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2004-05-27 第159回国会 参議院 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年五月二十七日(木曜日)    午後二時三十分開会     ─────────────    委員異動  五月二十六日     辞任         補欠選任      有村 治子君     加治屋義人君      小泉 顕雄君     段本 幸男君      後藤 博子君     松山 政司君  五月二十七日     辞任         補欠選任      森 ゆうこ君     羽田雄一郎君      荒木 清寛君     山口那津男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         清水 達雄君     理 事                 田村 公平君                 常田 享詳君                 舛添 要一君                 齋藤  勁君                 若林 秀樹君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 大野つや子君                 加治屋義人君                 段本 幸男君                 西銘順志郎君                 野上浩太郎君                 福島啓史郎君                 松村 龍二君                 松山 政司君                 三浦 一水君                 森田 次夫君                 山崎  力君                 池口 修次君                 岩本  司君                 神本美恵子君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 高橋 千秋君             ツルネン マルテイ君                 羽田雄一郎君                 平野 達男君                 森本 晃司君                 山口那津男君                 吉岡 吉典君                 吉川 春子君                 大田 昌秀君                 山本 正和君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官) 細田 博之君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君        国務大臣     井上 喜一君    内閣官房長官        内閣官房長官  山崎 正昭君    副大臣        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  秋山  收君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        内閣官房内閣審        議官       大石 利雄君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        社会保険庁次長  小林 和弘君     ─────────────   本日の会議に付した案件武力攻撃事態等における国民保護のための措  置に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国軍隊  の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃事態等における特定公共施設等利用  に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法  律案内閣提出衆議院送付) ○武力攻撃事態における外国軍用品等海上輸送  の規制に関する法律案内閣提出衆議院送付  ) ○武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○日本国自衛隊アメリカ合衆国軍隊との間に  おける後方支援物品又は役務相互提供に  関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間  の協定を改正する協定締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約  の国際的な武力紛争犠牲者保護に関する追  加議定書議定書Ⅰ)の締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ条約  の非国際的な武力紛争犠牲者保護に関する  追加議定書議定書Ⅱ)の締結について承認を  求めるの件(内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十六日、有村治子君、小泉顕雄君及び後藤博子君が委員辞任され、その補欠として加治屋義人君、段本幸男君及び松山政司君が選任されました。  また、本日、森ゆうこ君及び荒木清寛君が委員辞任され、その補欠として羽田雄一郎君及び山口那津男君が選任されました。     ─────────────
  3. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 武力攻撃事態等における国民保護のための措置に関する法律案外九案件を一括して議題といたします。  十案件趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 舛添要一

    舛添要一君 自由民主党舛添要一です。  細かい質疑に入る前に、一言この国の在り方ということで申し述べたいと思いますけれども、私はこの日本というのは非常に異常な国である意味では戦後あったと思います。それは、危機管理ということを忘れてきた。最近のいろんな事案でやっとまともな国になる、そして今から我々議論しますこの国民保護法制含めて、既に決まっています有事法制も含めてやっと普通の国に一歩近付いたかなという気がします。  私は、全く日本と逆で、危機管理を非常に異常なぐらいに重心を置いている国、スイス生活しておりました。国民皆兵であります。そして、私の年ぐらいになると徴兵の義務ももうなくなるんですけれども、五十歳ぐらいになっても訓練をして、武器弾薬自分のうちに持っている、そういう国であります。それから、備蓄も各家庭が二か月分の必要物資備蓄しないといけない。四百五十万か所にシェルターがあって、公共のは全部核シェルターになっている。国民の三分の二の命を救う体制が例えばできています。  ですから、備蓄について言うと、世界で一番まずいパンスイスパンだというんで、なぜかといったら、新しい小麦は全部備蓄に回して、日本でいうと古米、古々米、これを使ってパン作るんで本当にまずいです。つまり、まずいパンを食ってでも生き残るということを考える。それはドイツ、イタリア、フランスという大国に囲まれて、そこで中立を守るために生き延びる知恵だったわけです。  それから、私非常に感心しましたのは、高速道路、これ中央分離帯取ると滑走路になるんですね。しかも、少し曲がっていてもミラージュ戦闘機が上手に滑走していく。その中央分離帯を引き抜く作業は地域の住民号令一下やるんです。ところが、日本の警察何考えるかというのは、なるべくカーブを多く高速道路を造る。居眠り防止としか考えてない。だから、例えば韓国も中央分離帯除けば滑走路になるんです。そういう発想がある国に住んでいますと、しばらくそこにいて日本に帰ると、何か極楽トンボの国に来たような感じで。  それから、国鉄のダイヤございますね、これ、号令一下、二十四時間以内にというか、六十万人軍隊が運べるように、つまり有事だということになればダイヤが全部軍隊輸送に切り替えられます。現実にこれ、ナチスのヒットラーの戦争のときにそれをやった経験があります。それから、民間防衛スイスしっかりやっています。こういうところで生活体験ありますから、まあやっと、スイスまでやるのもちょっと行き過ぎかなと思う気はありますけれども、そういう感じがしております。  そこで、なぜこうなったか、そこはせんさくしませんけれども、やっぱり体制的にも法制的にも非常に不備があったと思うんです。  そこで、私一つまず問題にしたいのは、危機管理とか緊急事態という発想が全然なかった。私は今、自民党内でも憲法改正プロジェクトチームに入って一生懸命作業をしておりますけれども、憲法の中に緊急事態の条項があってしかるべきだと、ドイツのように、そういうように思っております。今回、与野党の御協力によって基本法という、緊急事態基本法を作りましたけれども、私は、本来は憲法の中に緊急事態規定があって、それを受けてプログラム法として基本法とあるのが一番格好いいわけです。  今、総理の立場でなかなかおっしゃりにくいかと思いますけれども、我が党はそういう形で来年の結党五十周年に向けて、これも党内でもいろいろ議論あります、緊急事態条項入れるか入れないか、まだ決定しておりません。しかし、私は憲法の中にそういうことがあっていい。我が参議院の憲法調査会の中で、野党皆さん方の中にも私と同じ考えの方はたくさんございます。  そこでまず、せっかく与野党が共同して基本法作るわけですから、そこにとどまらないで憲法改正という観点からもこういう緊急事態があった方がいいし、少なくともそれは議論すべきだと思いますが、まず総理のお考えをお伺いしたいと思います。
  5. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) スイスでの生活と比べて日本との対比をなされましたが、国によって危機管理緊急事態対応する準備等も様々だなということを改めて感じましたけれども、日本は幸いにして海に囲まれていますから、スイスと違って、何度も何度も戦争を間近で見ることなく割合平和に暮らすことができたという国の違いもあるのかなと思っております。  今、憲法の中に緊急事態等という観念どうかという話でありますが、お断りしておきたいのは、今回のこの有事関連法案憲法改正とは結び付きません。現行憲法内での議論であるということを前提にしてお話しさせていただきたいと思います。  これから憲法をどのように改正していくかということは、自由民主党も来年の秋ごろには結論を出す方向で準備を進めております。民主党も、若干遅れるようでありますが、そう遠くない将来にやはり憲法改正案をまとめたいという意向のようだと承知しておりますが、憲法の中で緊急事態にどう取り組むべきかという議論は今後も十分行われてしかるべきだと私は思っております。
  6. 舛添要一

    舛添要一君 是非野党も含めた形で、これ自民党だけや与党だけでやる話ではありませんで、広く議論国民とともにやっていきたいということを申し上げておきたいと思います。  それから、その関連でもう一つ、やっぱり少し首相官邸内閣総理大臣機能というか権限というかリーダーシップというか、これを実効性のある非常に強いものにする担保が制度的にもないといけないと思います。  大統領制アメリカ議院内閣制日本をそのまま比べるわけにいきませんけれども、例えばホワイトハウスにどれだけスタッフがいるか、首相官邸にどれだけスタッフがいるかといったときに、緊急事態というのはこれはやっぱりトップが決断下さないといけないと。そのときに情報総理を補佐する体制が整っていないというのは非常に困るわけですから、今後の大きな政治課題として首相官邸機能強化、いろんな意味での、それが必要だと思いますが、総理はどのようにお考えでしょうか。
  7. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現在でも各省連携取れるようにいろいろな対応を想定しながら体制は取っております。もとより各省庁のいわゆる縦割り意識が今まで強過ぎたのではないかということを言われますと、そういう点なきにしもあらずということが、しばしば事件が起こってみると、対応はもうちょっと連携取ればよかったなという点があるのは事実でございます。  しかし、そういう点を踏まえながら、今全体として、政府全体として対応できるように各省庁連携を強めていこうという意識を強く持ちながら体制を取っておりますので、どのように官邸機能を強めていくか、あるいは情報収集等怠りないような体制を取るかというのはふだんからよく考えておかなきゃならない問題でありまして、組織はともかく、現時点において、今のような御指摘を踏まえて間違いないような情報収集、交換できるような体制とその正確な情報に基づいて判断できるような体制は現在でも注意深く取るようにしております。
  8. 舛添要一

    舛添要一君 是非官邸リーダーシップというのを強めていただきたいと重ねてお願いしておきます。  これから後は各項目、法案について御質問をいたしますけれども、最初国民保護関連なんですけれども、私は日本と対極的なスイスにいたもので、例えば「民間防衛」という本は電話帳とともにあるぐらいに、みんなしょっちゅうそれを見ていて、備蓄にしてもそうだし、つまり危機管理生活の中に入っている。日本じゃ考えられないんですけれども、しょっちゅう機関銃というか武器を磨いているんですね。さび付いたらしかられちゃうので、自分のうちでみんな武器を管理していると。  そういう国から見ていますと、やっぱり、先ほど高速道路分離帯住民が引き抜いて滑走路に変えるという話をしましたけれども、いかに今回国民保護法律を作って知事さんとか市町村長とかが現場でいろいろ誘導、避難の誘導の指示をしても、最後は住民相互協力をしてやらないといけない面が非常に大きいと思うんです。  ところが、それをやると、国民住民自主組織というか、それが昔の悪い戦争時代の隣組みたいな、何でもかんでも強制してお上の意思を貫徹させるための組織みたいなイメージがまだ一部の方には残っていると思いますが、そういう点、国民に対する啓発、国民に今度理解していただかないとこれ動かないわけですから、そこを政府、どのようにお考えでしょうか。
  9. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 戦後から、第二次世界大戦後から日本国民一つの目指してきた国として常に挙げられるのがスイスだと思うんですね。日本は東洋のスイスになりたいということは、もう多くの国民思っていたんじゃないでしょうか。  しかし、スイスの現状は、今舛添先生言ったような、そういうような事情ということを知っている国民はそう多くはないと思います。常に銃まで家にそろえて食料備蓄までしているという、そういう体制が、やっぱり危機対応して自分の国を守るという強い歴史に裏打ちされた経験があるからこそそのような体制を取っているんだと思いますが、日本としては、今むしろ自由どころか、けん銃も持っては罰せられるという国でありますから、その点はスイスのようにはいきませんけれども、意識として、緊急事態にどう国民協力するかという体制と、そして国民危機から自分の生命、安全を守るためにはどういう保護体制政府として、国家として必要か。  両方必要だと思いますね。政府だけでできるものじゃありません。やっぱり危機に対して国民協力なしに安全は確保できない。その点をよく理解されるように、国民保護する責任と、そして自分たちの身を守るためには自分たちもどのような協力が必要かという、両々相まって初めて私は安全が確保されるんでありますので、その点、強制とか無理強いとかいう誤解のないようなこれからの議論なり審議が必要ではないかと思っております。
  10. 舛添要一

    舛添要一君 次に、国と地方行政機関との関係ですけれども、やっぱり現場で指揮を取られる都知事さんとか市町村長さんは、この前の修正財政面は国の手当てというのがはっきり決まりましたけれども、やっぱりいろんな意味負担が大き過ぎるんじゃないかとか、本当にやれるんだろうかとか、本当に国が協力してくれるんだろうかとか、まだ一抹の不安が残っていると思いますけれども、この地方行政機関との調整というのは果たしてうまくいっているんでしょうか。どなたでも結構でございます。
  11. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 実はこの法案作成過程におきまして、最初法案の概要というものを公表しまして、それをまとめて要旨というのにいたしまして、それからさらにその要旨を、何といいますか、もう少しまとまったものにしたんでありますが、それぞれの段階におきまして知事さんの御意見を伺ったり、あるいは市長会の御意見を伺ったりしてきたわけでございまして、おおむねそこで出ました意見については法案の中に取り入れてきたつもりでございます。  これはいろんなことがありました。例えば、事態としてどういう事態を想定するのかとか、知事市町村長との権限が、きちっとそこを分けてくれとか、いろんなことが、あるいは財政負担も、これは共通の問題として知事さん、市長さんの方もございまして、現行のこの法案の中身はそういったことで私どもは大体知事さんとか市長さんの御意向に沿っているものと、こういう具合に考えております。  衆議院の方で、訓練の費用につきまして、その部分について財政負担どうするかということで修正がございましたけれども、それ以外のところにつきましてはそう大きな意見の食い違いはないものと考えております。
  12. 舛添要一

    舛添要一君 是非国民保護に十全を来たすように、地方機関とも更なる連携を取っていただきたいと思います。  続きまして、米軍行動との関係特定公共施設利用などについて御質問申し上げます。  武力攻撃事態米軍がいろいろ協力してくれるというのは、これは不可欠であります。例えば北朝鮮の脅威に対しては、我々の力でノドンミサイル、テポドンミサイルを落とせるかというと落とせませんから、そういう意味でも非常に米軍との協力が不可欠ですが、その協力関係が円滑にできるように、これ、総理調整はちゃんとおやりになっていますんでしょうか。また、どういうメカニズムでおやりになっているのか。これは外務大臣でも結構です。
  13. 川口順子

    国務大臣川口順子君) そういうような状況において調整メカニズムということを立ち上げるということになっております。もちろん、その調整メカニズム以前の問題として、日ごろのベースで米軍あるいは米国政府との緊密な様々な協議は行っているところでございますし、また武力攻撃事態が、あるいはその前の段階ですね、それが切迫をした状況、そこにおいて調整メカニズムを立ち上げて必要な協議を行っていく、調整をしていくという形になっております。
  14. 舛添要一

    舛添要一君 次に、ACSA協定の改定に関連してでございますけれども、何か日本自衛隊がとにかく米軍にいろんなものを提供して、こっちは何の見返りもないんじゃないかみたいな、そういうイメージが流れているんですけれども、実を言うと、私、このACSAに基づく提供実績数字をちょっと調べてみたんですけれども、例えば平成八年度だと、自衛隊から米軍に対する提供は百六十三件、逆に米軍から自衛隊に対する提供はたった六件しかなかった。ただ、だんだんだんだんこの比率が、逆転までいかないですけれども、非常に米軍からの協力が増えまして、平成十四年度、昨年度だと、自衛隊から米軍が百十件に対して、もうほぼ半分以上の、今度は米軍から自衛隊は六十三件という、こう増えてきています。だから、正に相互の、物品役務相互のやり取りということの実態が表れているんですけれども。  今回、改定見ますと六条、新しい六条を基にしてこれはもう無制限に協力が進むんじゃないかというような御批判もありますけれども、私は、むしろ第五条で、武力攻撃事態においても何かあったら必ず米軍提供する、自衛隊提供する、そして協力して敵に対処する、危機対処するんだと、そういう姿が表れていると思いますから、ちょっと政府の方ではこういうところをきちんと国民に説明すべきじゃないでしょうか。いかがですか。
  15. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 数字について今委員からお話がございましたけれども、確かにその六条、これは国際の平和、安全への寄与、大規模災害への対処その他の目的のための活動ということで、これが無限にこの協力関係が広がってしまうのではないかというおそれを持つという方が中にお見受けするんですけれども、委員が御指摘になられたように、全くそういうことではない。  相互に、相互の正に提供の仕組みであるということと同時に、これはACSA手続というのは、これは手続枠組みでございます。そして、この手続枠組みの下で自衛隊日本側からアメリカ提供するということについては、これは個別個別の活動ごと我が国国内法、この根拠があるのみに、ときに限って行われるということでございますので、その国内法議論過程では国会の御議論をいただくことになるわけでございまして、そういう意味では無限に広がっていくということはないということを申し上げております。
  16. 舛添要一

    舛添要一君 これ申し上げましたのは、日本だけでやっぱり危機対処できませんから、そのための日米安全保障条約であり、ガイドライン含めて、ずうっとこの日米安保条約実効性を高めるための努力をやってきているわけですから、そういう中の一環であるという位置付け、特に我々、憲法九条もありますから、いろんな意味で限界がありますので、米軍の来援を待ってしかできないと、そのためにお互いに物品やサービスの提供を行うんだと、これ是非総理国民にもっと説明していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  続きまして、石破防衛庁長官にお伺いいたします。  海上輸送規制の問題ですけれども、これは長官とももうずっとここのところ議論してきた臨検の問題ですね。私はこの臨検ということをちゃんとやれということを持論でずっと申し上げていて、今回ある意味でそれが可能になったということは喜びたいと思いますけれども、臨検拿捕につきまして、よその国というか一般の世界では、これは交戦権行使という形での解釈なんですけれども、我が国憲法交戦権、これを認めないとなっています、憲法九条で。どういう根拠で、じゃ臨検拿捕をおやりになりますか。
  17. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは先生先刻御存じのとおり、臨検拿捕ではございません。臨検拿捕というのは、結局伝統的な国際法の中で認められてきた、まさしく交戦権行使として臨検拿捕というものを行う。他方、今回の措置、提案しております措置というのは、国連憲章五十一条に定められた自衛権、そして憲法九条によって認められている自衛権、その自衛権行使として必要最小限の範囲において行うものである。ですから、今回のものが、措置臨検と異なりますのは、交戦権ではなくて、根拠交戦権に求めるのではなくて自衛権に求めるというところが異なっておるのであります。
  18. 舛添要一

    舛添要一君 余り法律解釈云々はやりたくないんですけれども、結果として武力攻撃事態でしたら、それに至る危険性のある事態でちゃんとこの海上自衛隊や我が政府対応を取って危機に至らなければ一番いいわけですよ、言葉は臨検拿捕使うかどうかは別として。  そうすると、自衛権行使として実施するならば、武力攻撃が開始する前にはできないですね。だから、せっかく予防的にやろうという、よその国はできるんですね、だけどできなくて、必要最小限と言うけれども、それでいざ日本危機が来たら、どうするんですか。
  19. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 自衛権行使によるものですから、実際、先生のおっしゃるとおり、武力攻撃が発生する前にできるかというと、それは自衛権行使を淵源に置く以上、根拠に置く以上それはできないということに相なります。  そういうような事態になってからでいいのかということでございますが、まずそういう事態にならないようにするということが第一でございましょう。  その前に、例えて言えば、それはもうどういう事態が生起するかは一義的に申し上げられるものではございませんが、例えば周辺事態というものが起こった場合に、これは日本武力攻撃を受けているわけではございません。しかしながら、周辺事態に伴う措置というものもございます。平素から情報収集や警戒監視を行うということによりまして、これは今回の措置というものが自衛権が発動され武力攻撃あってからでも決して遅くならないように、そのような重層的な対応をすべきものというふうに考えておる次第でございます。
  20. 舛添要一

    舛添要一君 交戦権行使に伴ういわゆる国際法上の臨検拿捕の場合は、周辺海域とか公海を更に越えて敵の海域においてもこれは行うことができると。我が国、今長官おっしゃったように、自衛権の範囲ですから周辺海域と公海しかできませんね。そこはそうですか。
  21. 石破茂

    国務大臣石破茂君) それはそのとおりでございます。これはこの法律にも定めてございます。
  22. 舛添要一

    舛添要一君 喜んで敵の海域に入れということじゃないですけれども予防、危機を予防するという範囲から、私は、できたら敵の海域であってもそういう疑いがあればできた方がはるかに実効性が伴うというように思っていますけれども、憲法がございますから致し方ないと思います。  同じ観点から、武器を使用して停船させるようなことについて、第三国の船舶、これが疑いがあるときに武器の使用を行うということは、これは国際法上可能ですか、それからまた我が憲法上可能ですか。
  23. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 自衛権行使に伴う措置でございます。それは第三国を相手にして自衛権行使するわけではございません。自衛権をベースに置いて、それによって行う措置でございますから、第三国相手に自衛権行使するというものを内容とするものではございません。したがいまして、これは国際法上も憲法上も可能であります。
  24. 舛添要一

    舛添要一君 停船させて、運搬しているいろんな武器弾薬含めて、例えばこれを没収することは可能ですか。そして、没収した後、これは審判に掛けたりいろいろ手続あると思いますけれども、その後はどういう手続をお取りになりますか。
  25. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 没収するということは考えておりません。占有するということも伴いません。要するに、これはそのものが我が国に対する武力攻撃に資するものというものに限っておりますことも、これは自衛権必要最小限というところに掛かっておるものでございます。  したがいまして、我が国に対する武力攻撃が終了いたしまして、もうそういうものを返しても何もそういう問題が生じないということに相なりますれば、それは返還をするというようなことにもなるわけでございます。占有でありますとか没収でありますとか、そういうことを行うのではなくて、その物品我が国に対する武力攻撃に資するということを阻止する、これを目的とするものでございます。
  26. 舛添要一

    舛添要一君 憲法の制約がありますし、今の長官の説明はよく分かります。しかし、現実に武力攻撃ないしそれが予想される事態において、予測される事態において、今の形だと十分じゃないことになり得る可能性は十分あるんです。  だから、私はやっぱり、冒頭総理に申し上げましたように、やっぱりこの国は普通の国じゃないと申し上げたのは、臨検拿捕を堂々と、独立国ですから認めることあっていいと思うんですけれども、憲法がある。私も憲法改正議論をしていまして、九条について、一項、これは自衛権を認めるとか国際協力のために自衛隊を活用するというのはあってもいいけれども、国の交戦権を認めないという方のは、これはやっぱり国民の反対が非常に多いと思います、交戦権の方は。ただ、これも先ほど総理おっしゃったように、憲法改正と結び付けて議論しているわけではありません。しかし、こういうふうによその国が、普通の国が備えているいろんな法律を備えていくと、交戦権の問題にこの臨検拿捕関連で引っ掛かってくる、抵触してくるわけですね。  ですから、私は、あらゆる情報があって、あらゆるいろんな知識を動員して、やっぱり憲法改正というのはみんなで議論すべきだと思いますから、私この議論をやる前は、交戦権については全くもう触れないで、改正する必要はないんじゃないかというように考えていましたけれども、この臨検拿捕の問題を考えて、よその国との比較を考えると、この交戦権の問題も実を言うと憲法改正議論から頭から除外するということでなくていいんではないかと。むしろやっぱりこのことも入れて、こういう場合もあるんですよと、しかし、それは交戦権はこれを認めないという憲法の範囲でも、今、石破長官答えられたように、十分対応できますよという議論をするのか、いや、やはりそれは国民の総意を得て、自ら好んで侵略戦争をやるわけではないけれども、やっぱり交戦権を認めてないとこういう困ったことも起こりますよという議論はしていいと思いますけれども、この点は総理、いかがでございますか。
  27. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 臨検拿捕については以前からこの交戦権の問題と自衛権の問題、なかなか微妙な問題で、現実の事案の勃発したときの対応でも様々だと私は思っています、解釈において。  そういう観点から私は、実際、憲法改正の論議で、今の、交戦権は認めない、相手が攻撃しない限りは何も対応はできないという点で、どうやって身を守るかという問題もいろいろ議論がなされてきたと思いますので、今回のこの法案とは別に、憲法改正議論の中で今の御指摘のような問題は十分詰めていく必要があると私は思っております。
  28. 舛添要一

    舛添要一君 自由な民主主義の国ですから、いろんな議論をタブーなくやりたいと。ですから、これ、マスコミの皆さん方にもお願いしておきたいんですけれども、ついこんなことを言うと、また軍国主義に戻るような反応をなさるマスコミが一部ございますけれども、そうじゃなくて、今総理がおっしゃったように、やっぱりみんな真剣に考えて、それで国民がそれで認めないなら認めないということがあっていいというふうに思います。  最後に、ジュネーブ条約関連、つまり捕虜関連の話をいたしますと、これも戦争しない国だから捕虜なんてあり得ないということで何も手付かずだったんですけれども、こっちがしなくたって向こうが攻めてきてそれに自衛権の発動で相手の兵隊捕まえたと。だから捕虜ですね。  今、アメリカが非常に大きな問題になっているのは、イラクでの捕虜の虐待、これは毎日のように大問題になっている。大統領選挙の帰趨さえすら決めかねないようになっている。是非、ただ単にジュネーブ条約のこの捕虜の規定を受け入れるだけじゃなくて、ちゃんとああいう不祥事が起こらないようなことを我が国はやるのか、やるだけの体制を整えているのか、よもや自衛隊がああいうことをやりませんでしょうねということをくぎ刺しておきたいと思いますが、総理いかがですか。
  29. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、捕虜に関して日本は日露戦争以来、大変丁重に扱ったということでも評価を得ている国でありますので、今、最近の事象を含めて国際条約を遵守する国であるという意識体制はきちんと整えておかなきゃならないと思っております。
  30. 舛添要一

    舛添要一君 終わります。ありがとうございました。
  31. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。  御苦労さまでございます。お疲れじゃないですか。また、さっきちょっと同僚委員と話したんですが、疲れぎみじゃないかと。激務ですから疲れると思いますけれども、是非頑張ってもらいたいと思いますし、要は頑張ってもらいたい、しっかり答えてもらいたいという意味で頑張ってもらいたいと思います。  この今、会期も、総理、あともう十六日でわずかになりまして、昨日本会議でこの関連法案、そして今日は特別委員会ですけれども、まあ今日も、そしてまた理事会では明日も質疑をしようということになっております。  ただ、ここ最近ちょっと永田町周辺で、六月十六日まで会期、これは会期延長はなしと、それは参議院選挙もあるということで、いち早く、私の記憶ですと政府の方が会期延長はなしよということで決めて、多分今度の会期へずっと入っていったと思うんですが、いや、どうも残り少なくなってきたというので、年金法案だ、いろいろ山積する法案がある、会期延長一週間とかそんなことが飛び交っているんですよ。  総理大臣、会期延長は全くないと、会期、この会期内で一生懸命やりましょうよと、念頭にないですよという答弁だと思いますが、冒頭そのことをお尋ねさせていただきます。
  32. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今年は参議院選挙を控えておりますので、もう当初から今国会は会期延長なしで審議に精力的に努力しようということだと思っております。会期末を控えまして、連日こういう審議が活発に行われているのもそのような方針の下でのことだと思います。  私は、国会対策等につきましては、党の執行部、国会対策の方々にお任せしておりますので、私も会期内にすべての法案が議了するように、指示に従いながら委員会に出席しておるところでございます。
  33. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今回の国会は、まあある意味では、この有事関係法案もございますが、冒頭から、昨年からいわゆる政府・与党側からの方の、五年ごとの再計算ということでの年金国会、年金国会というのを言われていまして、このことが今、私ども参議院での厚生労働委員会で中心に議論をしておりますが、このことが多分大方の方々の念頭にありますからそういう話が出るんじゃないかと思いますが、私たちはこの限られた会期の中で様々な法案について議論をしていくということでありますので、今総理自身のお考え方、その点についてはある意味では一致するところであります。  さて、私ども民主党、そして自由民主党、公明党が緊急事態基本法、仮称ですけれども、この制定の必要性ということで、過日、三党幹事長で、この緊急事態基本法ということで、骨子ですけれども、サインをしまして、実は私自身も与野党協議会のメンバーでありまして、実務的には携わっておりましたので、ただ、主体的にはそれぞれが、責任者もいたんですけれども。  冒頭、昨日の本会議でも私どもの同僚委員から井上大臣に基本的な考え方を聞いておりますが、今日は総理出席でございますので、まず、この緊急事態基本法、来年の次期通常国会、来年、次期通常国会、来年ですけれども、このことについて合意された意義、制定に向けた意気込みについて総理としての考え方を述べていただきたいと思います。
  34. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、以前から、この危機といいますか緊急事態に対して国民の生命、財産、いわゆる安全を確保するということについては、できるだけ多くの政党の賛成を得る形で法審議がなされ、法整備がなされるのが望ましいということを考えておりました。今回、そういうことを考えますと、民主党と与党合意して、新たな法整備がなされるということについては高く評価しております。  今後、どの政党が政権を取ろうとも、緊急事態が起こる場合の対応は政党が違ったら違うということではないと思います。どの政党が政権を取ろうが、国民の安全を確保するためにはどういう対応をするかというのは、私は同じ対応であってしかるべきだと思っております。そういう観点から、与野党が真剣に議論して、党派を超えて平時から有事に備えるということで協議がなされたということについては敬意を表したいと思っております。
  35. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 次期通常国会で制定しましょうということもよろしいですね。
  36. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 詰め切れない問題についても、お互い協力しながら次期通常国会で問題点の解明と、どのように協力できるかということを詰めていこうということで既に合意されていると承知しております。
  37. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そこで、基本法の骨子の六点目に、「緊急事態における体制の整備」というのがあります。  ここが、合意した内容が、「政府緊急事態に迅速かつ的確に対処するために、内閣総理大臣(内閣)の判断を適切かつ機動的に補佐する仕組みを設けるとともに、対処・予防措置の効果的な実施体制を担保する組織を整える。」と、こういう私ども合意をいたしました。  これは非常に、でも幅があります。御案内だと思います。私どもは、具体的に危機管理庁というのを、組織をやっぱりきちんと明確にすべきではないだろうかと、このことは大方、政治レベルでは、政党レベルでは合意をされているんですけれども、文書にはしていないですが、その会議の中では。ただ、与党の方の皆さん方は、これは当然のことながら、役所、行政の方ともいろいろやっぱり具体的には照らし合わせましょうということで、どういう役所を作る、いや、省庁再編もあったねと、あるいは数の問題もありますねということで、そういう意味では、ある意味じゃ各論に入りつつあったんですが、率直に申しまして、危機管理庁というのは私は設置を明確にある意味では一致をして、ここは表現をしながら、内容について、では詰めていきましょうというところの骨子に、私どもは求めました、しかし、危機管理庁という組織については明確に表現できなかったということがあるんです。  このことについて、今日は修正提案者はお呼びしておりませんけれども、これは総理、あるいは大臣井上大臣お聞かせいただきたいと思いますが、今私が申し上げた、与野党協議の中での危機管理庁、新たな組織を設置するということについて、そういう政治レベルでの、政党レベルのある意味では方向性、雰囲気について受け止められていられるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  38. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) その新しい組織についての議論が真剣に交わされたということは私も承知しております。  そこで、危機管理体制、今各省庁連携しながら進めておりますが、実際、総理に就任してから、何か事が発生した場合に各省連携取ります。それは実に様々なんです。ある一つの事件には二つ三つの省庁連携を取れば済むという事件と、別の事件が起こった場合には二つ三つの省庁連携では済まないと、ほかの省庁協力連携をしなきゃならない問題出てきます。  そういう点も含めて、今、常に縦割りだけに陥らないような、横の緊密な連携を取らなければならないということは常に意識しながら有事に備えているわけでありますが、仮に、仮に、じゃ危機管理庁という新しい機構、組織ができたとします。そうすると、そこだけで済まない、必ず済みません。災害一つ取っても、地震のときの災害、台風のときの災害、あるいは何か予想もし得なかったようなほかの災害、それぞれによって危機管理庁が、例えば仮にそういう仮称の危機管理庁という役所が、新しい役所ができたとしても、ほかの役所の協力を求めざるを得なくなってくるんです。ということも含めて、これから考えていかなきゃならない、検討をしていかなきゃならない課題だなと思っております。
  39. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 我が党は、すべてそこで、危機管理庁でやろうなんということではないんですね。その横の連絡を取りましょうと。しかし、縦型のやっぱりきちっとした指揮命令系統という意味での、私は申し上げさせていただいているので、また、ここでは時間も限られていますので、引き続きまたこの点につきましては煮詰めさせていただきたいと思います。  さて、緊急事態における体制の整備、先ほど私も申し上げさせていただきました。このいわゆる、内閣総理大臣、内閣、今回の一連の有事法制国民保護法制、以下関連法案ですが、この一番頭脳なりいろんな様々な中枢部門の官邸官邸の私は、これまで最近、そして現状の危機管理体制というのは一体どうなっているのかなということで幾つかお尋ねさせていただきたいと思うんですよ、官邸自身の。  一つは、なぜこの特別委員会で、何だおれのまた国民年金未加入、加入問題を聞くのかよというふうに言われるかも分かりませんが……
  40. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いいよ、いいよ。
  41. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 どんどん聞いてと言っているので聞きますけれども。基本的には、国民年金法を今、国民年金、失礼しました、年金、様々な改悪、改悪と我々言っていますが、改正を今提案されて今議論をされていますが、この間のやっぱり議論は、国会議員の加入あるいは未納等ありました、それから基本的には制度的な問題もありということで、これがある意味ではミックスしてきていると思うんですね。  ですから、私は、率直に申し上げまして、さっき会期延長の話を申しましたけれども、総理自身の今念頭の中には、自分自身のこともありますけれども、もうこの際、国民の方々にこれだけ政治、政党と、国民の方々の年金の問題について不信、不満が高まったと。もう一切、この今法案というのは白紙にして、白紙にしてやり直した方がいいんじゃないかというのを思っているんじゃないかなと、思っているんじゃないかなというふうに思いますが、まずちょっと、さっきの官邸危機管理ということもありますけれども、そんなお気持ち、いかがですか。
  42. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私も、いろいろな議論が出てくるうちに、早く現在の政府案を成立させて、そして一元化を含めた制度論に入った議論をしていくべきだなと思っています。  というのは、この一元化の議論と社会保障全体の議論を進めていく場合には、まず一元化の議論をしようとする議論でも一、二年掛かります、これは。一元化によって、どういう一元化がいいのかと、また、それにしようといった議論でもかなり時間が掛かる。そして、それでは仮にそれが一元化していこうという結論が一、二年後出たとする、そのときにまた国民の理解を得るのに私は数年以上掛かると思います。納税者番号一つ取ってもですね。所得比例というのはどういうことかという。じゃ、保険料を上げない代わりにどういう税項目をやるのかと。消費税、年金だけの目的消費税でいいのかという議論が出てくる。これだけ取ってたって数年掛かりますよ。  だから、現在の法案を早く成立させていただいて、今回の審議も踏まえていろいろな、各党が協議して新しい制度が必要ならばそれに進めて向かっていくべきであるというのが私の率直な考え方であります。
  43. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私どもの政党の民主党の案は衆議院で残念ながら否決をされまして、しかし三党合意ということで抜本改革ということについては合意をして、抜本改革に向けてとしては、ということではあるわけですから、これはある意味では政党である以上努力をしていこうということですが。  しかしながら、今、大方の国民の方々が各種新聞世論調査で、今、この国会に対して出されている法案はもう白紙に戻してほしいというのが国民の声ですよ、国民の声。私はそういう意味では、国民の声に素直に聞こうといったって、もう提案しちゃってここまで来ちゃったから、もうとにかく通してほしいよという、そういうことじゃないかと思いますが。ある意味では、率直に国民の声をやはり受け止める政治、政府であるならば、素直にこたえるべきではないかなというふうに思います。  総理自身、昨日、広野議員が本会議で、これは菅直人前私どもの代表衆議院議員が本会議で、総理、サラリーマンの経験あったんですかねという話で、それは衆議院で、それはサラリーマンの経験なかったと、それを指摘をいたしまして、総理から御指摘のあった期間と、これは議事録、速報ですが、途中省略いたしますが、当時は議員秘書、後に衆議院議員との兼職という立場にあり、サラリーマンと聞いて国民が一般的に思い浮かべるいわゆる会社員ではありませんでした、一般的に思い浮かべるいわゆる会社員ではありませんでしたというのは、どういう会社員なのかなと。サラリーマンの経験がないとの私の発言はこうした点を踏まえて申し上げたものでありますということなんで、この一般的に思い浮かべるいわゆる会社員ではないということ、それから勤務実態は、どういうふうな勤務をされていたのかなと。それから、どういう、どれぐらい給料をもらっていたのか、もう古いから覚えていないということじゃなくて、大切なことでありますので、お答えいただけたらと思います。
  44. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、私が初めて選挙で落選した後、私を応援していた会社の社長、実に太っ腹でいい人でした。私は悩んでいたんですよ、これから身の振り方どうしようかと。私以上に残念がって、私の落選を。そこで、あんたね、もうこれから次のことを真剣に考えろと、一回ぐらい破れてくじけちゃいかぬと、これからも応援するから頑張れということで、その社長さんは、私の会社の社員になれと、そしてあんたの仕事は次の選挙に当選することだと言ってくれたんです。実に有り難い人でした。それで、選挙運動一生懸命やりなさいと、社長さん自ら知っているところを一緒に回ってくれましたね。  そういう非常にいい方の支援の上に私の今日があるんだなと、今でもそれを思うと感謝しております。私は、総理を辞めたらその会社の社長さんのお墓参りをしたいと思っているんです。本当に有り難い方でした。
  45. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いやいや、きっかけは分かったけれども、きっかけは分かったけれども。いや、総理、きっかけは分かりました、きっかけは。  そうすると、今、大変なことをお話しになっているんですよ。あなたの仕事は次の選挙に当選することだと。いや、一般論としてはあるんですよ、一般論として。選挙頑張れよということだと思います、で、在籍をしたのでしょう。だから、そのことが昨日答弁の、サラリーマンと聞いて国民が一般的に思い浮かべるいわゆる会社員ではありませんでしたと。だから、会社に行っていなかったと、仕事、仕事は当選するために頑張れよということだから、仕事をしないと。  で、なぜ言うかというと、厚生年金なんですよ。これ、何をおまえは聞きたいんだということだと思う、そういう、もう多分脳裏に浮かんでいると思うんです。厚生年金に加入していることは事実ですと、不動産会社での勤務実態がなかったということではありませんと昨日おっしゃっているんですよ。だから、どういうサラリーマンのお仕事をされてどういう給料をもらっていたんだと。ただ、いろいろきっかけは言われていましたけれども、どういう勤務実態。勤務実態がない人に厚生年金の加入するなんて、雇用者はこれは法律違反になりますよ、これは。
  46. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは会社によって違うわけですよ。会社によっては、一年間何も会社に出てこなくていいと、一、二年外国旅行してくれ、こいという社員もいるわけです。様々です。  あんたの仕事は次の選挙で当選することだと、これは実にいい社長でしたね、会社なんか来なくていいと言うんだから。たまに会社の旅行会とか、あるいは大事な人が今日は来るから来たらどうかというお誘いは受けましたよ。そういう方、世の中にいるんです。これが会社の実態、全部、社員と同じように仕事すればいいというものじゃない。私は、先日、一、二年何もしなくてぶらぶら遊んでいろと言った会社、これまた大した社長だと思いますよ。そういう社員もいるわけですね。  だから、すべて皆さんが考える、毎日毎日会社行って、決められた時間、社員と一緒に机並べてやるというのが一般の考えだとサラリーマンだと思いますが、もう三十年以上前はそういう太っ腹の、見返りを期待しないいい社長、いい支援者というのはたくさんいたんです。
  47. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 総理ね、この期間というのは秘書であり、そして国会議員になっていく、なったりした時代も入っているわけですよ。重なっていくわけですよ。言われている、言われたこと、それはある意味じゃ本音に近いこと言われているかも分からない、大部分本音かも分からない。ある意味では政治家として大変なことをおっしゃっているんですよ、それは。大切な、大変な。  社会保険庁、いらっしゃると思いますが、この厚生年金加入というのは、いらっしゃる、厚生年金加入というのは、これ、勤務実態、今の総理が言っている、勤務実態は全くないでしょうが、今まで言っている限りね。そういう人にこの厚生年金が適用されるんですか。ちょっと教えてください。
  48. 小林和弘

    政府参考人(小林和弘君) 厚生年金の適用につきましては、基本的に常用的使用関係ということを前提としてございますけれども、個別のそれぞれの就労者とその会社との関係、その就労の形態でございますとかその職務内容、そういったものにつきましては、ケース・バイ・ケースと申しますか、個々のその状況に応じて総合的にその被保険者資格として取り扱うのが適当かどうかというような観点、総合的な観点から判断がされるということでございますので、個別具体的な事例に即して判断されるということでございます。  特に、法人の理事さんでございますとか取締役、そういう役員の方々につきましては、またそういうそれなりのその勤務実態、その企業なり会社の中における様々な形の勤務の形態があろうと思いますが、そういう法人の理事さんや取締役等の役員さんにつきましても、労務の対象として報酬を受けるという場合には、法人に使用される者として被保険者資格の取得をさせるように従来から私どもは指導しておるところでございます。
  49. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 総理の厚生年金加入歴を、既にいろいろ公表されています、特別秘書官もお話しになっていると思いますが。一九七〇年四月、福田赳夫議員秘書となる。そして、同時期に横浜市三福不動産社員となる、厚生年金加入。一九七二年十二月衆議院議員初当選。一九七四年、二年後ですけれども、十一月厚生年金脱退と、こういうわけですね。  だから、先ほど言っていた勤務実態、頑張れよ、次の選挙頑張れよということで社員になった。社員になって今度、なって頑張れよということで、見事初当選されたと。初当選された後も年金に入っていたんですよ。厚生年金に入っていられたということ。  で、今、私は社会保険庁に、お話しになったのは、勤務実態かどうかというのは、これは今個々のケースだと言ったけれども、普通の一般の会社員だとかサラリーマンの人に今みたいな個々のケースなんということを強調していられたら、もういら立ち、もう暴動でも起きますよ。普通は、就労者の労働日数、労働時間、就業形態、勤務内容というのを勘案して、雇用する側もされる側も大体厚生年金というのは加入していくんですよ。個々のケース、おれはいいんだ、遊ばしていりゃいいんだ、それは雇用責任者が、そうだ厚生年金入っていいよと、そういう太っ腹な社長だったのかも分からない、そのときは。  しかし、問題は、衆議院議員初当選、そして厚生年金脱退というのはそのときじゃなくて二年後ですよ、二年後。これは私は、勤務実態がない、前段もないし、そして衆議院議員初当選し、衆議院議員で、いろいろ仕事をされない、まさしく三福不動産とか勤務実態がないと、これ全く考えられない時代にも厚生年金入っていたということじゃないですか。どういう御答弁されます、それ、お考えは。
  50. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは当選して喜んでくれましてね。それで結局、当時忘れましたから、三十年前、政治資金規正法もまだ三木内閣以前ですから、総量規制もなかったわけでしょう。政治活動は政治家である限りは届出必要ないという時代でしたよね。今から比べれば非常におおらかな政治資金の時代だったんですよね。その後、かなりたって、政治資金というものはやっぱりあった方がいいんじゃないかということで改正されたんだと思いますが。その以前はよく分かりませんが、まああんたも当選したからもうそろそろいいんじゃないかという、社長がそう言ったのかどうか覚えていません。ともかく私も当選しましたから、もうその社員である必要もないと思ったんでしょう。今、どういうことでそれを抜けたのか、ちょっと記憶にありません。
  51. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そういう答弁を、総理、一国のリーダーがされるということが本当に私は悲しくなりますし、きちんとやっぱり届出をする義務が雇用責任者というのはあるわけですよ。それは当時の、今それが記憶取り戻されて、いい社長だったというふうに言われるかも分かりませんが、もう当然、その以降、厚生大臣経験されていますから、今日まで何十年過ぎていくと、当時のことだけを思い出すんじゃなくて、やっぱり本当は厚生年金法に逸脱していたんじゃないだろうかというぐらい思って答弁していなきゃ合わないじゃないですか、話が。当時だけの話をして。引退しているんじゃないんですから。現職の総理大臣なんだから、あなたは。そこがかみ合わないどころか、ますます今の年金法案そのものについて、いろいろ議論していても、国民からますます距離がどんどん遠くなるばかりなんですよ。これやりますと、ずっとあと持ち時間なくなりますから。  ただ、これは、もう一つ、払うべき期間が払っていましたよというのが総理も言っていますし、飯島秘書官も言っていますが、払うべき期間が払っていないのあるんですよ。払うべき期間、要は払うべき期間、加入をすべきときに加入していなかったということもありますが、本当にこの話をしますと、私もう終わりますので問題点にしておきます。  それで、私は、先ほど申しましたとおり、もう本当に白紙に戻すべきじゃないですかと、今の審議、廃案。まあ廃案というのは私たち言いますけれども、そのぐらいの思いですよ。  それから、今たまたま飯島秘書官の名前が出ましたけれども、これ、二つありまして、一つは、いろんな週刊誌ありますから、この週刊誌の名前だけ出して言うというのもある意味では適切ではないかも分かりませんが、小泉総理のこの年金問題では、総理大臣首席秘書官の地位にある人物が不正常に流出した本誌ゲラを入手した上で発売前の記事に反論する形で緊急会見を開くことは権力を持つ側の事前検閲にもなりかねないという、これは週刊ポストなんですけれども、記事があるんですよ。実際、記者会見のときに、週刊ポストが事前に出てきたんで手に入れて飯島さんというのは会見をしたというのを、それはもう飯島さん自身もやり取りをしているわけですね。事前検閲か、当たるかどうかというのは、こういう、これを見ている限り私は、総理首席秘書官として私はあるまじきやり方だなというふうに思いますんで。  これはちょっとまたもう一つがあるんです。日本テレビの、これは訪朝問題やりますけれども、御苦労さまでございました。  行く前に飯島さんが会見しています。日本テレビの、米、食糧支援二十五万トンというのが報道が流れたと、何を言っているんだというようなことで、日本テレビなんていうのは同行させないと、取材同行にという記者会見をして、その後、細田官房長官は、ある意味では修正した。同行されているんでしょうけれども。  私は、特別秘書官のこの会見の在り方、官邸として、本来ソースが細田官房長官でしょう、元々。まして訪朝問題でいえば、そういうことを言う、あるいは総理自身が自ら言うわけであって。これはもう、私も過日外交防衛委員会でもやり取りをさせてもらいまして、ただ、防衛庁長官外務大臣、直接の所管でないですから直接のやり取りはできませんでしたけれども、思いのたけは言ったつもりですけれども。  これは官邸の在り方として大問題でありまして、言論の自由、報道の自由を正にこれは本当に否定をするやり方でありまして、さっきのゲラ刷りのことも含めて、ありますが。長い御苦労をされているいろんな関係だと思いますよ、総理と飯島さんの関係あるけれども。公職にある人、もしこういったことが飯島さんじゃなくて普通の一般職の公務員がやった場合、もうそれは更迭でしょう、怒り心頭。  総理、いや、頑張れよということをやるんですか。大変な問題だと思います。大変な問題だという認識があるかどうか。そして、私は今、飯島秘書官というのはむしろ官邸でこういうことをされているということについては私は問題ではないかと、こういう認識に立つかどうか。
  52. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) その週刊誌の記事の件についても、これは記者諸君がこういう記事があるかと問いただしてきたそうです。記者諸君ですよ。検閲じゃなんか、何してもないんですよ。そこを誤解しないでいただきたいんです。それ国会議員も知っていたそうですよ、記者諸君がこのゲラを、発行前に。だから全然違うんです。そういうのをして初めて知った。だから、記者が問い詰めるから、どうだどうだと。そこで、その記者の問い合わせに応じてかくかくしかじかと話したと。だから、検閲でも何でもありません。記者の方が事前に知っているということは、さすが記者だなと思いますね。  それと、日本テレビ問題も、私は当日の新聞で拝見しました。だから、これもそういう話じゃなかったといいます。非常に誤解があるそうです。だから、こういう話じゃないというから、官房長官に、記者の諸君に対しては正しい報道をしてもらうように、やっぱり官邸と記者諸君との関係は円滑にするようによく調整してくださいといって官房長官に指示して、うまく収まったんじゃないでしょうか。
  53. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 総理、新聞見て、飯島秘書官がそういう会見をしたということをする、官邸としておかしくは思いませんか、そういうことを、そういうふうに。むしろ大変だと、何でそんなことを言ったんだということは言われたと思うんですけれども。まず、事前に、事前に、事前にそれは飯島秘書官からそういった、むしろ総理より官房長官かも分かんないですね、むしろそのことは、総理自身より。官邸内部、官邸、官房長官と副長官がいらっしゃいますけれども、どういうふうになっているの、それ。
  54. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 若干経緯について、誤解がおありになる点がございますので、申し上げます。  十六日の日に日本テレビが報道をしたときに、これが非常に今後交渉上重要な点について具体的な数字まで挙げてこれが確定したような報道がなされたということで、中で大変な怒り等が渦巻いたことは事実でございます。そして、実際は会見等はやっておりません。  むしろ、従来からの流れで、中で、同行記者団の選定とかそういうことが行われるわけでございますが、そこで特定の社の同行記者団の名前が入っていないというような事態が出まして、そして記者団との協議が開始されて、かなりの激しい議論が行われたということでございますが、それを聞きまして、私は、十九日の日にそのような正式な私に対する質問も会見の場で出ましたので、それはよく見るということで、午前中の会見では検討するからと、実態その他も含めまして。そして、午後の会見で善処をするということを申しまして、直ちに北朝鮮に行く場合は現地に派遣の人もおりませんし、特派員もおりませんし、支局等もございませんし、これが報道上の不平等になってはいけませんので、問題は問題として、先ほど申しましたような悪影響を与える報道は控えてほしいという要望をしつつ、すべてを元に戻して同行していただくことに決めたと、こういうことでございます。
  55. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 飯島さんが会見したというのは、私、訂正します、それは。  ここは、飯島秘書官が、これ私ども、これは現場にいるわけじゃないですから、これは私自身も報道を聞きますと、日本テレビは北朝鮮への人道支援の内容として二十五万トンの米支援で最終調整と十六日に報道したこと、このことを同行記者団から排除された直接の原因だと。日テレが内閣記者会に説明した。秘書官から、当日の十六日、訪朝を妨害するために報道したのかと、取り消さなければ同行を認めないと、同社に抗議の電話があった。総理官邸から外務省にも同社を排除するように指示があった。日本テレビによると、飯島秘書官は、ニュースの情報源を明らかにすれば同行を許可すると、ニュースソースの開示を要求、さらに日本テレビの代わりに雑誌社を同行させると、こういうふうに伝えたと。これが報道内容。だから、会見でそういうふうに言ったということじゃなくて、飯島秘書官自身がそういう行動を取った、日テレがそういうことを公にしたと。  だから、私は、言論の自由、報道の自由、報道内容が政府にとって気に入らない、政府に姿勢が悪いと報道するメディアは排除するというような考え方を持っている人が官邸にいる。慌てて、報道に出たから、総理自身がこれどうなっているんだということで細田官房長官に会見をしろということになったと思うんですけれども。  私は、先ほども、冒頭から言いました、この官邸、内閣の機能強化ということが大きい意味でございますが、今、官邸自身がですよ、国民保護法制だとかいろんな国民の皆様と、様々な基本的人権だと言っているけれども、官邸にいる首席秘書官自身がこういう報道の自由、言論の自由を侵す、大変なことじゃないですか。
  56. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、その報道の自由とか言論の自由を侵す気は全くございません。むしろ、報道関係と円滑に、正しい報道をしてもらうように、よく配慮するようにということを指示しているところでございます。
  57. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、侵すなんということがあってはならないというのは当たり前の話ですよ。実際行なったんですよ、行なったから問題だというふうに言っているんで、そのことについての認識がないじゃないですか、総理自身。
  58. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 食い違いがあったということであります。今はすべて円滑になされていると思っております、やり取りはどうか知りませんけれども。
  59. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 総理自身は飯島秘書官とどういう話をしたんですか、その後、その後。何にも、何にも、何かペナルティーというのは何も、注意じゃ済まされないと思いますよ、私は、通常で言えば。何もやり取りなかった、官房長官も含めて。
  60. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、報道を見てどうなっているんだと。いや、この報道は違いますということでありましたから、善処しろと指示しておきました。
  61. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 私も、善処するという、記者会見の前によく打合せもし、話も聞きましたけれども、当人もこれは非常に遺憾なことであったと、つまり報道について遺憾なことであったと思ったので非常に強いことを言ってきたけれども、最終的には当然元に復すことは分かっているので、どうぞ官房長官に、善処するということでまた元に戻してくださいと、こういうことも聞いております。
  62. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 まあ、やりたい放題、しゃべり放題、国民に与える、様々な官邸からもたらした発言が、報道関係国民に対してもたらした影響というのをその程度の認識でいるということ自体が小泉内閣の私はいい加減さだと思いますよ、本当に。大変な、私は、考え違いをしているんじゃないですか。こういう答弁で、ここでは時間が過ぎていけば終わるかも分かりませんが、もっともっと計り知れない不信がどんどんどんどん増幅しているということについて気付かれていないとしたら大変なことですよ。あなた自身が、私たち野党が処分をしろって、処分できる立場じゃないですから、幾ら言ったって。そういう危機意識がない官邸であるということだと思います、私は、本当に。問題だと思いますよ、本当に。  私は、官邸の権力に対する感覚が、私は麻痺をしているんじゃないだろうかというふうに率直に思わざるを得ませんね。総理自身の年金問題あるいはこの今の秘書官の問題、訪朝同行の問題、それから細田官房長官が昨日も、おとといも内閣委員会でいろいろ質疑もございました、いわゆる給与、運転手さんの給与肩代わりの問題。これもやりますと、あと残り時間、これ全部になっちゃいますからですね、これも報道とか議事録を見ますと、細田さんを本当に官房長官に御指名して、指名して、総理、良かったのかなというふうに思いますが、多分、今みたいなやり取り聞いていると、どうも頑張ってくれと言ったようですから、これもまたある意味では官房長官の私は任命権者としての、私はある意味での資質を疑いざるを得ません。  総理、あれですか、これ、時間もありませんから、細田官房長官のいわゆる日本道路興運が指摘された、派遣されたドライバーの話なんですけれども、これは所得隠しを指摘をされて使途を明らかにしませんでしたけれども、使途秘匿金と認定されて制裁課税を受け、その結果全部で二億四千万国税局に納めたと。四〇%の重加算税が実は課せられても使途を明らかにしなかった会社です。会社は、長官に三千百万円を超えるお金が長官に渡っています。  一つ、これは道義的な点もそうですけれども、これ、長官自身のやり取りはおとといの内閣委員会でも取りあえず終わっていますけれども、この事実は官房長官から総理に報告があって、総理からどういうことを官房長官にこの件では話がされたのか、そのことだけお尋ねいたします。
  63. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 細田官房長官から直接報告がありまして、過ちは改めるように、政治資金規正法に対してはしっかり対応するように、そして、今後仕事をきちんとこなすように指示しておきました。
  64. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 飯島特別秘書官もそのまんまだし、細田官房長官もそのままだし、改めてどういう総理大臣、どういう官邸かなというふうに、内閣かなと思います。トータル的に言えば、総理自身も、先ほどの厚生年金加入時代についても、まあ、ごく、どこか町の中で普通の人が普通に話していれば別ですけれども、政治家、今総理大臣があのようなことを言って、この特別委員会で、もう信じられませんし、そして、未加入、未納の国務大臣に対してもしっかり頑張れよでしょう。しっかり頑張れよという未加入、未納それぞれの大臣がいて、多分大臣の中には、おれはもう針のむしろに座っていて辞めたいよという人がいるんじゃないかと、本音では。あるいは飯島秘書官だって、もっと怒られるんじゃないかと、首にされるんじゃないだろうか。細田官房長官だって、もっときついことを言われるんじゃないか。けじめも付けない、全く。無責任内閣、これは総称してこう言わざるを得ないんですよ、そうなんだから。  十七分しかなくなりまして、訪朝関係、訪朝問題ですけれども。  今度の訪朝の目的、いろいろ昨日も報告いただきました。拉致家族の問題もありました、あるいは核開発問題もございました、あるいは国交正常化という大きなプロセスの上での大きな歴史的な課題がございます。  総理として、どれとても重要かも分かりませんが、最も、最もこのことを念頭に置いて今度の日朝交渉に臨んだというふうに考えていますか。
  65. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私の一番重視している点は、いかに日朝の不正常な関係を正常化するか、これにあります。そのために何が必要かという観点から、今回訪朝を決断いたしました。
  66. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 日朝交渉の再開、これはもう一つは、この六者、六か国協議というのがこの核開発問題でありますね。二国間では拉致問題というのが主ですけれども、しかし二国間ではまたないわけですね、拉致問題については国連でも提起し、六者協議の中でも言っておりますから。  そこで、私は、日朝の再開というのが主眼ですけれども、当然その六者の中にはアメリカ合衆国アメリカが入っておりますけれども、たくさん具体的なことをお聞きしたいんですが、当面、今五人の拉致家族の、家族の方が帰ってこられたと。いわゆるジェンキンスさんとお二人のお嬢さんの問題であって、総理自身が、アイ・ギャランティーというふうに、日本語で言って、そばにいる役所の方が英語で書いたのか、これはあれですけれども。  ここを言って、今、ジェンキンスさん、曽我さんとの家族との対話なり、どういうふうにするかということについて、場所の問題とか期間の問題やられていますが、本来私は、これは再訪朝前に、再訪朝前に決着を付け、考え方を整理をして再訪朝に臨むというのが基本的な考え方じゃなかったんですか。今、帰ってきて、慌てふためいてと言うのは失礼かも分かりませんが、いろいろ努力をされていますけれども、ちょっと順序が逆じゃないんでしょうか。その点についてお尋ねいたします。
  67. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、私がジェンキンス氏と会ってアイ・ギャランティーという、書いたという報道がなされているのは知っておりますが、あれは全く事実に反します。報道というのがいかに事実に反することをあたかも事実かのように報道するかなとあきれているんですけれどもね。あれは、私が言ったことを、私が書いたんじゃなくて、こういうことだといって外務省の人が英語でメモにまとめてジェンキンスさんに見せたんです。私がじかに書いたわけじゃありません。  それで、事前にこういう問題はアメリカ調整を付けておくべきじゃないかという議論があるのは承知しております。  しかし、これはよく考えてみれば、事前に話の付く問題じゃないんです。今、ジェンキンス氏が帰っていないのにアメリカと交渉して、どなたと交渉して、責任ある立場の方と相談して、いいですよと、アメリカの立場に立って考えてくださいよ、そんなこと言えますか。しかし、アメリカとの信頼関係において、ジェンキンスさんが帰ってきたらば、現実の問題として、法的には難しいけれども、それは私も一緒にジェンキンスさん、曽我さん御一家が一緒に暮らせるように最大限努力しますよと。事前にそんなこと、アメリカが、帰ってきた場合は一緒に暮らせるように、あるいは全部保証しますよと。今までの法律的な問題、全部、恩赦しますよとか、もう訴追はありませんよとか、そういうような公式的な場で言えることはできないということも考えておかなきゃいけないんです。
  68. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そんな公式的な場所で、日米関係でジェンキンス帰ってきたら日本へどうぞ、曽我さんと一緒、家族と一緒にどうぞなんて言うわけないじゃないですか。しかし、何らかのアクションをされて、何らかのある意味では日米関係でやり取りがあって、確信があるからこそ総理自身がジェンキンスさんと話したんでしょう。ということだと思うんですよ。  そうでなければ、あるいは外務大臣だってたしか五月十四日にパウエル長官と会っていますよね。そのときに、たまたま、訪朝しますと、総理が訪朝します、ひとつよろしくお願いしますなんという程度の話だったら私は電話でも何でも済む話ですから、幾つかいろんな様々な課題を話をしている、それが外交だと思うんですよ。公にすること、非公式に外交すること。  それから、報道、何でも報道なんていろいろなことを言われていましたけれども、総理、あれですか、ちょっと「不明十人再調査、正常化交渉の前提に 見解が相違」という、私もこれ会見を見ていてびっくりしたんですが、総理自身は、この十人の真相、拉致被害者十人の真相究明を再開の前提とするということを細田さんや、細田さん今出られましたけれども、自民党の安倍幹事長も、この問題が解決しない限り国交正常化交渉が進まないというのが我々の基本的な姿勢だというのをたしか官房長官も記者会見で二十四日言われている。しかし、昨日の総理大臣の国会答弁とかは、拉致の問題や核の問題を包括的に問題解決に向けて努力をするということで、前提条件考えるのは早計だということです。  前提条件、これはまたどうも官房長官自民党安倍幹事長とニュアンスや言い方が違いますが、これは会見の仕方が悪いのか、記載した、報道した報道が悪いのか。内閣、私は一般的に言って不一致じゃないんですか。この十人の正常化交渉の前提の問題ですけれども、不明十人再調査問題、いかがですか。
  69. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 報道はいろいろありますが、真意は、この拉致の問題も核の問題も総合的に考えていかなきゃならないと。これが解決しないと日朝間の正常化はないと、正常化がないと経済協力もないと、これはっきりしているんです。そして、交渉の過程で拉致の究明問題も当然話に出てきます。行方不明の方、安否不明の方、これから交渉していかなきゃどういう形で調査していくかも分からないんです。しかも、交渉に入って、これが進展しないと交渉は進まないんです。事前に全部分かるわけないんです。そういうことを私は言っているんです。
  70. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 総理と何回か質問されていますが、巧みな御答弁だなというふうに思いまして、私は、不明十人再調査、正常化交渉の前提にということを、このことがなければ正常化交渉に入りませんよということを官房長官が記者会見で言っているんですよ。いや、セットですと、交渉の中でやりますというのが総理大臣なんですよ。違うじゃないですか、言っていることが。  それからもう一つ、そもそも私も報道で全部質問しているつもりはないんですけれども、総理自身記者会見もし、その後いろいろな方々に記者会見する、我々はそれを知り、ここで尋ねていくわけですから、ある意味では私は仕方がないと思うんですが、今回の訪朝は、これは総理一人で来いと、一人で来てほしいと。総理が来なければ解決できないんでおれが行くんだと。これは何か帰ってきて翌日ですか、民間人の方と食事をしたときに何かお話しになっているんですね。これはどういうことですか。  何か、ごらんになりました、帰ってきて、経済団体とお話しになってきて、金正日総書記が小泉総理じゃなきゃ駄目なんだと、だからおれ行くんだというふうに、おれ行かなきゃ解決しないんだということを言われたそうですけれども、それは事実なんですか。
  71. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私が行く前から金正日氏の話を聞くわけにはいかないのでね……
  72. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 帰ってきてから言っているんですよ。帰ってきてからなんですよ。
  73. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) ああ、帰ってきてから、私が。  それは、いろいろ事前の水面下の交渉で、私が訪朝すれば拉致問題についても、これから核問題等、総合的に話合いをすることによって日朝平壌宣言の重要性を再認識することができると。私が行かない限りはこのまま停滞が続くと判断しました。私が行かない限りは拉致家族の皆さんも帰国はできないと、総合的に水面下の交渉で私が判断したのは事実であります。
  74. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 総合的に判断されたから行かれたと思うんですね。  今の、こういう報道なんですよ。田中直毅さん、経済評論家の田中直毅さん、財界人と都内のホテルで懇談した。田中氏によると、二十二日の日朝首脳会談をめぐり、北朝鮮側が事前に、首相が来ないと拉致被害者の子供たちは帰さない、外相やその他じゃ駄目と、首相自らの訪朝を要求していたことを明らかにしたと。こういうことを総理自身が語ったと。日本側は外相訪朝などを打診したが拒否されたんだと、で、首相が訪朝を決断したということで、今の答弁と合うので、こういうこと、この報道と、じゃ、ずばりでよろしいんですか。
  75. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、その報道は、私が言ったとかそういうことじゃなくて、それは雑談のことで、私が行かない限りは、現在の停滞した日朝間のいろいろな問題、進展がないと判断したのは事実であります。私が行くからには一定の進展があると判断したから、私は訪朝を決断したのであります。
  76. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 率直に申しまして、いろんな水面下の交渉はあったと思います。受け取り方によれば、金正日、北朝鮮側からのすべてメッセージで、まあいらっしゃいよ、帰しますよと、こういうことでいろいろなやり取りが内部であったにせよ、そういう決断をしたということですから、ある意味では北朝鮮側のメッセージにそのまま結果的には従ったというふうにこれは受け止めざるを得ない部分もあるんじゃないだろうかと、こういうふうに私は思わざるを得ないということです。  たっぷりあった時間も残り少なくなりましたけれども、そもそも、今回行かれて、三名の方、それからあと十人の方、残るまた様々なこと、私は、一昨年の平壌宣言のそのことについては評価しつつも、その後の一年数か月、余りにも長い、余りにも長かった。ということは、やっぱりこの一年数か月前のあの会談の折に、その後一切家族問題についてずっと暗礁に乗り上げたこと自体、あのときのやっぱり交渉というのはきちんと総括をすべき、総括をして国会で明らかにしていかない限り本当の意味での日朝交渉に結び付かないのではないかと。そういう意味で、徹底したやっぱり情報公開を私はすべきだと思います。  それからもう一つ、二つ目。  サミットがございます。サミットで総理自身は、この日朝問題も朝鮮半島問題もありますけれども、サミット自身、どういうお立場、アジアの中で、総理自身、日本総理大臣だけですよ、アジアの中で、一人行かれますけれども。こういった事々を思いながらどういうふうにサミットに臨むおつもりなのか。  なぜ、お聞きさせていただきますと、今度の訪朝問題では、拉致家族、核開発問題、それから日朝国交正常化ある、こういうふうな話をさせてもらいました。基本的に私は、日朝国交正常化という大きなフレームの中で核開発問題、六者協議あり、そして拉致家族ある問題だと思うんですね。であるならば、そこら辺まで、さっきサミットという話をしましたが、そのことまで展望して日朝国交正常化交渉か、これからアメリカとも、いろんな様々な国ともサミットの場でやり取りをするというのがアジアのリーダーだというふうに私は思うんですけれども、そういうことも踏まえた上での日朝国交正常化交渉なのか、そういう意味でのサミットに臨む態度、対応について今どういうふうにお考えなのか、お示しいただきたいと思います。
  77. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 日朝国交正常化がなされれば、これは、拉致のみならず核の問題も解決していないと国交正常化できないんですから。そうなりますと、このサミットにおきましてこの北朝鮮の問題が話題になると思いますが、北朝鮮の金正日氏は、核の問題は米朝間の問題だと言っておりますが、実は米朝間だけの問題じゃないんです。核の問題は日本にとっても脅威なんです。朝鮮半島全体にとってこの核の問題は、中国にしても韓国にしてもロシアにしても関心を持っているわけです。アメリカと北朝鮮だけの問題じゃない。そういう観点から、核廃棄に向けて六者会合という場を今後も日本としては活用していかなきゃならないし、金正日氏に対してもこの六者会合の場をうまく活用するべきだと私は言ったんですが、当然、この朝鮮半島全体の平和と安定というのは世界の平和と安定に大きくかかわってきます。  サミットの場におきましても、そういう観点から、世界の平和と安定のために日本ができること、また各国と協力してやらなきゃならないこと、これはイラクだけではないと思っておりますし、こういう点について、私は率直にブッシュ大統領との間におきましても、各国の首脳との間においても意見交換をして、何とか、北朝鮮との問題については平和的な解決がいかに重要かと、また、平和的な解決の道筋を付けるべきだという話をしてきたいと思っております。
  78. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ゼロ分で、終わります、もう時間になりましたので。  是非、サミット、これアメリカでやりますね、今度。アメリカは、やっぱりイラクで大変な今ことになっていると思うんですよ。アメリカに対してきちんと物を言う、言える国、たくさんなきゃいけないと思いますが、私は日本の外交というのは、いろんな方々御努力されていますけれども、やっぱり対米重視、対米でもうずっともう傾いている路線で、是非アジアを重視をして、アジアにきちんとした目線を置いた私は外交をきちんと日本は取るべきだと。そういうアジアのリーダーとしてサミットへ臨む、そしてそのことが、前段、日朝国交正常化交渉だったんだということをきちんと位置付けるべきだと。  それから、先ほど申しました、きちんと総括をやっぱり一年半前からすべきだということについて申し上げさせていただきまして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  79. 高野博師

    ○高野博師君 北朝鮮の問題について、私も若干、基本的なことについてお伺いしたいと思います。  総理が北朝鮮へ行かれまして、トップ同士が直接会談をされたということ自体は大きな意味があると思いますし、一定の成果が上がっておりますので、ポジティブな評価をしたいと思っております。  そこで、金正日総書記と直接会談をされたのは日本では唯一総理だけでありますので、金正日総書記についての人物評価を是非お伺いしたいと思います。  その前に、北朝鮮は軍事独裁政権だと、こう言われているんですが、これはもし外務大臣分かればお答え願いたいんですが、軍事独裁だと言っている根拠は何、どこにあるのかということであります。
  80. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 北朝鮮は、御案内のように内部の状況がよく分からない国でございますから、いろいろ難しい、軍の動向についてこうだということを申し上げるのは難しいわけですけれども、先軍政治という呼び方で呼ばれていますけれども、軍事優先政策を取っているというのが北朝鮮の今の在り方、金正日国防委員長の政権の在り方であるということだと思います。  それで、軍ですけれども、北朝鮮においては、軍は労働党の軍と、先軍政治、軍事優先ということではありますけれども、軍は労働党の軍であるという位置付けもなされているということで、労働党と軍の関係において言うと、労働党の影響力が依然として軍に勝っているという見方もあるということでございます。  そういう意味で、実態なかなか分からないところがありますが、金正日国防委員長は、いずれにしても軍も労働党も両方において、そこをそれらをきちんと掌握をしているというふうに考えられていると思います。
  81. 高野博師

    ○高野博師君 そこは若干私は認識が違いまして、労働党の軍というのは、朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法の中には何にも書いていないんですね。憲法第十一条には、朝鮮民主主義人民共和国は朝鮮労働党の指導の下にすべての活動を行うとは書いてあるんですが、軍との関係は何も書いていないんですね。したがって、労働党の方が軍よりも上にあるという位置付けはできないと思うんですね。  そこで、一つ総理にお伺いしたいのは、総理は総書記のことをなぜ国防委員長と呼ばれているんでしょうか。
  82. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 総書記というのは党でしょう。国防委員長というのは政府の役職といいますか、肩書ですからね、やっぱり政府の肩書を使った方が適切だろうと、そう判断いたしました。
  83. 高野博師

    ○高野博師君 実はこの国防委員長というのが、朝鮮、北朝鮮では最も権力を持っているんですね。これは憲法百条から、第百条から第五条までに国防委員会という規定がありまして、その中で特に百条は、国防委員会は国家主権の最高軍事指導機関だと、全般的国防管理機関であると。そして、その百二条では、国防委員長は一切の武力を指揮統率、国防事業全般を指導するということになっておりまして、正にこれが北朝鮮の国防委員長が正に体制を象徴している、最高の権力者であるというその根拠になっているんだと。  したがって、国防委員長という言い方は、正に軍事独裁の正にその中心の人物を指して言われていると。私は、政府の役職だからということではなくて、正に国防委員長という言い方はずばり総理は言っておられるなという認識をしておりました。  そこで、軍事独裁政権というのであれば、その独裁者はどういう人物かと、これがもう極めて重要でありますし、その関連情報、これはどのぐらい持っているのか、あるいは軍部はどうなっているのか。この軍の組織、力、独裁者との関係、これはもう極めて決定的な重要性を私は持っていると思うんですが、そういう認識は外務大臣おありでしょうか。
  84. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 金正日国防委員長というのは北朝鮮において最高の意思決定者であるというふうに考えております。何か事を決めるということでは、金正日国防委員長を相手にするということが必要であるということだと考えております。
  85. 高野博師

    ○高野博師君 したがって、金正日総書記・国防委員長は、北朝鮮という国家、もうこれを体現していると、あるいは北朝鮮そのもの、すべてであるという言い方もできるんだと思います。したがって、金正日氏の、総書記の意思が国家の意思であり、政府の意思であり、国民の意思だというとらえ方もできるんではないかと思います。  したがって、この金正日総書記がどういう判断、決断、あるいは考え、そして命令をするのかと、これがもうすべてを動かしているという私はとらえ方をするならば、正にこの金正日総書記を徹底的に調べて、調査をし、情報を取り、分析し、評価をしておくということがこの北朝鮮問題の解決の大きなかぎではないかというふうに思っておりまして、それなくして効果的なこの対北朝鮮との交渉はないんではないかというふうに思っております。  恐らく北朝鮮も小泉総理のことは十分調べておられるだろうと。総理の発言、考え方、言動、国家観、人間観、趣味まで相当調べた上で会談をされていると、こう思いますが、その金正日総書記の人柄、性格あるいは信念あるいは歴史観、思想、哲学、決断力、そういうものをどういうふうに評価されているのか、あるいはどういう情報を持っておられるのか、是非お伺いしたいと思います。
  86. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 北朝鮮においては金正日氏が最高権力者で、重要な決定はすべて金正日氏のオーケーがないと動かないという状況にあると思います。そういう首脳と、民主主義の、私のような国民の様々な声を配慮しながら政治をやっていくという体制の違いはありますが、やはりじかに話し合っていろんな意見交換をするということについては意味のあることだと私は思っております。  そこで、実際に今まで二回お会いしましたけれども、いわゆる独裁者という、何か恐ろしい不気味なイメージを持っている方が多いと思いますが、実際会って話してみれば、穏やかで、快活な、冗談も飛ばす頭の展開の速い人だなと思っております。  もとより、二日だけ、しかも何時間か会って人間全部分かるわけじゃありません。人間というのは、二面性どころか、多面的な性格を持っておりますから。  しかしながら、今後も私は、北朝鮮の最高権力者として、日本と北朝鮮の関係考えると、交渉しなければならない人物だと思っております。
  87. 高野博師

    ○高野博師君 もう少し聞きたいんでありますが、いろんな金正日総書記については報道をされたりいろいろな情報も流れておりまして、相当多彩な人だと。例えばコンピューターも相当駆使して、世界じゅうの情報はみんな持っていると。あるいは自分で映画を作ったり監督したり、演劇のディレクターもやるとか、あるいはスポーツマンで乗馬もやる、ライフル銃もこなすとか、そういう面もあるし、非常にタフなネゴシエーターだというような評価もありますし。  一番私がお伺いしたいのは、この人物は信頼するに足ると、あるいは信頼関係を結べる人物かという、そこの点はどういうふうに総理は見られたのか、お伺いしたいと思います。
  88. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 信頼できるかできないかというよりも、信頼関係を醸成していかないとお互い率直な話合いができないと思っています。彼は一昨年の九月十七日の私の訪朝でもう拉致問題はもうすべて解決済みだと思っているわけですから。私はそう思ってない。今後、それは考え方は違いあります。しかしながら、信頼できるできないにかかわらず、交渉していかなきゃならない相手だと思っております。
  89. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、この軍部の動向について若干お伺いしたいと思いますが、この対日関係、特に拉致の問題等で金正日総書記の日本に対する対応については軍部の中にかなり不満があるんじゃないかという情報もありますし、経済的な困難もありまして、その軍部の生活もまあ満足いくようなものではないということがあって、不満があるんではないかと。今回の訪朝、総理の訪朝についても、これは新聞報道によると、軍部の、この金正日総書記の背後に軍部の影が見えるような言い方、報道もされていましたが、こういうこの軍の動向、特に中国の、中国と北朝鮮の軍部の交流がかなり盛んになりつつあるという報道もあります。元々、中日友好協力同盟とありますから、軍事同盟を結んでいるところですから、それは当然軍事的な交流があってもおかしくない。それから、南北の朝鮮の要するに軍事交流もかなり再開しつつあるというような報道もあります。  そういう中で、今まで、過去日本がやったこの米の援助なんかも軍の備蓄になっていたとかいう情報もかなりありました。しかし、今はそういう状況にはないだろうというふうに思っていますが、この軍の動向について、あるいは力について、影響力について、外務大臣にお伺いしたいと思います。
  90. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほどちょっと申し上げましたけれども、全体としてその情報が非常に乏しい中で、軍が今こういう方向で動いているということをきちんと申し上げるというのはなかなか難しいわけでございます。  基本的には、先ほど申しましたように先軍政治という考え方がある、軍が非常に強いという一つの見方があるわけで、また同時に、他方の見方として、これも先ほど申し上げましたように労働党の軍であるという位置付けであると。これは委員は違うというふうにおっしゃられましたけれども、そういう見方もあるという中で両方を掌握をしようとしているのが金正日国防委員長だというふうに思いますけれども、軍の中、いろいろな考え方があるというようにも見える部分もございますし、この場でなかなか一義的にこういう状況と言うことは非常に難しいかというふうに思います。
  91. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、拉致の問題ですが、ちょっと基本的なことなんですが、そもそも北朝鮮はなぜ日本人を拉致したのか、その目的は何なのかと、そこは政府はどういうふうにお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  92. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは二〇〇二年に総理が九月に訪朝なさったときに金正日国防委員長が直接に言われたことでございますけれども、拉致の目的というのは、特殊機関日本語の学習ができるようにするためというのが一つ、またもう一つは他人の身分を利用して韓国に入るためという説明があったわけでございます。
  93. 高野博師

    ○高野博師君 それは向こう側の言い分、それだけしか言ってないんだと思いますが、実際には対日工作、対韓工作、恐らくそれに使おうとしたんだと思うんですが、対日工作というと一体何をしようとしたのか。日本情報を取るだけであれば、在日の人もいますし、十分情報は恐らく入ってくる、そちらの方がはるかに効果的かもしれない、そういうことをやったかどうかは別にしまして。わざわざ拉致をしてまで対日工作をやるというのは、ほかに意図がなかったのかどうか。  例えば麻薬の問題とか、あるいは政権を、社会を混乱させようとか、政権を転覆させようとか、そういうことまで考えていたのかどうか、そういうこと。あるいは大韓航空機の撃墜の事件もありました。あれは正にその拉致された人がかかわったと言われているんですが、それは、なぜそういうことをやったのか、対韓工作の中で日本人を絡ませたということの中で日韓関係を離間させようというような意図もあったとも言われています。  もう少し拉致の、向こうが本当に意図したところについてどういうふうに分析されているのか、お伺いしたいと思います。
  94. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど金正日国防委員長が自ら言ったということを御紹介をいたしましたけれども、その二つというのは大きな理由であるというふうに思います。そのほかにも、委員が若干御指摘になられたような様々なことがあり得る、あり得たというふうに思います。  その一つ一つについて、我が方として、日本政府としてそれをどのように考えているか、どれぐらい大きな問題であると考えているかということをここで必ずしも明らかにするということでもないと思いますけれども、我々が承知しているように、不審船の関係では麻薬ということの可能性も十分に考えられるということでございましょうし、それから日本における情報を取るということも十分にもちろんあっただろうと思いますし、いろいろな考え方ということがあるし、現にいろんな可能性ということを考えなければいけないというふうに思います。
  95. 高野博師

    ○高野博師君 その拉致の人たちを使って、例えばテロ工作をしようとしたとか、ほかの様々なことを考えたとすれば、これは日本の独立とか主権とか、これに対して重大な侵害をもくろんでいたということになりますから、拉致の問題は、単に日本から連れてきました、誘拐しましたと、そういう次元ではなくて相当根が深い問題でありまして、これは核の問題、ミサイルの問題に劣らず、拉致の問題というのは日本にとって重大な脅威であったということだと思うんですね。そういう認識がないとこの問題は非常に軽々に扱われてしまう可能性があると思うんです。そういう意味では、私はもうそこの認識をきちんとした上でこの問題に解決に取り組んでいただきたいなと思いますが、総理の所見を伺いたいと思います。
  96. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 拉致された本人はもとより御家族の方もなぜこんなひどい目に遭うんだろうと、この憤激の気持ちは私もよく理解しているつもりであります。また、率直に言って、なぜ拉致しなきゃいけないのかというものも私は理解できません。  これは昨年のエビアン・サミットでも自由討議の場というのがあったんです。議題を設けないで、後に記者発表もしない、自由討議という場があったんです。そのときが、そのときに私はこの北朝鮮の問題を話したときに、各国の首脳から一番多く質問出されたのが、一体何の目的で北朝鮮は拉致をするのかと、この質問でしたよ。不思議でしようがないと。実は私もそれは分からないと、真の目的は。各国も一様に疑念に思うんです、なぜ日本人を拉致しなければならないのか、どんな国だという。こういう質問があったのを今思い出していますが、私も今、公式的な拉致の目的だけでなくて、もっとほかの意味もあったのかなと思いますが、それは分かりませんが、二度とこういう拉致を起こさないようなやっぱり両国の関係築いていかなきゃならないし、また北朝鮮側に対してこのような理不尽なことをしないようにこれからも働き掛けていく、それは結局は国交正常化につながる問題じゃないかなと思っております。
  97. 高野博師

    ○高野博師君 時間ですので、終わります。
  98. 小泉親司

    小泉親司君 日本共産党の小泉でございます。自民党小泉総理に質問をさせていただきます。  私、有事関連法案及びその関連条約、この問題について幾つか総理に質問させていただきたいと思います。  今回の有事法制法案国民保護という形で一くくりされておりますけれども、私は、中身を見ますと、例えば米軍行動円滑化法という形で米軍を様々な形で支援する。それと、港湾ですとか飛行場ですとか空域ですとか、こうした公共施設の利用法案によって米軍を支援する大変米軍支援の色彩が非常に濃い法律だというふうに思います。  そこで、私、本会議で総理是非とも質問したかったんですが、これ別に総理が逃げたわけじゃなくて、国会の手続上、総理が出られなかったようでありますので、その点、私、まず総理に幾つか基本問題についてお尋ねをさせていただきたい。  まず一つは、アメリカの先制攻撃という問題でございます。  日米、九七年の日米ガイドラインでも、周辺事態、つまり日本有事ではないけれども、アメリカがアジアで戦争を起こす、それが日本に波及する場合があるということ、この点についてはガイドラインでも明確にされている。と同時に、この周辺事態が、この法案に定めるような、武力攻撃事態法に定めるような武力攻撃予測事態と併存する場合があると。これは政府も認めておられる。この点からも私は、アメリカの軍事行動をどう規律するかと、この点は非常に、日本有事を起こさせないためにも非常に重要な要素を私は持っているんじゃないかというふうに思います。その意味で、このアメリカの先制攻撃は私はいかなる意味でも許されない。  この点で、私、本会議で質問いたしました。そのときの井上大臣の御答弁は、今度の法律米軍行動自体を規律するわけじゃないけれども、無制限に米軍支援を行うんじゃないというお答えでございました。  私は、この点、総理はこのアメリカの先制攻撃という問題についてどういうふうにお考えになるのか。この点について私は、このような大臣の答弁でしかるべきだとお考えなのか、まずこの点をお尋ねをしたいと思います。
  99. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) この有事関連法案は、日本有事になった際に日本アメリカはどのように協力していくかということであって、アメリカの先制攻撃という問題ではないと思っております。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕  有事になった場合に日本米軍協力していかなきゃなりませんし、アメリカは安保条約日本を守る義務を負っております。その際に、米軍協力なくしてはこの有事に迅速に適切に対応できない。その観点から、どのように協力していくかと。日本を守るために米軍活動するために、どのように円滑に活動できるかということが、やっぱり事が起こらない前に考えていく必要があると。  この先制攻撃、これは、日本有事が、有事が発生しない場合に、それはアメリカが先制攻撃するということはないわけですから、今、北朝鮮の問題がいろいろ言われていますが、これについてもアメリカは平和的解決を望んでいるということをはっきり言明しておりますので、先制攻撃ということを想定しているものではありません。  あくまでもこの法案というのは、日本緊急事態有事が発生した場合に日本を守るために活動する米軍が円滑に活動しやすいような体制をふだんから整えていこうというのがその趣旨であります。
  100. 小泉親司

    小泉親司君 九七年の日米ガイドラインの合意でも、周辺事態の推移によっては日本に対する武力攻撃が差し迫ったものとなるような場合があると、こういうふうに明記しているわけですね。つまり、周辺事態日本有事になる可能性があるんだと。これは日米ガイドラインの合意なんですね。これはもう総理も御承知のことだというふうに思います。  だから、私はその可能性というのは、これは否定できないと。その意味で、アメリカ自体が私は、先制自衛とか先制行動とか先制攻撃とかいろいろ言われますが、少なくとも先制的な行動を起こす、こういう可能性というのは、これはアメリカは国家政策だとも言っておりますので、この可能性というのは私は否定することはできないと思います。  ですから、もし総理が先ほどの御答弁のような立場であるんであれば、私は、この点でもその上でも、先制攻撃というのは、国際法国連憲章、これに明白に違反する行為だと。その点でも私は、いかなる意味でもこのアジアにおいては排除されなくちゃいけない、その、対する支援はできないと、こういうことを私は総理大臣としてやはり明確に態度を示すべきだと。この点を総理大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。
  101. 常田享詳

    ○理事(常田享詳君) 川口外務大臣
  102. 小泉親司

    小泉親司君 いやいや、総理大臣。いや、それは先ほども言いましたように、総理大臣
  103. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 後で、後で。
  104. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 簡単に。  先制攻撃というふうに言われますけれども、よく御案内のように、今許容できる、許容される武力行使というのは、国連憲章に合う、あるいはその自衛権アメリカがそれを超えて何かやるということは、これは考えられない。  アメリカは先制攻撃ということが、先制行動という言葉を使っていまして、それは必ずしも武力行使ではないということも言っているわけでございます。
  105. 小泉親司

    小泉親司君 私は理事会でも申し上げたんですが、やはり限られた時間で、しかも総理に私は政治討論をさせていただきたいという時間というのは限られているんです、我々は。ですから、外交防衛委員会と同じようにテープ回しているような答弁じゃ私はこれは困ります。  総理大臣、この点、私は一国の総理として明確にすべきだと思います。
  106. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今の外務大臣の答弁のとおりであります。
  107. 小泉親司

    小泉親司君 大変私は情けないと思いますが、総理が御答弁されて、あなたは明確に、私は、先制攻撃はこれは明白な国連憲章違反だと、この意味ではいかなる意味でも排除されなきゃならないと、私はこの点を明確に要求をしておきたいというふうに思います。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕  もう一つ、私はアメリカの問題についてお尋ねいたしますが、もう一つは、いわゆるイラクで行われております、ジュネーブ条約及び国際人道法、この問題についてお尋ねをしたい。  今、米軍がイラクでも、御承知のとおりアブグレイブ刑務所でのあの拷問、虐殺事件、これは私は世界に衝撃を与えているというふうに思います。この問題については、私は決して看過できない問題だと。それはなぜかといえば、今、内閣、小泉内閣自体が国会に対しましてこのジュネーブ条約の批准を国会に求めておる。その点ではこのジュネーブ条約の、私は、自衛隊が遵守するかという問題も確かにありますが、その後の日米同盟の一翼としてのアメリカがこのイラクにおいて果たしてジュネーブ条約国際法の問題をきちんと遵守してきたかと、この点について私は総理としての見解をお尋ねしたい。このアブグレイブ刑務所での拷問、虐殺、あっ失礼、虐待事件の問題については、総理はもう既に遺憾だということを言っておられますが、遺憾であると言うのであれば、当然これは私はジュネーブ条約国際条約に明白に違反する行為だと、こういうふうに思いますが、総理の御認識をお尋ねしたい。
  108. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 法的な問題は後で担当大臣に回しますが、これは極めて遺憾な行為で恥ずべき行為だと思っております。  法的な問題。
  109. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 総理からの御指示でございますので、法的な問題について申し上げたいと思います。  我が国の認識は今総理がおっしゃったとおりでございますけれども、これは米軍が今軍法裁判を、会議をやっておりまして事実関係を調査をしているということでございますけれども、この間の五月十九日の軍法会議において、今回の事件の中で虐待、拘留者に対する不適切な取扱いがなされたということを前提に有罪の判決が下されたということが報じられております。もしこのような、この判決において認定されるような事実を前提にするならば、この部分については違反行為が行われたと考えざるを得ないというふうに考えておりますが、一般的に申し上げて、今回のアメリカ対応でも分かりますように、アメリカ国際人道法、ジュネーブ条約等を遵守をする、国際人道法を守る国であるというふうに日本としては考えております。
  110. 小泉親司

    小泉親司君 大臣外務大臣の答弁を私はもう外交防衛委員会で聞いているんですが、つまり、アメリカという国は、これは国際法を守る国だと、アメリカ、イコール国際法なりだ、なりだというふうなことをまず言う。今度の問題について言えば、ジュネーブ条約に違反するかどうかということを言う。もう一方では、じゃ、アメリカは一般的に言えばジュネーブ条約を遵守して行動する国だと。これはもう全然矛盾している話なんですね。  これ、総理大臣として、私は、こういうやはりジュネーブ条約、これは明白に違反しているんじゃないか。遺憾だとおっしゃるんであれば、当然私はアメリカ政府に対して明確に、このジュネーブ条約に違反した行為はやはりイラクにおいてはやめるべきだと、この点は私は最低限でも、一国の日本の首相として、幾ら日米同盟といえども明確にすべきなんじゃないでしょうか。総理大臣、いかがでございますか。
  111. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は明確にしております。  このような虐待というのは遺憾なことであり、恥ずべきことであると。法律は守られるべきであり、法的な解釈、それぞれあるでしょう。それは担当者に答弁させて、外務大臣の答弁のとおりだと思います。
  112. 小泉親司

    小泉親司君 私は、このようなアメリカ国際法の違反の無法な占領に大変多くの国が疑問を表明していると。特に、占領の大変泥沼化に伴って今多くの国が撤退を始めていると。スペインやノルウェー、最近では撤退をいたしました、撤退中であります。最近のアメリカのギャラップやCNNなどの世論調査でも、米軍は撤退すべきかという質問に対して、最新の世論調査では、直ちに、例えば数か月以内にというのが五七%に上っております。  そこで、アメリカは占領軍から多国籍軍への衣替えを今行っていると。引き続き十三万以上の米軍をイラクに駐留させて、私、これはずっと居座り続けようと。これ、ブッシュ大統領の一昨日の演説でも同じような趣旨のことを明確に述べられております。  私、この点で、アメリカとイギリスが国連に多国籍軍を引き続き容認する決議案を提出していますが、この決議案を見ますと、一つは、占領軍が多国籍軍という名前を変えまして引き続き駐留する。それと同時に、これはブッシュ大統領の演説でも言っているんですが、アメリカ軍が指揮権を依然として取る、こういう決議案を出しております。  こうなりますと、六月三十日以降も多国籍軍がずっと居座り、しかも指揮権をアメリカが持つということになると、これは一体イラクの国民の主権はどうなるのかと。この点で私はこの主権を事実上侵害する行為じゃないかと。こういう決議案について、総理、いかがお考えでございますか。総理
  113. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 決議案がどのようなものになるかまだ定かにならない部分があるんですが、いずれにしてもイラク人によるイラク人のための政府をできるだけ早く立ち上げていかなきゃならない。そういう中で、多国籍軍かどういうものになるか分かりませんが、どのような決議案が採択され、そして国連の加盟国である日本にその支援を要請してきた場合でも、日本は武力行使を目的とした、そういう部隊に参加することはありません。
  114. 小泉親司

    小泉親司君 私は、今皆さんに資料をお渡ししましたが、総理にもお渡しをしております。これは実は連合軍、占領軍のホームページが実は四月二十三日から変わりまして、一変されました。どのように一変されたかというと、今までは連合軍、コアリションフォースという表題でございましたが、四月二十三日からは多国籍軍・イラク及び多国籍部隊・イラクと、こういうふうな多国籍軍というホームページに変わりました。  私、この連合軍のシミタールという機関紙がありまして、日本では私が最大の購読者だというふうに思っておりますが、この中で、シミタールで何と言っているか。新しい名前になったが目標は同じだ、多国籍軍はこれまで占領軍がやってきたことを引き継ぐんだと、こういうふうにこのシミタールの、連合軍の機関紙は述べております。同時に、多国籍軍の任務は何か、占領軍やイラク軍に敵対する者と戦争を戦うことだという武力行使を明確にしております。この多国籍軍のページの中に、もう総理もお分かりのように日本が入っている。これは後ろに、これはカラーの、これは元々ホームページはカラーでありますけれども、コピーしたので白黒になってしまいましたけれども、このカラーの中に日本というものが明確になっている。  これまで政府の見解は、国連の安保理の決議があってもですよ、あっても、武力行使を伴うような多国籍軍への参加は憲法上は認められないという見解を取ってきた。しかし、この、先ほども紹介しましたように、多国籍軍は明確に戦争を戦うと、武力行使を行うということを明確にしております。こういうやはり多国籍軍になぜ日本が参加しているんですか。これを総理、お尋ねしたいと思います。
  115. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、まだ決議案がどういうものになるか分かりませんし、日本は国連の決議があれば多国籍軍に参加できるという解釈も一部にあるようですが、私は、武力行使を目的とする多国籍軍に、日本は、自衛隊であれあるいはどのような組織であれ、そのような軍に参加することはしないと。現在の自衛隊は人道支援、復興支援活動に参加しているわけでありますから、これは今後、国連の決議というものをよく見ながら、日本でできること、できないこと、よく考えていかなきゃならない問題だと思っております。
  116. 小泉親司

    小泉親司君 私は国連決議の問題を言っているんじゃなくて、現在の多国籍軍に、多国籍軍自身のホームページの中で日本が入っているんだということを明確にしているんですよ。その、総理に、資料、いや、首をかしげられちゃ困ります。私は、私が言っているんじゃなくて連合軍が言っているんですから、多国籍軍が自分で言っているんです。  そこで、私、石破防衛庁長官が五月十六日のフジテレビに出たのを私しっかりと見させていただきました。この中で石破防衛庁長官は、多国籍軍であれば日本は参加できないとかはっきり言い切るものではないと思っていると、憲法九条との関係をどうするのかという整理を今からやっておかなければいけないと、こういう発言をされている。  私は、この点は、憲法上は認められないけれども多国籍軍に何とか参加したいという希望をこれは防衛庁長官が述べておられる。私、総理に、いや、もう防衛庁長官別にいいですよ。総理、この点についての見解、いかがですか。
  117. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) いや、防衛庁長官の発言を引用されたんですから、防衛庁長官、誤解されちゃ困ると思うんですね。防衛庁長官、まず発言してください。
  118. 石破茂

    国務大臣石破茂君) いずれにいたしましても、日本国憲法第九条からいって、武力行使を目的とするような、武力行使を伴うような、そういうような行動ができないということは当然のことでございます。それはもう自明の理ということであって、武力行使を伴うような多国籍軍の参加を防衛庁長官は期待しているというふうにもし委員がごらんになったのだとするならば、それは先入観による誤りというものなのか、あるいは私の言い方が悪いのか、当然、第九条に反するような行動ができないということは申し上げるまでもございません。
  119. 小泉親司

    小泉親司君 私の先入観じゃございません。多国籍軍の先入観だというのは当たっているかもしれないけれども。  実際に私は、このホームページについてもう一つ、この真ん中の多国籍師団のというところに、米国により率いられ数か国の派遣部隊がその指揮の下にある、以下の国々がその指揮の下にいわゆる含まれるということで、これも日本がある。こうなりますと、実際にこれまで自衛隊はイギリスの軍の指揮下のいわゆる多国籍師団に含まれているということを証明している、これ。これでも、いや、首かしげられても困るんですよ、私が言っているんじゃないんだから、連合軍が言っているんですからね。  その多国籍軍について、総理、こういうのは憲法上あなたは指揮権は入らないと、それは憲法上担保されているんだとこれまでおっしゃってきたんです、私の質問に。これは明確に指揮権に入っていると言っているじゃないですか。どうですか、総理
  120. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは見させていただきましたけれども、このホームページですけれども、これは委員御案内のように、組織替えがあったということで、前のCJTF7のホームページが組織名を書き換えて、変えたということでもあるわけです。  それで、前から申し上げているわけですけれども、これはイラクに部隊を派遣している国、いろいろありますけれども、それからいろんな活動をやっているわけです。そういった具体的な活動形態にかかわらず、分かりやすく説明するために現場レベルではそのように書いているということは前から申し上げたとおりでございまして、これは日本自衛隊というのは、申し上げましたように、我が国の指揮下において活動している、そして、我が国自衛隊が安保理決議一五一一に基づく多国籍軍の統合された司令部の指揮下にあるということはないわけでございます。これは米国等にも確認をいたしております。
  121. 小泉親司

    小泉親司君 私は外交防衛委員会でこの問題は既に四月二十七日に、総理、取り上げてきたんです。ところが、依然としてこれ変わっていないんです。変わっていないということはどういうことか。日本政府として多国籍軍に入っているということ、それから多国籍軍の指揮、特にイギリス軍の指揮を受けているということ。外務大臣いろいろ言っていますけれども、私が指摘したのはもう一か月前、何にも変わっていないということは明白に、政府として明確に認めているということじゃないですか。私は、こういう形で自衛隊を多国籍軍に入れるというのは憲法上の重大な問題だというふうに思います。  その意味で、今、これは自衛隊、特にイラクの問題が泥沼化している下で、私は、これは自衛隊は撤退する以外ないということを私は申し上げて、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。
  122. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党の大田でございます。お疲れでございましょうが、あとしばらくでございますので、よろしくお願いいたします。  まず最初に、井上大臣にお伺いしたいわけですが、有事関連法案有事法制関連法案と三条約協定日本国憲法に深くかかわるものでありまして、かつ我が国の外交防衛政策を大きく転換させる極めて重要な法案だと思っておりますけれども、これを何か十把一からげにするかのように一括して審議するということは物理的に非常に厳しいと私は考えるわけです。法案の中身をじっくり読もうとしてもとても時間的なゆとりはないわけなんですが、どうしてこんなにお急ぎになるんですか。
  123. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) これは、武力攻撃事態法の審議におきまして、向こう一年以内に国民保護に関する制度を整備しろということがございまして、その旨、法律の中に規定をされたと、法律が改正されたわけですね。それを受けまして、このたび関連法案、七法案と三つの条約を提出させていただいたということでございまして、中身をお読みいただくとお分かりのように、いずれも関連をしている法律でございまして、全部一括して御審議をいただかないと全体が分からないと、こういうことでございますので、多少大部になっておりますけれども全部まとめて提出をさせていただいたと、こういうことでございます。
  124. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 この会期末までにどうしても通過させたいというお考えですか。
  125. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) もとより、こういうような性格の法律というのはできるだけ早く成立させていただくということが一番よろしいと思うのでありまして、是非とも私どもとしては今国会におきましてこの七つの法律案、それから三つの条約ですね、の批准を是非お願いいたしたいと考えておる次第でございます。
  126. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 防衛庁長官外務大臣に簡単に質問をお願いいたします。  安保条約成立の過程で全土基地方式ということが言われましたが、どういうことか御説明ください。防衛庁長官、どうぞ。
  127. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 質問の中身が分からない。
  128. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ああ、そうですか。  安保条約成立の過程で全土、全土、日本全土ですね、全土基地方式ということが言われました。それはどういうことですか。
  129. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 恐縮です。安保条約が成立いたします過程におきましては日米の間でいろいろな議論がございました。全土基地方式、つまり当時はまだ沖縄が返還になっておりませんでしたので、北海道から九州までということかと思いますが、全土を基地にするのだというような構想、あるいは全土基地方式というような形が公の議論の場で取り上げられたという記憶は、恐縮です、私にはございません。こういうものであったという御指摘をいただければ、またそれについて考えを申し述べることはできますが、全土基地方式、すなわち北海道から九州まで全土を基地として活用するというような構想があったということは、私はきっちりとイメージとして持てませんので、御教示をいただければと存じます。
  130. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務大臣、同じ質問、お願いします。
  131. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私も多分不勉強であるがゆえだと思いますけれども、そういったことを基軸に日米間で議論が行われたということは承知をいたしておりませんので、お教えいただければ大変に幸いに存じます。
  132. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ゆっくり御説明する時間がありませんけれども、つまり基地は日本全国どこにでも置けるようになっていたわけですね。ところが、平和条約のときに、政府側が、諸般の情勢により日本領域内に軍隊を駐留させる基地設定がなされるときは、日本本土内をなるべく回避し、周辺諸島に限るが、やむを得ぬ場合には本土内の駐軍地点を限定するというふうに言っているわけですね。  つまり、全土基地方式だったのが、今のような形で政府が主張して、結局、周辺の沖縄にしわ寄せされたわけなんですね。私は、総理と、最初総理に御質問したときに、総理にとって沖縄とは何ですかというたしか御質問しました。それはこの問題とかかわるわけなんですね。  そうしますと、安全保障条約というものは、国民の生命と財産を守るということをねらいにしていると言いながら、沖縄にこのような形で今のような情勢がずっと半世紀以上も続いているということについて、総理はどのように認識されますか。つまり、沖縄は国民のうちに入るんですか、入らないんですか。
  133. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 沖縄はもちろん日本国でありまして、私が最初に選挙で立候補したときも、沖縄返還されないでは戦後は終わらないと、佐藤内閣でした。そして、その選挙では落選いたしましたけれども、その後、私が次の選挙で当選したときは、沖縄返還された後の選挙でありました。沖縄選挙と言われました。  そういうことから、沖縄の問題につきましては私なりに今まで関心を持ち続けてきたわけでありますが、基地の多くを抱えている、それは私の地元の横須賀にも基地はありますから、横須賀の比ではないということは承知しております。そういう中で、日本の安全保障に、過重な負担を沖縄県民に与えているということも承知しております。だからこそ、政府としては、沖縄に対しては今までも特別の関心を持ち、支援をしていかなきゃならないと。  本土決戦と言われたように、沖縄県民がさきの大戦の中におきましてもこれまた大変悲惨な体験をされたという、そういう経緯を踏まえて、今後の沖縄発展のために政府としても対応していかなきゃならないんだということは常に私も認識しているつもりでございます。
  134. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 国民保護法案の第一条で、武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護し、国民生活及び国民経済に及ぼす影響を最小となるようにすることがその目的であるとうたわれておりますけれども、実際に戦争になった場合に、今の日本のようなこの島国、五十二か所に原子力発電所があるとか、沖縄の例を申しますと、小さな島国で、日常の生活必需品の七割を県外から入れているようなときで、昭和九年の段階で既に沖縄連隊区司令官が、もし有事体制になった場合に周辺を補給路を断たれてしまったら、米軍が上陸する前に沖縄の住民は自滅するしかないということをもう予言しておったんですが、そのとおりになったわけですよね。そうすると、一体、本当に国民保護法制が言うようなことが可能だとお考えですか。どうぞ、大臣
  135. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) 確かに、日本の国土を考えてみますと、山が多いとか可住地が少ない、また大変可住地に稠密な人口が集中するとか、あるいはいろんな公共の施設が集中しているわけでありまして、それだけに、この日本を守っていく、国民を守っていくということにつきましては、相当やっぱり周到な準備が必要だと思います。  したがいまして、それぞれの地域におきまして、その地域の実態に合わせたような国民保護国民保護措置考えていく必要があるということでありまして、私どもといたしましても、この法律が成立させていただきますと保護の指針というのを作ることになっておりまして、これは各都道府県でありますとか各地域の御意見を十分入れまして、その地域の実態に即したような保護措置ができますように対応していきたいと考えております。  もとより、沖縄のあのいろんな悲惨な状況、これも我々も承知をしておりまして、そういったことも十分酌み取りながら、できるだけ遺憾のない対応措置を取っていきたいと、そんなふうに考える次第であります。
  136. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 法案の内部を読んでいて非常に疑問に思うのは、例えば庭の立ち木を切ったときに補償するなんて言いますけれども、実際に戦争が始まったら、戸籍簿とかそういうのは機密文書といって真っ先に焼き払われるわけですよね。ですから、それはだれの所有かということなんか分かりっこない。  ですから、今の沖縄の方では地籍明確化法案とかそういうのができたり、それから今、嘉手納の軍用地、嘉手納に飛行場を造るために土地を収用された農民たちが裁判を起こしているような状態ですよ。半世紀以上たってまだ裁判を起こしている状態、補償がないものですから。  ですから、そういうことも是非具体的にお考えいただいてやっていただきたいと思います。  終わります。ありがとうございました。
  137. 山本正和

    ○山本正和君 年寄りが二人連続でやりますが。  正直言って私は、今度の法案よりも、その前のいわゆる緊急事態法案のときに私は質問できなかったものですから、それも含めて、本当に政府の、特に今、小泉内閣としてのお考えを聞きたいんですよ。戦争というふうなことにまで考えているのかどうかを、今。  要するに、日本の国に攻撃がされたという事態に対する法案ですね。攻撃ということは、もう攻撃をされた場合にそれは戦争まで想定して考えている法案なのかどうなのか、その一番根っこのところを私は聞きたいんですよ。何か知らぬけれども、ミサイルが飛んできたらどうだとか、ミサイル飛ばないようにするとか、あるいは事前にアメリカとよく協議して日本に攻めてこれぬようにするとかいうふうなことはどうも考えているらしいけれども、我が日本の国土において戦争状態に入るというところまで本当に腹決めて考えて作った法案なのかどうか、まずそこを聞いておきたい。
  138. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) これは先生御案内のとおり、武力攻撃事態等という、そういう事態を想定いたしまして、それに対応する措置を決めたのが、昨年成立いたしました武力攻撃事態法及びこのたび提案しております国民保護に関する幅広い法律案でございます。  武力攻撃事態等といいますのは、中に二つ概念がありまして、一つ武力攻撃事態そのもの、もう一つ武力攻撃予測事態なんですね。
  139. 山本正和

    ○山本正和君 そんなの分かっている。
  140. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) ということでございまして、先生おっしゃるように、武力攻撃事態にはそういう武力の行使、侵略ということがあるということが前提になっているわけでございます。
  141. 山本正和

    ○山本正和君 今の大臣の言われたのは政府の答弁書にあるんで、分かるんですよ。しかし、武力攻撃事態というものをどういうふうにつかまえているかということを聞きたいんですよ。どんな状況考えているのか。  目の前で弾が吹っ飛んで、もう本当に殺し合いが起こって、人が、どんどんどんどん横で日本人が死んでいく、外国から来た軍隊がどんどん我々日本人を殺していくというふうな事態まで本当に考え法案なのかということを私聞いているんですよ。要するに、法律上の言葉じゃないんですよ。私どもみたいに一遍死に物狂いで鉄砲の弾くぐったやつは、こんな法案を見ていたら怖くて仕方がない。  本気になって我が日本の国土に外国の軍隊が攻めてきたと、攻めてきたら向こうはむちゃくちゃするんですよ。兵隊というのは自分の戦友が殺されたら皆、敵に見えるんだ。女も子供もないんですよ。殺しちゃう、みんな。そういう軍隊が向こうから攻めてくるわけですよ。そこまで本当に腹を政府が決めてこの法案を作ったのかということを聞いているわけだ。
  142. 井上喜一

    国務大臣井上喜一君) もとより、どういう事態をもって武力攻撃事態と言うかというのは、それは全体として判断をしなきゃいけないと思いますけれども、おっしゃるように、それは地上戦でもってやってくるのか、あるいは航空機でやってくるのか、あるいはミサイルで攻撃やってくるのか、いろんなやり方があろうと思うんでありますけれども、我が国が武力でもって攻撃されたと、全体としてそういうことが認定される、そういう事態をもって武力攻撃事態と言っているわけでございまして、正にそういう事態に即してこの制度は仕組まれているといいますか、考えた制度でございます。
  143. 山本正和

    ○山本正和君 あのね、どう言ったらいいですかね。先ほど沖縄の話が出ましたけれども、軍隊というのは民衆を盾にして戦うんですよ。いいですか。イラクも同様ですよ。それ、民衆を守る法案を作ると、今こう言っているわけだ。そうしたら、かつてどこの国の戦争で民衆を守って民衆に被害が及ばずにやった戦争ありますか。  あなた、これ保護する法案と言っているんだね。保護するんなら、もうちょっと私、書き方あると思うんですよ。保護する一番の方法は、軍隊しか戦いませんと本当に宣言することですよね。  ところが、日本の国は、私どもが経験した戦争というのは、年寄りも女も子供も、アメリカの兵隊が来たら鬼畜米英と戦え、武器がなかったら竹やりでぶつかれ、しがみついてかみ付けと、これが戦争なんですよ。そういうことまで本気になって政府考えてこの法案を作ったんならもっといろんなものが出てくるはずなんだね。何か来たら、見たら法律用語が書いてある。武力攻撃とはと書いてある。そんなものじゃないんです、戦争というのは。  だから、本気になって我が国戦争する事態まで想定して、国内の内戦まで想定したものなのか、あるいはそうでなしに、何かノドンとかなんとか脅されるからそういうものを防衛しろと、我が国の国土までに来させないようにいろいろやるんだけれども、万一の場合を考えたんですよという程度のものなのか。私はどうも後ろの程度にしか見えないんだけれども。だから、余り麗々しく言わずに、本当にもし戦争になったら我が国はお手上げですよ、正直言うけれども。どうやって戦うんですか。この今の若い人たちが本気になってお国のために死にますか。自衛隊の諸君だけ苦労するだけですよ、見てごらんなさい。戦争はそんなものなんだよね。  私は、だからこれは、総理、内閣としてこの問題を国民に提起する以上は、我が国はかく考える、いざという場合に我が国土にこうやって外国が侵入する場合もある、戦いましょう、国民の皆さんというところまで本当に腹を決めてやるならいいですよ。何か知らないけれども、お付き合いでやっておるわけだ。  ただ、ちょっと調べてみた。NATOは一緒になって戦いましょうですよ。韓国はアメリカと戦うから、アメリカの、領土内はアメリカがどんなに使っても構いませんと、こういう条約を結んでおるんですよ。それは、あの朝鮮戦争の厳しい経験があるからなんだ。  私は、日本政府は本気になって戦争のことを考えたことがあるかと。自衛隊の諸君は必死になって頑張っていますよ。しかし、そのことが国民に分かっていないんですよ。分かっていない中でこの法案を見て、しかもまだ、この前の緊急事態法はまだ仮定の話だけれども、これは現実に国民に対して動けとか動くなとか、あるいはあんた家を空けろとかいうふうなことが書いてあるんだ、これ。  そんなばかなこと書けるかと私は言うんですよ。もっと根っこの、政府が根性を据えて、戦争とは何か、国を守ることは何かということをきちんとしたものを出して、それこそ声明でも出して、こういう事態ですから、国民の皆さん、こういう判断をしますよでいいよ。本当にこれ、本気になって国を背負う責任者が出すんかという。今度のあれ見てみたら、やれ総本部長が指揮して都道府県の知事に、市町村に命令して何とかかんとかと、やれ道路を何とかかんとかと、そんなばかなことで戦争できないんですよ、戦争になったら、我が国に攻めてきたら。  しかし、法律上、法治国家ですから、必要ですから作っていますけれどもという程度なら、まだその程度だ。しかし、あたかもこれでもって本当に武力攻撃に対して対応するようなことを言っているから私はおかしいと言うんだ。せめてこれぐらいは作っておかぬと心配ですからという程度にしてくださいよ、言うんならね。  だから、私は本当に言うけれども、皆さん一遍、私も実は長男が五十一ですよ。自分戦争の体験の話余りしません、子供に。それぐらい我々の世代、嫌なんですよ、戦争というのは。しかし、もし攻めてきたら、見てください、我々のくそじじいが先に行って戦いますよ、若い人よりも。本気になって皆さん、この国が攻められるということ、国が戦うということについて議論していただきたいんですよ。  余り、また次の十五分ありますから、あしたかあさってまたやりますけれども、総理、私が申し上げたことについて、何か感想がありましたら感想を述べてください。
  144. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 武力事態のみならず、どういう有事が発生するかというのはなかなか予測するのは困難でありますが、組織的、計画的な攻撃がなされた場合ということはやはり平時から備えておかなければならないと思っております。そのためにも、日本国民が、侵略からは断固として我が国の安全と独立を守るという意識を共有していかなきゃいけないと思っております。  だからこそ、日本は侵略に備えて戦う部隊、自衛隊を持っているわけであります。非武装中立ということは、そういう戦う部隊を持たないで、侵略が来たら手を上げるか、何の訓練もない市民も戦えということですね。ですから、非武装中立論ほど私は無責任なことはないと思っているんです。  やはり日ごろからそういう侵略に対して組織的な訓練を行って我が国の独立と安全を守る、それが自衛隊であり、それに対して日本国民というのは常に温かい目を持って備えようという、こういう私は共有した意識を持つということは我が国の安全を確保する上において極めて重要な認識だと思っております。
  145. 山本正和

    ○山本正和君 どうも総理は、そうすると、いざ、もし攻めてきたら、国民には銃を持たさずに、国民は戦わないでくださいと、自衛隊が戦いますと、そういうふうなお考えのように聞こえるんですよ、私はね。恐らく、そして、この国民を守るという法案はそういう法案になっているだろうと思うんだけどね。  だけど、それならば本当に国民を、国民は絶対、この戦争には武器を持って戦うのは我が自衛隊だけですと、こういうことを言って、国民がそれに同意するか同意しないか。こんな、国と国の戦争自分たちの仲間の自衛隊が戦っておるときに、みんな知らぬ顔なんてできるものじゃないんですよ、本当は。  その辺のことはひとつまたこの次の質問でやりますから、十分にまた政府の中で議論しておいてください。  これで終わります。
  146. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後五時六分散会