○泉(房)
委員 民主党の
泉房穂です。よろしくお願いします。ただいまより一時間質問させていただきます。
きょうのテーマは養育費の確保についてであります。
私自身、国
会議員になるときにどうしてもしたい仕事が二つありまして、一つが成年後見の問題、もう一つがこの養育費の確保の問題であります。弁護士をしておりまして、一つは、成年後見であれば、高齢者や障害者で判断能力のない方、みずから判断能力のほとんどない方の場合、もちろん物も言えません、そういった方々のために何かできないかという思い。そしてもう一つは、小さな
子供たちが、実際、親の事情によって離婚して、その結果、
生活に困って自分の進学とかいろいろなところで不利益をこうむっている、この物言えぬ
子供たちにとって何かできることがないか。この二つが、私が国
会議員に立候補した最も大きな理由の二つでありました。その一つのテーマを本日させていただくことは本当にありがたいと思っております。
法案との
関係では、いわゆる民訴法
改正との
関係では間接強制というテーマでありますが、私の感覚といたしましては、確かに間接強制自体が一定の効果をもたらすことは期待するものでありますが、本来、養育費の確保という問題は、そこの場面よりももっと違うところに大事な問題があるのではないかというふうに感じております。
本日、お手元の方に資料を配らせていただいております。二枚目を見ていただければいいわけですけれ
ども、二枚目の方に、現在の養育費の取り決め
状況などについての資料が配られています。
まず、前提として、今日の離婚の割合についてでありますが、これは御存じだと思いますが、統計によりますと、昨年度一年間、平成十五年度で、婚姻届を出した方は七十四万組、そして離婚届を出した方は二十八万四千組でありまして、単純に割合を出しますと三割八分であります。冗談めかして言ってはいけないのですけれ
ども、例えばイチローの打率のような高い打率で離婚になってしまっている。つまり、離婚というのは珍しい話ではなくて、まさに今の
社会において非常に真正面からとらえなければならない問題であろう。そういった意味においてこの三割八分という離婚率については認識すべきだと思います。
そして、その中で実際に
子供さんのいる率でありますが、これの場合は六割であります。離婚される方の
うち六割の御家庭で、養育を必要とするお子さんがいるわけであります。これらのお子さんは一昨年度で十七万件と聞いておりますが、実際、件数だそうですから、
子供の数は二十万人を優に超える方が、毎年、親の離婚に伴って養育
環境に変化を生じているという
状況であります。
こういったお子さん全員にすべからくきっちりと、本来払われるべき養育費が届けられるべきであることは当然でありますが、実際のところどの程度かといいますと、資料二に戻っていただければ結構なんですが、実際のところ、「養育費の取り決めをしている」数自体が三五・一%、三分の一であります。これを書面でしている「文書あり」の率で掛け算しますと、二割程度しか書面にて養育費の取り決めをしておりません。
二つおりまして、「養育費の受給
状況」を見ますと、現在も養育費を受けている方は二〇・八%でありますから、五分の一、十件の
うち二件程度しか実際養育費を受けていない、八割が養育費の不払い
状況にあるという実態が見えてまいります。
このときに、先に
指摘したいのは、何に原因があるかというと、根本的には、一枚目を見ていただいたら結構なんですけれ
ども、諸外国の離婚制度を見ますと、協議離婚というものがあるのは実は珍しくて、
日本はあります、ただ、イギリス、フランス、ドイツ、スイス、イタリア、スペイン、スウェーデン、アメリカ、オーストラリアなどでは、そもそも、公的機関の関与しないような協議離婚などはありません。いわゆるロシアや中国や韓国においても、何らかの形で公的な関与が期待されています。
これはなぜかというと、離婚というものは親同士の問題でありますが、そこに例えばお子さんが関与した場合、親権の問題、養育費の問題、面接交渉、親と子が会う問題、また、離婚に伴う慰謝料や財産分与の問題、もろもろの
法律問題がかかわるわけでありまして、これを単に当事者間のみにゆだねていっていいのかという問題意識からきていると思います。
しかるに、
日本の場合は、この協議離婚の率が全体の九割を占めています。ほとんど諸外国で見られない協議離婚が、
日本の場合、九割を占めている。そのような方々はほとんど、弁護士や
裁判所と全く
関係ないところで離婚に至り、養育費の定めもすることなく、離婚後の
生活状況になってしまっているというふうに言わざるを得ません。
親は確かに自分の意思によって離婚するわけでありますから、そのことに伴う不利益がみずからにかかわったとしても、それはある意味、本人の意思に基づくことだと言えると思います。しかし、その結果、
子供が、本来、養育費を得るものが得られていないということ自体は、やはり本当に問題だと思っております。これをどうやって
改善していくかということをテーマにして、本日は、質問をしていきたいと思います。
この際、検討の順序といたしましては、この法案の間接強制というものは、私からすると本当に、
裁判所なり弁護士が関与し、かつ、その中で、債務名義といいますが、強制執行ができる
状況にある方についてのお話でありますので、場面としては随分限定された、数的にも少数のものに
関係するテーマだと思います。
もっと大きく見ますと、一番重要なのは、養育費に関するような法的な知識が国民一般的には浸透していない、本当にみんなの法的知識の欠落から、養育費の支払い
状況が進んでいないというふうなところの、まず法的知識の問題であります。
第二は、実際、離婚する場合に、ちゃんと養育費を取り決めるべきだという、離婚時における取り決めの問題であります。
そして三つ目は、取り決めただけでは、それで強制執行ができるわけではなくて、それが、公的な調停調書なり公正証書なり、何らかの公的な、
裁判所なり公証役場の関与したような
手続がなされないと、今回の法案の予定している間接強制にたどり着かないわけでありまして、いわゆる債務名義といいますが、そういった強制執行可能な状態にどうやって持っていくかという問題が三つ目の問題。
そして四つ目としては、すぐに強制手段をとるのでなく、一般的には男性が多いと思いますが、女性側に親権が行き、お子さんを養育していって、男性が不払いの
状況が一般的でありますから、それを前提に考えますと、その男性側にどうやって支払いをする動機づけをさせるのかということが次に来るんだと思います。
そしてその次に、それでも払わないときに、強制手段をどう用いるのか。
そして最後に、それでもなおかつ支払われないときに、公的な、国なり地方自治体なりが
子供に対してどういった責任を負うのかというような順序で考えていくべきであって、今回の法案のしている間接強制の問題は、五番目の、本当にそこの段階の問題だと私は認識しています。
本日は、この順番に沿いまして質問をしていきたいと思います。
まずは、
大臣に対しまして、先ほど来申し上げております現在の養育費の支払い
状況等についてどのような御認識をお持ちなのか、そして、
改善を要すると私は考えますが、
大臣はどのようにお考えか、お答えください。