○梶原康弘君
民主党の梶原康弘です。
私は、
民主党・
無所属クラブを
代表して、ただいま
議題となりました
民主党提出の高
病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案及び
政府提出の
家畜伝染病予防法の一部を
改正する
法律案に対し、
質問いたします。(
拍手)
私は、兵庫県の丹波篠山の出身でございます。このたびの
鳥インフルエンザが
発生した
京都府丹波町とは隣接する
地域でありまして、
家畜伝染病予防法に基づく
移動制限区域三十キロ圏内に、篠山市はもちろん、いわゆる丹波地方がほぼすっぽりとおさまってしまいました。この
地域には三十九軒の養鶏業者があり、鶏の飼育数は約三十二万羽、一部大
規模業者はありますけれども、その大半は小
規模の
農家であります。
そして、この
移動制限の一カ月余りの間、この区域では、約三十二万羽の鶏がえさを食べ続け、毎日二十三万個の卵を産み続け、移動することも出荷することもできず、保管場所もないまま、毎日毎日積み上がっていった。
もちろん、
売り上げはありません。養鶏業者は、毎日のえさ代の捻出に苦しみ、また、毎朝鶏舎へ行くたびに、もしや、うちの鶏が
鳥インフルエンザに
感染して死んでしまうのではないか、生きた心地がしなかった、そう言って、嘆いております。彼らがどれほど不安な毎日を送ってきたのか、
政府・
与党の
皆さんは認識をいただいているのでありましょうか。(
拍手)
これは、国がリーダーシップをとることなく、第一義的な
責任を県に任せ、後手後手の
対策しか打ち出してこなかった
政府・
与党の
責任であることは間違いがありません。
政府・
与党の猛省を促すものであります。(
拍手)
まず、
民主党提案の高
病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案の
基本的な
考え方についてお伺いをいたします。
現在、
日本の
農業は、
農家がみずからの農地を生かし、自然の恵みとして豊かな
農産物を生産し、それが
自分たちの生命や健康を維持しているという最も
基本的な理念さえ見失わざるを得ないような
状況になっているのではないか。休耕田はふえ続け、食料
自給率は、先進国で最低の四〇%余りなのであります。一方で、農薬漬けの輸入
農産物が食卓に満ち満ちている。
これまでの
政府・自民党の農政がいかに
農業をないがしろにしてきたのか、如実に物語っているではありませんか。(
拍手)
鳥インフルエンザという伝染病がヨーロッパで猛威を振るい、何と五千万羽の鶏が処分されました。また、昨年来、東南アジアなどで
発生し、人の
感染と死亡例まで報じられておりましたけれども、だれよりも情報を得る立場にありながら、そして行政
責任のある立場でありながら、
政府、農林水産省、厚生労働省は、十分な
対策を全くとらなかったと言っても過言ではありません。(
拍手)
子供が風邪を引いて、慌てて薬局へ薬を買いに行く、そんな話ではないわけであります。
鳥インフルエンザが
蔓延すればどういうことになったのか、わからなかったというのでしょうか。
日本だけは大丈夫だと思っていたんでしょうか。まさしく、
政府・
与党の無策としか言いようがありません。(
拍手)
過日、
家畜伝染病予防法の
届け出義務違反で、浅田農産社長らが逮捕されました。その
責任は極めて重く、罪は罰せられるべきでありますけれども、すべて浅田農産に
責任を押しつけられるものか、決してそれでは済まされません。
政府の補償が十分でなく、
鳥インフルエンザに
感染していることが判明すれば
経営が破綻しかねない、だから隠してしまったと言えるのではないか。
これら問題を解決するべく、
民主党は、高
病原性鳥インフルエンザ対策緊急措置法案を
提出いたしました。また、遅まきながら、
政府も
家畜伝染病予防法の
改正案を
提出しましたが、
政府案では、これまでの
政府・
与党の失政に対する反省が一切ありません。
詳しくは後で述べますけれども、
政府案は、今回、食鳥検査
制度が全く
機能せず、
感染鶏肉が流出してしまったこと、その
対策がありません。また、
制限区域内の鶏卵、鶏肉に対する価格補償も、全く
実態を反映しておりません。さらに、
感染家禽等の
早期発見のための
措置が不十分である。全く問題のある
内容でございます。
これに対し、
民主党提出の緊急
措置法案は、
政府提出の
改正案で不十分な点についても十分
対策がとられていると思っております。
そこで、
民主党提案者に、立法の
基本的な
考え方についてお伺いをいたします。
次に、危機管理
対策についてお伺いをいたします。
山口県に端を発した
鳥インフルエンザの
発生の後、大分県に引き続き、
京都府で二カ所の農場と大阪府のカラスが
感染をいたしました。ヨーロッパでの
蔓延に例を見るまでもなく、広域的に
感染が拡大しています。
京都府で
発生した
鳥インフルエンザは、兵庫県にも大きな
影響を与え、
発生農場から出荷された鶏肉や鶏卵は、東は新潟県から西は島根県にも販売されたわけであります。
確かに、地方分権が進められようとしておりますが、
鳥インフルエンザのような伝染病は、
都道府県の域を越えるものであります。こうした案件には、国がしっかりとしたリーダーシップを発揮し、万全の
対策をとるべきであります。(
拍手)
ところが、
京都府での
発生に際しても、原則は
京都府に任せていたため、周辺の県との連絡が後手後手になり、結果として、兵庫県にまで大きな被害が及んだわけであります。しかし、
政府は、これらの
状況を見ても、一元的な指揮をとることもなく、お茶を濁す程度に省庁間の連絡
会議で
対応し、ようやく関係閣僚
会議を設置するにすぎませんでした。
なぜ、
政府は、
対策本部を設置せず、統一的な
対策をとらなかったのか、
農林水産大臣にお伺いをいたします。
また、
民主党案では、内閣府に
対策本部を設置することとしていますが、この必要性について、
民主党提案者にお伺いをいたします。(
拍手)
次に、
感染家禽等の
早期発見のための
措置について伺います。
鳥インフルエンザの
発生を完全に阻止することは、確かに困難であります。そのため、
鳥インフルエンザが疑われる事例が
発生した場合には、
早期に
届け出をすることが必要であります。しかし、
政府案では、周知徹底を図るとか、
届け出義務に
違反した
所有者に対する
罰則を
強化するなど、小手先の
措置に終始しております。
これに対し、
民主党案では、
感染した場合もしくは
感染のおそれがある場合についても
届け出を義務づける
内容となっております。この必要性について、提案者に伺います。
次に、
損失補てんのあり方について伺います。
政府は、今回の
改正案
並びに緊急
対策により、
発生農家や
移動制限命令により
損失を受けた
農家等に対し補てんすることとしていますが、これは
全額補てんされるわけではありません。しかも、
移動制限を受けた
農家に対する
助成については、
都道府県が
助成する場合には国はその二分の一を
助成するという
内容になっております。
そもそも、国の定めにより、国の法律により、
感染家禽等の焼却処分や
移動制限を命じているわけでありますから、それに伴う
損失については、当然、国が
全額補償すべきであります。
また、風評被害を受けた加工流通業者、外食
事業者に対しては、
政府は低利融資をするとしているだけでありますが、事の重大性にかんがみ、
損失額については無担保無利子の融資を実施するべきであります。
このように、
政府案には根本的な問題があると思われますが、これらの点について
民主党案はどのような
対策をとっておられるのか、提案者に伺います。(
拍手)
日本の
農産物は、安い輸入品に押されて大変厳しい
状況にありますが、鶏卵の価格は安く、
自給率はほぼ一〇〇%であって、
農産物の優等生だと言われております。通常の卵はキロ当たり百五十円でありますが、
付加価値のついた鶏卵は、キロ当たり四百五十円とも五百円とも言われております。そうした鶏卵は、えさを選び、平飼いといって鶏舎内で運動をさせ、強い鶏を育てて
消費者に提供し、強い支持を得ているわけであります。
私は、一般的な価格の
農産物を生産することはもちろんでありますけれども、価格が高くとも、
消費者から支持される
付加価値の高い
農産物を生産することも、今の
日本の
農業にとっては大変必要なことではないか。
ところが、今回の
政府案、緊急
対策によれば、
感染家禽や鶏卵等の補償については、一般的な価格でしか補償しない、一般的な価格の鶏卵も鶏肉も、
付加価値のついた鶏卵も鶏肉も、同額になると言われております。これは
農家の
意欲を阻害するものであり、よい鶏卵、鶏肉を生産しようとする
農家を見殺しにするものであります。この点について、
農林水産大臣の
見解をお伺いいたします。
また、この補償問題について、
民主党案ではどのような
対策をとっているのか、提案者にお伺いをいたします。
今回、丹波町の養鶏農場から兵庫県八千代町の食鳥処理場へ約一万羽の生鳥が出荷され、解体処理された後に、約六百羽が
京都の小売店で販売されたり、大阪でラーメン店のスープになったわけであります。しかし、この問題は業者の
責任ではありません。
この
規模の食鳥処理場では、食鳥の解体作業を民間会社が単独で行うことはできません。そのために、食鳥処理会社は一羽三円の検査料を、厚生労働
大臣から指定を受けた食肉検査センターの検査員に支払い、今回の
ケースでも、該当する鳥の解体
現場に立ち会っていたわけであります。しかも、今回、該当の入荷の鶏肉に対して、死鳥が多いとして、食鳥処理会社の社員が疑問を呈しているにもかかわらず、検査員は問題がないと言って流出をさせたわけであります。
まさに、食鳥検査
制度が全く
機能していなかったわけで、
国民の食に対する
信頼を大きく損なうものであります。この点について、厚生労働
大臣の
見解をお伺いいたします。(
拍手)
最後に、一言申し上げます。
今日、残留農薬やさまざまな添加物、遺伝子組み換え食品、さらに流通段階での不当表示など、
国民の不安は募るばかりであります。今回の事例は、
政府・
与党に危機管理能力、
責任担当能力がないことが明らかになりました。
民主党は、食の安全に対する
国民の期待にこたえられるよう全力を尽くすことを表明して、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣亀井善之君
登壇〕