○若泉
委員 福井県の若泉でございます。
麻生大臣とは初めてお会いしましたのが、初めての国会の開会式に陛下をお迎えしますときに、玄関の前で二列に並びましてお迎えしましたときに、私のすぐ上に、一番上にいらっしゃいまして、ここへ来たら会釈するんだよ、あそこの玄関まで行ったら会釈するんだよと懇切丁寧にお教えいただきました。きょうもそういった御答弁をいただけるものと期待をいたしております。
もう
一つは、私の親戚でもございます京都産業
大学の若泉敬教授が、実は
大臣のおじい様でいらっしゃいます、戦後の復興をおやりになりました吉田茂首相の、その吉田
学校の生徒でございましたので、常々
大臣には非常に期待をいたしていたところでございます。
そこで、今これから私は
質問をさせていただきたいと思いますが、新法案が三月にまた提案されますので、法案の審議におきまして、詳しい
質問はこの次にまたやらせていただきたい、このように思っております。
きょう、この前から私
どもの
委員の
質問に対しまして、時々耳にさわるようなことがございましたが、私は町長を十六年経験いたしておりまして、町長の力が能力の差だとか、または意欲とか意識がないとか、全国の
市町村長がもしこの話を聞きますと、ほとんどの方が、いや、おれはやっているよと。私も、その中では極めて能力を十分に発揮した町長、または、その意識とか、そういった意欲につきましては、だれにも負けない町長としてやってまいりました。そういう自負をいたしております。
それで、私なりに、これから少し分権の必要性をお聞きしたいと思いますが、ではどのようなことを、自負できるだけのことをやってきたかということを簡単に申し上げます。きょうは余り時間がございませんので、簡単に申し上げます。
例えば
公共施設は、すべて各
省庁の
予算を組み合わせて共同
事業でやる。これは大変時間がかかりました。縄張り意識がありますので、縦割り
行政ですから。これを、三つぐらいの
省庁の
予算をとって一緒にやるとか、または、下水道
事業は今立方式下水道
事業ということで、官庁速報の全国版に載りました。
それはどういうことかと申しますと、当時建設省と私
ども交渉をやりまして、流域下水道じゃなくてコンパクトな、三千、四千人のそういったところにも、そういう下水処理場を認めよという中で、あとは、
地方は所有地を
たくさん持っていらっしゃる方がいますので、
合併浄化槽と建設省の
事業を合体しまして共同
事業でやりまして、三百億かかる
事業を二百億にした。私は、百億のむだを省く協力を国に対してやっております。
また次には、建設省と自治省の
事業をいただきまして、私
どもの
観光施設と
観光施設の間のわずか二百メーターの道路でございますが、これが約四億円ほどかかったわけでございますが、それを、大体八割ぐらいのお金を自治省と建設省からもらう。たまたまそのときの専門官同士がお友達だったものですから、非常にわかりがよかった。でも、これはやはり交渉しまして、
努力をしてきた。そのようなことで、和紙の里通りがシンボルロードとして認められまして、ついにマイロード
事業、全国に今親しまれております道の駅、これは私
どもが発祥の地でございまして、まさに先進地ということでございますので、頑張っているところをお認めいただきたい、このように思います。
そして、芸術館というようなホールは、
日本全国にホールが二千ぐらいあるんです。これもむだなお金です。むだではないところもございます。私
どもの芸術館、ホールにつきましては、何と利用者率九七%でございました。舞台の稼働率が五五%でございます。これは、細かくぜひそのノウハウを教えてほしいという方は、私の方へまた来ていただきたいと思います、これは今時間がかかりますので。そのようなことで、
施設は、むだのない
施設だ、住民参加の
施設だということでございます。
そしてまた、住民参加によるボランティアの推進というものをいたしました。なぜこれができるかといいますと、町民が、住民が、ある
程度行政に対します信頼とある
程度の満足感を
感じますと、ボランティアにどんどんどんどん参加してくれるんですね。これは、私の
一つの町づくりでもございまして、また、自然と環境の町づくり、いわゆる木炭とかバクテリア、有機農法とか、または太陽光発電で恒久
施設をやるとか、そういうようなことを進めてまいりました。
こういったことを、今ちょっと申し上げましたが、ただ、こういったことをやってきましたが、町長にも非常に限界があるというようなこともございまして、自由にできないことが多い、それは特に
財源と権限でございます。
その
財源と権限といいますのはどういうことかと申しますと、きのうも
国土交通省へちょっと申し上げましたが、例えば、道路をこうしたいから
補助金が欲しいといいますと、いわゆる
国土交通省の規格がありまして、四メーターか五メーターの道路でいいのにもかかわらず、十二メーターの道路。そして、歩道は二メーターつける。その歩道は何と犬しか通ってない歩道なんですね。そういう歩道があるんです。別に、
地方に歩道は二メーターも要らないところがある。そういうこととか、あとは、今、治山治水
事業につきましても国の規格がある。規格外だからこの
補助金は出せないと。いわゆる規格も権限がありません。そしてお金も、いわゆる規格によってその
財源をいただくことができない。
そういった許認可の問題というものは非常にございまして、そういう中におきまして、近代国家をつくるために、西欧諸国に追いつくためには中央集権が必要であった。したがって、
経済成長の著しい発展と全国的なシビルミニマムの安定ということで、
日本は非常に大きな成果をおさめました。
しかし、一歩先を行く西欧を見ますと、成熟社会になっている。フランス、ドイツでは、六千から七千
程度の
自治体がまだ
合併いたしておりません。成長率は低いんですが、それなりにフランスやドイツは幸せにやっている、非常に豊かに見える、また豊かである。
そして、
地域地域で特色ある暮らしをしておりまして、例えば、フランスにブルターニュ
地域というのがあります。そこにランデルノ市という市がございます。ちょうど、あかつき丸のウランの船が出たところの、あの港の近くでございます。一万五千人の町でございますが、私の町も一万五千でございましたので、そこと私が町長のときに姉妹縁組をいたしました。
それをしましたところ、非常に質素に見えますけれ
ども、豊かである。丘の上には昔の古城がある。古城がちょうど
日本でいいますと公民館的な要素を持って、市民が十分にそれを、みんな利用できる。私もそこへ行きましたときには、地元の
地域でつくられた畜産の牛、そして、最もおいしい、一番いい小麦だと言われますその小麦のパン、そういったものをいただきながら、大変おいしいディナーパーティーを、今でも思い出していますが、すばらしかった。ただ、余りにおいしくて、フランスパンというのはかたいので、余計なことでございますが、歯を折ってしまった人もいます。それはいいんですけれ
ども。
それで、このランデルノというのは、
人口一万五千人でございまして、そして小中
学校が十校、そして裁判所とか
行政機能の中心になっておりますし、また、市役所の職員が三十五人、そして市長の給料は二十五万。それで、市長が
議員を
指定するんです。五、六人しかおりません。そして、県議も、県
会議員も兼任している、そういうことでございます。
こういうランデルノ市を見ましたときに、
市町村合併について、私は町長の立場上いろいろなことを
感じるわけでございます。自給自足できる体制、もともとのコミュニケーションと、そして、そういったものが崩壊しないような、本当に昔からの歴史とか伝統とかそういうものを大切にした町づくり、
市町村合併のときに私は当然これを指導されなければいけない。
その指導はだれがやるんだと私が言いいますと、政府の皆さんがおっしゃることは、それは
自治体同士でやれと。
大臣もおっしゃるように、もっと能力ある町長、
市町村長としてやるべきだ、こうおっしゃるんですが、実際のところ、なかなかそれがうまくいってない。私は、このようなフランスやドイツのような衛星都市、または自給自足できるような、こういったシステムの、体制づくりというものを本来ならばやってほしかった、今からでも遅くないんじゃないか、このように思っております。
そういう中におきまして、
大臣にお
伺いしたいと思います。成熟社会になったこの
日本に必要なものは、私は
地方分権だ、このように思っております。
大臣はどう思われますでしょうか。