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永田委員 でも、それは不断の検証を要する話だと思いますよ。
というのは、紙に印刷できないぐらい何てことないじゃないかと思われるかもしれませんけれども、紙に印刷できなかったら、事実上、持ち歩くことができないんですね。持ち歩くことができないと、みんなノートパソコンを持っていればいいんですけれども、部屋の外にその情報を持っていけないということになりかねない。そうすると、非常に情報の有用性というのが低下するので、それは見ておかなければならない。
加えて、今回の
法改正は政府の方針であるe—Japan計画にのっとったものだというふうに聞いておりますけれども、e—Japanの一環としてなされた政府による情報公開として我々政治家と非常に関係の深いものは、政治資金収支報告書の公開が総務省のホームページでなされるようになったというふうに聞いています。
ただ、この総務省のホームページで公開される部分、私も現物を確認したわけじゃないんですが、ニュースとして
流れているものでは、当初、少なくとも総務省は紙に印刷できない形での提供を考えていたと。わざわざそういうような技術的なコーディングを施してやるという、何を守ろうとしてそんなにコストをかけているのかよくわからないんですが、e—Japanの旗振り役である政府が、また、総務省といったらその中心に据わっている
一つの役所ですよ。
そこがわざわざ手間暇をかけてそういうことまでやるということを考えますと、一般
企業に、今のところうまくいっているから、みんな善意でなされるものだというふうな態度をとるのもいかがなものかと思いますので、それはやはり総務省、この
制度の実効性を高めていきたい、あるいは確保していきたいというふうに思うのであれば検証作業を常にしていかなければならないと思うし、もちろん検証作業というのは
法律には書かれていないわけですが、検証しなきゃいけないということは、
見直し規定とか書いていないわけですが、これは国会の意思として不断の検証が必要だということをぜひ御理解いただきたいなというふうに思っております。
全体的に、
株主に対する情報提供は進んできているわけです。そして、それと、持ち合い解消を中心とする
株主構造の変化、それから金融市場の環境の変化などから、最近、
企業のガバナンスというものが一部変化し始めているのは事実だと思いますが、しかし、いまだにそれは十分ではないと思っています。
なぜ私がこのことに言及するかというと、かつて私が財務金融
委員会に所属をしていたときに、さまざまな株式市場対策がなされました。それは株を買いやすくすること、あるいは売りにくくするということもありました。つまり、空売り規制なんということもやりました。そして、損失が、つまり売買で損失が出た場合には、何年かに繰り越しながら償却をしていけるというような通算規定まで一部実現をしているところです。こうしたことをして必死に直接金融を活性化させようという努力をしているにもかかわらず、なかなか個人投資家あるいは機関投資家が株式市場にお金を出さない、そして
企業も相変わらず、お金を調達するのに間接金融、銀行からの金融に頼っている。
この問題を解決するにはどうしたらいいんですかと、私、金融庁の先輩に相談をしたところ、これは実は
法務省の問題も大きいんだよと。つまり、株を持つことによるメリットが希薄であると。
よく言われるのは、かつては
株主が
企業の経営に対してかなり大きく発言権があって、実際、その発言権を行使してきた
時代があったわけですが、よく言われるのは、戦前戦後ぐらいの時期に、
株主の発言力を弱めようという政策がとられて、実際に
株主の発言力が弱められて、それ以来、直接金融は本当にお寒い状況になってしまった、それが今でも続いているんだという論調の学者もたくさんいる、むしろ多数派だと僕は見ています。
そうしたことを考えると、株を持つことのメリット、うまみ、
企業に対する発言権、経営に対する発言権、これをもう少し高めていくことによって、健全な資金の出し手としての
株主を育てていく、あるいはふやしていくということが求められるんだと思いますが、現在の
株主と
企業との力関係と申しましょうか、経営、ガバナンスの構造について、よいものだと思っているのか、あるいは、今後改善の余地があるというふうに思っているのか、
法務省の見解をちょっと教えていただきたいと思います。