○阿部
委員 社会
民主党・市民連合の阿部知子です。
毎年、この季節はいわゆる
年金の
物価スライド問題が論じられ、ああ、ことしまた一年がたったなと思いながら、きょうの
質問に立たせていただきます。
しかしながら、去年の春とことしの春とはやはりちょっと違うかなと思うことがございます。デフレという状態は依然として続いておりますし、特に、インフレ時代に
物価スライドさせて取り分を多くしようと思った
年金の問題が、デフレになって、果たしてそれと連動してどんどこどんどこ下げていったら何が起こるのかなということが最も明確になったのが、ことしの
年金論議のように思います。
そうした中で、
民主党が対案をお出しいただきまして、
最低保障年金という、これくらいなくちゃもうどうしたって暮らせないんだから下げるに下げられないんだと。
そして、このことは同時に、国の政治が
国民に何を約束するか。この国に生まれて、生きてよかった。老いもある、病気もある、いろんな失敗もある。だけれ
ども、この国の大事な一員なのだと思って暮らせる国であるかどうかの、いわば哲学を問うた論議に、午前中、私は、ばたばたしながら、しかし部屋でしっかりと
金田委員と
坂口厚生労働大臣のやりとりを伺いながら、ああ、なかなかいい論議をしておると、失礼な言い方ですが。
このことは、やはり
国民から見て、私たちの国というのは、
国民である一人一人に、どんなふうに
考えてこの国に生きてくださいと言っているのかなということを論議できるという
意味において、デフレという
状況は大変によろしくありませんが、しかし、パイが大きいときはみんな真剣に
考えなくてもまあまあでやっていけるところが、事ここに至れば、人を切り捨てていかない、そのための社会づくりにみんなが論議を重ねているという
意味において、きょう御
出席の各
委員も含めて大変に御苦労さまと思いますし、また、いい論議がきっとされていると思います。
私がきょう伺いたいのは、いわゆる医療の自己
負担問題。これは、実はどんどんどんどんふえております、この間一貫してふえております。そして、逆に
年金受給の額はデフレにスライドされてどんどんどんどん減っております。医療という問題は、それじゃ、かからなきゃいいかと言われますと、やはり命がかかっておりますので、いやが応にもかからなくてはいけないという
意味において、このデフレ下の
物価スライド問題と人の命ということを象徴的にあらわしているマターですので、このことを取り上げて
質疑させていただきます。
昨年の、
平成十五年度における
国民年金法による
年金の
額等の
改定の審議の際に、衆議院でも附帯決議がございました。「
高齢者の
生活は、
消費者物価のみではなく、医療や介護など福祉のあり方に大きく左右されるということに鑑み、」今後ともと続きまして、「
高齢者が
生活上の安心を得られるよう必要な
措置を講ずること。」これが昨年の申し合わせでございます。
そこで、まず、手元の資料、
坂口大臣に特にしっかりとごらんいただきたいのでございます。と申しますのも、
大臣、先ほどの御
答弁の中で、来年度は介護、再来年度は医療、
年金問題は医療も介護も一体化した中で
考えていくんだと。これはもう
大臣の常日ごろの御見識ですから、大変期待もしておりますが、そのことが実際に政策にあらわれるように、私は、きょう
大臣に御
質疑したいと思います。
お手元の資料一枚目は、上の表が、
平成十五年の全世帯及び
高齢夫婦一世帯当たりの平均一カ月の消費支出。下が、参考として
平成十年が出てございます。
ここのうち、どこに着目していただきたいかですが、保健医療費という上から六つ目の項目をちょっと見ていただきとうございます。この、全世帯平均では一万二千三百三十九円の保健医療費が、隣の
高齢夫婦世帯では一万五千三百九十三円。そして、もう
一つ囲まれました無職の世帯、これはいわゆる
年金のみでお暮らしの世帯では一万五千四百十一円となっております。
ここで本当に大きなこととして二つありますが、一般世帯より御
高齢者の医療費支出は多い。わけても、
年金だけでお暮らしの御
高齢者の医療費支出の方がさらに多い。
そして、上を見ていただきますと、世帯の平均支出が、全世帯が三十万ちょっと、
高齢夫婦世帯が二十五万、そして無職の世帯が二十三万九千と、支出全体は
年金のみでお暮らしの方の方が少なくても、うち医療費のかかる分は
年金のみでお暮らしの方の方が高いという事実でございます。どうやっても、そこは
物価にスライドできない、命は
物価にスライドできないということです。医療は、かからなければならなければ、当然ながら支出されます。
そして、下の表、
平成十年と比べますと、実は
平成十年段階でも既に今の傾向はあらわれてございますが、ただしかし、消費支出の全額は現在よりも多うございます。
今は、全体の消費が減り、医療のための支出のみが御
高齢者世帯の
年金世帯でふえておるという実態について、これから医療、介護、保健、一体改革で
年金も改革していくとおっしゃられる
坂口大臣が、この逆転現象、非常に深刻と思いますが、まず、どういうふうにお
考えであるかを一点目、伺います。