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2004-05-28 第159回国会 衆議院 文部科学委員会 第23号
公式Web版
会議録情報
0
平成十六年五月二十八日(金曜日) 午前十時一分
開議
出席委員
委員長
池坊
保子君
理事
青山 丘君
理事
伊藤信太郎
君
理事
遠藤 利明君
理事
渡海紀三朗
君
理事
川内 博史君
理事
平野 博文君
理事
牧 義夫君
理事
斉藤 鉄夫君 今津 寛君 宇野 治君 江崎
鐵磨
君 小渕 優子君 奥野
信亮
君
加藤
紘一君 上川 陽子君 城内 実君
岸田
文雄
君
近藤
基彦君
鈴木 恒夫君
田村
憲久
君 西村 明宏君 古川
禎久
君 山際大志郎君
加藤
尚彦君 城井 崇君
小林千代美
君 古賀 一成君 須藤 浩君 高井 美穂君 土肥 隆一君
鳩山由紀夫
君
肥田美代子
君 牧野
聖修
君 松本 大輔君 笠 浩史君 石井 郁子君 横光 克彦君 …………………………………
文部科学大臣
河村 建夫君
文部科学
副
大臣
稲葉 大和君
文部科学大臣政務官
田村
憲久
君
政府参考人
(
公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長
)
山木
康孝
君
政府参考人
(
文部科学省初等中等教育局長
)
近藤
信司
君
政府参考人
(
文化庁次長
)
素川
富司
君
文部科学委員会専門員
崎谷 康文君
—————————————
五月二十八日
教育基本法
の
改正反対
に関する請願(
赤嶺政賢君紹介
)(第二六三八号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
参考人出頭要求
に関する件
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第九一号)(
参議院送付
) ————◇—————
池坊保子
1
○
池坊委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
参議院送付
、
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
を
議題
といたします。 この際、
参考人出頭要求
に関する件についてお諮りいたします。
本案審査
のため、
参考人
の
出席
を求め、
意見
を聴取することとし、その日時、
人選等
につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
池坊保子
2
○
池坊委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。 お諮りいたします。
本案審査
のため、本日、
政府参考人
として
公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝
君、
文部科学省初等中等教育局長近藤信司
君及び
文化庁次長素川富司
君の
出席
を求め、
説明
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
池坊保子
3
○
池坊委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
池坊保子
4
○
池坊委員長
これより
質疑
に入ります。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。
岸田文雄
君。
岸田文雄
5
○
岸田委員
おはようございます。
自由民主党
の
岸田文雄
でございます。
議題
となっております
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
質問
をさせていただきたいと存じます。 昨今、
日本
の
映画
ですとか
音楽CD
、あるいは
アニメーション
、
ゲームソフト
、こうした
著作権関連産業
と言われる
分野
、
政府
の公式の文書でも
コンテンツ産業
という
言葉
が最近使われるようになりましたが、この
分野
は、国際的にも今大変高い
評価
を得ています。 人に言わせると、今は
世界
の
歴史
の中でも第三次
ジャポニズム
の
時代
だと言う人がいます。第一次が十九世紀の終わり、そして、第二次が一九五〇年代、
日本
の
小津映画
とか
黒澤映画
がもてはやされた
時代
、あれが第二次で、そして今、第三次の
ジャポニズム
の
時代
を迎えているというような高い
評価
さえあるわけであります。 そして、国際的にもクール・ジャパン、格好いい
日本
という
言葉
が盛んに使われてみたり、また、
映画
においても、例えば「千と千尋の神隠し」が
アカデミー賞
を受賞したり、
アニメーション
、それから、
ゲームソフト
の
キャラクター
であります、
ポケモン
という
キャラクター
がありますが、
ポケモン
に関しましては、この
ゲームソフト
は全
世界
で一億二千万本売れたんだそうであります。そして、カードに至っては、全
世界
で百三十億枚売れたんだそうであります。これだけで、
経済波及効果
は二兆三千億ということが言われております。 この
コンテンツ産業
、
著作権関連産業
でありますけれども、こうした
文化
という面のみならず、
産業
という面においても、
我が国
において、今、十一兆円
産業
というふうに言われています。これは、今、
日本
の
産業
を見た場合に、
自動車産業
が約二十兆円、そして
鉄鋼産業
、
基幹産業
と言われていた
鉄鋼産業
が五兆円
産業
でありますが、その中での十一兆円というもの、この数字の大きさにも改めて驚く
思い
がいたします。 こうしたさまざまなこの
著作権関連産業
の高い
評価
、活躍が盛んに
指摘
をされるところであります。ただ、こうした
成功例
、高い
評価
があるわけでありますけれども、この
分野
は、決して大きな資本とか大きな
組織
が動くことによってこうした大きな
成果
を上げているというわけではないわけであります。 この
分野
は、物すごい数の
中小零細業者
がさまざまなかかわりを持っていたり、また、先ほど申し上げました一部の
成功例
にしましても、それぞれが独自に
努力
をしている。決して連携や大きな力で動いているのではなくして、個々の
関係者
が独自に
努力
を積み重ねた結果だというふうに言われるところであります。この
コンテンツ産業
、
著作権関連産業
という
産業
はこうした特色があるというふうに
思い
ます。 そして、さらに
著作権
ということを考えますときに、
我が国
では、デジカメですとか
携帯電話
ですとか、パソコン、さらにはインターネット、こうした
情報通信技術
の進歩によりまして、今や一億総
クリエーター時代
、あるいは一億総
ユーザー時代
というような
言葉
さえ言われるわけであります。要は、
国民
一人一人がいつでもこの
著作物
の
創作者
になり得る、だれもがみんなそれを利用する
時代
が来ているというようなことであります。ますます
著作権
の
分野
、このすそ野が大きくなっていくわけであります。 こうした
著作権
をめぐるさまざまな
環境
の
変化
、強く
指摘
をされるところでありますが、こうした大きく
変化
をし、高い
評価
を得ている
分野
でありながら、まだまだ
法整備
を初めとするさまざまな
環境整備
が不十分だという
指摘
もされています。こうした
法整備
や、この
ルールづくり
、
環境整備
が不十分であるがために、そうした
零細業者
とか多くの
国民
が不安定な
状況
に置かれているということが
指摘
をされているわけであります。 ここのところ、国会におきましても、毎年のように
著作権法
の
改正
というのが
議論
になるわけでありますけれども、まだまだ、それでもこうした
時代
の
変化
に追いついていかない、こんなことが
指摘
をされています。
政府
の
知的財産推進計画
の中においても、
関係者
の協議の結果を受けて必要な
制度改正
を行うとされている事項、随分たくさん
指摘
をされています。 今回の
著作権法
の
改正
の中に盛り込まれております
音楽CD
の
還流防止措置
ですとか、あるいは
書籍
、
雑誌
の
貸与権
の
付与
の問題、これはもちろんでありますが、それ以外にも、例えば私的な
デジタル録音
について
実態
を踏まえた、
私的録音録画補償金制度
、この
制度
を見直す必要があるのではないかとか、あるいは
書籍等
のコピーについて報酬を請求できる
権利
、
版面権
という
言葉
が使われていますが、こうした
権利
の創設についてどうだろうかというような
議論
ですとか、あるいは
中古品
の
販売
について
著作者
の
権利
を創設する必要がないか、消尽しない
譲渡権
の創出という
言葉
が使われていますが、こういった
議論
も行われています。さらには、過去の
法改正
における延長時に既に
保護期間
を経過していた写真の
保護
の復活、こういった
議論
はどうだろうかとか、さらには、過去に放送された
放送番組
の二次利用について考える必要があるのではないかとか、重立った
課題
だけ挙げても次々と出てくる
状況
であります。 こうした
著作権
をめぐる
制度づくり
、
法律
の
改正
、こういった
分野
についても、本当にこれからまだまだ乗り越えていかなければいけない
課題
がたくさんあるなということを改めて
思い
ます。 そして、こうした
著作権
にかかわる諸問題の
特徴
としまして、これはどの問題をとっても、さまざまな
関係者
がかかわってきます。
著作者
、
著作権者
、
流通業者
、
消費者
、あるいは
ユーザー
等々、それぞれの
立場
によって
利害
が異なるわけであります。その中で
一定
の
ルール
をつくろうとすると、
立場
によって必ず
不満
や不安が出てくるという
特徴
をこの
著作権
をめぐる問題はすべて抱えているわけであります。 我々
自由民主党
においても、先ほど申し上げましたさまざまな諸
課題
について、
一つ一つ
、賛成される方、反対される方、賛成される
組織
、
団体
、反対される
組織
、
団体
、それぞれ同時にお招きして、それぞれの話を昨年の夏ぐらいからずっとヒアリングをさせていただきまして、それぞれの問題について
意見交換
、
質疑
を続けてきたところであります。 その中にあって、今回のこの
音楽CD
の
還流防止措置
、そして
書籍
、
雑誌
の
貸与権
の
付与
の問題、先ほど申しました、これから乗り越えていかなければいけないさまざまな
課題
、
関係者
の
意見調整
を要するこの
課題
の中で、現実問題、
調整
の
可能性
がある問題として前向きに取り組むべきではないかという認識を持っているわけであります。 例えば、
音楽CD
の
還流防止措置
につきましても、
日本
の
音楽CD
というもの、今、国際的にも高い
評価
を得ているわけであります。そして、
海外
において大変もてはやされています。その中で、最近よく
話題
になる事柄としまして、こうした
人気
のある
邦楽
の
CD盤
、
海賊版
という形で大量に出回っているということが盛んに
話題
になります。
中国あたり
では、流通している
CD
の九割が
海賊版
だというふうに言われています。 しかし、そこで思うんですが、
海賊版
というのは
法律
の外、違法な
部分
であります。そして、今我々が
議論
をしているのは
法律
の中、
法律
の中で秩序をつくろう、
ルールづくり
をしようという
議論
をしているわけであります。例えば、
中国
において
CD
の九割が
海賊版
、一割が
正規
の
ライセンス販売
だとした場合、そうした
権利者
は、九割の違法な
部分
において多額の損失をこうむっている、なおかつ、
法律
の中においてもしっかりとした
ルール
をつくっておかなければ、
法律
の中においても正当の
利益
を得ることができない、こういった二重の
意味
で大変な被害をこうむることになるわけであります。 これでは、
権利者
は一体どこで
利益
を得たらいいんだろうかということにもなりかねないわけでありまして、やはり
邦楽
の
音楽CD
の
還流防止措置
については我々真剣に取り組まなければいけないと考えておりますし、今回の
法改正
は
大変意味
があるというふうに考えております。 また、今回の
著作権法
の
改正
の
議論
の中でもう
一つ
大きな柱は、
書籍
、
雑誌
に対する
貸与権
の
付与
の問題であります。
日本
の
社会
には、
貸し本業
という長い
歴史
のある、そして
社会
に定着した業種があるわけであります。そういった
貸し本業
に配慮して、従来、
経過措置
ということで
貸与権
の
付与
というものは行われてこなかったわけでありますけれども、昨今、
人気
のあるコミック、ベストセラーを大量に品ぞろえする、
レンタルビジネス
を大規模に展開する
レンタルブック店
、これは全国にどんどんと広がっているようであります。こうした
状況変化
によって、
著作権者
への経済的な
影響
というのは大変大きくなっています。 こうした
変化
の中で、さっき、例えば
コンテンツ産業
、
日本
の
著作権関連産業
というのは高い
評価
を国際的に得ているということを申し上げましたが、聞きますと、
我が国
の
コンテンツ産業
の七割は
漫画
、
アニメーション
にオリジナリティーを求めているのだそうであります。ですから、この
分野
の
創作者
がいなくなってしまうと、
評価
されている
コンテンツ産業
の七割もこれは消滅してしまうということになりかねないわけであります。 さまざまな
関係者
がいろいろな
利害
のもとにいろいろな
意見
を表明するわけでありますが、
音楽
、
漫画
といった
文化そのもの
がなくなってしまっては、それを楽しむことも利用することもできない。やはり
創作活動
をいかに守っていくか、そして、その上で全体の
ルールづくり
をどうしていくのか、さまざまな
利害
をどう
調整
していくのか、これが考え方として大切なところではないか、原点ではないかというふうに思っています。こうした
思い
で今回の
法改正
、前向きに取り組むべきだというふうに考えています。 しかし、先ほど言いましたように、
著作権
にかかわる諸問題というのは多くの
関係者
がかかわっています。そして、それぞれみんな
立場
が違うということから、
利害
が対立をするわけであります。その中で
一定
の
ルール
をつくろうということになりますと、
立場
によって不安とか
不満
、こういったものが必ず出てくるわけであります。こうした不安とか
不満
にも丁寧に耳を傾けてこたえていかなければいけない、これも大切な点ではないかなというふうに思っています。ですから、今回の
著作権法
の
改正
の
議論
の中でも今申し上げましたような点が
指摘
をされています。ぜひ、きょうはせっかくの機会ですから、
大臣
を初め
関係者
の
皆様方
に、今、この
著作権法
の
改正
をめぐりまして多くの
関係者
の中から出ている
不満
とか不安について、しっかりぜひ
お答え
をいただきたいなというふうに思っています。 まず、
音楽CD
の
還流防止措置
の方の話でありますけれども、この
分野
において、まず、今大変大きな不安の声あるいは
不満
の声が出ておりますのは、この
措置
は
洋楽
の
並行輸入盤
にも及ぶことに結果なってしまうのではないか、そんなことになっては大変だというような声、これが最も大きな声ではないかなというふうに思っています。 まずもって、ちょっと
確認
をしたいんですが、
著作権法
の
改正
を今審議しているところでありますが、この
法律
の
立法
の
趣旨
は、先ほど言いました、
邦楽
の
還流
を防止する
措置
であるということ、これが
趣旨
であるということを
確認
させていただきたいと思うと同時に、これは
立法
上、条文においては、
洋楽盤
と
邦楽盤
、これを区別するという形になっておりません。この
理由
も含めて、この
立法趣旨
についていま一度
確認
をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いします。
田村憲久
6
○
田村大臣政務官
先生
御
指摘
の点でありますけれども、基本的に
先生
おっしゃられましたとおりでございまして、非常に
日本
の
音楽文化
というものが
アジア
を中心に注目を浴びておる、韓国の
日本
語の歌の解禁等々もありまして、非常にこれから
産業
としても有力でありますし、
日本
の
文化
というものが
アジア
の
国々
に理解されるという
意味
でも大変大きな役割を果たしていただける、そんなふうに思っております。 ですから、例えば
国内
で
販売
されておる
レコード
、
CD
、
海外
で
販売
されるということになりますと、特に
アジア
の
諸国
は
物価
等々が安うございますから、当然
日本
の
価格
ではなかなか売れないということがある。
ライセンス生産
、合法的に向こうで
ライセンス
を与えて、そしてつくっていただくものが
還流
をしてきた場合に、
権利者
の
権利
といいますか、それが不当に害される場合があってはならないということでございまして、その
還流
を防止しなきゃならない、そのためにはどうすべきか、こういう
趣旨
にのっとって
法整備
の方をさせていっていただいておるわけであります。 各般、いろいろな方々からいろいろな御
議論
をいただきながら進めてまいったわけでありますけれども、最終的には、やはり今回の
著作権法
等々の
改正
においてこれに対処する以外はないという話の中で今回
法整備
をさせていただくわけであります。 ただ、
著作権
の
保護
ということになりますと、御承知のとおり、
WTO協定
でありますとかまた
ベルヌ条約
、このような
著作権
に関する
国際条約
がございまして、この中には
加盟国
は内
国民待遇
でありますから、当然のごとく
内外
の差別をしてはならないということになってまいります。そうなりますと、当然、
日本人
の
権利者
を
保護
するということと同時に、やはり
外国
の
権利者
も
保護
していかなければならないということになってくるわけであります。
著作権
の
保護
である以上は、
日本人
の
権利者
によります
音楽レコード
、
音楽CD
のみならず、やはり
外国人
の
権利者
、
外国人
の
音楽レコード
というか
音楽CD
、これに関しても同じように適用されてくるということでございまして、
先生
のおっしゃられておるところというのがこのような
理由
の中において入ってくるということであります。
岸田文雄
7
○
岸田委員
今の答弁の中で、要は、
法技術
上あるいは
国際条約
上の
理由
からこういった
法律
の形にはなっているけれども、
立法趣旨
としましては、
邦楽
の
還流
を防止するというのが
立法趣旨
であるという
お答え
をいただいたというふうに
思い
ます。ただ、こうした
立法趣旨
が、本当に現実問題そういった
趣旨
にのっとって
成果
を上げるかどうか、これをやはりしっかりと
確認
しなければならないわけであります。 以後、
質問
の中で今の
立法趣旨
、この
法律
の
趣旨
をちょっと肉づけさせていただきたいというふうに
思い
ますが、まず
一つ
は、
権利者
の
意思
という
部分
であります。 昨年十二月に
全米レコード協会
が提出した
意見書
の
内容
とその取り扱いについて、問題があると
指摘
をする声があります。その
意見書
の
趣旨
について、ことし五月に再
確認
をしたというふうに聞いております。この
内容
につきましてひとつ御
説明
をいただきたいと
思い
ます。
素川富司
8
○
素川政府参考人
お答え
申し上げます。 御
指摘
の
意見書
は、昨年十二月、
文化審議会
の
著作権分科会
の
報告書
、当時案の段階でございますけれども、それについて行いました
意見募集
に対して、
全米レコード協会
と
国際レコード産業連盟
の連名で提出されたものでございます。 なお、この
意見
を含めまして、
意見募集
に対して寄せられた
意見
というのは、
分科会
の
委員全員
に配付申し上げ、求めに応じて閲覧できるように
文化庁
に備えておったわけでございます。 いずれにいたしましても、この
全米レコード協会
と
国際レコード産業連盟
の
意見書
は、いわゆる
並行輸入
の
問題点
というものを
指摘
し、
還流防止措置
については、
内外無差別
の原則により
権利
を
付与
するということを求めるものであったわけでございます。 この点につきまして、
アメリカ
の
権利者側
には、
アメリカ
からのいわゆる
直輸入
というのをとめようという
意思
があるのではないかという
指摘
が行われているところでございます。この
意見書
の
意味
するところにつきましては、
日本レコード協会
より
全米レコード協会
に対して改めて問い合わせまして、五月十四日付で
回答
を得たところでございます。 それを少し紹介させていただきますと、
全米レコード協会
の
会員レコード会社
が、例えば
中国
で提供した安価な製品が
日本
や
米国
の
市場
に
還流
することを懸念することなく、
中国
の
市場
で
価格
づけを可能とするような
法制度
の
導入
というものを支持するということ。また、
全米レコード協会
の
会員レコード会社
は、今回の
輸入
をコントロールする
権利
によって
米国
や
EU
からの
正規品
の
輸入
に
影響
を及ぼすことを何ら意図していないと理解していること。また、
輸入
をコントロールする
権利
の
導入
によりまして、現在
日本
で行われている
アメリカ
や
EU
からの
レコード輸入
が阻害されることは全くないだろうというふうにその
回答
の中で述べられているところでございます。
岸田文雄
9
○
岸田委員
今、
権利者
の
意思
ということで
一つ確認
をさせていただきましたが、次に、そもそも
法制度
上どうなのか、要するに、
権利者
の
意思
にかかわらず、そもそもこの
法律
の
制度
上どうなのかということについてちょっと
確認
をさせていただきたいと思うんです。今回の
措置
の適用を受けるには、そもそもどのような
要件
に該当する必要があるのか、それをちょっと整理していただきたいと
思い
ます。
素川富司
10
○
素川政府参考人
お答え
申し上げます。 今回の
措置
は、いわゆる
還流
を防止するというために設けるものでありまして、すべての
音楽レコード
というものを
対象
とするわけではなく、今お話のございました
一定
の
要件
を満たす
音楽レコード
を
輸入
する
行為
について、
著作権
または
著作隣接権
を侵害する
行為
とみなすということによりまして、民事的には差しとめまたは
損害賠償
を求めることができるようにする。また、
営利目的
で行われた場合につきましては
刑事罰
の
対象
とする、こういうようなことでございます。 今回の
措置
の
対象
となるためには、具体的には、例えば、
日本販売禁止
の
音楽レコード
であって、かつ
輸入者
がその旨を知っていることでございますとか、
国内
で既に同一の
音楽レコード
が
販売
されているということ、さらに、
日本
におきまして頒布する
目的
での
輸入
であるということ、さらに、
日本
で最初に発売されてから政令で定める
期間
を経過していないということ、それから、
還流
によりまして
権利者
の
利益
、これは
ライセンス料
の収入ということを
意味
するわけでございますが、これが不当に害されるということ、このようなことを
要件
としているところでございます。
岸田文雄
11
○
岸田委員
今の
要件
の中で、
利益
を不当に害する場合というのがありました。この
権利者
の
利益
を不当に害する場合というのはどういうことなのか、ちょっと
確認
をしたいんです。 要は、今さまざまなところで不安の声が出ております。
洋楽盤
の
並行輸入
、
アメリカ
、
イギリス
、
ドイツ
、
フランス
、この四カ国で恐らく九五%を超えると
思い
ますけれども、こうした
国々
からの
輸入盤
について、
権利者
の
利益
の
実態
はこの
要件
に該当しないというふうに認識しておられるのか、この辺についてちょっと
確認
をさせていただきます。
素川富司
12
○
素川政府参考人
お答え
申し上げます。
権利者
の
利益
を不当に害されることになる場合というのは、先ほど
要件
の
一つ
だと申し上げました。これは、
権利者
に与える
経済的影響
というものを考慮して判断されることになるわけでございますけれども、具体的には、
国外
で
販売
される
国外頒布目的商業用レコード
、これは
法律
の
定義
にございますが、これから得られる
利益
と、
国内
で
販売
される
国内頒布目的商業用レコード
、これも
法律
上の
定義
でございますが、これから得られる
利益
の比較というものが基準となると考えております。 どの程度をもって不当にというふうに判断されるかということは、最終的には裁判所の判断ということにはなろうかと
思い
ますけれども、一般的に申し上げますと、
物価
の安い国からの
還流
を防止するという今回の
措置
の
趣旨
からいたしますと、
日本
と
物価水準
に大きな差がない
先進諸国
からの
輸入
のように、
国外
における
販売
によって得られる
利益
、
国外レコード
でございますが、
国内
における
販売
によって得られる
利益
と比べまして著しい差がないという場合には、不当にというふうには判断されず、今回の
措置
の
対象
にはならないというふうに考えているところでございます。 例えば、今
先生
おっしゃいました、いわゆる
ファイブメジャー
の
我が国
における
関連会社
が直接
輸入
している
海外
の
音楽レコード
につきまして、
アメリカ
、
イギリス
、
ドイツ
、
フランス
の四カ国のいずれかを
原盤国
とするものにつきましては九五%以上を占めているわけでございますけれども、これらの国におきます一般的な卸売の
価格
や
使用料
の率などを勘案いたしますと、
日本
とその国との間の差はそれほど大きなものではないと理解しているところでございます。 したがいまして、これらの国の
音楽レコード
につきましては、
音楽レコード
から
権利者
が得る
利益
につきまして
原盤国
のものと
我が国
のものとでは大きな差がないということから、現に行われているいわゆる
直輸入
によって
権利者
の
利益
が不当に害されるということはなく、
輸入
が差しとめられるということにはならないものと考えているところでございます。
岸田文雄
13
○
岸田委員
今次長の御
説明
を聞いておりまして、要は
法律
上、
法律
の解釈としまして、
洋楽
の
並行輸入盤
は該当しないという認識をお示しいただいたわけでありますが、これは要は、では
法律
はそういう
趣旨
だとしても、これをどう解釈するか、あるいはどう運用するか、このあたりが大変重要になってくるわけであります。 これは今回、その
洋楽
の
並行輸入盤
がとまるのではないかという心配の中に、例えば、かつてレンタル
CD
の問題が大きく問題になったときに、
法律
ができた途端に
権利者
に
権利
を行使されてしまった、これは
法律
ができてしまうと何が起こるかわからないぞという
指摘
があります。 ただ、今回の
還流防止措置
は、そのケースと違う点としまして、要は、
権利者
が
権利
を主張しただけでは、これは物はとまらないわけであります。
日本
国の税関がどういった実務をするのか、あるいは
政府
がどんな対応をするのか、実務においてどういった対応が行われるか、これによってその
音楽CD
は
日本
に入ってくるかこないか、これが決まってくるわけであります。ですから、
法律
の解釈、そして実務のありようというものが大変重要なポイントだというふうに思っています。 ぜひこれは河村
大臣
御自身に決意をお伺いしたいんですが、今問題になっております
米国
、英国、そして
ドイツ
、
フランス
、こういった
国々
からのいわゆる
洋楽
の
並行輸入盤
についてはとめないということを、行動をはっきり申していただけませんでしょうか。
河村建夫
14
○河村国務
大臣
今、
岸田
先生
御
指摘
のあった点が非常に大事なポイントだと思って、これまでの
議論
も踏まえても、その点が問題になっていることを承知いたしております。いわゆる洋盤
レコード
、これの
直輸入
の
影響
を心配されておるわけでありますから、今回のこの
措置
がこれらの
音楽レコード
に
影響
がないということを明確に
説明
しなきゃならぬ、そのように思っております。 今回、その
還流防止措置
の実務におきましては、まず税関当局に対しては、今回の
還流防止措置
の
趣旨
とその
内容
というものは、きちっとこれは
説明
する、十分
説明
することが一点。それから、運用に当たっても、基本的な考え方、共通理解、これを図っていかなければなりません。
日本
と
物価水準
に大きな差のない国、これは例をきちっと挙げていくわけでありますが、この
国々
に対して
輸入
に
影響
を及ぼすことはないということは、これは税関との連携ももちろんそうでありますし、このことはきちっと
説明
のつくことであると考えております。
岸田文雄
15
○
岸田委員
ありがとうございました。 しかし、そうはいっても、
権利者
が
権利
を主張してしまうとトラブルになるのではないか、こういった声もあるわけであります。さらに、その実務として、今
大臣
は決意をお述べいただいたわけでありますが、もし
権利者
の
権利
の主張等によってさまざまな動きが生じた場合、こうした
法律
が施行された後、必要に応じて
還流
実態
その他の事情をしっかり調査した上で、やはり適切な
措置
を講ずる、こういったことは当然のことながらあり得るということ、そして、その際にはしっかりと適切な
措置
を講ずるということ、これを
大臣
、ぜひ明言していただければと
思い
ます。
河村建夫
16
○河村国務
大臣
御
指摘
いただきましたように、商業用
レコード
の
還流
の
実態
の
変化
等があって
消費者
の
利益
を不当に害する、このような事態が万が一生ずるということになれば、これは
状況
を調査、検証しなきゃなりませんが、その上、その結果を得て、これは必要な
措置
は講ずる、このことは明言しておきます。
岸田文雄
17
○
岸田委員
ありがとうございました。 この
法律
の
立法趣旨
はあくまでも
邦楽
の
音楽CD
の
還流防止措置
であるということ、そして、実務として、運用として、今
関係者
の中で懸念されている
洋楽
の
並行輸入盤
はとめないということを明言していただき、なおかつ、それでも何か事態が生じたならば適切に対応するということを
大臣
に明言いただいたわけであります。ぜひ
大臣
、そういったことを
日本
国の国会の議事録に発言として残された重み、これを感じていただきまして、この
法律
、もし成立したならば、多くの
関係者
の
思い
や期待にたがわぬように、しっかりとした運用をお願いしたいというふうに思っております。 そして、まだちょっと時間がありますので、あと二つ、ちょっと
関係者
の中で疑念に思われている点について
確認
をしておきたいと
思い
ます。 先ほど、
素川
次長の御
説明
の中で、この
措置
の適用の
要件
について御
説明
をいただきました。その中で、「情を知つて、」という
要件
がありました。この「情を知つて、」というのは具体的にどういうことなのかという疑念が
関係者
の中にあります。要は、この
部分
、具体的にはっきりしてもらわないと、たまたまその商品を取り扱ったら、情を知っていたと
指摘
をされて、この
法律
に抵触するということになってはかなわないという不安の声があるわけであります。 この「情を知つて、」というのは具体的にどういうことを想定しているのか、これをちょっと御
説明
いただきたいと
思い
ます。
素川富司
18
○
素川政府参考人
今回、
改正
案を提案させていただいております百十三条の第五項というのがございますけれども、これが適用され
著作権
侵害とみなされるのは、専ら
国外
において頒布する
目的
で発行される商業用
レコード
を、情を知って
輸入
する
行為
というふうに
法律
上
要件
とされているわけです。 この「情を知つて、」とは、
日本
における
販売
を禁止される
レコード
であるということを知っていたという
意味
でありますから、実質的には、これは
日本
における
販売
を禁止している旨の表示がその商業用
レコード
、
音楽レコード
にあった、あるもの、それを
輸入
する
行為
というものが該当するものというふうに考えております。
岸田文雄
19
○
岸田委員
ありがとうございました。 もう
一つ
、この
法律
のもう
一つ
のポイントであります
書籍
、
雑誌
の
貸与権
の
付与
の問題でありますけれども、
貸与権
の
付与
に関しましては、例えば
権利
を与えた場合に、これは
音楽CD
の場合と違って、
書籍
、
雑誌
の場合は
権利者
の数が物すごく多くなってしまうのではないか、
権利
許諾が円滑に行われるのだろうかという不安の声があります。 この問題につきましては、その
貸与権
の問題、今
法律
として国会で
議論
をしているわけでありますが、
関係者
の中で具体的なシステムづくり、
権利
許諾の円滑化の問題ですとか、
使用料
の問題ですとか、その
関係者
の中でうまく共存していくシステムづくりが進んでいるというふうに聞いています。その上で、この
法律
の
権利
付与
というものも考えなければいけないと思うんです。 現在、
関係者
の中で
議論
されているこのシステム、先ほど言いました
権利
許諾についても不都合がないだろうかとか、
使用料
についてどんな話が行われているのか、そのあたりにつきまして御
説明
をいただけませんでしょうか。
素川富司
20
○
素川政府参考人
今御
指摘
ございました
権利
許諾が円滑に行われるためのシステム、これは非常に重要なものだと考えております。コミック作家、文芸作家などの作者の
団体
と出版社の
団体
で構成いたします
貸与権
連絡協議会、これは、
法律
が成立しました場合には、その後、引き続き
貸し本業
者がコミックや小説等の貸与を行えるように、
権利者
の了解を容易に得ることができるような集中管理体制、こういうものを整備することにより対応するということにしているものでございます。 具体的に申し上げますと、
著作者
団体
などは、
貸与権
を集中管理する
団体
といたしまして、仮称でございますけれども、出版物
貸与権
管理センターというものを設立いたしまして、その
団体
へコミック作家、文芸作家など約四千八百名が
権利
行使の委託をする予定と聞いております。 現在、管理業務の方法などにつきまして、これは
使用料
でございますとか
一定
の禁止
期間
の長さ、こういうようなことにつきまして、
貸し本業
者の代表であります
日本
コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合とも協議しながら、
内容
の詳細について検討しているというところであると承知しております。
文部科学
省におきましても、この適切な集中管理体制の整備に向けまして、
関係者
の協議が円滑に調いますように、必要に応じまして指導助言をしてまいりたいと考えておるところでございます。
岸田文雄
21
○
岸田委員
ありがとうございました。
法律
をつくってしまって、つくりっ放しというのではなくして、ぜひしっかりとした
ルールづくり
につきましても関心を払っていただきたいというふうに
思い
ます。 さて、本日、先ほど来八問ばかり、今回の
法改正
につきまして
関係者
の中で出ている疑念につきまして、重立ったものだけではありますが、
質問
をさせていただきました。 先ほど申しましたように、
著作権
を
改正
するということになりますと、さまざまな
著作権
の
課題
、さまざまな
利害
が対立をするわけであります。
立場
によってさまざまな
意見
が生じる。これがこの
著作権
をめぐる諸問題の
特徴
だというふうに思っています。 ですから、
一つ
の
ルール
はつくって、
一つ
安定を図らなければいけないわけでありますが、
ルール
をつくる際には必ずこうした不安や
不満
が
関係者
から出てくる、これはもう宿命であります。こういったあたりにもぜひ丁寧にこたえていただきながら、この
法改正
、
制度づくり
、
ルールづくり
を進めていただきたいというふうに思っています。 この
著作権
に関する
分野
は、冒頭に申し上げましたように、目覚ましい
成果
、
評価
を今得ているわけであります。そしてさらには、こうした
情報通信技術
の進歩によりまして、どんどんとすそ野が広がっています。 同じ知的財産権の
分野
においても、特許の
分野
はまだ一部のプロが中心になって
議論
をするという傾向があるわけでありますが、それとの比較において、
著作権
の方は、だれもが
著作権
のつくり手にもなり得ますし、だれもが
著作権
の使い手にもなるわけであります。
著作権
というのは、もう一部のプロの問題ではなくして、今、
国民
全体の幅広い問題に
変化
しようとしています。 さらには、国際的な
変化
もどんどんと進んでいるわけであります。今回の
法改正
につきましても、
海外
からの
音楽CD
の
還流防止措置
については、ことしの一月から韓国におきまして
日本
盤の
音楽CD
が解禁になったわけであります。こういった動きにも
影響
をされている
部分
があるのではないかなというふうに考えます。 また、
貸与権
の
付与
につきましても、先ほど申しました
レンタルブック店
の登場というもの、こういったものが
影響
しているのではないかなというふうに
思い
ます。 こうしたさまざまな
変化
をしっかりと受けとめていかなければいけないわけであります。この
変化
や動きの速さに追いついていかなければいけないということになりますと、要は、もう走りながら考えるぐらいの覚悟がこの
分野
では必要なのではないかなと
思い
ます。柔軟な、そしてフットワークのよい対応、
ルールづくり
がこれからも要求されるわけであります。 この辺の
実態
を御理解いただけない方には、国会を開きますと毎年のように
著作権法
の
改正
が出てくるではないか、何で
著作権
の
改正
は小出しにするんだ、まとめてやれという大変な暴論まで出てきているような次第でありますが、
実態
のわかっている方々は、こうした世の中の
変化
に柔軟に対応しなければいけない、だから毎年のように
著作権
を
改正
していかなければいけない、こういったことの
意味
合いを御理解いただけるというふうに
思い
ますが、
時代
に対応し得る
著作権法
のありよう、また
ルールづくり
をぜひ模索していきたいものだと
思い
ます。
関係者
の御理解とそして御協力を改めてお願い申し上げまして、残り十五分は同僚の城内議員に譲らせていただきたいと存じます。 ありがとうございました。
池坊保子
22
○
池坊委員長
城内実君。
城内実
23
○城内委員
自由民主党
の城内実でございます。 河村
大臣
、副
大臣
、政務官には日ごろ大変お世話になっております。この場をおかりいたしまして、御礼申し上げます。また、
岸田文雄
先生
におかれましては、貴重なお時間を分けていただきまして、感謝申し上げます。 ただいま
岸田
先生
からも、この
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
、特に
音楽CD
還流防止措置
についていろいろとやりとりがあったわけでございますけれども、私自身、この
音楽CD
あるいは
レコード
還流防止措置
につきましては、今
アジア
諸国
で、
外国
の
ライセンス
を得た
レコード
会社が
日本
の楽曲の
レコード
を安価に生産しまして、それはもちろん
海賊版
ではなくて
正規
版ではあるんですけれども、やはり何といっても
外国
では安くつくれるわけですから、それがそのまま
日本
に入ってきたら、
日本
の
レコード
会社、これはもう本当にアーティストに高いお金も払っておりますし、また人件費も大変高いという中でつくっておりますから、本当に太刀打ちできない。そういう観点から、当然、
消費者
の
権利
、これはできるだけ安いものを買いたい、こういう
消費者
の
権利
はもちろんあるんですけれども、
著作権者
、
権利者
の
権利
もやはり守らなきゃいけない。この点について、私はそれは当然の動きだと
思い
ます。 当初、経団連などは、自由貿易推進の
立場
からこういう動きには反対だったようですけれども、最後は納得したというふうに伺っております。ただ、私は、ここでこの問題について
議論
するというつもりはございません。それと全く違った切り口で、
著作権
及び
著作隣接権
についてお話をしたいと
思い
ます。 というのは、ちょっと私、ここでこんなものを見せてもいいのかわかりませんが、
理事
会に諮らなきゃいけないのかわかりませんが、これは古い
レコード
なんですね。これはちょうど昭和十六年ごろのSP
レコード
という
レコード
なんでありますが、七十八回転の大変古い
レコード
でございます。 こういう
レコード
というのは、
レコード
が生まれてからもう百年たつんですけれども、
文化
的な価値があるものとないものがあるんですけれども、いわゆる当時の大衆あるいは
時代
の空気というものが大変よく反映されている。要するに、大衆
文化
、流行歌あるいは落語、浪曲、そういったものが
レコード
として発売されており、また、当時は確かにやや高価だったんですけれども、庶民の楽しみのものとなっていたということなのであります。 それで、最近のアーティストの作品については、先ほど申しましたように、当然、
著作権
の
保護
をすべきであると私は考えるわけでありますけれども、この古い、それこそもう六十年、七十年前の
日本
の
レコード
について、残念ながらまだまだ
権利者
の
保護
、
権利
の
保護
が強過ぎて、例えば仮にこの半世紀以上前の流行歌の
レコード
を民間の一人の個人が
CD
をつくってみようというケースがあったとしますと、当然、
著作権
及び
著作隣接権
が足かせとなる。
著作権者
というのは当然
日本
の
レコード
会社でありますから、そして
著作隣接権
は歌手、作詞、作曲家、これはもう没後五十年たたないとその
権利
は消滅しないということでありますので、
日本
のこういう名曲であってもなかなか発行できない。 当然、許諾、いわゆる
ライセンス
を取ればつくれるわけですけれども、じゃ
実態
がどうなっているかというと、私が承知している限り、
レコード
会社が、それはただじゃ出しませんよ、もっと金を出してくださいと。そしてまた、JASRACという
日本
音楽
著作権
協会があるんですけれども、それにお金を払う。お金を払えばいいじゃないかということですけれども、お金を払って、じゃそれが
著作隣接権
者に渡っているかというと、どうもそういう
実態
ではないというように私は認識しております。 そこで、私の
質問
でありますけれども、
著作権
及び
著作隣接権
が足かせとなって、なかなかこういう古い
日本
の楽曲を
市場
に出せないという
実態
があるようですけれども、これについて御答弁いただきたいと
思い
ます。
素川富司
24
○
素川政府参考人
お答え
申し上げます。 御
指摘
の
レコード
の復刻に関しまして
日本レコード協会
を通じまして加盟の各社に照会いたしましたところ、戦前の
レコード
の復刻についての一般の方からの問い合わせというのは年間一社当たり数件程度あるというふうに聞いているところでございます。 実際に
レコード
を復刻する場合には、
先生
御
指摘
ありましたように、作詞、作曲家や
レコード
製作者や実演家の
著作権
や
著作隣接権
などが関係してくるわけでございまして、これらの
権利
の
保護期間
内であれば当然利用許諾を得なければならないということになるわけでございます。 それで、
権利
が
保護期間
内であるものの復刻に際しましては、そのお申し出の
内容
によりまして許諾の条件というのがさまざまであろうかと
思い
ますが、戦前の
レコード
について、では実際に復刻されているケースがあるかというと、少ないけれどもあるということは聞いておるわけでございます。 いずれにいたしましても、戦前の
レコード
を復刻させることにつきましては非常に意義があるものと思うわけでございますけれども、
レコード
製作者自身が、例えば復刻の計画を有しているという場合もあるということも考えられますし、いずれにいたしましても、当事者間の協議というもので解決していただくほかはないのではないかというふうに考えているところでございます。 なお、実演家とか作詞、作曲家の
権利
の
使用料
につきましては、
日本
音楽
著作権
協会や
レコード
協会に
権利
を管理委託しているという場合が多いわけでございますので、復刻盤を復刻するということについて許諾の条件が整えば、
レコード
製作者のみならず、その作詞、作曲家や実演家の方にも
使用料
が分配されるということになっているところでございます。
城内実
25
○城内委員 今次長おっしゃったように、当事者間の協議ということがまさに
実態
として行われているんですけれども、当然その
レコード
会社は、出し渋るし、なかなか許諾しない、条件をつり上げるという
実態
があるということを認識していただきたいと
思い
ます。そしてまた、一社当たり数件程度の問い合わせがある、その程度なんですね、はっきり言うと。だからこそ、こういうものは本当に、はっきり言って開放すべきじゃないかというのが私の考えなんです。 戦前というと本当はどういう
時代
だったかと、
歴史
教科書の問題がありますけれども、当然光と影があるわけですね。そういう
時代
の雰囲気をつかむためにも、私は、この古い
時代
の大衆
文化
、これは
文化
的価値はないかもしれませんけれども、流行歌あるいは
映画
、こういったものについては、
外国
のものならまだしも、ミッキーマウスについては
アメリカ
がうるさいですからこれはもうしようがないとしても、
日本
のものについて言えば、これはだれでも気軽にアクセスするようにすべきである。 戦前の
歴史
をより客観的に
評価
するためにも、私は、どこで線を引くか、昭和二十年八月十五日以前なのか、あるいは昭和二十五年にするとか、そこは
議論
の余地があると
思い
ますけれども、古いものについては、私は、これは
著作権
及び
著作隣接権
の
対象
外にすべきであるというふうに考えております。 皆さん、「蒲田行進曲」という
映画
を御記憶の方がいらっしゃると思うんです。たしか七〇年代か八〇年代にはやった
映画
でありますけれども、そのテーマソングは昭和初期の「蒲田行進曲」という、これはまた当時そんなに売れなかった曲でありますけれども、こういうものが何十年、半世紀後に復活したりするんですね。そういうように、埋もれてしまうような曲がいっぱいあるんですけれども、せっかく当時の人が汗水垂らして、そしてその
時代
の空気を吸ってつくった作品を、私自身は、
著作権
の
保護
というよりも、もうこれは
消費者
に一般に開放すべきじゃないかというふうに考えております。 そしてもう一点、こういうことで、むしろこれは国がやるべきじゃないかというふうに私は考えております。一年に一社数件程度の問い合わせですから、それほど商業的価値のある戦前の流行歌というのはないんですね。
映画
もそうです。ただ、私は
歴史
的資料価値が大変高いと思っております。実際に今、フィルムセンターというところに
日本
の
映画
が保存されております。そしてまた、これは厚生労働省の所管だと
思い
ますけれども、昭和館というのが九段にありまして、そこにあるコレクターの方が、二万枚ぐらいだと
思い
ますけれども、私が先ほどお示ししたSP
レコード
を貸与して、それは一般
国民
がアクセスできるようにされております。 それはそれで大変いい動きなのでありますが、私は、今まさにインターネットの
時代
でありますから、国の施策として、散逸しがちな貴重な音源あるいは放送の録音、
映画
、これをインターネットで国が配信するようにしたらいいのではないかと
思い
ます。 例えば昭和十六年、もう今まさに戦争が始まろうとしている。どういう
映画
を
日本人
は見ていたのか、どういう曲を聞いていたのだと。軍国調なものは当然あると
思い
ますけれども。では、どうだったのかというのをそれこそボタン操作一本で、わざわざ東京に行かなくても、北海道の人も、九州の人も、あるいは沖縄の人も、アクセスできるようにしないといけないと思って、ちょっとこれは変わった
意見
じゃないかと
思い
ますけれども、私は、この点についてはこれからいろいろな機会をいただきながら
質問
させていただきたいと
思い
ます。最後に、この二点について河村
大臣
の御所見をお伺いしたいというふうに思っております。
河村建夫
26
○河村国務
大臣
城内委員から二点の御提言をいただきました。結論から先に言ってしまいますとあれですが、検討に値する
課題
だと
思い
ますが、これに対して私の方から御答弁申し上げたいと
思い
ます。 きのうですか、きょうの新聞、見たんですが、百年前のお酒を同じようにつくって飲んでみたというのがニュースになっておりました。これは
著作権
とは関係ないことでありますが、そうした昔の
時代
の
レコード
とか
映画
とか、
歴史
的なものを客観的に判断したり、いろいろなそういうものをまた楽しんでいく、
国民
が大いに
評価
する。あるいは教育の上でも、過去を知るというふうなこと、こういうものが当時非常にもてはやされたんだとかそういうことを知る。私は、当時の大衆
文化
を知る、そういう
意味
ではそういうことがうんと広まるということは大事なことだ、こう
思い
ます。 ただ、六十年以上前、これはもう
著作物
等についても
対象
から外して広く、こうおっしゃるわけですが、これは
著作権法
では、
著作物
の公正な利用に配慮しなきゃいかぬ、だから
一定
期間
、
著作権者
等に
権利
を認める一方で、終われば
権利
は消滅してだれもが自由に使えるようになる。これはもちろん城内委員も承知の上でおっしゃっておることだと
思い
ますが、具体的に、
レコード
が現在、作詞、作曲家の死後五十年となっています。それから、
レコード
製作者が発行後五十年、
映画
が公表後七十年、こうなったわけです。 この
保護期間
の問題については、これは
国際条約
とか各国の法制との整合性がございます。こういうこともあって、これまでずっと
改正
をしてきたことでございますが、したがいまして、
国内
外の
権利者
団体
の
意見
も踏まえて決められたことでありまして、今御
指摘
をいただきました
映画
、
レコード
、こうしたものをもう
保護
の
対象
外にしてしまってはどうだ、こういう御
意見
でありますが、こういう前提があるものでありますから、これは慎重に検討しなきゃいけない
課題
だ、このように思うわけであります。 また、もう一点
指摘
されました、そういうものが、ほっておくと散逸してしまう心配もあるし、現在、
レコード
は国立国会図書館とか、
映画
は東京国立近代美術館のフィルムセンターにある。収集、保存がされていまして、またその公開もされておるわけでございますけれども、そういうものをできるだけオープンにしようということで、上映活動とか巡回上映、こういうことはやっておって、積極的な情報発信には努めておるわけであります。今御
指摘
をいただきましたように、そういうものをもう無料通信といいますか、国がどんどんインターネット通信、配信したらどうだ、こういうこと、これも
国民
が容易に、身近に触れることができますから、これは情報発信ということを考えますと、極めて有力な手段であるというふうに
思い
ます。 しかし、確かにそうですけれども、やはりさっきの御答弁と同じようになるのでありますが、戦前といえども、まだ
著作権
等が生きていて
保護
対象
になっている作品もある、あるいは、寄託を受けて国が保存している中にも
映画
フィルム等の所有者の了解が必要なものもある。こういう
権利
関係が残っておりまして、
映画
等のコンテンツのインターネット配信、これは国と民間との考えをどのように考えていくか、
環境
をどういうふうにするかということも踏まえて検討
課題
であろう、このように思っておるわけであります。
城内実
27
○城内委員
大臣
、御答弁ありがとうございます。 私、
著作権
、
著作隣接権
の六十年以上前のもの、あるいは戦前のものについては本当に
保護
の
対象
外にすべきだとは申しておるんですけれども、ただ、当然、戦前のものであっても売れ筋のものはあります、あるいは「蒲田行進曲」のようにまた復活して売れ出すものもある。そういうものについては、例えばセーフガード
措置
を
導入
するとして、売れ始めたら審議会か何かにかけて、
レコード
会社が、ちょっと待った、これについては
対象
外ではない、
対象
にするということで対応できるんじゃないかと思うんです。 ほとんどの本当に九割九分九厘のそういう作品は、商業的価値ははっきり言って、ないですね。したがって、それをいつまでも守るとなかなかアクセスできないということでありまして、また、没後五十年、
著作隣接権
、作詞、作曲者あるいは歌手が、五十年といっても、これは本当にとんでもない長い
期間
だと
思い
ますし、五十年たったら、そういう埋もれた名曲というのは本当になくなってしまうんじゃないかなと私は考えている次第であります。また、ペンネームを使ったり、マイナーなレーベルだと、本当にだれに断って許諾を得るかという難しい手続もありますので、そういう
実態
を踏まえて、より
国民
に、こういう過去の古い音源がアクセスできるような施策をぜひとっていただきたいと
思い
ます。 これで私の
質問
を終わります。
池坊保子
28
○
池坊委員長
城井崇君。
城井崇
29
○城井委員 民主党の城井崇です。
著作権法
の一部を
改正
する
法律案
、とりわけ、本日は、
CD
の逆
輸入
規制が
洋楽
も
対象
となる
可能性
があるという件について
質問
させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 さて、まず一番初めに、
大臣
に、非常に簡単な
質問
なんですが、お伺いしたいことがあります。
大臣
、インターネットをお使いかと思うんですが、ブログというのを御存じですか。正式な名前はウエブログというんですけれども、御存じですか。
河村建夫
30
○河村国務
大臣
私、存じません。
城井崇
31
○城井委員 ありがとうございます。 ブログ、正式にはウエブログというんですが、これは、いわゆるネット上での簡単な日記なんです。形が決まっていまして、自分で入力をして日記を書いていくという方式なんですが、ただ、そのブログという新しいタイプの日記はちょっと変わっておりまして、そこに書いている単語とかあるいはキーワードというのを、そのほかの日記とかブログで書いている方のキーワードと結ぶことができるんです。つまり、ある方のブログを入り口にして、ほかの方が書いている
意見
とかあるいは情報とかといったものに触れることができるというのが、いわゆるブログが持っている
特徴
なんです。 そのブログを扱っているネット上の皆さんの中で、今回の
著作権法
の
改正
の話が大きく取り上げられています。 特に、今回のはらんでいる問題の分析ですとかあるいは検証といったものが、ある
意味
でリアルタイムに行われているといった
部分
がございます。その中には、もちろん、ネット上の情報ですから、先入観とか誤解とかいろいろなものがあるわけなんですが、ただ、それを
一つ一つ
丹念にたどっていきますと、ある
意味
で、今回の
著作権法
の
改正
がはらんでいる
問題点
というのが、その場で、いろいろな方の知恵が集まっていますので、ある
意味
で丸裸にされているという感じを私は受けております。 その中で、先ほどの
質問
にもございましたが、やはりぬぐえない懸念が幾つもある。先ほどの
洋楽
の
CD
の件で申しますと、
一つ
は、今後、いわゆる
日本
の
CD
の競争が、国際的な競争にさらされないということで、競争がなくなっていくことで
価格
が高どまりしてしまうのではないか、あるいは
洋楽盤
CD
の
輸入
がとまってしまうという
可能性
があるのではないか、そういったことが今の中で
音楽文化
の衰退につながっていくかもしれないという懸念、心配という声が非常に強いというふうに思っています。 ただ、その懸念、心配というものを受ける中で、私は、今回のこの
法律案
の
改正
で最も大事に考えなければならないと思っておることは、
著作権
を守るということと、自由な流通によって
文化
を発展させていくということ、このバランスをとることは非常に大事だと思っています。 しかし、その上で、知的財産に伴う
産業
というものについては、そのよい点だとか、あるいは発展させていくために必要な規制もあるだろう。しかし、それらを論じると同時に、
国民
に対して、例えば
消費者
が自分の不
利益
を我慢してでもその
産業
のためにそういった政策を支えていくという気持ちを持つかどうかというのはすごく大事だというふうに私は思っているんです。ここが、今回の
法律
改正
に至るまでのプロセスと、そして今出されているこの
状況
といったところに全く足りないという
思い
がしております。 そういった
意味
で、今回の
改正
案というものは、正直言って、羊頭狗肉と言われてもしようがないのではないかと思っています。御
説明
にある見かけの
部分
と、実際にはらんでいる中身というのが天地ほど異なる。薬に例えて言うならば、ペニシリンとかバイアグラとか、ああいったものとは逆で、ある
意味
で、あしき副作用の
影響
が非常に大きい薬のようだというふうに感じています。 実際にこの
法律
の
内容
をじっくりと読ませていただきました。非常に規制があいまいだということがわかります。
輸入
禁止の
対象
範囲が明確ではありません。欧米からの
並行輸入盤
を含む
輸入盤
のすべてが禁止
対象
になり得るという
部分
があります。この副作用に対する懸念、心配というものが、単に一部の
洋楽
ファンにとどまるのではなく、
消費者
の方々、一部の
著作権者
の方々あるいは
輸入
にかかわる小売の業者の方々の、本当にたくさんの方々の間にあります。そして、反発が強まっています。
音楽
家の坂本龍一さんという方がおられます。この方を含めて五百名もの
音楽
関係の方々が賛同された
輸入
CD
規制に反対するという声明も発表されています。
洋楽
の常時愛好者というのはこれぐらいだろうと言われている数字、五万人を超えようとするような署名が非常に短
期間
で集まっているという
状況
もあります。 こういった副作用に対する懸念、心配というものが厳然とあるという点について、まず
大臣
の見解をお伺いしたいと
思い
ます。
河村建夫
32
○河村国務
大臣
今の御
指摘
の点は、今回の
還流防止措置
をつくる、とる、こういった場合に、洋盤
レコード
の
影響
など
消費者
の
利益
に十分配慮しなきゃいかぬ、こういう御
指摘
は、
文化審議会
の
著作権分科会
の
報告書
を初めとして、この法案の立案以前から
指摘
をいただいた点でございます。 法案をつくる我々
文部科学
省側といたしましても、こういう
指摘
はちゃんと踏まえていかなきゃならぬということで、
制度
設計に当たってさまざまな
要件
をセットするということ、また、必要なら後ほど
要件
を述べさせていただきますが、そうした
消費者
の
利益
といいますか、そういうものに十分に配慮して法案を
立法
した、こう考えております。 特に、御懸念の洋盤
レコード
の
直輸入
についても、
内外無差別
の原則という
国際条約
上の制約のために、
外国
の
権利者
を
保護
の
対象
から除外することはできないわけでありますけれども、これら
要件
をつけたことによって、
日本
と
物価水準
等大きな差がない先進国からの
輸入
については、これは
影響
がないということをきちっと明確にしておるわけでありますから、これは、先ほど
岸田
先生
のときにも御答弁申し上げました、もちろんこの
説明
責任というのはきちっとあるわけでありますから、このこともきちっと果たしながら、御理解をいただきたいということで今回の法案を提出させていただいておるわけであります。
城井崇
33
○城井委員
大臣
、十分に
説明
責任を果たしていただきたいと
思い
ます。 今のお話を伺っておりまして、一言で申しますと、いわゆる
要件
をそろえるということによってという
部分
が条件でつくんでしょうが、今私が申し上げましたようないわゆる副作用に対する覚悟、要するに、それをのみ込んだ上で今回の
法律
を施行していくんだという覚悟を持っての
改正
であるという認識でよろしいですか。
大臣
、お願いします。
河村建夫
34
○河村国務
大臣
御
指摘
の点、その点を踏まえてやっておるというふうに考えております。
城井崇
35
○城井委員 聞いたことに答えてください。今回の、私が
指摘
申し上げた副作用をのみ込んだ上での、のみ込む覚悟を持った上での
改正
ですかというふうに伺ったわけです。もう一度お願いします。
河村建夫
36
○河村国務
大臣
副作用といいますか、
輸入
がストップされるのではないかとか、こういう御
指摘
、これは十分踏まえた上で、そしてこの
法律
をつくる場合に、
著作権
のあり方というもの、これはやはり私権でもございます。もちろん法務省、法制局、御承知の法制局でありますが、法案審議に当たっては十分審議をしながら法案を提出させていただいておるわけであります。
城井崇
37
○城井委員 踏まえておるということで、その
可能性
を十分に含めたものだというふうに受け取らせていただきます。 それでよろしいですか。今の私の認識でよろしいか、もう一回
確認
をお願いします。
河村建夫
38
○河村国務
大臣
これはあらゆる角度から、その
可能性
の極めて低いこと、十分いろいろな
議論
を踏まえ、いろいろな御
意見
を伺いながら、また、これは対外的な問題でありますから、
アメリカ
の
ファイブメジャー
と言われるそういう方々の
意見
、そういうものもすべて勘案してやったわけでありますから、この
法律
でこの問題についてはきちっと適用できる、そういうことで確信を持って出させていただいております。
城井崇
39
○城井委員
大臣
、済みません、
可能性
がある、ないの二択だったらどっちですか。
河村建夫
40
○河村国務
大臣
これは参議院においても、その点いろいろ御
議論
させていただいた。そして、まさに大きな
変化
、商業用
レコード
の
還流
の
実態
について特異な現象が出たとか、そういうケースによって万が一
消費者
に不
利益
が起きるというようなケースについては、これは
状況
を調査し検証して、そしてその処置が必要であればそれは講じなきゃいかぬ、そのことは申し上げてきているところであります。(発言する者あり)
池坊保子
41
○
池坊委員長
不規則発言は控えていただきたいと
思い
ます。委員が
質問
なさることに対して……(発言する者あり)
委員会
は委員と答弁者との
質疑
だと
思い
ますので。
城井崇
42
○城井委員
可能性
はあるという認識でよろしいですか。
河村建夫
43
○河村国務
大臣
参議院でも
参考人
質疑
があったと
思い
ます。現時点では
可能性
はないということで、しかし、情勢の
変化
というのはあり得る、こう聞いておりますから、そのときにはそのときの対応をしましょう、こう申し上げております。
城井崇
44
○城井委員 情勢の
変化
によっては
可能性
はあるということでよろしいんですね。
河村建夫
45
○河村国務
大臣
何事も情勢が
変化
するということはありますから、それはそういうことはあると
思い
ます。
著作権
を絶えず変えていかなきゃいけない、この現状を先ほど
岸田
先生
も御
指摘
ありました。そういうことであるというふうに
思い
ます。
城井崇
46
○城井委員
可能性
はあるということで受け取らせていただきながら、次に進めさせていただきたいと
思い
ます。また、その点疑念が出てまいりましたら、その都度伺わせていただきます。 さて、次に伺わせていただきますが、今回の
法律
に書かれている実際の
内容
の
部分
の
確認
を若干させていただきながら進めさせていただきます。 まず、そもそもこの問題なんでございますが、たしか最初は
レコード輸入
権として取り扱われていたはずなんですけれども、その名前が途中から
還流防止措置
にすりかわってきているというふうに私読んでおります。 先ほどの答弁にもありましたが、いわゆる
内外無差別
原則を含む
輸入
権の創設というのが今回のねらいであろうというふうに考えるわけですが、
還流防止措置
という名前をつけてしまった場合に、この
法律
が目指しているところ、あるいは
実態
というものを正確にあらわしていないのではないかというふうに考えますが、この点について、
文化庁
の方、見解をお聞かせください。
素川富司
47
○
素川政府参考人
お答え
申し上げます。 今回の
措置
につきまして、
先生
御
指摘
のように、当初、知財計画等におきましては
レコード輸入
権という表記で整理していたということは事実でございます。 現在、
音楽レコード
還流防止措置
というふうに
説明
しているわけでございますけれども、この
輸入
権という
言葉
は、
著作権
にはたくさん支分権がございますけれども、その支分権の
一つ
としての
輸入
権をつくる、これは
外国
の場合にもそういった支分権としての
輸入
権をつくるというケースがあるわけでございますけれども、その場合には、
著作物
のいかんを問わず
輸入
をコントロールする
権利
を
権利者
に与えるという広範囲な
権利
になるわけでございますけれども、そういうふうなものと受け取られるおそれがあるといいますか、そういうのが自然なものでございます。 そういうことで、今回の
措置
というのは、
国内
に同一の
音楽レコード
が売られているということを前提といたしまして、これを
要件
といたしまして、
海外
からの
レコード
の
還流防止措置
ということとして
説明
する方がより適切に
制度
の
趣旨
を
説明
することになるということで、このように現在
説明
させていただいているところでございます。
城井崇
48
○城井委員 この名前が変わるきっかけとなった出来事はございますか。
文化庁
の方、お願いします。
素川富司
49
○
素川政府参考人
これだけがきっかけだということはないかと存じておりますけれども、やはり、この
レコード輸入
権といいますか現在の
音楽レコード
還流防止措置
というものを検討していく中で、より適切に、誤解の少ない表現をする方がいいということでこのような表現にさせていただいたところでございます。
城井崇
50
○城井委員 私は、先ほど申し上げましたように、逆に
実態
を隠してしまっているというのがこの名称の
実態
だというふうに思っております。 続いて
質問
をさせていただきたいと
思い
ます。
文化庁
の方、再びお願いしたいんですが、文言上は、
アジア
盤に限らず、
洋楽盤
の
国内
盤を出している
日本
の
レコード
会社が欧米などを初めとした安い
海外
盤の
輸入
を禁じるよう求めることもこの
法律
によって可能になるかどうかということで、可能になるという理解でよろしいでしょうか。
素川富司
51
○
素川政府参考人
お答え
申し上げます。 先ほど来御
説明
申し上げておりますように、
著作権
の
保護
につきましては、
著作権
に関する
国際条約
によりまして、内
国民待遇
というものを
制度
上与えるべきであるということで、
音楽レコード
の
還流防止措置
におきましても、
法制度
上は
日本
の
権利者
と同様
外国
の
権利者
も
保護
するということになっているわけでございます。 そういう
意味
におきまして、
法制度
上は
海外
の
レコード
の
輸入
というものは形式的にその
対象
になるということでございますが、今お話しの
日本
の
レコード
会社というのは
著作権法
上の
権利者
ではございませんので、今回の
還流防止措置
の
権利
を行使する当事者ということではございません。
城井崇
52
○城井委員 では、この場合はどうでしょうか。今のお話のように、
著作権法
は
海外
の
レコード
会社にも適用されるんですけれども、
海外
の
レコード
会社の
日本
法人が
輸入
している
海外
盤も規制の
対象
になり得るという理解でよろしいでしょうか。
素川富司
53
○
素川政府参考人
音楽レコード
といたしましては、先ほどの
説明
と同様でございます。
権利者
は、
海外
で
レコード
制作している
レコード
の関係の
権利者
、
著作者
及び
著作隣接権
者ということになろうかと存じます。
城井崇
54
○城井委員 もう
一つ
伺いたいんですが、今の話を踏まえていただいて結構なんですが、そうすると、いわゆる
ファイブメジャー
だけではなく、
海外
の原盤のライセンサーを含む
海外
のすべての
著作権者
並びに
著作隣接権
者が、その方々がかかわる、例えば欧米などを初めとした安い
海外
盤の
輸入
を禁じるよう求めることも可能になる、すなわち
権利
を行使することができるという理解でよろしいですか。
素川富司
55
○
素川政府参考人
海外
の
音楽レコード
に係ります
権利者
、これにつきましても、
法制度
上は、やはり先ほどから申し上げているような御
説明
と同じわけでございます。 ただし、この
還流防止措置
が適用されるかどうかということにつきましては、今回
改正
する
法律
に書いておりますような多くの
要件
、これをすべてクリアする必要があるわけでございます。そういう
意味
におきまして、
法制度
上
保護
の
対象
になっている、形式上なっているということと、実際に
物価水準
に差のない欧米の
先進諸国
の
音楽レコード
において今回の
措置
で設けられました
要件
を満たすかどうかということとは、また
一つ
別に検討する、考えられるものではないかというふうに考えております。
城井崇
56
○城井委員 そうすると、今のお話を総合しますと、済みません、非常に細かいことを聞いているというのはわかっておるんですが、大事なところなので。
法制度
上は可能だと。しかし今回の法案が通過した後ということでいうと、
要件
を満たした場合に、先ほど申した
海外
のすべての
著作権者
並びに
著作隣接権
者の方々が
法制度
上
権利
を行使することが可能だという理解でよろしいですか。
素川富司
57
○
素川政府参考人
形式的に
還流防止措置
の
対象
になっているということは否定しないわけでございますけれども、この
要件
は該当するかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、
物価水準
に著しい差のない欧米の
先進諸国
との間におきましては、通常、その現状に
変化
がないものというふうに考えておるところでございます。 言いかえますと、このような
日本
との
物価水準
に大きな差がない
先進諸国
等の
輸入
については、
影響
が起きないような運用の仕方をするということがこの
立法趣旨
に沿うものではないかというふうに存じているところでございます。
城井崇
58
○城井委員 私、
要件
を満たせばというふうに伺っておりますので、
要件
を満たした場合には
権利
行使が可能だ、それは先ほどの形式的とはいえこの
法律案
に含まれているという理解、
要件
を満たせば
権利
行使は可能だということで理解はよろしいんですかと聞いたので、その点についてもう一度、御
確認
で
質問
させてください。
素川富司
59
○
素川政府参考人
現実に適用になるかどうかということは別にいたしまして、理屈上、理論上の御
質問
であれば、そういうことかと存じます。
城井崇
60
○城井委員 ありがとうございます。 続いて聞かせていただきます。先ほどの、
要件
を満たせばというところにかかわってくるかと思うんですが、
ライセンス料
の件について聞かせてください。 現在、作詞作曲などに係る
著作権者
、あるいは演奏家、
レコード
会社などの
著作隣接権
者は、
CD
売り上げの一部を
ライセンス料
として受け取っていると
思い
ます。今回の
法改正
の
対象
になっている現地で
ライセンス生産
される
正規
版についても同じかと存じますが、各国、各地域における
ライセンス料
の格差というものがあろうかと
思い
ます。先ほどの御
説明
でも、
アジア
のといった、具体的な地域の名前も出てまいりました。 この実際の格差については、原案では明記はされていませんが、どの程度まで容認をするのか、その基準というものをお持ちなのかという点、この点についてお聞かせください。
素川富司
61
○
素川政府参考人
お答え
申し上げます。 どの程度の著しい差がある場合に不当に害されるかということでございますけれども、著しい差というのは、
一定
の数値をもって基準とするというよりも、今回の
還流防止措置
の
立法趣旨
というものに照らして判断するのが適切ではないかというふうに存じているわけでございます。 いずれにいたしましても、現在、先ほどから申し上げましたように、
日本
と
物価水準
に大きな差がない
先進諸国
からの
輸入
のように、
国外
における
販売
によって得られる
利益
が
国内
における
販売
によって得られる
利益
と比べまして著しい差がない場合には、不当にとは判断されず、今回の
措置
の
対象
にはならないものと理解しておるところでございます。
城井崇
62
○城井委員 とすると、先ほどの著しいといった判断は、数値はないということでございました。
立法趣旨
による判断ということでございましたけれども、そうすると、担当者の個々の判断によって変わり得るという理解でよろしいんですか。
素川富司
63
○
素川政府参考人
担当者ということではございません。各国の
状況
を前提にいたしまして、客観的な
状況
を前提にいたしまして、この
法律
の
趣旨
からいたしまして不当な侵害に当たる場合ということはどのようなものかということをきちんと整理させていただき、税関当局と連携をとって運用に努めてまいりたいと存じておるところでございます。
城井崇
64
○城井委員 よくわからないんですが、判断の責任者はどなたですか。税関当局と連携をとってといっても、その責任者が今の御答弁では全くわからないわけですが、判断の責任者はどなたになるわけですか。
素川富司
65
○
素川政府参考人
責任者といいますか、この
法律
を
政府
において所管している担当部局が責任を持つということでございます。
城井崇
66
○城井委員 監督局はどちらですか。
素川富司
67
○
素川政府参考人
具体的に
著作権法
を所管しているのは
文部科学
省であり、
文部科学
省の中におきましては
文化庁
でございます。
城井崇
68
○城井委員 そうすると、
文化庁
という理解でよろしいですか。
素川富司
69
○
素川政府参考人
文化庁
という理解でよろしゅうございます。
城井崇
70
○城井委員 そうすると
文化庁
が、先ほどの、数値を持たずに著しい差の判断をするわけですね。この理解でよろしいですか。
素川富司
71
○
素川政府参考人
数値を持たずに判断するというふうには申し上げておらないところでございます。
城井崇
72
○城井委員
立法趣旨
の中に数値は含まれていないんですよね。判断基準は何ですか。
素川富司
73
○
素川政府参考人
お答え
申し上げます。 今回の
法律
の
趣旨
は、今回の
還流防止措置
の
趣旨
は、
アジア
諸国
等の
物価
の安い国からのいわゆる
還流
を防止するということにありまして、不当に
利益
を害することとなる場合に限るという
要件
は、そのような
趣旨
に照らし運用することが必要であるというふうに考えているところでございます。
城井崇
74
○城井委員 わかりません。
委員長
、ちゃんと答えていただきたいんですが、判断基準は何ですかといって、数値ではないというところまではわかりました。では何ですかといったときに、
立法趣旨
の
説明
に戻られても全くわかりません。
立法趣旨
に照らした場合に、その
立法趣旨
のどの
部分
が具体的に判断基準となるのかというのを教えていただきたいと申し上げておるわけです。もう一回お願いします。
素川富司
75
○
素川政府参考人
立法趣旨
は、先ほどから申し上げておりますように
還流防止措置
の
立法趣旨
は、安い国からの
輸入
を防止する、それによって
我が国
の
音楽
関係の
権利者
が
海外
展開する活動ということができるその
環境
を整備するということに
立法趣旨
があるわけでございます。
城井崇
76
○城井委員 もう一回言いますよ。よく聞いてください。
文化庁
が著しいを判断するときに、数値ではなくて何を基準にしているんですかと聞いているんです。もう一
回答
えてください。
素川富司
77
○
素川政府参考人
著しいかどうかという判断をするときに、今回の
措置
に照らしますと、
アジア
等の
物価
の安い国からの
輸入
は防止するということが必要であろうけれども、
日本
と
物価水準
に大きな差がない先進国からの
輸入
、例えば
アメリカ
、
イギリス
でございますとか
フランス
とか
ドイツ
、そういった国、そして、これらにつきましては、現在、
並行輸入
といいますか
直輸入
ということでビジネスが行われているわけでございますけれども、こういった国の
輸入
に
影響
を与えるということは本来の
趣旨
ではございませんので、その辺のところを基準として判断するということでございます。
城井崇
78
○城井委員
物価水準
に差がある、ないというお話が出てまいりましたが、
物価水準
は何ではかるんですか。
素川富司
79
○
素川政府参考人
物価水準
につきましては、それぞれの国の所管の当局のデータというのを踏まえて検討するものと考えておるところでございます。
城井崇
80
○城井委員 それは数値じゃないんですか。
文化庁
の方、よく聞いてください。数値じゃないと先ほど言ったじゃないですか。
物価水準
を基準に
文化庁
が著しいかどうかを判断するんですということなわけでしょう、要は。そこを最初に聞いているわけですから、そこを数値じゃないと言って逃げているのはどういうことなんですか。いいですか、
物価水準
が数値かどうかなんて、言わなくてもわかると
思い
ますけれども、その点を一応
確認
しますが、
お答え
ください。
素川富司
81
○
素川政府参考人
お答え
申し上げます。
一定
の数値をもって基準とするものではないと申し上げましたけれども、その基準を検討するに当たっては、そのベースとなるデータというもの、それは数値も含むと
思い
ますけれども、それは当然必要になるわけでございますので、御理解いただきたいと
思い
ます。
城井崇
82
○城井委員 では、その
物価水準
、特にベースとなるデータに基づいてということですが、それぞれの国別にお持ちということになるわけですか。それぞれのその国別に示してください。
素川富司
83
○
素川政府参考人
物価水準
ということを申し上げたわけでございますけれども、その
物価水準
というのは何に反映されるかといいますと、先ほどから申し上げておりますように、
レコード
に係る
ライセンス料
というものの相関関係があるわけでございます。これはきちっと正比例ということではございませんけれども、
物価水準
に応じた
価格
設定というものが各国の
レコード
においてされるわけでございますけれども、それは
権利者
が受け取る
ライセンス料
のベースになるというものでございます。 それで、現在、
日本
の
国内
盤とそれから
アメリカ
盤、
イギリス
盤、そういった重立った主要国との
ライセンス料
の比較ということ、これが不当な侵害かどうかということのベースといいますか、その判断する
一つ
のベースとしては資料があるわけでございますけれども、その数値が基準ではないということで言っているわけで、基準の判断のベースにはその数値というものがあるということでございますので、ここは、そういうことは御理解いただきたいと存じます。
城井崇
84
○城井委員 そうすると、
物価水準
に差があるかないかというお話と、今出てきた話で言うと、
ライセンス料
も踏まえたになるんですかね。そうすると、数値以外にも基準があるわけですね。数値も勘案しながらということになるんでしょうが。ちょっとよくわからないんですが、そのあたり、もう一回整理してください。
素川富司
85
○
素川政府参考人
不当に害されるという場合には、この判断基準といいますか基準といたしましては、それは、先ほどから申し上げておりますように、
著作権者
、隣接権者が受け取る
ライセンス料
ということになるわけでございますけれども、
物価水準
に差があるというのは、その
ライセンス料
と
物価水準
、したがって、それは各国の売り出しの
レコード
というものが相関関係にあるということで
物価水準
に差があるというような
説明
を申し上げているわけでございますけれども、基準といたしましては、厳密な
意味
では、
ライセンス料
の差が著しいかどうかということでございます。
城井崇
86
○城井委員 全然わからないんですが。 先ほど国別にそれぞれ挙げてくださいというふうに申し上げた
部分
がまだ
お答え
いただいていないので、まずそこの
部分
をお願いします。
素川富司
87
○
素川政府参考人
具体的に水際
措置
をするのは税関当局でございますので、そちらとの連携というものが十分必要であろうかと
思い
ますけれども、私どもが今現在理解しているところでは、
アメリカ
との間、これは平均いたしましても、大体二割程度ぐらいの
ライセンス
の格差が平均的なものではないかと思っております。
イギリス
や
フランス
、
ドイツ
につきましては、同等かもしくはそれ以上の
ライセンス料
というものがその
国々
に対してあるというようなことではないかというふうに思っています。 いずれにいたしましても、これにつきましては、具体的に、
法律
の施行段階までにより精緻なデータを集めまして、税関当局と連携をとりまして適切な運営が図られるものと考えております。
城井崇
88
○城井委員 今の御答弁だと、やはりわからないのは、では、その
ライセンス料
の差が開いてきたと、どこでその判断が変わってくるのか。 要するに、基準を持たずに今のいわゆる判断を現場の税関の方とされるんでしょう。その後に、恐らく、こんなふうに
法律
を施行していきますというのをつくるんでしょう。ですけれども、そこで基準がなくつくっていくことができるんでしょうか。その根拠のある資料をちゃんとお持ちなんですか。まずそれを出してください。
素川富司
89
○
素川政府参考人
先ほどから申し上げておりますように、その判断の基準自体は数値ではございませんけれども、その基準というものを考えるに当たっては、
一定
の数値をベースにして判断しなければいけないということでございます。そして、その判断をする際には、やはり今回の
還流防止措置
の
立法趣旨
というものを踏まえなければいけないというふうに考えております。
物価
の安い国からの
還流
を防止するということによって
日本
の
音楽
関係の
権利者
の
利益
を守る、そして、安んじて
海外
展開することができるような
環境
を整備するということは非常に重要なわけでございますけれども、それと、
物価水準
に大きな差がない、したがって
ライセンス料
に大きな差がない
先進諸国
、
アメリカ
等の
輸入
がとまるというようなことになるということについては、それは本意ではございません。 そういうことで、そのようなことが、
輸入
が
影響
を受けないような
要件
の運用をするということがその
立法趣旨
に沿うものと考えているところでございます。
池坊保子
90
○
池坊委員長
城井崇君。城井崇君。(城井委員「
質問
に答えていない。答弁をちゃんとしてもらってから
質問
は」と呼び、その他発言する者あり)私、
委員長
一人に言っていただいても困りますので、それは筆頭と協議なさってお決めいただきたいと
思い
ます。
質問
者の
質問
に対し、答弁者の答弁が納得いくものでなかったとしても、きちんと答弁しておりますので、この
委員会
を続けたいと
思い
ます。(発言する者あり) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
池坊保子
91
○
池坊委員長
速記を起こしてください。 城井崇君。
城井崇
92
○城井委員 先ほど来私が申し上げておる点、もう一度
確認
をして、お願いをしたいことがあります。 先ほどの御答弁の中で、
ライセンス料
を判断のベースにしているという御答弁がございました。この
ライセンス料
を判断ベースとするならば、その算定根拠となる数字がないとどうしようもありません。この算定根拠となる
ライセンス料
の各国の比較できるような数字をこの
委員会
に提出してください。 でなければ、先ほど来申し上げておりますように、
消費者
の方々を含めて非常に不安の声がある。不当だと言われても、その基準があいまいなままで、結局、後から決められていく、その基準がわからないままに決められていくということをそのままにしておくわけにはいかないというふうに考えます。この資料の提出について、ここでお願いを申し上げます。
池坊保子
93
○
池坊委員長
理事
会で協議いたしまして、
お答え
いたします。
城井崇
94
○城井委員 その資料はございますか。
素川富司
95
○
素川政府参考人
資料はございます。
城井崇
96
○城井委員 その資料を提出していただくように
理事
会にお願いを申し上げます。
池坊保子
97
○
池坊委員長
理事
会で協議いたしましょう。
城井崇
98
○城井委員 この問題は資料が出てきてからまた改めて
質問
させていただくといたしまして、次に進ませていただきます。 本日の
岸田委員
の
質問
の中にもございましたけれども、本法案の参議院での法案審議の際、
大臣
の方あるいは
政府参考人
の方の答弁、あるいは先ほどの
岸田委員
の
質問
に対する
大臣
の御答弁といったものでも、今回の
海外
からの、特に欧米からの
レコード
の
輸入
というものに関しては心配ないということの御
趣旨
のお話が何度も触れられているというふうに
思い
ますけれども、これらの答弁で言及された
内容
、触れられた
内容
というものには、いわゆる
国内
における
法律
の運用に何らかの
措置
ができるとしても、
海外
の
著作権者
及び
著作隣接権
者による今回与えられた
権利
の行使、つまり、
輸入
権あるいは
政府
の言う
還流防止措置
ということになるんでしょうが、そういった
権利
の行使をそれらの答弁で言及された
内容
ということをもってとめることができるのか、この答弁にそういう効力があるのかないのか、この点、
文化庁
の方、お願いします。
素川富司
99
○
素川政府参考人
国会での答弁自体は、
権利
行使をとめるそのものの効力があるかという御
質問
に対しましては、そのようなものではないというふうに承知いたしております。それは、
政府
の見解、心構えであるということでございます。
城井崇
100
○城井委員 ということは、答弁
内容
が担保されたというお話が幾つもあるわけですが、答弁
内容
が担保をされたとしても、
権利
行使をとめるということはできない、あくまで心構えでしかないということでよろしいんですね。
素川富司
101
○
素川政府参考人
法律
の運用というものは、各担当の官庁で
法律
の権限を受けまして行うものでございますけれども、そのようなレベルにおきましては、法の運用におきまして、各省、各部局が行う場合には答弁の
内容
に沿った運用をするということでございます。その点は御理解いただきたいと存じます。
城井崇
102
○城井委員 その点は理解をしたんですが、聞いたことに答えていただいていないのでもう一回だけ
確認
をしますが、そういう答弁の
内容
によって、
海外
の
著作権者
及び
著作隣接権
者による
権利
行使をとめることができない、あくまで答弁は心構えでしかないという理解でよろしいですねと聞いているんです。この点について、イエスかノーかで結構ですので、
お答え
ください。
素川富司
103
○
素川政府参考人
答弁自体で
海外
の
権利者
の
権利
行使をとめる効力自体というものがあるということはございません。
城井崇
104
○城井委員 今の点は、非常に大事だと思っています。というのは、
大臣
の答弁が担保されることによって大丈夫ですよというふうに、今
消費者
の方々を含めて
説明
している政治家、
関係者
が本当にたくさんいます。それがうそだったということが、ここで明らかになるわけであります。非常に大きな点だと思っています。 この点にかかわると思うので、もう
一つ
質問
させていただきます。 同じように、本法案に関して、先月、参議院で全会一致で可決されたわけですが、その中で、
洋楽
レコード
に
還流防止措置
などが行使され、
消費者
の
利益
が侵害された場合に
法律
の見直しなどを検討するという附帯決議が添えられたとあります。 この附帯決議は、
海外
の
著作権者
及び
著作隣接権
者による、今回の
法律
で
付与
される
権利
の行使をとめることができるのか、その効力があるのかないのか、これもイエス、ノーで結構でございます、
お答え
ください。
素川富司
105
○
素川政府参考人
附帯決議自体は、これは基本的には
政府
に対するものでございます。
政府
は、その
趣旨
を体して、その実施に努めるというものでございます。 附帯決議自体は
法律
そのものではないということは、もう委員御案内のところだと
思い
ますけれども、
政府
におきましては、附帯決議は尊重しながらその実施に努めてまいるというのが基本であるということは御理解いただきたいと
思い
ます。
城井崇
106
○城井委員 ということは、
法律
そのものではないということでございますので、先ほどから申し上げている
海外
の
著作権者
及び
著作隣接権
者による
権利
の行使をとめることはできない、そういう効力はないという理解でよろしいですか。
素川富司
107
○
素川政府参考人
附帯決議というものが
法律
かどうかというような
説明
ではないということは言えるかと
思い
ます。
城井崇
108
○城井委員 聞いたことに答えてください。 もう一回言います。
海外
の
著作権者
及び
著作隣接権
者の
権利
行使をとめることがこの附帯決議でできるのかできないのか、そういう効力はあるのかないのか。イエス、ノーで結構です、もう一
回答
えてください。
素川富司
109
○
素川政府参考人
イエスかノーかということだけを言えということであればノーでございましょうけれども、附帯決議を踏まえて、
政府
がそれを尊重した運用をするということでございますので、御理解をいただきたいと存じます。
城井崇
110
○城井委員 ということは、今のお話を総合しますと、附帯決議で
権利
行使がとまることはない、あくまでそれは
政府
の取り組みなんだ、しかし
政府
も、答弁
内容
としては心構えでしかなく、
権利
をとめることはできないということが、先ほどの答弁とあわせて言えば理解をするわけですが、そういうことでよろしいんですね。
素川富司
111
○
素川政府参考人
国会での答弁というものは、そのものが法的拘束力があるというものではないということは御存じのことだと
思い
ます。 それを
政府
におきまして、
政府
提案の
法律
の考え方というものを国会答弁の中で明らかにしていくというものがその
趣旨
ではないかと存じております。
城井崇
112
○城井委員 ここまでの御答弁でとんでもないことが明らかになっていると私も思うわけですが、この附帯決議で
権利
行使をとめることができる、あるいは答弁の
内容
でとめることができるというふうにさんざん喧伝をしてきた政治家、
関係者
がたくさんいるということをここで改めて申し上げなければなりません。 なぜここにこだわっているかというと、一度
文化庁
の方々、
大臣
答弁やあるいは附帯決議で担保できなかったがために痛い目に遭った覚えがあるんじゃないんですか。 具体的に
指摘
を申し上げます。 十年前に
議論
された
レコード
レンタル権の問題のときに、
米国
は
権利
を行使しないという
大臣
答弁やあるいは附帯決議があった上でその
権利
を設定したという経緯がございました。にもかかわらず、結果的には、
米国
の
権利者
は
権利
を行使したという苦い苦い経験が過去の我が
日本
にはあるわけです。だからこそ、そのときの経験からすれば、
大臣
答弁や附帯決議は、何ら現場に拘束力を持たないということが明らかなわけです。 この点の苦い経験を踏まえての今回の取り組みなのかという点でいったときに、今回もまた同じように、
大臣
答弁あるいは附帯決議といったものは効果がないということがここで明らかになっているわけです。この過去の経験を踏まえての今回の取り組みなんですか。
お答え
ください。
素川富司
113
○
素川政府参考人
今
先生
御
指摘
の過去の例というのは、平成三年の
レコード
貸与権
のことかと存じます。そのような理解でよろしゅうございましょうか。 平成三年に、
外国
の
レコード
製作者に
貸与権
を認めた際に、
外国
の
レコード
製作者が、発売後一年間の許諾権を行使するのではないかというような懸念があったわけでございます。
外国
の
レコード
製作者と
日本
の
レコード
製作者との間で、
国内
当事者間の
ルール
に準じた
ルール
を協議中であったということから、当時の
文化庁
といたしましても、この協議が調い、懸念された問題は起きないということを期待していたわけでございます。しかし、結局、この協議というものは調わなかったということで、今
先生
の御
指摘
のようなことがあるのだろうというふうに存じております。 ただし、今回は、
還流
防止の適用のためには複数の
要件
が定められているということ等から、
レコード
貸与権
と同様の結果にはなるものではない、
状況
は違うものというふうに理解しているところでございます。
城井崇
114
○城井委員 今、
状況
は違うという御答弁でしたけれども、どこがどう違うのか、具体的に御
説明
ください。
素川富司
115
○
素川政府参考人
外国
の
レコード
製作者に
貸与権
を認めた場合にどのような行使の仕方をするかということ、具体的に申し上げますと、
法律
で、一年以内の間において禁止、許諾権というものを行使することができるわけでございますけれども、それをどの
期間
行使するかということにつきましては、その
権利者
の
意思
に任されているわけでございます。 ということで、そういう
状況
と比べますと、今回のいわゆる
還流防止措置
が適用されることになるかということにつきましては、
法律
に定めました複数の
要件
、これがすべて満たされなければならないということがございますので、これは
権利者
の
意思
、一存の問題ではないということで、
状況
が違うということを申し上げているわけでございます。
城井崇
116
○城井委員 次長、私の
質問
をきちんと聞いていただいているんでしょうか。お手元にもペーパーでお渡ししていると思うんですが、今比較していただきたいと申し上げたのは、
米国
は
権利
を行使しないという
大臣
答弁や附帯決議があった上でこの
権利
をつくったにもかかわらず、結果的に
米国
の
権利者
が
権利
を行使したという経験の
部分
について申し上げているんです。 この点について同じなのか違うのかといったときに、私はここから学ぶべきだということを申し上げているわけです。この点についてもう一回お願いします。
素川富司
117
○
素川政府参考人
過去の事例というものにつきましては何事も学ぶべきものであると考えておるところでございます。
城井崇
118
○城井委員 今回の
法律案
をつくるに当たって、では、どこを学んでいるんですか。実際、同じことを今繰り返しているだけじゃないんですか。学んだ点を教えてください。
素川富司
119
○
素川政府参考人
過去の事例に学ぶということは必要だと申し上げたのは、このケースが平成三年のケースと同一であるということを申し上げたわけではございません。 先ほどから御
説明
しておりますように、
外国
の
権利者
に
権利
を与えるという
意味
におきましてはその
部分
は共通する
部分
がありますけれども、
レコード
貸与権
につきましては、支分権としての
貸与権
というものを完全に
法律
上
付与
した後、それがどのような
権利
の行使をするかということにつきましては、これは全くその
権利者
の
意思
にゆだねられているわけでございます。 そういう
状況
と、今回のいわゆる
還流防止措置
につきまして
外国
の
権利者
が
権利
行使をすることができるかどうかということは、これは
法律
に定められた
要件
、多くの
要件
をすべてクリアしなければ行使できないという
意味
におきまして、
権利者
の一存で
権利
を行使できるという支分権を完全に与えたというような形態とは
状況
を異にしているということを申し上げたところでございます。
城井崇
120
○城井委員 ここで私が学んでいただきたいと思っていることは、今
お答え
いただいたところではありません。一言で申しましたら、附帯決議やあるいは
大臣
の答弁というものが、この
権利
行使をとめるということに関して担保にはならないという点をまた繰り返してしまうのかという点から学ぶべきだということを申し上げているわけです。
確認
します。附帯決議と
大臣
答弁はこの
権利
行使に関してとめるということについて担保にはならないということでよろしいですね。
素川富司
121
○
素川政府参考人
附帯決議や法案審議における答弁というものは、
先生
から先ほど御
質問
ありましたような法的拘束力を持つかという
意味
においては、それ自体が法的拘束力を持たないということは自明のことであると存じます。 ただ、附帯決議、法案における審議ということにつきましては、これは
政府
として、その
法律
の解釈、運用に当たってそれを踏まえて行うという
意味
におきまして、非常に大きな
意味
を持っているものと存じております。
城井崇
122
○城井委員
お答え
いただいていないと思うので、もう一回だけ聞きます。 附帯決議そして
大臣
答弁というものは、先ほどから申し上げております、
海外
の
著作権者
及び
著作隣接権
者による
権利
の行使をそれをもってとめることはできないという理解でよろしいですか。イエスかノーかでお願いします。
素川富司
123
○
素川政府参考人
それ自体が法的拘束力を、
法律
と同様の法的拘束力を持っていないという
意味
においては、答えはノーということでございますが、それ以外のことにつきましては、先ほど
お答え
したとおりでございます。
城井崇
124
○城井委員 ということは、
海外
の
著作権者
の方々そして
著作隣接権
者の方々は、附帯決議と
大臣
答弁に法的にとらわれないで
権利
を行使することができるということでよろしいですか。
素川富司
125
○
素川政府参考人
法律
の解釈、運用に当たりましては、関係各
政府
当局の担当にその執行する責任があるといいますか、その役割を持たされているところでございます。その
法律
の解釈、運用に当たりましては、この附帯決議を踏まえて行うこと、そして法案審議の答弁というものを踏まえて行うということは当然のことでございますので、そういう
意味
におきましては、
法律
の具体的な運用におきまして非常に大きな意義を持つものであると考えております。
城井崇
126
○城井委員 時間が参りましたので
質問
を終えたいと
思い
ますが、最後に一言申し上げます。 今の点、やはり答えていただいていないと思っています。そして、私のこの
質疑
の中での答弁で明らかになったことは、非常に大きなことがたくさんあると思っています。これまで
権利
行使は心配ないということで
説明
がされていたにもかかわらず、その
理由
となっていた
部分
、例えばその判断をする基準、著しいかどうかという判断をする基準が全くもって明らかになっていない、資料すら本日出されていない、事前に通告していたにもかかわらずです。そして、それに加えて、これまで大丈夫だという
理由
にしてきた附帯決議も、そして
大臣
答弁も何ら役に立たないということも明らかになったということで、非常に大きな点だと
思い
ます。 このほかの点にも問題はたくさんあると
思い
ます。残りは仲間の皆さんから
質問
していただくということにさせていただいて、私の
質問
を終わります。 ありがとうございました。
池坊保子
127
○
池坊委員長
午後一時から
委員会
を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時六分休憩 ————◇————— 午後一時三分
開議
池坊保子
128
○
池坊委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。
質疑
を続行いたします。
肥田美代子
君。
肥田美代子
129
○肥田委員 民主党の
肥田美代子
でございます。
著作権法
改正
案に関連して
質問
いたしますので、よろしくお願いいたします。 まず最初に、
改正
案提出の
理由
についてお尋ねします。
日本
はこれまで、自由貿易の
立場
から、
輸入
権の設定は行わずに今日に至ってまいりました。二〇〇〇年に
著作権
が
改正
され、
譲渡権
が新設されたときも、国際消尽というシステムを採用いたしました。これは、これまでの
日本
の
立場
をよく示しているのではないかと
思い
ます。 今回の
還流
防止策は、限定されたものとはいえ、国際取引の枠組みを変更することになります。ですから、
外国
製
レコード
の
還流
防止の
導入
にはそれ相当の
理由
があったと
思い
ますが、現時点で
法改正
を急がなければならない
理由
はどこにあったんでしょうか。
河村建夫
130
○河村国務
大臣
肥田
先生
言われるように、本来、貿易自由ですから、まさに一切
法律
なしで自由にやりとりするというのが本来だろうと私も思っております。 今回の場合は、
日本
の
音楽
といいますか、特に
日本人
歌手の
レコード
、大変
人気
があって、そして
アジア
の
諸国
でも、ぜひそれを聞きたい、欲しいという声がだんだん高まってきましたから、これによって、その
権利者
の
ライセンス
を受けて向こうで発売をするということが起きて、数字的にも、二〇〇二年だけでも四百六十五万枚もある。 ところが、売れ残ったといいますか、逆にそれが今度は
日本
へ入ってきて、
日本
で安く買えるようになってしまった。こういうことになりますと、先ほど来
議論
があります、どのぐらい安くなったらどうなんだという問題はありますが、例えば半分とかそれ以下になるなんということになると、こっちにおられる
日本
の歌手にしてもそうでありますし、また作曲家もそうでありましょう、
日本
で売れていたら当然得るべき
権利
が半額以下になってしまうようなケースが起きるということが現実にあったものでありますから、これはいろいろな角度から考えてやはりとめざるを得ない。 既に諸
外国
はそういうことをきちっとやっておられるということも踏まえて、今回
還流
を阻止しようということで、いわゆる
輸入
権ということではなくて、あくまでもこれは
還流
を防止するんだという視点に立って作詞家、作曲家、歌手、
レコード
製作者の
権利
を守っていこう、そして同時に
日本
の
音楽文化
の
海外
普及も促進していこう、こういうねらいが、今回この
法改正
を行わなければならなくなった、また
法改正
のねらいであるわけであります。
肥田美代子
131
○肥田委員
日本レコード協会
の調べでは、
日本
の
音楽
家の
レコード
は
日本
国内
で年間一億七千万枚が売られ、
還流
CD
は六十八万枚、他方、
並行輸入
で
日本
国内
に入ってくる
洋楽
の
レコード
、
CD
は六千万枚と言われております。 この法案は、
アジア
各国でつくられた
日本
の
音楽
家の
レコード
が安価で
日本
の
音楽
市場
に
還流
してくるのを防ぐためのものとされておりますが、
外国
製
レコード
の
還流
を放置した場合、
日本
の
音楽
産業
に与える
影響
はどのようなものと認識しておられますか。今、少し
お答え
いただきましたが、もう一度お願いいたします。
稲葉大和
132
○稲葉副
大臣
大臣
からもお話しいただきますが、今、
アジア
の国と
我が国
の
物価
の格差、これを原因としまして
我が国
に
還流
される
レコード
は、今
先生
御
指摘
のようにおよそ六十八万枚、こう推定されているわけであります。この
レコード
が、通常の、
正規
の
価格
によって
国内
に頒布されるのであれば憂えることはないのでありますが、その
価格
が不当に安価に設定されている、そういうことから本来
国内
で売れるべき
レコード
の枚数が極端に減少している、こういう現状がございます。この減少によって、
レコード
の製作者あるいは作詞者、作曲家、また現に歌い手さん、あるいは演奏家といった方々の経済的な
利益
が大変害されている現象があります。 このような
還流
の悪
影響
によりまして、今急激に要望が上がってきております、
アジア
の
諸国
においての
日本
の演奏家の要望が強いにもかかわらず、
我が国
の
音楽
関係者
、
音楽
家の方々が
海外
で活動する気持ちをちゅうちょさせている、こういう
影響
が大なものですから、今回、
還流防止措置
をとらせていただこう、こういうことになるわけであります。
肥田美代子
133
○肥田委員 ただいまの答弁に関連いたしますけれども、
日本
に
還流
してきた
レコード
が安価に
販売
されると
権利者
の経済的
利益
に大きな
影響
を与えることは
一定
の理解ができます。ただ、
還流防止措置
をとらなかった場合、
消費者
はどんな
影響
を受けますか。
素川富司
134
○
素川政府参考人
我が国
の
レコード
が
海外
、東南
アジア
の国におきまして
ライセンス生産
されたということについて、特に
我が国
に
法律
上の
還流防止措置
がなかった場合には、それは、その
レコード
がそのまま
国内
に入ってきて、それが
国内
で頒布される。それは
日本
の
国内
盤よりも、一般的には、
アジア
の
諸国
で
ライセンス生産
されたものでございますから
価格
は低いわけでございますから、そういうものを
消費者
が購入するという
状況
が生まれてこようと
思い
ます。
肥田美代子
135
○肥田委員
国民
の間には、規制が、
還流
に限らず、
世界
各国から
輸入
される
音楽
家の
レコード
も
対象
にされるという疑問を払拭できないでおられます。
音楽文化
の衰退を招くという懸念の声もございます。 そもそも
著作権法
を
改正
しなければ
外国
製
レコード
の
還流
防止はできないものかどうか、改めてお伺いいたします。
稲葉大和
136
○稲葉副
大臣
先生
の御
質問
でありますが、現状におきまして、通常、
権利者
は、
国外
において
音楽レコード
の
販売
の
ライセンス
を与える場合には、当該
ライセンス
を受けた人たち、あるいは
権利者
の地域の中で
販売
する、こういった条件を付して契約を結ぶのが通例であります。しかしながら、御存じのように、この契約というのは当事者間のみを拘束するものでありまして、その
ライセンス
を受けた受権者からさらに
販売
を受けたり、あるいは
音楽レコード
等を譲り受けた者、転々としていく、渡り歩いていく、そういった先々の者に対しましては、この条件が効力が及ばない、こういうような
実態
になっております。 したがって、先へ行けば行くほど、これらの人たちは
日本
に向けて
販売
することが、その
可能性
が強くなってくるわけでありまして、ここでは、その当事者、契約者のみならず第三者がこういった
音楽レコード
等を
販売
することを禁止するために、
還流
を防止するためには、やはり今回の
法改正
をもって、そこで第三者に対する規制をかけさせていただかなければならなくなってくるわけであります。
肥田美代子
137
○肥田委員 それでは、国際的な動向について伺いたいと
思い
ます。
文化庁
の
説明
によりますと、同様の
制度
を
導入
している国の数は六十五カ国、そのうち先進国が二十五カ国、そのようにおっしゃっていらっしゃいます。ただ、以前は、たしか先進国で十カ国以下という
説明
を私は
文化庁
から聞いております。 これについて、急に
先進諸国
が
法改正
を行ったのかと思ってちょっと調べてみました。そうしますと、
文化庁
が最近になって使い出した二十五の先進国という数字は、
EU
加盟国
がカウントされているようでございます。
EU
の場合は、今回の法案のような各国それぞれへの
還流
が
対象
ではなくて、
EU
域内への
還流
が
対象
であるはずでございます。伺うところによりますと、これは
制度
の
導入
に当たりまして、
EU
加盟国
内で強く反対する国が少なくなく、結果として、各国それぞれへの
還流
はとめないが
EU
域内全体への
還流
はとめる、そういう妥協案が採択されたものだと聞いております。 つまり、この
EU
の
制度
であれば、例えばポルトガルやギリシャなど
EU
域内の
物価
の安い国から
物価
の高い国への流れはとまらない、すなわち、
消費者
は
EU
域内であれば安い商品を選べるという
制度
でございます。 これを同様の
制度
と呼ぶのであれば、
日本
の場合は、例えば東
アジア
地域への
還流
の防止、そういう
制度
になるはずでございます。
中国
や韓国からの
還流
はとめないということになるはずでございます。これは、どう考えても、同様の
制度
を
導入
している国が多いですよということを強調するための数字の操作であるように思えてならないんです。 そこで、まずお尋ねしたいと
思い
ます。国際的な事実関係を正しく把握するために伺いたいと
思い
ます。今回の法案と同様に、
EU
とか東
アジア
とかの複数の国にまたがる地域ではなく、国ごとの
還流
防止を法定している先進国は実際には幾つあるでしょうか。
素川富司
138
○
素川政府参考人
お答え
申し上げます。
EU
につきましては、先ほど国の数がふえたということもあるわけでございます。 まず、北
アメリカ
では、
アメリカ
とカナダというのがございます。それから、二十五カ国というふうに申し上げていた中では、スロバキア、チェコ、トルコ、ハンガリー、ポーランドという国が具体的な国として挙がってまいりました。 ポーランドにつきましては、
EU
への加盟というのを前提としていたと
思い
ますので、ポーランドについては、従前から域内への
輸入
というものをコントロールしていたというふうに整理しているところでございます。
肥田美代子
139
○肥田委員 だから、二十五の先進国という数字はそれで正しいのか、それと、今私が
質問
させていただきました国ごとの
還流
防止を法定している先進国は何カ国あるかということにはっきり
お答え
いただきたいと
思い
ます。
素川富司
140
○
素川政府参考人
EU
が拡大します前までは六カ国でございました。
EU
が拡大した後の
制度改正
というものはどのようになっているかということは、ちょっと今手元にございませんけれども、
EU
が十五カ国であった数カ月前までにつきましては、今手元のデータでは六カ国ということでございます。
肥田美代子
141
○肥田委員 では、今の
お答え
は六カ国ということでいいですね。私はきのう
質問
を通達いたしておりますので。六カ国でいいですね。 他国の事例は確かに参考にはなりますけれども、
日本
の法制は
日本
の国会がつくるわけでございますから、数字の多寡に
影響
されることはないと思うんですよ。ですから、数字の粉飾と誤解されるような、
文化庁
にとっても不本意なことはやはりなさらないで、国会に正しいデータを提供してくださるように、ぜひお願い申し上げたいと
思い
ます。 ところで、
著作権
につきまとう悩ましさ、専門家の人たちがよく言われますように、できるだけ
権利
を弱くしたい、自由に使いたいという利用者側と、できるだけ
権利
を強くしたいという
権利者側
の間に常に対立関係が存在します。このため
文化庁
は、審議会の
議論
、検討や法案作成に先立ち、
関係者
間の協議を重視してこられました。昨年の、拡大教科書、そして児童生徒によるコピー、遠隔授業での教材の送信、インターネット試験における問題送信、
映画
の
保護期間
の延長という五項目の
法改正
に当たりましても、
文化庁
があらかじめ
法改正
の
内容
を決めたのではなく、
関係者
間の協議を先行させ、その協議を受けて法案が作成されたことを私は承知いたしております。 そうした協議の促進によって、対立する
権利者
、利用者間の感情的なこだわり、わだかまりが軽減されます。また、誤解が解消されます。双方の事情や
立場
に対する理解がお互いに深まって、
法改正
しなくても契約での対応をしようという合意形成がされるなど、建設的な話し合いが大きくこれまでも進展してまいりました。
法改正
につきましても、こうした協議の促進によって大きな効果が上がり、幾つもの
法改正
が混乱なく進められてきたと私は理解をいたしております。 民主的な手続に、確かに時間はかかりますけれども、しかし、それが民主主義
社会
の理想的な姿だと
思い
ます。
文化庁
は、
著作権法
改正
に当たって、今後とも、審議会での検討や法案作成の前に、すべての関係
団体
間の協議の促進と合意形成に努めるという基本方針は変えない、
大臣
、この理解でいいですね。
河村建夫
142
○河村国務
大臣
まさに大事な視点でございます。特に
著作権
となりますと、これは、公的
権利
ではなくて私権でございます、個人についている
権利
。したがって、
著作権
の
保護
を強化しようとすれば、逆に、
著作物
を利用する方々から見れば、これは
権利
を制限しようとしたってだめだという反対
意見
が出る。どちらからも反対
意見
があり得る、そういう
権利
であります。そういう
特徴
をこの
著作権
は持っておるわけでございます。 そのために、
文化庁
では、ただいま御
指摘
いただきましたように、
著作権
制度
の
改正
を検討するに当たりましては、まさに関係する
権利
を業として取り扱う
関係者
、そのうち
制度改正
に賛成する者と反対する者、これは十分協議を行っていただいた上で、原則としてそれが調ったものから
文化審議会
において具体的な検討をいただく、こういう手順をとってきたところでございます。
肥田美代子
143
○肥田委員 繰り返しになりますけれども、審議会での検討や法案作成の前にすべての関係
団体
間の協議の促進と合意形成に努める、そういうことでよろしいですね、
大臣
。
確認
させていただきます。
河村建夫
144
○河村国務
大臣
そういうことでございます。
肥田美代子
145
○肥田委員 私は、今回の
レコード
の
還流防止措置
に対する
法改正
の必要性について理解はいたしております。ただ、法案作成のプロセスには少々疑問を持っております。
消費者
団体
の
意見
は、審議会の場やヒアリングでお聞きになったそうでございます。これは聞いております。これは当然なことであります。しかし、
文化審議会
著作権分科会
は、
法改正
を要望する
団体
と
法改正
に反対する
団体
との合意形成がなされた事項のみ検討事項として取り上げることにしておりますから、今回、協議先としての消費
団体
が含まれなかったことに私は大変不思議な
思い
を持っております。
消費者
団体
の間には、合意
内容
もさることながら、協議プロセス、合意形成過程に強い
不満
があるようでございましたが、こうした
不満
をどう解決されるおつもりでいらっしゃいますか。
稲葉大和
146
○稲葉副
大臣
肥田
先生
御
指摘
の点は、ごもっともなことも多く含んでおると私も承知いたします。 ただ、この法案を作成するに当たりまして、さまざまな関係
団体
との協議の上でこの法案が作成されたもの、この経緯については
先生
が今お話しくださったとおりだと思っております。 ですから、
日本
音楽
著作権
協会あるいは芸能実演家
団体
協議会、
日本レコード協会
、いわば
著作権
を持っている方々、
権利者
と、その対抗関係にあると申し上げてもよろしいでしょう、
日本
経済
団体
連合会との協議が行われた上でこの法案の骨子、下地をこしらえてきたところでありまして、その段階において、
文化審議会
あるいは
著作権分科会
が開催され、その経過の中で、
消費者
団体
、
消費者
の方々のお声というものから、形も反映させていただいたものと私たちは受けとめております。 あるいは、
先生
からおっしゃられればまだ不十分な点が多々あるんだ、こういう御
指摘
でありましょうが、私どもとしましては、精いっぱい、できる限り、
消費者
のニーズ、お声をこの法案に反映してきたもの、こう確信しております。
肥田美代子
147
○肥田委員 もちろん、一億人以上のすべての
国民
を
対象
として協議を行いましたり合意形成を法案作成の前提とすることは、確かに不可能でございます。また、不適切だとも思っております。 昨年そして一昨年の
文化庁
の
説明
では、そうした協議の主体となる
団体
は限定しない、またすべての関係
団体
の間で合意形成が達成されなければ法案
改正
はしない、こういうことを基本方針としてもうずっと伺っております。この方針が変更されたとは私は決して
思い
ません。 本来は、
消費者
団体
も含めたすべての関係
団体
間の合意形成を時間をかけてじっくりと行うべきだったと
思い
ます。一部では、
文化庁
が言う
関係者
には
消費者
団体
は含まれないとか、協議を行う
団体
は当初に協議を開始した
団体
に限るなどとも言われているようでございますけれども、これは昨年、一昨年に
文化庁
から伺った
説明
とは明らかに異なっております。 例えば、いわゆる
版面権
、これについて平成二年には既に審議会で方向性が出されているわけでございますが、その後になって、経団連など他の関係
団体
が反対を表明したということで、さらに関係
団体
間の協議が続いております。 先ほど
大臣
に御答弁いただきました、
著作権
の問題についてはこうした従来からの考え方を維持、踏襲、基本的には審議会での審議や法案作成の前にすべての関係
団体
による協議や合意形成に最大
努力
をしていくということでございますから、私としては、今回のやり方はあくまでも例外的であり、緊急避難的なものであると思っております。 そこで、
大臣
にお尋ねしたいと
思い
ますが、今後は、これまでの基本方針どおり、
消費者
団体
も含め、広く多くの関係
団体
による協議と合意形成の達成を法案作成の前提となさるということで理解させていただきます。
大臣
、それには異存ございませんね。
河村建夫
148
○河村国務
大臣
これまでもそういう方針でやってきたつもりでございますし、審議会においては、
消費者
利益
の観点も必要でございます、
消費者
団体
選出委員に御協力いただく。そういう点で、
消費者
利益
の観点からも十分御審議をいただきながら、この
著作権
に関する限りは
著作権分科会
あるいは法制問題小
委員会
報告書
、こういうところで審議をいただいてまいりまして、御
指摘
の点を踏まえて、これからもきちっと、それぞれの
団体
、賛成の
団体
、反対の
団体
、両方から
意見
を聞いてまとまったものを法案にして出していく、こういう方針に変わりはございません。
肥田美代子
149
○肥田委員
大臣
、もう一度確かめさせていただきます。 確かに、審議会で話を聞くのは当たり前なんですよ。ところが、その法案作成の前に、審議会での審議とか法案作成の前にすべての関係
団体
による協議を行うというのがこれまでの
文化庁
のよき習慣でございました。それが今回は守られていなかったということを私は申し上げているんです。 ですから、もう一度原点に戻って、そういうことで、
消費者
団体
も加える、多くの関係
団体
による協議を合意形成前にやるということをもう一度
お答え
いただきたいと
思い
ます。お役人はいろいろおっしゃると
思い
ますけれども、これは
大臣
、とても大事なことなんです。お願いします。
河村建夫
150
○河村国務
大臣
先ほど来御答弁申し上げましたように、御
意見
を伺い、また、
利益
相反、両者の
調整
といいますか、
意見
がまとまった点について法案化していくという方向でこれからもやってまいりたいと
思い
ます。
肥田美代子
151
○肥田委員 では、法案作成前にあらゆる関係
団体
と話し合ってくださるということでよろしゅうございますね。——はい。ありがとうございます。
政府
は、この間、
音楽レコード
の
還流防止措置
の
対象
に洋盤が含まれる旨の答弁を行っております。これは洋盤の
輸入
規制を行うということでございますが、
音楽
評論家や
音楽
ファンの間には、洋盤
輸入
規制で
音楽文化
は衰退し、
音楽
ファンに不
利益
をもたらすという厳しい
指摘
がありますし、当
委員会
でもいろいろ厳しい
質問
が出ておりますけれども、この法案の中でこうした
音楽
ファンの
利益
はどう担保されていくんでしょうか。
稲葉大和
152
○稲葉副
大臣
今さら
先生
に、洋盤
レコード
もこの中から外していくんだということが原則論からしまして難しいということは御
説明
申し上げるまでもないかと
思い
ます。それを踏まえて
先生
の御
質問
だと
思い
ますので、
お答え
させていただきます。 この法案につきましては、条件をかなり厳しく設定させていただいたと思っております。その中の項目として、午前中、
議論
を大分熱心に行っていただきましたが、不当に
権利
侵害がなされないようにという項目があるわけで、この項目から、そこから敷衍しますと、
我が国
の
物価水準
、
言葉
が出ましたが、それと
外国
の
物価水準
との、そのレベルがさほどに違いのない国、特に洋盤
レコード
を出しておられる
アメリカ
、
イギリス
、
ドイツ
、
フランス
、こういった主要国からしますと、
国内
に入ってくる洋盤
レコード
の約九五%がこの国の作品だ、こういうことでありまして、こういうことからしますと、その
物価水準
にさほどの違いがない、この
実態
からしますと、この制限に五つの項目を設けておりますが、その項目から、この洋盤
レコード
が
輸入
規制にかかってしまうんじゃないか、こういう心配はほとんどない、九五%でありますから。こういうことを私たちは
実態
として把握しております。 また、現実に実務の面におきましても、恐らく、水際で税関で調べて、その実物についてはそこでストップをかける、こういうことになるのでありましょうから、我が文科省としましても、税関当局あるいは関係の部局とよく御相談を申し上げ、あるいは御
説明
を申し上げ、運用についても十分最大の注意を払いながら、今まで洋盤
レコード
が自由に
日本
に
輸入
された、これと同じような結果をもたらしていきたい、こう考えております。
肥田美代子
153
○肥田委員 今御答弁いただきましたけれども、ここのところがこの
法律
で
消費者
が一番心配しているところでございます。 あと二日間、まだこの審議の時間がございますので、我が同僚議員からいろいろとこの点につきましては厳しく詰めさせていただくことになろうかと
思い
ますので、よろしくお願いいたします。
改正
案第百十三条第五項で、
著作権
または
著作隣接権
を侵害する
行為
として、
利益
が不当に害される場合に限ると記述しておりますが、具体的にはどのような場合に
利益
を害されることになるのか、その指針、基準をお伺いしておきたいと
思い
ます。
素川富司
154
○
素川政府参考人
権利者
の得ることが見込まれる
利益
が不当に害されることと申しますのは、
権利者
に与える
経済的影響
を考慮して判断するということになるわけでございますけれども、具体的には、専ら
国外
において頒布することを
目的
とする
レコード
が
国外
で
販売
されることにより得られる
利益
というものと、
国内
において頒布することを
目的
とする
レコード
が
国内
で
販売
されることにより得られる
利益
、この差を基準にして判断されるものと考えております。 いわゆる
還流
問題につきましては、
物価
の安い国からの
還流
レコード
が
国内
で
販売
されることにより、
国内
販売
されている
レコード
の売り上げが減少し、
権利者
に
利益
が還元されなくなってしまうという問題であります。したがって、基本的に、その
利益
の差が著しい場合に限り、この
利益
が不当に害されることとなるというふうに整理させていただいておるところでございます。
肥田美代子
155
○肥田委員 先ほどの私の
質問
にも関連いたしますけれども、
改正
案に対する参議院の附帯決議、これは、
洋楽
の商業用
レコード
について、
還流防止措置
が行使されることなどにより、著しく
消費者
の
利益
が侵害される事態が発生したときは、本法の見直しを含め、再検討することとなっております。 本法案には
還流防止措置
の見直しについて明記されていませんが、参議院決議の尊重という
意味
からも、
法改正
が広範に
影響
を与えることが想定されますことから、将来見直しを行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。見直しを行うとすれば、いつごろが想定されますか。
河村建夫
156
○河村国務
大臣
本件、この法案が成立をいたしまして施行される、その後において洋盤の
音楽レコード
の
還流
実態
、これは大きな
変化
がある、こういうような場合で、
消費者
の
利益
が非常に損なわれるという現実があれば、これは、この
状況
は調査したり検証したり、またその結果を見て必要な
措置
を講じる、これは参議院の附帯決議、合意されたことでもございます。また、
政府
もそれにきちっと対応していかなきゃいかぬ、こう思っております。
肥田美代子
157
○肥田委員 ただいまの答弁の中で、見直しという点は、本来は法案の附則などの中に明記されるべきものと考えますが、提出されている法案の中には明記されていないため、この場で再
確認
しておきたいと
思い
ます。
政府
として、この
制度
はとりあえず暫定的に行うものであって、数年後に見直すということで、繰り返しになりますが、
大臣
、これでよろしいですね。
河村建夫
158
○河村国務
大臣
今、数年後だとおっしゃいましたけれども、この現状、法案成立後に、それは変則の事態がそのときにすぐ起これば、検討に入らなきゃいけないでしょう。 しかし、これまでの
参考人
の方々の
意見
、あるいは
アメリカ
の
状況
、そういうものをずっと考えてきたときに、この法案によって皆さんの御懸念は払拭される、こう思って法案をお出ししておるわけでありまして、ではこれからいつ見直すかとか、そういうことは想定をしていないわけであります。
肥田美代子
159
○肥田委員 では、いつ見直すかということは
お答え
くださらなくても結構でございますが、これが暫定
措置
であって、しっかりと見直して、見直しを実施していきたい、そのことについては、
大臣
、これでいいですね。
河村建夫
160
○河村国務
大臣
これはもう参議院の附帯決議にもきちっとうたっていただいておりますし、私も答弁でそういうことを申し上げてきておるわけでありますから、おっしゃるとおり、問題が現実に起きたということであれば対応していくということは明言しているところでございます。
肥田美代子
161
○肥田委員 恐縮です、
言葉
にこだわるようでございますけれども、暫定の
措置
という理解でよろしゅうございますね。
河村建夫
162
○河村国務
大臣
暫定といいますと、そういうことがいずれ起きるが、とりあえずこれでいこうというふうにとられる
可能性
がある。暫定というよりも、この
還流
をとめる、その手だて、これがまず最優先するんだということでいったわけであります。その後の不測の事態については、きちっと対応しましょう、また対応すべきである、こういう御
意見
でありますから、それに対してはきちっと対応してまいります、こういうことでございます。
肥田美代子
163
○肥田委員 私が先ほど、いつごろに見直しをなさいますかと伺ったときに、その
期間
は申し上げられませんと
大臣
がおっしゃったものですから、それならば暫定という
言葉
で私が理解させていただくほかないからお尋ねしているんですが、それでいいですか。
河村建夫
164
○河村国務
大臣
肥田
先生
の暫定というのが、将来、
輸入
の
実態
が大きな
変化
が起きて
消費者
の
利益
が損なわれるということが万が一あれば、それを暫定とおっしゃるんなら、そういう
意味
ならば、そういうときには我々はきちっと見直しをしなきゃならぬ、また参議院においてもきちっと見直すという附帯決議をいただいておりますから、それに対してはきちっと見直し、対応
措置
はとります、こういうことでございます。 この暫定という、肥田
先生
のおっしゃる暫定という
意味
が私にとって、とりあえずこれでスタートを、もちろん
還流
という大きな
目的
がございますから、そういうとられ方をするかもしれませんが、これは
一つ
の
法律
として完結したものとしてお出しをしているわけでありまして、しかし、将来の、皆さんいろいろ御
指摘
をいただいた点、これはいろいろな法案にも附帯決議がつくものでございます。それはきちっと
政府
として対応していかなきゃいかぬ、こういう考え方でございます。
肥田美代子
165
○肥田委員 では、暫定とはあれですけれども、要するに、見直しすることはやぶさかでないというふうに伺っていいですね。——はい、わかりました。 次に、
書籍
、
雑誌
の
貸与権
についてお尋ねします。 私は、活字
文化
を担うものとして、
書籍
、
雑誌
に
貸与権
を認めることについては肯定的な受けとめ方をしております。しかし、昭和五十九年に貸し
レコード
には
貸与権
が設定された、そのときに
書籍
、
雑誌
については、貸し本屋の
歴史
が長いことや大きな経済的
利益
を上げていないことから、
経過措置
がとられてきた経過がございます。その
趣旨
は伝統的な貸し本屋の営業を維持するということに尽きると
思い
ますが、今回の法案で貸与が禁止されることになりますと、伝統的な
貸し本業
は大きな
影響
を受けることになると
思い
ます。 貸し本屋は出版
文化
の底辺を支えてまいりました。本を買うほどの経済的ゆとりのないあのころの
国民
にとって、活字
文化
と出会う場所として日常生活の中へ溶け込んできた、伝統
文化
だとさえ私は思っております。小規模な経営ですから、その消長は出版事情や読者の生活の
変化
に大きく左右されますけれども、読者の底辺を広げたことは確かでございます。 しかし、
貸与権
が確立されますと、小規模自営業者は大きな打撃を受けることになります。ですから、大手のレンタル屋と自営の
貸し本業
とは区別して考えるべきだと思っております。法案提案者の
文化庁
は、零細な伝統的な貸し本屋の役割をどう位置づけておられるか、また
貸与権
は零細貸し本にも
対象
とされますのか、お尋ねをいたしたいと
思い
ます。
河村建夫
166
○河村国務
大臣
御
指摘
の点でございますが、貸し本屋は
書籍等
の貸与を営利、有料で行うということでありまして、これは江戸
時代
から長い
歴史
を持っている、御
指摘
のとおりでございます。昭和三十年代以降になりまして、主に貸し本
漫画
によって
漫画
文化
の普及に
一定
の役割を果たしてきた、このことが
評価
されております。 このように、昔ながらの
貸し本業
者も、現在でも全国に百余りある、こういうふうに調査がされておりますが、この古い、昔からやっておられる、しかし零細的な企業、そういうことと今の大規模で始まったというこの公平性の観点、こういうことを考えますと、法制上からいうと、営業規模の小さい、御
指摘
のような伝統的な貸し本屋、しかし規模が小さい、最近
人気
の出てきたコミックなんかを扱った、大量に品ぞろえをして貸与を行う新しい大型の
貸し本業
者といいますか、その取り扱いを法制的に区別するのはなかなかできない。
貸与権
というのは、営業規模の小さい、旧来の貸し本屋にも及ぶという点がございます。 しかし、
権利者
であります
漫画
家の方あるいは作家を含めて、約四千八百名の方々が
貸与権
連絡協議会というのをお持ちでございます。そこで、平成十二年一月一日以前に貸し本屋として営業を開始し、転廃業などせずに営業を継続している店舗、それから二点目として、店舗の貸し出し
対象
書籍
が一万冊以下である小さい店舗であることを満たす
貸し本業
者については、
著作者
に与える
経済的影響
が少ないことから、新たに購入する
書籍等
について無償で許諾をするなど、これまでどおり
貸し本業
を営むことができるようなものをきちっと表明されております。そういうことで、小規模の貸し本屋さんがそれによって営業廃止に持ち込まれることのないような観点、これは協議がきちっとされておるということを受けて、今回、本案を提出させていただいた、こういうことであります。
肥田美代子
167
○肥田委員
貸与権
の問題は
日本
の活字
文化
のありようとも深くかかわっていると
思い
ますが、今
大臣
がおっしゃいましたように、関係
団体
の合意は極めて重要な
意味
を持ってくると
思い
ます。 例えば、
貸与権
連絡協議会、それから全国貸本連合会、あるいはコミックレンタル有志の会は、それぞれ
利害
を持つわけでございますが、
関係者
の協議が調わなければ法案提出の正当性が疑われることになりますけれども、どのような合意が行われておりますか。
素川富司
168
○
素川政府参考人
お答え
申し上げます。
書籍
、
雑誌
の
貸与権
につきましては、
権利者
である
漫画
家、作家等により構成されます
貸与権
連絡協議会と関係の資し本業者の
団体
との間で協議が行われたわけでございます。 具体的には、旧来の
貸し本業
者であります全国貸本組合連合会及び東京都図書商業組合から、
貸与権
連絡協議会が行っている
著作権法
の附則第四条の二、
書籍等
の貸与についての
経過措置
の廃止を求める運動の
趣旨
を理解し、これに反対する運動は行わない旨の同意が行われたものと承知しているところでございます。 なお、別途、大手のレンタル業者との協議を行い、
書籍
、
雑誌
等の暫定
措置
の廃止についての
法改正
を行うことについて理解を得ているものと聞いているところでございます。
肥田美代子
169
○肥田委員 レンタルに限らず、本にかかわる
著作権
の
課題
としましては、図書館から貸し出す公共貸出権の
導入
、それから中古
書籍
の流通、
漫画
喫茶の展示権などが問題になってまいりますが、これらの
課題
には一般の図書館利用者や一般の
消費者
が深くかかわってまいります。それぞれどのような検討
状況
になっているか、お尋ねしたいと
思い
ます。
素川富司
170
○
素川政府参考人
今三点につきまして、検討
状況
について御
質問
があったと存じております。 まず、図書館からの貸し出しにつきまして、
著作者
が補償金を受けることができる
権利
、いわゆる公共
貸与権
、これを
書籍等
に拡大するという点につきましては、平成十四年度の
文化審議会
の
著作権分科会
におきまして検討が行われ、何らかの補償金
制度
ということを
導入
することについては反対の
意見
がなく、理解が示されたというところでございます。 ただし、このことにつきましては、
権利者
、図書館側双方に具体的な補償金
制度
のあり方について検討したいという意向があるということでございまして、
分科会
におきましてもその検討を見守るということといたしまして、その結論が得られた段階で改めて必要な具体的な検討を行うことが必要であるというふうにされているところでございます。 次に、中古
書籍
の流通につきましては、
著作権
に係る
国際条約
でございますとか、諸
外国
の
著作権法
におきましては、一般的に、一度合法的に
販売
されたものについては
譲渡権
は消滅するという考え方がとられているところでございます。そういうことで、
中古品
の
著作物
の流通につきましては、諸
外国
におきましても
著作権法
によって規制した例はなく、
著作権
自体の問題として整理することは難しいというのが国際的に広く共有された考え方でありますが、
権利
の
付与
を求める
権利者
団体
とそれに反対しておられます利用者の
団体
におきまして、現在協議が行われつつあるところと聞いているところでございます。 さらに、第三点目の、
漫画
喫茶で
漫画
を自由に閲覧させるということにつきましては、これは
漫画
の
販売
に大きな
影響
を与えるということで、その展示権というものの拡大を求める御要望があるということにつきましては承知いたしております。 しかしながら、この展示権の拡大につきましては、例えば
漫画
喫茶以外に置かれている
雑誌
等、その
対象
とすべき範囲でございますとか、その
著作物
を使用する
行為
について
権利
を及ぼすことによります
影響
など、検討すべき
課題
は非常に多うございます。 そのようなことから、この問題については、
関係者
の間におきまして、
利益
の一部を還元する方法などにつきまして協議が進められていると承知しているところでございます。
肥田美代子
171
○肥田委員 私も童話作家の端くれでございますから、自分の書いた童話が信じられないような
価格
で貸し出されると少し寂しいなという気が実際するわけでございますけれども。 コミック単行本の新刊書を数万冊単位で購入して、わずか十円とか五十円で数日間貸し出すという大手
レンタルブック店
が全国で拡大する、その傾向にもございます。 こうした傾向が広がりますと、出版社はやはり多種多様な
書籍
、
雑誌
の発行が困難になりますし、文学的、学術的に価値の高い本や専門書の発行が難しくなることも考えられます。それが結果的には出版
文化
の衰退を招くということのおそれはございます。もちろん、本法案は貸し本屋を廃業させるのが
目的
ではございませんから、作家や書店、出版社と
貸し本業
者との共存共栄を図ることが最も肝心なことだと思っております。ですから、適正な許諾料、新刊本の扱いなど、適正な
ルール
をきちんと定めることが必要だと
思い
ますが、
立法
者の
文化庁
としては、この点、どのようにお考えでいらっしゃいますか。
河村建夫
172
○河村国務
大臣
まさに
日本
の出版
文化
を支えておる作家の皆さん方、もちろんそれを読む読者、そういうものがうまくかみ合わなきゃならぬわけでございますが、まさにそうした適正な
ルール
の必要性について、コミック作家とか文芸作家などの
著作者
団体
と出版社
団体
で構成いたします
貸与権
連絡協議会、これは、
法改正
後も引き続き
貸し本業
者がコミック、小説等の貸与を行えるように、
権利者
の了解を容易に得ることができる集中管理体制、これを整備することによって対応する、こういう方向を示されております。 具体的には、
著作者
団体
などは、
貸与権
を集中管理する
団体
として、これは仮称でございますが、出版物
貸与権
管理センター、これを設立して、その
団体
へ、コミック作家、文芸作家など約四千八百名おられる方々が
権利
行使の委託をする予定だと聞いております。 現在、管理業務の方法等については、
貸し本業
者の代表でございます
日本
コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合とも協議をしながら
内容
の詳細について検討しておるところだ、こういう
状況
にあるわけでございます。 御
指摘
いただきましたように、許諾等の適正な
ルールづくり
、これは非常に私も重要な点であると思っております。関係いたします
文化庁
、
文部科学
省といたしましても、
関係者
間の協議が円滑に進みますように、必要に応じて積極的に指導助言、これは当然していかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
肥田美代子
173
○肥田委員 ところで、
アメリカ
には
貸与権
という
権利
が存在いたしません。
レコード
とコンピュータープログラムについては、頒布権の消尽の例外扱いとして規定されております。
日本
政府
は、
アメリカ
の
著作権
に
貸与権
の規定がないため、外交ルートを通じて送信可能化権の明記や実演家の
著作隣接権
、放送事業者の
著作隣接権
の
保護
、人格権の
保護
拡大、
貸与権
の明記など改善要求を提出されておりますけれども、
アメリカ
側の反応はいかがなものでしょうか。
河村建夫
174
○河村国務
大臣
著作権
の関連条約では
貸与権
の
付与
が規定をされておりますが、その
貸与権
の
対象
が、コンピュータープログラム、
映画
、
レコード
、これに収録された
著作物
に限定をされておるわけでございまして、したがいまして、
書籍
の
貸与権
の
付与
は条約上義務づけられていないということでございます。
日本
といたしましても、特段
米国
に対して
書籍
の
貸与権
の
付与
を要求していない、このように承知をいたしております。
肥田美代子
175
○肥田委員
著作権
は、国際的に
保護
されなければその価値が失われると
思い
ますけれども、国際的に見て、各国の
保護
水準について、途上国のおくれが
話題
になっておりますが、実は
アメリカ
のおくれが大きな問題となっているわけでございます。したがって、
アメリカ
に対して引き続き改善要求を積極的に行う必要があると考えますが、いかがですか。
河村建夫
176
○河村国務
大臣
アメリカ
でなぜこういうことがきちっとしていないんだろうと思うのでありますが、どうも
書籍
のレンタルがまだビジネスとして成立していないという現状があるようでございます。このために、
書籍
の
貸与権
の
付与
については、
著作権
関連条約上まだ義務づけられていないという点で、今のところ、
アメリカ
にこの要求をすぐしなきゃいけないと思っていないのであります。 こういうことは現実にまだ起きていない、しかし今後
アメリカ
においてもこれがビジネスとして行われる
可能性
もある、そうなりますと、
日本
のコミック等の
書籍
の
販売
に
影響
を及ぼすというこれまた
実態
がそういうふうに出てくれば、
書籍
の
貸与権
の
付与
については要請しなきゃいかぬ、これは検討しなきゃいかぬ、こういう問題になっていくであろうと思っておりますが、現時点では、そういう事態が発生していないという点で、要求していない、こういう
状況
下にあるわけでございます。
肥田美代子
177
○肥田委員
文化庁
は常々、一億総クリエーターとか一億総
ユーザー
というふうにおっしゃっていらっしゃいます。そういう
時代
が来たというわけですね。このことは、
著作権
教育や契約システム構築など、従来のような一部業界、一部プロだけではなく、すべての人々が
著作権
にかかわることになったという
意味
であると理解しておりますが、この観点からすれば、強力な法務部や顧問弁護士を持つ企業だけではなくて、全くの素人の市民が
著作権
侵害の犠牲になり得るわけでございますから、すべての人々が司
法制度
の救済を受けられるようにしなければならないと思っております。 こうした新しい
状況
に対する、
文化庁
は、どのような方策をお考えでいらっしゃいますか。
河村建夫
178
○河村国務
大臣
すべての人々が
著作権
にかかわれるように司
法制度
の救済を考えていく。私は、大事なことでございまして、裁判手続はだれも分け隔てなく利用できるものになっておるわけでございますが、
著作権
制度
においては、
著作権法
によって独自のあっせん
制度
が設けられておりまして、
文化庁
長官が、当事者の申請によってあっせん委員によるあっせんに付すことによって、紛争の実情に即した簡易迅速な解決を図ることができる、こうなっておるわけでございます。いわゆるADR、裁判外の紛争解決手段でございますが、厳格な裁判手続と異なりまして、簡易迅速かつ安く、廉価で実情に合った解決を図ることができますので、この問題につきましては、司
法制度
改革推進本部におきましても、もっとこれが活性化して、もっと周知して、この
措置
を
国民
にもっと使いやすくするためにということで検討されております。
文部科学
省といたしましても、
政府
全体のこの動きに積極的に参加をさせていただきまして、司
法制度
改革本部での検討
状況
を踏まえながら、今御
指摘
の点についての対応を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
肥田美代子
179
○肥田委員 ちょっと
質問
が変わるわけでございますが、三月十七日の
委員会
で、視覚障害児、弱視の子供たちに拡大教科書をぜひ手渡してくださいとお願いをいたしましたが、そのときに、納期について柔軟に対応するということと、申請漏れがなかったかどうかを調査しますとおっしゃっていただきましたが、そのことについての調査はしてくださったかどうか、伺いたいと
思い
ます。
近藤信司
180
○
近藤
政府参考人
お答え
をいたします。 拡大教科書の納期につきましては、学校での授業に支障が生じないよう、少なくとも年度当初の授業から使用される分の分冊につきましては四月の授業開始時までに納入することとしておりますが、その後に使用される予定の分冊につきましては、四月以降の納入にも柔軟に対応できるようにしており、学校での授業に支障が生じない範囲での弾力的な取り扱いとすることとしたところでございます。 また、
先生
から三月十七日に本院で御
質問
をいただきました。その御
指摘
も踏まえまして、各都道府県教育
委員会
に再度の需要冊数の調査を行いまして、新たな追加分、二百四十一冊ということでございますが、これもまた無償給与の
対象
とするとともに、平成十七年度用の拡大教科書につきましても、
文部科学
省への申請期限後に生じた追加分は無償給与の
対象
とする、こういうふうにしておるわけでございまして、こういった拡大教科書の納期でありますとか申請期限の弾力的な取り扱いにつきましては、この四月に各都道府県教育
委員会
の担当者を
対象
とした
会議
を開催し周知徹底を図ったところでございまして、今後とも、この拡大教科書の無償
措置
が円滑に実施されるように
努力
してまいりたいと考えております。
肥田美代子
181
○肥田委員 盲学校に通う児童生徒の状態は文科省は把握されていると
思い
ますけれども、普通学校に在籍する視覚障害の子供たちの数を把握していないというふうに、きのうお尋ねしたらおっしゃったんですね。ぜひこれは調査していただきたいと
思い
ます。 と申しますのは、今からはお願いがございますが、普通学校に通う視覚障害の度の高い子供たち、目が見えない子供たち、その子たちが、実は教科書がないんです。点字教科書がないんです。ですから、
時代
はインクルーシブ教育が進んでおりますのに、普通学校に通うその視覚障害の子供たち、これは、教科書がないということでは済まされないと思うんですね。 ですから、全国の小中学校、高校まで調べましても、今のところ四十人ぐらいという数が出ておりますが、恐らくもう少し多くなると
思い
ますが、この子供たちに国による点字教科書の無償給付が受けられないかと、子供たちからの申し入れがございました。
保護
者が個人的にボランティアに点訳を依頼したり、
保護
者自身が点訳しておりますけれども、経済面、労力の面で限界に来ております。 拡大教科書に、先ほど、大変大きな御
努力
をちょうだいいたしましたので、ぜひ、この子供たちにも点字教科書を無償配付することを考慮していただきたい、その
価格
は原価補償できるのかどうか、あわせてお尋ねしたいと
思い
ます。
近藤信司
182
○
近藤
政府参考人
お答え
をいたします。 平成十六年度から、通常の学級に在籍可能な視覚に障害がある児童生徒に対しましても、検定済み教科書を拡大した、いわゆる拡大教科書を無償給与できる取り扱いにしたところでございまして、御
質問
のこの点字版の教科書につきましても、拡大教科書と同様に取り扱うことができると考えております。また、無償給与を行う際には、国は各発行者が定める
価格
で購入しており、各発行者においては、必要な作成原価は確保できる、原価補償が可能である、こう考えておるところでございます。 普通学級に今在籍するそういった子供たちで、点字教科書を必要とする子供たちの数でございますが、今申し上げましたような無償給与、こういう支給の取り組みの中で把握をしてまいりたいと考えております。
肥田美代子
183
○肥田委員 大変うれしい御答弁でございます。ところが、残念なことに、子供たちがこのことをまだ知らないんですね。ですから、子供たちが手にするためには、どういう手順をとったら、新しい
制度
が輝くことになるか、もう少し具体的にお願いいたします。
近藤信司
184
○
近藤
政府参考人
点字版の教科書を使用しなければならない程度の視覚障害のある児童生徒が通常の学級に在籍をするというのは例外的な場合なんだろうとは思っておりますが、私ども、本院でのこういった御審議も踏まえまして、都道府県の教育
委員会
にこういった
制度
の
趣旨
について御
説明
を申し上げてまいりたいと
思い
ます。
肥田美代子
185
○肥田委員
委員長
、最後に
大臣
にお尋ねしたいと
思い
ます。 こういうまだ教科書をもらっていないという子供たちが、数は少ないですけれどもあったわけですね。ですから、弱視の子供もそうですし、視覚障害の子供たちが普通学校に通っているのはもうこれから当たり前になってくるかもしれませんけれども、その中で、私たちが国会におりながら見落としてきたその子供たちに、これからやはりもうちょっと丁寧な
思い
をささげていかなければいけないと
思い
ます。
大臣
、最後に御決意を伺いたいと
思い
ます。
河村建夫
186
○河村国務
大臣
今、肥田
先生
から、かねてから、そういう弱者にも十分な配慮をしながら、また障害のあるなしにかかわらず、教育の機会均等、また学ぶ
権利
、そういうものをきちっと認めていくことの必要性を強調されて、その
成果
を上げていただいておりますが、御
指摘
をいただきました点も踏まえながら、これからも、やはり特に義務教育段階においては、憲法の精神にのっとりながら、児童生徒すべてに、国が最終的な責任を持って、そして適切な教育を受けられるように、教育
環境
の整備、きちっと努めてやりたい、このように考えております。
肥田美代子
187
○肥田委員 ありがとうございます。終わります。
池坊保子
188
○
池坊委員長
松本大輔君。
松本大輔
189
○松本(大)委員 民主党の松本大輔です。 私は、野党議員ではありますが、野犬ではありませんので、毎週キャンキャンと
大臣
にかみつく、わけもなくかみつくというつもりはないのでありますけれども、やはり義憤に駆られたときは、これは、代弁者としてお選びいただいた以上、行政をチェックしてまいるというのが国会における野党の役割かなというふうに
思い
ますので、まず、ちょっと午前中の審議について触れさせていただきたいと思うのであります。 私が非常に気になったのは、心構え発言であります。
大臣
の答弁も、これは心構えとしか受け取られていない、あるいは附帯決議に法的拘束力はない、
海外
の
権利者
が
権利
行使する上で、附帯決議についても
大臣
の御答弁についても担保にはならない、
権利
行使をとめる上での担保にはならないというようなお話がありました。 では、一体何のために我々はこの
委員会
で審議をしているのかと、ちょっとむなしくなったわけであります。
法律
に明文上規定していないことについて、では、このケースで具体的にはどうなるんだと、
大臣
に対して政治的判断をお求めする場合に、後になって、あれは心構えにすぎません、
大臣
かわりましたので拘束力もありませんということになってしまうと、これはいかがなものなのかなと。 意を決して
文部科学
行政に当たる、これをなすとまで所信でおっしゃられた
大臣
の気概、私は感動したんですけれども、その気概に対する冒涜ではないか、非常に問題ある発言ではないかな、私はそのように思うわけであります。 私は元サラリーマンでありますけれども、銀行で働いていたわけです。例えば、支店を代表してお客様のところにお伺いして、例えば支店長を連れていったとします。支店長がお客さんから、この融資、大丈夫でしょうかというお話を聞いて、支店長が大丈夫ですというふうに
お答え
して、何日かたって私が行って、あの、前に支店長に大丈夫ですと言われた件、どうなりましたかねと聞かれて、私が、いえ、支店長の大丈夫ですというのは心構えにすぎませんからと、もし言ってしまったら、これは確かに契約上は、判こをついていなければ違法性は問われないかもしれませんけれども、
組織
としての信頼というものは、もう根底から傷つけられてしまうのではないかなというふうに考えます。 もしも、ある省庁のトップの、国会の場で、しかもあんなふうに記録まで残されているような御答弁に対して、それは心構えであるというようなことが通用するのであれば、これはゆゆしき事態だなと私は思うわけでありますし、
文部科学
行政そのものの信頼は地に落ちてしまうのではないかというふうに思うんですが、まずは
大臣
の御見解をお伺いしたいと
思い
ます。
河村建夫
190
○河村国務
大臣
言葉
にとらわれるつもりはございませんが、しかし
言葉
が大事であるということも事実であろうと
思い
ます。 今回のこの附帯決議、あるいは私がこれまで答弁してまいったこと、副
大臣
もしかりであります、これは心構えというのをどういうふうにとるかだろうと
思い
ますが、今回のこの私が答弁してきたこと、
指摘
を受けていることは、これは
政府
として、そういう問題が起きたときはきちっとした対応をしなきゃいかぬという、どうしても、心構えといいますか強い心構えで、心得ておきましょうというようなものではないということは明確に私もしておかなきゃいかぬ、こう
思い
ます。 それはやはり、
国民
の
利益
の問題、この我々の政治というのは
国民
にとって
利益
をどういうふうにもたらすのか、
利益
相反の問題もありますから、その
調整
をやらなきゃいけないこともたくさんありますけれども、やはり
国民
の
利益
を求めてという観点から対応していくんだということでありますから、今回御答弁申し上げておりますことは、そうした私権に関する法的な縛りは、残念ながら法制上は今回できておりませんけれども、それに対する対応については
政府
が責任を持ってやらなきゃいけない
課題
だ、こういうふうに考えて答弁を申し上げているわけであります。
松本大輔
191
○松本(大)委員 ありがとうございます。責任を持って取り組まなければならないということを非常に重く受けとめさせていただきました。 さはさりながら、その午前中の
質疑
の中で、附帯決議にも
大臣
答弁にも、
海外
の
権利者
の
権利
行使をとめる上での担保にならないというような話がありましたので、だとすれば、今回の法案で言うところの百十三条の五、みなし侵害規定のところなんですけれども、この不当な侵害というものが一体どういうことを指すのかということについて、やはり明確にされる必要があるのではないかなというふうに考える次第であります。 先ほど肥田委員の御
質問
の中でも、
国外
で
販売
される際に
権利者
が得る
利益
と、それから
国内
で
販売
される場合の
利益
と、ここについて著しい差が生じる場合というような御
趣旨
の発言があったんですが、午前中にたしか、
理事
会で協議するとおっしゃられていた、明確な表というか数値というものがあるんだというお話でしたので、ぜひそれを具体的に示していただいて、そのスコアテーブルをどう使って不当な侵害が行われたのかどうかを判断するのかという御
説明
をいただきたいと
思い
ます。
素川富司
192
○
素川政府参考人
今回の
還流防止措置
に係ります
要件
の
一つ
であります、
利益
が侵害される場合ということにつきましては、午前中よりその考え方というものを申し上げさせていただいているところでございます。 今、
先生
から、データの一端を示せというお話でございます。 手元にある資料を少し御紹介させていただきたいと存じますけれども、例えば
日本
を一〇〇といたしました場合に、ちょっと三つほどの具体的な
レコード
につきまして御紹介させていただきますと、これは
ライセンス料
ということでございますけれども、
アメリカ
では九四・二、
イギリス
では一〇五・〇、
ドイツ
では一二三・五、
フランス
では一四四・二というような具体的な
レコード
がございます。 また、もう
一つ
の
レコード
につきましては、例えば
日本
を一〇〇といたしますと、
アメリカ
が八八・七、
イギリス
は一四八・五、
ドイツ
が一〇八・八、
フランス
が一三〇・八というような
レコード
がございます。 また、もう
一つ
の
レコード
について御紹介させていただきますと、
アメリカ
が九七・九、
イギリス
が一六六・五、
ドイツ
が一二六・二、
フランス
が一四八・一という、これが
一つ
の
ライセンス料
の比較でございますけれども、この
委員会
へどのような形で資料をお出しするかにつきましては、御相談させていただきたいと存じております。
松本大輔
193
○松本(大)委員 数字そのものについては、ある
レコード
について幾つという話はわかったのですけれども、では、どれぐらいの差が生じたらということについては、今のは触れられていないんじゃないかなという気がいたします。 そのスコアテーブルを使ってどう運用していくのかということが明示されなければ、行政の恣意性にゆだねられることになってしまう。それは、法治国家の根幹を揺るがしかねないとんでもない話ではないかなと私は考えます。行政のブラックボックスに判断がゆだねられるのではなくて、ちゃんとした透明な判断基準が明示されて、しかも、それは答弁にも附帯決議にも付されない、しかも法的拘束力がないのであれば、
法律
上の中できっちり明示しなければ、これは業者さんとしてはたまったものではないということではないかと思うのですが、この点については、いつまでにどういう形で提示をされて、どのように運用されていくおつもりなんでしょうか。
素川富司
194
○
素川政府参考人
午前中にも申し上げましたように、この
利益
が侵害される場合の
利益
の差の著しい場合に限定して、その不当に害される場合になるというふうな定性的な御
説明
を申し上げましたわけでございますけれども、著しい差というものを
一定
の数値をもって基準とするのかどうかということにつきましては、やはり
立法趣旨
というものを踏まえて判断するということが適当ではないかと考えております。 すなわち、
消費者
利益
というものを考えますと、今現在、
アメリカ
等の先進国から直
輸入盤
が入ってきている、こういうものにつきましては、
アジア
諸国
等の
物価
の安い国からの
還流
を防止といういわゆる
還流防止措置
の
趣旨
からいたしますと、この
アメリカ
等の先進国からの
輸入
につきましては
影響
を受けないように運用するということがこの
立法趣旨
にかなうものであると承知いたしているところでございます。
松本大輔
195
○松本(大)委員
影響
を受けないように運用するというのは、明確な基準がある一方で、行政の裁量でそうは判定しないとおっしゃっているに等しいと思うのですけれども、そんな恣意的な運用がなされていいんでしょうか。(発言する者あり)
素川富司
196
○
素川政府参考人
これは、まず、不当な
利益
に該当するかどうかにつきましては、実際の運用といたしましては、税関当局で、水際で、その具体的な適用というものが判断されるわけでございますけれども、これは、
文部科学
省、
文化庁
と税関当局との間で連携をとりまして、
法律
の
趣旨
にのっとった適切な運用、すなわち、
利益
の差が著しい場合に限って不当に害されることとなるということでございまして、この不当に害される場合というのがまず
政府
の運用でございますけれども、それは、最終的には、今お話しでございましたような、裁判所での判断、司法での判断というものが最終的にはあるとは
思い
ますけれども、まずは税関当局におきまして
政府
としてその水際
措置
の対応をするというものが、きちんとした
法律
の
趣旨
にのっとった運用をするということが重要かと存じております。
松本大輔
197
○松本(大)委員 何度お伺いしても余りよくわからないのですけれども、例えば、
アメリカ
の
レコード
会社が
日本
の現地法人に命じて、
国内
盤の原価率を低く抑えて、
価格
設定、値づけをしましたと。一方で、直
輸入盤
は普通の原価設定をして、それに対して
並行輸入
がされている場合に、
並行輸入
が入ることによって
利益
率が下がった、不当に
利益
が侵害されたというふうに申し立ててきた場合というのは、いかがなんでしょうか。
素川富司
198
○
素川政府参考人
お答え
申し上げます。 この今回の
還流防止措置
と申しますのは、
国内
において得られる
利益
の方が一般的に高いという場合に、
海外
で頒布されている
レコード
が、一般的にといいますか、得られる
利益
が少ないという
状況
において、
一つ
の
要件
というものが充足されるというふうに理解しているところでございます。
松本大輔
199
○松本(大)委員 今のお話を聞くと、さっきの
質問
では該当するのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
素川富司
200
○
素川政府参考人
典型的な例を申し上げますと、例えば、
中国
、
中国
ではなくても、台湾とかという地域でもよろしいのでございますけれども、そのあたりでの
レコード
の一般的な格差というのは、
日本
と比べますと、半分前後といいますか、
中国
の場合にはもっと少のうございます。そうしますと、相対的に、それから得られます
権利者
の
ライセンス料
というものも、ほぼ比例して少なくなるわけでございます。そういう
意味
におきまして、安い地域で、その地域の
物価水準
に合わせて
価格
設定した
レコード
、したがいまして、それから得られる
ライセンス料
、
権利者
の
ライセンス料
というのは相対的に少ないわけでございますけれども、そういうものが
国内
に
還流
することによりまして、その
レコード
のみが買われるといいますか、そういうことによって
権利者
の得られる
利益
というものが侵害されるということが、この
還流防止措置
の
趣旨
でございます。 ちなみに、六十五カ国で、
アメリカ
も含めまして、
輸入
をコントロールする
権利
、これは
輸入
権という支分権でありましたり、または頒布権、
譲渡権
の消尽という形で適用するという場合もございますけれども、そういう具体的な支分権の
付与
等によって
輸入
をコントロールするという例が、例がといいますか、
日本
以外は基本的にはそういうようなことで対応しているわけでございます。 そのような場合、例えば
アメリカ
を例にとってみますと、
アメリカ
が
海外
において、安い東南
アジア
の国において
ライセンス生産
した
レコード
、これはその地域の
物価水準
に応じて
価格
設定をするわけでございますけれども、それが
アメリカ
の
国内
に入ってくるということを
権利者
が防止することができる、そういう
権利
を
アメリカ
の
権利者
に与えているわけでございます。
EU
の場合におきましては、もともとは、幾つかの国で国別に
輸入
権もしくはそれに準ずる
権利
を与えていたわけでございますけれども、
EU
全体で
EU
ディレクティブというものを設定いたしまして、個別の国ということでなくて、最近は、
EU
域内を
一つ
の地域ととりまして、
EU
域外で
ライセンス生産
されたものが
EU
域内に入ってくるということを防止する、コントロールするという
権利
を与えるようにしたということでございます。 基本的には、そういう
意味
におきましては、
還流
防止といいますか、
輸入
をコントロールする
権利
が具体的に発効される場合は、その本国というものがより高いケースが一般的なわけでございます。
松本大輔
201
○松本(大)委員 御
質問
の仕方を変えます。
アメリカ
国内
の
レコード
会社が
日本
に現地法人を持っていて、
並行輸入
もやるし、並行輸出もやるし、それから
日本
国内
でもプレスして、現地法人がプレスして売るという場合においては、
利益
率の設定も
価格
の設定も同じ会社でできるわけですから、現法も本体も同じですから、
利益
率の設定も
価格
の設定も本体でできるわけですから、
価格
差が著しいとか
利益
率が著しいとかということは
意味
がないんじゃないかということを申し上げているんです。
素川富司
202
○
素川政府参考人
理論的には、
外国
の
レコード
会社が本国で
レコード
を売る、その
価格
設定、それから、別の国におきまして
ライセンス
を与えて生産する、そのときにどういう
価格
で設定するかということについては、
権利者
が判断するといいますか、
権利者
がそのような地位に立つということは
先生
御
指摘
のとおりだと
思い
ます。 ただ、現在におきましても、
日本
におきまして、例えば
アメリカ
からは、
ライセンス生産
された
レコード
と、それから
並行輸入
といいますか
直輸入
されました
レコード
、二つの
レコード
がありまして、それはそれなりに、それぞれ、多様な
消費者
の要望にこたえる形で二種類のものが、基本的には同じ
レコード
でございますけれども、パッケージとかいろいろその附属のものとかというのが違ってくるわけでございますけれども、そういうことで、より多様な多くの
消費者
のニーズに合うという形で、
ライセンス生産
されたものも
並行輸入盤
も両方売るということによってその
アメリカ
の
レコード
会社が
利益
を、
利益
といいますか、そういうビジネスを展開しているということでございますので、通常、合理的な経営的な判断からいいますと、より多くの
レコード
を買っていただくという
意味
においては、必ずしもどちらかをとめなければいけないというインセンティブが働くものではないというふうに理解しているところでございます。
松本大輔
203
○松本(大)委員 それはあくまで希望的な観測であって、お情けというか、
権利
行使しないでくれと頼んでいるだけにすぎないような気がします。
価格
設定を変えちゃえば不当な侵害だと訴えることができる、すなわち、
並行輸入盤
をいつでもとめる
権利
が生じてしまうということです。 この
質問
はこれでやめますけれども、スコアテーブルというか、その判断基準の材料、それをどうやって使うのかということを資料として示してください。
委員会
にぜひ出してくださいよ。具体的にどうなんだというのを我々に示してほしいと
思い
ます。資料を出してください。 次の
質問
に移りたいと
思い
ます。 先ほど、六十五カ国というような表現がありました。これは肥田委員の御
質問
にも関連するわけですけれども、参議院の文教科学
委員会
での審議の中でも、河村
文部科学大臣
も次のように答弁されています。「一方、既に
外国
を見てもほとんどの先進国、
イギリス
、
フランス
、
ドイツ
、あるいは
アメリカ
側では
アメリカ
、カナダ、六十五か国がこうした問題に対して
還流防止措置
を取っておるわけでございます。」ということなんですけれども。 それで、
文化審議会
著作権分科会
という、恐らくは今回の
立法
の参考にもなったと思われる資料にも、やはり六十五カ国という数字が挙げられております。「社団法人
日本レコード協会
が、
国際レコード産業連盟
に聴取したところによると、」と書いてありまして、午後、肥田委員の御
質問
の中でも、この六十五カ国という数字は六カ国が正しいんじゃないかというようなお話がありました。ひどい話だなというふうに思うわけですけれども。 本当に、
レコード
協会さんが
国際レコード産業連盟
に聴取したところによるとというこの六十五カ国について、法案提出までの間に
政府
として検証というか精査はされなかったんでしょうか。外交ルートを通じて直接その国に御
確認
されることはなかったんでしょうか。私、国立国会図書館にも照会しているんですけれども、違った
回答
を得ております。一体本当に、特定の業界におもねらないような中立な
立場
でちゃんとこの六十五カ国という申請ベースの数字を精査されたのかどうか、お聞かせください。
素川富司
204
○
素川政府参考人
お答え
申し上げます。
先生
御
指摘
のように、私ども、六十五カ国というのを紹介いたします際には、社団法人
日本レコード協会
がIFPI、
国際レコード産業連盟
に聴取したところによると、ということでございます。 IFPIは、
世界
の
レコード
関係の情報につきましては豊富なデータ、情報を持っているところでございますので、そのような数字というものを御紹介させていただいたところでございます。
松本大輔
205
○松本(大)委員 これは根本的な疑問というか
質問
なんですけれども、規制をしてほしい、規制をかけてほしいという業界の主導で行われた調査を、何の精査もしないで、みずから情報をとることもしないでうのみにされたんですかということをお聞き申し上げているわけです。
素川富司
206
○
素川政府参考人
国際的な
組織
であるIFPI、このデータにつきましては、その検討の十分な参考になるものということで我々は扱わせていただいたところでございます。
松本大輔
207
○松本(大)委員 行政官庁というか監督官庁というか、そんなことで果たして中立性が保たれるのかどうか、私は非常に疑問に思わざるを得ません。 私は国立国会図書館に調査を依頼いたしました。調査結果をちょっと引用させていただきたいと
思い
ます。 域内消尽を採用する
EU
・EEA
諸国
では、
加盟国
内での
並行輸入
を禁止できないため、例えば
物価
の安いギリシャやポルトガルで発行された
音楽CD
を
イギリス
や
フランス
に
輸入
することは禁止できない。これは先ほど肥田委員の御
指摘
のとおりであります。このため、二〇〇四年一月十四日に公表された
文化審議会
著作権分科会
報告書
が、
還流
を防止することが可能な国として掲げている六十五カ国、先ほどの六十五カ国という数字ですね、この中に
EU
・EEA
諸国
十八カ国を含めていることについて、妥当性を疑う見解も出ている。では、この十八カ国を除くとどうなのかということなんですけれども、仮にこの十八カ国を除外すると、欧米主要国のうち平成十六年
報告書
が
還流防止措置
を
導入
しているとする国は、
アメリカ
合衆国及びカナダの二カ国となる、このように書いてあるわけです。 審議会の
報告書
によれば、先ほどの
EU
十八カ国とカナダと
アメリカ
を除いた国は何があるか、東欧、東ヨーロッパ、アフリカ、ラテン
アメリカ
の
国々
が列挙されておりまして、この調査官のお話によれば、こういった
国々
では自国の
音楽
産業
が盛んであるとは言えないことから、そもそも
日本
のような問題が生じないものと考えられるため、これらの国を数える
意味
はほとんどないものと思われると。 すなわち、今回の
立法
に当たった調査の妥当性がそもそも疑われるべきではないかな、私はそのように思うわけです。実質上は
アメリカ
合衆国とカナダの二カ国のみじゃないかというお話を国立国会図書館も認めているわけです。 今回は、
文化庁
は、規制をかけてほしいという業界から出された調査書をそのままうのみして精査しなかった。これは監督官庁、所管の官庁として一体どうなのかという気がするんですけれども、憲法十五条第二項には、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」というふうに書いてあるわけですけれども、
大臣
、このような調査のあり方でいいんでしょうか。
河村建夫
208
○河村国務
大臣
これは、あらゆる角度からこの問題については検討しなきゃなりませんから、ヨーロッパの情勢、
アメリカ
の情勢、それも当然調査の視野の中に入れなきゃいけません。ただ、それをどの程度、一国一国、直接外交ルートを通じて調べたかと言われれば、今回のケースは調べてなくて、IFPIの調査を参考にさせていただいたということであります。
著作権
の問題、いろいろな、どういうふうに守っていくかという問題、それから
国民
の
利益
の問題、そういうものを総合的に勘案し、いわゆる審議会の意向、また事業者間の
調整
の問題、
関係者
の
調整
の問題、そういうのを踏まえて総合的に判断をしておるわけでありまして、今回そのことだけ言われてやっていないと言われれば、それはもっとそこまでやればよかったということは言えるかもわかりませんが、私は、全体的なそういうものも参考にしなきゃならぬ
一つ
の過程として、IFPIの国、そしてそれから出てきた数字を参考にするというのは、これは適正ではないか、こういうふうに思っています。 〔
委員長
退席、渡海
委員長
代理着席〕
松本大輔
209
○松本(大)委員 先ほども御紹介したとおり、参議院の
委員会
審議の中でも、
大臣
が六十五カ国という数字を述べていらっしゃる。つまり、似たような
制度
を
導入
している国が
世界
にこんなに多いんですよ、だからとりたてて変な
制度
じゃないんですよという
理由
として挙げられたその数字にそもそも根拠がなかったということになるのではないんですかというお話をしているわけであります。 次に移りたいと
思い
ますけれども、データの妥当性、要するに、法案提出に至るまでの妥当性というところの検証が非常におろそかではないかということをこれから検証していきたいと思うわけです。 先ほど御答弁の中で、
還流防止措置
の必要性について触れた
部分
、肥田委員の御
質問
だったと思うんですが、
還流
量六十八万枚ということだったんですけれども、その調査を行ったのは、だれがどのような機関に依頼をされたんでしょうか。
素川富司
210
○
素川政府参考人
六十八万枚でございますが、これは
文化
科学研究所が調査をしたということでございます。 〔渡海
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
松本大輔
211
○松本(大)委員
文化
科学研究所ということなんですけれども、思わず、それだけを聞くと
文部科学
研究所かなと、何となく
政府
機関かなという名前を想起させるわけなんですけれども、実はこの会社は、前身は株式会社ぴあ総合研究所ということでありまして、イベント情報で有名な「ぴあ」であります。しかも、その調査を依頼したのは
日本レコード協会
であります。 つまり、先ほども申し上げたように、今回の
法改正
を希望されている業界が、民間会社、前身はぴあ総合研究所だったわけですけれども、そこに委託された調査をもって六十八万枚という数字を出しているわけです。先ほども申し上げたように、規制をかけてほしいとおっしゃっている業界の情報をやはりここでも使われている、精査をされているのかどうかちょっと聞いてみたいものですけれども。 ちなみに、これは、調査員というのはどういう方でしょうか。(発言する者あり)
池坊保子
212
○
池坊委員長
御静粛に。
素川富司
213
○
素川政府参考人
調査員がどのような方かというところまでは承知しているものではございません。
松本大輔
214
○松本(大)委員 そんな御答弁が許されていいんでしょうか。これは法案を提出する際の重要な根拠ですよ、六十八万枚。それは行政責任の放棄ではないかな、当事者能力の欠如を指しているのではないかなと思わざるを得ません。 この調査員がどういう人かといいますと、株式会社
文化
科学研究所の人ではなくて、何と、
日本レコード協会
の全国調査室の室長というふうにあるわけであります。 先ほどから申し上げておりますとおり、六十五カ国という数字も実は間違っていました。そして、それはなぜ間違ったかといえば、今回の
法改正
をしてください、規制をかけてくださいとお願いをされた業界から出されてきた調査書をうのみにされた結果であった。ヒアリングをうのみにされた結果であった。 先ほどの六十八万枚についても、やはり同じように、調査を依頼されたのは
日本レコード協会
さんの側でした。調査をされているのも
日本レコード協会
の全国調査室の室長さん。これはお手盛り調査員と言ってもいいんじゃないかなという気がするんですけれども、こんなずぶずぶなことでいいんですか。 こんな調査をされていて、しかも答弁
内容
まで変わってしまっているわけですね。答弁と食い違っちゃっているわけですよ。先ほどの参議院の
委員会
審議の中で、本法案の提出における妥当性の根拠、大きな根拠だ、ほかにも採用している国がたくさんあるというところまでもう崩れ去っているわけですよ。調査も
レコード
協会の全国調査室の室長さんがやっていた。こんな調査結果を引用されて
文部科学
省が答弁をされるというのは、これは果たして公正さの面からどうなんでしょうか。特定の業界におもねらないという観点から見て、その妥当性について反省すべき点はないのかどうか、御答弁をお願いします。
河村建夫
215
○河村国務
大臣
この調査結果、その数字の妥当性、これをどう判断するかという問題だろうと
思い
ます。 法案をつくるに当たってはいろいろなお話を聞かなきゃなりませんから、一方的に
レコード
協会だけの
意見
を聞いてこの問題をまとめていったわけじゃないので、これまでの過程を踏んでいることは先ほど来から申し上げておるわけでございます。これは
日本
だけの問題じゃなくて、こういうことというのは
世界
の中でも
一つ
の大きな問題になっている、
海賊版
の問題もありますけれども、これも
一つ
の大きな
課題
だということで、いろいろな形で取り上げられてきた。それを今回、
還流
防止という形でとっていこう。しかし、
世界
の
国々
もこのことを問題にしていないわけではないわけでありますから、当然、
日本
としてもこの防止
措置
をとる、これは私は、
日本
として考えていかなきゃいけない
課題
だ、このように判断をしてこの法案を出したものであります。 今おっしゃったように、どこまでこの妥当性として見るかという数字、これは、ほかにも何かこういう数字がいろいろあって、どれをとるかという問題とちょっと違うものでありますから、この妥当性について私の方から、おっしゃるように、ほかにもっとやる方法があったんじゃないかと言われればそうかもしれませんが、実際に数字をはじく場合に、一番近いところにおられる方々がどういうふうにこの問題について把握されているか、まずこれを聞いていく、これは当然だと私は思うのでありますが。
松本大輔
216
○松本(大)委員 一方的にその
意見
を酌み取ったわけではないということだったんですけれども、では精査されたかといえば、先ほどのお話では特に精査はしていないと。六十五カ国については少なくともそうだったわけです。調査員についても、だれがやったかまでは知りませんでしたというのは、まさに一方的にその
意見
をうのみにして、精査という作業を怠ったという紛れもない証拠ではないかと私は思うわけであります。 六十八万枚の先ほどの算出根拠、数式でも結構です、教えていただけますでしょうか。
素川富司
217
○
素川政府参考人
これは株式会社
文化
科学研究所が行った調査でございますけれども、ディスカウント及びホームセンターの二つの業種の店舗における
CD
とカセットテープの
販売
量というもので推計したということを聞いているところでございます。
松本大輔
218
○松本(大)委員 聞いているのではなくて、正式に答えていただきたいんですけれども、どういうふうに求められたんでしょうか。
素川富司
219
○
素川政府参考人
この推計の方法でございますけれども、総店舗数に、その取り扱い率、それから一店の平均の陳列量に在庫の回転数というものをそれぞれ乗じまして、総
販売
量を推定したということでございます。
松本大輔
220
○松本(大)委員 先ほどの数式については、さっきも触れました株式会社
文化
科学研究所の調査結果にも触れてあるんですけれども、最後の在庫回転率という三・五という数字なんですけれども、この数字を例えば半分の一・七五にすれば、六十八万枚は一気に三十四万枚に減ってしまうわけです。 年金
制度
改革をめぐる
議論
の中で、いや、絶対大丈夫です、出生率は一・三二から一・三九までなぜか回復します、四%で回しますと、鉛筆なめて都合のいい数字を出す。あるいは、道路交通量予測も、絶対達成しそうもないものを設定して着工してしまうということは大いにある話なんですけれども、この三・五という数字の根拠は何なんでしょうか。
素川富司
221
○
素川政府参考人
この在庫回転率の三・五の根拠については承知しておりません。それは、調査の結果、調査の中で示されているものでございます。
松本大輔
222
○松本(大)委員 いや、これは大事なことですよ。大事なことですよ。法案の提出の根拠が六十八万枚というのははっきり述べているわけですから、その数字が根拠がない、知りませんなんということが許されるんですか、答弁として。知りませんなんてあるんですか。知りませんなんて言われたら、審議を続けられないじゃないですか。いいんですか、
大臣
、あんな答弁を認めて。(発言する者あり)
池坊保子
223
○
池坊委員長
松本大輔君。はい、どうぞ。
松本大輔
224
○松本(大)委員 もう一度、同じことを申し述べさせていただきたいと
思い
ます。 六十八万枚という根拠になっている大事な数字です。三・五というものの数字の出どころは何なんですか。
素川富司
225
○
素川政府参考人
突然のお尋ねでございますので、この数字につきましては、これは、いずれにいたしましても、
文化
科学研究所の調査の中で設定されている数字でございますということを
お答え
させていただきたいと存じます。
松本大輔
226
○松本(大)委員 六十五カ国の数字といい、調査をだれが行ったかも知らない、三・五という数字の在庫回転率の出どころも知らない。そんな中で、今法案の大きな根拠である
還流
CD
枚数が六十八万枚というのが出されているわけなんですけれども、こんなことが本当に許されていいのかと、私はこの
委員会
を通じてかなりあきれ返っているわけです。 調査結果によれば、これは「
CD
販売
店の平均的な数値を用いた。」というふうにあります。先ほどは、ディスカウントストアやホームセンターに陳列してあるであろう
並行輸入盤
というか
還流
CD
の枚数を調べるというのが
目的
であるのに対して、なぜか在庫回転率は
CD
販売
店のもの、平均的な数値が用いられている。 私、当選直後に、高輪の宿舎に寝具がなかったものですから、ディスカウントストアで寝袋を買ったんですけれども、ディスカウントストアで
CD
だけを買いに行くという人は非常に少数派なんではないかなと。つまり、三・五という在庫回転率が
CD
販売
店の平均的な数字であるのであれば、それよりも低いという
可能性
だって十分考えられるんじゃないか、随分乱暴な数字の使い方ではないかなというふうに思うわけです。しかも、その点については精査されていない、検証されていない、わかりませんということで、本当に
還流
枚数が六十八万枚もあるのかどうかという、その
議論
の出発点から疑ってかからなきゃいけないと思うんですけれども、これについては、では、
還流
枚数がどんなふうにふえるのかということについてもちょっと触れたいと
思い
ます。 四月二十日、参議院文教科学
委員会
で、
大臣
と政務官、
報告書
を引用する形で、将来の逆
輸入
量について次のように答弁されております。 同時に、このままほっておきますと、
文化
科学研究所が数字を出しておりまして、二〇〇七年にはもう二百四十四万枚になるだろうと、さらに五年後、二〇一二年になると一千二百六十五万枚ということが、それだけの
レコード
が入ってくるだろうと、こういうことになっておりまして、これはもう早急に対応しなきゃいかぬということで今回の
改正
に及んだものであります。 とあります。 三年後に二百四十四万枚、五年後に千二百六十五万枚の逆
輸入
CD
が押し寄せるということなんですが、この算出根拠についても教えていただけますでしょうか。
河村建夫
227
○河村国務
大臣
先ほど来から、調査をした会社等に対して、その数値の問題、いろいろ言われます。 これは、どういう数字を使っておやりになるか、それは専門的
立場
から統計をされるわけでありまして、それを我々の方からとやかく言う
立場
に私はない。それをどういうふうに使うかというのが我々の
立場
でありまして、身近なところで実際にこの
利益
を守る方々が真剣な
思い
で言ってこられたことだ。これはやはり、これも
国民
の
立場
、我々は受けて立たなきゃならぬわけであります。 今の、これからの見通しについては、これは三菱総合研究所が出したものでありますから、これも精度が高いものだというふうな報告をいただいておりますから、これを皆疑ってかかりますと、何を出されたって、我々が
一つ
ずつやらなきゃいけなくなる。 しかし、やはり将来の輸出の動向、
中国
の人口の動態、そういうことを考えたときに、そういう数字というのは出てくる。経済成長率、そういうようなものも全部かかわってきているんだろうと
思い
ます。 そういうものを見て、これは今もうやるべきときに来た、そういうふうに判断をしてこの法案をお願いしている、こういう
状況
であります。
松本大輔
228
○松本(大)委員 だろうということではなくて、やはりみずから検証しなきゃいけないんじゃないか。 それは、今回は法案提出というものの根拠になっているからですよ。売り上げたいとか、目標です、じゃんじゃん進出したいというのは、それは企業の目標として結構なことだと
思い
ますけれども、法案提出の根拠とされる以上は、それについて検証されないというのは、私非常に驚きであります。 これがどうやって計算されているかといいますと、先ほどの六十八万枚、三・五という数字の信憑性すら疑われるその数字を分子として、同じ年の
アジア
への供給実績四百六十五万枚というのを分母にして、一五%が
還流
しているだろうという算数をまずはじき出しているわけですね。それで、需要がこれだけ伸びるだろうから、同じように一五%掛けたものが
還流
CD
となってくるだろうというのが、今回のこの算出根拠だそうであります。 つまり、最初の出発点である六十八万枚の三・五という在庫回転率に根拠がない、わからない、自分たちは精査していないという数字を用いて将来の
還流
CD
の量を千二百万枚まで推測しているのはちょっとやり過ぎなんじゃないかなということなんですが、いかがですか。
素川富司
229
○
素川政府参考人
将来の推計をするという
意味
におきまして、幾つかの基礎的なデータ、こういうものから推計するということで、今回の推計、確かに、先ほどの三・五という数字は、今手元には、
還流
CD
の回転率を
我が国
の店舗
販売
の平均値である三・五とすると資料に載せておりますけれども、そういうものをベースにしてつくったにせよ、今、三菱総合研究所の
報告書
を踏まえて、将来、五年後、十年後の推計としてはこのような数値というものを用いて推計するということがその参考資料としては適切であるというふうに理解し、そのように対応したものでございます。
松本大輔
230
○松本(大)委員 三・五という在庫回転率についても、とんでもない、検証すらされていないんです。 では、それと掛け合わせる需要の伸びなんですけれども、要するに、総
ライセンス
量というか総需要の伸びが、四百六十五万枚から千六百二十二万枚、七千九十万枚というふうに、二〇〇七年、二〇一二年と伸びる予測をこの三菱総合研究所さんはされているんです。これでいくと、二〇〇七年に現在の三・五倍、二〇一二年には十五倍以上になるということなんですけれども、本当にこんなに売れるんですかね。
文化審議会
著作権分科会
の
文化審議会
著作権分科会
報告書
、平成十六年一月に、十一ページ、「原盤
ライセンス
の数量(
CD
+カセット)」「
アジア
地域に
ライセンス
された
音楽レコード
の供給実績」というものが載っていまして、二〇〇〇年五百七十一万枚、二〇〇一年五百四十一万枚、二〇〇二年四百六十五万枚となっているんです。 つまり、漸減傾向にあるという数字が出ているにもかかわらず、なぜ三菱総合研究所の将来予測においては、その三・五も問題ありなんですが、三・五という在庫回転率と掛け合わせる
ライセンス
量、原盤
ライセンス
の数量までも漸減傾向にある中で、再び、にわかに増加に転じて、二〇〇七年には千六百二十二万枚になるし、二〇一二年には七千九十万枚と、三・五倍、十五倍以上になっていくと。 これは、本当にそうなるんですか。少しは検証をされましたか。どうでしょうか。
素川富司
231
○
素川政府参考人
お答え
申し上げます。 三菱総合研究所の
報告書
の中には、今後需要を増加させる要因としては、
アジア
におけるGDPの成長に伴う
音楽
市場
の拡大などが掲げられているところでございます。そういうことをもとに推計をしたというふうに理解しております。
松本大輔
232
○松本(大)委員 納得できる答弁を、先ほどから、
質問
の当初から全くいただけてないんですけれども、今回の法案の提出の根拠となる数字というのが全くもって精査されていないというのは、これはもう法案審議の以前の段階じゃないかなというふうに思わざるを得ません。 実際に、その漸減傾向にある数字というのは、要は
アジア
における
日本
の
音楽
需要そのものが実は減ってきているんじゃないかなというふうにも、ひょっとしたら思えるわけです。 では、例えば、これに対して、いや、そうじゃないんだ、
海賊版
の
影響
を受けて漸減傾向にあるんだという反論を百歩譲って認めるとしたら、では実際に、先ほどの
大臣
の御答弁でも、
海賊版
対策も重要になってくるというお話がありましたけれども、
海賊版
が
正規
の
ライセンス
版を現地でどれだけ食っているのかということについては、需要は伸びているんだけれども
海賊版
で食われて漸減傾向にある、だから、
海賊版
の取り締まりをしていけば、先ほどの十五倍とか輝かしい未来が待っていて、三・五倍の在庫回転率を掛ければ
還流
CD
はふえるんですということになるのか。
海賊版
がどれだけ食っているというデータがあれば、それについて御
説明
をいただきたいと
思い
ます。
素川富司
233
○
素川政府参考人
例えば、
アジア
におきます
レコード
や
CD
の侵害
状況
ということにつきましては、
中国
におきましては一般的に九一%、台湾においては四八%、韓国においては二五%、香港においては流通している五〇%が
海賊版
であるというようなデータがございます。
松本大輔
234
○松本(大)委員 それは
日本
盤に限らない、
日本
の
音楽
に限らない話だと思うんですけれども、もう一度申し上げます。先ほどの総
ライセンス
量はふえるという予測があるためには、実際に今の足元のデータが漸減傾向を示す中で、ふえているんだけれども
海賊版
によって食われているという仮定が成り立つのであれば、そういう事実があるのであれば、まあわからなくもないなということを申し上げているんですよ。 だから、需要はふえているんだけれども、これだけ
海賊版
に
日本
の
CD
が食われている、そのデータを示してくださいと申し上げているんです。
素川富司
235
○
素川政府参考人
例えば、今申し上げました数字の中で、各国別のデータにつきましては承知しておらないところでございますけれども、各国の流通量というものがやはり相対的に反映しているものというふうに理解しているところでございます。
松本大輔
236
○松本(大)委員 今のようなちょっと頼りない御答弁ですと、やはり
還流
CD
の今後の伸び、六十八万枚が二百四十四万枚になって千二百六十五万枚になるから、だから今の段階で
還流防止措置
が必要になってくる、今法案の提出が必要になってくるという話にはどうしても僕は思えないんですよ。 それは、先ほどから申し上げているように、六十五カ国という数字も間違っていたし、調査自体が、規制をかけてほしいという業界の調査をうのみにしているわけですし、調査員は
レコード
協会の全国室長の方ですよ。しかも、算出根拠である在庫回転率も本人は承知していない、知らない、わかりませんと。さらには、今後の
アジア
における総
ライセンス料
の伸びというものについても何ら根拠はない、事実として漸減傾向を示しているのに、反転攻勢というか、いきなり増加基調に転じるその
理由
も確たる
理由
をお持ちになっていらっしゃらない。
海賊版
が食っているから事実はそうなんだという証拠もお手元にない。一切の客観的証拠がない中で今回の法案を出されて、数字を並べ立てられていらっしゃるわけですけれども、それらの数字すべてに根拠がないと論じざるを得ないんですけれども、
大臣
、どうですか。
河村建夫
237
○河村国務
大臣
この数字のとらえ方をもっと検証すべきだという御
指摘
、これは私も聞く耳を持たないわけではありませんが、先ほど六十五カ国の数字のとり方にしても、それは確かに域内であったという点について
説明
が不十分であったでしょうけれども、実質的にそうした
レコード
の
還流
をとめる
措置
を持っていることは事実でありますから、その国が六十五カ国あるということ、これはもう厳然たる事実ですからね。だからこの数字を活用させていただいたし、そういうふうに私も答弁した責任がありますから申し上げておくわけで、そういうものも根底からなかったんだということでお話をいただいたんじゃ、ちょっと誤解を招くことになりかねない。 私の方は、皆さんがいろいろ心配されている点はきちっと対応しなきゃいかぬ、そういう
指摘
もあったということを踏まえてこれまで検討してきたことでありますし、数字のとり方、いろいろなときにいろいろなとり方をいたします。これは総合的にとっていかなきゃならぬ数字だと
思い
ます。 確かに、どのぐらい
還流
化するかというのはかなり大きな問題だとはそれは
思い
ます。しかし、現実に
中国
等の
状況
を見たときに、今、
海賊版
率が九割ということですから、これを五割にとめただけでも大変な数字になってくる。そういうことを考えますと、この傾向はこれから、私は、下がるというよりもむしろどんどん伸びていくと考えるのが当然だ、こう思っております。 あの数字をうのみにしたわけでは決してありませんけれども、総合的に考えてみて、業界の皆さんの御意向、もちろん経団連等々からのこういう点は大丈夫かというような
指摘
もあった、そういうことを踏まえて、今回、その対応についてはきちっと
政府
で考えておりますということも表明しながら、今日御審議をいただいて、そのことで参議院においては全会一致をいただいた、このように考えておるわけであります。
松本大輔
238
○松本(大)委員
海賊版
対策については、きのうの知財戦略本部の
会議
で、
知的財産推進計画
二〇〇四に模倣品、
海賊版
の被害を防ぐための条約を提唱するという
内容
が盛り込まれたそうですので、ぜひ、来月のサミットでも
政府
としてきっちり申し入れを行っていただきたいなというふうに
思い
ます。私は、決して知財戦略の推進という
大臣
の所信にも述べられたことを否定しているわけではなくて、むしろ賛成の
立場
におります。 東西の冷戦構造が崩壊して、グローバリゼーションとかメガコンペティションが進展していく中で、長い目で見れば
価格
ではなく価値で勝負していかなければいけない、だからこそ知財の推進が必要である。それから、安全保障上のメリットを見ても、例えば
世界
が新しいパラダイムを模索している、混沌としている中で、やはり
日本
に対して好意を持ってくれる国というものをふやしていかなきゃいけない。 そういう
意味
では、ジョセフ・ナイの言うところのソフトパワーの最たるものである
文化
力というものを大いに発信してほしいというその
立場
には立っているんですけれども、さて、今回の法案がそういった知財戦略の推進に資するものなのかどうか、十分な検証が行われているのかどうかという点について疑問を持つわけです。
時代
の後追いにもなっているんじゃないか。 アップルのアイポッドが売れまくってアイチューンズというのが一曲九十九セントで売っている。ソニーもコネクトというサービスを使ってそれに追撃をかけようとしている。デジタルコンテンツというものには全く目を向けていないような今のやり方でその場しのぎにすぎないのではないか、こういった点をちょっと
指摘
させていただきたいなと
思い
ますが、いずれにしましても、先ほども申し上げたように、最後にお伺いしたいのは、法案提出の前段階の調査が不十分であった、調査自体をやり直すというおつもりはありませんでしょうか。
池坊保子
239
○
池坊委員長
質疑
者の
質疑
時間は既に終了しておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。
河村建夫
240
○河村国務
大臣
調査をやり直す予定はございません。
松本大輔
241
○松本(大)委員 失礼します。
池坊保子
242
○
池坊委員長
川内博史君。
川内博史
243
○川内委員 川内でございます。 私は、河村
文部科学大臣
をこよなく尊敬をし、お慕いを申し上げております。好きで好きで大好きでという歌がありましたけれども、本当に、
大臣
の誠実なお人柄、あるいは
文部科学
行政に取り組む真摯な姿勢というものに深く感銘をしております。 しかし、今回のこの
著作権法
の
改正
案というのは、河村
大臣
やあるいは稲葉副
大臣
、そしてまた
田村
政務官の誠実なお人柄、あるいは純粋なお人柄を
文化庁
が利用して、全く真実を明かさずに大変なだましに次ぐだましを行いながら、この
法律
を何とかして成立をさせたい、まあ
文化庁
のお役人が一生懸命なのはわかりますよ。しかし、余りにも、これまでの
質疑
でもあったように、根拠があいまい、そして
説明
責任についても不十分なのではないかという
思い
を持っています。 数々の論点が出ておりますし、また、今回の
著作権法
の
改正
案については大分審議に時間を必要とすると
思い
ますが、きょうは、まず、
文化審議会
の
著作権分科会
での
議論
のあり方、あるいは法制問題小
委員会
における
議論
のあり方というところについて
大臣
にお尋ねをさせていただきたいというふうに
思い
ます。 今回のこの
著作権法
の
改正
案というのは、
文化審議会
著作権分科会
の
報告書
に基づいたものでしょうか。
河村建夫
244
○河村国務
大臣
もちろんこの
分科会
の
報告書
をもとにして、これを出発点にして、それからいろいろな
意見
を聞いていった、こういうことであります。
川内博史
245
○川内委員 それでは、特に本
委員会
で
議論
になっております、
音楽レコード
の
還流防止措置
と
文化庁
さんは呼んでいらっしゃいますが、平たく言えばみなし侵害規定を設けることによる
レコード輸入
権みたいなものを創設する
権利
、この
還流防止措置
を設ける、あるいはそういう
措置
をとることが適当であるという結論は、この
著作権分科会
の
報告書
の中のどの
部分
に書いてありますか。
河村建夫
246
○河村国務
大臣
御
指摘
の点でございますが、
文化審議会
著作権分科会
報告書
がございます。 ここにいろいろな
意見
がございまして、一方では、「
海外
に
ライセンス
された
日本
の
音楽レコード
の流通については、契約により
一定
のコントロールが可能であり、法的
措置
により対応すべきものではない。」という御
意見
もある。しかし、一方では、「
消費者
利益
の還元のための最もよい手段は」、これは再販
制度
の問題まで及んでいる話でありますが、
日本
の
音楽レコード
の国際競争力をいかなる方法で形成すべきかという極めて高度な専門的な判断を要する問題であるというような
指摘
等々、いろいろな
指摘
の中で、最終的に、この審議会に対して、こういう現況が今起きている、そしてこの
還流
の問題が
著作権者
を初め皆さんにとって大きな問題になっている、これを考えてもらいたいということで諮問をした形になっておるわけでありますから、そういう観点で、結論として「
日本
の
音楽レコード
の
還流
防止のため、何らかの
措置
が必要であるという
意見
が多数であった。」ということを踏まえて、この
措置
を、法案化になっていった、こういうことであります。
川内博史
247
○川内委員 いや、
大臣
、大変苦しい御答弁のようでありますが、私がお聞きしたのは、
著作権分科会
の最終
報告書
の中に、
還流防止措置
を設けることが適当である、あるいは
還流防止措置
を設けるべきである、あるいは
還流防止措置
を設けることとする、表現はどうでもいいです、とにかく、
還流防止措置
を設けるとこの
著作権分科会
が結論づけた
部分
はどこですかということをお聞きしています。
河村建夫
248
○河村国務
大臣
日本
の
音楽レコード
の
還流
防止のために何らかの
措置
が必要である、いろいろな
意見
の中でそれが多数を占めたということで、この
措置
として今回の法案を提出している、こういうことであります。
川内博史
249
○川内委員 いやいや、
大臣
の見解を私はお聞きしているわけではなくて、この
分科会
の
報告書
に今回の
著作権法
の
改正
案は沿ったものだというふうに冒頭に
大臣
が
お答え
になられたので、それではお聞きしますが、
分科会
の
報告書
の中のどこに、
還流防止措置
を設けることが適当だ、あるいは設けるべきだというような記述がありますかということをお聞きしています。だから、何ページのどこ、ここだということを
お答え
ください。
河村建夫
250
○河村国務
大臣
これは、一々読み上げても大変ですが、十三ページから以下に、積極的に
導入
すべきという
意見
、そして、その点については御懸念がある、心配をする点も御
指摘
がある。しかし、その両方の
意見
を踏まえたときに、
日本
の
レコード
還流
、やはり防止をしなきゃいかぬ、何らかの
措置
が必要である、これが多数であったということを踏まえてやったということであります。 これはどこにあるかと、それを全部読んでもいいんですけれども、時間がなくなるでしょうから読みませんが、十三ページ以下、積極的に
導入
すべき
意見
、それからそれに対する懸念の
意見
、さっき申し上げた法的
措置
により対応すべきものではないんじゃないかという
指摘
、そういうものを踏まえたとき、総合的に見たときに、これはやはり全体として何らかの
措置
が必要であろうという
意見
が多数であった。したがって、これを
導入
するについては、御懸念がありますから、いろいろな
要件
もつけて出させていただいている、そういうことになるわけであります。
川内博史
251
○川内委員 今
大臣
が
お答え
になられた
部分
というのは、
文化審議会
の
著作権分科会
報告書
、十五ページですね。「以上のように様々な
意見
は見られたが、
日本
の
音楽レコード
の
還流
防止のため、何らかの
措置
が必要であるという
意見
が多数であった。」この多数であったというのは、これはそういう状態のことを指しますよね、
意見
が多数であったという状態。 その以下の記述。「他方、具体的方法論については、欧米
諸国
等の
音楽レコード
に対する
影響
や他の
著作物
等への
対象
の拡大を懸念するなど慎重な
意見
も出されており、これらの慎重
意見
を踏まえた検討が必要である。」と書かれておりまして、ここは法制問題小
委員会
の結論
部分
ですが、
還流防止措置
を設ける、あるいは設けることが適当であるということはどこにも書かれていないですね。
河村建夫
252
○河村国務
大臣
全員賛同したと書いてありませんから、そういう
意見
もあった、懸念の
意見
もあった、これはここに御
指摘
のとおりであります。
川内博史
253
○川内委員 いや、私が聞いているのは、ここは法制問題小
委員会
の結論
部分
なんですね、いいですよ、法制問題小
委員会
の結論
部分
でいいんですが、
還流防止措置
を設けることが適当である、あるいは設ける、設けるべきであるということはどこにも書かれていないですねということをお聞きしています。
河村建夫
254
○河村国務
大臣
おっしゃるとおり、設けるべきであるという表現は見られませんが、「何らかの
措置
が必要であるという
意見
が多数であった。」ということ、これは今おっしゃるとおり書いてあるわけであります。
川内博史
255
○川内委員 そうすると、最初の
大臣
のお話と若干矛盾する
部分
が出てまいりますね。 今回の
法改正
は
文化審議会
の
著作権分科会
の
報告書
に沿ったものであると、沿ったものですかというふうに私がお尋ねをしたらば、沿ったものであるというふうに
大臣
は答弁をされました。それに対して、私が、それではこの
報告書
の中のどの
部分
に
還流防止措置
を設けることが適当であるという書きぶりがございますかとお聞きしたらば、書いてはいないがそう判断したというふうにおっしゃる。おかしいんじゃないですか。
河村建夫
256
○河村国務
大臣
この
文化審議会
の今の
報告書
に沿ったというのは、
意見
をいろいろ言っていただいた、そしてこれをやるべきだという
意見
が多数であったということを踏まえてやったということでありまして、これは全会一致が本来望ましいことかもしれない、しかし、これは
利害
相反するものでありますから、そういう
関係者
との
調整
も必要なことだ。さっきから申し上げているように、こういう
著作権
のような問題は私権でありますから、当然そういう問題が起きる。だから、その相反するところを
調整
をいただきながら、最終的に、やるべきか、やらないべきか、これは所管官庁であります
文部科学
省として結論を出さなきゃいけない。 その結論を、そういうことを踏まえて、さらに、多数であったということを踏まえて、審議会におけるこうした慎重審議あった、そのために、
還流
防止はやるべきだと考えたけれども、しかし、その条件はつけなきゃいかぬ、そういう
意味
で、そういう条件をつけて適切な
制度
設計をやった、こういうことであります。
川内博史
257
○川内委員 いや、
大臣
、私がお聞きしているのは、
大臣
、そういう懸念があるからいろいろなことをちゃんとやったんだという御答弁までいただきましたが、私が聞いているのは、
文化審議会
の
著作権分科会
の
報告書
に沿ったものだ、これは参議院の
質疑
でも何人もの方がおっしゃっていらっしゃる、この
報告書
に沿ったものだと。ですから、私も冒頭、沿ったものですねとお聞きをした。そうすると、沿ったものだというふうに御答弁をされた。では、しからば、この中のどの
部分
に、
音楽レコード
の
還流防止措置
を設けることが適当だ、設けるべきであると書いてありますかと聞くと、書いてはいないが、
文部科学大臣
として
意見
を聞いて判断をしたというふうにおっしゃいました。いいですか、今、私のまとめでいいですか。
河村建夫
258
○河村国務
大臣
そこで、今、確かに、おっしゃるように、「何らかの
措置
が必要であるという
意見
が多数であった。」しかし一方、「具体的方法論については、欧米
諸国
等の
音楽レコード
に対する
影響
や他の
著作物
等への
対象
の拡大を懸念するなど慎重な
意見
も出されており、これらの慎重
意見
を踏まえた検討が必要である。」こういうことでありますから、このとおりに沿ってやったわけであります。
川内博史
259
○川内委員 「慎重
意見
を踏まえた検討が必要である。」ということが、今回の
還流防止措置
の法案を、
著作権法
の
改正
案を提出するという
意味
だということですか、今のは。
河村建夫
260
○河村国務
大臣
そこまでとっていただきますと、何か審議会の中身まで立ち入ったことになりますが、その慎重な審議をされた、それを踏まえて、これにはやはり条件をつける必要がある。この
還流
防止については、かなり限定的な
意味
を持たせなきゃいかぬ、
還流
防止ですから、
輸入
権を全部とめるような権限じゃない。そういうことで条件をつけてやったということですね。これは審議会の
意見
に沿った、そういう
意味
にとっていただきたいのであります。
川内博史
261
○川内委員
大臣
、そういうものが審議会の
意見
だったというふうにとっていただきたいんですと言われても、私は、
大臣
の言うことを聞きたいですよ、わかりました、
大臣
がそこまでおっしゃるんなら、そうですねと申し上げたいが、しかし、そういうわけにはいかないですよ。 この
著作権分科会
の最終
報告書
、これは最終の
報告書
ですから、これが最終なんですね。その最終の
報告書
には、
還流防止措置
について、「何らかの
措置
が必要であるという
意見
が多数であった。」と。これは、
権利者
団体
の代表者が数多く、というか過半数以上参加をしているわけですから、当然、
権利者
団体
の皆さんは、何らかの
措置
が必要であるということは言うでしょう。しかし、学識経験者あるいは図書館長、図書館の
関係者
の方、いわゆる
権利者
団体
の長でない方々は皆さん、この
還流防止措置
には反対をしていた。 したがって、「他方、具体的方法論については、」と、具体的にどうするかということについては、「欧米
諸国
等の
音楽レコード
に対する
影響
や」云々とあって、「慎重
意見
を踏まえた検討が必要である。」ということで、
法律
にする、法を
改正
するということはどこにも書いてないですね。 では、
貸与権
についてどうだったのか。
貸与権
の結論
部分
を読んでください。
河村建夫
262
○河村国務
大臣
貸与権
の検討結果で、 新たな
レンタルブック店
の出現により、「
書籍
・
雑誌
の貸与」に係る暫定
措置
が設けられた昭和五十九年当時とは大きく
環境
が
変化
し、
書籍等
の貸与による
著作権者
への
経済的影響
は大きくなってきている。また、昭和五十九年当時に
書籍
・
雑誌
の
貸与権
の創設に反対を表明していた旧来の貸本業者の
団体
である「全国貸本組合連合会」と作家等の
著作権者
との協議が整った
状況
に鑑みれば、暫定
措置
は廃止することが適当である。 これにもまたただし書きがございますが、こう言っています。
川内博史
263
○川内委員 そのように、新たな
権利
を、あるいは新たな
法改正
を伴う場合には、必ず
文化審議会
の
著作権分科会
、昔は
著作権
審議会とおっしゃったそうですけれども、すべて、こういう
措置
を講ずることが適当であるという書きぶりをしています。それを受けて
法改正
というものが役所の中で行われ、そして国会に提出をされるというのが今までの普通の流れであったはずであります。 しかし、今回のこの
レコード
の
還流防止措置
については、結論が出ていない。慎重に検討が必要だと。実際に、今、河村
大臣
あるいは稲葉副
大臣
、
田村
政務官の後ろにいらっしゃる
著作権
課長さんは、この
法改正
において、あるところで講演をされて、法制問題小
委員会
の結論は出ていないということを明確におっしゃっていらっしゃいます。この
著作権分科会
の法制問題小
委員会
あるいは
分科会
全体の事務局の取りまとめをされる役目の事務方の方が、結論は出ていないということをおっしゃっていらっしゃるんですよ。だからといって、私はそれをどうこう言う気はないです。 だから、結論はこの中には書いてないということを
文部科学
省としてしっかりと認めていただきたいということです。結論はない、結論はどこにも書いてないということです。
河村建夫
264
○河村国務
大臣
あの最終
報告書
が出ましたのはことしに入ってからでありますね。多分、結論が出ていない段階というのは、昨年の段階ではまだ最終報告はありませんでしたから、そういう段階でまだ結論が出ていない、こう言ったのではないかと、私は、これは別にかばうつもりはありませんが、推測いたします。 結論が出ていないというのは、さっきの
貸し本業
と同じようにすべきであるが、一致した結論は出ていない。しかし、多数の
意見
は、何らかの
措置
をとるべきだ、しかし、やはり慎重を要する問題ですよという
指摘
、これが結論ですよ、結論。それに対して、私の方でその判断を、これは所管、内閣法でありますから、私の責任において判断をしなきゃいけない
課題
、そういうことであります。
川内博史
265
○川内委員
大臣
、
文化審議会
の
著作権分科会
の
議論
を精査されましたか、
大臣
は。
河村建夫
266
○河村国務
大臣
精査と言われると、さっきのように、数字をどうやってはじくかという話まで行くのかどうかは別として、これは大事な
報告書
ですから、目を通させていただいて、結論はここにあるということ。 もちろん、この問題にどう取り組むか。かねてから、これについては私は、副
大臣
、
大臣
になる前から、この問題は党においてもいろいろ
議論
があったところでありますから、そのことを踏まえて、しかし、審議会の過半数の皆さん方が、何らかの
措置
をとるべきだ、こうおっしゃっておる。 数字がそれは問題だというさっき御
指摘
もありましたけれども、このまま放置しておいていいのかどうか、そういうことも総合的に考えて判断したのでありまして、精査と言われると、私も一字一句やったわけではありませんから。
川内博史
267
○川内委員 だから、私が冒頭申し上げましたよね。誠実な、真摯な姿勢で
文部科学
行政に取り組む
大臣
を利用して、事務方は、
レコード
協会の出先として、今回のこの
還流防止措置
を何としても法案化したい、そのために奔走をしているわけですよ。その奔走の結果がいろいろなところに出ている、大変恥ずかしい結果が出ていますよということを申し上げているわけです。そのまず
一つ
が、今の
著作権分科会
の
報告書
の法制問題小
委員会
における
報告書
の
部分
ですね、報告の
部分
。 それでは、私が冒頭に聞いた
文化審議会
の
著作権分科会
の
報告書
、この
報告書
全体で、
還流防止措置
を設けるということがどこに書いてありますか。
河村建夫
268
○河村国務
大臣
それは、川内
先生
、全部見て、書いてないことを承知してお問いになっているんだと
思い
ます。私も、さっき申し上げた結論のところ、何らかの
措置
をとらなきゃいけないというところですね。それが結論ですから、ほかのところに設けるべきであると書いてない、それは当然だというふうに
思い
ます。
川内博史
269
○川内委員
文化審議会
の
著作権分科会
の
報告書
の中には、
レコード
の
還流防止措置
を設けることが適当であるという文言はどこにもない、結論づけていないということをお認めになられたということでよろしいですか。
河村建夫
270
○河村国務
大臣
書いてないことを認めたというよりも、過半数、大多数の、
意見
が多数であった、しかし、慎重を期してやらなきゃいけないということを私は認めたわけであります。
川内博史
271
○川内委員 いや、私が聞いているのは、慎重を期してやるという
大臣
がおっしゃっている慎重の
意味
と、ここに書いてある慎重の
意味
は違いますから。それはまたこの後、三時間でも四時間でも
議論
をさせていただきたいと
思い
ます。 私が今
議論
をしているのは、
文化審議会
著作権分科会
報告書
の中には、
音楽レコード
の
還流防止措置
を設けるという文言はどこにもありません、そのことをお認めになられますねということをお聞きしています。
河村建夫
272
○河村国務
大臣
「
日本
の
音楽レコード
の
還流
防止のため、何らかの
措置
が必要であるという
意見
が多数であった。」ということを認めておるわけであります。 したがって、それ以外のことは書いてないということは事実だと
思い
ます。
川内博史
273
○川内委員 いや、ですから
大臣
、私は別に
大臣
を責めているわけではないんですよ。全然責めていない。大好きな
大臣
を何で責めなきゃいけないんですか、私が。 私が申し上げているのは、
レコード
の
還流防止措置
を設けるべきである、あるいは設けるための
法改正
をするという
報告書
があるのであれば、それは
文化審議会
の
報告書
に沿った
法改正
であるというふうに言えると
思い
ますよ。しかし、
文化審議会
の
報告書
にのっとった
法改正
であると言うからには、どこかにその書きぶりがないといけないです。しかし、「多数であった。」というのは状態を示しているのであって、結論を示している文言ではないですよね。ですから、結論としてという前置きを私はつけているじゃないですか。 結論として
還流防止措置
を設けることが適当である、設けるべきであるという記述はどこにもないことをお認めになられますね。
河村建夫
274
○河村国務
大臣
おっしゃることは私もわかりますし、さっきの
貸し本業
のようにきちっと明記していないということは事実でありますから、そのとおりだと私
思い
ます。 しかし、これは——まあそこまでにしておきますかね。
川内博史
275
○川内委員
大臣
、賢明なる御態度だと
思い
ます。余りいろいろなことを言うとかえって余計なことに発展していきますから、私が聞いたことにのみ
お答え
になられる方が審議がスムーズに進むかというふうに
思い
ます。
文化審議会
の
著作権分科会
の
報告書
の中には、
音楽レコード
の
還流防止措置
を設けるという結論は出ていない、書いてない、結論づけていないということをお認めになられました。 したがって、さまざまな
議論
はあった、
文化審議会
の
報告書
にもそのさまざまな
議論
の経過、さまざまな
意見
を載せているが、結論は出なかった、しかし
文化庁
として、
レコード
の
還流防止措置
を設けることが適当である、
法改正
をするという判断をしたというのが、今回の
法改正
の正しい理解の仕方ですね。
河村建夫
276
○河村国務
大臣
まさに総合的な判断といいますか、そういう御
指摘
を踏まえ、しかもそこに、何らかの形でこの
措置
をすべきである、しかし、しかしというところでただし書き的に、他方こういう
意見
もありますよということ、眼光紙背に徹するといいますか、この審議会が言わんとしていること、これを我々は受けとめていった、こういうことであります。
川内博史
277
○川内委員 いや、そうおっしゃられると、ちょっとまた
議論
がもとに戻るんですよ。他方というのをただし書き的にと今おっしゃった。「他方、具体的方法論については、」というのは、他方以下が結論なんですよ、他方以下が。「
意見
が多数であった。」というのが前置きなんですよ。どっちかというとただし書きなんですよ。他方、具体的方法論どうするかということについては慎重な検討が必要だということを書いているんですよ、最終報告が。 だから、
文化審議会
の
著作権分科会
の
報告書
の中には
還流防止措置
を設けるという結論は結論づけていないということをお認めになられ……(発言する者あり)認めても認めていないようなことを言うからじゃないですか。認めたわけですよね。(発言する者あり)認めていないの。今、後ろで男の子が首を振っていますよ。認めたんですか。
河村建夫
278
○河村国務
大臣
この中の事実関係を問われたから、私は、明確に
貸し本業
のような形では書いてないということを認めました。 しかし、さっきからおっしゃるけれども、これはちょっと国語学者でも呼んでこないといけない話ですね。 「
日本
の
音楽レコード
の
還流
防止のため、何らかの
措置
が必要であるという
意見
が多数であった。」ということ、これがただし書きだと言われると、これはちょっと私も首をかしげざるを得ないので。私は、これが結論であって、一方、具体的に慎重にやれと書いてあるから、それで条件がついていった、こういう流れでしょう。
川内博史
279
○川内委員 それでは、法制問題小
委員会
の中山主査がこの
委員会
の委員としてどのような
意見
をおっしゃられたか、この
文部科学
委員会
の
先生
方にお披瀝をいただきたいというふうに
思い
ます。
河村建夫
280
○河村国務
大臣
ちょっと資料を出すのに時間がかかりました。 あの
委員会
での議事録といいますか、
報告書
的なものがございますから。これは、 知的財産の一学者として、本小
委員会
の一委員として
意見
を述べる。まず、
アジア
に進出するため、
海外
展開するために
還流防止措置
が必要という
状況
については理解しているが、必要があるだけでは
法律
にはならない、条文に書けるものでないといけない。
法律
上は、「みなし侵害」であろうが、国際消尽の特例であろうが、
内外
人平等で
外国
を差別することはできない。洋盤を止めることはできる条文にせざるを得ない。仮に運用で行うにしても、WTOの精神に反することを運用で行うことは非常に難しい。しかし、
日本
の現在のコンセンサスが洋盤まで止めることについてあるのか否か、ないのなら条文としても書きようがない。 というふうな、あとは再販
制度
のことが書いてありますから。
川内博史
281
○川内委員 河村
大臣
にしてはむにゃむにゃという読み方で、もうちょっとはっきり読んでください。みんなにきちんとわかるようにはっきり読んでください。 中山主査ですよ。法制問題小
委員会
、この
還流防止措置
に、一義的にその
議論
の取りまとめに当たった大変に
著作権
の大家と言われる学者が、その小
委員会
の中で委員として
意見
を述べている貴重な
意見
であります。 ぜひ、みんなにわかるようにはっきりと読んでいただきたいと
思い
ます。
河村建夫
282
○河村国務
大臣
いつも法案提出するときに読み上げたと同じ調子でありますが。 丸、点まで言いますか。(川内委員「点、丸はいいです」と呼ぶ)いいですか。 知的財産の一学者として、本小
委員会
の一委員として
意見
を述べる。まず、
アジア
に進出するため、
海外
展開するために
還流防止措置
が必要という
状況
については理解しているが、必要があるだけでは
法律
にはならない、条文に書けるものでないといけない。
法律
上は、「みなし侵害」であろうが、国際消尽の特例であろうが、
内外
人平等で
外国
を差別することはできない。洋盤を止めることはできる条文にせざるを得ない。仮に運用で行うにしても、WTOの精神に反することを運用で行うことは非常に難しい。しかし、
日本
の現在のコンセンサスが洋盤まで止めることについてあるのか否か、ないのなら条文としても書きようがない。 こう書いてあるんです。
川内博史
283
○川内委員 主査の、
著作権
の大家としての御
意見
がまさしくこの法制問題小
委員会
の結論じゃないですか。何らかの
措置
が必要だということは自分も思うと。(発言する者あり)それでは、一人一人の委員の
意見
まで全部精査しますか。何らかの
措置
が必要であると。しかし、これは、何らかの
措置
には
法改正
とは書いてないんですよ。他方、具体的方法論については、慎重
意見
を踏まえて検討が必要だと。 結局、なかなかこの問題は難しいということなんですよ。簡単に言えば、難しい問題だということを結論に書いている。 これを
文化庁
は
法律
にしたわけですね。それで国会に提出をしてきた。そして、
音楽
ファンは、今この
委員会
の審議は、実は何十万という人が聞いています。
大臣
の御答弁やあるいは私の
質問
、もちろん午前中からの
質疑
をずっと通じてすべての
質疑
を
音楽
ファンが、何十万あるいは百万に近いかもしれない、一体この
著作権法
の
改正
案はどうなるんだということを注目しているんですよ。 それで、はっきりしたことは、結局、この
法律
の枠組みの中では
洋楽
に対する、
並行輸入盤
に対する懸念を消し去ることはできないということがいろいろな
質問
の中ではっきりしてきたし、そしてまた、今回のこの
法改正
に至る
文化審議会
の
著作権分科会
の
報告書
あるいは法制問題小
委員会
の報告、すべてにちょっとずつちょっとずつ矛盾点あるいはずれ、あるいはごまかしというものが散見されるわけであります。ごまかしじゃないとそこの後ろで言っていらっしゃる課長さんがいますが、これはごまかし以外の何物でもないですよ。 では、
一つ
そのごまかしの例を挙げさせて、
大臣
は多分きょう初めてお聞きになると
思い
ます。
文化審議会
著作権分科会
の
報告書
、これはお持ちになっていますか。一番最後の、委員のメンバーが書かれている名簿の一枚前に「おわりに」というところがあるんです。役所も、さっき私が結論はどこに書いてあるんですかと聞いて、さすがに恥ずかしくて
大臣
にここを提出はできなかったんですね。この「おわりに」というところが結論の
部分
なんですよ。 何て書いてあるか、
委員長
もよく聞いてください、私が読みますから。「このように、五つの小
委員会
における検討の結果、
書籍
・
雑誌
の貸与に係る暫定
措置
の廃止等に関しては、速やかに
著作権法
を
改正
すること等が適当であるとの結論を得たところである。」
文化審議会
の
著作権分科会
の中でこの
報告書
が
議論
をされたときに、
大臣
、いいですか、「
書籍
・
雑誌
の貸与に係る暫定
措置
の廃止等に関しては、」の「廃止等」の「等」の中に
音楽レコード
の
還流防止措置
も入る。「等」の中に入るんだということを
著作権
課は言っているんですよ。 そんなことを認めていいんですか、
大臣
。
河村建夫
284
○河村国務
大臣
この
報告書
を受けて、あと法制問題小
委員会
でさらに
議論
をされておりますから、この法案をつくるに当たっては、それを踏まえて総合的に判断をしていかなきゃならぬ、そのように判断をしていったということであると
思い
ます。 ここには「等」という書き方になっていることは、これは事実そうでありますけれども、私の方は、先ほど御答弁申し上げた、その直接的な
意見
の中を踏まえて私の方の受けとめにさせていただいたということであります。
川内博史
285
○川内委員
大臣
、
文部科学
行政の最高の責任者として事務方をお守りになろうとするそのお気持ちには私も大変頭が下がります。一軍の将としてどんな部下であっても守らなきゃいかぬというお気持ちは、もう痛いほどわかりますが、しかし、
大臣
、
著作権分科会
の審議録、議事録を精査すれば、この「暫定
措置
の廃止等に関しては、」の「廃止等」の「等」の中に
レコード
の
還流防止措置
も含まれるということで、誤解しないでくださいねとわざわざ
文化庁
の
著作権
課が委員の皆さんに言って、それでまた
意見
が紛糾をして、そんなことはあり得ない、「等」の中にそんなことまで入るなんというのはあり得ないというような
意見
が出されていたりするわけですよ。 では、違う聞き方をします。
大臣
は、この
文化審議会
の
著作権分科会
報告書
のこの「廃止等」の「等」の中に
レコード
の
還流防止措置
が含まれるということを聞いて知っていらっしゃいましたか。——知っていたかどうかを後ろで教えないでくださいよ、変だよ。
河村建夫
286
○河村国務
大臣
いや、知っているか知っていないか、私のことですから、何と言われようと。 私は、これは入っているものだ、こう思っていましたから……(川内委員「「等」の中にですか」と呼ぶ)「等」の中に、これは罰則もあるよね、この
法律
はあります。そういうものも含まれておるので、当然、慎重論はあるにしても、これは入っていると思っておりましたが、今御
指摘
いただければ、抜けておったということ、これは知りません。だから、「等」の中に入っているとは
思い
たくないですね。
川内博史
287
○川内委員
大臣
、本当に、「等」の中に入っているとは
思い
たくないとおっしゃっていただきました。実にそのとおりでございまして、この
著作権分科会
の
報告書
ですら、先ほどのいろいろなデータとなった数字と同じように、いろいろなところにちょっとずつちょっとずつ、まあ
著作権
課にしてみれば工夫を凝らしたんでしょう。しかし、我々
音楽
ファンから言わせれば、それは工夫ではなくて、ある種のだましだということを
指摘
せざるを得ないわけであります。 もう一点、先ほど肥田議員の方からもお尋ねをさせていただいた論点でありますが、知財計画、昨年の七月に策定をされて、きのう改定をされて、この
レコード
の
還流防止措置
については、ある
一定
の時期に必要な
措置
を講ずるというような見直しをするんだということも御決定をいただいたようでありますが、この知財計画について、去年の七月の知財計画についてお尋ねをさせていただきますが、
関係者
の合意を得て、
消費者
利益
の観点等を総合的に判断してというくだりがございます。この
関係者
の合意を得てという
部分
の
関係者
というのは、具体的な
団体
あるいは
組織
というものを想定していらっしゃいましたか。
河村建夫
288
○河村国務
大臣
平成十五年七月に策定された分ですね。この
レコード輸入
権に関する記述は
著作権分科会
の審議経過報告を踏まえたものである。そこで、ここで言う
関係者
とは、社団法人
日本レコード協会
、社団法人
日本
経済
団体
連合会及び
著作者
団体
、このように理解をしております。
川内博史
289
○川内委員 それであれば、もうその時点で特定をされていたのであれば、なぜ、その
日本
経済
団体
連合会なりあるいは
レコード
協会なりという
組織
あるいは
団体
を特定してお書きにならなかったのか、その
理由
をお聞かせください。
河村建夫
290
○河村国務
大臣
なぜと言われてもあれですが、これは、関係
団体
は当然あるわけでございまして、ここで知財計画において考えた場合に、いわゆる社団法人
日本レコード協会
、社団法人
日本
経済
団体
連合会、さらに、広く、実演家や作家、
著作者
全体を含めたこれで網羅されているというふうに考えたわけであります。
川内博史
291
○川内委員 いや、私がお尋ねしたのは、
関係者
について特定をされていたのであれば、そのように書かれた方が誤解がなかったのにということを申し上げているんですね。 先ほど肥田議員の
質問
にもございましたけれども、実は、この
関係者
というのは、
著作権
に関するいろいろな
関係者
間協議というのは従前から行われてきていて、その
関係者
というのは、希望をすれば、その
権利
に対して
意見
のある
組織
、
団体
はだれでもが自由に入れたはずである。しかし、この
レコード輸入
権あるいは
レコード
の
還流
によるみなし侵害規定においては、どうしても
関係者
を特定して話を進めなければならない事情があったから
ルール
を変更したわけですよ。 前の
著作権
課長である某氏は、もう前の
著作権
課長と言っちゃいましたから、岡本さんという方が
著作権
に関する御本を出されていますが、自分が
著作権
課長のときはだれでもこの
関係者
に入れたということをいろいろなところで、これは講演でお話をされて講演録もございます。だれでもが入れたんだ、それが
ルール
なんだと。 しかし、今回の
還流防止措置
については、なぜか
意見
を述べたい人が
意見
がありますと言っても聞いてもらえなかった、
関係者
に入れてもらえなかった。それはなぜか。
関係者
間協議の
ルール
がこの
レコード
の
還流防止措置
については変わったんですか。
河村建夫
292
○河村国務
大臣
これは、その方向がこのことだけ特定してやったということではないと承知しておりまして、
関係者
間で合意形成が進められている事項の中には、いろいろな
課題
に対してどういう
団体
が主体としてかかわったかということは、これは公表されておるはずでありまして、多数の
団体
がこれに関与してこられたと思っています。
川内博史
293
○川内委員 まさしく
大臣
がおっしゃるとおりで、多数の
団体
がいろいろな論点について
関係者
間協議を積み重ねてきているわけですよ。 今までの
ルール
は、希望をすればだれでもが、だれでもがというか、どのような
組織
あるいは
団体
であろうが、希望をすればその
関係者
間協議に参加して
意見
を述べることができるというのが
ルール
であったというふうに、昨年の
著作権法
の
改正
まではそういう
ルール
で行われていた。そこで協議が調ったものが国会に法案として提出をされるというふうに
ルール
づくられていた。非常に民主的です。一億総クリエーター、一億総
ユーザー
の
時代
の中にあって、
大臣
も御答弁の中でおっしゃっていらっしゃいます、いろいろな
権利
関係が、いろいろな
利害
がふくそうするこの
著作権
の
世界
の中で、
意見
を言いたい人はだれでもが参加をして、そしてみんなが納得をしたものだけが
法律
になる。 しかし、今回の
レコード
の
還流防止措置
については
意見
を言いたいという人がなぜか外された、排除されたという事実があったということを、
大臣
、それではお認めになられますか。
河村建夫
294
○河村国務
大臣
私は、そういう話は聞いておりませんで、多くの
団体
がこの法案に至るまでにいろいろな形でかかわってこられた。それこそ、貸し本の場合には
漫画
家の皆さんも随分来られたし、いろいろな方々が関係して来られたので、もし
意見
がどうしても聞いてもらえなかったという
団体
が、どういう
団体
があるかわかりませんが、重立った
団体
はこの中で御
意見
を言い、協議に参加された、私はそのように理解をしております。
川内博史
295
○川内委員 それでは、
大臣
、私もこれ以上
質問
が続けられなくなります。
関係者
というのは、すべて
意見
を言いたい方が参加をできて、そして、
関係者
間協議で合意が調ったものが審議会にかけられ、国会にかけられ、
法改正
が成立をするというのが去年までの
著作権法
改正
の
ルール
です。それが、今回の
還流防止措置
については、
関係者
間協議に入れてくれ、
意見
を言いたいという
団体
があるいは
組織
が排除をされたという事実があります。そのことを認めないとおっしゃるのであれば、それは事実を認めないということであれば、そういう事実があったわけですから、それを認めないというのであれば、これ以上
質問
は続けられないです。
河村建夫
296
○河村国務
大臣
いや、その事実があった、なかったと言われても、私は、認めるも認めないも、認めるものがないんですから、今私の口からそれを認める認めないということを言える
立場
に、
立場
というか、言えないわけでして、川内さん、どういう
団体
がどういうふうに言ってそれが拒否されたのか、今まではちゃんとやっていたのに急に除外された、こういうお話ですが、私はそういうことは承知しておりませんから、認めるも認めないも、これは言いようがないじゃないですか。
川内博史
297
○川内委員 こういうことは後ろの人に聞いてもらえばすぐわかるんじゃないんですか、これは事実なんですから。
河村建夫
298
○河村国務
大臣
いや、具体的にそういうことがあれば私の耳にも何らかの形でルートを通ってくるはずですが、そういうことを私は全然聞いていませんし、今聞く限りにおいては、ここに、これをお持ちかどうかわかりませんが、各
団体
名がずらっと書いてあります。かなり広範な
団体
が入っていますが、その中に落ちている
団体
があった、こういうことでしょうか。
川内博史
299
○川内委員 もう
質問
できないです。
池坊保子
300
○
池坊委員長
速記をとめてください。 〔速記中止〕
池坊保子
301
○
池坊委員長
速記を起こしてください。 続行いたします。川内博史君の
質問
に対し、河村
大臣
、
お答え
いただきたいと
思い
ます。
河村建夫
302
○河村国務
大臣
川内
先生
、何も出さなくてこれを認めろと言って、空気を認めるような話をされても困るので、どの段階でどういうことがあったのかおっしゃっていただかないと、答えようがないじゃないですか。
川内博史
303
○川内委員 具体的には、
消費者
団体
あるいは
日本
生協連、要するに、
消費者
の
利益
あるいは
音楽
ファンの
利益
を代表する方たちが、この
レコード輸入
権の、
還流防止措置
の
権利
の創設については問題があるんじゃないですかということで、
関係者
間協議に加えてくれという要望があったはずであります。そのことを
文化庁
は拒絶をされた事実があったはずであります。そのことをお認めになられますねということを聞いているんです。
河村建夫
304
○河村国務
大臣
私が今聞いた範囲では、これは審議会が始まった後でいろいろな
意見
があったということは聞いておりますが、聞いておりますというか、そういうことだろうと
思い
ます。 このことをやらなきゃいけない、それで審議会をスタートした、そして
意見
が始まったという段階で各
団体
はずっと加わっていただいておりますし、
消費者
団体
につきましても、たしか
意見
聴取等もしたはずでありますが、もう
一つ
、その事実があったと言われますが、どの段階でどういう形で申し込んで、どういう形で拒否したのか、これをちょっと明確にしていただきませんと、私としても答えようがないんですが。
川内博史
305
○川内委員 明確にするのは、
文化庁
さんの側で、あるいは
文部科学
省さんの側で明確にされるべきことで、いついつこういうふうに申し出があったが拒絶したということを明確に御答弁されればいいんじゃないですか。余りにも、ちょっと事務局は、
大臣
に余り恥ずかしい答弁をさせちゃだめですよ。
関係者
間の合意が調ったのは十一月、こういう
権利
創設についてどう思うかと
消費者
団体
に聞いたのは七月、四カ月も
関係者
間の合意が調うまで時間があるじゃないですか。その間に、
関係者
に入れてくれと何回も言われたはずです。それを
理由
もなく拒絶をしたのはどうしてなんですか、拒絶をした事実があるでしょうということを聞いているんです。
河村建夫
306
○河村国務
大臣
ちょっとこれも断片的な答弁になって申しわけないんですが、十一月の段階で審議会でそういう
意見
が述べられたというのが、今私が仕入れた答えなんですけれどもね。
川内博史
307
○川内委員 内々に話を聞いて、
関係者
間の協議に入れてくれと言っても入れてくれないから、
文化審議会
あるいは法制問題小
委員会
でせめて
意見
を述べたというのが真実でありまして、
関係者
間協議に入れてくれと何回も頼んだ、しかし拒絶をされたと。 この問題についてはまたこれから、来週、何日でもかけてやらせていただきたいというふうに
思い
ます。 とにかく、今回のこの
還流防止措置
は、
大臣
、再販
価格
の維持
制度
で
国内
的に
保護
されて、そしてまた、今回この
還流防止措置
を設けることによって国際的に
保護
される、二重の
保護
を受ける国なんというのは
日本
しかないわけですから、こんな
法律
をつくってしまえば。
音楽CD
について全く
価格
競争が働かない、そういう国になってしまうということを
意味
するわけです。 しかも、競争が働かなくても、いい
音楽
が安く聞けるのならまだしも、
日本
の
音楽CD
は
世界
一高いわけです。それがさらに高くなってしまうかもしれないし、そして好きな
洋楽
が聞けなくなってしまうかもしれない、その懸念は、きょう一日の
質疑
で全く払拭されていない、どこにも担保もないという
状況
でありますから、この
法律
については、私どもも、
音楽
ファンの期待を裏切ることのないようにしっかりと審議をしなければならないと
思い
ますし、お互いに責任を持たなければならないということを申し上げて、また来週に譲らせていただきたいというふうに
思い
ます。 ありがとうございました。
池坊保子
308
○
池坊委員長
次回は、来る六月一日火曜日午後零時五十分
理事
会、午後一時
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時八分散会