○下条
委員 ぜひ、見きわめることを進めていただきたいというふうに思います。
ただ、もう一度申しますけれ
ども、永久資格というのは物すごく怖いものだと思います。例えば法律とか会計事務は、ある
意味で人の命とは、間接的には関係するでしょうけれ
ども、
旅行業というのはそのまま右から左に命を動かす
仕事であるという
意味では、資格面について、一回取れば永久資格ではなく、チェック機能をある
意味で抜き打ち的にしていくような法案をこれからぜひ、今、見きわめながらとおっしゃっていましたけれ
ども、前向きに考えていただければというふうに思います。
次に、営業保証制度及び弁済業務保証制度について御
質問させていただきたいと思います。
今回の法案で、弁済の対象から運輸機関と宿泊機関を外して
旅行者のみにするというふうに
改正された、こういうふうにお聞きしております。言いにくいですが、この理由というのは、弁済業務保証制度そのもののシステムを何とかして維持したいという業界もしくは協会の思惑であると私は思っています。
そこで、先日、御省の方から弁済業務保証金準備金の六年間の推移をちょうだいしました。金利低下による運用益の減少とか不景気、値下げ等による
旅行会社の倒産の増加、特に
平成十年では、四季の旅社とかジェット
ツアー、太陽トラベルなどの大型の倒産があった。これによって弁済準備金の取り崩しがどんどん続いた。それで、それが原因で随分減ってきて、
日本旅行業協会、JATAというのですか、準備金の残が増減あって十六億円、そして全国
旅行業協会、ANTAの準備金は、
平成九年十億円あったものが十四年には約半分の五億円まで減ってきてしまっている。
これは実際の
数字です、御省から出していただいた
数字です。現行のままでは近い将来このシステムは当然ながら吹っ飛んでしまうということではないかという内容になっています。
このシステムの破綻については、御省のレクでも、非常に厳しい方向なんじゃないかなというお考えをお聞きしております。それは私もわかります。
また、あともう一つ、御省から出していただいた資料で、過去の弁済の内容をちょっとお聞きさせていただきます。
認めた弁済の認証金の全体の中で、
旅行者、
消費者対事業者の認証金の比率は、
平成十三年には四対六であった。それがもう翌年の十四年には三対七になってきてしまった。つまり、全体の六、七割を占めている事業者に対する弁済を一気にゼロにしてしまう、こういう
法改正であると私は理解しています。そのとおりだと思うんですね。それは、さっき言ったように内容が非常に厳しくなっているから、弁済が多くなっている、七割、六割を占めている事業者の部分の弁済をカットしてしまう、こういうふうな
法改正だと私は思います。
しかし、御省のレクからお聞きしたところによると、いろいろ数年かけて事業者と話し合ってきた、問題ないとおっしゃっております。ただ、例えば宿泊機関については、確かに協会のクーポンという互助制度があってリスクはカバーできる、そういうお答えが返ってくると思います。
しかし、運輸機関についてはそのカバーが全然ない、こういうふうにもお聞きしております。だから、今まで六、七割カバーして、運輸機関についてのカバーは一切ない状態の
法改正をするというふうに私は理解しております。つまり、運輸機関に何かあったときは、そのリスクは運輸機関が全部しょう。バスでも車でも飛行機でも船、全部しょうんだぞ、おまえたちがというような
法改正だと私は理解しています。
ということは、私が例えば運輸機関の、まあ、社長になることは僕は能力ないからできないけれ
ども、例えば上の方の人間になったとしたら、この
法改正でもし
自分の方が全部リスクをかぶらなきゃいけないような
法改正に変わるんであれば、つまり弁済の対象に入っていないということであった場合は、当然私は何をするかといったら、それは
旅行業者の選別をしていきます。つまり、第一種、第二種、第三種ありますけれ
ども、でかい
旅行業者に僕はどんどん頼みますよ。いろいろな関係、お互いにギブテーがあります。小さい
旅行業者は全部カットしていきます。どうなるかわからない。
そうなってきますと、私は、小規模、中小規模の
旅行業者がどんどん取引が減って、ますます経営悪化になっていくような気がしております。私の気持ちだけかもしれません。
そうなると、そこに何が発生するかというと、経営形態が悪くなればますます倒産がふえて、今御省が守ろうとしているその準備金の残高を減らすべく保証金の発生する件数がふえてくる、こういうふうに思います。
そこで、この辺の、はっきり言いまして私も随分
数字をいただいております。私も運用専門で何十年もやってきました。だから中身もわかりますが、果たして運輸機関にそれだけカットしていれば、必ず航空会社、バス会社は、今言いましたように上の方のでかい会社しか頼まなくなっちゃう。そこで倒産がふえると私は見込んでおりますけれ
ども、この辺の御見解はいかがでございましょう。