○古屋(圭)
委員 自民党の古屋
圭司でございます。
前回の統治小
委員会におきましては、東大の碓井先生と千葉大の広井先生から
意見を聴取したわけですけれども、そこで指摘されました財政統制と
社会保障について、若干
意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、碓井
参考人から、
国民主権主義としての
国民財政主義の実現方法にはいろいろな方法があるけれども、やはり
国会による財政統制が最も
現実的な手段であって、そのためには、やはり
国民に対する十分な、かつ真の財政情報の提供が不可欠であるという指摘がありましたけれども、これは私も全く同感でございます。
御承知のように、
我が国は現在、国債と借入金の残高が六百七十兆あります。対GDP比率では一三〇%前後ということで、
世界最悪であります。ただ、これは対GDPグロス比でありまして、例えば、これを対GDP比のネット比で見ますと、大体五〇%前後でありまして、
ドイツとかフランスとか米国とそう変わらない水準にあるということですね。この
背景には、やはり
我が国というのは、外貨準備であるとかあるいは海外に対する貸付金、現在では
社会保障基金なんかも黒字でありますので、個人金融資産以外にもこういった多くの公的な金融資産を持っているということであるわけでありまして、これは
一つの例でありますが。
もちろん、無
原則な借金を重ねて将来の世代に先送りするということは当然許されることではないわけですけれども、やはり、
国民財政主義の
観点から、その財政についての総合的な情報をできる限り
国民に開示をするというのが必要だと思います。ややもすると、現在では、借金の多さのみが指摘をされておりまして、将来の希望というのが残念ながら喪失をされているということも事実でございます。
したがいまして、財政について、私たち政治家の
役割というのは極めて重要でございますけれども、一方では、
国民がこうした真の情報を得るということによりまして、やはり
国民自身もみずからの目で財政活動をチェックするということが可能になってくるわけでありまして、このことは、ひいては、政治が時には重要な決断を下すということもあるのかもしれませんけれども、そういうときにも
国民が正しく理解していただける要因になるのではないかなというふうに考えております。
それから、
憲法八十九条関連で、公の支配に属さない教育のために公金を支出することは禁止をされておりますが、
現実に、
平成十六年度予算でも、私学助成はトータルで四千五百五十五億円を支出しております。この私学助成については、
憲法解釈により私学助成は
合憲であるという考え方ももちろん指摘をされているわけでございますけれども、やはり
議論を誘発するということだと思いますので、私は、
参考人が述べられましたように、やはりこの条項は削除または
改正するというのがとるべき方法ではないかというふうに思っておりまして、実は、
自民党にも
憲法調査会がございまして、この八十九条問題についてはかなり
議論をいたしましたけれども、この私学助成については
改正もしくは削除すべきであるという
意見が大体一致を見ているということをここに改めて
報告をさせていただきたいと思います。
それから、
社会保障の
方向についてでございますが、広井
参考人は、やはり
日本は
社会保障の規模が小さいということ、国際的に見て小さいということを挙げましたけれども、これは会社とか家族の存在を挙げていたわけでございますけれども、しかし、こういったものが今弱体化していますので、
社会保障の強化再編が必要である、こう指摘をされております。
確かに、
社会保障の強化再編が必要であるとは私も考えますけれども、
我が国が長年培ってきた相互扶助の精神のような文化あるいは慣習をこの際もう一度見詰め直してみる必要もあると思います。北欧のように高福祉・高負担
国家に進むということは、現役世代の過分の負担というものが避けられないわけでありまして、こうなりますと、経済の衰退という本末転倒にもなりかねない危険性もはらんでいるということであります。そこで、この視点から、やはりすべて税金で賄うという発想には限界があると思いまして、自助、公助、共助の適正な
役割分担というのが私は必要だと思います。
そして、忘れてならないのは、やはり家族の再生という視点であると思います。やはり、みんなで支え合うという共生の理念を築き上げることが大切だと思います。
憲法の二十四条で、個人の尊厳と両性の本質的平等について規定されていますが、これが行き過ぎた個人主義という風潮を生んでいる側面も私は否定できないと思いますので、そこで、やはり
憲法にも、家族のきずなの重要性であるとか家族の再生、家族が果たしてきた
機能の回復、そういったものをサポートするような規定を加えるという考え方が私は必要ではないかと思います。
以上で
発言を終わらせていただきます。