○阿部
委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。
本日の三時過ぎからの
皆さんの御熱心な討議を伺いながら、この
公衆浴場と
クリーニング業法に関しての
意味深い
質疑はほとんど出尽くしたかなと思いながら、私も基本的にこの二法案の成立に心から賛意を表したいという態度をまず表明いたさせていただきます。
それともう一点、たまたま私は、非常に重い障害のある子供を診る医者をしておりまして、それも、どちらかというと東京の上野に近いところで勤めておりました経験で、ぜひとも御
紹介したいお母さんの事例があります。
難治性のてんかんを持って生まれて、生まれて一度も歩いたことがない、ずっと寝たきりのお子さんを抱えたお母さんが、その子を毎日背中におんぶして、いわゆる
銭湯、
公衆浴場に行っておられました。だんだんその子の丈が大きくなって、小柄なお母さんで、背負っても足を引きずるようになってもなお、お母さんはとにかく
銭湯に連れていくということを日課にしておられました。理由は、そこだと、脱衣所で子供を寝かせておいて自分が大急ぎで入浴してきても、だれかが見ていてくれる、それから遊んでくれる、構ってくれる。すごくお母さんにとっては日々の張り合いになっておられました。
その話を私はいつも外来でお母さんから聞きながら、この法案が出てきたときに、本当に、ああ、こういう形で住民相互の交流の促進等の場所になる、文化の拠点になる、昔から
銭湯談義というのがございましたけれども、日本にとってはそういう場でもあったのですけれども、改めて法の中にそのように位置づけられて、これからの社会を支えていく重要なコミュニティーの中心になるということを本当に喜びたい法案と思います。
あともう一点は、
クリーニング業法に関しまして、今回、工場を持つ
クリーニング関係のお仕事の方が極めて少なくなって、集配のみにかかわるという形にだんだん運営形態が変わってきておりますが、私も、やはりこの
クリーニング業界とか
公衆浴場でみんなを楽しく、きれいにしてさしあげる仕事というのは、実は非常にしんどい職場、長時間労働だったり、あるいは
クリーニング業界の場合だったら化学薬品をしょっちゅう使う職場でございまして、そこでの労働状態あるいは労働衛生管理、安全管理というものも極めて気になるところでございます。
本当は、その件をきょうちょっと、例えばそういう揮発性のものを扱うために特殊な職業病等があるのでしょうかというような
質疑をしようかと思っておったのですけれども、とりあえず、今回の法案はより前向きな方向に、衛生管理という
利用者のためのさまざまな、
苦情窓口の設置も含めて一歩前に出ておりますので、そのことでとどめおかせていただきまして、
一般的な
質疑に入らせていただきます。
私はきょう、実は三月の二十二日に東京地裁において判決のありました女子医大の
医療被害裁判のことで
大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。
これまでののどかなというか、心温まる談義と違ってちょっと恐縮なのですが、寒々しい話かもしれませんが、実はこの女子医大事件と申しますのは、人工心肺というのを用いた心臓の手術で、いわゆるミスを隠そうとした医者が看護婦さんその他に指示してカルテの改ざんを行わせた事例です。
看護婦さんに命令して、あるいはだれかに命令してカルテの改ざんをいたしますれば、それは証拠隠滅罪というものに問われるのですが、でも、もしも医者が自分自身で証拠を隠すために自分のカルテを改ざんしても、これは現在の刑法では全く罪に問われません。例えば、犯罪を犯した方が自分の指紋を消したと同じような、自分に不利になる証拠を隠すということにおいて本人が自分のカルテを改ざんしても、実は何ら
法律的にはとがにないという範疇にございます。
しかしながら、数多い
医療被害裁判で、カルテ改ざんというのはあってはならないことであっても後を絶ちません。やはり私は何らかの、例えば医師法の中に、診断書の偽造が公文書偽造に当たるというようなことで法的な罰則をかけると同じように、何らかの法的な取り締まりも含めて、カルテ改ざんということに厚生行政あるいは立法の意思として強い姿勢を示すべきではないかと考えてございますが、この件について一点、
坂口大臣にお願い申し上げます。