○首藤
委員 もうそのレポートを待つしかないわけですが、しかし、私はここで
指摘しておきたいわけですよ。
二人で合わせても銃弾の三分の一にしかならないような微細な破片、それが、何度もエネルギーを吸収されていたのが、今、井ノ上さんに関しては上腕の動脈と言いましたね。どうして、左側から撃ってくるのに、骨に当たらずに、筋肉に当たらずに、そして上腕に当たるか。上腕の内側を通っているんですよ。
これは、よく子供のとき、血をとめる遊びなんかしましたよね。ここに定期なんか挟んでぎゅっと押すと、ぴゅっととまるんですよ。よく工事現場なんかで時々大変な事故のあったとき、ぴゅうっと噴き出すんです。それをきゅっととめるんですよ。
私の
質問は、こんな微細な、もうエネルギーを吸収された跳弾になっていく破片が、これがなぜ、井ノ上さんの腕に当たらずに後ろ側から入って、わきの中を通ってここを抜けていって、そして、その微細な破片がこの動脈をきちっと切断する、それによって心臓に近いから大量に出血して死亡された、こんなことってあり得るんでしょうか。
それは、
現実は死であるからそうだというのもあるかもしれないけれ
ども、このことだけをとっても、この死亡というものに対して大変疑問を感じるんです。それはなぜかというと、もしそうであれば、井ノ上さんにも助かったチャンスが幾らでもあったんじゃないかということですよね。
この
事件で非常に不思議なのは、
事件が起こります、これは十二時三十分ぐらいでしょう。十時に出発して、十一時に定時
報告して、十二時にも上村臨時大使のところへ定時
報告があって、その後なくて、もう二時にはこのティクリートの
会議が始まる。どうしてこんな危険なところで定時
報告がないのか、どうして
外務省がそれを調べなかったのかということなんですよ。
なぜそう言うかというと、もし、それが十二時にあって一時になかったときに、
大使館が、どうなっているんだ、どこかでぶつかっているんじゃないか、事故に巻き込まれたんじゃないかといって必死で捜したら、ちょうどその翌日に起こった韓国の業者に対する死亡のように、アメリカ兵がすぐ見つけて、それをヘリコプターでアメリカ軍の病院に運んで緊急治療したら、二人の方が助かられたんでしょう。だから、もし、最初言われたように、胴を銃弾が貫いた、そうじゃなくて、井ノ上さんの場合も、手の動脈が切れた、もし早い時期にやっていれば十分に助かったのではないか。
私の弟も医者ですから、いろいろ聞きます。暴走した車、オートバイなんかひっくり返って、それでさらに車にひかれたような若者もいます。もう血圧が低くなって低くなって、血圧二十ぐらいでも蘇生するんですよ。十分に蘇生するんですよ。ですから、もしきちっとした対応ができれば、できたはずなんです。
まして、奥さんの場合は、発見され、
警察へ通報までに一時間、それから、何だか知りませんけれ
ども、
米軍の病院でなくて普通の市立病院へ運ぶのに一時間、そしてさらに病院の中で一時間、生きておられた。
事件発生から三時間、生きておられた。その、
米軍が、
米軍の病院に入れる、ヘリコプターを使う、早期に手当てをする、どれをやっても、この
日本の貴重な人材は死ななかったんじゃないですか。
射撃したのは、それはだれか知らない。その犯人はわからない。テロリストかもしれない。フセイン派かもしれない。しかし、この二人の死に直結したのは、そうした
大使館の、
外務省の対応じゃないですか。こうした危険な
状況において、
一体、この二時間、三時間の間に
外務省は何をしていたのか、これを私は知りたい。
先ほど、中東アフリカ局長から、
館員も
派遣して行っていると。驚きましたよ。記事が載っていますよ、ちゃんと。何と、上村臨代がティクリートに行っているんじゃないですか。ティクリートに行ってそれを
調査しているということですよ。
それは
一体どういうことですかね。その時期というのは、私たちが何度も何度も、
外務大臣にも聞いて、行くべきだ、
派遣すべきだと言ったら、それは危ないから行けない、こういう話をしていた時期ですよ。
では、上村臨代は、本当にいつ行かれたのか、何を
調査されたのか、そして、それは
警察庁のどのような指導に基づいて、
捜査共助に基づいて行われたのか。
外務大臣、いかがでしょうか。
〔西田
委員長代理退席、
委員長着席〕