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中村(哲)
分科員 私が今の
質問で申し上げたのは、政策目的と合致するのかというお話なんですね。先ほどおっしゃったように、円借款の場合に、途上国に対する貸し付けですから、これはまさに
大臣がおっしゃったように、国と個人は違うんですよね。国はある程度為替リスクを負える体力もありますから、そして政策目的も、そういった国同士の貸し付けということで整理をされるわけです。しかし、このドミニカの移住者の人
たちに対しては、移住者の定着、安定というのが政策目的でありますから、それに合うような形で貸し付けをしなくてはいけないというふうに私は申しておるわけでございます。
だから、確かに、返済をしている人もいらっしゃる、その公平性を考えれば問題はないじゃないか、ドル建てで問題はないんじゃないかとおっしゃるんですけれ
ども、逆に、ペソ建てにしても、返す、返さないということとは次元の違う話だとも言えるわけですよね。だから、そこは、返す、返さないと、ペソ建て、ドル建てというのは、必ずしも
関係しないと言えると思います。
それから、より深い問題としては、先ほどモラルハザードのお話がありましたけれ
ども、返済がもうできない、返す意思はあるんだけれ
ども、膨大な金額になり過ぎて、到底返すことができない。私は、この返したいんだけれ
ども返す意欲を失ってしまっている人
たち、そういった人
たちに、ある程度返せるような、そういったスキームをきちんと組んであげることも必要だと思うんですね。
少し具体的な
質問をさせていただきたいと思います。
ここは、JICAに当初聞いたときに、そんなことはしていないというふうにおっしゃったんですけれ
ども、借りかえの
実態があるんじゃないかということについて、今
調査をしていただいております。まだ、きょう現時点で余り目立った答えは出ていないんですけれ
ども、先週末に初めてこういった表が出てきました。「既往債権元本完済日と新規貸付実行日が同日の債権一覧表」、これで、四十件の今既往の債権の表をいただきました。これは、旧債権の元本が完済された日と、新しく貸し付け、同一の人に貸し付けた新しい債権の貸付日が同じものが四十件あったということなんですね。
これに関しては、
外務省の側からすれば、新しい貸し付けであり借りかえではありませんというふうにおっしゃるんですけれ
ども、移住者の皆さんからお話を聞くと、
実態的には新しい契約を結ばされて、そして返済をさせられているというか、することになってしまっている、そういったお話があるわけでございます。
だから、そういったことも考えると、どうにかして、目先は返している、また、借りかえをしている、債務がなくなっているという
状況ではなく、きちんと移住者の人
たちが返せるような
状況をつくるということが私は重要なんだというふうに感じております。
そこで、
大臣に
お尋ねをさせていただきたいと思うのですけれ
ども、今、
大臣がおっしゃったこと、私も理解できるんです。ペソ建てで借りて、物価が上昇する。その中で、相対的にペソ建てで、低い金利で借りていれば、本当に払わなくていいわけで、実質的にはすごく目減りされてしまうんですから、そういった御主張も理解はできるんです。
しかしながら、ここで考えなくてはいけないのは、途上国において為替が大きく変動するというのは、物価だけではないわけですね。ドミニカの場合、
現地に行ってきてお聞きしてきたら、金融危機があったと。その中で、大きく為替が下がってしまった、通貨が下がってしまっているということもある。また、急激に物価がそれに伴っても上がるわけなんですけれ
ども、物価が上がっても自分
たちが売るものの、生産物の価格がそれに伴って上がっているのか、また、給料がそういったペースで物価の上昇とともに上がっているのかということを考えると、物価の上昇までに、支払いの能力がそれに伴って上がっていないという現状もあるわけです。
だから、川口
外務大臣がおっしゃることも一理あるんですけれ
ども、それは、借りている人の層の給料の上昇がどれぐらいあったのか、また、貸し付けられている農家の皆さんが生産するそういった農作物、それの価格がどれぐらい上がっているのか、そういったことを基準にしていただいて既存債権の整理をしていただくということが、政策目的からして必要なことではないかと私は考えるわけですが、いかがでしょうか。