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古川(元)
議員 民主党の
古川元久でございます。
ただいま議題となりました民主党・無所属クラブ
提出の
年金抜本改革推進法案について、
提出者を代表し、その趣旨を御説明いたします。
趣旨の説明に先立ち、私からも一言申し上げます。
イラクで
日本人三名が拘束されるという
緊急事態が起きており、その解決に
総理を初めとして我々すべてが全身全霊を傾けなければならないときに、
国民生活に大きな影響を与える
年金に関する
議論を本当に冷静に行うことができるのか、極めて疑問であります。本来は、まず
人質を無事
救出して、事件が解決した後に、落ちついた
状況の中でこの
年金についての
議論を行うべきであること、そのための
協力ならば我々は惜しまないことを改めて訴えさせていただきたいと
思います。その上で趣旨の説明に入ります。
昨年十一月に行われました総選挙において、自民党は小泉マニフェストの中で、「二〇〇四年に
年金制度の抜本改革を実施」することを高らかに約束しましたが、実際には、十四年連続保険料引き上げ法案が出されただけであります。
総理の言う抜本改革とは、単なる保険料引き上げと給付カットであり、抜本改革と呼ぶにはほど遠いものであります。
政府案には、
年金制度の直面する最大の課題である空洞化、そして、その背後にある
国民の
年金制度に対する不信、不安に対する答えは全くありません。ひたすら現行制度の維持にきゅうきゅうとし、そのツケを
国民に押しつけているだけであります。
今、
国民は、みずからの老後の生活に対して大きな不安を抱えています。その最大の要因は、現行の
年金制度に対する不安です。すなわち、世代間、職業、働き方などによって保険料や受給額が異なることによる不公平感、将来の給付がわからないという不透明感、また、この先
年金制度が維持できるのかという根本的な不信感が
年金制度に向けられております。民主党は、現在の制度が有する構造的な問題を解決し、一刻も早く
国民の
年金制度に対する信頼を回復するために、制度の抜本改革を提案いたします。
以下、民主党案の概要を申し上げます。
第一に、現在職業別に
国民年金、厚生
年金、共済
年金と分立している
年金制度、そして
議員年金を単一の制度に一元化いたします。平成二十年度に
予定する新制度の発足
時点から、二十歳以上のすべての
国民は一つの同じ制度に加入することとし、ひとしく負担し、ひとしく給付を受ける、公平で納得のいく制度へと改めます。
第二に、新たな
公的年金制度においては、現役時代は所得に比例して保険料を納め、
年金給付時には納めた保険料に比例して
年金受取額が決まることを大原則とします。負担と給付が明確で、納得のいく公平な制度となります。また、現役時代にみずからの
年金受給見込み額の見通しが
確認できる仕組みを導入し、不透明感を解消します。保険料率は、原則として現行の厚生
年金保険料率を維持することとします。
第三に、高齢者等の最低限の生活の安定を保障するため、税を財源とする最低保障
年金制度を創設します。老後の生活の安定を確保することは、
国民全体にその利益が及ぶものであります。民主党の最低保障
年金制度は、すべての人にひとしく老後の生活の安心を保障するものであります。
第四は、
国民にとって公平で納得のいく形で、今まで保険料を払ってきた世代に約束してきた
年金を支払うために不足する財源を確保すると同時に、最低保障
年金の財源に充当するために、
年金目的消費税を創設します。
政府案のように現役世代だけに過重なツケを押しつければ、
社会経済に大きなダメージを与えることは自明の理であります。
私
たちは、高度成長を実現してきた世代の生活を、高度成長の果実を享受する
国民全体で支えるとともに、
年金を受給する世代の
皆さんにも支え合いに参加していただくため、公平で透明な消費税という形で負担をお願いしたいと
考えております。
また、
年金制度の抜本改革を適切に実施するための措置として、国税庁と
社会保険庁の統合等を行い、効率的な保険料徴収体制を整えます。
以上のような
公的年金制度の抜本改革に関する基本的な理念、指針を定めた上で、党派を超え、
国民の
意見も踏まえ、広く
議論を行い、実現するために、国会に
年金制度改革調査会を置き、新たな
公的年金制度を平成二十年度に発足するため、その詳細の調査、検討等を行うこととしております。
新制度を発足させるまでには、現行制度の基礎
年金国庫負担率を、歳出の抜本的な見直しによって、三分の一から二分の一へと引き上げます。
政府・与党は、
国民に対する約束を先送りした上に、増税で財源を賄おうとしていますが、民主党は、さきに平成十六年度民主党予算案でお示ししたとおり、抜本的な歳出の見直しによって、その財源を確保します。さらに、
年金保険料のむだ遣いとなっている福祉事業の全廃も行います。
以上、民主党
提出の
年金抜本改革推進法案の概要について御説明をいたしましたが、最後に一言、特に申し上げます。
小泉総理は、本院における
年金審議を目前にして、公的
年金の制度改革について、一元化が望ましいと発言をされました。この発言は、明らかに現在の
政府案と矛盾するものであります。
年金制度の抜本改革のためには一元化が不可欠ですが、
政府・与党は、一元化に基づいた
年金制度改革案を
提出しようといたしません。
国民の失われた信頼を一刻も早く解消し、持続可能な
年金制度を築くには、今国会で
年金制度一元化を決めることが重要であります。もはや問題を先延ばしすることは許されません。
確かに、一元化の実現に向けて多くの困難があることは承知をしています。だからこそ
政府案を一たん撤回し、その上で望ましい公的
年金一元化創設に向けた
議論を、一刻も早く党派を超えて行おうではありませんか。私
どもの提案した民主党案は、そのための最適の舞台を提供していると自負をいたしております。
年金改革の最大の目的は、
年金制度に対する
国民の信頼を取り戻すことにあります。今こそ制度そのものの抜本的な改革に取り組み、
国民の失われた信頼を回復し、持続可能な新しい
年金制度の創設を目指すべきときであると
思います。その上で、真の
抜本的改革を内容とする民主党案に対する御理解を賜ることをお願いいたしまして、私の趣旨説明を終わらせていただきます。(拍手)