○中野(正)
委員 自由
民主党の中野正志でございます。
石原国土交通大臣を初め、参考人に数点お伺いをさせていただきたいと存じます。
道路公団民営化法案、今日まで私どもも党内で活発な
議論を展開いたしてまいりました。もちろん、国会内外でも種々の
議論が交わされてはおります。一部、私からすると心ない批判だとは思うのでありますけれども、形ばかりの
民営化という批判もありますけれども、二十一世紀、
日本のために大いなる前進の
改革だ、私はそう確信をいたしております。生みの親たる国がしっかりはぐくんでいく、自主、自立を見守っていく、余計な口は出さない、こういうことが大事だろうと思うのであります。
それにつけましても、
民営化ということで思い出されますのは、先ほど来
議論がありました
国鉄分割・
民営化のあの大
事業でありました。
今、
JRはスタートして十七年。十八、九年前でありますけれども、今は国会を勇退されました三塚博元大蔵
大臣、運輸
大臣、私は、言ってみれば禄をはんだ一人でございまして、当時、県議
会議員。本当に国
会議員というのはすごいものだ。あの三塚さんが、若手、中堅の国
会議員を糾合いたしまして、本当に高い志を持ち、また使命感を持ち、そして勇気を奮って、いかなおどかしにも屈することなく
国鉄改革をやり遂げた。あのときに、夜お戻りいただきますたびに御自宅に参りまして、言ってみればガードマンをしておったのでありますけれども、夜中の二時、三時、やみ夜のときもあるぞと大変おどかしを一部の方々からいただいたことをまざまざと思い起こすのであります。
当時、旧
国鉄でありますけれども、毎年二兆円近い赤字を生んでおりまして、まさに経営破綻状態でありました。この
国鉄を何としても
民営化させて、明確な経営責任のもとで再生させることが
日本の将来のためなのだ、そう考えた三塚さんでありました。
今、私たちも思い起こしますと、あの
国鉄改革がなければ、
平成十年の段階、私たちの認識では五十兆円近い長期
債務が残っていただろう。今このときに考えますと、もう天文学的な数字だな、あるいはもう旧
国鉄というのは経営破綻してなくなってしまっているな、そんな思いも実はあるのであります。
以来、
国鉄分割・
民営化もいろいろな道のりがありました。つい先日に調べたところでは、現在、
JR本州三社、国税、
地方税合わせて三千八百二十九億円の納税だというのでありますから、すごいなと感じております。
あの当時、六千億円も七千億円も国庫補助をいただいておりました旧
国鉄でありますから、行って来いで考えますと約一兆円、
民営化のなせるわざの
成功例の
一つであろうな、率直に思うのであります。
JRの経営陣、社員、心
一つにして懸命の努力をされてきた、生産性も向上してきた、また何よりも
国民の皆様に喜ばれる
JRということになった、そんなこんながあるのであろうと思います。
それにしても、この今回の
道路公団民営化、性格は先ほど来の
議論のとおり違いますけれども、ぜひ
成功するものであってほしい、念願をいたしておるところでもあります。
また、
道路ファミリー企業の問題を初め、種々のいろいろな批判、
指摘事項もあるところでありますけれども、先ほど来の
議論を聞いていますと、しっかりとクリアできるな、とにかく
民間にできることは
民間にゆだねるという
基本のもとで、
債務の確実な
返済と、そして真に必要な
道路を
会社の
自主性を尊重しつつ、早期に、できるだけ少ない
国民負担のもとで
建設をするのだ、また
民間ノウハウ発揮で
料金を下げて
サービスも向上させる、こういう
道路公団民営化の
事業でなければならないと個人的に考えるところでもあります。
はてさて、
質問に移りますけれども、きょうは、大変残念でありますけれども、
民主党の皆さんが
出席をいたしておりません。私は、
民主党がいわゆる去年の衆議院選挙でマニフェストとして出された
高速道路料金無料化、この問題について率直に批判をさせていただきたいと思います。
日本道路公団と本四
公団を廃止し、三年以内に大都市を除いて
無料にする、言ってみれば、この
民主党の訴えが大都市圏では大変に多くの皆さんの胸に響いた
ようであります。私たちもいろいろ反論を試みたのでありますけれども、何せ何せ、マスコミさんも
無料化、
無料化、
無料化ということで書き立てていただきましたので、大変厳しい戦いを強いられたな、率直に自戒もしながら、恨み
言葉ではありませんけれども、あえて批判をいたしたいと思うのであります。
いずれにしても、もし廃止したらその
借金をだれが払うのか、これは大きな問題であります。当時、
民主党は、九兆円の
道路予算から年二兆円を
返済に充てるといたしておりました。また、
道路特定財源のうち三兆円を一般財源化するということを言っておりました。しかし、
御存じの
ように、九兆円のうち四兆円は
地方自治体分、
地方政府分であります。ですから、トータルをしますと残りはゼロ。言ってみれば、国道
整備も、あるいはあかずの踏切の解消も、一切の
道路整備もできないということになるのであります。
高速道路無料のイメージが先行して、こういった数字を
国民の皆様に示しても、申し上げました
ように、理解されず、本当に厳しい選挙であったなと思うのであります。
私からすれば、全く現実性がない、無責任公約でしかない、にもかかわらず、まこと摩訶不思議だとしか言い
ようがないところであります。
先ほど、
高木議員の
質問にもありましたけれども、
民主党議員の中で、ちょっと調べました、
平成十五年度、開通式など
出席者国
会議員一覧表であります。ちなみに、これは
道路公団のみであります。
自民党、衆議院三十一人、参議院十四人、四十五人の
出席であります。公明党、衆議院二人、参議院一人、合計三人であります。大都市圏、どうしても開通の場所は除きますから、そうなるのかもしれません。ちなみに、
民主党、衆議院十四人、参議院八人、こういう格好になっておりまして、二十二人であります。
先ほどの
高木議員の
指摘でありませんけれども、地元ではこういった
高速道路開通、
高速道路建設については大変な理解を持った
民主党議員が多いはずなのでありますけれども、なぜかこの国会に参りますと、あの本
会議場でも、もうむだな
高速道路はつくるな、
高速道路建設反対だ、
民主党の議員の人たちが騒いでおります姿を見ますと、本当に、地元と国会のことで全く違った姿勢なんだなとつくづく感じるところであります。
ちなみに、近々漏れ伝わってきます
民主党案、去年のマニフェストとは若干
差異がある
ようでありますけれども、問題点を
指摘いたし、
石原国土交通大臣、
大臣として、政治家として、ぜひ御所見をお伺いいたしたいと思うのであります。
もともと
民主党案は、
高速道路の
債務返済、
料金収入ではなく
税金で捻出ということであります。まあ、いずれ
無料化という点では、
政府案と同じというところもありますけれども、
債務償還の
考え方に大きな違いがある。
政府案は、いずれにしても
利用者の
料金で
返済をする、受益者
負担なのだ。また、
民主党案は、
高速道路利用者から
高速道路を使わない人、
高速道路がない
地域の人にも
負担を拡大するものだ、そういう
意味では不公平だと思うのであります。
ちなみに、週一回以上利用されるヘビーユーザーでありますけれども、今七千五百万人のうち六百万人、約八・五%という数字が示されます。
そして、
有料制が継続される、例えばこういった大都市
東京だとかあるいは
阪神、そういった
地域との境界付近で
高速道路からおりた車、それにより一般
道路の渋滞あるいは環境問題の発生、これも懸念をされるところであります。
同時に、大都市の
利用者というのは、そういう
意味では
料金と
税金の二重
負担ということで、これまた不公平の感を禁じ得ないものでありますけれども、
大臣、どうお考えでありましょうか。
民主党は、我々の反論に一部修正を加えられたと思いますけれども、数字でいいますと、
道路関係直轄予算一・七兆円は現在の規模を維持すると言っております。そこから、
無料化された
高速道路の維持
管理、一般国道の
直轄事業の維持
管理を先取りしますと、〇・九兆円しか残らないという計算になります。そういたしますと、不可欠な新たな
道路の
建設でありますとか、あるいは一般国道の
整備でありますとか、あるいはまた電線の地中化などは、全くもって困難になるということになるのであります。
同時に、
民主党案のとおり、
直轄関係予算四兆円、これを三割削減だということになれば、残りの二・八兆円で
道路、空港などの
直轄関係予算をすべて賄う必要が出てまいります。申しました
ように、
直轄道路関係予算一・七兆円を維持するということであれば、
道路以外の
事業では約五割の削減ということになります。言ってみれば、
国民や
地域のニーズにこたえられるのか、この数字では現実性に大変疑問を持っておる一人なのであります。
そういう
意味で、すべからく公共
事業予算において現実性に乏しい
民主党のこの削減、とにかく
整理を行いつつ、
公団債務返済財源を一般会計に広く求めるというこの
民主党案は、私は、実現性に大きな疑問を持つのであります。
なおかつ、先ほど来もありましたけれども、
民主党案では、
債務は六十年
返済、
政府案四十五年より
債務返済を先送りするもので、十五年以上長期化するということであれば、
返済の不確実性というものがさらに増大をするという懸念もあると思います。
そういう
意味で、
大臣として、この
民主党案、批判をるる申し上げてまいりましたけれども、いかにお感じになっておられるか、率直にお伺いをいたしておきたいところであります。