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古賀(一)
委員 では、もうそろそろ
最後になりますけれ
ども、この際、私の方から、文部行政全体の体質といいますか、それについて再度申し上げたいと思うんです。
これは
文部科学省だけじゃないんです、各省庁がこの国会でたくさんの法律を出しております。最近それをつらつら見るに、やはり依然として縦割りの中にこもっているんですね。縦割りの中で、今度はこの局でこういう制度をこのくらいいじりました、改正ですといって法案がたくさん出ておるわけでありますけれ
ども、この
栄養の問題一つとりましても、これは決して
学校にこういう職員を配置して解決する問題ではないんです。やはり縦割りを超えて、
関係のあるところに全部手づるを伸ばして、そして、トータルとして、農林省は農林省、厚生労働省は厚生労働省、
文部省は、ではどう手をとり合ってこの目標を達するかというのを、縦割りを超えて議論すべき時代なんですよ。
かつてのように、縦割りで、道路局は道路局、初等中等局は初等中等、予算は足りぬ、小
学校は足りない、予算をとってまず
自分のテリトリーのことをやっておけば、絶対量が足りなかったわけですから、それで済んだのですよ。今はもうそうじゃありません。
次に出る
文化財保護法も私はそうだと思うんですよ。ほとんどの法律について、何でこれだけの枠の中にはまって法律だけいじるんだ、条文だけいじるんだ、問題解決のためにはこれじゃ片づかぬじゃないか、何であの省と手を組んでやらないんだ、私はこう思うことばかりなんですよ。それが今の政府の政策づくりの依然残った欠点で、時代は変わり目、そういう縦割りを超えた総合行政あるいは連携行政をやるべき時代に、縦割りにこもって、うちは改革をしました、改革とまでは大げさに言わなくても、改善をしましたと。それにとどまっているところに、今の日本の財政赤字が一向に減らず、予算はぶち込むものの何か効果が出てこない、そこら辺の有機的な連携、ネットワークの不足だと私は思うんです。
そういうことで、あと五分あるそうでございます、私は、ぜひ
大臣に、先ほど申し上げましたように、BSEの問題もありますよ。それから鳥インフルエンザの問題もある。体力低下、先ほど言いましたとおりです。これを機に、
文部科学省が中心となって、厚生労働省、旧厚生省、農林水産省、あるいは場合によっては経済産業省、ひとつ食の問題というものを全部洗い出して、現場は、
学校もある、
地域もある、家庭もある、それでツールとしては、インターネットもある、通達もある、あるいはイベントもある、表彰制度もある、国民
スポーツ運動もある、そういう全体を私は見据えていただきたい。そういう必要性のあるぐらいこれは大きい問題ではないかと思います。
これに関連して、
最後に、私は、この
栄養というものは、恐らく体の
栄養、つまりたんぱく質であるとかビタミンであるとかミネラルとか、そんなたぐいだと思うんですね。ところが、もう一つ、これとも絡むんですけれ
ども、私は、心の
栄養という点もこれまた非常に欠けた問題ではなかろうか、かように思っております。
私もよく外国に行きます。一番驚いたのは、ブータンという国に行ったときですね。人口がたった六十万人しかいない、ヒマラヤ山脈の山の中、中腹にあるあの国ですけれ
ども、子供たちの目が本当にきらきらと輝いているんですね。悩みもないのかな。要するに輝いているんです。かつて中国なんかにしょっちゅう行っていたときも、子供たちがやはりきらきら輝いている。日本の子供を見ると、勉強で疲れたというか、何か輝いていない。そこには、単に、食べているもの、体にとっての
栄養だけじゃない、私は心の
栄養が何か欠けているんだろうという気がしますよ。
そうしたときに、食の問題とも絡むんですけれ
ども、この際、やはりもう一度、子供たちに心の
栄養を与えるシステムがあるのかというものを私は問いかけてもらいたい。最近の子供は全然遊ばない、遊び場がない、自動車が多過ぎる、こんなことばかり言ってずっと来ているんですけれ
ども、そういうことじゃなくて、やはり、文部行政の一環として心の
栄養を与える仕組みというものを教育の現場に何か組み込めないかということを真剣に考えてもらいたい、私はかように思います。
具体的に言えば、林間
学校もあるでしょう、それから農業体験学習というのもあるでしょう。私自身は、小
学校、中
学校、遊びほうけていましたけれ
ども、映画だけはみんなと
文部省選定のものをよく見に行きましたよ。
文部省選定じゃないのもたくさん見ましたよ。結局、そういうものが一番印象に残っているんです。
私自身は映画少年で、よく見に行きました。でも、今思えば、当時はテレビもほとんどなかったですから、ましてインターネットもない、世界の情報を知るのは映画ぐらいだった。私自身は、見たことのない世界というものを教えてくれる映画に本当に感動しましたね。「世界残酷物語」とかは、やはり日本映画よりも、
自分の知らない世界というものがこんなにあるのか、ああ、こんな苦しい国もあるんだ、こんな野蛮な、まだ未開な
地域もあるんだと。そうしたら、
自分が偉くなったというか、何か少々のことでくじけない、成績が少々下がったって大したことじゃないんじゃないか、世界は広い、私は少年時代からそう思っていたんです。やはりこういうチャンスを今の家庭教育は与えられませんよ、個室に押し込めてテレビをあてがっていますから。
やはりそういう、私はもう詳しく申し上げませんけれ
ども、
栄養は、心の
栄養も今枯渇していますよ。それに今の文部行政が、今のままで、
社会のせいにしただけでは済まない
責任を今文部行政は背負っているんだと私は思うんです。それを真剣に私は再考していただき、今、心の
栄養について何か
文部科学省がすべきことはないかというものをもう一回見直していただきたい、こうお願いをし、
最後に
大臣の御所見を聞きまして、
質問を終わりたいと思います。