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2004-02-05 第159回国会 参議院 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年二月五日(木曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  二月四日     辞任         補欠選任      中原  爽君     月原 茂皓君      森本 晃司君     山本 香苗君      池田 幹幸君     宮本 岳志君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         清水 達雄君     理 事                 田村 公平君                 常田 享詳君                 舛添 要一君                 山内 俊夫君                 齋藤  勁君                 若林 秀樹君                 高野 博師君                 小泉 親司君     委 員                 有村 治子君                 大野つや子君                 小泉 顕雄君                 田浦  直君                 月原 茂皓君                 西銘順志郎君                 野上浩太郎君                 福島啓史郎君                 藤野 公孝君                 松村 龍二君                 三浦 一水君                 森田 次夫君                 山崎  力君                 池口 修次君                 岩本  司君                 神本美恵子君                 佐藤 道夫君                 榛葉賀津也君                 高橋 千秋君             ツルネン マルテイ君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 森 ゆうこ君                 荒木 清寛君                 遠山 清彦君                 山本 香苗君                 宮本 岳志君                 吉岡 吉典君                 大田 昌秀君                 山本 正和君    国務大臣        内閣総理大臣   小泉純一郎君        外務大臣     川口 順子君        国務大臣        (内閣官房長官) 福田 康夫君        国務大臣        (防衛庁長官)  石破  茂君    内閣官房長官        内閣官房長官  山崎 正昭君    副大臣        防衛庁長官   浜田 靖一君        外務大臣    阿部 正俊君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        中島 啓雄君        外務大臣政務官  荒井 正吾君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君        常任委員会専門        員        田中 信明君    政府参考人        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        防衛庁防衛参事        官        松谷有希雄君        防衛庁長官官房        長        北原 巖男君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁運用局長  西川 徹矢君        防衛庁人事教育        局長       小林 誠一君        外務大臣官房長  北島 信一君        外務大臣官房外        務報道官     高島 肇久君        外務省中東アフ        リカ局長     堂道 秀明君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保  支援活動実施に関する特別措置法第六条第一  項の規定に基づき、自衛隊部隊等による人道  復興支援活動及び安全確保支援活動の各活動の  実施に関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議  院送付)     ─────────────
  2. 清水達雄

    委員長清水達雄君) ただいまからイラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、中原爽君森本晃司君及び池田幹幸君が委員を辞任され、その補欠として月原茂皓君、山本香苗君及び宮本岳志君が選任されました。     ─────────────
  3. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動実施に関する特別措置法第六条第一項の規定に基づき、自衛隊部隊等による人道復興支援活動及び安全確保支援活動の各活動実施に関し承認を求めるの件の審査のため、必要に応じ政府参考人出席を求めることとし、その手続につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  5. 清水達雄

    委員長清水達雄君) イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動実施に関する特別措置法第六条第一項の規定に基づき、自衛隊部隊等による人道復興支援活動及び安全確保支援活動の各活動実施に関し承認を求めるの件を議題といたします。  本件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 舛添要一

    舛添要一君 自民党を代表しまして質問いたします舛添要一です。  先週、大変残念なことに、衆議院での審議というのがちょっと問題があったと思います。これは与野党含めて反省すべき点が多々あると思いますけれども、政府におかれましても、私は猛省していただかないといけない点がたくさんあると思います。現場で自衛官が二十四時間頑張っておられる。国内にいる我々が、特に政府緊張感の欠いたような対応をなさるということは、これは国民に対して申し訳の利かないことでございますので、総理以下、是非政府しっかりやっていただきたいと、まず申し上げたいと思います。  それで、その先週の件を見ますと、まず第一に文書管理がどういうふうになっているのかと。石破防衛庁長官、これ恐らく政府で今調査中だと総理、思いますけれども、非常に重要なことを決めるのに省庁間でファクスでやり取りやるようなこんなことは非常識です。一堂に会してその文書を練る。私は例えば、報告書の原案を事前に皆さんで議論する、それはいいですよ。我々も六月に現地調査しまして、いろんな現地調査報告があるんだから、原案練るようなことは幾らでもおやりください、何週間前でも構わない。ただ、それをやるときにファクスでずぼらなやり取りして、そんなことでどうするんですか。そして我々は、一堂に会してちゃんと議論して、大事な紙なら細断機に掛けて破棄する、こういう基本的な危機管理ができてないというのは非常に問題だと思いますけれども、その点、防衛庁長官、どういうようにお考えですか。
  7. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 作業中にいろいろな意見の交換を行うということで、これはもう電話では難しいことがございます。したがいまして、ファクスというものを使っておったということであります。  しかしながら、委員指摘のように、こういうことにはより厳正を期していかねばならないであろうということがございます。防衛庁外務省、距離的にもかなり離れておりますが、そういうことは言い訳にも何にもなりませんので、文書管理ということを私、着任以来、相当厳重にしておるつもりでございますが、今回のことを教訓、反省といたしまして、今の委員の御指摘も踏まえ、より厳正を期してまいりたいと、このことについて私、ここでお約束を申し上げなければならぬと思っております。
  8. 舛添要一

    舛添要一君 是非言葉だけじゃなくて、しっかり体制を立て直していただきたいと思います。  それから、外務大臣にお伺いしますけれども、外務省としてもこの件は調査中だと思いますが、仮に外務省の職員が特定の意図を持って情報を部外に漏えいすると、そういうことがあるとすれば、これ一般論として申し上げているんですけれども、仮にそういうことがあれば、そういうことが結果で出るならば、これは国家公務員守秘義務違反に当たると思いますし、厳正なる処分の対象になると私は考えますけれども、大臣、どのような御所見でしょうか。
  9. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 一般論として申し上げて、国家公務員国家公務員法に違反することをすれば、これは厳正処分をしなければいけないというふうに考えております。  それから、この文書、これにつきましては、私どもとしては、作業中の文書を廃棄をするということにいたしておりますので、確認ができないということでございます。
  10. 舛添要一

    舛添要一君 我々も、自民党も一生懸命チームを組んで外務省をどう改革するか、何とか改革の緒に就いたと思っていますやさきにこういう不祥事が、本当のことであれば大変残念に思いますので、引き続き、外務大臣以下省員、気を引き締めて事に当たっていただきたいと要望しておきます。  官房長官、それで、外務省防衛庁という、この一番国家基本を預かる省庁でこういうずさんなことがあったと。それから、情報伝達が、サマワ市評議会の問題がどれだけ情報があったかというのはいろんな説がありますけれども、これが仮に週末だから上に上がらないと、こういうことであっちゃいけないし、私、何度も申しますように、外務省防衛庁国家基本にかかわる省庁でこういうずさんなことがあっては駄目だと思いますので、内閣としてはどういう体制をお立て直しになるつもりなのか。実際何かもうやられましたか。
  11. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 通常の情報管理、これは内閣としてはそれなり体制を取っております。危機管理監がおり、そしてその下に情報官という者がおりまして、これは二十四時間体制でもって対応できるようになっております。  今回のことは、イラクのオペレーションの問題というようなことで、これは防衛庁外務省がその情報管理に当たらなければいけないということでございます。  この防衛庁外務省が連携を良くするということは当然でございますけれども、それを更に機能強化するというために、実は先週来、官邸でもって両省の連絡が即座にできるようにという体制を作ったところでございまして、今後、情報連絡については密に、そして迅速にというようなことができるような、そういうことを鋭意心掛けていきたいと思います。  なお、情報管理につきましては、防衛庁外務省もそれぞれ情報が命というところでございます。ですから、それはそれなり情報管理というものをしっかりやっていかなければいけないところだと思いますので、この点につきましては、政府全体として情報管理体制どうあるべきかということも含めて今後の課題としてまいりたいというふうに思っております。
  12. 舛添要一

    舛添要一君 この件について総理からも一言お願いしたいんですが、先ほど私申し上げましたように、遠く離れたイラク自衛官が一生懸命頑張っておられる、国民がそれを一生懸命支えている。そのときに政府緊張感を欠けるというような印象を与えると、これは国民の支持も得られなくなりますので、総理の口からも、しっかりと今後こういうことのないように、その決意をお述べいただきたいと思います。
  13. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 情報管理情報公開、いずれも大事なことでありまして、今までの対応について反省すべき点もあったと思います。  今御指摘の点を踏まえまして、今後、イラクの情勢あるいは自衛隊活動等、多くの国民も知りたがっている情報たくさんあると思います。また、重大な関心を寄せていると思いますので、どのように正確に情報国民に公開するかと同時に、いろんな相手国から情報収集しなきゃなりません。その際には、やっぱり両国の信頼関係、何を機密にするか、何を公開すべきか、両面大事でございますので、情報管理により一層緊張感を持って、今までの御指摘の点、反省を踏まえて、しっかりした対応をしていきたいと思います。
  14. 舛添要一

    舛添要一君 今、総理のお言葉にもありましたように、是非しっかりとした対応をお願いしたいと思いますが。  そこでもう一つ、次の問題、報道機関との関係、これはいろんな問題点がございます。今総理おっしゃったように、私は全部公開すべきじゃなくて、見ていて、むしろ秘匿すべきところまで公開しているんじゃないかと。部隊の装備、部隊が持っていく武器弾薬その他の種類、余りこれ言いますとテロリストに利用されちゃう。だから、そこはちゃんとルールを作ってやる必要があると思いますが。  それから、石破防衛庁長官、まあ自衛隊、過去十年、海外での活動もおやりになっていますけれども、まだまだ海外での活動について、特に広報体制広報、人に知らせる、マスコミとの対応、まだ十分お慣れになっていないような気がします。これは、例えば米軍湾岸戦争以来どういう広報体制、ブリーフをやってきたか、見ればもう歴然とした違いがある。ただ、これしっかりやっておかないと問題ですから、広報体制、これどういうルール作りでどういうふうに進んでいるのか、御説明願いたいと思います。
  15. 石破茂

    国務大臣石破茂君) まず、今回のイラクの件に限って申し上げますと、これ、報道機関とよく双方了解の上で、委員指摘のように、これは出してよい、これは出してはいけない、それはもうメルクマールは何かといえば、一に掛かって隊員の安全です。何を、何をはいいんですが、どれだけ持って行くかなぞということは、これは出せない。あるいは、昨日も御議論がありましたが、被害がこれだけなぞということを出すことは、引き算をすれば今残っている勢力これだけということになっちゃうわけですから、それもできない。安全に係ること以外は積極的に広報していかなきゃいかぬと思っています。  それから、後段の御指摘部分でございますが、自衛隊海外に出るようになって十年でございます。もう米軍や英軍等々に比べれば歴史も浅い。したがって、外へ向けて積極的に広報しようというマインドにまだまだ欠けているという部分はあるんだろうと思います。例えば東ティモールなんかでも、本当に自衛隊は大統領を始めみんなに感謝されている。だけれども、そのことをどうやってうまく国民皆様方に伝えていって、現地で苦労している自衛官がこんなに感謝されているんだということはちゃんと報道していかねばいかぬことだと思っております。  報道の在り方について、もう一度、適切な報道、包み隠すということはなく、しかし安全に配慮しつつ現地の評価はちゃんと伝える、納税者方々に、そして自衛隊を支えてくださる方々に伝える、私もしっかりと取り組んでまいります。
  16. 舛添要一

    舛添要一君 防衛庁、官房長おられますかね。  今長官言われたことを具体的に省としておやりになっていますか。やっていればそのことを簡単に説明してください。
  17. 北原巖男

    政府参考人北原巖男君) 御答弁申し上げます。  ただいま石破防衛庁長官が御答弁申し上げたとおりでございまして、そうした考えの下に、私ども、適切な広報体制充実強化に努めております。そして、御承知のように、先遣隊が参りましたときに一部混乱等がございました。そうしたことがないようにしていこうということで、現在、具体的には、防衛庁におきまして、報道機関に対します適切な情報提供と、それから便宜供与内容につきまして一つルール作り、これを今報道機関側と行っているところでありまして、これを早急にもう少し加速してやって、進めていきたいと、そのように考えております。  いずれにいたしましても、恐縮でございますが、大臣が御答弁申し上げましたように、現地での適切な報道対応と申しますのは、現地部隊の安全、それから報道する側の皆さんの安全、さらには部隊の任務の的確な遂行を確保する上で極めて重要であり、ひいては国民皆さん自衛隊活動に対します御理解、御支援を賜る上で極めて重要と考えておりますので、十分先生の御指摘を踏まえまして、遺漏なきを期してまいりたいと思っております。
  18. 舛添要一

    舛添要一君 是非そのルール作りをやっていただきたいのは、私もずっとテレビにおりましたから、やっぱりよその局よりも早くスクープを出したい、よその局と一味違ったことをやりたい、自衛隊こんなに不祥事やっているじゃないか、こんな危ないところがサマワだったじゃないかってやりたがるんですね。その気持ちはよく分かるんです。だから、報道機関にもそういうことはないようにお願いしたいと思いますけれども、これは政府の方もしっかり頑張っていただきたいと思います。  さてそこで、今広報の話をしましたけれども、どうしても自衛隊派遣になると、施設部隊がどれだけ行って橋を造る、水を作る、こういうことの話とそれを守る警備隊員幾らと、この話しかしないんですけれども、これも重要ですが、広報体制がどうなっているのか、それがなければ、開かれた民主主義ですから、いい仕事をしても伝わらない。だから、何度も言いますが、広報しっかりやってください。  それから、もう一つ重要なのは情報収集ということです。先週のサマワ市云々の話も情報収集。これ外務省にお願いしたいんですけれども、現地に行く自衛隊員が全員アラビア語できるわけじゃありません。これはやっぱり外務省の力を十分かりて情報収集をやっていただきたい。  そこで、私は総理にも申し上げましたけれども、昨年調査団で参りましたときに、私はできればバグダッドがいいよということを申し上げたのは、やっぱりバグダッドが一番CPAを含めて情報が集まる。安全でのんびりはしているんですけれども、集まる。そういうことを言うと、私は九州だから九州の例を挙げますと、九州にいて永田町や霞が関の情報はやっぱり取りにくいです。いいところですけれども、九州は。やっぱり外国特派員でも東京に来ますよ。それと同じで、もちろん人道復興支援活動は主たる内容ですけれども、今後のことを考える、それから自衛隊員の安全を考える、こういうことのためにも、バグダッドCPAなんか、こういうところからのちゃんとした情報収集体制も既にやっていると思いますけれども、やっていただきたいので、その点何か外務大臣なり防衛庁長官なりコメントありましたらお願いします。
  19. 川口順子

    国務大臣川口順子君) おっしゃるように、情報というのは命でございまして、情報収集には万全を期さなければいけないと思っております。  バグダッドにおきまして、今大使館がございまして、そこにいる人間CPAあるいはイラク統治評議会との関係情報収集努力を日夜いたしております。それから、サマーワにおきましても外務省人間が数名おりまして、自衛隊とともに活動を、情報収集を行っております。  なかなか、文民といいますか、外交官でございまして、安全の確保について注意をしながら活動しなければいけないという意味で、ほかのそういう問題がない国における活動と異なって若干制約があるということはどうしても否めないわけでございますけれども、その範囲内で最大限の情報収集努力をいたしております。
  20. 舛添要一

    舛添要一君 今、私がその問題を出しましたのは、もう二か月前になりますけれども、奥、井ノ上、二人の大変優秀な外交官、非業の死を遂げられた。もう少し情報があれば、私の感覚で言えばですよ、たった二人で一台の車でティクリートに行くなんていうのはもうほとんど自殺行為だというような気がするんですね。私はヨルダンからバグダッドバグダッドからクウェートまで走りましたけれども、非常にそれは命懸けでございました。だから、もうちょっとテロリスト情報でもつかんでいればあのことも避けられたのではないかなということが頭にあるものですから、そういうことを申し上げましたけれども。  さて、このお二人の大変悲しい事件についてですけれども、巷間いろんな説が流れている。米軍が誤射したんじゃないか、政府が意図的にそんなことを隠しているんじゃないか。その理由の一つは、発表までに二か月間掛かって、そんなに御遺体解剖をして、そこに残っている鉄砲の弾を調べるのに時間が掛かるんだろうか。時間が掛かり過ぎていると、これどうなのか。  それから、いろんな陰謀説がありますから、実際に御遺体司法解剖して、どの角度から撃ったとか、そういうことについて警察はついせんだって簡単な発表をいたしました。そして、これは新聞発表によるとAK47、カラシニコフの弾ではないかという推測がなされています。それならばイラクに一杯出回っている銃ですからテロリストということも言えるんですけれども、巷間出ているいろんな陰謀説やいろんな政府の意図的な隠ぺい説、こういうものを打ち消すだけの内容があるのか、もう少しこの国会の場で警察としてちゃんと御答弁願いたいと、委員長、思います。お願いします。
  21. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) お答えいたします。  二人の外交官のまず司法解剖でございますけれども、これは既に概略御報告をさせていただいておりますけれども、奥大使左側頭部銃創による頭蓋内損傷井ノ上書記官左上腕部銃創による失血死が死因であると、こういうことでございます。  お尋ねの中で、その撃たれた角度というような御指摘もございましたけれども、なおその詳細な司法解剖内容、結果につきましては現在も鑑定中でございます。  それから、先般発表いたしましたのは、この司法解剖の結果としてお二人の御遺体から多数の金属片が摘出をされたわけでございます。これにつきまして、いろいろ鑑定実施してまいりました。これは実は時間が非常に掛かったという御指摘もございますが、この資料といいますのは、お二人の御遺体から合計二十点ほどの金属片が出ているわけでございますが、中に極めて微小なものがございます。それから、相当変形、損傷しておると。一見して銃弾の一部かどうかすら分からないぐらい細かくなってしまっている、破損、変形もしている、こういうような状況でございまして、大変、極めて困難な鑑定をせざるを得ないということで時間が掛かったわけでございます。  申し上げましたお二人の御遺体からの二十点と合わせまして、その後、お二人が使っていました車両の中からも銃弾らしき金属片が発見をされたということでございまして、合計二十一点につきまして警視庁の科学捜査研究所で物理的な鑑定を取りあえず行ったわけでございます。  その結果を先日発表させていただいたわけでございますが、概略申し上げますと、その二十一点のうち、銃弾の一部と認められるものは六点ある、そのうちの五点は右回り四条の腔線を有する。といいますのは、口径七・六二ミリ程度の銃から発射されたものと推定される。この右回り四条の腔線といいますのは、御案内かとも思いますが、銃につきましては、命中精度を上げるためにいわゆるライフリングという溝を銃身の中に切るわけでございまして、弾丸にその跡が残るわけでございます。極めて先ほど申し上げました微小な、弾丸のごく一部と思われるものに一部その腔線が残っているというものを分析をした結果でございまして、このライフリング右回りで四つの溝がある、そういう銃から発射されたもので、その口径は七・六ミリ程度であると、これは、要するに完全な形での弾丸ではございませんので、と推定されると、こういう鑑定結果でございます。  それから、さらにこのうちの三点につきましては同一の銃から発射された可能性が考えられる、このような鑑定結果ということでございます。  どのような銃種かという点のお尋ねもあったかと思いますけれども、これにつきましては、この鑑定で申し上げられますのは、以上御報告させていただいたとおりでございまして、口径が七・六二ミリで右回り四条の腔線を有する銃というのは、実は世界じゅうに多種多様なものがあるというふうに承知をしておりまして、この鑑定からは直ちに銃の種類が特定されたわけではないということでございます。  私どもといたしましては、与えられましたといいますか、入手できました捜査資料に基づきまして、純粋に捜査の観点から鋭意最大限の努力をした結果ということで発表させたものというふうに御理解いただきたいと思います。
  22. 舛添要一

    舛添要一君 被弾した被害車両、これをもっと詳しく調べればもっと分かる可能性があると思いますが、外務大臣にお伺いすればいいんでしょうか、これは外交ルートを通じて近々日本に搬送するというような御予定はございますか。
  23. 川口順子

    国務大臣川口順子君) この車両につきましては、ただいま現在はイラクにある日本の大使館の管理下に置かれております。  今後の取扱いでございますけれども、日本の警察当局が必要な捜査を実施できるように、警察と御相談の上、今、日本に搬送するということで所要の準備を行っているところでございます。
  24. 舛添要一

    舛添要一君 総理是非政府を挙げて真相解明ということで努力していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  さて、次に防衛庁長官にお伺いしますけれども、現実に自衛隊員、本隊が出発なさった。やっぱり御家族それから国民みんな、本当に無事に任務を遂行して帰っていただきたいと思いますけれども、この武器使用基準とかROEとかがしっかり決まってなくて、ちゃんと事前に防衛すればいいものを、それがあいまいなために命を落とすようなことが絶対あってはいけないと思いますが、その点のことはちゃんと抜かりなくやっておられますか。これはテレビを通じて隊員の御家族もごらんだと思いますので、はっきりとおっしゃっていただきたいと思います。
  25. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、万全というものは世の中にはないかもしれないが、考えられる限り最大のことは行いました。そして、私、法案のときも申し上げましたが、実際に赴く自衛官がこれでやれるという自信を持たない限り私は派遣命令を出さないということを申し上げました。これは、実際に行くのは彼らなんです。そういう場面に遭遇するかもしれないのは自衛官たちであります。それは、権限も、そしてまた装備も、訓練の練度も、これでいけるというふうに、本当に自信あるというふうに言わない限り派遣命令を出さないということを申し上げました。赴く指揮官の中には、私もずっと長い間いろんな議論をし、勉強してきた仲間たちがおります。  今、ROEの御指摘がございました。このROEにつきましてもきちんと整備をいたしました。  これははっきり申し上げておきますが、自分を守るという権限において我々は他国と遜色があるものではございません。国際標準に比べて日本の武器使用権限は低いのではないかという御指摘をいただくことがありますが、自分を守るという権限において他国に遜色があるものではございません。そしてまた、持ってまいります装備品も、我々は治安維持に当たるわけではございません、人道復興支援がメーンでございますが、そのような任務に当たるに十分な、そしてまたそういう場合に想定されるいろんな危害に対して十分な装備を持っていっております。そして、訓練におきましても、本当にもう何度も何度も訓練を繰り返して、本当に迷わずにきちんとした状況判断ができるか、そして武器を使用しなければならない場合は遅滞なく逡巡なく撃てるかということもすべて練度を上げております。  実際に赴く自衛官たちが、権限においても装備においても練度においても十分であるということは申し上げておきます。
  26. 舛添要一

    舛添要一君 今自信を持って長官おっしゃいましたのでそのように信じたいと思いますが、是非この隊員の安全ということ、それで、もし状況に応じてROEを変えるような必要があれば、それはちゅうちょなくやっていただきたいと。これは公表できない内容ですから結構ですけれども、お願いいたします。  次に、逆に、オランダの兵隊さんの場合に起こりましたけれども、過ってイラク市民を撃つ、これは自爆テロと思って撃ったりすることがあり得ると思います。そういう場合に、どこでどういうふうにその誤射をした隊員が裁かれ、またどういう罪になるのか。これはやっぱり隊員の御家族にしても、一生懸命イラク人のためにやっていて、たまたま過失で、それはだれがどう見てもこれは自爆テロで来ていると思って撃ったり、流れ弾が当たることだってあるわけですから、こういうことについてもちゃんと自衛隊員を守っていかないとだれも行く人いなくなりますよ。そこは政府としてもちゃんとやっているんでしょうか。
  27. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは委員とも随分議論をさせていただいたことでございますが、過失は罰しません。過失というものを罰することはいたしません。これは国外犯の規定でございますけれども、刑法百九十九条の殺人罪、また殺人未遂罪、刑法二百三条、刑法二百四条の傷害罪、あるいは刑法二百五条の傷害致死罪に当たる場合には我が国の刑法が適用されることになります。  なりますが、今委員、過ってとおっしゃいました。過失で行った場合には、これは国外犯の規定に掛かりません。したがいまして、これは今オランダの例を御指摘になりました。私、先般オランダに参りましたときにカンプ大臣ともこのことは随分と議論もいたしましたけれども、過失で撃った場合には、これは罰しないということでございます。現地において本当に故意に現地方々を殺傷するというようなことは、これは到底考えられないことでございまして、そのような場合に罰せられることはないということでございます。過失に基づくものは国外犯の規定には掛かりません。
  28. 舛添要一

    舛添要一君 こういう議論をしていきますと、総理ね、やっぱり自衛隊が国外で国際協力業務を行うということが大きな仕事になってきた。私は、やっぱり自衛隊法の改正、あれ雑則にしか入っていませんから、そういうことも念頭に置かないといけないし、これはもう総理も集団的自衛権、これを考えるということをおっしゃった。  私は憲法改正議論の中で今のような問題なぜ申し上げたかというと、我が日本国憲法は特別法廷を認めていないんですね。しかし、軍事法廷というものの必要性も議論しないといけないんで、そういうことを最初からアプリオリに議論の外に外すんではなくて、やっぱりいろんな問題がこの自衛隊派遣に伴って出てきたものは我々国会議員としても議論したいと思いますので、是非オープンな気持ちで政府としても、総理として対応していただきたいと思いますが、一言何かございますか。
  29. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 現行憲法の制定時の国際情勢と当時の日本国民の意識と、現在における国際情勢と日本の国力、また日本の意識、大きく変わっていると思います。そういう点から、自衛隊の国際貢献の在り方については憲法の問題と関連する点も多々あります。そういう点もよく含めて、今後の憲法改正議論の中では十分議論していただきたいと思っております。
  30. 舛添要一

    舛添要一君 次に、サマワ市の状況についていろいろお伺いをしたいと思いますけれども、まず、昨日入りましたニュースで、防衛庁長官、宿営予定地で地雷が発見されたということですが、これまた国民見ていると、ああそんな物騒なところかというイメージをお持ちになるかもしれませんが、どういう地雷であって、どういうことであるか、これは運用局長、お答えできますか。
  31. 西川徹矢

    政府参考人(西川徹矢君) お答えします。  二月二日の十二時四十分ごろ、宿営地の予定地におきまして、引込み道路の設置作業所の作業現場におきまして発見されました地雷らしきものでございますが、これは対人地雷と言われるもので、対、人に対するやつでございます、これを一個発見いたしました。約十センチ、直径十センチぐらいのものでございますが、ただ現物は非常に相当に古いものでございまして、本件が直ちに今回、今後の隊員安全確保に重大な影響を与えるということまでは見られなかった、考えられないと、こういうことでございます。  なお、現物につきましては、既にオランダ軍によりまして、処理を依頼し、そして爆破処理を終了していると、このように了解しております。
  32. 舛添要一

    舛添要一君 今後いろんな、しょっちゅう戦争やってきたところですから、地雷や何か出てくると思いますけれども、そのたびに遅滞なくこれは、国民に公表すべきことはやっていただきたいと総理にお願いしておきます。  それから、外務大臣、極めて簡潔で構いませんので、一番新しいサマワ市の状況、部族の状況、市評議会の状況、それから、私は、大変有り難いことに、宗教指導者が自衛隊は我々の手で守るんだと、こういうファトワを出していただいたということなので、これは特にシーアにおいては非常に大きな意味を持つと思いますから、簡潔に、外務省、どういう状況であるか、今の市の状況について御説明ください。
  33. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  サマワ市の状況でございますけれども、全体としては安定していると考えております。市の評議会が辞職をした、その後メンバーが何人かまだ働いてもいいという話については承知しておりますけれども、引き続き業務は続けられておると承知しております。  宗教指導者、部族長との会談についても、自衛隊皆さんを始め接触に努めており、サマワ市のニーズ等についても把握のための準備が進められていると承知しております。
  34. 舛添要一

    舛添要一君 テレビの映像を通じて先遣隊皆さんが大変御苦労なさっているのを見ています。私、実はヨーロッパにおるときにイスラム研究をやっていたもので、非常にこれうまくいくんじゃないか、大変すばらしいことをやっているなと。  例えば、イスラムの義務の一つにザカート、施しを与えるということをやるわけですね。この前のお祭りのときに二十頭ばかり羊をほふって上げた。そして、これは孤児の皆さん方に上げた。マホメットというのは孤児だったんですね。したがって、自分と同じ境遇にある者を大切にしなさいとコーランに書いてある。  だから、無反動砲も装甲車もいいんだけれども、それは必要なんだけれども、それよりはるかに大きな意味を持つのが現地の人たちとの交流であり、文化の理解なんですね。ですから、本隊着かれて、たどたどしいながらアラビア語でごあいさつなさった、これも大変結構だと思いますし、そういうザカート、施しをちゃんとやったということは大変すばらしいと思います。ですから、みんなが守って、住民の海が守ってくれれば鉄砲一つたりと要らないんですね。  だから、大変すばらしい教育訓練をおやりになったと思って、私は誇りに思っていますが、今後ともこれは是非、長官、教養、文化、やっていただきたいと思います。外務省も同じですが。  総理、一度ならずイスラム文化について話しましたけれども、私の同僚のイスラム、これスイス人ですけれども、学者が、門前の小僧で私もいろいろ教わったんですけれども、こういう文書を書いていまして、慈善行為の位置付けがキリスト教とイスラム教とでは異なることに注意を促しておりまして、飢えたムスリムは十分に食べる物のあるムスリムから、これはイスラム教徒、から食糧を奪う権利を有する、そして、もしその過程で貧しい者が殺されれば殉教者となり、貧者、貧しい者が目的を達するために富んだ者を殺しても正当防衛となると、こういう文化なんですね。  ですから、そういう中で我が国がどういう貢献をやるかということなんですが、私が昨年現地調査に行きましたときに、何をイラク人が求めているか、第一は治安の確保です。殺されたら終わりですから。第二が仕事なんです。第三がインフラ整備なんです。それは、電気なくたって水がなくたって、ランプで生活して仕事あってお金が入ればできますから。同時に全部やるのがいいですよ。だけれども、我々は治安の確保って主たる目的じゃないんで、やっぱり仕事に、あれだけ仕事、仕事と言うのはそのことが意味があるんです。  ただ、ここから先は外務省にも防衛庁にもお願いしておきたいんですけれども、どういう仕事なんですかと、あの地のイスラム教徒はどういう仕事が貴くてどういう仕事がいいと思っているんですかと、こういうことを歩きながらでいいからちゃんと研究してやらないと大失敗を来すことになると思います。外務大臣、何か御所見がございますか。
  35. 川口順子

    国務大臣川口順子君) サマーワの町では失業率が六割とか七割とか、いずれにしても非常に高い状況であって、日本が雇用の面でいろいろな支援をしてくれるということに大変な期待があると思っています。それで、既に一つ、二つですけれども、国連の人間居住計画という国際機関ですが、ここを通ずる援助を決定をいたしました。これは貧しい人たちの家ですとか教育、地域センターですとか、そういうところの建設ということでございますけれども、これはイラク化をしてやっておりまして、イラク人がマネージをし、イラク人が募集をし、イラク人が造るということでございます。これによって恐らく五、六百人ぐらいの、一日当たりですが、雇用が可能になるのではないかと思っています。  いずれにしても、この雇用の視点ということは非常に重要だと思っておりますので、今委員がおっしゃられたどのような労働を望んでいるのかということも考えながらきちんと対応をしたいと考えております。
  36. 舛添要一

    舛添要一君 今は退避勧告が出ているような状況ですけれども、是非、役所だけじゃなくて、NPOの諸君も大変頑張っておりますので、それとの連携、そして総理、是非NPOに対しても予算措置をしっかりしていただいて、日本の若者が本当に現場で頑張って、今一時的に退避していますけれども、少し安定したら是非彼らを入れてやっていくことを政府としてもサポートしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  37. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 今、一般のNPOにしても民間人にしても、安全の面を考えると行くことができない状況だ、そこで自衛隊の諸君に最初に行っていただくと。自衛隊の人的貢献というのは、日本のイラクにおける復興支援人道支援の一部であります。今後、多くの意欲のある民間人におきましても、自分の持てる力をイラク復興支援のために何か役立てたいという方々であれば、是非ともその門戸を開放して、いろんな場で活躍できる対応政府としてもしていきたいと考えております。
  38. 舛添要一

    舛添要一君 悲観的な側面だけじゃなくて、明るい側面もやはりこのイラク復興については見ていかないといけないと思いますけれども、外務大臣、私は、もう調査団の派遣により国連の関与がほぼ決まったと思っています。これの力をかりながら、何とかスケジュールどおりイラク人による政府を六月ぐらいに立ち上げたいと。  それから、フランスとかドイツ、ロシア、直接このCPAに参加して協力していなくても、戦後復興には協力するということで、これは今、岡本補佐官が行かれているんだと思いますけれども、国連の関与、それからフランス、ドイツ、ロシアとの我が国の協力関係、こういうことについて説明していただきたいと思います。
  39. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国連の関与ということにつきましては、我が国はずっと国連の関与が大事であるということを言ってきたわけでございます。それで今回、選挙等を通じて六月の終わりにイラク人の手によるイラク人のための政府、これをつくる過程が合意を昨年の秋にされましたけれども、それをやる過程で、例えば選挙方式等について国連が調査団を出すということを決定をしているわけです。こういった形で国連の関与が高まっていくということは、我が国としても歓迎をしております。  それから、同時にフランス、ドイツ等についてイラクの復興についての支援を、既に人道復興支援についてはフランスもドイツもやっておりますけれども、その上で我が国としてももっとそういった国の支援が必要だと思っておりますので、これはおっしゃった岡本、総理の特別補佐官が、岡本補佐官がドイツ、フランスに行きまして、日本と一緒にイラク支援をするためにやりましょうということで、これは橋本元総理が特使でいらしたときにきっかけを作っていただいたわけですけれども、その中身を詰めに行っております。  こういった努力を引き続き重ねて、やはりイラクの復興には国際社会が全体となって関与をして進めていくということが大事ですので、そのために日本としてもそういう方向の努力が重ねられるように貢献をしていきたいと思っております。
  40. 舛添要一

    舛添要一君 最後に、総理にお伺いいたしますけれども、九・一一、あのおぞましいテロリズムがありました。私の国際情勢認識は、言わば、言葉がいいかどうかは別として、ある意味で我々人類は第三次世界大戦に突入したと。その何との戦いか、テロとの戦いだと。このテロとの戦いに対して絶対に中立ということはあり得ない。テロリストの方に付くんですか、戦う方に付くんですか。我々の選択は戦う方に付くしかない。そのために我々の持っている資源、人的資源、お金、こういうものを使って国際社会の一員としてしかるべき貢献を果たす、こういうことだろうと思いますので、私は、そういう基本をしっかりすれば政府として今の方針を貫いていくことは十分可能だと思います。  テロとの戦い、中立はあり得ない、このことについて総理の御決意をお願いしまして、私の質問を終わります。
  41. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) テロに屈してはならない、これはもう国際社会、一致した私は見解だと思っています。そのテロとの戦いにおきましては、その国々によってどういう対応があるか違ってくると思いますが、日本としては、こういう点につきまして日本独自でできること、国際社会の中で協力してできること、全体を考えながら、長い、きつい、厳しい戦いでありますが、テロに対しては敢然と立ち向かっていくという国際協調、そして多くの国際社会の国民がテロの恐怖におびえることがないように、日本として国際社会の責任を果たしていきたいと思います。
  42. 舛添要一

    舛添要一君 終わります。どうもありがとうございました。
  43. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 関連質疑を許します。月原茂皓君。
  44. 月原茂皓

    月原茂皓君 自由民主党の月原です。関連質疑をさせていただきます。  まず最初に、総理、小牧それから旭川、この両部隊の隊旗授与式に参加、御臨席になられて、そして自らの言葉隊員に訓示をし、隊員と接しられたわけでありますが、総理自身、隊員の、接してどのような印象を持ったかということをこの場で国民皆さんに伝えていただきたい、このように思います。
  45. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 多くの派遣される自衛隊隊員諸君が実に意欲的で、そして今までの厳しい訓練を積み重ねてきたことによる使命感の強さというんでしょうか、自らの持てる能力を国際社会の中で発揮していきたい、それが日本国民の代表として自分たちが活躍できるんだという意欲を感じました。  また、それぞれが自ら進んで自衛隊に入隊したと。今回の仕事も、自分たちの能力を発揮でき、なおかつ多くの国民から期待される、この期待にこたえるために強い責任感と誇りを持ってやっていくんだという、そのような意欲、姿勢を感じまして、誠に心強く感じました。
  46. 月原茂皓

    月原茂皓君 私も総理のその場に列席させてもらいましたが、総理のおっしゃったような、そのような私も印象を受けました。  また、一月の七日の日に私は旭川に行ったときに隊員方々と話したときに、自分たちが国家の名誉を懸けて今までの訓練の成果を示してくるんだ、こういう強い決意。それからもう一つは、万々一のことがあったとしても、当時、まだ総理の責任問題とか何かおもしろおかしく言っていたマスコミがあったわけですが、そういうことがないようにしてもらいたい、我々は全力を尽くしてくるんだと、こういうふうに言っておったことを総理にお伝えしたいと、このように思うわけであります。  次に、防衛庁長官にお尋ねいたします。  今、舛添委員とのお話にも関連するとは思いますが、今までいろいろな、いろいろなというか、いろいろな観点から、自衛隊員安全確保とか訓練とか、それから装備のこととか、それから処遇の問題とか、家族の関係はどうなっているんだというようなことを個々にお尋ねの議員がたくさんあったわけでありますが、集大成というかトータルとして、これは有り難いことに全国に放映されているわけでありますから、大臣から、どういうふうに大臣としての責務としてそういう問題を取り扱ったんだと、そして特に、イラクに派遣するという意味で特に意を付けた、要するに注意をした点はどういう点であるかということをお話し願いたいと思います。
  47. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 今まで自衛隊、十年間にわたりましてPKO活動行ってまいりました。あるいは、テロ特措法に基づきまして、インド洋で活動をしております。  今回違いますのは、PKOではなくて、初めて陸上において活動するということでございます。もちろん、戦闘地域ではございません、人道支援を行うわけでございますが、総理もよくおっしゃいますように、危険が必ずしもゼロではないと、その地域に赴くというのが全く違うところでございます。したがいまして、権限、能力、装備、その点において、実際に赴く自衛官が自分でこれで自信が持てるということでなければ出さないということでやってまいりました。  これはもうすべて掌握したかどうかは、これはもうはっきり申し上げられませんが、イラクで起こっておるいろいろな事象に、この場合には対応できるのか、この場合には対応できるのかということを検証してまいったつもりでございます。要は、行く自衛官が自信を持って行けるということでなければならないという点に配意をしたつもりであります。  私は、この法律に基づきまして、第九条でございますが、安全配慮義務というものを負っております。それを本当に果たしたのかということは常に自らに問い掛けてまいりました。  もう一つは、舛添委員も御指摘になったことでございますが、ゴラン高原にも出しておりますけれども、本当にイスラム教、そしてまたシーア派の市民の中で活動するというのは、これはある意味、初めてでございます。イラク・ハンドブックというのを作りまして、現地の習慣、宗教的な慣習、そのようなものも、それはすべて分かりません、コーランてこんなに厚いんですし、アラビア語で読まなけりゃ本当のことは分からないという話ですから、これは全部理解したとは申せませんが、少なくとも、現地において失礼のないような、そして現地の習慣にきちんとなじむような、そういうことも配意をしております。  そしてもう一つ、これは安全と裏腹になるのかもしれませんが、どうやって現地に溶け込むかということであります。自己完結型組織でありますから、先生よく御案内のとおり、もう食べ物から寝るところから、もうすべて自前でやれるというのが我々の組織でございます。  しかしながら、じゃ現地で何にも調達しなくていいの、食べ物やそういうものを調達しなくていいの、そういうことにもならぬでありましょう。現地でできる限り調達もしたい。雇用も行いたいと思っています。しかし同時に、そこは安全に対する配慮というものを万全を期したいと考えております。  それから、家族の方々に対してでありますが、もちろん支援の組織は我々自衛隊の中にも作っております。家族の方々に常に連絡が行くように、そして衛星電話、これは画像も付きますが、そういうものも通じまして、週に何回かは御家族と連絡が取れるように、そして生の、声だけではなくて、お父さん元気だよ、私、元気ですよ、そういうようなのが伝わるようにしたいと思っております。そういうような形で、やはり御家族の方々も不安であります。そういう方々にきちんとした情報が伝わるようにしたいと思っております。  また、先ほど武器使用の件につきまして舛添委員からお尋ねがございました。過失は罰することはいたしません。そしてまた、撃った場合、つまり武器の使用というものを十七条によって行わなければいけなくなった場合におきましても、それは正当行為、刑法第三十五条に申します正当行為でございます。そして、緊急避難、正当防衛、これを違法性阻却事由といたしております。そのような関係で、よほどのことがない限り、というのは、もう本当にこれは明らかに故意であるなというようなこと、それはもう考えられないことでございますが、国内においてそういうような刑事訴追の対象になるということはないというふうに私は考えておるところでございます。  今後とも、いろんな御指摘をいただきながら更に万全を期してまいりたいと存じます。
  48. 月原茂皓

    月原茂皓君 今大臣おっしゃったように、九条には配慮事項として、内閣総理大臣それから防衛庁長官、これは部隊等の安全の確保に配慮しなければならないとわざわざ法律に書いてある。それに基づいて、今お話しのように、現地における溶け込む方法とか、あるいはその武器使用のことについてもお話があり、家族についても衛星で十分状況が、お互いが意思の疎通ができるように、そういう配慮をされたわけでありますが、私が更にお尋ねしたいのは、大臣でなくても結構ですが、装備とかですね、今までに持っていったものと装備が非常に違う。あるいは、今までの教育訓練というものについては、現地のことも考えた上でどういうところを、特にどういうふうな具体的に訓練したんだと。それはまあ余り微に入り細に入りということではないけれども、国民皆さんから見たら、いや今までと違うんだなと、こういう印象が与えられるような事象があればお話し願ったら有り難いと、こういうふうに思うんですが。
  49. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 装備につきましては、今まで海外に出したものがないものが含まれております。装輪装甲車であり偵察警戒車であり、あるいは無反動砲であり対戦車弾でありというものを持っていっております。それは、我々はもちろん武力の行使を行うわけではない、戦争に行くわけではない、治安活動を行うわけではない、人道支援に行くわけであります。  しかしながら、サマワの市民にすべてに歓迎をされておる、宗教指導者も自衛隊を守るのは、これ何だ、自衛隊は人に守ってもらうのかというようなことをおっしゃる方がありますが、そうではないのだと。向こうでこういう見慣れぬ人間が入ってきたということがすぐに情報として伝わるということが守るということであり、舛添委員の表現を借りれば、人間の波が自衛隊を守るというのはそういうことなんだと思います。  そういうことではございますが、しかしながらテロリストというのは何を考えているか分からない、すべてのサマワの市民に歓迎をされていてもテロリストには歓迎をされていないであろうということであります。それが何を持っているか分からないという以上、これは、人道復興支援を行うのに伴いまして、しかしながら否定することができない危険に対して、それを抑止し、排除し、仮に危険が避けられなくても、その被害を局限化するためにそういうものを有しておるものでございます。  決してこちらの方から使うというようなものではございません。あくまでこれは身を守るために持っていくものでございます。しかしながら、これが過小であって、あれを持っていけば助かったのにというようなことがあってはならないというふうに配慮をいたしておるところでございます。もちろん、無用の警戒心を与えるような、そういうようなことがあってはならないことは当然であります。  イラクの風俗、習慣、そしてまた宗教的なもの、そういうものにつきましても可能な限りの勉強はいたしました。そして、一人一人の隊員が、アラビア語に熟達したとは申しませんけれども、少なくとも、このような失礼な振る舞いをというようなことは決してあってはならない。イスラム文化というものを、イスラム教というものをきちんと敬意を持って尊重する、それが現地において行動する者の務めであるというふうに考え隊員すべてそのように認識をいたしておるところでございます。
  50. 月原茂皓

    月原茂皓君 今、体系的にお話しいただいたわけでありますが、この前も、総理大臣もごらんになったと思いますが、隊旗授与式の場に装輪装甲車あるいは軽装甲車というようなものを並べて御家族の皆さんに見ていただいておったと。これは非常に御家族の皆さんも安心したことと、これは外務大臣もごらんになったと思いますが、そういうふうに思うわけであります。  さて、次の問題でありますが、舛添議員からお話がありました部分と重なるところがあるんですが、現場の部隊が治安情報というか、自分を取り巻く情勢というものを的確に収集しておかなければならない。それはまた大きな意味での流れも見なければ私はならないと思います。なぜならば、非常に危険な、非戦闘地域でないような状況になる場合には新たな命令も下さなければならないわけですから、防衛庁長官のところにもその情報が入ってこなければならない。  そういうことを考えた場合に、より大きく言えば、米国の国防省あるいは中央軍とか、そういうふうなもろもろの結節点があると思うんですね、向こうのそれぞれの部隊の。そういうところに自衛隊員を派遣しているのかどうか。  そしてまた、今、具体的な、先ほどお話がありましたが、CPAとかあるいは住民の方々の中からそういう情報を得るとか、そういうふうなことについてどういうふうに手を打たれるというか、どういうふうに配置をされておるのかということをお話し願うとともに、国家として中央においてそれぞれの省庁協力しなければならないということもうたっておりますが、当たり前のことです。そういうことの抜けのないように官房長官の下でされておると思いますが、そういうところのシステムというものをこのイラクを契機にどういうふうに立ち上がらせているのか、そのことを御説明願いたいと思います。
  51. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員指摘のように、それぞれの結節点には要員を派遣をいたしております。これは何名ということは申し上げられない点もございますが、委員が御賢察のように、こことこことここにはいなければいけないのだというところに配しております。そこから情報がきちんとサマワにも伝わるように、そしてまた東京にも伝わるようにということであります。  これは六時間の時差がございますので、その点をよく配慮しなければならない。こちらは昼だが向こうは夜であったとか、そういうようなことが起こります。そういうような場合に、時間がずれていたからというようなことがあってはなりません。防衛庁内におきまして、先生も御案内のことでございますが、二十四時間体制できちんと情報が把握をできるという体制を取ってございます。  その情報がきちんと分析をされ評価をされ、Aはこう言う、Bはこう言う、こんなことでは情報が混乱するだけでございますので、どうやってそれを評価し分析をするか。そして、それを防衛庁だけで持っておっても仕方がないわけであって、まさしく先生御指摘のように、我々が把握したことを、総理あるいは官房長官外務大臣、同じように共有をして判断を下せるということでなければいけません。  これは、紙の上でだけでそうだそうだ、うまくいくということでは駄目なのでありまして、先般もいろんな訓練を行いました。実際に何度もやってみないと、こんなことが起こった、こうすればよかったという反省点がたくさん出てくるはずであります。私は、訓練というのはなるべく実際に起こったことと近いように、そしてなるべく突然やらないとこれは駄目だというふうに思っております。そういう訓練を通じまして、本当にきちんと、先生御懸念のようなことが起こらないように、日々前進をしてまいることが務めであると、かように認識をしておるところでございます。
  52. 月原茂皓

    月原茂皓君 予告はしてなかったんですが、その総元締の一人である、最高責任者というか官房長官、その点について何かお話があれば。
  53. 福田康夫

    国務大臣福田康夫君) 事務的な意味において、いろんな省庁の事務の取りまとめなんかしておりますから、そういう意味におきまして、今回の問題につきまして、特に緊急性とか事態の重要性というものを考えますと、それは省庁間の連携というのはもうしっかり取っていかなければいけない。そういう意味におきまして、内閣官房でもってその総合調整をしていこうと、こういうことでその体制も作ったところでございます。  判断をしっかりと、また迅速なる指示ができるように、必要に応じてできるような体制、そういうことを目指しておるところでございます。
  54. 月原茂皓

    月原茂皓君 今お話しのように、特にイラクの問題についてですね、中心に、その情報収集体制、そしてそれを分析、評価し、それぞれの省庁が共有して持つというシステムができ上がっているなという感じはいたします。  私が心配するのは、こういう情報を、後で米軍の方はこういう情報を流しておったのになということが言われないように私はしていただきたい。これは、事自衛隊員のみならず、現場で国家の代表として活動している多くの方々の命にかかわることですし、それに基づいて、その情報に基づいて的確に部隊を配備し、またそれを中止したり、そういう権限を中央が持っているわけでありますから、みんな、現場の部隊の人々も中央がそういう判断でちゃんとしてくれるなということを信じて行動しておるわけですから、よろしくお願いしたいと思います。  最後に、総理大臣、このことについて一言お願いしたいと思います。
  55. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 情報収集、また管理体制、これに遺漏なきをこれからも政府一体となって取り組んでいきたいと思います。
  56. 月原茂皓

    月原茂皓君 終わります。
  57. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。  私は、まず、昨日、本会議でこの承認案件の質問をいたしまして、総理関係閣僚に答弁をいただきました。  今度の参議院でのこの承認案件を質疑に入る際に、冒頭、私は衆議院での審議経過についてお尋ねさしていただきまして、私たち、この所属する委員会の委員長、与野党そろって、衆議院はいろんな事情はあったにせよ、きちっとした参議院らしい審議をしていこうと、それから政府も誠意のある答弁をしてほしいと、こういうことでスタートしたはずだと思うんですね。  ところが、率直に申し上げまして、総理始め関係大臣皆さん方は誠意ある答弁したよと言うかも分からぬが、私たちは、昨日の答弁というのは何だったのだろうかということを、せっかくそういう約束をしてスタートしたにもかかわらず、率直に言って、いただけない答弁だったということを言わざるを得ません。  そこで、今日、これから幾つかお尋ねさしていただきますけれども、この審議経過について総理は、与野党協議の上、円滑になされることが望ましいというふうに答弁されております。裏返して言えば、円滑でなかったから円滑にされることが望ましいという、こういう表現だということを、が推測できますけれども、私が尋ねたいのは、与党単独採決までに至る委員会審議がとっても円滑に行われていませんよということについて、きちんとこれは総理としての私は考え方、答弁というのを求めたわけで、このことについて改めてここでお尋ねさしていただきたいと思います。
  58. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、委員会の指示に従って出席もし、質問者の質問に応じて誠実に答弁しているつもりであります。  委員会におきましても、与野党お話し合いの上、円滑に審議されるよう期待しております。
  59. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 総理、この衆議院全体の審議のありようについて、あなた自身がどういう質問されて答弁したかということではなくて、衆議院では、この特別委員会、財政金融委員会、予算委員会、本会議も野党は欠席だったんですよ。それは与党は与党でのお立場はあるかも分かりません。しかし、その後、正常化に向けて、特別委員会委員長は野党に対して陳謝されたんですよ、陳謝。そういう全体なこの院の在り方について、総理として見解を私は求めたんですから、総理自身が、私はこういうふうに誠意を持って答えてきましたということを聞いているんではないんで、改めて答弁を求めたいと思います。
  60. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 委員会の運営につきましては、委員長を始め与野党の理事の皆さん、よく協議されまして円滑に審議していただきたいと思っております。
  61. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 持ち時間、これで全部費やせません。  要は、そういったことの一つ一つが、私は総理と度々質疑させていただきまして、もちろん真剣にお答えいただくということについて、議事録も精査をしてお答えいただいているなというのはありますが、総じて、時として衆議院と参議院、衆議院の方は一生懸命答弁しているけれども参議院は答えないなと、与党と野党と、どうも与党には一生懸命答えているけれども野党は答えていないとか、時々ありながら、あるいはテレビが入っているときは一生懸命答えるけれども、テレビ入っていなかったらというふうなぐらい、ふうに思うぐらい実は感じられるんですよ。  是非、以下いろいろお尋ねさせていただきますので、テレビで注視をしていますので、誠意ある、本当に誠意ある答弁を求めていきたいというふうに思います。  今日、私は、このテレビ中継とその後も質疑をしますので全体に時間を与えられておりますが、その後に項目も譲らさせていただく部分もありますが、まず冒頭やっぱり触れさせていただきたいのは、対イラク武力行使の正当性、それを支持した根拠に対する答弁。総理は、累次の関連安保理決議に合致し、国連憲章にのっとったものであり、我が国がこれを支持したのは正しかったと、これが昨日の私に対する答弁で、似たような答弁を昨日の午前中も同僚の小川議員にも言っています。  国連憲章、国連憲章、国連憲章にのっとっているんですよと、こういうふうに言って、時々聞いていると、国連決議と国連憲章間違っているんじゃないかというふうに思うほど実は感じられますけれども、どの決議に、どの国連憲章の部分に今回の武力行使の正当性を認めた文章があるんですか、文言があるんですか、はっきりしていただきたい。総理、いや、総理に答えてもらいたい。
  62. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 累次の国連決議がありますが、それにのっとって判断したわけでありますので、正確を期すために外務大臣に答弁させます。
  63. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 関連をする国連決議、安保理決議は三つございます。一四四一、六八七、六七八ということでございます。  それで、一四四一というのは二〇〇二年の十一月の八日に採択をされた、これは満場一致で採択をされた決議でございますけれども、ここで幾つかのことを言っていまして、一つは、イラクが六八七という決議、これは停戦決議でございますけれども、この停戦決議及び関連決議の重大な違反を犯し続けているということを満場一致で決定をしたわけです。  すなわち、六八七では、イラクが大量破壊兵器を廃棄して武装解除しなければいけない、そして、それをしたことを査察団にきちんと見せなければいけないということを言っているわけですけれども、それに対して違反を、重大な違反を犯している、犯し続けているということを決定したということです。  それで、一四四一で、同時にイラクに対して武装解除等の義務履行の最後の機会を与えるということも決定をいたしました。さらに、イラクが完全なる協力を行わないということは、更なる重大な違反を構成をするということも決定をしております。  そして、四番目に、イラクは継続的な義務違反の結果、深刻な結果に直面をするという警告をいたしているわけです。  それで、査察団をイラクは九八年以降イラクの外に出してしまって査察を受けていなかった。それを武力行使の直前から受け、査察団が入ったわけですけれども、これに対して、例えば科学者にインタビューをさせるとか、いろいろな査察団が要求をしていることにまじめにこたえてこなかった。小出しにしか出していない、十分な協力をしていない、これはブリクス委員長も認めているわけでございます。といったことで、イラクが完全な協力を行っていないということは明らかであって、したがって、一四四一が決めた、決定をしました更なる重大な違反が生じているということを言わざるを得ないということであります。  それで、六八七、これは一九九一年の四月の三日に決まったことでございますけれども、イラクによる大量破壊兵器の廃棄に関する査察の無条件受入れ等を停戦決議条件として定めていまして、これに違反をしたわけですから停戦の基礎が失われたということで、その元にある六七八、これはイラクに対して武力行使を認めた容認決議ですけれども、これによって武力行使が容認をされるということでございます。
  64. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 外務大臣はずっとそれお答えいただいていますから、まあ質問したんだから答えたわけでしょうけれども、そういう今の六八七とかいうのは湾岸戦争のときの決議なんですよ。  今度の一四四一というのは大量破壊兵器の廃棄なんですね、求めたわけですよ。それで、その決議の中に武力行使をしようなんて、最後の機会という言葉はございますよ、しかし武力行使を前提、をいいですよという決議になっていませんし、国連憲章、答弁ないんですけれども、国連憲章というのは、いわゆる加盟国、武力攻撃が発生した場合、加盟国に対して、そして安全保障理事会が国際の、国際の平和及び安全の維持に必要な措置を取るまでの間、個別的又は集団的自衛権の固有の権利を害するものでないという五十一条、これが国連憲章五十一条あるわけですよ。どこ見ても、総理が言っている今回のアメリカの、米英軍の武力行使を正当化する、正しかったというのは、国連憲章を見ても国連決議見て、ない。このことを、また再度残りの時間の中で触れさせていただきますが、指摘をさせていただきたいと思います。こういう誤った見解をずうっと国会で国民にも説明をしてきたわけでありまして、その問題点を改めて指摘をさせていただいたわけであります。  次に、先ほど自衛隊員方々イラクにおける活動に対する対応について政府からるる答弁もございました。私も私なりに自衛隊員隊員方々の安全とかあるいは健康面について、こういう点について政府は十分検討しているんだろうかということについて、そんな角度から一、二指摘をさせていただきたいというふうに思いますが。  総理、まず伺いますけれども、イラクへの自衛隊派遣国会承認に関するこれまでの質疑では、政府は一貫して、イラクの情勢は総じて安定をしている、治安にも問題はないと、そして劣化ウラン弾、劣化ウラン弾というこの言葉は度々この参議院でも衆議院でも出ていると思いますが、劣化ウラン弾による放射能汚染と被曝についても問題ないと、こういう答弁をしているんですよ。再度、この自衛隊員安全確保、これは健康面も含めてでございますけれども、万全を期しており、自衛隊員は安心して任務遂行に従事してほしいと、こういうことなんですか、明言をしていただきたいと思いますけれども。
  65. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 自衛隊が派遣されるサマワ地域については、他の地域に比べれば比較的安定している状況だと思います。安全性につきましても、一〇〇%安全とは言えませんが、そのために危険な不測の事態にも対応できる訓練も積み重ねてまいりました。そういう意味において、危険を回避するための装備あるいは防護策、そういう点について政府として十分安全面には配慮しなければいけないと思っております。
  66. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 関連して、この本案件に対しまして、私は昨日、本会議で、あってはいけないことですけれども、万が一、万が一イラク自衛隊員が攻撃され死傷者が出た場合は総理はどのような責任を取られるおつもりかと、これ質問いたしました。安全確保に万全を期すということ、このことについて今も触れられておりますけれども、言ってみれば、再度、私は、自衛隊員に万が一死傷者が出た場合、この責任、最終的には私の責任と言いましたが、どのような総理自身責任を取るおつもりなのか、率直にこれ述べていただきたいと思います。
  67. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、自衛隊の諸君が任務を果たし無事帰国されるように万全の対策をする、これが私の責任だと思っております。いろいろな事態がこれから起こる、可能性を言えば切りがないと思いますが、どのような責任の取り方については、私自身がそのときの時点で判断いたします。
  68. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 最終的に責任は内閣総理大臣にありますと、こういう答弁でした、昨日。その気持ちは今も変わらないと思うんですが、この最終的に内閣総理大臣に、私は、ありますというのは、もう少し私は具体的に述べるべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  69. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政治責任の最終的な責任は私、内閣総理大臣にあります。その時点で私は自分で判断いたします。
  70. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 さてちょっと、今日は劣化ウラン弾の問題で中心に伺うつもりですけれども、つい先日、報道でも相当出ておるんですけれども、一高校生が武力によらないイラク復興支援を訴える請願署名を集めたことに関連しまして、総理イラク自衛隊を派遣する意義を学校で教えるべきだと、こういうふうなことを言われたんだということが報道されているんですけれども、この事実確認と、総理自身のこの発言の真意をお尋ねしたいというふうに思いますし、この請願の署名というのは、私自身もいろいろ新聞報道等で見る限り、イラクに対する我が国の復興人道支援の在り方、このことについて一人の高校生が純粋にその在り方を、私は、真剣に考えて五千三百五十八人集めたそうでございます、大変貴重なものだと思いますが。この署名をごらんになったんでしょうか、この請願の内容について。その上の発言だったのか、お尋ねしたいと思います。
  71. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そのときの記者団の質問の時点においては、そういう署名があったということは承知しておりませんでした。そういう記者団の質問に答えまして、私は、自衛隊は武力による支援じゃありませんと、武力行使しませんと、人道支援、復興支援であります、そういう点につきましても、生徒の皆さんの純粋な気持ちでしょうから、先生もこの際、国際政治を勉強する上において、こういう点については真剣に議論をしてもいいんじゃないでしょうかという発言を、趣旨の発言をしたわけでございます。
  72. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 これは今、まあオーバーに言えば、国論を二分とまでは申しませんが、賛否いろいろ、この国会でも議論され、世論でも様々な議論があるわけですね。私は、議論をしてほしいと、いろいろ国民の間で議論してほしいということについてとどまるなら、私はそれはそれでありようとしてあると思うんですが、いわゆる教育現場に対して、この評価が分かれていることについて、何か強制的なことに受け止められるということになりましたら、これは私は問題ではないかというふうに思いまして。  学校で教えるべきだというふうに言っていない、今答弁ですね。学校で教えるべきだというふうに言い切ってないようですけれども、そういうことでよろしいですよね、そういうことで。
  73. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もし先生方が、これは、自衛隊の派遣は戦争に行くんですと、憲法違反ですとか、武力行使に行くんですといったことがあったらこれは問題だと思います。自衛隊は復興支援人道支援に行くんであって、戦争に行くものではありません。武力行使をするものでもありません。  高校生も恐らく、弁論部等があるでしょう、議論の機会もあるでしょう。そういう意見が、高校生の間でもいろいろな意見があると思います。そういうことに対して客観的な判断ができるような材料を提供して、生徒間で議論するのもこれまたいいことではないかなと思っております。
  74. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 これは学校で、様々な立場に立って様々な資料に基づいて議論をする、こういうことなんですよ、必要なのは。いろんな多様な考え方がある、多様な価値観があるということについて学校で子供たちに学んでもらうということが大切なわけでありまして、ここで一人の政治家が、一人の総理大臣が今思っていることに、これが思ってもらわないと困るという発想の中でこれはやってもらうと、これはやっぱりありようとしておかしいと思いますので、私は前段申しましたそういう立場だと、いろんな材料があるということでいろいろ議論をしてほしいということであるならば──そういうことですね、防衛庁長官がそういうことですかと言うから。
  75. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私が言っているのは、日教組の中には、これは憲法違反だといってデモをしている人もいますね。しかし、今拝見したんですけれども、日教組の委員長が、私の発言を撤回しろという文書が来ております。なぜ私が撤回しなきゃならないのか分からないんです。  先生方も教育についてはよく考えていただきたいと。個人はいいですよ。生徒の中でも私はいろんな意見持っていると思います。国際政治を勉強する上において、ある人は、自衛隊イラクに行くのは復興支援でも憲法違反だという考えがあるでしょう。いや、これは憲法違反じゃないという考えもあるでしょう。いい、両方の材料を提供して議論をするのもいいんじゃないかと。先生も、政治運動には余り精を出すよりも、教育、生徒の教育に精を出していただきたいと思います。
  76. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 まあ後半の方は余計ですよ、それはね、総理。  それはまあ、それは僕は別に日教組の委員長文書を読み上げて話しているわけじゃないですから、私はね。日教組の委員長さんと会って、質問しろなんてことは、質問してほしいなんてことは私言われたわけじゃありませんから。冒頭から触れているとおり、報道ということになって、そして今総理が前段お話しになった様々な角度からいろいろ、それぞれの年齢に応じて材料、資料を提供して議論をする、あるいはいろいろ意見を述べ合うと、こういうやはり風土と申しましょうか、これがある意味じゃ民主主義国家だと思うんですね。  そういうことで、後半の方はいただけない部分がありますが、その部分について、このことをあとする時間もございません。その程度にとどめさしていただきます。  もう一つ、さっき舛添議員のところでも触れられていたんですが、対人地雷の発見の問題ですが、これ、防衛庁長官、本日の、今日の朝刊は、サマワの陸上自衛隊の宿営予定地で今月二日に対人地雷が発見されたということなんですよね、二日。だけれども、二日間間がありますね。これは何か公表しなかった、そんな理由があるんですか。何か意図的なものとしてあるんですか。昨日も本会議で私はこの報道の問題をいろいろやり取りさしていただきましたけれども、このことについて、二日間遅れたことについて御答弁をいただきたいと思います。
  77. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは全くそういう意図的なものではございません。  地雷らしきものが発見をされました。ただ、これが相当に古いもので、どうも、いろいろな推測ですが、散布地雷と申しまして、埋める地雷ではなくてヘリコプターであるとか航空機からばらばらばらっとまく地雷。そして、それは踏んでバンと爆発するというよりも、攻めてくる側がその地雷を取り除く作業、それには相当の時間が掛かります。その時間を稼ぐための地雷、これを散布地雷と言うのだそうでございますが、どうもそれであった可能性が非常に高い。  で、無害化しなければなりませんので、これは私ども無害化の能力を持っておりません。これはオランダ軍がその能力を持っておりますので、オランダ軍に依頼をいたしまして無害化をいたしました。  これは私どもでやったのであれば、これはまた話は別なのかもしれませんが、他国の軍隊に依頼をして無害化をいたしております。こういうようなことがオランダにおいてどれぐらいの頻度で行われるのか、またオランダにおいて公表をしていることであるのかどうなのか、他国の手をかりました場合には、その国でどのように行っておるかということをきちんと確認をしませんと、私どもの方で勝手に発表するというわけにはまいりません。  これは、私、こういうことが報告が来ましたときに、当然のことでございますが、これはきちんと発表しなければいけないものだということを申しました。そして、それがいやしくも情報を隠したとかそのようなことにならないようにということはきちんと心掛けておるわけでございます。  時間が遅れましたのは、ただそういう事情によるものでございます。
  78. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 次に、先ほど後ほどというふうな項目で言わせていただきました劣化ウラン弾の関係なんですが、外務大臣にお尋ね最初にさせていただきますけれども、この劣化ウラン弾による放射能汚染、そして被曝の危険性に対して政府はまずどのような認識を持っていられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
  79. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 劣化ウラン弾によるこれが健康被害をもたらすものなのかどうかということにつきましては、これは国際機関で今まで調査が行われております。UNEP、WHOといったところで行われておりますけれども、国際的に確定的な結論が出ているということではないというふうに承知をしております。  この問題について、最終的に確定的な結論が出ていないということでございますから、引き続きそういった動向については注意を払っていきたいと考えています。
  80. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 湾岸戦争に従事をした兵士の間で、がん、白血病そして免疫不全など始め、全身にわたる様々な疾患が多発しており、これらを総称して湾岸戦争症候群と、こう呼ばれているそうであります。  この事実、外務大臣として認識をされておりますか。
  81. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 認識いたしております。
  82. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私も非常に関心持ちまして、幾つか資料を、完全ではありませんが、ほぼ集めつつある中で質疑させていただいているんですが、全米湾岸リソース・センター、略称NGWRC、こういう団体がアメリカにあると。様々な調査とか研究をされていると。  このリソース・センター、湾岸戦争帰還兵の健康調査をしているんですけれども、この事実も把握をしておられるでしょうか。
  83. 川口順子

    国務大臣川口順子君) そのおっしゃった機関についての結論ということは承知をいたしておりませんけれども、別途、アメリカの政府がこの調査をやっております。そして、この調査についての結果として、原因は特定をされていないということだと承知をいたしています。
  84. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 このリソース・センターがあるということについての、そこが健康調査をしているということについては把握されているようですが、それは内容についてお触れに今なってないんですけれども、政府の方は関連がないという、こういうようなことだそうですが。  それではお尋ねいたしますが、このNGWRC、リソース・センターでは、私の調べたところによりますと、湾岸戦争への従軍者、復員軍人局のサービス等の給付有資格者、体調の異変を訴え、復員軍人局に医療を要求している人、病気や障害による就労等の不能に関する補償要求をしている人、死亡した人、それぞれの数が明らかになっていますが、外務省として把握をしているなら、その数についても明らかにしていただきたいと思います。
  85. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 手元に資料はございません。もし事前におっしゃっていただけたら用意をしておきましたんですけれども。
  86. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 数字を明らかにしてほしいということを私は申し上げるかも分かりませんが、このリソース・センター、この湾岸症候群についてお尋ねするということはお話ししてありますので、当然、資料はもういつでも御用意いただけるものだというふうに思いましたので。しかし、別に意地悪をしているわけじゃありませんので、私自身が持っているのを発表して、以下、議論をしていきたいと思いますけれども。  この調査した数を述べますと、湾岸戦争後、退役して復員軍人局のサービス等の給付の有資格者五十万四千四十七人中、五二%に当たる二十六万三千人以上の帰還兵が体調の異変を訴えていると。米国政府や復員軍人局に医療を要求をしている。三七%に当たる十八万五千七百八十人が病気や障害による就労等の不能に対する補償を要求をしている。帰還兵の半数近くが何らかの健康被害を訴えているほかに、九千六百人の帰還兵が死亡しております。  私は、なぜこのような事実について明らかにしようと、こういう思いは、我が国が世界で最初の被爆国であるということを忘れてはならない。これはだれも忘れてはいないと思うんですけれども、この放射能のもたらす惨禍というのは、広島、長崎の例を改めてこれは持ち出すまでもないと思うんですね。  したがって、私は、我が国は劣化ウラン弾による放射能と被曝にもっと神経質でなければならないというふうに思いまして、今外務大臣から、アメリカ政府湾岸戦争湾岸戦争症候群との間の因果関係を認めていない、あるいは国際機関が劣化ウラン弾の健康被害について結論を出していないから安全だ、こういう、この間、この劣化ウラン弾をめぐり衆参でも質疑がありましたけれども、なかなか結論を出していないから安全だと言わんばかりの、どうもそういうふうに幾ら危惧して話しても、こういうふうに実際は受けざるを得ない。到底理解できない。私は、そういう意味で、派遣された自衛隊員隊員方々が、不安を、こういった情報が出てくるときに、なかなかこういったことになると払拭できないですよ。  したがって、私は劣化ウラン弾と湾岸戦争症候群の因果関係について、近い将来、これはアメリカ政府自身が認めるということについて避けられない、そういう見通しを私自身はどうも痛感せざるを得ないわけでありまして、この劣化ウラン弾が九一年の湾岸戦争で初めて使用されて以降、九五年、ボスニア内戦への介入、九九年の旧ユーゴ空爆、二〇〇一年の対アフガン戦争、今回のイラクへの武力行使でも使用されたと言われております。  残念ながらと申しましょうか、大変痛ましく、これらの地域では小児がんや先天的機能障害、死産や流産、死産そして流産が多発しているということもこれまた事実でありまして、私は、政府イラクに派遣される自衛隊に劣化ウラン弾の放射線を測定するための微量ガンマ線測定器、ガンマ線用線量計を携行されると答弁されていますけれども、この二種類の測定器で劣化ウラン弾の放射能測定は万全、パーフェクトだというふうにお考えですか。
  87. 石破茂

    国務大臣石破茂君) そのように考えております。  劣化ウランは、先生御指摘のとおり、アルファ、ベータ、ガンマ線を出すわけでございます。自然界に存在しないような、そういうような放射線を検知をいたした場合にはこれは反応いたしますので、ここは劣化ウランといいますか、自然界にない放射線が放出されておる地域だということは了知をすることが可能でございます。  私どもとして、劣化ウランそのものと、劣化ウランそのものは国内においてもうたくさん使われているものでございますから、因果関係において、現在確たる因果関係があるというふうには認識をいたしておりませんが、私ども唯一の被爆国でございます。そして、一〇〇%完璧な知識というものは世の中にあるとも思っておりません。したがいまして、そのようなものを保有いたし、それが反応いたしました場合には、その地域には立ち入らないというようなことになります。  そういうような形で、そういうような地上界、自然界に存在しない放射線が放出されておる地域には立ち入らないような、そういうような措置を取ることになるというふうに考えておる次第でございます。
  88. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 長官、この二種類の測定器で、水とか空気とか土壌、汚染状況というのは測定は可能ですか。
  89. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、すべて測定可能かと言われますと即答はいたしかねますが、劣化ウランそのものは、放射線というよりも、むしろ重金属を摂取するということによって人体に危害を与えるというふうな知識を私、今のところ持っております。  したがいまして、それを直接飲んでしまうとか食べてしまうとか、そういうことになれば当然被害は生ずるだろう。しかし、それが飲んだり食べたりということにならない限りは、それは被害が及ぶとは考えておりません。  しかし、そのような自然界に存在しない放射線が放出されておる地域には立ち入らない、あるいはそのような物質には触らないということであります。それはもう、それが存在しなければそのような放射線が放出されることはないわけでございます。
  90. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 いや、安全のために、おそれがあるから測定器を携行していくわけでしょう。だから、それが完全ですか完全じゃありませんかということで、何も用を足さないものだったら何も意味ないわけであって、だから水でしょう、空気でしょう、土壌というふうに言っているわけですね。  この二種類の測定器が、じゃ検体、対象から一メートル離れた地点でも放射能、これ測定できますか。測定可能なんですか。
  91. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 恐縮です。何メートル離れて測定できるかにつきましてはちょっと今手元に資料がございません。早急に調べまして、できれば委員会中に御報告をいたしたいと存じます。
  92. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 あいまい、あいまいだということを不安がって、私は隊員の方とか家族の方に何かセンセーショナルに言っているつもりはないんです。それで、測定器を用意されたわけです。しかし、本当に測定することが可能な器械なんだろうかということを言いながら湾岸戦争の症候群の話をしたりして、我が国、唯一の被爆国だという話をしながら、このことについては最も世界の中でも真剣に取り組まなきゃならないということであり、これはむしろ事前にきちんと調査をして対応していかなきゃならない、こういう実は観点からお話しさせていただいているつもりでありますね。  このアルファ線のお話もございましたけれども、ガンマ線の測定ばかりではなくて、劣化ウラン弾などは強力なアルファ線というのが出されるわけでありまして、これはどういうふうな対策、測定とか対策は、対応するおつもりですか。さっきの二つの測定器、これもアルファ線ということでよろしいんですか。
  93. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、携行いたしますのは微量ガンマ線測定器、そしてガンマ線用線量計という二種類を携行をいたします。どちらも検知をいたします対象はガンマ線でございます。どちらもガンマ線があるかどうかというものを検知をするものでございますが、劣化ウランというのは、アルファ、ベータ、ガンマ、三つとも出すわけでございます。したがいまして、ガンマというものを検知をした場合には、これは自然界にない何らかのものがそこに存在をするということは分かるわけでございます。  したがいまして、ガンマしか検知をしないので役に立たない、こういうお話がございましたが、それはもう劣化ウランというものがいずれにせよ自然界に存在しない、そのようなガンマも放出するものであります以上、そのような危険を了知することはできるものだというふうに考えております。
  94. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 先ほど、私はボスニアとかコソボとか、いろいろ事例出しましたでしょう。それから、湾岸戦争の話をしましたよね。アメリカ政府の方は特定していない、関連性を言っていないといいましても、これは事実被害が出ているということがあり、これはイラクの今回、サマワとは言いません。いろいろ調査したのは、バグダッドとかいろいろ調査をして、その結果いろいろ数値が出ているからこそ私は指摘をさせていただいているんで、今、私はこの短いやり取りかも分かりませんが、やり取りの中で、きちんと劣化ウラン弾に対して自衛隊員の健康を守る、あるいは不安を解消するということについて、私はきちんとした長官の答弁であるというふうに認識を実は受けません。  で、一月十日付け、毎日新聞の記事で、劣化ウラン弾の健康被害は五年後に出てくる、こういう、医師が発表しております。この場で政府としてはっきりしていただきたいと思いますが、健康調査をきちんとしてほしいというふうに思いますけれども、いかがですか、大臣
  95. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 毎日新聞の記事は私も拝見をいたしました。五年後、十年後において発病する可能性は否定できない、本当に今のままで大丈夫かという御指摘だろうと思います。  私ども、五年後、十年後に発病するということについて正確にそのとおりだというふうには考えておりませんが、いずれにいたしましても隊員の健康調査というものは、肉体面におきましても精神面におきましても常に把握をしておかなければならないものであり、五年後であろうが十年後であろうが十五年後であろうが、隊員の健康がきちんと守られているかどうか、それは責任を持って私ども見ていかねばならないことだと考えております。
  96. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 だから、健康調査はするんでしょう。してくれるんでしょう。
  97. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは劣化ウラン弾に特化してということではなくて、すべての面において健康診断を行う、そして健康の状況を把握するという意味で申し上げました。
  98. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 残り時間、私自身の時間が来ましたので、同僚議員に譲りますが、最後に、答弁は結構です。  湾岸戦争から今年で十三年目になりました。この間、イラクの罪もない一般市民は、劣化ウラン弾の汚染によるがん、白血病、先天性の奇形、異常など、様々に疾患に苦しみ続けています。世界最初の被爆国であるということについては、また私は重複をこの場では避けます。  私は、今、自衛隊隊員方々の健康のことをお話ししましたけれども、私は今回いろいろ調査をさせていただきまして、イラクの復興人道支援で我が国が真っ先に行うことは、こうした自衛隊、戦闘状況にある今の状況の中で自衛隊を送ることではなくて、広島、長崎の被爆者に対する治療の経験をイラクにお伝えして、イラクの医師たちに自信と希望を与えることではないか。そして、最新の医療設備を備えた例えば小児がんセンターなどをイラン各地に建設して、劣化ウラン弾による健康被害に苦しんでいるイラクの一般市民の治療に役立てる、こういうことではないんだろうか。そして、劣化ウランがもたらす人体への影響調査イラクを始め劣化ウラン弾が使用された国々におけるその汚染状況の調査、劣化ウランを使用する兵器の廃絶、そのことで我が国はリーダーシップを発揮すべきだと思います。  これが私たち、我が国が、繰り返し申し上げますけれども、世界最初の被爆国である取るべき道、こういうふうに思いますが、総理、そのことについて聞かれていると思いますが、一言答弁、時間ちょっとあるようですので、お答えいただきたいと思います。
  99. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 自衛隊の諸君は、医療支援も含めて復興支援人道支援に赴いて、派遣された方々も、これから派遣される諸君も復興支援人道支援のために貢献できると思っております。
  100. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 関連質疑を許します。若林秀樹君。
  101. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 民主党の若林でございます。  いよいよ陸上自衛隊本隊がクウェートに入られたようであります。民主党は自衛隊派遣反対の立場でありますけれども、自衛隊の方が任務を遂行され、無事に帰還されることは民主党のもちろん思いでもありますし、心の中で黄色いリボンをかざしているということは言えるんではないかなというふうに思います。  今日は二十分しかありませんので、外交官の襲撃事件の件に絞っていろいろ御質問させていただきたいと思います。  私は、前回の十二月の十六日の質問におきまして、日本政府自衛隊を送る資格がない、その前にやることはあるんではないかということを申し上げました。それは、やはり文民の外交官川口大臣のある命によって行って殺されているわけですから、その真相解明なくしては、私は自衛隊を本当に派遣できる資格があるんだろうかということを言ったわけであります。  小泉総理は、私はこの事件があったときに、しばらくそういう話はないだろうと思ったら、むしろそれをばねにして、テロには屈しない、だから自衛隊を派遣するんだということをおっしゃいました。私は、これはすごい政治的なすばらしいセンスだなと、本当に敬服しているところであります。そこまでやはり、小泉さすが総理だなというふうに思ったわけですけれども、しかし、どこにテロだという証拠があるんでしょうか。それがいまだかつて解明されてないんですね。  私は、そのとき解明してほしいと訴えましたけれども、まあ二週間後でしたからそこでやめましたけれども、この二か月間たって何にも解明されていないということが私は非常にふがいない思いで一杯であります。  まず小泉総理にお伺いしたいのは、総理としてこの事件の真相解明に対してどういうリーダーシップを取ってきたのか、外務省警察庁あるいは関係機関にどのような指示を出したのか、それをお伺いしたいと思います。
  102. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、外交官が殺害されたから自衛隊を派遣したということではありません。外交官の死を無にしないためにも、日本として復興支援人道支援イラクテロリストの温床にしてはいけない、何ができるかということを考え自衛隊派遣を決断したわけであります。  外交官の死の原因究明については、政府を挙げて取り組むよう、既に外務省関係当局に指示しております。
  103. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 指示をしたといえども、その動きが何も見えてこないですし、現実に何も明らかになっておりません。  そこで、川口大臣にお伺いしたいんですけれども、前回お伺いしたときには、イラク人の専門家も含め派遣して、現在、鋭意調査中であると。じゃ、今までに分かったことは何なのか、お答えいただきたいと思います。
  104. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは、先ほど警察庁の方からも別な委員の御質問に対して細かい御説明ございましたけれども、私どもが今把握をしていることといいますのは、車について、弾丸が、痕跡が左側に集中をしている。それから、金銭等が残っていますので、恐らくテロの公算が大きいだろうということであります。  そして、解剖司法解剖の結果については専門家の口からお話がございましたので、私から申し上げるということは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。  それから、事故の、事件の発生の時間につきましては、これはよく分かっていないところが多いわけですけれども、場所がティクリートの南約三十キロの地点であって、ティクリートに向けて、十時、バグダッドを出発をして向かっていたわけですけれども、上村イラク大使館の臨時代理大使が電話で奥大使と最後の連絡を取ったのが正午ごろでありましたので、それ以降であるということですが、それ以上は特定をされていないということでございます。  それから、道路わきの売店に寄ったのではないか、そのときに襲撃をされたという報道情報が一時ありましたけれども、それはそうではないということが言われたということでございまして、先ほどの鑑定の結果というのは、口径七・六二ミリ程度の銃から発射をされたと推定をされると、そういうことであったということです。
  105. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 今伺ったことは日本の警察庁が司法解剖を通して分かったことであり、一方、銃撃の時間がどうだったこうだったというのは十二月の八日の時点と全くそれは変わっていません。つまり、何も分かっていないんです、現実的には。  じゃ、イラクの専門家を派遣して、現地調査したわけですよね。それについては全然分かっていないということですから、改めてそれは別の機会にお伺いしますけれども、時間がありませんので、じゃ、事実関係についてちょっとお伺いしたいと思います。  昨日までに、私も時間のセーブのために外務省に事実関係をもう一度確認いたしました。今、二時間たって十二時ごろ最後の連絡ということなんですが、去年の十二月の時点でこれは十一時になっていましたが、一時間、これは訂正されたわけです。  まずお伺いしたいのは、恐らくこのCPAが主宰している会議にはCPAから幹部が行っているわけですね。奥さんが出発する前にその幹部の皆さん方は車列を組んでティクリートに向かわれたということが、ほぼ私はやっぱり想定されるべきだというふうに思います。その幹部の方は、外務省に聞いたら、特定はできないということで、それなりのレベルの人が行きましたと、出席していますという話がありました。  まずお伺いしたいのは、奥大使の車が、館用車がナンバープレートを外しているということは、これはよくやられていることなのか、まずお伺いしたいと思います。
  106. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  大使館の館用車でございますけれども、これについては治安上の理由によりナンバープレートを外して走行していることがかなり多くございました。当日についても、奥大使以下はナンバープレートを外して走行しておったと承知しております。
  107. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 奥大使が取り得るリスクの最小化の一つとしてそういうことがあったんだろうというふうに思いますが、逆に、外していればそれが不審車と思われる可能性も同時にあった可能性はあると思います。  そのときに、あそこの街道は、高速道路、二車線から三車線なんですけれども、一番危険なところで、よく死の街道と言われているんですが、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、川口大臣にお伺いしたいんですけれども、そういうときに、事前にCPAに、ここを通るよという行動計画書みたいのは出す必要はあるのかどうか。もし、出していたのかどうか。その辺についてちょっとお伺いしたいと思います。
  108. 川口順子

    国務大臣川口順子君) そういうことが必要であったというふうには聞いておりません。
  109. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 そういうことはないと、必要がないということでもちろん出していないというわけですね。  ですから、ちょうどこの十一月というのは一番米軍が攻撃された時期でありまして、その先週、先々週も非常に亡くなったということで、かなり米軍警備等は厳しかったというふうに想定されるわけであります。  先ほど、いつ襲撃されたかというのが特定できていないということなんですが、百六、七十キロありますので、百五十キロで飛ばせば、おおむね近いところまで行って十二時で、さっき三十キロというふうにもうおっしゃられましたからあれですけれども、最後に通告をして、その後に攻撃された可能性が非常にやっぱり強いというふうに見ています。  そのときに、空白の六時間というのがありまして、米軍が、CPAが在イラク大使に報告するのが六時四十分であります。この間に六時間も間が空いているんですが、最初に米軍発表したのは、道路わきで売店で飲食物を買うために停車して車外で襲われたという情報がありまして、この誤情報が訂正されたのは十二月の五日なんですね、六日後。十二月三日にはこの襲撃された車の写真のメールを外務省に送っているんです。その二日後にやっているというこの情報のいい加減さもひどいですけれども、これ自体が非常に信用できないのではないかなというふうにもちろん思いますけれども、いつ米軍がこの事件を知ったかということに対して、外務省の答えは、三時四十五分に部族長から聞いて一報を受けたと。六時四十分には日本人が殺されたのでCPAが在イラク大使に連絡をしたということで、日本人かどうかも特定できるものはないわけです。パスポートもなくて、そういうものを証明するものがなくて、断言してCPAから在イラク大使に日本人が殺されたということ自体が不思議だと思いますが、この辺はどうでしょうか、川口大臣
  110. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) 御指摘の点については、まだ調査、捜査を行ってございますけれども、基本的に私どもの理解している点は次のとおりでございます。  まず、事件が発生いたしまして、その特定、発生した時期については先ほど、時刻については先ほど大臣から御答弁したとおりでございます。この空白でございますが、私どもが理解しているのは、最初に発見者は地元の住民だというふうに理解しております。それからイラク警察に通報され、さらに米軍に通報されたということであります。  その日本人らしきという情報については、直ちに私どもの方にも連絡がございました。しかしながら、この身元を特定するものがなかなか見付からず、その間の確認をするために時間を要したというふうに承知しております。
  111. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 日本人らしきというのか、本当に日本人なのか分かるのかどうか。翌日には韓国の人が通って襲撃されておりますし、何も証明するものがなくて、断定して大使館に連絡をしたということ自体が、かなり私はそこがちょっと情報がいい加減ではないかなというふうに思っております。  そして、深夜になってパスポートが発見され、身元が確認されたということになっていますから、そういうものが何もない中で日本人だと断定して、これはそういうことで大使館に連絡したということ自体が、一連の情報を含めて非常に怪しいのではないかなというふうに思っているところであります。  その上で、今資料をちょっと配っていただきたいんですけれども。    〔資料配付〕
  112. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 まず、配っている間に大臣にお伺いしたいんですが、襲撃された車の写真を米軍から送られた枚数なんですけれども、前回は忘れましたのでという答弁がありましたので、今は思い出していらっしゃる、事前に通告しましたので、何枚送られたんでしょうか。
  113. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 十一枚でございます。  前回も、もし事前にそういう質問があるということを伺っていたら、十一枚とお答えできたんですけれども、突然でしたので、記憶にないと申し上げたわけです。
  114. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 司法解剖の結果等についての質問は後の方に譲らさせていただきたいと思います。  今配らさせていただいた襲撃された車の写真はそのうちの三枚でありまして、よく見ていただきたいと思います。  これから私のある部分での推論も含めてお話をしたいというふうに思いますけれども、一枚目の写真であります。非常に正確にねらいを定めて撃った跡があります。情報では三十発前後の弾痕が左側に的中をしているということで、比較的これは窓に集中しているんではないかなというふうに思います。つまり、弾痕が余り拡散していないんですね。かなり集中的に、それはターゲットを絞ってどんと撃ったという感じが見られるわけであります。  これは先週、首藤委員が、カラシニコフをモデルガンで使ったらなかなかそれはできないんだみたいなお話はありましたけれども、私も知っている限りでは、カラシニコフというのは、比較的腰だめというんですか、腰に当てて撃つ。ですから、窓を開けていたら、だったら撃てるというような状況にはならなくて、やっぱり銃は拡散したり、中に、車の中に入れていたら、もうそれこそ薬きょうと硝煙でそんな撃てるような状況じゃないという意味では、これは非常に、かなり高度な銃で撃たれたということは言えるんではないかなというふうに思います。  じゃ、二枚目を。  この二枚目の写真が私はずっと引っ掛かっていたんですけれども、ようやく自分自身の納得した答えは、どこがおかしいかというと、片側から撃たれているにもかかわらず、こちらは何も跡がないということでありまして、やはり軽防弾車といえども通過したら何らかの傷跡はあってもいいんじゃないか。つまり、やはり高い位置からこれは撃たれたというのが言えると思います。下のそこが、横の側面のところはそれは防弾車で硬いから、ですからそこに止まっている可能性はかなり高いということで、これで私のこれまでのすべての、この二か月間考えたところが、疑問が少し消えました。  三枚目を見ていただきたいんですけれども、これは前からの写真でありまして、二か所の銃弾の跡があります。つまり、高いところからこれを撃っていると。で、ボンネットの先端に撃ち、ウインドーの真ん中に撃ちということは、これは、前から撃ったのにもかかわらず人をねらっていない撃ち方であります。何らかのルールにのっとって撃ったかのように思われる。テロがあえて前へ出てきて人をねらわずにこういう撃ち方をするということはなかなか考えにくいということであります。  私が意味していることはお分かりでしょうか。  つまり、総合しますと、これは、私はこういう推論をするのは好きじゃないんですけれども、政府から何も出てこないものですから、いろいろ自分が考えた結果ですけれども、奥大使が乗った車は十時ぐらいにバグダッドを出たと。その前に、車列を組んでアメリカのCPA出席する幹部が出ていっているわけです。  私が見たイラクでの防御の仕方は、車ですと前後が装甲車の、あの機関銃が付いています、何か物を移動するときですね。人の場合は比較的、ジープ型というんですか、いわゆるハンビー型のやつで前後を重機関銃で乗っけて移動する。これはやはり百キロ以上走れませんから、奥さんの車は恐らく百十キロぐらいで飛ばしていたと思うんですよね。  これは、何らかの間違いで近づいていって、気が付いたら米軍の車列があった、奥さんの車はブレーキを掛けたけれども何らかの威嚇射撃を受けたんではないかというのが想定です。そのときに奥さんは、このCPAの乗っている人を知っているはずなんです、一緒に働いていましたから。恐らく、違うよ違うよ、おれだよと言っても、向こうから見れば不審者なんです。横に出ていって説明しようとしたときに、威嚇、さっき言った、手順を踏んでいますから、その後に撃たれた可能性が私は残念ながらあるんではないか、それで最後にわだちが付いてブレーキを掛けずに横側に出ていったというのが、いろいろテレビで報道されている可能性が私はあるんじゃないかなというふうに思いますので、私は、これはあくまで推論ではありますけれども、いろんな状況調査をすべて自分なりの、これまでいろんな経験を踏まえると、その可能性は否定できないんではないでしょうか。  政府も、誤射の否定もしていませんしテロの否定もしていません。すべての可能性も含めての今の調査中だと思いますが、私は、二か月間いろんなことを考えながら、可能性の一つとしてそのことを今日この場で申し上げておきたいと思います。  今の説明に対して、総理、それから川口大臣から感想があればお伺いしたいと思います。
  115. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先生のお考えはお考えとして承らせていただきましたけれども、外務省としてはと申しますか、政府としては、これの真相究明が大事でありまして、特に外務省は恐らくだれよりも一番真相の究明を早くきちんとした形でしたいと思っている、おります。  そういった意味で、今度車も日本に搬送してくるということを今検討、準備をしていますので、またそういった材料を得て、我が国の警察の方で更なる事実の把握をしていただいて、真相の究明に一歩でも近づきたいというふうに思っております。
  116. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 推論を伺っていましたけれども、私にはそういう専門的知識もございません。  政府としては、真相解明に今後とも全力を挙げていきたいと思っております。
  117. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 この結論に至るまでのその経過は、先ほど検視の結果の弾の問題も全然明らかにされていませんし、いまだに車がイラクにあるということ自体が私はやる気がないんではないかなというふうに思います。唯一残された物的な証拠というのは御遺体金属片とその車だけなんです。車を見れば、どこから、角度で撃ったかというのがすべて分かるにもかかわらず、いまだにイラクにあるということ自体が私は、川口大臣がそれは鋭意調査していますという言葉は私は信じられないと思います。  何も情報は変わっておりませんので、その辺については後ほどの後半の部分でまたお話をさせていただきたいと思いますが、以上で私の質問を終わりたいと思います。
  118. 高野博師

    ○高野博師君 公明党の高野でございます。  イラクの問題の前に北朝鮮の問題を若干お伺いしたいと思います。  もし、北朝鮮に核ミサイルあるいは拉致の問題、こういうものがなかったらばイラク自衛隊を派遣した、するという決断をしたかどうか、これは私はそういう選択肢はなかったかもしれないなと、こう思っておりますが、日米同盟あるいは国際協調、それを、その二つの理由から自衛隊を派遣するというその背景にはやはり北朝鮮という問題があるんだろうと、こういう理解をしておりますが。  そこで、北朝鮮の問題について、六か国協議が二月の二十五日に開催されるということが報道発表されたようでありますが、この六か国協議の枠組みというのは朝鮮半島の平和と安定にとって非常に重要だと思っておりまして、開催されること自体にも意義があると、そう理解をしております。  今回は、前提条件、これをなしに再開をされるわけでありますが、もし核の問題についての進展がなければ、この参加各国がこの協議を続けていこうという意欲が薄れてしまうのではないかと、そういう懸念もありますし、あるいはアメリカの方でこの問題は安保理に今度は付託をしようというような強硬論が出てくる可能性もある、また拉致問題についても進展があるかどうかというふうにつきましては、これも予断を許さない、こういう状況だと思いますが、まずお伺いしたいのは、日本の政府にとって拉致の問題と核ミサイルの問題、これはどちらが重要なんでしょうか。
  119. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 両方とも重視しております。    〔委員長退席、理事常田享詳君着席〕
  120. 高野博師

    ○高野博師君 両方とも重要であることは間違いないと思います。北が、北朝鮮が核を持っているということにつきまして、やっぱり一番脅威にさらされるのは日本ではないかと。ロシアも中国も友好国でありますから、韓国は同じ民族だ、アメリカは遠いということから考えれば、最も脅威にさらされているのが日本だと。そういう意味では、この核の問題についても日本は大変重大な関心を持っていなくてはならない。その問題と、北朝鮮が核を持っているということ、核保有国として認めてしまうようなことがあったら、これは重大なことだなと、インドとかパキスタンと同じように。そして、核不拡散というような方向に持っていかれたら、これは日本にとっては重大な脅威になるだろうというふうに思いますが、また一方で、テロというのは国家主権の侵害でありまして、また人権、人道上の重大な問題であります。  両方とも重要でありますが、北朝鮮から見ればこれは同じ比重ではないと思うんです。核の問題というのは自分の国、現体制を維持するためにはもう死活的に重要な問題である、しかし拉致の問題というのは比重はかなり低いんではないかということから見ると、拉致の問題についての北朝鮮側の譲歩を引き出すという、これは可能性はかなり私はあるんではないかと思っております。北朝鮮、朝鮮民族というのは非常にプライドの高い、誇りの高い民族ですから、正にこの対話と圧力という方針でこれを進める場合にも、これは非常にやり方については賢明にやっていく必要があるんではないか。  そこで、拉致の問題ですが、最近も新たに拉致被害者と見られる方々が告発をいたしましたが、この拉致問題は何をもって解決とするのか、あるいは解決の糸口とするのか、どこまで進展すれば国交回復のテーブルに着くのかということについてお伺いしたいと思います。
  121. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 拉致問題につきましては、まずは既に帰国をされた五人の方の北朝鮮に残っている御家族の方が日本に帰国をするということ、それと他の方々について事実関係の解明が必要であるということを言って、この二つを特に強く向こうに、北朝鮮に要求をいたしております。被害者、それとその御家族を始めとする関係者の方が納得をする形で問題が解決されるということが重要であるというふうに考えています。  政府といたしましては、当面、北朝鮮に残された家族の方々が速やかに日本に帰国をするということが最優先の問題であるというふうに考えております。そういう考え方に基づいて取り組んでおりまして、これは国交正常化交渉の再開までに実現をするべきであるというふうに考えております。それでさらに、御家族の帰国を実現させた上で、安否が未確認の十人を含む方々に関する情報提供の要求につきましても、これを引き続き求めてまいります。
  122. 高野博師

    ○高野博師君 ということは、五人の家族の方が日本に戻ってこられる、あるいは消息不明あるいは死亡とされた八人の方々の事実関係が明確になるという、もしこれがここまで来れば国交回復の交渉に入るという理解をしてよろしいんですね。
  123. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど申しましたように、今その優先、最優先の課題として取り組んでいるのが御家族の、北朝鮮に残された御家族の方の帰国ということでございます。これを国交正常化交渉までに実現をしていくということで考えております。それからさらに、この帰国が実現をした上で、安否未確認の方々についての情報提供を求めていくというふうな考え方をしております。
  124. 高野博師

    ○高野博師君 百人以上の方々が拉致されたんではないかということでありますが、この全貌が明らかになるというのは正に今の体制が変わらないと明らかにされないんではないかと思うんですが、この拉致の問題の解決なくして国交回復はあり得ないというこの方針は一貫して貫いていただきたいと思いますが。  対話と圧力の圧力の掛け方も、これも、外為法の改正が今度参議院の方に参りますし、特定船舶の規制とか、あるいは入国管理法、人と物と金と、この規制をしながら圧力を掛けていくということでありますが、その圧力の掛け方は適切にやる必要があろうと思いますが、一方で、北朝鮮はイラクの情勢も恐らくきちんとにらみつつ、リビアの動向にも恐らく神経をとがらせているだろうと。ブッシュ政権がもし今度交代になればまた違った状況になるんではないかという期待も持っているんではないかと。    〔理事常田享詳君退席、委員長着席〕  いろんな戦術を使ってくるだろうと思いますが、政府としては、この北朝鮮の問題について、問題解決のために引き続き全力で取り組んでいただきたいということをお願いしておきたいと思います。  イラクの問題ですが、自衛隊を派遣する理由は何かと。派遣すべきかそうでないか、国民の半数はまだ納得はしていないということであります。国会での議論も、イラク戦争に大義があったか否かと、あるいは戦闘地域か非戦闘地域かというような議論に集中をし、どちらかというと神学論争に近いような、あるいは法律論、こういうのに終始している感じがするわけですが、当然のこととして憲法の枠内での派遣ということでなくてはならないと思うんですが、もっとイラクの戦争そのものの意味するところを、もっと歴史的な視点あるいは文明論的に、あるいはさらには、アメリカの石油戦略というのはどうなっているのか、こういう観点からもとらえる必要があるんではないかと私は思いますが。  一方で、自衛隊は戦争をしに行くんではないんだと、人道復興支援に行くんだということを何ぼ、何度声高に唱えても、これは国民の不安感は簡単にはぬぐえないんではないか。もっと政府は、苦渋の選択として、いろんな問題があるけれども、日本の国際社会における立場あるいは国益等を考えて、それでも自衛隊の派遣を決定したという、そういうことがにじみ出るような発言、答弁をしてもらいたいなと思うんですが。  私は、今、現代の世界において、人類にとって、あるいは世界の平和にとって最大の脅威はテロリズムであると。テロリストに大量破壊兵器が渡るということが、これが最も恐ろしいことでありますから、これに対して我が国も国際社会の一員として、これは責任ある対応をしなくてはならないというふうに思っております。  そこで、イラク戦争の大義は何かと。これも相当の議論がされておりますが、大量破壊兵器の保有、有無ということではなくて、私はもう当初から対テロリズムにあるというふうに理解をしておりました。  フセイン政権がテロリスト支援していた、そういう事実があります。加えて、圧政あるいは虐殺で国民を苦しめていたという事実に対して、やむを得ない手段として国連の決議に基づいて戦争に至ったということで、私はそういう理解をしておりますが、大量破壊兵器だけであれば、アメリカだって、これはフランスだってロシアだってみんな持っているわけで、そこだけではなくて、正にテロとそのテロ対策という点で自衛隊の派遣というこの我が国の人的な貢献、こういう選択肢があったと思うんですが、総理の見解を伺いたいと思います。
  125. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) イラクのフセイン政権は過去に大量破壊兵器を保有し使用していた事実がある、だからこそ国連がこれを廃棄するように、自らイラクがその立証しなさいという決議をしたわけであります。  そして、こういう独裁政権、クウェートに侵略した事実、湾岸戦争の経緯、そういうことを考えて、もしも大量破壊兵器をこのような危険な政権の下に、あるいは独裁者の下に渡ったら世界はどのような脅威にさらされるだろうかという懸念は多くの国が私は共有していたと思います。そういうことから、国連で度々議論を重ね、国連決議が採択され、その中でイラク戦争が始まったわけでありましたので、私どもとしては、そういう点も考えまして、今回の開戦の支持は正しかったと考えております。  高野議員のいろいろな考え方、多くの国が私は共有していることではないかなと思っております。
  126. 高野博師

    ○高野博師君 今回の自衛隊の派遣については、いろんな不安定というか不安な要因も幾つかあると思います。本当に自衛隊の身辺は安全なのかどうか、テロのターゲットにならないかどうか、あるいは、日米同盟と国際協調というけれども、国際協調と、実は日米同盟イコール国際協調、国際というのはアメリカなんではないかと、そういう意見もあります。また、何でフランスもドイツもロシアも中国も参加しないのか。これは、それぞれのいろんな理由があるわけでありますが。  そういうことも含め、あるいは最近は戦争の民営化と、こう言われておりますが、この戦争ビジネスあるいは戦争にかかわる民間人、これが相当数いて、今イラクにはアメリカの民間人が一万人ぐらい行っていると、こういう事実もあります。膨大な戦費というのは一体どうなっているのか、こういう問題、あるいは日本国内でテロのターゲットにならないのかどうか。こういう様々なことがありますが、これらを考慮した上でもなおかつ日本としては自衛隊を派遣しなくてはならないという、そういう決断をしたということであります。いずれにしても、テロ対策ということであれば、イラクを破綻国家にしてはならない、そのための派遣だということであります。  私が一番心配しているのは、自衛隊が向こうに行って、先ほどもお話がありましたが、雇用の創出ということで非常に期待感が高い。そういう中で、実際に行ってみたときに、余り雇用が創出されなかったということで期待感が失望に変わって、これが反感を持たれた、持たれるようになったときには、これはかなり危険な水域に入ってくるのかなと、こう思いますが、具体的に雇用創出の政策というのを出す必要があるんではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  127. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 失業率が高いイラクにおいて、そしてなかんずくサマワにおきまして雇用を拡大させるような協力をしていくということは非常に重要であるというふうに私は考えております。  今まで我が国はイラクに対しての支援で一億二千万ドルほどの実施を既にいたしておりますけれども、最近の例を挙げますと、国連居住計画に対して地域センター及び貧しい方々の家の建設ということでお金を出しておりますが、これが実行をされている段階では、恐らく一日に五百人から六百人の雇用が可能になるというふうに考えております。  雇用の視点は非常に大事ですので、今後ともこれをひとつきちんとその視野の中に入れて経済協力をしていきたいというふうに考えておりますし、一番雇用が拡大をするという意味で大事なことは、イラク全体の治安が安定をして、そして復興が進むということで、そういった暁には投資あるいはそういった形での雇用の拡大が可能になるというふうに思います。  残念ながら、治安状況が今御案内のような、イラク全体としてはそういうことでございますので、なかなか世界の援助関係者が安全を注意しないで自由に援助のための仕事ができる、復興の支援ができるという状況になかなかなっていないということで、我が国としても、そういう意味で、できることに今の時点では限界がありますけれども、引き続き、雇用の視点も含めて復興のために努力をしていきたいと思っています。
  128. 高野博師

    ○高野博師君 それでは、日米同盟について若干お伺いしたいと思います。  アーミテージ・アメリカの国務副長官が、安全保障のことを考えたらば日米同盟の方が国連よりも重要だと、こういう発言をしておりますが、そして、日本へのテロ攻撃なんかがあれば、これはアメリカへの攻撃だとみなして報復すると、こういうことも言っております。この日米同盟と国連の関係について総理はどういうお考えでしょうか。
  129. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 日本は、日米同盟と国際協調、重要性を認識して、この両立を図って日本の平和と繁栄を図っていく、これは今までの日本の外交の基本でありますし、これからも変えてはならない基本方針だと思っております。
  130. 高野博師

    ○高野博師君 アメリカ側は、日米同盟を米英同盟並みにしたいと。米英は世界戦略を一緒に考え、いつでも共同で行動できる体制をしいている、日本もそういう体制に持っていきたい、しかし最大のネックは集団的自衛権の問題等がある、憲法の問題があるということですが、総理外務大臣も、最近は世界の中の日米同盟というようなことを時々口にされるのでありますが、日本がそのような方向に行くと、可能性を示唆しているのかなという感じもするのでありますが、これについてはどうお考えでしょうか。
  131. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 世界の中の日米同盟、これは極めて重要だと思います。世界の平和と安定の中に日本の発展と繁栄があるということを考えますと、世界の中で日米同盟というのはいろいろな場面で協力しながら世界の平和と安定のために寄与できるのではないかと思います。  しかしながら、イギリスと日本は立場が違います。アメリカとイギリスの関係と日本とアメリカとの関係も違います。国情も違います。そういう中で、日本の考える日米同盟と米英同盟とは基本的に異なっていると思いますが、お互いが協力して世界の平和と安定のために国際社会の中でそれぞれの国にふさわしい貢献をしていくという視点は極めて大切なものであると思っております。
  132. 高野博師

    ○高野博師君 時間がないのでありますが、人間の安全保障ということについてお伺いしたいと思いますが、これはどういう概念だと理解をされているでしょうか。
  133. 川口順子

    国務大臣川口順子君) いろいろな世界の問題を国と国の関係で見るというよりは、一人の人間に着目をしまして、その人間がどういう観点からその人間の安全保障を、その人間の安全保障を守ることができるかという、いろいろなそういった考え方であります。  例えば、国内避難民ですとか、国の保護を受けられないような人が世の中には、世界には大勢いるわけでして、例えばそういう人たちをどういうふうに保護をするか、あるいは、そういった人間が移動をする、その過程でどのようにその人間が保護を受けることができるか。そういう意味で地域社会の役割ということが非常に重要であると、そういった考え方であります。
  134. 高野博師

    ○高野博師君 時間です。一言で終わりますが、人間の安全保障というのは正に国家の安全保障、これを補完、強化するものであって、そして国境を越えて、例えばSARSとか鳥インフルとか、あるいは正にテロの問題、こういう、あるいは金融危機もそうでありますが、こういう相互依存性が強まる中で、人間に焦点を当て人間の尊厳が侵されているような状況、これに対してこの新しい概念で、国連にもありますが、人間の安全保障委員会というのがありますが、そこで国家だけじゃない、この人間に焦点を当てた安全保障という概念が出たわけで、これが、イラク自衛隊を派遣する場合も一つの理念としてこれがあるということは重要な視点ではないかと思います。  以上で終わります。
  135. 宮本岳志

    宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  総理、あなたは昨年三月の二十日に開始されたイラク戦争に際して、イラクが大量破壊兵器を保有していると、つまり持っているということを繰り返し断言をして、それで戦争支持の最大のこの論拠としてきたわけです。ところが、今この最大の論拠が次々と崩れ始めております。  イラクで大量破壊兵器を捜すブッシュ政権の調査団長であったデビッド・ケイ氏は、アメリカの議会で、イラク戦争開戦時に大量破壊兵器が存在したことを示す証拠は一切ないと、そしてほとんどだれもが間違っていたと、こう証言をいたしました。  総理は、去る一月二十六日、衆議院予算委員会で我が党の穀田議員の質問に、イラクの大量破壊兵器保有について、今、未解決、持っていないとも断言できない、持っているとも断言できない、こう答弁して、イラクが大量破壊兵器を保有していると断定してきたあなたの立場を事実上修正をいたしました。  そこで、総理にお尋ねしたい。あなたは今、持っていないとも持っているとも断定できないと、こう言わざるを得ないものを、昨年、つまりイラク戦争開戦時にはイラクは大量破壊兵器を持っていると断定をしてきたわけです。昨年三月の時点であなたがそう断定した根拠は一体何だったのか、はっきりお答えいただけますか。
  136. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) イラクが大量破壊兵器を保有していなかったということは断定できないと思います、いまだに。  今ケイ博士の証言を引用されましたけれども、それは一部であります。私は、ケイ博士の上院軍事委員会公聴会での証言、一部でございますが、御紹介いたしますが、イラク監視グループの作業は継続する必要があるともケイ博士は述べております。同グループのこれまでの作業に基づく私の判断として、というのはケイ博士の判断として、イラクが国連安保理決議一四四一の重大な違反を犯していたことは明らかである、調査が完了した暁には、一九九八年以降の絶対的に腐敗した体制の下、大量破壊兵器の拡散の観点から、イラクは我々の想像をはるかに超えて危険な国であったことが明らかになろうとケイ博士は述べております。  なおかつ、NBCのインタビューに答えてケイ博士は、米政府国民を欺いたということかと問われて、それは公正な見方ではない、開戦前、アメリカ政府、米国情報機関のみならず、フランス、英国、ドイツ及び国連のすべてが、サダムが大量破壊兵器を所有していると考えていた。そして、開戦は賢明であったかと問われ、ケイ博士は絶対に賢明であったと考えるとも答えております。  私はいまだに、監視グループが捜査を続行していく必要があるという発言のとおり、日本政府としてもこの捜査を見守り、注視していく必要があると思っております。ないとは断定できる状況にあるとは思っておりません。
  137. 宮本岳志

    宮本岳志君 あると断定した根拠を私は聞いているんですよ。あなたが今そこでお読みになったそのペーパー、私もこの手元に持っていますよ。ケイ博士は、正に大量破壊兵器の大量の備蓄はなかったというのが結論だということもはっきり述べているわけですよ。つまり、いろいろ、その上院での証言というのは十時間にも及ぶ聴聞だったと、その中でいろいろ問われて答えたことはあるけれども、しかし生物化学兵器を備蓄していたことを証明する根拠は何も見付けられなかったとはっきり述べた、このことについては一切揺るがないんですよね。  総理は保有していると断定したんですよ。その断定した根拠を言ってください、答えてくださいと。──いや、総理です、総理が断定したんですから。
  138. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、過去イラクは保有し使用していた事実があった、そしてイラクが持っていないということを立証しなければならない、この挙証責任、立証責任を果たしていなかった、そういうことから持っていたと断定しても不思議ではないと、当時の状況から私は思っております。
  139. 宮本岳志

    宮本岳志君 全く説明になっていないですよ。  あなたが今言ったことは、イラクは過去大量破壊兵器を使用した事実があるということね。二つ目には、国連決議によってイラクが立証せよと、持っていないことを立証せよと言われたが、それが立証されていないということから、持っている、持っていても不思議ではないと、こういう結論に達したと、そういうことでしょう。そういうことでしょう。  それは、持っていても不思議ではない、持っている可能性があるということを言う論拠にはなり得ても、イラクが現に、イラクが現に大量破壊兵器を持っているということを断定する論拠になり得ないじゃありませんか。どうですか。
  140. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、イラクが立証責任を果たせばよかったんであって、果たしてないと思うのは、持っていると思っても不思議じゃないじゃないですか。これは見解の相違ですよ。
  141. 宮本岳志

    宮本岳志君 総理ね、あのとき国際社会は正にイラクに対して査察を続けていたわけですよ、あのイラクの戦争の開戦時に。そうでしょう。そのときに、アメリカは開戦に当たって、イラクは大量破壊兵器を保有しているんだと、そう言って、例えば国連安保理でパウエル国務長官は、パネルも使って、一時間半にわたって証拠を示すんだといってやったわけですよね、そうでしょう。そして、査察の継続という点では、正に疑惑があると、疑惑は払拭し得ていないと、だから査察を継続すべきだと、これは国際社会、何の異論もなかったわけですよ。  しかし、その査察の途中にもかかわらず、正にイラク戦争に踏み切るそのときに、イラクは大量破壊兵器を保有しているんだと、こういって戦争に踏み切った。そして、あなたも、小泉メールマガジンを始めとして、これをこの戦争を支持する理由はイラクが大量破壊兵器を現に保有しているんだと、何度もこれ、言明したわけですね。全くおかしいじゃないかと、何の論拠があってそういうことを言い切ったのかと、そのことを聞いているんですよ。
  142. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 全然おかしくない。根拠は、戦争開戦を支持した根拠は、一連の国連決議にのっとっているからです。そして、イラクが本当に持っていないんだったら、決議に従って妨害しないで立証責任を果たせば戦争は起こってないんですよ。そういう全体的な状況から、持っていると思っても不思議でない。しかし、正確な根拠は国連の決議です、一連の。
  143. 宮本岳志

    宮本岳志君 総理ね、総理ね、しかし、あなたが一月二十六日に衆議院予算委員会でお話しになったように、今、正にいまだに未解決であると、今も持っていないとも断言できない、持っているとも断言できない、それはそうでしょう、違いますか。
  144. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、現在の状況において持っているともいないとも断定できない、そのとおりでございます。
  145. 宮本岳志

    宮本岳志君 しかし、あなたは、昨年の三月ですよ、三月の十三日、三月の二十日、三月の二十七日、正にあなたが、小泉総理小泉さん自身の言葉として国民向けに百万部以上も出ているというこのメールマガジンでこれをはっきり断定したわけですよ。  つまり、この戦争の本質は、例えば十三日付けでは、全世界対大量破壊兵器を持っているイラク、こういう問題なんだと。三月の二十日付けでは、大量破壊兵器を保有するイラクの脅威に私たちがどう対峙するかが問題だと。三月の二十七日には、あなた自身がこれまで何度も言ってきたようにと前置きして、この問題の核心はイラクが自ら保有する大量破壊兵器、これを廃棄しようとしないことだと。つまり、イラクが大量破壊兵器を持っているんだと断定したんですよ、そうでしょう。  そうしたら、なぜこのときに、今となってはどちらとも断定できないと言いながら、このときに断定した根拠は何だったのかと聞いているんですよ。
  146. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) それは、今まで、過去、イラクが保有していた事実、使用していた事実、なおかつ国連の査察を妨害した事実、そして立証責任を果たしなさい、イラク自身が持っていないということを証明しなさいといったことに対して誠実に履行してこなかった、そういう観点から見れば、断定とした、断定しているとしても不思議じゃない。しかも、根拠は一連の国連決議にのっとったものである、そういうことだと。何ら不思議でない。共産党の立場とは全く違います。
  147. 宮本岳志

    宮本岳志君 それは、私とあなたの立場は違いますよ。立場が違うから議論しているんじゃないですか、そうでしょう。  それで、そんなことを言っているような話は私はあなただけだと思いますよ、あなただけだと。正にデビッド・ケイ氏のアメリカ議会での証言というのは重大な事実として世界では受け止められているわけであります。今このことを受けて、アメリカもイギリスもそういう調査機関を、調査委員会を設置するという流れになってきている。  それで、まず、私、聞きたいんですけれども、パウエル国務長官は、二月三日付けワシントン・ポストで、インタビューで、ブッシュ政権の戦争突入の決断を支持したけれども、もし自分がイラクが大量破壊兵器を持っていないという報告を受けていたならばイラク侵攻を進めたかどうか分からないと、こう述べたんです。つまり、イラクによる大量破壊兵器の保有が疑惑であるのか、それとも確定した事実であるのか、これによって判断も変わるんだと、こう述べたんですね。これは正に戦争の大義を覆す、そのものを覆す重大問題なんですよ。総理、あなた、そう思いませんか。
  148. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 仮定でありますけれども、イラクが持っていないと立証すれば戦争は起こらなかった、事実だと思います。
  149. 宮本岳志

    宮本岳志君 答えていないですよ。  だから、保有していたということが事実であるのか疑惑であるのか。これによって大きく変わったとパウエルさん自身が言っているんですよ。そうは思わないのかと聞いているんです。
  150. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) しかし同時に、パウエル氏は、報道ベースでありますが、インタビューに答えて、一年前にCIAが大量破壊兵器が存在しないとの立場を取っていたら武力行使を支持したのかとの質問に対し、過去にさかのぼった仮定の判断はできず分からないと述べるとともに、サダム・フセイン政権は明らかに大量破壊兵器の開発、使用に係る意図を有しており、イラクに対する軍事行動の正しさは歴史が証明するだろうと述べていると承知しております。
  151. 宮本岳志

    宮本岳志君 総理ね、あなたね、全く事態の重大さ、問題の重大さを理解していないですよ。今、アメリカでもイギリスでもこのことが大問題になっているんです。  ワシントン・ポスト、一月三十日付けでは、アメリカ上下院の情報委員会が戦争前のイラクの大量破壊兵器情報には一連の誤りがあることを明らかにしたと、こう報じました。それによると、両方の情報委員会は七か月にわたってこの問題を調査して、CIAが情況証拠を示す古い情報に頼り過ぎて、正確な分析ができなかったと、さらに、誤った情報が暴走する列車のように走り始め、止めることができなかったと、こう指摘をいたしました。今、アメリカでは、真相解明のための超党派の独立調査委員会を設置して、イラク戦争の大義をめぐる本格的な調査に踏み切るということになったと報じております。  イギリスではどうか。イギリスのブレア政権はこれまで、あなたのように、まだ調査中で必ず見付かると、こう主張してまいりました。ところが、アメリカに続いて、イギリスでも調査委員会を設置する方向だと報じられています。さらに、それに続けて、ブレア政権は大変、ブレア政権は大量破壊兵器の存在を強調してきただけに、調査を認めることだけでも大きな痛手となると、こういうふうに報じられていますが、つまり、イギリスでは、たとえ政権にとって痛手になろうともさすがにこれはあいまいにできない問題だと、戦争の大義にかかわる根本問題だということになっているんですよ。  総理ね、ないとも断定できないと、そうだけ言って開き直っているのはあなただけですよ。そうでしょう。アメリカでもイギリスでも正にこのことが問われている。あなたも米英の戦争を支持するに当たって正にイラクにおける大量破壊兵器の保有を断定したんだから、なぜそのような誤った断定をしてしまったのか、そのことを明らかにする責任は小泉総理あなた自身にあるんですよ。私はそれを指摘しているんです。そうは思わないのかと。お答えください。
  152. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) そうは思っておりません。全然共産党の考えと違いますよ。フセイン政権を味方するかのような共産党の論調、これは理解に苦しむ。  フセイン政権が、自分たちは大量破壊兵器を持っていませんと国連決議にのっとって立証責任を果たせば戦争は起こっていなかったんですよ。アメリカを非難していますけれども、それはアメリカもいろいろな国連の決議を判断して、それぞれの協調体制を取るように努力して、日本としては一連の国連決議にのっとってこのイラクの開戦はやむを得ないということで支持している。根拠は国連決議なんです。国連憲章にのっとってやっているんですから。  私は、フセイン政権がこの国連決議を尊重して自ら立証責任を果たせば戦争は起こっていなかったのに、なぜ査察を妨害して、持っていないんなら持っていないと言って立証しなかったのか、残念でならない。そうすれば戦争は起こっていなかったんです。
  153. 宮本岳志

    宮本岳志君 まず、日本共産党がフセイン政権の味方をしたというような発言は撤回してください。私がいつそんなことを言いました。
  154. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、かのごときと言ったんです。フセイン政権の味方したと言っていませんよ。あたかもフセイン政権に何の落ち度もないと、国連決議に忠実に従わなかったということに対して何にも触れないで、アメリカが悪い、日本が悪い、小泉総理が悪いと言うのは、あたかもフセイン政権を味方するかのごときと言ったんです。かのごときと言ったんです。
  155. 宮本岳志

    宮本岳志君 私はそんなこと言わなかったでしょう。イラクに対して、イラクに何の問題もなかったと言いましたか、私は。言わなかったじゃないですか。  私があなたに聞いたのは、いいですか、私があなたに聞いたのは、あなたが保有を断定したんですよ、私が保有していないと断定したんじゃないんですよ。疑惑でしかないものをあなたが保有と断定した根拠は何かと、それを答えなさいと言っているんですよ。
  156. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 先ほどから何回も答えています、同じ。それじゃ、なぜイラクのフセイン政権が国連決議に従って立証しなかったんですか。共産党はそういうことをどう思っているんですか。逆に聞きたいですよ。
  157. 宮本岳志

    宮本岳志君 総理ね、共産党の考えだとあなたは言うけれども、現に私、指摘したじゃないですか。パウエルさんも、アメリカもイギリスもこの問題については調査する必要があるとなっている。世界じゅうがそう言っているときにあなただけが何の問題もない、何の問題もないと言っているだけじゃないですか。正に、私はこのことが今正面から問われているというふうに思います。いかがですか。
  158. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 何にも問題ないとは言っていませんよ。監視を続行する必要があるとケイ博士も言っています。これからイラク監視グループが捜査を続行するんです。これを注視していかなきゃならないと。  共産党はイラクのフセイン政権、立証責任を果たせなかったことについてどう思っているのか、聞かせていただきたい。
  159. 宮本岳志

    宮本岳志君 あなたは、この小泉メールマガジンは今だってバックナンバーで取れますよ。あなたが正にこのとおりのことをいまだに総理官邸の、首相官邸のホームページに掲げて、国民向けにこう説明しているんですよ。あなたがイラク戦争について支持を与えたときの国民向けの説明は、イラクは大量破壊兵器を保有しているんだと、保有しているから、大量破壊兵器を保有するイラクと全世界との戦いだから私は支持するんだと、こう説明した。その根拠を語れと言ってもあなたは何一つ語らない。そうでしょう。根拠を言えと言ったら全く根拠を示すこともできないんですよ。そうだったじゃないですか。示せますか。
  160. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラクは自ら例えばVXガスを二・四トン持っていた、化学爆弾といいますかケミカルウエポンを持っていたということを国連の査察団に対して自ら申告をしているわけですね。  それを、その武装解除をしたということを説明をしなければいけなかった。したがって、それが十分にされていないわけですから、いまだに問題は全く解決されていないわけです。ということがその正に根拠であると、そういうことであります。
  161. 宮本岳志

    宮本岳志君 総理ね、私がなぜその根拠を繰り返しあなたに聞くかと。それは、あなたが昨年三月にイラク戦争を支持したその大本になった判断が大きく狂ってきていると、そうじゃないですかと。世界じゅうで問題になって、当のアメリカでもイギリスでもそこを調査しなきゃならないとなっているじゃないかと、このことを指摘したわけであります。  そのことを繰り返し聞いても全く根拠すら示せない。そして、その誤りを認めようともしない。そして、当のアメリカやイギリスでさえ正にその検証が必要だと、それをはっきりさせなきゃならないと言っているのに、全く何の検討もしようともしないと。それは余りにも無責任極まる態度だと私は思いますよ。正に、アメリカ言いなり、ブッシュ言いなりの態度だと言わざるを得ません。
  162. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 時間がなくなりました。
  163. 宮本岳志

    宮本岳志君 そのようなイラク派兵は断じて認められないと。直ちにイラクから自衛隊を撤収することを求めて、私の質問を終わります。
  164. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 社民党・護憲連合の大田でございます。  私は十分しかありませんので、御質問には簡潔にお願いいたします。  月刊誌の「軍事研究」二〇〇三年七月号に、横須賀を母港とする空母キティーホーク戦闘群のミサイル巡洋艦カウペンスがイラク戦争開戦の三月二十日、開戦の前日の三月二十日、開戦の三月二十日、イラクに対する先制攻撃の第一撃となるトマホークミサイルを撃ち込み、同じく空母キティーホーク群所属の駆逐艦J・S・マッケーンが第二波の攻撃に加わったほか、翌三月二十一日には青森県三沢基地所属のF16戦闘機や、沖縄嘉手納基地所属のF15戦闘機がイラク空爆に参加したと報じられています。イラク戦争に参加した在日米軍は総勢一万人に上ると言われていますが、その米空軍、空母艦載戦闘爆撃機は、大量のクラスター爆弾を投下したり劣化ウラン弾を使用するなどして、イラクの多くの民間人、とりわけ子供たちや女性を殺害したと報じられています。  先日、沖縄の海兵隊三千人ほどがイラクへ近く派遣されると報じられていますが、このような日本の米軍基地からの戦闘作戦行動は日米安保条約の事前協議制の対象になるのかならないのか、総理の御見解を伺います。
  165. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 対象になりません。
  166. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 どうしてですか。
  167. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 少し長くなるかもしれませんが……
  168. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 簡潔にお願いします。
  169. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日米安保条約の第六条、これの実施に関する交換公文におきまして、合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更並びに日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、日本国政府との事前協議の主題とするとしているわけでございます。それで、このうち、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用に言う戦闘作戦行動、これは直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものであって、米軍の運用上の都合により米軍部隊等を我が国から他の地域に移動させることは事前協議の対象となるものではないということでございます。この解釈につきましては、従来からの、一貫として同じことを御説明を申し上げております。
  170. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、外務大臣は、日本からイラクに行っている飛行機とか兵員というものは戦争しに行っているんじゃなくて、ただ日本の基地からイラクの基地へ移動したというふうにお考えですか。その事前協議制の第三項は何と書いてありますか。
  171. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほど申しましたように、これは日本国から行われる戦闘作戦行動に当たらないと、そういうことを申し上げたわけです。
  172. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 改めてお伺いします。日本基地、日本の米軍基地からイラクへ出撃していると私は考えておりますけれども、それは単に飛行機の移動とかというふうに移動になるんですか。
  173. 川口順子

    国務大臣川口順子君) ちょっとまた長くなるのでお許しいただきたいと思いますけれども……
  174. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 もう短くしてください。
  175. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これは、正に日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地として日本国内の施設及び区域を、区域の使用と、それに言う戦闘作戦行動は直接に戦闘に、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものであるということでございます。
  176. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 改めて伺いますが、日本の米軍基地からイラクへ派遣されている飛行機とか軍隊というものは日本の基地からイラクの方へただ移動しているというふうにお考えですかと聞いているんです。
  177. 川口順子

    国務大臣川口順子君) イラクに出撃をするということについては、これはおっしゃったように移動させるということですから、事前協議の対象になるものではないということであります。
  178. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 もう一度伺わせてください。イラクに派遣されている米軍はただ移動しているというわけであって、向こうで戦闘しているというわけじゃないとおっしゃるんですか。
  179. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 日本国から行われる戦闘作戦行動ということは、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動を指すものである。米軍の運用上の都合により米軍部隊等を我が国から他の地域に移動させることは事前協議の対象となるものではないというのが、従来から一貫して御説明をしていることであります。
  180. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先日、私は、日本の二人の外務官僚とイラク人の運転手が殺害されたことについて、日本の方では外務官僚のことばかりが言われて、イラク人運転手のことが哀悼の対象になっていないという趣旨のことを申し上げました。そうしましたら、川口外務大臣、先日の施政方針で三名の哀悼の言葉を述べられて、喜んだわけでございますが、総理の施政方針には二人の外務官僚のことだけ出ていて、イラク人のことが出ていなかった。  このイラク人というのは、運転手というのは、大使館の職員だというふうに伺っておりますけれども、殺される側の方の議論というのがほとんど出てこないと。つまり、生命の尊さというのは国籍にかかわらず尊いわけでございますけれども、それに対して総理はどのようにお考えでしょうか。
  181. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは外務省と相談して、外務大臣が言うからいいということで、あえて私は、私の施政方針演説には奥大使井ノ上書記官を触れたわけであります。弔辞では触れております。
  182. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 そうしますと、イラクの人々のいわゆる非戦闘員の被害についても真剣にお考えだという、受け止めてよろしゅうございますか。
  183. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) もとより、イラク人の運転手の方も殺害されているわけでありますので、人間の命の尊さに変わりはないということで、葬儀に対しましても弔意に対しても、日本政府はしかるべき対応をしております。
  184. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 総理は、日米同盟の重要性について強調されておられて、今回のイラク派遣もその重要性を認識しているから、我が国の国益にかなうから派遣しているんだというふうにおっしゃっておりますが、私は、このイラク自衛隊を派遣するということは、戦後の日本の歴史というものを文字どおり根底から覆す暴挙だというふうに懸念しております。それは、憲法違反のおそれもあるし、また日米安保条約あるいは国連憲章にも違反するおそれがありますので考えるわけですが。  ここで、総理が、日米同盟が大事だから、それを維持強化するためにも今回米軍に協力しなくちゃいけないという趣旨の御発言ですが、そこで、総理がお考えの国益というものはどういうことを指すのか、簡潔にお答えください。
  185. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 基本的なことは、日本の平和と安全、独立を確保し、日本の国民生活の発展、繁栄を考える、これが国家の利益だと思っております。
  186. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 いえ、イラク自衛隊を派遣することが国益にどうつながるかということを具体的にお願いします。
  187. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、すべての国連加盟国に対して国連はイラクの復興人道支援に協力要請をしております。また同時に、日本は日米同盟という強固な日米関係を持っております。また、イラクの復興人道支援イラク人が希望を持ってイラクの国づくりに立ち上がるような支援を、日本としても行かなきゃならないと思っていますし、もしこのイラク復興支援、失敗したときの状況を考えると、これはテロリストの温床になりかねない。そうなったらば世界も大変な不安定になる。日本も中東の安定ということが日本の国益につながると。エネルギーといろいろな諸国の不安定につながるということは日本の安定につながらないと。イラクの復興支援を失敗させるわけにはいかないということから、日本の国際社会の一員としての責任はどうあるべきかということから出てきた判断でございます。
  188. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 時間がなくなりました。
  189. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。
  190. 山本正和

    山本正和君 大分お疲れだと思いますが、委員会での質問は、小泉総理とは厚生大臣のとき以来ですから、懐かしい思いですけれども、今日は時間が余りございませんが、NHKの放送時間十分の範囲内ということでありますけれども、一問一答でいきたいんですけれども、二、三分私の方で話をして、あとお答えいただくというふうにしたいと思います。  この前、文教委員会の視察がありまして、鹿児島へ参りました。委員長のお計らいで知覧まで行ってまいりました。一同みんな知覧のあの陸軍特攻少年兵が鍛えた土地へ行きまして、みんな絶句してしばらくその場から立ち止まったままだった。案内の人が、実は小泉総理もお見えになって、あの場で絶句しておられたと、もうこらえられないような表情でおられたというのを聞きました。私は思ったんですが、日本人ならば恐らくすべての人があの地へ行けばもうどうにもならぬ思いになるだろうと思います。  私も実は、私の中学の同期生が最後の知覧です。一級下の子が十七歳で特攻で、途中でもう見事に散じたんですけれども、陸軍少尉です。十七歳の陸軍少尉。しかし、みんな私どもの世代はそれでいいと思ったんだ。しこのみ盾となって死んでもいいと思った。東洋平和のために死んでもいいと思ったんだ。  私は、戦争負けたときに旧満州、今の東北地区におった。日本が負けてたまるかと思ったから、関東軍をもう一辺再建しようかというような話に乗って、結局二年間、私は中国に留用、留学、留用いたしました。  お国のためにという気持ちに日本じゅうがなっておった。その中で、あの少年たちが、特にもう母親です、お母さんに対してあてた手紙を見て、何とも言えない思いに私は駆られました。お国のために死ぬということを、こんなに真っすぐに、命を込めたその言葉が全部連ねてある遺言ですね。  また、実は総理のお父君が当時、そのそばの万世という基地を造るについて、一緒になって取り組まれたと。そんなことから、あなたのお父さんも、もうこれだけは本当に何とも言えない思いだと、二度とこのようなことがあってはならないという思いで時々語られていることもお聞きしました。  総理、正直言って、お国のために命を懸けて戦うという少年の気持ちについて、今どんなお気持ちでございますか。
  191. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) あの知覧の特攻隊の方々の遺書、写真を見て、だれでもやっぱり深い感慨を覚えると思います、感銘を受けると思います。涙なしにはあの遺書なり写真を見ることはできないのではないかと思っております。そういう純粋な当時の気持ち、あれを見れば、二度とこういうような時代にしてはいけないと思うのは私だけではないと思っております。  正に、平和の尊さをかみしめ、当時の国を思う特攻隊の方々の気持ちを思うと、一番大事なことは、政治として、二度と戦争を起こさないことであると。いかに平和を確保して発展を図ることだということが、あの知覧の特攻隊の遺書なり写真を見れば、どなたも私はそう思うに違いないと思っております。
  192. 山本正和

    山本正和君 本当に、総理も心からの強い思い入れをお持ちだろうと思うんですね。  私は実は今度の問題で、自衛隊の若い諸君がイラクに行かれた。佐藤さんという第一線部隊の指揮官が現地に溶け込みもし、大変苦労しておられる姿も見ました。みんな実は私の息子よりも年が下なんです。私の長男や次男よりみんな下なんですね。この人たちが行ってもしものことがあったら、私はどんな思いするだろうと思った。もしものことなしとは言えないんです。  総理は必死になってこれは安全を守るために努力されるでしょう。あるいは、アメリカもその他の国も日本の事情を知っていますから、いろんな配慮をしてくれるでしょう。しかし、もしものことなしとは言えないんです。もしものことを私は思ったんですね。もしものとき自分だったらどう思うかと。国を挙げて行ってきてくれと、御苦労さんという中で行ってもつらいんですよ。大変な思いがある。行く以上はできる限り多くの国民の合意を得て、本当に御苦労さんと、みんなでしっかりやってこいよと言える体制を作って送るということがあってほしいなと、私だったら恐らく第一線でこう思うだろうと私は思いました。  しかし、今度のこのイラク特措法に基づいて送るときに、送ることに関して、どうしても私はその辺が十分に国民皆さんに理解得るための手続がされておったとは思えないんですね。どうしても何か忙しい中でやらざるを得なくなってきてどんどんどんどん進められてきたような気がしてなりません。  これは、NHKでずっと放送していますけれども、随分前から第一線の部隊は訓練しています。大変な苦労をしておられる。  私は実は、戦後、自衛隊ができたときに、三重県の明野の航空基地があります、そこの司令官になってきた昔の軍人、私よりもちょっと上ですけれども、大変仲よしで、一緒に酒飲んだりたまにはゴルフもしました。彼はしかし戦争経験者なんです。戦う者の気持ちからいえば、少なくとも国を挙げての支持があって戦った、しかし、それでも戦争が終わって今つくづくと反省していると。自分よりも若い連中に死ねと言って私は命令した、つらくてたまらないと、たまらないという気持ちを言うんですね。  だから、国と国が戦う、あるいは国の軍隊を外へ出して生命の危険にさらすというときには大変な決意が必要だろうということを私はそのときに嫌というほど思ったんです、我々の世代は。  今の自衛隊の幹部の皆さんは恐らくそういう気持ちだろうと思うんです。この国を守るために、この国の平和のために何かしなきゃいけないという思いにきっと駆られておると思うんです。しかし、その人たちが行くについて、政治の場は本当に万全であったかということを私は問いたいんです。本当にもっともっとみんなで議論をしなきゃいけない場はたくさんあったんじゃないかということが思えてならないんです。  そういう意味で、私は、ここでまだせめて自衛隊の諸君が、今日も総理がずっと言っておられた、何としてもその安全を期すのが私の責任だと言っておられた、その気持ちをきちっと言うためには、占領軍に対する、イラク占領軍に対する武力の協力ではない、また、もしも戦いを起こして、現地イラクの人たちと戦うということあったのならば、それは明らかに違うから撤退させますと、これだけをきちっとひとつ総理のお口から今日は言っていただきたい。このことをひとつ最後の質問として申し上げます。
  193. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 何度もお話ししておりますが、自衛隊は戦争に行くのではありませんし、武力行使に行くものでもありません。米軍、英軍がテロ掃討作戦行っておりますが、テロ掃討作戦に参加するものでもありません。戦闘行為をするわけでもございませんし、イラク復興支援人道支援に行くからこそ、当地に赴くイラクサマワの住民は自衛隊の諸君を歓迎しているんじゃないでしょうか。  自衛隊イラク行くことに反対している方々は戦争に行くんだということを言われますが、私は何度もそうではないんだと言っておりますし、できれば、多くの方々がこの復興支援人道支援に赴く自衛隊諸君に対して心から声援をし、また敬意と感謝の念を表していただければなと思っております。
  194. 山本正和

    山本正和君 時間ですので、終わります。
  195. 月原茂皓

    月原茂皓君 先ほどに引き続いて、自由民主党の月原ですが、質問させてもらいます。  最初に、先ほどのときにお尋ねしたときに私として要望したかったことを冒頭申し上げておきますが、今度のイラク派遣に関して、隊員の処遇の問題で特にこの点をお願いしておきたいと思うんですが、この間、賞じゅつ関係のことについて内閣の方で、国際救助隊ですか、その者に対して記章制度を検討するという閣議決定がされておるわけですね、記章というかね。それで、それは検討しますと、かつて国会でも賞勲局長が速やかに検討したいと、そしてその中に当然自衛隊員も、などという中で読むわけですが、そういうことがありました、そういう答弁がありました。で、このイラク派遣を一つの契機として、それを更に検討を強く進めていただきたいということを要望しておきます。  さて、質問でありますが、今、外務大臣に質問いたしますが、自衛隊の任務として人道復興支援活動というのはあくまでこれは応急的な措置だと私は思うんです。恒久的な措置というものは、学校の問題、あるいは水とか、浄水場を造るとか、いろいろそういうふうなこと、雇用の問題も含めましてですが、そういうことについては自衛隊としてかなう話ではありません。外務省が中心というか、そっちの分野じゃないかと思います。ODAの分野でないかとも思います。  そういうことについて、まだ始まったばかりだとはいえ、どういう今、午前中の、午前中というか先ほどの質疑にもありましたが、いろいろなことが言われておりますが、トータルとしてどういう計画を持って、今、どういうふうな点で各省と協力しながら進め、進捗状況はどういうふうなものであるかということをお尋ねしたいと思います。
  196. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 私どもは、自衛隊による人道復興支援とそれから経済協力は車の両輪だという言い方をいたしております。  それで、無償資金、当面、無償資金協力を十五億ドルということを申しましたけれども、これについては、電力、教育、水・衛生、保健といったような分野を中心にイラクの人たちの生活基盤を作っていくということを考えているわけです。それで既に一億二千万ドルほどの援助を決定をいたしております。  雇用ということも重要でして、このうちの国連居住計画に支出をして行う支援の地域のコミュニティーセンター造り、それから貧困層に対する住宅、これについてはイラクの人たちを雇用してこれを建設をするということで、一日当たり五、六百人の雇用が確保できるというふうに思っております。そういった、これはサマワだけで五、六百人、イラク全土で二千人ということでありますけれども、そういったやり方で今後とも引き続き雇用の拡大には注意をし、進めていきたいというふうに思っております。  それで、幾つかの事業について補正予算でもいろいろお願いをしていることがありますけれども、例えば電力、水・衛生、保健、医療、そして治安といった分野が考えられていますけれども、割に補正予算の中で考えられていることといいますと、例えば電力については発電所、変電所のリハビリ、これは日本が発電所の建設を手掛けておりまして、そういったもののリハビリ。これは三か所ですけれども、それから移動式の発電機、発電機の供与といったことを、失礼しました、変電機の供与といったことも考えております。水・衛生の分野ですと、浄水、そして衛生ということでごみ収集車ですとか汚泥処理車の供与といったことも考えています。保健、医療ということでは、日本がかつて十三病院を手掛けたわけですけれども、それのリハビリ、すなわち医療器材の供与、救急車の供与等を考えております。その他、警察車両の供与、これは既に六百二十台というのを決定していますけれども、更にそれに加えて必要だということで支援考えていますし、日本のNGOがいろいろなところで支援を行っているその活動支援するということでの費用も考えております。  今そういったようなことを、検討を鋭意進めているところでございます。
  197. 月原茂皓

    月原茂皓君 そこで、いろいろ細かい配慮をしながら進めているのは分かるんですが、そういうことの判断するシステム、それはどういうふうな組織で考えておるのかということと、今こういうことをしたいんだけれども、こういう障害があってできないというようなものがあるんでしょうか。
  198. 川口順子

    国務大臣川口順子君) どのようなシステムで考えているかということにつきましては、これは経済協力でございますので、普通の経済協力のやり方ということで考えておりますけれども、イラクの中にどういうニーズがあるかということを既に国際機関やあるいはイラク統治評議会、あるいはイラク政府といいますか中央省庁と言った方が適切かもしれませんが、その辺りが見付けている、アイデンティファイしているということがあります。そういった分野の中で我が国がやることに適切な分野ということを選んで、それでその話を進めているということであります。これは経済協力ですから、ちゃんと公正に効率的に透明性を持って進められる必要があります。それを確保するために、その分野で優れた識見を持つ専門機関に依頼をしてそこの管理をやってもらうということも考えておりますし、また情報公開も必要ですので、そういったことも考えております。  それで、何が一番の制約かという御質問、二番目にありましたけれども、私はそれは治安だと思います。やはり治安がまだまだ問題が残っているというのがイラクの現状ですから、援助の関係者がたくさん入って活動するということがなかなか難しいわけです。それから、我が国が行う援助、支援の中には国際機関と一緒になってやるということもあります。例えばUNDPと一緒に雇用をかなり直接的に増やすようなプログラム、これはアフガニスタンでやりましたけれども、それと同じことをイラクでやろうということを考えておりますけれども、国連の機関がまだイラクの中に戻ってきていない。ユニセフについても同じであります。そういった意味で、治安が改善をしていくということが援助をあるいは復興支援を経済協力の形で進めるということのために非常に重要な要素であって、それが必ずしも今のイラクには十分に存在をしていないということが問題だと考えています。
  199. 月原茂皓

    月原茂皓君 今のお話の中で治安というものが非常に大きな要素であるということが分かりましたが、今国連の話がありましたね。国連との協力をする分野が非常に多いんだと。国連については今どういうふうな状況で、またそれを進めるために我が日本国としてどういう働き掛けをしておるのか。それは国連が動いてくるまで待っておくというよりは、やっぱり日本が積極的に、また十五億ドル、五十億ドルというような、そういうふうな意思表示もしておるわけですし、イラクの人に、さすが日本だと、国連にも働き掛けてスピーディーにやってくれよるなと、こういうふうに考えてもらうのが一番有り難い話ですから、そういう意味で、現在、国連はどういう態度でおるんだ、そして国連に対してどういう働き掛けをしておるんだということは、どうですか。
  200. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 国連のかかわり合い方というのは、一つは経済協力の分野、もう一つは選挙と政治プロセスを前に進めるということの二つがあると思います。  それで、経済協力の方で申しますと、これは先ほどUNDP、失礼しました、ハビタット、国連居住計画、人間居住計画と一緒に地域センター、そして貧困層の住宅をやるというお話をいたしましたけれども、今、国連機関はイラクの中に外国人はいないという、基本的にずっと経常的にいる、継続的にいるということはないわけですけれども、イラクの周辺にいて、そしてイラクの人たちと調整を、イラク人の職員と調整をしながらコミュニケーションを取りながら進めているということであります。したがって、外国人が、国連の外国人の職員がイラクの中に住んでいるほど急いで大量に効率的にできないということが問題であるということです。  国連がイラクにどのような形で戻っていくかということについては、まだよく見えないところがありますけれども、我が国として国連に働き掛けているのは、デメロ特別代表が亡くなりましたけれども、その後任の方を早く任命をしてほしいというお願いを国連にいたしています。今は、代わり、後任はいないんですけれども、代理という形で、代行といいますか、そういう形で一人の方がその仕事をしていらっしゃいます。こういった働き掛けは、この前、中山元外相に総理特使という形で行っていただきましたし、私もアナン事務総長と電話でお話をしてそういうお願いをいたしております。  それで、それは一部政治プロセスに関する国連の関与ということにも関係がありますけれども、今イラクでこれから問題になろうとしていることが政治、十一月の十五日に合意をして、それに基づいて政治プロセスを進めていくということでありまして、当面どのような形で選挙をするか、直接選挙か間接選挙かということが一つのテーマになっているわけでして、国連がこの間調査団を送る、選挙がどういう形でできるかということを技術的に調査をするという調査団を送るという決定をいたしました。それから、治安についての調査団も今派遣をしているということでして、そういった活動も少しずつ始まっているということでございます。  我が国としては、引き続き国連に働き掛けて、国連のイラクの復興における関与がもっと強まることが重要ですので、その方向で国連と話し合っていきたい、働き掛けていきたいと考えています。
  201. 月原茂皓

    月原茂皓君 そこの点は分かりました。  そこで、私が思うのは、この選挙というのは予定どおり行われれば一番有り難いことだけれども、いろいろな書き物を見ていると、人口、要するに宗教の込み入った構成とか、これを機会に自分たちが非常に有利にいきたいと。これは人の常でしょうが、そういうようなものも込み入って、なかなか難しい問題を抱えておるんじゃないかと。それは我が国がとかくできる話ではありません。  ですが、国民から見たら、そういうことによっていろいろ遅れてくるということは、むしろ早く援助してくれという気持ちが非常に強くなってくるんじゃないかと思うんですよね。自分たちのいろいろな、中の国内における制度によって、もろもろの状況によって援助することが非常に難しい、こちらからいえば。だけれども、一般の国民から見ると、日本からも自衛隊も来る、あるいは三十六か国、七か国が活動しておるというのに一向良うならぬなということになると不信感が出てくると思うんですね。ですから、そういうことを、待ちの姿勢でなくて、少し粗くても積極的に私はやっていくことによって治安も良くなってくるんでないかなという感じがいたします。これは個人的な見解であります。  さて、次に防衛庁長官にお尋ねいたしますが、国会承認の対象ということは、今までも対象は何かということについて法的には規定されておるんですが、その点をもう一度お尋ねするとともに、今後、基本計画というものがあるわけでありますが、この基本計画が、例えば今はクウェートとイラクというふうになっておりますが、他の何か国かを基地にしなければならないというようなことも起こり得るかもしれませんし、あるいは新聞等によればヘリコプターも要るんでないかなというようなことを書いているところもある。そんなことで、装備を、基本計画に書いていないような装備を更に追加しなければならないかなというような判断に立ったときに基本計画の修正が行われるだろうと。  そうすると、その基本計画に基づくもろもろの行為というものが国会承認というものとどういう影響が、影響というか国会承認とどう結び付くのか、その点について大臣考え方をお尋ねしたいと思います。
  202. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは先生御理解のとおりでございまして、この六条、特措法六条は、人道復興支援活動又は安全確保支援活動自衛隊部隊実施することにつき国会の承認を求めなければならないと書いております。したがいまして、この文言からまいりましても、国会の承認の対象はこの二つの活動のいずれか、又は両者を実施すること自体についていただくものでありますし、しかしながら外国において実施することでございますので、他国の主権との関係からも考えまして、どこの国でやるのかということも国会の御承認の対象となるというふうに考えておるわけでございます。もちろんこれは国名をすべて挙げるという意味ではございませんが、承認の対象となる国を適宜の表現で表しておるということが今回御承認をいただいておる対象となっておるわけでございます。  他方、じゃ、どういう場合に再度承認が必要になるのかねということでございますが、例えば新たな国が付け加わってくるという場合には、これは承認の対象、新たな承認の対象となるということだろうと思っております。あるいは、イラクにおきます人道復興支援活動承認された、つまりこの一つだけが承認されたが、その後新たに安全確保支援活動をやるというような場合には、これはやはり新しい御承認をいただくことになるのだろうというふうに考えておるわけでございます。  翻りまして、じゃ、どんなものは要らないのということでございますが、人道復興支援活動をやっておるわけでございますけれども、そこで医療という行為をやっている、じゃ、そこに新たに助言というものを加えようかというようなことになりました場合には、これは改めて国会の御承認をいただくまでもあるまいということになるわけでございます。これはテロ特措法におきましても全く同一の議論をしておるわけでございまして、今回のイラク特措法におきましてもそのスキーム自体は何ら変わるものではないというふうに考えております。  また、装備につきましても、基本計画に載せておりますものが異なりますような場合には、これは改めて基本計画というものを追加というようなことになります。そういうようなことも可能性としてはあり得ることだというふうに考えておるところでございます。
  203. 月原茂皓

    月原茂皓君 そこで、基本計画は国会報告だということですね。それと、だから今、大臣のお答えになった中で、基本計画の──国会報告でしょう、だから国会報告で、そしてそれと、今後、基本計画を変えた場合、それが、報告はすると、しかし承認の問題としてはどうなるんだということを私はまずお尋ねしているわけです。
  204. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 失礼しました。  国会の御報告でございます。基本計画を、例えば現在の基本計画にないもの、まあ例えは何でもよろしいんでございますが、これを加えました場合には国会に御報告をするということに相なります。御承認の対象というわけではございません。
  205. 月原茂皓

    月原茂皓君 そこで、極端な例を言うと、あと一個旅団出すんだとか、いや、例えばですよ、そういうことはないわけですけれども、抽象的な議論だけすると、じゃ、基本計画を変えた場合の限界、基本計画は変えることで国会報告でいいけれども、どういうものを今度承認の対象にするんだと、国会承認基本計画変えました、そのまま国会承認というわけではないですね。極端なことを言うと、過去の歴史を言えばですよ、大げさに言う人から言えば、小出しに部隊出しておって、オーケーだけ取っておいて、どんどんどんどん増やしていったというような、過去に、戦前に例があるわけですよね。だから、そういうふうな反省から物を言う人もおるだけに、基本計画の変更の限界というか、基本計画は変えることができるけれども、国会承認だけじゃなく、いや国会報告でなく、国会承認するものはどこが限界なんだろうかと。  低いレベルは分かりますけれども、どういうものが国会承認に新たに出てくるんだろうかと、こういうふうな議論をする人がいるだけに、シビリアンコントロールの歯止めとしての議論として取り上げる人もおるだけに、大臣にあえてお尋ねしておるわけであります。
  206. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 私ども政府といたしまして、基本計画の変更、先生御指摘のような基本計画を行いました場合に、これが当初の基本計画の枠を越える、全然変わってしまう、あるいは枠を越えるような活動が新たに行われますとき、逆に換言をすれば、国会の承認を得ました対応措置の実施についての基本的な前提変更が生じたと、このように認められる場合には、改めて国会の御承認をいただくということになると思っております。それはまさしくシビリアンコントロールのゆえんでございまして、どうもこう先生おっしゃいますように、なし崩しでどんどん変わっていくじゃないかと。それはもう単に報告報告報告で、実は全然違うものになってしまうんでないのということは、これは当然避けていかねばならないことでございます。  そういうような、どういうことがそういうのに当たるのか、今すぐ適切な例が思い浮かびませんが、前提が変わるような場合、これは基本計画の変更であったといたしましても、これは改めて国会の御承認をいただく。基本的な前提変更が生じた場合には改めて国会の御承認をいただくということになると考えております。
  207. 月原茂皓

    月原茂皓君 次に、舛添委員からの質問とも関連する話なんですが、そして大臣も答弁されたんですが、我が国は、憲法によれば特別裁判所を設けることができないと、こういうふうになっているわけですね。そうすると、そういう観点からよそは、だからえひめ丸ではないが軍事法廷と、軍法会議というようなものがある。そして、それによるいろいろな判例が積み重なって戦時におけるもろもろのことを判断するように裁判自身も積み重ねが行われておると。  日本の場合はそういうことでないわけですよね。司法権は全部下級、最高裁、下級裁判所までが独占するという制度になっておるだけに、軍法会議がないという前提で、そういうことがないわけですから、私が非常に心配するのは、今、午前中のお話の中で、過失の問題は別として、その他の刑事事件がもし対象になったとした場合に、対象になった場合に、それが日本の裁判に上がってくる。日本の司法制度で裁かなければならない。  そうすると、日本の場合は、もう一つ別の物の見方をすれば、公訴できるのは、公訴権は国家が持っておる。要するに、検察官が持っておるということですよね。ですから、ここで公訴するかどうかの判断が下される。そして、判断が下された上で裁判所に持ち上がってくるわけですね、もし何かのことがあった場合に。  そういうふうなこと、他国とそういう点が、軍事的なその状況におけるその種のものについて我が国は経験がないだけに、そういう点については、大臣としてはいろんな点、配慮せぬといかぬ点があるんじゃないかと思いますけれども、大臣は、今度、安全確保の面において、隊員が安心して行動できるというふうな要素の一つとしてどういうふうな点を隊員、あるいは制度として、制度じゃなくて、隊員に対して教育し、しているのかということを教えていただきたいと思います。
  208. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 我が国に軍事法廷がないというのは先生御指摘のとおりでございますし、これは憲法との関係上、なかなかこれは難しいことだろうと思っております。  私が理解をしております範囲におきましては、軍事法廷というのはなぜあるかといえば、それは、やはり厳しい規律が必要なんだろうねということなんだろうと思います。それはもう、扱っておるもの、実力組織という意味において軍隊、我々でいえば自衛隊ですが、ほかのどんな組織も及びも付かない物すごいものを持っているわけであって、そうであれば、その規律はより厳正でなければならぬであろうということもございましょう。それで軍事法廷というのはあるのだというようなことを私、何か物の本で読んだことがございますけれども。とにもかくにも、我が国はそういうものはないし、今政府としてそのようなことを検討しているわけでももちろんございません。  じゃ、どうなるのだということでございますが、午前中の答弁でも申し上げましたように、これ、国外犯の規定がございますので、過失というものは一切罰しないということになります。それじゃ、我々の隊員がかの地において故意で殺人などやるか、これも全く考えられない。そのようなことはあり得ない。傷害でも一緒です、傷害致死でも一緒です。そうなってくると何なのだということになりますが、これは、正当行為として刑法三十五条、そしてまた緊急避難、正当防衛、危害許容要件として行った行為が、それが違法性阻却をしないというふうに判断をされたらどうなるのということになるのだろうと思っております。そのためにROEというものをきちんと定めておるわけでございまして、かくかくしかじか、こういう場合はと、これはもう問わないのだということ。これは先生御指摘のように検察が判断することでございますから、我々行政といいますか、防衛庁としてあれこれ申し上げる立場ではございません。  しかしながら、そういうような手順を踏みました場合に、そういうような訴追をされるというようなことは起こらないのだと。そのためにきちんとROEを定め、ROEを守っている限り、それは個人に責任が及ぶことはない。逆に言えば、そのためのROEでもあるわけでございます。それによって隊員の安全も守っていかねばならないし、逡巡ということがあってもならないということでございまして、これは私流の表現なのかもしれませんが、これは頭で覚えたって駄目だと、体でこの場合にはこうするんだというようなことを積み重ねていって身の安全も守っていかねばならないということだと思います。
  209. 月原茂皓

    月原茂皓君 最後に、大臣に要望しておきますが、新たな、全く新たな環境で行動するだけに、ROEについて今別の側面のことをおっしゃいましたが、そのとおりだと私は思います。だから、上官というものの責任、それからROEについて、そういう場面における、期待ですね、そういう面をより教育されんことを希望して、終わります。  ありがとうございました。
  210. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 先ほどに続きまして、質問をさせていただきます。  国連憲章と国連決議、先ほども他党の委員のやり取りございましたが、これをずっと聞いていまして、相当時間費やすなと、総理とやり取りしていると。国連決議一四四一、先ほど私言いました、国連決議一四四一、先ほど外務大臣からもございましたし、私も理解しているつもりです。これをもって武力行使、即武力行使ということではなくて、ここに最後の機会を与えると、フセイン政権に対して。その後、履行しなかった場合、安保理なんですよね。安保理やらなかったんですよ、できなかったんですよ。そこでヨーロッパ各国とアメリカと見解が分かれたわけです。それからブッシュ大統領のこの開戦宣言になっていくわけですね。これはもうそんなに古い話じゃないですから覚えていらっしゃると思うんですけれども。  私は、ですから、一四四一というのは、その次に安保理がある。安保理をないままに米軍による武力行使が行われたということ。  それから、国連憲章というのは、度々言われますけれども、国連憲章によって担保されていますのは、他国から加盟国が侵害、侵略を受けたときに個別的自衛権がありますよ、あるいは集団的自衛権がありますよと。そしてまた、それも安保理で協議をしましょうと、こういうことになっているわけで、途中を省略している。こういう政府の一貫した答弁であるということについて、申し上げさせていただきたいというふうに思います。  そこで、外務大臣、ここはもう同じお答えだと思いますから結構です。  私、今、先ほど来、今このことについて質疑を聞いていて、ずっといろいろな委員会、外交防衛委員会でも、あるいは特別委員会でもやり取りして、今お話しさせていただきますのは、多分いつの議事録かなんかひもときしていただきますと私の発言したことが出てくると思うんですが、この大量破壊兵器、国連決議違反という理由も、よくよく考えますと、ずっと終始一貫、首尾一貫したものじゃなくて、国連決議違反を理由に武力攻撃ということであれば、過去、一九六七年の第三次中東戦争後にイスラエルの占領地撤退を求めた国連決議二四二はどうなるんでしょうかね。イラクに対する国連決議は憲章第七章に基づくもので、武力行使も容認しており、イスラエルのそれは憲章第六章に基づくものですよ。平和的解決を目的とするという説明があります。じゃ、いかに、イスラエルの撤退を求めてアメリカがいかなる圧力を掛けてきたのか。  こういう歴史をひもときますと、明らかにこれはダブルスタンダードなんですよ。国際法理に基づき正義の戦争ですと言ったって、実はこういうダブルスタンダードで筋道が通っていない。仮にイラクが大量破壊兵器を保有していたとしても、保有している国はイラクだけじゃない。アメリカ自身はある意味では最大の保有国であり、廃棄を求めるならば、世界全体からこの大量破壊兵器を取り除くための制御のシステムを作っていくということが議論をしなきゃならない大変大きなこれ私は課題だというふうに思うんです。  しかも、核開発計画を公然と認めている今、北朝鮮に対して六者協議で、テーブルに、二月中にやるわけでしょう、今度、核開発問題について。対話、圧力、私たち、この六者にどうやって臨むかということについて拉致問題が大きな課題としてあり、じゃ、なぜ北朝鮮に対話と圧力と、対話ということならば、やれなんということを私は言うつもりはありませんが、なぜイラクを攻めたんだろうかという疑念がこれはあります。──いや、待ってください。  いずれにしろ、このイスラエル問題、イラク問題、大変、国際情勢、いろいろな私は背景がありますからそう簡単に答えが出てくる問題ではないというふうに思いますけれども、とにかく、今の状況というのはアメリカが何かけちを付ければ攻撃をすることになってしまうことになりはしないかという、こういう見方も私はあり得るんじゃないかというふうに思いまして、要は、戦争というのは最後の手段なんだということを改めて私はこの機会に指摘をさせていただきたいというふうに思います。  これは、ある意味では、先ほどから外務大臣お手を挙げられていますが、私は一方通行にさせていただきます。時間が限られて、限られておりますので。またこれはずっとあると思いますね。  それから、このことについてはお答えいただくことになるかも分かりませんが、日本外交というのはどうも、お嫌かも分かりませんが、率直に言って機能麻痺状態になっているんじゃないかというふうに思います。アメリカに付いていけば何とかなるんじゃないだろうかという安易な考え方はございませんか。少し一種の思考停止、あるいはこの冷戦型の思考に継いでいるんではないだろうか。もう変わっていますよ。いや、あんたが、おまえが言わなくたって分かっているよと言うかも分からない。いろいろそちらで何か独り言をおっしゃっているけれども。  資本主義対社会主義の対立じゃないと、これは分かっている。湾岸戦争とも状況が決定的に違うのも分かっている。じゃ、テロリストの側に付くか、我々側の付いていくかという短絡思考じゃないと思うんです、これは。テロリストについては、テロについては、これはもう国際的に排除していかなきゃならないということだと思うんです。  ですから、私は、今現実にアメリカの巨大なこの軍事力、経済力、まあ経済力の方はちょっとクエスチョンマークかも分からないけれども、厳密に言えば。世界じゅうのどの一国もこの一国について対抗できない状況が私はでき上がっている。これは多分見解がある意味では共通すると思うんですが、このネオコン、ネオコンサバとかあるいはタカ派とか言われますが、このブッシュ政権というのは、過去にない、アメリカの政権と違う独特の今の政権のスタイルを、政策を取ってきているというふうに私は思いまして、これをある意味では単独行動主義、これに対してどういうような組立て方をすると、テロに反するかどうかというようなことではなくて、多国間の協議で物事を進めていくということが、これはやっぱり私は主張すべきであって、日本という地位がアメリカともあるいはヨーロッパとも、どっちかと言えば私はアジアに軸足を置いて、アメリカの、日米関係というのを基軸にしていくという気持ちを持ちますけれども、何でもフランスと一緒になればいい、フランス、ドイツと一緒になればいいなんて言ってない。フランスはフランスの考え方これあり、ドイツもドイツの考え方あるわけですけれども、そういった私は、今回の様々な九・一一以降、アフガンがあります。イラクの問題あり。  そして今、小泉さん、小泉総理は、もう一度支持しましたから、これはもう最初からもうこれはお金じゃ駄目だ、あるいは、お金じゃ駄目なんだと、血を流すなんていう、別に体でとにかく具体的に貢献をしていかなきゃならないというので、この自衛隊の派遣というふうになっていくわけですけれども、少なくともここら辺の私は冷静な議論をきちんとここで改めて問い直さないといけないんではないかということで、本当はもう派遣前に私はこういうことをずっと言ってきたつもりだったんですけれども、どんどんどんどん国会、衆参、国会でも日本の外交の在り方、日本のスタンスの在り方、日本の国益の在り方、これをきちんと議論をして私は結論を導き出すものではないんだろうかというふうにあえて思いまして、一四四一の問題、国連憲章の問題、そしてテロに屈するなとかいろいろなことがずっと言葉だけ出てきますけれども、そうではないんだということを私は申し上げさせていただきたいと思いますし、それからこれは、私はフランスだけの例を取ることではないんですが、大量破壊兵器の脅威にさらされている、テロ行為に発展するおそれがある、だからという論理の組立て方で開戦に入っていった。率直に言いますと、容疑を晴らすのは嫌疑を掛けた方が晴らさなきゃならない、それが査察であったはずです。査察継続であったはずですよ。査察継続というのは、イラク・フセイン政権も、そしてまた欧州、ヨーロッパもそうであったわけであって、ここを私は日本というのは嫌疑だけで今なお、今なおですよ、注視をするということでしか答弁できないということになるのか。これはさかのぼって誤りでなかったのかということは、当然私は、ずっと同じ答弁繰り返していますけれども、どっかに脳裏にこれは間違ったんではないかというぐらい思うのが、私は当然な私はリーダーの思考ではないかというふうに思っております。  これは前段の方に、テレビのいるときにここら辺もお話をしたかったんですが、ちょっと時間もなくなりましたので、このことについてまず冒頭触れさせていただきます。  そこで、イラク復興への一つの我が国の貢献の仕方、これは今みたいな話をしてそうなんですが、いずれにしろ現時点でイラクのこの復興、そして対して不安定さと混乱というのは、これはだれもが認識をしていると思うんですけれども、このフセイン政権崩壊によって新しい統治機構をどう作るかということの中で、今その中間的な権力の空白が生じているわけですね、実際。このイラクの不安定と混乱なくして民主的なイラクを再建するという道は、アメリカ、米英軍の中心の占領ではなくて、国際協調の枠組みを一日も早く作る、これは昨日、私も本会議で申し上げました。  国際協調の枠組みを一日も早く確立することだ、それは国連による暫定委任統治か暫定統治が望ましい、これもそう不一致はないんじゃないかというふうに思いますが、少なくともそのために中東諸国、そしてヨーロッパ主要国が、先ほどの質疑にもございましたけれども、国際協調の枠組み作りに参加をする。このことで我が国自身がリーダーシップを発揮をしていくということでなければならないと思いますけれども、このことで外務大臣、前段の方は長くなりますから結構ですので、今後段の方で言った部分について、この暫定委任統治から暫定統治、そしてヨーロッパの主要国、国際協調の枠組み作りで我が国がリーダーシップを発揮をするということについて、これが我が国の外交の重要な柱だということについて明確な答弁を求めたいと思います。
  211. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 暫定的なイラクの政権といいますか、イラクイラク人によるイラク人の手による新しい政権、これを六月末までに作りましょうということが昨年の十一月十五日に既に合意をされているわけです。今、それに従ってそのプロセスを歩みつつあるということであるわけです。その過程がこれはなかなかそれほど容易な過程ではないということは我々みんな分かっているわけですけれども、これを前に進めるために今国連が乗り出し始めているということについては、日本としてもそれを今まで働き掛けてきましたので非常に歓迎をしています。  今後とも、日本としてその国連の動きに貢献、それが実るような形になるように貢献をしながら、イラクの復興について国際社会と一緒に歩んでいきたいと思っております。イラクの復興について国際協調あるいは国連の関与、これはずっと日本が開戦の前から働き掛けてきたことでして、これのこの方針については全く変わりがありませんし、今後ともこれを続けていきたいと考えています。
  212. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 大変きつい作業だと思うんですね、この枠組み作りというのは。一度壊れていますから。壊れているわけですね。さっき言った一四四一、そして一四四一があって、英米軍これ入っていくわけですけれども。  これは私の言葉ではありませんが、ある識者の方が、歴史的にこの今の状況ですね、今のこのヨーロッパそして北アメリカとの関係、最もヨーロッパが北アメリカと離れた時代ではないかという、そういうときに今来ているんではないかという方が言っておりまして、ある意味では私はうなずくなと。  これを単にそれぞれの国益とか、国益というのは単純なイラクにおける石油の利権だとか、そういうようなことではなくて、そういう意味で私は申し上げているんではなくて、もしそういう離れた時代なら大変だな、きつい仕事だなと思うならば、今外務大臣もおっしゃっていた、ずっと開戦前からやってということになれば、今、小泉総理がずっとブッシュ政権が行ったことについて支持します。そして、今我々は様々な疑義がある、憲法上どうなんだろうかと。占領行政、戦闘状況に入っていく、それに加わっていく。あるいは、集団的自衛権あるいは武力行使の問題、様々な憲法上の疑義がある中で国内で様々な議論がある。それはドイツやフランスと違うスタンスを取りながら、というのはフランスやドイツから見れば日本は日米一緒だというふうに、あるいは単純化して思考すると思うんですよ。そのときに、日本が幾らやりましょう、枠組み作りやりましょうと言っても、これは大変なことになるわけで、しかしこれはやらなきゃならない、枠組み作りをきちんと、こういうことだと思うんです、私たちのこの国としては。  今六者協議の私話をしましたけれども、今中国が大変骨を折っておられますけれども、そもそも北東アジアの安全保障、安定の問題については、我が国がそういう意味ではそういう枠組み作りというのはずっと努力をしているわけですから、たまたま私たちは拉致問題とか、いろいろ核問題出てきましたけれども、ここは我々自身がずっと追及してきたわけですから、むしろそうで、ああ、我々がやってきたけど今中国がやっているなんという冷たい見方はしていないと思いますけれども、やっぱりこれも日本の過去やってきた外交が今中国がイニシアを握っている、あるいは拉致問題があるから日本はできない、我が国やりますよという、これは分かりませんけれども、ともかくこういったことについて六者協議、そして国連の枠組みをきちんと作っていくということについて、日本の役割を果たしていくということをあえて強調させていただきたいというふうに思います。  そこで、イラク国内の復興、武装した、先ほど私は小児がんセンター等お話をしましたけれども、武装したというのは理由があって武装したんでしょうけれども、イラク国内でのニーズ、アセスメントを徹底して行って、その後に我が国民間企業の技術力を活用してインフラ整備や民生部門の再建などで貢献することではないんだろうかということを提起をしたい。  なぜならば、イラク、今サマワ地区で、サマワで歓迎をしております。それは、かつて日本民間企業が中心に歴史的に大変、サマワ地区だけではなくて、全土にわたって十八州に病院を建設したとか、いろいろ様々な私たち日本に対する思い、イメージというのは、日本企業が大変な努力をして作り上げたのが今のイラクの人たちにあり、サマワの人たちにあるというふうに思いまして、これが今自衛隊が行く、雇用という大きな期待があるけれども、それは無理です。自衛隊の人が雇用なんというのは、そういうことができることはないわけですから、多少な雇用はできても、ギャップがあります。ですから、この気持ち、イメージが、ギャップができるだけ何かほころびを見せないようにしなきゃならないと思うんですね。  そこで、私は、政府がずっと自衛隊の自己完結性、自己完結性とおっしゃっているけれども、イラク人の雇用拡大というのは、私は、にはつながらないということで、言葉として復興人道支援というのは言われますけれども、そもそも復興支援をしなきゃならないというのは、原因を作ったのはサダム政権になるのか、十二年に及ぶ経済制裁なのか、米英軍による武力行使なのか、ここら辺の一つもあると思うんですね、実は、歴史的な経過の中で。こういうようなずっとくだりでお話ししている。何かお答えできますか。
  213. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 中東の長い歴史の流れを過去に向かってさかのぼっていきますと、いろいろな問題が、どこが、どこからスタートしたのかということを追っていくということは非常に難しいということだと思います。例えば、それがかつての帝国主義時代までさかのぼるのか、あるいはどうなのか。はっきりしていることは、この今の状況を作った直接の原因は、サダム・フセイン政権が国連の決議に応じて武装解除をしなかったということにあるということだと私は考えております。
  214. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 先生おっしゃるとおり、自衛隊でそんなに何百人、何千人と雇用ができるわけではございません。  ただ、失業というのがアメリカがやったのか、あるいはサダム・フセインなのか、いろんな原因はありますが、私はやっぱり社会主義政権下においてほとんどが公務員であったというのは、これはやっぱりサダム政権の特色だったんだろうと思います。そして、自分の政権に従う者には職を与える、自分の政権に従う者には金を与えるというようなことをやってきて、本当に額に汗して働いて、そして職を得て、そして納税を行って国家を運営しているという国家ではなかった。そこへどうやって雇用を創出するかというのは、実はかなり難しい問題なのだという認識は持っておるところでございます。
  215. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 非常に、多分、現地に行かれた先遣隊の方とか外務省調査とかやられますと、そういう、私も報道で見る限り、非常に期待感がある、このギャップを非常に危惧をいたしますね。  だから、私は先ほど劣化ウラン弾の湾岸戦争の事例を出させて言いましたけれども、これはまた劣化ウラン弾の話をするつもりはありません。  歴史的にこのイラクという地、だから、先ほど言いました医療貢献につきましても、これはもっと前からできていたはず、イラク戦争、今度の武力行使前から。そういう調査はできていたはずだと思うんですけれども、本当はすべきだったというふうに私は思いますけれども。  今回のですから復興支援人道支援といいますけれども、どうなんですかね、昨日の外務大臣が本会議でお答えになった。私はちょっとがっかりしましたけれども、米英軍による武力行使以降、民間イラク人の被害状況について政府は把握をしておりませんと。そして、死傷者数については、個別の事例については報道もある部分については承知をしているけれども、全体像については必ずしも承知をしていないというふうになっているんですけれども。  再度お尋ねしますが、そういう状況なんです。私は、イラク全体に対して民間人の死傷者とか何かについて、日本は直接カウントなかなかできなかった、このじゃ、米英軍とかですね、いろいろ、私は、そういう現地の武力行使以降の状況についてきちんと把握した上での復興支援というのが普通の本当の復興支援ではないかというふうに思いながら昨日お尋ねさせていただいたんですが、外務大臣、やっぱり民間の死傷者数というのは昨日の本会議答弁以上出ないんですか。
  216. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 昨日は非常に誠実にきちんとお答えをさせていただいたわけでございまして、公式なそういった統計はないわけです。ない以上は、何人というふうに申し上げることはできないわけです。  ただ、幾つか、幾つかといいますか、ボディー・カウントという民間団体はございます。これの出している統計が、公式な数字ではないということですけれども、ちなみにその数字を申し上げますと、これは個別の事例についての報道とかあるいは目撃者とか、そういうことを当たって数字を集めているということで、これが本当に正しいのかどうかということについては全く分からないということですけれども、一月一日まで、今年の一月一日までの数字以降の集計の数字は出ていないようでございますけれども、そこまでの、民間、ですから一年間、今年の一月一日までの一年間、その数字でいきますと、最低で八千百名、最高で九千九百三十八名という数字が一つございます。ただ、申し上げたように、これがオーソライズされたという数字ではないということです。
  217. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 大臣、その今の数字はきちんと、何というんでしょうかね、オーソライズされたものではないと。どこで集計された、機関としてどこで集計されたものですか、数字は。
  218. 川口順子

    国務大臣川口順子君) これはイラク・ボディー・カウントという市民団体です。
  219. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、それは報道大臣、出た部分ですよね、民間の団体として。報道に出た部分です。民間イラク人の被害状況というのは、死傷者数ばかりじゃなくて、いずれにしましても、壊された家の数とか占領軍による人権被害などについても私は取り組むべきだというふうに思いますが、ただ、我が国自衛隊が派遣される地区は、これはある意味では限定をされているわけですから、それはある意味では英米軍の今の主たる任務かも分かりませんが、現実に死傷者数とか被害程度とかいうことについて把握できていない、まだそういうふうに着手できないほどの今のイラクの状況ではないかというふうに、あえてこれ触れざるを得ないというふうに思います。  次に、ちょっと質問の整合性、順番といいますか、項目に飛びますけれども、時間の関係で一点だけお尋ねいたしますが、自衛隊員方々が身に付ける防弾チョッキの性能なんですけれども、多分万全の防弾チョッキ、最高の防弾チョッキを付けていられるんだろうなというふうに思いますが、そうであるならばそうであるというふうにお答えいただければいいというふうに思いますが。  なぜならば、先ほど同僚の若林議員が、これは私も昨年末、外交防衛委員会でお二人の死の問題についてお尋ねいたしまして、その後、死因につきましては伺いましたけれども、もしお二人が何かそういう身に付けたものがあれば死に至らなかったんじゃないかという思いも持ちながら、今度派遣された隊員方々というのは、装備品の一つとして、例えばアメリカやイギリスやオランダ軍と遜色ないということなのかどうか、そういうことも含めて御説明いただければと思います。
  220. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは私も強い関心を持っておりまして、例えば、私、副長官のときにゴラン高原のPKOにも行ってまいりました。いろんな国の部隊とともにやっております。  我々が持ってまいります防弾チョッキというものは、結論から申し上げれば他国と比して遜色はございません。他国に比べて弱いというようなことはありません。これは実際に耐弾性、実際に撃ってみて、貫通するのかどうなのか、どれぐらい止まるのか、どれぐらいの距離から撃てばどうなのかというようなことも含めますが、そういうような耐弾性の試験も実施をいたしておりまして、小銃弾等から身体を防護できるということになっております。車両についても同様に、そのような処置を行っておるところでございます。  今、奥大使のお話もなさいましたが、どの場合にどうということは具体的にお答えをするのは適切ではございませんが、少なくとも、他国の同じような任務に当たる兵隊さんと比べて劣るような防弾チョッキを持っておるというようなことは一切ございません。
  221. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ありがとうございます。  それで、残りの時間、先ほど、いわゆるイラクにおいての隊員の方の、隊員のいわゆる事件、事故あったときの対応につきましていろいろやり取りがございました。全部用意しました質問はできないんですが、我が国は今現在、いわゆる国際刑事裁判所、これがハーグに設置をされておりますけれども、九十二か国批准しているんですけれども、日本は署名国ではないんですけれども、これはまだ批准していないですね、まだ、国際刑事裁判所。これは今ずっとやり取りありましたけれども、これは国内法が未整備だというふうな理由だというふうに思いますけれども、私は、今回、万が一のことがあって、それは、自衛隊隊員イラクの民間人を射殺したり、あるいは危害をするということはないということで一貫しておっしゃっています。一貫しておっしゃっていますけれども、逆に、もし万が一何かあったときに、被害者が日本国内で損害賠償を請求することは認められますか。そして、そういうことについて検討されているのかどうかを含めて、二つですね、刑事裁判所の問題と、被害者が日本国内で万が一のときに損害賠償を請求する、そういうことについて対応を検討されているのかどうか。
  222. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 刑事裁判所の問題について申し上げたいと思いますけれども、これは委員がおっしゃったとおり、我が国はまだ批准ができないという理由は、これは国内法が未整備であって、それを、今どのような国内法制が必要であるかといったようなことの精査を行っております。
  223. 石破茂

    国務大臣石破茂君) イラク人の方に対しまして我々が故意又は過失によりまして、公権力の行使に当たっておる場合、職務を行うにつき故意又は過失によって違法に他人に損害を与えました場合には、国賠法一条に基づきまして損害賠償の責めに任ずるということになります。
  224. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 これは先の話ですけれども、全然違う話ですが、イラクに新政府ができたときに、連合軍が、これは地位協定のくだりでずっとお聞きしたかったんですけれども、もしあればちょっと簡単にお聞きしたいんですが、クウェートとはこの交換公文、地位協定、結ばれましたよね。カタールについてはいかがなんだろうかというのが一つ。それから、新政府ができた場合、連合軍が一括して新政府と地位協定的なものを締結することになるんだろうか。このことについて、もう少しちょっと時間をやり取りしてお尋ねしたかったんですが、結論だけお伺いしたいと思います。
  225. 川口順子

    国務大臣川口順子君) カタールとの地位協定の交渉の話でございますけれども、これは相手国政府との関係もございまして、カタール政府との間の協議内容の詳細について明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、陸上自衛隊や航空自衛隊の根拠地及び経由地については、イラクとの地理的な近接性、基地の利用、輸送需要等を総合的に勘案をいたしました結果、クウェートとすることが適当であると我が国として判断をいたしておりまして、現時点においてカタールとの間で自衛隊の法的な地位に関する国際約束を締結をする必要性というのは必ずしもないと考えるに至った次第でございます。  今、二番目の方の御質問ですけれども、これは、イラクの今決まっている政治プロセスの中でCPAイラクとの間で新しい治安に関する協定が結ばれるということになっております。その内容についてはまだ定かでないわけでございますけれども、そこの合意によってそこで問題が解決をされることになると考えております。
  226. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ちょっと後段の方の質問が、前段のいろいろやり取りの中で私は指摘したかったので、ちょっと委員の各位も唐突な感じはあったかも分かりませんが、お許しをいただきまして、残る時間、同僚議員の方に譲りまして、また以降、質疑を交わさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  227. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 再び質問させていただきたいと思います。  先ほど二十分間しかありませんでしたので、少し、やや急いだ感じで私の推論をちょっと展開した感じになったかなというふうに思います、ちょっと三十分間ぐらいは欲しかったんですけれども。  申し上げたいのは、私も、ああいうことを素人の私が言うことがいいのかどうかというのを私は非常に悩んだんです。変に国民の方をミスリードしてはいけないと思いますし、そういうことを私はもちろん意図しているわけじゃないですけれども、余りにもこの二か月間何も出てこなかったといういら立ちなんですよね。私も一〇〇%テロリストだと思っていました、去年の十一月に。そこからスタートして、いろんなことをつなぎ合わせると、ちょっとおかしいかなというのが今日に至ったことでありますので、是非そこのところを酌んで、政府としても鋭意これも調査をしていただきたいなという思いであります。  申し上げたかったのは、米軍から見れば、もし仮に本当にそうだとしたら、必ずしもそれは誤射ではないのかもしれません。交戦規定にのっとって、手順を踏んで、警告をしてやったのかもしれません。それは分からないです。例えば、昨年の九月にイタリアの外交官が乗った車が撃たれて、これは通訳が死んだんです。全くこれは同じ事件でありまして、車列を追い越しちゃって、勢いで止まって、何かここには警告したという、合図をした後発砲したということで、残念ながら、そのイタリアの外交官じゃなくて、イラク人の通訳の方が亡くなったという非常に悲しい事件があった。  つまり、戦時下というのはそういうことなんじゃないかと。このティクリートにおける非常に厳しいところにやっぱりそういう場があるんだと、そこにやっぱり自衛隊も送られるんだと。それは、石破長官はその場とは違うとは言いますけれども、私はやっぱりそこをきっちり見極める必要があるんではないかなというふうに思いますので、まだ石破長官、ちょっと私の推論も含めて意見を伺っていなかったので、今申し上げたこのイタリアの例も含めて何か御感想があれば伺いたいと思います。
  228. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 委員の御推論につきましては、私、コメントする立場にはないと思います。また、いろんな可能性がございますけれども、日本政府として一日も早く真相を明らかにするということは大切なことだと私も思っております。  サマワはティクリートとは違うぞというふうに、確かに私、問われればお答えをするでしょう。しかしながら、やはりそういう常に、サマワは安全だからということでいささかの油断もあってはならないということはよく認識をいたしております。一分のすきもなくということでありますが、同時に現地の人たちにも溶け込まなきゃいかぬ、ここをどのようにして考えるんだということですが、どちらを取るかと言われれば、私は安全を取るべきだと思っています。  そして、現地方々の友好にも努めますが、やはり雇用の拡大であるとかインフラの本格的な復旧というのは、これは自衛隊というよりも日本政府全体としてやることでございましょう。そのためにはやはり治安の回復というのが必要なことである、これは外務大臣のおっしゃるとおりだと思います。やはり自衛隊が何でもかんでもしょい込んでしまうということは、それは無理ですし、隊員に過度の負荷を掛けることは私はあってはならないことだと思っております。
  229. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ありがとうございました。  先ほどの推論に至る途中で幾つかお聞きしたかったことを今ちょっと質問させていただきたいと思いますが、これは舛添委員も聞かれたところなんですけれども、金曜日に発表された科捜研の鑑定の結果ということで、もう既に発表あったところなんですけれども、口径が七・六二ミリ、三十口径、そして右回り四条の線条痕ということでありまして、報道をいろいろ見ますと、外交官殺害は旧ソ連銃、被害車両日本搬送、疑いあるとか、かなりカラシニコフをイメージさせるような、多分言っていないと思いますけれども、受ける側にとってはこういう書き方でもう既にどっと回っているということであります。  私は不思議に思ったのは、二週間前に鑑定の結果を聞いて、警察官の人に呼んで伺いました。私も納得できなかったんですけれども、何でもっとないんですかと、分かっていること。いや、まとめていっときに発表しますということだから、まだしばらく時間が掛かるんですと言ったら、先週の金曜日になっていきなりこれが出てきたわけでありまして、ちょっと私も違和感あったわけですけれども、なぜこの時期にこれだけを、だけを発表されたのか、そして質問は、この銃弾の成分がなぜ一緒に発表できないのかということについてお伺いをしたいと思います。
  230. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) お答えいたします。  銃弾鑑定につきましては、先ほど御答弁を申し上げたとおりでございますので省略いたしますけれども、十二月五日の御遺体解剖から摘出された、先ほども申しました非常に小さなものも含まれた多数の金属片銃弾かどうかも分からないというものについて鋭意鑑定をしてきたということでございます。それから、さらにその後、イラクの方から車の中にあったと、から発見されたという銃弾様のものも入手することができまして、それについてもその後併せて鑑定実施してきたということでございます。成分につきましては現在まだ鑑定を継続中でございますが、私どもとしては、取りあえずこれは物理的な鑑定を先行いたしまして、先般発表いたしましたような結論に至ったわけでございます。  もとより、これは捜査の一環としての鑑定でございますので、その内容なりその鑑定の中身といいますか方法等につきましては責任ある鑑定官が、これは科学捜査研究所でございますけれども、行ったものでございますし、御遺体解剖に伴う鑑定につきましても、これは大学の先生がやっているわけでございまして、そういうことで、事の重大性にかんがみまして、私どもとしては、現時点で鑑定の結果としてまとめられた範囲について早急に取りまとめをしてきた、その結果が一月三十日の発表であるということでございまして、なぜこの時期にという御質問でございますけれども、鋭意急いで鑑定をやってきたその結果でございまして、現時点で、その時点で判明したことについて、事の重大性から可能な限りのことを発表いたしたと、こういうことでございます。
  231. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 非常に事の重大性を強調するんであれば、もう本来であれば科捜研、総力を挙げてこの分析を本来やるべきであって、もう二か月もたっているわけですから、まとめて発表するということを二週間前に言いながら、いきなり先週やったということに対してはすごい違和感がありました。  成分の分析と、私、素人だから分かりませんけれども、金属の成分ですよ。今どきこれは溶かして成分の分析器掛ければこの銃弾が何の成分、材質だったかというのはこれはすぐ分かるはずなんで、これは専門家の人もそういうふうに言っている人もいますので、これを明らかにしないということがさっき私も推論したくなる一つのやっぱり理由になっちゃうんですよ、こういうことばかりやっていると。  それはお分かりいただけると思うんですが、その上であえて聞けば、この口径とこの線条痕を持ったカラシニコフ以外の銃弾を使った兵器というのはどれくらいあるのか教えてください、アメリカ軍も使っているのかどうか。
  232. 瀬川勝久

    政府参考人瀬川勝久君) この鑑定の結果分かりますのは、七・六二ミリ程度口径で四条の、右回り四条の腔線を有する銃ということでございまして、これは世界じゅうに、先ほども申し上げましたが多種多様なものがあるというふうに承知をしております。  今回の鑑定結果から銃の結果が、銃の特定ができるものではなく、もちろん私どもも、本件を公表する際に、銃の種類について特定できるものではないということも併せて明確に申し上げているところでございます。
  233. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 だから、そういうふうに余計疑惑を招くようなやっぱり発表の仕方を私から見れば非常にしているというふうに思います。  今言ったのは、御存じのようにカラシニコフだけじゃなくて、この口径とこの右回り四条というのはいろんな兵器のやっぱり銃弾らしいんですよね。いかにも何かこの時期にそれをにおわせて出すという、それで結局マスコミはそういう書き方をしますので。  そういうことなんだろうなと思いますけれども、やっぱりこの材質、成分というのは恐らくもう少し簡単に分析できるんじゃないかなというふうに思いますし、もうそういうことであればやっぱり納得できるようなやっぱり説明の仕方も必要ではないかなというふうに思いますので、是非早急に、総力を挙げてこの鑑定を急いでいただきたいなというふうに思っております。  その上で、もう既に少し聞いている話なんですけれども、物的証拠のもう一つはやはり車でありまして、十二月もたしか聞いたときには、今これから送る手続をすると言いながら、もう今日は二月ですから、何ゆえにイラクに襲撃された車が置いておかれなきゃいけないのか、それに対して政府はどのような努力をしてどういう困難があったのか、それをちょっと川口大臣にお聞きしたいと思います。
  234. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 車の移送をするということについて、非常にすぐにできるではないかというふうにお考えになられているのかもしれませんけれども、実際、この準備の過程というのはなかなか大変なことでして、例えばバグダッドに車が到着をして以降どのルートで、例えばヨルダン経由で運ぶのかクウェート経由で運ぶのか、その港から日本までどういうふうに運ぶのか、そのための費用はどれぐらい掛かるのか、そういったことを調査をして、それをやるのに時間が掛かっているということであります。その上で、途中まで、要するに道路、その港に着くまでの運搬もこれは安全に行わなければいけませんから、そういったこともきちんとやらなければいけない。  そういったことを簡単に一日二日でできるということでは全くなくて、(発言する者あり)これは二か月は実はたっていないわけです。これはバグダッドに、大使館に車が来て以降、またそれについて警察ともお話をしながらやっているわけでして、二か月、事件からは二か月掛かりましたけれども、事件の日に車が大使館の手元に来たということではない。最大限我々としては努力をして急いでいるということでございます。
  235. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 本当そういう答えを大臣がされるとは非常に情けないと思いますね。それを聞いていた御遺族の方、どう思うのかと思いますよ。  確かに、そのルートとかいろいろあります。そんなことは分かってこちらで聞いているわけですし、大使館に来たというのも遅れているというのも分かりますけれども、もう一方、もう自衛隊の車はばんばか運ばれて、それとは一緒にするつもりありませんが、もう少し、これだけ努力しているんだ、これだけ誠意あるやり方をやっているんだとやっぱり言わないと駄目ですよ。  さっきの調査というのもそうです。私は、川口さんの言葉を信じて、去年十二月十六日に質問しました。それでそういうお答えが返ってきました。しかし、何も分かっていないじゃないですか、何も調べていないじゃないですか、何にも出ていないじゃないですか。それでなおかつ車がイラクにあるということを、今の説明で国民皆さんが納得できると思うでしょうか。  もう一回、具体的に何が駄目なのか明らかにしていただきたいと思います。
  236. 堂道秀明

    政府参考人堂道秀明君) お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、私どもはこの車両の移送について最大限の努力を払ってきたと考えております。  まず第一に、現場に残された車両の輸送につきまして、これはバグダッドまで移送してきたわけでございますが、その時点におきましては、私どもに対して第二次災害の危険もある中で最善の努力を払って移送してきたわけでございます。その上で、私どもは警察当局とも御相談の上、これをなるべく早く日本に移送しようという形で努力をしてまいりました。この間、大使館の人数についても、かなりの脅威もいろいろあり増減しておりますが、その中で私ども最善の努力を払ってきたと思います。  大臣から申し上げた点については手続の点でございます。申し上げなかった点もございますが、例えばこの車はレバノン登録になっております。それを抹消して日本に輸送するということでございまして、その他この車両につきましてはかなり損傷もあり、こういう状況でございますから、関係当局との手続についても通常より多くの時間が掛かっているというのが事実でございます。  しかしながら、私どもとして最善の努力を払ってこの真相解明に役立てたいと考えている次第であります。
  237. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 外務省だけの問題ではなくて、日本政府として総力を挙げてこういうことをやる、その姿を見せる。これだけやっぱり解明やっているんだというやっぱり姿を見せないと、一方ではやっぱり自衛隊の問題も並行してやっているんですから。  総理、どうですか、こういう今の私の会話を聞いていて。ちょっとおかしいと思いませんか。その今の日本政府対応として非があったのか、ちょっと正直に御感想を述べていただければ。
  238. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 政府としては真相解明に全力を挙げておりますし、今言った点も踏まえて、どういう、専門家の鑑定があるということもありますので、私からは、早く真相解明に向けて努力するようなあらゆる対応をしなさいと言っているわけでございます。
  239. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 もう一つ、車両について、本当に努力の跡が見られるような答弁だったと思います、今のその二か月もたってまだいまだにイラクにあるということに対して、どう思われますか。
  240. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私はそういう事情はよく分かりませんが、そのバグダッドなりあるいは現地からバグダッドまで届く間のルートに対しましても、日本独自で調査なり、あるいは犯人もまだ捕まっていないという状況でありますので、その辺はやっぱり専門家に任せるしかないと思っております。
  241. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 ちょっと質問にもお答えになっていないと思いますが、本当にこの二か月間、こんだけ掛かっていまだにイラクに車があるというこの事実に対して、やっぱり総理としてどうここのとこを思い、これからどうするのかというお話を聞いていますので、あえて言えば、先ほどの質問も含めて、今もそうなんですけれども、余りにも不明な点がやっぱり多過ぎると私は思います。  そして、二か月たって何もやっぱり解明されないというこの事実に対して、総理にちょっと御提案なんですけれども、ブッシュ大統領と比較しているあれではありませんが、独立したやっぱりそういう調査委員会、チームを作って鋭意努力されることを提案しますが、いかがなのでしょうか。
  242. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) これは、政府挙げて解明に努力いたします。
  243. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 もうちょっと誠意を持ってやっぱり答えていただきたいなというふうに思っています。  先ほど来、言っていて、不明な点があるから言っているんであって、委員会、独立したチームを作るかどうかはあれですって、もうちょっと私は、無責任過ぎますね、本当に、そういう答弁しか出てこないんであれば。もしもう一回、国民に向かってこの問題に対して今後どうするんだよという決意も含めて、もう一回御答弁いただけないでしょうか、私、もう本当に。
  244. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 真相解明に向けて政府挙げて努力いたします。(「よし」と呼ぶ者あり)
  245. 若林秀樹

    ○若林秀樹君 よしという声がどうやって出るのかよく分かりませんけれども、私はちょっと納得できませんので、是非とも本当に精力的に、前向きに、見える形で取り組んでいただきたいなと思いますし、これで終わりではありませんので、また質問させていただきたいと思います。  終わります。
  246. 高野博師

    ○高野博師君 先ほどに引き続き、ちょっとテーマが大きいんですが、国益とは何かということについて若干お伺いしたいと思います。中身の濃い議論はできませんが、できるだけちょっと突っ込んでみたいと思うんですが。  イラク自衛隊を派遣するということは日本の国益だと、こういうことも言っておりますが、どういう国益なんでしょうか。まず、それをお伺いします。
  247. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) イラク復興支援、これはイラク人が希望を持って自らの国をつくり上げると、それに協力するということは日本の平和と安定にも大きくかかわってくる問題だと思います。同時に、世界の平和と安定、これを考えれば、日本もそれに協力する、これは国際社会の中での責任を果たす、世界の平和と安定の中に日本の安定と発展があるということを考えるならば、イラクをこのまま荒廃させてはならない、復興を失敗させてはならない、これは日本の国益に重大な影響があると思っております。
  248. 高野博師

    ○高野博師君 我が国には、国益とは何かということ、その定義については明文化されたものが何もないんですね。  アメリカは、これはきちんとアメリカにとっての国益とは何かというのは明確に書いてありまして、まず最初にバイタルな、死活的な国益とは何か。これもきちんと出ております。例えば、主権侵害、領土あるいは同盟国が攻撃された場合、これもきちんとあります。その次に、重要な国益とは何か。これも列記されております。  ほかの国はどうかと。イギリスも、これが国益だという定義はきちんと出しているわけではないんですが、イギリスの国際的優先課題という中に、これも八項目ぐらい、例えば英国海外領土の安全と良い統治とか、国際テロ及び大量破壊兵器からより安全な世界を、あるいはイギリス及び世界のエネルギー供給の安全とかと、こういうことが書いてありました。フランスも国家の利益の保護ということで、これも三つぐらい列記をされております。ドイツも同じように、外交政策の中での重点事項ということで八項目ぐらい。これは外務省に作ってもらったペーパーですが。ロシアも、ロシアにとっての国益とは何かということについて、ロシア連邦の国家安全保護の概念という中で、ロシアの国益とは経済、内政、社会、国際、情報、軍事、国境、環境、その他の分野における個人、社会及び国家のバランスの取れた利益の総体だということで、これも細かに列記をされております。  我が国、我が国にはこの国益とは何かというもについて明確に書いたものがありません。これはかつて大平内閣のときに総合的な安全保障という研究をされて、その中でエネルギーの問題、食糧の問題、様々な安全保障上、総合的な安全保障上に列記をしたことがあり、相当な議論はされたと思うんですが、国益とは何かということについては何もないんですが、私は是非、日本の国としてこれは政府も議論をした上で、基本的なものは何かというのはきちんと出す必要があるんではないかと思うんですが、総理いかがでしょうか。
  249. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 基本的なことは、日本の平和と安全を確保する、独立を守る、その中で国民生活を豊かにしていく、これが私は国益の基本だと思います。
  250. 高野博師

    ○高野博師君 それはもう当然過ぎる当然の国益なんですが、もっと具体的に、例えば領土の保全だということを書いたときに、それでは今、領土問題、竹島、尖閣諸島あるいは北方領土、こういうものは日本の国益にとってどうなのかということになりますし、世界の平和と安定ということの国益、しかし日本にとって最もバイタルなものはエネルギー、食糧、そういうものの安定的な供給であるわけですから、こういうものも書いたらどうか。あるいは金融システムの安定というか、こういうことも国益に直接かかわってくる。したがって、こういう中身についてきちんと政府として作ったらどうかと思うんですが、これはいかがでしょうか。
  251. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 私は、余り具体的に書かない方がいいと思うんです。それは書かれないものは国益じゃないのかということにもつながりかねない。やっぱり基本的な平和、国民の生命、財産を守る、国民生活を豊かにする、私は抽象的なことでいいのではないかと。それぞれ国益に深くかかわっていることを国会の中で審議する。まず一番の国益は、平和を守る、日本の独立を守る、国民の生命、財産を守る、国民生活を豊かにする、そういう中でいろんな具体的な議論が出てくるのではないでしょうか。
  252. 高野博師

    ○高野博師君 それも一つ考えですが、しかしほかの国はやっぱりそれはきちんと中身を議論しているわけです。そして、ある程度文章にして書いてあるということでありますから、私は是非これは検討してもらいたいなと思います。  もう一つ、「いま、世界を動かす軸とは何か」という論文がありまして、大変興味深いんですが、この中東、その中に当然イラクも含まれるんですが、中東あるいは中央アジア、ここにおける大きな状況を注視せよと、こういう表題なんですが、中身は、簡単に言いますと、アメリカと中国、これがエネルギーの消費量が物すごい勢いで伸びている。この九〇年代だけで中国は二・三倍になっていると、アメリカは一・二倍。そういう中で、中国は今、年間五千万トンぐらい石油が足りないということで、世界じゅうのエネルギーじゃなくて石油の供給源を探していろんな戦略を練り外交を展開しているわけですが、二〇三〇年には中国の石油の消費量とアメリカの消費量というのはほぼ同じになるんではないかということになりますと、将来的に中国とアメリカというのはどこかで利害がぶつかってくることは十分考えられるなということでありまして、実は私は五、六年前に、カザフスタンとかウズベキスタンとか、中央アジアに行きました。  あの中央アジアにおける日本のプレゼンスはほとんどゼロでありました。ところが、韓国も中国も物すごい勢いで入ってきているという現実がありまして、そこには正にエネルギー戦略というのが、天然ガスそして石油と、こういうものに対して日本は何の手も打っていないんじゃないかなという気がいたします。  そこで、イラクあるいはサウジも含めた三つの回廊がありまして、これが、アラビア回廊がサウジ、正にイラク。そして、中央アジア、これはグルジアからトルクメニスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギスまで、この中央アジアの回廊があると。そして、南西アジア回廊は正にアフガニスタンそしてパキスタンだと。アフガンのテロの問題、イラクのテロの問題あるいは大量破壊兵器の問題、いろんな問題はありますが、一、別な側面から見たときは、正にこのエネルギー資源というものにアメリカは着目しているんではないか。もう当たり前だと思えば当たり前なんですが、そういう中で、このイラクが戦争が起きたのはそのせいだとは言いませんが、一つの要素としてあるんではないかということは推測されるんでありますが。  私は、もっと我が国として中央アジア外交といいますか政策といいますか、これはもっと本気で考える必要があるんではないかと思うんですが、総理でも外務大臣でも結構ですが、外務大臣
  253. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 中央アジアの重要性については、これは私は委員が御指摘のとおりだというふうに思います。  それで、我が国としてこの地域に向けての外交に全く関心を持ってこなかったということではございませんで、例えば九七年に当時の橋本総理がユーラシア外交ということで一つ考えをまとめていらっしゃり、その後、エネルギーのミッション等々を我が国としては派遣をいたしているわけです。  私は、中央アジア外交というのは非常に重要であると思っておりますので、最近、中央アジアの外務大臣と、何人かと東京でお会いをいたしております。一番最近ではキルギスタン、それからウズベキスタンあるいはカザフスタンといった、その外務大臣とお会いをいたしまして、中央アジアの外交についての議論もいたしております。  我が国は、この地域においては今まで手を汚していないといいますか、警戒をされない国であるということでして、ロシア、中国との関係ではこれらの国々はかなり過去いろいろな記憶がありますので、そういったことではなくて、日本がこの中央アジアの地域でそれなりの影響力を、貢献をしてくれるということについては非常に有り難いというような声も聞いております。また、先般イランに行きましたときにも、イランの外務大臣とこの中央アジアの話もしていますし、あとトルコ、パキスタンといった国もこの中央アジアとの関係では重要な国だと思っています。  いずれにしても、この地域については上海機構というのもございますし、ECOというのもありますし、CACOというのもありますし、そういったグループと我が国がどのような関係を持っていくか、あるいは我が国が独自にそれらの国々、この中央アジアの国々は実はそれぞれが人口が少なかったりしますので、全体としてまとまっていくということの手助けをしなければ独自に繁栄をしていくことがなかなか難しい部分もありますので、そういった観点からも支援ができるのではないかと思っています。  いずれにしても、地政学的にも、それからイスラムという観点からも重要な地域であるので、この地域についての重要性は政府としても既に認識をし、幾つかの行動も取っているということでございます。
  254. 高野博師

    ○高野博師君 中央アジアはいろんな問題抱えておりまして、例えば国境の紛争、国境の問題、あるいは独裁体制が存続しているとか、深刻な国内の経済格差があるとか、歴史的な反目があるとか、あるいは宗教の問題とか、いろんな問題がある。  そういう不安定なところだからこそ、これはこの論文によるんですが、アメリカは正にビジネスチャンスがあるというか、アメリカが入り込む余地があるということでありまして、この石油関連のメジャーがどんどん入っていく中に、むしろアメリカの軍事力というのが一体となってその中に入り込んでいる。あるいは、パイプラインの警備まで軍隊がやるような状況にあるということで、正に産軍の複合体が一体となってここに入り込んでいるというような状況。  日本はどうしたらいいのかと。それは簡単じゃないんですが、やはり一つの武器としては経済協力。経済協力という武器を使いながら、将来的に日本がこの辺、この地域から、この地域はもう中東に劣らない石油、天然ガス埋蔵量があると言われているわけですから、将来のことを考えたときに、日本としてきちんと戦略を練った上で、正に経済協力を武器にしながら入っていくということは非常に重要ではないかと思います。  何かコメントがあれば。
  255. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 我が国が世界の中で国際秩序の形成にリーダーシップを取っていく中で、この地域における我が国の関与ということは非常に重要であるという認識を持っております。具体的にいろいろな政策についての議論も内部ではやっておりますけれども、引き続き何ができるか、どういう政策が一番有効かという観点から考えを練っていきたいと思っております。
  256. 高野博師

    ○高野博師君 予定した質問は大体終わってしまったんですが、一つは、先ほど若干言及したんですが、戦争も民営化ということなんですね。これはどういうことかといいますと、この軍事産業、これはまあ昔から言われたんですが、今は兵隊の訓練から、正に輸送から、様々なことは今アメリカは民間でやらしているということで、正に戦争の民営化だと、こういう表現がされておりまして、したがって、こういう産業が大きくなればなるほど戦争をしたくなるというか、戦争をしなくちゃならぬという圧力が掛かってくるんではないか。  先ほどちょっと言いましたが、正にイラクには一万人のアメリカのビジネスマンが、関連企業の、入っているということで、そういう中で戦争といいますか、こういうものに対するこういう関連の圧力、あるいはチェイニー副大統領はかつてその関連企業のトップにいたというような状況もありまして、私はこういうことについては大変懸念を持っておりますが、総理外務大臣、あっ、防衛庁長官にコメントをいただいて終わりたいと思いますが。
  257. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ごめんなさい、コメントなんかで恐縮ですが。  先ほど委員が国益の話をなさいました。私は、あのお話聞きながら、アメリカにしてもイギリスにしてもフランスにしてもそうですが、パワープロジェクションということを常に考えているのではないかと思います。パワープロジェクションというのを考える国と考えない国とでは、やはり国益の概念というのは異なってくるのではないだろうかというような感じを持っております。  もう一つは、今の石油のお話でございますが、結局、一バレル当たり幾らなんだろうという、そこはいろんな議論になってくるのだろうと思います。つまり、ロシアで出る石油は一体一バレル幾らで出るのか、じゃイラクはどうなのか、サウジはどうなのか、北海油田はどうなのか、これから先どれぐらいそれがもつのかというようなお話がございまして、私はすべてがビジネスだとは思いません。すべてがビジネスで、チェイニーがこうであるからということは、洞察力の深い委員のことですからそれがすなわちそうだというふうにおっしゃっておられないこともよく分かります。ただ、そういうものがいろいろと複合してくるのだろうなということは考えております。  ただ、同時に、アメリカ合衆国の場合には、正義のない、先ほど来、戦争の大義論がございますけれども、その大義のない戦争というものは続かないし、アメリカの青年の血を無為に流すということは絶対にないのだということは、私は、アメリカ合衆国というのは健全なそういうバランスは働いているのではないだろうか、すべて欲と金で動いているとも思えないというふうに思っておりまして、私が考えておりますのは、その石油一バレル幾らということをきちんと頭に入れておく必要があるのだろうなという感じは持っておるところでございます。
  258. 高野博師

    ○高野博師君 正にそういうビジネスだけで、あるいは利権だけで動いているとは思っていません。アメリカが正に自由とか民主主義という、そういう価値観に基づいて行動しているということも私は理解しているつもりであります。  時間ですので終わります。
  259. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 総理、我が党のテロに対する態度はこれまでもう何十回も明らかにしてきております。テロを絶滅することは、今日、人類史的な課題だということを言ってきております。どうしてなくすかと、この問題についての意見はあるかもしれませんけれども、テロについての我々の態度ははっきりしているということをまず申し上げます。  同じように、イラクのフセイン政権に対する我々の態度も明白であります。フセイン政権は、人権抑圧政権であり、また総理もおっしゃる大量兵器問題などでの国連決議に対して積極的な対応を示さない、そういう点でも我々はこれを厳しく批判してきました。しかし、この問題、例えば大量破壊兵器での問題でも、その疑惑をどうしたら解決できるかということで国際的な様々の意見があるわけです。  私は総理にお伺いします。大量破壊兵器の疑惑があれば武力攻撃をしてもよいというのが総理の判断ですか。
  260. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国連決議を誠実に履行するというのがイラクの私は義務だったと思います。
  261. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 誠実に実行しない場合には武力攻撃しても構わないという判断ですか。
  262. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 決議において、あらゆる深刻な事態を想定せよということを深刻に受け止めなかったということについて、イラクには誤算があったのではないかと思います。
  263. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 日本語通ずるでしょう。だったらね、もうちょっと質問に答えたらどうですか。今の答弁は、武力しても構わないということに、そうでないとおっしゃらないから、そうだというお考えだと私は取りますが、いいですか。
  264. 川口順子

    国務大臣川口順子君) どこの国に対しても、もし国連の決議に従わなかったら武力行使をするかというと、それはイラクの場合には武力行使容認決議があるということが違うわけです。北朝鮮、イスラエル云々どうして攻撃しないのかという御質問が別な委員からありましたけれども、イラクの場合には武力行使の容認決議がある、ほかの国に対してはないということが大きな違いだと思います。
  265. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それじゃその問題については、私は次に私のあれ述べますが、もう一つイラクの問題で総理にお伺いしておきたいと思います。  私は、昨年の七月二十五日、外交防衛委員会で、フセイン政権はイラク人民を抑圧し続けてきた独裁政権でありました。そのフセイン政権を打倒せよということを求める国連決議は何かあったのでしょうかと川口外務大臣に質問いたしました。川口外務大臣の答弁は、今までの国連決議の中で、安保理の決議の中にフセイン政権を打倒するというような決議はございませんという答弁でした。  もし総理でお答えできたら、この外務大臣の答弁、総理も同じだと言えるか、あるいは別にあるとおっしゃるのか、お答え願います。
  266. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 国連決議において武力行使、よろしいという決議はないと思いますね。あらゆる手段といいますか、直接的な武力行使容認でなくても、そのように読めるそういう決議は過去あったと思っております。
  267. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 これもまたフセイン政権打倒していいという決議があるかどうかということについての直接の答えになっていません。まあ、いずれにせよ、これは川口外務大臣に再答弁求めるまでもなく、速記録にきちっと残っていることですから、国連にはフセイン政権を打倒せよという安保理決議はないということで議論を進めていきたいと思います。  そうしますと、にもかかわらず、イラクに対するアメリカ、イギリス、米英軍などの武力攻撃が行われた。武力行使容認決議があるということです。確かにあります。それはしかし、九〇年十一月二十九日、決議六百七十八、十何年前のものでございます。古いから駄目だと、私はここで、議論も成り立ちますけれども、ここで私が言いたいと思うのは、その決議の後、重要な決議が国連安保理事会で行われていること、それについては一向に触れられない、正に不可解な答弁が続いております。  九一年四月三日、決議六百八十七号、これの最後、三十四項、これは停戦問題をめぐっての決議ですが、しかし、一連のこの決議の中で大量破壊兵器の問題を始めイラクに求めた、その上で最終的にはこの問題を検討していくこと及びこの決議の実施のために必要となる場合には新たな措置を講じること、並びにこの地域の平和と安全を確保することを決定すると、こう言っております。後返りするのではなく、九〇年、前の年の決議に後返りするのではなく、新たに解決する必要が生まれた場合には新たな決議を行うと、こう書いているんです。  ですから、その後もう一度、武力行使を認めるないしは支持する決議がなければ国連決議に沿って容認されているという論理は成り立ちません。私は、こういうことに触れない答弁というのは誠実な答弁でない、事実を曲げる答弁だと思います。  総理、どうですか。
  268. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) まあ共産党のそういう考え方は分かります。しかし、その六八七、六七八、それで一四四一、累次の国連決議というのもやっぱりどう考えるかということを判断すべきだと思っております。
  269. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 累次の決議で、九〇年の決議には武力行使容認決議です、の内容があります。翌年、新たな措置を取るときには新たな決議が必要だと、新たな決定が必要だと国連安保理決議が書いているわけです。それを飛び越えて過去にさかのぼって、そうしたらもう全然話になりませんよ。
  270. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今、決議六八七の主文の第三十四パラグラフについてお触れになりましたけれども、そこには、委員がおっしゃられましたように、本問題を引き続き検討し、本決議の履行並びに当該地域の平和及び安全の確保のために必要とされる場合には他の措置を取ることを決定するという規定がございます。  それで、このことは九八年当時の国会でも御説明をいたしているようですけれども、このパラグラフは、この問題の重要性にかんがみて、安保理として引き続きこの問題に強く関与をしていくという意図を表明したものであって、更なる措置を具体的にどのような形で決定をするかということについては規定をしていないわけです。したがいまして、このパラグラフによって武力行使のために新たな決議の採択が必要とされているわけではないというふうに考えております。  それから、先ほどおっしゃった、六八七が古いというお話についてですけれども、例えば決議の一四四一自体、これの中に六八七は引用をされているわけでございますし、したがって、六八七というのはきちんと生きているということであります。
  271. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 共産党の解釈だというふうに総理すぐ、我々が言うとおっしゃるんですが、日本政府のようなこの国連安保理決議についての解釈というのは世界では全く特異なものですよ。国際法学者でそういう解釈を取っている者はほとんどないんですよ。だから、私は国際法学者の書いた論文もここに持ってきておりますけれども、日本のような国連が一国の武力行使を今認めている決議があるなどというのはもう全くあり得ないというのが国際法学者の書いていることです。  そういう議論になりましたから私は申し上げます。こういう解釈で日本を思うままに進めていく、そういう世界でもほとんど孤立した理屈で日本の将来を決めるようなことはやめてほしいと思います。  それは、過去をさかのぼれば、日本は満州事変以来の戦争、あるいは国際連盟規約、不戦条約等の戦争違法化に進み出した世界の国際法の解釈を、全く日本独特の解釈で、あれは国際法違反でないということでやってきました。その誤りはもう明白になっております。今また、ほとんど日本の学者も国際法学者そろって、世界の各国も、第一、アナン国連事務総長が国連憲章の根本原則に対する挑戦だとさえ言っております。それは、核をめぐっても武力攻撃を許す決議もない、またフセイン政権打倒をめぐってもそのような決議はない、それは外務大臣も認めました。  国連というのは、そんな恣意的な解釈、恣意的な運用で国連憲章というのを解釈してはならないと思います。私は、国連憲章はそういう一国の判断でやらないように厳重なルールを第三十九条でも決めております。総理、世界各国が国連決議についてどういう解釈をしているか、よく勉強してもらいたいと思います。
  272. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 先ほどのその三つの決議、六七八、六八七、一四四一、これに基づいて武力行使が行われたという我が国が考えているその解釈につきましては、これはアメリカもイギリスも武力行使の後で国連大使からそれぞれ国連にそのような考え方を伝えているわけでございまして、我が国だけが世界の中で変わった考え方をしているわけでは全くないということでございます。  それから、そもそもその決議について言いますと、この解釈をするということはそれぞれの国が有権的に解釈をするということであるわけですから、我が国の考え方、これをアメリカ、イギリスも同じ考え方をしていると言いましたけれども、それは我が国としてそういう考え方をしている。それは国際的に通用をしている考え方、解釈。少なくとも幾つかの国、先ほど申し上げたようなことで考えている国はあるわけで、我が国だけが変わっているわけではないということです。  それから、委員が引用なさっていらっしゃいます、今までの国連決議の中に安保理のフセイン政権を打倒するという決議はないということを私確かに申し上げたわけですけれども、それの意味でございますけれども、これは確かに武力行使の結果としてフセイン政権が崩れた、崩壊をしたわけですけれども、これはフセイン政権が十二年間も関連の安保理決議違反を繰り返した上で、安保理決議一四四一によって与えられた最後の機会を生かそうとしなかったという中で、この政権の存続自体が関連安保理決議の履行の妨げになっていたと断ぜざるを得ないわけであります。このような意味において、今回の武力行使はイラクの武装解除等の義務の履行確保を目的とするものですけれども、その目的を実効的に達成するために必要な行動を取ったというふうに理解をいたしています。
  273. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 それはまた非常に重大な国連憲章についての解釈です。  で、確かにアメリカとイギリスは今おっしゃったような解釈をしています。それは挙げることができるのは、実際に武力行使やったアメリカとイギリス、二国しか紹介できない。去年の秋の国連総会だって、国連のアナン事務総長以下、多くの国が次々とこれを批判したんですよ。だから世界の中で、日本だけでない、日本だけだと私は言いません、しかしアメリカとイギリスしか例が挙げられない。  それから、政権の打倒が、打倒が、あのフセイン政権の独裁性があれば、また国連決議に従わなければ、打倒していいという解釈は成り立ちません。その行為、その国の評価によって制裁を一国が勝手に行うことはできないというのが国連憲章第三十九条できちっと規定されております。その国の評価を確定し、どういう対応をするか、二段階にわたる国連安保理の決議に沿って制裁措置なり、しかるべき対応が行われるというのが国連の……
  274. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 時間がなくなりました。
  275. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 はい。解釈であるということですね。  それで、人権抑圧国家だからこれを転覆することに一定の正当性があるような立場に立つなら、これは国連憲章の根本的なじゅうりんだということを申し上げて……
  276. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 時間がなくなりました。
  277. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 質問を終わります。
  278. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 先ほどに続いて質問させていただきます。  同僚委員の齋藤さんからも質問がございましたけれども、先日の本会議で川口外務大臣は、イラクにおける非戦闘員の犠牲者の数を質問されまして、部分的には把握しているけれども全体像はつかめないという趣旨の御発言がありまして、私も若干首をかしげたわけでございますが、先ほど御説明がありましたので繰り返しませんが。  イラク人道復興支援をするとおっしゃるのであれば、そのイラクの民衆が、国民がどのような被害を受けてどういうことを一番求めているのかと。先ほど懸念が示されました劣化ウラン弾の問題なんかも、いろんな資料に大変危険だということが書かれているわけなんですね。ですから、そういうことについては外務省はきちっと情報を集めるというのは、私はこれはごく当たり前のことだと思うんですが、その辺については、努力されているけれども情報がつかめないのか、それともそういう情報をつかもうとする制度とか何かは何もないということなのですか。そこをお聞かせください。
  279. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 我が国は、イラク国民がどのようなニーズを持っているかということについて、これは国連機関あるいは世銀の調査もありますし、それから我が国が独自に把握をしている情報というのもありますけれども、今そのイラクの中で、外交官の安全について問題がある中で懸命の努力をして把握に努めているということでございます。
  280. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今の国連とかそういう機関は、全く民間人の死傷者の数とかそういう、あるいは劣化ウラン弾の問題とかということについては触れていないんですか。
  281. 川口順子

    国務大臣川口順子君) 今のイラクの国情の中できちんとした民間人の死傷者についての統計を取るということは、非常に難しいことであるというふうに考えております。したがいまして、公式な統計はないというのは先ほど申し上げたとおりです。  翻って考えてみると、そういった我が国は東京都の例えば交通事故の死者数というのを毎日出していますけれども、いろいろな形できちんと統計が取れるということ自体は、実はその国の成熟度を表すという意味では大変なことであるというふうに私は思います。  それから、劣化ウラン弾については、これは国際機関の調査がありまして、UNEPとかWHOとかいろいろあるわけでございます。そういった調査についてまだ確定的な結果が出ているわけではないというふうに考えておりますので、引き続き調査については注視をしていきたいというのが我が国の考え方です。
  282. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 テロへの対応の仕方についてはいろいろな考え方が示されておりますが、端的に伺います。総理は軍事力でテロを撲滅できるとお考えですか。  なぜこういう質問をするかといいますと、実はついせんだってマクナマラ米元国防長官が「戦争の霧」というドキュメンタリー映画に出演して、この映画で最も訴えたかったのはどういうことかというふうに聞かれましたら、二十世紀に起きたことをしっかり見詰めてほしいと。我々人類は内戦や戦争でこの世紀に一億六千万人の命を奪った、二十一世紀に我々に課されているのは二十世紀の悲劇をいかに繰り返さないかということだと述べています。また、ベトナム戦争を含む米国の武力介入についての質問に対しては、米国は全知全能ではないのだから一方的に武力行使をするべきではない、二十世紀の教訓の一つだと答えておりますが、総理は武力でもってテロを撲滅できるとお考えでしょうか。
  283. 小泉純一郎

    内閣総理大臣小泉純一郎君) 武力でもって平和を維持できるというものでもないし、警察力だけで治安が回復させられるでもないと。やはり人間自身の自制心といいますか、国の在り方、総合的にやっぱり平和というものは考えていかなきゃならないと。軍事力の限界というのは過去の歴史が証明しているんだと私は認識しております。
  284. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。
  285. 山本正和

    山本正和君 最後でございますので、もうしばらく御辛抱願います。  先ほども申し上げたんですけれども、やっぱり今一番不幸な問題というのは、いずれにしても、現実に、場合によっては命が懸かるという仕事をしておられるイラクにもう既に行っている自衛隊皆さんですね、この人たちに対して、やっぱり我が国としてはこれをどういうふうに支えるかと、そこが、国論が何ぼ言ってもまだ二つに割れていると、これぐらい不幸なこと私はないと思うんですね。その、一体、経過にはいろんな理屈があると思うんです。しかし、今しなきゃいけないことは、我が国の政府が今まで何を言ってきたかと、国会においてどういう答弁をしてきたかと、自衛隊の位置付けはどうであったかということを明確に示すと、もう一遍。そして、国民皆さんに、今日、こういうふうになっていますと、この中で何とか御支持をお願いしますというのを言うのが政府の立場だろうというふうに私は思うんです、そこのところをね。おまえさんたちと考え方が違うということじゃないんです。考え方の違う人に理解をしてほしいというのが政府の立場だと私は思うんですね。そういう意味での審議が決して十分じゃなかったということが私は今日一番不幸な気がしてならないんです。  そこで、この前からテレビで時々、宮澤元総理あるいは中曽根総理が出ていろんな話をされます。私も随分古い自民党皆さん知っているんです。木村さんが外務大臣になって、初めてアフリカ外交をやったんですね。そのとき私に、山本君と言っていろいろ話をしてくれたことがありました。我が国の歴代の内閣あるいは外務大臣総理大臣がいろんなことで外国とのいろんな折衝をしてこられたんですね。その中で、我が国の自衛隊をどう位置付けるかという話もずっとしておられる。  今度、宮澤さんがこのテレビで答えて何と言われたかと。アメリカから済まぬけれども自衛隊出してくれと言われたらどうすると。私は断りますよと彼は言ったんですよ、テレビでね。どうしても今の立場でできませんと断ると。じゃ、なぜ宮澤さんがそういうことを言うんですかと、国民が不思議に思うのは当たり前なんですよね。現在は何ぼ言っても自民党が与党第一党の政治なんですよ。その政治の中で自民党の元長老がそういうことを言っておられる。本当にいいんですかと、こういうふうになるのは当たり前です。  ところが、私は実は宮澤さんとは最初の大蔵大臣、それから総理大臣、また大蔵大臣、いつもこの場でやり合いしたんです、いろいろと。私は最後の質問を覚えているんです、今でも。ひょっとしたら宮澤さん、これでこの席上での二人の質疑は終わりかもしれませんねと。私は宮澤さんという政治家を個人としても本当に尊敬していますよと申し上げた。いろんなことがあったですから、あの人も。  そういうことが思えば思うほど、今やっぱり政府がやるべきことは、国民に対して、過去において自衛隊をこう位置付けてきましたと、海外派兵の問題はこういうことを言ってきましたと、それについての解釈はこうですということをもっと分かりやすくきちんと説明していただくこと。そして、それについて国民が堂々と討論ができること、議論ができること。総理が言っておられた、学校でやったらいいじゃないかと。私も大賛成です。学校でもどうぞそういうのを教材にしてやれば、高校生であれば少なくとも政治的な教養も付くんですよね。そういう意味での問題提起というものがまだもっともっと政府の方からなされるべきだということを私は思います。  ですから、これはあした六十分ぐらいありますから、ひとつこれは防衛庁長官外務大臣はしっかりと、私はそういう形で質問をいたしますから、今日十分に勉強しておいていただきたい。  総理には、政治論でまだいろいろやりたいんですけれども、今日はこの程度で終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  286. 清水達雄

    委員長清水達雄君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後六時九分散会