○細野
委員 緊急
対処事態というのが、今回、
対応の中に入ったんですね。それ自体は、私どももこれは評価をしております。むしろ、去年の
法案の中にもきちっと入れておくべきであったという主張をしてまいりました。それ自体は評価をしているんです。
ただ、私、これからちょっと詰めて話をしていきたいと思っているんですが、その
法案の中身ですね。実際にそれが起こったときにどう
対応するのか、そのあたりについては今回の
法案は非常に問題が多い、そう
考えておりまして、その
部分について、きょうはちょっと詰めて
議論をしていきたいと思いますので、ちょっとパネルをごらんいただけますでしょうか。
大臣の方にも配ってありますので、ぜひごらんください。
先ほど申し上げましたとおり、もともと去年の
法案から出てきていたのが
武力攻撃事態ですね。それに対して、今回、もう少し
危機レベルの低いものとして緊急
対処事態というのが
国民保護法制の中に出てきました。
具体的にもう
政府の方で類型化も一部なされておりまして、
武力攻撃事態の方に関しては、四つ挙がっておりますが、着上陸侵攻のようなもの、ゲリラや特殊部隊による攻撃、さらには、弾道ミサイルの攻撃、航空機による爆撃、こういうものが類型化をされている。この
部分に関しては、私もいろいろな専門家から話を聞きましたけれども、ある程度、類型化として蓋然性の高い形になっているのかなというふうに思っております。
片や、緊急
対処事態の方、
政府のは三つ例示をしてこられているんですね。原子力発電施設の破壊、炭疽菌等を用いた
テロ、航空機による自爆
テロ。これは、先日、
委員会の中でも前原
委員の方から指摘をさせていただきましたけれども、類型というよりは例示ですね。こういうものが
考えられますということであって、これは十分類型化はされていないと私どもは
考えております。これは井上
大臣に、ぜひきちっとしたものを出していただきたいということをまた重ねて申し上げておきたいと思います。
その前提で、前原
委員への答弁の中でも、いろいろやりとりがあったわけですが、井上
大臣は、先日、この
部分に関しては、類型化はされていないけれども、概して言うと、
国民の
保護措置が必要となる
事態、避難であるとか警報であるとか、そういうことが必要になるものについてはこの緊急
対処事態に入るんだというような、そんな答弁をされました。
これが両
事態であります。
私、今回、実は、この
法案、非常に入り組んでおりまして、見にくいんですが、それぞれの共通点と相違点を整理してまいりました。
まず、共通点ですが、この
事態のそれぞれの例を見ても明らかなように、
国民の生命、身体、財産が
危機にさらされる可能性がある。これがまず基本認識ですね。
そして二つ目に、私権の制限がなされる。これは、緊急
対処事態もしくは
武力攻撃事態ですから、具体的に申し上げますと、土地家屋が使用されたり、また、
物資の保管が命令されたり、医療の
提供を義務づけられたり、これが課される。これが二つ目です。
そして三つ目が、後ほどこれも
議論したいと思いますが、指定公共
機関が指定されて、例えば放送局なんかが指定されて、そこで警報の発令が義務づけられる。これも共通点であります。
そして最後に、
自衛隊が恐らく出動するであろう。
武力攻撃事態の場合には、恐らくは防衛出動が下令されます。そして、緊急
対処事態の場合は、治安出動になるのか、もしくは警護出動になるのか、それは十分まだ、一対一の
対応ではないということでありますけれども、
自衛隊の行動が規定されるであろう。
こういう共通点が実はあるんですね。
その前提で、私、相違点を見て、これは明らかにおかしいなということを感じた
部分がございますが、そのことをまず指摘させていただきたいと思います。
事態が認定をされた後に
対処基本
方針というのが出されるんですね。基本
方針が出される。その中身が、実は
武力攻撃事態と緊急
対処事態で大きく違います。
まず、
武力攻撃事態の場合は、そもそも
事態の認定の前提となった事実、これが書かれています。そして、それに対しての
政府としての全般的な
方針、これも書かれているんですね。そして三つ目に、
自衛隊の行動、ここで恐らくは防衛出動が下令されますよということがここに書かれる。そして四つ目、今回、米軍の円滑化
法案も出てきましたから、この基本
方針の中に、米軍にどういう
協力をするかというのも書かれるんですね。そして最後に、
国民保護措置が書かれている。それに対して、緊急
対処事態の方は、上の四つは書かれないんですね。住民の
保護に対する
措置のみが書かれるんですね。
そこで、井上
大臣にお
伺いをしたいのは、
国民の側から見ると、生命の
危機がある、そして私権も制限される、メディアに対するある程度の国の管理もなされる、
自衛隊も出動していく、
事態は同じなんですね。ということになれば、当然、
事態認定の前提となった事実は何なのか、
政府の基本的な
方針は何なのかというのは、私は説明すべきだと思います。この緊急
対処事態の方の基本
方針にそういう基本的な認識が書かれないのは、これは何でですか。