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2004-05-28 第159回国会 参議院 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十八日(金曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  五月二十七日     辞任         補欠選任      加治屋義人君     有村 治子君      段本 幸男君     小泉 顕雄君      藤野 公孝君     愛知 治郎君      松山 政司君     後藤 博子君  五月二十八日     辞任         補欠選任      羽田雄一郎君     森 ゆうこ君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         清水 達雄君     理 事                 田村 公平君                 常田 享詳君                 舛添 要一君                 齋藤  勁君                 若林 秀樹君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 愛知 治郎君                 有村 治子君                 大野つや子君                 小泉 顕雄君                 後藤 博子君                 田浦  直君                 中原  爽君                 西銘順志郎君                 野上浩太郎君                 福島啓史郎君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 森田 次夫君                 山崎  力君                 池口 修次君                 岩本  司君                 神本美恵子君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 高橋 千秋君             ツルネン マルテイ君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 森 ゆうこ君                 遠山 清彦君                 森本 晃司君                 山口那津男君                 吉岡 吉典君                 吉川 春子君                 大田 昌秀君                 山本 正和君    衆議院議員        修正案提出者   前原 誠司君    国務大臣        総務大臣     麻生 太郎君        外務大臣     川口 順子君        厚生労働大臣   坂口  力君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    小野 清子君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣     井上 喜一君    副大臣        法務副大臣    実川 幸夫君        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        国土交通大臣政        務官       鶴保 庸介君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        内閣官房内閣審        議官       大石 利雄君        内閣官房内閣参        事官       猪俣 弘司君        内閣官房拉致被        害者家族支援        室長       小熊  博君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        総務省総合通信        基盤局長     有冨寛一郎君        消防庁長官    林  省吾君        外務大臣官房審        議官       鶴岡 公二君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        外務大臣官房参        事官       鈴木 敏郎君        外務省総合外交        政策局国際社会        協力部ジュネー        ブ条約本部長   荒木喜代志君        外務省北米局長  海老原 紳君        外務省条約局長  林  景一君        厚生労働大臣官        房技術総括審議        官        上田  茂君        国土交通省鉄道        局長       丸山  博君        国土交通省航空        局長       石川 裕己君     ─────────────   本日の会議に付した案件武力攻撃事態等における国民保護のための措  置に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国軍隊  の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用  に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃事態における外国軍用品等海上輸送  の規制に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間に  おける後方支援、物品又は役務の相互の提供に  関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間  の協定を改正する協定締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約  の国際的な武力紛争犠牲者保護に関する追  加議定書議定書Ⅰ)の締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約  の非国際的な武力紛争犠牲者保護に関する  追加議定書議定書Ⅱ)の締結について承認を  求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十七日、加治屋義人君、段本幸男君、松山政司君及び藤野公孝君が委員辞任され、その補欠として有村治子君、小泉顕雄君、後藤博子君及び愛知治郎君が選任されました。  また、本日、羽田雄一郎君が委員辞任され、その補欠として森ゆうこ君が選任されました。     ─────────────
  3. 清水達雄

    委員長清水達雄君) この際、川口外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。川口外務大臣
  4. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラクにおきまして、日本人二人が乗った車両が、現地時間五月二十七日夕刻バグダッド近郊襲撃を受けたとの第一報が、日本時間同二十八日午前二時十五分ごろ、在イラク日本国大使館より外務省にもたらされました。  外務省においては、直ちに在イラク日本大使館に対し関連情報収集を行うよう指示し、同日午前三時十五分に外務省内緊急対策本部を立ち上げ、また、現地においてはCPAにも協力要請を行う等、事実関係確認に当たっています。  事件状況確認するため、在イラク日本国大使館関係者を、被害に遭った車両を運転していた運転手が収容されている病院に派遣し事情を聴取したところ、現時点で判明している事件概要は以下のとおりでございます。  現地時間五月二十七日夕刻日本人二名が乗った車両が、バグダッド南方約三十キロのマフムーディアをサマーワからバグダッドに向けて走行中銃撃され、その後爆発炎上しました。この二名は、運転手の有する情報等に基づけば、フリージャーナリスト橋田信介氏及び小川功太郎氏と見られます。なお、両名の安否は現在のところ不明です。  政府としては、引き続き正確な事実関係の把握に努めるとともに、邦人保護観点から可能な限りの対応を行っていく考えです。  イラク治安情勢は予断を許さない状況にあり、政府としては、これまで退避勧告を継続して発出する等累次の注意喚起を行ってきました。今回、このような事件が発生したことは誠に残念ですが、今後ともイラクへの渡航はどのような目的であれ絶対に控えること、また、イラクに滞在する邦人の方はイラクより直ちに退避することを強く勧告していく考えです。  政府として、海外における邦人安全確保のため、引き続き可能な限りの努力を継続していく考えでございます。     ─────────────
  5. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案外九案件を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山崎力

    山崎力君 自由民主党の山崎でございます。  今、イラクから残念な知らせが届いてございました。そういった中でこれから質疑させていただくわけでございますけれども、おいおい情報等も入ってきて状況は分かるかと思いますが、結果として非常に残念であると。  ただ、今大臣からの御報告言葉じりということを言ってはいけないのかもしれませんし、意味するところは明らかでございますけれども、どのような目的であれ渡航禁止ということが本当にその意味で適当かどうかと、純粋な意味でですね。ということになりますと、ジャーナリストも絶対行っちゃいかぬよということを政府が言っていることになれば、これは必ず議論を巻き起こすことでございますし、もう一点言わせていただければ、人道復興支援のために行っている自衛隊も、そのどのような目的の中にそこは含まれないのかと言われれば、そういうことでございますので、言葉の問題ということでございますけれども、まあ変な形から受け取られてひがんだような受け取り方だというふうにおっしゃるかもしれませんが、それは立場立場で違った受け取り方をするというのは世の常でございますので、その辺のところを是非御検討の上、考えてこれからもいただきたいというふうに思っているということを、今の報告に対しての私の感想として申し上げさせていただきます。  それで、別に今日のこの事件で、私、関連するというつもりではないんですが、前回の我々の同胞の死亡者を出した、外務省奥大使、お二人のことに関して外務省の発表が十二日に公表調査結果が公表されておりますし、ホームページでも出ていると。その中で、ちょっと私、読んでおりまして気になる表現がございました。と申しますのは、これは十二ページというノンブル打ってありますけれども、2の襲撃の態様(2)の一部でございます。  現地米軍調査に、調査といいますか聞き取りを行ったところ、襲撃は四台のSUV、スポーツ・ユーティリティー・ビークル、これは自動車の好きな方はお分かりになる言葉だと思います、行われて、そのうち二台が攻撃したと。襲撃者RPKを用い、民間人洋服でと書いてあるんです。服装じゃなくて洋服でと書いてあるんです。で、ケプラータイプヘルメットを着用していたと。  これは聞いたのをそのまま表現されたということであろうと思いますが、これはまあ目の前に置いて言うのはなんですけれども石破さんならこの辺のところを、どういう意味する、イメージがわくかということ、一般の方はなかなか分からないかもしれない、石破さんなら分かると思うんですけれどもRPKって何だいという話から始まるわけです。  これは、ここの注にも書いてありますけれども、よく我々が、言われている典型的なロシア製のいわゆる小銃軍用小銃と言われているAK47から発展してきた、専門用語で言えば軍隊機銃あるいは小隊機銃と言われている、小隊や分隊に一丁ずつ配備されている形の機関銃でございます。そしてそれは、弾丸といいますか、それはいわゆるカラシニコフと同じものが使えるということで、銃身が多少長いとか発射速度が高いだろうとか、そういうことが想定されるわけですが、外観は、一番目立つところはもうそっくりなわけですよね。よく分かったねと。そこのところを、米軍は聞いていて言ったんでしょうけれども米軍がそう思ったのか、事情聴取した人がそういうふうに言ったのか、その辺は非常に関係者なら興味あるところなんですが、一切そのことには触れておられない。  それから、洋服を着ているというのは、その洋服がどういう意味なのか。背広なのか、それともイラクの風の民族服でないという表現なのか。  あるいは、ケプラータイプヘルメット、これも非常に問題でございまして、イラク軍隊ケプラータイプヘルメットかぶっていたかねと。私なんぞの知識からいけば、これは米軍、あるいはその行ったイギリス軍もやっているかもしれませんが、その辺の戦利品をこういうふうにかぶっていたんじゃないか、もし向こうの人でしたらね。だけど、これはそんなに多いはずないねと。ほとんど向こうの、何というか、テロリストでもゲリラでも何でもいいんですが、レジスタンスでもいいんですが、そういう人たちヘルメットをほとんどかぶっていない。それで、それが、ヘルメットが、これ単数か複数か、一人だけかぶっていたのか大勢の人がかぶっていたのか。これも状態を見る意味で非常に難しい問題だというようなことを思い浮かぶといいますか、この表現から見るとそういうことを考えるわけです。  その辺のところを外務省はどのような判断でこういうふうな表現公表なされたのか、その辺についてまずお伺いしたいと思います。
  7. 鈴木敏郎

    政府参考人鈴木敏郎君) 失礼しました。  お答えいたします。  今先生がおっしゃられた点も含めまして、今回、五月十二日に外務省公表いたしました資料は、今回の、昨年の事件の経緯とか状況につきまして、現地米軍であるとかそれからCPAであるとか、現地イラク警察から入手した関連情報及び、こういったものを踏まえつつも、在イラク日本大使館が自ら実施した調査などによってこれまでに判明した事柄を捜査に支障のない形で御紹介するという格好の趣旨で記載したものでございます。  襲撃に使用された武器については、警察の方の鑑定結果もございますし、これに基づけばまだ銃器を確定するまでには至っておらないというふうに承知しております。外務省調査におきましては、これも根拠は必ずしも明らかではないんでございますけれども、一部にAK47が使用されたであるとかいう認識を述べる者もおりますし、また今、先生がおっしゃられたようなことを言及している情報もあったということでございます。  それらについての分析というものは必ずしも十分に、確かに行われておらない部分があるんでございますけれども、かつまた捜査も継続中であるという制約もございますけれども、そういった中で情報の開示には限界があるんですが、できる限りこの事件の事実関係について把握している点を世の中に御紹介したいと、そういう観点から記載したものでありまして、確かに先生がおっしゃるような点は不十分でございますけれども、そういった趣旨である点を御理解いただければというふうに思います。
  8. 山崎力

    山崎力君 不十分だと認められちゃうと、それ以上何質問していいか分からぬところがあるんですが、一番の問題は、不十分だというところの一番の問題は、米軍から聞いたという表現になっているわけですよね。調査の後、調べたのを聞いたらこういうふうに出ていると。だったら、米軍がこういう情報提供したときに、それはどういうところであなたは我々にこういう情報を教えてくれているんですかと。ケプラータイプだと言って、どこでケプラータイプ鉄かぶと鉄かぶとと言っちゃいけないんでしょうけれどもヘルメットと旧来の鉄かぶと的なものとの差、形状なのか、触ってみて分かったなんということはないと思う。その情報の確からしさが、根拠提供者米軍に聞くのは当たり前だろうと。それをやっていない、あるいはその発想がないところが問題だということを私は指摘せざるを得ないわけです。  それで、この問題で別に揚げ足取ってというか、追及するのが問題じゃないわけですけれども一連のこの騒ぎの問題の中で米軍誤射説というのが一部で流れました。そのときの議論も私聞いておりましたけれども、その中でちょっと一、二確認しておきたいところがございます。  これは警察庁担当になるかもしらぬですが、残留の弾頭部金属組成の問題が出ていたと思いますが、これはいろいろあるんで判断が付かないということはおっしゃっていましたが、もし仮に米軍の、これは小銃弾はほとんど使われていないので機関銃弾だと思いますが、その米軍使用NATO弾組成がある程度見当付けば、これは消去法でいって違うであろうと。まあ米軍も同じような組成かどうかという問題もあるんですけれども、その辺のところはお調べになっていらっしゃるんでしょうか。まずお尋ねします。
  9. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) お答えいたします。  銃弾組成につきましては、今委員指摘のとおり必ずしも一定でございませんで、同じ業者が例えば製造したものでもばらつきがあるというふうに言われているものであります。したがいまして、銃弾の種類から銃器を特定するというようなことは非常に難しいというのが一般的なところでございまして、今回の事件に関するいろいろ金属片鑑定等でも同様の結果が出ております。  お尋ね米軍が使用しているNATO弾組成現物というものでございますが、確かに委員指摘のような点もあるというふうに私ども考えておりまして、その組成又は現物を入手すべく現在各方面を通じて依頼をし、調査をしているところでございます。
  10. 山崎力

    山崎力君 それからもう一つ、私自身もちょっと気になったのが、あの問題がどうだったかはっきり覚えてないんですが、前回、重なっていれば失礼したいと思いますが、奥さんらの乗られた車の正面からの射撃弾痕があると。ボンネットあるいはフロントグラスにあったはずですが、その発射角度といいますか、入射角度といいますか、そこのところでどういった形でなっているか。  これはなぜかといいますと、米軍車両に、一部言われたように追い付いてきたとすれば、ほぼ前面から、まずボンネットなりフロントガラスに撃つのが常道であろうということで言われていたんですが、その辺のところを再確認意味もあるかも、になるかもしれませんが、分かっていることを教えていただきたいと思います。
  11. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) 今回の被害車両前面フロントガラスあるいはボンネット弾痕入射角度がどういった角度であるかということについてのお尋ねかと思います。  まずボンネットでございますけれども車両前面ボンネット弾痕入射角度下方から上方、下から上へ向けて一・四度の角度左斜め二十八度の方向から撃たれたという状況でございます。それから、フロントガラスでございますが、フロントガラスにつきましては、実はガラスの厚さ等の関係もございまして、弾痕の正確な入射角度について測定をすることは不可能でございます、できませんでした。しかし、ガラスにこういった銃弾が当たった場合の一般的な傾向というものからあえて推測すればという専門家所見でございますが、垂直の角度としましてはおおむね水平又はやや下方からと。それから、水平方向角度といたしましては左斜め前方から撃たれたというふうに推定できる。これが、専門家所見として我々得ているところでございます。
  12. 山崎力

    山崎力君 ということでいきますと、これはもうここで明らかになっているという前提で、これから別の事実が出てくれば話は違ってきますけれども、今のお話と、それからここに出ている外務省さんからの公表物からすれば、これは、これが事実とすれば、いわゆるアメリカ軍正規部隊に対して追越しとかその他、そういったところでの攻撃を受けたものではないということは容易に想定できると私は思います。  ただし、その辺の、ケプラータイプヘルメット洋服ということですね。ここのところからいけば、逆に言えば、アメリカ軍であれば特殊部隊であるとかあるいはアメリカのお雇いのそういった兵器にはないけれども、ということも否定できないということも考えられるという状況だなというふうに私は思っております。  そういった点、もしこれからあれば、これはアメリカの、まあ故意かどうかの問題も含めてですけれども、そういった点での情報を得なければこういうもののなかなか我々は判断できない。その情報をきちっと取れるか取れないか。ただ言われたことをそのまま伝えるんじゃなくて、その情報の確度とか正確の下にもう一歩突っ込んだ形の情報収集是非外務省関係者にはお願いしたいということを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  次の問題というのは、今回提案されている諸法案関連でございますけれども、余り与党議員として、余り担当大臣に聞きたくない問題なんですが、当法案一連のことに関しては衆議院修正が行われております。そして、そのときの説明をお聞きする限りにおいて、特段違和感のない説明でございました。ああ、こういう修正ならあった方がいいなというような印象を受けたわけでございますが、そういった点なぜ、言いにくいことですけれども提案前に、衆議院での提案前にその修正部分法案に盛り込まなかったのか、盛り込めなかったのか。その辺の御事情をまずお話しいただければと思います。
  13. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 今、国会の方に御提案申し上げているこの法律でありますけれども、基本的には事態対処法の中で今後整備すべきものということで大きな枠組みが決められたものと、それにつきまして、それを具体化するためのこの法案でございます。  その際、この国会審議におきましてもそうでございましたし、知事会なんかでも意見が出たんでありますが、テロ等に対応する措置ですね、これ緊急対処事態とも言っておりますけれども、これにつきましても所要規定を、国民保護法制の中で規定をすべきだと、こういう御意見がございまして、私どもといたしましては、大きな枠組みの中では、何といっても緊急対処事態といいますのは国民保護措置が中心になるものと考えておりまして、多少その枠をはみ出るといいますか、いうような形で緊急対処事態につきましても言及をする規定を置いたところでございます。  衆議院の方の議論におきましては、むしろもっと真っ正面から武力攻撃事態と並べて緊急対処事態を位置付けて、しかるべき対処をした方がよりいいんじゃないかという御意見がございまして、与野党でそのように、与野党といいますか、与党と民主党の間でまとまりまして、所要の整備が行われたということでございまして、今委員が御指摘のように、それはそれなりに一本筋が入ったといいますか、改正になったというふうに私どもも評価をしている次第でございます。
  14. 山崎力

    山崎力君 ということで、より広く対処方針にするという、当初の予定よりは全体的な対処保護に資するものだろうということで、官房の方でも御納得いただけている修正だなということは理解いたしました。  そこで、この問題全体を見たところ、昔から言う第一分類、第二分類、第三分類、いろいろ言われております。防衛庁から始まって担当省庁、あるいはどこの担当か微妙な問題、これを全体的に取りまとめるのが内閣官房大臣担当だというふうに、井上大臣担当だというふうに承っているわけですが、これは私個人の考え方かもしれませんけれども、今度の一連の有事法制といいますか緊急事態の中で、すぽんと抜けている部分があるんじゃないかなと思っておりました。と申しますのは、これは司法関係の問題でございます。  御承知のとおり、我が国は歴史的な背景も、戦争という背景もございまして、諸外国における戒厳令的な、マーシャルロー的なものは想定しておりません。有事その他の場合、緊急事態において、そういったことに対してはいわゆる平時における司法当局がそれを担当するという形になっております。いわゆる戒厳令といいますか、非常事態宣言等に伴うことはほとんどの国で行われておりますし、これが別に独裁者の権限でないということは、これは西欧民主主義と言われている国家でもその制度があるということで御承知願いたいわけですが、逆に言えば、そういう国であっても、我々の民主主義の先輩の国であっても、非常事態においては平時と違った特別な司法といいますか、秩序維持のための法制度は必要だという考え方になっているわけですね。  ところが、我々は、幸か不幸かといいますか、判断は非常に難しいんですが、先ほど申し上げたような事情で、そういう制度は取らないという憲法上の要請という形で成っておりますが、その辺のことについて井上大臣はどのようにお考えでございましょうか、御所見を承りたいと思います。
  15. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 政府法律案を検討いたしまして国会に提出するということにつきましては、単に一つの省庁の考え方だけではなしに、正に政府として提出するわけでありますから、関係各省の御意見を聞いて、関係各省の合意の下に法案を提出するものでございまして、したがいまして、この司法の制度につきましても、法務省との間で今ヒアリングも行いましたし、あるいは、さらにはもう少し検討が進みまして、関係省庁の課長会議というようなものもいたしまして、特別の規定は必要ないのかというようなことも議論したわけでございまして、現行法の体系の中で、民事訴訟法なり刑事訴訟法の中で対応できる、こういうことでございましたので、この司法関係につきましては特別の規定は置かなかったと、こういう経緯でございます。
  16. 山崎力

    山崎力君 ということなんですが、そういう話になれば、法務省、本当に全く必要ないんでしょうかね。いろいろ専門的にやっていらっしゃるとは思うんですが、法務省としての今の有事あるいは緊急事態に対する司法制度、最終的には国民保護という意味からいけば、法務省という役割は極めて重大であろうというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  17. 実川幸夫

    ○副大臣(実川幸夫君) 先生指摘の法務省でございますけれども、民事及び刑事の訴訟手続法は所管しておりますけれども、また矯正施設などの収容施設を有しております。  有事におけます裁判手続の遂行あるいは被収容者の避難が円滑に行われるための法制上の手当ての要否について検討をこれまで行ってまいりました。現在の民事訴訟法あるいは刑事訴訟法、監獄法などの個別の法律におきましても、災害等の非常時を想定した規定が設けられております。  幾つか例を挙げて御説明させていただきますと、民事手続に関しましては、例えば事件を管轄します裁判所が事実上機能しなくなった場合でも、その裁判所の上級の裁判所が他の裁判所を管轄裁判所と定めるとの規定によりまして、別の裁判所で手続を行うことが可能になります。また、刑事手続に関しましては、例えば逮捕した被疑者につきまして、近隣の裁判所が事実上機能しなくなったために、別の裁判所に勾留の請求をせざるを得なくなるなどして勾留請求までの制限時間を超越した場合でも、やむを得ない事情があるときは勾留請求できるとの規定により勾留することが可能になっております。  これらの現行法の規定に基づきまして適切な運用を行うことによりまして、有事におきましても基本的には対応が可能であると考えておりまして、裁判所におかれましても適切な運用が図られるものと承知いたしております。
  18. 山崎力

    山崎力君 先ほどの言葉じゃないんですが、言葉じりですけれども法律があるから適切な運用が図られるということではないんですよね。適切な、図られるものというのは法律からくるものじゃなくて、法律があって、その趣旨に添って適切な運用をするようにでかすといいますか、できるのは行政庁そのものなんですよ。そこのところがちょっと今の御答弁では私納得できかねるところなんです。法律が幾ら良くたって、やるべきところがやらなかったら適切な運用がこれ、できないことになるわけで、法律が適切な運用を保障するような法律でないということになれば、その法律を改めるなり新しい法律を作りましょうと、こういうことなわけですよ。  ですから、もし御答弁なさるとすれば、現行法において我々が適切に運用できるという法体系になっております、原則的に、だから今回の、例えば有事なら有事、非常事態において、我々はそれにのっとってやれば適切な法運営ができると思いますと、こういう言い回しでないと私はおかしいと思うんですが、非常に言葉の問題で恐縮ですけれども。だけれども、本当にそうなのかね、できるのかねという疑問を私自身持たざるを得ないケースがいろいろあるわけです。  例えば、先ほどの例でいって、本来ならば、軍事組織が軍隊においてやったときに、それなりの行動を、警察権的な行動を、司法権的な行動を取れる体制になっている部分があるわけです、これはサマワの問題でも一時その部分が取り上げられましたけれども。そういったことを考えると、もし本当に現行法で不可能じゃないという意味でいえば、自衛隊の諸君、戦闘行動その他やっていることに、司法、警察関係者、検事であれだれであれ同行して、そういった自衛隊では諸外国の軍隊では許されている行為の代行をするような格好をするんですか、軍隊と一緒に検察官が付いて歩いて犯罪人その他の犯罪を捜査するんですかと。あるいは、避難民、途中で現行犯常人逮捕した人の拘束期間について、周りに警察官も検察官も裁判所もないときに一般の人はどうしたらいいんですかと。それは法律では三日以内に、今おっしゃったことでいえば、期間内に司法警察員に引き渡すんだけれども、それがやむを得ない事情があるときは延びてもどうのこうのと、こういうふうに法律上はなっているかもしれない。だけれども、それでいいんですかと。  この場合、自然災害その他でいろいろの今までケースがあったと思います。しかし、一般的にいう自然災害、あるいは人為災害でもいいですけれども、人為災害の最大の例が戦争だという説もありますが、一番違うことは、自然災害というのはほぼ一過性なんですよ。関東大震災であれ、この間の兵庫の阪神・淡路の震災であれ、どんと来て、それから被害がどんどん広がる、火事が広がることはあったにしても一過性なんです。何日間か、せいぜい一、二週間で済むわけですよ。ところが、有事というのはこれ年単位になっておかしくないんです。  そのことについて、司法という部分についてその辺まで踏み込んだ検討は、もし本当に正義の実現といいますか社会秩序の最後のとりでとしての司法があるとしたら、そこまでやってしかるべきだと思うんですが、その辺の御検討はなされているんでしょうか。
  19. 実川幸夫

    ○副大臣(実川幸夫君) 先ほどお答え申し上げましたように、有事におきましても基本的には対応が可能であると考えておりますけれども委員指摘の、今、例を挙げてお話がありましたけれども、今後想定し得るあらゆる事態に、現実に十分に対応できるような、委員指摘を含めまして重要な検討課題であるというふうに考えております。  今後、法務省といたしましては、今後とも有事におきましても司法が十分にその役割を果たすように、先ほど申し上げましたように裁判所等の関係機関と連携しながら検討してまいりたいと、このように考えております。
  20. 山崎力

    山崎力君 ということでございまして、それで、あえて申し上げさせていただければ、法律では対応できるようになっているとおっしゃられても、事実そうなんでしょう、専門家の目から見れば。しかし、それを現実の状態、社会、置かれた状態に当てはめたときに、物理的にもこれはやるの無理だぞというような制度であれば、これはやっぱり本来、制度本来として問題があると言わざるを得ないわけでございまして、そこに有事法制、非常事態法制の難しさがある。逆に言えば、今まで我々は幸いなことにそれをやる必要が第二次世界大戦後なかったということもあるわけでございますので、その辺を含めた意味での更なる御検討をお願いして、この部分については終わりたいと思います。  そして、こう言ってはなんなんですが、本来、今回出された部分について一、二気になったところを御質問させていただきたいと思います。  ジュネーブ協定、国内法整備その他、追加議定書の今回の締結といった一連の作業がありました。これは、有事法制にかかわる、世界の国は当然やっていなくちゃいけないんだけれども日本は有事法制の議論すらつい最近までできてこなかったという、私に言わせれば不幸な歴史を持っておりまして、それで今回その議論、法制化が可能になったという状況にあるわけでございますけれども。  今回のジュネーブ諸条約の国内法整備と追加議定書締結、これを今の国会提案されてそれを成立させるということで政府が行っているわけですが、その辺の状況判断はどういうふうなところからきているか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  21. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは委員がよく御存じのように、ジュネーブ諸条約、これにつきましては、我が国が五一年にサンフランシスコ条約締結をいたしましたときに、一年以内に入るということで宣言をしたということであったわけですけれども、その実施のために必要な国内法、この立法措置の大部分というのがいわゆる有事立法、有事法制に属するということでありまして、必要と判断されるときに整備をするという考え方、これに立って、必ずしも今まで国内法の整備が十分に行われないままに推移をしたという経緯がございました。  それで、いわゆる有事法制でございますけれども、これは先ほど若干御示唆をしていらしたかと思いますけれども、我が国の戦後の政治状況の中で整備をする機会に恵まれなかったということがございまして、国内法の整備が必ずしも十分に行われないままになってきたということでございました。  それで、昨年、武力攻撃事態対処法、これにおきまして、その事態対処法制は国際的な武力紛争において適用される国際人道法、これの的確な実施が確保されるものでなければならないという規定がございます。そして今般、事態対処法制の整備に当たりまして、ジュネーブ諸条約の、これを諸条約を含むでございますが、国際人道法の的確な実施を確保して国内法制の整備ということが行われる、ということを行うということにしたわけでございます。  なぜ必要かということで考えますと、国際人道法の整備ということで、この理念の基本というものは、そもそも武力紛争という極限の状況にあって犠牲者保護する、そういったことなどの法規範を遵守をすることによって紛争の過酷さ、惨禍をできるだけ防ごうというところにあるわけでございます。  それで、我が国としてそのジュネーブ諸条約の国内法を整備し、あるいは追加議定書締結をしといったことを行うということは、我が国の国民の生命、身体、財産、これを保護するということにつながることであるということはもちろんでございますけれども、同時に、国際社会において国際人道法が発展をしていくということにも貢献をするということになりますし、また我が国が国際社会において我が国に対する信頼性を高めるということにも資するといった、そういう観点を持っております。
  22. 山崎力

    山崎力君 そういった形でようやっと、何というんでしょうか、国際社会との、国家と似たような形の体制になりつつあるということを喜びたいと思うわけですけれども、中で一つちょっと焦点を絞ってといいますか、ACSA関係についてこれからお伺いしていきたいと思います。  今回の改正で、具体的に今までと違ってどんな活動が新たに可能、適用することができるようになったのか。考え方、いわく因縁は結構ですから、考え方、それから具体例をお示し願えればと思います。
  23. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) お答え申し上げます。  今回の改正によりまして、大きく二つの改正点、改正が行われるということでございます。一つは、武力攻撃事態又は武力攻撃予測事態に際しまして、日本に対する武力攻撃を排除するために必要な活動を行っている米軍というものとの間で、自衛隊との間で物品の役務提供が行われる、これは当然のことながら安保条約第五条に基づきます日米の共同対処、これを非常に円滑なものにするということでございます。  それから、もう一つございまして、これは新しいACSAの第六条でございますけれども、国際の平和及び安全への寄与、あるいは大規模災害への対処その他の目的のための活動に米軍自衛隊が活動を行っているという場合にも物品の役務、物品役務の相互提供というものが可能になるということでございまして、これは詳しくは申し上げませんけれども、例えば一例を挙げますれば、今のイラク特措法あるいはテロ特措法に基づきまして自衛隊が活動を行っている、その現場におきまして米軍との間で物品の役務の提供が行われるということによりましてその活動が更に円滑に効果的に行われるようになるということでございます。
  24. 山崎力

    山崎力君 そういったことで了解できるわけですけれども、この問題でちょっと取り上げたというのは、これから御質問申し上げますけれども、どうしてもこの部分で頭から抜けないのが朝鮮有事。しかも、前例があるということでございまして、朝鮮有事の際、朝鮮国連軍というのはそのまま存続していると私記憶しております。それで、その中で米軍も当然行動していたと。  もし、そういった場合、これは新たな国連決議が必要かどうかという問題からいけば、現実に存在している国連軍に対してどうのこうのという形にはならないと私理解しておりますが、その点も含めて、朝鮮国連軍としての米軍に対して物品役務提供するということがACSAでできるのか、適用できるのかどうか、その点はどういうふうになっておりますでしょうか。
  25. 林景一

    政府参考人(林景一君) お答えいたします。  今委員正に御指摘のとおり、いわゆる国連軍、朝鮮国連軍と申しますのは存在しております。これは御案内のとおり、五〇年代、もう五十年も前の決議に基づいてそのまま存続しておるわけでございますが、この国連軍、朝鮮国連軍というものが、朝鮮半島におきまして何がしかの事態が生じた場合に、実際にそのまま活動することになるのかどうかということにつきましては、御指摘にもございましたとおり、あらかじめ申し上げることはなかなか難しい。その時点におきまして国連が適切な対応を取るということでございましょうけれども、もちろんその中に、それは既存の国連軍、朝鮮国連軍が活動するということを排除するものではないといった次元の話であろうかと思います。  そういう場合におきまして、それではその朝鮮国連軍の一部として米軍が存在しておるということについて、そのこととの関係をどう考えるのか、それがそのACSAの適用対象となるのかということでございますけれども、これにつきましてはACSAの考え方と申しますのが、済みません、ちょっと長くなって恐縮でございますけれども、我が国の国内法に提供権限がある場合にのみ、このACSAの手続が適用されるということになっておるわけでございますけれども、それではそのような我が国の提供権限に当たるような国内法というものは何があるのかということで考えますと、恐らく今の状況でございますと、周辺事態法ということになろうかと思います。  これは周辺事態法のときに先生御自身も問題を提起されたことだろうというふうに記憶しておりますけれども、こういう仮に、したがいましていろんな仮にがたくさんあるわけでございますけれども、仮に朝鮮半島で事態が生じ、仮にそういう朝鮮国連軍が活動を行う、正に仮に朝鮮国連軍である米軍が、その周辺事態法におきます要件というのがございます。これは周辺事態安全確保法に即して申し上げれば、第三条の第一項第一号で日米安保条約目的の達成に寄与する活動を行う米軍というものが支援対象になるということになっておりますけれども、そういう米軍ということがございますれば、これは周辺事態法の対象になって、支援対象になる。その支援の在り方につきまして、必要とあらばACSAの今回の提供手続といいますか、ACSAの提供枠組みを適用することが可能になっておると、そういうことでございます。
  26. 山崎力

    山崎力君 その場合の朝鮮、前回の朝鮮戦争の事例を念頭に置いての質問でございますけれども、今回の議論からいけば、日本有事と同時ということもこれはあり得るわけでございます。そして、あの当時確たることは記憶しておりません、当然年齢的にも。が、いわゆる朝鮮国連軍として参加した人たち日本から、当時占領下であったとはいえ日本から出撃していたり駐留していたこともこれまた事実でございます。  そういった中で、今のお話ですと、同じ朝鮮国連軍に参加していても米軍以外の国連軍の構成者にはこれは適用できないというふうに聞こえましたが、そういう解釈でよろしゅうございますでしょうか。
  27. 林景一

    政府参考人(林景一君) お答えいたします。  これは先ほども申し上げましたとおり、適用というのがACSAの話をもしなさっておられるんだとすれば、このACSAの仕組みと申しますのは、あくまで提供根拠となる国内法があるかどうかというところでございまして、そのそういう根拠法があることが前提。  で、今申し上げましたとおり、今のような状況、御指摘のような御提起のような状況と申しますのは恐らく周辺事態法というのが考えられるということでございまして、それで、これは周辺事態法の正に御議論の際に問題提起もございましたし、政府の方からも御説明したというふうに記憶しておりますけれども、周辺事態法におきましては、これは基本的に安保条約の効果的運用に資するとの観点から、我が国の安全のために活動する、そのような米軍に対して支援をするということでございまして、それ以外の外国の軍隊に対して支援を提供するということができる根拠がないということでございますので、そういう限りにおきましてはACSAの適用というのは問題にならないということでございます。
  28. 山崎力

    山崎力君 ということが記憶の根っこにございまして、今回それに付け加えるとすれば、周辺事態じゃなくて我が日本にも火が付いたというような事態でこれが適用できるかどうかということについての、何というんでしょうか、質問通告がそこまで行っていないのは恐縮なんですが、朝鮮有事という言葉と同時に、我が国、いわゆる半島同時有事といいますか、そういったときにどうなのかなという点が残るわけです。  それはともかくとして、そうしますと、国連軍が、いわゆる朝鮮国連軍が行動していたと。そのときに日本は、あのときの議論にもあったんですよ、アメリカには協力できるけれども、例えばイギリスとかオーストラリアには協力できない。イラクに行ったときで、アメリカ軍とは共同作戦できるけれども、イギリスとかオランダとは駄目よと。もっと極端に言えば、飛行機が落っこってパイロット救出に行ったけれども、あなたはアメリカの飛行機のパイロットだから救出するけれども、あんたはイギリスの飛行機のパイロットだから駄目よと。こういう議論になりかねないということはあのときも申し上げた記憶がございますが、どうしてこれ、国連協力、国内法がないからということなんですけれども、国連協力というのは何でここに入ってこなかったんでしょうか。その辺、ちょっとお聞かせ願えればと思います。
  29. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 先ほど条約局長から御答弁申し上げましたように、現在日本におります国連軍というのは、これはいわゆる国連軍の後方司令部でございまして、司令官そのものは米軍の者がやっておりますけれども、あとは七か国ぐらいだったと思いますが、連絡将校がいるだけということでございまして、したがいまして、国連軍地位協定で与えられている援助というものも、これは例えば免税措置とか、極めて限られた施設の使用というような兵たん上のものに限られているということでございます。  それでは、今委員がおっしゃいましたように、もし将来いわゆる朝鮮有事というようなものがあったときに、その国連軍がどういう形になるのかと。今申し上げましたような単なる後方支援の連絡将校がいるだけという、国連軍がどのような形になるのかというのは、先ほど条約局長が御答弁申し上げましたように、そのとき国連がどういう決議を通すのか、昔の決議をまたどういうふうにするのか、これは現時点で予断できないわけでございますけれども、それはまたその時点において、あるいは米軍以外の国連軍に対する支援というようなものが必要になるということになれば検討が行われるということではないかと思いますけれども、ただ米軍そのものにつきましては、これは別に国連軍そのものということではなくて、先ほどの御答弁のように、これは安保条約目的達成に寄与しているという観点から、場合によっては周辺事態法に基づいてACSAの適用があるという考え方でございます。
  30. 山崎力

    山崎力君 一言で言えば、朝鮮有事以来この辺については全然変わっていないと。一番我々が、もし、まあこういうことがないにこしたことないんですけれども、こういったことを考えなくちゃいかぬところで、一番私に言わせれば蓋然性の高いところについて、今回の法案のところも、しかも我が国の国是である国連協力についても進んでいないという残念なことが明らかになってしまったという、言わざるを得ない部分がございます。これはもう当然関係者の方はそのときどうするかということは頭に入っていると思うんですが、ということを含めて、ゆめゆめ、今回の改正で有事法制が大分きれいにそろったなんというようなことを発言なさっては困るということを申し上げておきたいと思いますが。  最後に、そこのところで言えば、おい、それじゃ、朝鮮戦争のとき、どういう法体系で日本はああいうことをやったんだいと、占領下だったからもうしようがないというので、無法状態でああいう協力をアメリカにしたのかいと、こういう問題もあるわけですよ。  一応そういったことを念頭に置いて、逆に言えば、今回の対外的な問題、有事法制の問題でどうしても今までの歴史的なことを考えなければいけないことは、国連というものとそれから今の半島の情勢というものがもし仮に、もしもですけれども前回と同じような形態になったときに、国連軍に対して、朝鮮戦争第一次と言っちゃいけないんでしょう、前回の朝鮮戦争と同じような協力を日本ができない法体系になっていると。このことだけは是非皆様方に、関係者の皆様方に御理解願いたいというふうに思うわけでございます。  最後の質問になってちょっとこれあれなんですが、法体系を幾ら作ってもというところから一、二御質問申し上げたいと思います。  これは、去る四月の二十八日に、羽田空港の中に覚せい剤を使用したという人が車で突っ込みまして、走り回って、空港閉鎖になったということがございました。今回の場合でいえば、テロ、ゲリラ、そういったものに対して警備を取らにゃいかぬといったときに、あんなことをされていて、おい、大丈夫なのかよということが我々の中であったわけでございます。警備その他も、工事中でございますけれども、そういったところ、空港警備に問題があったんじゃないかと。  しかも、その後、対応がどこがどうなっているんだかよう分からないという時間経過がかなりあったと思うんですが、空港管理者、警察、そういった中で連携も含めてどこに問題があって、どういうふうにそれにこれから対処しよう、まあ言葉は嫌な言葉ですが、反省なさっているのか、その辺の事情についてお聞かせ願いたいと思います。
  31. 鶴保庸介

    大臣政務官鶴保庸介君) 御指摘のとおり、四月二十八日の事案につきましては、空港における保安体制の強化が求められております中でこのような事態が起こりましたことを重大なことと重く受け止めておるところでございます。  今回の事案は、空港警備上脆弱な地点があり、そこを突かれたことにより強奪された自動車の侵入を許すことになったものであり、初期段階において情報が錯綜し、空港事務所と警察との情報共有、連携にも課題があったと認識をしております。  今回の事案の発生を踏まえ、国土交通省では、同様の事案が発生することのないよう、仮設施設の設置状況の把握及び防御体制の強化、フェンス、ゲート等の空港施設の強化、巡回警備の強化はもちろんのこと、緊急事態発生時の連絡体制の強化、ホットラインなどを作りまして、警察部局との連絡体制をより一層強化すること、そしてまた、不法侵入対応訓練をこれから積極的に実施をしてまいりたいというふうに考えております。
  32. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) お答えいたします。  警察といたしましても、御指摘のとおり、今後の空港警備の在り方ということで、これは大変大きな課題を残したものというふうに認識をしております。  先ほど国土交通省の方からも御答弁ございましたが、警察といたしましても、大きなポイントといたしましては、警戒、警備上注意を要する箇所、特にフェンス、工事中のところですね、こういった場所につきまして情報を空港管理者と共有していなかったということでございます。  それから、事件警察として認知した後、空港管理者への通報が、これが結果的に遅れたということが、これはもう否めない事実でございます。  それから、制限区域内にパトカーが立ち入るということについて、これは空港管理者の方の許可を要するという通常の取扱いになっております。したがって、時間が掛かったということでございまして、これは、緊急事態にはこれは速やかに中に立ち入らなきゃいけないということだろうというふうに思います。  こういった点で、反省すべき点が多々あったというふうに考えております。  警察におきましては、国土交通省と連携をいたしまして、既に警備上の問題点あるいは警戒重点に関する認識を共有をし、事態発生時における連絡通報体制を確立をする、あるいは対処方策に対する計画を共同して策定をする、あるいはそういったものに基づいて実践的な訓練を取る、行うというような諸点につきまして、全国都道府県警察、空港を管轄をいたします都道府県警察に対し指示をしたところでございます。  こういった施策をしっかりと推進をし、この種事案の再発防止に徹底を期してまいりたいと思います。
  33. 山崎力

    山崎力君 本当に、警察が一本で警備するところはいいんですけれども、別に管理者がいて、それが公なりそれなりのところだったりすると、今みたいにパトカー突っ込むのに許可が要るというのは、反省なさっているから言いたくはないんですけれども、逆に言えば、今までそんなことでよく済んでいたねというようなこともございます。そういう点はこれからも認識を新たにして警戒、警備に就いていただきたいと思いますが。  今回の事案でもう一つあったのは、これは空港が閉鎖されましたから、そのときに、まだ時間帯からいって飛行場には乗客を乗せたままの飛行機が多数いたわけです。降りようとしたのをどこか別なところに行けとか、離陸しようとしたのをストップ掛けるとか、いろいろあったんですが、そういう飛行機の機長、乗客に対しての状況説明が非常に不十分だったという事実がございます。  それからもう一つ、時間の関係もあって続けて質問させていただきますが、もしあのときに本当のテロリストだったら、すなわち航空機を破壊するような行為をしていたら、あるいは、時々サマワでも出ているようですが、迫撃弾等の着弾があったという認識されていたら、飛行機に乗客を乗せておいたままに放置する、情報提供じゃなくて放置するというのは、これは極めて危険なんです。そこまでいかないでも、もしあの犯人が乗用車あるいはバスで空港内を走って、止まっている飛行機に衝突して火災でも起きたらどうなんだと。こういうことは現実にゲリラじゃなくてもあり得たはずなんです。それが全然乗客に情報伝わらない。ただ、空港閉鎖されたから皆さん待っていてくださいと、そういう状況。こういう状況だから閉鎖されました、お待ちくださいという連絡はなかった。  しかも、聞くところによると、その辺の正規の連絡網が空港管理者及び航空会社の間にもしっかりしたものがなかったというふうに聞いておりますが、こういうことで本当に危機に対処できるんだろうかという気がいたしておりますので、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
  34. 鶴保庸介

    大臣政務官鶴保庸介君) おっしゃるとおりでございまして、空港の危機管理体制の見直しを、抜本的に見直しを図らねばならないと感じておるところでございます。  したがいまして、防災対策の状況把握の判断であるところのヘッドクオーターをもう少し強化するということと同時に、こういった場合、だれが状況判断し、そして供用開始等々を含めてこれを判断していく部署、部局をどこにしていくかという辺りをきちっと、マニュアルを含めて、今後のマニュアルの作成を含めて考えていきたいというふうに考えております。  先ほど先生が御指摘になられました乗客に対する情報の伝達が行き届いていなかったという御指摘でありますが、これにつきましても随時、捜査及び安全に差し障りのない範囲で乗客や航空会社に対して情報の共有を図ってまいりたいというふうに考えております。
  35. 山崎力

    山崎力君 そういう答弁になるんでしょうけれども、私が今この問題を取り上げて何を申し上げたいかというと、これはあと私の演説になるかもしれませんが、お聞き願いたいんですが、こういう状況の中で、いわゆる乗客、ある意味ではこれは国民ですよ、最優先しなきゃいけない。それが、自分たちの役所の法律、先ほども話出たけれども法律が決まっている、そういったことを何とかするために新たな法律を作るという問題でもないわけだ。法制度は整っている、理屈の上じゃ乗客が一番大事だ、だれでもそれを言う。ところが、実態には、一番最後まで置き去りにされているのは乗客だということが今回の例で極めて明らかになってしまったんですよね。  と申しますのは、これは国全体の有事法制のときもそうなんですが、法制度は整っておりますと、特段問題はありません、あるいは今回こういう法制度を作ったので対応できると思います。そのことが本当に、そういった有事において一般国民の生命、財産をより守ることに直接はつながらないおそれが十分あるということです。役所の立場から担当の法令を点検するということは、これはやっていただかなくちゃいけないけれども、そのときに、一番最初にやるべき国民の生命、財産をどう保護するかという考え方からその部分を検討したかどうかというのは、今の事例でもお分かりのとおり、極めて問題があるのではないかというふうに私は思っております。  運用はまた別の次元の問題とはいえ、仏作って魂入れずじゃないんですけれども、仏はだんだんできてきたかもしれないけれども、肝心の魂入れ、これはもうこれから不断の努力で関係者の皆様方にやっていただかなくちゃならぬわけですけれども、その辺について本当にこれ担当の、最後になりますが、井上大臣の方からその辺のところを、とにかくこれからも担当者としてしっかり全体の掌握に努めていただくという御決意を承りたいと思います。  特に今回の有事法制というのは、平時における法制度では、それをそのまま運用していたのではかえって国民の生命、財産、あるいは人権を含めて損なうことがあるから、時間、場所等を限って緊急事態に対応する法制度だという基本を是非踏まえてこれからもお願いしたいと思いますので、その辺も含めてお考えを、一言で結構です、お伺いできればと思います。
  36. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 御主張の点は非常によく分かります。  私もあの日、ちょうど七時半の羽田発大阪行き、伊丹行きの飛行機に乗りまして、珍しく定時前に飛行機が動いたんですね。それで二時間半余りずっと飛行機の中におりまして、連絡等については本当にどうなっているんだろうかとつくづく感じまして、今の委員ほどには深くは考えなかったのでありますけれども、確かにテロなんかを想定いたしますと、非常に大きな問題だなというふうに感じます。  やっぱり新しい制度を作りますときには、いろんな想定する事態に応じまして、できる限りの事態に対応できるような規定を作るということは当然でありますし、また、そういうような努力をしてきたのでありますけれども、しかし、こういったことにつきましては、やっぱり状況だって変わることもありましょうし、あるいは当初考え付かなかったようなことも起こるかも分かりませんから、そういった点については常に反省をしながらよく検討していくということが大切だと思いますし、さらに加えて、今委員の御指摘のように運用ですね。  やはり何が一番大事なのかというそのこと、特に国民保護法制というのは国民保護なのでありまして、それをきちんと据えまして、そのためにどういうような運用をやっていくのが一番いいのかというようなことを常々反省しながら運用していかないといけないんじゃないかと、そんなことを強く感じた次第でございまして、そういう点を配慮しながら今後とも運用してまいりたいと、こんなふうに考えます。
  37. 山崎力

    山崎力君 終わります。
  38. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 民主党・新緑風会の榛葉賀津也でございます。  モラルハザードという言葉がございますが、私は今国会ほどこの言葉を重く受け止めさせられた国会はないというふうに感じております。  昨日、ニュースを見て驚きました。日ごろ大変、党派は違いますが、尊敬をしていた坂口厚生労働大臣が年金が未納だった時期があったと。私は、未納だった、払い忘れていたと、そのこと自体をどうこう言うつもりはございません、制度自体にも大きな欠陥があるわけでございますから。しかし、どうしてこの時期に発表しなければならなかったのかなという思いでございます。坂口大臣は未納副大臣お二人を抱えてよく頑張っていらっしゃるなと、よく支えていらっしゃるなと、支えられる側だとも思うんですが。しかし、坂口大臣御本人も払っておらず、昨日になって発表されたと。  加えて、総理は、厚生年金に加入していた当時、幽霊社員だったことを笑いながら昨日もこの委員会で発表され、仕事は選挙で当選することだと胸を張られて答弁される姿を見て、また、太っ腹のいい社長だったと、是非墓参りをしたいと、生きている方をこのように亡くなっていると錯覚するような答弁もあったわけでございますが。  他方、バグダッドでは奥さん、井ノ上さんに次いでジャーナリスト襲撃をされ、その安否が大変心配されている。北朝鮮の問題も大変憂慮されていると。  この国会と実際の政治のこの温度差は一体何だろうかと。私自身、一人の国会議員として大変恥ずかしく、また、もう少し政治の現場がしっかりと現実の世の中に沿ったことを議論をしていかなければいけないというふうに強く感じております。  私は、もうパフォーマンスばかりの総理大臣には余り質問をする気がなくなっているわけでございますが、是非川口大臣には具体的な理と実のある外交をきっちりと進めていただきたいというふうに強く要望したいというふうに思います。  そこで、一点、川口大臣にお伺いしたいんですが、総理が北朝鮮に行かれました。確かに総理は、北朝鮮そのもの、そしてアメリカを見た北朝鮮外交をされているようですが、私は一つ、韓国という国の存在を我が国の政治が若干忘れ掛けているのじゃないかなという憂慮をしておりまして、我が党は、鳩山衆議院議員や中川衆議院議員を中心に、日本と韓国の議員が連携をして、ともにこの問題、若干日本と韓国のこの拉致の問題の温度差は違うわけでございますが、ともにこの問題を解決していこうと前向きな建設的な日韓の外交があってもいいと思うんですが、川口大臣はこの点についてどのようにお考えでしょうか。
  39. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私も日本と韓国の間の関係というのは非常に重要な関係だと思っております。北東アジアの地域にあって、考え方、民主主義ですとか、それから市場経済ですとか自由ですとか、そういったことについての考え方を共有をしている国であり、経済的にも文化の面でも非常に強いつながりを持っている国でございます。  韓国との間で両国の間の共通の利益、これを拡大していくということが重要で、これはこの地域の安全ということもそうでございますし、世界の平和と安全、北朝鮮の問題については特にそういうことだと思っています。  私は、実は明日から、土曜日、日曜日、韓国を訪問しようと考えております。目的、二つございまして、一つは、平壌に総理が行かれたその後を受けて、北朝鮮問題を中心とする様々な問題について、日韓の外相間で腹蔵ない意見の交換をしてきたいというふうに考えております。それからもう一つ、盧武鉉大統領が弾劾のプロセスにいられたわけですけれども、この間、職務復帰をなさいましたので、表敬をさせていただいて、盧武鉉大統領の御意見をいろいろ伺いたいというふうに思っております。  今、韓国でもかなり世代の交代が進んでいるという話も聞いておりまして、引き続きいろいろなレベルで日韓の間の人的な交流、経済の交流その他が進んでいくということが非常に重要だというふうに私は考えております。
  40. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 ありがとうございます。  是非、実のある外交をしてきていただきたいと思いますが、それでは本題の有事法制に入らせていただきたいと思います。  私は、この有事法制には大きく分けて二つの大事な柱があると思っております。一つが有事における日米の協力関係をしっかりと強化していくこと、そしてもう一つが日本国際人道法を始めとして国際法をきっちりと遵守していく国であるということを世界そして国内にも示していくことだというふうに思っております。  衆議院議論と違いましてこの参議院の審議の位置付けは一体どこにあるんだろうと、私なりに考えてみました。一つの大きな衆議院審議との違いは、この参議院の審議イラクのアブグレイブの事件の後、一〇〇%この参議院の審議がその事件の後行われるということでございまして、つまり我々参議院の責務は、国民と同様に世界に対してこういった説明責任をきっちりと果たしていくことだというふうに考えております。  言うまでもなく、有事法制というのは、有事の際、日米の安保を円滑に使えるようにするという法制であり、いや応なくこの日米関係の強化という側面が出ると思います。と同時に、いかにアメリカにこういった国際人道法を守らせていくか、そして、当然だけれども、我が国日本もこれを一緒にどう守っていくかということを、犯罪行為をしないんだということをきっちりと世界に対してもそのイメージ、メッセージを送っていくという大切な責務があると思うわけでございますが、井上大臣は、この点についてはいかがお考えでしょうか。
  41. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 正にお説のとおりでありまして、この国際人道法を実施をするというのが今回のこの法律改正の一つの大きな眼目でございます。重大な犯罪を罰することによりまして、このような重大な違反行為が再発しないようにしていくという一つの目的と、もう一つは、日本がこういう制度を作ることによりまして、国際社会に対して日本も国際人道支援を実践をしている国だということを示す、そういうことになるんだろうと、こんなふうに考えておる次第であります。
  42. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 伝統的戦時国際法では、済みません、海上輸送規制法案についてお伺いするんですが、伝統的戦時国際法制では、臨検、拿捕の根拠というものは、これは交戦権が担保になっている、根拠になっているというわけでございますが、昨日の舛添委員の質問にもございましたが、日本は交戦権を認めておりませんから、この停船検査を国際法上の根拠として国連憲章五十一条の自衛権というところに置いているわけでございますが、これは防衛庁長官にお伺いしたいんですが、主要国でこのように自衛権にこの根拠を置いている国というのが実際あるんでしょうか。
  43. 石破茂

    国務大臣石破茂君) すべての国のことを存じ上げておるわけではございません。また、明快に国会の場においてこれはもう自衛権であると、こう言っている国がどれほどあるかということも存じ上げておるわけではございません。インドですとかパキスタンですとかエジプトですとか、そういう国が実際に臨検措置というのを行ったことがあるというふうなお話もございます。しかし、どのような形でやっているのかということのすべてを存じ上げているわけではございません。他方、アメリカについて照会をいたしましたが、合衆国は我々と同様の考え方だというふうにアメリカの方から回答を得ておるところでございます。  これはまたいろんな議論を舛添先生ともさせていただきました、また委員ともこれからさせていただきたいと思いますが、交戦権というのは一体何でしょうかと。戦争がある意味適法であった時代の交戦権というものと、戦争が基本的に違法とされているときの交戦権。よく交戦権とは戦いを交えるという権利ではなくとかいって、こういうふうに答弁をいたしております。それは今も変わっておりませんし、日本国は自衛権に基づいてこれを行うということに変わりはございません。ただ、その交戦権というのは何でしょうかということが、意味合いがだんだんと変わってきておるという面はあろうかと思います。  いずれにいたしましても、我が国としてはこれを自衛権に基づいて行うということであり、同じような考え方は合衆国も取っておるというふうに承知をいたしております。
  44. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今、アメリカ合衆国のことをおっしゃいましたが、以前、イギリスやオーストラリアもこの自衛権を根拠としているというような回答もあったわけでございますが、それらの主要国が停船検査であるとか臨検に相当するこういった行為を実際に自衛権でやっているんだと、そういう、文書と言ったら変ですが、そういうきちっとした担保される根拠というのは明確になっているんでしょうか。
  45. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 文書としてどういう形になっておるかというところまで詳細は存じ上げておりません。  ただ、自衛権の行使として第三国商船に対して停船検査等を行ったケースとしては、例えて申しますと、第一次中東戦争以降、一九四八年から一九六〇年の期間において、エジプトが自衛権の行使として第三国船舶への捕獲権を主張し臨検を実行したという例がございます。あるいは、一九六五年の第二次印パキ戦争におきまして、インド、パキスタン両国は第三国船舶を含めて捕獲をしたという例がございますし、イラン・イラク戦争におきまして、イランが多数の第三国商船の臨検等を実行したというふうに聞いております。  文書としてこれは自衛権に基づいて行ったのだと明確なエビデンスがあるかというと、そこまで承知をいたしておらないところでございます。
  46. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 防衛庁長官アメリカ大臣ではありませんから、なかなか答えにくいかもしれませんが、若干、私に御指導いただきたいんですが、今出たアメリカ等、この臨検の根拠について、交戦権とその国連憲章五十一条等に基づく自衛権の根拠、これをアメリカなんかはどのように整理をしているんでしょうか。
  47. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先ほど、合衆国に照会したというふうに申し上げました、これは外務省の方からやっていただいておるわけでございますが。それ、きちんとここまでが交戦権でここからが自衛権でと、それで重なる部分はどこであり、重ならない部分はどこであるというような明確な整理が、合衆国を始めとしていろんな国で行われているかというと、私は必ずしもそうではないのだというふうに承知をいたしております。  すなわち、臨検、私どもは臨検という言葉も今回使っておらないわけですが、それができるのは、それは当然の権利であるということはずっと続いてきておる考え方である、しかしながら、国連というものができて戦争というものが基本的に違法化された後、その概念の整理が各国で行われているかというと、そういうものではございません。  しかし、基本的に戦争が違法化をされておるわけでございますから、そこにおいて行われる行為というものは、当然五十一条というものは集団的、個別的自衛権を国家固有の権利として認めておるわけでございますので、そこは連綿と間断なく続いた概念として引き継がれているのではないかというふうに考えております。
  48. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それでは、ちょっと日本のことについてお伺いしたいんですが、日本がこの自衛権を根拠にするのは、憲法上の理由で交戦権を否定しているからなのか、それとも自衛権を臨検のような措置根拠とすることが国際法上慣習化しているからなのか、これは一体どちらなんでしょうか。
  49. 石破茂

    国務大臣石破茂君) まず、明確に「国の交戦権は、これを認めない。」としております。その後の政府答弁におきまして、交戦権とは戦いを交える権利ではなく、戦いの場において認められる諸権利の総称であって、どうも正確ではございません、言葉、というようなことで、例えて言えば占領地行政を行う権利であるとか、臨検であるとかというふうに、政府として臨検というものを例示として挙げております。  といたしますと、臨検を交戦権の内容として日本国政府としては考えておりますので、その臨検というものは、九条によって交戦権を否認されておりますとすれば、論理的にこれを使うことはできないということに相なります。  そうしますと、しかし第三国船舶を含めまして、それが例えばミサイルであるとか弾薬であるとか、それが我が国の相手方の国家に渡った場合に、それが我が国に対する武力行使に資するものとなった場合に、これを止めなければ、我が国に対する武力攻撃というものを加えて行われることを阻止することはできないという場合には、これは自衛権の行使としてそれを行わなければ我が国の平和と独立、国民の生命、財産というのが損なわれることになりますので、いろいろ厳しい要件を掛けました上で、自衛権の行使の一態様として、交戦権という概念ではなく、自衛権の一態様としてこれを用いる。  したがいまして、自衛権行使の三要件ということも当然考慮しなければならない、こういうような論理的な整理になろうかと思います。
  50. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今、第三国に対する検査の話もございましたが、ちょっとそれに関連してお伺いするんですが、第三国に対する停船検査というのは自衛権に基づいて行うんですか。  商業行為などやっている場合、これ、第三国の停船検査というのは、これなかなか自衛権では私難しいと思うんですが、その点の長官の御見解をお願いしたいと思います。
  51. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、先生御案内のとおり、第三国に対して自衛権を行使をしておるわけではございません。我が国が使っております自衛権というのは、あくまで我が国に対して攻撃を仕掛けておる国に対して自衛権を行使をしておるわけでございます。  第三国船舶が我が国の相手方の国家に向けまして物を運んでいる、で、ここの海域においてこういう措置を取りますよということは明示をしておるわけでございます。防衛庁長官が定めまして、例えばここの海域においては日本がそのような措置を取っておりますよというふうに申し上げ、そこを第三国船舶が通り、非常に疑いが濃厚であるということになった、そしていろいろな定められている措置を取り、いろいろな諸情報からしてこれは疑いが非常に強いという場合にこの法案に定められた措置を取るということは、それは我が国の自衛権の行使として位置付けられるものでございます。  しかし、そこで気を付けなければいけないのは、第三国に対して自衛権を行使しておるわけではないということ、そして、むやみやたらに何でもいいから止めてこのような措置を取るわけではなくて、先ほど申し上げましたように、海域というものを明示をし、いろいろな態様からして、そして何度も何度もそこに対して問い掛けをしても、それに答えることなくそこを逃走しようとする場合等々に限りまして、この法案に書かれた措置を取るということでございます。
  52. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それでは、その第三国船舶がこの停船検査を受忍する義務というのはあるんでしょうか。抗議や若しくは反撃ということが想像できると思うんですが、どうでしょうか。
  53. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、私、先ほど来自衛権というふうに申し上げました。これは我が国が権利として行使をするものでございます。それでは、権利に対応して先方に受忍をする義務があるかというと、これは、権利に対応する明確な形での義務として存在をするかといえば、それは必ずしもそうは言えないというふうに思っております。  そうすると、どういうような整理になるかというと、相手としては、それを受忍すべきものというようなことになろうかと思います。義務ということを法律用語として使うということには少し無理があろうかというふうに考えておりまして、受忍すべきもの、あるいはこういう言い方はやや正確を欠くのかもしれませんが、受忍すべき立場、そういうような考え方になろうかと思っております。義務という考え方を法律用語として使うことは若干無理があろうかと考えております。
  54. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 榛葉賀津也でございます。  長官は自衛権できっちりというような御説明ですが、実際の現場は、これ、戦争違法化後の世界とやはりその前の伝統的な戦時国際法の世界が私は実は併存していると思うんですよ。そのような中でやはりこの自衛権だけで臨検していると言い切るのは若干私は無理もあるのかなという思いが実際ございまして、これ、USネービーの指揮官のための海軍作戦法規便覧という、和訳ですが読ませていただいたんですが、明らかにアメリカの臨検と日本の停船検査と異なっておりまして、そのことを私自身もう少し研究をしていきたいというふうに考えております。  次に、国際人道法違反処罰法案についてお伺いするんですが、ジュネーブ条約及び第一追加議定書で定める重大な違反行為についてでございますが、今回の国際人道法違反処罰法案においては新たな規定がこれ設けられておりません、御承知のとおりでございますが。既存の国内刑法をベースにして立法措置が検討されたというこの結果でございますが、これ、文民の無差別攻撃など悪質性が高い犯罪についてきちっと新たな罰則規定等設ける必要があろうかと思ったんですが、この点については大臣、どうでしょうか。
  55. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) このたび提案いたしました法律には四つの犯罪につきまして規定をいたしておりまして、その他の犯罪につきましては現行刑法で対応できると、こういう整理でございます。したがいまして、今御指摘のその行為ですね、重大な違反行為について日本の刑法のどういう条文が適用されるかということにつきましては、参考人の方からお答えさせていただきます。
  56. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) お答えいたします。  今回、私どもがこの重大な違反行為の処罰法案を立案するに当たりまして、正に今先生から御指摘のように、ジュネーブ条約、また追加議定書等に絡んで、重大な違反行為については処罰する仕組みを国内に設けるということが必要でございまして、検討いたしました。その上で、いわゆる重大な違反行為の大半のものについては既存の刑法等によって処罰できると。しかしながら、現在御審議いただいております違反行為処罰法案の中で、第三条から第六条までについて、例えば歴史的な重要な文化財を破壊する罪であるとか、捕虜の送還を遅延させる罪であるとか、こういうものについては既存の刑法等で処罰するということが難しいのではないかと考えて新たに罰条を設けたと、こういうことでございます。
  57. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 外務省お尋ねしますが、もし米軍兵が国内で罪を犯すと、これどうなるんでしょうか。
  58. 荒木喜代志

    政府参考人荒木喜代志君) お答え申し上げます。  我が国に駐留する米軍は、一般国際法上我が国の国内法令を遵守する義務を有していること、また米軍は日米安保条約、国連憲章、ジュネーブ諸条約を含む国際人道法等の国際法に従って行動することが当然想定されるものであること、これにかんがみ、これと異なる前提につき申し上げることは適切ではないと考えます。  なお、日米安保体制の下で、日米間では種々のレベルで密接な情報交換、政策協議が随時行われております。また、日米防衛協力のための指針において記述されているように、我が国に対する武力攻撃に際しては、日米両国政府は調整メカニズムの運用を早期に開始し、整合性を確保しつつ、適切に共同で対処することとなります。このような点からも、米軍自衛隊と共同行動を、共同対処行動を行っている際に国際人道法に違反する行為を行うことは想定されておりません。  なお、そのような前提であえて一般論として申し上げれば、我が国政府としては、米軍を含む米国政府に対し必要なことはきちんと言っていくというのは当然のことでありますが、仮に特定の米国軍人がジュネーブ諸条約に違反する行為を行った場合には、米国はジュネーブ諸条約の締約国として、しかるべく厳正かつ適切に対処するものと考えます。
  59. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 手短に後半の部分だけおっしゃってくれればいいんですが。  これ、アブグレイブの件もあるんですよね、私冒頭言ったように。この点はきっちりと詰めておかなければ駄目だと思うんです。  では確認するんですが、一般的に拷問中の虐待、これは尋問の一環として公務に当たるんでしょうか。
  60. 林景一

    政府参考人(林景一君) 済みません、ちょっと必ずしもよく聞き取れなかったんですが、尋問の際の拷問……
  61. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 拷問、虐待と。
  62. 林景一

    政府参考人(林景一君) 済みません。  恐らく、その当てはめということになりますと、具体的なその行為の態様というものを個別具体的に見る必要がございますので、なかなか申し上げにくいところでございますけれども、今おっしゃったように、概念の問題として拷問という言葉をお使いいただきましたが、拷問あるいは虐待という言葉をお使いになりました。もしそれに当たるようなものがあれば、当然のことながらジュネーブ条約の違反ということになりますが……
  63. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 それは公務ですか、それ公務になるんですか。
  64. 林景一

    政府参考人(林景一君) それがどういう形で、どういう資格でなされたのかということでございますけれども、もし恐らくイラクにおけるような状況のことを念頭に置いておられるんだとすれば、これは恐らく公務中に行われたというふうに判断できる場合が通常ではないかというふうに考えます。
  65. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 有事、平時の区別の必要性とは別の議論といたしまして、これ、アメリカの軍人のみ日本の刑法で裁けないという事実を、私はやはり日本の政治家として大変憂慮しなければならないと思っていまして、これ、やはりこのメカニズムが独り米軍、米兵に限って適用されないということですが、外務大臣、このことについてはどのようにお考えでしょうか。
  66. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ちょっと質問の趣旨をきちんと理解したかどうか分かりませんが、もしも米軍人が公務中にジュネーブ条約に違反をする行為をしたということであれば、これが我が国の法律で処罰できるかどうかということは、刑法などの我が国の法令や関係する国際法に従って判断を、具体的にそのケースに応じて判断をされるということでありますし、その国際法の中には日米地位協定等を含むということでございます。
  67. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私の言いたいのは、世界から見てこの国が、地位協定を始めとするこの日米安保と国際人道法を、一体どっちを大事にするんだというメッセージをこれきちっと投げ掛けなければならないというふうに考えていまして、日米地位協定を優先させて刑事裁判権を調整メカニズム等にゆだねたりするという行為そのものが、やはり日本は自国内で起きたこういった犯罪に対して米兵のみの安全の方を大事にしたんじゃないかというふうに国際社会に映りかねないということをきっちりと考えてほしいということでございます。
  68. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この問題の一番根っこのところには、先ほど荒木政府参考人から申しましたように、米軍とは調整をする、そして日本として言うべきことは言っていくという立場に立つということであるかと思います。  それで、もしも何かあったとして、それは、その処罰されるかどうかというのは、我が国の刑法や関係の国内・国際法、これに基づいて処罰をされるかどうかが具体的に判断をされるということでして、その判断によって、もしこれ地位協定ということであれば地位協定に応じて、これ公務の場合には一次裁判権、公務でジュネーブ諸条約に違反する行為を米軍がやったとして、米軍人がやったとしまして、この場合は日米両国の裁判権が競合するということであり得ますけれども、地位協定に基づくと、米軍当局が第一次裁判権、これを有するということになっているわけでございます。  決して、国際人道法に違反をしたという行為と、それをどのように例えば地位協定によってそれを処罰をすることになるかどうかということは、ケース・バイ・ケースであって、それが矛盾をするということにはならないというふうに考えております。
  69. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 今日、国家公安委員長にもお見えをいただきましたが、昨日、デュモン容疑者、これアルジェリア系のフランス人でございますが、いよいよ日本国内もこのアルカイーダ若しくはJIといった具体的なテロ活動の拠点になってきたなという事件が発覚をいたしました。  私は、ずっと国会議員になって以来、このアルカイーダやJIの日本国内での活動について外交防衛委員会やこの委員会で取り上げてまいりまして、東南アジアにおける武器の密輸ルートであるとか、そしてタイのアユタヤ日本人社会で逮捕されたあのハンバリの事件等、日本社会を極めてアルカイーダそしてイスラム系テロ集団が研究をし勉強をし、そして日本にその活動の拠点を伸ばしてきているという指摘をずっとしてまいりました。  このデュモン容疑者を見ると、典型的なアルカイーダ、そして典型的なスリーパーでございまして、新聞報道にもあるように、まさかあの人が、あいさつもするし、まじめで、とても信じられないと。これは正に九・一一の実行犯と同じでございまして、これをスリーパーと。ふだんは非常に穏やかに日常生活をして、テロのとき、急激に豹変をしてテロを実行するということでございますが、委員長はこのデュモン容疑者の国内での活動の目的、これは一体何だというふうにお考えでしょうか。
  70. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 我が国にアルカーイダの関係者が入国をしていた件についてのお尋ねだと思います。  御指摘の者は他人名義の旅券を使いまして我が国に不法に入出国を繰り返していたわけでございますけれども、その確認がされまして、一昨日でございますけれども関係警察におきまして強制捜査に着手した旨報告を受けているところでございます。  テロの危険性につきましては、現在捜索中の事件であり……
  71. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 目的だけでいいです。
  72. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) はい。その関係者がどのような目的で何を行っていたかにつきましては、現段階においては明らかではないことも多く、それにつきましては鋭意捜査をすることにより解明していくものと承知をしておりますので、強制捜査も行われたわけでございますから、今後そうしたことに対する内容に関しての捜査の結果が出てくるものと承知をいたしております。
  73. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 いやいや、一般的にそのアルカイーダの具体的な手口として、どのような目的を持っていると委員長はお考えでしょうか。
  74. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 一般的にアルカイーダの目的がどうであるかということが、日本におけるこの方々の活動がどうであるかということで一致して同じようなことを、日本の中においてどのようにするかということは憶測では私からは申し上げることができませんので、強制捜査に入っておりますから、その内容によりましてそれを明文化していきたいと、そのように考えております。
  75. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、テロの捜査は、それは間違っていると思いますよ。テロの調査というのは分かったものをどんどん出す、そして、今こういう可能性もある、ああいう可能性もあると言って、国民やそしてテロ集団そのものにも持っている情報を逆にどんどん出すんですよ。そして、当然としてアルカイーダがやるのは、ネットワーク作り、資金作り、そして実行じゃないですか。そして今、このデュモン容疑者は、この組織を作り、資金を作って、そして具体的なテロを実行する、この三つの段階のどの段階をコンプリートして、どの段階に移ろうとしていたとお考えでしょうか。
  76. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 先ほどから申しておりますように、一昨日に強制捜査に入ったばかりでございますので、その内容が確認されていない段階におきまして発言することは控えさせていただきたいと思います。
  77. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、このデュモン容疑者の件ではなくて、一般的にこういったシステムがある、そして具体的に郵便局にもう口座開いているわけでしょう。明らかに資金作りの準備をしていた。そして、あちこちの関東周辺に出入りをして、モスクにも出入りをしてネットワークを作ろうとしていた。それも大臣、お答えになれないんですか。
  78. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 私の手元には、具体的な個人名、あるいはどういう施設にどうこう行っていたという資料がございませんので、それは今後出てくるものと承知をいたしております。
  79. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、デュモン氏が群馬県伊勢崎市のモスクに出入りしていたということをお伺いいたしました。  一般論で結構です。このデュモン容疑者のことだけではなくて、今、日本が具体的にアルカイーダが拠点を作り活動を始めようとしている、そしてこういった様々なイスラム関係施設にも出入りしている事実もある、郵便口座も開設したと。  では、一点お伺いしますが、なぜ大臣は郵便局にこのデュモン容疑者が口座を開いたとお考えでしょうか。
  80. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 御案内のとおり、郵便局の通帳を持っていたということから、日本における問題がいろいろと出されてきたわけでございます。それは承知をいたしておりますけれども、現在捜査中の事件であり、具体的な点につきましては、先ほどから申し上げておりますように、コメントは差し控えさせていただきますけれども、国内のモスクがアルカイーダによるテロ活動の拠点になっていたとの情報には接しておりません。
  81. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 そんなことを言っていませんよ、私は。
  82. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 先ほど、モスクに行かれたというお話がなさいましたけれども、私自身、私どもはそのような現実の情報には接していないということを申し上げております。  いずれにいたしましても、国際テロ対策に関しましては重大な関心を持っておりますことは申すまでもございません。各関係国とも連携をいたしまして、情報収集あるいは対策を取っているところでございまして、テロの未然防止には万全を期すように督励しているところでございます。
  83. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 最後のところは一致します。是非万全を期していただきたいと思うんですが、間違えていただきたくないのは、私はモスクがテロの拠点になったようなことは一言も言っていません。これ大変誤った情報でございまして、事実としてデュモン容疑者がモスクに出入りをしていたということでございます。それと拠点とは全く違いますよ。大臣は拠点とおっしゃいました。  デュモン容疑者がなぜこういうことをするかというと、彼たちは人材を探すんですよ。おとなしくて、まじめで、日本社会に溶け込んでいて、しかし心の中に差別感を持ったり屈辱感を持っている仲間をやはりあちこちで探しているんですよ。そういったネットワーク作りが一番の基本なんですね。そして、合法の会社を立ち上げて、マネロンをして資金を調達していく、その正に準備段階にあった。  大臣は今捜査中だから答えられないとおっしゃいましたが、先日、日本にもイスラエルのアハロニスキー警察長官がお見えになって、多分長官も会っているでしょう。向こうはもうテロの専門ですからね。彼らが言うのは、もう得た情報は逆にどんどん出すと。そして、テロ集団にもう自分たちはこれだけのことが分かっているんだと、そして国民に対してもこういう可能性があるということを広く周知していく。捜査中だから答えられませんというのは逆でございます。  そして、是非、具体的にこのマネーロンダリングが郵便局の口座を使われた。土日もやっていて、全国にネットワークがあって、そして手数料もただである。本人確認法ができましたが、それテロリストの名前だけが各銀行に行くわけでございまして、顔写真はないわけでございます。極めて簡単に地方の都市ではテロリストが銀行預金若しくは郵便局の口座を作りやすい状況。そういった具体的なことを一つ一つ積み上げて、正に大臣がおっしゃったようにオールジャパンでこれに対応しないと、正に日本がテロのターゲットになるということでございます。  加えて、大臣が最後におっしゃいました、国際社会の中でネットワークを作っていきたいと。今、ASEANにおいてはこのテロの情報をエクスチェンジするというシステムが構築されていますが、日本はこのASEAN諸国とどのように情報のやり取りをしていくお考えでしょうか。
  84. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) ただいま大臣から答弁ありましたように、テロとの戦いでは国境を越えて各国当局との連携が非常に大事でございます。ASEANを始めとする東南アジア諸国との情報共有ということは極めて重要だと認識をしておりまして、ASEAN、APEC、それからASEM等の東南アジア地域における国際フォーラムと、こういったものに我が国としても積極的に参加をいたしまして、各国との情報交換、共有に取り組んでおるところでございます。
  85. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 加えて、これ大変捜査も難しいと思うんです。過剰な捜査をいたしますと、逆に善良なイスラム系の方々を逆なでして、またその方々が、普通の方々がふとテロリストに変わっていく。デュモン氏もそうでございました。PKOに行って様々な矛盾を感じてカトリックからイスラム教徒に改教し、アルカイダの世界に彼自身引っ張り込まれていったと。ですから、非常に難しい捜査だと思うんですが、是非総力を挙げてこのテロ対策に臨んでいただきたいというふうに思います。  参議院での審査は最後になりましたが、一〇〇%がこのアブグレイブの事件の後の審査でございまして、衆議院はアフターアブグレイブというのは全体の三六%くらいしかないんですね。  そもそも、この法案は基本的な日米の信頼関係で成り立つものでございますが、私大変そのことを憂慮しなければいけないと思います。そして、この信頼関係というのは、日米問題だけではなくて、本法案与党の自民党、公明党さんとそして民主党がお互いの信頼関係でこの七法案条約を作ろうとしている中で、やはり一連の年金問題というのは非常にこの信頼関係を損ねるというふうに思うわけでございます。  小野大臣、一点最後にお伺いしたいんですが、大臣はこの年金未加入問題、公表されていないんですが、大臣は年金の未納、未加入、未払はございませんね。
  86. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 未払はございません。
  87. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 未加入もございませんね。
  88. 小野清子

    国務大臣(小野清子君) 秘書に調べさせましたけれどもないということでございますので。未加入はございません。
  89. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 是非、自民党の先生方にもこれをきちっと公表していただいて、信頼関係の中でこの法案もきっちりと審議をしていきたいということを申し上げまして、同僚委員に質問を替わりたいと思います。
  90. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  まず、法案に入ります前に、五月二十二日の小泉総理の再訪朝につきまして伺いたいと思います。  私は、五月二十二日、拉致被害者の家族の皆さんとともに赤坂プリンスホテルで総理の帰国報告を聞かせていただきました。総理は、平壌宣言を履行している間は制裁発動はなしと約束されました。  では伺いますが、金正日が約束した、横田めぐみさんを始めとする十人の未帰還者、我々は未帰還者、いまだに帰ってきていない人々と呼んでおりますが、その再調査が遅れたり、また日本側が納得できるものではなかった場合制裁発動ができると、このように解釈すべきであると考えますが、政府はいかがでしょうか。外務大臣にお願いいたします。
  91. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 御案内のように、金正日国防委員長が総理に対して、この安否不明者については白紙に戻して、そして調査を再開をするというお約束をなさったわけでございます。政府としてはこれをできるだけ早くやっていくということで、金正日国防委員長も、できるだけ早くこれをやるということをおっしゃっていらっしゃるわけです。  我が国として、金正日総書記が総理との間で再確認をした日朝平壌宣言に沿って北朝鮮が対応を、この問題についても対応をしていくということについて強く働き掛けを行っていく所存でございます。  どのような措置をいろいろな状況で取っていくかということは、正にそのときの状況状況を踏まえてこれは最適の方法をそのときに取っていくということであろうかというふうに思います。  基本的に、我が国として今まで取ってきている考え方、対話と圧力という基本方針、この考え方に何ら相違があるということではなく、総理は経済制裁については今までの我が国の方針を確認なさったわけですけれども、我が国として今経済制裁を行うということは考えていませんし、今後いろいろな展開があると思いますけれども、その状況に応じて、我が国の基本的な考え方に基づいて最適の方法を取って対処をしていくということであると思います。  いずれにしても、今必要なことは再開の調査をできるだけ早くし、早く終わるということであるかと思います。
  92. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 質問に答えていただけますでしょうか。  制裁発動ができると解釈すべきだと考えるがどうかと言っているんですよ。
  93. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 言葉が足りなかったかもしれませんが、申し上げたのは、それぞれの状況に応じて最適の方法を取っていくということを申し上げているわけでございます。
  94. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 全然質問に答えていません。  十人の未帰還者の再調査が遅れた場合には、又は日本側が納得できる回答が得られなかった場合、制裁発動ができると考えるのが筋じゃないでしょうか。後でもう一度お答えいただきますけれども。  それでは、齋木参事官が団長で行かれました、平成十四年九月二十八日から十月一日の拉致問題に関する現地事実調査結果というものがここにございます。ここの「今後の進め方」というところに、「北朝鮮側は、以下のとおり確認した。」と、このように書いてあります。「(イ)今後とも、日朝平壌宣言及び日朝首脳会談の合意に従い、拉致問題の真相解明のために全面的に協力する。」、これでよろしいですね。
  95. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) そのとおりでございます。
  96. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 つまり、ここで北朝鮮が自ら日朝平壌宣言の合意に拉致問題の真相解明のために全面的に協力することが含まれると認めているわけですね。そうじゃないでしょうか。
  97. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) そういうふうに期待しております。
  98. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 期待しているってどういうことなんですか。北朝鮮は「以下のとおり確認した。」と書いているんですよ。もう一度答えてください。
  99. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 御指摘のとおり、調査団の報告書の中にも明記されておりますが、今後の進め方について、北朝鮮側は、日朝平壌宣言及び日朝首脳会談の合意に従って拉致問題の真相究明のために全面的に協力するということを約束したわけでございます。その点は確認済みでございます。したがって、その確認が実行されることを期待しておりますと、こう申し上げたわけでございます。
  100. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 つまり、したがって今回の約束した再調査が満足すべき内容でないならば制裁を発動できるし、そしてまた私はすべきであるという結論が導けると思います。この点についていかがでしょうか。
  101. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、首脳会談での合意、確認でございますから、北朝鮮側が直ちにすべてを白紙に戻して、直ちに再調査をやるということでございますので、まずはその再調査の結果をできるだけ速やかに我が方に提示してくることを期待しております。
  102. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 質問にお答えいただきたいと思うんですね。  五月二十二日、今、大変家族会に対しての批判のメール、嫌がらせのメール等々が来ておりますけれども、一体北朝鮮のこの拉致問題というものはどう理解されていたのだろうかと改めて思います。もう二十六年も待たされているんですね。  そして、今回、我々は、小泉総理の再訪朝に対して反対でした。準備が整っていない。総理が行かれるのであれば、少なくとも、不明とされた、全くいい加減な報告を出されたこの横田めぐみさんを始めとする未帰還者の再調査について、きちっとした報告がある、新しい報告がなければ行くべきではないと我々は考えていたわけですが、結果は御案内のとおり。その陰にいろいろな問題があったということは先ほども指摘があったところでございますが。  一つ確認したいんですけれども、あの日、平壌での総理の会見前に、官房長官と外務大臣による家族会への報告がございました。その席上、あれは非公開の場でございましたけれども、正に怒号と涙と、大臣も覚えていらっしゃると思います。御家族の落胆、言葉で言い表しようがありません。そのときに、家族の皆さんから、なぜこの再調査、少なくとも期限を付けないんだと、何で期限を付けないんだと、電話をしてくれ、今すぐ電話をしてくれという御要請がございました。少なくとも期限を付けるように。それで細田官房長官は、いや電話が通じないからとかなんとかといっていい加減なことを言っていまして、それで私が官房長官に、衛星の携帯電話ぐらい持って行っているんでしょう、すぐ電話してくださいよと言ったら、じゃ今すぐしますと、私それから横田さん御夫妻、それから横田さんの拓也君の方でしたでしょうか、に言って退席されたわけです。薮中さんに電話を掛けると言って退席されました。  今日来ていただこうと思ったんですが、外交日程が入っているということでおいでいただけなかったんですけれども、聞いておいていただくように齋木さんにお願いしたんですが、いかがですか。その期限を付けるようにということをすぐ電話をしてくださいという、まず電話を受け取ったかどうか。
  103. 川口順子

    国務大臣川口順子君) そのときのことは私もよく覚えております。御家族の方のお気持ちは私としてもよく分かっているつもりでございます。  それで、あのときに電話をするというお話があって、それで、官房長官から私は電話をするようにという御指示をいただきました。それで、私は上に上がってから、そこの控室に行きまして電話をすることを試みましたけれども、その時点で総理の記者会見が既に始まっていまして、その時点では連絡が取れなかったということでありますけれども、その後、総理の帰国までの間に、このことについては、先方にいる、北朝鮮にいる一行に伝えてございます。
  104. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 私はその場におりませんでしたけれども、おおむね今大臣が御答弁申し上げたような状況でございました。
  105. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 齋木さんに確認しますけれども、それで、向こう側にどのように伝えたんですか。北朝鮮側に、少なくとも期限を明確にしてくれと、そのようにそのとき伝えていただけたんでしょうか。
  106. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) いや、ですから、一行の薮中局長への電話連絡を直ちに試みたわけですけれども、既に記者会見が、総理のが始まっておったということもございまして、連絡が取れなかったという事実関係がございます。
  107. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 いや、だから、その後に、今外務大臣は電話されたっておっしゃいましたよね。それで、その後、じゃ薮中さんは、北朝鮮側にきちっと追加で、追加するこれ内容じゃないと思いますけれども、追加できちっと伝えたということですね。それで、その返事はどうだったんでしょうか。
  108. 川口順子

    国務大臣川口順子君) その後、記者会見が終わった後、既に北朝鮮側とは別になった時点でメッセージが伝わったということで、その時点で北朝鮮側とこの問題についてのコンタクトは恐らく行われていないというふうに私は思います。  いずれにしても、その家族の方の雰囲気についてはきちんとお伝えをしてございますし、総理も、そもそも交渉のときに、といいますか、協議のときに、家族の方の気持ち、これを十分に踏まえて交渉をしていらっしゃるわけでございまして、総理はよくそのお気持ちを胸に秘めてなさったというふうに思っております。
  109. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 まあ私たちはそのようには感じられませんでした。本当に準備不足。  皆さん反対だったんじゃないんですか、まだ早いと。与党の中でも随分反対論があったとお聞きしています。なぜ五月二十二日に行かなければいけなかったのか。非常に私は怒っています。自分の何か年金の未納問題から目をそらすために自ら五月二十二日に北朝鮮に行くということを急に決められた、そのような話も出ております。私は、それが本当であるならば許せない、そう思っておりますが。  それで、そのジェンキンスさんの問題について、何の準備もないまま、いきなり思い付きで、じゃ中国でと、北京でという話ですけれども、これは報道されているところによりますと、外務省の幹部が、このことについて、中国でいいじゃないかと、わがまま言うなというような内容の記事がございます。  中国が米国との間で犯罪人引渡し条約を結んでいない、拉致問題に対する日本の姿勢を理解しているなどの理由から、同省幹部は、旧自由主義陣営の国のほとんどは米国と同条約を結んでいる、無い物ねだりをされても困る、中国に対しても失礼だと不快感を示したと。このような記事があるんですけれども、これは事実ですか。
  110. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) そのような発言をどういう外務省幹部がいたしたか私ども把握をしておりませんけれども、そのような発言をした者がいるとは承知しておりません。
  111. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 じゃ、なぜこういう報道が流れるんでしょうか。私はこういうことを発言をする人たちがいるというので、これはもう本当に強い怒りを覚えます。この発言も含めて、そもそも準備不足だったんじゃないんですか。  このジェンキンス氏の問題の解決、今後どのように取り組んでいかれるのか伺います。
  112. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 総理の訪朝がいろいろな方からプラス、マイナスいろいろな御評価をいただいているわけでございますけれども、御批判は御批判として伺わせていただくという謙虚な姿勢を持っておりますけれども、準備不足であったというふうには思っておりません。これは一連の、二月に日朝の政府間協議もございましたし、いろいろなことを受けて行われたということでございます。  それで、ジェンキンズさんの件ですけれども、これについては、正に北京でというのを言われたのはジェンキンズさん自らの御発想であるというふうに私どもはジェンキンズさんから聞いております。それで、そのようなことを受けて、金正日総書記もそれについていいではないかというお考えもお持ちであった。もちろんジェンキンズさん御一家の三人の方も、そして曽我ひとみさんもそれがいいというふうに言われたという経緯があるわけでございます。  今後ですけれども、これは私どもとして曽我ひとみさんや、それからジェンキンズさん及び二人のお嬢さんの御意向を踏まえて、できるだけ極力そのような形でこれを進めさせていただくのが私たちの仕事であるというふうに思っております。  今、場所をどこにするかということは、これは必ずしも易しい問題ではない部分もございまして、といいますのは、ジェンキンズさんのお立場に十分配慮をしなければいけないということでございますし、第三国にも十分に御迷惑が掛からないような形の配慮をすることも必要だということもあって、今いろいろな検討をいろいろな角度からしております。その上で、御家族や関係国の御意見を踏まえた上で最終的に決まっていくということでございまして、間接的に承るところでは、曽我ひとみさんもむしろ少し整理のための時間も欲しいということを言われたやに仄聞をさせていただいておりますので、関係者の皆様が一番いいと思われる形で実行できるように我々としては最善を尽くすつもりでおります。
  113. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 そのような準備というものは行かれる前にすべきだったんじゃないでしょうか。元々ジェンキンスさんの問題はアメリカとの関係があって、それは非常に難しいということは分かっていたわけでしょう。そういうことをある程度様々な準備をして行かれた上でアイ・ギャランティーと言うべきところを、何を保証したのかよく分かりませんが。  それで今、大変国民の皆さん、誤解だと思います、これは。家族会の会見に対して電話やメール、ファクス、先ほども申し上げましたが、あるいはネット上の書き込みなどで誹謗中傷が起こっております。  支援室に伺いたいんですが、家族会、そして拉致被害者、そしてその家族の皆さんを支援することを主たる目的とする支援室としてはこのことをどのように受け止めておられるでしょうか。
  114. 小熊博

    政府参考人(小熊博君) 先生指摘の事実につきましては、私どもも報道などを通じて承知しております。  先般の日朝首脳会談に関する拉致被害者家族の厳しい御意見、これは長きにわたり家族との別離を強いられた方々の切実なお気持ちの表れと理解しておりまして、重く受け止めているところでございます。  他方、拉致被害者家族の方々は、蓮池御夫妻及び地村御夫妻の御家族が全員帰国でき、曽我ひとみさんについて第三国での再会ができる見通しになったことはうれしく、小泉総理大臣を始めとする関係者の御協力に敬意を表したいとした上で、安否不明者の真相解明を強く望むとしていることも事実でございます。  拉致問題、この問題は政府国民関係者が一体となって取り組んでいくべき問題であり、政府として引き続き、安否不明の拉致被害者の方々に関する真相解明を始めとして、拉致問題の解決に全力を傾注していく所存でございまして、国民の皆様の御理解と御支持をお願い申し上げたいと思います。
  115. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 外務大臣からも一言お願いいたします。
  116. 川口順子

    国務大臣川口順子君) そういった批判、誹謗ということが拉致の被害者の家族の方々のところに行っているということであれば、私はそれは非常に残念なことであると思います。遺憾だと思います。
  117. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 このことに関連してなんですけれども、ネット上の一方的な誹謗中傷といった書き込みには、これは、私はある種、極めて悪質な暴力行為だと、このように考えております。こうしたものに対してのどのような対応を取られているのか、総務省に伺います。
  118. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 総務省有冨総合通信基盤局長
  119. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 大臣に答えていただいていいですよ。大臣、お願いします。答えていただけるなら、大臣、お願いします。
  120. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 指名権はあちらにあって、あなたにはありませんので。言われて。  今、インターネット上について誹謗中傷が書かれている。2ちゃんねるの話ですか、これは。2ちゃんねるの話ですか。
  121. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 2ちゃんねるですね。
  122. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 2ちゃんねるね。  2ちゃんねるにどのような書き込みがあったかについて、ちょっと、正直言って誹謗中傷とも言えるものが書かれているという話は知っています。その内容を見たかと言われれば、見たことはありません。  ただ、今言われた、言われたように、どのような書き込みが名誉毀損になって、誹謗中傷になって、権利侵害になるのかというところの判断は、これはインターネットに限らず、この判断は難しいんです。そういった意味では、今の段階で、この規制の在り方ということになるんでしょうけれども、これは極めて、ネットに限らず文書におきましても同じような問題がありますので、簡単な話ではないと、私どもは基本的にそう思っておりますので、民法上の問題でもありますので、どう考えているかといえば、基本的にはこのようなことがされるべきではないとは存じますけれども、直ちにそれを規制するというような考え方はございません。
  123. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 ログを検索してみたら、まさか内閣官房に突き当たったなんということはないと思いますが、よくこういう書き込みは、ある一定の考えを持った人たちが意図して世論を誘導するために多く組織的に書き込んでいくというような話もあります。  総務大臣、今のような御答弁、私は残念です。別に今具体的に対応策がないとしても、その閣僚の一つ、お一人として、そのような書き込みがあるということに対して、大変遺憾である、御家族のお気持ちを思うと本当にお気の毒だと、こういうことは許されないことだ、それぐらいのことは私は御答弁していただいてもいいんじゃないかと思うんですよ。本当に日本政府というのは、この拉致された同胞をまだ生きていると信じて、そして取り返そうと本当にしているのかどうか、改めて疑問に思います。  もう少し確認したいことがあったんですけれども、今日は法案修正者にも来ていただいておりますし、法案の方に移りたいと思いますが、まず、井上国務大臣総務大臣のお二方にお聞きしますが、国民保護のための措置の実施に際しての国と地方公共団体の適切な役割分担に関して伺います。  先ほどもいろいろ御議論があったと思いますが、自然災害への対応と相通じる面はあるにせよ、それとは異なる武力攻撃事態における国と地方との役割分担はどのようになっているでしょうか。国の責任と判断の下で行うことが基本でありますけれども、地方公共団体の役割も肝要です。お願いいたします。
  124. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 武力攻撃事態などにおきましては、国を挙げまして対処していかないといけない、そういう事態だと思います。国が中心になりまして、関係のところがそれに協力をしていくということだと思います。  したがいまして、武力攻撃事態等におきましては、国が中心になりまして事態を認定をして対処の基本方針を決めるということでございまして、その基本方針の下に県、市町村、それぞれ役割、これは明確に書いております。それぞれが計画を作りまして国民保護措置を取るということでございます。正にこれは国の事務といいますか、国が、国だけではこれできませんので、関係地方公共団体等と一緒にやりますけれども、事務の性格としては国の法定受任事務というわけですね。昔の言葉でいいますと、これは機関委任事務でございます。そういうものとして考え、国が中心になりまして、今申し上げましたような計画を作って対処をするということになるわけでございます。  なお、災害なんかとの関係で申しますと、災害というのは基本的にこれは自治事務なんですね。地方公共団体が自分の責任でもって自分の事務として対処していくと、こういうことでございます。前者の場合は、どちらかといいますと全国的な視野の下に対処をすると。災害の場合は、局所的なそういう災害について対処をするということにもつながっていると思います。
  125. 麻生太郎

    国務大臣(麻生太郎君) 今、井上大臣の方からも御答弁のあっておりましたとおりに、武力攻撃事態への対応につきましては、基本的には国全体として、国の方針として対応されているべきところなんですが、国民保護の実態の方からいきますと、戦闘員でないいわゆる被災者になり得る立場の国民保護するという立場は、これは武力事態に対応するのと同時に、避難、退避をさせるという問題につきましては、これは私ども地方公共団体が担当する部分が多いところもありますので、法律的にも細目いろいろ書かれておりますが、国民保護計画を作成することにしておりまして、国の警報発令が出されたとか、またその他にも、国が先に事態を知ることもあり得るでしょうけれどもテロ等々は現場の方が先に知ることもあろうと思いますので、そういったときなどに知事等々が先にその地域の住民に対して避難命令等々出せる等々の問題につきまして、いろいろそのときの事態に合わせて対応ができるように、この法律等々、計画を立案させていただきたいと思っております。
  126. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 それで、国民の役割について伺いますが、今回のこの法案では、国民の役割については協力となっております。諸外国の有事における国民の役割というものがいろいろ規定があるわけでございますが、諸外国の有事における国民の役割の規定との比較においての御見解を井上大臣に伺いたいと思います。
  127. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 国民の広範な支持といいますか、支援の下にこういった武力攻撃事態への対処というのは考えないとやっぱり効果の上がる措置にならないということはもう言うまでもないわけでございますけれども、この法案の中では、国民に協力を要請をするという建前、国民の方からは協力するように努めると、こういう規定になっているわけですね。  委員おっしゃるように、国民にもう必ず協力をさせるように、強制的な措置をすればという御意見もあることもよく承知をいたしております。諸外国におきましても、それをきっちりと、強制的にそうさせるようなところもあるようですね。例えば韓国でありますとかドイツなんか、あるいはスイスなんかは、昨日舛添委員がおっしゃっておりましたけれども、スイスなんかは特にきっちりとした規定を置いているようでありますが、どうも全世界的にどうかということになりますと、実態を必ずしも把握しておりませんので何とも申し上げられませんけれども、やっぱり両方あるんじゃないかと私ども考えております。
  128. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 この国民の役割につきましては、今おっしゃったように、強制的な義務ということではなく、ただし、私は協力というのも少し弱いのかなと。それは、国民が単なる客体というんですか、お客様じゃないわけですね。自分たちの地域は自分たちで守る、自分たちの国は自分たちで守る、権利とそして義務というのは表裏一体だと、そういう意味で、強制された義務というのではなくて、国民の責任といいますか、自分たちで自立して守っていくという、そういう意味も与えなければいけないというふうに思っております。  その点について、いま一度御答弁をお願いいたします。
  129. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 正に自発的に協力をしていただくというのが現行法の考え方で、この法案考え方でございまして、したがいまして、そういう自発的に協力をしていただきますこの自主、何というか、防災組織でありますとかボランティア、こういった組織の支援ですね、あるいは財政的な支援等も考えているところでございます。  ただ、おっしゃるように、もう少し強く義務付けてはどうかという意見もあるのもこれは事実でありますけれども、これはもう様々の議論がありまして、今日は前原委員もお出ましでありますからよく聞いていただきたいと思うんでありまして、御党からの対案には、むしろ、そういうことじゃなしに、やはり余り強制することのないようにすべきであるというようなことも書いてありましたし、あるいはその当時の与党三党と民主党との合意の中におきましても、やはり余り強制的にわたるような規定を盛り込むということは、国民の協力という点に関して言えばそれは問題じゃないかと、そこはよく配慮しないといけないぞと、こういうようなことと承知をいたしております。
  130. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 私の言っていることは別に今私も民主党ですし、党の言っていることと矛盾するということではなく、協力というだけの書き方ではいわゆるお客様的なイメージになってしまうのではないか。何かもう少し自主的に、本当に国民が権利と義務、表裏一体という形での何か表現ができないものかというような意味でございます。  それで、次の質問少し飛ばして、財政上の措置につきまして伺いたいと思います。  地方公共団体が措置の実施に要した費用については国において措置することが必要であります。また、平素からの訓練等に要した費用についても国の負担によることが重要であると考えます。  今回、衆議院において修正案を提出した意義について、民主党の提案者にお尋ねいたします。
  131. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) 御指摘のように、国民保護法案の百六十八条には、住民の避難と救援については国の負担ということが書かれているわけでありますが、何かが起こったときの負担を国が行うということも確かに大切でありますけれども、起こる前に起こったときの対処というものをしっかりとできるようにしておくということは極めて重要であると。そのためには訓練というものは極めて重要であると。しかし、それが地方の負担でやりなさいということであれば、なかなか訓練をしない自治体も出てくるんではないかと、こういう思いを持ちまして、我々としては、民主党としては、この訓練の計画の立案、そしてその訓練の費用についての国の負担を求める修正案を提出をしたところでございます。  計画書については余り費用も掛からないということでございまして、我々の主張が通って、訓練についても国の負担とするようになったと、こういうことでございます。
  132. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 続いて伺いたいんですけれども、その一方で、備蓄に要する費用というのは対象となっていないんですけれども、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
  133. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) 御指摘の備蓄も極めて重要なことだというふうに思っております。  じゃ、必要な項目をすべて列挙してこの法律に書くということも、考え方も私はあると思っております。我々の衆議院議論の中では、その備蓄も含めて大切なものについては国が財政的な措置を取るということが、谷垣財務大臣からも我が党の質問によっても担保されているわけでありまして、我々はこの備蓄についても国が責任を持ってくれるものというふうに期待をしております。  しかしながら、もし法律に書いてないがために、実際、備蓄を地方に負担を押しやるような、追いやるようなことがあれば、これは我々の意図したところと違うということでございますので、それについては政府に対してしっかりと我々も物を言っていかなきゃいけないと思いますし、あるいは、そういった備蓄のみならず、ほかの必要な案件で国の負担が必要であるというものについては、法案修正でもしてそういったことを明記することも、今後実際問題として必要になる可能性は私はあるというふうに思っております。
  134. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今の提案者の答弁について、通告しておりませんが、大臣の御見解をお願いいたします。
  135. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 今の御答弁でよろしいと思うんです。  御承知のとおり、有事のときの費用というのは、これは原則として国が負担するというところは明確なんですね。それからもう一つは、地方公共団体が負担しないといけない例えばこの自治体の運営費等々、これも明確なんですね。その中間のところが明確にどうだということ、まだ細目が決まっていないわけでありまして、その中で訓練につきましては、特に訓練への関心が高くて、しかもやっぱり訓練が何としてもこれは不可欠だろうと、こういうことで、訓練の費用につきましてはそれを抜き出しまして、国がやりますその訓練については、やっぱりそれは国の事務として国が負担していった方が適切じゃないかということで、あのような表現になったと思います。  この備蓄でありますとかあるいは必要な機材の整備につきましては全く触れていないのでありますけれども、こういう備蓄とか機材というのは、別に有事のときだけじゃなしに、例えば災害のときにもこれ使われるわけでありまして、これを国の負担とするのはいかがなものかと。しかし、国としてどういう具合に財政支援をしていくかと、これは問題として残っておりまして、これについては今後詰めていきたいと考えております。  いずれにしても、こういったものが整備されないと十分な対処ができないのでありまして、そういった問題意識を持ちまして、私ども、国の助成に、支援につきましてはきちんと詰めていきたいと、こんなふうに考える次第であります。
  136. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 つまり、法案に書いてないけれども、先ほどは重要なものについては国がきちんと財政措置を講ずるということは含まれるということですが、それでよろしいんですねと、もう一度確認させていただくとともに、もう一つ、災害の備蓄と有事における備蓄の内容の今違いがあるというふうにおっしゃいましたけれども、その違いについて御答弁いただきたいと思います。
  137. 大石利雄

    政府参考人(大石利雄君) 災害の場合の備蓄と武力攻撃事態における備蓄との違いでございますけれども武力攻撃事態に備えた備蓄物資につきましては、食品であるとか医薬品であるとか、通常の災害の場合に必要な備蓄物資と共通するものも多々あると考えております。しかし、一方で、武力攻撃事態におきましては、いわゆるNBC攻撃というようなものも想定されるわけでございまして、それを防御するための防護服であるとか汚染の拡大を防止するための除染資機材、こういったものは自然災害対策とは異なる観点から更に拡充強化をしていかなければいけないものと考えております。
  138. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 大臣。さっきのお答え。確認
  139. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 必要性、必要度に応じまして国としての支援をこれから詰めていきたいと、こういうことであります。
  140. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 何か頼りないですね。何か頼りないんですけれども提案者、これでいいんでしょうか。
  141. 前原誠司

    衆議院議員(前原誠司君) 提案者なのか衆議院で質問をした人間なのか、ちょっと混同してしまいますが、いずれにしても衆議院での議論の中では、谷垣財務大臣あるいは麻生総務大臣からは、国として必要なものについてはしっかりとそれは財政的な措置も取っていくということの答弁を得ておりますので、委員の御質問の趣旨というものはきっちり担保されていると、こういう認識でおります。
  142. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 はい、分かりました。ありがとうございます。じゃ、大臣もそれでよろしいですね。  はい、それでは次の質問に移りたいと思います。  坂口厚労、厚生労働大臣に本日来ていただいております。  いつも私はここのところ、厚生労働委員会でかなり毎日毎日激怒しておりまして、大変お騒がせをして申し訳ありませんが、大変、国会法案審議の前提が崩れていると私は思っているんです。昨日の大臣の発表は、私はそんなにアンフェアではなかったというふうに思っております。既に坂口大臣は、以前に御自分の年金の加入の状況は発表されております。しかし、そのもう最初のころから、二十歳になったころからのことについても昨日改めて言及されたんじゃないですか。ただ、坂口大臣、今回の年金法案の提出者であります厚生労働大臣としてのすべての部分の発表の時期がこれでよかったのかどうかということもあるかと思います。その点について改めて御答弁を付け加えていただければ有り難いんですが。  今日の質問、言わせていただきます。  NBC攻撃による被害について伺いたいんですが、この法案を一読させていただくと非常にさらりという感じなんですけれども、現実には、この武力攻撃事態の世界において非常に悲惨な光景が想像されるわけです。生物化学兵器による攻撃を受けた場合に、法案の第百八条におきましては汚染された死体の移動を制限するとの規定がありますけれども、例えば、生物化学兵器による汚染の拡大防止のためには、被災を受けた、生きた、表現は悪いですけれども、患者さんを隔離するなどの措置を取ることも必要となるのではないかと思いますが、この点についての規定がない。このことについての御見解を伺いたいと思います。
  143. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) テロ攻撃を受けましたときに、それは生物兵器の場合と化学兵器の場合があろうかというふうに思います。生物兵器の場合には、天然痘のように、一遍受けたその人から更にまた周辺にこの感染が拡大をいたしますものと、それから炭疽菌のように、受けましたその人からは外に拡大はしないものと両方あるというふうに思っておりますが、感染をいたしますものにつきましては、一類感染症ということで、これは病院等におきます入院、隔離といったものを徹底して行っていかなければなりませんし、また、天然痘の場合には、その周辺の皆さん方に対する、特に若い世代の皆さん方に対するワクチンの投与といったものも行わなければならないというふうに思っております。  それから、もう一つの方の感染をしない方につきましては、これは抗生物質等が多量にございますので、それらによって早急に全体で対応していくように、病院間の連携が必要であるというふうに思っております。  それからもう一つ、化学兵器の方でございますが、これは、マスタードでありますとかサリンでありますとか、そうしたものがこの中に含まれております。この場合には、先ほども少しお話ございましたけれども、防護服等をこれは医療機関あるいは運搬をしていただく皆さん方にもこれは利用していただけるような対策というのが必要でございまして、汚染をされました皆さん方の運搬等において、それをする人たちがかえってまたその汚染を受けるといったようなことがないようにどう対応するかということだろうというふうに思っておりまして、そうしたことに今万全を期していきたいというふうに思っているところでございます。  年金の問題につきましては、四月の二十二日に既に私、発表させていただいておりまして、厚生労働省のホームページ等にも出させていただいているところでございまして、スタート時点からすべて公表をさせていただいているところでございます。
  144. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 今ほどお答えいただいた中で、現在の医療分野におけるそのワクチンの備蓄といった部分についてお答えいただきましたでしょうか。済みません。もう一度、医療体制、ワクチンの備蓄等々、この武力攻撃事態等テロ等想定した対応はきちんと可能となっているのでしょうか、改めて伺いたいと思いますが、今ほど大臣からお話もありましたように、地下鉄サリン事件では駆け付けた救急隊員等にも二次的な被害が起こっているわけでして、こういう生物化学兵器等による攻撃に関しては、きちんとしたマニュアル作りといいますか、対応ができるような体制を整えると言いながら何か余り完全にはできていないという話もできております、伺っておりますので、その辺も含め御答弁をいただきたいと思います。
  145. 坂口力

    国務大臣(坂口力君) ワクチンの備蓄につきましては、特に天然痘等につきまして現在着々と進めているところでございまして、これは衆議院でもお答えを申し上げたところでございますが、大体二十七歳、八歳、その辺のところが境界線でございまして、それ以下の皆さん方はこのワクチン投与と申しますか、予防注射を受けておみえにならない年齢層でございます。したがいまして、その皆さん方に対しましてどのように対応していくかということが最も大事でございまして、その皆さん方に対応できる量をこれは確保しなければいけないということでございまして、現在その備蓄に更に努めているところでございます。  それから、こうした問題が起こりましたときに、いわゆる医療体制をどうしていくかという問題がございます。医療体制につきましては、これは基幹病院を中心にしてやっていきたいというふうに思っておりますけれども、しかし、現在、実際問題としましては、それぞれの小さい病院あるいはまた診療所等に多くの皆さん方が一番最初行かれるケースが非常に多いと考えておりますので、これは日本医師会等にもお願いいたしまして、それぞれの一般の診療所におきましてもそうしたことに対する知識を十分にお持ちをいただくようにお願いをしているところでございます。  そして、そのときに、特に化学兵器の場合には、それがどういう化学兵器であるかということが一番大事でございますので、そこは日本中毒センターというのがございまして、そことの連携を密にしまして、こういう症状があるときには何かということが早急にその末端の医療機関にそれが連絡できるようにする体制が必要でございますので、その体制を作っているところでございます。既にでき上がっておりますが、更にここを強化をしていきたいというふうに思っております。
  146. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 済みません、通告をたくさんしておりましたが、ちょっと時間が足りなくなったので、先ほどの榛葉委員の捕虜に対する適切な対応ということに関連しまして一点だけ伺いたいと思います。  今回のあのアメリカ軍による捕虜の虐待の事件、そもそも、もうこのイラク状況というのは、果たして自衛隊このまま置いておいていいのかどうか、私は重要な決断を迫られている時期だと思います。  防衛庁長官に対して二つ質問させていただきたいんですけれども、今回のイラクの虐待を見たときに、今あらかじめ日本で、このような武力攻撃事態等において日本もそのような状況になった場合に同様の行為を行う可能性については全く排除されていないところでございます。ですから、あらかじめこの捕虜の取扱いに対する内部基準等、こういうことを定めていくことが必要ではないかと思っておりますので、その点についてお答えいただきたいと思います。  そして、あわせて、私はもはや非戦闘地域というような虚構は崩れていると思います。イラクからの自衛隊どうするのか、出口をきちんと決めていなかったと思いますけれども、非常に重要な決断を迫られている時点でもあると思いますので、そのことについて御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  147. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生おっしゃるとおり、あのようなこと、私どもは事実であるかどうか実際に確認できる立場にはおりませんが、捕虜の虐待等々あっては絶対ならないことでございます。  他方、捕虜からいろいろな情報というものを仕入れるということは、侵略行為というものを早急に排除するためにも必要なことでございます。それは、防衛庁設置法第五条第四号及び第十八号に基づきましてこれは可能でございますが、このような情報収集はあくまで任意ということであります。  当然、ジュネーブ第三条約上、いかなる種類の情報を得るためであっても、肉体的、精神的拷問その他の強制を加えてはならず、回答を拒む捕虜に対して、脅迫、侮辱、その他の不利益な待遇を与えてはならない、このようになっておりまして、本法案におきましても捕虜等の取扱いに当たりましてこのような人道的な待遇を確保するとともに、法案の中におきましては、二条において、捕虜等の生命、身体、健康及び名誉を尊重し、これらに対する侵害又は危難から常に保護しなければならぬ、こういうふうに条文にもきちんと書いておるところでございます。  そのような内部規則でありますとかそのようなものにつきましても、これからきちんと検討していきまして、またあるいは捕虜の虐待等々ということについて、そういうことが絶対に行われないようにいろいろな手だてというものを講じていくということが必要であり、間違ってもそれが内部で隠ぺいされるというようなことがないように手だてを尽くしていかねばならないと思っております。  それから、先生、先ほど虚構はというお話をなさいました。イラクにおいてですね。私どもは虚構だとは思っておりません。それはもう現に危ないではないかということにつきましては、イラクにおいての治安というものが重大な状況にあるとか、あるいはサマワにおいてテロ行為というものがあるとか、そのようなことについては私どもはないなぞということを申し上げたことはございません。危険が存在をするからこそ権限、能力、装備を持った自衛隊が行っておるということでございます。  ただ、虚構とおっしゃいますのが、サマワにおいても、あるいはムサンナー県においても戦闘行為、すなわち国又は国に準ずる組織による組織的、計画的な国際的な武力紛争を解決する手段としての武力の行使が行われている、国際的な紛争を解決する手段としての武力の行使が行われていると、そういう状況なのだ、だから虚構なのだというふうにおっしゃるとするならば、私は今のサマワの状況がそういうような状況だとは考えておりません。したがって、虚構だとは考えていません。  危ないではないかということの御指摘を受ければ、さればこそ権限、装備、能力を持った自衛隊が行っているというお答えになろうかと存じます。  イラクが戦闘行為という、戦闘地域という、ごめんなさい、サマワが戦闘地域という認識を私は現在持っておりません。
  148. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 終わります。
  149. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  まず最初に、有事関連法案質疑に入る前に、日本の地下鉄の駅の安全対策について一つ質問させていただきます。  私は、昨年の十月の当院のテロ対策特別委員会日本の地下鉄の安全、地下鉄の駅の安全性に非常に問題があるということを取り上げて、御出席いただいた小泉総理にも強くその改善を求めました。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  国土交通省が、昨年二月の韓国の大邱での地下鉄放火事件井上大臣も報道は覚えていると思いますが、あれを受けて全国の地下鉄の駅を調査をいたしました。数は六百八十四。実はこの調査の結果、これはもう国交省は分かっているんですよ、約四割の三百弱、四割の駅で安全基準に問題があるということが分かりました。私は、去年の質疑では国会議員もよく使う丸ノ内線の国会議事堂前駅がそのうち最悪の駅の一つだったということを指摘したわけでありますが、それで、もし日本の地下鉄の駅がテロ攻撃に遭えば、このような状況では大惨事になることが明白でありました。また、先ほどもちょっとありましたけれども、オウム真理教の地下鉄サリン事件があったにもかかわらず去年まで対応取ってこなかったということは、これは私、与党の立場でありますけれども政府の危機感のなさを指摘せざるを得ない状況であったわけです。  そこで、最近の新聞報道によれば、今年の三月末にようやく地下鉄の駅の安全対策の改善を国交省が省令で指示をしたということがございますので、その内容、中身について、具体的にかつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
  150. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) ただいま先生指摘いただきましたように、大邱の事故の後、日本の全地下駅六百八十四駅のうち二百六十八駅が五十年にできました地下鉄道の火災対策基準に合致していないということでございました。それで、利用者の安全を確保するためには至急にこの基準に合致させる必要があるということで、今御指摘いただきましたように、本年三月に省令を改正しまして、十六年度から五年間ですべての駅につきまして五十年の基準に合致するようにしたというところでございます。  ただ、省令を改正しただけではなかなかその基準適合への動きが進まないということで、十六年度の予算におきまして、特にお金が掛かります避難通路と排煙設備の新設に関しまして三十億円の国費を計上いたしまして、その整備費用の一部を助成するという制度を立ち上げたところでございます。あわせて、税制上の措置も講じておりまして、今申し上げましたような形で形成されました資産につきまして、固定資産税などを軽減する租税特別措置も併せて講じたところでございます。
  151. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 是非井上大臣も今の御答弁を認識をしておいていただいて、やはりテロというのはどこで起こるか分からないからテロなわけで、なるべく社会の脆弱性を、社会インフラの脆弱、脆弱性に事前に気付いて、政府がやっぱり手を打っていくことが重要だという意味で、是非国土交通省にはしっかり対応していただきたいと思います。  続きまして、緊急事態基本法、これ仮称でありますけれども、の件についてお聞きをしたいと思います。  五月二十日に自民党、民主党、公明党の三党の幹事長間で、この緊急事態基本法についての覚書について合意の署名がございました。これ、井上大臣に聞こうと思っていますが、現行の憲法にこの緊急事態に関する規定がほとんどないという状況にかんがみますと、こういう方向性を私も基本的に賛成の立場でありますが、問題は、これから基本法の中身を三党間で検討していくんだと思いますけれども、この中身ができた段階で、その中身を担保する、運営上、実態上担保するこの体制の整備というものが非常に大事だというふうに思います。  これは、先ほどいらっしゃっていた民主党の前原委員なんかはずっと国会でしょっちゅうおっしゃっていることですが、一つの障壁になるのはやっぱり省庁の縦割り行政の壁というものが明確にあるというふうに思います。  やっぱり大事なのは、総理大臣の指揮の下に省庁横断でこの緊急事態に対処できるシステムというものを日常的に作っておかなければいけないと思いますが、この点について、現時点での井上大臣の御見解を伺いたいと思います。
  152. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) この基本法の議論でありますけれども、私は、考えなくちゃいけないのは二つ大きな点があると思うんですね。  一つは、やっぱり憲法との関係です。幾ら基本法を作りましても、やっぱり日本国憲法の中で作るということでありまして、今の日本国憲法が想定してないところを超えて、そこまで踏み込んで基本法で規定をしていくこと、これはできないわけですね。したがいまして、日本国憲法の中でぎりぎりどの辺までができるのかというようなことをよく考える。つまり、一番効果的なその対処の仕方と、仕方の基本になるものですね、それを整理をしていくことだろうと、こんなふうに考えます。それが一つであります。  それからもう一つは、事態が起こりますと、やはり迅速に的確に、しかもやっぱり総合的に内閣を挙げて対処をしないといけない、そういう体制作りが必要でございます。  それぞれの国のこの緊急事態への対処の体制というのは、その国の歴史なり政治の制度なり、あるいはある種の文化というんですか、そういうようなものを背景にも作られておりまして、あるところの制度がそれうまくいっているからといって日本に持ってきても必ずしもうまくいかないというようなところがありますんで、その辺は総合的に考えないといけないと思うんですが、どっちにしましても、やはり事態が起これば迅速に的確に内閣を挙げて対処できるような体制を作るということが必要だと思います。日本の場合は、これ、縦割りは長い歴史の中で割かし整備されてきているわけですね。要は横の調整です。だから、横の調整をして、みんなが協力して一体になって当たる、当たれるかという、そこなんですよね。  率直に言いまして、今の制度といいますのは、阪神の大震災以来、これまでの体制に反省が加えられまして、私は相当、内閣府を中心にこういうそれぞれの緊急事態といいますか、そういった事態に対応できるようになってきていると思います。やっぱり経験を積み重ねながら一つ一つ良くなってきていると思うんでありまして、今のところの制度は、例えば各省の局長級が集まるとか、あるいはある場合には関係閣僚が集まるというような体制作りは、これは非常に進んできているんじゃないかと、こんなふうに思います。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕  しかし、いろんな意見があるわけですね。我々はその意見に対しまして、いや、それはこうだということは答えられるんだけれども、この際、虚心に現行制度について本当に大丈夫なのかということをもう一遍よく反省するような視点に立ちましてよく検討して、変えるべきところがあれば、しかじかの理由で、これ根拠をやっぱり明確にしないといけないと思いますね。何と、何か組織をいじればいいというものじゃありませんからね。組織としてはこういう理由で現行これをこう変えた方がいいというようなことを明確にしながら、今後のこの組織の在り方については検討していきたいと、こんなふうに思います。  差し当たりのことにつきましては、まず対応できるようになっているんじゃないかなというふうには考えております。
  153. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 井上大臣、これは何も大臣だけの責任ではなくて、合意をした少なくとも三党はしっかりと真剣に議論していかなきゃいけないテーマだと思いますが、ただ私、一点だけ申し上げると、確かに縦割りの行政というのは、日本の文化、伝統、また歴史もあるということは事実だと思いますが、横の連携したとき何が一番問題かというと、これは大臣議員として活動されていて感じていると思いますが、やっぱり省庁間の横の連携をさせたときに、これは別に有事に限りませんよ、だれが最終的な決定権者であって、それで責任の所在がどこにあるのかというのは非常にあいまいになることが特に役所の世界多いんですね。  大臣が今いらっしゃる内閣府も、いろんなほかの案件で私が話すると、いや、内閣府は調整するだけですからと、だから最終的な決定権も責任もありませんというようなことを内閣府がおっしゃると、その下に集まっている各省庁のお役人さん、みんなそれぞれ自分たちの担当のテリトリーにだけしか責任持ちませんので、じゃ、最終的にだれが調整して、だれが最終的に責任を負うんだというところで非常にあいまいなことがいろんな政策案件で時折見られるわけですから、これ、有事のときにそういうことあってはならないと私思いますので、是非その点を御勘案いただきたいと思います。  続きまして、また井上大臣になるかと思いますが、具体的に米軍行動関連措置法案についてお伺いをいたします。  その法案の第十条でありますけれども、二項において、これ防衛庁長官関係あるんですが、米軍に対する自衛隊の役務の提供に関して十条の二項では、防衛出動を命ぜられた自衛隊がこれを実施することができると規定をされております。そのまま読み続けますと、次の三項では、防衛庁長官が内閣総理大臣承認を得た場合には同様に自衛隊の部隊等に対して役務の提供の実施を認めております。  そうなると、二項でわざわざ防衛出動の命令を受けた自衛隊の部隊等は米軍に対して役務の提供等の支援ができると書いておきながら、三項では、事実上、防衛出動命令下令前でも内閣総理大臣承認を得れば同じことができるというふうに書かれていますが、これはどういう経緯でこういう法規定になったのか、御説明いただけますか。
  154. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) この第十条の第二項ですね、これは、今委員指摘のとおり、防衛出動を命ぜられたときの行動関連措置を書いているわけですね、行動関連措置として役務の提供ができると。第三項は「前項に規定するもののほか」ですから、ですから防衛出動が下令されてないときであります。  したがいまして、いずれにしたって、この行動関連措置といいますのは武力攻撃事態等でありますから、武力攻撃予測事態においてはこの三項の規定を援用しまして、適用しまして、役務の提供ができると、こういうことであります。
  155. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。つまり、この十条の三項は、防衛、あっ、違います、済みません、防衛出動下令前、つまり、武力攻撃予測事態のときにも米軍に対して役務の提供等の支援が行動関連措置としてできるということですね。  それで、次の質問、これ関連するんですが、十条の、大臣、四項の規定で、物品の、自衛隊に属する物品の提供あるいは自衛隊による役務の提供等として行う業務の中身について書いてあるわけですが、いろんな指摘があるように、この規定によって武力攻撃事態等において自衛隊から米軍に対して弾薬の提供ができるようになったわけでございます。これは、周辺事態法においては、周辺事態の場合は弾薬の提供も禁じられていたわけでありますが、問題は、これもう衆議院でも指摘があったと思います。  周辺事態と武力攻撃予測事態が併存できるというふうに政府は解釈取っているわけでありまして、そうすると、武力攻撃事態予測、あっ、済みません、武力攻撃予測事態の方に着目をして弾薬を提供すれば、本来は周辺事態のみであれば弾薬提供米軍に対してできないけれども、併存しているがために事実上できてしまうと。そうすると、周辺事態法で米軍に対する弾薬の提供を禁じられているけれども、ここの項目は事実上消されてしまうということがあって、これは問題なんじゃないかという御指摘がありますが、この点についてどのような議論の整理をされているか、御答弁いただきたいと思います。
  156. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) これも度々問題になるといいますか、議論の対象になるところでありますけれども、武力攻撃予測事態と周辺事態というのが理論的には併存することがあるということは、これは度々御答弁を申し上げているところでございます。ただ、この武力攻撃事態の認定、周辺事態の認定というのはそれぞれの法律に基づいて認定をするわけでありまして、これは違うわけですね。明らかに違うということであります。  そのときに、武力攻撃予測事態が認定されましたときに我が国が行動関連措置として弾薬の提供ができるようになっておりますけれども、これは日米安保条約に従って、武力攻撃を排除するために必要な準備のための米軍の行動に伴い実施するものに限られるわけでございます。  また、米軍が行動関連措置として我が国が提供した弾薬を受領し、また使用し得るのは、武力攻撃事態又は武力攻撃予測事態に際し、日本国に対する武力攻撃を排除するために必要な行動のために必要な場合に限られるわけでございます。  さらに、度々申し上げておりますように、この日米間の調整メカニズムというのが、周辺事態におきましても、また武力攻撃予測事態におきましても、これが運用を開始されることになるわけでございまして、そういった運用を通じまして、この弾薬の提供もこの制度の規定に従いまして適切に調整が行われると、このように考えておりまして、私どもとしましてもそのような運用を図っていきたいということであります。
  157. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 私、時間ないのであれですけれども、野党の皆さんから厳しく追及される前に、ちょっと今の御答弁だと難しいのは、米軍の方が、日本の法で、法律規定する、防衛庁長官もね、これ周辺事態と武力攻撃予測事態と武力攻撃事態と三類型に分けて作戦行動取らないでしょう、多分、米軍は。そうなると、武力攻撃予測事態に着目して、周辺事態と併存しているときに弾薬提供して、米軍はこの日本提供した弾薬は武力攻撃予測事態においてのみにしか使いませんということを言い切れるかというと、その米軍の行動作戦を日本の国内法が制約していないという限りにおいては、これは言い切れないんじゃないかと思いますけれども防衛庁長官、一言、簡潔に。どうせ後で野党に言われますけれども
  158. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いえ、おっしゃるとおり。  それは、先生、言い切れないと言ってはいけないのでありまして、結局、脱法行為みたいなことになっちゃうわけですよね。本来やっちゃいけないことをやれるようなことに結果としてなるんじゃないかということですが、今、井上国務大臣からお話がありましたように、さればこそ調整メカニズムというものによってきちんとそれは仕分けられなければいけない。やっぱり私どもの国内法によってできないことというものが、米軍の作戦行動というものがそれが一元的になされるからといって、国内法においてできないものが結果的にできてしまったということは、私どもとしてはあってはならないことだと思っております。  併存事態というのも、じゃ周辺事態と武力攻撃事態がどのように併存をするか、それはもう可能性としては幾つか考えられるわけですが、その場合に、私どもとしては調整メカニズムを通じましてそのようなことがないように、実際にその二つは日本にとっては異なる事態でございますので、そのようなことがないように心掛けていかなければいけないと思っています。調メカがきちんとワークするように、それは平素からきちんとした検証が必要だと考えております。
  159. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。また野党の皆さんとやっていただきたいと思います。  次に、またちょっと厳しめの質問ですが、井上大臣、この第十一条、第十一条の規定見ていただくと、指定行政機関も「法令及び対処基本方針に基づき、必要な行動関連措置を実施する」と書いてあるんですね。ただ、ここには前条の第四項とは違って一切条件が付いていないんです。それで、これは私、個人的にはあり得ないと思っていますよ、あり得ないと思っていますが、第一条に条件の制約が入っていないために、この行政指定機関を通じて第十条の四項では禁止されている武器の提供日本米軍に対してすることが可能なんではないか。だから、立法者が、法案提出者が意図的にこの第十一条では武器の提供できませんという明示を落としたんではないかという指摘が一部であるんです、一部で。  私は、自衛隊が、自衛隊の部隊ができない武器の提供、あるいは後でも議論しますけれども米軍も全然望んでいない日本からの武器の提供というものを、例えば国土交通省を通してとか、あるいは防衛庁本庁を通してとか、米軍に対して武器の提供をやるなんということはあり得ないというふうに思っていますが、この点について、実態上あるいは法律上もできないということでよろしいですか。確認の質問です。
  160. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) これはもとより積極的にそのできるという根拠規定がなければできないことではありますんで、もとよりできないわけでございますし、しかもこの武器は、アメリカの国内法令でこれACSAに基づく手続の枠組みに従って他国から武器を受領することができないということは、これはっきりしているわけですから、アメリカの方もこれはもうできないということであります。また、現実的にもまあそういうことですね、アメリカが要請するような状況ではないと。こういうことでありますんで、法律のその根拠規定、あるいは米国の中の法律規定、それから現実の要請、そういう必要性があるのかという、もういずれの点からいきましてもこれはないということであります。  この第十一条でありますけれども、行動関連規定措置でありますから、いずれにしても武力攻撃とか武力攻撃予測事態じゃないとこれは発動しない規定ですからね。だから、各省庁で何かの支援ができるようなことがあれば各省庁の権限の範囲内でそれはあり得ると思うんでありますけれども、御指摘のような、武器をこの規定を援用して提供するということはないということであります。
  161. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 次に、防衛庁長官にお伺いをいたします。  簡単な質問ですが、武力攻撃事態等発生の際に日米安保条約に基づいて米軍も行動するわけですね。これ武力攻撃排除のために行動するわけですが、その際に、自衛隊との関係でいうと共同対処ということになると思いますが、これ、双方の、自衛隊米軍の指揮権の関係はどうなりますか。
  162. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 指揮権は各々が持っております。指揮権が併存という形になりまして、具体的な行動はそれぞれ調整をしながら行うことになります。
  163. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 そうすると、自衛隊米軍は指揮権の統合、共有はしないと、双方で緊密な連携調整を行いつつ武力攻撃排除の作戦行動をするということになるんですけれども日本有事の場合は、当然、日本の国土が舞台、シアターになるわけでありますから、この国レベルの調整だけでなくて、あるいは軍隊同士の実務者レベルの調整だけではなくて、例えば、仮に日本の国内のある一部の地域で米軍自体が武力攻撃排除のために行動すると、展開すると、そうすると、その米軍が展開した地域の地方自治体とか、あるいは場合によっては民間団体との調整もやらなきゃいけないと思うんですね。  実際に、この米軍行動関連法案の八条、第八条には、ちょっと読みますよ、こう書いてあります。政府は、合衆国軍隊の行動又は行動関連措置の実施が地方公共団体の実施する対処措置に影響を及ぼすおそれのあるときは、関係する地方公共団体の連絡調整を行うものとすると。  それで、これ、井上大臣防衛庁長官、どっちでも、両方でもいいんですが、これ、いろんな資料を見ますと、例えば実務レベルでは日米共同調整所というのは既に既存で、そこで調整できますけれども、でも地方自治体、日本の地方自治体、県知事と、例えば県知事周辺が武力攻撃事態に対していろんな対処取っているところに、米軍がそこに展開してきて、そこと調整が必要だったときに、だれが責任持ってその調整やるのかということは、実は具体的には全然分かんないんですよ。これ、どうします。
  164. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) これは、基本的にはやっぱり国が責任を持ちまして調整することになると思いますけれども、ただ、現場で具体的にそれじゃどうするのかとなりますと、それはやっぱり地方公共団体の長の調整にまつところもあろうと思うんであります。したがいまして、いろんな情報をきっちりと関係の地方公共団体に伝えることはもちろんでありますし、その場合に国として必要な指示をするときはやっぱり指示をするということでありまして、この地方公共団体がその指示を、指示といいますか、状況において大変戸惑うというようなことのないようにそれは措置をしていかないといけないということは当然のことだと思います。  したがいまして、基本のところはやっぱり国が調整をする。個別といいますか、地方公共団体限りで調整できるようなところは、国からのいろんな情報を勘案しながら地方公共団体で調整をしていただくと、こういうことになると思います。
  165. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 大臣、今の答弁だとちょっと納得できないんです。要するに、国が、だから日本の地方公共団体と米軍の間に国が間に入って調整しますと。それは概念としてはそうだと思いますよ。  私が聞いている質問は、それ、運用上どこがやるかということが今の時点で、政府、これ明確になっていなかったら全然説得力ないですよ。ですから、例えば武力攻撃事態が起こって、まあ予測事態でもいいんですが、対処本部できるでしょう。でも、対処本部がやる総合調整というのは国内の総合調整なんですよ。地方自治体と国の、政府の間の総合調整、あるいは自衛隊も含めて総合調整しますけれども、僕が聞いているのは、米軍と地方自治体の調整が必要になったときにだれが、政府内のだれが、どこが責任持ってやるんですかということなんです。これ、もう一回。
  166. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 基本的にはそれは米軍でありまして、それは作戦なんかに行動いたしますこれは自衛隊ということに、それはもう当然のこととしてなると思います。
  167. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 いやいや、ですから、米軍じゃないんですよ。米軍と地方自治体の間に入って調整するところは、いや、これね、もしお考えになっていないんであれば、例えば、私が考え得るに、事態対処本部の中にそういう地方自治体と米軍の調整が必要になった場合に動く調整官を置いて、そういうスタッフ付けてやりますよということぐらいは今の時点で言わないとこれいけないんじゃないですか。もう一回。参考人、じゃ、はい。
  168. 増田好平

    政府参考人(増田好平君) お答えいたします。  ただいまの大臣の答弁に若干補足させていただきますと、まず米軍とそれから我が国政府との調整という段階がございます。これは再々申し上げておりますように、日米間の調整メカニズムというものを通じて調整が行われるということでございます。  そういった中で、米軍の行動というものが我が政府に分かるわけでございます。その上で、政府といたしましては、正に対策本部を通じまして総合調整の一環として地方公共団体にも連絡をして、こういうことがあるよと、正にそれを具現化してこの法案の中で明文化しておりますのが第八条だというふうに理解しております。
  169. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 分かりました。あのね、法律の建前論としては私、一応ここで理解しておきますけれども、もう一問質問ありますから。  ただ、いや、今のお話だったら、そしたら新潟県の方に、済みません、森先生の地元、新潟県に米軍が展開していて、それで国、国と調整するといって、じゃ米軍の司令官も米軍も新潟県にいるときに、すぐ近くに地方公共団体で調整しましょうといっているのに全部東京を通してやるなんてのは、これははっきり言うと米軍、プラクティカルですから絶対こんなことしませんよ。ダイレクトに地方とやる。だから、そのときに、そのときにそれは国が関与しないと、それは法律上も建前上も良くないですから。だから、私が言っているのは、そういうシステムを、メカニズムをちゃんと作るということを政府として意思持っとかなきゃいけませんよということなんです。それは防衛庁長官、うなずいているから分かるでしょう。その点、ちょっと訴えておきます。  最後の質問、外務省外務大臣、お願いしたいと思いますが、国際人道法違反処罰法案関連をいたしまして、これは外務大臣よく御存じだと思いますが、戦争犯罪の問題で、やっぱり過去にいろんな事例が各国の軍隊の中であるわけですね、戦争犯罪。必ず、この戦争犯罪のいろんな事例を研究しますと、常に出てくる問題というのは上官命令の問題と上官責任の二つの問題なわけですね。  つまり、ベトナム戦争なんかで幾つか象徴的な事例があったわけですけれども、上官が部下に対して戦争犯罪となるような行為を強要すると。部下から見れば、もし上官の命令に従わなければ上官に撃たれるかもしれないというぐらいの恐怖感を感じながら虐殺をしてしまったと。その場合に、上官から命令されたと、従わなかったら、で、軍隊の中においては上官の命令に従うことが一番大事なんだと言われているわけですから、それによって自分の罪の違法性は阻却されるということがよく言われるわけですね。  もう一つ、上官責任というのは、部下が逆に戦争犯罪やっているのを知りながら、あるいは場合によっては知らなかったとしても、それを積極的に防止する措置を取らなかった場合に、その上官の責任が阻却されるかどうか。  この点について、日本政府として今回こういう国内法を整備するに当たってどのような立場で臨まれるのか、お答えいただきたいと思います。
  170. 林景一

    政府参考人(林景一君) お答えいたします。  二点、上官、上官命令の抗弁といいますか、の問題でございますけれども、これにつきましては実定法上明示的な規定を置いたものがあるわけではございません。
  171. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 ICCはある、ICCは規程はある。
  172. 林景一

    政府参考人(林景一君) 済みません、我が国に関しましてということでございます。済みません。  ジュネーブ四条約及び追加議定書におきましては明示的な規定は置かれておりません。ただ、もちろん、今おっしゃいましたようにICCの規程三十三条、あるいは旧ユーゴ国際刑事裁判所、ルワンダ国際刑事裁判所の規程におきましては、原則として上官命令の抗弁によって責任が阻却されないという形になっております。この範囲というものについてどうかということについてはいろいろ議論ございますけれども、大きな流れといたしましては、いわゆる上官命令の抗弁の効力には相当制限があるというのが国際的な流れだろうというふうに考えております。  二点目といたしまして、いわゆる上官責任の問題でございますけれども、これにつきましてはジュネーブ四条約には明示的な規定は置かれておりませんが、第一追加議定書の八十六条二項におきましては、上官は部下の違反行為を知っており、それを防止するためにすべての実行可能な措置を取らなかった場合等におきましては責任を免れないということになっておりまして、これは旧ユーゴの国際刑事裁判所あるいはルワンダ国際刑事裁判所、あるいはICC規程の第二十八条等におきましても、上官責任ということが原則として免れないといったようなことが書かれておるということでございます。ただ、これにつきましても、やはり範囲ということについては明示的に定まっているということではございません。
  173. 遠山清彦

    ○遠山清彦君 終わります。
  174. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。  私は、今日は新ガイドライン体制がどのように進んでいるかということを中心に据えて質問します。  まず最初に、今提案されている法案、これは武力攻撃事態等対処法が親法でそれの実施法だと、そういうふうに取っていいですね。
  175. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 基本的にそのようにお考えいただいて結構だと思います。
  176. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私がそれお伺いしたのは、親法である武力攻撃事態対処法は周辺事態法とともに一九九六年の安保共同宣言、それを受けての新ガイドライン、これの合意をいろいろな形で体制化している、そういうふうなものだと思います。  新ガイドラインは、その目的として、日本に対する武力攻撃及び周辺事態に際してより効果的かつ信頼性のある日米協力を行うための堅固な基礎を構築すると、こう目的でうたっておりますね。それが一つは周辺事態法で作られている。今、その武力攻撃事態等対処法が関連法案条約によって仕上げられようとしている。そういうことだと思いますが、そう取っていいですか。
  177. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) ストレートに日米の防衛ガイドラインから出てきている部分ばかりだとは私は思いませんけれども、それに関連する部分は確かにあると思います。
  178. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 そこで私は、今の法案条約、これも結局は新ガイドライン、これがスタートかどうかは別として、そこで決められた日本を含む周辺全体の日米協力体制をどう作るかということの一部分だというように思っております。  これによって、専ら日本を守る条約といって締結した日米安保条約も、また、専ら我が国の防衛を任務とすると規定された自衛隊法もすっかり変わったものになった。専ら日本じゃなくて、周辺の安保をいろいろな制約を持った形ではあるが自衛隊も参加する形でそれを遂行する体制に変わったと、そういうことだと私は思っております。自衛隊法、憲法は変えるわけにいかないから、自衛隊は随分変えたんですね、自衛隊法は。  新ガイドラインが制定されてからこれまでに、自衛隊法が何回変えられていると思いますか。これは通告しておりませんが、長官、どれぐらい変えたと思いますか。
  179. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 済みません、分かりません。  ただ、二本、二回とか三回とか、そんな数ではないと思っております。回数、若しくは何本、何条変えられたかということですと、相当の条文が変わっておろうかと思っております。
  180. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私もびっくりしましたけれども、三十三回、自衛隊法改正が。それすべてが新ガイドライン伴うものだとは言いませんけれども、やっぱり三十三回も新ガイドラインができてから自衛隊法改正をされまして、自衛隊は、私らがこの安保の問題を初期に勉強した時期には専ら日本を守るためのものだということが、実際は、本来任務じゃなくて付随的任務を遂行しているのが実態の自衛隊に変わっちゃってしまっていると。安保条約も、専ら日本を守るものでなく、周辺安保体制と私は言っていますけれども、そういうものに変わったと、こう思っているところです。  周辺事態法に関連して幾つかお伺いします。  周辺事態では、我が国がどういう対応措置を取るかということですが、これは大きく言ったら後方地域支援、捜索救難活動、船舶検査、こういうことだと思いますね。  私は、その中で最大の問題は後方地域支援だと思います。我が国への武力攻撃が発生していない事態で、自衛隊が周辺に介入して、戦争中の米軍に対して補給、輸送、修理及び整備、支援、通信、空港及び港湾業務などの後方地域支援を行うということになりました。それは、本来自衛隊法で認めていたことではなかった。私は、その当時、こういうことは当時の自衛隊法でできる任務であったかどうか、これはできないから、改正しなければできない任務が新たに周辺事態法で付加されたと思います。  これはどなたか、長官ですか、お答えください。
  181. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 周辺事態安全確保法と同時に自衛隊法も改正をいたしまして、委員指摘のいわゆる後方支援等ができるようになっております。
  182. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 自衛隊法を変えなければできない、それまでの自衛隊ではできなかったことですよね。  私はここで、かつて旧ガイドライン、旧ガイドラインができたときに、その旧ガイドラインでの極東における協力の中身について自衛隊か防衛庁かで研究された、その結果がどうなりましたかということを、これはもちろん新ガイドラインができる前です、その前の時代に、防衛庁のかなりの地位にある幹部にその研究結果を聞いたことがあります。そうしたらどういう答えだったかというと、研究したけれども、極東事態で自衛隊は憲法上、自衛隊法上、何もできないということになったと、できることは、自衛隊としてはできないと、自衛隊を辞めて基地労務者という形を取ってなら協力ができるけれども、そういう結果になったという話、私は現職の幹部に聞いたことあります。それが正確な話であったかどうか、長官、あるいは異論があるかどうか知りませんけれども、つまり、新ガイドラインが出る前、旧ガイドラインでの研究はそういう結果になったと。  それで、今度新ガイドラインではもう自衛隊が出掛けて後方支援をやるということになったわけですから、周辺事態法というのはどこからどう見てもこれは日本の大きな転換であったと、こう言わざるを得ないと私は思います。  予測事態について次にお伺いします。  予測事態対処法ですが、武力攻撃事態等対処法では予測事態と武力攻撃事態と二つに分けられているわけですね。私は、武力攻撃の予測事態、ここで行う中身で幾ら読んでも分からない、説明聞いてもなかなか分かりにくい問題は、回避措置を取るということが予測事態では中心になっていると思います。じゃ、その回避措置というのは一体何なのか、これがよく分からないんですね。ガイドラインで例示されている外交努力など非軍事的手段に限られるのか、それ以外の措置があるのかどうなのか、ちょっとイメージがわくように説明していただきたいと思います。
  183. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 今御指摘のように、武力攻撃が予測されるような事態におきましては、当然のこととして、その予測に対応するような準備をする、備えをするということはこれまた当然だと思うんでありますけれども、今のように外交的な努力ですね、これも大変重要でございますし、さらには情報収集をしておくとか、いろんなところに警戒の態勢をしいておくと、そういう何といいますか、考えられるあらゆることを、要するに有事が起こるかも分からないという事態でありますんで、予測される事態でありますから、だから考えられるすべての措置について措置を取ると同時に準備をするということだと思います。
  184. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それがよく分からぬのです、すべてのことをやると言われても。そのすべてというのがもうちょっとイメージがわくようにということですけれども。  じゃ、別の面で聞きましょう。自衛隊はこの予測段階では政府機関の一つとしてどのような回避行動を取るのか。これ、ちょっと分かるように話してください。
  185. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 自衛隊として考えられる回避措置でございますが、まず武力攻撃が予測されるに至った事態であることを踏まえまして、自衛隊法に基づきまして、防衛出動待機命令の発出、あるいは予備自衛官及び即応予備自衛官の防衛招集など、所要措置を取ることになりますが、これらの措置が相手国の武力攻撃の意図を断念させることになり得る、また有力な手段となり得るということで、これらが武力攻撃の発生の回避に資するものというふうに考えております。
  186. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 待機命令、それから陣地構築ということもありますね。それで、まあそれは今取りあえずお伺いしておきます。  それでは、その自衛隊、予測段階ですからこれは武力攻撃は発生していないわけですが、そのときの米軍はどういう行動を取るのか。その米軍に対する日本の支援はどのような形の支援になるのか。先ほど武器弾薬の提供はあるのかないのかという議論もありましたけれども、そしてまた、それは自衛隊の協力があれば、それは自衛隊法のどういう条項に根拠を置いてのものなのか。また、自衛隊が予測事態でどのような行動を取るかという中では軍事行動を取ることもあるのかないのか。そういうことを含めて説明してください。
  187. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 予測事態における米軍との関係でございますが、先ほどから累次御答弁申し上げましているとおり、今回提案、提出しております法案の中で、日米安保条約に従って武力攻撃を排除するために必要な準備のための行動を行う米軍に対する物品役務の提供法案がございます。これにのっとって自衛隊米軍との協力関係ができるわけでございます。  また、いわゆる作戦面と申しますか、具体的にどういう行動を取るかにつきましても、累次御答弁申し上げましたとおり、調整メカニズムを通じまして具体的な調整が図られる、また政府ベースでは、基本方針にのっとりまして対応が練られるということでございます。
  188. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、その予測段階、これは武力攻撃をまだ受けていない段階で米軍がどういう行動を取るかというのは、中心は武力行動を取るか取らないかということを私はお伺いしました。  それから、日米安保条約に基づいてということですけれども、日米安保条約は、第五条は武力発生後の規定がありますけれども、予測事態どうこうというのは安保条約の条文上はない。私もいろいろ考えたり、いろいろ読んでみたけれども、これはどこで説明するんだろうかというのは私よく分かりません。だから、安保条約の第何条でこれは説明されるのかお伺いしたわけです。
  189. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) お答え申し上げます。  予測事態におきまして米軍は、まあ予測事態ということですから、いずれ武力攻撃事態につながる可能性があるということでございますので、武力攻撃事態、特に武力攻撃が発生しました場合には、安保条約の第五条に基づきまして共同対処行動を取るということでございますので、その共同対処行動を効果的に行うという観点から、当然のことながら準備のためのいろいろな行動を行うということでございまして、その具体的なこととしては、これはもちろん事態によりましてということでございますので、今から網羅的に申し上げることはできないわけでございますけれども、例えば施設・区域の中におきまして必要な物品の備蓄を積み増すというようなことがあるかもしれませんし、あるいは施設・区域の間におきまして必要な人員の移動を行うということが予想をされるところでございます。  このような米軍の準備行動が安保条約の第何条に根拠を置いておるかという、今、吉岡先生お尋ねでございますけれども、これは第五条ということでございます。第五条におきまして、武力攻撃が発生をいたしました場合には共同対処行動を取るということが規定されていることから、当然のことながらそれの前段階におきまして準備行動を行うということが想定されているわけでございます。ただ、もちろん、その場合の米軍の行動というのは地位協定にのっとった形で行われるということは当然でございます。
  190. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 武器弾薬の提供はどうですか。
  191. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) 米軍が予測事態におきまして武力攻撃が発生した場合の共同対処に備えまして必要な準備行動を行うと。その準備行動の中に、先ほど申し上げましたように、例えば共同対処に伴って必要となる物品というようなものを準備をするという行為が起こると、行われるということが予想されるわけでありまして、そのような場合には自衛隊がこのACSA、改正されたACSAの新第五条に基づきまして、弾薬を含みます物品の提供を行うということが行われ得るという、これはあくまで行われ得るということでございますが、行われるということでございます。  ただ、付言させていただきますと、先ほどから議論が行われましたように、提供されました弾薬はあくまでも我が国に対する武力攻撃を排除するために必要な場合に限って実際には使用されるという、これはACSAの第五条においても明記、失礼いたしました、五条ではなかった、五条です、五条で明記をされておりまして、これは国家間の国際約束でおりますので、国際約束によって担保をされているということでございます。
  192. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 弾薬も提供はするけれども、予測の段階ではそれを使っての武力行動は実際ないということを分かりにくい形で説明があったということにしておきましょう。  次の問題ですが、先ほども論議になりました併存の事態の問題ですね。併存事態というのがどういう形で起こるかということは、理論的に言えばいろんな事態が想定されると思います。しかし、私はそれを絞って、この場合はということでお伺いしたいと思います。それは朝鮮有事が、周辺事態である朝鮮有事が日本への武力攻撃の予測される事態になった場合を例にお伺いします。  私がそういう朝鮮有事ということを申し上げますのは、防衛研究所が発表した防衛戦略研究会議報告書によりますとこう書かれております。周辺事態は具体的には朝鮮半島有事を想定しと、こう書いてあるんですね。だから、私だけではなく、一応朝鮮、周辺事態というのは防衛研究所が発表した文書によれば、具体的には朝鮮半島有事ということが想定されているというふうに、これは防衛庁そのものとは言っておりません、防衛研究所の発表している文書ということでの質問ですけれども。  だから、これを前提にお伺いしますけれども、この場合、朝鮮有事が激しくなって日本にそれが波及してくることが予想される事態になったということになると、いろんなところから来るのにどう対応するかではなくて、相手は一つ、これは朝鮮という言葉は使いましょう、この間、日朝会談もあったことですから。この本にはそう書いてあるけれども、私はA国ということで、そのA国との周辺有事が我が国の武力攻撃事態に波及しそうだと予測される事態になった。  これは、相手は一つですからね。法律上をいろいろ分けて説明なさっているわけですけれども日本に、そういう事態になった、この事態には、非常にもう周辺事態というのは相当危険な事態になっていると思います。その場合に、後方支援は、周辺事態法に基づく後方支援はどうなるんですか。中断するんですか、撤退するんですか。そのまま危険な、我が国の武力攻撃が予測される事態といったらかなり危険な事態だと思いますけれども、そのかなり危険な事態の場合でも継続するんですか、中断するんですか。
  193. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) まず、法律的にできるかどうかという問題と政策的にできるかという問題と両方あると思いますが、法律的にできるかどうかは、その周辺事態法の要件に、継続して、合えば行為としてはできるわけでございますが、他方、周辺事態における後方支援等は我が国の防衛を主としておりますので、それに支障があってはいけないということでございますので、そこは全体、我が国全体状況及び我が方の能力等を勘案した上で適切に判断をする。場合によっては、その周辺事態における後方支援をやることが我が国の防衛に支障があるとすれば、それは中断することもあるかもしれませんし、そのときの判断ということだと思います。
  194. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 大体、ここの論議というのは、いろいろなとか適切にとかその場合に応じてとか、非常にややこしい、分かりにくい答弁が続きますから、今のも具体的にどうですけれども、中断する場合があるかもしれないということは可能性としてはおっしゃいました。  そうすると、その時期、一方では、あなた方の説明では別の法律によるとおっしゃるわけですけれども、予測事態としての新たな措置が開始されている、そういう状況が生まれると、こういうことなんですね。
  195. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) その場合には、法律的な要件といたしましては、併存することがあり得るということでございます。
  196. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は、そこが中心問題だというように思います。ある一つの事態が進行しているわけです。朝鮮半島有事であれ、それがA国有事であれ、一つの事態がだんだん激化して、日本にまで危険を及ぼす事態、そしてもう後方地域支援どころでなく、これを中断しなくちゃいけない事態が一方で起こっている。しかし、そのときには、別の法律でこれにどう対処するかという行動が始まっている。僕は、新ガイドラインが構想している周辺安保体制というのはそういうことだと思っております。  つまり、この日本を含む周辺全体を日米がどうして共同対処するかというやり方、そこで、日本は集団自衛権を認めていないというために非常に分かりにくい。なぜこれが分かりにくいかというと、これは、本当言ったら、集団自衛権が否定されている国ではできないことを何とか憲法違反にならないという形でやろうとするから、その説明、だから聞いていてもさっぱり分からないと、そういうことだと思います。  そして、予測事態から武力攻撃事態になる、その間に、武力攻撃事態というのもまた切迫した事態と武力攻撃発生事態と二つに分けられております。  私は、切迫した事態についても幾つかお伺いしたかったんですが、ちょっと時間が迫ってきましたから、武力攻撃事態発生事態ということについてお伺いしますが、武力攻撃発生事態ということになると、この場合には、もう自衛隊法の防衛出動から自衛行動に入っていく、そして安保条約は五条が発動される。私は、予測事態も五条の発動だというのは初めて聞きました。これはそういう解釈だということを今お伺いしたんですけれども、しかし武力攻撃発生ということになれば、これはもうはっきりと五条の発動ということになるわけですね。  そこで、お伺いしたいのは、武力攻撃が発生した場合に取るべき自衛隊の行動の範囲ですね。これは従来の政府の統一見解によって、我が国防衛に必要な限度において、我が国の領土、領海、領空においてばかりでなく、周辺の公海、公空においてこれに対処する場合であっても、このことは憲法上問題ないと、こういうふうになっているわけです。つまり、第五条事態、それから自衛隊の防衛発動、自衛権の発動という事態には、日米共同対処も、また自衛隊の行動も、我が国の領域に限らないで、周辺の公海、公空でも行動を展開するということになっているわけです。  したがって、この事態というのは、もはや武力攻撃事態、周辺事態どころか、周辺が日本の自衛権発動の区域になってしまう、そういうふうな状況であって、つまり、それは周辺事態から発した事態というのがこういう形で日本にも波及して、周辺での自衛隊の、もはや大手を振るって憲法上の制約のない活動になるということだと私は言わざるを得ないと思っています。  元々、周辺事態、周辺事態自体が、そこで行動している米軍日本の基地を使用して行動しています。したがって、そのこと自体が相手国から見れば日本は敵対国、こういうふうに見られる。加えて、自衛隊が後方地域支援であれ、これに加わって協力する。これは、日本政府日本自衛隊の行動を憲法上こうだといって日本国民にどのように説明しようと、相手国から見ればこれは敵対国ということに見られて、そして武力攻撃の可能性というのは、相手国の意思と能力があればそういうことにもなる。そして、予測事態を経て武力攻撃事態ということになると、これはもう我が国の領域内だけでなく、周辺の地域の公海、公空でも自衛隊が行動する。これが私は新ガイドラインが言ったところの安保体制であり、それを憲法上二つに分けて、分かりにくい仕組みの中で展開しようというのが武力攻撃事態であり、それを完成させようというのが今度の法案条約だというふうに思います。  この法案の建前というのは、我が国の武力攻撃に備えるということが言われていますけれども、実際は、新ガイドライン体制の下で、日本への武力攻撃の波及を呼び起こしかねない新しい自衛隊の協力体制を作って、その結果、日本に武力攻撃が波及してくる。それを我が国への武力攻撃に備える体制作りだというふうに言うのは、いささか実態に合わない強引な言い方であると思います。  私は、そういう可能性が一体どのようにあるかということもまた次回にやらせてもらうことにしまして、今日はそこまでで終わりにしておきたいと思います。どうも。
  197. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。  まず最初に、防衛庁長官にお伺いいたします。これは通告はしてございませんが、ごく基本的なことでございますのでよろしくお願いいたします。  追加議定書のⅠは、第四十三条で、「紛争当事者の軍隊は、部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある組織され及び武装したすべての兵力、集団及び部隊から成る」と規定しております。  防衛庁長官は、自衛隊はここでいう軍隊と同一のものとお考えでしょうか。
  198. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 済みません、御通告をいただいておりませんので、ちょっと今さっとお聞きしただけでは何か御質問の趣旨がよく理解できませんが、我が国の自衛隊というのは国際法上は軍隊として取り扱われ得るものというふうに考えております。したがいまして、ジュネーブ条約上我が国の自衛隊軍隊というふうに評価をすることは差し支えございませんが、そのことが憲法に申しますがところの陸海空軍その他の戦力というものに当たるものでは当然ございません。
  199. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 次に、井上大臣にお伺いいたします。  これも質問通告はしてございませんけれども、今回の法案を策定される過程で過去の類似の有事法制についても御研究されたと思いますけれども、戦前の有事関連法案と今回の法案とを比較されて、基本的にどこか違う点がございますか。
  200. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 私は、十分にそれらの点について勉強しておりませんので的確なお答えはできないと思うんでありますけれども、私は、やっぱり違うと思いますね。  やはり、明治憲法下のあの時代、それから新しい憲法下の今日、早い話、基本的人権一つを取りましても非常に違うわけでありまして、私は、やはり基本的人権というようなことを中心にいたしまして、また今の国のありようというのはこれ地方自治を前提にしておりますね。あるいは財政の制度もそういったことでやはりリンクしておりますから、当然、戦前といいますか明治憲法下とはやっぱり違うということで、相当大きく違うんじゃないかと、こんなふうに思います。  ただ、共通して言えますことは、避難の大事さとか救援の大切さと、そういうことは共通してあると思いますけれども、何といいますかね、対処におきましての配慮すべきこと、尊重すべきことについては相当違った状況を認識をしてこういった立法をしたというふうに考えております。
  201. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 関連しますけれども大臣は、国民保護法案観点からさきの太平洋戦争をどのように総括なさいますか。国民保護法制関連だけで結構で、簡潔で、何か御存じの点がありましたらよろしくお願いします。
  202. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 国民保護法制ということですね。例えば、警報だとかやっぱり避難とか救援とか、その他災害の拡大の防止というような点につきましては、特に沖縄県におきます経験なんかにつきましてはよくお聞きをいたしまして、そういったことを本当に、何といいますかね、大事な参考資料として制度を検討したというふうに聞いております。
  203. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いいたします。  捕虜と交戦との関係について、国際法に詳しい松山大学の城戸教授は、その著作の「戦争と国際法」の中で、武力紛争において交戦者が戦争目的を達成するために敵に対して行う行為、つまり兵器の使用は交戦資格を持つ者によってなされねばならないと、そして、交戦資格を持つことの意義は敵に捕らえられたとき捕虜の資格と待遇が与えられるところにあると解説されています。  また、今回締結承認案件となっているジュネーブ条約、ジュネーブ諸条約第一議定書の第四十四条で捕虜について、紛争当事者の軍隊の戦闘員で敵対する紛争当事者の権力に陥った者は捕虜とすると規定しています。つまり、捕虜は交戦及び交戦者資格と表裏一体の関係にあると思います。  だとしますと、我が国がジュネーブ第三条約締結と絡んで捕虜取扱法案を整備するということは、交戦権を禁じた憲法第九条に反することになるのではありませんか。この点について長官の考えをお聞かせください。
  204. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生今おっしゃいましたのは、捕虜になる資格ということだと思います。捕虜になる資格、つまり捕虜の待遇を受ける権利というふうに言い換えてもよろしいかと思いますが、というものと交戦権というものとは全く違う概念でございます。  したがいまして、我が国が交戦権を認めるとか認めないとか、そういうものではなくて、捕虜としての資格を得ることができるのかできないのかということが、今先生がおっしゃいました交戦資格ということの言葉に、という言葉によって表されておるものでございます。  そういうような、今御指摘のような人でなければ捕虜としての待遇を受けることはできない、それが交戦資格というものであって、憲法九条に申しますがところの交戦権とは全く違う概念だというふうに私どもとしては理解をしております。
  205. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務大臣にお伺いいたします。  ジュネーブ諸条約に係る国内法の整備に関してでございますが、我が国は一九五一年九月、サンフランシスコ講和条約に署名した際、同条約の効力発生後一年以内にジュネーブ条約に加入することを宣言したことを踏まえ、同年十月に同条約に加入いたしました。しかし、その後一貫して同条約に伴う国内法を整備してこなかったわけですが、その理由について大臣は、去る四月十二日の衆議院の本会議での御答弁で、昨年成立した武力事態、武力攻撃事態対処法において、「事態対処法制は、国際的な武力紛争において適用される国際人道法の的確な実施が確保されたものでなければならない。」と規定しており、事態対処法制の整備に当たり、ジュネーブ諸条約を含む国際人道法の的確な実施を確保した国内法制の整備を行うこととしているというふうにおっしゃっています。  しかし、ジュネーブ条約に係る捕虜の扱いについての法を整備するということは、例えば自衛隊員が捕虜になること、あるいは他国の兵士らを捕虜にすることを想定することになろうと思います。なるかと思います。しかし、捕虜の問題は交戦して初めて発生するのですから、捕虜について法を制定するということは、交戦権の行使を禁じる憲法に抵触するおそれがあります。  ちなみに、国際赤十字社が一九六四年四月、ジュネーブ諸条約に伴う国内法の立法状況を各国に問い合わせたところ、日本側は、憲法九条により戦争は禁止されているので諸条約違反は日本国民により犯され得ないであろうから四条約違反を抑圧する立法はなされていない、違法行為が日本で犯されても、その行為は刑罰、刑法規定内で処罰できると回答しています。  つまり、憲法第九条との整合性に問題があったからこそ捕虜に係る法整備をしてこなかったんじゃないでしょうか。見解をお聞かせください。
  206. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 捕虜に関することでございますので、私の方からお答えをお許しをいただければと存じます。  それは、自衛戦争もできないというような概念に立つとすればそういうような立論も不可能ではないと思っております。ただ、私ども日本政府といたしましては、第九条は自衛戦争、自衛権の発動によるもの、国連憲章五十一条に言うがところの自衛権に基づくもの、これを禁止したものだとは考えておりません。  したがいまして、我が国に対しまして武力攻撃を掛けてきました国、その国の交戦者、それが我が国の権力内に陥るということは、それは自衛戦争に伴いまして発生をし得ることでございます。したがいまして、そういうような人に対しまして、そういうような者に対しまして人道的な扱いということをする、そういうようなことも当然我が国においては求められることでございまして、ジュネーブ条約に書かれましたものを国内法において具現化をするということは、これは本来国として行わねばならなかったことであり、九条の制約によって行わなかったというふうな考え方は私どもとしては取らないところでございます。
  207. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務大臣にちょっとお伺いします。これは外務大臣の発言を、衆議院での答弁との関連でお聞きしているわけですから。  つまり、衆議院での答弁は、国内法の整備というものは、人道法とかそういうものの規定に基づいてやるということで整備が遅れたという趣旨の御答弁だったわけですが、今私が申し上げたように、ジュネーブの国際赤十字社が一九六四年に聞いた場合に、日本国憲法では交戦権を禁止しているからそういうものは必要がないというふうな答弁になっているものですから、そこが大臣の御答弁と実際にこれまでの政府の取った態度というのは違うのではないかということでお聞きしているわけですから、お願いします。
  208. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国内法の整備が今までなされなかった理由というのは、この前本会議の中で申し上げたとおりでございます。  それで、自衛権ということで、関係でございますけれども、交戦権との関係ですけれども、これは基本的に備えあれば憂いなしという考え方に立っているわけでございまして、この前申し上げましたとおり、何ら特にその点で問題があるとかいうことではない、備えを十分にしておくということでございます。
  209. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 井上大臣にもう一問だけお願いいたします。  国民保護法制法案の中で、我が国が武力攻撃を受けた、あるいは受けそうになったら、都道府県知事は、本法案の第二章の第四十四条から第七十三条に規定された、住民の避難に関する措置に基づいて避難ルートなどを定めたり、バスや鉄道を確保しつつ住民に避難を指示しなければならないというふうに規定してございますが、本当に有事になった場合、この狭い島国の日本で、仮にそのような法律を作って市町村長なりあるいは県知事なりに住民を避難させるようにということを指示したとして、先日も申し上げたんですが、五十二か所の原子力発電所がありますね、この狭い国内に。それから、生活必需品の備蓄というのが非常に低い状況、それからエネルギーの九割近くを国外から入れている、そういう状況で、一体、今の仮にミサイル戦争みたいなのが起こった場合に、どこにどういうふうに避難させる方策があるとお考えですか。つまり、この法案の有効性、効果というのは担保されるとお考えでしょうか。
  210. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 確かに、言われますように避難、避難を的確に有効に行う、大変これは難しいことだと思います。しかし、国民保護する、住民を保護するという立場からやっぱりできるだけのことはやっぱりしなくちゃいけないわけでありまして、そういう意味で、今度の法律におきましても、避難についてはかなり重点を置きましていろんなことを規定しております。  まず、国が基本の指針を作ることになっておりまして、そういった指針を作る、都道府県の方は計画を作る、あるいは市町村の方も計画を作るという、それはそういったことで国とか都道府県、市町村が結び付くわけでありますが、特にこの避難につきましては、本当に周到な検討、計画ですね、相当時間も掛かると思うんです。特に沖縄県の場合は海を渡って避難をするということだって考えられますので、そういうことの検討とか、関係の都道府県等との話合い等もございますので、相当の時間を掛けまして、一〇〇%、じゃ完璧なのかと言われますと、まあそういう具合にはまいりませんでしょうけれども、できます限り避難が有効に行われますように我々としては努力をしていきたい、こんなふうに考えております。
  211. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 最後に一問だけ防衛庁長官にお伺いして終わりたいと思いますが、長官は、実際の戦争で法規を守り得るとお考えですか。つまり、超法規的にならないで戦争に勝てるとお考えですか。
  212. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 戦争に勝つというのがどういう意味か私にはよく分かりませんが、少なくとも、攻めてくる方は日本の法規なぞは守りません、当たり前の話ですが。それに対して我々がどう対応するかということでございまして、そのときに民主主義国家として超法規的なことをやってもいいということには相なりませんので、そのための有事法制というふうに考えております。それは、ありとあらゆることを考えて、それだったら超法規でいいという行動ができるということにはなりません。他方、自衛隊法の第八十八条という防衛出動の条文は、そのまま御理解をいただきたいと思っております。  ですから、法律を守っておって戦争ができるのかと言われれば、それは日本国内においては超法規的な活動はできない、防衛出動の第八十八条というものも併せて御理解をいただきたいということでございます。
  213. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  214. 山本正和

    ○山本正和君 ちょっと初めに、昨日の復習をちょっとしておきますから。  小泉総理大臣が、昨日、私の質問に対して、要するに、我が国内における武力攻撃を受けている事態、それについて、これは自衛隊は戦うんですと、しかし、一般の国民、いわゆる非戦闘員は戦闘に参加しないんですと、その人たち保護するんですと、こういう概念として国内における戦争も考えているというふうに言われたと私は思うんですけれども、その私の今の解釈でよろしいですね。
  215. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 武力でもって排除をするというのは、自衛隊あるいは自衛隊と共同行動を取ります米軍ということでありまして、一般の、何といいますか、文民といいますか、市民につきましてはそういった武力の行動に参加をするということは考えていない、期待をしていないと、こういうことだったと思います。
  216. 山本正和

    ○山本正和君 要するに、一般国民は戦闘に参加しないと。こういうことを前提にすべて考えているわけですね、国内における武力攻撃事態というものを。そういうふうに小泉内閣としては判断したと、これでよろしいですね。
  217. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) ただ、その場合にも、昨日答弁がありましたように、国民的な支援、支持ですね、これは精神的なものも含むと思います、そういうものは必要であると。したがいまして、自主防災組織その他の方法によりまして、協力をするといいますか、武力攻撃事態に対する国とか県とか市町村が行います措置に対して協力をしていただくと、そのことは当然必要なことだというふうに思います。
  218. 山本正和

    ○山本正和君 国が侵略を受けると、あるいは攻撃を受けるということは大変な問題ですね。だから、当然、日本国民としてそういう事態に対してはどうなるかということをいろいろと議論しなきゃいけない、考えなきゃいけないですね。  政府は、今度の法案出すについて、国民の間にそういう議論も十分に行われていると、したがってこの法案についての理解が国民の間にされていると、こういうふうに判断していますか、そこはどうですか。
  219. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) どういうような事態が起こるのか、あるいは事態が起こった場合にどう対処をするのかということですね。これは、武力攻撃を排除することを含めましてどう対処するかというようなことにつきましては、まだ十分な国民的な理解が得られているような状況じゃないと思うんです。  したがいまして、これから、何というんですか、そういったことにつきましての啓蒙というんですか、啓発、そういったことも必要だと思います。  なぜこういった国民保護措置が必要なのかというようなことについても十分な説明をし、また必要な場合には国民の皆さん方にこれ協力していただかないと効果的な措置ができないわけでありますから、そういう趣旨からもよく説明をしていきたいと思います。  さらには、訓練もこの法律の中に規定をしておりますけれども、具体的に警報を出す、あるいは避難をする、誘導していく、あるいはいろんな救援していくというようなことの訓練を通じまして、そういった、何といいますか、啓蒙の一環としましてそんなこともやっていかないといけないと、そんなふうに思います。
  220. 山本正和

    ○山本正和君 この法案を私もずっと、十分ではありませんけれども、見させていただいたんですけれども、本当に政府国民に訴えているという感じがしないんですよね、どうもまだ。だから、日本の国がこういう事態になったら大変ですよと、さあ皆さんどうしましょうというものがどうもぴんときてない。  私は、率直に言いますけれども、いわゆる一九四五年の敗戦のときに日本国民が受けたみんなの感じは、ああ、これでもう戦争がなくなったなと、もうこの国はもう戦争がなくなったんだという安心感にみんな浸ったんですよね。そこから一生懸命みんな働いたんだ、経済大国何とかというけれどもね。  しかし、その中で必要に応じて自衛隊も作った。自衛隊を作るときの議論が随分国会でありましたね。しかし、そのときも、あくまでこれは我が国の自衛です、絶対、敵が攻めてくることは余り想定しないけれども、何とか水際で阻止するとかなんとかいっても最低限のものは必要だろうということで作ると。したがって、戦争を想定した自衛隊じゃないんですよ、戦争を防ぐための自衛隊であるけれどもね。私はそう思っておる。だから、自衛隊が国内でドンパチやって、ほかの国の軍隊が我が国に入ってきてドンパチやるというふうな事態は、恐らく国民の皆さんのかなりの人は想定していないと私は思うんですね。  しかし、自衛隊がそれじゃどういうことをするかといったら、もう一番うれしいのは災害救助ですよ。この前の阪神の大震災のときの活動だとか、あるいは何かあったときに救出に向かうとか、本当に自衛隊御苦労さんという気持ちが国民の間にやっと来ているんですよね。しかし、その自衛隊が国土で、例えば九州でどこかの国の軍隊がやってきてドンパチやって戦うと、そういうことは国民は想像したくないし、あってほしくないと思っているんですね。  しかし、それを、そういうことがあるかもしれませんということを、政府は今度国民に向かってこういう提案をしているわけですよね。私は、そういうことで提案するのならば、その前に何をしなきゃいけないかといえば、国民に対してこういうことが起こった場合どうですかということを議論しておかなければいけないと思う、本当はね。  私は思うんですよ。私は、恐らく世界の歴史の中で、その国に攻め入られたときに国民は戦いませんと、その国の兵隊だけは戦うという歴史を知らないんだ、私は。もしあったら、ひとつ教えてください。何か防衛庁長官、知っているような感じだから、ちょっと教えてください。
  221. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 経験豊かな先生に私ごときが申し上げるのも失礼な話でございますが、国民が戦うようになったというのはむしろ近代市民革命以降のことではないかと思っております。それまでは王様と王様、王様の軍隊同士の戦いであったものが、近代市民社会、そして市民国家の成立に伴って国民皆兵ということになり、国民はみんな戦争するのだ。いや、戦争するのだというよりも、民主主義社会を守るために、王様の軍隊ではなくて、国の軍隊としてという形で国民が戦いに行くようになったというふうに、私、歴史の本では読んだことがございますが、あるいは違っておりましたらば御指摘をいただきたいと思います。  つまり、国民全体を巻き込んでというのはその以降のことでございますし、例えば日本におきましても、じゃ例えばイギリスと長州ですとか、そういうような戦いがありました。そのときに、じゃ領民たちがじゃ一緒にイギリスと戦ったかといえば、それはむしろ見ておった側でございまして、実際に戦いの当事者になったというふうには理解をいたしておらないところでございます。
  222. 山本正和

    ○山本正和君 非常に防衛庁長官は善意の人だと私は思うんでね、歴史の解釈がですね。だけれども、正直言って、戦国時代でも他国の領土へ入ったらむちゃくちゃやっているんですよ。住民を略奪し、殺し、女性を強姦し、むちゃくちゃやるのが戦争なんですよ。  だから、私は、一つの国の中に他の国の軍隊が入ってきて戦争が起これば、それはその国全体の戦いになると私は思うんです。だから、みんなが国を守るとか郷土を守るとか大切にするとかいう気持ちが生まれるんで、それは、どんなことを言っても戦争ということを想定することについて我が国はしてきていない。そのことを本当は政府はこの段階で提案すべきなんだけれども、それよりも先に、攻めてきたときには戦いますよと、しかし、それは自衛隊が戦うんですと、国民の皆さんは安心くださいと、あなた方は国民保護法案保護しますからと。こういうふうに聞こえる提案が出されているものだから、何か一つ前提が抜けてやしないか、魂が抜けていませんかということを私はこれ聞いておるんですね。  そこで、ひとつこれは是非、今後閣議の中で、閣内でいろいろと議論していただきたいと思います、今の私の提起した問題ですね。  それは置いておいて、恐らく問題提起はこれは井上大臣していただけますね、今後の問題としてね。ちょっとそれだけ聞かせてください。
  223. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) まあ先生大変、何といいますか、ある意味で正論といえば正論、極端といえば極端ですね、その問題を出されたと思うのであります。  確かに、戦争に負けたときは、もうこれで戦争はないと皆思ったわけですね。これは日本だけじゃないと思います。世界がもうそう思ったわけでありまして、やあ、もう平和が来ると、こういうことだと思うのでありますけれども、しかし、そういった、何といいますか、期待と必ずしも一致しなくて、いろんな事態が起こるようになってまいりまして、したがって私は、日本もあの敗戦直後のそういう感情じゃなしに、やっぱり日本もある程度、これはできることできないことありますけれども、できることについては自分で守る、我が町、我が村は自分たちで守るんだというふうなことを考えないといけないんだという、そういう空気は確かに出てきていると思うんです。  私は、確かに国民を挙げて守ると、それは別に武器を取ってやるということじゃないんです。精神的にやっぱり皆で助け合って守っていこうというような気概は、国を守る場合は絶対私は必要だと思うのであります。それが嫌な人まで強制するようになりますと問題でありますが、精神的には私はそういうような気概を持つということが大切だと思いますし、そういう点では先生と私はそんなに大きな違いはないと思うんです。  確かに、こういった法律案を今提案しておりますけれども、これは更によく検討を深めて、もっとやっぱり制度として手を加えるところもあると思いますし、あるいはその対応、運用といいますか、そういったことについても更に充実すべきはすべきであると思います。  もう本当に、ある意味でこれは初めてのことでありますので、御指摘のようなことにつきましては拳々服膺して、我々も本当に一〇〇%、そんなことおまえできるのかと言われると、そういうことは断言はできませんけれども、努力をしていかないといけないと、こんなふうに思います。
  224. 山本正和

    ○山本正和君 それで、これはもう質問時間がないから、また今度は大分私も質問時間がいただけるようですからお聞きしていきたいんですけれども、我が国とアメリカとの関係は日米安保条約ですね。韓国とアメリカは日韓相互条約ですね。同じようにアメリカと同盟関係にある国がたくさんあると思うんですね。その国は、そうすると今度は国内において自分たちを守るために、アメリカ軍の行動に対して様々なやっぱりいろんな規定とかいろんなものを作っていると思うんですね。  しかし、今度の我が国が作っているような、アメリカ軍の行動を支援するための自衛隊の役割だとかあるいはいろんなもの、こういうようなものが外国でも作られているんだろうかと。私はそこら辺ちょっと知りたいもので、一遍これは質問通告もしておいたんですけれども、時間が足りないようで、あと残り三分しかありませんが、ちょっと教えてもらえますか。この次の質問でまた継続してやるつもりですけれどもね。
  225. 海老原紳

    政府参考人(海老原紳君) お答え申し上げます。  今、御承認をお願いいたしておりますACSAに基づきます物品役務の提供ということで申し上げれば、米軍、米側とACSAを提供していると。したがいまして、物品役務の提供という形で言わば支援が行われるという国といたしまして、同盟関係という言葉は難しいのでございますけれども、一応相互防衛条約を持っているということで申し上げれば、イタリア、英国、スペイン、それからドイツ、トルコ、ベルギー、ポルトガル、カタール、それから韓国というような国が、このACSAを結ぶことによりまして物品役務の提供という形で支援を行うということにしております。  あと、国内法で、今回お願いしておりますような、この支援法のようなものがあるかどうかと。これは、ちょっと国内法、必ずしも網羅的に申し上げることはできませんけれども、例えばドイツの例で我々が承知している限りでは、やはり有事の、いわゆる有事の対応ということで、土地を米軍の用に供するために連邦政府が当該土地を一時的に使用することができるという規定が国内法にあるというふうに承知をいたしております。
  226. 山本正和

    ○山本正和君 次の宿題にしますけれども、私のどうもちょっとまだ、私も調べているんだけれども、十分じゃないけれども、この今度提案しているようなアメリカ軍に対する便宜供与のこういう形のものは非常に少ないと思っておるんです、これはね。ずばり超法規的にやらざるを得ないというふうなことについてはたくさんありますよ。しかし、こういうふうな格好でアメリカに便宜供与というか、自衛隊が一生懸命やって、役務まで含めてやるという、これはちょっと少ないような気がするもんで、これはまた、この次のときに私の方も調べたことについて申し上げていきますけれども、やっぱり何か知らないけれども国民の間にあるのは、どうも日本アメリカの言うことを聞き過ぎているんじゃないか、何もかも、という気がして仕方ないんですよね。それはやっぱり政府として誤解を解く責任がありますから、よその国でもこうですということも提示して、示していただきたい。  これを申し上げて、私、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  227. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時十一分散会