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松原委員 これは極めて当たり前といえば当たり前ですが、大事であって、
小泉総理が、今日に至るまでの
北朝鮮の対応に対して不快感を持っている、簡単に言えば。不快感を持っているということを、こうやって国会の中できちっとおっしゃっていただくことは、私はメッセージとして大事だろうと思っております。
しかしながら、昨今の議論を見ておれば、
北朝鮮側は
北朝鮮側の原理原則論を繰り返し主張していることは、この今の
委員会で議論になったとおりであります。つまりは、五人の拉致被害者を返せということを彼らは言ってきた。この問題については、約束はしていないけれども調整はあったという、先ほど川口
大臣の答弁があったわけであります。
さらには、今回の六
者会議においても、いわゆる根本的には
解決はしている、根本的には
解決をしているけれども、後続のまだまだ未
解決の問題があると。こういう、国語としてはどう理解していいのかわからない、言葉の遊びとは言いませんが、言葉としてどうやってそれを理解していいのかわからないさまざまなやりとりが
北朝鮮との間で行われている。そして、そのやりとりの中で時間ばかりがむなしく去っていっている。
私は、家族を拉致された被害者家族の皆さんにしても、いたたまれない気持ちでこのやりとりを見ているんだと思っております。
冒頭申し上げたいことは、
小泉総理が、
北朝鮮の今日に至る間の対応に対して、不誠実である、幾ばくか不快である、不満であるということを今この場でおっしゃった。それを、では具体的に、
日本の国の最高指揮官として、どのように外交でやるかということが問われるわけであります。
実は、今回のさまざまな議論で、水かけ論みたいな議論が
北朝鮮と行われている。私は、その原因は、残念ながら、
小泉総理が一昨年行った
日朝平壌宣言の中にその萌芽があるのではないかという気がしてなりません。
この
日朝平壌宣言は、特に第二項では、「
日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。」こういった文言が書かれております。また、「双方は、
日本側が朝鮮民主主義人民共和国側に対して、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、」また「長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施し、」というふうな文言が書かれている。明快に我々は、この部分ではおわびということを、反省ということを言っている。
しかるに、拉致の問題については、第三条において、「双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。また、
日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題」、これが恐らく拉致の問題だというふうに我々は認識しているわけでありますが、こういう非常に抽象的な表現しかとられていない。そして、これが、こういった問題について、「朝鮮民主主義人民共和国側は、
日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題」、遺憾という表現は使っておりますが、遺憾という問題で終わっている。
結局、拉致問題は、大変な狂乱怒濤の事実を我々に明らかにしたにもかかわらず、そのことをこの
日朝平壌宣言では一言も触れていなかった。
この
日朝平壌宣言の評価でありますが、このことを一言も触れていなかった
日朝平壌宣言について、そのときの当事者として、総理はどんなふうな印象と、この拉致の事実を書き込むべきことは要求したんですか。