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小泉俊明君
民主党の
小泉俊明です。
民主党・
無所属クラブを代表して、ただいま
議題となっております
信託業法案に関し、
質問をさせていただきます。(
拍手)
さて、
小泉総理は今月の四月二十六日で
就任満三年を迎えるわけでありますが、
政治と
行政は結果で判断されるのが鉄則であります。そこで、まず、
小泉総理の三年間を総括し、各
大臣がその結果をどう評価されるかを
お尋ねいたします。
小泉総理は、
改革なくして成長なし、官から民へ、
中央から
地方へということをスローガンに掲げてきました。しかし、表面上は
特殊法人の
民営化や
地方分権を進めるようなポーズをとりながら、現実には、
国民代表であります
国会議員や
政治の
権限がどんどん弱くなり、
官僚の
権限や統制がますます強まるという、民から官へ、
地方から
中央へという全く逆の結果になっているのが
小泉内閣の
実態であります。(
拍手)
改革という美名のもとに、むしろ
官僚の
権限が強化され、政から官へという、事実上憲法の定める
権力分立制をゆがめる結果になっている
小泉内閣の
危険性を、まず指摘させていただきたいと思います。(
拍手)
例えば、りそな
銀行や
足利銀行に対する
公的資金の注入をめぐり、
金融庁の
裁量によって、
片方は生かされ、
片方は
破綻をしたわけであります。特に
足利銀行に至りましては、たった一夜で
健全行が
破綻行になったのであります。
また、
産業再生機構においても、
民間企業の生き死にを最終的に官が
裁量により決めるなど、
民間の
銀行や
企業の
生殺与奪権を官が握るという、およそ
自由主義に反する異常な事態が起きているわけであります。
また、いわゆる
国民総
背番号制の導入により、官の
国民に対する
管理の強化が始まりました。さらには、財源の移譲なき、絵にかいただけの
地方分権、また、
官僚の天下りを禁止する
規定のない骨抜きの
特殊法人の
民営化案などを見れば、これは明らかであります。(
拍手)
この
経済の
現状や
実態を無視した
官僚主導による
小泉改革は、
経済や
国民生活を直撃し、まさに
死屍累々の結果を招いたわけであります。
まず、
経済の鏡と言われます
株価であります。
小泉総理の
就任当時、一万四千円あったものが、
平成十五年四月二十八日、七千六百七円とバブル後の最安値となり、四六%も下落をし、国富が百五十兆円も失われたと言われております。最近
株価が上昇したと言いながらも、本日も一万二千円と、いまだに、
就任当時より二千円も低いところで低迷を続けているわけであります。
この
株価の下落は、
経済の血液でありますお金を実体
経済に送り出す心臓に当たります
金融機関の経営を直撃しました。
小泉内閣のこの三年間だけでも、五十四行もの
金融機関が
破綻をしたわけであります。その結果、
企業倒産もこの三年間で約五万五千社、倒産による直接の失業だけでも五十七万人、家族を含めますと倒産被害は百五十万人にも上ります。
また、自殺者は、この三年間で九万人を超えるのは確実であります。実数は、この三倍の三十万人と言われています。
個人破産も、
平成十五年は史上最高の二十四万件を突破、この三年間で五十六万件を超えるのは確実な情勢であります。
就職内定率も、高校生が史上二番目に悪く、大学生は史上最悪であります。勤労者の実収入、可処分所得も六年連続で減少。犯罪は、一昨年二百八十五万件と、ここ五年間で四〇%も増加をしたわけであります。
この三年間の結果を見ると、
小泉改革の最大の成果は、景気の悪化、特に
地方都市の衰退と中小
企業の疲弊、そして犯罪の増加をもたらしたことにあったとしか言いようがないのであります。この
死屍累々たる現実を前に、私は、
小泉総理、そして全閣僚、そしてこれを支える与党の皆さんに猛反省を促すものであります。(
拍手)
このような三年間の
小泉内閣の惨たんたる結果をどのように評価されるのか、また、閣僚として責任を感じないのか、谷垣
大臣、
竹中大臣、中川
大臣に
お尋ねいたします。
次に、
小泉内閣の三年間を総括したとき、最大の失敗がここ三年間の金融政策であります。(
拍手)
そもそも、
小泉内閣が不良債権処理を強制的に推し進めてきたのは、不良債権を減らすことにより、
企業に対する貸し出しをふやし、実体
経済に
資金を回るようにするためだったはずであります。
確かに、主要行の不良債権残高は減ってきました。
平成十三年の二十七兆円、十四年の二十兆二千億円、十五年九月期の十七兆五千億と減少してきたわけであります。しかし、
公的資金を
金融機関に総額で三十七兆四千億円超も投入してきたにもかかわらず、
銀行の法人に対する貸出残高を見ますと、
小泉総理の
就任後、この三年弱で六十九兆五千億円も減少し、特に中小
企業に対する貸出残高は五十一兆円も減少をしてきているわけであります。
一方、
銀行の保有する国債保有残高を見ますと、二〇〇三年末で九十三兆八千六百億円と過去最高を記録しました。九八年末の三十兆円から、ここ五年間で三倍にもふえたわけであります。
結局、
金融機関は、巨額の
公的資金の注入を受けながら国債を買うだけの国債消化
銀行になっており、実体
経済に
資金が全く流れていないわけであります。(
拍手)
このような結果を招いたここ三年間の金融政策は、私は明らかな失敗だと思います。
竹中大臣はどのようにお考えでしょうか。また、
竹中大臣の責任を、
竹中大臣、感じませんか。
次に、
小泉内閣のこの三年間の最大の政策は、ここ十五カ月間で三十五兆円にも上る巨額のドル買い・円売り介入を実施したことであります。この国家予算の四三%にも上るこれほどの巨額のドル買い介入は必要だったのか。その是非について財務
大臣に
お尋ねいたします。
この史上空前のドル買い介入の
理由の一つが輸出産業の
保護にあったわけでありますが、輸出産業の年間輸出総額は約五十兆円と日本の年間GDPの一割にすぎず、三十五兆円という巨額
資金を投入した割には
経済への波及効が小さく、
経済合理性が乏しいと言わざるを得ません。同じ巨額
資金を使うなら、GDPの六〇%を占める
個人消費や五%を占める住宅投資を刺激するなど、
経済波及効が大きい
民間の内需
拡大に使う方がはるかに合理性があります。
また、過度のドル安は原油高などアメリカ国内のインフレと金利の高騰と株安を招くことから、巨額介入をしなくても極端な円高になるとは考えられず、現実的な
必要性は乏しいと言えます。
さらに、巨額介入のもう一つ大きな
理由が、米国債の購入によりアメリカの巨額な経常赤字の穴埋めをすることにあったわけであります。
しかし、短期間で余りに巨額な米国債の購入をしたために、米国からも脅威論が出るなど、アメリカのスノー財務長官やグリーンスパンFRB
議長からも批判を浴びる始末であります。あしたからのG7においても批判を受けるのは必至であります。しかし、このような批判は、秋のアメリカ大統領選挙を控え、当初から当然予想された事態であります。介入のやり方が余りにもお粗末と言わざるを得ません。
また、この巨額介入の原資は、財務省が発行する
政府短期証券を一たん日銀に引き受けさせるとともに、購入した米国債を日銀に十兆円も一時引き受けさせて調達しているわけであり、まさに自転車操業のような状態にあります。この結果、
政府の日銀に対する借金が三月末で十五兆円にも膨れ上がり、三月末が期限であります日銀との米国債の売り戻し期限を延長するなど、市場金利の上昇や日銀の財務の健全性を損なう
危険性が現実化してきたわけであります。
そもそも、こんな巨額な為替介入の
必要性も合理性もなかったのではないでしょうか。また、こんな巨額の介入を持続することは不可能なのではないですか。財務
大臣、
お尋ねいたします。
今まで述べてきましたように、
銀行の金融仲介機能も麻痺状態、また、景気を引っ張ってきました巨額な為替介入の持続性も
期待ができない、こんな中で、中小
企業やベンチャー
企業に、
銀行に頼らない
資金調達を可能とし、まさに
経済の血液に当たるお金を
企業に送る第二の心臓をつくろうというのが、今回、八十一年ぶりに抜本
改正されます
信託業法案であります。
すなわち、この
法案は、
信託可能な
財産の
範囲を、二十三兆円の市場規模を持つ特許権や著作権などの
知的財産権などにも広げることにより、大
企業ばかりでなく、中小
企業やベンチャー
企業にも多様な
資金調達の道を開くとともに、一般
企業の参入を可能とすることにより、
金融市場の活性化を図ろうという
法案であります。
この
法案の最大の問題は、この効果を十分発揮できる
環境を
整備できるか否かにかかっています。
この
法案では、
投資家の
保護と
信託会社の健全な運営の確保という
観点から、
金融庁に
監督、検査などの
権限を与えていますが、現在の
金融庁の人員や体制で対応できるのでしょうか。
竹中大臣に
お尋ねいたします。
次に、この
法案が十分に機能するためには、
投資家が育つか否かがポイントになります。この
知的財産権への投資
環境を整えるため、発生した損失や
資金調達を
目的とする権利譲渡など、これに関しては税制上の優遇
措置を検討するべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。谷垣
大臣と
竹中大臣に
お尋ねいたします。
また、この
法案が有効に機能するためには、日本製品の不正コピーが海外ではんらんし、技術が流失していることを防がなければなりません。アメリカでは、きのうの二十一日、ワシントンでの米中閣僚
会議で、中国に対し、WTOへの提訴も視野に入れた
知的財産権の
保護強化を要求しましたが、この点、日本はどのような
取り組みをするつもりなのか、中川
大臣、
お尋ねいたします。
さらに、この
法案の大きな課題は、
知的財産権の金銭的
価値の評価や将来の収益の見積もりが難しい点にあります。この点につき、どのような対策をお考えか、中川
大臣、
お尋ねいたします。
最後に、軍事力も資源もない日本の国にとりましては、
経済力だけが国力の源泉であります。そして、この
経済にとって一番大切なのは、
経済の血液であるお金が実体
経済を絶え間なく循環することであります。この流れがとまるとき、無数の
企業が倒れ、多数の
国民の生死に直結するのであります。