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前原委員 民主党の
前原でございます。
午前中の残りとそして午後から約一時間、主に
総理に質問をさせていただきたいと思います。
まずは
イラクの問題について質問をさせていただきたいと思いますが、改めまして、昨年亡くなられました奥
大使、また井ノ上一等書記官に対しまして、心から御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
また、立場は違いますけれども、
イラク、
中東に
派遣をされている
自衛隊の
皆さん方が無事に職務を全うして帰ってこられることを、我が党としても心から祈念をしているということも、改めて国民の
皆さん方に対して申し上げたいというふうに思います。
まず、
総理に聞いていただきたいんですが、我が党の
イラクに対するスタンスというものについて少しお話をし、そして大きな
観点からきょうはちょっと議論をさせていただきたいというふうに思います。
我々は、アメリカ、イギリスなどによる
イラクへの攻撃そのものに対して反対でありました。それは幾つか理由がありますけれども、
国連決議、これは見解の相違だと
総理がよくおっしゃいますけれども、一四四一という
国連決議そのものが
イラクへの攻撃を認めていない、あるいは、
湾岸戦争のときの古い
国連決議を持ち出して、そしてそれを用いて
イラク戦争の正当化を行ったということに対しては、我々はくみしないと。
ちょうど一年ぐらい前になりますけれども、まだ
イラク戦争が行われる前に、私もアメリカに行っていろいろな高官の方とも話をいたしましたけれども、そのころは、
国連決議の六七八、六八七なんという議論はなかったんですね。そのときやったのはむしろ、
イラクというのはそもそも危険な国家で、そして、ブッシュ・ドクトリンに基づいて、ああいう国はなくさなきゃいけないんだという議論が活発に
政府の中で行われてきた。
私は、言ってみれば、六七八、六八七という
国連決議はまさに後づけの議論であって、そもそもブッシュ・ドクトリンという先制攻撃戦略に基づいての
イラク攻撃が行われたというふうに思っています。そういう
意味からも、我々としては、あの戦争に正当性はなかった。
それから、大量破壊兵器の問題が言われています。
これは後で質問をさせていただきたい、あるいは同僚から質問があるかもしれませんけれども、当時の
イラクへの査察団の団長であったCIAの特別顧問の方が、ケイさんという方ですか、その方が
辞任をされて、そして、そもそも自分自身は大量破壊兵器が存在するとは思っていないということを発表されました。これは
総理も御承知のことだと思います。言ってみれば、大量破壊兵器を持っている疑惑が高いから
イラクを攻撃するんだという正当性そのものがさらに脆弱になってきているというのは間違いがないことであります。
そして、戦争が行われました。そして、大義なき戦争を行ったと思われているアメリカ、イギリスが
CPAという形で今占領
統治をやっている。そして、その占領
統治に加担をすることが果たして、その大義なき戦争に加担をするということも含めて、
日本として本当にあるべき姿なのかどうなのか、そして
憲法上も疑義がないのかどうなのか、そういった点。
そして、あとは
自衛隊を
派遣する法定根拠となっている
イラク特別措置法。この
戦闘地域、非
戦闘地域、これも同僚議員が後で質問をされますけれども、我々は、フィクションである、今の
イラクでは当てはまらないと思っている、したがって法的にも今
自衛隊を
派遣することは妥当だと思わない、それが我が党のスタンス。しかし、それでとまっていては単なる批判勢力に終わってしまう。我々は、
イラク復興支援は必要だと
考えています。それに対しての対案も示してきました。そのことについて、少しこれから
総理と議論をさせていただきたいと思っています。
今まで
政府が行ってこられた
イラクへの
支援というのは、私の言い方、失礼かもしれません、お気にさわったら許していただきたいんですが、極めて局地的、そして対症療法。
外交を大きな
外交、小さな
外交に例えたら、小
外交、小さな
外交であって、大
外交を
日本はやっていない、そういう思いを私は強くしています。
一つは、
復興支援に対してお金を出した。これは相当なお金ですよね。アメリカに次いで大きなお金を出した。しかし、大きなお金を出したから大
外交とは言えない、戦略
外交とは言えない。それから、これも後で私が、もしくは同僚議員が質問されると思いますが、債権放棄の問題、パリ・クラブの枠組みの問題、これも債権放棄されるおつもりなんでしょう、ある程度は。それから、
自衛隊も出された。この三つのことを
政府としてやってこられたわけですね。
しかし、私どもは、
民主党は、今
日本に求められているのは、戦略
外交、大きな
外交ではないかというふうに思っているわけです。つまりは、どういったところに問題点が今あるのか、そのことについて、少し
総理と議論をさせていただきたいと思います。
つまりは、この
イラクの
復興支援というものに対して、今大きな問題が幾つかあります。
治安の問題、それから雇用の問題、それから政権移譲の問題、こういった大きな問題があって、まさに政権移譲というのは六月に行われようとしているわけですね。
私がまず申し上げたいのは、例えばこの政権移譲についても、
統治評議会そのものに疑義を示されている
イラク人というのは多いんですね。つまりは、
CPAが勝手に選んだ、あるいは自分たちの言うことを聞いてくれる人たちを中心に選んだ者だけで集めて、そして
イラクの将来を決める、その枠組みが果たして妥当なのかどうなのかということが一つあります。
それから、この
統治評議会とは別個に、
イラクの本当の今の勢力分布、例えばクルド、スンニ、シーア、そういったグループを代弁するような別の評議会をつくるべきだという話もあります。
また、
統治評議会を前提とした間接
選挙というものではなくて、やはり直接
選挙をやるべきだ、こういう話があって、私は、これからどんどんどんどん
イラクの情勢というのは混乱していくんじゃないか、そういう思いを持っているんですね。
総理に
伺いたい。
お金を出します。アメリカに次いでたくさん出した。債権放棄もします。できれば、どのぐらい用意をしているのかもお答えをいただきたい。
自衛隊も出します。
自衛隊も、トータルで多分千人規模を超えるんでしょう。しかし、
イラク全体、あるいは
中東和平のかぎを握る
イラクの今後のことを
考えれば、今の
日本の
外交というのは、局地戦、そして戦術
外交の域を出ていない。私はもっと大きな戦略
外交というものを行うべきだと思いますが、その点について、
総理のお
考えを聞かせていただきたいと思います。