○馬淵
委員 民主党の馬淵でございます。
きょうは、先週の二月の二十六日に発表されました
金融検査マニュアルの別冊、中小企業向けの融資編、これにつきまして竹中
大臣並びに
金融庁の皆様方に御質問をさせていただきたいというふうに思っております。
まず、この
金融検査マニュアル、
平成十一年に策定をされ、そして
金融機関の検査という形で広く使われてきたわけでありますが、機械的、画一的な適用というものに対して、なかなか実態にそぐわないんじゃないか、中小企業、特に小さな零細企業などはこうしたマニュアルの運用に十分乗らない場合がある、こうした声を受けて、
財務状況、
財務諸表だけを見て決めるのではない、もっときめ細かい運用が必要だということで、
平成十四年に
金融検査マニュアルの別冊が策定されたわけでございます。
そして、この別冊を運用していく中で、さらに中小企業団体や
金融団体、さまざまな方面からの声を聞いて実質的に運用を変えていけるような形に変えていこうということでつくられたのがこの
平成十六年版の
金融検査マニュアル別冊である、こう認識しております。
さて、このマニュアルでございますが、今回の改定におきましては、適用を受ける側、あるいはそれを運用していく者、双方にしっかりと世情に合ったものに変えていこうということがあったかと思われますが、まず私は、このマニュアルの適用を受ける側である企業、いわゆる借り手側ですね、インセンティブとでも申しましょうか、借り手側がこうした検査を受ける上ではこういう形で十分評価してほしいという、そんな要望を酌み取ったというマニュアルの中身につきましてぜひお
伺いをしたいというふうに思います。
このマニュアルの中で、借り手側、中小企業の経営実態というものをきめ細かく勘案する、こういうことで、実質的な与信を受ける力、受信力とでも申しましょうか、この実質的な受信力をどう評価してもらえるかということが非常に重要な
観点であると
考えます。
それで、この
金融検査マニュアル、私も資料をいただきましたが、これを見ていきますと、まず、そうした実質的な受信力を高めるため、確認するために、十分に意思疎通を図りなさいよということを大前提に掲げておられるわけですが、その中で、
平成十四年に、既に、中小企業というものは特別な
状況である、大企業のように
財務諸表だけで評価できないんだということが
議論されておりました。この
財務諸表だけで十分
議論できないということでポイントとなったのが、代表者との一体性という
部分であります。
この代表者の一体性というのは、例えば代表者が会社に対して貸し付けをしているあるいは多額の報酬を受け取っているというような形の
部分においては、これは単純な会社側の借り入れであったり、あるいは報酬支払いというよりも、中小企業などというものは代表者と企業が一体になっている。公私混同も甚だしい
部分も確かにあるんですが、そういったところではこれは資本とみなしていこうということで、中小企業の実態に即す形で資本へのみなしを行おうということが十四年にも
考えられた。これがこの代表者との一体性の
観点であります。
私自身も中小零細の企業におりました。これはよくわかります。実際、親方が公私混同、もう全くごっちゃになって、しかしながら、会社のためには何とかして、それこそ
自分が財産を削ってでも守っていこうという姿勢がかいま見える。だから、
財務諸表だけで読み取れるものではないという、こうした
観点が酌み取られたのは非常に大事なことであるとは思っています。
そして、この代表者との一体性という
観点と、もう一点、十四年にこれは組み込まれていますけれ
ども、企業の成長性という
部分ですね。この企業の成長性、これについてはだれもがなかなか読み切るのは難しいとは思われますが、しかし、大企業のように大きなパイで物を動かしている会社ではない、例えば小さな町工場、こういったところできらりと光る技術、こういったものが潜在的な目に見えない成長性である。こういうことをしっかり評価していこう、きめ細やかに見ていこうということ、これが、この十四年、並びに今回も、十六年も継続しておりますが、中小企業に対する借り手側の実質的な受信力を評価する目線として大事だ、こういうふうにこのマニュアル策定の中では
考えられていると私は受け取っています。
ところが、実質この運用の
過程におきましては、例えば、
先ほどお話ししました代表者との一体性の問題、これは中小零細でいえば当たり前の話であります。殊さらにこれを取り上げて、この
部分を今まで十分に確認できていなかったのかと、
金融機関に対して私は逆に
民間におった立場では文句さえ言いたくなるような気分でありますが、こうした当たり前といえば当たり前な話の
部分。さらには、企業の成長性ということで見れば、何をもって成長性とするのかということでいいますと、これも担当の方に
お話を聞くと、右肩上がりの数値実績があるという、こんな
お話がありました。あるいは業界誌に取り上げられている、あるいは後継者が存在する、これは息子さんとかそういった形だと思うんですが、これが潜在的な成長性を裏づける、きめ細やかな対応の中で潜在的な成長性を裏づけるという大きな要因として評価するとなっているわけですが、右肩上がりの数値実績で成長性があるというのは、これは当然なんですよ。この
数字を見て、だれもが成長しないなどとは感じない。そして、後継者が存在することによって、これが潜在的な成長性があると。
果たして、このマニュアルに書かれている本来の
趣旨の
部分で、具体的な運用の中で、今申し上げたような企業の潜在成長性であったり、あるいは代表者との一体性という
部分、いいことは書いてあるわけですけれ
ども、この
部分で本当にしっかりとこのマニュアルの運用の
過程の中で評価できていくのか、これにつきましてまず御所見を
伺いたいと思います。