運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2004-03-03 第159回国会 衆議院 国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十六年三月三日(水曜日)     午後二時開議  出席委員    委員長 斉藤斗志二君    理事 小野寺五典君 理事 中谷  元君    理事 西田  猛君 理事 三原 朝彦君    理事 末松 義規君 理事 中川 正春君    理事 藤田 幸久君 理事 河合 正智君       今津  寛君    江藤  拓君       奥野 信亮君    金子 恭之君       木村  勉君    岸田 文雄君       倉田 雅年君    近藤 基彦君       桜井 郁三君    塩崎 恭久君       菅原 一秀君    竹下  亘君       谷本 龍哉君    玉沢徳一郎君       西川 京子君    西村 明宏君       萩生田光一君    望月 義夫君       山下 貴史君    稲見 哲男君       岡島 一正君    今野  東君       近藤 洋介君    首藤 信彦君       田嶋  要君    達増 拓也君       中野  譲君    長島 昭久君       長安  豊君    原口 一博君       伴野  豊君    前原 誠司君       松野 信夫君    松本 剛明君       村井 宗明君    山田 正彦君       横路 孝弘君    赤松 正雄君       丸谷 佳織君    赤嶺 政賢君       照屋 寛徳君     …………………………………    外務大臣         川口 順子君    国務大臣    (防衛庁長官)      石破  茂君    防衛庁長官       浜田 靖一君    外務大臣        逢沢 一郎君    外務大臣政務官      田中 和徳君    政府参考人    (内閣法制局第一部長)  宮崎 礼壹君    政府参考人    (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君    政府参考人    (防衛庁運用局長)    西川 徹矢君    政府参考人    (外務省北米局長)    海老原 紳君    政府参考人    (外務省中東アフリカ局長)            堂道 秀明君    政府参考人    (外務省経済協力局長)  古田  肇君    衆議院調査局国際テロリズム防止及び我が国協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別調査室長        高木 孝雄君     ————————————— 委員の異動 三月三日  辞任         補欠選任   橘 康太郎君     奥野 信亮君   野田 聖子君     菅原 一秀君   池田 元久君     村井 宗明君   生方 幸夫君     今野  東君   木下  厚君     近藤 洋介君   田嶋  要君     中野  譲君 同日  辞任         補欠選任   奥野 信亮君     西村 明宏君   菅原 一秀君     野田 聖子君   今野  東君     生方 幸夫君   近藤 洋介君     長安  豊君   中野  譲君     田嶋  要君   村井 宗明君     松野 信夫君 同日  辞任         補欠選任   西村 明宏君     橘 康太郎君   長安  豊君     木下  厚君   松野 信夫君     稲見 哲男君 同日  辞任         補欠選任   稲見 哲男君     池田 元久君     ————————————— 二月十九日  イラクへの自衛隊派遣反対等に関する請願生方幸夫紹介)(第四八三号)  自衛隊イラク派兵反対に関する請願塩川鉄也紹介)(第四八四号)  同(高橋千鶴子紹介)(第四八五号)  同(赤嶺政賢君紹介)(第五二九号)  同(石井郁子紹介)(第五三〇号)  同(穀田恵二紹介)(第五三一号)  同(佐々木憲昭紹介)(第五三二号)  同(志位和夫紹介)(第五三三号)  同(塩川鉄也紹介)(第五三四号)  同(高橋千鶴子紹介)(第五三五号)  同(山口富男紹介)(第五三六号)  同(吉井英勝紹介)(第五三七号)  同(北橋健治紹介)(第五六三号)  イラクへの自衛隊派兵反対イラク特措法廃止等に関する請願生方幸夫紹介)(第四八六号)  同(東門美津子紹介)(第四八七号)  同(牧野聖修紹介)(第五六四号)  同(阿部知子紹介)(第五八八号)  武装した自衛隊イラク派兵反対に関する請願池田元久紹介)(第五三八号)  イラク特措法廃止に関する請願阿部知子紹介)(第五八六号)  イラクへの自衛隊派兵中止イラク特措法廃止に関する請願阿部知子紹介)(第五八七号) 同月二十七日  自衛隊イラクへの派兵反対に関する請願赤嶺政賢君紹介)(第六四一号)  同(石井郁子紹介)(第六四二号)  同(穀田恵二紹介)(第六四三号)  同(佐々木憲昭紹介)(第六四四号)  同(志位和夫紹介)(第六四五号)  同(塩川鉄也紹介)(第六四六号)  同(高橋千鶴子紹介)(第六四七号)  同(山口富男紹介)(第六四八号)  同(吉井英勝紹介)(第六四九号)  イラク特措法廃止に関する請願高橋千鶴子紹介)(第六七九号)  イラクへの自衛隊派兵反対イラク特措法廃止等に関する請願海江田万里紹介)(第六八〇号)  自衛隊イラク派兵中止に関する請願志位和夫紹介)(第七一四号)  自衛隊イラク派兵反対に関する請願赤嶺政賢君紹介)(第七七一号)  同(高橋千鶴子紹介)(第七七二号)  同(吉井英勝紹介)(第七七三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  国際テロリズム防止及び我が国協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件      ————◇—————
  2. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これより会議を開きます。  国際テロリズム防止及び我が国協力支援活動並びにイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動等に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第一部長宮崎礼壹君防衛庁防衛局長飯原一樹君、防衛庁運用局長西川徹矢君、外務省北米局長海老原紳君、外務省中東アフリカ局長堂道秀明君及び外務省経済協力局長古田肇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 この際、政府から説明を聴取いたします。防衛庁運用局長西川徹矢君。
  5. 西川徹矢

    西川政府参考人 イラク人道復興支援特措法に基づきます自衛隊部隊の最近の活動状況について御報告いたします。  サマワ宿営地につきましては、設営工事を鋭意進めているところでございますが、先週、その一部の設営作業が終了したため、それまで宿営しておりましたオランダ軍キャンプ地から物資及び隊員移動実施いたしました。今後は、このサマワ宿営地拠点として活動することになりますが、引き続き治安状況等情報収集を徹底し、また宿営地警備等に万全を期すことなどにより、部隊隊員安全確保を図ることとしております。  宿営地地権者との間では、土地の使用経費に係る調整が進展しているところでありまして、引き続き努力してまいります。  さらに、二月二十一日に本邦を出国し、クウェートで待機しておりました本隊の一部につきましては、二月の二十七日以降逐次クウェートを出発し、三月二日までにサマワ宿営地への移動を完了いたしました。本隊の残余の部隊も、本邦出国に向けて鋭意準備中でございます。  なお、二月二十九日には、ルメイサ市の幹線道路におきまして米軍イラク人に対する発砲があったところでございますが、現在、鋭意情報収集に努めているところでございます。  次に、航空自衛隊部隊につきましては、これまで現地治安状況等に関する情報収集人道復興支援活動実施のための諸調整を行い、また、クウェート及びイラクにおいてC130機三機が所要の訓練等実施してきたところでございます。  活動準備はほぼ整ったところであり、間もなく、クウェート国内飛行場施設拠点とし、イラク国内飛行場施設等との間で、人道復興支援物資中心輸送を開始することを予定しております。  最後に、海上自衛隊部隊についてでございます。輸送艦「おおすみ」及び護衛艦「むらさめ」が、陸上自衛隊派遣に際して輸送する車両等を搭載し、現在、クウェートに向けて航行中でございます。  以上でございます。
  6. 斉藤斗志二

  7. 堂道秀明

    堂道政府参考人 イラク治安情勢について御報告申し上げます。  イラク治安情勢につきましては、全般的な状況につきましては、先回御報告して以来、基本的な構図には変化はございません。すなわち、スンニ・トライアングルを中心として米軍イラク警察等に対しての攻撃が頻発しているということでございます。そういう状況でございますが、シーア派住民の重要な行事でありますアシュラが行われている中、昨二日でございますが、カルバラ及びバグダッドでシーア派住民をねらったと思われる爆発事件が発生しまして、多数の死傷者が出ております。  イラク南東部に関しましては、イラクの他の地域に比べて比較的安定していると考えておりますが、二月の二十九日、ルメイサ市の南の幹線道路におきまして、米軍車列を追い越そうとしたトラックが制止を聞かなかったため米軍が発砲し、運転手が死亡し、もう一名も重傷を負った後に死亡したとの事案が発生しました。本件事案背景等、事実関係のさらなる詳細については現時点では明らかではございませんが、オランダ軍現地警察等調査中であり、我が方としても引き続き関連情報収集に努めているところであります。現地情勢に関しましては、引き続き十分に注意を払っていきたいと考えております。  イラク政治プロセスに関しましては、二月末までに予定されていた移行期間のための基本法策定について、連邦制やイスラム教の位置づけ等について従来より議論が行われておりましたが、三月一日、イラク統治評議会基本法の内容に合意した旨発表し、統治評議会とCPAの間で調印する運びとなったと承知しております。イラクにおける政治プロセスの進展として歓迎いたします。  我が国としては、今次合意を受けて、六月末の統治権限の移譲及びその後の選挙実施に至る政治プロセスが円滑に進むことを期待しております。  イラク治安改善と密接に関連しているイラク復興支援に関しましては、我が国は、国連の十分な関与を得ながら国際社会が一致して当たるべきと考えイラク支援のための国際的枠組みの構築や国際協調強化のために努力してまいりました。先週、アナン事務総長が訪日しましたが、アナン事務総長は、国連活動するための安全な環境が絶対必要としつつ、イラク暫定政府樹立に向けてのイラク人の総意の形成や民主的選挙実施のための支援など、国連として一層積極的にイラクでの役割を担う用意がある旨述べております。  二月二十八日から二十九日にはアブダビでイラク復興信託基金ドナー委員会会合が開催され、我が国は同委員会の議長に選出されました。我が国は、基金の効果的な運営への貢献をも通じ、国際協調強化に努めていく考えであります。  また、我が国は、アラブ諸国やドイツ、フランスとも協力して支援を行うよう努めております。  日・エジプト医療協力に関しましては、三月六日よりカイロにおいて約百名のイラク人医療関係者を対象に医療研修実施する予定です。五日には開講式が行われ、我が国からも橋本元総理及び外務省関係者など、イラクからは保健省大臣など、エジプトからも閣僚が出席する予定でございます。  また、フランス側との関係では、文化、スポーツ、医療分野での協力中心に協議を行っておりましたが、昨二日、来日中のドビルパン・フランス外務大臣との日仏外相会談におきましてイラク復興支援における日仏協力に関し合意し、両外務大臣より発表されました。  なお、二日からアッバーディ・イラク通信大臣が訪日しておりまして、本委員会、参議院のイラク特別委員会麻生総務大臣及び川口外務大臣などと意見交換を行う予定でございます。  以上でございます。
  8. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 これにて説明は終了いたしました。     —————————————
  9. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤基彦君
  10. 近藤基彦

    近藤(基)委員 自由民主党の近藤基彦であります。どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  イラク問題の質問の前に、私の選挙区内に、北朝鮮に拉致されて御帰国なされた五名の方の三名がおられます。一人は曽我ひとみさんであり、あとの二人は蓮池御夫妻ということであります。初代拉致議連の会長である石破防衛庁長官、あるいは今一生懸命頑張っていらっしゃる川口外務大臣がいらっしゃるわけで、早期全面解決のために全力を尽くしていただけますようお願いだけ申し上げておきます。  まず初めに、説明にも若干あったんですが、きのうイラク国内でまたテロがあって、百五十名前後の犠牲者があったという報道がありました。お亡くなりになりました方々の御冥福をお祈りいたしたいと思っております。  私は、初当選以来、憲法調査会に所属をさせていただき、今は、九条を中心とする国際安保小委員会の小委員長を務めさせていただいております。そこで今回の自衛隊イラク派遣について憲法上の問題があれこれと散発的に議論されていて、必ずしも十分に整理をなされているとは思えません。野党の方の質問でも、一見先祖返りをしたかのような、専守防衛を本務とする自衛隊海外派遣は一切憲法違反だとする意見から、国連枠組みさえあれば自衛隊海外派遣は認められるという意見まで、大変幅広い意見があるように思われます。  この際、政府考え整理するためにも、改めてお聞きをさせていただきたいと思います。  まず初めに、憲法上禁止されている武力行使とは何かという点でありますが、海外における武力行使は一切認められないのか、あるいは、それとも認められる場合があるのかということでありますが、例えば、イラクにおいて自衛隊組織的、かつ計画的な武力攻撃に対し反撃することは、武器使用ではなく、自衛権行使としての武力行使に当たるものであると思いますが、これは、憲法九条の想定する専守防衛としての武力行使の枠を超えるものであるとする考えもありますけれども、このような考えについてどうお思いでしょうか。
  11. 石破茂

    石破国務大臣 改めまして御説明させていただく機会をお与えいただきまして、まことにありがとうございます。  要は、日本国憲法九条が禁止をしております、正確に申し上げれば九条第一項ですが、武力行使とは何か。それは、我が国の物的・人的組織体による国際的な武力紛争一環としての戦闘行為、これが憲法九条第一項が禁じております、つまり、国際紛争を解決する手段として武力による威嚇、武力行使はこれを行ってはならない、こう書いてあるわけでありまして、それはやってはいかぬということになっておるわけでございます。  先生御指摘のように、では、非戦闘地域において自衛隊組織的、計画的な攻撃を受けた、それに対して反撃をする行為はどうなのだと。これはまさしく武力行使ではないかという御指摘もございますが、それはそうではございません。そういうような、どういう状況で起こるかというのはなかなか一概に申し上げることはできませんが、仮に組織的、計画的な攻撃を受けたとしても、このイラク特措法第十七条に基づきまして、いわば自然権的な自己保存のための武器使用というものを行います場合は、これは何ら憲法抵触をするものではございません。  したがいまして、私どもが、そういうような場合に十七条に従いまして武器使用をするということは、憲法に何ら抵触をするものでもございませんし、いわんや、武力行使というような評価を受けるものではございません。  ちなみに、この点につきましては、武器等防護の場合に武器使用したといたしましても、同様でございます。
  12. 近藤基彦

    近藤(基)委員 それでは、反対の立場の意見として、国連枠組みがあれば軍事行動を含む活動ができるというような意見もあります。これは、湾岸戦争時の多国籍軍やPKFを想定しているものと思われますけれども、このような活動自衛隊参加することが現行憲法下で可能なのかどうか、あるいは、国連憲章上の国連軍が創設された場合、あるいは、近年検討されているASEAN地域内でのPKOが創設された場合、自衛隊がこれらの活動参加することが現行憲法下で可能であるとお考えでしょうか。
  13. 川口順子

    川口国務大臣 我が国といたしまして、国際の平和と安全を維持するということを目的としている国連の諸活動に対して積極的な役割を果たしていくことは、我が国の平和と安全を確保するという観点からも重要でございます。国連の決議に基づく国際的な要請がある等の場合に、憲法の枠内で協力をしていくことになるわけでございます。  それで、国連平和維持隊というのがございますが、それにつきましては、国際平和協力法に基づきまして、いわゆる参加五原則に従いまして参加をするということは可能であると考えております。  そこで、いわゆる多国籍軍でございますけれども、これは、目的任務、編成等さまざまでございます。その概念は必ずしも明確ではないわけでして、それに具体的にどのように関与をしていくかということについては、今後さらに検討を進める必要があるというふうに考えております。  それで、今申し上げたような前提であくまで一般論として申し上げますと、いわゆる多国籍軍司令官指揮下に入りその一員となるという意味における参加、これにつきましては、当該部隊等武力行使自体目的任務とするものであれば、憲法上許されないと考えております。  他方、そうした意味での参加には至らない、今申し上げたような意味での参加には至らない協力、これに関しましては、その当該部隊等武力行使と一体となるようなものは憲法上許されません、しかし、当該部隊等武力行使と一体化しないというものについては、憲法上許されると解されております。  それから、国連憲章第七章に基づく国連軍でございますけれども、これはいまだ設けられたということではございませんので、その編成が現実の問題になった場合の我が国関与の仕方、参加の態様については現在研究中でございまして、その結論を明確に申し上げる段階にはないということでございます。
  14. 近藤基彦

    近藤(基)委員 今般のイラク派遣に当たって、武器使用基準についても議論されたところであります。  その際、正当防衛のための武器使用だけではなく、任務遂行実力で妨げる企てに対抗するための武器使用も認めるべきであるという考え方が示された一方で、そのような武器使用を認めることは、憲法上禁止される武力行使に直結するという考えも示されたわけであります。  この点について政府は、憲法九条との関係で問題があるとの認識を示していらっしゃいますが、これは、現行憲法下でこのような場合の武器使用は一切認められないとする趣旨なのかどうか、見解をお聞かせください。
  15. 石破茂

    石破国務大臣 これは、PKO議論のときから、いわゆるaタイプ武器使用とかbタイプ武器使用とかいって論ぜられている問題でございます。  今委員が的確に御指摘をいただきましたように、自分生命身体を防衛するため、あるいは要員等生命身体を防衛するための武器使用、これをaタイプと通常言っておるわけでございます。これはもうよろしいと。ところが、任務遂行実力で妨げる企てに抵抗するための武器使用、これを通常bタイプとこう呼んでおるわけでございますが、これはまさしく御指摘になったとおり、これも認めなきゃいかぬじゃないかという御議論と、いやいや、それを認めたらば武力行使になっちゃうからだめだ、こういう両方の御議論がございます。  そこで、政府としてどのように考えているかと申し上げますと、どういう場合かは一概に申し上げられないのですが、少なくとも、従来から、武器使用は合憲ですよ、その根拠として申し上げておりますのは、自己保存のための自然的権利、こう申し上げておるわけで、任務遂行実力で妨げる企てに抵抗するための武器使用というのは少なくともこれではない。国または国に準ずる組織相手であった場合には、九条が禁じますがところの、先ほどの答弁でも申し上げましたが、武力行使に該当するおそれがないわけではないという考えをとっております。  しかし、何か奥歯に物の挟まったようなことを申し上げておりますのは、逆に申し上げた場合に、相手が単なる犯罪集団であるとかいう場合に、国際的な武力紛争一環としての戦闘行為ではありませんというような状況、そういうような客観的な状況が設定をされた場合には、任務遂行実力で妨げる企てに対抗するための武器使用というものも憲法上許容されないわけではないというふうに考えております。これは理屈の上の整理でございます。  ただ、自分を守るための武器使用というものは認められておるわけですね。そしてまた、武器等防護というものも九十五条で認められておりますわけで、自分を守るための武器使用でもなく、武器等を守るための武器使用でもなく、任務遂行実力で妨害する企てに対する武器使用というのは一体どういうような状況なのだろうかということを考えてみましたときに、それは非常に想定しにくい状況なのだろう。あるいは、仮にそういうことがよしんばあったとしても、それに対して、武器使用してそれを排除しなければならないような状況というのはどういうものなのかということをぎりぎり考えてみましたときに、このいわゆるbタイプ武器使用を認めなければ実際に行動が相当に制約されるという御議論は、私は必ずしも正しくないのではないかというふうに思っております。
  16. 近藤基彦

    近藤(基)委員 政府は、戦闘地域あるいは非戦闘地域概念でありますけれども、自衛隊活動武力行使と一体化しているとの評価を受けないことを担保するための仕組みである、なかなか難しい御答弁を前になさっておるんですが、そうであるとすれば、戦闘地域万が一自衛隊活動する場合を想定したとしても、戦闘地域の中で他国武力行使と一体化していなければ、この法律ではそういう想定はされていませんが、法律上の問題とは別として、現憲法に直ちに違反するものとなるんでしょうか。禅問答みたいな話になってしまいますが。
  17. 石破茂

    石破国務大臣 極めて難しい御質問でありますが、非常に政府答弁風で恐縮ですが、政府だからしようがないのですが、我々は非戦闘地域でしか行動しないということに相なっております。仮にそのような状況が生じたとすれば、それは、中断あるいは避難などいたしまして実施区域変更等の指示を待つということに相なっておりますわけで、今回のイラク活動において、この法律に従って当然行動するわけでございますから、委員指摘のような状況が生じるということは実際問題において起こらないことでございます。  しかし、あえて一般論として申し上げるとしますならば、いわゆる非戦闘地域の要件を満たさない場合についての場合でございますが、我が国憲法第九条の禁ずる武力行使をしたとの評価を受けるおそれが生じ、他国による武力行使との一体化の問題が生ずるおそれは出てまいりますが、個々のケースにおいて判断する必要がありまして、すべての場合において、委員指摘のように、直ちに憲法との関係で問題が生じるかどうか、これについて一概に申し上げることはできないと思っております。  つまり、他国による武力行使が行われている、あるいは行われようとしている地域と我々が活動している地域が地理的にどのような近接関係にあるか、あるいはどのような活動をしているかという具体的な内容、あるいはほかの国の武力行使の任に当たる者との関係の密接性、あるいは相手活動の現状等、諸般の状況を総合的に勘案した場合には、それはいろいろな状況が生じ得るだろう。  ですから、委員のお答えにそのまま答えられるとするならば、それは状況によって異なるのでありまして、直ちに、直ちにそのようなことになるとは思っておりません。  しかし、繰り返して申し上げますが、この法律に従って行動しております限り、そのような状況は生じないと考えております。
  18. 近藤基彦

    近藤(基)委員 それは重々承知の上での議論でございますので、一般論でお答えをいただいただけでもありがたいと思っております。ありがとうございます。  今回、自衛隊イラクの連合軍に派遣する、参画なのか協力するかは別として、交戦権を否認した憲法に反するという考えがあります。  現在、自衛隊派遣されているわけでありますが、法的根拠、あるいはどういう法的地位を持ってイラク派遣されているのか。これは、要は交戦権ということと密接に関連をするのかなと思っております。交戦権の意味内容も御説明をぜひお願いしながら、明らかにしていただければと思います。
  19. 石破茂

    石破国務大臣 委員指摘の交戦権でございますが、これは委員御案内のとおり、憲法九条第二項が「国の交戦権は、これを認めない。」こう規定をいたしております。これを、戦いを交える権利、こういうふうに言っちゃいますと、これは議論がおかしくなってまいりまして、交戦権とは何かといえば、交戦国が国際法上有する種々の権利の総称、これが今までの政府のラインでございます。すなわち、相手国兵力の殺傷及び破壊、相手国の領土の占領、そこにおける占領行政、中立国船舶の臨検、敵性船舶の拿捕等を行うことを含む、このように考えております。  私どもは、イラクにおいて武力紛争の当事国では当然ございません。どのように考えましても、武力紛争の当事国ではございません。したがって、交戦国ではございません。  したがって、先ほど申し上げましたように交戦権の定義というもの、すなわち交戦国が国際法上有する種々の権利というふうに申し上げましたが、交戦国ではございませんので、この交戦権の問題というものは生じないわけでございます。  また、占領軍の指揮下に入るのではないか、それは交戦権を否認した憲法に違反するのではないかということでございますが、そもそも交戦国ではございませんので、入り口論からそのような問題は生じないということでございますが、それに加えてあえて申し上げるとするならば、それは指揮下に入るものではございません。連絡調整を行うことはございましても、指揮下に入って行動するというわけではございません。  したがいまして、二重の意味におきまして、憲法第九条第二項に反するものではないというふうに私ども考えておるところでございます。
  20. 近藤基彦

    近藤(基)委員 詳しい説明、ありがとうございました。  今、イラク派遣をされておるわけでありますが、テロの掃討作戦等も進んでいるやに聞いておりますけれども、将来、近い将来であっていただければと思っておりますが、治安が安定してくる、今サマワの方は安定しているということでありますが、しかし、けさの報道のようにテロがまだ起こっている地域もあるということであります。いずれにしても、国際的な協力が進んで治安が安定していく中、自衛隊として、将来、安定していくイラク国内の中でその支援活動の範囲を広げていくのか。  今サマワ活動していますが、その近隣、あるいは極端に言えば、北部の方で治安が安定し、そういったところでもう一度その地域派遣考えられるのか、あるいはまた、それに伴い派遣部隊を増員するようなこともあるんでしょうか。
  21. 石破茂

    石破国務大臣 これは、法案の審議の際もいろいろな御議論があったことでございますが、自衛隊でなければできない仕事というものは何なのだろうかということでございます。  イラクの復興のために日本国としてやらねばならないことはある。それは民生の向上、私どもは、治安維持を目的とするものではございませんし、当然武力行使なぞいたしませんが、民生の向上、民生の安定、人道支援という点におきましても、自衛隊でなければできないのだから、自衛隊でもできるではなくて、自衛隊でなければできないことがあるのだから自衛隊だというような御説明をいたしてまいりました。  そうだといたしますと、さて、自衛隊でなければできないことというのが、これから先、民生がだんだん安定していく過程において、治安状況がよくなっていく過程において、それは起こり得るのだろうかということの判断なのだろうと思っています。私は、ニーズがあるということはもちろんでございますが、同時に考えなければいけないことは、自衛隊でなければできないことなのかどうかということでございます。これは日本国政府全体で考えていくものであります。  同時に、我々といたしまして、時々御指摘をいただくことでございますが、余力があって海外に出しておるわけではございません。相当ぎりぎりの、陸海空とも繰り回しをいたしておるところでございます。現在におきましても、東ティモールあるいはゴラン高原、そしてまたイラクと、陸上自衛隊派遣いたしておりますし、イラクにおきましては、航空自衛隊あるいは海上自衛隊も出ております。インド洋におきましては海上自衛隊活動している。  そうしますと、我々の能力としてそれはまた十分可能なものであるのかどうか、すなわち海外における活動と申しますのは、本来の任務に支障を与えない範囲においてということに相なっております。我が国の平和と独立を守るということに支障のない範囲内においてということになっておりますので、そのことの兼ね合いもございます。  私ども、それはもうその状況になってみなければわかりませんが、いずれにいたしましても、現在サマワで始めようとしております活動、これをきちんと、整々とやっていくということを現在は考えておるところであります。
  22. 近藤基彦

    近藤(基)委員 ありがとうございました。  憲法上の問題はこれでさておきまして、きょう外務省の報告にもありましたアブダビでの、復興支援会議と呼んでいいんでしょうか、委員会の議長を務めたという話でありますが、もう少しこの中身を詳しくお話をしていただければと思います。
  23. 堂道秀明

    堂道政府参考人 お答え申し上げます。  このアブダビでの会合でございますけれども、これは、昨年十月のイラク復興支援会議で、いわゆる無償資金協力をコミットした国及び国際機関等が招待されまして、そのうち三十二カ国、国際機関、ECとアラブ連盟でございますが、これが出席いたしました。  この会合では、イラクの計画開発協力大臣よりイラクの開発計画などにつきまして、また国連より国連活動状況等についての説明が行われましたが、会議の主要な目的は、基金活動、いわゆる信託基金でございますが、その活動を開始させるための組織的事項について決定するということでございました。  この会合では、我が国、欧州委員会、カナダ、英国、米国などの十三の国と機関をメンバーとするドナー委員会が正式に発足いたしまして、我が国がこの委員会の議長に選出された次第であります。  このイラク復興信託基金でございますけれども、昨年の十月の復興国際会議で設立が合意されたものでございますが、この基金は、国連、世銀などが実施した復興需要調査において示されたイラクの復興の優先課題に対応するものとして、各ドナーによる実施機関への直接拠出と並んで、イラク復興への国際協調の推進、単独ドナーでは実施困難な案件の実施国際機関が蓄積した独自のノウハウの活用などを目的として設立された、こういう次第でございました。
  24. 近藤基彦

    近藤(基)委員 私も新聞報道で若干見たわけでありますが、イラク大臣が来られて大変たくさんの要望が述べられたと書いてあり、なおかつ、これは報道ですから確かなところはわかりませんが、四十億ドル近くの協力要請があったにもかかわらず、この会議では拠出額が十億ドルにとどまったという報道ではあるんですが、どうしてまたこういう金額にとどまったというのは変な話でありますけれども、もう少し、総額で約三百億ドル以上の拠出を当初考えているというふうに伝えられておったわけで、一回目の会議として具体的な中身に入って、十億ドルというのは余りにも少な過ぎるのではないかなという印象を受けたものですから、その辺の御説明があればよろしくお願いします。
  25. 堂道秀明

    堂道政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘の金額でございますが、今度の会議におきましてはイラクの計画大臣の方よりイラクが今後一年間で実施すべき緊急案件リストというものが示されまして、それが案件で約七百件、それから総額が三十九億ドル相当ということでございました。  これに対しまして、拠出額が十億ドル程度にとどまっているというお話でございますが、そもそも、先ほども御説明しましたとおり、この会合はいわゆるプレッジ会合ということではなく、将来この基金に新たに拠出する国や追加的に拠出を行う国があるということも想定されております。  また、イラク側が提示した案件でございますが、これはすべて信託基金のみを通じて支援をするということではございませんで、イラク側の要請としましては、信託基金を通じて、あるいは二国間でこの一年間に実施する案件として先ほど申しました七百件、約三十九億ドルが示された、こういう次第でございます。
  26. 近藤基彦

    近藤(基)委員 ここの会議の議長役をお務めになったということはわかりましたが、これも同じ新聞の報道の紙面の中でありますけれども、今後その資金が使用される中で、これは議長として監督役を務めるのか、あるいは監督機関、監査機関みたいなのを設けてそこに日本が入るのかわかりませんが、監督役をも務めるかのように書かれておりましたけれども、これはどういう形で、要は資金の使われ方をフォローしていくんでしょうか。
  27. 堂道秀明

    堂道政府参考人 ドナー委員会の議長を我が国が務めることになったということでございますが、このドナー委員会の位置づけでございますが、ドナー委員会は、活用資金の相対的優先度を承認する、つまり、いろいろな案件が、先ほどもありますが七百件とございますけれども、それを信託基金を通じて使用する場合の優先度について承認するという役割を有します。  もう一点は、基金に対して運営指針を付与するということでございまして、同時に、先生御指摘のとおり、案件が決まりました後には、それが適切に使用されているかどうかということについても、それを監督と申しますかモニターしていくということになります。
  28. 近藤基彦

    近藤(基)委員 時間になりましたが、人道復興支援で、今、人的な貢献で自衛隊が出ているわけであります。そして、そのドナー委員会委員長を、議長というのか委員長というのかわかりませんが、日本がまた務める。人的な貢献、そして資金的な貢献をも日本は大変期待をされているあかしだろうと思いますので、ぜひしっかり頑張っていただきたいとお願いを申し上げて、質問を終わります。
  29. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次に、江藤拓君。
  30. 江藤拓

    ○江藤委員 自由民主党の江藤拓でございます。  私の地元には、陸上自衛隊えびの駐屯地、それから航空自衛隊の新田原基地と二つの基地を有しております。ですから、私は個人的にも自衛官の友人もたくさんおりますし、現実に私のいとこのだんなさんは北海道で自衛官を今現在務めております。  そのようなこともありまして、私は正直でありたいといつも思っておりますので正直なお話をさせていただきますが、昨年初当選させていただく以前から、実はこのイラクに対する自衛隊派遣に対して、正直申しまして、ずっと慎重であるべきだという考えをずっと持ってまいりました。しかし、去る一月三十一日に採決が本会議で行われたわけですけれども、そのときには、私は自信を持って、そして信念を持って賛成をさせていただきました。  では、どうしてそういうふうになったのかということをいろいろと振り返らせていただきますと、まず、国連の方から国連加盟の国に対して、広く加盟国はイラク復興支援協力してほしい、努力をしてほしいという国連の御要請があった。そして、小泉総理も言われましたけれども、日米安全保障条約の大切さ、そして北朝鮮の緊迫している状況、そういうものをいろいろ考えますと、必要だなということも感じました。しかし、正直それだけでは、私自身一〇〇%賛成しようというところに自分自身を持っていくには正直まだ足りなかった、弱かったということを考えます。  最終的に私の背中を押したのは、では何だったんだろうかということをお話しいたしますと、私は、この年末から年始、あらゆる機会をつかまえて、自衛官の人と直接話をいたしました。そして、自衛官に娘や息子を送り出している自衛隊の父兄の皆様方とたくさんお話をさせていただきました。  そして、私なりに結論をいたしましたことは、もう既に先遣隊が活動している今の状況の中において、反対票を投じることを私には期待していないということを強く感じました。そして、決然たる覚悟を持って現在サマワ活動している先遣隊の皆様方に、政府・与党、自由民主党は一体となってその後押しをしてほしい、そして国民の皆様方が広く彼らの覚悟を自覚し、そしてそれを評価してくれるような、そういう啓蒙活動をぜひともしてほしいと。  自衛官の中には、正直、子供が小さい者もおりますし、そこに至る覚悟というものは大変なものがあったろうと思います。正直申しまして、こういう決定を政府・与党がいたしましたときに、サマワに行かなきゃいけないんだったら私は自衛官をやめますよという人も出てくるんではないか、そういうことも正直思いました。しかし、今振り返りますと、それは、私の考えというものそれ自体が自衛官の皆様方にとって大変失礼な邪推であったということを今反省いたしております。  ですから、本当は、憲法の解釈の問題、九条の問題、集団的自衛権武器使用の問題、そういうお話を聞かせていただきたいと思っておりましたけれども、近藤先輩の方からそこら辺のお話はもう十分にさせていただきましたし、与党の中で質問が重なることもいかがなものかと思いますので、少しレベルが下がるかもしれませんけれども、自衛官の立場に立った質問をさせていただきたいと思います。  私は、今申し上げましたように、我々は、この委員は、自民党も野党もすべてその垣根を越えて、今我々がこの委員会を通じて、自衛官の皆さん方がその蓄積されたノウハウやその能力を一〇〇%発揮して、そして所期の目的を完遂し、任務を貫徹して全員無事に御帰国されるために我々政治の場が何ができるのかということを議論することもこの委員会に課せられた使命ではないかというふうに私は強く感じております。  ちょっとレベルは低いかもしれませんけれども、自衛隊の安全を守るという観点から、幾つか御質問させていただきます。  いろいろと厳しい状況の中で、現在も、今この時間も自衛官は厳しい任務にたえているわけでありますけれども、自衛官のメンタルケアの部分におきましてどのようなことが今現在なされているのか、長官にお答えをいただきたいと思います。
  31. 石破茂

    石破国務大臣 平素から先生には、私どもの部隊、いろいろな御指導をいただき、御理解、御支援をいただいております。心から厚く御礼を冒頭申し上げたいと存じます。  メンタルケアにつきましての御質問でございます。これは、隊員の中には、カウンセリング教育を受けましたカウンセラーの資格を持っております者、それを配置いたしてございます。もちろん、いろいろな状況を満たした地区であればこそサマワ活動しているわけですが、しかしながら、今までのPKOとは違った面もございます。したがいまして、カウンセラーの資格を持った者を派遣いたしております。  また、派遣をしております医官にはそのような経験の豊富な者を充てております。耳なれない言葉ではございますが、PTSDという、これはたしか第一次世界大戦のざんごうに潜っておった、そういうような兵士に発症したものからきておると聞いておりますが、そのような症例にも対応ができますような、そのような医官も配しております。  隊員の精神的な、肉体的なものだけではなくて精神的なケアにつきましても、私どもとして考えられる限りの手は尽くさせていただいておるところでございます。
  32. 江藤拓

    ○江藤委員 ありがとうございます。  米軍の中には、これは新聞等の報道でありますから正確かどうかわかりませんけれども、米軍犠牲者の中の七人に一人は自殺した人間が入っていると。そして、もう既に四百人、五百人という人間が、心因的な、心の病で帰国せざるを得ない状況に追い込まれているというような報道もなされております、これは正確かどうかはわかりませんけれども。  そして、日本人は残念ながら、なかなか自分は心を病んでいる、悩んでいるということを正直に言うことが文化的に非常に難しい。アメリカ人はちょっと悩むとすぐカウンセリングに行って心の悩みを打ち明けるわけですけれども、やはりそういう資格を持った方のカウンセリングも大変重要だと思いますが、各隊の隊長さんが末端の隊員まで細かく目配りをしていただくことが何よりも大切ではないかと私は思っております。  そして、それにもかかわらず、万が一、心に病を持って隊務を遂行することが厳しくなった隊員が出た場合につきましては、やはり勇気を持って交代させるということを私はしてほしいと思っています。交代要員が出たことについてメディアがもし批判するということであれば、それは全く筋違いのことであって、そういうことを恐れることなく、メンツにこだわらず、支障があると隊長なりが判断した場合は交代していただきたいと思います。  それからまた、雑多なことになりますけれども、例えば、アメリカの航空母艦のカール・ビンソンあたりでいきますと、艦内に映画館があったりスポーツジムがあったり、さまざまな隊員のストレスを発散させるような施設施設が整っているわけでありますが、今度の自衛隊の駐留地におきまして、そこら辺でどの程度の配慮が計画されておるのか。つくっている最中ですから、まだでき上がっていないと思いますけれども、わかる範囲でお聞かせいただければと思います。
  33. 石破茂

    石破国務大臣 なかなかお休みの日に外出というのもままならない状況もあろうかと思います。したがいまして、宿営地の中、先生御指摘のように現在建設中でございますけれども、トレーニングジムでありますとか、あるいは図書室でありますとか、そのように、外へ出なくても気分が転換できるような、そういうような施設を可能な限り整えたいと考えております。  あわせまして、先ほど先生御指摘のメンタルケアの問題に関連して申し上げれば、先生方からの御指摘もございまして、やはり一番大事なことは、家族と話ができるということなのだろうと思います。それは音声もそうでございますが、できれば四月ぐらいから、動画によります会話というもの、いわゆるテレビ電話と申し上げたらよろしいのでしょうか、そういうことをやろうと思っております。やはり私も、小牧でもそうですし、旭川でもそうですが、生まれたばかりのお子さんを抱いた若い隊員というのがいるのですね。子供が元気かなというのは絵で見られる、やはりそれによって随分心も慰められるし、励みにもなるということだと思います。四月あたりからそういうようなテレビ電話のシステムを導入いたしまして、いろいろな面で隊員のバックアップというものを図ってまいりたいと考えております。
  34. 江藤拓

    ○江藤委員 今長官からお話がありました動画のことを、ぜひお願いしたいと思っておりました。そういう御配慮をしていただいていることに厚く感謝したいと思います。私も家族を宮崎県、九州に残してきているわけでありますけれども、携帯の子供の写真を見るだけでも、やはりもうちょっと頑張ろうかなという気持ちになりますので、すばらしい配慮だろうと思います。  それから、食事のことについてちょっと、また雑多なことになって恐縮ですけれども、お尋ねしたいと思います。  けさテレビを見ておりましたら、レトルト食品をトレーにあけて、隊員がうまいうまいと言って食べておりました。隊務でありますから、ある意味食は犠牲になっても仕方がないのかもしれませんけれども、できることであれば、何日かに一回、週に一回でもつくりたての温かい食事を供することが、安全を確保しながら、今の現状の中でサマワで可能なのかどうか、長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  35. 石破茂

    石破国務大臣 現在はいろいろなものが整っておりませんので、御指摘のようにレトルトを食べております。もちろん、これも栄養学的にすべて計算をいたしまして、栄養的に偏りのないもの、生鮮野菜はないけれども、野菜からとるべきビタミン等々に不足のないものというものは準備させていただいております。  例えて言いますと、某月某日は、朝はお米、みそ汁、きんちゃく煮、納豆、ノリ、梅、サケフレーク、こういうことになっておりまして、お昼が牛玉どん、みそ汁、ホウレンソウとニンジンのゴマあえ、フルーツジュース、こういうことになっておりまして、夜が御飯、ミニハンバーグ、コーンとナスのパスタ添え、澄まし汁、春雨酢の物、フルーツカクテルと、こう聞くと何だかごちそうだねと、こういう感じかもしれません。これは委員もそうかもしれません、私も学生時代からずっと一人で暮らしておって、レトルトもたまにならおいしいですけれども、朝から晩までレトルトだと、さすがにもう勘弁してくれよということはございます。もちろん隊員たちはそういうことも本当に文句も言わずに、一生懸命我慢してやっております。  しかし、私どもとして、できるだけ早く生鮮な魚肉でありますとか野菜、果物というものを提供したいというふうに考えておりまして、現在のところ、三月の下旬からそういうような生鮮食料というものが供給できるようにしたいと考えております。どのような方法で調達をするか等々につきましてさらに細部検討しながら、隊員の衛生、健康に十分配慮してまいりたいと考えております。
  36. 江藤拓

    ○江藤委員 ありがとうございます。三月下旬から、それは大変隊員も楽しみにしておることだろうと思います。  そして、サマワでは、雇用を創出してくれるんだろうということも随分過度の期待があるようなことが聞かれておりますけれども、やはり地元のものを買う、そしてまた搬入させてもらうということは、極めてわかりやすい、ある意味雇用の創出にもつながるんではないかということも私は感じているところであります。  続きまして、ちょっと安全面のことについてお尋ねをしたいんですが、宿営地の安全を守る上で、私なりに、素人なりに一番の脅威は何かということを考えるわけでありますけれども、やはり射程の長い、そして弧を描いて飛んでくる迫撃砲弾だろうというふうに思います。ちょっとお話を聞くところによると、三キロから四キロその射程があるということでありますので、初弾が着弾したときは、それはもうあってはならないことですけれども、第二弾が来るまでの間に飛び込めるようなシェルターなり、想定されるその迫撃砲の破壊力に耐えられるような強度を持つ建物なり、そういうものが現在宿営地の中に設置されつつあるのか、それとももう設置済みであるのかわかりませんけれども、そこら辺の御計画等あったらお聞かせをいただきたいと思います。
  37. 石破茂

    石破国務大臣 これは、先生御指摘のように、私ども、このサマワにおいて宿営地を建設するというときに一番案じましたのは、まさしくその迫撃砲であります。これはそんなに命中精度のいいものではございませんが、まず当たらないよとか言いましても、間違って当たることも世の中にはあるわけでありまして、脅威から除外視できるとは全く考えておりません。この迫撃砲について、第一弾というものからもどうやって守るかということは考えていかねばならないと考えております。  したがいまして、詳細は申し上げるわけにはなかなかまいりませんが、映像等々でごらんのように、かなり広い敷地をとっております。周りにいろいろなものがございません。土漠と申し上げたらよろしいんでしょうか、そこの中にかなり広い敷地というものをとることにいたしております。監視等々、相当の技術を用いております。  あるいは防護体制につきましても、考えられる限りの措置を講じ、また御指摘のように、万が一、にもかかわらず攻撃を受けたときに、どのようにして身を守るかというようなことにつきましても、これは詳細申し上げられないのは恐縮でございますが、これはもう本当に何日にもわたりまして議論をいたしました。これ以上考えられないというようなものは構築をしたという自信は持っております。  なお足らざるところ、あるのかもしれません。いろいろな例を参考にしながら、この迫撃砲の攻撃に対しましても、自衛官の身の安全が確保できるよう、さらに万全を期するべく努力をしてまいりたいと考えております。
  38. 江藤拓

    ○江藤委員 詳細は残念ながら知り得ませんけれども、長官を信頼しておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  そして、まだすべての派遣予定要員が到着しているわけではありませんけれども、本格的にこの復興支援活動が始まって、そうしますと、どれぐらいの負荷が一人一人の隊員にかかるかということがだんだん明らかになってくるものだろうと思います。現在、五百から六百ぐらいというふうに聞いておるわけでありますけれども、将来的に、それではちょっと一人当たりの負荷が重いということであれば、私は、増員することも、増派といいますか、派遣人数をふやすことも、これはしかるべきことだと思います。ぜひそれもよろしくお願いしたいと思います。  これらいろいろメンタルケアとか食事、迫撃砲、増員の話、いたしましたけれども、私は、あくまでも隊員がその能力を十分に発揮してほしい、そのためのあらん限りの知恵を政府・与党として出すべきだという立場から申し上げました。  それに加えて申し上げれば、私が一番心配していることは、やはり非常に緊迫した、精神的に追い詰められた状況の中にあって、誤射による死傷者であるとかそういうものが発生した場合に、非常にやはり、特に国内的に大変な批判が現政権に及ぶことは容易に想像されます。こういうことを防ぐということに一番大切なものは、精神の安定を保つ、心の豊かさを保ち続けるということが一番大切なんだろうと思っています。  ですから、衣食住足りて礼節を知るという言葉がありますけれども、やはり時には動画で子供の顔も見られる、時には温かい飯も食える、そして、ストレスがたまったら、スポーツジムなりいろいろなところに行って発散することもできる、そういうことが、隊員の能力を十二分に発揮し、そして不測の事態を招かない、予防的な措置になると私は信じておりますので、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。  時間も大分過ぎてまいりましたので、次に移らせていただきます。  復興支援の具体的な内容等につきましては、いろいろとペーパーをいただきました。見させていただきまして、十億ドル、全体では十五億ドルという形で日本国として支出をするということは極めて結構なことだろうと思います。私も大変勉強不足であったんですけれども、最初は、ODAでは、向こうが無政府状態ということでありますから出せないではないかというふうに私も実は思っておった一人であります。しかしながら、現地の暫定的な大臣とかそういうものは主権を体現するということを国連も認めたということでもありますし、OECDのDACですか、こちらの方でもこの正統性については認められているということですから、これは正当な手続を踏んだ支援であるというふうに今は理解をいたしております。  そんな中でありまして、ただ、私が一つお尋ねしたいことは、例えばイラク食糧支援、WFP経由ということになっております。国連主導でのイラク復興支援ということがこれは一番の主題でありますから、決してその国連関係機関を通すことがまずいということを言うつもりはありません。ただ、かつて、WFPから北朝鮮に二〇〇〇年に百十万トンの米を支援したことがあります。そのときに、フロムジャパンと、どう書いたかよく私は知りませんけれども、日本と書いたのか、多分漢字で書いたんじゃないかと思いますけれども、はっきりこれは日本国からの支援だということがわかる形で、同じWFP経由で支援したものについては、米の袋にはっきりそういう記載をしたという事実が二〇〇〇年にあります。  今回のこの食糧配給、食糧支援につきまして、このような配慮がなされたのかどうか、外務大臣にお尋ねをいたします。
  39. 川口順子

    川口国務大臣 今回の食糧支援ということが具体的にどのことをお指しでいらっしゃるのかですけれども、いずれにしても基本的な考え方として、我が国はODAの供与に当たって、みずからが、日本が日本の税金を使って外国の人たちを支援するわけですから、それは日本から来たのだということがはっきりわかるように、それを周知するということが重要であると考えております。  そういう意味で、いろいろなODAマークというのもございますし、それから日章旗、日の丸のステッカーというのもございますし、それから、施設について看板をつける。ユニセフ経由でやりました学用品等の供与については、その学用品にそういうふうに書いてある、あるいはその袋に書いてあるといったような形で、いろいろな形で、日本から来たものだ、日本国民の支援だということがわかるようにいたしております。ほとんど例外がなくそういうことをやっております。
  40. 江藤拓

    ○江藤委員 大変余計な心配をしたようでありまして、安心をいたしました。  やはり現地の偉い人だけが日本からの支援が来ているということがわかるのではなくて、その末端で支援物資を受け取ったサマワの人たちが、イラクの人たち一人一人が国民感情として、日本からの手が差し伸べられているということを実感することが、実は自衛隊隊員の安全を担保することにもつながると私は考えております。  それで、三十億円だったでしょうか、六百台のパトカーをイラク国内に供与したのかするのか、もう終了したのかどうか私は存じ上げませんけれども、そのパトカーに、これは可能かどうかわかりませんけれども、でき得ることなら国民感情として、これも日本からの支援であるということがわかるようなことは可能であるのか。  それから、どうも、いろいろな掲示板その他を幾つか外務省から見せていただきましたけれども、英語で書いてあるというのが何か多いような気がいたします。やはり一人一人の国民に日本の姿勢を理解していただくということであれば、現地の言語で大きく表示をするということの方が私はもっと現実的なのではないかと思っておりますので、大臣から御意見ありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  41. 川口順子

    川口国務大臣 現地の言葉でこれが日本国からのものであるということを示していくことというのも、非常に重要であるというふうに思っています。  私、例えばヨルダンでイスラエルとの間の橋を渡ったことがありますけれども、アラビア語で書いてあり、それから英語でもたしか書いてあったと思いますが、いろいろな人がわかるようにしてございます。  それで、イラクのパトカーの件でございますけれども、これは先般入札が終わりました。パトカー、警察車両ですね。それで、これも基本的に先ほど申し上げた考え方に従って、日本からのものであるということがわかるようにしようということで考えております。  それで、若干、この警察車両ということについては、一つは現地の警察車両についての受けとめ方といいますか、警察というものに対する受けとめ方ということにも配慮をした方がいいという部分もございまして、例えば、だれかが、警察がイラクの人を逮捕に行く場合に、それが日の丸の旗がついていた、日本人がイラクの警察と一緒になってイラクの人を圧迫しているというふうにとられる可能性ということもございますので、この場合にどういう表示の仕方をしたらいいかということを今現地の大使館と一緒に相談をしておりますが、何らかの形で、日本からのものであるということの表示をいたしたいと思っております。
  42. 江藤拓

    ○江藤委員 よくわかりました。大臣、ありがとうございました。  確かに、おっしゃることはごもっともだと思います。しかし、税金を使っている以上、やはり日本国内の理解を得やすいということにも配慮をしていただいているということで、少し安心をしたところであります。  そして、この復興支援全体を見渡しますと、給水であるとか、国民生活に直接関係することを日本は担当するわけでありますけれども、やはりサマワの人たちの話を聞きますと、サマワ総合病院、それからイラク国内では十三の病院をかつて日本はつくり、そして整備をしてくれた、このことには深く感謝している、その日本がやってきた、だから過大な期待があるんだということだろうと思います。ですから、私は、ぜひともこの復興支援を通じて、何か一つ集中的に、これが日本の支援のシンボリックなものだというものをぜひ残していくべきだというふうに思います。  私のおやじはカンボジア議員連盟の会長をずっとやっておったわけですけれども、総理も御指摘がありましたように、メコン川に千三百六十メートル、きずな橋がかかりまして、今まではお金を払わないと向こう側に渡れなかったという現状の中で、金がある人間もない人間も、ひとしく川を渡れるということは非常にカンボジアの皆さん方に感謝をされて、名前もきずなという日本語の名前をつけていただいて、フン・セン首相からも本当に面映ゆいほどの賛辞をいただいたということでありますから、これからの支援の流れの中で、ぜひとも、せっかくこれだけの苦労と努力と国費をつぎ込むわけですから、日本政府のしっかりとした足跡を残していただきたいと思います。  何か具体的な、現在お考えがおありになれば、おありにならないですか。感慨等でも結構でございますけれども、あればお聞かせいただきたいと思います。
  43. 川口順子

    川口国務大臣 御指摘を踏まえまして、我々としても、日本がやった支援イラクの人の心の中に将来も残り続けるということが大事だと思います。そのように何が、そういったことで何を残すことができるか。十三病院はそういう形で今しっかり残っているということでございます。いろいろ考えていきたいと思っております。ありがとうございました。
  44. 江藤拓

    ○江藤委員 時間が終了いたしましたので、これで終わりますが、私は、自分の信条として、自分のできないことができるやつはすごいやつだということをずっと信じて、今もそう思っております。正直、私にも小学校五年生を頭に三人の子供がおります。自分が自衛官であれば、決然たる覚悟を持ってかの地に赴くことができるかということを我が身に置きかえて考えますと、正直言って自信がありません。そんな中で、厳しい任務に耐えている皆様方に対して、本当に頭が下がる思いがいたしますし、議員ではなくて一日本国民として、尊敬の念さえ覚えるわけであります。  我々、国権の最高機関である国会議員として、これから彼らが十二分の活動ができるために何ができるかということを引き続きこの委員会で御議論いただくことを強く望みまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  45. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次に、長島昭久君。
  46. 長島昭久

    ○長島委員 民主党の長島昭久です。どうぞよろしくお願いいたします。  きょうは三月三日、ひな祭りの日であります。私も二人の娘がいる父親なんですけれども、このひな祭りの晩を、サマワ派遣された自衛官の皆さんは家族と一緒に過ごすことができない。私も、立場は違うんですけれども、今江藤委員からいろいろ御質問がありました。私どもは、この政府の決定に対して必ずしも賛成している立場ではありませんし、このイラク戦争というのは必ずしも必要だった戦争だとは思っておりませんけれども、しかし、派遣された自衛官の皆さんが立派に任務を全うして帰ってこられるということを本当に心から願っている一人であり、また、立場は違えど、今の江藤委員のお話を伺っていて、問題関心は相当程度重なるなということを強く感じております。  そういう意味で、少し私も、先ほど江藤委員石破防衛庁長官との間でやりとりをされていた隊員のケアについて最初にお伺いしようと思っていたんですけれども、先ほどインターネットの動画で家族との交信もしていただけるというような、こんなお話がありましたので、この点は割愛をさせていただきたいと思います。  特に私は、番匠幸一郎一佐、実は私、ワシントンにおりましたときに大変お世話になった経緯もございますので、とりわけ無事を祈らざるを得ないわけなんですけれども、その番匠一佐がきのうの朝日新聞の夕刊でインタビューをされておりました。先ほどレトルト食品の話が出ておりましたけれども、とにかく仮宿営地はつくったばかりで、何日もふろに入っていない、食事もレトルトを続けている、不便を強いているが、できるだけ早く生活、勤務の基盤をつくりたい、こんなふうにおっしゃっておられますし、冒頭では、「時々、事件事故があるので、楽観は戒めないといけない。安全確保には一切の妥協なしに万全の態勢をとりたい」、こういうことをおっしゃっております。私も心配しているのはこの点であります。  きょうは、冒頭に三つ、この観点から質問をさせていただきたいと思いますが、まず長官、改めて、隊員安全確保について長官の御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  47. 石破茂

    石破国務大臣 世の中には、多分、万全ということはないのだろうと思います、人間は神ではありませんので。しかしながら、考えられる限りのことを考え、なし得る限りのことをなすというのはできることなのだと私は思っています。  番匠幸一郎一佐は、委員の友人でもあり、私も長い友人であります。私が最も信頼している自衛官の一人であります。彼のみならず、多くの本当のプロの自衛官たちが、宿営地の建設に当たりましても、あるいは行動します際の警備につきましても、いろいろなことに、考えられるすべてのことを考え、今回の派遣になっていると私は自信は持っております。  一言で申し上げれば、派遣される隊員に与えられる権限、そして持っていく装備、そして訓練の練度、この三つの積、掛け算なのだろうと思っております。この三つにおいて、私は、少なくとも人道支援をメーンに行うという今回の活動について、可能な限りの安全に対する配慮はなしたと思っております。さらに、これが完璧というものを目指しまして努力をしてまいりたいと考えております。
  48. 長島昭久

    ○長島委員 この点については、以前も一度防衛庁長官にお話を伺った経緯がありますけれども、一つ心配なことは、任務の一つでありますけれども、自衛隊部隊を後方支援するためにさまざまな物資クウェートからずっとサマワ輸送されることになると思うんですけれども、その際、自衛隊の持っている機材では到底賄い切れないということで、民間の、これは民間をチャーターしているのか、借り上げているのかはちょっとわかりませんけれども、民間に委託している、民間車両が輸送任務に当たっている、こういうことなんですが、二月二十一日土曜日の産経新聞に、陸上自衛隊が、この物資輸送の民間車両を警護することを検討している、こういう記事があります。  これは、一月に、ヨルダンからバグダッドに機材を運搬している車両が武装集団に襲われて、そしてヨルダン人の運転手さんが殺された、こういう事件がありましたので、CPAの方は、輸送を依頼した国が警護の責任を持つように、こういうように求めているやにこの記事によると書いてあるわけなんですが、今回、こういった形の警護任務というのは、特措法にも基本計画にも書かれておりません。  防衛庁内で、法改正まで含めて検討する必要があるんじゃないかという、そんな議論があったようにこの記事には書いてあるんですけれども、長官、これは今回の警護の任務の、警護というかこの民間輸送の警護をさせるということについての法的根拠、これは任務の拡大につながっていくのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  49. 石破茂

    石破国務大臣 これは、こういう整理をいたしております。  委員指摘のように、民間のトラックが運ぶという行為はこれは何だというところから詰めていかなければいけない話だと思います。これは私は、契約によりまして民間業者の役務を活用する、そういう評価なのだと思っております。契約によって民間業者の役務を活用するということでありまして、そこで運んでおりますものは、あくまで、私どもが行います人道復興支援活動等を実施するために部隊がその用に供する物資輸送する、そういうものを輸送する役務を、契約により民間業者の役務を活用していく、こういうことでございます。まず、これが前段でございます。  このような輸送に際しまして、自衛隊物資が適切に送り届けられますように、例えばいろいろな支障がある場合もございます、通関に時間がかかるとか、あるいは道に迷うとか、そういうようなことがないとも言えません。物資が適切に送り届けられるということは我々の活動にとって極めて重要なものでございますので、民間業者の役務の監督、国境通過に際しての調整現地の治安状況を踏まえた所要の警戒監視を行いますことは、当該輸送が円滑かつ安全に実施されますために必要なものだというふうに考えております。これは、部隊の維持管理の一環でもございます。  民間の輸送役務を活用いたしました輸送に伴いまして陸上自衛隊部隊が警戒監視を行いますことは、専ら民間の輸送車両あるいは輸送役務に従事する民間人を守るということを目的としたものではございません。陸上自衛隊みずからにとって必要な輸送を安全、かつ確実に行うための措置でございますので、民間車両を警護するというような行為なのかといえば、それはそれには当たらない。  つまり、この産経新聞の記事も、警護というところがかぎ括弧つきのような表現になっておりますが、法に規定のない警護という任務を行うというものではございません。  したがいまして、先生御指摘のように、特措法の改正を必要とするかといえば、私は、このような行為を行います場合に特措法の改正は必要としないと考えております。これが現在における整理でございます。
  50. 長島昭久

    ○長島委員 必要性は私は認めているんです。法的な、今御説明いろいろありましたけれども、大変わかりにくい説明だったんですが、内局の人が一生懸命考えたんだろうと思います。  しかし、必要性は認めているんですが、この警護というか、あるいは警備、こういう任務が特措法に書かれていないのには理由があるんですね。  つまり、自衛隊の警備中隊といいますか、私、この前議論させていただきました、百五十人から百八十人ぐらい、恐らく六百人の部隊であれば警備に当たる人員が割かれることになると思いますが、この人たちの本来的な任務というのは自隊警護でしょう。つまり、自分の隊が活動することを外からの危害から守る、こういうことですね。つまり、宿営地の中で警備に当たるとか、その宿営地を出て学校の改修あるいは道路の改修や給水や医療、こういったことに赴く部隊を守るということで、わざわざ警護という任務は省いているわけですね、特措法の中では。  ですが、今回のことというのは、当初予測されていたかどうかは別にして、それプラス人員を割かなきゃならない話ですよね。物資輸送というのは極めてクリティカルだという御説明、よくわかります。そうなると、道は二つに一つなんです。それはどこかの警備会社でも雇って完全にやってもらうか、それとも、自衛隊が本当にこの物資輸送は大切だということで守る必要があるんだったら、この輸送を警護、警備する人員を確保しなきゃいけない。しかし、六百人という上限が決められていますから、確保し切れなかった場合には、私は、法改正かあるいは基本計画のやり直しというものを提起するのが筋だと思いますが、いかがでしょうか。
  51. 石破茂

    石破国務大臣 これは、庁内でも相当に議論をしたことでございます。別に内局が無理して考えついたというものではなくて、私は、冒頭に申し上げましたように、そもそもこの輸送の性質とは何なのだというところからきちんと議論をしないと妙なことになるということで、随分と部内で議論を私もいたしたことであります。  一つ申し上げておきたいのは、これは民間の役務を使うということもございますが、当然、自分たちで輸送するということもございます。ですから、これは両系統あり得るということでございます。自分たちで行う場合には、当然、また自分たちで警戒監視というものを行うわけですね。  あわせまして、これは前も委員議論させていただいたことですが、基本的にそういうような警備の部隊というものを持っていくかといえば、当然持っていきます。なぜならば、自分たちの部隊自分たちで守るということが当たり前のことでございますから。  委員指摘のように、一つは、法的な問題点があるかといえば、法的な問題点はないというふうに整理をいたしております。もう一つは、マンパワーとしてどうなのだということでございますが、これは、実際に自分たちで行います場合には、自分たちのトラックを使います場合には、当然自分たちのそういった部隊を出しますので、仮に、民間の役務調達を行って警戒監視を行います場合には、実際のサマワにおける宿営地、あるいは医療の指導、あるいは給水、浄水等々の警備というものが手薄にならないように、そういう配置をいたしております。  したがいまして、マンパワーにおきまして、本来の自分たちの部隊を守るということに支障が生ずるような、そういうような編成はとっておりません。
  52. 長島昭久

    ○長島委員 これはやっぱりマンパワーの問題で、今後いろいろな可能性が生じてくると思いますので、引き続き議論していきたいというふうに思います。  基本的に、先ほど防衛庁の方から御説明ありましたように、今まではオランダ軍のキャンプの中でやっていた。そういう意味では、ある意味で守られていた立場ですけれども、今度は宿営地に出て、自前で自分たちの部隊を守っていかなきゃならない。この点の部分が手薄にならないようによくよく注意をしていただきたいと申し上げておきたいと思います。これはやっぱり、一貫しているんですけれども、派遣された隊員に余計な負荷がかからないようにしたいというふうに私は思っているんですね。  もう一つ、それに関連して心配なことは、誤想防衛であります。つまり、ゲリラかテロかと思って反撃をしたら、身を守るために正当防衛だと思って反撃をしたら、誤って民間人を撃ってしまったと。こんなことは起こってほしくないし、起こらないように気をつけていただきたいとは思いますが、これは民間人を巻き込む事例というのは、昨年の五月一日の戦闘終結宣言以降かなりおびただしい数に及んでいると思います。外務省、民間人が巻き込まれたケースというのはどのくらいあるか、把握されておりますか。
  53. 川口順子

    川口国務大臣 この点についての御質問は今までも何回かございましたけれども、多国籍軍によって民間にどれぐらいの死傷者が出たかということについて、これは、公式に取りまとめられた情報というのは存在をいたしておりません。こういう状況でございます。  そもそも、統計があるということは、非常に国のレベルとして進んでいる、いろいろなことが情報収集可能だという状況にあるということでございまして、今のイラクのような状況でこれが難しいということについては、御理解をいただきたいと思いますけれども。  それで、それでは公的な統計ではないにしても、ほかに何があるかということでいいますと、イラクにおける民間人の死傷者について、個別の事例についての報道、あるいは市民団体の目撃、報道等で、それを取りまとめた公表例というのがございます。  一つ、イラク・ボディー・カウントというサイトがインターネット上にありまして、これによりますと、これは三月一日付の情報ですけれども、最小で八千三百五、最大で一万百四十九人ということになっております。  この数字ですけれども、これはまさに民間の団体のサイトということでして、英米軍の誤射とか誤爆とか、そういったことによって生じた死傷者だけではなくて、テロリスト等の攻撃によって生じた死傷者数、これも含んでいるということでございます。
  54. 長島昭久

    ○長島委員 私も外務省に問い合わせをしたら、公式的な数字がないという答えが返ってきて、しかし、こういう危険な地域に私たちの青年たちを派遣するわけですから、民間の犠牲者が伴うような事故については、やはり最大限の努力をして情報収集して、その都度、どういうケースであったのかということは十分検証する責任が私は政府にあると思いますが、ぜひやっていただきたいというふうに思います。  私がちょっと調べただけでも、デンマーク軍が不審者を射殺した、昨年の六月二十七日。あるいは、十二月にはオランダ軍が発砲をいたしました。そして、つい二日前ですけれども、ポーランド軍が、イランからの巡礼者が乗ったバスに、制止を振り切ったという理由で発砲して十人が負傷した、こういうことになっているわけです。  先ほど誤想防衛という話をいたしましたが、このようにイラク状況というのは、民間の人をいつ巻き込んでもおかしくないような大変不安定な状況であるわけですけれども、石破長官御存じのとおり、日本には軍法というのがありません。軍法会議というのがありません。したがって、軍法がある国は、命令する隊長、そしてその命令で武器使用する隊員、これが正当な命令に基づいた正当な行為であれば、これは違法性が阻却される、こういうシステムになっておりますけれども、日本の場合は一般法で裁かれる、国内一般法で裁かれるわけですから、こういう軍法のある国とは随分違うわけですね。  例えば、非常にわかりやすい例を言いますと、一昨年、韓国の大統領選挙の直前ですけれども、在韓米軍が二人の女子韓国中学生をひき殺してしまった事件があった。これはもう韓国全土で物すごい反米運動になった。このときは結局、軍法会議で無罪になったんです。  このように、やはり向こうに派遣された自衛官が自分の身を守る、自己の管理下にある人たちを守っていく、こういう際には、一々これが誤想防衛なのか何なのかと迷ってしまうような、そういう状況は大変問題だ、私はこういうふうに思います。今の日本の一般法でいくと、私が調べたところによると、恐らくほとんどの場合が業務上過失致死とか傷害に問われてしまう。そして、裁判の期間中はそのまま召還されて、長期にわたって勾留される、こういうことになるわけです。  こういう状況が目に見えている中で、命令を下す隊長、そして命令を聞く隊員、この心理的負荷というのは大変なものだと思うんですけれども、軍法のない我が国において、長官はこういう活動に対する制約というものを払拭するどんな手だてを考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  55. 石破茂

    石破国務大臣 ここで誤想防衛論をいろいろ議論するつもりは私は全くございませんが、先生おっしゃるようなそういうケースが、それが諸外国の例においてなかったとは申しません。我が国もそういうような場合に遭遇しないという保証はありません。  しかし、これは派遣される隊員とも私議論をしたことでございますけれども、頭の中でわかっておっても仕方がないのだと。ROEだって頭の中でわかっていても仕方がない、本当に体で覚えて、こういう場合には撃つ、こういう場合には撃たないということを、本当に体で覚えるまで現場の隊員にはたたき込んであるということでございます。  では、それでは絶対大丈夫かといえば、それはそうとも言えないでしょう。しかし、ROEに従って活動しました限りは、私は、隊員の責任は問うてはならないというふうに思っております。  今度は国外犯規定の問題になってまいりまして、それでは罰せられない場合が多いではないかということになるわけですね、国外犯規定のないものは。そういう場合には自衛隊の中でどうなるかというと、これは懲戒の対象になるということでございます。  それでは、現地の国民、この場合でいえばイラク国民との感情はどうなのかという問題、これはよく考えておかねばならないことだと思いますが、国外犯の規定がございます以上、日本は法治国家でございますので、それに従って対処するということになります。  基本的には、そういうことが起こらないように、法律も、ROEも、そしてまた体におけるリアクションというものもきちんとたたき込んでおくということ。万が一そのようなことが生じました場合には、当然、国外犯規定の適用があるものはそうでしょうし、ないものはそうならない、懲戒というものは国内においてちゃんと行う。  現地の方々との感情的な、そういうような対立が起きないようにという配慮は、委員の御指摘を踏まえながら、私ども、重大な課題としてよく認識をしておきたい。そういうことがないようにしたいと思っております。
  56. 長島昭久

    ○長島委員 この問題は、やはり自衛隊の出自というか、出発から議論があった問題だと思いますけれども、結局、国内の裁判で前提となっている検察による証拠調べ、これができないわけですね、事実上イラクでは。だって、奥大使の殺害事件だって、いまだにどんな状況だったかということは我々わかっていないわけですね。  そういう状況の中で、これは誤想防衛なのかどうなのかということは、なかなかこれは成り立たない話だと思いますので、この点はやはりよくよく研究をしていただきたい、こういうふうに思います。  時間がないので次に行きたいと思いますが、これは法的な問題です。多分もう最後になってしまうかもしれません。  先ほど、近藤委員の方から冒頭にお話がありました憲法との関係、私はこの問題まで行くのかなと思って聞いておったんですが、ここまで行きませんでしたので、質問させていただきたいと思いますが、武力行使と一体化の問題であります。  我が国は、自衛隊活動について、これまで、PKOであろうと周辺事態であろうと、我が国有事で個別的自衛権行使する場合以外は、ある一定の制約を常に課してきましたね。  二つメルクマールがあると思います。それは、非戦闘地域であること、それからもう一つは、武力行使をしている主体と自衛隊活動が一体化しないこと、この二つの原則があると思いますけれども、今回のイラク自衛隊活動には、人道復興支援活動とともに、安全確保支援活動というのがあります。  この活動の実態というのは、なかなか国民によく見えてこないんですが、石破長官は、この安全確保支援活動の対象として、昨年の六月二十七日の本委員会での答弁の中で、フセインの残党によるゲリラ活動やテロ活動に対する米軍による掃討作戦というものも含まれるんだ、こういうことをおっしゃっていますね。  ちょっと読みましょう。  残党に対して実施している掃討作戦が、イラクの国民の生命、身体の安全、ひいてはイラクの社会全体の安全を確保し、あるいはイラクの国民の生活を安定させることによって社会秩序の回復に資する活動と認められるのであれば、これは、国連決議一四八三に言うイラクにおける安定及び安定の状態に貢献するということになる。 から、これは「安全確保支援活動の対象となり得る」、こういう御答弁をされています。  ということは、理論的に言うと、例えば、スンニ・トライアングルで、フセインの残党だかわかりませんけれども、イラクのいわゆるゲリラ組織なるものに対して掃討作戦を行っている米軍に対して、日本の自衛隊が後方支援活動を行う可能性があるということでしょうか。
  57. 石破茂

    石破国務大臣 それは、先ほど近藤委員にもお答えをいたしましたが、その場の状況がどうであるのか、具体的なケースを設定してみませんと、一概には言えないことだと思っています。  では、今スンニ・トライアングルでどうなのだと言われますと、いずれにいたしましても、私ども、そこで活動するということは現在想定をいたしておりません。私どもは、ここが戦闘地域、非戦闘地域という線引きをするわけではございませんで、すべからく自衛隊活動は非戦闘地域で行うということでございます。  それが明らかに、例えば今委員がゲリラというふうにおっしゃいましたが、これがどう見たってゲリラであって、組織的、計画的なものでもない、あるいは国または国に準ずる者でもないとか、あるいは単なる物取りのたぐいであるとか、そういうような判断がされたとするならば、それはストレートに、憲法九条第一項がやってはならないとしておるところの武力行使とは評価されない場合もございますでしょう、理屈の上からいえば。  しかしながら、我々として、現在そのような地域において活動することは予定もしていない。私どもが今サマワ中心といたしますイラク南東部で行います活動は、非戦闘地域という要件を満たした地域で行うことでございまして、私が今までお答えをしましたのは、理論的にそのようなことが全く排除されるかといえば、憲法第九条第一項にすべての場合にストレートに直結するとは言えない場合もあり得ると申し上げている、あくまで理論上のお話でございます。
  58. 長島昭久

    ○長島委員 特措法の枠組みでいくと、戦闘地域自衛隊活動することはあり得ない、そういう前提に立っているんだ、それはもう再三再四長官説明をされていると思うんです。  これは法的問題なので法制局にちょっとお伺いしたいと思うんですが、今長官がおっしゃった、つまり、国家及び国家に準ずるようなそういう組織の計画的、継続的な活動に対する攻撃というのは、これは憲法で禁じている武力行使には当たらない、実力行使なんだ、こういう説明だと思うんですけれども、同じような説明を法制局長官もされています。  これは七月の二日の本委員会での答弁の中で、憲法で問題としておりますのは、国際紛争を解決するための手段としての武力行使だ、野盗や盗賊団に対します実力行使は、そのような意味での、憲法が問題とします武力行使には当たらない、こういう言い方をしていますね。  それでは、米軍の作戦支援ということだけに絞って論じてみたいと思いますが、自衛隊活動が仮に非戦闘地域で行われている限り、今の法制局の解釈によれば、米軍の掃討作戦というのは武力行使に当たらない。つまり、国家や国家に準ずる者は対象としていませんから。今のイラクで国家や国家に準ずる組織体を見つけ出すのはかなり難しいと思います、国自体が分解しちゃっているわけですから。そういう場合には、武力行使と一体化になりようがないんですね。戦闘活動に従事しているアメリカ軍が、日本の政府憲法解釈で言うところの武力行使に当たらないんですから、それを幾ら支援したって武力行使の一体化はあり得ないんですね。  これ、今までPKOや周辺事態法で議論してきた話とちょっとずれてはいませんか、法制局。
  59. 宮崎礼壹

    宮崎政府参考人 お答えいたします。  安全確保支援活動というふうに法律で書いてあります、その支援対象であります米英軍の安全確保活動、具体的に申しますれば、国連加盟国が行うイラクの国内における安全及び安定を回復するための活動というふうに法律に書いてございますが、それには、今御指摘のように米英軍等による武力行使、すなわち国際的な武力紛争一環として行われるところの戦闘行為に該当する場合もありますし、また、それに該当しない純然たる治安維持活動、例えば純然たる盗賊団の掃討というようなこともあり得ると考えております。  我が国憲法上、このような米英軍等の活動に対しまして、それ自体は武力行使に当たりません医療、輸送等によって支援する場合に憲法上問題となりますのは、米英軍が今申し上げた前者に当たる行動をしている場合に限られるというふうに考えておりまして、後者に当たる行動につきましては、米英軍はさきに申し上げた意味での武力行使を行っているわけではないので、これに対して我が国が医療、輸送等の支援をしたとしても、武力行使との一体の問題というのは生じないとかねてから申し上げております。  ただ、イラク支援特措法は、すべての支援活動につきまして、いわゆる非戦闘地域においてのみ実施する旨、また、近傍において戦闘行為が発生した場合にはそれなりの措置をとる旨定めております。このことによりまして、米英軍等による武力行使が仮に行われたとしても、これと一体となるような支援を行うことがないことが確保されている、このように考えているわけでございます。
  60. 長島昭久

    ○長島委員 ですから、アメリカ軍が今相手にしているのは国家的な主体ではありませんから、今米英軍がやっている掃討作戦を支援することは、憲法上で言うところの、今までずっと議論してきた、ここ十年ぐらい議論してきた武力行使の一体化というのに当たらなくなるんですね。これは歯どめの問題として非常に重要なポイントだと思います。  もう一つ、法的整合性として、解釈の整合性として私おかしいと思うのは、周辺事態法でも、武力行使の一体化になってはならないということを一つの歯どめにしているんですね。我が国の安全に直結するような周辺事態法の解釈においても、自衛隊活動というのは非戦闘地域で行うこと、プラス武力行使と一体化しないことという歯どめがかかっているんです。  ところが、今回のイラクでの自衛隊活動というのは、必ずしも我が国の治安、安全に直結する問題ではないにもかかわらず、歯どめになるようなこと、つまり非戦闘地域であるということは一つありますよ。ところが、武力行使と一体化してはならないという、もう一つの歯どめがかかっていないんです。原理的にこれはかからないようになっているので、私は、これは、今後非常に論理的に詰めていかなきゃならない問題だと思います。  何が言いたいかというと、結論から言うと、今までの法解釈はもうもたなくなっていると私は思っているんです。つまり、どういうことかというと、これからは、新しい戦争と言われているぐらい、国と国とがぶつかり合う戦争というのはほとんど想定できない。ゲリラとかテロとか、非国家の脅威に対してどう対応するかということが問われてくるんですね。つまり、今まで我が国憲法第九条の解釈、政府がずっとやってきた解釈というのは、国対国の戦争ということを大前提にした議論なんです。しかし、今回の場合は、それを超えた、その想定を超えたケースなんです。  ですから、防衛庁長官にもぜひやっていただきたいのは、そういう非国家主体というものを我々はこれから相手にしていかなきゃならない。そういう意味で、自衛隊活動海外における活動については、これはPKOにも絡んできますけれども、新しい法体系をつくり上げていくような努力をしないと、これはもう解釈としてもたない。  私は、そのことを一言申し上げて、質疑時間が終了しましたので、質疑を終了したいと思います。ありがとうございました。
  61. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次に、中野譲君。
  62. 中野譲

    中野(譲)委員 きょうは、イラク問題について質疑をさせていただけるということで、三十分の時間をいただきましたので、なるべく端的に、簡潔にお答えをいただければと思います。  先ほど、私たちの同僚でございます長島委員からもお話がありましたが、イラクに行くこと自体は私たちも反対の立場であるけれども、もうイラクに行くことが決まって、サマワで実際に自衛隊活動している。そして、イラクに対しますそういった復興支援の予算というものも、補正予算を含めてもう通っているし、国際的にもある意味コミットをしている。そういった中で、それでは、この現実からどのように、よりいいイラクに対する、そして我が国に対しての国益に資するような、そういったプロジェクトをつくっていけるかどうか、そういった観点できょうは質問をさせていただきたいと思います。  まず、川口外務大臣にお聞きをしたいんですが、川口大臣は公僕でいらっしゃいますか。公僕。公僕という言葉がございますよね、公のしもべというふうに字を書きます。
  63. 川口順子

    川口国務大臣 大臣の職というのは、特別職の国家公務員でございます。それで、国家公務員である以上は、この公僕の定義を委員がどのようにお使いになっているかわかりませんけれども、通常の常識で、国家公務員のことは公僕だとみんな思っているんじゃないかと思います。
  64. 中野譲

    中野(譲)委員 相変わらず長い答弁、ありがとうございます。イエスかノーでございますので、公僕ですかと聞けば、公僕だと答えていただければと思います。  そうしますと、官僚主導か政治主導、またこれはちょっと、非常に概念的な問題かもしれませんが、今の外務省、そして川口外務大臣中心とします外交は、官僚主導でしょうか、それとも政治主導でしょうか。
  65. 川口順子

    川口国務大臣 外交あるいはすべての行政、これは、政府、内閣としてやっているわけでございます。そういう意味では、政治の主導もありますし、それから、ディテールにわたって、細かいことにわたってのいろんな情報等々は下から上がってくるということもありまして、一体となって外交をやっているということであると考えています。
  66. 中野譲

    中野(譲)委員 それでは、本題に入らせていただきたいと思います。  補正予算が千百八十八億円ということで通ってまいりましたけれども、この補正予算を選定していく中で、どういうような理由においてこの補正予算を選定していって、私のもとにも一枚紙をいただきましたが、例えば、直接支援に、「電力」「水・衛生」「保健・医療」「治安・その他」というふうにカテゴリーを決めて、そこの中でまた、「電力」であれば発電所ですとか、「保健・医療」であれば病院のリハビリというふうに書いてありますが、これは、もともとこういうふうに案件をつくってきたその根拠というのはどこにあるんでしょうか。
  67. 川口順子

    川口国務大臣 こういった案件の基本にあるものは、イラクの人たちのニーズであります。ニーズをいろいろな形で把握して案件を形成しつつあるということでございます。
  68. 中野譲

    中野(譲)委員 いろいろなニーズという話がありますけれども、私も実はNGOで、現地でプロジェクトをつくり、立ち上げ、そしてプロジェクトを実際に運営してきたという経験を持つんですが、現地からいわゆるニーズというか、これはたくさん上がってくることは確かでございますが、その中で選定をしていくというのはどなたがどのようにされるのでしょうか。
  69. 川口順子

    川口国務大臣 これはさまざまなルートでニーズが上がってくるわけでございます。そうしたニーズを踏まえまして、我が国として、どういう分野で支援をするということについて比較優位があるか、そしてイラクの人たちのプライオリティーはその中でもどういうところにあるか、そしてタイミング等々、いろいろなことを総合的に検討して予算の、その補正予算なりをお願いしたわけでございます。
  70. 中野譲

    中野(譲)委員 そうしますと、当然のことながら、復興援助でございますから、イラク人のためになる、一番資するようなプロジェクトを最優先で考えていらっしゃるというお答えだと思いますが、これを補正予算で、例えば直接支援等ということで五百五十九億円ということを補正予算で上げてきておりますが、これは補正予算と十六年度予算とで上げてくるタイミングの違いというのは、どのようなふうに私理解をすればよろしいのでしょうか。     〔委員長退席、西田委員長代理着席〕
  71. 川口順子

    川口国務大臣 基本的に、案件形成についての成熟度ということが大きなかぎであると思います。
  72. 中野譲

    中野(譲)委員 案件の成熟度と、そのほかに何か考慮するべきものというのはございますでしょうか。
  73. 川口順子

    川口国務大臣 先ほど総合的にというふうに申しましたけれども、そのときに申し上げたようないろいろな要素、そして、これは補正予算ということですから、補正予算であれば年度内に支出をする、これは決定を年度内にするということでやっておりますので、いろいろなことを、先ほど申し上げたようなことを総合的に勘案して、補正予算、あるいは十五年度の予算で行ったものもありますが、そういう判断をしております。
  74. 中野譲

    中野(譲)委員 そうしますと、年度内ということですから、きょうはもう三月に入っておりますので、ここに挙げてありますプロジェクトというのは、大体今月中にはスタートをしたいというふうな、そういうスケジュールで外務省は今動いていっているということで理解をしてよろしいのでしょうか。
  75. 川口順子

    川口国務大臣 スタートをするという意味でございますけれども、案件の議論をしておりますから、そういう意味では既にスタートをしております。この予算について、案件の決定を三月に、要するに年度中に基本的に行っていくということでございます。
  76. 中野譲

    中野(譲)委員 三月中に案件の決定をするということであれば、私の資料によりますと、例えば「発電所・変電所のリハビリ・整備」ということで「我が国が手がけた発電所三カ所」、それとか、「衛生」で「ゴミ収集車・汚泥処理車の供与」とか、「我が国が過去に手がけた十三病院を含む地方中核病院のリハビリ」、こういうふうに書いてありますが、例えばこの発電所三カ所というのはもうこれは地域が決定している、そしてまたこの十三カ所の病院も、これももうどの病院にプロジェクトをやっていくかということは決定をしているというふうに理解をしてよろしいということですか。外務大臣
  77. 古田肇

    古田政府参考人 御答弁申し上げます。  補正予算の具体的な取り進めにつきましては、現在、鋭意、先方とも協議しながら進めておるところでございまして、先週も、私どもの無償資金協力課長がアンマンに参りまして、個々の案件について詰めをやってきております。  御指摘の電力でございますが、我が国が手がけた六カ所の発電所があるわけでございますが、これをおおむね三カ所に絞ってリハビリをしていこうという方向で、現在、アンマンを拠点とするJICAの調査団が、リハビリの具体的内容あるいは移動式変電設備の必要な台数、具体的な設置場所等の詳細につきまして、イラクの電力省の幹部、関係者あるいは国際機関と具体的な詰めの作業に入っておりまして、これら作業が終了し次第、支援を決定し、発表したいというふうに思っております。  また、十三病院の御指摘もございましたが、これも御指摘のように、我が国がかつて手がけた病院でございまして、これにつきましても、アンマンを拠点とするJICAの調査団等が、保健省関係者、国際機関あるいはそれぞれの病院等と協議を重ねておりまして、実際の病院、それぞれの機材あるいは設備の状況について今確認作業をしておりまして、こういった確認作業が終わり、かつ保健省との協議が終了しますれば、具体的な支援内容が決定され、発表するという運びになろうかと思います。
  78. 中野譲

    中野(譲)委員 先ほども、江藤委員でしょうか、病院の件もちょっと出ておりました。それで、過去のいろいろなお話を伺いますと、そうすると、発電所とか病院を選んでいる理由というのは、これは、過去に日本が発電所を建設したとか病院をつくったというところで、日本と縁があるから、こういったものを特に、今までのノウハウも含めて、より情報が集まりやすいということで選んでいるというふうな理解をしてよろしいのでしょうか、川口大臣
  79. 古田肇

    古田政府参考人 御答弁申し上げます。  援助のニーズにつきましては、昨年の十月に、国連、世銀のニーズアセスメントが出てまいりまして、それぞれの分野でどんなニーズがあるかということが国際的にシェアされたわけでございますが、そういったものを踏まえながら、我が国として、迅速かつ効果的な支援をしていく上でどういうところから入っていったらいいんだろうかということから、電力につきましても、あるいは病院につきましても、かつて日本が手がけたところというのは、そういう意味でニーズに合致しておるんではないか、かつ迅速に対応できるんではないかというふうに考えた次第でございます。
  80. 中野譲

    中野(譲)委員 さっきから、かつて日本が手がけた手がけたと言っておりますが、これは、日本という定義は一体何なんでしょうかね。日本政府がこれをかつて手がけているということで理解をしてよろしいんでしょうか。
  81. 古田肇

    古田政府参考人 御答弁申し上げます。  十三病院は、一九八〇年代の前半に円借款の対象ということで手がけたものでございます。それから、発電所につきましては、六カ所ございますが、そのうちの一カ所が一九七〇年代の中ごろに同じく円借款で手がけておりまして、他の五つの発電所は民間ベースのものでございます。
  82. 中野譲

    中野(譲)委員 そうしますと、病院は日本の円借款でつくっているということでよろしいんでしょうか。あと、我が国が手がけた手がけたと、何か言葉が、手がけたという言葉と、過去、つくったという言葉と、何かこれはごっちゃになっているようでございますが、政府がつくったものと政府がつくっていないものというのは、これはしっかりと理解をされているのかどうかということを川口大臣にお聞きをしたいと思います。質問はぜひ聞いていただきたいと思いますが。
  83. 川口順子

    川口国務大臣 言葉でございます。手がけた、そしてつくった、そういうようなことで申し上げているということでございます。
  84. 中野譲

    中野(譲)委員 そうしますと、手がけたイコールつくったというふうに私は理解をしましたが、今答弁の中にありましたように、例えば、六個の発電所のうちで、日本の円借款でつくっているのは一つしかないわけですよね。残りの五つは、日本の企業がイラクの資金を用いてつくっているというふうに私は理解をしているんですが、そのような理解でよろしいのでしょうか。
  85. 古田肇

    古田政府参考人 御指摘の五つの発電所につきましては、民間ベースのものでございますので、イラク側から発注を受けて日本の企業がこれの建設を行ったということでございます。  それから、ちょっと補足させていただきますが、十三の病院でございますが、円借の対象として供与しておりますのは、病院の重立った医療機器の整備ということでございます。これを円借でやっておるということでございます。
  86. 中野譲

    中野(譲)委員 要するに、病院は、建設は日本の政府がやっていないわけですよね。また、発電所に関しても、六つあるけれどもそのうちの五つは日本の円借でやっているわけじゃないと。  ただ、過去の答弁をずっと見てみますと、例えば電力に関して言いますと、これは、川口大臣イラク特措の、この委員会ですね、一月三十日に言っていることでは、「我が国が今まで手がけた発電所というのは三カ所ありますが、」と。この三カ所というのは、僕はちょっと理解に苦しむんですよ。六カ所ありますが、そのうちの一カ所は円借款でやっているというのならわかりますけれども、三カ所あります、でも、今の答弁だと、実際にはプライベートまたは政府を含めて六カ所あると。ほかのところを見ますと、例えば「我が国がかつて手掛けた発電所三か所のリハビリ」、これは古田経済協力局長が二月五日の参議院で答弁されております。  また、病院に関しましても、これは公明党の議員の方が質問されたものに答えまして、「十三病院等の支援を以前やっております。日本は、非常にイラクには支援をしていたわけでございまして、病院、電力、そういったインフラについては、これは、リハビリ案件というのは比較的効果が早く出るということがございますので、」と、これは川口大臣の一月二十六日の予算委員会での答弁でございます。「医療について申し上げれば、日本の援助でつくりました病院も」、これは石破大臣の一月二十九日のこの委員会での答弁。「我が国がかつて立ち上げました十三病院」、これは古田経済協力局長の二月五日の参議院での答弁。「我が国がかつて手がけた十三病院」、これも川口大臣の二月二十三日の予算委員会での答弁。  私は何が言いたいかというと、予算委員会なりなんなりで補正予算を上げてきて、どういう案件を上げてきているかというときに、自分たちの国でつくったものと、プライベートで、いわゆる企業がつくっているものをごっちゃにして補正予算を組み立てているということ自体に、本当にこれは案件をしっかりと精査してつくってきているのかなという疑問を非常に強く持っております。  ちょっと時間がないので、次に進めさせていただきます。  そうしますと、三カ所の発電所は、これはまだ六カ所の中で決定はしていないというふうに理解をしてよろしいのでしょうか。
  87. 古田肇

    古田政府参考人 現在、リハビリを三カ所に絞る方向で先方と検討中ということでございます。
  88. 中野譲

    中野(譲)委員 そうすると、今の答弁でいくと、決定はしていないというふうな理解でいいのかもしれないんですが、これも川口大臣の予算委員会答弁でございますが、アルムサイブ火力発電所、タジ発電所、モスル発電所、これを制定しておりますと。三カ所は制定されているんじゃないんでしょうかね。この件についてもう一度答弁お願いします。
  89. 川口順子

    川口国務大臣 想定と申し上げたと思います。
  90. 中野譲

    中野(譲)委員 ちょっとこれはもう一回議事録を見てみないとわかりませんが、想定ということでございますね。  そうした場合には、私の判断でいきますと、六カ所の中でこの三カ所に絞って、今案件の最終的な詰めをやっているというふうに理解をさせていただきます。  先ほど、ニーズの中で、あれは英語の文書ですよね、国連と世銀のニーズアセスメント調査の中から、ニーズを外務省としては絞り込んできたというふうに答弁があったと思うんですが、この理解で正しいのでしょうか。
  91. 古田肇

    古田政府参考人 補正予算でこれまで私どもからお出ししております積算の根拠といいますか数字的なものは、その補正予算を組み立てる段階でいろいろな情報を入手し、分析をし、私どもとして、どういうところから取りかかっていくかということで想定をして組み立てておるわけでございます。そういう中で、昨年秋の国連、世銀のニーズアセスメントというのは一つの材料でございますし、それから、例えば病院あるいは発電所等、さまざまなイラク関係省庁でありますとか国際機関でありますとか、あるいはかつてこれにかかわった日本企業の情報でありますとか、いろいろなものを総合判断いたしまして、想定される事業を割り出していったということでございます。
  92. 中野譲

    中野(譲)委員 案件で、この間、先ほど六百二十台という話もあったみたいですが、最終的には千百五十台だと理解をしておりますが、パトカーの供与も決まったと。そういう中で、このパトカーの場合は入札というふうにお話を伺っておりますが、入札の方法というのは国際入札ですか、それとも、いわゆる国内的な一般入札というのか、国内企業を対象とした入札か、どちらでございましょうか。
  93. 古田肇

    古田政府参考人 御答弁申し上げます。  御指摘のパトカーの案件につきましては、二月の上旬に国内企業を対象にした入札を行っております。
  94. 中野譲

    中野(譲)委員 今後、直接支援でプロジェクトが施行される予定の、例えば発電所とか移動式の発電機、変電機、また、ごみ収集車とか病院のリハビリ、医療機材の供与、こういったものに関しましては、入札方法はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
  95. 古田肇

    古田政府参考人 御答弁申し上げます。  御指摘の点につきましては、パトカーの場合と同様に、基本的には主契約者を日本企業というふうに考えて、国内で入札をやることを考えております。
  96. 中野譲

    中野(譲)委員 そうしますと、国内企業ですから、日本人が入札に参加をして、日本人がこのプロジェクトの案件を最終的にはつくり上げて、それでイラク現地でそのプロジェクトを施行するということだと思うんですが、プロジェクト自体は一体どこが行うということになるんでしょうか。  カウンターパートとしましては、相手国、国はないですから、省だとか地域の病院だとか、それはわかりますけれども、実際に入札を日本の企業がやるというのであれば、現地でだれがプロジェクトを行うことになるんでしょうか。
  97. 古田肇

    古田政府参考人 御答弁申し上げます。  無償資金援助の場合には、その無償の資金を相手方に供与して、そして相手方がそのプロジェクトを実行していくというのが基本的な考え方でございます。  ただ、本件、このイラク状況にかんがみまして、今回、調達代理人という制度を設けまして、調達管理、プロジェクト管理に明るい経験のある組織を調達代理人ということで供与先が契約をする、その具体的な管理はその代理人がやっていく、こういう仕組みを考えております。
  98. 中野譲

    中野(譲)委員 その調達代理人は、これは国内の企業に限るとか、海外の企業でもいいとか、何かそういう選定の基準というのはあるんでしょうか。
  99. 古田肇

    古田政府参考人 御答弁申し上げます。  御指摘の点については、特に厳格なルールはございませんが、先ほど申し上げましたように、調達管理について、ODAの世界で専門的な知見あるいは経験があり、かつ現地で十分な数のスタッフを展開できる、そういうものをどういうところにお願いするかということでございまして、比較的考えられるのが、私どもとしては、財団法人の日本国際協力システムという組織が一つのその有力な代理人候補としてあるのではないかと思っております。ただ、これは、あくまでも供与先が契約をするということによって代理人になるということでございます。
  100. 中野譲

    中野(譲)委員 そうしますと、プロジェクトの案件自体は国内企業が入札をして、例えば医療資機材であれば日本のメーカーが医療資機材を、これだけのものをこの値段で入札で買っていただきたいというふうにやる。ただ、実際には、日本人は今イラクには入れないわけですよね。そうしますと、それをただ向こうに持っていって、向こうの政府と、そして向こうの政府が選ぶと言われているそういうモニタリングの会社といいますか、そこに全部お任せをしちゃうというような理解になるんでしょうか。
  101. 古田肇

    古田政府参考人 御答弁申し上げます。  先ほど申し上げましたように、調達代理人が、その供与先の代理として、具体的なプロジェクトの管理あるいは調達業務を進めていくということでございます。
  102. 中野譲

    中野(譲)委員 今までのODAでも、私も現場でいろいろ見てきましたけれども、それが一番、日本のお金がどこに行ったのかよくわからなくなる。そして、そういう機材なんか移動が可能ですから、最初そこに持っていったのにすぐなくなっちゃう、そういう原因になりますので、ぜひこれはしっかりと外務省の方で調査を最終的にはしていただきたいと思います。  先ほどのパトカーの例も出ましたけれども、どこの国というのはちょっと国のあれもありますから私も言えませんが、ああいうものは、イラクでいえば二十七都市ですよね、二十七都市に何台ずつまいていく、これからもまた十六年度予算でパトカーの購入なんかも決まっているという中で、大体ああいうちょっと現地が混乱をしているような状況ですと、とりあえずそこに行っているかどうかもわからないとか、行ったのはいいんだけれども、実際はパトカーじゃなくてお偉いさんが乗ったりとか、どこかに行ってしまうみたいなことが多々あるんですが、これのモニタリングというのはどこがどのように行うんでしょうか。
  103. 古田肇

    古田政府参考人 御答弁申し上げます。  この支援の問題は、一方で大変緊急性を要するということから、どのように迅速に展開していくかという要請があるわけでございますが、反面で、御指摘のように、確実に支援物資が所定のところに届くかどうか、これをきっちり見届けるということが大事でございまして、現在、私どもが考えておりますシステムは、先ほど申しましたように、調達代理人がまずマネージをする、その調達代理人は、例えば先ほど申し上げました日本国際協力システムというところでございますと、その下請として、イラク現地に多数のスタッフを擁しているエージェントをさらに活用いたしまして、その行き先を見届ける、こういうことを考えておるわけでございます。
  104. 中野譲

    中野(譲)委員 それが一番問題でございまして、今までのODAでも、要は、責任がどこにあるのかよくわからなくなるわけですよね。それで、資金の透明性ということをずっと川口大臣もおっしゃっておりますけれども、今、経済が破綻をしている状況で、ああいう、ある意味、復興段階とか途上国におきましては、例えば領収証一つにしたって、そんなものは幾らでもつくれるわけであって、また、そこに持っていったということでも、実際持っていないというような偽造は幾らでもできるものですから、あそこにお任せをしましたとか、ここにお任せをしましたとか、そういうことでこの血税をぜひとも使ってはいただきたくないというふうに私は思っております。  それで、時間がまだ若干ありますのでちょっとお聞きをしたいんですが、例えば、海外のNGOだとか、国連国際機関だとか、ほかの国とのこういう一つ一つの案件に対するすり合わせというのは、どのように行っているんでしょうか。
  105. 古田肇

    古田政府参考人 私どものNGO支援として、日本のNGOが現地でいろいろ活動をされるのを支援していくというものもございますし、それから、既に実行しておりますが、ハシミテ財団、ヨルダンのNGOでございます、あるいはケア・インターナショナルという国際的なNGOでございますが、そういったところからの要請を受けまして、私どもとして適切と考えればこれを支援していくということがございます。  そういった意味で、NGOとの間では、日本国NGO、国際NGO、さまざまなチャネルを通じて、協議をしながらプロジェクトを支援していくということになるわけでございます。
  106. 中野譲

    中野(譲)委員 時間が参りましたので質問を終わらせていただきますが、最後に私感をちょっと述べさせていただきたいんです。  これは「外交フォーラム」ですかね、二〇〇四年の三月、これは外務省が出しているものだと思うのですが、その中に、「「俺は現場を何度も見にいったし、クウェートの日本大使も見にいっているんだよ。このままでは食糧援助船も入らなくなるぞ。今支援したら絶対役に立つし、日本の旗も立つよ」 本当のニーズを知る現場からの声こそが優先されるべきであった。」これはウンムカスルのプロジェクトに外務省の本省がちょっと難色を示したときに、奥参事官が現地から電話でお話をしたということで載っておりました。  それから、この記事を書かれた方が、「本当に助けを必要としている人々に、もっと早く支援の手を差し伸べるためには、日本の何を変えなければならないのか。 奥参事官と井ノ上書記官がわれわれに遺した課題は、イラクの復興はもちろんのこと、さらに日本の外交の進むべき道に対しても、数多く、深い。」こういうコメントを出しております。  結局、日本人が入っていない、それで、日本のNGOからも、私、いろいろお話を伺いますと、結局、自分たちがプロジェクトをつくるんだけれども、日本人が入らないとプロジェクトがうまく回らないという声が出てきておりまして、コンサルティングの会社なんかも、みんなアンマンまでは行っているけれども、現地を全然知らないわけですよ。現地を知らない中で、私たちの血税がしっかりと使われるかどうかということは、これはぜひとも建設的な意見としてこれから考慮をしていただいて、どうせ使うお金ですから、私たちの血税ですから、しっかりとしたプロジェクトを立ち上げていただきたいと思いまして、きょうの質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  107. 西田猛

    ○西田委員長代理 次に、山田正彦君。
  108. 山田正彦

    ○山田委員 民主党の山田正彦です。  今回の自衛隊イラク派遣なんですが、やはりいろいろあっておりますけれども、一番問題なのは、イラク戦争の大義、いわゆる大量破壊兵器があったかなかったか、この辺は何度でもやはり我々はしっかりと考えて反映していかなきゃいけないんじゃないか、そう考えております。  デービッド・ケイさん、いわゆるアメリカのCIAの、実際に大量破壊兵器があったかどうか、その調査に当たったケイさんが、アメリカの上院軍事委員会で証言したわけですが、報告書も、アメリカ政府に、大量兵器があったかなかったか、その報告書を出した。  その報告書において、前回、イラク派遣の前のイラク支援委員会で、私の方で、ぜひともその報告書の全文を和文に翻訳して渡していただきたい、そう申し上げて、あれからもう一月以上になるわけで、つい三日前も同じようなことを申し上げました。ところが、川口外務大臣、和文の翻訳書はついに私の手元にきょう今に至るも届かなかった。  我々には国政調査権がある。私は、恥ずかしいことでありますが、この英文の細かい字で書かれたもの、この厚いものを読めと言われても、英語の学力がないものですから、何が何だかわからない。しかし、私は選挙民から選ばれた議員であります。であれば、国政調査権のもと、当然のごと、外務大臣として、外務省として、全文を和訳して届けなきゃいけない。なぜそれを届けられなかったか。外務大臣、釈明していただきたい。事情によっては、これ以上質問できない。
  109. 川口順子

    川口国務大臣 外務省の仕事としてやるべきことということはたくさんございます。そういった中で、国会で承認をいただいた予算と定員の範囲内で仕事をしているわけでございます。その中で、おのずと仕事についてはプライオリティーをつけざるを得ないということでございます。余力があれば、もちろん、まさに先ほど別な委員から御質問がありましたように、国家公務員というのは公僕でございますから、それはできるだけの公僕としての仕事をさせていただきますけれども、二十四時間一定の人数でできること以上はできないということでございます。  国会においては調査室等々いろいろな機関をお持ちでいらっしゃるわけでございまして、外務省として、このおっしゃっていらっしゃるケイ博士の証言につきましては、英文で読んではおりますけれども、日本語は要点をまとめたということだけでございます。
  110. 山田正彦

    ○山田委員 前回のときに、なぜ出せないかと言ったら、大臣は、当時、イラク派遣等々で大変外務省はごった返していて、申しわけないが、徹夜で作業している、したがって、どうしても間に合わなかったという説明をされた。(川口国務大臣「違います」と呼ぶ)違うかな。(川口国務大臣「そうは言ってないです」と呼ぶ)  しかし、いいですか、大臣。いずれにしても、我々議員は知る権利がある。それを外務省としては、当然のことながら、自分たちが見るんではなく、この報告書についてはきちんとこのイラク支援委員会の皆さんに、こういうものであるということを和文にしてすべてを出さなきゃいけない。要求されたものはすべて出さなきゃいけない、これは。  それを出さないで、忙しいから、そこまで外務省はする必要はないと。どういう根拠のもとにそれを言われるのか。当然、議院による国政調査権がある。これをこうしなさいと、それを何度も、一月も前から求めてきている。どういうことか。今の説明では納得いかない。
  111. 川口順子

    川口国務大臣 前回申し上げたことにつきまして誤解があるように思いますので、私が前回申し上げた意味は、徹夜で仕事をしているということを申しました。それは、先ほど申しましたように、国会で御審議をいただいていただいている人員とそして予算の中で、さまざまな仕事をやっている。国会答弁という仕事もございます。それから、ほかの仕事もございます。まさに今イラクについて言えばたくさんやることがある中で、そういうことをやる中で徹夜になっているということを申し上げたわけでして、委員の言われたその翻訳を徹夜をしてやっていた、そういう意味で申し上げたわけではないわけです。  そういう意味で、先ほど私が申し上げた、時間のある範囲でいろいろなことをやっています、それで、時間が許せば公僕としてそれはできる限りのことをやらせていただいていますということを申し上げたことと、同じことを申し上げたわけでございます。
  112. 山田正彦

    ○山田委員 それじゃ、この一月の間時間がなかったのか、これを翻訳して届ける。外務省、何人いるんですか。あるいは外務省がだれかに委嘱して、それをすべて翻訳して届けることぐらいはできるはずじゃなかったか。それがなぜできなかったのか。
  113. 川口順子

    川口国務大臣 委員御案内でいらっしゃると思いますけれども、今、これは外務省だけではなくてほかの省も同じようなことだと思いますけれども、さまざまな仕事の中で、ほぼ、大変に残業に残業を積み重ねてやっているわけでございます。私が毎日心配しているのは、これで過労死が出たらどうしようかということを心配しているわけです。  国会におかれては、国会として調査室もお持ちでいらっしゃいます。国会図書館もお持ちでいらっしゃいます。それから、委員の方も、それぞれの政策秘書も含めましてスタッフをお持ちでいらっしゃるわけです。  我々がもし人数を倍にふやすことができたならば、あるいは予算がもっとふえるということであれば、それはもっと、今やっているよりもはるかにいろいろなことができるわけでございまして、我々は時間と予算の許す限り仕事にベストを尽くしている、この状況をぜひおわかりいただきたいというふうに思っております。
  114. 山田正彦

    ○山田委員 外務大臣外務大臣、こっちを向いて答えてほしい。  外務大臣、我々は国政に携わる国会議員である。いわゆる選挙区民から選ばれて、大事なお金がどのように使われるか、行政府がどのような仕事をするか、すべて調査する権限がある、議院に、これは。その中で、国政調査権の一環として、私は、このデービッド・ケイさんのいわゆる報告書がいかに大事であるかということは、抜粋がありますと言うから抜粋を届けさせた。ところが、この抜粋は、いかにも抜粋ではない。  大臣、これを見ていただきたい。手元にあるかな。まず、これは抜粋なのかどうか。
  115. 川口順子

    川口国務大臣 抜粋という言葉を使うか、要約という言葉を使うか、要点という言葉を使うか、いろいろな読み方があると思いますけれども、ポイントを、ここに書いてありますというように、言ったことの概要のポイントはこのようなものである、そういう趣旨のペーパーであります。
  116. 山田正彦

    ○山田委員 抜粋と要点とは違う。これは抜粋なのかどうかと聞いているんで、答えていただきたい。
  117. 川口順子

    川口国務大臣 私が先ほど抜粋という言葉を自分で使ったのかどうかちょっと記憶にございませんけれども、いずれにしても、今申し上げましたように、証言の内容、そのポイント、それを書いたものであるということでございます。
  118. 山田正彦

    ○山田委員 それでは、抜粋でないということですか。私には抜粋を持ってきますと言ってこれを持ってきた。  では大臣、今、これは抜粋でないということをお認めになりますか。
  119. 川口順子

    川口国務大臣 通常の日本語ということでいえば、私はそのお持ちをした人間が抜粋ですというふうに申し上げたのかどうかということを確認することができませんので、そういうふうにその人間が申し上げたという前提でお話をするということではございませんけれども、通常の常識でいえば、抜粋というのは、抜き書きというのが普通の日本語であろうと思います。それで、抜き書きという意味は、もちろんつまらないところを抜き書きするわけではございませんので、そのポイントになるところをかいつまんで書いたということで抜粋と、普通そういうふうに言うということであろうと思います。  ですから、そういうふうに、その人間がどう申し上げたか私は全く確認できませんけれども、先ほど申し上げたようなそのペーパーのポイントということであるということとほぼ同じであると考えます。
  120. 山田正彦

    ○山田委員 理由が全然わからない。ポイントと抜粋というのは同じということですか。(発言する者あり)いや、これは大事なことなので、今からいろいろなってくる。
  121. 川口順子

    川口国務大臣 私は広辞苑の編者でもございませんし国語の有識者でもございませんので、抜粋という言葉の意味を、先生に対してこの抜粋という言葉の定義はこうですというふうに申し上げられる立場には全くないと思っておりますけれども、しかも、抜粋ということを申し上げたかどうかということが確認できませんが……(山田委員「それを抜粋だと私が言っているわけだ」と呼ぶ)それは、先ほど私が申し上げたような趣旨で申し上げたのだということだと思います。
  122. 山田正彦

    ○山田委員 国会議員に対して、では、翻訳全文がないとしたら抜粋、抜粋がありますからと言うので、では抜粋を持ってきなさい、抜粋でもいいと。そうしたらこれしか持ってこなかった。  これには何と書いてあるかというと、まず最初に、「イラク監視グループの作業は継続する必要がある。」と。「同グループのこれまでの作業に基づく私の判断として、イラク国連安保理決議一四四一の重大な違反を犯していたことは明らかである。」と。そしてこの第三、「無論、広大な国土のどこかに依然隠匿されている理論的な可能性は最後まで払拭できないが、生産過程などを消去法で検討すれば、大量破壊兵器の大量の備蓄はなかったというのが結論である。」と。「四、調査が完了した暁には、一九九八年以降の絶対的に腐敗した体制の下、(大量破壊兵器の拡散の観点から)イラクは我々の想像を遙かに超えて危険な国であったことが明らかになろう。」と。  これは、ケイさんのいわゆる証言をアメリカの新聞そして日本の新聞等が報道しているのとは全く趣が異なる。余りにも意図的な骨子だ。これでもって衆議院議員に国会でこの件で発言しろというのなら、私はできない。もうこれでやめる。
  123. 西田猛

    ○西田委員長代理 山田正彦君、その文書については後ほど理事会で取り扱いますので、質問を続けてください。
  124. 山田正彦

    ○山田委員 外務省は国会の場において、これまでもいろいろな審議の中、意図的な情報操作があったんじゃないか、全文の翻訳を出せないとか等々言いながら。私は、この一枚の抜粋と言われる用紙でもってそのことを明らかにしたいと思うので、その経緯について理事会等ではぜひきちんとした、委員長、ぜひその件に関しては明らかな対応を、納得できる対応をとっていただきたいと思う。     〔西田委員長代理退席、委員長着席〕
  125. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 理事会で諮ります。
  126. 山田正彦

    ○山田委員 委員長、どういうふうにこれを処理される予定か、ちょっと私に説明していただきたい。
  127. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 理事会で協議いたします。
  128. 山田正彦

    ○山田委員 どのように。例えば、私の方は、これは意図的な捏造のというか、捏造とまで言わなくても、意図的な、故意によって、そしてこういう抜粋だと称する用紙を出したんじゃないかと。だから、その過程、どういうものであったか、これを明らかにしてほしいと。そういう趣旨でよろしいかどうか。
  129. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 理事会で、理事さんのお話もお伺いしながら諮りたいと思います。
  130. 山田正彦

    ○山田委員 納得いきませんが、続けましょう。  それから、実は迫撃砲がサマワで撃たれた事実関係があった。それからもう一つ、ルメイサ市、その南の方の幹線道路でもって、サマワから約四十分のところですが、米軍の発砲事件があった。この二つについて、外務省あるいは防衛庁現地からの何らかの報告、いわゆるペーパーが届いているはずで、その原文、コピーでよろしいからそれを提出してほしい、そういう申し出をしたわけだけれども、届かなかった。これは、防衛庁長官、そして外務大臣、どうしてなのか、それをお聞きしたい。
  131. 石破茂

    石破国務大臣 これは何度か委員会答弁申し上げたことでございますが、現地からはもちろんいろいろな情報は届いております。隊員の安全にかかわりますこと、あるいは外国との関係を損のうおそれのありますもの、あるいは外国においても報道されておりませんもの、そのようなものは公表いたしかねます。これはどの場合でも同様でございます。
  132. 山田正彦

    ○山田委員 このイラク支援委員会を続けるということは、こうして週に一回原則続けているわけですけれども、現地の、我々日本人である自衛隊員の身の安全、そういったものがどういう状況にあるかということをリアルタイムで常時この委員会できちんとした対応をして、そして自衛隊が本当に安全で、そして我々も少しでも安心して自衛隊員がその職務につくことができるよう、そのような意図で開かれたものだと。そうであれば、当然のことながら、何らかの文書、その文書の中には機密を要するものはあるかもしれない。機密を要するものまで出してくれとは言わない。単なる事実関係だったら、出さなければおかしい。  例えば、そのルメイサ市ですか、そこで米軍の発砲事件があった。これは自衛隊の身の安全とかその他に全く関係ない。その事実関係の報告が出せないということは、今防衛庁長官が言った、それが自衛隊の安全を害するなどということに値するのかどうか。単なる事実だけでしょう。
  133. 石破茂

    石破国務大臣 委員の貴重なお時間を邪魔してはいけないと思いまして申し上げませんでしたが、ルメイサの話を申し上げれば、先月二十九日、ルメイサにおける発砲事件がございました。(山田委員「いや、それを聞いているんじゃないんです」と呼ぶ)二十九日朝、ルメイサ市南の幹線道路においてというお話でございます。(山田委員「それを聞いているんじゃない」と呼ぶ)  これは、現地から来ております情報の中で、この委員会で申し上げても、先ほど私が申し上げました、自衛隊の安全、あるいは関係各国との信頼関係の維持等々について差しさわりのないものを申し上げたわけでございます。  現地から来たもので、あちこち修正をして出せと言われれば、それも別に不可能なことではございませんが、これは、私どもとして申し上げられることを、ここの場で、私どもの責任において申し上げておるわけでございます。
  134. 山田正彦

    ○山田委員 私が言っているのは、防衛庁長官なりあるいは外務大臣がこの場でいろいろ答弁すること、そのことだけがこの委員会で大事なことではない。やはり現地の、現実のいろいろな報告書、あるいは今言ったようにデービッド・ケイさんの報告書とか、例えばさっき中野譲議員が言っていましたが、実際に予算がどのように使われていっているかということの具体的な事実関係の資料、そういったあらゆる資料をこの場で明らかにしていくことが大事なので、この委員会は。  そういった意味では、防衛庁長官考え違いしては困るんだけれども、そういったあらゆる資料をこの場に提供していく、我々もそれを求めていくこと、これは委員会における我々の大事な仕事であって、防衛庁長官が私が説明したからそれでいいというものではないでしょう、それは。いかがですか。
  135. 石破茂

    石破国務大臣 これは政府全体の問題ではございますが、例えば、本日、中東アフリカ局長からイラク治安情勢につきましては御説明を申し上げたとおりでございます。  委員指摘のように、ここはイラク特別委員会であり、国権の最高機関のその衝に当たられる委員会であるということにつきましては、私ども政府として重々認識はいたしております。しかし、国会において何を申し上げ、何を申し上げないかということは、国政調査権とは何かということも関係をする問題でございますが、申し上げられること、申し上げられないこと、これは当然ございます。それは、私どもが国会を軽視しておるとか、そのような問題ではございません。  これは、私、以前、外務委員会の筆頭理事をしておったこともございます。中川理事が野党の筆頭でいらっしゃいましたけれども、そのときもいろいろな議論はいたしました。政府として、国会に対して出すべきものは出します。しかしながら、出せないものは出せません。
  136. 山田正彦

    ○山田委員 出せないものは出せないという判断の基準は、出せるもの、出せないもの、資料、どこでどういう判断で決めるわけですか。
  137. 石破茂

    石破国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、隊員の安全に関しますこと、例えばルメイサで、今申し上げようとして委員がそれは言わなくていいとおっしゃいました、それ以外の事実もございましょう。それは情報を提供してくれた先の状況もございます。そして、一回その信義を損ないまして勝手にしゃべってしまえば、その後、もう情報は来なくなるということは、情報の世界では常識の問題でございます。  これは、関係各国、いろいろな、私どもで申し上げれば、アメリカ合衆国でありイギリスであり、そしてまたオランダであり、各国との信頼関係に基づいていろいろな情報を共有しておることでございます。日本だけの判断でこれは出せないものというものは、これは当然ございます。  そしてまた、事実関係だからよいではないかというお話でございますが、それではなぜその事実というものを知り得たのかというようなことは、情報屋さんの世界では、それはもう一をもって十を知るということは当然あるわけでございます。  何をもって判断をするかといえば、私ども防衛庁に関して申し上げれば、防衛庁自衛隊の責任におきまして、これは出せる、これは出せない、それを隊員の安全、諸外国との信頼関係に基づいて判断をいたしております。
  138. 山田正彦

    ○山田委員 諸外国との信頼、そして隊員の安全、それ以外の、それに反しないものであったら出せるということでよろしいか。
  139. 石破茂

    石破国務大臣 基本的に、隊員の安全、そしてまたこれから先の諸外国との関係という、私はこの二つの要素だと思っております。  ただ、委員が御指摘のように、それに反しないものであったらすべて出すのかと言われた場合に、例えばこんなもの、あんなものというような御指摘、それはケース・バイ・ケースだと思います。  ただ、基本的には、私どもが最も重視をしておりますのはその二点だということでございます。
  140. 山田正彦

    ○山田委員 最も基本的に重視しているのはというのが納得いかないわけですが、我々には調査権限がある。そちらには、今言ったように、国際的な信頼、これを守らなきゃいけないものと、自衛隊の安全を害するようなことがあってはならないという責務がある。それに反しない限りは必ずすべてを、例えばこちらが要求したら、その全文についても事実関係を明らかにしたものであれば出さなければいけない、これが原則なんです。そのためにこの委員会があり、国会に調査権限がある。  私の質問時間は過ぎてしまったので、そのことに対してだけ、ひとつ外務大臣、お答えいただきたい。そして、私の質問を終わります。
  141. 川口順子

    川口国務大臣 今まで防衛庁長官がおっしゃっていらっしゃることが正しいと思います。
  142. 山田正彦

    ○山田委員 そういう具体的な資料も出さずに、そしてこのまま、ただ大臣が、そして防衛庁長官が、いわば本当に何のさわりにもならないような話をするだけで、私は、この委員会を幾ら続けても一緒である、そう申し述べて、質問を終わります。
  143. 斉藤斗志二

  144. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。  きょうは、占領軍に対する攻撃、これらの問題について伺っていきたいと思います。  フセイン元大統領が拘束をされて二カ月以上たつわけですが、占領軍に対する攻撃は一向におさまる兆しを見せておりません。外務省の報告でも、今後とも治安状況は予断を許さず、現地情勢については十分にその動向を注視していく必要があります、このように言っているわけです。  そこで、先日、民主党の中川議員から提出された質問主意書に対する答弁書の中で、政府はテロの定義について、一般国際法上確立した定義があるわけではなく、お答えすることは困難としながら、一般的には、テロリズムとは、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れ等を強要し、または社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいう、こういう認識を示しております。  そこで聞きますが、例えば、去年の十一月、ナシリヤで起きたイタリア軍の司令部への攻撃は、爆弾を積んだ車が自爆するというテロリストがよく使う手段を用いたものではありますけれども、軍の駐屯地という軍事目標に対して行われたものでした。  このイタリア軍の駐屯地への攻撃は、政府はテロと認識しているのか。そういう認識だということであれば、質問主意書に対する答弁書の中にある一般的なテロの定義に照らして、その根拠を説明していただきたいと思います。
  145. 川口順子

    川口国務大臣 ナシリヤにおいてイタリア軍に対してなされた攻撃でございますけれども、これが一般的な意味でテロかどうかということについて、厳密に申し上げれば、だれがやったか、どういう目的でやったのか、これは今まだわかっていないわけでございますから、そういう意味で、あれがテロであったか、テロでなかったかということを申し上げることは非常に難しいということであろうかと思います。  新聞等では、テロという見出しが躍っていたような記憶もございますけれども、政府の立場であれがテロであったとかなかったとか申し上げるには、具体的な状況がわかっていないということであると思います。
  146. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 新聞ではテロという言葉が躍っていたけれども、政府として厳密に検討してみたら、なかなかそう簡単に定義づけられるものではないという御答弁でした。  そこで、二月の三日と五日にバグダッド飛行場で、ロケット弾や迫撃砲による攻撃がありました。それはいわゆる自爆テロという手法は使われていないんですね。迫撃砲による攻撃は、一般的には旧フセイン残存勢力によるものと言われる場合が多いわけですけれども、この攻撃はテロですか。
  147. 石破茂

    石破国務大臣 私からお答えするのが適当かどうかわかりませんが、これは、そういうふうな断定は非常に難しいと思います。  理由は、先ほどのナシリヤにおけるイタリア司令部攻撃事案について、これは現状においてはだれがやったかは判然としないということを外務大臣が御答弁なさいましたが、それと同じ理由でございます。これはテロなのかそうではないのかというふうな御質問に、これはテロでありますとか、違いますとか、そのように明確にお答えすることは困難であると存じます。
  148. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 今二つの点について聞いたんですが、にもかかわらず、外務省の情勢認識、治安情勢の報告になると、テロは継続しておりという書き方が出てくるわけですね。しかし、ナシリヤについてもかなりの調査政府は行っております。バグダッド飛行場についても、石破防衛庁長官は、これは鋭意調査を行うという答弁をしております。そういう鋭意調査を重ねてもなかなかこれがテロだとは言えない、こういう状況があると思うんです。  それで、こうしたケースにもテロだと断定できないということになると、例えば、占領軍への攻撃、これは皆さんはどういう根拠に基づいてテロだというぐあいにおっしゃっているんですか。
  149. 川口順子

    川口国務大臣 占領軍に対する攻撃が一般的にテロであるとかないとかいうことを申し上げるのは非常に難しいと思います。いろいろなタイプの攻撃があって、その一つ一つについて、事実関係についてきちんと把握をしているわけではございません。  先ほど申しましたように、一般的に考えれば、先ほどの質問主意書に対する答弁で申し上げたように、一般的に言えばそういうことをテロというということはございますけれども、何がそうであるか、どのケースがそうであったかということを具体的に個別の問題について申し上げるのは難しい、断定することはできないということだと思います。
  150. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 政府が鋭意調査を重ねても断定することは難しい、こういう御答弁でした。  それで、別の角度から伺いますけれども、例えば当委員会に対しても、米軍などによる掃討作戦は継続されているという報告があります。米軍はこうした掃討作戦で拘束した者を法的にはどういう地位を持つ者として勾留しておりますか。フセイン元大統領は戦争捕虜というぐあいにお答えですが、この掃討作戦等で拘束したイラクの人たち、これらに対するものの取り扱い、これはどのようになっていますか。
  151. 川口順子

    川口国務大臣 フセイン大統領につきましては、今委員がおっしゃいましたように捕虜という発表がございましたけれども、ほかの捕まった、拘束された人たちに対して、それが捕虜であるとかそういった発表はなされていないということでございまして、我々としてそれについて承知をする立場にございませんけれども、国際法にのっとって適切に対応されているというふうに考えております。
  152. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 発表されていないということでありましたが、サンチェス司令官が一月二十九日バグダッドで記者会見をしまして、まさに今私が尋ねたようなことと同じ中身を尋ねられまして、そこで答えているのは、問いは、多くのイラク軍兵士が拘禁され、その家族は、裁判にかけられたのか、どこかに拘束されているのかもわからないことについて問われたのに対し、もし勾留された旧イラク軍の兵士がいるのであれば、彼は現時点では戦争捕虜であり、また我々が敵対行為の終結を宣言するまではそうであり続けるという、戦争捕虜として取り扱っている事例もあることをサンチェスさんは記者会見で述べているわけですね。  それで、前段の質問で、一概にテロと断定できないような状態、一方で、米軍は掃討作戦で拘束した者を戦争捕虜として扱っている問題、やはりここには、私、今イラクで起こっている事態というのは、国際的な武力紛争一環としての戦闘行為が継続している、このように認識すべきだと思うんです。  国際法上の合法性があったかどうか、この議論は別ですが、米英軍がイラクに対して武力行使を行いました。そして、一応の軍事占領の状態には至ったものの、一方の紛争当事者であるフセイン残存勢力が今も武力抵抗している。そうした抵抗というのは、その手段がゲリラ的なものであろうと、あるいはテロ的なものであろうと、その用いる手段にかかわりなく国際的な武力紛争一環としての戦闘行為と認めるべきではないかと思います。それらについて、やはりそこをテロというわけには、断定するわけにはいかないという問題を先ほど述べたと思います。  そこで、きょうはもう時間がありませんので最後の質問に移りますが、防衛庁長官は、テロであれゲリラであれ、あるいは国または国に準ずる者であれ、そうでなくても、自衛隊武力行使武器使用は、それが正当防衛に基づくものであれば武力行使にはならない、戦闘行為にはつながらないというような答弁をしておりますが、それはそういうことでいいですよね。
  153. 石破茂

    石破国務大臣 このお答えをするとき私はかなり言葉には気を使っているつもりでございますが、武力行使は、憲法に禁じられている武力行使にならないという答弁をしたことはございません。これが法十七条によって行われる限り、それは自然権的な自己保存に基づく武器使用でございまして、憲法九条第一項に何ら反するものではございません。
  154. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 そういうことだと思います。  相手が国または国に準ずる者であろうがなかろうが、この法案に定められた武器使用の権限が変わるわけではございませんということも言っております。  それで私、やはり今イラクで起こっている事態が、単純にテロということでは片づけられない。イラクのいろいろな人たちが今の占領に抵抗している。そして、中には戦争捕虜として扱われているというサンチェス司令官の発言もある。そういう中で、我々が自衛隊武力行使をどう見るかということについて、過去に、九一年の九月二十五日の衆議院の国際平和協力特別委員会では、工藤内閣法制局長官は、ゲリラ、テロと言う場合は、PKOのときには、そういう具体的な想定というのはちょっといたしかねますけれども、それが国ないし国に準ずる組織、こういうふうな者に対しましてのものは武力行使、国または国に準ずる組織、いわゆる対外的な外敵に対する対抗、こういうふうな意味で、国または国に準ずる組織と当たればそういうことになろうかと思います、このように答弁をしております。  石破長官は、正当防衛あるいは緊急避難であれば、それが国または国に準ずる者であっても武力行使に当たらないとこれまで答弁してきているわけですが、工藤法制局長官は、正当防衛、緊急避難であっても、相手が国または国に準ずる者であれば武力行使に当たると答弁しております。これは、答弁が明らかに違うわけですが、政府は見解を変えたわけですか。
  155. 石破茂

    石破国務大臣 正確に一字一句記憶をしておるわけではありませんが、私は、工藤法制局当時の長官がそのような答弁をしたとは理解をいたしておりません。自己保存に基づくところの自然権的な武器使用をいたしましたときに、それが憲法の禁ずる武力行使に当たるのだなぞというような答弁はいまだかつて政府は一度もしたことはございません。それは憲法九条の一項とは全く違う議論でございますし、さればこそ私どもは、そういうようなことになった場合には、活動を中断し、休止するなどして、実施区域変更等の指示を待つという規定をこのイラク特措法では入れておるわけでございます。  したがいまして、どのような状況におきましても、憲法九条第一項が禁じますような武力行使あるいは武力の威嚇、あるいは武力行使と一体化するというふうに評価をされるような行動、そういうことは行わないということをこの法律ではきちんと定めて、国会においてお認めをいただいたところでございます。
  156. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 私、さっき、九一年の工藤法制局長官答弁と現在の答弁に明らかに違いが出ているということを申し上げましたが、理事会においても、これらについて精査して検討していただきますようお願いをして、質問を終わります。よろしいでしょうか、理事会での検討は。よろしいですね。
  157. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 十分答弁したんじゃないですか。
  158. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 いや、納得しないものですから。
  159. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 理事会で協議します。  次に、照屋寛徳君。
  160. 照屋寛徳

    ○照屋委員 社会民主党の照屋寛徳です。  きょうは、まず最初に、外務大臣に、アブダビで開催された支援委員会会合について質問をいたします。  なお、私、支援委員会会合というふうに言いましたけれども、きょうの委員会の冒頭、外務省の報告によりますと、イラク復興信託基金ドナー委員会会合というふうにおっしゃっておりましたので、同一の会合だというふうに御理解をしていただいて、お答えをしていただきたいと思います。  このイラク復興信託基金ドナー委員会会合が二月の二十八、二十九日、アラブ首長国連邦の首都アブダビで開催されたようでございます。我が日本が議長国を務めて、今年分の十五億ドルの無償援助のうち五億ドルは国連、世界銀行の両基金を通して拠出をすることになったと報道されております。  そこでお伺いいたしますが、イラク復興信託基金ドナー委員会会合においては、さまざまなイラクの復興支援プロジェクトの運営主体あるいは運営方法、拠出金についてはどのように合意をされたのか、外務省が把握をしている詳細を御説明いただきたいと思います。
  161. 川口順子

    川口国務大臣 おっしゃったように、二月の二十八、二十九日、イラクの復興信託基金のドナー委員会がア首連のアブダビで開催をされました。そして、昨年の十月のイラク復興支援会議がマドリッドでございましたけれども、そのときに無償資金協力をプレッジした国、国際機関が招待をされまして、そのうちの三十二カ国、国際機関が出席をいたしました。  この会合で行ったことでございますけれども、イラクのハーフェズ計画開発協力大臣から、イラクの開発計画等について説明がありました。それから、ロス・マウンテン国連事務総長特別代表代行から、国連活動状況等についての説明がございました。という説明がございましたが、この会議の主要な目的は、基金活動を開始させるためには、組織的な事項について決めなければいけませんので、それについて決定をするということが目的であったわけでして、おっしゃったように、ドナー委員会の今次会合では我が国は議長を務めた、委員会の議長に選出をされたということでございまして、この会合でこのドナー委員会が正式に発足をしたということでございます。  それから、もう一つ申し上げたいのは、これはプレッジをすることが目的ではない、先ほど申しましたように、組織を決定するということが目的であるということでございます。
  162. 照屋寛徳

    ○照屋委員 私、ちょっと答弁が聞きづらかったんですが、日本の無償援助の十五億ドルのうちの五億ドルというのは、国連と世界銀行の基金を通して拠出をする、こういう仕組みですね。
  163. 川口順子

    川口国務大臣 おっしゃったとおりです。
  164. 照屋寛徳

    ○照屋委員 ところで、報道によりますと、アメリカは百八十億ドルの支援を表明しておるようですが、このアメリカの拠出金というか支援は、連合国暫定当局、いわゆるCPAの傘下に運営事務局を置いてプロジェクトを一元管理する、要するに、国連基金や世界銀行の基金とは別にプロジェクトを一元管理するのがアメリカの方針だという報道もございます。  そこで、国際社会の中ではどちらに拠出をすべきかよくわからないと戸惑う声も出ているという報道がありましたが、実情はどうなのか。外務省、いかように実情を把握しておられるか、御説明していただきたいと思います。
  165. 川口順子

    川口国務大臣 委員が一元的管理ということをおっしゃっていらっしゃるのが、前に国連の決議でも決定、決定といいますか書き込まれてあります例えばイラク開発基金のようなことをおっしゃっていらっしゃるのか、ちょっと判然といたしません。  いずれにいたしましても、アメリカがこの会議でどのようなことを言ったかということについては、申しわけありませんが、もし事前にお知らせいただいていたら調べて用意をしてまいりましたのですけれども、政府参考人もおりませんので、私としてそこまで細かくは承知をしておりませんので、これについては調べたいと思います。
  166. 照屋寛徳

    ○照屋委員 それでは次に、中東諸国のイラク復興支援の動きについて質問をいたします。  このイラク復興信託基金ドナー委員会会合とは別に、中東諸国もイラク復興支援を積極的に進める動きがあるという報道がございます。これは、恐らくCPAからイラク人への主権移譲をにらんで、中東諸国それぞれがイラクに対する存在感を高めたいという思惑が背景にあるのかもしれません。  いずれにいたしましても、アラブ諸国、中東諸国は、イラク駐留米軍の早期撤退が中東の安定化につながる、こういうのが共通の認識であって、中東での米国の存在が過剰に大きくなることを避けるためにもイラク支援を重視しているんだ、こういうふうに論評をする識者もおられます。  そこで、外務省は、このようなアラブ諸国イラク復興支援の動きについてどのように分析をし受けとめておられるのか、お伺いをいたします。
  167. 川口順子

    川口国務大臣 アラブ諸国、近隣の諸国は、先日、しばらく前に会議を開きまして、そこにはイラクからも出席をして、イラクの復興支援問題について話し合いをいたしております。  その中で、イラクに対して復興の支援をしていこうというふうに決定があるということを、そういうことについての合意があるというふうに承知をいたしております。それから、アラブ連盟がイラクにそういったミッションを送るということをまた決めたということも承知をいたしております。  先ほど委員が、近隣の諸国はアメリカ軍に、占領軍に、米英軍に早く立ち去ってほしいと考えているということをおっしゃられましたけれども、私がアラブの方々と話をした範囲では、これは、むしろ早く立ち去ってもらっては困る、イラクの安定というのは近隣の諸国にとって重要なことであるので、急にここで主権が移転したからといって占領軍が立ち去るということではなくて、もう少し長く、落ちつくまでいてほしいというふうに思っているというのが私の理解でございます。  いずれにしても、我が国も近隣の諸国と三カ国協力ということで進めつつございますし、そういった我が国のパートナー、相手国は、イラクについて日本と一緒に支援をしていくということについて非常に前向きであるということを申し上げたいと思います。
  168. 照屋寛徳

    ○照屋委員 それでは次に、イラク南部ルメイサ近郊での米軍発砲事件について、防衛庁長官にお伺いをいたします。  去る二月二十九日、イラク南部のルメイサ近郊で、米軍イラク人の車両に発砲し、運転手一名が死亡、一人が負傷し、その後、負傷した者も死亡するに至ったという事件が発生したようでございます。当日、陸上自衛隊の番匠幸一郎イラク復興支援群長がルメイサに向かうため現地を通過する予定だったが、事件を受けて予定を変更、サマワ宿営地に戻ったということが新聞等で報道をされておりました。  この事件については、付近住民がかなりの数で米軍に対して投石をするなどの抗戦行為もあったと報じられておりますし、米軍は出ていけというスローガンを掲げた行動もあったやにマスコミが報じております。  このように反米感情が悪化をすることによって、自衛隊支援活動に悪影響を及ぼすおそれはないのか、そこら辺、防衛庁が現段階で把握をしているイラク南部ルメイサ近郊での米軍発砲事件と治安情勢に関する情報を開示していただきたいと思います。
  169. 石破茂

    石破国務大臣 ルメイサで起こりましたことは先生がおっしゃったとおりでございます。米軍車列を追い越そうとしたイラク人の乗る小型トラックが制止を聞かなかったため、米軍が発砲し運転手が亡くなったということであります。もう一人は重傷を負い後に亡くなったということであります。そしてまた、現地において米軍に対する反感というものが顕在化しているということも報道で承知をいたしております。  そのことが、ルメイササマワというのは先生御案内のとおり三十キロぐらい離れておりますので、サマワにおいて反米感情というものが高まってきたというふうには報告を受けておりません。当然、自衛隊に対しまして、これが占領軍の一部であってというような感情は全くないというふうに認識をいたしておるところでございます。  私どもといたしましては、いずれにいたしましても、現地の方々と良好な関係自衛隊が築くということが重要であると考えておりますので、本委員会の御指摘等々も貴重な参考としながら、今後とも努力をいたしたいと考えます。
  170. 照屋寛徳

    ○照屋委員 サマワルメイサ、かなり離れている、百キロかどうかというのは私も知りませんでしたが……(石破国務大臣「三十キロです」と呼ぶ)三十キロ。  いずれにいたしましても、イラク南部は比較的治安も安定をしているんだ、こういうことでサマワ宿営地を定めたわけでありますし、三十キロ離れているとはいえ、そういう反米感情が結果として自衛隊支援活動に悪影響を及ぼすおそれなしとしませんから、そこら辺の情報収集は怠りなくやった方がいいのではないかという意見を申し上げて、時間でございますので終わります。
  171. 斉藤斗志二

    斉藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十三分散会