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赤羽委員 公明党の
赤羽一嘉でございます。
本日は、与えられた二十分間という大変短い時間でございますが、私
自身、あの
阪神・
淡路大震災で住む場所を失った
被災者の一人でもございますし、この九
年間、
被災地選出の衆議院議員として、つぶさに生の現場、そして、
被災者の
皆様の生の声を国政に届けてきた者の責任ある立場の一人として、二十分間思いのたけを
質問させていただきたいと思いますので、どうか端的に、よりよい
制度になるような御答弁をいただければというふうに思っております。どうかよろしく
お願いいたします。
これまでの九
年間を振り返ってみますと、九年前の一月十七日、
阪神・
淡路大震災が起こったわけでございますが、あの震災で約四十万という膨大な数の
住宅が全
半壊をした、そして六千四百名を超えるとうとい人命が失われた、こういう大変なあの未曾有の大
災害となった震災復興を通じる中で、それまで日本の
制度ではタブーとされてきた、
私有財産に対する公的助成とか
個人補償といったものの
議論がされてきたわけであります。その
議論の中で、時間はかかりましたけれども、
被災者生活再建支援法案という新しい法案を議員立法という形で成立をさせ、そしてタブーにやや一歩踏み込んだ、こういった経過があったというふうに思っております。
また、その震災復興の中で大変な数の
住宅が
倒壊をしました。そして、国、地方自治体も、何もしなかったわけではなくて、当然、賃貸
住宅居住者への
対策と並行して
住宅所有者に対しても数々の
対策を実施してきたわけでございますけれども、
現状は、なかなか
住宅の
再建というのは期待どおりに進捗しなくて大変時間がかかった、
生活再建や
地域社会の復興の遅延につながってしまった、こういった反省もあったわけであります。
このような
状況を背景に、
被災者生活再建支援法の附則第二条に、これはもう御存じですけれども、「
自然災害により
住宅が全
半壊した
世帯に対する
住宅再建支援の在り方については、総合的な
見地から
検討を行うものとし、そのために必要な措置が講ぜられるものとする。」というこの附則に基づきまして、
平成十一年の一月八日に、国土庁のもとに、東京大学の
社会情報研究所教授でいらっしゃいます廣井脩
先生を
委員長として、九名の
委員の
方々で構成された
被災者の
住宅再建支援の在り方に関する
検討委員会というものが設置されたわけです。この
委員会というのは十七回に及ぶ
委員会を開催されまして
議論を重ねられ、
平成十二年の十二月四日に報告書が作成をされました。
その報告書、
大臣もお読みだと思いますが、
住宅そのものは、
住宅単体としては
個人資産ではあるけれども、「
阪神・
淡路大震災のように大量な
住宅が広域にわたって
倒壊した場合には、
地域社会の復興と深く結びついているため、
地域にとってはある種の公共性を有しているものと考えられる。」こういう報告があります。
そして、それに続いて、
阪神・
淡路大震災においては多額の義援金が寄せられたにもかかわらず、
被災者が多く、
住宅再建資金としては十分ではなかった。一軒当たりの義援金の分配もわずかだった。また一方では、
高齢社会における多数の
高齢者の存在、また、
地域経済の崩壊に伴う各
世帯の収入の減少、こういったさまざまな要因によって
被災者の自力
再建というのは大変限界があった。だからこれは、
自助、
共助、
公助の「
共助の理念に基づく相互
支援策を
拡充することについて
検討する必要がある」、こういった提言がされたわけでございます。
私
自身も、この九
年間現地でつぶさに
住宅再建の
状況を見てきた一人として感じることは、やはり
住宅というのは、一生の買い物、三十年のローンを組んで買った買い物、しかしこれが、あの二十二秒間の揺れで、購入したローンの対価が一瞬にして滅失してしまった。その形のないローンだけが残る。新しく家を買えば二重ローンになるし、賃貸に入っても同じような負担が出る。まさに二重ローンを抱えながらの
住宅再建をするというのは、これは、いわゆる
社会的弱者だけではなくて、一般の
方々も、
被災者は大半が絶望的な困難を感じたということが言えると思うんです。
そういった
状況を見て、私も、これは実は
井上大臣も、同じ新進党の所属議員として国会の場において幾度となく指摘もし、新たな議員立法も何回か国会に提出をしてきたわけであります。こういった立法府での
議論とか動きとか、審議会の報告書とか、世論とか、こういったさまざまな経緯を経て、今般、この
被災者生活再建支援法に関する
住宅再建の部分についての
法改正が提出されたということは、私は、この中の
住宅本体の
再建がなされていないという指摘もあるけれども、しかし、よくよく考えてみれば、利子補給というのは、ある
意味じゃ
住宅再建の
支援そのものという
考え方もできるわけで、私は、相当限られた制約の中で今回の
法改正というのは一歩踏み込んだんだろうなというふうにも思いますし、九年前の時点では、まさに私的財産に関するあらゆる補償とか公的助成というのはタブーとされていた。そのタブーがこの九
年間の中で確実にやはり変化をしてきている。そういった変化をしてきているということを、私は認識そして
評価するわけであります。
せっかくこういった法案ができた。しかし、一番問題なのは、この法案によってその
運用の中で
被災者の中で不平等が起きたりとか、または、なかなか
運用上難しかったり機能しなかったりとか、せっかくつくったけれどもその効果がどうかというのはやはり検証されなければいけないと思いますし、やはり、そういった詳細についてはこの
法律には書き込まれていない、ほとんどが政令で定めるようになっているわけでありまして、この限られた時間には、この政令について私の懸念をちょっと
質問させていただきたいというふうに思うわけであります。
政令というのは役所の
皆さんのフリーハンドであるわけでは当然ないわけでありまして、本日の審議も含めて、これまでの国会審議のあり方とか、先ほど申し上げました、国土庁に設けられた
検討委員会の報告書とか、地元の地方自治体、
全国知事会の
意見とか、こういったものが反映される中でおのずと政令が定まっていくというふうに、私はそう理解をしておりますが、まず、
議論に入る前に、その政令の定め方について、そういったものである、こういった審議が当然参考になる、国民の声が反映されるというものを確認させていただきたい。
当たり前のようでありますが、
議論に入る前にその確認をぜひ
お願いいたします。