運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
2004-03-11 第159回国会 衆議院 憲法調査会統治機構のあり方に関する調査小委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
平成十六年三月十一日(木曜日) 午前九時
開議
出席小委員
小
委員長
木下
厚君 岩永
峯一
君
衛藤征士郎
君 杉浦 正健君 永岡 洋治君 二田 孝治君 古屋
圭司
君 森山 眞弓君 鹿野 道彦君
玄葉光一郎
君 鈴木
克昌
君 辻 惠君
福島
豊君 山口 富男君
阿部
知子
君 …………………………………
憲法調査会会長
中山 太郎君
憲法調査会会長代理
仙谷
由人君
参考人
(
東海大学政治経済学部教授
)
宇都宮深志
君
衆議院憲法調査会事務局長
内田 正文君
—————————————
三月十一日 小
委員土井たか子
君同日
委員辞任
につき、その
補欠
として
阿部知子
君が
会長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同日 小
委員斉藤鉄夫
君同日小
委員辞任
につき、その
補欠
として
福島豊
君が
会長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同日 小
委員阿部知子
君同日
委員辞任
につき、その
補欠
として
土井たか子
君が
会長
の
指名
で小
委員
に選任された。 同日 小
委員福島豊
君同日小
委員辞任
につき、その
補欠
として
斉藤鉄夫
君が
会長
の
指名
で小
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
統治機構
の
あり方
に関する件(
人権擁護委員会
その他の準
司法機関
・
オンブズマン制度
) ————◇—————
木下厚
1
○
木下
小
委員長
これより
会議
を開きます。
統治機構
の
あり方
に関する件、特に、
人権擁護委員会
その他の準
司法機関
・
オンブズマン制度
について
調査
を進めます。 本日は、
参考人
として
東海大学政治経済学部教授宇都宮深志
君に御
出席
をいただいております。 この際、
参考人
に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中にもかかわらず御
出席
をいただきまして、まことにありがとうございます。
参考人
のお
立場
から忌憚のない御
意見
をお述べいただき、
調査
の
参考
にいたしたいと存じます。 本日の議事の順序について申し上げます。 まず、
宇都宮参考人
から
人権擁護委員会
その他の準
司法機関
・
オンブズマン制度
について御
意見
を四十分以内でお述べいただき、その後、小
委員
からの質疑にお答え願いたいと存じます。 なお、発言する際はその都度小
委員長
の許可を得ることとなっております。また、
参考人
は小
委員
に対し質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御
承知
おき願いたいと存じます。 御発言は着席のままでお願いいたします。 それでは、
宇都宮参考人
、お願いいたします。
宇都宮深志
2
○
宇都宮参考人
東海大学
の
宇都宮
でございます。 本日は、
衆議院憲法調査会
にお招きいただきまして、非常に光栄でございます。 早速でございますけれども、お手元にあります
レジュメ
に沿いまして、順次
お話
をさせていただきたいというように思います。 私が書きました本の中から
論文
がそちらに配付されておると思います。第一章の第四ページをあけていただきますと、「
世界
の
オンブズマン
の
設置状況
」というのが載っていると思いますが、それをまず参照していただきながら、第一項目の
世界
への
オンブズマン
の普及と進展というところから、順次話をさせていただきたいというように思います。 この「
世界
の
オンブズマン
の
設置状況
」を見ていただきますと、まず、御
承知
のことと思いますけれども、
スウェーデン
で、
制度
が一八〇九年にできて、一八一〇年に
オンブズマン
が
任命
されたというのが
世界
で
最初
のことでありまして、この表から見ていただきますと、一九五〇年代それから六〇年代、七〇年代、八〇年代に、この
オンブズマン制度
は
西欧諸国
を中心としてほとんどの国で
導入
されたというのが
一つ
注目すべきところだと思います。 一九五〇年以前には、
スウェーデン
と
フィンランド
だけに
オンブズマン制度
は限られていた。といいますのは、
スウェーデン
というのは、独特の
行政組織機構
を持っている。実際の
行政執行
は
政府各省
ではなくて
独立行政機関
、一般的に
行政機関
と言われていますけれども、それが存在しておりまして、
政府各省
は政策の形成、立案、それから
立法
の
準備
などをやりまして、
大臣
がそこに
責任
を持って
立法
の
準備
とかそういうことをやっているということで、実際の
行政執行
というのは
独立行政機関
というのがやっております。数年前に
スウェーデン
の
オンブズマン
にお会いしまして、
独立行政機関
というのは一体どのくらいあるんだということを質問しましたら、数百ぐらいはあるということで、
ABC順
にずらりと
一覧表
が出ているんですが、これが
オンブズマン
の
調査
の
対象
になると。 したがって、
スウェーデン
の場合は、
大臣
の
行為
は
オンブズマン
の
調査
ができないことになっているんですね。これは
国会
に
憲法委員会
というのがありまして、
憲法委員会
が
大臣
の
行為
を
監視
するといいますか、
憲法委員会
がやる、こういう形になっております。したがって、そういう独特の
組織
を持っているものですから、これはもう他の国にはちょっと適用できないということで、ほとんど関心を持たれなくて、そのまま
スウェーデン
、
フィンランド
に限られていた。それが
世界
的に注目されるようになったのは、この
設置状況
から見ますと、五五年に
デンマーク
が
オンブズマン制度
を
導入
した、これが
世界
に
発展
する
契機
になった。
デンマーク
は
大臣責任制
をとっておりまして、
議院内閣制
をとっている。
議院内閣制
で
オンブズマン
が適用できるんであれば、これはもうほかの国、
西欧諸国
全体に適用できるんだ、こういう形で
一つ
の
きっかけ
になったということで、
デンマーク
の場合は
大臣
の
行為
が
オンブズマン
の
調査
の
対象
になっております。これはもう
イギリス
もほかの国も
大臣
の
行為
は
オンブズマン
が
調査
できるというようになっております。それから
デンマーク
を越えて、スカンディナビアを越えて
西欧諸国
に、
アングロサクソン系
の
諸国
に
導入
をされていった。 それからもう
一つ
注目すべき点は、一九六二年に
ニュージーランド
が
オンブズマン
を
導入
した。これが、
ニュージーランド
は
世界
の
オンブズマン
だと言われて、この
一つ
の
ニュージーランド
・
モデル
がカナダとかオーストラリア、それから
イギリス
、アメリカ、そういうところに
モデル
として
導入
をされていったという
契機
があります。 六〇年代には、
ニュージーランド
を皮切りに、
ノルウェー
とかタンザニアとか
イギリス
、十一の
制度
が誕生しまして、七〇年代には、そこを数えていただきますと、十
年間
で六十二の
制度
が誕生した。それから八〇年代、九〇年代と
発展
をしてまいりまして、九〇年代におきましては、
東ヨーロッパ
とか
アジア
とかアフリカ、それから中南米。
アジア
におきましては、この近辺の韓国とか台湾、フィリピン、それからタイとかそういうところで
オンブズマン
が
導入
をされてきております。 それから
欧州議会
、
EU
におきまして、
マーストリヒト条約
百三十八e条に、
欧州議会
は一人の
オンブズマン
を
任命
しなければならないという規定が設けられまして、九五年に一人の
オンブズマン
が
任命
されまして、今二代目が就任をして、大体
年間
三千件ぐらいの
苦情
を受け付けて、また
行政監視
を行っております。こういうように、
世界
に急ピッチに
導入
をされてきております。 こういう傾向から、私は、以下の四点が注目されるんではないかなと。 まず
一つ
は、
世界
に広まった
オンブズマン制度
というのは、廃止されたものがなくて、
国民
及び
行政
からなくてはならない信頼される
制度
として
発展
、
定着
をしてきている。例えば
イギリス
を見てみますと、御
承知
のように、七九年から九五年、
イギリス保守党政権
があったんですが、この
保守党政権
においては非常にラジカルな
行政改革
が行われました。
ニュージーランド
でも、非常に過激といいますか、大きな
行政改革
が行われましたけれども、この
オンブズマン制度
は全く
行政改革
の
対象
にならなくて、ますます重要なものとして位置づけられて拡充をされてきているということで、
一つ
はそういうように信頼される
制度
として
世界
に
定着
、
発展
をしてきているということであります。 それから第二点は、
世界
に普及している
オンブズマン
の多くは、
議会
に置く
立法オンブズマン
である。これを
国会オンブズマン
とか
議会オンブズマン
とか言いますけれども、
議会
が
任命
した
オンブズマン
を私は
本当
の
意味
での
オンブズマン
なんだと。
行政府
から
独立
して
中立的立場
で
調査
を行う
権限
が与えられているということであります。これを
国会オンブズマン
とか
議会オンブズマン
とか言うわけです。
オンブズマン
の
タイプ
につきましては、
資料
がありますけれども、
衆憲資料
四十二号の七ページを参照していただきますと、どういう
タイプ
の
オンブズマン
があるかということを、ここに東北学院大学の
佐藤教授
がまとめられた類型を
参考
にさせていただきたいと思います。 まず、
公的オンブズマン
というのは、
国政オンブズマン
とそれから
地方オンブズマン
と
国際オンブズマン
というように分けられる。
国政オンブズマン
は、
議会型オンブズマン
、
議会
が
任命
する
オンブズマン
と、
行政府型オンブズマン
、
行政
がみずから監察し、みずから統制していこうというのが
行政府型オンブズマン
。
地方オンブズマン
は、同様に
議会型オンブズマン
と
行政府型オンブズマン
。それから
国際オンブズマン
というのは、例えば
EU
の
欧州議会
が
任命
するようなものを
国際オンブズマン
と言うと。 その下に
私的オンブズマン
として
市民オンブズマン
というのが類型化されておりますけれども、私は、この
市民オンブズマン
というのは
オンブズマン
に類型化すべきではないという
意見
を持っております。
世界
的に一般的には、
公的オンブズマン
と
民間オンブズマン
と言う場合は、その
民間オンブズマン
には、例えば
イギリス
の場合は
住宅オンブズマン
とか
銀行オンブズマン
とかそういうものを言いますし、
ニュージーランド
では
銀行オンブズマン
とかいうように、そういうのを
民間オンブズマン
と言っているということで、
日本
で言われるいわゆる
市民オンブズマン
は私は
オンブズマン
のカテゴリーに入れるべきではないというように思っております。 それから、同じ文献の次のページに「
管轄対象
による分類」ということで、これは、例えば
議会オンブズマン
は
行政全般
に対して
調査
をするわけでございますけれども、
特殊オンブズマン
とか、私は
特別オンブズマン
と言っておりますけれども、
ノルウェー
の
子どもオンブズマン
とか、あるいは
スウェーデン
に、
報道オンブズマン
とか
消費者オンブズマン
とか
男女差別
の撤廃に関する
オンブズマン
とか、さまざまな
オンブズマン
ができております。
日本
の
地方自治体
におきましても、
人権オンブズマン
とかあるいは
福祉オンブズマン
とか、こういうのが
管轄対象別
の
オンブズマン
であるということであります。それが第二点でございます。 第三点は、
憲法
により
オンブズマン制度
を設ける場合と
法律
により
オンブズマン制度
を設ける場合がある。
スウェーデン
とか
フィンランド
とか
デンマーク
は
憲法
により
オンブズマン制度
を規定しておりまして、最近では、南アフリカとかエルサルバドルとかメキシコ、パラグアイ、コロンビアなどが
憲法
に基づいて
オンブズマン制度
が設けられております。 私の
意見
といたしましては、
憲法
に
オンブズマン
の
設置
を規定することは、
オンブズマン制度
を
憲法
に位置づけることにより高い地位を与え
独立性
を保障しようとするものである、この
意味
で、
憲法
により
オンブズマン制度
の
設置
を明記することは非常に重要である、しかしながら、
憲法
に定めないと
オンブズマン制度
を設けられないことを
意味
するものではなく、
法律
により
オンブズマン制度
を設けることが可能なのは言うまでもない、こういう
意見
を持っております。 第四点といたしまして、五〇年代に入って
オンブズマン制度
が
世界
に注目され
導入
されてきたんでありますけれども、なぜ五〇年代に
世界
が
オンブズマン制度
を必要としたのか、ここをよく考えてみなきゃいけないんではないかなと思います。 私は、三つの理由があると。 第一点は、一九二九年の
世界恐慌
以来見られるようになったビッグガバメント、大きな
政府
、まあ
福祉国家
とか
行政国家
と言いますけれども、大きな
政府現象
を挙げなければいけない。
統治機構
の中でも
国会
とか
議会
とか
内閣
のもとでの
ビューロクラシー
、
官僚機構
があるんですが、
福祉国家
の中において
ビューロクラシー
というのが巨大な力を持つようになってきた。これはもう、
行政組織
にいたしましても公務員の数にいたしましても、あるいは
財政支出
とかさまざまな分野で、
国民
の生活の隅々まで
政府
がサービスを供給するようになってきた。これは
福祉国家現象
と言われておりますけれども、
各国
は、この
福祉国家
に合わせるために、
オンブズマン制度
と、もう
一つ
は
情報公開制度
を
導入
してきたということが
一つ
注目すべき点ではないかなというように思います。 第二点は、第一とも関連をしますけれども、十九
世紀
型の
政治システム
における
伝統的行政統制装置
は、
福祉国家
の時代における大規模な
行政組織
を統制するには
限界
がある。要するに、十九
世紀
型の伝統的な
行政統制
、もう御
承知
のことだと思いますけれども、
立法部門
が意図した
法律
とかそういったものを
行政部門
が実際に実行しているかどうかということを
立法部門
が
監視
、統制する、
司法部
は実施の結果を司法審査するというのが伝統的な
行政装置
だと思いますけれども、一方の
官僚機構
が巨大な力を持つようになってきたということで、相対的に
国会
とか
議会
の
統制装置
というのが低下してきているんではないかなというように私は思います。そういうような
必要性
から、
世界各国
で五〇年代に
導入
をされていった。 第三点は、
福祉国家
において伝統的な
苦情処理制度
が
機能
しなくなってきた。過去においては
裁判所
というのが
市民
の権利を守るとりでだったんですが、この
裁判所
も
弾力性
を失い、手続が非常に厄介である、また非常に時間がかかる、お金もかかるということで、なかなか
市民
が
行政
に対して被害を受けても、これを迅速に解決するということができない、そういう
限界
があるということで、この三点で
世界
に
導入
をされていったということであります。 それから、
レジュメ
に沿って
お話
をしてまいりたいと思いますけれども、次に、
日本
の取り組みについて簡単に
お話
をしておきたいと思います。この四十二号の十二ページを見ていただきますと、「
我が国
における
オンブズマン制度導入
に向けた動き」ということで、簡潔にまとめられておりますので、参照させていただきたいと思います。
我が国
で
オンブズマン制度
が論議をされ始めたのは一九七七年の
ロッキード事件
だということで、ほぼ
世界
で七〇年代にどんどん
導入
されたわけですから、
日本
で議論し始めたのもそんなにおくれて議論されたわけではないと、
研究
はその前から始まっておりますので。この
ロッキード関連
で七九年に
内閣総理大臣
の
私的諮問機関
というのができておりまして、
航空機疑惑問題等防止対策
に関する
協議会
という、その提言の中で、
我が国
の風土に合った
オンブズマン制度
の
あり方
について、
長期的課題
として検討する必要があるという
意見
があったというように明示をされております。 それが
最初
の
きっかけ
だと思いますが、八〇年には旧
行政
管理庁で
オンブズマン制度研究会
というのができた。臨調の
最終答申
で、八三年の三月のことでありますけれども、
オンブズマン制度
の
あり方
について、権威ある
機関
とする必要がある、それから、既存の
制度
では十分に果たし得ない
役割
を担当する必要があるということで、
オンブズマン
的な
機能
を持った
機関
を設けることを検討すべきだというのが臨調の
最終答申
になっております。 その後、八六年に
オンブズマン制度研究会
が
報告書
をまとめておりますが、
政府
におきましては、その後本格的な
オンブズマン制度
の
導入
は行われていない。
国会
におきましては、九七年に
衆議院
の
決算委員会
が
決算行政監視委員会
、参議院の
常任委員会
の再編により
行政監視委員会
というのが設けられたということであります。 よく議論されることでありますけれども、
我が国
においては、
行政相談委員制度
というのがある、これは
類似制度
でございますけれども。これは
日本型オンブズマン
である。全国に五千人、四千八百、その正確な数字は今ここにありませんけれども、五千人に近い
行政相談委員
が
任命
されていますよね。それは、
国民
の足元で
行政
に対する
苦情
を受け付けて相談しているということは、
世界
の中でも非常にユニークな
制度
で、非常に効果が上がっているということは私は見ておりますが、この
日本型オンブズマン
があるということで、
本当
の
意味
での、例えば
国会オンブズマン
がこれに代置できるかというと、それは代置できない。両方とも連携しながら、
国民
の
苦情
とか
行政
に対する不満とかそういうものに対応していく、これは両方とも私は必要なんだろうと思うんですよ。だから、
日本型オンブズマン
があるから
国会オンブズマン
とか
行政府型オンブズマン
が要らないということにはならないというような
意見
を持っております。 それから、
自治体
につきましては、この四十二号の十七ページに
自治体
の状況、それから私の書きました
論文
の九章にずっと細かいことが出ておりますので、参照していただきたいと思います。
自治体
におきましては、九〇年に本格的な
オンブズマン
の
導入
が始まったということで、神奈川県の
川崎
市、私も関係して、
日本
の
現行地方自治制度
の中でどういうものができるかということで、相当知恵を絞ってつくり上げたんですが、
市民オンブズマン
が
任命
をされたというのが本格的な
オンブズマン
が
日本
に
導入
された
最初
だと思います。 その後は、沖縄県とか北海道とか札幌市とか
導入
をされてきておりますが、大体、数えますと、現在四十に近い
制度
が
地方自治体
の中でつくられております。それは
特別オンブズマン
、
介護関係
の
オンブズマン
とか
福祉オンブズマン
とか
人権オンブズマン
とか、そういったものを含めて四十に近い
オンブズマン制度
ができているのではないかなと思っています。 しかしながら、
日本
の場合、
日本
の
自治体
で今つくっている
オンブズマン
は、
行政府型オンブズマン
である。
地方自治法
をいろいろ検討しまして、どうも
議会
に置くのはなかなか
現行制度
では難しいのではないかなということで、市長が
任命
する
附属機関
としての
オンブズマン
をつくろうということで、
日本
の
地方自治体
の
オンブズマン
は
行政府
型の
オンブズマン
であります。 次に、
レジュメ
の第二の
オンブズマン制度
の
特色
と
機能
というところに移ってまいりたいと思います。
特色
といたしましては、私は、五つあるのではないかなと。特に
スウェーデン
型の
オンブズマン
についてこれから
お話
をしたいと思いますけれども、これは本物の
オンブズマン
と私は見ておりますので。五つの
特色
がある。
一つ
は、
オンブズマン
は
執行部
ではなくて
立法部
の
公職者
である。パブリックオフィシャルである。
立法部
に
任命
され、いつでも
議会
とか
国会
にレポートをすることができる。重大な事案については説明する
年次報告書
を
立法部
に提出するということが第一点であります。 第二点は、公平な
調査
官である。政治的にも
立法部
から
独立
をしている。
スウェーデン
の場合、
デンマーク
とか、
憲法
により規定され、その
調査
を開始すれば、
立法者
は干渉しない。それから、伝統的には、すべての有力な政党というのは、ほぼ彼の
任命
に対して同意するということでありまして、党派的な影響で
任命
されれば中立的なことが維持できませんので、超党派で
任命
に同意をする。 第三点は、
裁判所
と違って、決定を取り消したり破棄する
権限
もなく、また、
裁判所
や
行政
に対して直接、実施を強制する
権限
はないということで、
勧告権限
のみが与えられている。これは、私はいろいろな
各国
の
オンブズマン
を見ておりますと、非常に
勧告権限
というのが
意味
がある。ほとんどの勧告された
行政機関
というのはそれに従っている。従わなかったのはまれなケースですね。ほとんど従ってやっているということであります。
オンブズマン
のパワーというのはどこにあるんだろうかというと、まず事実を
調査
し、事実をつかむ
権限
が与えられているということで、広範囲な
調査権限
が与えられております。
スウェーデン
の
オンブズマン
の場合は、まず、これは
スウェーデン
独特で、
裁判所
も
調査
の範囲に入っているんですね。裁判にも
出席
できますし、
行政機関
のいろいろな
会議
にも
出席
をすることができる。これは
出席権
を持っている。 それから、
視察権
ですね。
調査対象
になっているどこの
行政機関
にも
視察
をすることができる。大体、
スウェーデン
の場合は、四十日か五十日、年に
視察
に行っていると言って、私が
オンブズマン
にお会いしたときに話がありましたけれども、出かけていって、ずっと、
刑務所
とかいろいろなところを見ながら、そこで
服役者
と話をしながら、そこで
苦情
が訴えられるとか、そういう形で
視察権
が与えられている。 それから、
調査権
ですね。
資料提出権
、
閲覧権
が与えられておりまして、
日本
で
川崎
で
導入
する場合にいろいろありまして、プライバシーに関する、カルテとかそういったものも
オンブズマン
が見ることができるかどうかという議論がありまして、私は、
オンブズマン
は、ニュートラルであるために客観的に
調査
するには、あらゆる情報が見られるようにしなければ客観的に
調査
はできないわけだから当然であるということを言っておりますけれども、そういうように、
資料
を閲覧し、
資料
を要求する権利が与えられております。そういう
意味
で、客観的な
調査
ができるということであります。 それから、影響はどういうところにあるかというと、
調査
の
客観性
、能力、卓越した知識、それから
オンブズマン
の威信、こういうものに基づいている。
調査
結果が、勧告をして、それでも従わない場合には、最終的には
立法部
と
報道機関
、そういうものに、
立法部
に
報告
をし、
報道機関
に
パブリシティー
をやる。
パブリシティー
までやれば従わない
行政機関
はないわけですが、そういうように、公表するというのが有力な手段になっております。 第四点といたしましては、自分のイニシアチブで
調査
する
権限
を持っている。これは
職権調査
と言っておりますけれども、
スウェーデン
の場合、一八一〇年から生まれまして、大体、一八〇〇年代というのはほとんど
苦情
はないんですね。
年間
七十件ぐらいだったと言っています。したがって、
オンブズマン
が
視察
に出かけていって、
刑務所
とかそういうところに行って、それでちょっときな臭いなと思えば
職権調査
で調べて、それを取り上げていってやる、そういうことが行われていたんですが、これは
行政統制
に非常に有効に働くということで、
我が国
のほとんどの
地方自治体
でも
職権調査
というのを、
川崎
でも私は入れるようにいたしましたけれども、これは非常に重要なことだと思います。 第五点といたしましては、
苦情
の
処理
に当たっては、
裁判所
とは異なりまして、非常に直接的でインフォーマルで、しかも迅速で無料であるというところが裁判と違う点だろうと思いますね。したがって、無料ですから、私は
ハワイ
へ
調査
しに行ってきましたけれども、
ハワイ
は
ハワイ
島とかいろいろありますけれども、
ハワイ
の州民は、直接コレクトコールで
オンブズマン事務所
に電話して、電話で受け付けて
処理
をするということで、非常に簡易、迅速に解決をするというのが第五の
特色
であります。 それから、
オンブズマン
の
機能
と
役割
でございますけれども、今まで
お話
ししたところをまとめますと、
オンブズマン
には、
一つ
は、
行政
をコントロールする
役割
、
機能
がある。
行政監視
、
行政統制
というのが
一つ
重要な
役割
だと思いますね。第二点は、
国民
からの
苦情
を受理してそれを迅速に
処理
するという
苦情処理機能
というのがある。第三点は、
行政手続
の欠陥や法令、規則に問題があれば、それらの改善を勧告する
機能
がある。 では、
行政改革
と
オンブズマン
の
改善機能
というのはどこが違うんだという点でありますけれども、
オンブズマン
の場合は、あらゆる
行政改革
について勧告したり提言するのではなくて、
調査
した結果、そこに欠陥があって、それを続けていけばまた
国民
が被害をこうむるおそれがある、そういった場合には、規則とか手続の改善を求める、勧告をする、
意見
表明をする、こういうような
意味
での
行政
改善の
役割
であります。 以上が
オンブズマン制度
の
特色
と
機能
でありますけれども、最後に、
オンブズマン制度導入
の
必要性
と課題というところを、私の
論文
の第九章に書いております。 二百九十八ページから三百一ページ、私の
論文
の方を見ていただきますと、
我が国
の
オンブズマン制度導入
には、先ほど申し上げましたように、本格的な
オンブズマン制度
は
我が国
で現在
導入
をされていない、国のレベルでですね。西欧におきましては、六〇年代、七〇年代でほとんどのところが
導入
をされたということでありますから、率直に申し上げまして、非常に立ちおくれている。
情報公開制度
も、アメリカで情報自由法ができたのは一九六六年ですから、
日本
で、国でできたのは、九九年に可決、成立したのですが、これも三十何
年間
おくれているということで、
オンブズマン制度
も、西欧で六〇年代、七〇年代に必要とした、ビッグガバメントに対する対応、
行政統制
に対する拡充、それから
苦情処理制度
、この三つの
必要性
というのは、
日本
でも六〇年代に生じていた。したがって、現在においては
必要性
がますます増大をしているという
意見
を私は持っております。 そこの私の、
必要性
の理由の第三のところに、
行政
事件訴訟とか
行政
不服審査、
苦情
相談、
行政
監察、現行の
行政
救済
制度
には幾つかの制約があるということを書いております。
オンブズマン制度研究会
も既存の
制度
を評価、検討しておりまして、
行政
事件訴訟
制度
については、「
国民
の権利救済の手段として重要な
役割
を果たし、
国民
からみていわば権利救済の最後のとりでともいうべき存在となっている」、こういうように評価しておりますが、この
制度
には、訴えを提起するに当たっての厳格なスタンディング、原告適格、訴状による訴え、出訴期間などについては処分または採決があったことを知った日から三カ月以内に提起しなければならないなど、それから審理期間の長期化などの課題がある、こういう指摘がされております。
行政相談委員制度
については、先ほど申し上げましたのでここでは繰り返しませんけれども、そういう
必要性
があるということ。 それから、可能性については一体どうなんだろうか。これは、
憲法
に設けるのは、とにかく重要な
制度
でありますから、位置づけるということは非常に重要なことで、
憲法
に位置づけることには私は非常に賛成でありますけれども、それでは
憲法
の改正をしなきゃできないかというと、
法律
によって
オンブズマン制度
を私は
日本
で
導入
することができると。これは、
デンマーク
、
イギリス
、
議院内閣制
をとっている国でありますから、
法律
で
制度
を
導入
することができるということは言うまでもないことであります。
導入
の課題がどういうところにあるかといいますと、
レジュメ
に一から九つまで書いておりますが、これを全部やっておりますと時間がとてもいけませんので、幾つかのところをかいつまんで
お話
をしておきたいと思います。 重要な点は、
議会型オンブズマン
設置
か
行政府型オンブズマン
の
設置
かということだろうと思います。
議会型オンブズマン
の場合は、
国民
の代表により構成される
国会
に
責任
を負い、
国会
に所属する
公職者
である。運用上においては、
立法部
から
独立
した中立的な地位を確保する。
行政府
型の
オンブズマン
は、
行政
の長、例えば、国の場合でいうと
内閣総理大臣
、都道府県とか市町村の場合でいうと都道府県知事とか市町村長が
任命
するとされる公職である。ということで、
議会型オンブズマン
も
行政府型オンブズマン
も、いずれも
日本
で
設置
することが可能である。 国でつくる場合に、
議会
型と
行政府
型の利点とマイナスというのがある。両者を慎重に比較する必要があると思いますが、
行政
の長が
任命
する
行政府型オンブズマン
の
制度
は、これはあくまでも内部統制である。要するに、みずから自己コントロールしましょう、そこに
オンブズマン
を置いて
行政
を
監視
したり
国民
の
苦情
を受けるという、非常に内部統制である。
行政府
や政治的影響から
独立
した地位を確保することに問題があるのではないか。一方では、
行政
の長の
権限
に依拠することにより、多くの案件を迅速かつ簡易、安価に
処理
することができるなどの長所を持っている。 一方、
議会
型の場合は、
議会
が
任命
する
制度
でございますから、これは外部統制である。
行政府
から
独立
した中立的な立場から
行政監視
機能
を公正に実施することができるという長所があります。ここにも幾つか問題がありまして、
オンブズマン
の
任命
に当たって、政党や政治的影響をいかに排除するかという課題がある。あるいは、
オンブズマン
事務局の
独立性
を確保し、
調査
能力のあるスタッフ
組織
をどのように整備するかという問題がある。 いずれにいたしましても、国のレベルで
オンブズマン制度
を
導入
する場合は、
議会型オンブズマン
も
行政府型オンブズマン
も、いずれも
設置
可能であるということであります。 いずれが適切であるかということでありますけれども、私は、
行政府型オンブズマン
よりも
議会
型の方が
行政監視
の
機能
はより有効に働き、
国会
に置く
オンブズマン
を
制度
化することに賛成であります。現行
憲法
の改正をしなくても、現行
憲法
の中で
国会
に置く
オンブズマン制度
をつくることができるという
意見
を持っております。 これにつきましては、いろいろこの
資料
の中にも出ておりますけれども、肯定的な
意見
と否定的な
意見
が学界などでも議論をされてきております。
憲法
を改正しなければ
オンブズマン制度
はできないということは、
苦情
処理
というのは
内閣
に付与されている
行政
権にかかわるものであるということで、改正しなければできないという
意見
を持っている学者の先生もいらっしゃいます。 私は、
国会
には、自分たち
国会
が意図したものを
内閣
が実行しているかどうかを
監視
する任務があると。
行政統制
は、
国民
の代表から構成される
国会
の重要な任務の
一つ
である。この
国会
による
行政統制
を強化する手段として、さらに、
国民
が
行政機関
からこうむった不利益を救済する護民官として
機能
する中立的な第三者
機関
である
立法オンブズマン
の方がより適している。
国民
は、
国会
請願権というのがある、
憲法
十六条にありますようにね。だから、この請願権に基づいて、
憲法
の十六条を実定法で具体化する
意味
でも、
国会
に設けられた
オンブズマン
が
国民
の
苦情
を受け付けて
処理
をするということは
憲法
にかなっているというように
意見
を持っております。だから、
苦情
処理
は
行政
権に属するということじゃなくて、ちゃんと
憲法
の十六条に基づいて
処理
することができるんだということであります。 したがいまして、
内閣
は
行政
権の行使について
国会
に対して連帯して
責任
を負い、
立法
の意図に沿い
内閣
が実施しているか否かを
監視
することは
国会
の重要な
役割
であり、現行
憲法
のもとで、
国会オンブズマン
の
制度
化は可能であり支障はないというような
意見
を持っております。 そのほかの課題といたしましては、
制度
の名称をどうするかとか
任命
の手続、資格要件とか人数をどうするかとかいろいろ細かい課題がございますけれども、時間が少し過ぎておりますので、私の陳述をこのぐらいで終わりにいたしたいと思います。 どうもありがとうございました。(拍手)
木下厚
3
○
木下
小
委員長
以上で
参考人
の御
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
木下厚
4
○
木下
小
委員長
これより
参考人
に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。
杉浦正健
5
○杉浦小
委員
自由民主党の杉浦でございます。
宇都宮参考人
、きょうは
本当
に御苦労さまでございました。大変貴重な御
意見
をいただきまして、ありがとうございます。 私、弁護士をしておりまして、昭和六十一年に
国会
へ出させていただいたんですが、その前、弁護士会にいるときに、この
オンブズマン制度
について、弁護士会の
委員
会で真剣に検討した時期がございました。この
資料
四十二号の十二ページを見ておりますと、
ロッキード事件
が起こって、行管に
オンブズマン制度研究会
を
設置
した昭和五十五年ころじゃないかと思います。そのころ全国各地の弁護士会で取り上げて検討したんじゃないかと思います、正確には覚えておりませんが。それで、そのときに、
オンブズマン
というへんてこりんな名前で、何だこれはというようなことから議論が始まったように覚えております。 会員の中に、IBA、国際法曹協会、弁護士の国際
組織
ですね、その理事をやっておられる方がいて、大変熱心に、
日本
に
導入
すべきだ、先生御指摘のように、もう
各国
では
導入
しているんだから
日本
も
導入
する時期に来ておるというようなことを力説されておったわけですが、一般会員といいますかメンバーは冷ややかでして、今私は覚えておりませんが、司法も
国民
の
苦情
、
行政
に対するチェック、その一翼を担うんであって、我々はまず自分たちの持っている
機能
を点検して改革することから始めるのが必要だというような結論に落ちついたように思います、あのときは。 それ以来、私も
オンブズマン
なる言葉からはほとんど無縁の仕事をし、国政に入ってもそうだったんですが、きょう改めて先生からお伺いして、
世界
的にも一九八〇年、昭和五十五年以来えらい広がりを見せたようですし、また
我が国
でも、先生が大変御努力なさって
川崎
につくるとか、地方にたくさんの
オンブズマン
的、的といいますか
組織
が立ち上がっているという
お話
を伺いまして、初めて知りまして、
我が国
にも根づき始めたのかなというふうに思いました。 きのうからいろんな
資料
を拝見しておりまして、
参考人
が
オンブズマン制度
の普及に大変な御貢献をなさっておるということを知りまして、改めて
参考人
に敬意を表する次第でございます。 私ども
国会
議員は与野党問わず国政
調査権
がございまして、党としても厳しく
行政
をチェックしておりますし、政策の立案から実行に至るまで、我々は
責任
政党ですから、自民党の各部会なんかでも相当厳しくやり合ったり、
国会
の場でもやるわけです。
情報公開制度
が非常に進みましたから、各役所とも、もう非常に
情報
公開を進めておる。インターネットにホームページなんか開いて、余り公開し過ぎるものだから、私どもが突き上げられるぐらい。もう
市民
は読んでいますから、インターネットにこんなことが載っているけれども知っておるかとか言われて、いや、知りませんなんて恥をかくこともあるんですけれども、
国民
の
行政
に対する
情報
その他のアクセスは、もう昔の比ではないぐらいあるんですね。 私どもも
権限
を持っておる。個人の議員としても党としても実行しておりまして、果たしてこの
オンブズマン制度
が、
国会
に置くことが必要なのかどうかという気持ちがないわけじゃございません。ないわけじゃありません。ただ、拝見しておると、我が
衆議院
にも、
決算行政監視委員会
に改組されたということでございます、私も、
決算委員会
があったのは知っていますが、こんなふうに変わったのはちょっと知りませんでしたが、もし先生がおっしゃったような
オンブズマン
を置くとすれば、この
委員
会と密接な関係において置くことがいいんじゃないかと思うんですね。 この
調査
会には事務局があって、物すごく優秀です、
資料
作成そのほか。だから、あの
決算委員会
にも、事務局じゃなくて、
委員
部とそれから
調査
室というのがあると思うんですね。各
委員
会とも非常に優秀な人材を置いているんですが、
本当
に十分に活用しているかどうか疑わしい面があるんです、
委員
をやっていまして。そのあたりでうまく仕組んだらどうかという感じもするんですが。 先生は
国会
型の
オンブズマン
がいいとおっしゃるんですけれども、その
オンブズマン
的
制度
をこの
決算委員会
との関係でうまく仕組めないかどうか、先生の御
意見
をお伺いしたいと思います。
宇都宮深志
6
○
宇都宮参考人
今の御質問に対しまして、
国会
に、
衆議院
に
決算行政監視委員会
、参議院にも
行政監視委員会
が設けられていますですよね。
国民
から
苦情
を受け付けて、それから
行政監視
も行われているということで、一歩前進だと思うんですよ。でも、いろんな課題があるんではないかなと。 では、
国民
がこういう
委員
会を十分周知しているかというと、なかなか、知らないというケースがあるんではないかなと。その
委員
会に議員の皆さん方が何十名と今参加されておりますけれども、専門的にそれをやっているわけではないですよね。 だから、
オンブズマン
の非常に重要な点は、私が懇意にしている
ハワイ
のドイさんという日系の
オンブズマン
が十何
年間
も初代からやっておりまして、もう亡くなられましたけれども、そのドイさんが私に言われるのは、
オンブズマン
の重要性というのは、専門家として四六時中
行政機関
をウオッチして見ているんだ、そこが、
行政機関
の方が非常に緊張して仕事をするようになる、そこにミスがなくなるんだということを言われておりました。 それから、やはり、
オンブズマン
が効果があるには、
国民
がよく知っている、周知しているということが必要だと思うんですね。
スウェーデン
の
オンブズマン
というのは、省略してJO、JOと言っていますけれども、四人いますが、
国民
はだれでも知っているんですね。したがって、
刑務所
の方へ行きましたら、JOが来たといったら、もうみんなすぐ何か言おうというようにして、
国民
から周知されているということで、気軽に
オンブズマン
に訴えられるということと、非常に可視的である。
オンブズマン
は可視的でなくちゃ。可視的というのはビジブルであるということなんですが。 そういうようなことで、この
委員
会と
国会
に置く
オンブズマン
とは、連携しながらやっていけるんじゃないか。私は、特に国政
調査権
の関係でいきますと、六十二条の両院に設けられる国政
調査権
というのは、
委員
会の方ではそれを十分活用できると思いますし、
オンブズマン
の
調査権
と調整しながら
国民
の
権利
利益を救済することができるんではないかな、連携できるんではないかな、そういうように思います。 以上です。
杉浦正健
7
○杉浦小
委員
終わります。
木下厚
8
○
木下
小
委員長
次に、鹿野道彦君。
鹿野道彦
9
○鹿野小
委員
きょうは、
参考人
、
宇都宮
先生からいろいろ
お話
を賜りまして、ありがとうございました。 それで、
一つ
お聞きいたします。 先生は、この
オンブズマン制度
というのは、
憲法
上規定をすることもいいし、
法律
として
設置
することもできる、こういうふうなお考えでございますけれども、私個人といたしましては、むしろ、
オンブズマン制度
というのは、やはり
国民
の目線というふうなものを非常に大事にしなきゃならぬ、その
国民
の目線に立った権威というものを保持するというふうなことからするならば、やっぱり
憲法
上きちっと根拠規定した方がいいのではないか、こういうふうな考え方に立つわけでございますけれども、先生からもう一度、
憲法
上規定するというふうなことに対してのメリットと、何かデメリットがあるのかというようなことについて、
お話
をお伺いさせていただきたいと思います。
宇都宮深志
10
○
宇都宮参考人
私の
意見
としては、
オンブズマン制度
というのは、今の御質問にありましたように、
国民
の目線でやるということが非常に大切でありますし、
国民
に可視的である、そこから、非常に威信というのが重要だというように思っておりますので、
オンブズマン制度
というのを
憲法
上根拠に置くということは賛成であります。 それで、メリットとデメリットがあるか。メリットというのは、
憲法
上重要な
制度
を位置づけるという点は、それはやはり、重要な
制度
であるということで、非常にメリットが大きい。デメリットというのは、それほどないんではないかなと。
憲法
の根拠を受けて
法律
でちゃんとした細かい
制度
をつくっていくということがあるべき姿かなというように思いますけれども、そうかといって、
憲法
を改正しないとできないという
意見
ではなくて、現在の現行
憲法
の中で十分
法律
で
オンブズマン制度
をつくることができるという
意見
を持っております。 以上でございます。
鹿野道彦
11
○鹿野小
委員
先生からいたしますと、もう
憲法
上規定しなければならないということならばいつになるかわからないから、そういう
意味
では
法律
としてもできるんだ、わかりやすく言えばそういうお考えだということを認識させていただきましたけれども、
各国
の例を見ますと、
憲法
上規定している国が多いというふうなことからいたしまして、この
制度
そのものは、やっぱり
憲法
上の規定というふうなことが望ましいんではないかな、こんな思いを改めて申し上げたいと思います。 それからもう一点は、
行政相談委員
の人たちが長い間積み上げてこられて、先生の
お話
によりますと、
日本型オンブズマン
、こういうふうなことで
役割
を果たしてきておるわけでございますけれども、
オンブズマン制度
と
行政
相談
制度
というふうなものの、いわゆる
役割
というんでしょうか、
行政相談委員
の人たちでは果たし得ない
役割
というふうなものが果たしてどういうふうなところになってくるのかなと。いわゆる
役割
分担というふうなことになるんでしょうか。この辺について先生のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
宇都宮深志
12
○
宇都宮参考人
行政相談委員制度
と例えば
国会
に置く
オンブズマン制度
との関係でございますけれども、
行政相談委員
というのは全国に五千人近く
任命
されて重要な
役割
を果たしていると私は思っていますが、
国会
に置く
オンブズマン制度
、
行政
苦情
受け付けをやりますけれども、非常に専門的な能力のある
組織
になると思うんですね。
イギリス
あたりでは
調査
能力、
イギリス
の
オンブズマン制度
というのはロールスロイス的
調査
能力を持っている。最高級車ですけれども、最高級車と言えるぐらいの
調査
能力のある
組織
を持っているということで、専門的能力と知識を蓄えているということです。 現代社会というのは、さまざまな
行政組織
がさまざまな
行為
をやっておるわけですけれども、非常に専門的な能力とか知識が必要になってきているということで、法の解釈とかそういう能力も必要でありますから、非常に困難な
苦情
とかそういったものはやはり
国会オンブズマン
が対応できるということで、両者は、屋上屋を架するということではなくて、連携しながらやれる。一方は、
行政相談委員制度
というのは内部統制でありますから、それは自己管理をやるということで、
政府
の方が、
行政機関
の方がじっくりやればいい。連携しながら、より拡充した
国民
の
権利
利益というのを守る
制度
ができ上がっていくのではないかな、こういうように思っております。
鹿野道彦
13
○鹿野小
委員
地方自治体
は
行政府型オンブズマン
、こういうふうなことでございますけれども、先生から、
議会型オンブズマン
は今の現行法からは難しい、こういうような
お話
でございましたけれども、実質的に
議会
に事務局を置くことができる、こういうふうなことになっておりまして、総務省の判断は、
議会
に事務局を置くことができるから事務局だけなんだ、こういうふうな解釈です。しかし、私は、もっと幅広く、
議会
にも置くことができるんじゃないか、こういうふうな解釈もできるんじゃないかと思うのでございますけれども、この辺のところ、先生、
川崎
市初め
地方自治体
に長い間御関係なされてきた先生として、お考えをお聞かせいただければと思います。
宇都宮深志
14
○
宇都宮参考人
川崎
で
制度
をつくる場合に、いろいろな議論がありまして、現行法上は事務局を置くことができることになっているんだけれども、解釈上は
議会
に
オンブズマン
を置くこともできるのではないか、そういう解釈もとれるということで、私は置けるんじゃないかという
意見
を持っているんですが、ただ、早くその
制度
を立ち上げてやるということになると、やはり
附属機関
として立ち上げる方が無難ではないかなという
オンブズマン制度研究会
の
意見
が大半でありまして、そういう結果になったわけでございます。 以上です。
鹿野道彦
15
○鹿野小
委員
簡潔に先生のお考えをお聞かせいただきたいと思いますが、
日本
の国に、
国民
性も含めて、
オンブズマン制度
というのはなじむんでしょうか、合うんでしょうか。この辺のところのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
宇都宮深志
16
○
宇都宮参考人
私は、
日本
の風土に
オンブズマン制度
というのは非常になじむと思います。 といいますのは、
川崎
で初代
オンブズマン
をやられていました弁護士の先生がいらっしゃいますけれども、その弁護士の先生が私におっしゃるには、
オンブズマン
というのは
日本
の風土に非常に合っている、というのは、
苦情
を訴える人と面談をし、
行政
側とも面談をして、非常に、説得をしながら、対話をしながら解決をしていく、そういう
意味
では非常に
日本
の風土に合っているのではないかと。私はそういう
意見
に賛成でありまして、合っていると思っています。
鹿野道彦
17
○鹿野小
委員
ありがとうございました。
木下厚
18
○
木下
小
委員長
次に、
福島豊
君。
福島豊
19
○
福島
小
委員
宇都宮
先生には、本日、貴重な
お話
をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。 私は、個人的には、
オンブズマン制度
についてきちっと
憲法
の中で位置づけるという御
意見
には賛成であります。それはそれとしまして、今のこの
日本
の政治
状況
、そしてまた国の
あり方
についてどう考えるのか、このあたりのことを議論したいわけであります。
日本
の
行政
機構というのは、これはよく指摘されておりますのは、第二次大戦で
日本
は敗戦をしたわけですけれども、国のシステムとして、
行政
機構というのは戦前と同じままで残った唯一のものであるというふうに指摘をされているわけであります。 したがって、
日本
の
行政
機構というのは、
国民
主権のもとで
国民
に奉仕するというシステムではなくて、むしろ
官僚機構
が
国民
を統治するというような意識が、私は、
官僚機構
の中にも戦後しばらくあったというふうに思いますし、今でもその残滓が残っているのではないか、そんなような気もいたしております。ですから、
行政相談委員制度
というのは、ある
意味
では、みずからが管理するところの
国民
の
苦情
を聞いてあげるというような仕組みに近いのではないかなという印象もあるわけです。 もう
一つ
は、
日本
の特異的なところは、三権分立でありますが、
行政府
と
立法
府というものが判然としないというところに
一つ
の特徴がある。先生の先ほどの御指摘は、
行政
機構は非常に肥大化をした、その中で、
立法
府は、
行政
機構というもの、
行政府
を十分
監視
することができないので、一定のそういう
オンブズマン
のような
制度
というものが
立法
府をむしろ助けるものとして必要なんだ、出てきたんだという指摘であったと思います。しかしながら、
日本
では、確かに
行政
機構は肥大化したわけですけれども、一体化しておりますから、そうした
必要性
を感じなかったということもあるのではないかというふうに思うわけであります。 例えば今、年金の話で問題になっておりますのは、積立金でグリーンピアをつくった、
国会
で大変追及されておる。与党におきましても、この積立金の問題というのをどうするのかということで昨日一定の方向を示しました。グリーンピアをつくった当時というのは、なぜこういうものができたのかというのは
法律
にも書いてありませんし、いつの間にかするするとできてしまった、こんな話のようですね、聞くところによりますと。ですから、そういうことを考えますと、
立法
府が
行政府
を
監視
するという仕組みとして当然要請されたんだと思います。しかしながら、そういうふうにはならなかったので、グリーンピアのような問題も起こったんだというふうに率直に言った方がいいんじゃないかというふうに私は思っております。 こうした
日本
の国の政治の
あり方
、その歴史、そういうことを踏まえて、
オンブズマン制度
というものは
日本
に果たして受け入れられるかどうか、これは批判的な
意味
合いで言っているわけですけれども、先生はどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
宇都宮深志
20
○
宇都宮参考人
一体化とかいろいろ問題を指摘されましたけれども、そういう問題があるからこそ、私は、
独立
した
権限
を持っている
オンブズマン
制、
オンブズマン
が客観的に
調査
をしていくという
意味
で非常に効果があるのではないかなというように思います。
福島豊
21
○
福島
小
委員
私は、
議会
型の
オンブズマン
というのがいいんだろうというふうに思うんですね。思うんですが、実際には、先ほども、党派性というものをどう超越して中立的なものをつくるのか、これはなかなか難しい、こういう御指摘だったと思います。私もそうだろうなと。現実問題として、そういうものをつくると、これは与野党の闘いの政争の具になってしまうんではないかというような気が痛切にいたしますが、先生はどのようにお考えでしょうか。
宇都宮深志
22
○
宇都宮参考人
これは
日本
だけではないと思いますけれども、
議院内閣制
を採用している
デンマーク
とか
イギリス
においても、
イギリス
は女王が
任命
しておりますが、やはり政治的
影響
力というのを
任命
に当たっては排除するということが基本だと思うんですね、超党派で
任命
するということですから。 例えば、
オンブズマン
になる資格というのは、一体どういう人が適任なのかという問題も含めまして、一般的には、人物高潔で
行政
に通じている人、あるいは
スウェーデン
とか
デンマーク
におきましては、
デンマーク
は法学の教育を受けているとかいろいろ資格の要件があるんですが、そういう
意味
では、やはり
国民
によく知られていて、人物的にも高潔である。
スウェーデン
あたりは最高
裁判
事と同等の人たちが
任命
されておりますけれども、そういう人が
オンブズマン
の候補に挙がってくれば、
国会
においても超党派で
任命
をされていくんではないかな、そういうように期待をしております。
福島豊
23
○
福島
小
委員
最高裁の方がそれだけ信頼を得られるかどうかというのも、よくわからぬところが個人的にはありますけれども……。 前提として、
オンブズマン制度
がうまく国において
機能
するというのは、私は、
国民
のセルフガバナンスの意識というのは非常に大切だと。自分自身が自分の国を治める、
国民
主権というのは、せんじ詰めて言えばそういうことだと私は思うんですけれども、
日本
の
国民
の意識は果たして、これは、こんなことを言ったら
国民
に対して非常に失礼な話になってしまうわけでございますけれども、どうなんだろうかと。 この点については、先生、いかがお考えですか。
宇都宮深志
24
○
宇都宮参考人
国民
の意識につきましては、私は、主権者としての意識というのは非常に高まってきているというように思います。 といいますのは、西欧でも議論されておりますけれども、
イギリス
においては、ロンドン大学で、ギデンズというブレアのブレーンの一人なんですが、最近は、よく議論しているのは、民主主義の深化ということを言っているんですね。民主主義の民主主義と言われておりますけれども、そういう
意味
で、今後、
我が国
においては
市民
社会の成熟化という問題もありまして、その中において
国民
なり
市民
がどういうような
役割
を果たしていくのか。そういう動きの中で、さまざまな活動が芽生えてきておりまして、それはやはり意識といいますか、政治というのは、みずから政治に参加して、あるいは
行政
が担っている点も
市民
が担っていくんだ、こういうような意識が高まってきておりますので、民主主義の
発展
にとって非常に、そういう
意味
では、積極的に
市民
の意識というのは高まっている、こういうように考えております。
福島豊
25
○
福島
小
委員
これからの十年ぐらいというのは、私は
国民
にとっても大変だと思うんですね。例えば、財政再建をしようと思えば増税が必要でありますし、社会保障
制度
の改革というものも極めて厳しいものとなるかもしれない。そういう中で、
国民
にとって、
政府
が信頼されて改革を行うためにも、こういった
オンブズマン
のようなものが同時に存在した方がむしろ私はいいんだろうというふうに思っていますけれども、この点について、最後に先生に御
意見
をお聞きしたいと思います。
宇都宮深志
26
○
宇都宮参考人
私も同様に、やはりビッグガバメント、そういう大きい
行政国家
の時代でありますから、そのうちの必須の
一つ
の重要な
制度
として、二十一
世紀
において
我が国
が、非常におくれておりますけれども、
オンブズマン制度
を非常に重要な
制度
として位置づけて、これを設けていくことは重要なことでありますし、ぜひその辺のところを御検討いただきたいな、こういうように思っております。
福島豊
27
○
福島
小
委員
ありがとうございました。
木下厚
28
○
木下
小
委員長
次に、山口富男君。
山口富男
29
○山口(富)小
委員
日本
共産党の山口富男です。 私どもも、この
オンブズマン制度
については、一九七〇年代から一貫して
導入
を提案してきた党なんです。十年ほど前には、
行政監視
院の法案もつくりまして、やはり
国会
のもとに
独立
の
機関
としてこういう
オンブズマン制度
の機構を設けるべきだという提案をいたしました。 それで、これについては、
一つ
は、国政の最高
機関
としての
国会
としての
行政
監督権や六十二条の国政
調査権
もありますし、それから、きょう
参考人
が指摘されましたように、
国民
の
苦情
や請願という
意見
の表明からして十六条にもかかわるという
お話
だったんですけれども、
憲法
論上の
オンブズマン制度
の位置づけとしては、そういう
国会
の国政
調査権
という面と、それから
国民
の十六条にかかわる面、そういう形で包み込まれているというふうに考えてよろしいんでしょうか。
宇都宮深志
30
○
宇都宮参考人
国会
でつくる場合の現行法上での根拠としては、よく議論されているのは、
苦情
処理
というのは
内閣
に付与されている
行政
権に属するんだということで、
憲法
を改正しなきゃできないという議論があるんですが、私は、
苦情
処理
というのは、十六条の請願権で、
国会
で
国民
の
苦情
を受け付けて
処理
するということは、
憲法
に認められていることであると。 それから、国政
調査権
との関係で、六十二条の関係でありますけれども、これについてもこの
資料
の中でも取り上げられておりますが、要するに、
国会
というのは
行政
監督権がある。
行政
監督権、もちろんあるんですが、私は、もう少し広く、
行政監視
権ということを言っているんです。
国会
には
行政監視
権、
権利
があると同時に
責任
と義務があるんだろうと思うんですが、その
行政監視
権の中に、
内閣
に対する
行政
監督権というのが入っている。 それから、個々の
行政機関
の
行為
あるいは
行政機関
の
行為
の結果、ここにまで
行政
監督権というのは及ばないんじゃないかなという議論がこの中にもされておりますけれども、私は、広い
意味
での
行政監視
権というのは、
内閣
に対する全体的な
行政
監督権と合わせて、
国会
には、個々の
行政機関
、国土交通省の
行政
行為
とか、それぞれ、公務員の
行政
行為
の結果とか、こういう個々の
行政
の
行為
についても、
国会
というのは、当然、
監視
権の中にそういうものも入るんだということであります。 国政
調査権
というのは両院に設けられておりますけれども、これと
オンブズマン
の
調査権
というのは、
両方
とも有力な
調査
をする手段になりますので、矛盾するものではなくて、両者を連携しながら、
国民
の
権利
利益を守るために使える
一つ
の有力な道具である、こういうように考えております。
山口富男
31
○山口(富)小
委員
私も、
憲法
改正の必要はなくて、おっしゃるように
憲法
論上の位置づけを持っているし、かえって、
憲法
の定めからいくと、この
機能
をもっと強めなきゃいけない、具体化しなきゃいけないという
意見
を持っております。 さて、もう一点お尋ねしたいんですが、先ほど、
日本
の場合、立ちおくれがあったという指摘がありました。それで、事務局の
資料
で、一九七〇年代後半から八〇年代以降の
オンブズマン制度導入
に向けた動きの中で、十二ページから十三ページですけれども、特に
オンブズマン制度研究会
報告
の問題なんですが、これを見る限り、
行政府
のもとに置かれるという点でいうと、私は
独立性
の問題で疑問を感じるんですが、立ちおくれという認識を
参考人
はお持ちになっているわけですけれども、少し、この
研究
会での
報告
の到達点についてどういう評価をお持ちなのか、示していただきたいと思うんです。
宇都宮深志
32
○
宇都宮参考人
立ちおくれということを申し上げましたのは、先進主要国は五〇年代から
導入
が始まって、七〇年代、八〇年代でほとんどの国がこれを
導入
してきている、それから三十年ぐらいたっても
日本
では国のレベルで本格的な
オンブズマン制度
がまだ
導入
をされていないということで、かなり立ちおくれている。これは、
情報公開制度
も同じように三十年ぐらいおくれてできたんですが、これはできたんですから評価はしなきゃいけないと思いますが。そういうことで立ちおくれというのを申し上げたんですが、立ちおくれの中で、いろいろ議論がなされると思いますけれども、これは政権の問題とかいろいろなことがあっておくれたんじゃないかなと思いますけれども。
山口富男
33
○山口(富)小
委員
八〇年代の
オンブズマン制度研究会
報告
についての評価について。
宇都宮深志
34
○
宇都宮参考人
これは最終
報告書
が出ておりますけれども、これにつきましては、その
報告書
の中で、
行政府型オンブズマン
の
制度
を
導入
することを提言しておりますね。それは、先ほど私が申し上げましたように、
内閣
に付与されている
行政
権の
関連
で、
行政機関
の
行為
の結果について
調査
をしたり
苦情
を受け付けるというのは
行政
権に属するものなんだ、したがって、現行法上の中では
行政府型オンブズマン
を
設置
するのが適切である、こういう
報告書
になっておりますけれども、私の
意見
としては、
議会
型も
行政府
型もいずれもできる、これはもう既に
お話
ししたとおりでございます。
山口富男
35
○山口(富)小
委員
それから、
民間オンブズマン
なんですが、先ほど、
機能
の分類としては
オンブズマン
というとらえ方をしない方がいいんじゃないかという
お話
があったんですけれども、全体として、この活動というのは、
日本
の特に地方政治の中で、
行政監視
という点で、あるいは
苦情
の実際の
処理
という点で非常に大きな力を発揮してきたと思うんですが、
参考人
が
機能
の区分の点では
オンブズマン制度
ということに区分けしない方がいいんじゃないかという御
意見
をお持ちだとしますと、どういう位置づけを民間の
オンブズマン
の活動については見ていらっしゃるのか、その点、お願いいたします。
宇都宮深志
36
○
宇都宮参考人
先ほども申し上げましたけれども、私は、
公的オンブズマン
と
民間オンブズマン
というように類型化した場合に、
日本
におけるいわゆる
市民オンブズマン
、これは
民間オンブズマン
に類型化すべきではないという
意見
を持っているんですよ。 といいますのは、
世界各国
でもいろいろな問題が起きておりまして、名称の問題ですね、
デンマーク
でも
ニュージーランド
でも、何でも
オンブズマン
というような名称をつけるというようなことになりますと
国民
の混乱が起こってくるということで、
デンマーク
は
法律
改正で名称の使用の規制が行われています。
ニュージーランド
の場合も
法律
改正で名称の規制が行われていまして、
ニュージーランド
の場合は、一定の基準を満たしたものを、首席
オンブズマン
、代表
オンブズマン
がそれを承認すれば
オンブズマン
という名称を使ってもいい、こういうことになっておりまして、
ニュージーランド
の場合は、
銀行オンブズマン
委員
会、それから
銀行オンブズマン
、これが名称を使ってもいいというように承認をされております。 というのは、一定の基準ですから、本来の
オンブズマン
と同じような
制度
、例えば、
苦情
があれば
苦情
を受け付けて迅速に
処理
する、非常に公平な
調査
ができるとか、そういう一定の基準が設けられている、そういうのは
民間オンブズマン
だというように位置づける。また、私はこういうようにすべきだろうと思うんですね。
我が国
の場合は、いわゆる
市民オンブズマン
というのは、私は
行政監視
の面で非常に重要な
役割
を果たしてきているというように評価をしているわけですが、ただ、同じ
自治体
で同じ名称を使っているところがあるんですね。そうすると、
市民
が非常に混乱をするというようなことがありまして、自称、自分が
オンブズマン
だと言うのは、だれでもこれは自称
オンブズマン
と言えるわけでありますから、その辺のところは、名称の使用については慎重に検討する必要があるのではないかなというように思います。
山口富男
37
○山口(富)小
委員
きょうは、
オンブズマン制度
について、
憲法
論上の位置づけでも現状でも大変豊かな
お話
をいただけたと思います。ありがとうございました。
木下厚
38
○
木下
小
委員長
次に、
阿部知子
君。
阿部知子
39
○
阿部
小
委員
社会民主党・
市民
連合の
阿部知子
と申します。
本当
に、今山口
委員
もおっしゃいましたが、私にとっても大変に有意義な
お話
をいただきまして、まず冒頭、お礼を申し上げます。 私は、まず第一に、きょうの
参考人
の基本的な御趣旨である
議会オンブズマン
、
立法
府の定める
オンブズマン制度
について、さらに充実させていくためにどうすればいいかということでお伺い申し上げます。 一九九八年に参議院の方では
行政監視委員会
、それから九七年、
衆議院
では
決算行政監視委員会
となりましたこの
委員
会というものも、
参考人
がおまとめいただきました文章等々を拝見いたしますと、まだまだその
意味
で、本来的な
議会オンブズマン
として目指すべき理想とのギャップといいますか、まだいろいろな点で問題があろうというふうに、これを拝読しながら思った次第であります。 そこで、私は、一点目は、いわゆる会計検査院の
機能
ということに関しまして、
行政監視委員会
でも、かつて、ODAの支出に関しまして会計検査院に命じてチェックをさせてという事例がございましたが、先ほど
福島
委員
の
お話
しになりました、例えば年金積立金の現状での問題がどうであるか等々も、本来は、会計検査院の
機能
が、さらに
行政
からも、ある
意味
で
内閣
からも真に
独立
してチェック
機能
が働いておれば、もうちょっと違ったのではないかと思う次第であります。 そこで、例えばアメリカ等の会計検査院は、これは
国会
に附属するものとなってございますし、会計検査院の
我が国
における
あり方
と、それから、これ自身、
オンブズマン制度
そのものというよりは、広い
意味
での
オンブズマン制度
の
意味
するものとも
関連
すると思いますが、会計検査院のありようの充実と、一方、もしもそれ以外に、この
オンブズマン制度
を現在
議会
に
設置
された場合に、特に予算執行
状況
等において
国民
に利するところがどのようにありやということを教えていただけますでしょうか。
宇都宮深志
40
○
宇都宮参考人
会計検査院の
あり方
の問題でございますけれども、アメリカではGAOというのがありますね、会計検査院というのが。GAOの
役割
というのは、プログラムレビューの評価なども非常に細かく吟味をしておりまして、
日本
で言う会計検査院よりももっと広い範囲の
役割
を果たしてきている。そういう
意味
からも、もう少し、
日本
の会計検査院というのは、GAOのような体制に確立することも検討に値するのではないかなという
意見
を持っております。 それから、
議会
に
オンブズマン
を置いた場合にどういうようにして拡充をするかということですけれども、
オンブズマン
というのは
職権調査
があるんですね。だから、会計検査院の決算というだけではなく、
オンブズマン
の
調査
というのは、
行政
行為
全般にわたってそれをウオッチしているという
役割
がありますので、いざ必要であれば、みずからの意思で
調査
に入ることができるということで、例えば、静岡県で、
市民オンブズマン
が、警察の食糧費の関係で最高裁まで行って、開示しろということになりましたけれども、もし静岡県で
オンブズマン
というのがあれば、非常に迅速に解決されていたと思うんですね。
オンブズマン
はすべての
資料
を見ることができますから、警察
情報
でも見ることができますので、解決できるのではないかなと思う。そういうような効果があるのではないかなと思います。
阿部知子
41
○
阿部
小
委員
あと、先生からちょうだいいたしました中に、
議会
に
議会オンブズマン
を設けるときのことに引き続いて伺いますが、現在ある
行政監視委員会
で、一、二、三と小分けしてございます第二に、
行政
監察計画ということなどについての
調査
であると書かれておりますが、この
行政
監察計画ということは、現在の
行政監視委員会
で十分になされておりますでしょうか。
宇都宮深志
42
○
宇都宮参考人
私は、
行政
監察計画について今十分フォローしておりませんので、それはちょっと……。
阿部知子
43
○
阿部
小
委員
申しわけありません。 あと、
情報公開制度
がたしか一九九九年からできまして、これを逆に、鬼に金棒と申しますか、こうした
オンブズマン制度
とリンケージさせて、さらに
国民
にとって、
市民
にとってよりよい
行政
の
あり方
というのを求めていけると思いますが、まだ
情報公開制度
も十分に活用されていないし、例えば、
市民
として
情報
公開請求すると真っ黒けになって出てくるものもございますのです。
参考人
がお考えになる、さらに一歩、
情報
公開とこの
オンブズマン制度
をリンケージして進めていくということについて、何か御示唆がございましたらお願いします。
宇都宮深志
44
○
宇都宮参考人
情報公開制度
と
オンブズマン制度
というのは、私は、公正な
行政
と開かれた透明な
行政
というのを確立していくということが二十一
世紀
の重要な課題だろうと思うんですね。開かれた透明な
行政
というのは、アカウンタビリティー、説明
責任
の問題もあるんですが、
情報公開制度
というのは、私はもう一歩進めていくべきではないかなと。 アメリカにおきましては、六六年に
情報
自由法ができて、一九九六年に電子
情報
自由法というのができた。アメリカはもっと先に行っておりまして、要するに、
情報公開制度
というのは、開示請求をしてから、そういう
手続
をしてから、それを開示するかどうかを検討して、適用除外条項が適用されなければ開示してもいいということになって、
国民
は
情報
を得られるんですけれども、非常に手間と時間がかかる。 私は、
政府
情報
のほとんどは開示してもいい
情報
だと思うんですよ。適用除外
情報
というのは非常に限られたものだと。それで、ほとんど開示できるものを、公開
手続
で非常に手間暇かける
手続
をやってやっと公開できる、
情報
が開示されるということでは、この二十一
世紀
の民主主義の深化に対応できないんではないかなということで、アメリカはもうとにかく、
情報公開制度
というのは非常にコストもかかるわけですから、公開できる大半の
情報
はすぐ見られるようにしようということで、そういう開示
手続
はしなくても提供して、閲覧して、利用可能にしようというように進んでいっております。そういう方向に
日本
の
情報公開制度
も進めていくべきだろうと思います。 そういうことで、公正な
行政
の確保と開かれた透明な
行政
の確立というのは、
両方
とも二十一
世紀
の非常に重要な装置だと思いますが、連携することによって、より
国民
の
権利
利益とか
国民
の要求にこたえていくことができる、こういうような
意見
を持っております。
阿部知子
45
○
阿部
小
委員
大変示唆に富む
お話
で、ありがとうございます。 最後に、お礼を兼ねて、私は藤沢市でございますが、先生がかかわってくださった
行政
の
オンブズマン
のおかげをもちまして、市もより開かれた
行政
になっておりますので御
報告
を申し上げます。
木下厚
46
○
木下
小
委員長
次に、杉浦正健君。
杉浦正健
47
○杉浦小
委員
私、先生の
お話
を伺って、
資料
を読ませていただいて、
日本
でこの種
制度
を進めていくとすれば、先生が非常に御尽力いただいた地方、まず地方で進めていくことが大事なんじゃないかというふうに思います。つまり、ビジブルという
意味
で言いますと、市町村に置かれますと
本当
に
市民
から見えますね。 例えば、中央
政府
となりますと、
国民
から見ると非常に遠いところになるわけで、しかも、中央については、
議会
も国政
調査権
を行使して非常にきっちりやっておるんですね。予算
委員
会なんというのは、まさに
行政
不祥事追及
委員
会みたいな感じがするぐらい厳しくやっておるんですね。ですから、私は、まず地方からやるのがいいのではないかという印象を持っております。 ユニークな我がふるさとの例を紹介させていただきますと、今私は岡崎市なんですけれども、三年前に市長が当選したんですが、
市民
主導型市政というスローガンで当選されまして、その公約の
一つ
に、新しい課を設ける。教えてくれません課というユニークな課を設けちゃったんです。
市民
相談室を改組しまして強化して、三十人規模、玄関入ったところに教えてくれません課という課ができたんですね。 それで、ここは、
市民
からの
苦情
、相談、何でも受け付ける。見ていますと、来庁する人、電話の人、文書をよこす人、提案箱というのが支所なんかに置いてあるんですが、そこへ入れる人、はがきをよこす人、電子メールまで、いろいろありまして、三年やっておりますと、大体、毎年二万件ぐらい、三十五万
市民
で二万件。私の女房ももう二回電話をしておるんですけれども、電話したら出かけてくる。マニアもいるそうですけれども、毎日、朝来て粘る人もいるらしいんですが、物すごいのが来る。 そして、受け付けるだけじゃなくて、その受け付けたものは必ず市長は見るそうです、何が来たか。市長は必ず見る。一日平均千五百件ぐらい。ともかく一応目を通す、どういうのが来たか。そして、そのうち、担当課に
処理
すべきものは
処理
させる。必ず返事をする。できないならできない、できるのはできる、できないのはこういう理由ですというのを付して必ず手紙で返事をする。
処理
させないものは、それはだめですということで口頭で
処理
してしまう。それが七五%。二五%は必ず担当課で
処理
させて対応するということをやっておって、これは
市民
に非常に評判がいいですね。 それからもう
一つ
は、出前の市政といいまして、公聴会に出かけていく。今までの市長がやっておったのは選んだ人の質問ですが、今度は無差別、三時間なら三時間、手を挙げてどんどん言ってもらう。部長を連れて行く。それで、出た
意見
は、できるものは説明をする、検討するものは持ち帰って、同じように検討して返事をするというのを三
年間
やっておるんです。
市民
の評判もすこぶるよろしいですね。
苦情
の
処理
、相談事というのは、うちの市だと市長みずからが
オンブズマン
でやっているような印象を受けます。 私は、そういう草の根レベルで、先生にもっと御指導いただいて、
川崎
とか、いい例がたくさんあるようですから、それをもっと広げてやることが大事だし、
市民
の相談事、
苦情
というのは身近なところで多いんです。通産省が何とかというのは余りないように思うんですが、先生の御
意見
はいかがでしょうか。
宇都宮深志
48
○
宇都宮参考人
私も率直にそういうように思っておりまして、やはり
市民
は気軽に自分の申し立てたいことを聞いていただけるということが非常に重要で、それは、
市民
相談とか
市民
の受付窓口とか、そういうことがいろいろな
自治体
でも努力してやられておりますから、非常にその
制度
は重要なことですし、そうかといって、それでは公的な
オンブズマン
が必要でないかというと、非常に複雑で、あるいは
行政
側からいうと、大変なこと、大変な不公正なことが行われているものが
市民
相談の中で上がってくるかというと、なかなか上がってこないケースがかなり見られるということで、既存の
市民
相談と公的な地方の
オンブズマン
というのがうまく連携していけば、
市民
の
権利
利益を守る
制度
として実を上げていくんではないかな、こういうように思っております。
杉浦正健
49
○杉浦小
委員
つけ加えますと、岡崎市の場合は、教えてくれません課で絶対やらせているのは、岡崎市は
行政相談委員
というのを置いております。相談のうち、人権擁護
委員
とか
行政相談委員
に必ず連絡をとることというのもこの事務に入っておりまして、
行政
相談でしたら必ず相談
委員
と連絡をとる、その上で所管課に持っていくというふうにしておるようです。申し添えておきます。 実は、国政レベルでも今も聖域なき改革でいろいろやっておるんですが、司法改革も、この
関連
法案がたくさん出ますが、見違えるようなふうに生まれ変わると思います。例えば、
裁判
にも
裁判
員というのを、
国民
参加にするとか。 この関係でいうと、通称司法ネットと言っていますが、
法律
扶助協会とか、あるいは弁護士会とか都道府県とか、相談窓口をネットして、
国民
から相談、
苦情
を受け付ける窓口を津々浦々までつくろう、それで
裁判所
とか法務局、そういう公の施設を利用して、人も配置するという壮大な
独立
行政
法人を新たに立ち上げることにしました。これは、法の支配といいますか、法の光を
国民
にすべて広く均てんしよう、今まである窓口を統合して、さらに過疎地域には新設して相談を受け付けよう、これは司法の
世界
ですけれども、そういうこともやっております。それから、
行政
訴訟も、かた過ぎますから、もう少しやわらかくしよう、さまざまな試みをやっておるんです。 ですから、中央レベルで
オンブズマン
を置く
必要性
というのはさまざまな角度から検討する必要があると思うんですが、先ほどの質問でも言いましたが、
決算行政監視委員会
ですか、この
機能
をもう少し強化して、あるいは事務局、この
憲法
調査
会みたいな強力な事務局を置いて、
苦情
も受け付けるというふうに改組するとか、いろいろ工夫したら、
議会
はしっかりしておりますので、与党も、野党の追及も厳しいし、
オンブズマン
的
機能
はこの
委員
会とその事務局の強化である程度カバーできるんじゃないのかなという感じもするんですが、先生、いかがでしょうか。
宇都宮深志
50
○
宇都宮参考人
司法改革とかそういう面で改革をされて、
国民
参加的なものがふえておりますし、
行政
訴訟関係でも
改善
をしていこうということで、
国民
の
権利
利益のために非常に有効だと思うんですね、
改善
されておりますので。 それと、今の御指摘のように、
国会
での
決算行政監視委員会
ですか、参議院の
行政監視委員会
というのを拡充して
オンブズマン
的な
機能
をそこで充実していこうということで、拡充、充実することは私も賛成でありますし、そういう方向で進められる必要があるんではないかなと思いますけれども、では、そうかといって、それでは
国会
に置く
オンブズマン
がそういう
機関
が充実していけば必要でないかなという議論には、私は賛成できないんですね。 だから、
オンブズマン
というのは、
国会
の
監視
権を拡充、充実強化していこうということで
一つ
は重要な
役割
があって、要するに、専門的能力を持った人物が
オンブズマン
に
任命
されて四六時中
行政機関
を見守っている、これは専門的な能力と知識と
情報
を持っておりますから、そこに意義があると思うんですよ。 私は
イギリス
の
オンブズマン
に何回もお会いしていますけれども、どういうところに
オンブズマン
の意義があるんですかと。それはもう、
市民
の
苦情
を受け付けて迅速に解決していく、それから、
行政
に対して、
市民
の
苦情
が必ずしも正当な
苦情
を訴えていない場合がある、その場合には、
市民
の言われていることは正当性がないですよと言うこともできる。したがって、
オンブズマン
というのは反
行政
ではないということを言われておりましたけれども、その存在意義の中で、要するに
オンブズマン
というのが存在しているというところに意義があるんだと、存在し続けていると。それは、
苦情
件数がどのくらいあるということではなくて、
オンブズマン
が四六時中
監視
をしているというところに意義があって、そうすると、
官僚機構
の官僚は、あるいは
行政
官というのは、いつも緊張しながら仕事をしている、それでミスのないように仕事をしている、これが非常に効果があるんだ、こういうことを申しておりましたけれども、私は、まさにそうだと思うんですね。 したがって、この
国会
に設けられている
監視
委員
会とかそういうものと
国会
に置く
オンブズマン
というのは、両者が連携することによってより有効な
制度
になる、こういう考えを持っております。 以上です。
杉浦正健
51
○杉浦小
委員
どうもありがとうございました。終わります。
木下厚
52
○
木下
小
委員長
次に、辻惠君。
辻惠
53
○辻小
委員
民主党・無所属クラブの辻惠でございます。
オンブズマン制度
を考える場合の私の問題意識を冒頭で若干申し上げさせていただきたいというふうに思います。
世界
的に見て、
政府
、
行政府
が非常に強くなる傾向がある。特に
議院内閣制
のもとでは、しかも政権交代が起こらない
議院内閣制
のもとでは、ますます
行政
権が肥大化し、
行政国家
化していく。しかも、
行政
の概念について、
行政
控除説ということで、司法と
立法
を除いたものが全部
行政
に含まれるというような考え方に立った場合に、ますます
行政国家
化が加速される。そして、チェック・アンド・バランスで
行政
なり
立法
に対して
役割
を果たすべき司法が、司法消極主義というものを現在の
日本
がとっていて、現実に
機能
していない、本来の三権分立の原理原則が現実に
機能
していない、そのような現状を何とかしなければいけない、こういう問題意識を私は持っております。 そのためには、まず、
行政
と
立法
を分離して、ある
意味
では大統領制的な要素で
統治機構
を考える必要があるということが
一つ
あると思います。また、司法消極主義を脱するために、
憲法
裁判所
的な物の考え方も必要なのかもしれない。そして、
行政
というふうに言った場合に、地方
行政
は
行政
とは違うんだという
意味
で、地方分権を徹底させる必要があるというような考えがあると思います。 ただ、具体的には、どのように政策的にそれを一歩一歩前進させていくのかということが問われている。地方分権を徹底させるということが
一つ
は重要でありましょうし、司法消極主義をどのように
改善
していくのかということが問題ではなかろうか。 私は、先ほど杉浦
委員
がおっしゃられました司法ネットが、むしろ、
独立
行政
法人がそれを運営するという
意味
で、
行政
が強い
影響
力を持つ可能性がある危険性が司法ネットにはあるんじゃないかという問題意識を持っております。 そのような一連の流れの中で、
国会
の
機能
を強化していくという観点において、
オンブズマン制度
の持つ
役割
、
意味
、重要性というものが大きなものがあるんではないかというふうに考えております。
参考人
も、私が伺う範囲では、その点においては同じ問題意識を持っていただいていらっしゃるのかなというふうに思いますが、今
日本
で
オンブズマン制度
を国政の
機能
を強化するという観点で考えたときに、一般
オンブズマン
、そして
特別オンブズマン
という二種類があるというふうに
参考人
はおっしゃっていると思いますが、具体的にどのようなものを想定することが可能なのか、この点について伺わせていただきたいと思います。
宇都宮深志
54
○
宇都宮参考人
国会
に置く
オンブズマン制度
というのは、
国会
の
監視
権ですか、そういうものを充実強化する
意味
で重要である、こういう
意見
を持っておりますが、まず、私は、
国会
に置くのは一般
オンブズマン
だと思うんですよ、全体的な。
議会オンブズマン
というのは一般
オンブズマン
でありますから。 私は、
特別オンブズマン
、
日本
にはいろいろなニーズがあると思うんですね。例えば医療
オンブズマン
というのが英国で設けられておりまして、医療ミスとかそういうものに対して非常に重要な
役割
を果たしている。英国の場合は、国の
オンブズマン
が医療
オンブズマン
も兼務しておりますから、一人の
オンブズマン
が医療も全般の
オンブズマン
もやっているんです。医療の分野とかあるいは人権の関係、これは、
自治体
においては
人権オンブズマン
、
川崎
でも
人権オンブズマン
ができておりますけれども、そういう
管轄対象
ごとの課題の
オンブズマン
。 もう
一つ
、私はいろいろ主張もしてきているんですけれども、環境
オンブズマン
というのはやはりこれから重要になってくるんではないか。二十一
世紀
は環境の時代と言われておりまして、そうすると、次の世代の環境利益というのは一体だれが守るんだ、あるいは地球環境、地球益ということが言われておりますけれども、地球益というのはだれが守るんだということになりますと、環境
オンブズマン
というようなものも想定に入ってくるんではないかなというように思います。 以上です。
辻惠
55
○辻小
委員
特別オンブズマン
としていろいろなものが考えられると思うんですが、やはり、権力
機関
のいろいろな不透明な出来事、例えば
刑務所
の中でいろいろな暴行、虐待が行われて、これが明らかにならないというような
意味
におきまして、警察とか
刑務所
とか軍隊とかいうことに対する
特別オンブズマン
というものを
設置
する
意味
は大きなものがあると思うんですが、この点についてのお考えと、あと、
日本
においてこれを具体化するためにはどのようなものが想定されるのか、この点について教えていただけますでしょうか。
宇都宮深志
56
○
宇都宮参考人
これは
オンブズマン
の管轄範囲の問題だと思うんですね。
スウェーデン
の
オンブズマン
の場合は、
裁判所
も入っているんですが、警察も入っていますし、地方
行政
もすべて入っているんですよ。軍隊も入っているということで、軍隊については、またそれぞれ
特別オンブズマン
をつくっている国もあります。警察とか
刑務所
についても、
スウェーデン
の一般
オンブズマン
が管轄範囲に入れております。そういう
意味
で、
日本
では、警察
オンブズマン
の
必要性
を主張されている学者の先生方もいらっしゃいます。 そういう
意味
で、私の考え方としては、
国会
につくられるんだったら
国会オンブズマン
が、警察も
刑務所
も、自衛隊ですか、そういったものも管轄範囲に入れて、広く取り込んですべきだ、こういう
意見
を持っています。
辻惠
57
○辻小
委員
具体的に、どういうスタッフで、どういう
権限
で、どういう
役割
なのかというのを詰めていかなければいけないというふうに思いますけれども、その場合に、
勧告
の
権限
というのが基本なんだという
お話
だったと思うんです。 ただ、
お話
の中では、直接的な
行政
を抑制することについても
オンブズマン
は
権限
として含んでいいんだというようなお考えをおっしゃられたと思うんですが、是正措置のための、直接抑制の
権限
の内容としては、具体的にどのようなものをお考えになっておられるんでしょうか。
宇都宮深志
58
○
宇都宮参考人
行政
に対する
苦情
というのは個々のケースですよね。個々のケースについて、
資料
閲覧権
がありますから、請求権もありますし、原則としてあらゆる
資料
を
オンブズマン
は見ることができるということですから、客観的に
調査
ができる。
苦情
を訴えた方も、それから訴えられた
行政機関
についても、
資料
はすべて閲覧することができるということでありますから、客観的な
調査
ができる。それに基づいて、
苦情
の訴えに対して正当性があれば救済をするということで、
行政機関
に対して
勧告
をするということになりますので、それぞれ個々のケースについて、結果について
調査
ができるということだと思います。
辻惠
59
○辻小
委員
時間がもうございませんので、今後またこの
オンブズマン制度
については、その実現に向けて、いろいろな場面で論議をし、具体的な提言等もなしていければいいなというふうに思っております。 事務局の方から配付された
資料
の中で、きょうは
オンブズマン制度
と同時に準
司法機関
ということで取り上げられておりまして、これは、
行政
の公正性を保障するということとか、あと事後的な利害調整とかいうような
機能
ということで、
オンブズマン制度
とはちょっと位相を異にするのかなというふうに思うんですけれども、私は、意外とこれは捨てたものではないんじゃないかというふうに思うところがあります。 例えば、労働
委員
会であれば、国労の不当労働
行為
について、やはりこれは違法であるということを中央労働
委員
会が出しております。また、公安審査
委員
会においても、オウムの破防法適用について、これは妥当でないというような
意見
を出している。公正取引
委員
会も、今独禁法の問題で独自の
意見
を出しておられる。 つまり、今の
裁判所
が
行政
寄りでチェック
機能
を働かせていないという観点から考えたときに、この準
司法機関
が意外と
役割
を果たしている点があるんではないかということに注目しながら、これとあわせて
オンブズマン制度
の
設置
、拡充ということを考え、
行政
のチェックを
制度
的に実現していくべきなのではないかということをちょっと最後に申し上げさせていただいて、終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
木下厚
60
○
木下
小
委員長
次に、
衛藤征士郎
君。
衛藤征士郎
61
○衛藤(征)小
委員
宇都宮参考人
、貴重な御
意見
、ありがとうございました。 御指摘ございましたとおり、この
オンブズマン制度
、
スウェーデン
に始まり
デンマーク
、
ニュージーランド
と国際的に普及していったわけですが、
スウェーデン
、
デンマーク
、
ニュージーランド
、いずれもこの三国は一院制の
制度
、
国会
が一院制なんですね。 今、列国
議会
同盟の
資料
によりますと、百八十三カ国の中で一院制が百十五カ国あるわけでありますが、いわゆる一院制におけるチェック、そういう
機能
をも持つこの
オンブズマン制度
、そういうことと、いわゆる一院制と二院制におけるこういう
オンブズマン制度
の絡みといいますか関係といいますか、そういうものは何かあるんでございましょうか。
宇都宮深志
62
○
宇都宮参考人
私は、特に関係がないと思うんですね。一院制であろうと二院制であろうと
オンブズマン制度
は
設置
できるし、
イギリス
の場合は二院制でありますから。いずれも、
議院内閣制
をとっているところはできますし、大統領制をとっている、例えばオーストラリアでも連邦
オンブズマン
がつくられておりますので。例えば二院制の場合に、それでは両院で
オンブズマン
をつくるのかという議論もあるんですが、私は、両院で協議をして
国会オンブズマン
をつくればいいというように思っております。
衛藤征士郎
63
○衛藤(征)小
委員
憲法
におきまして、
オンブズマン
を
裁判所
と並ぶ
権利
救済
機関
として明文で位置づけることについては、
参考人
はどのようにお考えでしょうか。
宇都宮深志
64
○
宇都宮参考人
私は、
憲法
で位置づけるということは非常に賛成なんですね。何回も繰り返しておりますけれども、では、
憲法
を改正しなければできないかという
意見
ではない。
法律
でもできる、こういう
意見
を持っております。
衛藤征士郎
65
○衛藤(征)小
委員
もし
オンブズマン制度
を
憲法
上明文化する場合は、どのような事項を
憲法
に明記すべきとお考えですか。また、特に
独立性
や関係
行政機関
の協力義務などを規定すべきではないか、このように考えられるんですが。
宇都宮深志
66
○
宇都宮参考人
どういう条文にするかというのは慎重に検討しなきゃいけないと思いますけれども、この
資料
四十二号の付録のところで、
憲法
で
オンブズマン
を規定している国の条文が一ページからずっと出ておりますけれども、
オンブズマン
の
監視
権とか
苦情
処理
、あるいは
行政
改善
に関するそういう
役割
、
機能
というものをやはり
憲法
の中で明文化していくというのが一般的なやり方ではないかなと。そこの中で
独立性
の確保や関係
行政機関
の協力義務的なものを入れるという
お話
だったんですが、そういうことを明文化に含めるということは適切ではないかな、こういうように思います。
衛藤征士郎
67
○衛藤(征)小
委員
もう既に質問があったかと思いますが、もし
我が国
に
オンブズマン制度
を
導入
するとすると、いかなる国の
オンブズマン制度
が
参考
になるんでしょうか。お尋ねいたしたいと思います。
宇都宮深志
68
○
宇都宮参考人
私は、
スウェーデン
型
オンブズマン
と言っておりますけれども、
デンマーク
とか
スウェーデン
とか
フィンランド
とか、そういうところが基本的な重要な
特色
を備えておりますから、それをベースにして、
ニュージーランド
の
オンブズマン制度
というのが、基本的に非常に
参考
になるのではないかなと。
スウェーデン
の場合は、例えば
裁判所
を入れたり、
スウェーデン
の
オンブズマン
には訴追権まで与えられておりますから、
世界
の
オンブズマン
で訴追権を持っているのは
スウェーデン
と
フィンランド
だけでありますので、その辺のところはかなり問題があるかなというふうに思いますけれども、そういうふうに考えております。
衛藤征士郎
69
○衛藤(征)小
委員
参考人
は、いわゆる
立法
府型、
議会型オンブズマン
が望ましい、このように指摘されたわけですが、その
組織
でございますが、
議会
の
附属機関
とすべきと考えるか、それとも、会計検査院のように
独立
の
機関
とすべきとお考えでしょうか。
宇都宮深志
70
○
宇都宮参考人
私はいずれでも適切だと思いますけれども、
国会オンブズマン
という場合には、やはり
議会
の
附属機関
とすべきではないかなという
意見
を持っております。
衛藤征士郎
71
○衛藤(征)小
委員
先ほど杉浦
委員
からも御指摘がありましたが、
我が国
におきましては
行政
相談
制度
が整備されておるわけですが、一般の
オンブズマン
よりも、警察、
刑務所
、報道等のような、専門性があり、人権侵害のおそれの大きい分野に限定したいわゆる
特殊オンブズマン
を整備した方がいいのではないかという
意見
もあるわけですが、この点、
参考人
はどのようにお考えでございましょうか。
宇都宮深志
72
○
宇都宮参考人
私は、
行政相談委員制度
というのは非常に重要な
役割
を果たしているという
意見
を持っておりますけれども、何回も繰り返しておりますが、それはいわゆる
日本型オンブズマン
、こうよく言われていますけれども、それと
国会
に置く
オンブズマン
を代置できるものではない。したがって、
行政相談委員制度
があるから
国会
に置く
オンブズマン
が必要でないということにはならない。両者が連携してより拡充をしていくという
意味
で、
国民
の
権利
利益を擁護する面で両者が連携することによってより充実した
制度
になる、こういう
意見
を持っております。
衛藤征士郎
73
○衛藤(征)小
委員
地方公共団体におきましても
議会型オンブズマン
を
設置
することができるよう
地方自治法
を改正する必要があると考えるわけですが、この点、いかがでございましょうか。
宇都宮深志
74
○
宇都宮参考人
私も、「公正と公開の
行政
学」という本の中で最後にまとめを書いておりますけれども、国が
地方自治法
を改正して地方の
オンブズマン制度
をつくるというのは、非常にあるべき姿の
オンブズマン制度
をつくることができると思うんですよ。したがって、私は、
地方自治法
を改正して、あるいは新たな
法律
をつくって、地方に
議会
型の
オンブズマン
もつくることができる、つくるというような改正ということに対してずっと提唱してきておりますので、それは賛成でございます。 といいますのは、現行法で、
日本
の
自治体
で、
川崎
を初めとしていろいろ知恵を尽くしながらつくったんですけれども、現行法の枠内でやると、
附属機関
ですから、
オンブズマン
は専従の
オンブズマン
ではないわけですね。
世界
の
オンブズマン
で四六時中
行政機関
を見守っている
オンブズマン
というのは、これは専任の
オンブズマン
なんですよね。それで、
日本
の
制度
でやると、専任の
オンブズマン
を
任命
できませんから、
附属機関
というのは。したがって、週に二回勤務をするとかいうような形ですから、やはり中央で、
地方自治法
とか新しい
法律
で、フルタイムで専従、専任で
調査
あるいは
苦情
を受け付けるような
制度
をつくるべきではないかなということ。 いろいろ考えているんですけれども、例えば
イギリス
のイングランドでローカル
オンブズマン
というようなものが設けられているんですが、何人いるかというと、三人なんですね。
イギリス
の
地方自治体
全体に対して、イングランドでは三人の
オンブズマン
なんですよ。 それでは、
日本
で今三千幾つありまして、合併で千ぐらいにしようという方針で進められておりますけれども、例えば三千幾つある
自治体
で二人の
オンブズマン
をやれば、もう六千人ぐらいになっちゃうわけですよね。それだと、私は、英国方式でブロックごとに
オンブズマン
が
任命
できるような法
制度
というのはできないかな、それの方が非常に効率的で有効な
制度
になるのではないかな、そういう
意見
を持っております。
衛藤征士郎
75
○衛藤(征)小
委員
参考人
は、
川崎
市を初め地方レベルでの
オンブズマン制度
の創設にかかわったわけでありますが、もし国レベルの
オンブズマン制度
が
導入
された場合、それが今後
日本
に根づいていくためには、運用上特に気をつける点としてはどのようなことが考えられますか。 また、
参考
資料
の中に
国際オンブズマン
というのがあるんですが、この
国際オンブズマン
についてもちょっと御説明をいただきたいと思います。
木下厚
76
○
木下
小
委員長
宇都宮参考人
、時間が終了していますので、簡潔にひとつお願いします。
宇都宮深志
77
○
宇都宮参考人
国際オンブズマン
というのは、現在のところ、恐らく
EU
の
欧州議会
の
オンブズマン
だと思いますけれども、可能性としては、例えば国連に置いておく
オンブズマン
も想定はできると思いますけれども。 それと、根づくにはという
お話
だったんですけれども、やはり
オンブズマン制度
というのを
国民
に周知徹底する、そういう問題があろうかなと。
川崎
とかいろいろなところで、それでは十分
市民
に周知徹底されているかというと、その辺のところはかなりまだ課題があるのではないかなと思いますし、
任命
の方式とか、どういうようにして
調査権限
を与えるか、あるいは国政
調査権
の問題とか、あるいは事務局の
調査
能力の問題とか、さまざまな課題がありますし、それでは
オンブズマン
の適任者をどういうようにして選ぶのかとか、そういう課題がありますので、そういう課題を検討しながら
制度
を
導入
して、いい
制度
、
制度
のビルディングを慎重にやっていくべきだろう、こういうように思っております。
衛藤征士郎
78
○衛藤(征)小
委員
どうも貴重な御
意見
、ありがとうございました。
木下厚
79
○
木下
小
委員長
これにて
参考人
に対する質疑は終了いたしました。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
宇都宮参考人
におかれましては、貴重な御
意見
をお述べいただき、ありがとうございました。小
委員
会を代表して、心から御礼を申し上げます。(拍手)
—————————————
木下厚
80
○
木下
小
委員長
これより、本日の
参考人
質疑を踏まえて、小
委員
間の自由討議を行います。 一回の御発言は、五分以内におまとめいただくこととし、小
委員長
の
指名
に基づいて、自席から着席のまま、所属会派及び氏名をあらかじめお述べいただいてからお願いいたします。 御発言を希望される方は、お手元にあるネームプレートをこのようにお立てください。御発言が終わりましたら、戻していただくようお願いいたします。 発言時間の経過については、終了時間一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせいたします。 それでは、ただいまから御発言を願いたいと存じます。御発言を希望される方は、ネームプレートをお立てください。
古屋圭司
81
○古屋(圭)小
委員
自民党の古屋
圭司
でございます。 きょうは、
宇都宮
先生から、私も決してこの
オンブズマン制度
ということは専門的に勉強したわけではございませんので、大変貴重な
意見
をお伺いすることができました。 先生の
意見
は、
世界
の趨勢は、
オンブズマン制度
をとっている国では
議会オンブズマン
である、したがって、
設置
をする場合にはそういう方向に持っていくべきだという趣旨の内容だったと思います。ただ、その中で、そういった
実施
をされている国については、
国民
の皆さんが極めて高い認知度を持っているという指摘もございました。
オンブズマン
が実際に活動することに対して大変理解を示している、十分
市民
に浸透している、こういうことでございました。 一方、
日本
では、公的な
オンブズマン
と私的な
オンブズマン
がありますけれども、ややもすると、
私的オンブズマン
、これが、いわば
市民
の
権利
の擁護という視点だけではなくて、ある
意味
ではイデオロギー的な活動をしているということは、私は否定できないと思います。そういう
意味
で、もし
日本
で
実施
するというならば、やはり
公的オンブズマン
を目指していくというのが筋だと思います。 しかし、一方では、
日本
には
行政
相談
制度
というのがあります。今、全国で五千人近く
任命
をされているということでありますし、また、それを補完する
機能
として、いわゆる
行政
苦情
救済推進
会議
ですか、こういうものもあるわけでありまして、果たしてここが十分に
機能
しているだろうか。ここを検証した上で、もし十分に
機能
していないというならば、まずここの補完というものをしていくことによって、いずれはこの
オンブズマン制度
というものが広く
国民
に認知されていくことになるのではないだろうか。
日本
はよく、いろいろな
制度
があるんですけれども、それが有名無実化していると、その本来の
制度
を活用する、よみがえらせるという行動ではなくて、屋上屋を重ねると言うと誤解がありますが、また別な
制度
をすぐ新たにつくり上げようという嫌いがなきにしもあらずだと思っております。
憲法
論議の中にもそういうことがございます。例えば、一院制か二院制か、これはそれぞれ、一院制、二院制論者というのはいらっしゃるとは思うんですが、あえて私見は申し上げませんけれども、例えば、現実に二院制でありながら、
本当
にこの二院制がしっかり
機能
しているんだろうか。単なる、参議院は
衆議院
のコピーだから一院制でいいのではないかと、やや乱暴な議論もあるということも否定はできないと思います。 そういった観点から、やはり広く
国民
に認知をした上での、将来的な
オンブズマン
を目指すならば、この
行政相談委員制度
というのをいかに充実させていくかということをまず取り組んでいくべきではないかなという
意見
でございます。 以上であります。
杉浦正健
82
○杉浦小
委員
国会
に
参考人
のおっしゃったような
オンブズマン
を置くかどうかというのは、似た例を探すとすれば、大統領制がいいか
議院内閣制
がいいかの議論とやや似ているところがあると思うんですね。 だから、私は、今衆参にある
行政監視委員会
ですか、この
機能
を強化して、事務局をしっかりさせて、一般
国民
から
苦情
も受け付ける。そこで事務局長にしっかりした人を置いて、
委員
会と緊密な連絡をとりながら
苦情
を
処理
する、大分
苦情
も来ているようですけれども、進めていくという方がいいんじゃないかという感じがするんです。いずれにしても、
憲法
改正が必要かどうかという問題は
憲法
調査
会の検討議題かもしれませんが、衆参のそれぞれの
委員
会で
制度
導入
の是非を検討していただくのがいいんじゃないかと思っております。 ついでですので、さっき辻先生が司法ネットのことにちょっとお触れになったので、あれは私が座長をやって与党案をまとめたんですが、最後まで民間でやろうということでこだわったんですよ。ところが、国選弁護の事務を
裁判所
から持ってくるんですね。だから、国の事務をやるんだから、どうしても独法でなきゃいかぬということで妥協したんですが、最後に妥協したのは、役員は民間人登用、天下りできない。民間人がやらないとお役所仕事になる、絶対にお役所仕事にはしない、これは法務省も大賛成でありましたので、
法律
の中に、僕は公務員としろと言ったんですけれども、公務員とするとほかの省庁が抵抗して人事院はオーケーできないというので、就任前二
年間
判検事であった者は就任できないというふうにしました。 法務省のお役人は、局長以上、主な役職員、全部判検事ですので、事実上法務省からは、民間並みに、民間は二
年間
ストップですが、二年後は人事院の許可を得て就職できるようになっているんですが、司法ネットの場合は、民間人登用、
法律
にきっちり書き込んだ。他省庁のが来たらいかぬからという、これは
法律
に書き込めないから、
大臣
訓令か何かでやるということで話はついておりますけれども、その点だけちょっと、いずれ法案審議の際に出てくることですが、出たついでに申させていただきました。 以上です。
玄葉光一郎
83
○玄葉小
委員
民主党の
玄葉光一郎
です。
オンブズマン制度
について一言だけ述べさせていただきたいと思いますけれども、
制度
設計をよく吟味した上で、基本的には
導入
の方向で考えたらいいと思います。その際、
導入
するということで決まれば、
憲法
に根拠を置いた方がいいというふうに思います。 ただし、今までも議論が出ていましたけれども、こういった
行政監視
機能
等々に、我々は一体どのくらいの税金を使うのか。税金のむだ遣いをチェックするというのも
一つ
の大事な
役割
なんでしょうけれども、またまたそのために税金を使うということにもなるわけで、改めて、これらと同種あるいは類似の
機能
を持つ、各種
委員
会も含めてですけれども、再編整理というか、体系的整理が大前提になるのではないかというふうに思います。 以上です。
辻惠
84
○辻小
委員
辻惠でございます。 きょうの
宇都宮参考人
の
お話
を私なりに総括いたしますと、
川崎
市の
オンブズマン
にかかわられたことを含めて、
日本
における先駆者としてこの
オンブズマン制度
にかかわってこられたそのお
立場
で、
役割
や
機能
や
必要性
や
制度
導入
の
意味
等について、詳しく
お話
をいただきました。
日本
においては、
ニュージーランド
を
一つ
の
参考
にして具体化すべきではないかというような御発言もありました。 いろいろな御質問等の中で、
宇都宮参考人
がやはり最後まで筋を通された点というのは、
議会
型の
オンブズマン
を
設置
すべきなんだ、今の
行政
を統制する、
行政
を
監視
していく必要が、今の
日本
の国の
あり方
、政治の
あり方
の中で絶対に必要なんだということを、最後まで堅持してきちっと発言をされた、このことをしっかりと受けとめ、尊重してまいりたいと思います。
議会
がなかなか
行政
をチェックできない、司法も消極主義をとっている、地方分権ということが言われていても、金、人そして
法律
、課税権や条例の制定の
権限
の問題を含めて、地方分権といってもそれはなかなか形式的なものの域を出ていない、そして、
独立
行政
法人が数がふえていくという
意味
で、
行政
がどんどん肥大化していっているというのが現状であります。 そういう
意味
におきまして、きょうの
宇都宮参考人
のおっしゃられた、
行政統制
、
行政監視
のための
オンブズマン制度
の
設置
というのが、極めて喫緊の課題であるというふうに考えていいのではないかと思います。 以上でございます。
阿部知子
85
○
阿部
小
委員
私も、
参考人
の御
意見
を拝聴しながら、衆参両院で
行政監視委員会
というものができた経緯も、また改めて学んだ気がいたします。 そして、そうした前提に立ってなお、きょうの
参考人
が何回も御指摘なさいましたように、
議会
型の
オンブズマン制度
というのは、さらにこういう公平性、透明性が要求される政治の中ではつくられてしかるべしと思いますし、その場合に
憲法
改正等の
手続
をとるか否かについても、
参考人
は、その方が望ましい形態ではあるが、なお現状でも努力が可能であるという
お話
でしたので、その点に関しても、また皆で論議していきたいと思います。 そして、現在ある
行政監視委員会
については、私も寡聞にして実情を余り知りませんので、例えば参議院では、ここに持ち込まれたいろいろな請願と申しますか上げられた案件、
苦情
処理
が受理されていない
状況
もあるようですし、こちらは院は衆院ですが、このあたりも、もしかして周知徹底というところが、知名度がゼロということで
限界
があるのであれば、現状でもその点は取り組んで、周知させるということもできるのではないかと思います。 それから、そういう
議会
型の
オンブズマン
以外のことで、先ほど辻
委員
からも一般
オンブズマン
あるいは
特別オンブズマン
の御質疑があった中で、
参考人
が医療の
オンブズマン
について触れておられました。 私は、この間ずっと医療被害問題で、中山太郎先生を
会長
として議連もつくっていただき、何とか、
国民
的要請の強い医療被害ということに、やはり立入
調査権
を持った
オンブズマン
が絶対に必要だと。先ほど、
行政相談委員制度
を充実させてはどうかとおっしゃっておられましたが、例えばカルテを見せていただく、あるいは現場に出向くということも含めて制約がございますから、これは
議会
型の
オンブズマン
ではございませんが、そういう一般並びに特殊な
オンブズマン
として、また皆さんの御
意見
も拝聴しながら、より
国民
の利益と安心、安全にこたえられる
国会
でありたいと思います。 以上です。
鹿野道彦
86
○鹿野小
委員
行政相談委員制度
というものをより充実させていったらどうか、こういうふうな考え方もあるわけでありますけれども、基本的には、
オンブズマン
導入
というふうな考え方は、あくまでも国の
行政機関
から
独立
をして、そして
国民
の視点に立って、いわゆる
国民
の
権利
救済、こういうふうなことを図るとともに
行政
を
監視
していく、こういうふうなことからいたしますならば、やはり
日本型オンブズマン
制度
と言われる
行政相談委員制度
は
制度
として、別個
オンブズマン制度
というものを
導入
すべきではないか、こういう考え方に立ちます。 特に、これだけ世の中が複雑になってきますと、
行政相談委員
の範疇を超えたいわゆる専門的な分野というふうなことにおいて、対応ができないんではないか、あるいは時間がかかり過ぎる、こういうふうなことでむしろ
苦情
が持ち込まれない。しかし、需要はあるわけでありますから、先ほど
参考人
の
お話
のとおりに、専門的な知識あるいは専門的な能力、
調査
能力を持った
オンブズマン制度
というものを
導入
した方が、より
国民
生活にとってふさわしいんではないか、私はこういうふうに考えます。 また、
行政監視委員会
が参議院にあって、その後で
衆議院
では
決算行政監視委員会
、こういうことになりましたけれども、この
委員
会とのかかわりというふうなことにおいては、例えば会計検査院法と同じように、いわゆる議院なり
委員
会なり、あるいは議員個人として
調査
を要請する、こういうふうなことを明記するということによって、
委員
会とこの
オンブズマン
制というふうなものの連携が図られるんではないか。こういう
意味
においても、
オンブズマン制度
を
導入
するということは意義があることだ、このような認識を持つところであります。
鈴木克昌
87
○鈴木(克)小
委員
民主党の鈴木
克昌
でございます。 いつも私申し上げるようで恐縮でありますが、地方の
行政
に携わってきた一人として、この
オンブズマン制度
について一言だけ申し上げたいというふうに思っておるわけであります。 実際に、
地方自治体
、こういう訴訟とか
オンブズマン
の問題とかいろいろ現実的にありましたし、そういうことを経験してきたわけでありますが、一言で言って、私は、
議会
が本来の職務を全うしておれば何も
オンブズマン
に頼る必要はないんじゃないか、こういうことを実は首長時代にはずっと言ってきたわけであります。
オンブズマン
のお世話になるということは、
議会
が本来、そもそもの使命を果たしていないんだということを言ってきた
立場
であります。では反対かと言われると、決して私もそうではない。今複雑なこういう実情の中では、やはりそういう
制度
も
本当
に真剣に考えていく必要があるというふうに思います。 先ほど
お話
がありましたように、二、三問題、あえて問題だと言えば、やはりコストの問題が私はあると思います。屋上屋を重ねてさらに同じようなものを積み重ねていく必要は、この辺はきちっとしていく必要がある。 それから、やはり
国民
の皆さんに認知、
本当
にどういうふうにこの
オンブズマン制度
に対して理解をしてもらうかということが、私はやはり必要なことではないかなというふうに思います。 それからもう
一つ
、あえて言わせていただくと、私もたくさんの公務員と接してきた中で、新しい分野に挑戦しなくなるんですね。冒険を冒さないといいますか、後で問題になるぐらいならやめておいた方がいいというような形にもしなっていくと、これは、残念なことでありますけれども、
行政
の停滞というようなことになりますし、本来の
国民
の期待を裏切っていくことになるわけでありますので、その辺の兼ね合いというものも十分吟味しながら、この
制度
は私なりにまた真剣に考えてまいりたいな、このように思っております。 以上であります。
永岡洋治
88
○永岡小
委員
自民党の永岡洋治でございます。 私もこの
オンブズマン
そのものについて深く勉強しているわけではないんですけれども、きょうのさまざまな
資料
等を勉強させていただきまして感ずることは、確かに、個人の
権利
の救済というものを迅速かつ効果的に行っていくことにおいて、その
権利
救済なり未然にそれを侵害せられることを防止するという
意味
で、いろいろな装置をつくっていくということは極めて重要であるという認識は持つわけであります。 しかし、基本的な問題といたしまして、国のレベルでいいますと、三権分立という中で、
国会
が本来、
国民
の
権利
義務を擁護し、
行政
に対してチェックをするという
機能
を果たしていくのが本筋でありますし、地方の
制度
においても、
議会
というものが
行政
に対してチェック
機能
をちゃんと果たしていくというのが筋論であると思います。しかし、これだけ
行政
が肥大化をして、裁量権の余地というのが、まあここのところは
立法
の方の問題にもかかわりますけれども、
行政
裁量の余地が広がれば広がるほど、個人に対する
権利
救済の道をパラレルに広げていくことが必要だということは、冒頭申し上げたとおり、私はそう考えるところであります。 そこで注意しなくてはいけないのは、地方段階における個別具体的な案件における救済の問題と、
国会
、国レベルにおける問題を同列に論ずることがどうなのかという疑問を感ずるわけであります。 その基本的な問題意識は、要するに、個別具体的な案件において個人を救済する、
権利
を救済していくというのは必要であろうと思いますが、基本的には、個人の
権利
と公益、公共の利益というところのバランスのもとでいろいろな
行政
が行われていく、その個人の
権利
というものが余りにも強く打ち出された格好で、例えば
議会
の
附属機関
として
オンブズマン制度
みたいなものができてくるということについては、ここはかなりいろいろな検討を要するのではないかと思うわけであります。 今、
国会
の中における、
衆議院
決算行政監視委員会
、あるいは参議院における
行政監視委員会
があるわけでありますから、その
機能
の充実強化を図っていくことによりカバーすることがまず第一番目に検討されなければならないんではないか、このように思うわけでありまして、
憲法
上の問題もあると思いますし、この問題についてはやはり地方レベルと国レベルを分けて考えていくべき課題ではないか、このように考えるところであります。
木下厚
89
○
木下
小
委員長
他に御発言ございますか。 それでは、討議も尽きたようでございますので、これにて自由討議を終了いたします。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十五分散会