ等もそれぞれの会合の後に行ってやっております。それなりに新聞には報道をされていたと私は認識をいたしておりますけれども、この中国と我が国関係について日本国民の方が、そして中国の国民の方が関心を持ってくださるということが重要でございますので、日本としても日中関係、これは日中関係にとどまるわけではありませんけれども、我が国とほかの国の外交関係については、引き続きできるだけ国民の方にお知らせをする努力を続けていきたいと思っています。
  51. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 せっかく行かれたんですから、もう本当に新聞に記者会見の際に大々的に取り上げてもらうような日中の一つの大変な問題になっている尖閣列島について、こういう意見の交換をした、解決の糸口も見えてきたと。石油の問題が一体どうなっているか分からないんですよ。これの報道がないわけですよね、国連は発見したというだけであって。その後の調査が一体行われているのか行われていないのか。一体、石油を発掘してどうしようとしているのか。日本だけでそれを使おうと、それならば中国だって対抗上、あそこは我々の領土だと、こう言うかもしれません。日中間がよく、台湾も入れて三者で話し合って、そして石油資源を発掘したら権限、利益もあなた方に分かち与えましょうよということぐらい日中間の問題解決の一つの手掛かりとして考えていいんじゃないかと、そういう感じもしておるわけであります。  それから、次の日中間の問題、大きい問題ですけれども、年中行事にはなっていますけれども、小泉首相の靖国神社公式参拝なんですよね。  あれは中国サイドに言わせると、靖国神社、あああの東条以下のA級戦犯を祭っているあの神社かと、あんなところに日本の総理が公式参拝すると、中国侵略の旗を振った連中を祭っているその神社に公式参拝する、とても許し難いことだと、そういう感覚にとらわれるのも無理からぬことだろうと私は思うわけであります。  しかし、靖国神社というのは戦前は国家の庇護の下に国家そのものだったと、こう言ってもいいわけです、戦死者を祭るということで。戦後は完全な民間の一神社になっているわけですよ。それだけの話なんですよね。A級戦犯を祭ったというのは昭和五十三年、神社の独自の判断で、政府から言われてじゃ東条英機以下お祭りしますよと、そんなことじゃないんであって、遺族会か何かから頼まれて、じゃしようがないから祭るかと、それぐらいの話であって、国家がそれに対してそんなことするなと、中国や韓国から文句が来るではないかといったら、これこそ憲法違反、宗教に対する国家権限の行使そのものということになる。  総理大臣が、自分はあの戦争で命を落とした人たちに対して西南戦役からのずっと戦争で死んだ人が祭ってあるわけですから、そういう人たちの霊にお祈りをしたい、参拝をしたいと。そして、総理大臣が役所の車使って行くのは当然でしょう。新宿辺りのバーに行くときも役所の車使うらしいから、靖国神社に行くのもこれまた当然で、それからおさい銭、どれぐらい上げるのか、千円か一万円か知りませんけれども、何百万というおさい銭を上げればそれは一体何だという批判が来るかもしれませんけれども、まあ普通の参拝をしているだけですから、中国が本当に誤解をしていることは間違いない。彼らに対して信仰の自由なんていうことを言っても分からないんじゃないでしょうかね。理解してもらえない。そこはどうするかというと、本当に信仰、日本は信仰の自由ということで宗教に対して国家権力が介入することは一切憲法上認められていないんですと。総理大臣が参拝していますけれども、あれは役人として行っているだけですから、あなた方がそんな騒ぐような問題じゃないんですと。もしそれでも疑問があるなら一度靖国神社に顔出してごらんなさい、よく分かるはずですよということできちっと韓国、中国に対して靖国神社の今日の在り方というのを政府は説明すべきではないのか、それもまた外務大臣の私仕事の一つだろうと、こういうふうに思っておりまして、今度の訪中でもやっぱり同じ問題が出たと思いますよね。  それに対してどういう議論の交換があって中国側はどの程度理解してくれたのか、その辺はいかがでしょうか。
  52. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 靖国神社参拝の問題につきましては、これまでも、そして私が参りましたときも、中国側から原則的な立場が述べられております。私は、これに対しましては、小泉総理は何を思って靖国に行っていらっしゃるか、すなわち、今日の日本の平和、そして繁栄、これが多くの戦没者の犠牲者、犠牲の上になっているんだということであり、今後も戦争のない日本の平和的な発展、これを願って行っていらっしゃるということを言いました。この点については中国側にきちんと認識をしてほしいということも言っております。  日本として、中国との関係というのは、先ほど申しましたように、最も重要な日中関係一つ、重要な二国間関係一つだというふうに考えているわけで、中国もそのように考えているというふうに思います。靖国の問題につきましては、これは繰り返し繰り返し我が国の考え方、これを中国に説明をし、認識をしてもらうということの努力を続けるということであろうかと思います。
  53. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 中国側に理解してもらうような見通しがあるのかないのか、その点はいかがですか。毎年毎年ああいう繰り返しがあって、公式参拝という言葉を日本のマスコミも平気で使うし、大変問題なんですよね。その辺を外務大臣としてどう考えておられますかな。
  54. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私は、日本の靖国神社参拝についての考え方を中国に認識してもらうことが重要であるということをずっと中国に対して言っているわけです。
  55. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 川口大臣は、率直に言いますと、議員の身分はお持ちでない。だからこそこういうことについて、政党の拘束にも縛られないで、自由な立場で自由な話ができると。中国の人にとっても分かりいいような話をしてこられたと思うんで、手掛かりの一歩ぐらいはつかめたんだろうと思います。これからもそういう線に沿って、これからもと言うとあと何年も外務大臣をお務めになるような、そんなこと言うとだれか怒る人もいるかもしれませんけれども、まあ頑張ってもらえればと、こう思います。  その次に、日中間の問題として、これもまた看過できないことなんですけれども、中国人犯罪の多発ですよね。しかも、非常に凶悪犯罪。数名の外国人、片言の日本語を話す外国人犯罪者がある民家に侵入して、寝ていた家族を縛り上げて、その中の一人、二人を出刃包丁の刃物で刺して、そして金品を奪ったと。毎日のように新聞が報道をしていますよね。  大体日本で起こる外国人犯罪の四割近くは中国人犯罪。しかも、今も言いましたとおり凶悪な犯罪を平気で犯しているのが中国人犯罪なんですよね。あんなことが日本に、日本人が中国に行って、あるいは韓国に行って年中行事のようにして凶悪犯罪を犯していたらもう大変な、ひょっとしたらもう紛争すら起きかねないような問題だろうと思うんです。  これは、中国政府に対して断固抗議をして、きちっと、おたくから来る人たちがこんなことをやっているのを御存じでしょうかということを中国の偉い人の耳に入れる、大変大事なことだろうと思うんですよ。このままで行ったら本当に中国、私の知り合いの中国人から何回も聞いたことあるんですけれども、田舎に住む中国人、おっ、すばらしいうちを建てたと。これは何だと。多分日本に行ったんだろうと。そうです、そうですと。何年かと。二年ぐらいでちょっと稼いできましたよと。どうやって稼いだかと。嫌な顔をしてそっぽ向いちゃう。あれは犯罪で稼いできた金に間違いありませんよと。それが今の中国の、中国人の間の一つの流行にもなっていると。  そういうことをはっきりと端的に中国の為政者にも話をして対策を中国自身としても考えてもらう。何か犯罪起こしたら捕まえて懲役十年ぐらいかと、すりゃいいやというのが日本の今の考え方ですけれども。そんなものじゃないのであって、日本に行って強盗をやって一稼ぎしようというやつが来たらどうするのかと。そういう者を来させないための対応はどこにあるのか。それも当然今回の訪中で議論になったかと思いますけれども、いかがですか。
  56. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃるように、これも日中間の大きな問題の一つでありまして、中国人の犯罪が、日本における犯罪が増えているということについては、前回も、それからその他の状況、その他の会談においても、これは問題を提起をいたしてきております。  それで、例えば前回ですと、李肇星外務大臣との話の中でこの話についてはかなり長い時間を使って話をいたしました。それで、これは日中の間での領事の間の協議ということも今やっているわけでございますけれども、この治安当局間の協力というのがこの刑事事件が増えているということについて行われていますし、また日中領事協定、これを結んでいくことが大事だということをこちらからも言いまして、李肇星外交部長の指導力が重要だということを言いました。これに対しましては先方からも領事協定ということは非常に重要なことであるというお話がございまして、それは日中両国にとって締結は有益なんだということでございました。今までも、例えば中国の側からは密輸、人の密輸ですね、密入国、日本への密入国、これについての取締りを強化をするというようなことも既にやってもらっているわけですけれども、かなり中国政府の上層部までこの問題について強い認識を持っているというふうに私は感じました。
  57. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 中国問題、最後になりますけれども、中国ODA、あれはもうやめられたらどうかと、やめるべきだと私はそう思っているわけです。今、年間九百億ぐらいですか。昨年から今年にかけて大分減らしたわけですけれども、なお九百億ぐらいの金が行っている。中国はそれを何に使っているかと。予算の使い道からあれこれ言うのも何ですけれども、ほとんど軍事費に回る。それから、有人宇宙衛星打ち上げまして成功しましたね。あれに掛かる経費だって多分これから出していると。本当にそういうことなんですよね。  それで、私、中国にも何回か行っていますけれども、最初行ったころは本当に、北京の大通り、あるいは南京、上海なんかも貧しい人がその辺でぶらぶら立ち話をして、たばこを吹かしてぱっと捨てたりしている、本当にどうしようもない国だなと、こういう考えがありましたら、その次行ったときは自転車が走り回っているわけですよ。徒歩の中国人が自転車を乗るようになったと。その次に行ったら、この自転車がバイクに様変わりして北京の大通りを走り回っているわけですよ。おやおやと思ったら、最近テレビで見たら、もうバイクもどこか行っちゃって自動車なんですよね。それも日本製あるいはアメリカ製のすばらしい外車が走り回っていると。これは、しかも経済大国に今徐々に徐々になりつつあると。これ事実ですよね。行ってみてこの目で確かめてみると、中国の経済の発展がどんなにすばらしいものかということがよく分かるわけです。  一方の我が大日本帝国はどうかと、こう言いますと、情けないことですけれどもホームレスが一杯おりまして、上野なんかに行ったらもう足の踏み場もないくらい青いテントが張ってあると。本当そうですよ。そのホームレスを抱えて、失業者を抱えて、経営や会社が倒産した、どうだこうだ、本当に困ってしまうと言っている国が、中国に対して、経済大国と言ってもいいぐらい成長した中国に対して、これ、どうか右や左のおだんな様、お使いくださいませと言ってお金を差し出している。立場が逆じゃないかと、こんな感じもしないわけじゃないんですよね。私、問題だと思う。  それから、中国はモンゴル始め周辺国あるいはアフリカ国に対しても、ODAというんでは、国家援助、支援をしているわけですよね。言葉はちょっと変な言い方に聞こえるかもしれませんけれども、あれ私がその辺で、右や左のおだんな様、お金くださいというやつに金をぽいとくれてやると。そうかと、困っているのか、それはそうだなと、ぽいとくれてやると。そしたらもらった者が辺りを見渡して自分よりも汚い服を着ている、おおっと呼んで、これは今だんなからもらった金だ、これおまえにくれてやると言ったら、これおかしいでしょう、そんなこと。それなら、私から金をもらった人が、これはあそこにいる私より困っている人に回してやってくださいと、私は何とか頑張りますからというのが筋道で、孔子、孟子の教えというのはそういうことでもあるわけですよね。  一体、人から金もらってそれをまた、それに見合うような金をよそに回してやっている中国政府の考え方、一体何だろうかと。もう思い切ってODAをやめてしまって、そして経済発展をお互いに支え合って頑張っていくと、これが日本と中国との本当の正常な国交関係だと、こう思うわけでありまして、何か中国の偉い人に言わせると、これは第二次大戦で太平洋戦争のときの賠償金を放棄したからその代わりだと、そんなばかなことないですよ。もう少し世の中の筋道ということを日本政府も中国人も考えて、そうして何と言われても恥ずかしくないような国の運営、国民に対して申し訳ないと思ってもらわないと、あなた方が本当に泣きの涙で納めてくれた税金、それをこういう理由でアフリカの本当に極貧国、生活に困っている人民を抱えているそういう国に回しておりますと、これは御了解くださいませというのが筋道だろうと思うんですけれども、アフリカに行きますと物すごい立派な学校やら病院が建っているんですよね、日本が建てた。だれもあんなもの、立派なもの使えないですよ、アフリカに。それが日本のODAの現実でありまして、中国ODAの在り方というのも真剣に考えてもらいたいと。  こういうことを閣議の際に、閣議で判こ押してああ忙しかったなと言っているだけじゃなしに、本当にフランクな立場で小泉さんを中心としてみんなで議論してもらって、ああそれはそうだなということで考えて、考え方をまとめていくというのも私、一つ政治の在り方だろうと思うんで、石破長官にもただぼうっと座っておられて大変申し訳なかったと思うので、今の点も踏まえまして外務大臣防衛庁長官から御意見を承りたいと、こう思います。
  58. 阿部正俊

    ○副大臣阿部正俊君) 大臣から後で補足あるかもしれませんけれども、たまたま私、四月末にESCAPの会合がございまして上海に行ってまいりましたので、先ほど佐藤先生から触れられたような印象といいましょうか、というものは確かにそのとおりでございまして、随分昔から比べますと本当に、むしろ自転車の時代から車の時代になったなと実感いたしました。ビルも高層ビルが乱立する状態ということでございますので、率直に申しましてODAとの関連等々もまあそういう感情も国民の中にあるということも事実でございます。  ただ、一方でせんだって併せて私、内陸部の行政を担当する者との会合が国内でございまして、会ったところでは、まだまだ貧しい状態というのもまた事実、一面の事実でございますので、そういう全体を考えていかなきゃいかぬのじゃないかなと、そんなふうに思っております。  まあODAにつきましては現大綱後の見直しをいたしまして、ただお金を上げるというふうな発想ではなくて一定の、ややどっちかというと戦略的な思想を入れてやっていくということでございますので、今のような感情もありますが、一面やはり隣国で日本との関係をどういうふうに構築していくのかということでのODAの在り方ということも、また考えなきゃいかぬことではないかなと思っています。  御指摘のようなことで、ODAの在り方については実際問題として既にもう九百六十七億円というふうなことで、数年の間に約五割も減にしておりますので、非常に制限的になっております。と同時に、今触れられましたように、ある種の軍事的なことに使われていないかということは、直接使われていることはございませんけれども、金に糸目はないということを考えますと、やはりODA大綱の精神でございます国際平和の追求あるいは非軍事というふうな面も考えまして、厳しい視点を持ってこれからも対応していくべき問題ではないかと、こんなふうな認識を持って帰ったところでございます。
  59. 山本一太

    委員長山本一太君) ほぼ時間ですので、短くお願いします。
  60. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 石破長官、大変失礼しました。今の問題について一言だけでも結構ですから、御意見を賜らばと思います。
  61. 山本一太

    委員長山本一太君) 簡潔に御答弁お願いします。
  62. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 認識は、今外務大臣あるいは副大臣からお述べになったとおりだと思います。大事なことは、私はやはり透明性というものだろうと思っています。  中国の軍事費につきましてはいろんな説があって、公表されているよりもはるかに多いという話もあります。私、中国を訪問しましたときも、また向こうから要人が来られますときも、とにかく透明性というものを高めていかなければ信頼関係は生まれない、こういうお話をいたしております。それが一点。  もう一つは、日本と中国、国の成り立ち、在り方が違いますが、日本はすべて、民主主義国であって、法律によってすべて動くということ、ですから、私どもの自衛隊の予算にいたしましても行動の法律にいたしましても、国会における御議論を経て決まっていくのであって、このことについてはきちんと御認識をいただきたい、軍事大国になるということはあり得ない、そういうことを申し上げております。  いずれにしても、相互の理解を深めるために更なる努力をしてまいりたいと考えております。
  63. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 終わります。
  64. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 三案件とも賛成ですので、案件に関連しては油汚染損害補償問題について一、二お伺いするにとどめさせていただきます。  油による汚染を除去するためにボランティアの活動をする人が大勢いて、その人の中には犠牲者も出ているという問題です。    〔委員長退席、理事舛添要一君着席〕  先ほども議論になりましたナホトカ号事件のときです。多数の地域住民、ボランティア、地方自治体などが懸命の油防除、回収、清掃作業を行いました。この過程で、少なくとも五人の人が亡くなられたということもありました。もちろん政府、こういう事情についてはよく御存じのことだと思いますが、ボランティアの作業に対しては支払は一体どうなるのか、こういう死亡をなさるというお方が出たというようなときに対する補償というものは現在どうなっているのか、今後どうなるのだろうかということをお伺いします。
  65. 石川薫

    政府参考人石川薫君) お答えいたします。  この御審議賜っております議定書を始めとする油汚染関連条約において、補償対象となりますのは汚染損害についてであると規定されておりまして、すべての請求はこの汚染損害に該当するかどうかにより補償の可否が決定されることとなります。  ここで、汚染損害とは船舶からの油の流出又は排出による汚染によって生ずる損失又は損害と定義されております。したがいまして、実際に油汚染関連条約が適用されるかどうかは、個々の事例に応じて油の流排出と損失又は損害との間に因果関係が認められるか等により判断されることになると思います。  この議定書対象となります汚染損害として、幾つか例を考えさせていただきました。例えば、タンカーから油が流出し付近の養殖場を汚染したことによる障害、あるいはタンカーからの──失礼しました、生ずる損害、あるいはタンカーからの油の流出により漁に出られなかった漁民や営業利益を得られなかった海辺のホテルの損害、さらには、タンカーからの油の流出に際してオイルフェンスの設置や中和剤の散布等に要した費用などがございます。  御質問ございました、人の死傷が汚染損害に該当するかどうかという点でございますけれども、該当すると認められ、この議定書の下で該当すると認められますのは極めて特殊な場合であろうかと、一般的にはなかなか想定されにくいのではないかと思われます。  いずれにいたしましても、油汚染関連条約におきましては、被害者から基金に対して直接補償が請求されますが、仮に補償に関して争いがある場合には、最終的には汚染損害の発生した地の裁判所の判断にゆだねられると、そのようなことになっております。
  66. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 国内法ではどうなっていますか。
  67. 馬場耕一

    政府参考人馬場耕一君) 国内法も国際基金条約そのものを国内法化したものでございますので、今外務省がお答えになられた趣旨のとおりでございます。
  68. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、この損害補償というのがかなり多方面にわたっているけれども、ボランティアについては極めて難しいという答弁だと思いますけれども、しかし考えてみれば、そういう事故があってボランティアとしてそこで働いて、その因果関係が明らかな死亡事件というようなものは、当然国としての救済策が考えられるべきだと思いますけれども、国土省、どうお考えになりますか。
  69. 馬場耕一

    政府参考人馬場耕一君) お答え申し上げます。  今先生御質問の点につきまして、ケースにつきましては正確なところまでちょっと承知をしておりませんけれども、関係者にいろいろとお話をお伺いした限りにおきましてお答え申し上げますと、ナホトカ号事故におきまして亡くなられたボランティアの方々は、基金への請求を行われなかったというふうに私どもは伺っております。このため、基金からの補償がなされたかどうかという議論が行われないままになっていたものというふうに思われます。  今外務省の方がお話を、答弁をされましたが、基金への請求というのは個々の被害者の方が判断をして行うものでございます。そのため、国としては今後とも、今までも行っておりますが、国際油濁損害賠償補償制度そのものの周知を図ってきておりますし、また今後とも図っていきたいと、こんなふうに思っております。  あえて申し上げますと、この制度を知らないというために汚染損害についてなかなかそういうチャンスがなかったということのないような周知を図ってまいりたいと、こんなふうに思っております。  以上でございます。
  70. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、ナホトカ号事件がどうだったかということじゃなくて、一般的に、今後、そんなことがない方が一番いいんですけれども、万が一あった場合に裁判で決着付けるしかないというようなことでは私はやっぱり問題が残ると思いますので、御検討、御研究をお願いして、次に進みたいと思います。  先ほども論議になりましたイラクにおけるアメリカの虐殺問題ですけれども、報道によればアメリカの内部ではこれは早くから報告書があって分かっていたということですね。しかも、一か所や二か所でなく、かなり数多くの虐待事件が起こっていることが報道によってだんだん明らかになっています。  政府は、何らかのかかる情報をこれまでに受け取っていたのかどうなのか、まずお伺いします。
  71. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  政府としては、この報告書については承知をしておりません。
  72. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それから、防衛庁長官にお伺いしますけれども、現地を取材したジャーナリストによると、米兵というのはもうイラク人に対する恐怖感に駆られていて、ちょっと何か不審だと思うと容赦なく撃ち殺すと。そういうことで、正に殺害自由と言わんばかりの状況だと、そういうこともあるんだと。    〔理事舛添要一君退席、委員長着席〕  それは現地の自衛隊員諸君はよく知っているというように言いますが、かかる状況というのは派遣された自衛隊から何らかの形でお聞きになっていることがありますか。
  73. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先生御指摘の、イラク人と見たら、あるいは少しでも危険を感じたら、容赦なく逡巡なく撃ち殺すというようなことについては報告は受けておりません。ただ、私どもはサマワで活動しておりますので、バグダッド、そういうようなところの状況を詳細に存じておるわけではございませんが、米軍がイラク人に対して、そういう戦場の常として相当の恐怖感を感じているというような話は、一般論としては私は聞いたことはございますが、自衛隊員から報告を受けておるわけではございません。
  74. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 イラクにおける民間人に対するアメリカのいろいろな問題がここでも論議されてき、外務大臣は、米国は国際人道法の基本的考え方を踏まえて行動していると承知しておりますという答弁を繰り返してこられましたけれども、こういう虐待事件が起こり、それから、恐怖からかどうかは別としまして、かなり乱暴な民間人に対する殺害事件もあるというような状況になると、これ国際法を踏まえて行動していると言えない状態になってきているじゃないかと。  特に、安保理決議一四八三、これでも国連憲章及び関連する国際法に従って行動しなくちゃならないということを言っているのに照らしてみても、相当大きな重大問題があるというふうに思いますけれども、大臣、どのようにお考えになりますか。
  75. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今報道されているような米軍による残虐な行為、これについては日本政府としても大変に遺憾に思っています。極めて遺憾と申し上げていいかと思います。  これについて、米国政府は、ブッシュ大統領が謝罪をして、この問題を調査をし、軍法、軍事法廷にかける、処罰をする、そして再発防止策を考えているということでありますので、これについて早く透明性を持った形でこの結果が出るということを政府としては期待をしています。日本政府のこういった今私が申し上げたような考え方、これについては米国政府にも既に伝えてあります。  それで、その国際法との関係ですけれども、米国が基本的に国際法にのっとって行動をする国であるということについての考え方、基本的には引き続きそのように考えております。
  76. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 米政府の考えという意味でおっしゃっているかもしれませんけれども、現在行われていることというのは、そういう言葉で済ますわけにいかない実態が明らかになっていると思います。  そこで、私は、こういう事件が起こると、いよいよ自衛隊の撤退問題を真剣に検討してもらわなくちゃならないと思います。  アメリカのイラク戦争というのは、最大の理由とされてきた大量破壊兵器の問題も、これもここで繰り返し論議がありましたように、そういう根拠になり得るものでなかったことが明らかになってきていると思います。また、フセインの独裁からイラク国民の人権を守るため、解放するためという理由も、今ひどい虐殺事件によって崩壊してきていると、そういうふうに私は思います。米兵の乱暴な事件がいろんな形で問題になるのも、結局は私は、大義のない戦争、したがって派遣されている米兵が一人一人がこの戦争に誇り、自信を持って対処できない、そういう心理的な状況、それがイラク人に対する恐怖感ともなってこういう事件がいろいろ起きているんではないかと思っているところです。  最近、こういう事件が重なることによってイラクからの自衛隊の撤退ということが改めて論議になり、私、最近新聞読んだのでは、自民党の野中元幹事長や後藤田元副総理も真剣に撤退の時期を誤ってはならないということを述べておられたのを読んで、そうだと思いました。特に後藤田副総裁は、シベリア出兵の際、撤兵の時期を誤ったことがどんなに深刻な問題だったかということを提起しておられました。  政府として、今自衛隊の撤兵、撤退という問題はどのようにお考えになっているか、全く検討外なのか、幾らかはいろいろな事態を想定した検討を行われているか、防衛庁長官、お伺いします。
  77. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは今までも答弁申し上げたかと存じますが、あらゆる事態は考えております。それは、どういうときに撤収をするかというのは、法の要件を満たさなくなった場合は撤収をするという、これは当然のことでございます。そういうことは従来から申し上げてまいりました。  シベリア出兵との対比の御言及がございましたが、私はシベリア出兵とは基本的に異なると思っております。これはもう歴史について御造詣の深い先生がよく御案内のことかと思いますが、今回は人道支援を中心に安全確保支援活動も行うということでございます。それは基本的にシベリア出兵とは構造が違う。そして、シベリア出兵の際に、確かに日本が、ほかの国が撤収をしたのにしなかった。じゃ、今回そのようなことが起こるかといえば、それは極めて考えにくいことであって、関係各国とよく連携をしながら、もちろん主体的に判断をすることではございますけれども、シベリア出兵とは状況が全く異なっておると考えておる次第でございます。
  78. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、シベリア出兵をどのようにここで考えるかということを論議しようとは思いません。私が言いたかったのは、撤兵の時期を失ったと、それを誤ったということを問題にしたいということです。  シベリア出兵問題がどんな問題だったかについては、外務省監修の「日本外交百年小史」という中でもきちっと書かれて、その中でも、撤兵の機会を失ったためにどんなひどい事態になったかということが書かれております。そして、たしか後藤田さんの説の中にあったと思いますけれども、出兵よりも撤兵の方が難しいんだと、撤兵というのは大変困難な決断を要するものだということが強調されておりました。私もそうだろうと思います。したがって、ここで改めて、シベリア出兵の二の舞を繰り返さない。同じ出兵という意味じゃありません。撤兵の機会を失った結果、大変な事態になったということは繰り返さないようにしていただきたいということです。  そこでお伺いしますけれども、今も撤兵の時期についてはいろいろな事態を検討しているということでしたけれども、私、事務方の人にかつて聞いたときに、撤兵の条件というのは、派遣された任務が終了したときと、それからイラクに非戦闘地域がなくなったとき、つまり、今長官がおっしゃった後段だとは、今おっしゃったことと重なると思いますけれども、そういうことだと仮にした場合、目的、任務の終了というのは一体どういうことになるのか、これ、まずお伺いします。
  79. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) それは、なぜ自衛隊を出さねばならないかという、この法律を御議論いただきました際に、やはり自己完結性を持った自衛隊が行かなければいけない。医療にいたしましても、あるいは学校の修復にいたしましても、浄水、給水にいたしましても、やっぱり自己完結性を持った自衛隊でなければいけないという状況だった。現在もそうだと思います。それが自衛隊でなくてもいいような状況になった場合、これはやはり自衛隊がいる理由がなくなるということなのだろうと思っております。法の目的は成就されたというのはそういうことなのだというふうに考えております。  もう一点は、もう先生御指摘のように、活動する地域が非戦闘地域でなくなったという場合におきましては、これもやはり法の要件を満たさないということに相なります。イラク全体を、はい、ここは戦闘地域、はい、ここは非戦闘地域というふうに二分することがこの法律において求められておるわけでは当然ございませんけれども、活動する地域が戦闘地域、非戦闘地域ではない、非戦闘地域でないということになりました場合には、これも一つの判断材料ということは法の予定しておるところでございます。
  80. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 イラク法は大きく言ったら二つの目的、任務があったと思います。今おっしゃった人道復興支援と、私これについても意見はありますけれども、そういうふうに言っておきましょう、それともう一つは安全確保活動支援と二つあったと思います。これは二つの任務が終了するときというのが同じなのか、これはずれが出てくるのかということですね。特に、人道復興支援については自己完結型の自衛隊でなくてもやれるようになったら云々ということがありましたけれども、その安全確保活動支援という問題は、どういう事態が完了したときということになりますか。
  81. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) これは、どちらが先でどちらが後というものではないのだろうと思っております。つまり、治安が回復をするということと民心、民生が安定をするということはコインの表裏のようなものであって、治安が安定することによってさらに民生が良くなっていく、民生が良くなることによって治安が安定していく、これは論理的にどちらが先でどちらが後というものではないのだろうと思っております。  強いて考えれば、もう治安は安定しました、しかしながらまだ人道復興支援というものはしなければなりません、そのときに自己完結性がまだ求められておりますということは、それは可能性としてはないとは申しませんけれども、どちらが先でどちらが後ということはなかなか一概には申し上げられないものだと考えております。
  82. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 イラクに新しい政権が誕生する、政権移譲というのはもう間近だということになると思いますけれども、その場合にはどういう今の派遣された自衛隊はなるかという問題ですが、報道によると、小泉総理は政権移譲後も自衛隊派遣は継続すると、こうおっしゃっているというふうに報道がありました。  これはそのとおりかどうかということと併せて、CPAがなくなると思いますが、その後の安全確保支援活動というのは一体どういうものになって展開されるのか、これをお伺いします。
  83. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 六月三十日に統治権が移転をされ移譲されるということでありますけれども、三月に基本法が署名をされていますけれども、その基本法の五十九条、これにおいて、六月の三十日以降も新憲法に従った新政府の選出まではイラク軍と安保理決議一五一一等々に従い活動する多国籍軍がパートナーとして活動するということを規定していまして、したがって外国軍隊が統治権の移譲後も活動をするということを想定をしているということであるかと思います。それから、他方で、今イラクの暫定政権・政府、その六月三十日以降の政府の在り方についてブラヒミ特別顧問を中心にイラクのいろいろなグループとの間で意見交換が行われているということでありまして、また同時に、それに向けて安保理の決議を新しく採択をしようという動きも今起こっているわけでございます。  ということで、今、六月三十日の在り方についていろいろな動き、それをめぐっていろいろな動きがあるわけでして、イラクにおける外国軍隊の詳細な在り方について、こういった様々な動き、これを踏まえて関係者間で検討、調整が行われておりますので、今の時点で確定的にこうであるということを申し上げるということは難しいかと思います。  それから、ただ、自衛隊、これは法的な地位についてどうするかということももう一つ問題としてあるわけでございますけれども、我が国としての考え方、これは統治権限の移譲後において自衛隊がイラクで活動するに当たっては、基本法の規定を十分に踏まえるということです。そして、適切な形でのイラクの暫定政府の同意、これを確認をすることができるようにしていくというふうに考えております。  これは、自衛隊が円滑、自衛隊員が円滑かつ適切に活動することができるための特権・免除、これも含めてしかるべき法的地位を確保するということで考えているということでございます。
  84. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 CPAがなくなると、安全確保支援活動というのも従来とは違った性格を持つようになるんじゃないかと思います。これまではいわゆる連合軍ですけれども、今後はCPAがなくなれば、外国の軍隊が仮にいたとしてもそれはそれまでと違った性格の軍隊になると思うんですが、安全確保支援活動というのはだれに対してどういうふうに行うことになるんですか。
  85. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 統治権限が移譲された後の多国籍軍の在り方等々について、先ほども申しましたように、今様々な動きがあって議論をされている。安保理の決議についても、新たな決議についても議論をされている、そういうことで確定的に申し上げるということは難しいということであります。  いずれにしても、自衛隊の法的な地位については、先ほど申しましたように、特権・免除、これも含め、イラクの暫定政府の同意、これを確認をし、法的な適切な法的地位を確保するように努めていく、そのように努めていくといいますか、確保をするという考えでいるわけです。
  86. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そうすると、新しい政権との間で自衛隊の地位に関するクウェートと結んでいるようないわゆる地位協定のようなものを結ぶことになるんですか。そういう形はなしなのか、そういうことを含めて検討中だということなんですか。
  87. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今の時点でこういう形ということを確定的に申し上げるということは難しいと思いますが、いずれにしても法的な地位の確保は行うということでございます。
  88. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、繰り返し申し上げますけれども、CPAが解消する時点、そして政権が移譲する時点というのは、やはり自衛隊を引き続き駐留させるということを改めて確定しているんではなく、自衛隊を撤退させる一つのチャンスというか、根拠になる一つの区切りになるんじゃないかというように思います。  そして、それまでの自衛隊派遣を私は賛成だとか容認するというわけではありませんけれども、軍隊というのが、出兵よりも撤退の方がより困難だ、その時期を誤ってはならないということを政治の大先輩たちが強調している。その選択の一つの時期ではないかというように思いますが、防衛庁長官はそう思いませんか。
  89. 山本一太

    委員長山本一太君) 時間がちょうど来ておりますので、簡潔にお願いします。
  90. 石破茂

    国務大臣(石破茂君) 先ほど来申し上げておりますように、法の目的というもの、それは何も法律万能主義とかいうことを申し上げるわけではなくて、いろんな日本の国益あるいはイラク人の幸せ、日本の責任等々考えまして自衛隊を派遣をしておるわけでございます。  主権が移譲されるということが一つのタイミングだという御指摘でございますが、私ども、そのようなこの法律の目的、何のために自衛隊を派遣をしておるかということをつらつらと考えてみましたときに、必ずしもそれが一致をするものではないと考えます。ただ、おっしゃいますように、軍というものは、そういう仮に軍と申しますと、出すときよりも引くときの方が難しいということは、これは重々存じておるつもりでございます。  いろんな可能性は検討いたしておりますけれども、もちろん私どもとしては現状がそのような状況であるというふうに判断をしておるわけでは全くございません。
  91. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 終わります。
  92. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 一つだけ補足をよろしいですか。
  93. 山本一太

    委員長山本一太君) じゃ、簡潔にお願いします。
  94. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 舌足らずであったらいけませんのでちょっと丁寧に申し上げたいと思いますが、先ほども申しましたように、今の時点で確定的なことを申し上げるということはできないということですけれども、そういった前提で申し上げると、基本法においてイラクの移行政府は、移行政府が立法権を有するということを定めていて、そしてその法令により廃止又は修正されるまでの間、従来から有効であったイラクの法律やCPAの命令等は有効であるということが規定をされているということであります。したがって、そしてこのような命令の中にはCPAの命令十七号、これも含まれているというふうに認識をしているということを申し添えさせていただきます。
  95. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 終わります。     ─────────────
  96. 山本一太

    委員長山本一太君) 委員異動について御報告いたします。  本日、荒木清寛君及び月原茂皓君が委員辞任され、その補欠として松あきら君及び小林温君が選任されました。     ─────────────
  97. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党・護憲連合の大田でございます。よろしくお願いいたします。  まず、地中海漁業一般委員会協定の改定に関連して外務省にお伺いいたします。  現在、全世界で約百五十万トンのマグロ類が取られ、そのうち日本が約六十五万トンを消費していると言われています。我が国の消費量や輸入量の多さもあってか、マグロ資源の枯渇が心配されていますが、本協定改定の会議等でこの問題の解決についてどのような議論がなされたのか、簡潔に御説明お願いします。
  98. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) 世界最大のマグロ消費国である我が国マグロ類輸入に関しまして、これが資源の減少の一因になっているんではないかという見方が一部にあることは承知をしているところでございます。我が国としては、このような状況も踏まえまして、この協定を通じまして、マグロ輸入国としての立場を最大限活用して、引き続き厳しい措置を取って、この乱獲を避けながら科学的根拠に基づいて合理的かつ持続的に利用するという方針を取ってきておりまして、そういう立場に基づきまして今回の改定に臨んだということでございます。  我が国としては、特に今回、この一般委員会の役割を強化して、独自の立場、予算措置の裏付けを、基づいてこの資源管理を行うことが重要だと、このことが遠洋漁業国としての我が国の利益に沿うという立場で議論に臨んだわけでございます。
  99. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 世界自然保護基金の今年三月三日のプレスリリースによりますと、同基金は、マグロ蓄養事業が盛んになってクロマグロ資源の保存を脅かしていると警告を発し、地中海漁業一般委員会大西洋まぐろ類保存委員会が取りまとめている持続可能なマグロ蓄養に関するワーキンググループから離脱したとのことであります。あわせて、EUがマグロ蓄養事業に補助金を出していることを強く批判していると報じられております。世界自然保護基金のこのような見解や動きに対して外務省はどのように受け止め、どう対応されるおつもりですか。
  100. 佐々江賢一郎

    政府参考人(佐々江賢一郎君) 今委員がおっしゃられましたとおり、このWWF、世界資源保護基金につきましては、二〇〇二年に持続可能なマグロ蓄養に関するワーキンググループというのが設置しておりますが、このワーキンググループにおいては専門家参加を得てどういうふうにこのマグロ蓄養に関して適切な措置を取るかということが議論されておりましたが、その過程で、この世界自然保護基金の意見では、マグロ資源の保存ではなくてむしろ蓄養企業の擁護に偏っているんではないかということで参加を取りやめたという発表を今年の三月に行ったというふうに承知をしております。また、その発表において、EUのこの補助金の在り方についての批判もされたというふうに承知をしております。  そういう中で、今日午前の御議論でもございましたが、我が国としては、マグロの蓄養活動が資源保存に影響を及ぼさないようにする必要があるということで、正規に登録された蓄養場以外からのマグロ輸入を禁止する措置採択し、これを実施しているということでございます。すなわち、輸入国として責任ある措置を取ることによってこのような批判にやはりこたえていく必要があるという考えでございます。
  101. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 国土交通省にお願いいたします。  我が国周辺での油流出事故としては、一九九七年一月のロシア籍タンカーのナホトカ号事件が記憶に新しいのですが、このときの補償額は二百六十一億円に上ったと聞いています。  そこで、お伺いしますけれども、その後、日本の海域で起こった油タンカーによる流出、油流出事故による海洋汚染の発生件数の推移について御説明ください。
  102. 藤井章治

    政府参考人藤井章治君) ナホトカ号事故が平成九年一月に起こったわけでございますが、その後、平成九年七月に東京湾におけるダイヤモンドグレース号の油排出事故が起こりました。それ以降、特に我が国周辺海域においては大きな事故は起こっていない状況でございます。  なお、タンカーの油流出事故について件数だけ申し上げますと、平成九年、四十三件でございましたが、最近を見ますと、平成十三年は二十一件、十四年は二十二件、十五年は十九件というふうに、タンカーの油流出事故については減少傾向にございます。
  103. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 現在、油回収船は三隻体制を取っていると聞いていますけれども、これで十分ですか。強化する方策はお考えでしょうか。
  104. 藤井章治

    政府参考人藤井章治君) 油の事故があった場合の回収でございますけれども、私どもとしましては、ナホトカ号の流出事故の経験を生かしまして、平成九年に油流出事故対策の基本的方針等を取りまとめて、先ほど先生がおっしゃった大型しゅんせつ船兼油回収船といった形で全国に増配備をいたしたところでございます。これ以上また必要かどうかということにつきましては、また事態の推移等を見て検討してまいるべきものと考えております。
  105. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 環境省にお願いいたします。  環境省の調査によりますと、二〇〇〇年度に東京湾の船から排出された窒素酸化物の量は、都内を走行する全自動車の排出量の三万五千二百六十二トンにほぼ匹敵する三万千八百四十三トンに上ると言われています。さらに、硫黄酸化物は全自動車の十三・五倍に達していると報じられていますが、船舶による東京湾の大気汚染の影響はどの程度になっているのか、最近の情勢をお聞かせください。
  106. 西尾哲茂

    政府参考人西尾哲茂君) 船舶から排出されます窒素酸化物及び硫黄酸化物の排出量の割合でございますが、全体的なといいますか、我が国の排他的経済水域内におきます総排出量のうち船舶によりますものは、国土交通省の平成十二年度の推計では、窒素酸化物で三〇%、それから硫黄酸化物で二五%のシェアがあると思っております。  それから、これは関東地域ということで、どちらかといいますと陸域の影響を大きくとらえる調査でございますが、環境省による平成十二年度の推計では、窒素酸化物につきましては、自動車によるものが五七%でございまして、東京湾を航行する船舶によるものはこれに対しましては七%と推計しております。それから、硫黄酸化物につきましては、自動車によるものが八%であるのに対しまして、東京湾を航行する船舶は約一九%に上るものというふうに推計をしております。
  107. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 これは通告はしてございませんが、先ほどの尖閣列島との、問題との関連で、外務大臣に簡単にお伺いいたします。  先ほど、中国の方に行かれて尖閣列島に対する我が国の領土権、領有権と申しますか、それを主張なさったとおっしゃいました。そして、中国側は中国側としての立場で説明されたというお話でございましたけれども、尖閣列島に対して中国側はどのような法的な根拠に基づいて領土権を主張されているんですか。お聞かせください。
  108. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 中国側も、これは歴史的にも、国際法上も中国側の領土であるということを言っているわけでございます。その根拠は具体的に何かということについては、これは我が方は領土問題は存在をしないという立場でございますから、これについて中国側について問いただすということはいたしておりません。
  109. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 中国側は中国側として主張、領土権を主張されたというわけですから、その根拠が分からないと、今後我が国が幾ら領土権問題ではないと言ったところで問題の解決にならないと思うんですが、その点、いかがですか。
  110. 川口順子

    国務大臣川口順子君) いずれにしても、中国外交部が何を言っているかということで申し上げたいと思いますけれども、これは釣魚島といいますが、などの島嶼は、昔から中国の領土である。早くも明代にこれらの島嶼は既に中国の海上防衛区域の中に含まれており、それは琉球、つまり今の沖縄に属するものではなく、中国の、台湾の、中国の台湾の附属島嶼であった。中国と琉球と、この地区における境界、境界線は大正島と久米島との間にある。中国の台湾の漁民は、従来から釣魚島等の島嶼で生産活動に携わってきた。日本政府は中日、日清戦争ですね、を通じてこれらの島嶼をかすめ取り、さらに当時の清朝政府に圧力を掛けて、一八九五年四月、台湾とそのすべての附属島嶼及び彭湖諸島の割譲という不平等条約である、いわゆる日本でいう下関条約ですが、に調印させたと、これが中国側の主張でございます。
  111. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 沖縄を始め在日米軍の軍人軍属とその家族が乗る私有車両、いわゆるYナンバー車が車庫証明もなしに自動車登録がなされて走り回っていると報じられています。  国土交通省にお伺いしますが、車庫証明もなく自動車登録を許されているというのは事実ですか。事実とすれば、米軍人軍属だけの優遇措置に関する法的根拠について御説明ください。
  112. 山本一太

    委員長山本一太君) ほぼ時間ですので、簡潔に御答弁お願いします。
  113. 中山寛治

    政府参考人中山寛治君) 御指摘のYナンバー車につきましては、車庫法施行令で定められた地域におきましても、車庫証明書の提出がないにもかかわらず登録がなされていますということがございます。これは事実でございます。このような取扱いにつきましては、不適切であるというふうに考えております。
  114. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  115. 山本一太

    委員長山本一太君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、地中海漁業一般委員会に関する協定改正の受諾について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  116. 山本一太

    委員長山本一太君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、千九百九十二年の油による汚染損害補償のための国際基金設立に関する国際条約の二千三年の議定書締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  117. 山本一太

    委員長山本一太君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、千九百七十三年の船舶による汚染防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書によって修正された同条約改正する千九百九十七年の議定書締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  118. 山本一太

    委員長山本一太君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 山本一太

    委員長山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十四分散会