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2004-06-14 第159回国会 参議院 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年六月十四日(月曜日)    午前九時開会     ─────────────    委員異動  六月十一日     辞任         補欠選任      神本美恵子君     岡崎トミ子君      遠山 清彦君     山本 香苗君  六月十四日     辞任         補欠選任      愛知 治郎君     福島啓史郎君      有村 治子君     松山 政司君      田浦  直君     加治屋義人君      中原  爽君     狩野  安君      岡崎トミ子君     平野 貞夫君      辻  泰弘君     羽田雄一郎君      森 ゆうこ君     大江 康弘君      井上 哲士君     吉川 春子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         清水 達雄君     理 事                 田村 公平君                 常田 享詳君                 舛添 要一君                 山内 俊夫君                 齋藤  勁君                 若林 秀樹君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 有村 治子君                 大野つや子君                 加治屋義人君                 狩野  安君                 小泉 顕雄君                 後藤 博子君                 田浦  直君                 中原  爽君                 西銘順志郎君                 野上浩太郎君                 福島啓史郎君                 藤野 公孝君                 松村 龍二君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 森田 次夫君                 山崎  力君                 池口 修次君                 岩本  司君                 大江 康弘君                 岡崎トミ子君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 高橋 千秋君             ツルネン マルテイ君                 羽田雄一郎君                 平野 貞夫君                 平野 達男君                 森 ゆうこ君                 森本 晃司君                 山本 香苗君                 山本  保君                 井上 哲士君                 吉岡 吉典君                 吉川 春子君                 大田 昌秀君                 山本 正和君    衆議院議員        修正案提出者   久間 章生君        修正案提出者   前原 誠司君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官) 細田 博之君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣     井上 喜一君    内閣官房長官        内閣官房長官  山崎 正昭君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        外務大臣政務官  荒井 正吾君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  秋山  收君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        内閣官房内閣審        議官       大石 利雄君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        法務大臣官房審        議官       河村  博君        外務省総合外交        政策局長     西田 恒夫君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部ジュネー        ブ条約本部長   荒木喜代志君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省中東アフ        リカ局長     堂道 秀明君        外務省条約局長  林  景一君        国土交通省道路        局長       佐藤 信秋君     ─────────────   本日の会議に付した案件武力攻撃事態等における国民保護のための措  置に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国軍隊  の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用  に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃事態における外国軍用品等海上輸送  の規制に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間に  おける後方支援、物品又は役務の相互の提供に  関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間  の協定を改正する協定締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約  の国際的な武力紛争犠牲者保護に関する追  加議定書議定書Ⅰ)の締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約  の非国際的な武力紛争犠牲者保護に関する  追加議定書議定書Ⅱ)の締結について承認を  求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十一日、神本美恵子君及び遠山清彦君が委員辞任され、その補欠として岡崎トミ子君及び山本香苗君が選任されました。     ─────────────
  3. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案外九案件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 池口修次

    池口修次君 民主党・新緑風会の池口でございます。  今日、三十分質問の時間をいただきましたので、その中でいろいろ質問させていただきたいというふうに思いますが、今のこのイラク事態特の最新の話題ということであれば、多国籍軍参加をするかどうかという話題であるというふうに思っております。ただ、今日午後、総理がお入りになって多分集中して審議がされるというふうに想像をしておりますので、私の方はこの点は質問をしないつもりでございます。  ただ、私の意見だけちょっと申し述べさせていただきたいと思いますが、新聞等マスコミ報道によりますと、この多国籍軍派遣イラク特措法の政令を変更して閣議で近いうちに決めるというふうに報道がされております。私は、これは二つの点で大変大きな問題を抱えているというふうに思っております。  一つは、イラク特措法のそのものがどうかということで、我々の理解でいいますと、イラク特措法は、憲法解釈等の、憲法に抵触しないということもありまして、非戦闘地域という、これは特措法議論のときにいろいろ意見があったわけですが、非戦闘地域というものを作ってできた法律でございます。さらに、その法律をまた解釈の変更だけで多国籍軍派遣ができるということになりますと、どんどん解釈だけで日本自衛隊活動がそういうところに踏み込むということは大変な問題だというふうに思っておりますし。  もう一つは、この多国籍軍参加の問題は、総理サミットへ行って発言がされたのが出発点だというふうに報道がされております。政府なり自民党の中でも必ずしも了解が得られてなかったし、ましてや国会の中ではほとんど議論がされてない。タイミング的にいいますと、国会が十六日にも閉会をする、さらに参議院の委員会も今日採決ということを言われているようですから、ほとんど議論をする時間がない。そういう中で、総理サミットで表明したものを何の議論もなく国会が追認をするということであれば、私は、やっぱりこれはこの日本が非常に難しいというか、危ない方向に行く前兆ではないかというふうに理解をしております。  是非この点を十分御理解をいただきながら、多分、閣議では議論がされるというふうに思いますので、やっぱり日本の将来の、私は国際貢献自体は全く否定はしてないんですが、本当にこういう形でどんどん自衛隊活動が進んでいっていいのかどうかというところについては十分議論をしていただきたいというふうに思いますし、国会にも十分説明をしていただきたいというふうに思っております。  ということで、私の方は、この法律案の中における特に住民避難の点について何点か御質問をしたいというふうに思っております。  国民保護のための法律案の中の特に五十二条に避難措置指示、二節の五十二条に避難措置指示という項目があります。特に住民避難に関する措置都道府県知事がやるように指示をするということであるわけですが、この住民避難をするプロセスがどういう形で行われるかということをまずお聞きをしたいというふうに思います。
  5. 大石利雄

    政府参考人大石利雄君) 住民避難について御説明いたします。  武力攻撃事態等におきましては、国の対策本部長が警報を発令するわけでございます。その際、住民避難が必要であると認めるときには、関係都道府県知事に対しまして避難措置指示を行うこととされております。  この避難措置指示というのは、要避難地域避難をすべき地域、それから避難先地域、こういったものが示されるわけでございます。これを受けまして、都道府県知事は、直ちに具体的な避難指示市町村長を通じまして住民に対して行うわけでございます。この避難指示というのは、主要な避難道路、それから交通手段、こういったものが示されるわけでございます。市町村長は、それを受けまして、避難実施要領、具体的な避難方法について定めまして、市町村職員、消防職員等指揮して、住民避難誘導に当たることになっております。
  6. 池口修次

    池口修次君 手順はそういうことだというふうに思いますが、そもそも武力攻撃事態が起きたときに避難がされるわけですから、やっぱり住民の安全を考え避難をさせるということだろうと思っております。  そういう意味で、どの程度、時間的にどの程度があれば避難がされるのか、避難をするのかということは、これは当然政府としては持っていないと私はおかしいというふうに思っているんですが、この住民避難に要する時間的な目安というのはどの程度考えなのかという点を確認したいと思います。
  7. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) どういう避難をするかといいますのは、その武力攻撃態様によりまして、あるいはその程度によりまして違ってくると思います。そういったことで、これからよく検討いたしまして、そういったことを基本指針に織り込むことになっておりまして、十分な検討の上でそういうことを決めていきたいと思うんです。  いずれにしましても、いろんな状況考えられるわけでございまして、ある程度時間の要素も念頭に置いて考えないといけないと思うんでありますけれども、なかなか具体的にこういう場合には何分だとかこういう場合には何分ということ、これは市町村ごとによっても違いますし、避難先によっても違いますんで、極力短時間のうちに、短期間のうちに避難をしないといけない、これはもう当然でありますけれども、そういうことを念頭に置きながら、そして大まかなそういう事態に応じての時間ですね、そういうことを考えながらも、どうも具体的にこのケースの場合は何分、このケースの場合は何分ということはなかなか難しいんじゃないかと思います。  いずれにしましても、よくこの基本指針考えますときに、その指針に基づきまして県が計画なりあるいは市町村計画を作るわけでございますので、おおむねそういったことが少なくとも念頭には、計画の中に規定されるかどうかは別にいたしまして、大体これぐらいというようなことを念頭に置いて計画が作られますように検討していきたいと、こんなふうに考えております。
  8. 池口修次

    池口修次君 この武力攻撃事態というのは日本においては初めての法律ですから、やっぱり今まではこういう避難想定したいろいろな環境整備というのは私はやられてこなかったんだろうというふうに思っております。  そういう意味で、ケースに応じてといっても、向こうは日本ケース日本想定考え攻撃してくるわけではないわけですから、やっぱり最低限やっぱりこのぐらいのめどで避難ができるような体制をしておくと。で、そのケースに応じてその基準から更に早めるとかいうことはやらなきゃいけないと思うんですが、ある程度のやっぱりこういうものは、やっぱり住民の安全を考えるためにはやる必要があるんだというものはあってしかるべきだというふうに私は思っております。  そういう意味で、石破長官は多分こういう問題に詳しいというふうに思いますので、どの程度目安があれば住民が比較的安全に避難が終了するのかというのを、お考えがありましたらお聞きしたいと思います。
  9. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは、例えて申しますと、私の鳥取県でいろんなシミュレーションをやってみましたが、県内にあるバス等々を全部使いましても、人口十五万の鳥取市の住民を隣県の兵庫県まで避難させるのに相当の時間が掛かるということであります。  じゃ、それをどうするんだということになりますが、今、井上大臣からお話がありましたように、攻撃形態も、イラク戦争なんかを見ても分かりますが、じゃ、いきなりたくさんの陸上部隊がやってくるか、上陸してやってくるかというと、そうじゃないのであって、だとすれば、まずピンポイントで防空レーダーみたいなものをつぶしてやってくる、そういうような、かなり戦いのスタイルが変わってきていると思います。防空レーダーもつぶさないままやってくるのは結構自殺行為に等しいことになりますわけで、その間にどれだけ安全に民間人、一般の人を避難させるかということを考えていかねばならない。  そうしましたときに、じゃ、そこにどれだけの輸送能力があるのか、そして自衛隊が、本来の任務に支障のない範囲においてという言葉を仮に使いますと、輸送船でありますとか輸送機でありますとかどれぐらい回せるのか、それはもうそれぞれのシミュレーションが必要なんだろうと思います。  ただ、戦い形態に応じてどのような時間が必要なのか、そのために必要なセットはどれぐらいなのかということを、きちんと自衛隊地方公共団体もあるいは輸送に従事される方々も精密な計画を作っていかなければならないというふうに思っております。あらゆる戦い形態シミュレーションして、住民方々避難が、方々避難が迅速的確になされるように私どもとしても全力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。
  10. 池口修次

    池口修次君 今、石破長官が例に出されました鳥取県の例で報告されていますのは、二万六千人の住民避難させるのに十一日間掛かったということですが、やっぱり今の、避難をするときには当然避難誘導する人も要る、必要ですし、避難路を確保するということも必要だと思います。  今、訓練をした時点では多分そういうことまで全部環境整備されていない、特には、聞いたところですと、やっぱり道路避難道というのが一番問題で、一方で武力攻撃事態がありますから自衛隊、多分陸上自衛隊だと思いますが、陸上自衛隊の人が入ってくる、一方で住民避難をすると。そういうことを考えると、十一日間掛かったということだと思いますが、石破長官としてはこの十一日間というものについてどう考えているのかというのをお聞きしたいと思います。
  11. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それは掛かり過ぎということです。  ただ、別に地元の陳情をするわけでも何でもないのですが、例えばうちは高速道路がないみたいなこともございまして、じゃ、どういう形にするのがよろしいのだろうかということになるわけでございます。  ただ、そのときに、それは私も全体を全部子細に見たわけではございません。ただ県内にあるものを全部使ったとしてどうなるかというお話でございまして、そのときに、県外にあるもの、まだこれは、ほかの都道府県あるいはほかの関係機関とどれぐらいの船が、どれぐらいの飛行機が、どれぐらいの車が回していただけるかということのシミュレーションを精密にやった上でできておるものではございません。県の防災担当者がそういう報告を私のところへ来ましたので、であらばこそ、各県あるいは国との調整が必要なのだろう。  また、私ども輸送艦というものが、「おおすみ」タイプというかなり大きなものが今三隻就役をいたしておりますけれども、それがどれぐらい回せるのか、それがどういう状況の下であれば回せるのか、そういうことをやって、幾ら何でも先生が御指摘のように十一日というのはだれがどう見てもこれは掛かり過ぎということになります。それをどれだけ短縮できるかということがこれから本当に早急に、井上大臣がおっしゃいますように議論されることになる。それは単に鳥取県だけとか鳥取市だけとか、そんなところで議論をしても始まらないことであって、やはり広範な議論が早急に精密に必要であろうと考えております。
  12. 池口修次

    池口修次君 私も、十一日も掛かったんじゃ、政府、国として国民の命を守ったというふうには私は、守れる体制にあるというふうには私は言えないというふうに思いますし、じゃ、このために十一日を、何日かというのはこれから政府の方で考えるようですが、縮めなきゃいけないと。縮めるところは、この鳥取だけじゃなくて日本全国、これは差があっちゃいけないわけですよね。つまり、どこで何が起きるか分かりませんから、ここは体制が整っていなかったと、ここは体制が整っていたから早く避難できたということではいけないわけですから。  そうすると、日本全国である意味、まあ訓練までやるかどうかというのは分かりませんけれどもシミュレーションをしながら、じゃ、政府が目標とする日にちを確保するためにいろいろ、場合によって、私は一番大きいのは道路をどうやって整備するかということだと思うんですが、これは後で議論もさせてもらいますが、それ以外にも、じゃ、誘導消防署員方々がやられるというような話もあるわけですが、じゃ、人は本当にこの今の配置で大丈夫なのか、若しくは避難路の確保は大丈夫なのか、そのためには日にちを縮めるためにこれから整備をしなきゃいけないということになるんですが、これからそういうことまで全部やられるのかどうかというのをお聞きしたいと思います。
  13. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 鳥取のこの十一日間の話が出ましたけれども、これは説明でありますとかあるいは予備日なんかも入れて十一日間ということで、いかにも移動した人数に比べまして時間が掛かり過ぎだということになろうと思うんです。  お話し申し上げましたように、これは国が基本のところを決めまして、それに基づいて県あるいは都道府県計画を作るんですが、さらに具体的には、これ市町村誘導計画誘導実施要領を決めるわけですね。これもいろんな武力攻撃態様に応じましてどうするのかということをこれは市町村レベルで決めますから、非常に具体的になってくると思います。そういうのをシミュレーションもやりながら決めていく。しかも、一応その決めたものにつきましてこれ訓練をしていくと、本当にそのまま機能していくのかどうか、そういうことをやりまして最終的にこの実施要領というものを作っていくわけでございますから、私は、実施要領の段階では、ある事態想定しました場合には大体どれぐらいの時間が避難に掛かるんだというようなことが分かってくると思うんですよね。  これは、今申し上げましたように、訓練も必要でありますので、多少そういったものができるまでには時間が掛かると思いますけれども、今委員がおっしゃりますような、何といいますか、ある程度具体的なそういったものが実施要領の中で決められてくると、決まってくると、こんなふうに考えている次第でございます。
  14. 池口修次

    池口修次君 これから市町村シミュレーションをやると、まとまるには時間が掛かるというような発言がありましたが、私は、武力攻撃事態ということを今ここで議論しているのは、極端に言えば、明日武力攻撃事態があってもおかしくないということを想定して理解議論をしているわけですから、そのときにやっぱり時間が掛かったから避難できませんでしたということじゃこれは政府としては済まない話ですし、市町村シミュレーションということですが、先ほども言いましたように、じゃ市町村シミュレーションをして、ここは五日掛かりましたと、ここは三日掛かりましたと、一定の想定を置いてですね、そうしたときにこのばらつきというのは私は許されないというふうに思うんです。  そのときに、じゃこれは市町村が決めるんじゃなくて、じゃ国として、じゃこの三日のところは、五日のところは、例えばですけれども、三日にするためにどうするのかと。場合によって、道路がないから避難できないということであれば、これ道路を造らないと責任政府として責任持っているとは言えないと思うんですよね。  やっぱりそういうことも、時間が掛かるんではなくて早急に、やっぱり日本全体の中で、それは瞬間的に避難をするということは私も無理だというふうに思いますが、やっぱり考えられる限りの一番シビアなシミュレーションをした上で、やっぱり日本全国がどういう形で同じ日数避難ができるという体制を、やっぱりこれは武力攻撃事態というのを想定したわけですから、やっぱりこれを決めるのが政府の役割だというふうに私は思っておりますが、いかがでしょうか。
  15. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) もとより、同じような条件の下では、委員のおっしゃいますような、そんなに避難に掛かる日数が違うということはおかしいと思うんですよね。それは極力一つになってくると思うんです。  そういった責任が国あるいは都道府県にもあるということは、これは当然でありまして、今国におきましてもそういうモデルを作っているわけです。そういうモデル参考にして都道府県の方でそういう実施要領考えてほしいというようなことを言っているんですけれども、やはり全体これ調整する必要が国としてはございますし、また都道府県都道府県の中で調整をしていく必要があろうと思います。  できるだけ市町村計画あるいは実施要領につきまして、今おっしゃいますような方向でなりますように調整はしていかないといけないと、そんなふうに考えております。
  16. 池口修次

    池口修次君 時間が関係がありますので、多分最後の道路整備について質問できないと思いますので、私として言わせていただきますと、やっぱり今まで社会資本、国も道路なり高速道路というのは重要な社会資本だというのは認めてはいるんですよね。  ただ一方で、無駄な道路だとかいう議論があります。やっぱりこれは私は、まあ平時というか、一般的に道路を生活の向上のために使うという観点での私は議論の中で、ある意味無駄な道路だとか効率性だとかいうことは言われているんだと思います。  ただ、武力攻撃事態という状況が変わった中でいうと、これは国民の命の問題ですから、ちょっと議論の中身が変わってきてしかるべきであるというふうに思っておりまして、やっぱりこの議論が、私、実は国土交通委員会でずっと高速道路の問題を議論していましたのでちょっと頭から離れていないんですが、高速道路においてもしかりなんですよね。本当にこの高速道路はほとんど人が通らない、だから無駄だと。ただ、そういうところこそ武力攻撃事態が起きる可能性があるんですよね。だから、そういうことを考えて本当に議論をしているのかと。  我々は道路なり高速道路というのはやっぱり国が責任を持ってこれは税金で造るべきだというふうに主張をしているんですが、ちょっと違うんですよね、答弁が。答弁が違うというのはやっぱり何かそういうふうに考えている人がいるのかなということで、ちょっと時間がないので答弁は要りません。後で必要であれば自民党の皆さんが質問していただければ有り難いというふうに思います。(発言する者あり)道路局長の答弁長いのでちょっと。じゃ、一、二分でお願いします、道路局長
  17. 佐藤信秋

    政府参考人佐藤信秋君) 先生の御指摘は、避難等において高速道路整備が十分であるか、もっと必要じゃないか、それも税金でやるべきでないかと、こういう御指摘かと思います。  そういう意味では、日本高速道路、まだまだ六割ちょっとぐらいの計画に対する整備率、そういう意味では、税金だけではなくて、有料道路制度も活用しながら、両方の制度でできるだけのスピードを上げていく、こういうことが必要かと思っております。
  18. 池口修次

    池口修次君 今、両方でと言いましたが、一方で、高速道路のユーザーが払っているのは二兆六千億なんですよ。税金は直轄事業で二千億ぐらいですか、新直轄で、毎年。本四はあと残り三年、これ三千億入りますが、本四がなくなると二兆六千億対二千億なんですよ。私は、これはいかにも、じゃ国が責任を持って社会資本を整備しているという金額ではないというふうに思っております。  もう一つちょっと重要な点が、質問したい点がありますので。今回、ジュネーブ条約追加議定書についても批准が求められておりまして、その中にも、ある意味住民避難の問題の項目があります。ジュネーブ条約追加議定書のⅠの第五十八条、この中身がどうなっているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  19. 荒木喜代志

    政府参考人荒木喜代志君) お答え申し上げます。  第一追加議定書は、五十八条におきまして、攻撃を受ける側の紛争当事者が攻撃の影響に対する予防措置を取るべきこと、これを定めており、一般住民を軍事目標の近傍から避難させることを実行可能な最大限度まで行うよう努めること、特にその(a)項でございますけれども、そこで規定しております。
  20. 池口修次

    池口修次君 今、(a)項だけ読まれましたが、(b)項では「人口の集中している地域又はその付近に軍事目標を設けることを避けること。」という項目もあります。これは、攻撃する方が軍事目標を避けるということもあるんでしょうが、やっぱりある意味この(a)項、(b)項を含めれば、やっぱりこれは住民民間人にできるだけ被害を少なくするために定められた項目で、可能な、実現可能な最大限度までということで書かれた項目だというふうに思っております。  そういう意味で、現在の、軍事目標というのもいろいろあるんでしょうからこれは石破大臣のお考えでよろしいんですが、現在の日本において軍事目標と民間の居住地域なりがどうなっているのかということと、武力攻撃事態が起きたときには軍事目標から実現可能な最大限度まで移動する努力をしなきゃいけないというふうに定められているんですが、この点について、石破大臣のお考えをお聞きしたいと思いますが。
  21. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生御案内のとおりでございますが、軍事目標とは、「物については、その性質、位置、用途又は使用が軍事活動に効果的に資する物であってその全面的又は部分的な破壊、奪取又は無効化がその時点における状況において明確な軍事的利益をもたらすもの」と、これが定義であることは先生御案内のとおりであって、そうしますと、軍事目標とはかくかくしかじかかくなるものが軍事目標でありますということが明確に定められているものではないということでございます。  したがいまして、何が軍事目標であり、それがその人口稠密なといいますか、そういうところにあるべきではないということはかくかくしかじかかくなるものがということが明確に言えるわけではない。一方、今本部長からお答えをいたしましたように、住民をどうやって避難させるかということとセットになっておるものでございます。他方、じゃとんでもないもの、だれも住んでもないようなところに駐屯地があればそれでよいのかというと、そういうものでも必ずしもないであろう。ある意味で、テロであるとかゲリラであるとか、市街地において起こりやすいというときに、いかな輸送力を担保いたしましたとしても、やはりヘリが準備できて飛んでくるまでに時間が掛かる。その辺りの兼ね合いをどう考えるかということなんだろうと思っております。  もちろん、先生御指摘の点も私どもも踏まえていかねばならないことでございますが、あわせて、災害への対応もございまして、何をどの、どこに置いたら一番よろしいかということは考えねばならぬということだと私は思っております。御指摘はよく踏まえておりますけれども、しかしながら両面あるということも先生よく御案内のとおりでございます。
  22. 池口修次

    池口修次君 多分、今はこの条約の状態にもうありますというふうには言えないと思うんです。ただ、今回批准をして、で、ここには実現可能な最大限度まで努力しなさいというふうに書かれているわけですから、この場合の軍事目標というのは、武力攻撃事態は多分、冒頭石破長官が言いましたようにピンポイントで始まる。ただ、それじゃ次がどこに行くかということはだれも想定できない。相手しか分かんないわけで、その場合には、やっぱりかなり広範の範囲の軍事目標から避難をさせろというのが、私はこのジュネーブ条約の五十八条だというふうに理解をしております。  そういう意味で、そこまで考えて、かなり武力攻撃事態国民保護法制ではある特定の地域想定するだけなんですが、このジュネーブ条約考えれば、やっぱり日本の中の考え得るかなりの軍事目標から避難をさせなきゃいけないという解釈になるんですが、これは大臣はどう、石破大臣はどう考えているのか。
  23. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 繰り返しになって恐縮でございますが、五十八条(b)の規定は、平時において締約国に対して義務を課すものではございません。また同時に、先生御指摘の武力紛争中におきましても、あくまで紛争当事者に対して実行可能な最大限度まで、人口の集中している地域又はその付近に軍事目標を設けることを避ける旨と、こういうことでございます。  ですから、私ども特定の脅威を想定をしているわけではありませんが、それぞれの地元においてイメージをしてみたときに、何がどのようにしてそのような軍事目標となり得るものなのかということも考えてみなくちゃならぬし、その軍事目標なるものがどれだけ敵の侵害排除を迅速に行うことにおいて寄与するのかということも併せて考えていかねばならない。私はこれを読んで思いますのは、現代戦の様相において、あるいはテロとかゲリラというものの生起において、本当にどこにどのように配置をすることが適切なのかということなのだろうと思っております。  一方におきまして、私どもに今、防衛計画の見直し等々、政府部内で行っておるところでございますが、駐屯地、なるべく出ていってくれという話もございますが、一方、きちんとここにいてもらわなければ困るよとおっしゃるような御陳情もたくさんいただいております。軍事合理性ということも勘案しながら、ジュネーブ条約の趣旨もよく理解をした上で対処してまいりたいと考えております。
  24. 池口修次

    池口修次君 今、個々の問題についてこれであるべきだというような議論をする時間がないですし、多分まだ政府の方も、じゃこの避難の手段をどうやって確保するのか、若しくは軍事目標、このジュネーブ条約についてどうやるかというところまでは決め切っていないというふうに思いますが、ただやっぱり今回のこの武力攻撃事態議論の中で、今までの日本とは私は全く違う状況に我々は考えなきゃいけないと。今までのような平時、日本には戦争は起きないんだということから、やっぱり日本においても武力攻撃事態があるんだという想定に変わってきたというふうに思っております。  そうしたときの、先ほど申し上げた社会資本、一般的に今社会資本というのは生活向上というふうに言われていますが、私は若干、その多分、高速道路なんかの問題でいえば、アウトバーンなんていうのは特に生活向上というよりもやっぱり軍事的な面から発展したというふうに言われておりますので、やっぱり社会資本をどういう形で整備していくのかというのは全く状況が変わってくる。じゃ、それだけのお金が今、日本にあるのかという問題があるんですが、やっぱりこれは政府責任において、国民の命をどう守るかというのは政府責任ですから、それはちゃんとしっかりやっていただきたいということをお願いをしまして、時間来ましたので私の質問は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  25. 平野達男

    平野達男君 引き続いて、平野達男でございます。  残りの時間、私がやらせていただきます。  今日、今までの内閣法制局長官のいろんな答弁を聞いておりますと、多国籍軍への参加という意味合いがどうも変わってきているんじゃないかという疑念を非常に持っております。  小泉総理が多国籍軍に、継続して自衛隊が駐留して活動するために参加するんだというようなことが表明されたということがマスコミに流れています。私自身は、自衛隊が国連の決議を受けてイラクの中で活動するということについては、考え方は別ですけれども基本的には賛成であります。  ただ、今までの法制局長官のいろんな答弁を聞いておりますと、どうもこんな考え方でいいんだろうかという疑念がどんどんどんどん持ち上がってきています。今日は、その点に関しまして、まず最初に冒頭お聞きしたいと思います。  この国連軍に対する参加ということなんですが、一番最初に政府答弁が出てきたのは、私の理解では昭和五十五年、一九八〇年でありまして、当時の鈴木内閣総理大臣が出した答弁書の中に出ております。ちょっと読みますと、「いわゆる「国連軍」は、個々の事例によりその目的・任務が異なるので、それへの参加の可否を一律に論ずることはできないが、当該「国連軍」の目的・任務が武力行使を伴うものであれば、自衛隊がこれに参加することは憲法上許されないと考えている。」と。  キーワードは、「目的・任務が武力行使を伴うもの」という、これ「伴うもの」のワードです。これ、普通日本語で解しますと、幾つかの任務がありますと、武力行使を専ら使って目的を達成するもの、あるいは人道支援もあるかもしれません、あるいは医療援助みたいなのもあるかもしれません。複数の目的にワン・オブ・ゼムとして入っていれば、これは憲法上許されないものと考えているとしか読めないんですが、これは今の内閣法制局ではどのような解釈で臨んでおるんですか。
  26. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 御質問は、その目的、任務が複数あって、そのうちの一部が武力の行使を伴うものであるような国連軍については、その目的、任務の全体が論理として武力の行使を伴うということになるのではないかということでございますが、それは基本的にはそのとおりだろうと思います。  私どもが申し上げておりますのは、例えば多国籍軍に加わる国ごとにその行うべき任務が切り分けられていて、それで武力の行使を伴わない任務にかかわる業務に限定して従事することができるような場合には、一定の要件を満たされれば我が国としてはこのような多国籍軍に加わる、一員となるということが考えられないわけではないということを申し上げてきているわけでございます。
  27. 平野達男

    平野達男君 これは、そうしますと、小泉委員も言っておりましたけれども小泉小泉委員小泉総理、ちょっとごちゃごちゃになりますが、小泉総理参加と言っています、言ったというふうに言っています。これは、外務大臣、これ正しいですか。これ通告申し上げなくて済みません。でも、分かっていると思いましたので。
  28. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) ちょっと手元にきちんとした文書を持っておりませんでしたので、失礼をいたしました。  おっしゃられましたのは、多国籍軍が形成され、その中で日本としてできること、いわゆる人道復興支援を継続していく方向で検討していきたいと思う、この問題は国内に、日本に帰国してから与党を始め皆さんと相談していきたい、どのような日本としてふさわしい支援、協力ができるのか検討していきたいという言葉を使って記者会見でおっしゃっていらっしゃいます。
  29. 平野達男

    平野達男君 とすると、マスコミが伝えるように参加じゃないんですね。参加を決めたわけじゃないんですね。
  30. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 記者会見の中で総理参加という言葉は使っていらっしゃらないわけでございます。  いずれにいたしましても、先週も申し上げましたように、総理発言を踏まえまして、自衛隊の位置付け等々については今後政府として適切に判断をしていくということでございます。
  31. 平野達男

    平野達男君 それじゃ、法制局長官にお伺いしますけれども、これは参加と協力ということで中山国務大臣が答弁したやつです。これ参加と、国連軍の参加については参加と協力というのがある。これは小泉委員質問されたとおりで、そのときには法制局長官が答弁されておりましたが。参加というのは、国連軍の指揮下に入り、国連軍の司令官の指揮下に入り、その一員として行動することだと言っています。この解釈は変わっておりませんか。
  32. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 参加という言葉につきましては、一般的にその一員として加わるという広い意味、あるいは、そういう意味と、それから、厳密にその多国籍軍の司令官の指揮に入ってその一員として行動するという意味と、両方あろうと思いますが、厳密な意味において参加という言葉を使うとすれば、それは今御指摘のとおり従前の意味でございます。
  33. 平野達男

    平野達男君 そうしますと、先ほど法制局長官の言葉によりますと、切り分けられているという状態で、その切り分けられた形で、目的が、任務とするところが例えば人道支援であればそれは参加ができるという理解で、というふうに取ったんですが、それはそういう理解でよろしいんですか。
  34. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 六月一日以後の小泉親司委員との質疑に対する答弁におきまして、いろいろ同じ趣旨のことを申し上げたわけでございますけれども、その中で、厳密な意味参加と、それから今、一般的な一員となるという意味参加と、何と申しますか、区別しないで、やや言葉のきめの細かさが足りなかった答弁が一つ二つあったと思いますが、私の申し上げたことをもう一回整理して申し上げたいと思います。  その目的の任務に武力の行使を伴うものが多国籍軍について我が国がこれを関与しようとする場合、そのような多国籍軍につきまして我が国が関与するような場合には、他国の武力の行使と一体化することがないことを担保する仕組みがなければならないと考えます。  ただいま申し上げましたような考え方に基づき、六月一日の、先ほど申し上げました小泉委員とのやり取りを少し補充しながら説明させていただきますと、一つの例として、目的、任務に武力の行使を伴うものと伴わないものがある多国籍軍の類型を設定いたしまして、例えば我が国としては、当該多国籍軍の任務のうち、武力の行使を伴わない任務にかかわる業務に限って、他国の武力の行使と一体化しないということが確保される形態、この場合には当然我が国の主体的判断が確保されることが必要とされるわけでございますが、そういうような形態で行うことが認められており、かつそのことが我が国として活動に係る期間を通じて確保されるというような仕組みがある場合には、我が国としてこのような多国籍軍活動に広い意味で一員として加わっても、一般に従来の答弁において認められないものとしておりますいわゆる参加、かぎ付きの参加でございますね、多国籍軍の司令官の指揮の下でこれの一員として行動することに該当することがないから、これに加わることが否定されるものではないという趣旨のことを申し上げてきたわけでございます。
  35. 平野達男

    平野達男君 今の答弁と昭和五十五年の答弁はもう全く別ですよね。昭和五十五年の政府答弁は、繰り返しますけれども、その目的に武力の行使を含むということしか書いていないんです。  で、その解釈を今長々と申されましたけれども、今、法制局長官の答弁を私なりに解釈しますと、政府答弁はこのような解釈になると思います。当該国連軍の目的、任務が武力行使を伴うものであってもですよ、その目的の中に別な目的があって、かつ、その目的を主体として参加して、自衛隊が武力の行使あるいは武力の行使と一体となる行動をしなければ国連軍に参加することは憲法に反しないという、こういう流れになってしまうというふうに取ってしまうんですが、それでよろしいですか。
  36. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) ただいま申し上げましたことは、基本的にその一部が武力の行使を伴うような多国籍軍につきましては、その目的、任務の全体が武力の行使を伴うということに基本的になると考えております。したがいまして、そのような多国籍軍に我が国が広い意味での参画を、関与をするという場合には、いわゆる定義された意味での参加になりますとそれは他国の武力の行使と一体化するというおそれがありますので、そうではなくて、そういう我が国の主体的な判断が確保される形での参画でしか認められないと、基本的にはそういうことでございます。
  37. 平野達男

    平野達男君 じゃ、そうすると、もう一回、今繰り返しますけれども、目的が複数あって、ワン・オブ・ゼムの中に武力行使が入っていたということであれば、これはいかなる状況の中でもこれは参加できないということでこれは理解よろしいですね。そして、もし参加できるとすれば、武力行使は全く、という目的を持たない多国籍軍であればこれは参加ができると、こういう理解でよろしいんでしょうか。
  38. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 従来、平成二年の中山外務大臣答弁で申し上げております参加、かぎ付きの参加でございます。そのようなものにつきましては、基本的に、委員が御指摘なさいましたとおり、我が国の主体的な判断が確保されているという状況でない限り、それに対する関与はできないというふうに考えております。
  39. 平野達男

    平野達男君 我が国が主体的に関与するというのは具体的にどういうことですか。つまり、逆に言えば、主体的な関与がやっていれば──どうも、分かりやすく説明してくださいよ。いいですか。  今回の国連軍は目的が複数あるんですよ。これはマスコミは参加と言っていると。参加の問題は、参加という定義が、今までの言葉からいきますと、司令官の指揮下に入って行動することだと言っていると。  では、どういう条件であれば自衛隊は多国籍軍参加できるんだと。それを、憲法上の流れからいってどういう条件がクリアされなければならないのかということを分かりやすく言ってください。
  40. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 参加という言葉が、冒頭申し上げましたように、かぎ付きの意味の決まった参加と、それから広い意味の参画というような意味での参加と両方あろうと思いますが、私ども考えております意味では、先ほど申しましたように、武力の行使がその一部の目的、任務として決まっているような多国籍軍につきましては、その当該多国籍軍の指揮官、司令官の指揮の下に入りまして、その一員として行動するというような形態のかぎ付きの参加はできないと。  それから、それに対しまして、我が国がそういう形態でなく、主体的にその業務をやるかやらないか、あるいは当該個別の業務についてやるかやらないか、それから一定の要件を満たしましたときに、その業務を、から中止したり、あるいはその業務を終止すると、終了するというような判断が我が国としてできるという状況であれば、その多国籍軍にその一員として加わるという意味ではそれに関与することができるということでございます。(発言する者あり)
  41. 平野達男

    平野達男君 その正にあの質問、私もしたいわけですけれども、今の答弁を聞いていますと、実は多国籍軍とは独立して行動するんですというふうに聞こえます。そうすると、先ほどの、今、先ほど小泉委員が隣で大きな声出して言いましたけれども、従来の協力とどう違うんだという議論が出てきます。  今、二つ、私は二つ質問します。  今の法制局の答弁、局長長官の、法制局長官の答弁を聞きますと、自衛隊は多国籍軍としては別行動で自由な意思を持ってやるんだということがまず担保されることが必要だということのこれは確認をまずさせていただきます。  それからもう一つは、じゃ、その前提で、その上で、協力とどう違うんだと。  この二点をちょっと、簡潔にちょっと御説明してください。
  42. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 多国籍軍の司令官の指揮に入り、その一員として行動することは、これは従来の意味参加でございますから、それはできないと。  それから、協力と申しますのは、この平成二年の大臣答弁にありますように、国連軍に対する参加を含む広い意味での関与形態を表すものであるということでございますから、そのような指揮に入らない形で関与する、参加という形態に該当しないで関与するということは広い意味参加になろうと思います。(発言する者あり)失礼しました。訂正いたします。広い意味の協力に入ろうと思います。
  43. 平野達男

    平野達男君 じゃ、そうすると、あれですね、マスコミが言うところの参加というのはないということですね。自衛隊がやるとすれば、これは協力という形になるということですね。
  44. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 今回の多国籍軍に我が自衛隊がどのような位置付けで関与するかということはまだ検討中でございますけれども、仮にそのような……
  45. 平野達男

    平野達男君 解釈論でいいです。
  46. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 指揮に入り、その一員として行動するという意味での参加は、これは憲法上問題があるというふうに考えております。
  47. 平野達男

    平野達男君 そうしますと、今回の多国籍軍、アンダー・ユニファイド・コマンドというのがどういう意味かよく分かりませんけれども、複数の目的がありまして、その中にどうも武力の行使も入っていると。そういう状況の中で指揮下に入るということは、これは憲法違反であるということは今明確におっしゃいました。そうすると、指揮下に、指揮に入る、指揮下に入らないで、私の言葉で言えば独立した形、ちょうど今の暫定政権に対する自衛隊のような位置付けですね、そういった位置付けであればこれは可能で、憲法上問題ない。これは今の言葉でいけば協力だと、に近い形になると、こういうことですね。だから、今ずっと新聞紙上をにぎわしてきた参加という言葉はこれから使っちゃ駄目ですね、憲法解釈上は。
  48. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 広い意味で、先ほど申しましたように、関与するという意味と、それから厳密に私どもが、政府が定義して申し上げてきたような参加と両方あろうと思いますけれども、その厳密な意味での参加という意味では、マスコミがどのような言葉を使うかは私どもは制限できないわけでございますけれども政府としてはそのような参加という言葉、従来の意味での参加という言葉では自衛隊は多国籍軍に関与できないということでございます。
  49. 平野達男

    平野達男君 それじゃ、今のお話を聞いていますと、はっきりと、これはちょっと外務省に聞きますけれども外務省は今回の一五四六の決議文を作るときに日本参加しやすいような形での書きっぷりについていろいろ働き掛けたというような報道がされていますが、今の法制局長官の答弁を聞いていますと、指揮下に入るような、従来の指揮下に入って行動をするというようなことは憲法、非常に問題があるんじゃないかと。むしろ多国籍軍とはいえ、暫定政権とは独立した形で今自衛隊働いて、動いておりますね。その多国籍軍自衛隊というのは独立した形という、という形で参加できるようなことがはっきり分かるような決議文というのは、これはできなかったんでしょうか。
  50. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 我が国の自衛隊は、今イラクで、イラクの人たち、サマーワの人たちに歓迎を受ける形で活動をしているわけでございまして、引き続きいてほしいという要望はジバリ外務大臣あるいはアラウィさんからも言われているわけでございます。  それで、我が国として引き続き活動をしたいというふうに考えている、そういう観点からどのような形で我が国が活動を、新しく決議ができ、七月一日から移行したときにできるか、どのような形でできるかということについては、政府としてずっと関心を持って働き掛けてきたところでございます。どのような形で参加をすることができるかどうかということにつきまして、要するに自衛隊の位置付けでございますけれども、それについては今後、正に政府として、今の決議を受けて可能かどうかということも含めて議論をするその中で適切に判断をしていくということになるわけでございまして、今の時点で外務省として、おっしゃった御質問について直接お答えをするということはできない。今、我々としてやりたいと思うから最大限の働き掛けを行いました。それを受けて、今後政府として適切に判断をするということになると思います。
  51. 平野達男

    平野達男君 今の答弁を聞いておりますと、実は自衛隊がどういう形で参加するというのはまだまだ検討課題たくさんあるんだと、特に憲法上の形でその指揮下に入るのかどうか、あるいはどういう編成でやるのか、これは今まで防衛庁長官もいろいろな形で答弁されていますが、それを検討する必要があるというふうに言っておりまして、そうしますと、我が国が国連軍に参加するかどうか、あるいは協力するかどうかというのはまだこれはペンディングだと、検討途上だと、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  52. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 総理が記者会見でおっしゃいましたので、要するに、多国籍軍が形成され、その中で日本としてできることを、いわゆる人道復興支援を継続していく方向で検討していきたいと思うということを総理が記者会見で言っていらっしゃるわけですから、政府として今後そういった方向で参加することについていろいろなことを検討し、適切に判断をしていくということでございます。
  53. 平野達男

    平野達男君 ですから、参加するかどうかも含めて、参加するためのまだ条件がクリアされていませんね。参加なのか協力なのかも、それも含めて、そういった問題に対してきちっと整理がされていませんよね。だから、そういったものが整理されていない段階で、自衛隊がこれは多国籍軍にどう参加するとか協力するというのは言えないんじゃないですかということを言っているわけです。だから、あくまでもそれは検討の検討の検討中であって、参加、協力、そういうものを決定したものではないという、そういう理解でよろしいですかということなんです。
  54. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 政府として今後検討を行い、適切に判断をしていくということでございます。そのときにベースとすべきことは、総理が記者会見でおっしゃった、多国籍軍が形成され、その中で日本としてできること、いわゆる人道復興支援を継続していく方向で検討していきたいというふうにおっしゃっていらっしゃるわけですから、それを受けて検討をし、適切に判断をするということでございます。
  55. 平野達男

    平野達男君 それじゃ石破長官にお伺いしますけれども石破長官は若林委員質問に対してこのように答えています。まだ総理がお立ちになる前のことでございますけれども、イラクに駐留、失礼、イラクにおける活動を継続するとすれば何が根拠になるかという御質問をいただきました、私、そのときに特措法が根拠になるというふうにお答えしたかと思いますと。これはなぜこんなこと、答えができますか。
  56. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほど来外務大臣からお答えがございますように、総理の御発言を踏まえ、政府として検討していくということになるわけでございます。  ただ、活動を継続するということで総理もおっしゃっておられるわけで、現在ございますのはイラク特措法という法律がございます。それに続けるとすればイラク特措法ということが根拠になる、そしてそれと国連決議というものが矛盾しない形であることが必要であると考えております。  これは詳細、今の委員の御指摘も踏まえまして政府の中で、まさしく総理がおっしゃるように、皆さん方とよく相談をしながらということになるわけでございます。政府として適切に判断をしてまいりたいということでございまして、国連決議、そしてまた国内法、憲法との関係、その辺りをきちんと整理をして検討をしてということになるということでございます。ですから、まだ総理がお立ちになる前に、私そのような答弁をいたしました。それはそういうような、仮に今後行うとするならばイラク特措法というのは根拠になるということを考えて申し上げたものでございます。
  57. 平野達男

    平野達男君 つまりこれも前提条件付だと、こういうことですね。しかし、答弁には、そのような答弁にはなっていませんが、いずれ、先ほどから申し上げた、るるいろんな、憲法との関係、そういったものは条件がクリアされて、かつ、されて特措法じゃないかという、そういう見解を述べたと、そういうことですね。  いずれ、どうもマスコミが悪いのか総理が悪いのか分かりませんが、参加という言葉がどんどんどんどんもう走っています。既成事実化しています。これは政府としてぎっちりこれ修正しなくちゃ駄目ですよ。つまり、法制局長官がいろいろ述べましたけれども憲法上の、参加形態によって憲法に触れるかもしれないという重大問題なんです、これは。今までの解釈憲法自衛隊派遣するという前提でその論議を進めるとすればですよ。ところが、政府はそれに対して何のコメントも発表してないじゃないですか。  新聞の一面は、参加を検討とか、参加の意向を表明とか、そういう言葉でもうどんどんどんどん走っちゃっていますよ。国民がどういうふうに受けているかといったら、多国籍軍自衛隊はもう参加するんだと。今いろんな新聞紙上の中では、これ指揮下に入るとか入らないとかというようなことで、いろんな議論も交わされていますけれども、そういう論調がどんどんどんどん走っている。  法制局長官の答弁も、今日はある程度今までの答弁よりはクリアになったと思いますが、小泉委員とのやり取り聞いていますと、何が、要するにどういう形なら自衛隊派遣できるのか、それから前の、今までのいろんな答弁との整合性をチェックしていきますと、いろいろやっぱり矛盾がありましたよ。ただ、私も、まだ今日の法制局長官の答弁で、本当にこれでイラクに自衛隊が駐留できるのかどうかというのは大いに疑問のところがあります。今の解釈憲法という前提をした、という議論を前提にしたらですよ、私どもはちょっと別な考え方を持っていますから。  それで、ちょっと、話はちょっと変わりますが、官房長官、申し訳ありません、忙しいところ。今のような議論をお聞きしてというよりは、その議論を踏まえなくてもいいんですが、仮に特措法で行ったとして、基本計画特措法を変えないということで、百歩譲ってそれ前提で考えて、基本計画をこれは変更をするかしないか、これだけちょっとお答えください、御答弁ください。
  58. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) お答えいたしますが、その前に、参加ということについて、私何遍も記者会見しておりますし、総理の現地でのサミットにおける記者会見等もすべてフォローしておりますので申し上げますと、参加ということは一度も申したことはございません。そして、むしろ記者団に対しても、参加ということではないと、従来のありようにおけるこの人道復興支援の継続であるということを何遍も申しますが、それを記事にするときには参加となってしまうということが毎日起こって、先週ずっと起こっていたことを申し上げたいと思います。  それから、ただいま御質問の安保理決議一五四六の内容につきましては、十分に検討をし、サミットにおける各国首脳の議論や関係各国との協議も踏まえた上で、憲法を含む関係国内法令との関係も考慮しつつ政府として適切に判断する考えであります。  帰国されたばかりでございまして、今日、総理とまた各国との協議内容その他含めまして十分相談をいたしまして、今後必要な措置を取ってまいる所存でございます。
  59. 平野達男

    平野達男君 今の答弁の前に、内閣官房長官参加という言葉は使ったことがないというふうにおっしゃいましたね。外務大臣はさっきも使っていますよ。これは政府内での意思統一、見解不統一じゃないですか、これ。参加参加と言ったじゃないですか、先ほど。
  60. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 総理も私も……
  61. 平野達男

    平野達男君 いや、外務大臣使っていますよ、それ。
  62. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 多国籍軍に我が国が参加をするということは私も申し上げていないと思います。いろいろなことを検討するということを申し上げているということで、その後それを検討し適切に判断をするということを申し上げているわけです。
  63. 平野達男

    平野達男君 そこの参加という協力については、これは小泉委員がこの委員会の中でぎっちりかなり議論したことです。その参加という言葉を使うから、参加も含めて今検討するとおっしゃいましたけれども参加というものを含んで検討するということは、参加という言葉が出る以上は統一指揮、指揮の下において、司令官の指揮の下に行動するということになっちゃうんです。それは先ほどの法制局長官の答弁によれば、一つの目的あるいは目的の中に武力の行使が入っているという以上は、それはできないということでおっしゃいましたので、そこは外務大臣も答弁に気を付けなくちゃならないと思いますよ、そこは。  それから、今の官房長官の答弁なんですけれども計画についても、これは場合によったら変更しなくてもいい場合もあり得ると、こういうことですね。含みがあるということですね。
  64. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) いや、本日から内容的に法律的な観点からも十分な詰めを行いますので、もうちょっと時間が掛かるということでございます。
  65. 平野達男

    平野達男君 今日は、私は特措法で何でいけるんですかという法的なものを聞くつもりはありません。これはこの間、若林委員がこの中でいろいろ聞きまして、石破長官答えられておりましたので、あれ以上の答弁、多分ない、ないだろうと思います。  ただ、私は、今るる議論がありましたように、自衛隊が多国籍軍に協力なのか参加なのか分かりませんが、どういう形で参加するかというのはまだ決まっていない。これは、それからもう一つ、まず、まず決まっていないわけですね。それから、非戦闘地域というその概念、今日はちょっとこれ時間がないので、いろいろ議論したかったんですが、できませんが、非戦闘地域というその法制定時のときのその状況と今の状況が比べますと、治安状況というのは良くなっているどころじゃなくて悪化しているというようなこともありまして、法律、少なくとも法律は、私はこれは別の法律を作って国会として何かの形で多国籍軍に、繰り返しになりますけれども、多国籍軍に協力という形なのかどうか分かりませんが、新たなそういう枠組みで出す以上は、どういう形かで国会としての意思を明らかにする場、これは一番いいのは新しい法律を制定することですね、そういったことをやっぱりやるべきじゃないかと思いますけれども、これは防衛庁長官と官房長官にちょっと見解を伺います。
  66. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほど来、外務大臣あるいは官房長官、私もお答えをしていることでございますが、いろんな観点から検討していくということでございます。  それは、国会の御議論、例えて言いますと、金曜日にも、衆議院安全保障委員会で与党の方々あるいは御党の方々始め、いろんな御議論がございました。そういうような御議論、あるいはまた今の委員の御指摘等々も踏まえまして、政府として適切に判断をしていくということになります。
  67. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 今の我が国自衛隊の現地での人道復興支援のありよう、水関係ですとか医療、そして公共施設の復旧、これについての復旧支援は、先般もヤウエル大統領からも極めて高く評価されたように、イラク国民から大歓迎を受けて実施しているものでございます。  そのような形での人道復興支援は継続していきたいというのが現在の我々の考え方でございまして、そのことは国民の皆様方の多くも御理解いただけるのではないかと考えておるわけでございます。
  68. 平野達男

    平野達男君 その必要性について私は何ら異議を唱えるつもりはありません。  ただ、どういう枠組みで、どういう考え方でいくかというのは、これはそれこそ第九条との絡みでずうっと議論してきた経緯があるわけです。その解釈に何らかの影響を及ぼす、あるいは解釈を変えるというような状況があると、懸念があるという状況の中では、例えばこれは政令改正だけで済む、あるいは計画の変更もしなくてもいい、少なくともこういう状況の中では国会の関与の仕方がないんですね。これは大変重要な問題だと思うんです。  これは内閣、政府だけで決断をするというのではなくて立法府、その国会の意思、その考え方をきっちり問う。それは、それは示すというようなそういう枠組み、やり方をこれは是非検討していかなくちゃならないと思いますし、私どもは、これを強く主張したいと思います。  それで、ちょっと質問の内容がちょこっと変わりますけれども、時間の関係であれですね。  私は今の、防衛庁長官ですね、今のイラクでの活動の中で、復興人道支援の業務に差し支えない範囲で安全支援活動がやれるという規定があって、要するに輸送、補給活動が、やりますね、やっていますね。これは、もし多国籍軍に協力という形なのか、まだ参加になるのか分かりませんが、多国籍軍の形の、一員の、一員として輸送、補給をやるということになりますと、これはテロ特措法にもない、イラク特措法にもない、新たな形が出てくることになるんですね。これはこういう御認識持っておられるでしょうか。
  69. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 現在、安全確保支援活動というものを行っております。  今委員の御指摘のように、そういうような一体化、つまり委員の、今のイラク特措法は一体化にならないということ、委員の御不興は買うかもしれませんが、非戦闘地域という概念を設定してやっておるわけでございます。仮に、これは政府部内の検討でございますが、いかなる場合におきましても、確かに先生おっしゃいますように治安の状況は変わったではないかということがある。しかし、それが戦闘地域、逆に言えば非戦闘地域でなくなったではないかということとはまた別のお話だろうと。これは私どもの理屈でございます。  いかなる場合にしても、非戦闘地域で行うということは担保をされなければいけない。一員、参加、そういうような議論はこれから政府の中できちんとやってまいりますけれども、いかなる場合におきましても、自衛隊が武力の行使をしない、あるいは一体化と評価されるようなことは行わない、そのための仕組みをきちんと確保するということについては何ら変わりがないものと考えております。
  70. 平野達男

    平野達男君 官房長官、もしあれであれば、委員長の了解で──私が質問したかったのは、今、防衛庁長官のおっしゃったことは、今までの議論の延長線上からいけばそのとおりだと思います。そうではなくて、テロ特措法とは、どちらかというと協力的な形だったというふうに私は思っています。連合軍に参加しておりません。それから、イラク復興支援法は暫定政権とは別に形で行動するという仕組みになっています。  今回、多国籍軍という形で完全に独立していればいいんですが、その多国籍軍と、例えば先ほど言ったような参加に近いような状況、その指揮下に、指揮権に、指揮下に、失礼しました、司令官の指揮の影響が多少及ぶような影響の状況の中で、非戦闘地域とはいえ補給、輸送するという事態は、これは今までの仕組みとはちょっとなかった仕組みになる可能性があるんですね。ここは要するに十分気を付ける必要があると思うんですが、そういう御認識をお持ちでしょうかということをちょっと言いたかったんです。
  71. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 全く同じ答弁になってしまって恐縮でございますが、本法に基づき、本法に基づきというのはイラク特措法のことですけれども派遣された部隊が我が国の主体的判断に基づき活動することは、これは当然のことと考えております。一方、非戦闘地域というものはいずれにしても満たされなければいけないわけですし、イラク特措法はその仕組みをきちんと設けているものでございます。  そのようにして考えてまいりますと、統治権限が移譲される、すなわちCPAというものはなくなり、主権が回復をされ、政府ができるということになるわけでございますが、その後も引き続き自衛隊の部隊が我が国の主体的な判断を確保した上で活動していくこととなります以上、当該部隊の活動が他国の軍隊が実施する治安維持活動等との関係においても武力の行使と一体化の問題を生ずることはないということであります。  ワーディングをどうするかということは、従来との答弁との整合性も含めてきちんと政府として決めなければいけないことだと思っておりますが、先ほど法制局長官が申しますように、いずれにしてもきちんとした担保、枠組みというものは必要だろうと。現在の場合には、これはもう本当に、このお答えをするのはもう百何十回目かになろうかと思いますが、非戦闘地域であるということでそれが確保をされておるということでございまして、それは安全か安全ではないかというものとは、重なる部分もございますが、概念論的には別のものでございます。
  72. 平野達男

    平野達男君 それじゃ、担保という言葉が今出ましたので、ちょっと確認をさせていただきますけれども、先ほどの法制局長官の答弁を踏まえますと、まず、繰り返しになります、武力の行使を目的とするもの、武力の行使を目的に入っている場合には参加、従来の意味のような概念での参加はこれはできないと。そして、そういうものではなくて、個々ばらばらで、例えば復興、人道支援という目的というもので例えば部隊編成ができるのかどうか分かりません、そういったものについては、これはどうも私の解釈によると参加は可能だということかどうか。これをもう一回、まず確認、これは法制局長官に確認します。  それからもう一つ防衛庁長官に確認しますが、要は、究極の話は、究極というか、究極になるかどうか分かりませんが、武力の行使と一体となるような、他国の武力の行使と一体となるような命令は、一体となるような行為の命令、指示、要望は来ない、来たとしても、日本としてはそれは日本の独自の判断で拒絶できる、拒否できると、そういう枠組みができ上がるという、こういう理解でよろしいですね。
  73. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) 今のお尋ねは、やはり具体の当該多国籍軍の目的、任務、編成などについて判断しなければなかなか難しい点があると思いますが、要はその司令官の指揮に従ってその一員として行動するというような形態のものに我が国の組織が組み込まれるということになりますと、それは憲法上の問題があるということでございます。
  74. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いずれにいたしましても、これは根拠法が特措法でございますとするならば、するならば、そういうことは起こり得ない、一体化すると判断されるような行為はそもそも行い得ないということであります。
  75. 平野達男

    平野達男君 それは、こちら側の、また政府の要するに一方的な解釈だと思います。つまり、多国籍軍に協力という形の、でも参加になるか分かりませんが、いずれ多国籍軍には司令官がいます。そのイラクが情勢が混乱したときに、例えばここからここまで燃料を輸送してくれないだろうか、それから医療品を最前線まで送ってくれないだろうか、これは最前線ですから今のこれはもう憲法に違反をするわけですけれども、そういった指示が来ない、来たとしても、まかり間違って要望が来たとしても、それは日本軍として拒否できると、それを全多国籍軍が、多国籍軍の司令官、それは各国が了解すると、そういうことがしっかり周知徹底されていなければいけませんねということを言っているわけです。
  76. 石破茂

    国務大臣石破茂君) もちろん、先生よく御案内の上で今御質問になっておられるわけですが、例えば最前線へ運んでくれなどというのは無理でございますよね。非戦闘地域の要件を満たしません、そもそもですね。拒否するかしないかという点は明確にきちんと今お答えすることはできませんが……
  77. 平野達男

    平野達男君 しなきゃ駄目じゃないですか。
  78. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ですが、まかり間違ってとか万が一とか、まかり間違った命令とか万が一の命令というのは、それは来ないのだろうと思っています。  それは、いずれにしても自衛隊としてそれが行い得ないということ、で、それは相手から見てどう思う、これは集団的自衛権の議論なんかもそうかもしれませんが、相手から見てどう見えるのかということと、我が国がきちんと根拠法令たる国内法、その最上法規である憲法に従った行動をしなければいけないし、それしかできないということは当然のことであって、それが相応でない、それを逸脱するようなことがないような仕組みを確保するということは、当然必要なことだということを申し上げております。
  79. 平野達男

    平野達男君 それじゃ質問の仕方を変えますけれども、要は日本の行動原理、自衛隊の行動の原則、それからこういうことについて限界がありますよということについては多国籍軍、これから編成されていくだろう多国籍軍ですよ、それが完全に理解していることが前提ですねということを言いたいんです。その上で、そうでないとイラク特措法という、これは我が国はこれに基づいてやろうとしているようですけれども、その枠組みに基づいて行ったとしてもいろんなそごが生じるという危惧がありますから、そこを確認しているわけです。
  80. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いずれにしても行い得ないわけであります。ですから、その辺りをどのようにしてこれから先政府の中で、これはもう多国籍軍との関係もございます、全会一致で採択された国連決議というものもございます、そこも踏まえて政府として適切に判断をしてまいるということでございます。
  81. 平野達男

    平野達男君 以上のような一杯、一杯というか幾つかの重要な問題があると思うんですよね。これを今のまま政府だけの判断でやるというのは、これは本当に今の国会政府との関係上非常にまずいと思いますよ。憲法との整合性の問題、それから運用上の問題、多国籍軍がどのような形になるか、まだまだ詰めなくちゃならないという課題だらけじゃないですか。その中で、どうも枠組みはイラク特措法でいけそうだという前提で検討がどんどん進んでいる。  これ、このままいきますと六月の十六日で多分これで国会解散になるでしょう。暫定政権は……(発言する者あり)失礼しました。大変失礼をいたしました。閉会になります。小泉さんが、小泉さんが内閣総辞職すれば別ですけれども、まず、今、ごめんなさい。そうしますと、六月一杯で暫定政権が、失礼しました、CPAが解散して暫定政権ができると。それで、国会は多分九月か十月か分かりませんが、その間に政府がやろうと思ったら、政令を変えて、計画の変更もなくしてそのまま継続できる、これは本当国会軽視以外の私は何物でもないと思います。  これは、今日、総理がおりませんから、総理に是非それを伝えていただきたいと思いますし、外務大臣防衛庁長官も、ここは解釈がどうのこうのというのじゃなくて、政治家として、外務大臣は政治家じゃない、ないかもしれませんけれども外務大臣として、防衛庁長官として是非判断をしていただきたいと思います。  今日は、外務大臣といろいろと、例の大量破壊兵器の問題とかいろいろ議論したかったんですけれども、ひょっとしたらこれが多分外務大臣質問できる最後の機会になるかもしれないということもありまして、是非やりたかったんですけれども、次回あるということを期待して、もしなければ、今まで本当にどうもありがとうございましたということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。     ─────────────
  82. 清水達雄

    委員長清水達雄君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、愛知治郎君が委員辞任され、その補欠として福島啓史郎君が選任されました。     ─────────────
  83. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。  この間の参考人の意見陳述の中で、この法案、七法案三条約、六十万字に及ぶこの法律を読み切れれ、読み切った議員さんがおられれば称賛に値するという趣旨の発言がありました。それほど大変な量の質問ですから、私、短時間ずつ繰り返しますけれども、まだ総論の前書きなんです。ですから、今日もまたその総論の前書き部分を繰り返すことになります。  私、これまでの論議を聞いて非常に強く感じたのは、日本への武力攻撃の危険性をどう考えるかという問題について、政府の答弁には非常に重大な疑問を持たざるを得ません。  というのは、我々日本は、かつてアジア太平洋戦争の際に、大本営発表で負け戦を勝っていると国民に信じ込ませながら戦争をやった。今度の有事法制で、私は、それ形は変わるけれども日本武力攻撃を受ける危険性があるということを非常に強調してこの法案の必要性を国民にうんと言わせようとする、そういうことを感ずるからであります。  日本武力攻撃が行われる危険性というのは私、ここで何回も言ったと思いますが、かつて福田首相は万々々々が一、万が四つつながっておりました。ある人にこれはどれだけか言ったら、一兆を超えて一京分の一の可能性だということでありました。  最近、防衛庁の文書を見ましても、そういう危険性というのは低下しているというように書かれているわけです。その一京分の一の危険性よりももっと万が六つか七つ付くぐらいな危険性に低下した時期に、なぜ何十万の軍隊日本に侵攻してくる危険性を想定したこういう法律、そしてそれに対して平時から訓練をしなくちゃいかぬというような法律をどうして作るのか。私は、それについて非常に受け入れることのできない論理が展開されていると思います。  私は、これは形を変えた大本営発表と同じような国民に対する一種の心理作戦も行われているとしか取れません。  で、大臣、お伺いしますけれども、本当に今も何十万の軍隊が地上侵攻してくる可能性があるというふうにお考えになっているんですか。
  84. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 具体的に武力衝突があると、それが出てくるというような状況というのは、突如として出てくるんではなしに、それなりの経緯がありまして出てくるんだと思うんでありまして、もとよりこの武力衝突、こういったことが起こるということを、決してこれは好ましいことではないわけでありまして、そういうことが予想されますようなときには外交努力とかいろんな方法によりましてそういう武力衝突を回避するようなこと、これも第一にやるべきだと思うんであります。  しかし、それだけで紛争がといいますか、我が国に対する武力攻撃がないという保証がないわけでありまして、どこの国だってそういう緊急事態想定をいたしましてこう法律を作っていると思うんですね。その有事に対処をする制度を作っていると思うんでありまして、日本もやっとそういう国に倣って日本有事の場合にはきちんと適切に対処できるような制度を作ると、こういうことになりまして、昨年、武力攻撃事態対処法が成立をいたしたわけでありまして、今年はそれを受けましてこのような、今、国会に提案しておりますような制度を作ったわけでございます。決して戦争を歓迎するとか、あるいは御党の委員が言われますように、これは戦争に道を開くものだというような趣旨ではございません。万一の場合に備えてのこれは制度であると、このように御理解をいただきたいわけでございます。
  85. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それではお伺いしますが、私、戦争歓迎しているなどというふうに言ったことも、あなた方がそう思っているというふうに言ったこともありません。  ここで論議が繰り返されたことですが、例えば沖縄戦のような事態あるいは東京大空襲のような事態というもの、それも念頭に置いた論議がありました。私はお伺いします。それで、沖縄戦のような被害、東京大空襲のようなあの大被害、これは有事法制の不備、訓練の不備のためにあんな大きい被害になったのか、また、これは有事法制と訓練でそういう被害を食い止めて生命、財産が守れるとお考えになっているんですか。これ、長官大臣かどちらか。
  86. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) よくさきのこの戦争のことが引き合いに出されるんでありますけれども、この戦争を考えてみますと、ああいった戦争が起こりましたそれなりの原因はありますけれども、彼我の経済力の差とか、あるいは工業力の差というものもございましたし、それから戦争の進行とともに戦意の喪失といいますか、そういったことも現実に起こってまいりまして、これは大田委員から、特に沖縄戦の場合なんかは非常に、何といいますか、惨たんたるものでなかったかと、こういう御指摘を受けたわけでございまして、私は、したがいまして、いかなる形で武力衝突を回避をしていくかと、こういうことにつきましては、さきのこの戦争の経験なんかを踏まえまして十分に考えていかないといけないし、今申し上げましたように、外交努力あるいはいろんな国と平和のうちに共存していくようなこと、しかし万が一の場合には今日、日米安全保障条約がございますし、こういったことも十二分に生かしまして、我が国の、我が国が有事に至らない、あるいは万一有事に至った場合にはそれに適切に対処するような体制を整えていかないといけないと思うんでございます。  具体的に、さきの沖縄戦あるいは東京大空襲のああいった経験、これらにつきましても、これから経験等が生かせるところにつきましてはこの国民保護法制の中にも生かしていきたいと、そんなふうに考えているわけでございます。
  87. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 今、安保条約について触れられましたから、私、この法案が出てきてから不思議に思っているのは、日本は安保条約があるから侵略を受けないんだとさんざん言った政府が安保条約がある下で武力攻撃事態に備えてこういう法律を作るわけですから、ああ、今度は政府の言い分が変わって、安保条約があっても武力攻撃を受けるんだということでこの法律は作りたいんだなと、都合のいいときに都合のいい言い方があるものだなというように思っているところです。  それで、大臣、今の答弁は、武力衝突、戦争を避けたいという答弁なんですね。この法律、受けた場合に備えるものになっている。だから、私は端的にお答え願いたいんですけれども、この有事法制が成立すれば、沖縄戦のような戦争があっても生命、財産が守れるとお考えになっているのかどうなのか、端的に答えてください。
  88. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 余り単純に答えるというようなことはできない性格のものだと思うんですよね、いろんな状況の中で武力衝突が行われるわけでありますから。  まずは武力衝突を回避するような努力をするというのは当然でありますけれども、残念ながら武力衝突があります場合には、それに応じた適切なる対処が必要だということで、我が国の体制あるいは日米安保条約のことを今申し上げましたけれども、米軍との共同対処の行動等によりまして、あるいは国民保護のための避難とか救援につきましても、当然のこととしてやるべきことはやるということでございます。  何もしないのは、まあしなくて何もないというのはこれ一番いいかも分かりませんけれども、そのように考えて、国として一番やるべき国民の生命とか財産の保護につきましてそのままにしておくということは、これはやっぱり私は問題があると思います。やはり、それこそ万々が一かも分かりませんけれども、それに対する対処はきっちりと考えておかないといけないと、こんなふうに思います。
  89. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 はっきりと、この法律ができれば守れるとおっしゃれないんですね。  さっき、諸外国もみんな有事法制を持っているんだというお話でした。それは事実ですね。大部分の国が持っていることは私も認めます。私は、ある研究者の書いたものを読んでみましたら、その有事法制というのを有事法制を作った目的で運用されたことは少なくとも戦後世界ではないというふうに書かれておりました。  フランスは、一九五八年に制定された現行憲法の中にも非常事態の規定を盛り込んでおりますが、この規定はフランス防衛のために発動されたことはないと。ただ、発動されたことが二回あると。それは、植民地、アルジェリアとニューカレドニアの独立運動を弾圧するために使われたということで、国民の生命、財産を守ることとは全然別であったと。イギリスも、有事法制を自国防衛のためにといって制定したけれども、発動されたことは国内のストライキ対策で発動されたことがあるだけだということ。それと同時に、アイルランドの独立運動を弾圧するために使われたこともあると。ドイツも、六八年の憲法改正で非常事態の規定を盛り込んだが、これまで一度も発動されたことはないというのがある研究論文で書かれておりました。日本の場合はそれと違って、今こういうものを急いで作らなくちゃならない理由が特にどこにあるのかということが私は疑問に持ちます。  私は、一番大事なことをやらないでこういうところへ力入れているとしか思えません。例えば、原発の万一の事故に備える訓練なんというのはかつては全然やられていなかった、原発安全神話で。最近やるようになりましたが、型どおりのもの。私の田舎の目の前が原発があるんです。ですから原発のいろんなことは私も幾らか関心を持っていますけれども避難訓練なんかも形の上ではやったことになっていますけれども、例えばテレビで見たアメリカの原発避難訓練のような本当の意味訓練なんか全然やられていない、訓練やっているというだけですね。片方ではそういう必要なことをやらないで、万々々々が一、手かしたから僕はそれにもう二つぐらい付けますけれども、そういうことに備えて、ヨーロッパでも発動されたことがない、そういうものをなぜ急いで、まだ私は総論の前文が完成しないような時期に、今日採決をやろうということだということなんですが、そんな緊急性があるんですか。
  90. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 過去にそういう事例、最近におきましてはないという、だから将来も起こらないということは、これはだれしも言えないことでありまして、こういうどこの国でもごくごく普通の考え方で安全を考えた場合に作っておりますこの制度というのは、日本だって一日も早くこれは作るべきだと考えておりまして、これまでずっとこれいろんな事情があったと思いますけれども今日まで延びてきたわけでありまして、やっと、もしこういうような関連法律条約が御承認いただきますと、日本も一応の有事につきましての制度が完成するわけでございます。非常に後れて整備されるということでありまして、やっぱり国民の命だとか財産を考えた場合は、やはり国としては、政府としては、万一のことを想定いたしまして制度を作り、それに備えておくということが必要だと思うんです。  今、原発の防災訓練の話がございましたが、私もそのように思っております。したがいまして、最近少しは中身は変わってきていると思うんでありますけれども、これをもっと充実する、と同時に、限られた人でなしに、できるだけやっぱり関連する人たちに訓練をしてもらって万一に備えていくべきだと、そんなふうに私も考えております。
  91. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 法案、いろんな問題があって、まだ私、各論に入っておりませんが、罰則、人権規則の問題だけ一つお伺いしておきます。  基本的人権の問題というのは、憲法が侵すことのできない永久の権利と規定し、人権宣言三十周年の衆参両院の本会議で採択された決議の中では、人権の著しい軽視が過去二回にわたる世界大戦の惨禍をもたらしたことの反省に立ち世界人権宣言が採択されたと、こういうふうにうたっており、人権の保障は平和の基礎になる、土台になるという考えを表明しております。  今回、この法案の中では、最小限と言われてはおりますけれども人権に制限を加え、かつ罰則も設けたわけですね。しかし、一たびこういうのが織り込まれると、とりわけ非常な事態というようなことになれば、これは必ず拡大運用されてくる、これが、例えば太平洋戦争の場合でもそうでした。  私、太平洋戦争中のいろいろな、軍機保護法とか、そのほかのものを全部調べたことがあります。そして、見ますと、これは例えば軍機保護法でも、そのほか軍用資源秘密保護法とか治安維持法等々、全部非常に限定規定が設けられておりますね。治安維持法などは学問研究の自由を侵すことはないなどということも繰り返し言われましたけれども、一たび作られると、やっぱり独り歩きしている。例えば、私、特高資料読んでみましたら、映画ニュース見て皇后陛下は美人じゃないなと言って捕まっているんですね、そういうので。それが戦争中の出来事なんですよ。皇后陛下は美人でないと言ったので逮捕された。これぐらい独り歩きの怖さというのがあるんですね。  だから私は、いや、限定されているから大丈夫だというふうに言う保証が一体どこにあるかと思うんですが、これ、どなたになりますか、答弁願います。
  92. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 明治憲法下の人権の保護ですね、これは確かに今日のこの憲法下の人権の保障というのは大変違ったものがあると私は思います。  同時に、制度といたしまして、今の憲法といいますのは国民の権利義務に関することは法律じゃないといけないというふうに書いてあるわけですね。ということでありますけれども、明治憲法の場合は必ずしも法律でやる必要はなかったわけでありまして、勅令でありますとかいろんな命令でもできるようになっていたわけでございまして、したがいまして、時代の背景が違うし、正にまた法律の制度も違ったということで今おっしゃるようなことが私は出てきたと思うんでありますけれども、やはりいかにこの法律がその法律のとおりに履行されているかどうかという意味での行政府の監視というのは、これは立法府にあるんじゃないかと私は思うんですね。  だから、やっぱり立法府だとか一般の国民だとか、それはやはりこういう制度を作りましても、常にこれはもう監視の対象になるわけでありまして、しかるべき御意見につきましては、それは今の制度の中では私はやっぱり政府はそれを聞くようなことになっていると思います。  今の日本の政治の制度ですね、立法府、行政府、司法の制度でありますけれども、それらが一体になりまして私はこの制度が守られていく、あるいは広くは国民の監視ということがあるかも分かりませんけれども、今の日本の民主主義制度というのはやはりそういう制度の中でずっと健全に育ってきているといいますか、生きていると、そういうことは言えるんじゃないんでしょうか。
  93. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 明治憲法と現憲法との違いで安心せよという御説ですけれども、今の憲法下でも同じようなことが起こっているじゃないですか。例えば、日の丸・君が代。これは強制するものではないということがあの制定過程で繰り返し言われました。ところが、君が代斉唱に起立して加わらなかったということで東京では大量の処分が行われているわけですよ。ですから、現行憲法の下ではそういう心配ないというように言えない事態が今起こっているわけです。  私は、こういう有事法制のようなものが作られて、実際は外国軍隊日本へ攻め込んでくるなんていうことはありませんよ。ないけれども、そういうところで強められた、何というんですかね、体制の引締め、それだけが強まってくるということを心配するものです。  それで、憲法の問題がありました。今、憲法のことが出ましたので、私は今の憲法、先ほど多国籍軍問題もありました。私は、多国籍軍問題、これは質問通告していませんから、私、一言触れるだけにとどめますけれども、あのPKO法が出たとき、私は法制局やら政府の人々にもう繰り返ししつこく説明を求めました。そのときに、私の最大の質問は、なぜPKO参加法でなく協力法ですかということを問いただしました。それは極めて単純でした。参加できないんです。PKOでも参加できない。だから協力法です、お手伝いですということでした。中身ここで詳しく言いません。  ところが、それが今は、参加か協力かという大論議して法制局長官が訳の分からない答弁を繰り返すという、そういう事態になっているのは、やはりPKOでさえも参加できないといった時代に、日本のような憲法九条も何にもない国の参加ですよ、多国籍軍というのは。そこに憲法九条を持った国、憲法九条はまだ変えられてはおりませんからね、その国の自衛隊を、参加どころか私は協力も憲法上できないと思いますけれども、そういう無理をやろうとしている。だからああいう訳の分からない論議が起こっていると思います。  この間、参考人呼んだときに、参考人の一人の書かれた論文が話題になりました。私もこの論文読んで注目をしていた論文ですけれども、防衛学会の「防衛法研究」に出ている論文です。その論文、長いから、結論的に私要約して言いますと、アメリカの要請に基づく安保条約の要請に基づいて措置を取ると憲法上に問題が出てくると。憲法政府解釈どおりにやろうとすると、それは安保条約上の責任が十分に果たせないというのが今の日本の現状だと。両方満足させることができなくなっているという趣旨の論文なんです。  これはなぜかといったら、今の憲法でできないことをやろうとして陥っている矛盾だと私は思います。だから、やはり憲法をどういうふうに考えるかという問題にもなるわけですけれども、私は議論はいろいろあると思います。議論はあってもいいけれども、現行憲法が厳として生きている下では、やはり憲法が目指したことを目指して我々は努力すべきであると思います。  そうすると、日本国憲法は何を目指したか。今、私、ここで繰り返し憲法制定当時のことを言いませんけれども、これは防衛庁長官にお伺いします。今やろうとしている一連のこと、多国籍軍問題も含めて、またこの有事法制でアメリカへの協力体制を強めようとしていることも含めてですが、これは、今の憲法を作ったときにこういうことを考えていたと、それと違った事態が生まれているか、そのどちらだと思いますか。
  94. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生からいろんな御指摘をいただいて私も考えているのですが、一つは、今の憲法を作ったときに日本は本当にもう廃墟で、国力も全くなくて、国連にも入れてもらえないような状況であった。それと今と考えてみて、全く状況は変わっているということはある。しかし、そのときに日本国憲法が目指したものは、やはり国際社会において名誉ある地位を占めたいと思い、自分の国のことのみに専心してはならないと思ってきた。そして、それと九条というもの、つまり憲法前文の精神と九条というもの、それは私は今も変わっていないのだと思っているのです。  日本はこれだけ国力も付きました。国際社会において責任ある地位も占めるようになりましたし、同時に日本の平和と安全というのは世界の平和の安全あってこそだという、これも随分と変わってきたことなのだろうと思っています。それは日本の経済を維持する上においてもということでございます。ですから、私どもは、憲法前文の精神と九条、日本は侵略戦争を絶対に行わないんだということをどのようにして両立をさせていくか、やはり憲法の目指した精神というものは、今後も、私ども豊かになったとしても、きちんと考えていかねばならないことだというふうに認識をいたしておるところでございます。
  95. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 どこからどう見たって、憲法制定当時に日本が世界に向かって宣言した延長線上では今のことは出てまいりません。これは、私、繰り返し言ったことですけれども、総論、前文の結びになるかもしれませんけれども、やはり今起きている日米共同対処の具体化、この事態というのは、私は二つの段階があると思って、論議を聞きながら、また自分で考えながら、到達しているところです。  一つはクリントン・橋本共同宣言で、約束に基づいてアジア太平洋の日米安保体制を整える、共同対処を整えると。そのために周辺事態法を作り、武力攻撃対処法を作り、そして今、関連法案を成立させようとしている。これでアジア太平洋の日米安保体制を完成させようとしていると。そのときの理屈は、我が国への武力攻撃にいかに対処するかということがスローガンでやられてきました。私は、今問題の有事法制というのも、有事の危険があるからじゃなくて、そういうスローガンの下に作られていると思います。  第二段階は小泉・ブッシュ共同声明で、世界の中の安保を約束した。だから、これはもうアジア太平洋地域でとどまらないところへ今来ており、それが多国籍軍への参加か協力かというところまでやってきております。これは我が国への武力攻撃という名称では通らないから、今度は、自国のことのみ考えてはならない、国際貢献だと。今度の防衛計画大綱も大体、今のは周辺安保だったけれども、今度は国際貢献になるというように私は文献をいただいて読んで感じているところです。  私は、やはり国民に、日本は今の憲法どおりの日本で駄目だと本当に考えるなら、それを正直に言ったらいいですよ、国民が判断するんだから。それを、我が国の武力攻撃の危険があるとか、そんなことを言って、現代版大本営発表で国民を誤らせる。私は、日本国憲法制定当時に世界に宣言した、日本は、平和な世界、戦争のない世界を目指すことで世界の中で信頼をかち得ようとした、その方向に向かってアジアでも若干の動きが始まっている。その一つとして、僕は総理の二回にわたる朝鮮訪問で朝鮮半島の危機も和らぐ方向に向かい出したと思っているわけです。私、この間、本会議で、その成果をあらゆる面で生かしてほしいということを言いました。  今、アジアでも、六か国協議、それからARFその他いろいろな、TACも含めて、アジアの平和な体制をどう作ろうかという努力が行われている。それに参加して、そういう平和な繁栄と平和な北東アジア、アジアを作ることにこそ最大限の努力を割くべきであり、国会論戦もそこに集中できるような政策こそ取るべきだと思います。それを、六十万字の大法案、七法案三条約がわずか、まだ私にとって言えば総論がやっと終わるか終わらない、総論じゃない、総論、前書きが終わるか終わらないぐらいのところで打切りなんということになったら、これは政治の提起が間違っていると思うんです。  私はそのことを申し上げまして、同僚の質問にバトンタッチして、終わることにします。どうも。
  96. 小泉親司

    小泉親司君 引き続き質問させていただきます。  私は、先ほど同僚委員お話しになりました多国籍軍、これの自衛隊参加問題を含めまして少し議論いたしますが、法制局長官はお呼びしておりませんので、主に外務省と外務大臣防衛庁長官に少しお尋ねいたします。  今回の新しい決議、小泉総理大臣は、米国の大義の勝利だというふうに評価をいたしましたけれども、この決議について、私、外務省に日本訳持ってきてくれと言ったら、何遍言ってもなかなか持ってこられない。実際に一体どうなっているのか。日本語というのは日本外務省は出さないのか。私、非常に問題だというふうに思いますが。  この国連決議の中で多国籍軍についていろいろ書いてある。確かに、今度の国連では、この多国籍軍の問題をめぐりましていろんな問題が出てきた。例えば、イラク国民の主権の回復と多国籍軍が権限を、大変強大な権限を持つということをどう調整するかというようなことが出されております。  そこで私、この国連決議について少しお尋ねしたいのは、国連決議、安保理決議の十一項で、イラク政府、イラク暫定政府と多国籍軍の間の関係が述べられておりますけれども、これは具体的にどういうふうなことを取り決められているのか。この点、まず外務大臣、御説明いただきたいと思います。
  97. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  今般の安保理決議で、安保理あるいはその他の関係国において最も議論を生んだのが今御指摘のイラクの新しい主権を有します暫定政府と多国籍軍との間のいわゆるパートナーシップをどういうふうに決めるかということでございました。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  正に御指摘のように、今回のパラの十一というのは非常に複雑な構成になっておりまして、大変に分析等が難しゅうございますけれども基本的には、御案内のように、イラク暫定政府の首相から安保理の議長に、それからパウエル長官から安保理の議長にそれぞれ書簡が出てきておりまして、その間におきまして、新たなできます多国籍軍とイラクの暫定政府の間に安全保障パートナーシップを確立し、そのための具体的な調整のメカニズムを作るということがその肝となっておりまして、その間におきまして、種々機微な問題も含めて十分に議論をし、調整をするということが決められたということでございます。
  98. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、そのイラクの国民に主権が返還される、多国籍軍が権限を持つと。大変な強大な私は権限だというふうに思いますが、例えば具体的に、どういうふうに正確に訳すかいろいろ難しいんですが、これ、例えば、イラク政府と多国籍軍のために微妙な攻撃作戦についての方針を含め、あらゆる範囲の安全保障と政治の基本問題で合意を達するためのそうしたメカニズムを作るんだと書いてある。  ということは、例えばアメリカが様々な軍事作戦やっている、武力行使やっている、こういうものに対してイラク暫定政府がこういうのはやっちゃいかぬと。例えば、ファルージャなどで大変包囲作戦があって、女性や子供や老人などが多く亡くなった事件がございました。こういうふうな作戦については、イラク暫定政府としては、アメリカ軍にこういう作戦を拒否するという権利はこの安保理決議では十分に満たされていると、そういう御見解なんですか。
  99. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 今御指摘のように、多国籍軍と、それからイラク暫定政府、それからイラク暫定政府の下に新たにイラク軍というものがもちろん今形成されつつあるわけでございますが、との関係というものはパートナーだという理解でございます。  そのようなパートナー同士におきまして、今御指摘のような非常に機微な作戦というようなものも含めて、大きな今後の方向についてどういうものがあり得べきかということについて議論をする場を設定し、その場においてイラク暫定政府とそれから多国籍軍間において調整をするということが決められたということでございます。
  100. 小泉親司

    小泉親司君 いや、私がお聞きしているのは、調整というのは分かりますが、主権はイラクに移るわけですから、イラク国民の拒否権はあるのかと。
  101. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 今般の安保理決議自体から、イラク政府に今おっしゃったような意味におけるいわゆるビートーというものがあるというふうに明示的な規定はないと思います。他方、しかしながら、今正に御指摘のとおり、主権を有しておるのがイラク暫定政府であるということは明確になっておりますので、そのような場を通じて主権者であるイラク暫定政府の意向というものは当然十分に反映されるということだと思います。
  102. 小泉親司

    小泉親司君 そこでもう一つお尋ねしますが、今回の決議は、私はこれは武力行使を含んでいるのかどうか。これは外交防衛委員会で西田さんとやり合ってきましたけれども、これ認めるまで私と一緒に十五分掛かった。申し訳ないですが、三十秒の間で、認められているのか認められていないのか、目的、任務に挙げられているのか、この点をお答え願います。
  103. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) この前も御質問を受けまして、要するに、個々具体的な判断をする必要がありますが、いわゆる武力の行使、国家間の言わば紛争の解決のための武力の行使に相当することがあり得べき武器の使用というもの、すなわち安全と安定のための措置を、必要な措置をすべて取るということが規定されているというのは御指摘のとおりでございます。
  104. 小泉親司

    小泉親司君 いや、簡潔に述べられるじゃないですか。  実際に武器の使用と武力行使を分けるというのは日本型なんですよ。つまり、憲法を持っているから武力行使と武器使用を分けているんで、そんな武器使用、アメリカが戦闘機持ってきてどどんと爆撃して、これは武器の使用でございますなんてそんなことは言わないんです、アメリカという国は。だから、そこのところを明確にしたというのは大変あれですが。  もう一つお尋ねいたします。この中で多国籍軍が人道復興支援の任務を持っているということがどうも述べられておるというふうに言っておりますが、具体的にはどこにそれが書いてあるんですか。
  105. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) まず、一番目のお答えでございますが、それらにおきましては、いわゆる安全、安定を取るために必要な措置を取るということの中に武力行使に至る可能性があるということを排除しないという趣旨でございます。  それから二番目に、いわゆる多国籍軍のマンデート、何が任務なのかという御指摘でございますが、それが具体的に書いてあるところはパラの十五にございまして、加盟国、国際・地域機関に対し、安全と安定及び人道復興支援に関するイラク国民の必要性を満たすことを支援するために、またUNAMI、これは国連でございますが、の努力を支持するために、イラク政府との合意のとおり多国籍軍軍隊を含む支援を提供するよう要請するということに書いてございまして、多国籍軍の任務の中には、ここにございますような、安全と安定及び人道復興支援その他UNAMIへの協力というようなものが含まれているという理解でございます。
  106. 小泉親司

    小泉親司君 十五項は支援を書いてあるだけで多国籍軍の任務を書いているんじゃないんですよ。違うんですか。
  107. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) お答えをいたします。  多国籍軍につきましては、他方、パラの十というところがございまして、それからその前に九ございますが、九におきまして、多国籍軍の駐留がイラク暫定政府の要請に基づくということでございまして、先ほど言及いたしました書簡を考慮しつつ、一五一一に基づく、設立された、統合された司令部の下の多国籍軍に対する授権というものを再確認するというものがまず基本でございます。  さらに、パラ十におきまして、国連が上記パラで示されたイラクを支援する役割を授権することができるよう、またイラク国民が政治プロセスのためのタイムテーブル、計画を自由かつ脅迫なしに履行することができ、復興・復旧の活動から利益を得ることができるよう、また多国籍軍はテロの防止及び抑止によるものを含め、多国籍軍の継続的な駐留に対するイラク人の要請を表明し、その任務を規定しているところのこの決議に添付されている書簡に従いイラクにおける安全及び安定の維持に貢献するため、すべての必要な手段を取る権限を有するということでございます。
  108. 小泉親司

    小泉親司君 私は、これは多国籍軍の任務について言っているんじゃないと思います。これは、いわゆるどういうふうなことをイラク国民が望んでいるか。あなたが言われたのは、書簡だといって、書簡も添付されて、これは附属文書になっている。しかし、その附属文書は、イラク国民が人道復興支援をやってくれということを要請しているというだけの話なんです。  それから、あなたがお読みになった十項というのは、多国籍軍の任務じゃなくて、結果としてそういうふうなことをイラク国民に要請するんだということを私は言っているもので、これは、多国籍軍がそういう任務を持っているかどうかというのは、これは私は議論の余地があるというふうに思います。  そこで、もう一つ、ちょっと時間がないのでお尋ねしますと、ここの中で、多国籍軍は統一された指揮の下にというふうになっている。外務省の訳は、これまでは一五一一と同じだと理解して日本語訳を私が推測しますと、統合された司令部の下にとなっている。これはえらい違いがあるんですが、そこでお尋ねしますが、この法制局長官も英語でおっしゃったアンダー・ユニファイド・コマンドという意味はどういう意味だと外務省は理解されておられるんですか。
  109. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 一五四六、御指摘のユニファイドコマンドということでございますが、同じ文言は、先ほど私が御紹介をいたしました安保理、失礼、一五四六に使用しておりますけれども、これは一五一一にも既に使用されている表現でございます。  この一五一一に規定されております統合された司令部というものが何であるかということをこれまで米側等に照会をしてきているところでございますが、これによれば、この統合された我々は司令部と訳しておりますが、このユニファイドコマンドなるものはCJTF7ということを指しているという説明を踏まえまして、これをやはり司令部と訳すべきが正しいというふうに考えたものでございます。
  110. 小泉親司

    小泉親司君 いや、私がお聞きしているのは、統合された司令部、CJTF7、この、これがユニファイドコマンドだというふうにおっしゃると、それじゃ、それは現在イラクが主権を回復していない元の話ですね。じゃ、今、今度は多国籍軍が設定されるとどこが司令部になるんですか。多国籍軍の司令部というのができ上がると、こういうことなんですか。
  111. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 御案内のように、私が今述べましたCJTF7なるものは、先般、五月に組織改編をされて、現在はAMNF1I、失礼しました、イラク多国籍軍司令部というふうに改編、組織改編をされておりますが、これが一五四六におきまして、いわゆるコマンドに相当するものというふうに我々としては理解をしております。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕
  112. 小泉親司

    小泉親司君 ということは、新たに指揮下になっても、占領軍のいわゆる司令部、つまりCJTF7、これが引き続き、私は看板掛け替えただけだと思いますが、看板をCJTF7から多国籍軍と名前を替えるだけだということをこれお認めになるんですか。  それからもう一つ、ちょっと迫っておりますのでもう一つお聞きしますが、そうなりますと、この統一された指揮下というのは、これはアメリカ軍の指揮下に入ると、こういう理解ということでよろしいんですか。
  113. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 御案内のように、今般の一五四六決議の一番の主眼は、これまでCPAの下にありましたイラクという国が、いわゆるイラクの人々に主権が戻るということを鮮明にしたものでございまして、それに従いまして、例えば多国籍軍の役割、多国籍軍と新たにできますイラク政府との関係等々について、これを調整をするということを国連が中心となって取りまとめるというのが今回の言わば一五四六の肝であろうというふうに考えている次第でございます。  したがいまして、そのような中で正にイラクの暫定政府は今月の一日に取りあえず発足をいたしまして、現在そのような新しい、六月の三十日に向けてのいろいろな調整というものが、安保理、国連、その他を通じまして現在行われているところでございますので、詳細について予断をすべきではないと思いますけれども、六月の三十日以降の多国籍軍というものは占領軍ではないということでございます。
  114. 小泉親司

    小泉親司君 いや、私はそんな、占領軍か占領軍じゃないかなんて、そんな初歩的なお話をしているんじゃありません。それは、主権が帰るんだから、それは当たり前でございます。私がお聞きしているのは、そのユニファイドコマンドという、アンダー・ユニファイド・コマンドというのはあらゆる国がその指揮下に入るという意味として私は理解しているんだけれども、その点はどうかということをお聞きしているんです。
  115. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 今回できます多国籍軍は、一五一一の多国籍軍と同様に、このような統合された、我々の理解では、訳でございますが、司令部の下にあるという意味においてはおっしゃるとおりでございます。  そのような司令部というものが何に相当するかということは、先ほどお答えしたとおりでございます。
  116. 小泉親司

    小泉親司君 これ実は防衛庁からいただいた、六月三日に防衛事務次官が防衛庁記者会見室で会見したやり取りでございますが、防衛庁長官に幾つかお尋ねしますが、記者の方から、どのような国連決議になるか現在審議中ですが、多国籍軍の任務の中に人道復興支援という目的が明記される形になれば、自衛隊としても今の法律参加しやすいという状況があるのでしょうかという御質問に答えまして、防衛事務次官は四つの点を挙げている。  時間がないので四つ全部挙げませんが、最後に、四番目に、いずれにしても、我が国は安保理決議一五一一に基づく多国籍軍の統合された司令部の指揮下にないということが確保されるということがポイントだと思っておりますというふうにお答えになっている。  私は、これは一五四六の多国籍軍と読み替えてもまあ差し支えないんじゃないかというふうに思いますが、これどのように、その司令部の指揮下にないということが確保されることがポイントだとおっしゃっているんですが、これはどういうふうに確保されるという、できるというお考えなんですか。
  117. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、次官は条件として申したのではなくて、ポイントですということを申し上げた。議論のポイントとなるということを申し上げたものであります。それは私も次官にも直接確認をいたしました。条件というふうに、先ほどの参加じゃございませんが、次官がこれが条件というふうに申し上げたわけではございません。  問題なのは、そこのところがどのようにして確保されるか、我が国の主体性というものがどのように確保をされるのかということが肝要である、それが議論をされなければならない旨述べたものでございます。  今朝からの累次の答弁で政府側として申し上げておりますように、そこのところの担保、我が国が武力行使をしない、武力行使と一体化しない、そのことの担保というものを制度的にどのように確保するかということがまさしく議論のポイントであるということでございます。
  118. 小泉親司

    小泉親司君 ポイントでも条件でも結構ですが、問題は、そういう確保できる可能性、どういう形で確保できる可能性があるかと。この点、いかがですか。
  119. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 一つは、これも断定的なことを申し上げるわけではございませんが、やはり基本はこの特措法というものなのだ、そしてまた、そこに書いてあるいろいろな枠組みを使うということなのだということでございましょう。もう一つは、多国籍軍との関係をどのようにしていくかということ。この二つのところで、日本だけそう思っていたって駄目だよということもあるのかもしれません。いろいろな観点からそこのところはきちんとした仕組みというもの、担保というものが必要になるのではないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、その点も含めまして政府として検討を行うということでございます。
  120. 小泉親司

    小泉親司君 防衛庁長官の御答弁は前の答弁と同じなんですよ、言っていることは。つまり、これから指揮下に入らないということができるかどうかということを検討するというお話なんですがね。私、確保されるかどうかというのは非常に私は重要な問題ですから、この点については、外務大臣、いかがですか。  あなたはこれまで何とおっしゃってきたかというと、私が多国籍軍のホームページを出して、自衛隊は既に指揮下に入っているじゃないかと質問した。そうしたら、外務大臣は、いや、私はアメリカに一生懸命言ってアメリカから確認もらっているんだ、だから大丈夫なんだと、これ答弁繰り返してきた。しかし、一向にこの問題は、依然としてイギリスの指揮下にあるジャパンというのは、ホームページは消えておりません。その消えていないということはあなた方はお認めになっているんだと私も指摘しましたが、それじゃ、アメリカやイギリスに確認したら、それは指揮権が今度は多国籍軍の中に入っていないんだというようなことになるんだということなんですか。外務大臣、いかがですか。
  121. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 自衛隊と多国籍軍との関係につきましては、これは先ほど来別の議員の方にも申し上げていますように、これは正に政府としていろいろな観点、これは決議の内容その他等々いろいろありますから、そういった観点から今後検討し、適切に判断をするということでございます。正に今その段階にあるということです。
  122. 小泉親司

    小泉親司君 外務省が手を挙げておられるから、具体的にどういうふうに確保する、あれ、外務省かな、どなたか、西田さんか、具体的にどういうふうに確保できると、これ最後にお答えください。
  123. 西田恒夫

    政府参考人(西田恒夫君) 現在、政府として検討している最中でございますので、差し入ったことはお答えできない、差し控えたいと思いますが、御案内のように、多国籍軍は、一五一一におきましても、これまで当委員会においても御議論ございましたように、ネグロポンテ、アメリカの常駐代表等の報告にもございますように、治安維持のみならず人道復興支援等幅広い活動を含むものとなってきておりまして、多国籍軍の司令部と各国軍隊の関係も任務あるいは活動に応じて異なり得るものというふうに一般的に承知をしております。  また、御案内のように、五月にキミット准将は会見におきまして、各国の軍隊は統合された司令部からそれぞれの国内法に反するようなことを求められることはないというような発言もあったというようなことも承知をしております。
  124. 小泉親司

    小泉親司君 私は、そういう指揮下に入らなくても大丈夫だなんということはあり得ないということを申し上げて、私の質問を終わります。
  125. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。  最初に、井上大臣にお願いいたします。  米軍行動措置法案の第二条五項で、日本の支援を受ける米軍の行動について、武力攻撃が発生した事態以外の武力攻撃事態等に当たっては日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な準備のための行動を含むと定めています。  この必要な準備のための行動とは一体どういう行動でしょうか。
  126. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 正に武力の行使には至らない準備のための行動でありまして、例えば、日本の国外から日本国内へ人員や物資を輸送するとか、あるいは日本国内でA地点からB地点へ人員や物資を輸送するというようなことですね。  それからもう一つは、施設と区域内における人員の集結や物資の集積ですね。今、日本にあります、施設・区域がありますけれども、その中で人を集結させたり物資を集積、そういったことが主なものになるんではないかと、こんなふうに思います。
  127. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお願いいたします。  海上輸送規制法案の措置は、自衛隊法第七十六条第一項の規定によって出動を命ぜられた海上自衛隊の部隊が実施するとあります。したがって個別的自衛権の行使となるものと見られますが、政府がこの間、統一見解として個別的自衛権の発動の三要件を示しています。つまり、第一に、我が国に対する急迫不正の侵害があること、第二に、この場合にこれを排除するために他の適当な手段がないこと、第三に、必要最小限度の実力にとどまることとなっています。  そこで、問題は、本法案第四条一項で、本法案による措置は我が国領海又は我が国周辺の公海において行うとされていますが、領海ならまだしも、公海における他国の船舶に停船検査などを迫るのは果たして個別的自衛権の急迫不正の侵害に当たるのでしょうか、大変疑問でございますので、御説明をお願いします。
  128. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、政府が以前からお答えをしておりますように、我が国の自衛権の行使の範囲というのは、我が国の領土、領海、領空に限るものではございません。我が国を防衛するため必要最小限の実力を行使できる地理的範囲は公海及び公空にも及び得るということは従来から答弁を申し上げておるとおりでございます。  地理的な範囲がそういうことでございますので、そこにおいて自衛権行使の三要件を満たすということが仮にありました場合には、自衛権の行使としてこの措置が公海上において行えることはあり得るということでございます。
  129. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 あと一問、防衛庁長官にお願いいたします。  本法案第十七条、停船命令の条文の三項に、停船命令を聞かない場合の措置として「信号弾及び照明弾の使用その他の適当な手段により、自己の存在を示す」とありますが、「その他の適当な手段」とは船体への危害射撃も含んでいるのですか。
  130. 石破茂

    国務大臣石破茂君) この十七条三項が予定をしております「その他の適当な手段」ということは何なのかというと、自己の存在を示すために適当な手段ということでございますので、まあ実際にそういうことがあるかどうかはその場になってみないと分かりませんが、私ども考えておりますのは、発光信号、ちかちかとつけて信号を送るものでございますが、発光信号でありますとかあるいは探照灯の照射、さらには、これもなかなか考えにくいのかもしれませんが、手旗信号でありますとか、要は、大事なのは、自己の存在というものを示すための手段ということを含んでおりますので、私が申し上げたようなことが現在私どもとして考えておるところでございます。
  131. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、警告にとどまって、警告射撃といいますか、信号弾とかそういうものにとどまって危害射撃というのは含んでいないということですか。
  132. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 危害射撃の場合にはまた別の状況に相なります。ですから、自己の存在を示すために危害射撃を行うということはございません。
  133. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先日の本委員会で、防衛庁長官に沖縄戦における石垣島事件をどう御認識なさっておられるかという質問をいたしまして、次回に再質問いたしますということで申し上げましたので、石垣島事件は戦時中の最大戦犯事件の一つと言われておりまして、大変ショッキングな事件でございました。捕虜の取扱いについてでございますが、どのような御認識か、伺わせてください。
  134. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生の御指摘を受けまして、改めまして詳細に読んでみました。  いろいろな問題を含んでいると思います。あの場合に石垣島には海軍しかいなくて、台湾まで送る手段がなくてというようないろんな背景もあった。しかしながら、あのようなことをやっていいはずは当然ないのであって、あるいは軍事法廷の在り方についても、これは、軍事法廷といいますか戦犯法廷ですね、戦争裁判を裁く法廷についてもそうでしょうし、あるいは上官と部下との関係についてもいろいろと考えさせられたことでございましたが、いずれにしても、あのようなことが絶対にあってはならないということは口で言うだけのお話では駄目でございまして、これは、例えば殺人罪でありますとかその他の法令をもちましてこれは担保をしておるところでございます。特別公務員暴行陵虐罪あるいは殺人罪でございます。  捕虜についての待遇、処遇がどのようになっておるかということは、これは第三国からのその点に関する確認、調査というものもジュネーブ条約に書いてあるわけでございます。ジュネーブ第三条約及び本法案に基づき、赤十字国際関係委員会の代表者等が自衛隊の捕虜収容施設を訪問し、捕虜収容所の職員の立会いなしに捕虜に面会することができる等、捕虜の処遇が適正に行われていることは外部からも十分チェック可能であるということでございますが、国内法的にもそのような仕組みを整えまして、石垣島事件のような、そのようなこと、いかな極限状況にあるとはいえ、やはりそういうことがないようにきちんとしたことを徹底していかねばならない、それは口で言うだけではなくて、法令上も、そしてまた運用上もそうでなければならないと考えた次第でございます。
  135. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 この問題は、石垣島事件というのは、私は戦争の在り方といいますか、戦争そのものを示す非常に具体、具体的ないい事例だと思いますので、お許しをいただいて簡潔に御説明したいと思いますが、昭和二十年の四月十五日に石垣島でアメリカの爆撃機が不時着をして、三名のパイロットが、操縦士が捕虜になりました。そして、三日間ほど石垣島の海上警備隊の方に、本部に勾留されて尋問を受けた後に、三名の捕虜のうち二人は日本刀で首を切られ、一人は銃剣で刺殺されました。その刺殺された一人は、前もって用意された墓穴のところに立てた棒に、既に死んでいるけれども目隠しをされて、そして後ろ手に縛り付けられて、その将校、警備隊の将校の一人が、模範突きといって、銃剣でその胸を、既に死んでいる捕虜の胸を突き刺して、五十名ほどの自分の部下に交代交代で突けという命令を出すわけです。そして、約三十分ほどその五十名ほどの部下が交代でその既に死んでいる捕虜、捕虜を突き刺したわけですね。そして、その遺体を前もって用意していたところの墓穴に埋めるわけなんですが、ところが、戦争が終わって日本が九月に無条件降伏したときに、この警備隊の関係者が石垣島に戻ってきて、この埋めた死体を改めて掘り起こして火葬にして、そしてその遺骨をガソリン缶に詰めて西表島の沖合に埋めた、埋めて証拠隠滅を図ったわけです。  ところが、戦争が終わって、もう兵隊が無事に家庭に帰って家庭生活を平和に過ごしている二年後になって、戦争が終わって二年後になって、鹿児島県からマッカーサー司令部の方に告発状が届いたわけです。どうして鹿児島県から届いたかといいますと、実はその警備隊の将校が、事件が起こる前に自分の当番兵が炊いたスープ、おつゆがまずいということで、その当番兵の顔にぶつけてやけどをさせたと。その本人がまあ戦争が終わった後この告発を出したということが記録されているわけなんですが。  本来ですと、捕虜の取扱いというのは、石垣島ですから、沖縄本島に守備軍司令部がありますから、その守備軍司令部に捕虜を送って、あるいは沖縄三十二軍の守備軍司令部の上級機関として台湾に第十方面軍というのがありましたから、そこへ捕虜を送って、必要とあれば軍法会議にかけて処分することになっていたわけです。ところが、そういうことをせずに警備隊の将校だけが話し合って勝手に処刑したわけですね。その理由として、その捕虜を台湾か沖縄本島に送ろうにも、船がなければ、船もなければ飛行機もないと、それから捕虜を監視するための人手不足に加えて食料不足で長期にわたって捕虜を収容することはできないということが理由であったわけですね。  つまり、私がここで申し上げたいことは、戦争というのは、そういうふうに国際法があろうが、取決めがあろうが、具体的な状況に入ってしまうと、今言ったように、捕虜を送りたくても船がない、飛行機もないと、さらに食料もないという状態が実際に起こるわけなんですね。ですから、このこちらの議論、前も申し上げましたが、この有事法制の議論を聞いていると、そのような戦争のあらゆる場面を想定してこの法案を作ったとは到底私には思えないわけなんです。  さて、その密告を受けまして、告発状を受けて、マッカーサー司令部の方では関係者を集めたわけです。そして、四十六名が横浜に招致されました。そのうち、裁判して四十一名が死刑を宣告されたわけですね、たった、上官の命令でたった一突き突いただけで。それで、その中に沖縄現地の者が八名おりまして、一人は無罪になって、七名の死刑囚のうち、一人だけが正規の軍人だったわけです。残りは地元から志願してやった。そして、三名の未成年者も含まれていた、農林学校の生徒もおったわけです、十七歳の。それも一突き上官の命令でつっついたために死刑を宣告されたわけです。こういうふうに、戦争というのはありとあらゆる事態が起こるわけなんですね。  そして、死刑を宣告されたうち、最終的には国民の多くの方がこれは余りにもひど過ぎるということでマッカーサー司令部アイケルバーガー中将の方に嘆願書を出して、ほとんどの人が死刑を免れたんですが、重労働三十五年とか三十年とかやって、沖縄の十七歳のその学生は五年の重労働に処せられたわけです。  その学生が五年の重労働を終えて生き延びて帰ってきた後、戦争というものはある日突然起こるものではなくて、日ごろから戦争に向けてその準備をして、そして戦争状態になった場合には普通の人間でなくなってしまっていると。戦争、精神的に異常な者を育てて、それが戦争に行って思いも寄らぬことをやっちゃうということを自分が五か年の獄中の中でよく考えさせられた、その意味で、教育こそがいかに大事であるかということがはっきりと分かったという趣旨のことを言っているわけですが。  私は、この問題をあえて申し上げたのは、実は人権の尊さを日ごろから教えたり、戦争のときにはこうすべきだ、超法規的になってはいけないと言っても、戦争という事態はそういうことを許さないと。私が前に防衛庁長官に超法規的にならずに戦争をやれますかと伺ったのは、実は超法規的になってしまうわけですね。だから、戦争を防ぐことこそが国民の生命、財産を守るということはもう言うまでもないわけなんです。そういった点で、是非この石垣島事件というものは繰り返し思い出してみる必要があると思います。  さて、もう一つ、さらにこの法案と関連して、前にもちょっと申し上げましたけれども、例えば米軍が行動する場合に立ち木を切ったり、あるいは家屋を破壊したりした場合に損失を補償するということが幾つもうたわれておりますけれども、実際にそれが可能かというのは非常に疑わしいということを申し上げました。  そこでお伺いしますが、防衛施設庁にお伺いします。一九九五年五月に成立し、同年六月に施行された沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置法、いわゆる軍転法というものがありますが、その適用第一号として同年十一月に返還された在沖縄米海兵隊恩納通信所の跡地の利活用は、この間の外交防衛委員会での質疑における政府側の答弁では、現在でも、六十二ヘクタール返されているけれども、現在でもその一割しか活用されていないという答弁でございました。  なぜかといいますと、その米軍通信隊があって、その地域の土壌が汚染されて活用できないわけなんですね。そうしますと、軍転法によって基地返還後三年と定められている地料相当額の地主への給付期間はもうとうに過ぎているわけです。したがって、ほとんどの土地が利用されないまま、その給付金も打ち切られているわけですが、その後の地主たちへの対応は政府はどういうふうに取っているんでしょうか。
  136. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) お答え申し上げます。  先生、旧米軍恩納通信所跡地の状況について返還給付金等、今どういうふうになっておるのかというお尋ねと理解しております。  先生、ここでPCB汚泥が出てまいりましたのは事実でございますが、現在はこのPCB汚泥はこの部分から撤去いたしまして、航空自衛隊の恩納分屯基地に保管しているところでございます。  そこで、お尋ねの給付金等でございますけれども、御案内のように、平成七年に議員立法によりまして駐留軍用地返還特措法が制定されました。これを受けまして、先生、第一号と申し上げたところでございますが、恩納通信所につきましては返還給付金等を地主に三年間支払ったところでございます。この法律に定めます期間、三年間が経過した後につきましては制度的に支払う根拠がございません。したがいまして、今日までそういった部分についての対応というのは当庁として取っておらないところでございます。
  137. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、三年の給付金をもらって、後の地主の損失は、大体で結構ですが、一体どれくらいになっていますか。
  138. 戸田量弘

    政府参考人(戸田量弘君) 幾つかの前提を置かせていただきまして仮の借料額といったものを試算させていただきますと、返還されました日の翌日から返還給付金の支給期間でありました三年を経過した平成十年十一月三十日の翌日から平成十六年三月三十一日までの五年四か月に係ります借料相当額でございますが、これは約八億三千万円になるところでございます。
  139. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 このように、損失を補償すると幾ら法律に規定を作っても、戦争を終えて五十九年も迎えた今日、依然としてこういう状態が続いているという事実が厳然としてあるということですね。  もう一つだけ申し上げたいと思います。米軍行動措置関連法案による土地の収用等にかかわって、これは井上大臣にお願いいたします。  太平洋戦争中の昭和十八年から十九年にかけて、沖縄、奄美大島等では日本軍が住民の土地を接収して十八の飛行場を建設しました。沖縄では、その旧日本軍に接収された土地に係るその後の土地返還あるいは補償措置について一九七八年三月にその調査結果をまとめました。  それによりますと、飛行場やその他の計十三の施設が約四百二十八万五千四百坪で、地主の数は二千二十四人であります。地代、補償金等を受領した者は、一部だけ受け取った人を含めて八百二十人。残る一千二百三人は受け取っていないと言われております。  この問題につきましては、政府でもいろいろと検討されているわけですが、二〇〇二年七月に策定された沖縄振興計画の中で戦後処理問題として位置付け、法人による管理等の現実的な解決の方向が示されたわけですが、所有権の回復といった地主の悲願とはほど遠い解決策となっているわけです。  このように、民間から強制的に取り上げた土地が、六十年近くたった今日も依然として補償もされないどころか、所有権、財産権を奪ったままの形で残っているという現実を、大臣はこの法案との関係でどういうふうにお考えでしょうか。
  140. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 国民保護法案におきましては、物資の収用でありますとか土地家屋の使用、これを強制的に国とか地方公共団体が行う場合がありますけれども、こういう場合には、通常、出る損失については補償をするということになっておりまして、法律にはその旨規定をいたしております。  今御指摘のところは、これは沖縄での戦争中のことだと思うんでありますけれども、私は、そういうような類似のことがどうも本土の方でも行われているんじゃないかというような想像はするんでありますけれども、そういう場合にも、通常は、まず売り渡したのか売り渡していないのか、所有権の移転があったのかないのか、あるいは賃貸借だったのかと、そこの辺のところがきっちりと、はっきりしないとこれは先へ進まないわけですね。  したがいまして、私は、この沖縄の飛行場用地等につきましても、衆議院の方で仲村議員のこれずっと説明を聞いておりまして、このようにお答えをいたしたんです。あれ、議事録を読んでいただくとお分かりだと思うのでありますけれども、仲村議員の質問は、そういう今の大田委員と同じように返せという部分と、もう使わないところについては売り渡せというようなことも言っておられるわけですよ。  したがいまして、私は、その飛行場用地を利活用していくということは大事なことでありますから、そういう国が土地を取得しまして、それを、未利用地でありまして、将来とも使う必要がない、使う目的がないというような場合には地元の方に払い下げたらどうかというようなことを私は想定いたしまして財務省の方にもお話をしたのでありますけれども、いずれにしましても、この所有権がどっちにあるのか、これが確定しないと、これ何とも補償も、移るとかしないとかと話がそこはできないわけでありまして、そこは当事者の話合いによるなり、話合いができなければ訴訟できちっと確定していただかないといけない、これはもう大前提だと思います。
  141. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ただいま大臣がお答えのとおり、戦争になるとだれの所有かということも分からなくなるんですよね。ですから、幾ら法律で立ち木の補償をするとか家屋を破壊した場合に補償するとかといって、六十年たっても補償されない。しかも、今大臣は沖縄だけじゃなくて日本本土にもそういう類似の事件、ことがあるかもしれないとおっしゃった。なおさら大変なことですよね。つまり、それだけ被害が多くに及ぶということになるわけですから、ですから、その辺も是非真剣に御検討いただきたいと思います。  さて、外務大臣に一問だけお伺いします。  在韓米軍の三万七千人の三分の一に当たる一万二千五百人を二〇〇五年末までに削減するとアメリカ側が韓国に正式に伝えたと報じられていますが、これは米国が今進めている世界規模での米軍の再編、再配置の一環と思われますが、以前フィリピンのクラーク基地、スービック基地が閉鎖された際、同基地の一部が沖縄に移転されて、沖縄の方では随分それに反対したわけですが、今回、韓国でもしそれが実現すると再び沖縄にまたその一部が向けられるというような、そういうことはございませんか。アメリカ側と何らかのお話はありますか。
  142. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) おっしゃられたように、一万二千五百名の削減、縮小をするということでございまして、これは米軍のグローバルな軍事体制の見直しの一環であるというふうに理解をいたしております。  それで、その日本への影響がどうなのかということが御質問でありますけれども、韓国政府によりますと、この在韓米軍の削減は新たな武器システムの導入等によって可能になるものであって、これによって在韓米軍の主任務である韓国の防衛にいかなる影響も与えないというふうにしているわけでございます。今まで能力を重視するということをアメリカは説明をしてきたわけで、それとも合致をするということであろうと思います。  したがいまして、在日米軍の兵力構成の見直し、これに当たりまして、在韓米軍が削減をされた結果その能力が減少をして、そしてその部分を在日米軍の増強によって補うと、そういうようなことが想定されているということではございません。
  143. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  144. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時三十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  145. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、有村治子君、田浦直君、中原爽君、森ゆうこ君、岡崎トミ子君及び井上哲士君が委員辞任され、その補欠として松山政司君、加治屋義人君、狩野安君、大江康弘君、平野貞夫君及び吉川春子君が選任されました。     ─────────────
  146. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 休憩前に引き続き、武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案外九案件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  147. 田村公平

    ○田村公平君 自由民主党の田村公平です。  今、この二月から当委員会、ずっといろんな審議をしてまいりました。その中で、私、学生時分でありましたけれども、一九六八年に野宿をしながら世界一周したとき、北欧三国の学生さん、大学の寮に泊めてもらいました。たまたま、まだ国に帰らないでその大学にいた学生さんと話をしたときに、私の英語は非常に、今もそうですが、つたない英語でありましたけれども、当時は社会党を中心として非武装中立論という論議がありました。自衛隊のことをセルフディフェンスという言葉を使ったときに、向こうの学生と議論になりませんでした。なぜかといいますと、軍というもの、アーミー、ネービー、エアフォースというものはセルフディフェンスというものをインクルードしている、含んでおるということで、自分自身が大きなショックを受けたことを覚えております。  その前にも、三矢研究をしたということで防衛庁の職員が処分をされたり、あるいはその後に、国連は田舎の森林組合のようなものだという発言をした防衛庁長官が引責辞任をしたり、そういう意味では、この国会の中でこういう議論が堂々とできる時代になった、あるいは国連の役割も大変重くなってきた、そういう時代の、戦後六十年たとうとしておる中で感慨深いものがありますが、特に総理におかれましては、先般、サミットでの各国首脳との議論あるいはブッシュ大統領との首脳会談について、かなり突っ込んだ意見の交換があったというふうに承知をしておりますが、まず、そのサミット首脳会談のことについてお尋ねをいたします。
  148. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回のサミットは、ちょうど今から三十年前、第一回のサミットがフランスのランブイエで行われました。そのときは中東戦争の後で、一バレル二ドル前後の油が十ドル前後に跳ね上がった。ほとんど石油を外国に依存している日本にとって、日本が一番打撃を受けた後に、先進石油消費諸国として、この産油国が石油を武器に油の値段を上げてきた、どう対応するかということで開かれた第一回のサミットからちょうど三十回目に当たる会議であります。  そういう中で、今また油の値段が四十ドル前後、高騰しております。この時期に、三十年、石油の問題のみならずテロの問題あるいはイラクの問題、北朝鮮の問題、世界経済の問題、いろいろ出来事が次から次へ発生しておりますが、三十年たっても世界のいろいろな問題に対してお互い協力して対応していくという重要性に変わりはないという認識の下に今回のサミットが開かれたわけであります。  このサミットには、G8諸国のみならず、中東諸国そしてアフリカ諸国の首脳も参加して議論を行われた会議が持たれました。また、イラクの暫定政府の大統領も実際その会議の席に出席されました。  そういう中で、日本として、これから世界経済の問題、これは日本もようやく明るい兆しが出てきた、この明るい兆しを本物にしていきたい、いわゆる改革路線を堅持して改革の芽を大きな木に育てていきたいという話を私から申し上げ、同時に、アメリカ経済、中国経済の好調というものは日本経済のみならず世界にもいい影響を与えていくのではないかという話が行われました。  日本としては、特に今後、経済発展、これは先進国も発展途上国も経済開発の問題は大きな課題でありますが、日本の過去の高度成長の経緯から、開発を考える際には重視しなきゃならないのは環境保護であると。経済開発と環境保護、これを重視していかなきゃならない時代に世界的になったのではないかということで、日本としては、小泉内閣発足以来、特に環境問題には重視していると。  いわゆるスリーR、三つのRを提案いたしました。廃棄物、これを削減していくリデュース、そして今まで捨てられていたものを再資源化して再使用するリユース、そして循環型社会を作るリサイクル、これをこのG8サミットでも十分重視しながら、これから開発に意欲を持って進んでいる発展途上国にも開発を進める際には環境保護を重視していくことを協力していく必要があるという話を申し上げ、各国首脳から賛同を得ることができました。  また、イラクの問題につきましては、ちょうどサミット開催前に国連安保理事会で、イラクの復興支援に対しまして、開戦の経緯は経緯として、今後イラクの安定した民主的政権を作るために各国が協力して支援に当たっていこうという、この新しい決議が全会一致で採択されました。これを踏まえて、サミット参加国としても各国にふさわしい努力をしていこうということで、これからも日本はイラクに安定した民主的な政権を作るために日本にふさわしい貢献をしたいというお話を申し上げました。  また、イラクの大統領が参加しておりまして、私もじかに話し合いましたけれども、イラクの大統領は日本自衛隊活動に感謝と高い評価を与えまして、是非ともこれからも日本自衛隊の復興支援活動を継続してくれという強い要請を受けました。私も、日本として日本にふさわしいイラクの復興に向けた支援がある、これからもできるだけ日本の国際社会における責任を果たしていきたいという話を申し上げました。  北朝鮮に対しましては、一昨年九月十七日に訪問した際に金正日氏と交わしました日朝平壌宣言、いわゆる拉致の問題、核の問題、ミサイルの問題、これを包括的に解決して日本が北朝鮮との間に国交正常化実現に向けて努力していく、これを金正日氏との間に先月五月の訪問で再確認した、今後とも日本としてはこの方針に変わりないと。特に、世界各国が、特にG8諸国が関心を持っております核廃棄の問題、北朝鮮の、この問題については、日本としては、日本独自の問題でもありアメリカと北朝鮮だけの問題ではないと。今六者協議が行われ、これからも行われようとしておりますが、この六者協議の場においても各国が協力して北朝鮮に核廃棄を働き掛けていこうと、そして北朝鮮を国際社会の責任ある一員に参加させるべくお互い協力していこうという確認をすることができました。  その間、サミットの会議の合間を縫いまして、私は、ブッシュ大統領、ブレア・イギリス首相、シラク・フランス大統領、プーチン・ロシア大統領、シュレーダー・ドイツ首相、アブドラ・ヨルダン国王と二国間会談を行いまして、二国間の協力友好関係の促進と、そして今後の世界問題に当たっては協力して対応していこうという話合いを行うことができました。極めて意味のある三十回目のサミットだったと思っております。
  149. 田村公平

    ○田村公平君 第一回のサミットはやはり中東の油に端を発し、また総理から三十回目のサミットが一バレル四十ドル前後というお話もありましたが、中でも、この首脳会談の後に総理からお話もございました。そして、国連安保理の決議が全会一致でなされました。そのことを受けまして、総理は、人道的復興支援、多国籍軍の中で今後もやっていきたいというような趣旨の御発言がありましたけれども、この時期、まだイラクはそうはいいながら絶対的に安心とか安全とは言えないいろんな事案が起きております。  このような事態の中で、国民の皆さんも、多国籍軍の中に自衛隊が入る、そういう人道復興支援であろうと、そういうことについて不安を持っている方もたくさんおられると思います。この際ですから、総理の方から、幸いNHKのテレビ中継も入っております。国民の皆様に総理の思いを説明をしていただければ有り難いと思います。
  150. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この多国籍軍という問題につきましては、イラクの暫定政府の大統領も首相も、国連に対して各国が、今後イラクの主権移譲、復興、安定に協力要請をしてまいりました。その中で多国籍軍が編成された場合に、日本としても、今までのイラク特措法に基づく人道支援、復興支援を継続していく方針であると。  多国籍軍と申しますと、とかく武力行使を目的とするんではないかというとらえ方が一部にございます。しかし、日本としては、多国籍軍が形成されたとしても、武力行使を目的とする、そういう活動には参加いたしません。現在のイラク特措法に基づいて、非戦闘地域、そこで人道支援、復興支援を行うということでありますので、これからそういう方向で日本が現在のイラク特措法の範囲内でどのようなイラクに対して復興支援、人道支援を行うことができるか、与党始め関係当局等も含めてよく相談しながら、日本にふさわしい人道復興支援活動を継続してまいりたいと思っております。
  151. 田村公平

    ○田村公平君 もう一つの心配は、多国籍軍の一員になると米英の指揮下に入るのではないかというふうにも思われがちであります。日本国内でそういうことが総理のおっしゃるように理解できたとしても、イラクにおけるその国民の目から見た場合に、今いる、サマワにいる自衛隊、あるいは人道的支援、復興支援を含めまして、そういう目で果たして見ていただけるかどうか、そういうことについての、あるいは自衛隊の今までのような活動の規模、部隊運用等について、総理、もう一度明確に答弁というか、意見を言っていただきたいと思いますが。
  152. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今回のサミットにイラク暫定政府の新大統領が出席されまして、その話合いの中で、じかに日本自衛隊活動に対して温かいイラク国民の歓迎ぶりをお話しいただきました。特に、日本自衛隊活動に対してはイラク国民が感謝していると、是非とも日本自衛隊にはこれからも継続、支援活動をしていただきたいという話をじかに聞きまして、日本自衛隊の諸君も頑張ってくれているなと、地域住民と友好協力関係を築きながら、その任務の遂行ぶりが高く評価されているということを伺いまして、大変心強く思いました。  これからも、日本自衛隊のイラクにおける活動は、多国籍軍が形成され、その多国籍軍と協力しながら活動する際にしても、その自衛隊活動日本国の指揮下に入るわけであります。日本の独自の判断で人道支援、復興支援を、活動をしていくべく、関係諸国とこれからも緊密に連絡、確認をしていきたいと思っております。
  153. 田村公平

    ○田村公平君 総理、今、明確に日本国政府の指揮下に入るということでございました。再度確認をさせていただきました。  この問題につきましては、当委員会でも与野党含めましていろんな議論がありました。そこで、内閣法制局長官にお尋ねをいたしますが、今の総理発言を受けて、内閣法制局長官としての見解をお伺いしたい。
  154. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) イラク特措法に言う人道復興支援に相当するものが今回のイラク新決議の中にも含まれているということでございまして、自衛隊とその多国籍軍との関係につきましては、現在、政府で検討中でございます。  したがいまして、一般論として申し上げるんでございますが、いわゆる多国籍軍にも、かつての湾岸型のもののように軍事的手段によって平和の回復を図るというものだけではなくて、現実にはいろいろな類型のものが出てきております。個々の事例によりまして目的、任務が異なりますので、我が国がこれに加わることの可否を一律に論ずることは難しい。国連決議の内容とか多国籍軍の目的、任務、編成など具体的な事実関係に沿って、我が国として武力の行使を行わず、また、我が国の活動がほかの国の武力の行使と一体化しないことがいかに確保されるかということを基本にして検討されるべきものと考えます。  従来、政府は、その目的、任務に武力の行使を伴う多国籍軍につきましては、自衛隊がこれに参加することは憲法との関係で問題がある。この場合の参加とは、当該多国籍軍の司令官の指揮の下に入り、その一員として行動を取るという意味であるというふうに御説明してまいりましたが、その理由はただいま申し上げましたような意味で、当該多国籍軍参加することは、たとえ自衛隊が直接武力の行使を任務としない場合でありましても、正に当該多国籍軍の司令官の指揮下でその命ずるところに従い武力の行使に関連する行動を取るという意味におきまして、自衛隊活動が武力の行使に及んだり、あるいは他国の武力の行使と一体化することがないという前提を確保することが困難であるというふうに考えたためでございます。  それで、自衛隊と新決議に基づく多国籍軍の関係につきまして、政府としては、イラク人道復興支援特措法に基づきイラク支援を継続していくということを検討しているわけでございますが、この法律に基づきまして、我が国自身の判断により主体的に行われる活動憲法との関係で問題はないと考えておりまして、この考えに変わりはないところでございます。
  155. 田村公平

    ○田村公平君 私が頭が悪いせいか、よく分からない部分がありますが、それはともかくといたしまして、我が自由民主党は来年結党五十周年であります。党におきましては党基本理念の委員会が設けられまして、私も幹事をやらさせていただいておりますけれども、その中に明確に新しい憲法を作ろうということをうたわさせていただいております。これは私の総理に対する質問でありません、個人的な意見でありますけれども憲法九条を見る限りにおいて、戦後六十年間、ある意味で上級法と違う形で、その都度その都度の解釈解釈で今日に至ったのが今の自衛隊の存在ではないかと思っております。  冒頭申し上げましたように、この国が普通の国になっていく、今そういうことがこの国会でも、憲法調査会やこの委員会でも議論ができることになったことが私は大きな進歩だと思っております。恐らく内閣法制局長官はもっと明確に言いたいところがあったと思いますけれども憲法上の制約これありでそういう答弁だと、私が勝手に、一応与党の立場ですから理解をさせていただきまして、(発言する者あり)いやいや、これから次の質問に入らせていただきます。余りからかわないでください。  とはいいながら、イラク特措法の中で、今、多国籍軍の中に入るという方向の話も出ましたが、六月三十日に暫定政権という形で移行していく場合に、今後のイラク情勢の見通し、特に治安がこれ以上悪化するのではないか。それはなかなか予言者ではありませんから分からない部分があるにしても、総理、このイラクの情勢を六月三十日以降どのようにお考えになっておる、どのようなことを思っておられるかお聞かせ願いたいと思います。
  156. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) イラクの最近の情勢からちょっとお話を申し上げたいと思いますけれども、最近、特にラマダンの時期、それ以降ですけれども、四月、今年の四月から五月にかけて悪化をしているということだと思います。ソフトターゲットに対する攻撃も、昨日ございましたように、増えているということでございます。  したがって、全般として予断を許さない状況が現在続いているということではございますけれどもイラク特措法の制定の当時の基本的な認識、これは地域差があるとか、そういったことを申し上げましたけれども、その基本的な認識の範囲内であるというふうに考えております。引き続き注視をしていくことが必要だと思います。  今、六月三十日に向けまして、それぞれのグループが、やはり自分が特に統治権の移譲、これについて望まないグループのいろいろな動きがあるということでございますけれども、六月三十日を越えて正にイラク人に主権が渡される、完全に回復をするということでございますから、イラク人がイラク人の手で自らの国の復興を行っていくという観点で国際社会共々、一致協力をして治安が徐々に収まっていく方向になるということを我が国としては期待をしている。そのために、我が国も含め国際社会が一丸となって支援をしていくことが重要であるというふうに考えております。
  157. 田村公平

    ○田村公平君 そうであっても、もしイラクの治安が悪化して特措法の本来の枠組みが崩れた場合、自衛隊の撤退、これは泥沼に入ってしまう可能性もあるわけですよね。多国籍軍という話も出てきています。いつそういう、もし枠組みが、フレームが崩れた場合に勇気を持って自衛隊を引き揚げる、そういうことも想定されると思いますけれども、その点についてはどうお考えですか。
  158. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは先生御指摘のように、特措法の枠組みが崩れた場合、すなわち非戦闘地域でなくなったとか安全確保が極めて困難である、自衛隊の権限、能力、装備をもってして法の目的が達し得ないということになれば、それは法の前提、先生のお言葉どおり法の前提が崩れたことになります。その場合には、法治国家の当然として先生が御指摘のようなことも当然考える、それが法治国家のあるべき姿だと考えております。
  159. 田村公平

    ○田村公平君 イラクのことをいろいろ質問してまいりましたが、私は、冒頭申し上げましたように、この有事法制が制定されるということについて、普通の国になっていく産みの苦しみの過程だというふうに思っておることを申し上げました。  そこで、こういう、議論をすること自体がタブー視されてきた中で、こういう時を迎え、私は、有事に対処する法制の整備日本の国として当然のことだと思っております。そのときの、今こういう実態にある総理として、有事法制についてどのようにお考えかをお聞かせください。
  160. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 有事、いわゆる一朝緊急事態が発生した場合にどのような対応を行うかということを平時のときから法的整備はしていこうということにつきまして、ようやく与野党の垣根を越えて、法治国家として必要だなという認識が生まれたことにつきましては感慨深いものがあり、また好ましいことだと思っております。  どの政党が政権を取ろうと、国民の生命、財産を守る、これは時の政府として最も大事な仕事であります。その際に、法律整備されてなくて、その都度どのように緊急事態に対応するかということを事態が起こってから考えるということではなくて、やはり平常なときからそういう緊急事態考えておこうということで、今回このような法案が与野党共通の認識の下に合意がなされようとしているということは、国家として私は当然の状況ではないかと思っておりますし、今後想定しにくいことを想定しつつ、その際の法的整備はどうあるべきか、またその法律はどのように国民の生命と安全を守ることができるかという論議が昨年から進められ、こうして与野党が共通して真剣に考えていこうという基盤ができた。  そして、このような審議が行われておるということは、私は国家としては当然の責務を果たそうとしている各党の責任ある態度の表れだと思っておりまして、この国会での審議を踏まえ、政府としても一朝有事が起こった場合に法治国家としてどのような法律整備し、国民生活の安全を図るかということで今回の審議も行われているわけでありまして、この問題については今後とも各党が協力していろいろ協議をし、整備すべき法律整備していくという態度が必要ではないかなと思っております。
  161. 田村公平

    ○田村公平君 この審議を通じて、私、若干むなしさを感じている部分があります。というのは、法律は確かに一杯書き込んでありますけれども、現実問題として日本国民の中に、こういう有事の際、あるいは大規模災害の際の心構えというんでしょうか気概というんでしょうか、そういうものを持っていないと、俗に言う仏作って魂入れず。  例えば、三年前、今日、後に質問に立ちます民主党の平野先生の出身地でもありますが、土佐清水で大変な大災害がございました。自衛隊が救援に駆け付けてくれましたけれども、何せ道が一本道しかありませんので、そしてこの数日前も、高知県は海岸線が非常に長い、国道五十五号が土砂崩れで止まりました。  だから、法律を作って、そしてこういうふうに消防団や警察、いろんな自治体協力しなさい、しなさいと言うけれども、どうもむなしさを感じたのは、そういうことを言いながら、現実問題の社会資本整備ができていない。どこへ避難すればいい。  あるいは、たまたま三年前の土佐清水市を中心とした西南の集中豪雨では死者がゼロでありました。それは、ある意味で田舎だったからです。どこの家に寝たきりのお年寄りがいるのか、どこが独居老人なのか、どの渓流が危ないのか、地域の人たちが、消防団や駐在所の人たち、みんな知っていたものですから、間一髪で、財産は失いましたけれども、生命は助かりました。  そういうことを考えたときに、何か総理の神奈川県の横須賀は海岸ぶちの道もあれば、いい規格の高い道路網も整備されていますけれども、まだ整備されていない例えば石破長官鳥取市へ僕この前行ったら、高速道路の入口七十六キロと書いてありましたよ、高知県よりもひどいところがあるんだなと。そういうところで避難誘導といっても何かいま一つ空回りがしてくる。  そういうことに対して、まず国民に対しても、この法律ができて、できた場合に啓蒙、そしてそれが自分のことだと、権利とか義務とかそういう変な主張じゃなくして、我が事だと思うようなことをせぬといかぬのじゃないかと思っておりますが、これについてどうお考えでしょう。
  162. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 田村先生おっしゃいますとおりに、形だけを作りましても、制度だけを作りましても、それが本当に機能しまして、制度が目的にしておりますとおりになるかどうかというのはそれは保証はないわけでありまして、したがいまして、この運用につきましても、正に魂が入りますように十分気を遣いまして運用をしていかないといけないと思うんです。  おっしゃるように、道路整備の問題につきましても議論になりました。私は、やっぱり道路を造ります場合に、経済的な効用もありますれば、何といいますか、そういう安全面に配慮いたしましたそういう需要というものがあるのでありまして、そういう需要といいますか、必要性も入れまして道路整備というのは行われていかなくちゃいけないんじゃないかなと思います。  さらに加えて、どうもこういう有事だとかあるいは災害になりますと、ともすれば弱い立場の人にしわが寄りがちでございまして、例えばお年寄りがどうも避難から取り残されるとか、そういうことがあるわけでありまして、そういった点にも十分気を配りまして対応しないといけないと思います。  御承知のとおり、国は基本指針というものを作りますし、県や市町村はそれぞれ計画を作るのでございますけれども、そういう計画を作ります場合にも、今おっしゃるような点に配慮をした計画を作る、対応するように十分心掛けていきたいというふうに考えております。
  163. 田村公平

    ○田村公平君 昭和四十五年、高知県の県庁所在地である高知市が大水害を受けました。死者も多く出ました。全壊、半壊入れると一万五千戸以上の被害がありました。そのときに、本院の先輩議員である坂本昭さんが高知市長でありましたけれども住民の皆さん、生命、財産は自分で守ってください、高知市長としてできることは何もありませんという放送を出して、これは名演説というんでしょうか、悲しい話であります。そのようなことにならないように、是非これは政府を挙げて取り組んでいただきたい、これは意見として申し上げます。  そして、この三条約に関しまして、総理も建都三百周年のサンクトペテルブルクにたしか参ったというふうに承知をしておりますが、私も昨年、サンクトペテルブルクに参りました。そのときの現地の通訳の方、もう六十五歳を過ぎておりまして、マルガリータさんというんですけれども、非常に品のいい方で、もう年金生活者に入っております。お孫さんのアイスクリームを買うのが楽しみで、私なんかの通訳もやっていただいたんですが、ちょうど日露戦争百周年の節目の年でありますが、御身内の方が日本軍と戦ってその日本軍の武士道というんでしょうか、すばらしさを代々語り継いできたんで、大学で日本語学科に行って、女性であるけれども、たしか五名日本語学科に入ったけれども、私はそれを全部クリアして、女性でありながら大阪万博にもロシア側の通訳、当時のソ連側の通訳として来たという非常に心温まる話も聞きました。  そして、第一次世界大戦、多くの約五千人を超えるドイツ軍の捕虜がこの四国、特に八十八か所の第一番の札所である霊山寺というお寺がございますけれども、そこのそばに板東捕虜収容所というのがありまして、ここの所長さんというのが戊辰戦争で敗れました会津の人でありまして、その後に下北半島で苦労をし、それで第五期の陸士だったと思いますけれども、大変立派な所長さんの下で、実は鳴門市を中心としたあの辺りにはドイツパンがすごく多いところであります。  総理も大変文化芸術に造詣が深いことは承知をしておりますが、我が国で最初に第九が演奏されたのもその地であります。そして、その第一番の札所のお寺の境内で当時の捕虜たちが徳島市民、県民と交流し、そのことが我が国におけるベートーベンの第九の初演でありました。  ですから、何か、明治生まれの人、あるいは江戸末期に生まれ、明治生まれの人、「坂の上の雲」ではありませんが、何か当時の日本人の方がもっと志が高く、敗者に優しく、思いやりがあったような気がいたします。決して、人工衛星もない、携帯電話もない時代に、そういう、あるいはベネディクトは日本に来たことがないのに「菊と刀」という本を書いたように承知をしておりますし、「ビルマの竪琴」の竹山道雄さんも当時のビルマに行ったことありません。  私はよく今もミャンマーに行くんですが、名もない村に私ども高知県から約四千名の方々がビルマ戦線で戦死をしております。遺骨の回収が全部終わっておりません。しかし、仏教国であるミャンマーには、日本軍の遺骨や遺品を塚にして、そして坊さんが守ってくれております。私は、なけなしのお金で済ますのは大変失礼だと思いながら、百ドルを渡そうとしたら、絶対取りません。そういう国もまだあります。  ですから、法律条約、そして今、長崎の不幸な小学生の事件、親が子を殺したり子が親を殺したり、あるいは三菱自動車のああいう事件、何かこの日本の社会自体が豊かになったことによって逆に心の寂しさを持ってきたんじゃないか、心が荒れてきたんではないか。  そういう意味も込めまして、私は総理に、あと三分、今四分ですからあと三分ぐらいありますけれども、今後、日本の国の在り方、それは有事法制、私は普通の国になるということを言ってきました。その産みの苦しみだと思っています。六十年間、ある意味で平和ぼけしてきたことも事実であります。金々主義でやってきたことも事実でしょう。そういう私の思いを込めて、総理、御所見をお伺いして私の質問を終わりたいと思いますが、是非格調高くやっていただきたいと思います。
  164. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、田村議員のお話、改めて伺いまして、日露戦争時におけるロシア人捕虜の扱い、そして第一次大戦時におけるドイツ人捕虜に関するエピソード等、当時のお話を伺いまして、当時の日本人の高い道徳心といいますか公徳心といいますか、強い感銘を受けております。  私も、先般、松山を訪れたときに、ロシア人墓地を訪れました。現在も、老人クラブの方々あるいは地元の中学生の方々が定期的にお墓、きれいに清掃されております。一人一人、九十数名ですか、日本で亡くなられたロシア人兵士に対して、ロシア語と日本名、両方墓碑が刻まれておりました。こういう捕虜に対して日本人が温かく遇しているということについては、私はこれからも、日本人のみならず、人間が持たなければならない大事な人間性といいますか、資質だと思っております。このエピソードというものを我々は今後十分認識して、日本人として信頼ある活動をしていかなきゃならないと思っております。  特に、今第九がお話が出ました、ベートーベンの。これも第一次大戦中に日本軍がドイツの抑留、租借地であった青島を、チントーというんですかね、青島を占領し、約四千七百名のドイツ兵捕虜が日本各地の捕虜収容所に送られたと。そのドイツ兵捕虜は遠方からの客人として日本国民から温かくが迎えられて、捕虜たちを乗せた列車が各収容所所在の駅に到着すると、当時の日本国民が多数で歓迎したと記録に残っております。そして、徳島県鳴門の捕虜収容所には約一千名の捕虜が三年間収容されたが、寛大な扱いを国民日本国民から受けて、市民レベルの交流が盛んであったと。鳴門市は捕虜となっているドイツ軍楽隊によって一九一八年、大正七年六月一日に日本で初めてベートーベンの第九が演奏されて、両国民により歓喜の歌が歌われた地として知られていると。毎年今も六月第一日曜日には第九のコンサートが開催されているということを聞いております。  私は、こういう問題、特に愛媛県は、ロシアの捕虜、日露戦争の後です、敵国兵士に対して、県民に対して愛媛県は、捕虜は罪人ではない、祖国のために奮闘して敗れた心情を酌み取って、いっときの敵がい心に駆られて侮辱を与えるような行為は慎めという訓令を発出したと言っております。  これからも記憶にとどめて、日本としても十分このようなエピソードを大事にしていかなきゃならない。そして、日本国民もこういう歴史に学んで、やっぱり世界から信頼される国民として日本にふさわしい活動をしていくべきだと思っております。
  165. 田村公平

    ○田村公平君 終わります。
  166. 平野貞夫

    平野貞夫君 民主党・新緑風会の平野貞夫でございます。午前中は岩手県の平野さんが質問しましたが、午後は高知県の平野質問いたします。  先ほど、田村議員からもお話がありましたように、土佐清水市の生まれでございます。私は、今期で引退いたします。十二年前に出ましたときに公約したのが、私のふるさと土佐清水、四国西南地域に国連のPKO訓練センターを誘致するという公約でございました。できませんでした。しかし、ここは宿毛湾、そして国有地で三千五百メートルの滑走路を取れる空と海の起点でございます。私の子供のころは山本五十六元帥、それから永野修身元帥がしょっちゅう宿毛湾に入っておりました。日本は覇権を求めず、国連の下で世界の平和を維持する、その地域でございますので、どうかひとつ頭の中に閣僚の皆さん入れておいてください。  さて、小泉総理、第三十回サミット首脳会議、それから日米首脳会談、御苦労さまでした。いろいろ重要な問題が協議されたようですが、評価はこれからだと思います。  一つだけ触れておきたいのは、ブッシュ大統領の多国籍軍への事実上の参加公約でございます。いろいろお話がありましたんですが、人道支援の部分だけの参加なのか、あるいは多国籍軍に法制局長官は協力するとか、あとは日本独自にやるとかと、いろんなことをおっしゃっていますが、事実上の参加であることは間違いないと思います。常識でございます。重要な問題でございます。  これは、当然、本来なら衆議院を解散して国民に問う問題だと私は思います。当然、憲法の改正あるいは解釈の変更、新立法が必要な問題であることは国民の常識でございます。憲政の常道でございます。あなたはこの問題で解散するお覚悟があるかどうか、明快にお聞かせください。
  167. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、今回のブッシュ大統領の会談におきましても、またサミット会議の会談におきましても、イラクの主権移譲、イラク人への主権移譲、そして、イラクに安定した民主的な政権を作るために国際社会が協力して当たらなきゃならないという国連安保理における全会一致の決議を受けて議論をしたわけであります。  そういう中で、日本としてふさわしい活動をしていきたい、当然、これはイラク特措法に基づく人道支援、復興支援であります。この活動を継続していく限りにおいてイラク特措法を変える必要もありませんし、この問題について私は国民理解を得られるように、これからも説明等、努力していかなきゃならないと思っておりますが、この問題で国会を解散する気はございません。
  168. 平野貞夫

    平野貞夫君 余りこれ以上詰めませんが、いずれにせよ、新しい安保理決議で特措法の、イラク特措法の枠組みは変わったんです。次元が変わったんです。私は、個人の意見としては、国民意見の下、きちっとした制度を作って、そして、自衛隊に武力行使がどうのこうの言わずに、これは平和維持のためでございます。平和の創設のためでございます。人道支援もしなきゃなりませんが、ほかの国と必要ならば同じ条件で同じことをするという制度を作らなければ日本は国際社会から信用されないと、それは私の個人的意見でございます。必ずしも民主党全体の意見じゃないと思いますが、そこをごまかしごまかし、なし崩しでやるということが我が国が信頼されない最も大きな原因だということを申し上げます。  あと、齋藤理事がまたやると思いますので、この程度にとどめます。  日本国有事の際、そのときの基本問題は、私は、そのとき、あるいはその仕組みを作った国家を代表する内閣総理大臣の見識や人格、そして内閣総理大臣国民から信頼できるという、こういうことが一番大事だと思います。  そういう点から総理質問をしていきたいと思いますが、総理はたしか福田赳夫元総理の薫陶を受けて政治家になった方だと思います。私は、福田元首相と一高、東大、大蔵省で同期であった前尾繁三郎衆議院議長の秘書をやっていた関係で、前尾さんが人生の師でございます。この二人が時々会っていた、食事をしていたという。私聞いた話が、政治家である前に人間であれと、こういうことを二人はいつもおっしゃっていました。恐らく、人間としての常識、愛情、見識を持つことが政治家としての基本だと、そういうもののない人間は政治家になるべきでないという、そういう考えだったと思います。  ところで、非常に口の悪いことを言いますが、あなたはこの百五十九回国会で随分と不見識、ふまじめ、国会を冒涜する発言を繰り返しました。生きている恩人を、首相を辞めてから墓参りしたいとか、幽霊社員であったことを指摘されて、人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ、男もいろいろとは言わなかったようなんですが、そういう勤労者を冒涜する発言をした。そして、若いころの経歴や違法行為を指摘され、四十年前のことなどとやかく言われる筋合いはないと開き直りましたですね。これ、とても普通の人間の発想ではないと思うんですよ。私は、五十年近く国会にいまして、こんな姿勢の総理を見たのは初めて。福田元首相の教えからいってもこれは反しますよ。  民主党の岡田代表が衆議院で、それは国民に謝るべきだと、謝るべきだということを指摘しましたが、どうですか、サミットで世界の指導者たちと会って、改めて国民に謝るべきじゃないというふうに、謝った方がよろしいんじゃありませんか。
  169. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は何ら恥じることをしておりませんし、何で謝って、謝る必要があるのか分かりません。今まで数々、困難なときにもいい方に巡り合えて、くじけないように頑張れと支援を受けてまいりました。そういう良き方々の支援があったからこそ今日の私があるんだと思っております。そういう方々の支援にこたえるべく、これからも誠心誠意国政に当たっていかなきゃならないと思いますし、過去の問題、いろいろあることないこと言われておりますが、私は自分の行動に恥じることはありませんし、謝ること、どういう点について謝ればいいのか。  それは完全無欠の人間でありません。それは自分でも認めております。あるいは、年金の問題につきましても、全く自分の気が付かなかった不明の点、不明の致すところはあったかと思います。そういう点は反省しながらも、これからも、今御指摘のように、政治家の前に、また政党人の前に人間であるということは当然の御指摘だと思います。これからも自ら身を正して、誠心誠意国政に当たってまいりたいと思っております。
  170. 平野貞夫

    平野貞夫君 過去のことを謝れというふうに私は言っているわけじゃございませんよ。やっぱり国会という国民を代表する議員の、会議の前で、国会をやゆしたり冒涜したりあるいは茶化したりする総理の姿勢に対して、それはやはり慎重であるべきじゃないかと思う。そういうことを私、申し上げているわけでございます。しかし、これは認識の差でございますから、時間がありませんので、次に進ませてもらいます。  要するに、一国の総理、現在でございましたら小泉総理の見識が日本国の見識なんです。そして、小泉総理の名誉が日本国の名誉になることは、これは総理自身よく御自覚されていることだと思います。残念ですが、来年の第三十一回サミットも、多分小泉総理が出席することになると思いますが、その点からも私、あなたの名誉と人格にかかわる問題についてこれから取り上げたいと思います。  国会最後の質問でこういうことを取り上げることは自分は不本意でございますが、しかし、日本国の名誉、総理大臣の名誉、国会の名誉からいって取り上げる、そういう決意をしたわけでございます。  ちょっと御説明いたしますと、六月に入って、インターネットのヤフーというところの掲示板に、小泉首相レイプ裁判として、東京地裁で民事裁判として損害賠償事件が審理されている様子が載りました。これは全世界に発信されているインターネットの情報でございます。  掲示板の要点は、小泉一郎は、ちょっとこれ呼び捨てにして恐縮でございます、一九六七年四月、慶応大学の四年生であったときに、婦女暴行事件を起こして神奈川県警に逮捕されたことがある。場所は湘南であり、相手は慶応大学の女学生であった。当時、防衛庁長官であった父親の小泉純也氏が政治的圧力を使い、この事件をもみ消したが、学内でうわさの広まるのを恐れ、小泉純一郎氏を急遽一九六七年の五月にロンドンに留学という口実で日本から出した。これは慶応大学には休学扱いとした云々と、こういう掲示でございます。  私は、このヤフー掲示板は日本国総理の人格と名誉を著しく冒涜するものと思います。G8サミットの開催と重なることを私、気にしまして、最高裁判所に、本当かどうか、こういう裁判が行われているかどうかということを確認しました。最高裁からは、原告名木村愛二、被告名小泉純一郎、これ、住所が官邸になっております。東京地裁では、事件番号平成十六年(ワ)第七〇四五号、損害賠償請求事件として三月三十日に受け付けたと。そして、第一回口頭弁論が五月六日に東京地裁の六〇九号法廷で開かれ、第二回口頭弁論が六月十五日十時二十分、第六〇九号法廷で開くと、こういう回答がございました。  訴状が手に入りましたので点検しますと、ヤフーの掲示板と同趣旨のことが書かれていました。驚きました。異なる部分は一点、某紙がかつて報道したことなんですが、小泉首相の暗い影を英米の諜報機関が握っているという部分でした。非常に特殊な訴状内容なので法律の専門家でない私は訴状の論評は避けますが、しかし次の事柄については国会責任においてただしておくべきだと思っております。  まず、小泉総理国会の首班指名によってその権限が機能するものであります。小泉総理の名誉は、何度も申しますが、国会の名誉です。万が一訴状の内容に事実があるなら国会責任が生じます。直ちに辞職すべきでございます。事実でないなら、小泉総理だけでなく国会自体の名誉と権威が汚されたことになります。法的措置が必要だと思います。  したがって、小泉総理は、この訴状が事実かどうか、国会国民に対して説明責任があると思います。この場で真実を語っていただきたい。四十年前のことなどとやかく言われる筋合いではないということでは済まされない問題であります。お願いします。
  171. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) よくもこうも全くでたらめな問題が提起されるなと。また、こういう場で全くでたらめな問題を提起されるというのも、私はいかがなものかと思うんですよね。  このお尋ねの訴訟というのは、私個人に対して提起された損害賠償請求訴訟であるということを、こういう質問が民主党議員からされるということを聞いて承知いたしました。最初から、お話もありましたように、私がそもそもレイプするなんて信じられないことですよ。よくもでたらめの裁判を起こす人がいるなとあきれているんですよ。  お尋ねの訴訟の第一回口頭弁論において、当方からは原告の請求を棄却するよう答弁したと訴訟代理人から報告を受けています。棄却したそうです。当たり前ですよね、でたらめそのものなんだから。  この訴訟が提起された理由については、全く私は心当たりはありません。よくもこうも人を傷付けることを平気で、何か掲示板ですか、ヤフーですか、何だか分かりませんけれども、そういうことを載せられているということも知りませんでした、民主党が質問するという通告があるまでは。  裁判所が原告の主張を退ける判断が速やかに下されるよう、訴訟においても適切に対応しているところでございます。  全くでたらめであります。
  172. 平野貞夫

    平野貞夫君 小泉総理は私の指摘に対して事実を否定されたと。それで、裁判は却下するようにという手続を取ったということは分かりました。  そこで、私もそれはそれで安心しましたよ、安心しましたんですが、やはり一国の総理に対するこういう名誉を汚すようなこと、それを、五月の六日の第一回口頭弁論が行われ、これは私も最近知ったことなんですが、そして第二回があしたあるということに、どうして放置していたんですかね。早く手を打って、これ、やっぱりサミットなんて主要国の首脳と会うときなんかのやっぱり一つの私は汚点になると思いますよ、日本人として。いや、総理がというんじゃないですよ、日本人がそういう情報を出すことについて。やっぱり的確にこういうことは総理側から手を打って、そういうことはないということを世間に、世界に発信すべきであったと、こう思っております。  そこで、事実でないという御主張ですので、少なくとも、民事訴訟中のものについて名誉毀損とかなんということは言えないと思いますが、ヤフー掲示板に対して何とか、取りやめとか名誉毀損など、法的措置は取れないですかね。  それと、ヤフーの中には訴状にない中傷としか思えない内容もあるんですよ。それは、小泉純一郎氏は代議士二年目、これは三福不動産に勤めていたころじゃないかと思いますが、このときも同様の事件を起こし、このときも逮捕されている。こんなばかなことはないでしょう。これは相手に諸事情があるため秘すが、結局示談で処理したという驚くべきものがあると、こういう掲示板あるんですよ。これなんか当然訴訟の対象になると思うんですよ。  それから、私がゴシップ的スキャンダルをここを利用して暴こうなんということじゃありませんよ、やっぱり一国の総理大臣の人格というものは完璧でなきゃ駄目なんですよ。そういうことがこの情報時代に流されているということについて、私、残念でなりません。  やっぱり、私は野党でございますが、総理大臣の権威、国会の権威、国家の権威は守るべきだと思います。どうですか、ヤフーのその部分だけでも名誉毀損で訴える、法的措置を取ると。裁判に訴え、被告になって却下なんということを言わずに、積極的に打って出てください。いかがでございますか。
  173. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、もし過去に逮捕されていたら、いかなる事案についてもですよ、連続当選なんかできるはずがありません。名誉毀損といいますか、非難中傷は今でもしょっちゅうですよ。これに一々対応しようといったって無理です。これはもう有名税と思ってあきらめるしかない、耐えていくしかないと思うんです。どちらを信じるかであります。そういうでたらめな言う方のことを信じるか、私の日ごろの行動を信じてくれるか、それにまつしかないと思っております。
  174. 平野貞夫

    平野貞夫君 それも一つの方法ですけれども、裁判所という一国の公的司法権、司法機関で議論されて、ここは公開された席ですよ。この報道がなされないというのもちょっと不思議に思うんですが、まあそれはそれでいいでしょう。したがって、これはほかの週刊誌とかそういうところに書かれたということと質が違うと思うんですよ、この問題は。そういう意味で、私は、この部分については、我慢されずに堂々と、官邸の掲示板、ホームページの掲示板もあるようなんですが、それだけじゃなくて、法的措置を取ることを強く要望しておきます。そうでないと、やっぱり日本の人はともかくとして外国の人は分かりませんからね、どういう疑いを持つか。その点を申し上げておきます。  そして、最後に、ちょっとこれ質問するというわけにはいきませんが、要望としてお聞きいただきたいと思うんですが、イラク問題ではいろんなことが話題になりまして、大きな問題が出たんですが、その中で重要な忘れられている問題があると思います。  それは、昨年十一月二十九日に発生した日本人外交官射殺事件です。民主党内では、奥大使の友人であった若林秀樹参議院議員を中心に、外交官射殺事件真相究明有志の会というのを作って調査を続けました。なぜ私たちがそういう有志の会を作ったかといいますと、事件当時、米軍から伝達された発生時刻、銃撃態様の報告が誤りであったこと、日本国政府が真相究明に極めて消極的であったこと、またこの問題について日米双方あるいはどちらかによる隠ぺい工作や情報操作が行われた可能性があったこと、また政府はこの事件を自衛隊派兵の誘導手段に利用した可能性もあるからであります。私たちは、外務省の報告書と警察庁の報告書を基本的には真実でない、政府は誠実に真実の説明責任があるという認識です。また、その後、米軍による誤射を示唆する目撃証言も出ております。  そこで、有志の会では真相究明の調査を近く中間発表しますが、今後の課題としておおむね次のようなことをまとめております。大使館から派遣された現地専門家の調査報告書、米国から日本政府に既に提出したとされる調査報告書、上村臨時代理大使による現地調査の報告書の国会への提出、公開、被害車両の公開を政府に強く求めておきます。今答弁聞いても恐らくイエスとは言わぬと思います。これを私たちは真相が究明するまで徹底的に追及していくつもりでございます。  イラク復興に尽力した奥大使と井ノ上書記官を霊を慰めるためにも、この人たちの死を無駄にしないためにも真相の究明が絶対に必要だと思います。今日はテレビを中継されておりますから、私たちの運動に国民の皆さんの御支援をお願いしまして、私の質問を終わります。
  175. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 関連質疑を許します。齋藤勁君。
  176. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。  私からも、総理サミット御苦労さまでございました。冒頭、一言ねぎらわさせていただきます。  さて、今、私ども日本国では間もなく参議院選挙が行われますが、欧州の方では地方議会選挙で、ある意味では真っ盛り、イラクに対しまして、イギリスそしてアメリカ、この英米軍主体の連合国と言われるので参戦をして今日に至っていますが、このイギリスの地方議会で与党労働党が大幅に議席を減らしたと、こういうのが報じられております。このことについて総理としてどういう感想をお持ちなのか、まず冒頭お伺いしたいと思います。
  177. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) イギリスの選挙においては、地方選挙においても補欠選挙においても大体与党の方が負けます。野党が大体勝ちます、通例、今までの例。しかし、本選挙になると、この結果が違う場合が随分ありますね。ここら辺が日本のやっぱり事情と違うところじゃないかなと思っております。  ですから、過去幾度も中間選挙とか地方選挙では与党が敗北する、その結果本選挙で与党が敗北するといは限らない例がたくさんありますので、地方選挙、中間選挙と総選挙とはイギリスでは全く事情が違うということだと思っております。
  178. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 勝ち負けあると思うんですよ。今回の負け方というのは、本来、国政選挙じゃない地方議会議員選挙で、イギリスのブレア首相が一貫して英米軍と、私先ほど言いましたけれども、ずうっと一緒に行動してきたということに対する国民の怨嗟な声が起き、そして大敗をしたというのがあらゆる機関の通例のこの調査結果ですから、そういうことをお話しいただくのが、勝ったか負けたか、勝った負けたかなんということを私は聞いていない。どういうイギリスの国民世論が今度の地方議会の選挙の結果に反映したのかというのを私は聞きたかったわけであります。  これはイギリスのことですからこれ以上申しませんけれども、ただ、非常に興味ある、これ新聞なんですが、イギリスの新聞では、ブレア首相のアメリカ追随を評する記事で、プードルズジャイブ、ドアマット、ウイークリーテレホンというのがからかう常套句として使われているそうです、イギリスの新聞で、ブレア首相に対するですよ。それぞれ日本語で言いますと、御機嫌取りの豹変、アメリカがヨーロッパへ入るときの靴ふき、ブレアとブッシュの毎週定例の電話会議を意味する、なかなか辛らつだという、こういうことだと思います。  日本のマスコミは一貫して我が小泉政権というのは英米軍支持というふうにしていますが、ここまでの見出しを書いている日本のマスコミはないなというふうに思いますけれども、一言、国会議員各位御承知かも分かりませんが、私なりにこの地方議会の選挙の結果とか、イギリスのマスコミ、それぞれ辛らつだということについて御紹介をさせていただきました。  次に、サミット、過日、この委員会でも総理とやり取りさせていただきまして、総理自身はサミットに行くときには日本総理である、代表であると同時に、アジアの中で唯一の参加国、参加する一人として行くんだと、こういうやり取りをさせていただいたわけですけれども、今回、そういう意味で、先ほど同僚議員からサミットの報告を、私も、質問それ聞いておりましたけれども、では、アジアでこの唯一の参加国としての視点というのはどういうふうに思われて臨んだのか、お尋ねしたいと思います。
  179. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、このサミット出るたびに自分なりにどういう対応で進むかと、どういう気持ちといいますか、信念を持って会議で発言するかということを考えながら会議に出席しております。  今回も、日本国民の首相として、またアジアで唯一の参加国として、このサミット参加国が世界の平和と安定と繁栄のために何ができるかということを中心に発言しなければならない。当然、日本の主張は主張として展開いたしますが、その背景にはサミット参加国だけのための会議ではないと、最も進んだ民主主義国として世界のために何ができるかという観点から発言しているつもりでございます。
  180. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 戦争というのはおびただしいほどの人間の命を失い、そしておびただしいほどの財産を失い、そして百年、二百年、千年、二千年、三千年たってもなかなか忘れることができない。今イラクと立ち向かうときに、私はそのメソポタミア文明という三千年、四千年という長い歴史を持っているという中で、今英米軍連合軍が様々な今行為を行っているときに、そのイラク国民の受ける心情というのはどういう気持ちなんだろうかというのを理解をしようと思っても、なかなかし切れないほどがございます。  今回、国民保護法制ほか関連法案で、私どもは衆議院から参議院それぞれ審議をしてまいりました。憲法の枠内、そして、あるいは基本的人権については可能な限り最大限尊重するんだというようなことがベースになっていることは事実だというふうに思います。しかし、今同僚の平野先輩からのお話のとおり、どうもこの間の議論を聞いていて、確かに法案そのものについて我々は三党合意なり修正協議に参加をしてまいりましたけれども、本当に憲法の枠内なのか、基本的人権を守っているんだろうか、守ろうとしているんだろうかということについて、現自公連立政権、小泉政権を見る限り、甚だ心もとないというのが率直なところでございます。  現実に、今の一例だけ申し上げます。  過日もお話ししたかどうか。私は、この方たちと直接面識もございませんし、新聞紙上でしか分からないんですが、東京都立川市の防衛庁宿舎で、ポストに自衛隊イラク派遣反対のビラを入れた市民活動家三人が住居侵入罪で逮捕、起訴されました。このことについて、本当にこんなことがということで、記事を見れば見るほど、一、二、議会でもやり取りさせていただきましたけれども、今なお裁判中だそうであります。  アムネスティという国際機関がございます。良心の囚人ということで、日本で初めて良心の囚人としてこの方たちが認定されたそうです。良心の囚人、世界でこの起訴も六十か国、合計八千九百六十人に上る、こういう数字が上がっております。  総理、直接このことについての経緯だとか今日の状況は細かく分からないと思います。しかし、これは大変な問題なんですよ。これは自分と違った価値観を認め合うということが民主主義社会なんですね。そして、自由に意見を交わす、それが民主主義の社会であり、国際社会が今民主化民主化、最初はアルカイダ、テロリストがあるんだと、その次に大量破壊兵器があるんだと、その次が民主化だと。もう大量破壊兵器の話、私ども幾ら幾ら言っても、それはなかなか今もう通り過ぎてしまっている話としてあるのは非常に残念です、いわゆるイラク戦争の大義の問題。国際社会がイラクに今国づくりを求めるというのは、こうした私は言ってみれば民主化、言論の自由ということについて、かつてフセイン政権ではなかったんではないかということも比較しながら議論していますが。  我が民主国家と言われる日本で、ビラ配りで逮捕されるということが白昼公然と今、小泉内閣の下で行われている、小泉内閣の下で行われている。どういう認識に立ちますか、あなた。  細かい話はいいんです。細かい、細部は別にして、総括、総括です。
  181. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、どういう事情か詳細には知っておりませんが、そういう事件については双方に事情があるんだと思います。今ここで特別ああだ、こうだと言う立場には私はないわけでありますので、ああだ、こうだと私は言うべきではないと思っております。  これは今後、今法廷中、法廷、裁判中ですか、この場で判断が下されるのではないかなと思っております。
  182. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 一つ一つの事件を総理自身が把握をしてそれに答えるというのはなかなか難しいと思いますから、私は事件の概要については結構なんですよ。しかし、言ったことは、私も国会議員である以上、今こうして委員会発言している、事実をお話しさせていただいているわけでありまして、そういうことだと思うんですね、民主主義社会というのは、様々な価値観を持った人たちが認め合うということですから。  こういうことが今現実に日本の国内、東京都で起きているわけでありまして、勝手に敷地内に入ったと、勝手に敷地内に入ったということがいけないと言われれば、これはビラをまいた人たちに全く、全く非がないということではない、それは言えないと思いますが、それでは、そういう意味では気持ち、自衛隊員の人たちの家族とかいろんな気持ちを、長官にこれ質問しませんけれども、そういうことだと思います。だからとなって、いきなり逮捕したり、こういうことについては私は行き過ぎだということで、今ここで議論をしておりますこの法案そのものについて、国民保護法制だと、言論を守りますよ、報道機関は自由ですよ、基本的人権をと言っても、今の小泉政権が、今一例申し上げさせていただきましたけれども、そういったことについては、率直に言って小泉政権というのは言うこととやることが違うんではないかということをあえて指摘をさせていただいているわけでございます。  先ほど、イギリス議会の話は、あえて付け加えて言わせれば、選挙の話でいえば、近々参議院選挙もございます。これ、やってみなけりゃこれも分からないですよ、選挙というのは。多分、良識ある私は国民方々は、様々、今、今回、通常国会や年金の問題様々ございましたけれども、賢明なる御判断をいただいて、私は小泉政権、小泉さんのやっていること、政権やっているということが極めて問題だということで、多数の国民の方が審判を、ノーという審判を下していただく意味で、民主党として頑張っているということを加えさせていただきたいというふうに思います。  さて、時間もなくなりました。今回の法案の中で、ジュネーブ諸条約第一、第二追加議定書締結していない、これアメリカが、このことについても衆参でも議論ございました。アメリカがジュネーブ諸条約、第一、第二追加議定書締結していない理由、これは外務大臣からも概略聞いていた、聞いております。日本政府としてもっと積極的に働き掛けるべきではないだろうかということをあえて申し上げさせていただきます。  外務大臣の答弁は、軍事教範に取り込んでいると。第一追加議定書の規定のうち国際人道法基本的な原則であるものについては軍事教範に取り込んでいるんだということを承知をしていますという、こういう答弁でございました。こういうことで満足をされているような答弁だから、それでは私はいけないんではないかということをあえて指摘をさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。
  183. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 第一、第二追加議定書、これはジュネーブ諸条約と並びまして国際人道法のその主要な条約であるということでございます。我が国としては、これは非常に重要な意義を持っている国際人道法であるというふうに考えております。  まず、我が国としてこの第一、第二追加議定書締結をすること、これが第一の課題であるというふうに思っておりますけれども、その上で、赤十字国際委員会等と協力をしながら、まだこの追加議定書締結をしていない国に対しての働き掛け、これを含めまして、国際人道法の国際的な普及、これについて努力をしていきたいと考えております。
  184. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、今回のイラク戦争の中で、いわゆる捕虜虐待事件ございました。これは、サミットへ行かれて、総理もこのことをブッシュ大統領と話の中で触れられたのかどうか、後ほど時間のある範囲でもし差し支えなかったらお聞かせいただきたいと思いますが、国際人道法、私はアメリカというのは軽視をしているという見方に立つんですが、いかがですかね。私は、イラクでのこの捕虜虐待事件を引き起こす要因になっているんではないかというふうに見ざるを得ません。  ですから、我が国自身が両追加議定書締結を行った後、共同対処を行う相手方であるアメリカの国際人道法の遵守を確かになにすると、確かなものにしていくということは、このアメリカの両追加議定書締結を求める外交上の私は働き掛けを積極的に行うべきだというふうに思いますが、総理、いかがですか、聞いていて。
  185. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、人道上の問題については、国際社会、協力して当たらなきゃならないものと思っております。
  186. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、それは総論として結構なんですよ。結構なんですけれども、第一、第二追加議定書をアメリカ自身が締結をしていないわけですから、それについての外交の努力を日本側から働き掛けるべきだということを強く申し上げているんですが、じゃ、簡単に、再度、外務大臣
  187. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 先ほど申しましたように、まだ締結をしていない国、これに対して働き掛けるというふうに申し上げたわけでございまして、この中にはもちろんアメリカも締結をしていないわけでございますから、国際社会の中で日本締結をするということ自体、この追加議定書の重要性をますます高めるということになると思いますし、引き続きこれの普及については努力をしていきたいというふうに考えております。
  188. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 努力という言葉は使われるんですけれども、やはり我が国はこれで締結していくわけですから、アメリカに対して、具体的事実として先ほど私は捕虜虐待事件、これ、グアンタナモもあるんですよね、基地でもあるんです、これ、イラクだけじゃなくて。もう、これはもう時間ございませんから申し上げませんけれども、このアブグレイブ収容所、活動された報道もございます。グアンタナモ基地についてもあります、アメリカそのものは。やっぱりそれは日本政府として強く申し入れるべきだということについて再度申し上げます。  もう一つ、一、二点申し上げさせていただきます。  度々この国会でも、いわゆるICC、国際刑事裁判所の課題が提起をされています。それで、ここではずっとまあ国内法令との整合性について引き続き必要な検討を行っているということになっているんですが、これはずっと答弁も聞いています。引き続き国内法令との関係だというふうに伺っていますが、そもそもここは、採択とか、今日までそもそも導入部分というのは日本政府としては相当な努力をした、ところがアメリカというのは後ろを向いた、その途端に日本というのはこの国際刑事裁判所についても足踏みし出したというのが多くの私は人たちの見方ではないかと思いますけれども、いつまでだということについて触りました、過日、同僚議員も。次の通常国会でこの国際刑事裁判所についてやっぱりきちんと国内法令を整備すべきではないかというふうに言いました。この答弁については、いつというのは外務大臣おっしゃいませんでしたよね、いつまでというのは。検討します、検討しますということだったんですけれども。  総理、この国際刑事裁判所の問題について、外務大臣からあるいは閣内からこの問題について問題認識と、それから国内法令整備をするということについてどの程度の認識ございますか。
  189. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) このICC、いわゆる国際刑事裁判所の問題について、我が国としても今鋭意検討を行っているところであります。国際社会における最も深刻な犯罪の発生を防止し、もって国際の平和と安全を維持する観点から、我が国は国際刑事裁判所の設立に向けて努力してきたところでございます。  この国際刑事裁判所規程の締結については、先ほど外務大臣から答弁もございましたけれども、同規程の内容を精査するとともに、国内法令との関係もございます。国内法令との整合性について鋭意必要な検討を行っているところであります。
  190. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そういう答弁をずっと小泉内閣というのは私たちにしている、私たちを通して国民にしているということなんですよ。  時間があればしようかなと思ったんですが、私は、我が国というのは軽武装、経済国家として歩んでいくということを私自身は思っていましたし、そしてこれからも進もうというふうに思っているんですね。国際紛争に武力を頼らないということだと思うんですね。そのときに何がキーポイントだというふうに総理は思いますか。これからも軽武装、経済国家として歩んでいくんだということを、ときに、何が総理としては一番ポイントなんだろうかというふうに、国の進め方としてですね、思いますか。
  191. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 我が国は国際紛争を解決する手段として武力による威嚇、また武力の行使をしないということでありますし、これは今後とも堅持していかなきゃならない問題だと思っております。  同時に、我が国に対する侵略する勢力があった場合には、断固としてこれを排除しなきゃならない。我が国の安全、これは日本一国だけでは不十分であるという観点から、自衛隊の存在と、そしてアメリカとの安保条約締結することによって日本の平和と独立を確保する、そういう我が国の安全と国際的な問題につきましては、平和的、外交的努力によって解決していく、この方針は今後とも堅持していきたいと思っております。
  192. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、そのことに加えて、国際社会を国際法理と国際協調、国際法理と国際協調ということで作り上げていくんだということが私はベースにあるべきだと思うんですね。  そういう意味でいうと、経済大国であり続けるという日本の私たちの理念、経済大国であり続けていきたいということは、敵がい心を持っちゃいけないと、あらゆる国と憎悪の関係でずっと行っちゃいけないということに立つ協調と連帯、協調と連帯だと思うんですね。そうすると、先ほど言った国際刑事裁判所の問題とか、アムネスティ、良心の、この自由の、囚人の問題とか、いろいろもっとたくさんあるんですが、今言っていることと、おっしゃっていることと実際は、残念ながら国際社会と、この国際法理と国際協調で作り上げていくということについては甚だ心もとないということを言わざるを得ません。  それから、多国籍軍参加問題、午前中の議論平野達男議員との議論もございました。先ほど平野貞夫議員の言もございました。報道ですと、今日じゅうに与野、与野党じゃないや、与党、与党でこの自衛隊のイラクにおける継続した任務を何か結論を出す、マスコミ報道でいえば自衛隊参加について今日じゅうに与党の幹部が集まって結論を出すということになっているんですが。  率直に申し上げて、なぜこの会で議論をするといえば、総理自身がアメリカで、国内で与党だとか様々な方に全然ある意味では一つの話合いもしないで、多国籍軍参加、これはマスコミが参加と出した、継続ということを打ち出して、それ以上ない、以下になりました。  元々、今、CPA、これから違いますね、主権移譲になっていく。そういうときに、今の現行法では対応できないというところが我々は議論状況になっていて、それが何か政令ですか、政令だとかいろんな話になって、現行法でもいいんだとか、いろんな話になっていくんですが。「政府・与党、理屈付け急ぐ」というのが日本経済新聞の昨日の見出しですよ。理屈付け後、急ぐ。結論は先にある、総理自身は。結論ありき、後から理屈をくっ付けていく。恐縮でございますけれども、与党の皆さん、右往左往、右往左往したって。安倍幹事長も困りました、古賀前幹事長も困っているというのが新聞どんどん出てくる。  フセイン政権というのは独裁政権であり、金正日さんも独裁政権かも分からないけれども、独裁政権、独裁政権、小泉純一郎さんとは、そこまでは思いませんよ。思いませんけれども政府・与党、理屈付け急ぐというふうなことになっておりませんか。きちんとした、きちんとした議論をしなきゃならないんじゃないですか。法律を作るんなら作る、そういうふうに立てなきゃならないんじゃないんですか。むしろ、今法律を作るという議論よりも、きっちりと私は撤退をしていくという、そういう道筋を、やはり判断をするということが国際社会、国際法理、国際協調、協調と連帯という立場に立つ私は小泉さんの、首相の日本国リーダーとしての役割だと思いますけれども、これは政権交代しなきゃ無理かなと思いつつも伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  193. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国際協調しなきゃならないといった齋藤議員の発言とはちょっと理解に苦しむんですが、今回は、国連の安保理におきましても、全会一致でイラクの復興支援、加盟国は協力しようということになっているわけであります。そして、日本としては今までも、イラクの復興支援のために日本にふさわしい活動をしていこうということで、イラク特措法の中で現在でもイラク国内において復興支援活動を行っております。その活動に対しまして、さきのサミットの会議におきましても、イラクの暫定政府の大統領から自衛隊活動に対して感謝の表明があり、高い評価を下され、今後も是非とも自衛隊活動を継続してくださいという要請を私はじかに受けました。  国際社会が一致してこのような状況でイラクの安定した民主政権を作るということは、それぞれの国の安定だけでなくて、世界の平和と安定に必要だという観点から、その国にふさわしい活動をすると。日本の新聞にはとやかく報道されておりますが、私は日本にふさわしい活動をするということを発言しているわけであります。このことについては、今後、与党内始め関係者との理解と協力を得ながら、日本にふさわしい活動をしていきたいと思っております。
  194. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 これで終わります。  非常に、この参加問題についてはいわゆる法的根拠問題なんですよ、率直に申し上げて、法的根拠問題。そして国際連帯、国際協調の問題なんです。そのことを抜きに、あなたはアメリカでアナウンスをしたんです。だから国内が混乱したんです。  あともう一つ指摘させていただきます。  日本のリーダーシップが発揮されますのは、私は、本来貧困撲滅とか医療の分野じゃないですか。私は、文献を見てびっくりしましたよ。本当は今びっくりしちゃいけないんですが、毎分十一人の子供たちが死んでいく。エイズ、様々な病気で死んでいく。そういう私は、きちんとした日本政府としてはやるべき分野というのはたくさんあるのに、何か、イギリスの例を引用しましたけれども、ブッシュさんの言うことだったら何でも何でもはいはい、はいはい、はいはい、困ります。率直に言って、リーダーシップをもっといい意味で発揮をしてほしいということを申し上げさせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  195. 高野博師

    ○高野博師君 公明党の高野でございます。  総理、G8サミットの御出席、御苦労さまでございました。私は、それなりの存在感と一定の成果を上げてきたという評価をしておりますが、一方で幾つかの課題も残っているのではないかと思います。  そこで、まず、これとの関連で北朝鮮の問題、その後イラクの問題、そしてまた有事法制に関して、時間があれば、この三つ、大枠でお伺いしたいと思います。  日米首脳会談でブッシュ大統領との間で、例の北朝鮮の問題で、ジェンキンスさんの取扱いについてはどういうお話だったんでしょうか。先般の委員会でも若干お伺いいたしましたけれども、直接、総理からお伺いしたいと思います。
  196. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ジェンキンス氏との問題につきましては、私からは、北朝鮮でジェンキンス氏との間で交わされたお話を率直に申し上げました。また、日本として、曽我ひとみさんの家族を一日も早く帰国させたいと、そういう中で、曽我さんの場合は他の御家族と違って、御主人がアメリカ人ということもありまして特別の事情があるというお話を申し上げまして、ブッシュ大統領からはアメリカの立場という話がございました。  中身は、今公にすべきものではないと思っております。お互いの信頼関係もございます。特殊な事情もございます。しかしながら、日本としては、この問題につきまして日本考え方を述べ、今後アメリカの理解と協力を得るよう最善の努力をしたいと思っております。
  197. 高野博師

    ○高野博師君 公にすべきでないということは、この問題についてかなり協議は水面下で進んでいるという理解をしていいのかと思うんですが、私は、報道だけで見ますと、ブッシュ大統領はやんわりと断りだなと。要するに、脱走犯としての訴追をしないということについては色よい返事はもらえなかったというふうに理解をしておりますが、もし、先般、先月平壌で総理がジェンキンスさんを説得して連れて帰っていたら今ごろどうなっているのかと。  日米間の、これは犯罪人引渡しという観点からいうと、若干のというか、かなり場合によっては深刻な外交問題になっているおそれもあったんではないかと思うんですが、そういう観点からいいますと、平壌に行くときの根回し、あるいは今回のブッシュ大統領とのこの首脳会談の根回しということについては十分ではなかったのではないかと、私はそういう認識をしておりますが、サプライズ外交といいますか、こういう、総理自身がこういう非常にデリケートな問題について直接リスクを負わないような外交のやり方というのは私はあるんではないかと、こう思っております。  日米関係を最も大事にする総理が、この正にこういう問題で責任を負わされるということがあっては僕はならないと思います。  そこで、拉致問題に関してでありますが、平壌に行ったときの話の中で、訪朝後、十名の安否不明者については何らかの進展があったんでしょうか。
  198. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 総理が訪朝なさった後、北朝鮮との間では一定のやり取りは行っております。  ただ、このことについて今ここの場で、こういうことがありましたとまとまった形で御報告を申し上げるようなことには至っていないということでございます。
  199. 高野博師

    ○高野博師君 平壌で総理が約束しました二十五万トンのこの食糧支援、それから一千万ドルの医療支援についてでありますが、これは逆に私は外交カードとして使えるんではないかと、こういうふうに思っております。  というのは、建前は、この帰国した拉致被害者家族の見返りではないと、純粋に人道的な観点から援助をするということになっておりますが、しかし、いつまでに全部これは供与をするという約束はしていないはずでありますから、したがって、先方の出方を見ながら、あるいは八万トンぐらいずつ分けて三回にするとか、あるいは医療支援だけまずやるとかいうようなことをやってもいいんじゃないでしょうか。  この安否の向こうの調査は一体どうなっているんだということでのこのプレッシャーを掛けながらやって、この外交カードとして使ってはどうかというふうに思っておりますが、十人の安否といいましても、恐らく横田めぐみさんとこの消息については十分向こうはもう情報は持っているんだと思います。それをどうやって引き出すかということでありますから、圧力と対話と言っているわけですから、圧力を掛けるときに今回の支援というものをこれは使ったらどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
  200. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 川口外務大臣
  201. 高野博師

    ○高野博師君 総理
  202. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この食糧支援等の人道支援については、現在、関係国際機関と協議を行っているところであります。具体的にどういう手順でやっていくかというのはまだ決まっておりませんし、私は、これを拉致家族等の問題で見返りとして活用しようということではなくて、人道上の支援として国際機関を通じてやるということでありますので、よく関係国際機関と協議をしていかなきゃならないと思っております。
  203. 高野博師

    ○高野博師君 人道上という観点からでありますが、拉致された人の人道、人権もあるわけであります。したがって、この問題については、そういうある意味でしたたかな駆け引きをしながらのやり取りがあってもいいんではないかと私は思いますが、外務大臣、どうでしょうか。
  204. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 今、総理がおっしゃられたことに尽きるわけでございますけれども、我々として、この問題については今後、国際機関等々と議論をしながら進めていくということでございます。  それから、拉致の問題も含めて包括的な解決ということを言っておりまして、それがなければ正常化しないし、正常化をしなければ経済協力はないということも我々はきちんと北朝鮮に言っているということでございます。
  205. 高野博師

    ○高野博師君 先方に誠意が見られないときは援助を中止するというようなこともあり得ると私は思っておりますが、十分そこは検討していただきたいと思っております。  今、包括的な解決とおっしゃいましたが、この北朝鮮の問題については、拉致に劣らず、拉致と同様に核・ミサイルの問題が重要でありますが、有事法制を急いだ理由はどこにあったかと、一つの理由はそこにあった。あるいは、年間一千数百億も掛けてミサイル防衛、これをやるというのはなぜか。正に近いところにそういう脅威があるからでありますから、そこで、小泉総理が金正日総書記から核の凍結は非核化への第一歩だという言葉を引き出したと、これは非常に重要なポイントだと思いますが、リビアのカダフィ体制、これもああいう形で核を廃絶するという方向に持っていっているわけですから、そういう例もありますので、核の問題についてもっと日本政府として踏み込んで、この完全廃棄に向けてもっともっと努力ができるのではないかと。  そのためのいろんな外交カードというのはたくさんあるんではないか。特定船舶の入港禁止法ばかりじゃなくて、経済援助も含めまして、いろんな使い方が私はあるんではないかと思うんですが、この核・ミサイルの脅威にさらされたまま日朝の国交正常化というのはあり得ないと思いますが、念のためここは確認したいと思います。総理、お願いします。
  206. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この核・ミサイルの問題につきましては、拉致の問題同様、包括的に解決なしに日朝間の国交正常化はあり得ないということは日朝平壌宣言とおりであります。これを今回再度確認したわけでありまして、北朝鮮側は、核の問題はこれはアメリカとの問題だと言っておりますが、そうではないと。日本にとっても脅威であると。また、韓国にとっても中国にとってもロシアにとっても脅威のあるはずであります。  そういうことから、六者協議の場でもこの核廃棄の問題は重要課題でありますし、今後、関係諸国と日本としても十分連絡を密にして、この六者協議の場において廃棄を働き掛けていかなきゃならないと思っております。  また、今回の会談におきまして、金正日氏は、核の廃棄は、いわゆる非核化というのは目標であるとはっきり話しましたし、同時に、この核の凍結の問題、これは検証を伴うということでありますから、私はこういう発言を六者協議の場でもはっきりと北朝鮮側の考えを述べて、核の廃棄することによって国際社会の責任ある一員になることがはるかに北朝鮮の利益になるということを申し上げましたように、今後、日本独自はもちろん、六者協議の場におきましても各国と連携しながら核廃棄を強く日本としても働き掛けていきたいと思っております。
  207. 高野博師

    ○高野博師君 北朝鮮の問題では歴史に残る仕事をしていただきたいなと期待をしております。  イラク問題についてお伺いしますが、総理はブッシュ大統領との会談で、新国連安保決議案一五四六はアメリカの大義の勝利だと、こういう表現をされたそうでありますが、これはどういう意味でしょうか。
  208. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、イラクに安定した民主的な政権を作る、これがアメリカの目的のはずだ。このアメリカの大義と善意を理解してもらうために国際協調体制を構築する必要があると。そして、アメリカは世界第一の力を持っている、政治的にも、経済的にも、軍事的にも。しかし、アメリカが世界最大のパワーであるということはほとんどの国が認めるにしても、権威は国連の方が上にある。国連をもっと活用すべきだし、国連の関与を強めていくべきだと。そういう観点から、今回、全会一致で、イラクの安定した民主的政権を作るために、開戦の行き違い経緯を乗り越えて、全会一致でイラクに国連加盟国が安定した民主的政権をもたらすために協力しようということがなされたということはいいことだということでありますし、これはアメリカだけの力ではない、国際社会が協力しなければならないし、日本としてもふさわしい協力をする。  と同時に、イラクに安定した民主的な政権を作る。このためには、アメリカの力も必要だけれども、アメリカがイラクに安定した民主的政権を作るのではない、国連が作るのでもない、G8諸国が作るのでもない。基本的には、イラク人自身が自らの国は自らの力で再建するんだという意欲がない限り、どの国が支援しても無理だということをイラクの暫定大統領へも直接話しましたし、中東諸国首脳が集まって、G8サミット諸国が集まって、隣にイラクの暫定大統領がいる席で、イラク人が親米勢力、反米勢力の対立を乗り越えていただきたい、宗派間の対立を乗り越えていただきたいと。イラク人自身が自分たちの国をつくるんだという意欲を国際社会に発信していただきたいと。そうすれば国際社会は進んでイラクの安定した民主的政権に協力するというお話をいたした次第でございます。
  209. 高野博師

    ○高野博師君 多国籍軍の問題は今朝からずっと議論になっておりますので繰り返しはしませんが、この多国籍軍の目的が治安とそして安定と、もう一つ人道復興支援ということであるならば、湾岸戦争のときの武力行使とは全然意味が違うわけでありますが、その人道復興支援に関して日本自衛隊参加することについては、武力行使と一体にならないということを確保されれば憲法上の問題はないんではないか。そういう意味では、日本がこの人道復興支援に積極的に国際社会の一員としてかかわっていくというのは重要なことではないかと思います。  一つだけ、アフガンの問題の関係でいいますと、アフガンがあれだけテロ特措法日本も数百億ドルの協力をしながら今どういう現状になっているかと。これは実際にはこの国民の八割以上、これはもう飢餓に瀕しているような非常に難しい状況にあると。しかも、軍閥も割拠しているという状況にあると。そして、解放された自由とは一体何かと。あそこでケシの栽培、ヘロインの材料のケシの栽培も今世界の七六%、むしろ復活していると。そして、全体としては悪くなっている。アルカイダも全く減っていない、アルカイダの勢力も大きくなっていると、こういう難しい問題がある。解放された自由とは暴力の自由だと、そして麻薬の自由だと、売春の自由だと、こういうことであってはならない。したがって、復興、イラクが同じような形になってはならない。そういう意味で、日本自衛隊ばかりではなくて様々な形での文化協力も含めた、環境も含めたこの包括的な支援の仕方というのはあるんではないかと思います。  そこで、時間がありませんので、中東、拡大中東構想について若干お伺いいたしますが、この政治宣言に日本がかなり積極的にかかわったと。その中で特にその自主性と多様性という言葉を盛り込んだと。これは日本が努力をしたということでありますが、この中東構想、中東全体を民主化するというのは大変難しい問題がたくさんあると思います。アメリカが中東をテロの温床とみなしていると。しかし、したがってイスラム過激派を封じ込めようという、こういう中でアラブ諸国はかなり不信感を持っている面もあると。  そもそも、イスラエル・パレスチナ紛争が中東問題の根源にあるとすれば、この拡大中東構想がその解決に資するのかどうかということも問われると思いますし、この地域における各国の利害関係もそれぞれ様々でありまして、植民地時代からのいろんないきさつもありますから、そういう点でも難しい。政治体制も違うと。もし民主化を過激に、急激に進めると、体制が壊れていくような国も出てくるおそれもあると。そうすると、中東が更に不安定と混乱に陥るということもあり得ないことではないと思いまして、そういうことも含めまして、あの中東地域の歴史とか、あるいは伝統とか宗教とか、様々な背景にあるものをよく理解した上で民主化を進める必要がある。その意味で、自主性と多様性というのは非常に重要なポイントだと思いますが、簡単にどう認識されているのか総理考えを伺いたいと思います。
  210. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 文明の衝突という言葉がありますが、日本とアメリカも六十年前戦争を起こし、お互い敵同士で戦いました。その後、現在では世界の中でも最も友好的な関係を築いております。当時から、キリスト教、仏教、文明といえば、宗教においても習慣においても文化においても日本とアメリカはかなり違っておりました。  私は、今回の中東諸国が参加したサミットの中でも、この拡大中東構想、安定した民主的な政権の議論が行われた際に申し上げたんです。イスラム文明とキリスト文明の衝突があるという話があるけれども、その文明の衝突ということで国々が衝突する必要はないと。いい例が日本だと。仏教とキリスト教も違うし、習慣も全く違うのに仲良くしているということから、中東が自らの力で民主的な政権を作るためには、それぞれの自主性また文化の多様性を許容して、その国がその国にふさわしい民主的な政権を作るために支援の手を差し伸べるべきだという話をしたわけであります。  これからも、日本は議会制民主主義、イギリスと同じ議院内閣制を取っておりますけれども、政党間の対立とか協力関係は違います。選挙の在り方も違っています。アメリカ大統領制とロシアの大統領制、同じ大統領制を取っているけれども、それぞれ内部は違います。そういう点を含めて、私は文明の違いとか文化、習慣の違いを乗り越えて各国が協力できるのではないかと。そのためにも自主性、多様性を尊重すべきだというお話を申し上げました。
  211. 高野博師

    ○高野博師君 時間がないので、有事関連の関係ですが、法的には整備されたと、しかしこれから実効性をどうやって保つかという重要な段階に入ると思いますが、私は、軍事面だけ強調されている部分が若干あると思いますんで、多分、有事法制、あるいはイラクへの自衛隊派遣、ミサイル防衛、いろんな問題ばかりではなくて、そういう万一が起きないための予防外交あるいは平和戦略、これが必要ではないかと思います。  だから、非軍事面での我が国のこの外交戦略、いわゆるソフトパワーをもっと前面に出した、そして平和のメッセージを内外にもっと大きく発信するということが今の日本にとって必要ではないかということを申し上げて、質問を終わります。
  212. 小泉親司

    小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。自民党の小泉純一郎総理大臣質問をいたします。  私は、まず、有事関連法案に大変密接な関連を持ちますイラクの復興の問題、自衛隊の派兵の問題、この問題について質問させていただきたいと思います。  私ども日本共産党は、イラクの復興に際しましては、イラクの国民に主権を完全に返還すること、同時に、今のイラクの復興の枠組みは、占領軍の枠組みじゃなくて、国連の主導した、国連が中心になった枠組みに切り替えること、このことを強く要求をして主張してまいりました。  今回、御承知のとおり、国連安全保障理事会、国連安保理で決議がされた。この決議は、イラク国民への完全な主権を返還すること、同時に国連が新政権を作るためのプロセスに重要な関与を行うこと、こういうことが取り決められた。この点、私は大変、国際社会の願い、国際世論の願いを反映したものだというふうに考えております。これがいかに誠実に実行されるか、このことがやはり一番私は肝心なことじゃないかというふうに思います。  そこで、総理に幾つかお尋ねをさせていただきたい。  まず第一は、多国籍軍の問題でございます。  決議は、イラクへの主権返還に密接に関連して多国籍軍の権限をどのようにするか、この点が焦点になりました。決議では、多国籍軍に対し、イラクにおける安全と安定を維持するのに役立つあらゆる処置を取る権限を持つと規定しております。同時に、私、この前、今日の午前中の当委員会での質問でも外務省に、外務大臣にお尋ねしたんですが、米英の攻撃・軍事作戦に対してはイラク側の拒否権が完全に保障されていない、これは外務省もお認めになりました。こうなりますと、これはイラクへの完全な主権の返還という点では極めて重大な私は問題があるというふうに思います。  総理にお尋ねいたしますが、この点で私は、イラクの主権が完全に返還する、完全に回復される、こういうふうにこの決議によってできるという、この点は、総理、まずどのようにお考えでございますか。
  213. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、安保理の今回の決議におきまして、イラクへの完全な主権移譲ということが全会一致で採択されたわけでありますが、この決議に添付されている二〇〇四年六月五日のイラク暫定首相発の安保理議長あて書簡により伝えられた、多国籍軍の駐留を維持するとの要請を認識しということが添付されております。この決議に添付されている二〇〇四年六月五日の米国国務長官発安保理議長あて書簡に記述されているように、政治移行、特に来る選挙の支援におけるイラクの安定と安全の維持への貢献及びイラクにおける国連の活動に対する安全の提供の努力を継続すると、意向を多国籍軍が有していることを歓迎しているということでありますので、私は暫定政権の意向を十分に尊重しない限りは駐留は継続できないというふうに認識しております。
  214. 小泉親司

    小泉親司君 私は、先ほど申し上げましたように、午前中いろいろな議論をしてきた、例えば今度の多国籍軍については、私も一度総理にもお見せしたと思うんですが、これシミタールと、これ連合軍の機関紙、これ連合軍の機関紙ですからどうなるか分かりませんが、この中では、新しい名前に変わるけれども目標は同じなんだと、つまり、占領軍から多国籍軍に変わるけれども、名前は変わるけれども目標は同じだという報道もある。  そこで、一番の問題は、私は、米英占領軍を、あっ、失礼、米英の軍を中心とした占領軍が多国籍軍として残ること。これまでも、総理も御承知のとおり、私も総理とこの場で様々論戦やってまいりましたが、これまで占領軍は、例えばファルージャ、これはバグダッドの近郊の町で大変大規模な戦闘が行われた。この中では、イラクの女性や子供たちやお年寄りが大変たくさん亡くなられた。本当に私はこれはひどい事件だというふうに思います。同時に、先ほど同僚議員からも議論がありましたようなアブグレイブ、アブグレイブ刑務所での拷問、虐待事件、こういうものも占領軍が起こした事件としてもうテレビや新聞でも大変多くの皆さんが知っておられる。こういうやはり占領軍がやってきたことが例えば看板の掛け替えで本当に変わるんだろうか、ここがやはり一番私はこのイラクの復興にとって非常に大きな問題なんじゃないかと私は思います。  ですから、例えば実際多国籍軍が形成されても、これはフランスやドイツやロシアや中国というのは、これは多国籍軍軍隊派遣するという、しないという方針は崩していない。スペインの外務大臣も、これはもう既に御承知のとおり撤退をした、外務大臣は、厚い支持ではない、国連決議について厚い支持ではない、多国籍軍について国連が全責任を負っていないからだ、こういうふうに述べて、決議でも、決議があっても多国籍軍には再派遣しないという方針だ。  こういう問題について総理は、これ国連軍と多国籍軍が、失礼、多国籍軍とイラク軍が今度の国連決議では様々な安全保障、治安の問題で合意するということになっているんですが、こういうふうな米英占領軍の大変不当な行為、こういう問題を制限できる、こういうふうな規定というのは一体どこにこの国連決議にあるのか。この点、いかがでございますか、総理大臣
  215. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これはイラク暫定政府の大統領もはっきり申し上げているように、イラク暫定政府が国連に対して今の多国籍軍駐留を望んでいると、今後、自衛隊に対しても復興人道支援活動継続を要請しているということでありますし、私は、その国々によってイラクの安定した民主的政権を作るための協力の仕方があると思っております。  そして、米英軍と日本自衛隊との活動は当然違ってまいります。日本は、これが、国連の安保理決議の要請の下に形成される多国籍軍に協力するにしても、武力行使を目的とした活動には協力しませんし、こういう点については今はっきりと関係国にも伝えてあります。これはイラク特措法の範囲内の行動であります。この点につきましては、米英軍もイラクの暫定政府の大統領も首相も十分認識しておりますので、日本は今後とも日本にふさわしい人道支援、復興支援をイラクで継続をしていかなきゃならないと思っております。
  216. 小泉親司

    小泉親司君 大分、総理はちょっと誤解をされておられる。私は日本のことなんか一つもしゃべっておりません。私は、今の多国籍軍、いわゆる多国籍軍の全体の活動がどう評価すべきなのかと、これがイラク国民の主権を侵害しているんじゃないか、この点を私は総理大臣にお尋ねしているんです。  これ、私、もう大変長々とお話しになりましたが、私もう時間が限られておりますので。  私は、この点については、問題は、一番問題なのは、占領軍が多国籍軍として残るわけですから、今までの不法な行為、これがやはりきちんと制限されなくちゃいかぬ。しかし、現実問題として、私はこれまで議論してまいりましたが、イラク側が米英占領軍、米英多国籍軍の様々な活動をチェックすることができない、これは拒否権が存在していませんから。こういう状況があるということは、私はイラク国民に主権が完全に返還されていない、この点をやはり私は強く指摘をさせて、是非総理、そのことを確認をしておいていただきたいと思います。  そこで次に、自衛隊の多国籍軍参加問題、ちょうど総理サミットに行っておる間にこの委員会でも様々な議論がございました。この中で、総理は日米首脳会談で多国籍軍への自衛隊参加を表明した。総理は記者会見で、「多国籍軍が形成されると思うが、その中で日本としてできること、いわゆる、人道支援、復興支援を継続する方向で検討」したいというふうに述べられたというふうに伝えられておりますが、ブッシュ大統領には総理、どのように言ったんですか。
  217. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、サミット終了後の記者会見におきまして、イラクの復興、安定に向けてどのような活動、支援が日本としてできるかということをお話ししました。その際、「安保理において、全会一致のイラク復興支援に向けた主権移譲に対して新決議が採択された。日本としても今後、日本にふさわしい、イラクに対する人道支援、復興支援の貢献をしたいと思っている。」というふうに記者会見で発表したわけでありますが、そのとおりブッシュ大統領に伝えました。
  218. 小泉親司

    小泉親司君 政治ニュースの速報によりますと、与党連絡会議で首相は、多国籍軍の中で日本にふさわしい活動をしたいと、こう述べられたと伝えられておりますが、そのとおりでございますか。
  219. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、多国籍軍の中でこういう活動をしたいと言ったかどうかは今定かに記憶ありませんが、日本としてふさわしい行動をしたいと、そういう多国籍軍が形成されれば私は今の自衛隊の支援活動、それにふさわしい活動をしたいと。当然多国籍軍が形成されれば、その中で参加できる道を探っていきたいと今でも思っております。
  220. 小泉親司

    小泉親司君 どうも、お話しになったことをよく国民の皆さんに説明していただきたいと思います。ブッシュ大統領だけに説明したら駄目です。  私が言いたいのは、それじゃお尋ねしますが、(資料提示)国連決議、今度の一五四六決議、この決議の中には、総理もよく御存じのように、一つは、多国籍軍は統一した指揮の下に活動をすること、二つ目は、多国籍軍はあらゆる必要な処置を取る権限を持つこと、このことは武力行使を含むというような外務省の既に見解でございます。  この点は、総理、国連決議については御確認できますね。
  221. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは確認しておりますが、同時に確認しているのは、日本は多国籍軍参加しても、この日本自衛隊日本の指揮下に入るわけであります。日本の主体性、それを持って活動するわけであります。これははっきりしております。
  222. 小泉親司

    小泉親司君 よろしいですか。そうすると、これまでの多国籍軍の見解、これは私も総理ともう二度ほど、御記憶かどうか分かりませんが、二度ほどやっております。  そこで、私、この多国籍軍のこれまでの政府見解というのは、九〇年十月二十六日の見解を取りますと、参加とは司令官の指揮下に入り、その一員として行動すること。それから、参加するということは、国連、多国籍軍の目的・任務が武力行使を伴うものであれば憲法上許されない。こういう見解でございました。  私が実は当委員会で五月二十七日に総理質問しております。その中で総理は何と言っているか。「日本は国連の決議があれば多国籍軍参加できるという解釈も一部にあるようですが、私は、武力行使を目的とする多国籍軍に、日本は、自衛隊であれあるいはどのような組織であれ、そのような軍に参加することはしない」、明確に言っておられる。となりますと、このように武力行使を含む、よろしいですか、多国籍軍に、なぜ総理参加できるんですか。
  223. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ここははっきりさせておかなきゃいけない問題であります。よく聞いてください。  武力行使を目的とする多国籍軍には参加しないんです。しかし、今回、国連決議によって形成される多国籍軍には人道復興支援活動も含まれているわけであります。日本は人道復興支援活動参加するわけでありまして、武力行使を目的とする、そういう行動には参加しないということであります。だから、武力行使を目的とするという、そういうことではありません。日本は復興支援活動、これに参加するわけであります。(発言する者あり)
  224. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ちょっとお静かに願います。
  225. 小泉親司

    小泉親司君 何しろ多くの委員の皆さんが言っておりますように、総理、午前中の議論の答弁と総理の答弁は全く違うんですよ。これは政府が全然言っていることが違うんですよ、法制局長官とあなたが言っていることは。  よろしいですか、今までの政府見解は、武力行使を目的とする、よろしいですか、総理、よく聞いてください。武力行使を目的とする多国籍軍であれば、それが例えば人道復興支援を含んでいても、これは武力行使を目的としたら参加できないんだと、こういう解釈だったんですよ。そんなことはこの点から明らかじゃないですか。いや、私は法制局長官に求めておりません。私は……
  226. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ちょっと……
  227. 小泉親司

    小泉親司君 委員長、私の発言中でございます。  私は、これまでもその点について法制局長官とずっとやり合ってまいりましたから、改めて見解聞く意味もありません。  そこで、総理、じゃ、それだったら総理は、今度の国連の決議は明確に多国籍軍は武力行使の目的を持っている、このことは御確認されましたね。そうなりますと、それがあったら参加できるんですか、できないんですか、そこを明確にしていただきたい。これまでの見解を変えられるんですか。
  228. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 見解は変わっておりません。  多国籍軍は治安活動参加します。米英軍は治安活動参加します。日本は治安活動参加いたしません。はっきりしています。人道復興支援に参加するんです。何ら問題ない。
  229. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 小泉親司君の御発言の中で、法制局長官の答弁の中身についてちょっと差がありますから、法制局長官に、法制局長官、答弁させます。(発言する者あり)
  230. 小泉親司

    小泉親司君 いや、委員長、結構でございます。(「委員長、おかしい」と呼ぶ者あり)
  231. 清水達雄

    委員長清水達雄君) おかしくないよ、それは。いや、違ったことを言っていると言っているから言っているんだ。
  232. 秋山收

    政府特別補佐人(秋山收君) ただいまの内閣総理大臣発言、この参加という意味は、私も時々混同して申し上げるんですが、要するに広い意味の、その多国籍軍に加わるという意味でおっしゃっているのでございまして、内閣、今、総理大臣が答弁されましたように政府の見解は何ら変わらないのでございますから、したがって、私が午前中に議論しましたような、厳密な意味で多国籍軍の司令官の指揮の下に入ってその一員として行動するという意味での参加で申し上げた、参加として申し上げたものではないのでございます。
  233. 小泉親司

    小泉親司君 じゃ、それではちょっと角度を変えてお尋ねしますが、総理は、先ほど治安活動には参加いたしませんとおっしゃいました。しかし、自衛隊活動の中には人道復興支援活動と安全確保支援活動というのがございます。これは、支援だといえば支援でございますが、実際にやっていることはどのようなことか。これまで二十数回の安全確保支援活動がありましたが、これではいわゆる武装米兵を自衛隊輸送する、こういうことをやっております。こういうことは、実際にこれはほかの国の部隊を輸送するわけですから、ほかの国の指揮がないとこれできないと思うんですが、こういうのもあなたは指揮に入らない、こういう御見解なんですか。
  234. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これはもうイラク特措法のときにもいろいろ議論されましたけれども日本の指揮下に入ってやるんですよ。米軍とか多国籍軍の指揮下に入ってやるんじゃないんです。主体的に日本が、自衛隊日本の指揮下に入って活動するんで、これは直接、治安活動とか武力行使を伴う、あるいは目的とするものではない。これははっきりしているんです。
  235. 小泉親司

    小泉親司君 今度の問題は、総理自衛隊の指揮下というのは、自衛隊が自分で指揮をするんですから、こんなことは問題ないんですよ。一番問題なのは、多国籍軍自衛隊の関係がどうなるかと、ここなんです、一番大きな問題は。実際に、多国籍軍は統一した指揮の下で活動するんだ、武力行使も含むんだと言っている以上、今までの政府見解からしたら全く参加できないことは明らかなんです、総理。私は、こういう形でこれまでの憲法に関する、九条に関する見解をどんどん踏み破っていくというのは私は許されないと思います。  しかも、国民の皆さんにこういう問題について具体的に説明しないで、対米契約、公約をどんどんする。対米公約したら今度は与党連絡会議で説明する。国民には何にも説明しない。これは私は大変おかしいことだというふうに思いますよ。その点で、私はこういうやはり憲法破りの政治は認めるわけにはいかない。  特に、私もこの間、テロ特措法の問題、よろしいですか、イラク特措法の問題、こういう問題でも総理議論してきた。私たちは、この見解についても、これはどういうものかといえば、元々自衛隊の海外派兵なんというのは憲法上認められなかった。ところが、それを、参議院の自衛隊を海外に出さざる決議などを踏み破って海外に出した。ところが、その理屈としてやったのが、いわゆる参加じゃないんだ、協力なんだという言葉の言わば遊びをやって、どんどんやはり海外に出してアメリカ軍と一緒の活動をやるというのは、私は重大な問題だというふうに思います。  その点、総理大臣、もし発言をされるんでしたらどうぞ。私はその点を強く指摘しておきたい。
  236. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは今始まった議論じゃありませんけれども自衛隊海外に出せば海外派兵だとか、PKO活動のときにも言われましたよ。それはPKO活動、当時反対された方でも今賛成しているじゃないですか、平和維持活動。  多国籍軍参加すれば武力行使目的にするんだ、これまた誤解ですよ。多国籍軍の中には人道支援、復興支援活動もあるんですから。日本は武力行使を目的としない、人道支援、復興支援活動に限ってやるんだ、これはもうはっきりしております。
  237. 小泉親司

    小泉親司君 最後に、私は、こういうやはり憲法の破り、特に憲法を、これまであなた方が解釈してきたことまで踏み破って多国籍軍参加するというのは言語道断であると。特に、今度の有事法制法案は、こういうイラクのようなアメリカの戦争に協力する法案の具体化でありまして、私どもはこの有事法案については当然廃案にすべきだということを強く訴えまして、私の質問とさせていただきます。
  238. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党・護憲連合の大田でございます。  総理には、海外出張でさぞかしお疲れでございましょうが、最後でございますので、よろしくお願いいたします。  さて、北朝鮮の核開発及び拉致問題、あるいはイラクの復興の問題等、我が国の前途には困難な国際問題が山積しておりますが、これらの解決困難な問題をどう平和的に解決していくのか、正に我が国の外交力が問われていると思います。私の考えでは、今はあらゆる方策を講じて平和外交に全力を挙げるときであり、戦争事態想定した法案を作るときではないと思います。  更に申し上げますと、現代の戦争は、総理もよく御承知のように核戦争でありまして、一瞬にして無数の犠牲者を出すことは明らかであります。戦争となれば、どのように法律を作っても、どのように防衛策を講じても今の近代的な戦争を防ぐことは私は半ば不可能に近いと思っております。言い方を換えますと、民間人犠牲者の数というのがおびただしく増えるということは否定できません。総理もよく御承知のことだと思います。  先日もこの場で申し上げましたけれども、第一次大戦のときに職業軍人の犠牲者の数は九五%で、非戦闘員の犠牲者の数は五%でした。それが、第二次大戦、更には朝鮮戦争、ベトナム戦争を経るにつれて民間人犠牲者の数が次第に増えるようになりまして、今では完全に逆転して、そして職業軍人の犠牲者の数が五%で、民間人犠牲者の数が九五%という統計が出ております。  一つの国で九五%の非戦闘員が犠牲になって、その後に残る、何が残るかといいますと、いろいろと考えさせられるわけなんですが、例えば、一例、分かりやすい例で挙げますと、総理も慰霊祭に参加なさった、沖縄の平和の礎というのがございますが、そこに刻まれている犠牲者の数を見ますと、一番新しいデータで申しますと、四十六都道府県から沖縄戦に参加して犠牲になった職業軍人の犠牲者の数が七万五千九百四十一人なんです、七万五千九百四十一人。それに対して、沖縄の地元の犠牲者の数というのは、もちろん防衛隊なんぞも含みますけれども、十四万八千六百十人というふうに、これが事実なんですね。  ですから、戦争になると本当に非戦闘員が犠牲になるのはもう避けようもないわけですから、私は、日ごろから総理がよく備えあれば憂いなしとおっしゃいますけれども、何よりも国際紛争を起こさせない、もちろん総理も絶えずおっしゃっております、我々は常に国際紛争を起こさせないように外交努力を積んでいるんだ、積み重ねているんだとおっしゃっておりますけれども、しかし、紛争が起きてもありとあらゆる努力を傾けて平和的に解決するということが極めて大事だということは言うまでもないわけですね。そして、軍事力でもってテロを撲滅することもできないということはもうだれの目にも明らかであります。  したがいまして、そういう観点からも、今考えるべきことは、何といっても、有事の備えではなくて、有事とならない備えこそが我々が目指すべき最優先の課題だと思いますが、総理はその点についてどのようにお考えでしょうか。
  239. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) お話は私も賛成であります。有事にならないような日ごろからの外交努力を始め備えをしておく、これは一番いいことでありますが、しかし、この世の中何が起こるか分かりませんし、現実の国際社会を見れば、有事といいますか、紛争絶え間ない、あるいは最近ではテロ活動等、全く関係ない一般市民まで犠牲にさせて平然としている勢力が出てきている、社会を混乱させる勢力はどこにあるか分からないということを考えますと、有事にならないような努力をするのはこれは当然でありますが、同時に、もし仮にそういう事態が起こった場合に、法律にのっとってそのような被害を防ぐような対応、いわゆる国民を守るような対応を法治国家として考えていくのはこれはまた当然なことだと思っております。  何もなければいいんですけれども、これは何か一朝事があるというときに備えておくということも極めて大事なことだと思っております。
  240. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今、総理のおっしゃっている意味が分からないわけでもございませんが、現実の問題として、総理もよく御存じだと思いますが、戦前、似たような有事法制というのが三百以上あったということが記録されております。三百以上の法律を作って、それでは国民の生命、財産を守れたかというと、守れなかったわけですね。  それから、昨日もちょっと防衛庁長官にもお伺いしたんですが、法律を仮に作って、もしも戦争になって、その法律を生かせるかと。つまり、法律を守るかというと、私は、大変失礼な言い方で、戦争に参加した者として実際に体験したところから申しますと、法律を守っては戦争はできないと、超法規的にならざるを得ないということを実感を持って感じているわけです。  ですから、そういった意味から、戦争の傷というのがいかに大きいかという。例えば今、度々沖縄の問題を持ち出して失礼ですが、沖縄ではまだ、この間の沖縄戦で戦死した方々の四千、数千体の遺体がまだ未収骨なんです、遺骨がですね。それだけじゃなくて、沖縄戦で米軍が落とした不発弾の処理、これ毎年億単位の金を使ってやっていますが、専門家に言わせますと、あと五十年から六十年掛かると言われているわけですね、その整理し終わるまでにですね。  さらに、私などが一番胸を痛めているのは戦争後遺症です。つまり、戦争のために心に傷を負って、命は長らえたけれども、ずっと戦後この方六十年近く病院に入ったまま一歩も外へ出ない、社会生活ができない人たちが少なくないわけです。つまり、今、それだけではなくて、沖縄では多大な犠牲を出しただけじゃなくて、戦争の結果、今総理がよく御存じのように、沖縄には過重な米軍基地があって、日夜沖縄の人々というのは、生命の危険にさらされているだけではなくて、基地公害に悩まされているわけですよ。戦争の後遺症というのがいかに深く深刻なものかというのは、沖縄の例を見ればよく分かるわけなんですね。  ですから、そういう問題を未解決のまま、また新たに戦争に備える法律を作るということに対してはどうしても納得できかねるわけです。ですから、そういった意味で、このような法律は、もちろん自然災害とかそういうものとは全く別だと思います、その種の法律というのは私はもちろん必要だと思いますが。  最後に一点だけ、時間がないので総理に直接お伺いしますけれども、この間ブッシュ大統領とお会いされましたけれども、今アメリカは、海外基地を世界的に再編するトランスフォーメーションを実現しつつありますけれども総理は常々、沖縄の基地が過重だから、それを負担を軽減するために削減するとおっしゃっていますが、ブッシュ大統領とどのようなお話をなさったんですか。
  241. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ブッシュ大統領とは、日本の安全のための抑止力、そして沖縄の問題といいますか、沖縄に基地が偏在している、沖縄県民は過重な負担を強いられている、この沖縄の削減問題について、日本としては全体の問題であるから今後とも協議しなきゃならないと。同時に、韓国の在韓米軍の削減の問題と極東全体、この安全保障の問題について話し合いまして、今言った沖縄の負担軽減も含めて、今後事務当局でよく相談していこう、緊密に連携協力していこうという話をいたしました。
  242. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 具体的に是非とも削減計画をお作りになっていただいて、この基地を減らすというのは物すごい手続が要りますので、こういう面からも是非とも計画をお作りになっていただいて、実質的に削減してくださるよう要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  243. 山本正和

    山本正和君 最後ですので、総理、もう少し頑張ってほしい。  私の国会での質問はこれが最後でございます。それだけに、この国の在り方等も含めて、時間が短いんですけれども、いろいろとお考えをお聞きしておきたいと思います。  私は、日本とアメリカが仲良くする、これは非常にいいと思うんです。総理は、そのために日米間の信頼を築こうと、それについては私は大賛成なんです。ただ、友人であればあるほど、言わなければいけないことがある。本当の仲良しというのは本当のことを言い合いしなきゃいけないんですね。  私が一番この国会生活ずっと長い間来ておって思うのは、なぜアメリカの大統領なりあるいは大統領を辞めた人でもいいです、広島、長崎に来てお参りしないんだろうかと。広島、長崎の核爆発の核の爆弾というのは正に非人道的です。あらゆる国際条約の中で、国際戦争の中でも、これぐらい残虐な戦争はないんです。  しかも、あの八月の六日までに日本政府は既にポツダム宣言受諾をめぐって議論しておったことはアメリカは知っておるんです。その中で、広島に爆弾を落として、後遺症を含めたら三十万人の人が犠牲になっている。長崎では十数万の人が犠牲になっている。こういう非人道的なことをしてきたについては、アメリカも本当に日本と仲良くするんなら、あれは悪かったと、私、謝るべきだと思うんです。  日本がパールハーバーに攻めていったことに対して、私もハワイに二、三回行きましたけれども、いつまでも飾ってあって、日本がこんなひどい目に遭わせたと書いてある。しかも映画では、本当は子供なんかねらってもいないのに、子供がまるでねらった、ねらわれたような映画を作っているんですよ、アメリカは。  本当にアメリカが日本と仲良くするんならば、こんな、あのとき、もうお年寄りも女も子供もないんですよ、赤ちゃんも、全部ばしゃっとして焼き殺しちゃった。しかも、それから、いいですか、今度は、アメリカの国内で核爆発がいかに怖いかということを展示しようとした日本の行為、すべてこれを禁止しているんです、アメリカは。  それは、総理がブッシュさんと仲がいいんなら、本当に腹割ってそのことを私は言わなきゃいけないと思うんですよ。日米の本当の信頼というのはそこから生まれてくる。しかし、いまだかつて、戦後、我が日本政府がそのことに対して交渉したという話聞いたことがない、いまだ。  そういう問題について、総理はどうお思いでございますか。
  244. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 過去の日米との敵対関係、それぞれ反省しつつ、現在、将来に向かって友好関係をいかに築いていくかということが極めて重要だと思っております。  現在は、日米友好関係の下に、言わば世界の中で日米が協力しながらどのように世界の平和と安定、発展、開発のために協力できるかという関係に発展してまいりました。こういう観点から、過去の経緯、それぞれ反省しつつ、いかに戦争を抑止していくか、お互い、日本だけのことを考えてはいけない、アメリカだけのことを考えてはいけない、国際協調を図りながら、世界の中でそれぞれの国にふさわしい活動を協力しながらやっていこうという視点が極めて重要だと認識しております。
  245. 山本正和

    山本正和君 是非言ってくださいよ。ブッシュさん、あなたも在任中に日本へおいでなさいよ、そしてお参りしなさいよと、これ私、言っていただきたい。これ、今総理は即答できなくても結構ですから、十分にそこのところはおなかの中に入れていただきたい、こう思いますよ。  それから、今度の法案について、実は私は、昨日だったですか、井上大臣以下に、「戦争を知らない子供たち」という歌があると、その戦争を知らない子供たちがまるで戦争はこんなものだと勝手に思って作ったのが今度の国民保護する法案だと、これ私、昨日言ったんですよね。  なぜそういうことを言うかと。今、大田委員も言われましたけれども、戦争というのはそんな簡単なものでないんです。そして、ここに、ところが、この今度、保護法案の目的の中にこんな言葉が入っているんですよ。航空機や船舶により地上部隊が上陸してくるような攻撃。相手が攻めてきて上陸するんです。何万上がるか何十万上がるか分からぬですよ。それに対しても対処するという法案だと、こう言うんですよ。  私は、ミサイルが飛んでくる、あるいは不審船がやってきて日本の国土を荒らし回る、あるいは拉致すると、これはけしからぬと思うんです。それを排除するために自衛隊には頑張ってほしいし、きちっとやってほしい、海上保安隊も。それから、天災ですよ。大災害が起こって、地震や雷や津波やそういうことに対してはきちっと備えるだけの、我が国を守る力が私は必要だと思う。  今、自衛隊に対して国民が信頼しているのは、そういうよそから妙なものが来たらそれはきっとねじ伏せるだろう、また自衛隊があるから向こうからなかなかミサイルもよう飛ばさぬだろうと、ここまでは信頼しているんですよ。しかし、本土の中で自衛隊が敵と、部隊と戦い合うということを想像して自衛隊頑張れと言う人はおらぬです。そうなってくれるなと思っている、国民は皆。だから、それが、これが自衛隊が国内で戦うことまでこの目的にしてあるんです。国民保護すると言っているんです。こういううそを言ったらいかぬと私は言うんです。  本当に我が国の置かれている状況はどうなのと。それはひょっとしたらミサイルが飛んでくるかもしれぬ、あるいは訳の分からぬ調略部隊が海岸でうろうろするかもしれぬ、また国内でひょっとしたら暴動が起こるかもしれぬ。それを抑えなきゃいかぬでしょう。しかし、敵の軍隊が何万もやってきてこの国に上陸して自衛隊と白兵戦やると。こういう事態はあってはならないし、あったら、この国が滅びるときなんです。  私は言いますよ。なぜイラクと日本は違うのかと。イラクは今も、一年、戦争が終わって一年たっても毎日何人もの人が死んでいるんですよ、イラクの国民が、子供が、お年寄りが、女の人が。日本は、戦争負けてから一年間の間にありましたか、一遍でもそういうことが。戦争負けたときに日本の国は負けたとはっきり宣言したんです。天皇陛下が耐え難きを耐え、忍びと、こう言われた。それで一遍に国民が守られたんですよ。これが本当の国民保護なんです。ところが、軍隊というのは、自分が権力を持ったら負けたと言いたくない。私も実は負けたくない方の一員だったから、満州で二年間残って国軍の再建ということを裏でやっておった、日本国軍の再建を。軍隊というのはそういうものなんですよ。だから、国土にまで侵略されるような軍隊が来たら、負けているんだ、そのときは。負けたら降参せぬといかぬですよ、当たり前で。それは国民を守る最大のことなんだ。  そういう本当の戦争のことを知らずにこういうものを書いて、国民をみんな守りますよと、こういうことを言うのがこれが国民に対する錯覚を与える。むしろ、そうじゃなしに、小泉内閣がやるべきことは、今の世界情勢をきちんと国民説明して、我が国における危険な状態はこういう状況です、それに対しては自衛隊はこう対処しますと、そのことを話すべきなんですよ。そこのところがどうしても私は政府の今度のこの国民保護法案だと、これ、武力攻撃を受けた場合の国民保護法案と。なぜこういう法律を、しかも私が今ここで、これはテレビで放送していますから聞いていらっしゃる皆さんもおると思う。しかし、政府が本当に国内で白兵戦するための備えの法律を作っているということを何人の国民が知っていますか。それは知事さんと相談したと言っている、井上さんはね。あるいはいろんな人にも相談したと。あらゆるものをいろいろ情報も取ったと言っている。しかし、本当に国内で白兵戦が起こる場合を想定して政府は真剣になってこういう法案を出しましたと、このことを感じている国民が何人おるかと。  先ほど、冒頭の田村委員の御発言もありました。国を守るということは、国民が本気になってみんなで考えなきゃいけない。それを国民考えさせないでおいて、法律だけ作ってよしとするのはこれはもう政府の無責任極まる態度だと私は思う。  私は、この国会議員辞めるに当たって、特にこの法案が出るだけに私は気になって仕方がない、こういうことは。総理はそういうことについて、もう時間がありませんから私だけしゃべってはいけないので、最後に一言、国民の皆さんにこの法案の意味説明していただきたい。これで質問を終わります。
  246. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もとより、法律を作って犯罪がなくなるかといえばそうではありません。法律を作れば戦争がなくならないか、そうでもありません。しかし、日本としてはいざというときに考えて対応していくということは、やっぱり国家の責任だと思います。日本はもし攻撃されたらば、アメリカと一緒になってその攻撃を防ぐ。日本攻撃はアメリカも、アメリカへの攻撃とみなすという日米安保条約締結しております。日本を侵略する勢力は、日本攻撃すれば日本だけと戦うのではない、アメリカと戦わなければならないという、ここに抑止力があると思います。  今回の法律もそれを、あえて抑止力を無視して侵略する勢力があれば、最悪の事態考えておかなきゃならないのはやっぱり政府責任ではないでしょうか。これだけで戦争がなくなるとは思っておりません。外交努力、平和努力、各国との敵対関係を協力関係にしようとする外交努力、これも必要だということは御指摘のとおりだと思っております。
  247. 山本正和

    山本正和君 委員長、一言だけ。  もうこれで終わりますが、これは大脇雅子さん、今年で、これで参議院引退します。彼女が自分の小学校一年生のときの戦争の爆撃を受けた中で、お母さんがいないんですよね。おばあさんとさまよったときの戦争体験の本です。これ、是非私は総理大臣に読んでいただきたい。そして、絶対にこの国に戦争を起こさしてはならないという決意でもって頑張っていただきたい、このことをひとつ要請いたしまして、私の質問を終わります。
  248. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。     ─────────────
  249. 清水達雄

    委員長清水達雄君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、辻泰弘君が委員辞任され、その補欠として羽田雄一郎君が選任されました。     ─────────────
  250. 清水達雄

    委員長清水達雄君) お諮りいたします。  武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案外九案件につきましては、以上をもって質疑を終局することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  251. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 多数と認めます。よって、十案件質疑は終局することに決定いたしました。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  252. 小泉親司

    小泉親司君 私は、日本共産党を代表して、有事関連七法案とACSA改定案に反対の討論を行います。  まず指摘しなければならないのは、日本国憲法と国の進路にかかわるこれらの重要法案の採決が十分な審議時間も確保されないまま強行されようとしていることであります。当委員会における質疑時間はわずか三十一時間、法案が国民生活や地方自治体の権限に重大な影響を及ぼすにもかかわらず、中央、地方の公聴会は一切開催されておりません。このままで採決を強行することは、十分な審議を尽くすべき国会の責務と参議院の権威をないがしろにするもので、断じて容認できないのであります。  第一の反対理由は、法案は国民保護と総くくりされていますが、その内容はアメリカの戦争に協力する仕組みを作る以外の何物でもないからであります。  当委員会の審議でも、一体どのような大規模な侵攻が日本にあるのか、政府は何ら明確にし得ませんでした。その一方、有事関連法案は、米軍支援法、公共施設利用法案など、日本武力攻撃がない予測事態の段階から米軍に対して無制限、無限定の支援を行う仕組みを作り上げています。  これは、政府も認めているように、九七年の日米防衛協力の指針、日米ガイドラインで取り決めた対米支援を完結させるものであります。しかも、日本有事でない、アメリカがアジアで起こす戦争である周辺事態武力攻撃予測事態が併存することを認めながら、弾薬の提供をどのように切り分けするのか、周辺事態に来援した米軍と武力攻撃予測事態で来援した米軍をどう切り分けるのか、全く明確にならないままであります。このような重大問題がありながら法案を強行することは断じて容認できません。  また、法案は、アメリカがイラクで行った戦争のような先制攻撃戦略を排除しておりません。日米共同作戦では、敵地攻撃や核兵器使用まで検討されています。米軍の無制限、無限定の武力行使に道を開き、白紙委任状を与える今回の法案を認めるわけにはいかないのであります。  第二は、法案が米軍への協力に当たって、憲法基本的人権を侵害する、国民を強制的に動員する内容が随所にちりばめられているからであります。これらの規定は、物資の収用、施設の管理、土地の使用、民間会社やその従業員、国民への動員に及んでいます。罰則を含めた強制措置も含まれており、これが国民基本的人権を侵害するものであることは明白であります。  ジュネーブ条約第一、第二追加議定書は、国連憲章によって戦争が違法化されながらも、現実に発生する武力紛争において紛争犠牲者保護する国際人道法として積極的な意義を持つものであり、批准に賛成するものであります。しかし、政府がこれを有事法制整備のてことすることは許されません。  今必要なことは、有事法制を作ることではありません。アメリカの戦争協力をやめ、日朝首脳会談に見られるようにアジアの平和の流れを更に大きくするための平和外交を大いに発揮することであります。  アメリカの戦争に日本国民を動員する、憲法違反の有事関連法案の廃案を強く求めて、討論を終わります。
  253. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりました有事関連七法案、三条約につきまして賛成の立場から討論を行います。  冷戦終結後、我が国が直面する脅威は、テロやゲリラ、不審船の出現、ミサイルの発射など、複雑化、多様化しています。対話と信頼醸成による紛争予防に努めるのは当然としても、安全保障上の危機を回避できないケース考えられます。また、災害に脆弱な都市の現状を併せて考えれば、緊急事態において国民の被害を最小とするためには、迅速かつ的確な対応が必要なことは論をまちません。  しかし、緊急事態にあっても、国会による民主的統制を徹底し、基本的人権を最大限に尊重するため、法体制整備しておくことは極めて重要であります。  政府はしばしば超法規的な対応を取る誘惑に駆られますが、そのような措置が取られないように、我々民主党は国民の立場に立って国会審議に臨んできました。特に、憲法に緊急事態に関する規定がないことから、昨年成立した武力攻撃事態対処法等の適用に当たって、憲法を補完するものとして基本法が必要であると主張し、来年の常会におきまして緊急事態基本法の制定が与党との間で合意することができました。  また、国民保護法案等に対して修正案を提出していましたが、これも与党との修正協議の結果、緊急対処事態武力攻撃事態対処法への位置付け、緊急対処事態国会事後承認国会議決による緊急対処措置の終了など、政府案で不十分であった諸点について、民主党の主張を反映させた大幅な修正が衆議院で行われました。参議院の審議におきましては、特にジュネーブ条約の趣旨や基本的人権を尊重する立場から厳しい問題点の指摘があり、またイラク等でアメリカによる捕虜虐待が明らかになりましたが、捕虜の適正な扱い及び有事における戦傷病者等の適正な扱いについて、日本がジュネーブ条約等を批准し、関連法を適用するに当たっては、重い責任を負うことになることを強調したいと思います。  私は、政府・与党が緊急事態基本法に関する合意や今回の有事関連法案・条約の成立が有する意味を真摯に受け止めるだけではなく、民主党との合意や国際的、国内的な義務を果たしていく覚悟と今後の厳格な運用に重い責任を負ったことをここで重ねて強調します。  民主党は、我が国の緊急事態に際して、我が国が適切かつ効果的に対処することができるよう、今後も必要な法制、態勢の整備などに全力で取り組んでいくことを約束して、民主党・新緑風会を代表しての賛成討論を終わります。
  254. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 私は、社民党・護憲連合を代表して、ただいま議題となっています有事関連法案に反対する立場から意見を申し述べます。  反対する第一の理由は、これらの有事関連法案は、どのように言い繕おうとも戦争法制であり、恒久平和を志向する日本国憲法に明らかに違反するからであります。  改めて指摘するまでもなく、敗戦後、日本国民は、憲法に明記されているとおり、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、自らの安全と生存を保持することを決意したのであります。それにもかかわらず、これらの有事関連法案が通ると、日本は、これまでの戦争のできない国から戦争のできる国に根本から変わってしまいます。なぜなら、これらの法案は、さきに成立した武力攻撃事態法を含む有事関連三法を実際に戦争が効果的に行えるようにするため具体的に整備し、戦争法制体系を完結させるものにほかならないからであります。  しかも、有事法制は、基本的構造において、国家の優越と人権の軽視、危機に対する武力中心の対応、国民生活の全面的統制志向などの点で大日本帝国憲法下の国家緊急権的思想や戒厳令、あるいは国家総動員法の発想とほとんど異なるものではありません。あまつさえ、今回の有事法案は、日本有事だけに限らず、先行法規の周辺事態法とも連動して米国の戦争への協力が優先課題となっています。その結果、今や政府は、イラク人道復興支援に名をかりて自衛隊をイラクに派兵しているだけでなく、国会へ諮ることさえしないままイラクの多国籍軍への協力まで表明している始末です。これは、憲法が禁じている集団的自衛権に道を開く暴挙と言わねばなりません。  これらの政府の行為がいかに憲法第九条の戦争放棄、戦力及び交戦権の否認に反し、かつまた憲法第十一条の基本的人権の享有の規定をじゅうりんするものであるかはだれの目にも明らかです。いわゆる中東問題が如実に物語っているように、武力で平和を作り出すこともできなければ、戦争でテロを撲滅することも不可能なことは周知の事実です。  私は、国権の最高議決機関たる国会の一員として、憲法第九十九条の憲法尊重擁護義務を果たす上からも、さらには身をもって戦争の地獄を体験した者として、有事関連法案には到底賛同することはできません。強く廃案を主張して反対討論とします。
  255. 高野博師

    ○高野博師君 私は、自由民主党、公明党を代表して、議題となっております武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案を始めとする、いわゆる有事関連七法案及び三条約について、賛成の立場から討論を行います。  我が国の平和と独立、そして国民の安全を守るため、万一に備えた法体系を整備しておくことは法治国家として当然であります。この意味で、昨年六月に武力攻撃事態対処法が成立したことは画期的であったと思います。  緊急事態に適切な対応を取り得る態勢を平時から整えておくことは政治の責務であります。  今回の有事関連七法案・三条約は、我が国に対する武力攻撃という国家の緊急事態への対処について具体的な内容を定めたものであります。すなわち、我が国に対する外部からの武力攻撃等、国家の有事に際して国民の生命、財産を保護することは政府の責務であり、非常事態の場合であっても憲法が保障する基本的人権の確保は極めて重要であります。  この点を踏まえ、国民保護法案は、国民避難誘導、救援など国民保護のための措置を的確、迅速に実施するための重要不可欠の法案だと認識しております。  今後は、これらの関連法案の実効性を確保するために、政府関係各機関はもとより、地方自治体や国民理解と協力を得るための具体的な施策、行動がなされなければなりません。  また一方で、武力攻撃等を未然に防ぐために、平和外交をなお一層積極的に展開していかなくてはならないと考えます。  なお、有事関連諸法案とは別に、自由民主党、公明党及び民主党の間では、大規模テロや自然災害等も含めて、有事に際して国としての対応、対処を行うための緊急事態基本法制定の必要性について合意しているところであります。  国家の緊急事態への態勢整備は、今述べた緊急事態基本法の制定も含め、着々と進められているのでありますが、政府に対し、法案成立後、国家の緊急事態に遺漏なく対処できるよう万全の危機管理態勢構築のための不断の努力を要請し、関連法案に対する賛成討論を終わります。
  256. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  まず、武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  257. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、齋藤君から発言を求められておりますので、これを許します。齋藤勁君。
  258. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、ただいま可決されました武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たって次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、指定公共機関及び指定地方公共機関が「国民保護に関する業務計画」を作成するに当たっては、指定公共機関等において業務計画の下で業務に従事する者等の意見を聴取する機会が確保されるよう配慮すること。  二、放送事業者である指定公共機関及び指定地方公共機関が実施する国民保護のための措置については、放送の自律を保障することにより、言論その他表現の自由が確保されるよう特段の配慮を行うこと。  三、緊急事態においても基本的人権が最大限尊重されるとともに、国民の権利利益の迅速な救済が図られるよう、本法施行後一年を目途として、その手続や文書の適正な管理などの在り方について必要な検討を行い、その結果に基づき、適切な体制整備等必要な措置を講ずること。  四、都道府県国民保護協議会及び市町村国民保護協議会については、その設置に当たり、それぞれの都道府県防災会議及び市町村防災会議と一体的かつ円滑な運営を可能とするために必要な検討を行い、その結果に基づき、必要な措置を講ずること。  五、「国民保護に関する基本指針」を策定するに当たっては、国民保護のための措置の実施主体である地方公共団体、指定公共機関、指定地方公共機関、並びに国民意見を幅広く聴取すること。  六、国民保護のための措置の的確な実施が確保されるよう、地方の実情に配意しつつ適切な支援を行うとともに、国・地方公共団体間の十分な連携体制整備すること。  七、武力攻撃事態、緊急対処事態等における惨禍をできる限り軽減し、その被害を最小限にするため、国際人道法の精神等を踏まえ、自助・共助の精神に基づく民間の仕組みを含め、実効性のある施策を検討すべきこと。  八、武力攻撃事態等において、国民保護のための措置が適切かつ迅速に実施されるよう、武力攻撃を排除するためにとられる合衆国軍隊の行動につき我が国の法令が最大限尊重されることを担保すべく、日米協力についての透明性を更に高めるとともに、日米地位協定につき全般的な検証を行うべきこと。  九、緊急事態に迅速かつ適切に対処するため、官邸機能の強化と既存の組織の見直しを進めるとともに、危機管理の効果的な実施体制を担保する組織を整えること。    右決議する。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  以上です。
  259. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ただいま齋藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  260. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 起立多数、多数と認めます。よって、齋藤君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、井上国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。井上国務大臣
  261. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) ただいま御決議のありました国民保護法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたし、努力してまいります。
  262. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 次に、武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  263. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  264. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  265. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、武力攻撃事態における外国軍用品等海上輸送の規制に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  266. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  267. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、自衛隊法の一部を改正する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  268. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  269. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約の国際的な武力紛争犠牲者保護に関する追加議定書議定書Ⅰ)の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  270. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約の非国際的な武力紛争犠牲者保護に関する追加議定書議定書Ⅱ)の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の起立を願います。    〔賛成者起立〕
  271. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、十案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  272. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時一分散会