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樽井分科員 それにしても、例えばアメリカの例もありますが、私の
所見では、まだまだ
IT革命というのは序の口の
段階だと思っております。実際に、ムーアの法則というのがありまして、十八カ月から二十四カ月の間にマイクロプロセッサーが倍々ゲームでだんだんと性能が倍増してくる、こういった法則があります。このまま進展していくとどういうことになるのか。
例えば、現在のチェスの
世界チャンピオンというのはどなたか、こういったことの中で、実は一九九七年にはカスパロフさんがIBMのコンピューターのディープブルーというプログラムにチェスの
世界チャンピオンの座を奪われているんです。実際にいろいろなプログラマーに聞いてみますと、お金を惜しまずにぐっと研究していけば、五年もたてば将棋でも例えば羽生さんにすら勝てるような、そんなプログラムをつくれるんだと。
このままの状態でプロセッサーも伸びていく、そしてプログラムの技術も伸びていく、こういったことになりますと、本当に、
仕事の面において人間でしか今までなし得なかった、できなかった労働というものをだんだんコンピューターがとっていく、こういったことが容易に想像できるわけです。それもそんなに長いスパンで
考えた場合ではありません。二十年後とか五十年後を
考えたら、もはや、この計算の結果で見ますと、普通の経理であるとかそういった
仕事もコンピューターが代替する方が人間よりも効率的でありしかも正確だ、そういったデータも出ています。
こういった中で、ちょっとこじつけにもなりますが、では二十年後、五十年後に、どういった
産業、どういった部分においてだと人間がコンピューターに優位性をずっとかち取って維持することができるのか、こういった問いがなされると思いますが、物理学者が研究した成果によりますと、これは実はエンターテインメントだというんです。人間をどうやったら楽しませるんだろうか、感動さすことができるんだろうか、何を見て人は涙を流すのか、こういったことについては、コンピューターは無生物でありますから、やはり人間のそういった感性の部分には立ち入ることができない、そういったことになっているわけであります。
そんな中で、これから先、
日本の
産業として、こういった感性の部分、エンターテインメントの部分なんですが、今言われております
コンテンツ産業、知財という部分なんですが、例えばアニメーションなんかでは、アメリカの売り上げでいえば鉄鋼の輸出の三倍以上の売り上げが今出てきている。
こういった中で、二十一世紀の国家戦略として、音楽であるとかアニメであるとかあるいは映画やコミック、こういった
コンテンツ産業、私は、いろいろネットワークが進んでいけばさらにもっと必要になってくると思うんですが、こういった
産業の競争力を高めるということも大事だと思うんです。そういった
政策を実行していくのかどうなのか、まずお答えください。