○岩永
委員 自由
民主党の岩永
峯一でございます。
自由
民主党は、昨年、司法制度改革のための裁判所法等の一部を
改正する
法律案を初めとする司法制度改革関連法案を成立させ、着実に司法制度改革を進めております。今
国会におきましても司法制度改革関連法案の提出が予定されているわけでございまして、引き続き司法制度改革を着実に進める
観点から、三つの
意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、裁判員制度の導入について申し上げます。
市川
参考人からは、裁判員制度は事実認定と量刑を裁判官と裁判員とで共同決定するものであるから、裁判官が狭義の法
解釈について専権を有していれば、基本的に合憲であるとの
意見陳述がなされました。私も、裁判員制度は、被告人の裁判を受ける権利や裁判官の職権
行使の独立を侵害するものではなく、合憲であると考えているところであります。
また、年齢、二十歳以上の者から無作為抽出による裁判員の候補者が選ばれることから、必ずしも裁判員としての適性を有しない者が選ばれるのではないかという不安につきまして、そのような者の
意見は裁判官やほかの裁判員との合議において適宜修正されることが考えられるほか、最終的には、従来どおり裁判員制度を導入しない上級審において修正されることになるわけでございますので、過度に懸念する必要はないように思われるわけでございます。
ただ、市川
参考人から、裁判員制度の導入は、制度
構築の条件により、刑事裁判の
現状を転換する起爆剤にも、また厳罰主義のイチジクの葉にもなり得ると
指摘されております。
司法制度改革を成功させるためには、この裁判員制度を初めとする
国民の司法
参加が刑事裁判の
現状を転換する起爆剤となる必要があります。そのために、裁判員制度を
我が国の社会的土壌にしっかり定着するものとする必要があることはもとより、裁判員となる者の負担が重くなり過ぎないように、休業制度や守秘義務の
あり方を含め、注意深く制度を
構築した上で、五年間の準備期間に裁判員制度の周知徹底を図り、
国民の司法への
参加意識を醸成する必要があるものと考えるわけでございます。
次に、行政訴訟制度の
見直しについて申し上げます。
司法制度改革審議会
意見書は「司法の行政に対するチェック
機能の強化」という項目を設け、行政事件訴訟法の
見直しを含めた行政に対する司法審査の
あり方に対して、法の支配の
理念のもとに司法及び行政の
役割を見据えた総合的多角的な
検討を行う必要があるとしているわけでございます。
立法、行政、司法の三権分立は、相互の抑制、均等を内在しているものであります。しかも、さきに述べましたように、事前規制型社会から事後チェック型社会に転換することによって司法の
役割が増大することになるわけでございますから、司法は行政に対しても適切なチェック
機能を果たすことが要求されることになると考えるわけであります。
ところが、行政訴訟については、昭和三十七年の行政事件訴訟法施行以来、大幅な
改正がなされておらず、提訴件数の少なさや原告の勝訴率の低さが適宜
指摘されているところであります。そこで、
国民の期待にこたえる司法制度の
構築の一環として行政訴訟制度を
見直して、司法の行政に対するチェック
機能を強化する必要があるものと考えるわけでございます。
最後に、知的財産権の保護について申し上げます。
平成十二年に、IT基本法において初めて知的財産権という
言葉が
法律上用いられました。平成十四年には知的財産基本法が成立いたしたわけでございますが、今や知的財産権の保護は、
我が国のみならず世界的レベルにおいて極めて重大な
課題となっているところであります。そのため、司法制度改革審議会
意見書においても、「知的財産権
関係事件への総合的な対応強化」として、裁判所の専門的処理体制の一層の強化や、
日本知的財産仲裁センターや特許庁等のADRの拡充、活性化等の
必要性が
指摘されております。これらの施策の推進とともに、いわゆる知財高裁の創設によって知的財産権
関係事件の専門的処理体制が抜本的に強化されることになると聞いております。
知的財産権
関係事件は今後ますます重要となり、かつ多様化していくことが予想されていますので、今後ともこのような変化を見守り、適時適切に制度の改革を図っていく必要があると考えております。
以上をもって私の
発言とさせていただきます。ありがとうございました。
〔
仙谷会長代理退席、
会長着席〕