○
河村国務大臣 今、笠議員から御
指摘がございました
教育基本法、今、笠議員が今の
教育を憂う
気持ちからおっしゃった中にも、この
教育基本法を改正するヒントが私はあったように思うんです。現実にオウム真理教の判決がきょう出る、既に十一人の死刑判決が出ている現状、ああした、いわゆる
日本の
教育の中でもエリートと言われる医師がいたり弁護士がいたり、それでいてああいうことに入っていった、これは一体何なのかということをやはり今考えていかなきゃいけないときに来ていると
思います。
戦後の
教育といいますか、我々もその中にあったわけでありますが、どちらかといえば、やはり豊かさを求めてといいますか、そういうことに走ってきたように
思います。そして、人間が生きていく上で、これはやはり人生をいかに生きるべきか、いい点をとっていい
学校に行っていい就職するだけがいいというだけではない、やはり生きるべき、大事なことがもっとあるんじゃないかということに、今国民は気づいておると
思いますね。そういうものをやはりこれから
教育の中にしっかり盛っていく必要があろうと。
私は、総理から九月二十二日に指名を受けたときに、今の知徳体の
教育プラス食育を重視した人間力向上の
教育改革に努めるべし、まずそう指示書の
最初に書いてあったことを踏まえながら、人間力向上ということになると、やはり人間いかに生きるべきか、まさに心の
教育といいますか、そういうものももっともっと重視する必要がある。
もちろん、
教育基本法をお読みになったろうと
思います。あの十一条の短いものです。しかし、その中に、
教育は人格の完成である、あるいは個人の尊厳も必要だ、あるいは平和国家の形成者としてのあるべき姿とか、これは大事な理念だと
思います。しかし、それだけなのかということを考えていかなきゃならぬ。そうすると、今の
教育基本法で、今の時代にふさわしいものは何なのか、どういう点をもっと考えていくべきか。
そこで、実は歴代の内閣、特に小渕内閣からこちらはこのことに特に力を入れて、小渕総理の時代に
教育改革国民
会議、そこで忌憚のないいろいろな意見を交わされた結果、やはり
教育の根本に立ち返って、これが
日本の
教育の
方針だというものが必要ではないかと。あの
教育基本法、これが全部間違っているとは言わないけれ
ども、これは世界どこに行ったって通用するもので、これが
日本の
教育かと言われると、欠けているものがあるんじゃないか、それをみんなで考えようということになって、中央
教育審議会でいろいろ御
指摘をいただいた。そのものが昨年の三月に答申として出てきて、新しい時代にふさわしい
教育基本法のあり方について、こういうことでございました。
この中には、これから新たに考えなきゃいけない理念としては、個人の自己
実現と個性、能力、創造性の涵養であるとか、あるいは社会の形成に主体的に参加する公共の精神、さらに道徳心、また
日本の伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心、そうしたものを盛って国際社会の一員としての意識をつくっていこうとか、または家庭
教育の役割の重要性、これは全くあのことについては社会
教育の一環として家庭
教育が書いてある、これでいいのかという問題。またさらに、今言われている
地域社会の
教育力、そういうものとの連携。
学校、家庭、
地域の連携がもっと必要だというようなこと。そういうものを踏まえながら、生涯
教育というような概念もございませんでしたから、そういうことも踏まえながら、国家百年の大計の基本理念をつくり上げた上で、さらに全体の
教育振興基本
計画もつくるべきだ、こういう形で出てきたわけでございます。
これは、昭和二十二年に
教育基本法が生まれて以来、今日、まるで手つかずに来たことを顧みながら、新しい
教育の根本を考えていこうということで、私も当選以来、笠さんと同じように、やはり
教育が大事だ、こう思って、ずっと党内でもそういうことを言い続けてきまして、今こういう
立場になってみて、やはりこのことを
実現しなきゃいかぬ、こう思っております。
そのことは、この国会にこの法案を出すことによって、もっと国民的な議論が出てきて、これは国会で議論することは当然でありますが、国民の
皆さんもしっかり考えていただく問題ですから、
文部科学省も、これで十分だとは言いませんが、これまでも
全国いろいろなところへ行ってフォーラムを開き、タウンミーティングをやり、これからも今から二、三カ所
計画しておりますが、そういう国民運動になるように努力もいたしておりますので、ぜひそういう視点から、私は
教育基本法の改正ということが大事であると思っておりますし、取り組んでまいりたいと思っております。
これは、今与党の中で、法案でありますから、まず責任がある与党の中で協議をいただいておりますが、これはぜひ野党、民主党の
皆さん初め、しっかり議論をいただきたいし、これはまさに超党派で考えていくべき課題であろう、私はそう思っておりますので、しっかり取り組んでいきたい、こう思っております。