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首藤委員 民主党の
首藤信彦です。
イラクにおいて、私
たちの同胞であり
日本国を代表する
外交官のすぐれた二人がティクリートの近くにおいて何者ともわからぬ者に
銃撃され命を落とすという
事件がございました。それが何ときのうや先週のことではなくもう半年前であるという、その厳粛な事実に
愕然とせざるを得ない、そういうふうに
思います。
そして、ほぼ半年たったこのときに、私
たちが常に、毎日毎日求めていた、
外務省からのこの
事件に関する包括的な
報告が出てまいりました。実に半年かかってようやく、こんな、この
程度のものが出てまいりました。私
たちの国を代表する
外交官の命というものはこの
程度のものなのか。そして、
我が国は、
日本を代表するような人材の死に対して、半年もたたなければ
報告書がつくれないのか。
私は、この厳粛な事実に対して、
政府、特に
外務省に対して、この現実をしっかり受けとめていただいて、
国民の負託を受けて
外交を、その期待に沿った形で展開されることを切に切に望む次第でございます。
さて、この五月十二日の
報告書です。
私は、この
報告書を長く待ち望んでおりました。そして、私自身、そして
民主党の
同僚議員、そして
日本の社会においても多くのジャーナリストや
専門家が、これはきっと
アメリカ軍の誤射による
事故に相違ないということを
主張してまいりました。それに対して、
外務省は、決してそんなことはない、
テロリストが
攻撃したんです、何を見てもそれは
テロリストの
攻撃、弾が左側に当たっているからこれも
テロリストの
攻撃、
窓ガラスに当たっているから
テロリストの
攻撃、そういうふうに何度も何度も言っておられたんです。
しかし、この
報告書を見て、私は、
愕然とすると同時に、やはり私
たちの
主張が間違っていなかった、
米軍誤射説を否定しているこの
外務省の
報告書こそ、
米軍の誤射こそがこの
事件の真相であったということを如実に物語っていると私はお伝えしたいと
思います。
さて、その前に、実は
警察庁から、この
事件に関してのさまざまなデータが出てまいりました。
警察庁は、極めて遺憾なことに、
現地調査をしておりません。私は、私の話を聞いている
警察の
専門家の多くも、恐らくじくじたる
思いを持って私の話を聞いていると
思います。何ゆえに、
日本を代表する二人の
外交官の死に対して
現地調査すらされていなかったのか。どうして、
警察が
我が国の人命の損失に対してその真実を明らかにすることができないのか。
私は、この点に関しても、
警察庁、
国家公安委員会、
関係するすべての方の猛省を促したいと
思います。
さて、
警察庁は、
科学的警察、
科学的捜査ということを常に言っておられました。そして、四月六日、「
イラクにおける
外務省職員殺害事件の
捜査状況について」という二枚の
報告書が
国会に提出されました。
これを読んでも、やはり何のことかわからない。一体、
イラクから大変な
苦労をして
日本まで持ってきた、その
事故に遭った
ランドクルーザー、どことどこにどのように当たっているのか。もっとわかりやすい形で、そして、私
たちが実際にその
報告に間違いがないということが確認できるように、我々
国会議員が
国民を代表して実物を見るように、
警察庁としても、
国家公安委員会としても、そうした
対応を
外務省とともに進められることを切に期待いたします。
さて、ここでいろいろなことを述べておられるわけですが、ここで述べられている、そしてまた、これまで、
テロリストによってこの
事件が起こされたという
主張の多くは、
カラシニコフという銃、すなわち、
一家に一台と言われるぐらい、
イラクの人々が
成人男子なら必ず
一家に一台ぐらい持っている、
護身用に持っている、あるいは兵役で使っているという銃が恐らくこれに使われたんじゃないか。
そういう銃はどこにでも隠しておけますし、持っていてもそれは
一家に一台どうしても必要だということで言いわけが立つということで、多くの反
占領軍の
武装勢力、例えば、毎日毎日テレビで見る
サドル派の
マハディ軍とか、あるいは以前
イラクの軍隊にいた
人たちで今
占領軍に対して
攻撃を行っている
人たち、そういう
人たちが必ず持っている、あるいはまた、
結婚式でもそれを祝砲のかわりに撃ち上げて、それがまた
米軍に対する
攻撃と目されてヘリコプターから
攻撃を受けたりする、こういうような、よく使われている、本当に一般的にどこでもある銃、
カラシニコフのAK47がこれに使われたんだということが
事件が終わった直後からずっと言われてきたわけであります。
そしてまた、この
警察庁の言わんとしていることは、この
事件というものが、道を通っていく、その実際に射撃をした車、そして私
たちの
外交官二人が乗っていた車、これに対して、ほぼ並走した段階あるいはまたやや
後方に向けて
銃撃が行われたということを繰り返し述べておられます。これは、この
警察庁の数少ない、二枚の
証拠のペーパーの中においても、これだけは確かだろうということで述べておられるわけであります。
しかし、私は、このことに関しては大変疑問を持っております。
例えば、この
銃撃が
地上から約一メートル、百センチのところから行われたという記述がございます。私も何度か、例えば
イラクでそういう
テロリストなんかが使う、そういうような車の
助手席に乗って、果たして
車高の高い
ランドクルーザーを普通の
車高の低いセダン型から撃てるものだろうかと、いろいろな実験をやってみました。これは、最初から
主張しているように、大変難しいということなんですね。
これは、よく使われている
カラシニコフのレプリカです。この銃が一番よく使われているわけですが、これは
警察庁でもよく
御存じのとおり、銃は肩に当てて撃つか、腰にためて撃つしかないんです。銃は物すごく反動が強いために、必ず肩に当てて撃つか、腰でためて撃つ以外は撃てないんです。
御存じのとおりです。
私
たちは、NGOで、若者を危険なところに送ることがあります。そのときに、
最後に言うことは、君、そんな危ないことはないけれ
ども、万々が一のときということがあるよといって話すことがある。それは、
万が一銃を向けられたら、
相手の
右側に回り込めということなんですよ。
相手の
右側に回り込めと。そのときにはもう終わりかもしれないけれ
ども、
相手の
右側に回り込んでいたら生き残るチャンスもあるかもしれないということを、
最後に冗談まじりで話すんです。そんなことはないよねと言いながら話すんです。
何を言わんとしているか。これが
カラシニコフです。この銃は、左手でここを押さえ、右肩に当てて撃つんです。腰でためてもいいんです。それ以外は撃てないんです。ここで撃つんです。ですから、
正面を向いて
委員長を撃つのは大変苦しい。真っ
正面を向いて撃つのは苦しいんです。
防衛庁長官、ちょうどいいところにおられる。こちらの方を撃つのも易しいんです。しかし、この銃を右に撃つのは非常に難しい。ここへ撃つのはもうできない。座って撃つとしたらもっと難しいということです。
すなわち、何を言わんとしているかというと、
カラシニコフあるいは
AKファミリーと言われる銃を撃つときには、
右側を撃つのは大変な
苦労であるということですね。ですから、この銃で撃つとしたら、考えられるのは、体全体を窓から出して撃つということなんですよ。百二十キロとか百キロで突っ走っている車で果たしてそれができるかどうか、わかりません。しかし、
可能性としてはある。
しかし、そうすると、ここに込められた、百センチの水準ではなく、
御存じのように、例えばベンツであれば、
ガラスのへりまでが九十二から九十五ですよ。そこから体をのぞかせたら、当然のことながら、百二十、百三十のレベルなんです。したがって、このほぼ百というのは、これはそういうところから撃ったのではないということがおわかりになるということですね。
ですから、ここに込められた、百センチというのは一体どういう
可能性があるかということを私も考えてみました。そこで、
二つの
可能性をお示ししたい。
一つは、
銃撃が始まったときに、撃たれた側は驚いて急に右に切るわけですね。
路肩に切るわけです。そうすると、
路肩に当然のことながら片側を落とすわけですよ。そうすると、車は当然のことながら傾く。したがって、高いところから撃っても実は下から一メートルのところに当たるということであります。これが
仮説の一です。
仮説の二。この銃でどうやったら何とか一メートルのところ、百センチのところに撃てるか。いろいろな車の上に乗っかって試してみました。ピックアップの上からもやってみました。ならないんです。どうしてもならないんです。それは、百三十とか百四十とか百二十にはなっても、百にはならないんです。私は幾つも考えて、どうしたら百になるかと思って、ふっと考えてみました。実は、これが百なんですよ、これが。この位置でこう撃つと百なんですよ、
腰だめで撃ったら。ですから、この銃がほぼ一メートルのところに撃ったというと、それは、とまっている車にだれかが
地上から立って
腰だめで撃った
可能性がある。
この
二つの
可能性しかないと
思いますが、
専門家の御意見はいかがでしょうか。