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佐藤道夫君
石破長官、先ほどから私言っておりますけれ
ども、こんなことが起こるなんということはだれだって余り考えていないんですけれ
ども、しかし万が一でも、本当の万が一ですけれ
どもね、起きたらこれは大変だと、そのときに備えて
検討をし、そして
対策を講じておく、これが政治家の務めなんですね。そんなことは起こるわけないだろうと、常識で考えてみろやと言っている人は町の常識家で結構なんですけれ
ども、やっぱり政治家はそういうものではないと。
それで、私は、万が一でもそういうことを考えているのかいないのか、いないとすればやっぱりもう少し真剣に閣内で、与党内で
議論をすべきでしょうと、こう言っているわけであります。またいずれ、この問題は改めて取り上げたいと思います。
川口大臣、答弁なるべく簡潔に
お願いできればと思います。それと、なかなか分かりにくい御答弁であることも先ほど来いろいろ同僚議員も言っておりますけれ
ども、そういうことも言いたくなります。
この問題はまた取り上げることにいたしまして、もう時間余りありませんけれ
ども、いわゆる拉致問題、拉致拉致と言って大騒ぎになっておりますけれ
ども、あれを取り上げて、これもお二方の御意見を拝聴できれば、特にこれは
川口大臣の所管でありまするから、はっきりした御意見を承ればと思います。
私、あの
報道あるいはまた
関係者の意見を聞いておって大変不思議に思うのは、あの北朝鮮に残された家族、特に子供たちと言われるから小さな子供かと、こう思っておりましたら、ほとんど全員が二十歳を過ぎておるです。過ぎておるんですね、二十歳以上。一人ほど、子供の中で一人十何歳というのがおりましたけれ
ども、それは言うまでもないことですけれ
ども、
日本の成人年齢は二十歳、北朝鮮は十七歳で成人になると。成人になれば、これは子供扱いはもうできないわけですよ、法律上は立派な大人ですからね。ですから、結論的に言えば、北朝鮮で住もうが
日本に帰ろうが、それは大人である彼らの判断で決まることで、親が帰っちゃったと、じゃ子供たちも連れてこなきゃかわいそうじゃないかと言っているのは、これはそういう基本的な法律を
理解していない
人たちなんですね。
なるほど、彼らはもう大人なんだと、大人は自由に判断して、自分は北朝鮮で生まれ育ったと、これは自分にとってはもう本当に何物にも代え難い土地だから、国だから自分はここにとどまると。これは大人と。当然のことなんですよね。しかし、中には、そんなことを言っても、自分を生んでくれた親たちが住んでいるその
日本という国を何回か訪問して、本当に自分はここが幸せなのか、
日本に帰った方がいいのか考えてみたいという子供たちだって、子供たちと言っちゃ怒られる、大
人たちもいるんだろうと思うんですよね。
ですから、北朝鮮、なぜこういう発想がなかったのか不思議でしようがないんですけれ
ども、拉致家族と言われる
人たちの、特に今大人になっていますけれ
ども、当時向こうで生まれ育ったような
人たちにとっての自由往来ということを考える余地はなかったのかと。二年なら二年、期限を切って、どうか
日本に帰っていらっしゃいと、そして
日本に来たら、ああここが自分の親たちの生まれ育ったところかと、なるほどなかなかいいところだと、北朝鮮よりこっちの方がいいじゃないかと考えるのも自由ですし、自分が生まれ育ったのは、厳しいかもしらぬが、やはり北朝鮮の国なんだと、自分は向こうに帰って一生懸命国のため、彼らが国と言うのは北朝鮮、北朝鮮のために頑張りたいと。いずれにしろ、最終決断は、その拉致者たちの子供という大人が今考えること、これから考えることなんだろうと。
そういう
意味で、北朝鮮とこの子供たちの自由往来を保証すると。それから、親たちも、こちらの親族も向こうに訪ねていく。もし向こうで結婚した相手がいれば、子供たちはその結婚の相手を伴って帰ってきて、どうです、
日本という国は、すばらしいと思いますか、何だ、つまらぬ国だななんて奥さんや亭主が言うかもしれません。
いずれにしろ、もはや大人であるという前提に立って彼らの今後を彼らに決めさせると、そういうことで北朝鮮側と折衝をする、そういう考えはなぜ今までなかったのか。何か偉そうなやつが出てきてこうしろああしろと言うので、それで決まったと。その前に、その対象となっている
人たちの自由な判断、その自由な判断を生じさせるためにどのような方法が必要か。
先ほどから言っている自由往来、北朝鮮と
日本を何回も往復をして、やっぱり自分は北朝鮮で頑張ると、それはそれでいいだけの話ですからね。自分は親が生まれ育った
日本という国に行って頑張ってみたいと、こう言うかもしれません。これできれいさっぱり拉致問題は解決するかと、こう思うんですけれ
ども、なかなかそうは簡単にいかないようであります。
最後に、こういう発想について、
外務大臣と、
防衛庁長官は政治家としてのお考えで結構ですからね、お述べいただければと思います。