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楢崎委員 つまり、この大量の排出がなされたときに、アサリの
被害の話なんてこれっぽっちも出なかったんですよ。だから、何度も言うように、短期開門に反対する漁協を懐柔するための開門手当、これを
漁業被害という、
漁業補償という名にかえて払った。つまり、一昨年四月十五日の、私が何度も言う深夜の密談、ここで話し合われたのではないかと疑っているんです、私は。このとき、短期開門のとき一週間でその濁りが
減少したのは、これは海水中の塩素イオン、これが凝集反応を起こしたからなんですね。ですから、この作用を
利用すれば解決策はあるんですよ、要するに。
それと、大事なことは、漁民の皆さんが海の再生力を信じて、そういう開門後の
被害、これを既に覚悟してあるということなんですね。
被害が出ることを承知の上で開門
調査を求めてあるんですよ。さらに、
農林水産省は、
調査を実施した場合新たに防災
対策が必要だとか、それから第三の
被害が心配だとか言ってありますけれ
ども、心配していただくのは結構ですけれ
ども、どういう
被害が出るんですか。
実は、共産党の皆さんが先月五月十四日に九州農政局に見送り撤回の申し入れをしてあるんですけれ
ども、その中の
一つ「干拓事業の防災効果の過大宣伝をやめ、干拓に頼らない防災事業に転換すること。」という申し入れに対して、五月二十一日付の九州農政局の回答は、「
平成十一年七月二十三日の集中豪雨や台風十八号が接近した
平成十一年九月二十四日の
被害状況からみましても、その防災効果が調整池周辺の低平地において着実に発揮されたことが実証されて」いると。「諫早湾干拓事業は、常に、高潮、洪水、常時排水不良等の
被害にさらされている諫早湾内の低平地におきましては、重要な事業となっているものと
考えております。」このように回答してある。この期に及んでもまだこんなうそ、幼稚な言いわけをしてある。(発言する者あり)だから、今から言うから。
まず、洪水についてですけれ
ども、今言われた方、あなた、この諫干の歴史を知ってあると思いますけれ
ども、南部総合
開発、これが打ち切られてもなぜ諫干事業が生き残ったのか。まさに防災名目を大きなよりどころにしたんですよ。これはあの五百三十九人の犠牲者を出した諫早大水害、この大水害級も防げると強調されているんですね。つまり、潮の干満差が五、六メートルになる諫早湾では、満潮時になると潮が逆流して、大雨が降ると逆流して、本明川の水が流下しにくくなる。ゆえに、潮受け堤防で湾を締め切れば諫早市街地の洪水はなくなるという論理ですね。
ところがそれは、専門家の検証で、どんな豪雨時でも逆流するのは一・五キロから二キロメートル上流までしかいかない。これは諫早水害史にも載っているはずです。載っていますよ、記載されている。だから、四、五キロ上流の諫早市街地には影響を与えないんですね。それを物語るように、締め切った後の九九年七月の豪雨、これは今九州農政局が言うところの七月二十三日の豪雨ですよ、このとき市街地は浸水したじゃないですか。諫早市民は怒りましたよ、何だ、潮受け堤防は防災の役目を果たしていないと。
農林水産省は慌てたんじゃないですか。
太田局長、あなたは私のその一昨年十月の質問に対して、「そういったことを受けて、本明川ではしゅんせつ作業が着々と進んでおりまして、そういった
意味では、流下能力が格段に
向上」と
答弁しておられる。つまり、みお筋のしゅんせつとか排水ポンプの増設、やるべき防災
対策をやれば、排水門の開放というのはできるんですよ。
それから、よく塩害という言葉を使われる。どうして塩害が起こるのかわからぬです、私は。あなた方は、
農林水産省は、調整池に海水が入れば豪雨時に逆流をして、これは背後地というんですか後背地というんですか、塩害が起こると。私に言わせれば、殊さらにそれを宣伝している感じを受けるんですね。先ほ
ども言いましたように、大量排水の実績もあるんですよ。ですから、言いかえれば、常時開放しても、緊急のときにはゲート操作ができるんですよ。だから、この塩害ということも、私はための話としか思えないわけですね。
それから、高潮。これは、以前、潮受け堤防が高潮を防ぐとも言われました。確かにそうだと思います。しかし、高潮というのは前兆があるでしょう。事前に予知が可能なんですよ。だから、それは開門中であれば閉じればいいし、常の
予防のためには河川堤防を高くすればいい。これも、だから理由にならないんですよ。
それから、
大臣はコンピューターによるシミュレーションの結果もよりどころと発言してありますけれ
ども、これはやはり実績
データと異なっているでしょう、このシミュレーション。
農林水産省は、シミュレーションによって、堤防の影響は諫早湾周辺海域にとどまるとしていましたよね。ところが、湾外で潮流が最大三三%遅くなった。これは科学的に実証されたんですね。
これは
有明海異変のために
調査したんじゃなくて、実は長崎大学と九州大学の研究グループが、あの雲仙・普賢岳の噴火で
有明海に流れ出た土石流の影響
調査、このために、堤防締め切り前の九三年十月から十一月にかけて有明町沖で三十二日間、潮の流速を測定したんですね。そして、十年後の昨年、同時期、同場所で三十四日間
調査した、その結果なんですね。
だから、これは三割の減速というのは大きいですよ。やはり流れが遅くなると、川からの栄養塩が滞留して赤潮の
発生になる、そして海水の攪拌率も弱くなる、これがまた二枚貝を死滅させることになる。
要するに、開門
調査をすることによって、真実、それが明らかになることが怖いんじゃないですか。そのお答えを聞いて、終わります。