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五十嵐議員 尊敬する村井先生に御
質問いただきまして、ありがとうございます。
私どもは、先生おっしゃるとおり、今が
金融に何の不安もない状態というふうには思っておりません。これは、実は危機があるんだけれども覆い隠されている状態である。
例えば、先生、先ほどもちょっと申しましたけれども、某大
銀行が外資系のゴールドマン・サックスという会社と、極めて大きな
資本をそこから持ってくる、投入されるという形、しかも、リスクをほとんど
日本の国内の
金融機関が、メガバンクが負い、相手方はほとんど負わないという、極めて片務的な異常な契約が行われたと。この裏には何があるんだろうというふうに思うわけですね。
そうしたら、その後で出てきたのが、先ほど
指摘をいたしました
悲観リスクなるものですね。その乖離率は物すごいんですね。これは、こちらが実態だろうというようなことがたくさん証拠として出てくるわけでございまして、実質的には、あっという間に、例えばりそなが極端な
過少資本に陥れられてしまった。しかも、そのときに、健全行としての四%、八%というラインの
公的資金注入で済めばいいのを、なぜ一二%超まで、一兆九千億円を超えるような額まで
注入しなければならなかったのか。それは、その後の、
注入した
資本の目減りを計算に入れざるを得なかったから、すなわち、まだまだ
不良債権問題というのは非常に大きな危機を内包して進んでいるから、それだけのことをしなければいけなかったというまさに証左なんだろうと思いますね。
それから、さらには、
足利銀行もありました。健全だとされて、
監査法人が認定をし、
金融庁もそれでいいと言った、その半年後に、あっという間にいきなり破綻をしてしまう。そして、善意の預金者が出資に振りかえた分がゼロになって紙くずになってしまう。あるいは、善意の借り手が路頭に迷ってしまいかねないというようなことが突然として起きてくる。これはもう
金融危機以外の何物でもないではないですか。
事態対処法というのがあります。あの中でも予測事態というのがありますね。危機管理の上で、危機直前であるという
状況というのはあるんだと思う。そうでなければ、なぜこんなに急いで
モラルハザード的な
法案、この
注入新法をやらなければいけないのか。
あるいは
金融再編
法案、これは一件しか適用がありませんでしたけれども、これは、ペイオフを控えて、危ないから
金融再編をしてくれるところにはメリットをたくさん上げましょうという
法案でした。
金融再編だから貴重な
公的資金を使ってもいいでしょう、許してくださいね、こういう趣旨でつくられたわけですけれども、実際には一件しかなかった。これじゃ効かないからといって、今度は単体でもいいというようなことをお考えになったわけで、これが前向きの
政策だと言うんですけれども、私はそうではない。
これはまさに
金融行政の
モラルハザードだ。
金融機関の
経営者の
責任を問わないで、健全行に
注入をするというやり方で失敗をしてきた、過去に何回も失敗してきたことの繰り返しをするだけです。それは
金融機関の
経営者の緊張を緩ませ、
不良債権問題の処理を長引かせてきた。我々は、ですから、一気にこの
金融不安というものをなくし、払拭し、完全な、健全な状態をやはりつくっていくということに前向きに進まなければならない、こう思っているわけです。
今やこの
不良債権問題は単なる
金融問題だけにとどまらなくなると思う。S&P社、スタンダード・アンド・プアーズ、格付会社が
日本国債の格付をかなり
日本政府が怒るほど低いところに持ってきていますけれども、その大もとは、その判断のもとは
金融セクターの実力の低さだ、これが
財政問題に反映しているんだというようなことも
海外の格付機関は言っているわけであります。
そのような
観点から、
金融機能が、先生おっしゃるとおり、本当に今もう健全だったら、五年間で五百兆円あった
銀行貸し出しが四百兆円を割るところまで、百兆円以上も激減するはずがない。
金融機能が
発揮されていないではないか。公的な機能、
経済の血液として
金融機関がお金を
経済社会に回すこと、これが公的な
役割の公的たるゆえんでありますから、それが働いていないということはまさに
金融危機なんだというのが私どもの考え方でございます。