○吉岡
吉典君 私は十分でなかったということを言うのではなくて、疑惑があるとおっしゃるのなら、
政府の立場からそれなりに言い分もあるでしょうけれども、断定するということは、これは誤りであったと思っております。そして、私、この
委員会でも繰り返し言ってきましたけれども、我々は、太平洋戦争が終わったときに、
国民が教育を受けていたことと全く違った戦争であったということを敗戦ということによって知らされた、そういうことを
国民が繰り返すことのないように
政府自らもまた絶えず
世界の動きからあらゆる動向を検討しながら進んでもらいたいと。その点、私は昨日の論戦を聞いてみても、そういう見地が見られない点で非常に大きい危惧を持ちました。
世界の評価が
大統領がだまされたと言っているのに対して、
日本の側はそういう見地と全く違った見地一本やりでいいかどうかということについては、今日私は短い時間ですから、この問題ここで突っ込んで論議しようと思いませんけれども、そういうことを私の意見として述べ、それで次に進んでいきたいと思います。
次の問題は、日露戦争百年という年、今年、来年です、この年に当たって幾つかの問題を私は考えたいんですが、これ時間が十分ありませんので、今日はまずシベリア抑留者の問題を取り上げたいと思います。
というのは、日露戦争の際、
日本はロシアの捕虜を手厚く優遇したという歴史を持っております。私も松山の墓地にも視察に行ってきたこともありますし、何回も行っております。そして、どういう目的でやられたにしろ、捕虜を重視して扱って
世界からも高く評価され、今日もロシアからもしばしば感謝の意が表明される、こういうことがあったことは私は大変良かったなと思っております。それは日露戦争しかり、同時に第一次
世界大戦のドイツの捕虜の扱いについても、私もこれも徳島県の鳴門にあるドイツ記念館等、行ってきていろいろ話も聞いてきたこともあります。そのように
日本は第二次
世界大戦で捕虜の扱いで戦争犯罪を問われたのと違って、ともかく日露戦争そして第一次
世界大戦まではそういう捕虜を優遇することで
世界に知られた、こういう歴史を持つわけですね。
そういう国の歴史が変化して、第二次
世界大戦では
日本の捕虜の扱いが残忍だったと同時に、シベリアに抑留された人たちは、私、しばしば訪問も受けて当時の話もお伺いしますけれども、やっぱり地獄であったというお話ですね。そういう話を聞いていて私感ずるのは、やっぱり日露戦争のときにあれだけ
日本が手厚く取り扱ったのに、なぜ第二次
世界大戦でそういう地獄を体験しなければならないか、言わば恩をあだで返されたという感情があるということもよく分かりました。
そこで、今それらの人々から、私、恐らく各党にもそういう要請が行われただろうと思います。私も最近要請を受けたことに沿って、ここで幾つかその要請を紹介しながら
政府の努力をお願いしたいと思います。
要請、私は大きく言ったら、ロシア
政府に対して
政府の努力で伝えてもらいたい問題と
日本政府自身の努力と二つの点がございます。
ロシア
政府について言えば、今この補償問題を改めて
要求するということではなくて、やはりシベリアで受けたいろいろな扱いについては、例えばエリツィン
大統領が来日したときに謝罪したと、しかしそこで止まっているので、プーチン
大統領にもやはり謝罪の意思を表明してもらいたいという強い希望も持っておられます。
それからまた、
国際法に違反する抑留ではあっても、その強制労働、それが結果として、ソ連、今のロシアの戦後復興にかなり役割を果たしたと。学者の研究によると、どれだけ、それがロシアの復興に寄与したかというそういう論文もあるのを私読みましたけれども、いずれにせよ、そういうことに対してソ連側は改めて、何というのですかな、感謝を、評価も下し、感謝もしてもらいたい。
それからまた、抑留者が抑留されていたいろいろな収容所に何らかの記念碑のようなものでも造って、それで、
国際法に違反して行った行動ではあるが、今日のロシアの
政府は違った立場でこれについていろいろ記念もし、慰霊もする。亡くなった人々に対しては、ロシア
政府が自ら慰霊事業をもっとやってもらいたいとか、そういうたくさんの希望を持っておられます。
それは私は、九一年
協定、ゴルバチョフが来たときですか、ここに盛られていることとダブるものもあるし、それをより
充実した形で実現してもらいたいということもあると思います。
私は、そういうことをしばしば聞いておりましたので、ロシアの前駐日大使のパノフさんが帰る少し前にたまたまお会いしたときに、抑留者はこういう希望を持っておられると、あなた長年
日本大使やった人として、そういう点が実現できるように努力してくださいということをお伝えしたこともあります。
今年、日露百年という節目の年を迎えて、そういうことを強くロシア側にも望みたいと。
日本政府、また
日本の政治がそういう意思を向こうに伝える、そしてそれができるだけ実現できるように
政府にも尽力を願いたいというのがまずロシアに対する要望ですけれども、これ
外務大臣、私はもっともな要望だと思いますので、そういうのを伝える努力はしていただけるものかどうか、まず第一番目の問題はこの点です。