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中塚委員 そうでしょうね。だから、やはりさらに申請するところなんかないということだと思うんですね。
申請して断られないようにしようと思えば、
事前審査してもらわなきゃいけないわけですね。そうしたら、その
事前審査というのは、実は裁量
行政、護送船団
行政そのものということになっていくわけでありまして、それは
金融庁自身が強く否定している、現実はどうかは私はわかりませんが、
金融庁自身が否定をしていることになる。
そして、何より証拠に、
組織再編特措法をやって
資本注入を受けたところはたったの一行しかないわけですよ。だから、この
法律ができたって、恐らくお使いになられるところはないでしょう。きょうお越しの五人の
皆さんはもちろんお使いにならないだろうし、そして、
皆さんの業態の各
金融機関もこの
法律は使わないだろうということだと思います。
大変に貴重な御
意見をいただきましたので、今後の
審議の参考にさせていただいて、たくさん時間をとってじっくりと
審議をさせていただきたいというふうに思います。
法案の中身に関連しての御質問はこれぐらいにして、実は、一つ伺いたいことがあります。きょう資料をお配りしておるんですけれ
ども、五人の
参考人の
皆さん、よく
お話をお聞きいただきたいし、特に、全国
銀行協会の
会長ということで、
三木参考人にはよくこの話を聞いておいていただきたいと思います。
これは、キャッシュカードの偽造被害の問題です。お耳に入っているかもしれません。私は、この問題をこの
委員会で取り上げまして、
金融庁に対して、しかるべく
指導をするというふうにお願いし、また、そういう答弁も引き出しておりますし、聞くところによれば、
銀行との懇談会というものも開催をされて、その場で
金融庁の方から問題提起があったやに聞いておりますから、
三木参考人も御存じになっているかもしれません。
キャッシュカードの偽造被害、いわゆるスキミングというふうに言いますけれ
ども、
皆さんの
金融機関が発行されるキャッシュカード、それを偽造する、そしてそのお金を引き出すということです。最近はそのキャッシュカードでローンが組めるようなものもあるということで、預金を引き出されてすっからかんになって、おまけにローンまでつくられてしまう、そういうふうな被害が相次いでいるわけなんです。
この問題には、大変に
法律の不備といいますか、
法律の盲点といいますか、やはり新手の犯罪なんだなということを実感いたします。
話が短時間でわかりやすいように、絵を一枚目、つけてありますけれ
ども、A
銀行というところに、これは東京三菱
銀行でも構わないんですが、そこにある方が預金口座を持っていらっしゃってキャッシュカードを持っている。ところが、このキャッシュカードが偽造をされて、そしてお金をB
銀行から引き出される。B
銀行は横浜
銀行でも構いませんが、そこからお金を引き出されるということになる。
そうしますと、このケースで一体被害者はだれなのかということなんです。被害者は一体だれかというと、実は、お金を引き出された方は被害者にならないんですね、刑法上は。
まず、A
銀行のキャッシュカードを偽造するという行為は、刑法で言うところの電磁的記録不正作出、そしてそれを使えば同供用という罪になります。ただ、これの保護法益というのは社会的信頼であるということなんです。そして、このデータの作成自身がA
銀行であれば、被害者はA
銀行だということになるんです。
次に、B
銀行からお金を引き出すという行為なんですけれ
ども、このB
銀行からお金を引き出していくという行為は、実はこれは窃盗罪、つまり、B
銀行が管理をするATMから財物をとったということで窃盗罪ということになって、被害者はB
銀行なんです。
というわけで、預金をされている方、
預金者はあくまで被害者になり得ないんですね、刑法上は。というわけで、この被害を受けた方が警察に行かれても、実は被害届を出せる立場にないわけなんです。捜査を始めていこうというふうに考えれば、
皆さんたちがそれに協力をする以外に捜査は始まらないということなんです。
三木さん、本当にこれは大事な話だと思います。お金をなくされて、預金をなくされて、おまけにローンまで組まれて、そして茫然自失で警察へ行っても、警察は被害届を受け取らないというか、話を聞いてくれないことはありませんが、要は、
法律上はその被害届を受け取れないんですね。被害者じゃないんですから。ということで、まず、事件が、ちゃんと捜査が始まる、捜査の端緒になるというのには
皆さん方がちゃんと被害届を出される必要があるんです。
次、この資料の二枚目なんですけれ
ども、これが、引き出されたATMの中に残っていた書類のコピーです。ジャーナルというふうに言うんだそうですけれ
ども、ATMでお金を引き出した場合に、ATMの中には引き出した記録が残るようになっておるそうで、現物はロールペーパー、トイレットペーパーみたいにぐるぐるっと巻いてあるわけですね。それをコピーしたものがこれなんですけれ
ども、上三枚黒くなっているのは、カードが真っ白だということです。要は偽造カードだということなんですね。そして、一番下のカードには字が書いてあるのが見えますけれ
ども、これが唯一本物ということなんです。というわけで、偽造カードであったことは、これはもう明白な事実なんですね。ジャーナルを見れば、偽造カードによって引き出されたということは、これはもう明白な事実であるということです。
そして、資料の三枚目ですけれ
ども、こういう被害に遭われた方が警察へ行って被害届を出そうにもなかなか受理してもらえない。ただ一件だけ被害届を受理した警察があって、捜査が進んでいる。その捜査の中で、こういうジャーナルというのも証拠書類として取り寄せることができたわけなんですが、刑事の問題もさることながら、次は民事の問題になってくるわけです。
要は、自分のキャッシュカードを偽造された、しかも、どこで偽造されたのかわからない。というのは、やはりキャッシュカードを偽造されるような扱い方をした覚えはないという方が大多数なわけですね。大多数なわけで、いつどうやって偽造されたのかわからない、本人に過失責任はないというふうにおっしゃる方がほとんどです。
そういう中で、では、お金を、自分の預金を引き出されたということについて
銀行にかけ合われることになります。この三枚目の資料は、代理人の弁護士が、ある
銀行に対して、この件について問い合わせたその書類が書いてあります。プライバシーの保護のために
銀行の名前等またあるいは被害者の名前というものは伏せてあります。
そして、これに対する答えが四枚目の紙になる。この回答書が、そのお金が引き出された件について誠意ある
対応を
銀行に対して求めたけれ
ども、
銀行の回答書というのはこういうことであったということなんですね。
ここまで
お話をいたしまして、まず第一点ですが、
皆さんが被害届を出さなければ捜査自身が始まっていかないわけですね。というわけで、こういうケースがあった場合にはちゃんと、
銀行もある
意味被害者ですよね、それは自分のところのカードを偽造されているわけですから、そういった
意味でこれは
銀行も被害者であるわけですから、こういったケースが起きた場合にはちゃんと
銀行として、支店として被害届を警察にお出しになることをちゃんと
指導徹底していただけるということをお約束いただけますでしょうか。