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2004-04-02 第159回国会 衆議院 本会議 第20号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十六年四月二日(金曜日)
—————————————
平成
十六年四月二日 午後一時 本
会議
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
行政事件訴訟法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
及び
質疑
午後一時三十二分
開議
河野洋平
1
○
議長
(
河野洋平
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
行政事件訴訟法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
河野洋平
2
○
議長
(
河野洋平
君) この際、
内閣提出
、
行政事件訴訟法
の一部を
改正
する
法律案
について、
趣旨
の
説明
を求めます。
法務大臣野沢太三
君。 〔
国務大臣野沢太三
君
登壇
〕
野沢太三
3
○
国務大臣
(
野沢太三
君)
行政事件訴訟法
の一部を
改正
する
法律案
について、その
趣旨
を御
説明
いたします。
現行
の
行政事件訴訟法
は、
昭和
三十七年に制定されたものでありますが、近年においては、
行政需要
の
増大
と
行政作用
の
多様化
に伴い、
行政
による
国民
の
利益調整
が一層
複雑多様化
するなどの
変化
が生じており、このような中で、
国民
の
権利利益
のより実効的な
救済手続
の
整備
を図る
必要性
が指摘されております。 この
法律案
は、このような近年における
変化
に対応し、
行政事件訴訟
について、
国民
の
権利利益
のより実効的な
救済手続
の
整備
を図る
観点
から、
国民
の
権利利益
の
救済範囲
の
拡大
を図り、
審理
の
充実
及び
促進
を図るとともに、これをより利用しやすく、わかりやすくするための
仕組み
を
整備
し、さらに
本案判決
前における仮の
救済
の
制度
の
整備
を図ること等を
目的
とするものであります。 以下、
法律案
の
内容
につきまして、その概要を御
説明
申し上げます。 第一に、
行政事件訴訟
による
国民
の
権利利益
の
救済範囲
の
拡大
を図ることとしております。 まず、
取り消し訴訟
の
原告適格
についての適切な
判断
が担保されるようにするため、
処分
または
裁決
の相手方以外の第三者について
原告適格
の
要件
である
法律
上の
利益
の
有無
を
判断
するに当たっては、
当該処分
または
裁決
の根拠となる
法令
の
規定
の文言のみによることなく、
当該法令
の
趣旨
及び
目的
並びに
当該処分
において考慮されるべき
利益
の
内容
及び
性質
を考慮するものとするなどの
事項
を定めることとしております。 また、
救済方法
を拡充するため、
抗告訴訟
の新たな
訴訟類型
として、義務づけの
訴え
及び
差し
とめの
訴え
を定め、これらの
訴え
についてその
要件等
を
規定
することとしております。 さらに、
当事者訴訟
としての
確認訴訟
の活用を図るため、
当事者訴訟
の定義の中に、公法上の
法律関係
に関する
確認
の
訴え
を例示として加えることとしております。 第二に、
審理
の
充実
及び
促進
を図るため、新たに、
裁判所
が、
釈明処分
として、
行政庁
に対し、
裁決
の記録または
処分
の理由を明らかにする資料の
提出
を求めることができる
制度
を設けることとしております。 第三に、
行政事件訴訟
をより利用しやすく、わかりやすくするための
仕組み
を
整備
することとしております。 具体的には、まず、
抗告訴訟
の
被告適格者
を
行政庁
から
行政庁
が所属する国または
公共団体
に改め、
被告適格
の
簡明化
を図ることとしております。 また、国を
被告
とする
抗告訴訟
について、
原告
の
普通裁判籍
の
所在地
を管轄する
高等裁判所
の
所在地
を管轄する地方
裁判所
にも
訴え
を提起することができることとして
管轄裁判所
を
拡大
するとともに、
取り消し訴訟
について、
処分
または
裁決
があったことを知った日から三カ月の
出訴期間
を六カ月に延長することとしております。 さらに、
取り消し訴訟
を提起することができる
処分
または
裁決
をする場合には、
当該処分
または
裁決
に係る
取り消し訴訟
の
出訴期間等
を書面で教示しなければならないものとしております。 第四に、
本案判決
前における仮の
救済
の
制度
の
整備
を図ることとしております。 まず、
執行停止
の
要件
については、
損害
の
性質
のみならず、
損害
の程度並びに
処分
の
内容
及び
性質
が適切に考慮されるようにするため、「回復の困難な
損害
」の
要件
を「重大な
損害
」に改めるとともに、重大な
損害
を生ずるか否かを
判断
するに当たっての
考慮事項
を定めることとしております。 また、新たに、仮の義務づけ及び仮の
差し
とめの
制度
を設けることとしております。 このほか、所要の
規定
の
整備
を行うこととしております。 以上が、この
法律案
の
趣旨
でございます。(
拍手
)
————◇—————
行政事件訴訟法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
)の
趣旨説明
に対する
質疑
河野洋平
4
○
議長
(
河野洋平
君) ただいまの
趣旨
の
説明
に対して
質疑
の通告があります。順次これを許します。
北川知克
君。 〔
北川知克
君
登壇
〕
北川知克
5
○
北川知克
君
自由民主党
の
北川知克
です。 本日の
質問
を始める前に、一部の野党の欠席の中でこの大事な
質問
をしなければならないことをまことに残念に思います。(
拍手
) 私は、
自由民主党並び
に公明党を代表して、ただいま議題となりました
行政事件訴訟法
の一部を
改正
する
法律案
に対し、
野沢法務大臣
に
質問
をいたします。
法律
による
行政
の
原理
は、自由で民主的な
国家
を支える
基本原理
であります。違法な
行政
による
国民
の
権利利益
の侵害に対して、
司法
による
救済
が実効的にされなければなりません。
行政訴訟制度
は、
国民
の
権利
と自由を保障し、
法治国家
の理念を真に
国民
のものとするために、欠くことのできない基盤となるものであります。 また、私は、二十一
世紀
の初頭に当たり、
国民
と
行政
の
関係
を再構築していくことが必要であると考えます。
我が国
が
世界有数
の豊かな国となり、
国民
の
価値観
が
多様化
した今日、
我が国社会
は、自由と
自己責任
を基調としつつ、
国民
一人一人がこうした自由と
自己責任
を自覚しながら、その創意と個性を生かして伸び伸びと活動できる場でなければなりません。 他方で、
国民
が心豊かで
充実
した人生を送るために必要なものすべてを市場が供給できるものでもありません。
行政
の提供するサービス、
行政
によって実現されるべき公益の
重要性
はこれからも変わることはないと思います。
国民
と
行政
は、それぞれが一方だけではつくり出すことができない
価値
を共有し合う対等のパートナーシップを築いていかなければならないと考えるものであります。
小泉内閣
のもとで
構造改革
が進展し、
国民
と
行政
の
関係
が
変化
していくことに伴い、
行政
のあり方も
事前規制
型から
事後チェック
型に変わりつつあります。しかし、
事後チェック
の
仕組み
のかなめである
行政訴訟制度
の
充実
が伴わなければ、
構造改革
、
司法制度改革
も画竜点睛を欠くものとなります。私は、
国民
一人一人が自律的でかつ
社会的責任
を負った主体であるという意識を根底に持ちながら
改革
が行われることで、二十一
世紀
の
国家
の展望が開かれるものと確信をいたします。 立法、
行政
、
司法
は、
我が国
における三権分立の
基本
であります。しかし、何事にも
過ち
がないとは言えません。「
過ち
を改めるにはばかることなかれ」とも申します。それぞれが最善を尽くしつつ、迅速かつ適切に
チェック
がなされ、
救済
される、相互の調和の中でしっかりと機能する
仕組み
が重要であります。それにより、
司法
と
行政
の
役割分担
がより明確になっていくと考えるものであります。本
法案
は、このような要請にこたえるものとして、ぜひとも成立をさせなければならないと考えるものであります。 そこで、このような点を踏まえつつ、
法務大臣
に、以下の点について
質問
をさせていただきます。 まず、
司法制度改革
の
意義
と、その中における
行政訴訟改革
の
位置づけ
について、
大臣
の御
所見
をお伺いいたします。 次に、
昭和
三十七年の制定以来、およそ四十年ぶりに行われる今回の
行政訴訟制度
の
改革
には極めて大きな
意義
があると考えますが、本
法案
による
行政訴訟制度改革
の
意義
をどのように考えておられるのか、
法務大臣
の御
所見
をお伺いいたします。 また、本
法案
の
内容
については、
国民
の
権利利益
の
救済範囲
の
拡大
と
審理
の
充実
・
促進
が重要な柱とされ、間口を広くし、より迅速な
権利救済
を図ろうとする
改革
であると考えます。 そこで、本
法案
において、義務づけ
訴訟
と
差し
とめ
訴訟
を法定し、
確認訴訟
を例示するなど、
国民
の
権利利益
の
救済範囲
の
拡大
を図ることとしたその
趣旨
と
意義
について、
法務大臣
にお伺いしたいと存じます。 以上の
質問
に対し、
国民
にわかりやすくお答えをしていただくよう切にお願いを申し上げまして、私の
質問
を終わります。ありがとうございました。(
拍手
) 〔
法務大臣野沢太三
君
登壇
〕
野沢太三
6
○
国務大臣
(
野沢太三
君)
北川議員
にお答えを申し上げます。 まず、
司法制度改革
の
意義
と
行政訴訟改革
の
位置づけ
について
お尋ね
がありました。
社会
の
複雑多様化
、
国際化等
がより一層進展する中で、
行政改革
を初めとする
社会経済
の
構造改革
を進め、明確なルールと
自己責任原則
に貫かれた
事後チェック
・
救済型社会
への転換を図り、自由かつ公正な
社会
を実現していくためには、その基礎となる
司法制度
を、新しい時代にふさわしく、
国民
にとってより身近なものとなるよう
改革
していくことが不可欠であります。 このような意味で、今般の
司法制度改革
は、歴史的にも極めて重要な
意義
を有する
改革
であると考えます。
行政訴訟制度
の
改革
は、このような
司法制度改革
の中において、
司法
の果たすべき
役割
が一層重要となることを踏まえ、
司法
と
行政
の
役割分担
の
観点
を踏まえつつ、
国民
の
権利利益
のより実効的な
救済手続
の
整備
を図るものであり、極めて重要な
意義
を有するものと考えます。 次に、
行政訴訟制度改革
の
意義
について
お尋ね
がありました。
現行
の
行政事件訴訟法
は、
昭和
三十七年に制定されたものであります。それから四十年余りを経て、
行政需要
の
増大
と
行政作用
の
多様化
に伴い、
行政
による
国民
の
利益調整
が一層
複雑多様化
するなどの
変化
が生じております。 今回の
行政事件訴訟法
の
改正案
は、このような
変化
に対応するため、
国民
の
権利利益
の
救済範囲
の
拡大
を図り、
審理
の
充実
及び
促進
を図るとともに、これをより利用しやすく、わかりやすくするための
仕組み
を
整備
し、さらに
本案判決
前における仮の
救済
の
制度
の
整備
を図ること等を
目的
とするものであります。 本
法案
は、このように総合的、多角的に
行政訴訟制度
の
改革
を実現しようとするものであり、
国民
の
権利利益
のより実効的な
救済手続
の
整備
を図るものとして、極めて重要な
意義
があるものと考えております。 次に、
国民
の
権利利益
の
救済範囲
の
拡大
を図る
趣旨
と
意義
について
お尋ね
がありました。 本
法案
においては、義務づけ
訴訟
と
差し
とめ
訴訟
を法定し、
確認訴訟
を例示しております。これらはいずれも、
行政需要
の
増大
と
行政作用
の
多様化
が進展する中で、
取り消し訴訟
など
現行法
の定める
訴訟類型
のみでは、
国民
の
権利利益
の十分な
救済
を図ることが困難な場合が生じていることから、
国民
と
行政
の多様な
関係
に応じたより実効的な
救済手続
の
整備
を図ろうとするものであります。 また、本
法案
では、このほかにも、
取り消し訴訟
の
原告適格
の
要件
について、
法律
上の
利益
の
有無
の
判断
に当たっての
考慮事項
を定めることにより、
裁判所
において
原告適格
についての
判断
が適切に行われることを担保しようとするなどの
改正
を行っております。 本
法案
は、このように
救済範囲
の
拡大
を図ること等により、
国民
の
権利利益
のより実効的な
救済手続
の
整備
に資する
意義
があるものと考えております。 以上です。(
拍手
)
—————————————
河野洋平
7
○
議長
(
河野洋平
君)
辻惠
君。
——辻惠
君は御
出席
がありません。 これにて
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
河野洋平
8
○
議長
(
河野洋平
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後一時四十九分散会
————◇—————
出席国務大臣
総務大臣
麻生 太郎君
法務大臣
野沢
太三
君
出席
副
大臣
法務副
大臣
実川 幸夫君